説明

端末ログ利用システム及び端末ログ利用システムの制御方法

【課題】ユーザの利便性を維持しつつ、端末ログの送信に関する通信データ量の削減を実現することができる端末ログ利用システムを提供する。
【解決手段】端末ログ利用システム10は、端末装置20に端末ログの送信を行わせるためのログ送信要求を所定周期で送信する要求送信部32と、端末装置20がログ送信要求を受信したことを示す受信通知を送信する通知送信部23と、受信通知を受信する通知受信部33と、端末ログの送信の可否及び端末ログを送信する場合の端末ログの内容を判定するログ送信制御部24と、端末ログを送信すると判定した場合に、送信内容が決定された端末ログをログ利用サーバ30へ送信するログ送信部25と、通知受信部33で受信する受信通知及びログ受信部34で受信する端末ログの受信結果に基づいて端末ログの内容を決定する受信ログ処理部35と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末ログ利用システム及び端末ログ利用システムの制御方法に関する。特に、本発明は、携帯電話、スマートフォン、PDA及びPCなどの情報端末におけるソフトウェアやハードウェアによって実現される端末ログ利用システムおよび端末ログ利用システムの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に示されるように、端末装置のログ取得等のタスクを動的に設定するための方法が知られている。このタスクとして、実行の条件や関連のアクションを指定できる。この方法を利用して、携帯電話等の情報端末(以下「端末装置」と呼ぶ)とログ利用サーバとから構成されるシステムにおいて、端末装置がアプリケーションの起動や端末装置のフタの開閉といったユーザによる端末の利用履歴(以下「端末ログ」と呼ぶ)を記録し、この記録した端末ログをログ利用サーバに送信することにより、ログ利用サーバがその端末ログを利用して端末に各種のサービスを提供することができるようになっている。
【0003】
すなわち、ユーザが許諾しているログ利用サービスに関する端末ログの送信をログ利用サーバが端末装置に要求することによって、ログ利用サーバは、端末装置から端末ログの送信を行わせ、必要な時に適切な端末ログを用いてユーザにサービスを提供するように動作することができる。このようなログ利用サービスとしては、例えば、端末の利用履歴に基づきアプリケーションを推薦するリコメンドサービスや、端末の状態を利用して他者に圏外状態や電源オフ状態を通知するプレゼンスサービスなどが考えられる(例えば特許文献2,3参照)。
【0004】
また、ログ利用サーバは、端末装置に不定期に端末ログの送信を行わせるように制御することもできるが、定期的に端末ログの送信を行わせるように制御することによってログサービスをより適切に提供することが可能となる場合が考えられる。例えば、あるユーザの端末装置の利用状況を他者に通知するようなログ利用サービスを提供する場合には、例えば端末装置から1時間に1回必ず端末ログを送信させるようにログ利用サーバを動作させることによって、ログ利用サーバが過去の1時間の端末ログを必ず保持できるようにすることが可能となるため、より適切にログ利用サービスの提供を行うことが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−553489号公報
【特許文献2】特開2004−072485号公報
【特許文献3】特開2006−211236号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した従来の技術では、例えば、図8に示されるように、ログ利用サーバ130からのログ送信要求に対して端末装置120から端末ログの送信を必ず行う必要があるため、ログ利用サーバ130からの1回の端末ログの送信要求に対して、端末装置120からの端末ログの送信が必ず行われていた。このため、端末ログの送信要求の回数が多くなるにつれて、端末ログの送信に係る通信データ量も増加してしまうといった問題があった。
【0007】
特に、ログ利用サーバ130が定期的(例えば1回/1時間)に端末ログの送信を行わせる場合においては、端末装置120は、送信すべき端末ログが存在せず本来端末ログを送信する必要がなくても、ログ利用サーバ130からログ送信要求を受信した場合には必ずそのことをログ利用サーバ130へ通知する必要があるため、その通知に係る通信データ量を無駄に発生させてしまうという問題点もあった。また、端末ログの送信においては、端末ログデータ本体のデータ量に加えて、例えばTCP/IPやHTTP等の通信に係る各種の通信ヘッダ等の通信に必須のデータ量が発生するため、端末ログデータ本体のデータサイズが小さい場合であっても、通信ヘッダに係る一定量のデータが発生してしまうという問題点があった。
【0008】
本発明は、上記の課題を鑑みてなされたものであり、端末装置の端末ログを利用したログ利用サービスを提供するにあたり、ユーザの利便性を維持しつつ、端末ログの送信に関する通信データ量の削減を実現することができる端末ログ利用システム及び端末ログ利用システムの制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明に係る端末ログ利用システムは、ログ利用サーバが端末装置に対して当該端末装置の端末ログをログ利用サーバに送信するよう所定の周期で要求する端末ログ利用システムであって、端末装置に端末ログの送信を行わせるためのログ送信要求を端末装置へ所定の周期で送信する、ログ利用サーバの要求送信手段と、ログ利用サーバから送信されるログ送信要求を受信する、端末装置の要求受信手段と、要求受信手段がログ送信要求を受信した場合に、端末装置がログ送信要求を受信したことを示す受信通知をログ利用サーバへ送信する、端末装置の通知送信手段と、端末装置から送信される受信通知を受信する、ログ利用サーバの通知受信手段と、要求受信手段がログ送信要求を受信した場合に、端末装置によるログ利用サーバへの端末ログの送信の可否及び端末ログを送信する場合における送信する端末ログの内容を判定する、端末装置のログ送信制御手段と、ログ利用サーバへ端末ログを送信するとログ送信制御手段が判定した場合に、当該ログ送信制御手段によって送信内容が決定された端末ログをログ利用サーバへ送信する、端末装置のログ送信手段と、端末装置から送信される端末ログを受信する、ログ利用サーバのログ受信手段と、通知受信手段で受信する受信通知及びログ受信手段で受信する端末ログの受信結果に基づいて端末ログの内容を決定する、ログ利用サーバの受信ログ処理手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
また、上記の課題を解決するために、本発明に係る端末ログ利用システムの制御方法は、ログ利用サーバが端末装置に対して当該端末装置の端末ログをログ利用サーバに送信するよう所定の周期で要求する端末ログ利用システムの制御方法であって、端末装置に端末ログの送信を行わせるためのログ送信要求をログ利用サーバの要求送信手段が端末装置へ所定の周期で送信する要求送信ステップと、ログ利用サーバから送信されるログ送信要求を端末装置の要求受信手段が受信する要求受信ステップと、要求受信ステップでログ送信要求を受信した場合に、端末装置がログ送信要求を受信したことを示す受信通知を端末装置の通知送信手段がログ利用サーバへ送信する通知送信ステップと、端末装置から送信される受信通知をログ利用サーバの通知受信手段が受信する通知受信ステップと、要求受信ステップでログ送信要求を受信した場合に、端末装置によるログ利用サーバへの端末ログの送信の可否及び端末ログを送信する場合における送信する端末ログの内容を、端末装置のログ送信制御手段が判定するログ送信制御ステップと、ログ利用サーバへ端末ログを送信するとログ送信制御ステップにおいて判定された場合に、当該ログ送信制御手段によって送信内容が決定された端末ログを端末装置のログ送信手段がログ利用サーバへ送信するログ送信ステップと、端末装置から送信される端末ログをログ利用サーバのログ受信手段が受信するログ受信ステップと、通知受信ステップで受信する受信通知及びログ受信ステップで受信する端末ログの受信結果に基づいて、ログ利用サーバの受信ログ処理手段が端末ログの内容を決定する受信ログ処理ステップと、を備えることを特徴とする。
【0011】
この端末ログ利用システム又は端末ログ利用システムの制御方法によれば、端末装置がログ利用サーバからログ送信要求を受信した場合に、端末装置によるログ利用サーバへの端末ログの送信の可否及び端末ログを送信する場合における送信する端末ログの内容をログ送信制御手段が判定するようになっており、ログ利用サーバでは、ログ利用サーバが受信する受信通知及び端末ログの受信結果に基づいて、受信ログ処理手段が端末ログの内容を決定するようになっている。この場合、例えば、記録されている端末ログの内容によっては端末ログを送信しないといった判定をすることができるため、全体として、ユーザの利便性を維持しつつ、端末ログの送信に関する通信データ量の削減を実現することができる。
【0012】
上記端末ログ利用システムにおいて、ログ送信制御手段は、端末装置に記録された端末ログが予め定められた条件に該当する場合、ログ送信手段による端末ログの送信を行わない制御を行い、受信ログ処理手段は、通知受信手段が受信通知を受信し且つログ受信手段が端末ログを受信しない場合、受信すべき端末ログが予め定められた条件に該当するログであると判定し、未受信の端末ログの内容を決定することが好ましい。この場合、実際に送受信されていない端末ログの内容をログ利用サーバ側で決定することができ、ユーザの利便性を維持しつつ、端末ログの送信に関する通信データ量を削減できる。
【0013】
上記端末ログ利用システムにおいて、ログ送信制御手段及び受信ログ処理部で用いられる予め定められた条件は同じであり、予め定められた条件は、端末ログの値がゼロである場合、端末ログの値が前回送信した端末ログの値と同じである場合、端末ログが端末装置に記録されていない場合、及び、端末ログの値が過去に最も多く記録された端末ログの値と同じである場合の何れかであるようにしてもよい。この場合、例えば、端末ログの値がゼロである場合、端末ログの値が前回送信した端末ログの値と同じである場合、端末ログが端末装置に記録されていない場合、及び、端末ログの値が過去に最も多く記録された端末ログの値と同じである場合といったように、本来、できれば送信を省略したいようなログ内容の場合に、好適にその送信を省略できるため、端末ログの送信に関する通信データ量を削減することが可能となる。特に、端末ログの値が過去に最も多く記録された端末ログの値と同じである場合にその送信を省略できることにより、端末ログの送信に関する通信データ量の削減を一層、押し進めることができる。
【0014】
上記端末ログ利用システムにおいて、ログ受信手段は、通知受信手段によって受信通知を受信してから所定のタイムアウト期間に端末ログが受信されない場合に端末ログを受信しないと判定し、所定のタイムアウト期間は、端末装置からログ利用サーバへの端末ログの送信にかかる最大遅延時間よりも長い期間であることが好ましい。この場合、ログ受信手段による端末ログを受信しないとの判定を確実に行うことができる。
【0015】
上記端末ログ利用システムにおいて、ログ送信要求及び受信通知は、端末ログ利用システムの動作に伴って生成される制御チャンネル情報であり、端末ログは、ユーザの利用に依存して生成されるユーザ・チャンネル情報であることが好ましい。この場合、ログ送信要求を行う際に必ず送信が必要になるログ送信要求およびその受信通知はログ利用システムが動作する場合に必ず必要となる制御チャンネルであるが、送信しない場合もあり得る端末ログはユーザ・チャンネルとなるため、制御チャンネル情報のみを用いてユーザ・チャンネル情報に関する通信データ量を削減することができる。
【0016】
上記端末ログ利用システムにおいて、ログ利用サーバは、要求送信手段によるログ送信要求の端末装置への送信を制御する要求制御手段を更に備え、要求制御手段は、過去のログ利用サービスの利用状態を解析するための利用解析手段を有し、利用解析手段によって端末装置へ送信するログ送信要求の送信間隔を変更するようにしてもよい。この場合、利用解析手段は、ログ利用サーバの過去の利用回数、ログ利用サーバの過去のアクセス回数および端末装置からログ利用サーバへ送信された端末ログの値の何れかと時間との関係を解析し、当該解析により、ログ利用サーバの利用回数が所定の値よりも少ない場合、ログ利用サーバへのアクセス回数が所定の値よりも少ない場合および端末ログが記録されていないことがログ利用サーバへ送信された場合の何れかが発生する時間帯を判定し、要求制御手段は、利用解析手段で判定した時間帯には要求送信手段から送信するログ送信要求の周期的な送信間隔を、時間帯以外の送信間隔よりも長く設定することが好ましい。この場合、ユーザのログ利用サービスの利用状況によって、端末ログの送信頻度を低減させることが可能となるため、ユーザの利便性を維持しつつ、端末ログの送信に関する通信データ量を削減することができる。
【0017】
また、上記端末ログ利用システムにおいて、要求制御手段は、ログ利用サービスの利用の発生を検知する利用要求検知手段を有し、要求制御手段は、利用要求検知手段によってログ利用サービスの利用の発生を検知した場合、要求送信手段から端末装置にログ送信要求を送信させるようにしてもよい。この場合において、利用要求検知手段は、ログ利用サーバの利用又はログ利用サーバへのアクセスが発生した場合に、ログ利用サービスの利用が発生したと判定するようにしてもよいし、利用要求検知手段は、予め定められた時間帯にのみ動作し、予め定められた時間帯以外では動作しないように制御されるようにしてもよい。この場合も、ユーザのログ利用サービスの利用状況によって、端末ログの送信頻度を低減させることが可能となるため、ユーザの利便性を維持しつつ、端末ログの送信回数を低減させることができ、端末ログの送信に関する通信データ量を削減することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ユーザの利便性を維持しつつ、端末ログの送信に関する通信データ量の削減を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本実施形態に係る端末ログ利用システムの機能構成を示す図である。
【図2】本実施形態に係る端末装置のハードウェア構成を示す図である。
【図3】本実施形態に係るログ利用サーバのハードウェア構成を示す図である。
【図4】受信ログ処理部での判定に用いられる判定データの一例である。
【図5】図1に示す端末ログ利用システムの制御方法を示すフローチャートである。
【図6】図1に示す端末ログ利用システムの変形例である。
【図7】図1に示す端末ログ利用システムの別の変形例である。
【図8】ログ利用サーバと端末装置との間における従来のログ送信要求を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本発明に係る好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において、可能な場合には、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0021】
まず、図1を用いて、本実施形態に係る端末ログ利用システム10の機能構成を説明する。図1は、端末装置20及びログ利用サーバ30を含み、端末装置20からログ利用サーバ30へ端末ログの送信を行う端末ログ利用システム10の一例を示している。端末装置20は、例えば、携帯電話、スマートフォン、PDA、又はPC等の情報端末(デバイス)であり、ログ利用サーバ30と通信するための通信機能を有する。ログ利用サーバ30は、据付型のPC等であってもよいが、端末装置20と同様に携帯電話やスマートフォンといったモバイル端末を用いることもできる。本実施形態では、端末装置20及びログ利用サーバ30それぞれの機能のみを有するデバイスが存在するものとして説明を行うが、一台の携帯電話等のデバイスが端末装置20とログ利用サーバ30の両方の機能を有するようにすることも可能である。
【0022】
端末装置20は、図1に示されるように、機能的構成要素として、端末ログ記録部21、要求受信部22(要求受信手段)、通知送信部23(通知送信手段)、ログ送信制御部24(ログ送信制御手段)及びログ送信部25(ログ送信手段)を備えている。また、ログ利用サーバ30は、機能的構成要素として、要求制御部31(要求制御手段)、要求送信部32(要求送信手段)、通知受信部33(通知受信手段)、ログ受信部34(ログ受信手段)及び受信ログ処理部35(受信ログ処理手段)を備えている。以下に示すように、端末装置20は、端末ログ記録部21によって記録された端末ログが特定の条件に該当した場合にログ利用サーバ30へ端末ログの送信を行わないように動作し、これに合わせて、ログ利用サーバ30では、端末ログを実際には受信しないものの特定の条件に該当する端末ログを受信したとみなすように動作するようになっている。
【0023】
端末ログ記録部21は、端末装置20で発生したアプリケーションの起動終了や端末装置20のフタの開閉といったユーザによる端末装置20の各種利用履歴や端末装置20の圏内/圏外状態や電源オン/オフ状態といった端末状態等の端末ログを記録するための部分である。端末ログ記録部21は、ログ送信制御部24からのアクセスに応じて、必要な端末ログの情報をログ送信制御部24へ出力する。
【0024】
要求受信部22は、ログ利用サーバ30から端末装置20へ送信されるログ送信要求を受信する部分である。ログ送信要求とは、ログ利用サーバ30へ端末装置20の端末ログの送信を行わせるための要求信号であり、ログ利用サーバ30(要求送信部32)から端末装置20(要求受信部22)へ所定の周期(例えば1回/1時間)で送信される。ログ送信要求は、端末装置20からログ利用サーバ30へ端末ログを送信するためのトリガー信号として機能する。端末装置20は、ログ送信要求を受信すると、ログ送信要求を受信したことを示す情報を通知送信部23及びログ送信制御部24に出力し、これにより、端末装置20においてログ利用サーバ30へ端末ログを送信するための処理が開始される。
【0025】
通知送信部23は、要求受信部22がログ送信要求を正しく受信した場合に、端末装置20がログ送信要求を受信したことを示す受信通知(「ログ送信要求受信通知」ともいう)をログ利用サーバ30へ送信する部分である。端末装置20では、要求受信部22がログ送信要求を正しく受信すると、通知送信部23によって受信通知がログ利用サーバ30へ送信される。ログ利用サーバ30では、この受信通知を受信することにより、端末装置20がログ送信要求を正常に受信したと判定する。なお、この受信通知や上述したログ送信要求は、例えば、端末ログ利用システム10の動作に伴って必ず生成される制御チャンネル情報を用いている。
【0026】
ログ送信制御部24は、要求受信部22がログ送信要求を受信した場合に、ログ利用サーバ30へ送信する端末ログ(送らない場合含め)を決定するための部分であり、端末装置20によるログ利用サーバ30への端末ログの送信の可否及び端末ログを送信する場合における送信する端末ログの内容を判定する部分である。ログ送信制御部24は、ログ送信要求を受信した際にログ利用サーバ30へ送信すべき端末ログが予め規定された条件に該当するか否かを判定するための機能を有している。この予め定められた条件は、端末装置20(ログ送信制御部24)とログ利用サーバ30(受信ログ処理部35)との間で事前に同じものが共有されてそれぞれに保存されるようになっており、例えば、端末ログの値がゼロである場合、端末ログの値が前回送信した端末ログの値と同じである場合、端末ログが端末装置に記録されていない場合、又は、端末ログの値が過去に最も多く記録された端末ログの値と同じである場合といったものである。なお、これらの条件に合致するか否かの判定には、従来技術を適宜、用いることができるため、説明を省略する。
【0027】
ログ送信制御部24は、送信すべき端末ログが予め定められた条件に該当する場合には、ログ送信要求を受信しているにもかかわらず、端末ログをログ利用サーバ30へ送信しない制御を行う。つまり、この場合、ログ送信制御部24は、ログ送信部25に対して、端末ログを送信するための指示を出力しない。一方、ログ送信制御部24は、送信すべき端末ログが予め定められた条件に該当しない場合には、ログ利用サーバ30からのログ送信要求に応じて、端末ログ記録部21にアクセスして、端末ログ記録部21に記録されている端末ログの情報を取得し、送信する端末ログの内容を判定(選択)してから、送信する端末ログの情報をログ送信部25へ出力する。
【0028】
ログ送信部25は、ログ利用サーバ30へ端末ログを送信するとログ送信制御部24が判定した場合に、当該ログ送信制御部24によって送信内容が決定された端末ログをログ利用サーバ30へ送信する部分である。ログ送信部25は、ログ送信制御部24によって、送信すべき端末ログが予め定められた条件に該当しないと判定された場合には、ログ送信制御部24から、送信する端末ログの情報を取得し、この取得した端末ログをログ利用サーバ30のログ受信部34へ送信する。このログ送信部25によって送信される端末ログは、例えば、ユーザの利用に依存して生成されるユーザ・チャンネル情報が用いられる。なお、本実施形態においては、通知送信部23とログ送信部25を別々の装置として説明したが、両者を一つの装置として実現してももちろんよい。
【0029】
このような端末装置20は、図2に示されるように、物理的には、CPU20a、RAM20b、ROM20c、操作部20d、無線通信部20e、無線アンテナ20f、ディスプレイ20g及び補助記憶装置20hを備えて構成される。CPU20aは、ROM20cや補助記憶装置20h等の内蔵メモリに格納された所定のコンピュータソフトウェア(図5に示す端末装置20の行う処理を実行するためのコンピュータプログラム等を含む)をRAM20bにロードして実行することにより、端末装置20を統括的に制御する。操作部20dは、操作ボタンやフタの開閉を検知するセンサ等からなる入力用デバイスであり、入力された操作データを端末ログとして補助記憶装置20h等に記録させる。ディスプレイ20gは、LCD等の表示装置である。無線通信部20eや無線アンテナ20fは、無線通信網等を介してログ利用サーバ30との間で無線通信を行うためのインターフェイスである。補助記憶装置20hは、CPU20aの実行可能なコンピュータソフトウェアや各種の端末ログ等を格納する。上述した端末装置20の各機能は、CPU20aがROM20cや補助記憶装置20h等に格納されたコンピュータソフトウェアを実行し、図2に示す端末装置20の各構成部を動作させることにより実現される機能である。
【0030】
続いて、図1に戻って、ログ利用サーバ30について説明する。要求制御部31は、端末ログを端末装置20からログ利用サーバ30へ送信させるために、ログ送信要求を端末装置20に送信するかどうかを決定する部分であり、要求送信部32によるログ送信要求の端末装置20への送信を制御する。要求制御部31は、ログ利用サービスの仕様に応じて、所定の周期(例えば1回/1時間)でログ送信要求を送信させたり、所定の場合には、その周期を適切に変更して送信させたりするように動作する。要求制御部31は、ログ送信要求を端末装置20へ送信すると決定した場合には、その旨の指示情報を要求送信部32へ出力する。
【0031】
要求送信部32は、端末装置20に端末ログの送信を行わせるためのログ送信要求を端末装置20へ所定の周期で送信する部分である。要求送信部32は、要求制御部31においてログ送信要求を送信することが決定された場合に、端末ログの送信要求を端末装置20に送信する。
【0032】
通知受信部33は、端末装置20の要求受信部22がログ送信要求を正しく受信した場合に、端末装置から送信される、ログ送信要求を受信したことを示す受信通知を受信する部分である。通知受信部33は、要求送信部32から送信された端末ログの送信要求を端末装置20が正常に受信した場合に、端末装置20から送信されるログ送信要求の受信通知を受信する。通知受信部33は、この受信通知を受信することによって端末装置20で端末ログを送信する用意が整ったと判定することができる。通知受信部33は、ログ送信要求の受信通知を受信した場合、後述するログ受信部34及び受信ログ処理部35に受信通知を受信したことを通知する。
【0033】
ログ受信部34は、端末装置20から送信される端末ログを受信する部分である。ログ受信部34は、通知受信部33からログ送信要求の受信通知を受信したことが通知されると動作を開始し、通知受信部33からの受信通知に続けて端末装置20から端末ログを受信した場合、受信した端末ログの値を受信ログ処理部35に伝送する。一方、ログ受信部34は、通知受信部33からログ送信要求の受信通知を受信したことが通知されたにもかかわらず端末装置20から送信された端末ログの受信が所定の期間行われない場合、受信ログ処理部35に対して、端末ログが受信されないことを通知する。なお、ログ受信部34は、端末装置20から端末ログを送信する場合の再送期間(遅延期間)よりも長いタイムアウト期間の経過後になっても端末ログの受信が行われない場合に、端末ログが受信されないと判定するように動作させてもよい。例えば端末装置20の通信品質が劣化した場合、端末ログの送信に失敗し端末装置20からその再送を行うことがあるため、端末ログの再送期間よりも大きなタイムアウト期間の経過後に端末ログの受信有無の判定を行うことによって、ログ受信部34で誤って端末ログを受信しないと判定してしまうことがないように動作させることができる。
【0034】
受信ログ処理部35は、通知受信部33で受信する受信通知及びログ受信部34で受信する端末ログの受信結果に基づいて、ログ送信要求に対する端末ログの内容を決定する部分である。受信ログ処理部35は、図4に示されるような判定データを備えており、通知受信部33において受信通知を受信し且つログ受信部34において端末ログが受信された場合は、受信した端末ログを、端末ログ利用システム10で利用する端末ログとしてそのまま利用する。一方、通知受信部33よりログ送信要求の受信通知を受信したことが通知されたものの、ログ受信部34より端末ログが受信されないことが通知された場合、受信ログ処理部35は、図4の判定データを用いて、本来、端末装置20から送信されるべき端末ログが予め定められた条件に該当したため端末装置20より送信されなかったものと判定し、予め規定された条件に該当する端末ログを受信したものと判定して、所定の処理を行う。このような動作により、ログ利用サーバ30は、端末ログを受信していないにも関わらず本来受信すべき端末ログを正しく取得することができる。
【0035】
受信ログ処理部35で用いられる予め定められた条件は、前述のように、端末装置20のログ送信制御部24で規定されるものと同一であり、端末装置20とログ利用サーバ30との間で予め共有されているものである。また、受信ログ処理部35は、通知受信部33において受信通知を受信せず且つログ受信部34において端末ログを受信しなかった場合には、図4に示す判定データを用いて、端末装置20から端末ログが送信されなかったと判定する。なお、本実施形態においては、通知受信部33とログ受信部34を別々の装置として説明しているが、両者が一つの装置であってもよい。
【0036】
このようなログ利用サーバ30は、図3に示されるように、物理的には、CPU30a、RAM30b、ROM30c、通信モジュール30d及び補助記憶装置30eを備えて構成される。CPU30aは、ROM30cや補助記憶装置30e等の内蔵メモリに格納された所定のコンピュータソフトウェア(図5に示すログ利用サーバ30の行う処理を実行するためのコンピュータプログラム等を含む)をRAM30bにロードして実行することにより、ログ利用サーバ30を統括的に制御する。通信モジュール30dは、通信網等を介して端末装置20との間で通信(無線含む)を行うためのインターフェイスである。補助記憶装置30eは、CPU30aの実行可能なコンピュータソフトウェア等や受信した端末ログの情報等を格納する。上述したログ利用サーバ30の各機能は、CPU30aがROM30cや補助記憶装置30e等に格納されたコンピュータソフトウェアを実行し、図3に示すログ利用サーバ30の各構成部を動作させることにより実現される機能である。
【0037】
ここで、上述した端末ログ利用システム10で送受信される信号について補足すると、この端末ログ利用システム10では、ログ送信要求とそのログ送信要求に対する受信通知は、ログ利用サービスの利用に係る端末ログ利用システム10の動作に伴いユーザの意思に関わらず必ず生成されるシステムの制御チャネルに関する信号が用いられる。一方、端末ログの送信は、実際のユーザのログサービスの利用状態に依存して生成されるユーザ・チャネルに関する信号が用いられる。
【0038】
そのため、例えば、ログ利用サーバ30から端末装置20へSMSをPushすることによって端末ログを送信させるような場合、ログ送信要求(SMS)とその受信通知(SMSの受信に係るACK等)は、端末ログ利用システム10がSMSを送信するための制御チャネルであり、端末ログの送信は、例えばHTTP通信のPOSTメソッド等によるユーザの実際の端末ログデータの送信に係るユーザ・チャネルである。つまり、上述した実施形態においては、端末ログ利用システム10の制御チャネル情報のみを用いてユーザ・チャネルのトラフィックを最適化することが可能となり、ユーザ・チャネルに係る通信データ量を適切に低減することができる。
【0039】
続いて、上述した構成を備えた端末ログ利用システム10の制御方法について、図5を参照して説明する。
【0040】
まず、端末装置20では、ユーザによる端末装置20の利用によって端末ログが発生し、端末ログ記録部21によって、その発生した端末ログが予め記録されている(ステップS11)。そして、端末装置20の要求受信部22は、ログ送信要求を受信しない場合には端末装置20が端末ログを送信する必要がないため、特別な動作を行わない。
【0041】
続いて、ログ利用サーバ30では、端末装置20に端末ログの送信を行わせるための所定の周期になると、それを検出し、要求制御部31によって、ログ送信要求の信号を生成する(ステップS12)。この要求制御部31は、要求送信部32がログ送信要求を行うように制御し、要求送信部32が端末装置20にログ送信要求の信号を送信する(ステップS13、要求送信ステップ)。なお、要求送信部32は、端末装置20に端末ログの送信を行わせるためのログ送信要求を所定の周期で送信する。
【0042】
続いて、端末装置20の要求受信部22は、ログ利用サーバから送信されたログ送信要求の信号の送受信が適切に処理された場合、ログ送信要求を受信する(ステップS14、要求受信ステップ)。要求受信部22は、ログ送信要求を受信すると、その旨を通知送信部23に通知する。通知を受けた通知送信部23は、ログ利用サーバ30へログ送信要求の受信通知を生成・送信することにより、端末装置20がログ送信要求を正常に受信したことをログ利用サーバ30に通知する(ステップS15,16、通知送信ステップ)。そして、端末装置20は、ログ利用サーバ30への端末ログの送信動作を開始する。
【0043】
続いて、ログ利用サーバ30では、このログ送信要求の受信通知が通知受信部33によって受信された場合(ステップS20;Yes、通知受信ステップ)、通知受信部33は、ログ受信部34及び受信ログ処理部35に対して、ログ送信要求の受信通知を受信したことを通知する。一方、通知受信部33によってログ送信要求の受信通知が受信されない場合(ステップS20;No)は、端末装置20がログ送信要求を受信しなかった又はできなかった場合であるため、ログ送信要求に対する端末ログの受信に係る動作を終了する。なお、この場合に、ログ利用サーバ30はログ送信要求を再送することによって(ステップS13)、再度、端末ログの送信を行うための動作を行ってもよい。
【0044】
続いて、ログ送信要求の受信通知をログ利用サーバ30に通知した端末装置20では、ログ送信制御部24が、受信したログ送信要求に対して端末ログを送信すべきか否か、及び、送信すべき場合に送信すべき端末ログの内容の決定を行う(ステップS17,S18、ログ送信制御ステップ)。まず、送信すべき端末ログが予め定められている条件に該当するか否かを判定し、送信すべき端末ログが予め定められている条件に該当していない場合(ステップS17;No)、ログ送信制御部24は、送信すべき端末ログの内容を決定し(ステップS18)、決定した端末ログをそのままログ送信部25に出力する。そして、ログ送信部25は、ログ送信制御部24から送られてきた端末ログをログ利用サーバ30へ送信する(ステップS19、ログ送信ステップ)。
【0045】
一方、送信すべき端末ログが予め定められた条件に該当している場合(ステップS17;Yes)、ログ送信制御部24は、その端末ログについては送信を行わないような制御を行い、端末装置20は、ログ送信要求の受信に係る処理を終了する。なお、ここで用いる予め定められた条件とは、上述したように、端末装置20(ログ送信制御部24)とログ利用サーバ30(受信ログ処理部35)との間で事前に同じものが共有されるようになっており、例えば、端末ログの値がゼロである場合、端末ログの値が前回送信した端末ログの値と同じである場合、端末ログが端末装置に記録されていない場合、又は、端末ログの値が過去に最も多く記録された端末ログの値と同じである場合といったものである。
【0046】
続いて、ステップS20でログ送信要求の受信通知を受信したログ利用サーバ30では、ログ受信部34が、通知受信部33からログ送信要求の受信通知の受信を通知されたことをトリガー信号として、端末ログの受信動作を開始する。そして、ログ受信部34は、受信通知の通知に引き続いて端末ログを受信した場合(ステップS21;Yes、ログ受信ステップ)には、受信した端末ログを受信ログ処理部35に出力し、受信ログ処理部35は、ログ受信部34から出力された端末ログをそのままログ送信要求に対する受信結果として保存し、利用する(ステップS23、受信ログ処理ステップ)。一方、ログ受信部34において端末ログが受信されない場合(ステップS21;No)、ログ受信部34は、受信ログ処理部35に端末ログを受信しなかったことを通知する。その場合、受信ログ処理部35は、端末装置20がログ送信要求を受信したにも関わらず端末ログの送信が行われないと判断し、端末装置20から送信すべき端末ログが予め定められた条件に該当していたと判定し、受信ログ処理部35は、この予め定められた条件に該当した端末ログを受信したと解釈して、以後の処理を行う(ステップS22、受信ログ処理ステップ)。
【0047】
以上、本実施形態によれば、端末装置20がログ利用サーバ30からログ送信要求を受信した場合に、端末装置20によるログ利用サーバ30への端末ログの送信の可否及び端末ログを送信する場合における送信する端末ログの内容をログ送信制御部24が判定するようになっており、ログ利用サーバ30では、ログ利用サーバ30が受信する受信通知及び端末ログの受信結果に基づいて、受信ログ処理部35が端末ログの内容を決定するようになっている。この場合、例えば、記録されている端末ログの内容によっては端末ログを送信しないといった判定をすることができるため、全体として、ユーザの利便性を維持しつつ、端末ログの送信に関する通信データ量の削減を実現することができる。
【0048】
また、端末ログ利用システム10では、ログ送信制御部24は、端末装置20に記録された端末ログが予め定められた条件に該当する場合、ログ送信部25による端末ログの送信を行わない制御を行い、受信ログ処理部35は、通知受信部33が受信通知を受信し且つログ受信部34が端末ログを受信しない場合、受信すべき端末ログが予め定められた条件に該当するログであると判定し、未受信の端末ログの内容を決定するようになっている。このため、実際に送受信されていない端末ログの内容をログ利用サーバ30側で決定することができ、ユーザの利便性を維持しつつ、端末ログの送信に関する通信データ量を削減できる。
【0049】
また、端末ログ利用システム10では、ログ送信制御部24及び受信ログ処理部35で用いられる予め定められた条件は同じであり、予め定められた条件は、端末ログの値がゼロである場合、端末ログの値が前回送信した端末ログの値と同じである場合、端末ログが端末装置20に記録されていない場合、及び、端末ログの値が過去に最も多く記録された端末ログの値と同じである場合の何れかであるように適宜選択することができる。この場合、例えば、端末ログの値がゼロである場合、端末ログの値が前回送信した端末ログの値と同じである場合、端末ログが端末装置に記録されていない場合、及び、端末ログの値が過去に最も多く記録された端末ログの値と同じである場合といったように、本来、できれば送信を省略したいようなログ内容の場合に、好適にその送信を省略できるため、端末ログの送信に関する通信データ量を削減することが可能となる。特に、端末ログの値が過去に最も多く記録された端末ログの値と同じである場合にその送信を省略できることにより、端末ログの送信に関する通信データ量の削減を一層、押し進めることができる。
【0050】
また、端末ログ利用システム10では、ログ受信部34は、通知受信部33によって受信通知を受信してから所定のタイムアウト期間に端末ログが受信されない場合に端末ログを受信しないと判定し、所定のタイムアウト期間は、端末装置20からログ利用サーバ30への端末ログの送信にかかる最大遅延時間よりも長い期間であるようにしている。このため、ログ受信部34による端末ログを受信しないとの判定を確実に行うことができる。
【0051】
また、端末ログ利用システム10では、ログ送信要求及び受信通知は、端末ログ利用システム10の動作に伴って生成される制御チャンネル情報であり、端末ログは、ユーザの利用に依存して生成されるユーザ・チャンネル情報である。この場合、ログ送信要求を行う際に必ず送信が必要になるログ送信要求およびその受信通知はログ利用システムが動作する場合に必ず必要となる制御チャンネルであるが、送信しない場合もあり得る端末ログはユーザ・チャンネルとなるため、制御チャンネル情報のみを用いてユーザ・チャンネル情報に関する通信データ量を削減することができる。
【0052】
以上、本発明をその実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、ログ利用サーバ30の要求制御部31が、要求送信部32によるログ送信要求の送信を所定の周期のみで送信制御するようにしていたが、所定の周期での送信に加え、次のような変形を要求制御部31に行ってもよい。
【0053】
例えば、変形例に係る端末ログ利用システム10は、図6に示されるように、ログ利用サーバ30の要求制御部31が利用解析部36(利用解析手段)を更に有する構成となっている。なお、この変形例における他の構成は上記の実施形態と同じであるので、説明を省略する。この要求制御部31に含まれる利用解析部36は、ユーザによる過去のログサービスの利用状況を解析し、ユーザによるログ利用サービスの利用が少ない時間帯を判定する機能を有している。ユーザによる過去のログ利用サービスの利用状況とは、例えば、過去のユーザのログ利用サーバの利用回数、ユーザのログ利用サーバへのアクセス回数、端末装置20からログ利用サーバ30へ送信された端末ログの値のいずれかと時間との関係であり、例えば1日(24時間)でのログ利用サーバの利用回数等である。
【0054】
そして、利用解析部36による解析により、ログ利用サーバの利用回数が所定の値よりも少ない場合、ログ利用サーバへのアクセス回数が所定の値よりも少ない場合、及び、端末ログが記録されていないことがログ利用サーバへ送信された場合の何れかが発生する時間帯を判定し、要求制御部31は、利用解析部36によってユーザのログ利用サービスの利用が少ないと考えられる時間帯には、要求送信部32から送信するログ送信要求の周期的な送信間隔を、その時間帯以外の送信間隔よりも長く設定するように制御する。
【0055】
これは、例えば通常は1時間に1回のログ送信要求を送信することによりログ利用サーバ30が保持する端末ログの値を更新しているログ利用サービスにおいて、例えば1日の中で深夜の0時〜朝の6時の時間帯にはユーザが寝ているためユーザによるログ利用サービスの利用回数が少なくなることを利用して、0時〜6時の間にはログ送信要求を送らないようにしたり、1時間間隔ではなく3時間間隔でログ送信要求を送信したりすることによって、端末ログの送信回数を低減させるというものである。このような端末ログ利用システム10の構成によれば、ユーザのログ利用サービスの利用状況によって端末ログの送信頻度を低減させることが可能となるため、ユーザの利便性を維持しつつ、端末ログの送信に関する通信データ量を削減することができる。
【0056】
また、他の変形例として、図7に示されるように、端末ログ利用システム10が、ログ利用サーバ30の要求制御部31に利用要求検知部37(利用要求検知手段)を備える構成としてもよい。なお、この変形例における他の構成は上記の実施形態と同じであるので、説明を省略する。この要求制御部31に含まれる利用要求検知部37は、ユーザによるリアルタイムなログ利用サービスの利用意思を検出し、ユーザがその時点でログ利用サービスを利用したいかどうかを判定する機能を有している。ここで、ユーザによるリアルタイムなログ利用サービスの利用意思とは、ユーザによるログ利用サーバ30の利用もしくはユーザによるログ利用サーバ30へのアクセスというイベントが発生した事実を意味している。
【0057】
この他の変形例に係る端末ログ利用システム10では、ログ利用サーバ30から端末装置20へログ送信要求を所定の周期で送信することに加え、利用要求検知部37によってユーザのログ利用サービスの利用意思を検知したことをトリガー信号として、上述した実施形態と同様に、要求制御部31がログ送信要求を即座に端末装置20へ送信し、端末装置20から端末ログを送信等させることによって、ユーザがログ利用サービスを利用したいタイミングで最新の端末ログをログ利用サーバ30に送信させるようにするものである。なお、要求制御部31は予め指定された日時や時間帯にのみ利用要求検知部37を動作させるようにし、予め定められた時間帯等以外では動作させないように制御してもよい。これは、例えばログ送信要求を所定の周期で送信するログ利用サービスにおいても、ユーザの利用意思の発生確率が低い深夜の時間帯にはユーザの利用意思に基づいて端末ログの送信を行うように制御することにより、端末ログの送信回数を低減させることが可能となるためである。
【符号の説明】
【0058】
10…端末ログ利用システム、20…端末装置、22…要求受信部、23…通知送信部、24…ログ送信制御部、25…ログ送信部、30…ログ利用サーバ、31…要求制御部、32…要求送信部、33…通知受信部、34…ログ受信部、35…受信ログ処理部、36…利用解析部、37…利用要求検知部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ログ利用サーバが端末装置に対して当該端末装置の端末ログを前記ログ利用サーバに送信するよう所定の周期で要求する端末ログ利用システムであって、
前記端末装置に前記端末ログの送信を行わせるためのログ送信要求を前記端末装置へ所定の周期で送信する、前記ログ利用サーバの要求送信手段と、
前記ログ利用サーバから送信される前記ログ送信要求を受信する、前記端末装置の要求受信手段と、
前記要求受信手段が前記ログ送信要求を受信した場合に、前記端末装置が前記ログ送信要求を受信したことを示す受信通知を前記ログ利用サーバへ送信する、前記端末装置の通知送信手段と、
前記端末装置から送信される前記受信通知を受信する、前記ログ利用サーバの通知受信手段と、
前記要求受信手段が前記ログ送信要求を受信した場合に、前記端末装置による前記ログ利用サーバへの前記端末ログの送信の可否及び前記端末ログを送信する場合における送信する前記端末ログの内容を判定する、前記端末装置のログ送信制御手段と、
前記ログ利用サーバへ前記端末ログを送信すると前記ログ送信制御手段が判定した場合に、当該ログ送信制御手段によって送信内容が決定された前記端末ログを前記ログ利用サーバへ送信する、前記端末装置のログ送信手段と、
前記端末装置から送信される前記端末ログを受信する、前記ログ利用サーバのログ受信手段と、
前記通知受信手段で受信する前記受信通知及び前記ログ受信手段で受信する前記端末ログの受信結果に基づいて前記端末ログの内容を決定する、前記ログ利用サーバの受信ログ処理手段と、
を備えることを特徴とする端末ログ利用システム。
【請求項2】
前記ログ送信制御手段は、前記端末装置に記録された前記端末ログが予め定められた条件に該当する場合、前記ログ送信手段による前記端末ログの送信を行わない制御を行い、
前記受信ログ処理手段は、前記通知受信手段が前記受信通知を受信し且つ前記ログ受信手段が前記端末ログを受信しない場合、受信すべき前記端末ログが予め定められた条件に該当するログであると判定し、未受信の前記端末ログの内容を決定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の端末ログ利用システム。
【請求項3】
前記ログ送信制御手段及び前記受信ログ処理部で用いられる前記予め定められた条件は同じであり、
前記予め定められた条件は、前記端末ログの値がゼロである場合、前記端末ログの値が前回送信した端末ログの値と同じである場合、前記端末ログが前記端末装置に記録されていない場合、及び、前記端末ログの値が過去に最も多く記録された端末ログの値と同じである場合の何れかである、
ことを特徴とする請求項2に記載の端末ログ利用システム。
【請求項4】
前記ログ受信手段は、前記通知受信手段によって前記受信通知を受信してから所定のタイムアウト期間に前記端末ログが受信されない場合に前記端末ログを受信しないと判定し、
前記所定のタイムアウト期間は、前記端末装置から前記ログ利用サーバへの前記端末ログの送信にかかる最大遅延時間よりも長い期間である、
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の端末ログ利用システム。
【請求項5】
前記ログ送信要求及び前記受信通知は、前記端末ログ利用システムの動作に伴って生成される制御チャンネル情報であり、
前記端末ログは、ユーザの利用に依存して生成されるユーザ・チャンネル情報である、
ことを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の端末ログ利用システム。
【請求項6】
前記ログ利用サーバは、前記要求送信手段による前記ログ送信要求の前記端末装置への送信を制御する要求制御手段を更に備え、
前記要求制御手段は、過去のログ利用サービスの利用状態を解析するための利用解析手段を有し、前記利用解析手段によって前記端末装置へ送信する前記ログ送信要求の送信間隔を変更する、
ことを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の端末ログ利用システム。
【請求項7】
前記利用解析手段は、前記ログ利用サーバの過去の利用回数、前記ログ利用サーバの過去のアクセス回数及び前記端末装置から前記ログ利用サーバへ送信された前記端末ログの値の何れかと時間との関係を解析し、当該解析により、前記ログ利用サーバの利用回数が所定の値よりも少ない場合、前記ログ利用サーバへのアクセス回数が所定の値よりも少ない場合及び前記端末ログが記録されていないことが前記ログ利用サーバへ送信された場合の何れかが発生する時間帯を判定し、
前記要求制御手段は、前記利用解析手段で判定した前記時間帯には前記要求送信手段から送信する前記ログ送信要求の周期的な送信間隔を、前記時間帯以外の送信間隔よりも長く設定する、
ことを特徴とする請求項6に記載の端末ログ利用システム。
【請求項8】
前記要求制御手段は、前記ログ利用サービスの利用の発生を検知する利用要求検知手段を有し、
前記要求制御手段は、前記利用要求検知手段によって前記ログ利用サービスの利用の発生を検知した場合、前記要求送信手段から前記端末装置に前記ログ送信要求を送信させる、
ことを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の端末ログ利用システム。
【請求項9】
前記利用要求検知手段は、前記ログ利用サーバの利用又は前記ログ利用サーバへのアクセスが発生した場合に、前記ログ利用サービスの利用が発生したと判定する、
ことを特徴とする請求項8に記載の端末ログ利用システム。
【請求項10】
前記利用要求検知手段は、予め定められた時間帯にのみ動作し、前記予め定められた時間帯以外では動作しないように制御されている、
ことを特徴とする請求項8又は9に記載の端末ログ利用システム。
【請求項11】
ログ利用サーバが端末装置に対して当該端末装置の端末ログを前記ログ利用サーバに送信するよう所定の周期で要求する端末ログ利用システムの制御方法であって、
前記端末装置に前記端末ログの送信を行わせるためのログ送信要求を前記ログ利用サーバの要求送信手段が前記端末装置へ所定の周期で送信する要求送信ステップと、
前記ログ利用サーバから送信される前記ログ送信要求を前記端末装置の要求受信手段が受信する要求受信ステップと、
前記要求受信ステップで前記ログ送信要求を受信した場合に、前記端末装置が前記ログ送信要求を受信したことを示す受信通知を前記端末装置の通知送信手段が前記ログ利用サーバへ送信する通知送信ステップと、
前記端末装置から送信される前記受信通知を前記ログ利用サーバの通知受信手段が受信する通知受信ステップと、
前記要求受信ステップで前記ログ送信要求を受信した場合に、前記端末装置による前記ログ利用サーバへの前記端末ログの送信の可否及び前記端末ログを送信する場合における送信する前記端末ログの内容を、前記端末装置のログ送信制御手段が判定するログ送信制御ステップと、
前記ログ利用サーバへ前記端末ログを送信すると前記ログ送信制御ステップにおいて判定された場合に、当該ログ送信制御手段によって送信内容が決定された前記端末ログを前記端末装置のログ送信手段が前記ログ利用サーバへ送信するログ送信ステップと、
前記端末装置から送信される前記端末ログを前記ログ利用サーバのログ受信手段が受信するログ受信ステップと、
前記通知受信ステップで受信する前記受信通知及び前記ログ受信ステップで受信する前記端末ログの受信結果に基づいて、前記ログ利用サーバの受信ログ処理手段が前記端末ログの内容を決定する受信ログ処理ステップと、
を備えることを特徴とする端末ログ利用システムの制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−118876(P2012−118876A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−269569(P2010−269569)
【出願日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】