説明

端子接続装置

【課題】本発明は、一の装置で多様な仕様の管継手に簡便対応可能な端子接続装置を提供する。
【解決手段】成形金型コア52の外周面に電熱抵抗線51が巻回されたワーク50を対象として、電熱抵抗線51の両端部51a、51bに、それぞれ端子ピン60を外挿して、該両端部と各端子ピンとを接続する端子接続装置1であって、コアベース2と、コアベース2に保持されたワーク50に対向配置されるかしめ機構3とを備えてなり、かしめ機構3は、フレーム7に電熱抵抗線51の両端部51a、51bに対向するように設けられ、各端子ピン60を保持する第1、第2の端子ピン保持体8A、8Bと、両端子ピン60に端部51a、51bをそれぞれ挿入した状態で該各端部に対し第1、第2のかしめ具9、9とを備えて構成され、第1、第2の端子ピン保持体8A、8Bが、端部51a、51b間方向に位置調整可能にフレーム7に固定されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気溶着継手(エレクトトロフュージョン継手(EF継手))を製造する際の、電熱抵抗線と端子ピンとのかしめを行う場合に用いる端子接続装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ガス管や上下水道管に使用されているポリエチレン(PE)管を接続する管継手として、電気溶着法を採用した溶着継手が知られている。この溶着継手は、継手内周面にニクロム線などの電気抵抗線を巻回し、この抵抗線の両端に電気的に接続した端子ピンに電源を接続して通電することにより、PE管の外面と溶着継手の内面とを熱溶融させて接続するものである。
上記溶着のために通電するための端子ピンは、電熱抵抗線と電気的に接続するために端子接続装置によりかしめられるが、従来この種の端子接続装置としては、例えば下記特許文献1に開示されたものが提供されている。
【特許文献1】特開平11−77191号公報
【0003】
特許文献1において開示された端子接続装置は、受け部材により電気抵抗線が巻回された成形金型コアを係止して端子接続装置上に固定し、切断部によって電熱抵抗線の両端を切断して両端部の長さを一定に揃え、剥がし部により電熱抵抗線の両端部の被覆樹脂層を所定長さ剥がして電熱抵抗線を露出させた上で、レール上の基台を摺動させて受け部材を所定の位置に移動させ、端子ピンを切り揃えられた電熱抵抗線の両端部に装着し、この状態で端子ピンをかしめ具によって圧着してかしめるものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の端子接続装置においては、電熱抵抗線の切断、被覆樹脂層の剥離、端子ピンのかしめ等の一連の作業を同一仕様の管継手を対象として行うものであり、各工程の処理機構が特定の管継手の専用機として構成されているため、様々な仕様の管継手に対応できるものではないという問題があった。
また、様々な仕様の管継手に対応可能であり、かつ、かしめ作業を全自動で行う端子接続装置とすると、装置の構成が複雑となって相当高額となるため、多様な仕様の管継手に安価、簡便に対応できないという問題があった。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、一の装置で多様な仕様の管継手に簡便に対応可能な端子接続装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、この発明は以下の手段を提供している。
第1の発明は、円筒状の成形金型コアの外周面に電熱抵抗線が巻回されたワークを対象として、前記電熱抵抗線の両端部に、それぞれ一方の端子ピン及び他方の端子ピンを外挿して、該両端部と各端子ピンとを接続する端子接続装置であって、前記ワークを保持するコアベースと、このコアベースに保持されたワークに対して対向配置されるかしめ機構とを備えてなり、前記かしめ機構は、フレームに前記ワークの前記電熱抵抗線の両端部に対向するように設けられ、前記一方の端子ピンを保持する第1の端子ピン保持体及び前記他方の端子ピンを保持する第2の端子ピン保持体と、前記一方及び他方の端子ピンに前記電熱抵抗線の各端部をそれぞれ挿入した状態で該各端部に対し前記一方及び他方の端子ピンをかしめる第1、第2のかしめ具とを備えて構成され、前記第1、第2の端子ピン保持体が、前記電熱抵抗線の両端部間方向に位置調整可能に前記フレームに固定されていることを特徴とする。
第2の発明は、前記第1、第2のかしめ具が、前記フレームに、それぞれ前記第1、第2の端子ピン保持体に対し、接近・離間自在、かつ、前記電熱抵抗線の両端部間方向に位置調節可能に固定されていることを特徴とする。
第3の発明は、前記第1、第2の端子ピン保持体は、それぞれ前記フレームに固定されるかしめベースと、該かしめベースに、前記ワークに接近・離間する方向に移動可能に設けられ、前記端子ピンを固定する端子ピン固定治具とを備えてなり、前記端子ピン固定治具を前記ワークから離間する方向に移動させる移動機構と、該移動機構に加わる負荷に基づいてかしめ状態を判定するかしめ状態判定部とを備えてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の端子接続装置によれば、ワークの各種の仕様に応じてコアベースを選択し、ワークの電熱抵抗線の間隔、引き出し長さ、線形、及び端子の内径の寸法等を調節して行うことができるので、各種のワークの仕様に応じて端子のかしめを行うことができる。したがって、仕様に応じて専用機を各別に製作した場合に比べて、装置の構成がシンプルであり、かつ、安価に製造することができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1から図3は、本発明の第1実施形態として示した端子接続装置1を示す図であり、図1は端子接続装置1の全体を示す斜視図、図2は端子接続装置1の部品であるかしめベースを示す斜視図、図3は端子接続装置1の部品である端子ピン固定治具を示す斜視図である。
【0009】
(第1実施形態)
ここで説明する端子接続装置1は、図1に示すワーク50の電熱抵抗線51の端部51a、51bに、図5に示す端子60をかしめるものである。
【0010】
ワーク50は、ガス管や上下水道管に使用されているPE管を接続する管継手であって、合成樹脂製の成形金型コア52の外周面に電熱抵抗線51を巻回したものであり、この電熱抵抗線51に電力を供給して成形金型コア52の内部に配置したパイプ(不図示)との間を熱溶融手段により溶着接合させるものである。
なお、図4に示すように、ワーク50は、電熱抵抗線51が成形金型コア52の軸線方向に一定寸法の領域を占めるようにらせん状に巻回されており、その両端部51a、51bは、周方向の同一位置において外方へ突出した構成となっている。
【0011】
また、端子60は、図5に示すように、導電性を有する金属、例えば主に銅合金、一部鉄系材料に表面コーティングしたもの等からなるものであって、断面円形の大径部61の端部に外方へ張り出すフランジ部62を設け、更にフランジ部62から大径部61と同一軸線上に、前方に突出して小径部63を設け、その小径部63の内部に、軸線上に位置させて電熱抵抗線51の端部51a(51b)用の挿通穴64を設けてなるものである。
【0012】
図1に示すように、端子接続装置1は、コアベース2とかしめ機構3とからなっている。
コアベース2は、外観直方体形状に形成されたものであって、その上面にワーク50を収納する凹所4を備えたものであり、巻線された成形金型コア52と電熱抵抗線51、かしめ具9A、9Bの相対位置を保持する台となるものである。
このコアベース2の凹所4にワーク50を収納した場合には、図1に示すように、ワーク50の一部が外部に露出し、電熱抵抗線51の各端部51a、51bが外部に露出するようになっている。
【0013】
また、コアベース2の後端部上面側には、かしめ機構3を着脱自在に装着する嵌合凹部5が形成されている。また、コアベース2の後端の両側部には、準備完了ランプ6A、かしめ合否判定ランプ6Bが設けられている。
このコアベース2は、ワーク50の各種仕様に応じて凹所4の深さ、長さ、寸法などが適合するものが複数用意されている。各コアベース2に対してかしめ機構3はそれぞれ嵌合凹部5に固定できるようになっている。
【0014】
かしめ機構3は、フレーム7と、このフレーム7に固定された第1、第2の端子ピン保持体8A、8Bと、同フレーム7に固定された第1、第2のかしめ具9A、9Bを主な構成要素としている。
【0015】
フレーム7は、ベースフレーム7aと、ベースフレーム7aの両端から上方に立ち上がるサイドフレーム7b、7bと、サイドフレーム7b、7b間に懸架された移動フレーム7cとからなるものである。
【0016】
このフレーム7は、上記各部が一体となって、その下端部がコアベース2の嵌合凹所5に嵌合され、かつ図示しない固定手段によって固定されるものである。
【0017】
移動フレーム7cは、サイドフレーム7b、7bの外側に位置する固定板部7c−1、7c−1と、これら固定板部7c−1、7c−1間に架設された主板部7c−2とからなるものである。
【0018】
サイドフレーム7b、7bには、その上下方向に向けて長孔10が形成されており、移動フレーム7cの固定板部7c−1、7c−1には貫通孔11が形成されており、貫通孔11内にボルト12を挿通し、これを長孔10に挿通するとともに図示しない雌螺子に螺着することによってサイドフレーム7b、7bの高さ方向の適宜位置に固定できるようになっている。
【0019】
第1の端子ピン保持体8Aは、ベースフレーム7aに固定される図1、図2に示すかしめベース13と、かしめベース13に矢印A−B方向に移動可能に装着される図1、図3に示す端子ピン固定治具14とを備えてなるものである。また、かしめベース13の後端部には、エアシリンダ(移動機構)15と、このエアシリンダ15のピストンロッド18に巻回されたバネ16とが設けられている。
【0020】
かしめベース13は、図2に示すように、ベース13aの前端両側部にL字型及び逆L字型の保持壁17、17が設けられたものであって、保持壁17、17とベース13aとの間にそれぞれ溝17a、17aが形成されている。
【0021】
端子ピン固定治具14は、図3に示すように、治具本体20とカバー21とからなるものである。
【0022】
治具本体20は、直方体形状の主壁部20aの下端両側部にガイド壁部20b、20bが設けられ、主壁部20aの上面側に端子60を装着固定する固定凹部22が設けられ、更に主壁部20aの両側部に溝20c、20cが設けられたものである。
【0023】
固定凹部22は、端子60の大径部61及び小径部63の一部を納める部分23とフランジ部62を位置させる係合凹所24とを備えるものである。
【0024】
カバー21は、治具本体20の主壁部20aの上方を覆うように形成されたものであって、コ字状の断面形状を有するカバー本体21aの下端部に、内方へ突出するガイド突部21b、21bが設けられたものである。
【0025】
このカバー21は、ガイド突部21b、21bを溝20c、20c内に嵌合させて治具本体20に取り付けられており、ガイド突部21b、21bを溝20c、20c内で摺動させることにより、治具本体20に対し矢印A、B方向に移動できるようになっている。
上記のように構成された端子ピン固定治具14は、図3に示すガイド壁部20b、20bを図2に示す溝17a、17a内に嵌合させることによりかしめベース13に取り付けられており、矢印A、B方向に移動できるようになっている。
【0026】
この構成の下に、端子ピン固定治具14の固定凹部22に端子60を挿入配置した場合には、端子ピン固定治具14を矢印A方向に移動した際に、端子60のフランジ部62が係合凹所24の壁部24aに係合することによって、端子60が端子ピン固定治具14とともに矢印A方向に移動するようになっている。
【0027】
エアシリンダ15は、端子ピン固定治具14を引張するものであって、そのピストンロッド18が端子ピン固定治具14側に突出するように位置しており、このピストンロッド18と端子ピン固定治具14とは、次に説明する連結機構によって連結されるようになっている。
すなわち、ピストンロッド18の先端部には、フック25が設けられており、端子ピン固定治具14の後端部には係合突片26が設けられている。
【0028】
フック25は、上端部から下方へ折り返された係合片25aを備えており、ピストンロッド18に、その先端から抜出不可能、かつ僅かに上下動可能に取り付けられている。係合突片26は、端子ピン固定治具14から僅かに後方へ突出した後、上方へ向けて折曲された被係合片26aを備えている。
【0029】
この構成において、フック25は、係合突片26に接近させた状態において、僅かに上方に移動させて係合突片26の被係合片26aを乗り越えたところで下方に戻すことにより、被係合突片26aに係合できるようになっている。
ピストンロッド18に巻回されたバネ16は、ピストンロッド18の復帰動作用に設けられたものである。
【0030】
上記のエアシリンダ15は、後述する制御部とともにかしめ作業を行った際のかしめ状態判定部15Aを構成している。
【0031】
また更に、かしめベース13には、図1、図2に示すように上下方向に貫通孔27、27が形成されており、ベースフレーム7aには、その長さ方向の一定間隔おきに雌螺子孔28、28が形成されている。
【0032】
上記の説明は、第1の端子ピン保持体8Aと、これに付設されたエアシリンダ15、バネ16等についての説明であるが、第2の端子ピン保持体8Bの構成も第1の端子ピン保持体8Aと同一構成であり、かつエアシリンダ15等も同様に付設されている。
【0033】
この構成の下に、各端子ピン保持体8A、8Bは、かしめベース13に設けられた貫通孔27に皿螺子(不図示)を挿入し、雌螺子孔28に螺着することによってベースフレーム7aに固定できるようになっている。
【0034】
また、固定する雌螺子孔28の位置を適宜変更することによって、第1の端子ピン保持体8Aと第2の端子ピン保持体8Bとの間隔が適宜調節できるようになっている。この間隔調整は、後述するように、各コアベース2に装着されるワーク50の電熱抵抗線51の端子51a、51bの間隔に応じて調節するものである。
【0035】
第1のかしめ具9Aは、治具本体30にエアニッパー31を設けてなるものである。治具本体30内部には、エアシリンダ(不図示)が内蔵されており、エアニッパー31はそのかしめ部9の先端を下方に突出させた状態でその操作部が本体内部に位置している。
【0036】
図1において、チューブ32は、治具本体30内のエアシリンダにエアを供給するものである。かしめ部9A、9Bは、それぞれ内部のエアシリンダに空気を供給することによってエアニッパー31の先端のかしめ部9、9を互いに接近させることによって後述するようにかしめを行うものである。
【0037】
移動フレーム7cの主板部7c−2には、その長さ方向に一定間隔おきに複数の貫通孔33が形成されており、かしめ具9A、9Bの前面側には図示しない雌螺子孔が形成されている。
【0038】
この構成の下に、各かしめ具9A、9Bは、貫通孔33内に螺子(不図示)を挿入し、当該螺子をかしめ具9A、9Bの雌螺子孔内に緊締することによって移動フレーム7c−2に固定できるようになっている。
【0039】
また、貫通孔33の位置を適宜選択することによって第1のかしめ具9Aと第2のかしめ具9Bとの間隔が調整できるようになっている。
【0040】
図1に示すように、サイドフレーム7b、7bの下端部には、移動フレーム7cの位置、すなわち、かしめ具9A、9Bの上下方向の位置を検出するリミットセンサー34が設けられている。
【0041】
また、コアベース2の内部には制御部(不図示)が設けられており、この制御部は、リミットセンサー34の出力に基づいてエアニッパー31へのエアの供給の制御やエアシリンダ15の負荷に基づいてかしめ状態の合否を判定するものである。
【0042】
次に、上記の構成からなる端子接続装置1によって、ワーク50の端部51a、51bに端子60をかしめる方法について説明する。
まず、図1に示すように、コアベース2にかしめ機構3のフレーム7aを嵌合凹所5に嵌合し、定位置にこれをセットする。ここで、ワーク50はその長さ、径、電熱抵抗線51の端部51a、51b間の寸法が異なっている。したがって、このコアベース2は、ワーク50の仕様に応じたものを選択して使用する。
【0043】
凹所4にセットした電熱抵抗線51の端部51a、51bは、予め作業者が突出長を所定の寸法に切断しておき、かつ、所定寸法被覆を除去しておく。次に、第1、第2の端子ピン保持体8A、8Bの各端子ピン固定治具14間の寸法及びかしめベース13、13の間隔を電熱抵抗線51の端部51a、51bの間の寸法に合わせた状態に設定し、適宜雌螺子孔28に皿螺子(不図示)を螺着することによりこれを固定する。
【0044】
また、第1、第2のかしめ具9A、9Bについても、これらの位置、詳しくはエアニッパー31のかしめ部9、9の閉じ位置が、第1、第2の端子ピン保持体8A、8Bに保持された上記端部51a、51bに対応する位置となるように調節する。
【0045】
調節は、かしめ具9A、9Bを固定するための貫通孔33を適宜選択し、適切な貫通孔33を介して螺子によりかしめ具9A、9Bを固定する。
【0046】
上記の設定の後、電熱抵抗線51の端部51a、51bに端子ピン60、60を外挿する。そして、端部51a、51bに端子60、60を外挿した状態で、これらの端子60、60を第1、第2の端子ピン保持体8A、8Bの各端子ピン固定治具14の凹部22に挿入する。この場合、フランジ部62は、係合凹所24に位置するようにはめ込む。
【0047】
この際、各端子ピン固定治具14のカバー21は、端子60を装着する際には治具本体20の後方へ移動させて当該装着を容易にできるように位置させるが、装着後は、その先端面が治具本体20の先端面と揃う位置まで前進させ、端子60のフランジ部62を覆うようにし、端子60が徒に動くのを規制するように位置させておく。
【0048】
次に、移動フレーム7cを、一旦ボルト12の緊締を解除してサイドフレーム7b、7bに沿って下方に移動させ、リミットセンサー34が動作した時点で下降を停止させる。
この状態において、端子ピン保持体8A、8Bの各端子ピン固定治具14に保持された端子60の小径部63は、下降したかしめ具9A、9Bの各エアニッパー31のかしめ部9、9間に位置している。この時点で、移動フレーム7cのボルト12及びナットを固定する。
【0049】
またこの際、制御部は、リミットセンサー34の出力により移動フレーム7c及びかしめ具9A、9Bが定められた位置にあることを認識し、かしめ具9A、9Bの各エアニッパー31にエアを供給するとともに、かしめ作業の準備完了ランプ6Aを点灯させる。
【0050】
ここで作業者は、上記ランプ6Aの点灯を確認した上で、図示しないプッシュスイッチを押してかしめ具9A、9Bを駆動する。各かしめ具9A、9Bにおいて各エアニッパー31は、かしめ部9、9が互いに接近する方向に移動し、端子ピン保持体8A、8Bの端子ピン固定治具14に保持された端子60がかしめられることになる。
【0051】
エアニッパー31のかしめ動作は、図示しない制御部のタイマーによって数秒後に解除される。
【0052】
かしめ作業が完了した後には、所定間隔を置いて制御部がエアシリンダ15を動作させ、かしめ状態の判定を行う。すなわち、エアシリンダ15がロッド18を矢印A方向に移動させることによって端子ピン固定治具15が後方に移動する。この場合、端子60のフランジ部62が係合凹所24に挿入されているのでその壁部24aとフンラジ部62が係合して、端子ピン固定治具14と端子60が一体的に後方に向かって一方向に移動する。
【0053】
ここで、端子60、60のかしめが完全になされている場合には、電熱抵抗線51の端部51a、51bと端子60、60とが一体的になっているため、エアシリンダ15はこれを引張する際、一定の負荷がかかる。このように、エアシリンダ15に一定の負荷がかかった場合には、かしめが適切に行われたということであり、これを制御部が検出して合否判定ランプ6Bを点灯させることになる。
作業者は、ランプ6Bの点灯を視認することによってかしめが確実になされたこと確認することができる。
【0054】
一方、かしめが不完全になされたときには、エアシリンダ15が端子ピン固定治具14を引張しても端子60から電熱抵抗線51の端部51a又は51bが抜け出てしまうので、エアシリンダ15には負荷がかからず、制御部は負荷を認識することができないため、ランプ6Bが点灯しない。よって、作業者はかしめが不完全であることを認識することができる。
【0055】
なお、エアシリンダ15の動作は、図示しない制御部のタイマーによって数秒後に解除され、エアシリンダ15のピストンロッド18は、バネ16の弾性復帰力によって元の位置に戻る。また、この動作により端子ピン固定治具14も元の位置に戻る。
【0056】
この端子接続装置1によれば、ワーク50の各種の仕様に応じてコアベース2を選択し、ワーク50の電熱抵抗線51の端部51a、51bの間隔、引き出し長さ、線形、及び端子60の内径の寸法に応じて当該選択を行うことができるので、各種のワーク50の仕様に応じて端子60のかしめを行うことができる。したがって、仕様に応じて専用機を各別に製作した場合に比べて、装置の構成がシンプルであり、かつ、安価に製造することができるという効果が得られる。
【0057】
また更に、かしめ作業を簡単な操作で各種ワーク50の仕様に応じて行うことができる。
【0058】
なお、上記の第1実施形態においては、第1、第2の端子ピン保持体8A、8Bを螺子止め手段により各部へ固定し、間隔を調整できるように構成したが、この構成に代えて、例えば第1、第2の端子ピン保持体8A、8Bを正螺子及び逆螺子を形成したボール螺子に装着し、ボール螺子を回転させることにより端子ピン保持体8A、8Bを互いに接近・離間させるように構成しても良い。
【0059】
また、かしめ具9A、9Bもこれと同様に正螺子、逆螺子を形成したボール螺子に装着して間隔調節を行うようにしても良い。
【0060】
また、端子ピン保持体8A、8B、かしめ具9A、9Bの螺子による固定に代えて、ベースフレーム7a、主板部7c−2に、バネによってこれら各部材の表面から出没自在な駒を設け、端子ピン保持体8A、8B、かしめ具9A、9Bの間隔調節を行う際に、前記駒をこれら端子ピン保持体8A、8B、かしめ具9A、9Bに設けた係合孔に係合させる構成としても良い。
【0061】
次に、図6を参照して本発明の第2の実施形態について説明する。
図6において、上記第1実施形態と同一部分には同一符号を付し、その説明を省略する。
図6において符号80はテーブルであり、このテーブル80上には、コアベース2とかしめ機構3とが設けられている。
【0062】
コアベース2は、ワーク50を保持した状態でテーブル80に設けられたレール70上を矢印A、B方向に移動自在であり、内部に備えられた図示しない駆動機構によりかしめ機構3に対し接近・離間できるようになっている。
【0063】
かしめ機構3は、架台71上に第1、第2の端子ピン保持体8A(8B)を設けたものであり、端子ピン保持体8A(8B)の各端子ピン固定治具14は、架台71上を矢印A、B方向に移動できるように設けられている。
【0064】
端子ピン固定治具14の後端部には、ワイヤ72の一端が固定されており、ワイヤ72は、架台71aの後端部に設けられた滑車73に巻回された後、架台71の後方において下方に延び、その他端が錘74に固定されている。
【0065】
錘74の下方には、テーブル80上に固定された状態でエアシリンダ75が設けられており、エアシリンダ75のピストンロッド76の上端は、錘74の下面に当接した状態とされている。
【0066】
この実施形態においては、上記ワイヤ72、錘74、エアシリンダ75、及び図示しない制御部がかしめ状態判定部15Aを構成している。
【0067】
一方、上記架台71の下部前端面には、近接スイッチ77が設けられており、コアベース2がかしめ機構3に接近して所定の位置に達したときに、この近接スイッチ77がコアベース2の下端部に設けられた被検出部78を検出し、この検出信号が制御部に送られるようになっている。
【0068】
また、端子ピン固定治具14の前方には、開口部79aにテーパ上のガイド面79bが形成されたガイド部材79が配設されており、コアベース2に保持されたワーク50の電熱抵抗線51の端部51a(51b)を端子ピン固定治具14に保持されている端子60側へ案内するようになっている。
【0069】
次に、この端子接続装置により端子60のかしめを行う動作について説明すると、まず、上記の第1実施形態と同様に、ワーク50の仕様に応じたコアベース2を選定し、当該コアベース2にワーク50を搭載する。この場合ワーク50は、電熱抵抗線51の端部51a(51b)が端子ピン固定治具14方向のかしめ位置に向くようにセットする。
【0070】
一方、端子ピン固定治具14には、端子60をセットし、カバー21の先端面を治具本体20の先端位置と揃う位置まで前進させる。
この状態で、作業者が図示しないプッシュスイッチを押すと、コアベース2が自走して矢印A方向に移動し、電熱抵抗線51の端部51a(51b)がガイド部材79の開口部79a内に進入し、ガイド面79bに案内されて端子ピン固定治具14に保持された端子60の挿通穴64内に進入する。
【0071】
上記端部51a(51b)が挿通穴64の定位置に達した時点で近接スイッチ77がコアベース2側の被検出部78を検出し、この検出出力が制御部へ送られる。
制御部は、上記検出出力に基づいてコアベース2の移動を停止させ、更にかしめ具9A(9B)へエアを供給するとともに、該かしめ具9A(9B)を下降させる。かしめ具9A(9B)は、定位置に達したときに下降を停止して、図示しない準備完了ランプを点灯させる。作業者は、準備完了ランプの点灯を確認した上で、図示しないプッシュスイッチを押してかしめ具9A、9Bを駆動し、かしめ部9により端子60のかしめを行う。
【0072】
かしめ作業が終了すると、制御部がエアシリンダ75を動作させ、ピストンロッド76を下降させる。ピストンロッド76の下降に伴って、錘74が下降し、これによってワイヤ72が端子ピン固定治具14を矢印A方向に移動させる。
【0073】
ここで、端子60のかしめが正常に行われ、電熱抵抗線51の端部51a(51b)と端子60とが電気的、機械的に結合されていた場合には、端子ピン固定治具14の矢印A方向への移動が極僅かに移動した時点で停止する。一方、端子60のかしめが正常に行われなかった場合には、端子60から電熱抵抗線51の端部51a(51b)が相対的に離脱し、端子ピン固定治具14が矢印A方向へ移動する。
【0074】
ここで、制御部は、上記端子ピン固定治具14の矢印A方向への移動状況からかしめ状態の合否を判定し、かしめ状態が正常になされた場合に図示しない合否判定ランプを点灯させる。これによってかしめが正常に行われたか否かを判断することができる。
【0075】
なお、かしめ終了後は、エアシリンダ75を動作させてピストンロッド76を上昇させ、錘74を上昇させて端子ピン固定治具14を適宜復帰スプリング等により元の位置に戻すようにする。
【0076】
なお、この実施の形態においても、ワーク50の仕様に応じた保持体8A、8B及びかしめ具9A、9Bの間隔調節は、上記の第1実施の形態と同様に行われる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】は、本発明の第1実施形態として示した端子接続装置の要部の斜視図である。
【図2】は、同端子接続装置におけるかしめベースの斜視図である。
【図3】は、同端子接続装置における端子ピン固定治具の斜視図である。
【図4】は、ワークの斜視図である。
【図5】は、端子の斜視図である。
【図6】は、本発明の第2実施形態として示した端子接続装置の要部を一部断面視した側面図である。
【符号の説明】
【0078】
1 端子接続装置
2 コアベース
3 かしめ機構
7 フレーム
8A 第1の端子ピン保持体
8B 第2の端子ピン保持体
9A 第1のかしめ具
9B 第2のかしめ具
13 かしめベース
14 端子ピン固定治具
15 エアシリンダ(移動機構)
50 ワーク
51 電熱抵抗線
51a、51b 端部
52 成形金型コア
60 端子ピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状の成形金型コアの外周面に電熱抵抗線が巻回されたワークを対象として、前記電熱抵抗線の両端部に、それぞれ一方の端子ピン及び他方の端子ピンを外挿して、該両端部と各端子ピンとを接続する端子接続装置であって、
前記ワークを保持するコアベースと、
このコアベースに保持されたワークに対して対向配置されるかしめ機構とを備えてなり、
前記かしめ機構は、フレームに前記ワークの前記電熱抵抗線の両端部に対向するように設けられ、
前記一方の端子ピンを保持する第1の端子ピン保持体及び前記他方の端子ピンを保持する第2の端子ピン保持体と、
前記一方及び他方の端子ピンに前記電熱抵抗線の各端部をそれぞれ挿入した状態で該各端部に対し前記一方及び他方の端子ピンをかしめる第1、第2のかしめ具とを備えて構成され、
前記第1、第2の端子ピン保持体が、前記電熱抵抗線の両端部間方向に位置調整可能に前記フレームに固定されていることを特徴とする端子接続装置。
【請求項2】
請求項1に記載の端子接続装置において、
前記第1、第2のかしめ具は、前記フレームに、それぞれ前記第1、第2の端子ピン保持体に対し、接近・離間自在、かつ、前記電熱抵抗線の両端部間方向に位置調節可能に固定されていることを特徴とする端子接続装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の端子接続装置において、
前記第1、第2の端子ピン保持体は、それぞれ前記フレームに固定されるかしめベースと、該かしめベースに、前記ワークに接近・離間する方向に移動可能に設けられ、前記端子ピンを固定する端子ピン固定治具とを備えてなり、
前記端子ピン固定治具を前記ワークから離間する方向に移動させる移動機構と、
該移動機構に加わる負荷に基づいてかしめ状態を判定するかしめ状態判定部とを備えてなることを特徴とする端子接続装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−157420(P2010−157420A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−334873(P2008−334873)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】