説明

端子台

【課題】電子部品の溶接工程を容易に行うことができる端子台を提供する。
【解決手段】端子台1は、複数のバスバー3と、封止部材4とを備える。バスバー3は、基板部31と、溶接部33と、締結板部34とを備える。封止部材4は絶縁材料からなり、複数のバスバー3を封止する。複数の溶接部33は櫛歯状に一列に配列している。そして、被溶接電子部品21の電極端子23を、溶接部33に対してZ方向から重ね合わせて溶接するよう構成されている。Z方向において、被溶接電子部品21の電極端子23と、溶接部33と、封止本体部40とがこの順に配置され、溶接部33と封止本体部40との間に所定の隙間dが形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に含まれる複数の電子部品を電気的に接続する端子台に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、溶接工程を行うことにより複数の電子部品を互いに電気的に接続した電子機器が知られている(下記特許文献1参照)。図10、図11に、この電子機器の一例であるDC−DCコンバータの一部を示す。同図に示すごとく、この電子機器9は、電子部品としてリアクトル91と複数のダイオード92とを備える。
【0003】
個々のダイオード92は、アノード端子93及びカソード端子94を備える。これらの端子93,94の先端に溶接部930,940が形成されている。溶接部930,940は、リアクトル91の軸線方向(A方向;図11参照)に突出している。
また、リアクトル91には、溶接部930,940と同一方向に突出した被溶接部910が形成されている。
【0004】
図11に示すごとく、溶接工程を行う際には、アノード端子93の溶接部930と、リアクトル91の被溶接部910とを重ね合わせ、溶接具95によって挟むと共に、溶接電流Iを流して抵抗熱を発生させる。この抵抗熱によって、溶接部930と被溶接部910とを溶接する。
【0005】
また、ダイオード92のカソード端子94(図10参照)の溶接部940には、図示しない別の電子部品の電極端子が溶接される。このように、複数の溶接部930,940に抵抗溶接を行うことにより、ダイオード92やリアクトル91等の電子部品を互いに電気的に接続し、電子回路を構成している。
【0006】
なお、電子機器9を製造する際には、1個の溶接具95を使って、溶接部930,940を1個ずつ順番に溶接する。すなわち、ある溶接部930aに溶接工程を行った後、溶接具95を別の溶接部930bに移動させ、この溶接部930bを溶接する。これを順次行うことにより、全ての溶接部930,940を溶接する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−23772号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の電子機器9は、複数の溶接部930,940が電子機器9内に分散配置されているため、溶接工程を行う際に、溶接具95の移動距離が長くなるという問題があった。また、溶接具95を様々な方向へ移動させなければならないため、制御が難しくなると共に、移動時間もかかるという問題があった。
【0009】
例えば、ある溶接部930a(図10参照)と別の溶接部930bとを連続して溶接する際には、溶接具95を移動させる際に、溶接具95が溶接部930a,930b等に引っ掛からないようにする必要がある。そのため、例えば、溶接部930aと被溶接部910aとを溶接具95で挟んで溶接した後、溶接具95を開き、上記軸線方向(A方向)に溶接具95を一旦引き上げ、別の溶接部930bの上方まで移動させる必要がある。続いて、溶接具95を上記軸線方向から上記溶接部930bに接近させて、溶接部930bと被溶接部910bとを挟持する必要がある。
【0010】
このように従来の電子機器9は、複数の溶接部930,940を溶接する際に、溶接具95に複雑な動き方をさせる必要があった。また、溶接部930,940間の移動距離も長かった。そのため、溶接工程を行いにくく、時間もかかるという問題があった。
【0011】
この問題は、複数の電子部品92,91を直接、溶接している限り、容易に解決できない。例えば、アノード端子93の溶接部930とカソード端子94の溶接部940とを接近配置させると、溶接具95の移動距離を短くすることができるが、カソード端子94がアノード端子93やリアクトル91に接触して短絡する可能性がある。そのため、複数の電子部品を直接、溶接するのではなく、別の部品、例えば端子台を電子機器内に設けることにより、複数の溶接部930,940を、短絡することなく近接配置させ、溶接工程を容易に行えるようにすることが望まれていた。
【0012】
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたもので、電子部品の溶接工程を容易に行うことができる端子台を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一態様は、複数の電子部品を備える電子機器の内部に設けられ、該複数の電子部品を電気的に接続する端子台であって、
基板部と、該基板部から該基板部の板厚方向に立設した溶接部と、上記基板部に導通した締結板部とを備える複数のバスバーと、
絶縁材料からなり、上記複数のバスバーを、上記溶接部と上記締結板部とが露出した状態で封止する封止部材とを備え、
上記複数の溶接部は櫛歯状に一列に配列しており、
上記複数の電子部品には、その電極端子が、締結部材によって上記締結板部に締結される被締結電子部品と、上記溶接部に溶接される被溶接電子部品とがあり、
個々の上記溶接部に、上記被溶接電子部品の電極端子を、上記複数の溶接部の立設方向と配列方向との双方に直交する幅方向から重ね合わせて溶接するよう構成され、
上記封止部材は、上記締結板部が露出する露出面を備えた封止本体部を有し、上記幅方向において、上記被溶接電子部品の電極端子と、上記溶接部と、上記封止本体部とがこの順に配置され、上記複数の溶接部と上記封止本体部との間に、上記配列方向に沿った所定の隙間が形成されていることを特徴とする端子台にある(請求項1)。
【発明の効果】
【0014】
上記端子台においては、上記複数の溶接部を櫛歯状に一列に配列してある。そして、上記被溶接電子部品の電極端子を、上記幅方向から重ね合わせて溶接するよう構成してある。また、複数の溶接部と上記封止本体部との間に、上記配列方向に沿った所定の隙間を形成してある。
このようにすると、複数の溶接部を溶接する工程を容易に行えるようになる。すなわち、上記構成にすると、溶接工程を行う際に、一対の溶接具を用意し、この一対の溶接具のうち一方の溶接具を上記隙間に挿入すると共に、該一方の溶接具と他方の溶接具との間で、上記溶接部と上記電極端子とを上記幅方向に挟持し、抵抗溶接を行うことができる。そして、1個の溶接部を溶接した後、溶接具を開き、溶接具を上記立設方向へ移動させることなく上記配列方向へ移動させ、続いて、隣にある別の溶接部を溶接することができる。この工程を繰り返すことにより、全ての溶接部を溶接することができる。このように、溶接具を立設方向へ移動させることなく、一方向(配列方向)へ移動させつつ溶接を行えるので、溶接具の動き方を簡素にすることができると共に、溶接具の移動時間を短くすることが可能になる。
【0015】
また、上記端子台は、複数のバスバーを上記封止部材によって封止しているため、この複数のバスバーをしっかりと固定することができる。そのため、個々のバスバーに含まれる溶接部が互いに近接する位置に配置されていても、溶接部同士が接触して短絡する等の不具合が生じにくい。
【0016】
以上のごとく、本例によれば、電子部品の溶接工程を容易に行うことができる端子台を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施例1における端子台の斜視図。
【図2】実施例1におけるバスバーの斜視図。
【図3】実施例1における、被溶接電子部品の電極端子を溶接した状態における端子台の斜視図。
【図4】図3に示す端子台の、締結板部を通りXZ面に平行な断面図。
【図5】実施例1における、溶接工程の説明図。
【図6】図5に続く図。
【図7】図3に示す端子台の、固定部を通りXZ面に平行な断面図。
【図8】実施例1における、電子機器の回路図。
【図9】実施例1における、被溶接電子部品の回路図。
【図10】従来例における、電子機器の部分平面図。
【図11】溶接工程を行う際における、図10のA−A断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
上記端子台は、例えば、ハイブリッド車や電気自動車等の車両に搭載される電力変換装置に用いることができる。
【0019】
また、上記バスバーは、上記基板部と上記締結板部との間を繋ぐ連結板部を備え、上記幅方向における上記基板部の一端から上記溶接部が立設し、上記幅方向における上記基板部の他端から上記連結板部が上記溶接部の立設方向と同一方向に立設し、上記締結板部は上記連結板部と直交した状態で該連結板部に接続していることが好ましい(請求項2)。
この場合には、溶接部を溶接する工程と、上記締結板部を締結する工程とを、それぞれ行いやすくなる。すなわち、バスバーを上記形状にすると、上記立設方向に対して締結板部を垂直に向けることができる。そのため、締結工程を行う際には、上記被締結電子部品の電極端子を締結板部に重ね合わせ、上記締結部材を立設方向から締結板部に接近させて、これら電極端子と締結板部とを締結することができる。また、溶接工程を行う際には、一対の溶接具を立設方向から溶接部に接近させ、この一対の溶接具によって溶接部と電極端子とを挟持し、溶接を行うことができる。このように、溶接具と締結部材とを、それぞれ同一方向(上記立設方向)から接近させることができるため、溶接工程および締結工程を行いやすくなる。
【0020】
また、上記締結部材は雄螺子部と雌螺子部とからなり、上記封止部材は、上記電子機器を収納する収納ケースの固定壁部に、上記複数の溶接部が上記固定壁部の法線方向を向いた状態で固定されており、上記雌螺子部は、上記固定壁部と上記締結板部との間に配置されていることが好ましい(請求項3)。
この場合には、固定壁部と締結板部との間の空間に雌螺子部を配置できるので、この空間を有効利用することができる。これにより、端子台をコンパクトに形成することが可能になる。
【0021】
また、上記溶接部の上記立設方向から見た場合に、上記被溶接電子部品の少なくとも一部が上記封止部材と重なるように構成されていることが好ましい(請求項4)。
この場合には、上記立設方向から見た場合における、上記被溶接電子部品と上記封止部材とが占める面積を少なくすることができる。これにより、電子機器を小型化することが可能になる。
【実施例】
【0022】
(実施例1)
上記端子台に係る実施例について、図1〜図9を用いて説明する。
図1、図2に示すごとく、本例の端子台1は、複数のバスバー3と、封止部材4とを備える。バスバー3は、基板部31と、該基板部31から基板部31の板厚方向へ立設した溶接部33と、基板部31に導通した締結板部34とを備える。封止部材4は絶縁材料からなり、複数のバスバー3を、溶接部33と締結板部34とが露出した状態で封止している。
【0023】
複数の溶接部33は櫛歯状に一列に配列している。複数の電子部品2には、被締結電子部品20(図8参照)と、被溶接電子部品21とがある。
図3に示すごとく、被締結電子部品20の電極端子22は、締結部材5によって締結板部34に締結される。また、個々の溶接部33に、被溶接電子部品21の電極端子23を、複数の溶接部33の立設方向(X方向)と配列方向(Y方向)との双方に直交する幅方向(Z方向)から重ね合わせて溶接するよう構成されている。
【0024】
封止部材4は、締結板部34が露出する露出面41を備えた封止本体部40を有する。図3、図4に示すごとく、上記幅方向(Z方向)において、被溶接電子部品21の電極端子23と、溶接部33と、封止本体部40とがこの順に配置され、複数の溶接部33と封止本体部40との間に、配列方向(Y方向)に沿った所定の隙間dが形成されている。
【0025】
図1、図2に示すごとく、本例の端子台1は第1バスバー3aと、第2バスバー3bと、第3バスバー3cとの3個のバスバー3を備える。また、端子台1は12本の溶接部33を有する。この12本の溶接部33は、上述したように一列に配列されている。
【0026】
封止部材4は、上記封止本体部40と、該封止本体部40からZ方向に突出した凸部42とを備える。この凸部42によって、バスバー3の基板部31を封止している。また、凸部42の端面420から、基板部31の一部がZ方向に突出している。そして、この基板部31から溶接部33が、基板部31の板厚方向に突出している。溶接部33と封止本体部40との間には、上記隙間dが設けられている。
また、封止本体部40の上記露出面41から、3個のバスバー3の締結板部34がそれぞれ露出している。個々の締結板部34には、後述する雄螺子部51を挿入するための貫通孔340が形成されている。
【0027】
封止部材4は、2個の固定部12(12a,12b)を有する。それぞれの固定部12には、ボルト挿入孔13が貫通形成されている。このボルト挿入孔13にボルト14(図7参照)を挿入し、電子機器10の収納ケース11に形成したボス110に螺合することにより、端子台1を収納ケース11に固定している。
【0028】
また、本例の端子台1は、ハイブリッド車や電気自動車等の車両に搭載するためのDC−DCコンバータに用いられる。DC−DCコンバータは、図8に示すごとく、被締結電子部品20としてのトランス20aおよびリアクトル20bと、被溶接電子部品21としてのダイオードモジュール21とを備える。トランス20aは2個の二次コイル71,72を有する。2個の二次コイルのうち一方の二次コイル71は、第1バスバー3aの締結板部34aに締結される。他方の二次コイル72は、第2バスバー3bの締結板部34bに締結される。リアクトル20bは、第3バスバー3cの締結板部34cに締結される。また、図3に示すごとく、ダイオードモジュール21の電極端子23は、溶接部33に溶接される。このように、本例の端子台1は、DC−DCコンバータに含まれる複数の電子部品2(トランス20a、リアクトル20b、ダイオードモジュール21)を電気的に接続するために用いられる。
【0029】
ダイオードモジュール21は、それぞれ3本の電極端子23を有する。本例では、4個のダイオードモジュール21が有する合計12本の電極端子23を、それぞれ溶接部33に溶接した。
個々の溶接部33には、ダイオードモジュール21の電極端子23側に向って円弧状に湾曲した湾曲部330が形成されている。電極端子23と溶接部33とをZ方向に重ね合わせ、湾曲部330を電極端子23に接触させた状態で、電極端子23と溶接部33とを溶接してある。
【0030】
溶接を行う際には、図5に示すごとく、一組の溶接具6a,6bを用意し、この溶接具6a,6bによって、1本の電極端子23と1本の溶接部33とからなる溶接対8をZ方向に挟持する。そして、溶接具6a,6b間に溶接電流Iを流して抵抗熱を発生させ、溶接対8を溶接する。
【0031】
この後、図6に示すごとく、溶接具6a,6bを開く。そして、溶接具6a,6bをY方向に移動させ、隣にある別の溶接対8を溶接具6a,6bによって挟持した後、溶接電流Iを流して溶接する。このようにして、Y方向における一端(図3参照)に位置する溶接対8aから、他端に位置する溶接対8bまで、順次溶接を行う。
なお、上記隙間dは、溶接具6a,6bを開いた状態でも、一方の溶接具6aが封止本体部40に接触しないように、その長さが定められている。
【0032】
図4に示すごとく、バスバー3は、基板部31と締結板部34との間を繋ぐ連結板部32を備える。Z方向における基板部31の一端311から溶接部33が突出している。連結板部32は、Z方向における基板部31の他端312から、溶接部33の立設方向と同一方向に立設している。締結板部34は、連結板部32に直交した状態で、連結板部32に接続している。
【0033】
また、封止本体部40には雌螺子部52がインサート成形されている。締結板部34に、被締結電子部品20の電極端子22を重ね合わせ、雄螺子部51を挿入して雌螺子部52に螺合する。これにより、電極端子22と締結板部34とを締結し、電極端子22を端子台1に固定するようになっている。
【0034】
ダイオードモジュール21は、2個のダイオード24(図9参照)と、該ダイオード24を封止する樹脂部214とを備える。ダイオードモジュール21は、収納ケース11の固定壁部116と、端子台1との間に配置されている。
樹脂部214は、略直方体形状(図3参照)を呈しており、ボルト15を挿入するためのボルト挿通孔215を有する。また、収納ケース11には螺子孔115が形成されている。ボルト15をボルト挿通孔215に挿入し、螺子孔115に螺合することにより、ダイオードモジュール21を収納ケース11に固定している。
【0035】
図9に示すごとく、ダイオードモジュール21内の2個のダイオード24a,24bのうち、一方のダイオード24aは、そのアノード端子が第1電極端子23aに接続している。また、他方のダイオード24bのアノード端子は第3電極端子23cに接続している。2個のダイオード24a,24bのカソード端子は、それぞれ第2電極端子23bに接続している。第2電極端子23bは、第1電極23aと第3電極23cの間に位置している。このようにすることで、第1電極端子23a及び第3電極端子23cに流れる入力電流iと、第2電極端子23bに流れる出力電流2iとの向きを逆にし、これらの電極端子23a〜23cの間に生じるインダクタンスを低減している。
【0036】
図2に示すごとく、第1バスバー3aは、第1溶接部33aと、第3溶接部33cと、第4溶接部33dと、第6溶接部33fとの、4本の溶接部33を備える。Y方向における、第1溶接部33aと第3溶接部33cとの間隔D1は、第4溶接部33dと第6溶接部33fとの間隔D3と同程度である。第3溶接部33cと第4溶接部33dとの間隔D2は、上記間隔D1,D3よりも狭い。
また、第2バスバー3bは、第7溶接部33gと、第9溶接部33iと、第10溶接部33jと、第12溶接部33mとの、4本の溶接部33を備える。
【0037】
第3バスバー3cは、第2溶接部33bと、第5溶接部33eと、第8溶接部33hと、第11溶接部33kとの、4本の溶接部33を備える。第2溶接部33bは、第1溶接部33aと第3溶接部33cとの間に位置し、第5溶接部33eは、第4溶接部33dと第6溶接部33fとの間に位置する。同様に、第8溶接部33hは、第7溶接部33gと第9溶接部33iの間に位置し、第11溶接部33kは、第10溶接部33jと第12溶接部33mとの間に位置する。
【0038】
図3に示すごとく、第1ダイオードモジュール21aの第1電極端子23aは第1溶接部33aに溶接され、第2電極端子23bは第2溶接部33bに溶接される。また、第3電極端子23cは第3溶接部33cに溶接される。他のダイオードモジュール21の電極端子23も同様に、溶接部33d〜33mに溶接される。
【0039】
上述したように、第1バスバー3aの締結板部34aは、トランス20a(図8参照)の一方の二次コイル71に接続され、第2バスバー3bの締結板部34bは他方の二次コイル72に接続される。二次コイル71,72に発生する電流i(二次電流)は、ブリッジ回路70の動作に伴って交互に向きが替わる。この電流iを、ダイオードモジュール21によって整流している。
【0040】
電流iの流れを、第1ダイオードモジュール21a(図3参照)を例にとって説明する。第1ダイオードモジュール21aのダイオード24に対して順方向に電圧が加わる場合は、二次コイル71から電流iが締結板部34aに流れ込む。電流iは、連結板部32、基板部31(図2参照)を流れ、さらに溶接部33a,33c、第1モジュール21aの電極端子23a,23cを流れる。その後、電流iはダイオード24(図9参照)を流れ、第2電極端子23bから出力される。そして電流iは、第2電極端子23bから第2溶接部33bを通り、第3バスバー3cの基板部31および連結板部32(図2参照)を流れて、締結板部34cから出力される。
【0041】
本例の作用効果について説明する。図3に示すごとく、本例では、複数の溶接部33を櫛歯状に一列に配列した。そして、被溶接電子部品21の電極端子23を、Z方向から重ね合わせて溶接するよう構成した。また、複数の溶接部33と封止本体部40との間に、Y方向に沿った所定の隙間dを形成した。
このようにすると、複数の溶接部33を溶接する工程を容易に行えるようになる。すなわち、溶接工程を行う際には、図5に示すごとく、一対の溶接具6a,6bを用意し、一方の溶接具6aを隙間dに挿入すると共に、該一方の溶接具6aと他方の溶接具6bとの間で、溶接対8をZ方向に挟持し、抵抗溶接を行うことができる。そして、一個の溶接対8を溶接した後、図6に示すごとく、溶接具6a,6bを開き、溶接具6a,6bをX方向へ移動させることなくY方向へ移動させ、続いて、隣にある別の溶接対8を溶接することができる。この工程を繰り返すことにより、全ての溶接対8を溶接することができる。このように、溶接具6a,6bをX方向へ移動させることなく、一方向(Y方向)へ移動させつつ溶接を行えるので、溶接具6a,6bの動き方を簡素にすることができると共に、溶接具6a,6bの移動時間を短くすることが可能になる。
【0042】
また、本例の端子台1は、複数のバスバー3を封止部材4によって封止しているため、これら複数のバスバー3をしっかりと固定することができる。そのため、個々のバスバー3に含まれる溶接部33が互いに近接する位置に配置されていても、溶接部33同士が接触して短絡する等の不具合が生じにくい。
【0043】
また、図4に示すごとく、バスバー3は連結板部32を備える。Z方向における基板部31の一端311から溶接部33が立設し、Z方向における基板部31の他端312から、連結板部32が、溶接部33の立設方向(X方向)と同一方向に立設している。そして、締結板部34は連結板部32と直交した状態で連結板部32に接続している。
このようにすると、溶接部33を溶接する工程と、締結板部34を締結する工程とを、それぞれ行いやすくなる。すなわち、バスバー3を上記形状にすると、X方向に対して締結板部34を垂直に向けることができる。そのため、締結工程を行う際には、被締結電子部品20の電極端子22を締結板部34に重ね合わせ、雄螺子部51をX方向から締結板部34に接近させて、雄螺子部51を雌螺子部52に螺合させることにより、これら電極端子22と締結板部34とを締結することができる。また、溶接工程を行う際には、溶接具6a,6bをX方向から溶接部33に接近させ、この溶接具6a,6bによって溶接対8を挟持し、溶接を行うことができる。このように、溶接具6と雄螺子部51とを、それぞれ同一方向(X方向)から接近させることができるため、溶接工程および締結工程を行いやすくなる。
【0044】
また、図7に示すごとく、本例の端子台1は、電子機器10を収納する収納ケース11の固定壁部116に、溶接部33を固定壁部116の法線方向(X方向)に向けた状態で固定されている。そして、図4に示すごとく、固定壁部116と締結板部34との間に、雌螺子部52が配置されている。
このようにすると、固定壁部116と締結板部34との間の空間Sに雌螺子部52を配置できるので、この空間Sを有効利用することができる。これにより、端子台1をコンパクトに形成することが可能になる。
【0045】
また、図4に示すごとく、本例では、X方向から見た場合に、被溶接電子部品(ダイオードモジュール21)の少なくとも一部が封止部材4と重なるように構成されている。
このようにすると、X方向から見た場合における、被溶接電子部品21と封止部材4とが占める面積を少なくすることができる。これにより、電子機器10を小型化することが可能になる。
【0046】
以上のごとく、本例によれば、電子部品の溶接工程を容易に行うことができる端子台を提供することができる。
【符号の説明】
【0047】
1 端子台
2 電子部品
20 被締結電子部品
21 被溶接電子部品
3 バスバー
31 基板部
32 連結板部
33 溶接部
34 締結板部
4 封止部材
40 封止本体部
5 締結部材
d 隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電子部品を備える電子機器の内部に設けられ、該複数の電子部品を電気的に接続する端子台であって、
基板部と、該基板部から該基板部の板厚方向に立設した溶接部と、上記基板部に導通した締結板部とを備える複数のバスバーと、
絶縁材料からなり、上記複数のバスバーを、上記溶接部と上記締結板部とが露出した状態で封止する封止部材とを備え、
上記複数の溶接部は櫛歯状に一列に配列しており、
上記複数の電子部品には、その電極端子が、締結部材によって上記締結板部に締結される被締結電子部品と、上記溶接部に溶接される被溶接電子部品とがあり、
個々の上記溶接部に、上記被溶接電子部品の電極端子を、上記複数の溶接部の立設方向と配列方向との双方に直交する幅方向から重ね合わせて溶接するよう構成され、
上記封止部材は、上記締結板部が露出する露出面を備えた封止本体部を有し、上記幅方向において、上記被溶接電子部品の電極端子と、上記溶接部と、上記封止本体部とがこの順に配置され、上記複数の溶接部と上記封止本体部との間に、上記配列方向に沿った所定の隙間が形成されていることを特徴とする端子台。
【請求項2】
請求項1に記載の端子台において、上記バスバーは、上記基板部と上記締結板部との間を繋ぐ連結板部を備え、上記幅方向における上記基板部の一端から上記溶接部が立設し、上記幅方向における上記基板部の他端から上記連結板部が上記溶接部の立設方向と同一方向に立設し、上記締結板部は上記連結板部と直交した状態で該連結板部に接続していることを特徴とする端子台。
【請求項3】
請求項2に記載の端子台において、上記締結部材は雄螺子部と雌螺子部とからなり、上記封止部材は、上記電子機器を収納する収納ケースの固定壁部に、上記複数の溶接部が上記固定壁部の法線方向を向いた状態で固定されており、上記雌螺子部は、上記固定壁部と上記締結板部との間に配置されていることを特徴とする端子台。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の端子台において、上記溶接部の上記立設方向から見た場合に、上記被溶接電子部品の少なくとも一部が上記封止部材と重なるように構成されていることを特徴とする端子台。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−16434(P2013−16434A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−150173(P2011−150173)
【出願日】平成23年7月6日(2011.7.6)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】