端末機器、エコー低減システム及び制御プログラム
【課題】使用状態に応じてエコー現象を効果的に低減できる端末機器、エコー低減システム及び制御プログラムを提供する。
【解決手段】カメラ機器1は、第一筐体2と第二筐体3とを備え、回転軸を中心に折り畳み可能に構成されている。カメラ機器1を開状態で机上に設置した場合、マイク20とスピーカ50との間が所定距離離間して位置決めされる。故に、スピーカ50から出力された音声をマイク20が拾うことによるエコー現象を低減できる。一方、カメラ機器1を閉状態にして使用する場合、マイク20の入力レベル、又はスピーカ50の出力レベルの少なくとも何れか一方を低くする。故に、閉状態でもエコー現象を低減できる。従って、カメラ機器1の使用状態に応じて、エコー現象を低減できる。
【解決手段】カメラ機器1は、第一筐体2と第二筐体3とを備え、回転軸を中心に折り畳み可能に構成されている。カメラ機器1を開状態で机上に設置した場合、マイク20とスピーカ50との間が所定距離離間して位置決めされる。故に、スピーカ50から出力された音声をマイク20が拾うことによるエコー現象を低減できる。一方、カメラ機器1を閉状態にして使用する場合、マイク20の入力レベル、又はスピーカ50の出力レベルの少なくとも何れか一方を低くする。故に、閉状態でもエコー現象を低減できる。従って、カメラ機器1の使用状態に応じて、エコー現象を低減できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラ、スピーカ及びマイクを備えた端末機器、エコー低減システム及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、テレビ会議端末で使用するカメラ機器には、据置タイプ、ディスプレイに装着するタイプ等の種々の形態がある。最近では、折り畳み式のカメラ機器が提案されている。折り畳み式のカメラ機器は、展開して机上に設置して使用するのが通常であるが、折り畳んだ状態で手に持ちながらカメラ撮影もできるので、非常に利便性が高い。
【0003】
ところが、テレビ会議端末用のカメラ機器には、マイクとスピーカが内蔵されている。折り畳み式のカメラ機器には、その開閉状態によってマイクとスピーカの位置関係が変化するものがある。それ故に、それらの位置関係によっては、スピーカから出力される音声がマイクに拾われてしまい、エコー現象(反響)を生じる可能性があった。そこで、例えば、複数の動作モードに応じて、マイクの指向性を切り換えることができる切換えスイッチを備えた携帯端末装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。利用者は、マイクの指向性を切換えスイッチで切り換えることで、エコー現象を低減できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−101457号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の携帯端末装置では、利用者が、切換えスイッチでマイクの指向性を随時切り換える必要があるので面倒であるという問題点があった。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、使用状態に応じてエコー現象を効果的に低減できる端末機器、エコー低減システム及び制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1態様に係る端末機器は、カメラ、スピーカ及びマイクを備え、前記スピーカの出力方向と同方向に前記マイクの指向性を有する端末機器であって、前記端末機器を水平面に設置するときに、前記カメラよりも下方の位置で、前記マイクと前記スピーカとが互いに近づいた閉状態から、前記マイクと前記スピーカとの間が所定距離離間する開状態となるように、前記マイク又は前記スピーカを可動させる可動機構と、当該可動機構において前記閉状態を検出する閉状態検出手段と、当該閉状態検出手段によって前記閉状態が検出された場合、前記マイク又は前記スピーカの少なくとも一方の入出力レベルを、前記開状態の場合に比べて小さくする制御手段とを備えている。
【0008】
第1態様に係る端末機器は、例えば、テレビ会議端末に接続して利用できる。マイクで複数の参加者の音声を拾いつつ、スピーカの音声が利用者全員に聞こえる必要がある。故に、マイク感度を良好にし、かつスピーカ音量を大きくする必要があるので、エコー現象生じ易い状態である。そこで、本発明の第1態様は、水平面に設置する際に、可動機構によって開状態にする。開状態では、マイクとスピーカとの間が所定距離離間する。これにより、スピーカから出力された音声がマイクに入力され難くなるので、設置時においてエコー現象を効果的に低減できる。また、カメラよりも下方にマイクとスピーカがあるので、カメラは端末機器における上側に位置する。故に、端末機器を机上に置いたときに、カメラの高さ位置が低すぎないので、利用者を良好に撮影できる。
【0009】
一方、端末機器を携帯して使用する場合、可動機構によって端末機器を閉状態にする。閉状態検出手段によって閉状態が検出された場合、スピーカとマイクは所定距離よりも近づくので、エコー現象を生じてしまう。そこで、制御手段は、マイク又はスピーカの少なくとも一方の入出力レベルを、開状態の場合に比べて小さくするので、エコー現象を効果的に低減できる。従って、第1態様の端末機器は、使用状態に応じてエコー現象を効果的に低減できる。
【0010】
また、第1態様において、前記制御手段は、前記閉状態検出手段によって前記閉状態が検出された場合、前記開状態の場合に比べて、前記マイクの入力レベルを小さくしてもよい。これにより、閉状態においても、エコー現象を効果的に低減できる。
【0011】
また、第1態様において、前記マイクから音声入力があるか否かを判断する音声入力判断手段を備え、前記制御手段は、前記音声入力判断手段によって前記音声入力があると判断された場合に、前記スピーカの出力を停止するようにしてもよい。マイクに音声入力がある場合、利用者が発言している可能性が高い。このような場合、利用者はスピーカの音声を聞いていないのが殆どである。そこで、マイクに音声入力がある場合、制御手段は、スピーカの出力を停止する。これにより、閉状態においても、エコー現象をさらに効果的に低減できる。
【0012】
また、本発明の第2態様に係るエコー低減システムは、カメラ、スピーカ及びマイクを備え、前記スピーカの出力方向と同方向に前記マイクの指向性を有する端末機器と、前記マイク又は前記スピーカの少なくとも一方の入出力レベルを制御可能な制御装置とを備えたエコー低減システムであって、前記端末機器は、前記端末機器を水平面に設置するときに、前記カメラよりも下方の位置で、前記マイクと前記スピーカとが互いに近づいた閉状態から、前記マイクと前記スピーカとの間が所定距離離間する開状態となるように、前記マイク又は前記スピーカを可動させる可動機構と、当該可動機構において前記閉状態を検出する閉状態検出手段と、当該閉状態検出手段によって前記閉状態が検出された場合に、前記可動機構の閉状態の情報である閉状態情報を前記制御装置に出力する閉状態情報出力手段とを備え、前記制御装置は、前記閉状態情報出力手段によって出力された前記閉状態情報を受信する閉状態情報受信手段と、当該閉状態情報受信手段によって前記閉状態情報を受信した場合に、前記マイク又は前記スピーカの少なくとも一方の入出力レベルを、前記開状態の場合に比べて小さくする制御手段とを備えている。
【0013】
第2態様に係るエコー低減システムでは、例えば、テレビ会議端末として機能する制御装置に端末機器を接続して使用する。端末機器のマイクで複数の参加者の音声を拾いつつ、スピーカの音声が利用者全員に聞こえる必要がある。故に、マイク感度を良好にし、かつスピーカ音量を大きくする必要があるので、エコー現象を生じ易い状態である。そこで、本発明の第2態様は、端末機器を水平面に設置する際に、端末機器を可動機構によって開状態にする。開状態では、マイクとスピーカとの間が所定距離離間する。これにより、スピーカから出力された音声がマイクに入力され難くなるので、設置時においてエコー現象を効果的に低減できる。また、カメラよりも下方にマイクとスピーカがあるので、カメラは端末機器における上側に位置する。故に、端末機器を机上に置いたときに、カメラの高さ位置が低すぎないので、利用者を良好に撮影できる。
【0014】
一方、端末機器を携帯して使用する場合、可動機構によって端末機器を閉状態にする。閉状態検出手段によって閉状態が検出された場合、スピーカとマイクは所定距離よりも近づくので、エコー現象を生じてしまう。そこで、端末機器では、閉状態検出手段が端末機器の閉状態を検出すると、閉状態情報出力手段によって、閉状態情報が制御装置に出力される。制御装置では、閉状態情報受信手段が閉状態情報を受信した場合、制御手段がマイク又はスピーカの少なくとも一方の入出力レベルを、開状態の場合に比べて小さくする。これにより、端末機器が閉状態であっても、エコー現象を効果的に低減できる。従って、第2態様のエコー低減システムは、端末機器の使用状態に応じてエコー現象を効果的に低減できる。
【0015】
また、本発明の第3態様に係る制御プログラムは、カメラ、スピーカ及びマイクを備え、前記スピーカの出力方向と同方向に前記マイクの指向性を有する端末機器の動作を制御する制御プログラムであって、コンピュータに、前記端末機器を水平面に設置するときに、前記カメラよりも下方の位置で、前記マイクと前記スピーカとが互いに近づいた閉状態から、前記マイクと前記スピーカとの間が所定距離離間する開状態となるように、前記マイク又は前記スピーカを可動させる可動機構において、前記閉状態を検出する閉状態検出手段によって前記閉状態を検出する閉状態検出ステップと、前記閉状態検出ステップにおいて、前記閉状態が検出された場合に、前記マイク又は前記スピーカの少なくとも一方の入出力レベルを、前記開状態の場合に比べて小さくする制御ステップとを実行させることを特徴とする。
【0016】
第3態様に係る制御プログラムは、端末機器のコンピュータが実行することによって、第1態様の効果と同じ効果を得ることができる。
【0017】
また、本発明の第4態様に係る制御プログラムは、カメラ、スピーカ及びマイクを備え、前記スピーカの出力方向と同方向に前記マイクの指向性を有し、水平面に設置するときに、前記カメラよりも下方の位置で、前記マイクと前記スピーカとが互いに近づいた閉状態から、前記マイクと前記スピーカとの間が所定距離離間する開状態となるように、前記マイク又は前記スピーカを可動させる可動機構と、当該可動機構において前記閉状態を検出する閉状態検出手段と、当該閉状態検出手段によって前記閉状態が検出された場合に、前記可動機構の閉状態の情報である閉状態情報を出力する閉状態情報出力手段とを備えた端末機器と、前記マイク又は前記スピーカの少なくとも一方の入出力レベルを制御可能な制御装置とを備えたエコー低減システムにおいて、前記制御装置の動作を制御する制御プログラムであって、コンピュータに、前記閉状態情報出力手段によって出力された前記閉状態情報を受信する閉状態情報受信ステップと、当該閉状態情報受信ステップにおいて前記閉状態情報を受信した場合に、前記マイク又は前記スピーカの少なくとも一方の入出力レベルを、前記開状態の場合に比べて小さくする制御ステップとを実行させることを特徴とする。
【0018】
第4態様に係る制御プログラムは、制御装置のコンピュータが実行することによって、第2態様の効果と同じ効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】テレビ会議システム100の構成を示す図である。
【図2】カメラ機器1の斜視図(開状態)である。
【図3】カメラ機器1の斜視図(閉状態)である。
【図4】カメラ機器1の正面図(閉状態)である。
【図5】カメラ機器1の右側面図(閉状態)である。
【図6】カメラ機器1の右側面図(開状態)である。
【図7】図4に示すI−I線矢視方向断面図である。
【図8】図7の断面位置に対応するカメラ機器1の開状態の断面図である。
【図9】第一筐体2の背面22の下側部分を示す図である。
【図10】カメラ機器1の電気的構成を示すブロック図である。
【図11】端末装置10の電気的構成を示すブロック図である。
【図12】CPU41(又はCPU101)が実行する制御処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の端末機器を具現化した一実施形態であるカメラ機器1について、図面を参照して説明する。なお、参照する図面は、本発明が採用し得る技術的特徴を説明するために用いられるものである。図面に記載されている機器の構成等は、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。なお、図2,図3の上側、下側、右斜め下側、左斜め上側を、カメラ機器1の上側、下側、右側、左側とする。
【0021】
まず、カメラ機器1を用いたテレビ会議システム100について説明する。図1に示すように、テレビ会議システム100は、ネットワーク(図示外)に接続された端末装置10と、該端末装置10にケーブル4を介して接続されたカメラ機器1とを備えている。カメラ機器1は、カメラ機能の他、利用者の音声を端末装置10に入力するマイク機能、及び他拠点の利用者の音声を出力するスピーカ機能を併せ持つ。
【0022】
カメラ機器1は、カメラの撮影情報、マイクの音声情報を端末装置10に入力する。端末装置10は、ネットワークを経由して、これらの情報を他拠点の端末装置との間で送受信する。端末装置10のディスプレイ122には、他拠点のカメラ機器が撮影した撮影情報が表示される。利用者は、キーボード123により操作を行う。このようにして、テレビ会議システム100は、他拠点の端末装置との間で遠隔会議を実施できる。
【0023】
次に、カメラ機器1の全体構造について説明する。図2,図3に示すように、カメラ機器1は、第一筐体2と、第二筐体3とを備えている。第一筐体2と第二筐体3とは、その上部で回転軸5を介して連結され、回転軸5を中心に回動することで折り畳み可能となっている。カメラ機器1の上部中央には、回転軸5に回動可能に軸支されたカメラ装置6が設けられている。カメラ装置6の正面中心にはレンズ部7(図2参照)が設けられている。第一筐体2の前面21の下部には、利用者の音声を捉えるためのマイク部11が設けられている。第二筐体3の前面31の略中央には、前側に向かってやや斜め下方に突出し、音声が出力されるスピーカ部35が設けられている。なお、第一筐体2と、第二筐体3と、回転軸5とが本発明の「可動機構」に相当する。
【0024】
図2に示すように、カメラ機器1は、回転軸5の軸心方向を水平面に対して平行にし、かつ第一筐体2と第二筐体3とを最大角度で開いた状態で、水平面である机上(図示外)に載置して自立させることができる。カメラ機器1が自立した状態で、カメラ装置6を回動させ、レンズ部7を利用者に向けることで、カメラ機器1の設置が完了する。カメラ機器1は、自拠点の利用者の音声をマイク部11で捉える。他拠点の音声は、スピーカ部35から出力される。なお、以下説明において、カメラ機器1を最大角度で開いて机上に設置する状態を「開状態」(図2、図6参照)とし、折り畳んだ状態を「閉状態」(図3〜図5参照)とする。
【0025】
次に、第一筐体2の構造について説明する。図2〜図4に示すように、第一筐体2は、正面視縦長の略長方形の薄板状に形成されている。第一筐体2の略中央には、正面視略長方形状の開口部12が設けられている。図2に示すように、開口部12は、開状態で、後方に位置するスピーカ部35に対向して位置する。故に、第一筐体2が、スピーカ部35から出力される音声の妨げにはならない。一方、図3に示すように、開口部12は、閉状態で、第二筐体3の前面31に突設されたスピーカ部35を内側に格納する機能を有する。
【0026】
図2〜図4に示すように、第一筐体2の上部の左右方向中央には、略長方形状に切り欠いた凹部19が設けられている。凹部19の内側には、回転軸5を中心に回動可能に軸支されたカメラ装置6が設けられている。カメラ装置6を使用する時は、図2に示すように、カメラ装置6を回動させてレンズ部7を外部に露出させる。カメラ装置6を使用しない時は、図3に示すように、カメラ装置6を回動させてレンズ部7を凹部19の内側に収納する。レンズ部7を収納できるので、使用しない時にレンズ部7が損傷するのを防止できる。
【0027】
第一筐体2の前面21の下部には、マイク部11が設けられている。マイク部11には、カメラ機器1の前方の音声を捉えるための複数の貫通孔14Aが網目状に設けられている。図7,図8に示すように、マイク部11に位置する第一筐体2の内側には、マイク20が設けられている。マイク20は、第一筐体2の前方に指向性を有する「単一指向性マイク」である。図9に示すように、マイク20の背面側に対向する第一筐体2の背面22の下部には、カメラ機器1の後方の音声を拾うための複数の貫通孔14Bが網目状に設けられている。マイク20の指向性の原理については後述する。
【0028】
図2,図4に示すように、開口部12は、カメラ機器1の開状態の姿勢において、上側内面12A、右側内面12B、左側内面12C、及び下側内面12Dを形成している。図4に示すように、カメラ機器1を、第一筐体2の前面21を鉛直方向に立たせた状態において、下側内面12Dは後方に向かって斜め上方に傾斜している。そして、カメラ機器1を開状態にして机上に設置した状態では、図2に示すように、下側内面12Dは略水平となっている。
【0029】
下側内面12Dには、カメラ機器1を操作するための4つのボタンを有する操作部55が設けられている。操作部55には、左側から右側に向かって順に、電源ボタン15、マイクミュートボタン16、スピーカ音量を上げるための音量プラスボタン17、スピーカ音量を下げるための音量マイナスボタン18が各々設けられている。カメラ機器1が開状態で机上に設置されたときに下側内面12Dが略水平となるので、利用者にとって操作部55の操作がし易くなり、使い勝手が向上する。
【0030】
図2,図3に示すように、第一筐体2の凹部19の左右両側には、前面21の上部から後方に向かって半円弧状に形成され、第一筐体2と第二筐体3を開く際に、第二筐体3の上端部に設けられた係止部37,38(図2,図3参照)が係止するための被係止部27,28が各々設けられている。被係止部27,28の後方に向かう各終端部は、前面21の最上部に位置し、かつ回転軸5に対して直交する方向に切断されている。
【0031】
図3,図5に示すように、第一筐体2の下端部には、机上に接地するための接地部8が設けられている。接地部8は、前面21側から背面22側に向かって所定角度で斜め上方に傾斜している。接地部8の傾斜面は、カメラ機器1を最大角度で開き、机上に自立させたときに水平となるように形成されている(図6,図8参照)。接地部8には滑り止めのストッパ81が固定されている。
【0032】
次に、第二筐体3の構造について説明する。図2に示すように、第二筐体3は、正面視縦長の略長方形の薄板状に形成されている。第二筐体3は、その上端部において回転軸5に回動可能に連結されている。第二筐体3の上部の左右方向中央にも、カメラ装置6を格納するための略長方形状に切り欠いた凹部(図示外)が設けられている。第二筐体3の前面31の略中央には、前面31に直交する方向の前方に向かって突出する角柱状のスピーカ部35が設けられている。スピーカ部35の前面には、複数の貫通孔35Aが網目状に設けられている。
【0033】
図8に示すように、第二筐体3の内側には、カメラ機器1の動作を制御するための制御基板70が複数の螺子75で固定されている。さらに、スピーカ部35の内側には、スピーカ50が設けられている。スピーカ50は、カメラ機器1を開状態で机上に設置した場合に、音声の出力方向を、カメラ機器1の前方にかつ略水平に向けられるように支持されている。スピーカ50の音声は、スピーカ部35の貫通孔35Aからカメラ機器1の前方にかつ略水平に向かって出力される。これにより、スピーカ50の音声を利用者に対して直接伝えることができるので、利用者は、スピーカ50の音声を明瞭に聞き取ることができる。
【0034】
図2,図3に示すように、第二筐体3の切り欠き部の左右両側には、背面32の上部から前方に向かって半円弧状に形成され、第一筐体2と第二筐体3を開く際に、第一筐体2の上端部に設けられた被係止部27,28(図2,図3参照)に係止するための係止部37,38が各々設けられている。係止部37,38の前方に向かう各終端部は、回転軸5に対して直交する方向に切断されている。
【0035】
図2に示すように、第一筐体2と第二筐体3とを開いたときに、係止部37,38が被係止部27,28に係止することによって、第一筐体2と第二筐体3の回動が制限される。このとき、第一筐体2と第二筐体3との開度は最大角度となる。なお、第一筐体2と第二筐体3との開度は、カメラ機器1の机上における設置面積を考慮すると、最大角度を90°以下にするのが好ましい。なお、第一筐体2と第二筐体3の回動を制限する構造は、これに限らず、他の構造でもよい。
【0036】
図5に示すように、第二筐体3の下端部にも、机上に接地するための接地部9が設けられている。接地部9は、背面32側から前面31側に向かって所定角度で斜め上方に傾斜している。接地部9の傾斜面は、カメラ機器1を最大角度で開き、机上に自立させたときに水平となるように形成されている(図6,図8参照)。接地部9にも滑り止めのストッパ91が固定されている。
【0037】
さらに、第二筐体3の前面31の上側であって、回転軸5の近傍には、カメラ機器1が折り畳まれて閉状態になったことを検出するための閉状態検出スイッチ48(本発明の「閉状態検出手段」に相当)が設けられている。閉状態検出スイッチ48は、第一筐体2の背面22に押圧されることでオン信号を出力する。カメラ機器1の制御基板70上に設けられた後述するCPU41(図10参照)は、オン信号を受信することによって、カメラ機器1が開状態か閉状態であるかを認識できる。
【0038】
次に、マイク20の指向性の原理について説明する。マイク20は、特定の方向を捉えやすい性質を持つ単一指向性のマイクである。図8に示すように、開状態のカメラ機器1を机上に設置した場合を例に説明する。カメラ機器1の後方の音声は、第一筐体2の背面22の下側に設けられた貫通孔14Bからマイク20の振動板の裏側に届く(直接音)。同じ音声は第一筐体2の前側にも回り込み、第一筐体2の前面21のマイク部11に設けられた貫通孔14Aから少し遅れて振動板の表側にも届く(間接音)。貫通孔14Bから振動板の裏側までの間には障害物(図示外)等が設けられている。それ故、直接音の速度が遅れて間接音と同時に到達する。この音声は振動板の表と裏で同時に生じた同量のエネルギーとして相殺されるので、電気出力にならない。
【0039】
一方、カメラ機器1の前方の音声は、第一筐体2の前面21のマイク部11に設けられた貫通孔14Aから、まず先にマイク20の振動板の表側に伝わる。その後の第一筐体2の裏側への回り込みは、上述の障害物によって到達がさらに遅くなる。この時間差によってエネルギーは相殺されずに電気出力される。このような原理で、マイク20はカメラ機器1の前方に対し、図8の一点鎖線で示すような指向性Rを有する。
【0040】
次に、カメラ機器1の電気的構成について説明する。図10に示すように、カメラ機器1は、カメラ機器1の制御を司るCPU41を備えている。CPU41には、ROM42、RAM43、フラッシュメモリ47、および入出力インターフェース45が、バス44を介して接続されている。これらは、第二筐体3に格納された制御基板70上に設けられている(図8参照)。
【0041】
ROM42は、カメラ機器1を動作させるための本発明の制御プログラムおよび初期値等を記憶している。RAM43は、制御プログラム及び本発明の通信プログラムで使用される各種の情報を一時的に記憶する。フラッシュメモリ47は、制御プログラム等の各種の情報を記憶する不揮発性メモリである。フラッシュメモリ47の代わりに、EEPROMまたはメモリカード等のメモリを用いてもよい。
【0042】
入出力インターフェース45には、音声入力処理部51、音声出力処理部52、映像入力処理部53、検出処理部54、操作部55、および外部通信I/F46が接続されている。音声入力処理部51は、マイク20からの音声データの入力を処理する。音声出力処理部52は、音声を出力するスピーカ50の動作を処理する。映像入力処理部53は、カメラ装置6からの画像データの入力を処理する。検出処理部54は、カメラ機器1の閉状態を検出する閉状態検出スイッチ48のオン信号を処理する。外部通信I/F26は、カメラ機器1をケーブル4を介して端末装置10に接続している。
【0043】
次に、端末装置10の電気的構成について説明する。図11に示すように、端末装置10は、CPU101を備えている。CPU101は、端末装置10の動作を統括制御する。CPU101には、ROM102、RAM103、及び入出力インターフェース106が電気的にそれぞれ接続されている。ROM102は、端末装置10の制御プログラム等が記憶されている。RAM103は、各種データを一時的に記憶する。
【0044】
入出力インターフェース106には、ケーブル4を介してカメラ機器1と、HDD104と、ビデオコントローラ111と、キーコントローラ112と、CD−ROMドライブ113等が接続されている。HDD104には、各種プログラム等が記憶されている。ビデオコントローラ111は、ディスプレイ122の表示制御を行う。キーコントローラ112は、キーボード123における入力操作等を信号に変換する。CD−ROMドライブ113に挿入されるCD−ROM130には各種プログラムが記憶されている。CD−ROM130の導入時には、これら各種プログラムが、CD−ROM130からHDD104にセットアップされて記憶される。
【0045】
次に、カメラ機器1を開いて自立させたときの使用状態について説明する。図2に示すように、第一筐体2と第二筐体3とを回転軸5を中心に開くと、第一筐体2の被係止部27,28に第二筐体3の係止部37,38が係止する。このとき、第一筐体2と第二筐体3との開度は最大角度となる。最大角度で開いた開状態であるカメラ機器1を、回転軸5の軸心方向を水平面に対して平行にして机上に載置する。
【0046】
図6に示すように、この状態のカメラ機器1を回転軸5の軸方向から見た場合、第一筐体2の接地部8と、第二筐体3の接地部9とは何れも水平である。これにより、第一筐体2の接地部8と、第二筐体3の接地部9とは、机上に対して何れも水平面で接地できるので、カメラ機器1は、開いた状態の姿勢を安定して保持できる。
【0047】
また、図8に示すように、カメラ機器1において、上から下に向かって、カメラ装置6、スピーカ50、マイク20の順に位置する。カメラ装置6は、カメラ機器1の最上部に位置している。これにより、図2,図6に示すように、カメラ機器1を机上に設置したときに、レンズ部7の高さ位置が低すぎない。故に、適切な高さで利用者を撮影できる。
【0048】
これに対し、マイク20は、カメラ機器1の最下部に位置している。マイク20は机上に最も近い。故に、利用者のマイク20に直接届く音声と、反射した音声がマイク20に届くまでのタイムラグが少ないので、利用者の音声を良好に取得できる。
【0049】
スピーカ50は、マイク20の上側に位置している。従って、スピーカ50から出力された音声は机上に反射しないので、利用者は、スピーカ50の音声を良好にかつ明瞭に聞き取ることができる。
【0050】
そして、図8に示すように、カメラ機器1が開状態において、マイク20とスピーカ50との間はスピーカ50の出力方向に沿って所定距離離れるようになっている。マイク20とスピーカ50とがスピーカ50の出力方向に沿って所定距離離れることによって、スピーカ50の音声がマイク20に拾われることによって生じるエコー現象を効果的に低減できる。これらマイク20とスピーカ50との位置関係は、マイク20の指向性とスピーカ50の出力方向によって決まる。
【0051】
次に、マイク20とスピーカ50の位置関係について具体的に説明する。図8に示すように、マイク20は、カメラ機器1の前方に対して指向性Rを有する。マイク20の指向性Rは、カメラ機器1の前方を最大とするカーディオイド型状であり、マイク20の裏側に回り込みつつ裏面の中心部に向かって感度が低下している。このような指向性Rを有するマイク20の後方のやや上方にスピーカ50が位置し、マイク20とスピーカ50との間がスピーカ50の出力方向に沿って所定距離離れている。
【0052】
このような位置関係において、スピーカ50の正面中心と、マイク20の中心とを仮想直線P(図8中点線)で結ぶ。仮想直線Pは、マイク20の指向性により感度が低下する部分と交わるように位置している。これにより、マイク20の入力信号を、スピーカ50の音声出力信号に対して効果的に低くすることができる。
【0053】
このように、カメラ機器1を開状態にしたときに、マイク20とスピーカ50とが、上記の位置関係に位置決めされることで、スピーカ50の音声をマイク20が拾うことによるエコー現象を効果的に低減できる。よって、スピーカ50の音声を明瞭に聞き取ることができるので、テレビ会議の進行を良好にできる。
【0054】
次に、折り畳まれたカメラ機器1を開くときの操作性について説明する。図5に示すように、折り畳まれたカメラ機器1を回転軸5の軸方向から見た場合、第一筐体2の接地部8は、前方から後方に向かって斜め上方に傾斜している。これに対し、第二筐体3の接地部9は、後方から前方に向かって斜め上方に傾斜している。さらに、カメラ機器1を折り畳んだ状態では、第一筐体2の接地部8と、第二筐体3の接地部9とは、同じ位置関係となっている。故に、接地部8,9はV字形状を形成している。
【0055】
さらに、接地部8,9は、第一筐体2と第二筐体3とが対向する対向面を中心とした対称形状の傾斜面となっている。これは、第一筐体2と第二筐体3とが回転軸5を中心に開く構造であって、その開いた状態の接地部8,9を水平にしたことに起因する。これらの特徴から、接地部8,9に対して両手の指を当てやすく、さらには指を引っ掛けやすくなるので、カメラ機器1を開く際の操作性が向上する。
【0056】
次に、カメラ機器1を折り畳んだ場合の使用状態について説明する。図2〜図5に示すように、利用者は、カメラ機器1を閉状態にして携帯しながら使用する場合がある。例えば、カメラ装置6で撮影したい物をクローズアップして撮影する場合である。カメラ機器1が閉状態では、スピーカ50とマイク20とが互いに近付くので、開状態のときのようなエコー防止効果は得られない。
【0057】
そこで、カメラ機器1が折り畳まれると、第二筐体3の前面31に設けられた閉状態検出スイッチ48が第一筐体2の前面21に押し潰される。これにより、閉状態検出スイッチ48はオン信号を出力する。オン信号は検出処理部54によって処理され、入出力インターフェース45を介してCPU41が受信する。CPU41は、オン信号に基づき、マイク20の入力レベル(若しくはスピーカ50の出力レベル)を予め設定された低レベルに調整する。これにより、マイク20の入力信号を、スピーカ50の音声出力信号に対して効果的に低くすることができる。従って、カメラ機器1を閉状態にした場合でも、エコー現象を効果的に低減できる。なお、スピーカ50の出力レベルを低レベルにした場合も同じ効果が得られる。また、マイク20の入力レベルとスピーカ50の出力レベルとの両方を低レベルにしてもよい。
【0058】
また、閉状態のカメラ機器1を手に持った状態で、利用者が発言している場合、利用者は、スピーカ50から出力される音声を聞いていることが少ない。そこで、本実施形態のカメラ機器1のCPU41は、マイク20が利用者の音声を検出している間は、スピーカ50の出力を停止する制御を行う。これにより、エコー現象を確実に低減できると共に、スピーカ50が消費する電力を節約することもできる。
【0059】
次に、CPU41が実行する制御処理について、図12のフローチャートを参照して説明する。本発明の制御処理は、カメラ機器1の操作部55の電源ボタン15がオンされることによって、ROM42に記憶された制御プログラムが呼び出されて実行される。まず、CPU41は、端末装置10から会議開始信号を受信したか否か判断する(S11)。端末装置10は、ネットワークを介して他拠点の端末装置と接続を確立した場合、会議開始信号をカメラ機器1に送信する。CPU41は、会議開始信号を受信したと判断するまでは(S11:NO)、S11に戻って待機状態となる。CPU41は、会議開始信号を受信したと判断した場合(S11:YES)、カメラ装置6、マイク20、スピーカ50を起動する(S12)。
【0060】
次いで、CPU41は、カメラ機器1の閉状態を検出したか否か判断する(S13)。カメラ機器1が折り畳まれると、第二筐体3の前面31に設けられた閉状態検出スイッチ48が押し潰される。閉状態検出スイッチ48はオン信号を出力する。CPU41は、オン信号を受信しないと判断した場合(S13:NO)、カメラ機器1は開状態であり、図8に示すように、マイク20とスピーカ50の間は所定距離離れている。故に、カメラ機器1は、エコー現象を効果的に低減できる。従って、CPU41は、マイク20の入力レベル、及びスピーカ50の出力レベルを予め設定された通常レベルに調整する(S15)。
【0061】
一方、CPU41は、オン信号を受信したと判断した場合(S13:YES)、カメラ機器1は閉状態であり、図2に示すように、マイク20とスピーカ50の間は近接している。この状態では、カメラ機器1は、開状態のようなエコーの低減効果を得ることができない。そこで、CPU41は、マイク20の入力レベル、若しくはスピーカ50の出力レベルの少なくとも一方を予め設定された低レベルに調整する(S14)。マイク20の感度が低下することによって、スピーカ50から出力された音声がマイク20に拾われにくくなる。従って、閉状態のカメラ機器1でも、エコー現象を効果的に低減できる。なお、スピーカ50の出力レベルを低レベルにした場合も同じ効果が得られる。
【0062】
次いで、CPU41は、マイク20が音声を検出したか否か判断する(S16)。例えば、マイク20の入力信号からピークを抽出し、抽出されたピークの電圧レベルと所定の閾値電圧レベルとを比較する。抽出されたピークの電圧レベルが所定の閾値電圧レベルを超えた場合に利用者の音声として判定する。CPU41は、マイク20が利用者の音声を検出したと判断した場合(S16:YES)、利用者は閉状態のカメラ機器1を持って発言している可能性が高い。この場合、利用者は発言をしているので、スピーカ50から出力された音声に耳を傾けることはなく、スピーカ50から音声を出力する必要性に乏しい。そこで、CPU41は、マイク20が音声を検出している間は、スピーカ50の出力を停止する(S17)。これにより、カメラ機器1は、エコー現象を確実に低減できると共に、スピーカ50が消費する電力を節約することができる。
【0063】
そして、CPU41は、会議終了信号を端末装置10から受信したか否か判断する(S18)。端末装置10はネットワークを介して他拠点の端末装置との通信を遮断した場合、会議終了信号をカメラ機器1に送信する。CPU41は、会議終了信号を受信しないと判断した場合(S18:NO)、S13に戻り、再度カメラ機器1の使用状態に応じて、マイク20及びスピーカ50の入出力レベルを制御する。CPU41は、端末装置10から会議終了信号を受信したと判断した場合(S18:YES)、処理を終了する。
【0064】
以上説明したように、本実施形態であるカメラ機器1は、第一筐体2と第二筐体3とを備え、回転軸5を中心に回動することで折り畳み可能に構成されている。第一筐体2には、マイク20が設けられ、第二筐体3にはスピーカ50が設けられている。カメラ機器1は、回転軸5を上方に向け、第一筐体2と第二筐体3とを最大角度で開いた状態で、机上に載置して自立させることができる。マイク20は、スピーカ50の出力方向と同方向に単一指向性を有する。そして、カメラ機器1を開状態で机上に設置した場合、マイク20とスピーカ50との間が所定距離離間して位置決めされる。これにより、スピーカ50の音声をマイク20が拾うことによるエコー現象を効果的に低減できる。
【0065】
また、カメラ機器1を折り畳んで閉状態で使用する場合は、マイク20の入力レベル、若しくはスピーカ50の出力レベルの少なくとも一方を低レベルに調整する。さらに、利用者の音声をマイク20で検出した場合、スピーカ50の出力を停止する。これにより、カメラ機器1が閉状態でもエコー現象を低減できる。即ち、カメラ機器1の使用状態に応じて、エコー現象を効果的に低減できる。従って、利用者は、スピーカ50の音声を明瞭に聞き取ることができるので、テレビ会議の進行を良好にできる。
【0066】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、様々な変形が可能である。例えば、上記実施形態では、カメラ機器1のCPU41が、カメラ機器1の使用状態(開状態と閉状態)に応じて、マイク20の入力レベル、又はスピーカ40の出力レベルの少なくとも何れか一方を低くする制御をしている。これに対し、例えば、マイク20及びスピーカ40の各動作の制御を、端末装置10のCPU101が行うようにしてもよい。即ち、図1に示すテレビ会議システム100が本発明の「エコー低減システム」を構成する。
【0067】
この変形例の場合、カメラ機器1は上記のCPU41による制御は不要である。その代わりに、端末装置10のCPU101(図11参照)は、図8の制御処理を実行する。他拠点の端末装置と通信を開始したのを契機として、HDD104(図11参照)に記憶された制御プログラムが実行される。カメラ機器1が折り畳まれると、閉状態検出スイッチ48から出力されたオン信号を、ケーブル4を介して端末装置10のCPU101が受信する。CPU101は、オン信号を受信することで、カメラ機器1が閉状態であることを認識する。そして、マイク20の入力レベル、又はスピーカ40の出力レベルの少なくとも何れか一方を低くする制御を上記と同様に行う。このようなシステムにおいても、上記実施形態と同じ効果を得ることができる。
【0068】
また、上記実施形態では、端末装置10が接続されたケーブル4を、第一筐体2に設けられた入出力部に接続し、ケーブル4を通じて音声情報または映像情報の入出力を行っている。これに対し、例えば、テレビ会議端末と無線通信によって音声情報、映像情報の入出力を行うようにしてもよい。この場合、テレビ会議端末と通信するためのアンテナを、第一筐体2又は第二筐体3の内側に格納すればよい。
【0069】
また、上記実施形態では、カメラ機器を開状態で机上に設置したときに、マイク20の指向方向は略水平にしているが、やや下向きにしてもよい。この場合、指向性Rの内、出来るだけ感度の低いマイク20の背面に対してスピーカ50の音声が入力される。故に、エコー現象をさらに確実に低減できる。さらに、上記実施形態では、スピーカ50の正面方向を略水平にしているが、やや上向きにしてもよい。
【符号の説明】
【0070】
1 カメラ機器
2 第一筐体
3 第二筐体
5 回転軸
6 カメラ装置
20 マイク
41 CPU
48 閉状態検出スイッチ
50 スピーカ
101 CPU
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラ、スピーカ及びマイクを備えた端末機器、エコー低減システム及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、テレビ会議端末で使用するカメラ機器には、据置タイプ、ディスプレイに装着するタイプ等の種々の形態がある。最近では、折り畳み式のカメラ機器が提案されている。折り畳み式のカメラ機器は、展開して机上に設置して使用するのが通常であるが、折り畳んだ状態で手に持ちながらカメラ撮影もできるので、非常に利便性が高い。
【0003】
ところが、テレビ会議端末用のカメラ機器には、マイクとスピーカが内蔵されている。折り畳み式のカメラ機器には、その開閉状態によってマイクとスピーカの位置関係が変化するものがある。それ故に、それらの位置関係によっては、スピーカから出力される音声がマイクに拾われてしまい、エコー現象(反響)を生じる可能性があった。そこで、例えば、複数の動作モードに応じて、マイクの指向性を切り換えることができる切換えスイッチを備えた携帯端末装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。利用者は、マイクの指向性を切換えスイッチで切り換えることで、エコー現象を低減できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−101457号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の携帯端末装置では、利用者が、切換えスイッチでマイクの指向性を随時切り換える必要があるので面倒であるという問題点があった。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、使用状態に応じてエコー現象を効果的に低減できる端末機器、エコー低減システム及び制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1態様に係る端末機器は、カメラ、スピーカ及びマイクを備え、前記スピーカの出力方向と同方向に前記マイクの指向性を有する端末機器であって、前記端末機器を水平面に設置するときに、前記カメラよりも下方の位置で、前記マイクと前記スピーカとが互いに近づいた閉状態から、前記マイクと前記スピーカとの間が所定距離離間する開状態となるように、前記マイク又は前記スピーカを可動させる可動機構と、当該可動機構において前記閉状態を検出する閉状態検出手段と、当該閉状態検出手段によって前記閉状態が検出された場合、前記マイク又は前記スピーカの少なくとも一方の入出力レベルを、前記開状態の場合に比べて小さくする制御手段とを備えている。
【0008】
第1態様に係る端末機器は、例えば、テレビ会議端末に接続して利用できる。マイクで複数の参加者の音声を拾いつつ、スピーカの音声が利用者全員に聞こえる必要がある。故に、マイク感度を良好にし、かつスピーカ音量を大きくする必要があるので、エコー現象生じ易い状態である。そこで、本発明の第1態様は、水平面に設置する際に、可動機構によって開状態にする。開状態では、マイクとスピーカとの間が所定距離離間する。これにより、スピーカから出力された音声がマイクに入力され難くなるので、設置時においてエコー現象を効果的に低減できる。また、カメラよりも下方にマイクとスピーカがあるので、カメラは端末機器における上側に位置する。故に、端末機器を机上に置いたときに、カメラの高さ位置が低すぎないので、利用者を良好に撮影できる。
【0009】
一方、端末機器を携帯して使用する場合、可動機構によって端末機器を閉状態にする。閉状態検出手段によって閉状態が検出された場合、スピーカとマイクは所定距離よりも近づくので、エコー現象を生じてしまう。そこで、制御手段は、マイク又はスピーカの少なくとも一方の入出力レベルを、開状態の場合に比べて小さくするので、エコー現象を効果的に低減できる。従って、第1態様の端末機器は、使用状態に応じてエコー現象を効果的に低減できる。
【0010】
また、第1態様において、前記制御手段は、前記閉状態検出手段によって前記閉状態が検出された場合、前記開状態の場合に比べて、前記マイクの入力レベルを小さくしてもよい。これにより、閉状態においても、エコー現象を効果的に低減できる。
【0011】
また、第1態様において、前記マイクから音声入力があるか否かを判断する音声入力判断手段を備え、前記制御手段は、前記音声入力判断手段によって前記音声入力があると判断された場合に、前記スピーカの出力を停止するようにしてもよい。マイクに音声入力がある場合、利用者が発言している可能性が高い。このような場合、利用者はスピーカの音声を聞いていないのが殆どである。そこで、マイクに音声入力がある場合、制御手段は、スピーカの出力を停止する。これにより、閉状態においても、エコー現象をさらに効果的に低減できる。
【0012】
また、本発明の第2態様に係るエコー低減システムは、カメラ、スピーカ及びマイクを備え、前記スピーカの出力方向と同方向に前記マイクの指向性を有する端末機器と、前記マイク又は前記スピーカの少なくとも一方の入出力レベルを制御可能な制御装置とを備えたエコー低減システムであって、前記端末機器は、前記端末機器を水平面に設置するときに、前記カメラよりも下方の位置で、前記マイクと前記スピーカとが互いに近づいた閉状態から、前記マイクと前記スピーカとの間が所定距離離間する開状態となるように、前記マイク又は前記スピーカを可動させる可動機構と、当該可動機構において前記閉状態を検出する閉状態検出手段と、当該閉状態検出手段によって前記閉状態が検出された場合に、前記可動機構の閉状態の情報である閉状態情報を前記制御装置に出力する閉状態情報出力手段とを備え、前記制御装置は、前記閉状態情報出力手段によって出力された前記閉状態情報を受信する閉状態情報受信手段と、当該閉状態情報受信手段によって前記閉状態情報を受信した場合に、前記マイク又は前記スピーカの少なくとも一方の入出力レベルを、前記開状態の場合に比べて小さくする制御手段とを備えている。
【0013】
第2態様に係るエコー低減システムでは、例えば、テレビ会議端末として機能する制御装置に端末機器を接続して使用する。端末機器のマイクで複数の参加者の音声を拾いつつ、スピーカの音声が利用者全員に聞こえる必要がある。故に、マイク感度を良好にし、かつスピーカ音量を大きくする必要があるので、エコー現象を生じ易い状態である。そこで、本発明の第2態様は、端末機器を水平面に設置する際に、端末機器を可動機構によって開状態にする。開状態では、マイクとスピーカとの間が所定距離離間する。これにより、スピーカから出力された音声がマイクに入力され難くなるので、設置時においてエコー現象を効果的に低減できる。また、カメラよりも下方にマイクとスピーカがあるので、カメラは端末機器における上側に位置する。故に、端末機器を机上に置いたときに、カメラの高さ位置が低すぎないので、利用者を良好に撮影できる。
【0014】
一方、端末機器を携帯して使用する場合、可動機構によって端末機器を閉状態にする。閉状態検出手段によって閉状態が検出された場合、スピーカとマイクは所定距離よりも近づくので、エコー現象を生じてしまう。そこで、端末機器では、閉状態検出手段が端末機器の閉状態を検出すると、閉状態情報出力手段によって、閉状態情報が制御装置に出力される。制御装置では、閉状態情報受信手段が閉状態情報を受信した場合、制御手段がマイク又はスピーカの少なくとも一方の入出力レベルを、開状態の場合に比べて小さくする。これにより、端末機器が閉状態であっても、エコー現象を効果的に低減できる。従って、第2態様のエコー低減システムは、端末機器の使用状態に応じてエコー現象を効果的に低減できる。
【0015】
また、本発明の第3態様に係る制御プログラムは、カメラ、スピーカ及びマイクを備え、前記スピーカの出力方向と同方向に前記マイクの指向性を有する端末機器の動作を制御する制御プログラムであって、コンピュータに、前記端末機器を水平面に設置するときに、前記カメラよりも下方の位置で、前記マイクと前記スピーカとが互いに近づいた閉状態から、前記マイクと前記スピーカとの間が所定距離離間する開状態となるように、前記マイク又は前記スピーカを可動させる可動機構において、前記閉状態を検出する閉状態検出手段によって前記閉状態を検出する閉状態検出ステップと、前記閉状態検出ステップにおいて、前記閉状態が検出された場合に、前記マイク又は前記スピーカの少なくとも一方の入出力レベルを、前記開状態の場合に比べて小さくする制御ステップとを実行させることを特徴とする。
【0016】
第3態様に係る制御プログラムは、端末機器のコンピュータが実行することによって、第1態様の効果と同じ効果を得ることができる。
【0017】
また、本発明の第4態様に係る制御プログラムは、カメラ、スピーカ及びマイクを備え、前記スピーカの出力方向と同方向に前記マイクの指向性を有し、水平面に設置するときに、前記カメラよりも下方の位置で、前記マイクと前記スピーカとが互いに近づいた閉状態から、前記マイクと前記スピーカとの間が所定距離離間する開状態となるように、前記マイク又は前記スピーカを可動させる可動機構と、当該可動機構において前記閉状態を検出する閉状態検出手段と、当該閉状態検出手段によって前記閉状態が検出された場合に、前記可動機構の閉状態の情報である閉状態情報を出力する閉状態情報出力手段とを備えた端末機器と、前記マイク又は前記スピーカの少なくとも一方の入出力レベルを制御可能な制御装置とを備えたエコー低減システムにおいて、前記制御装置の動作を制御する制御プログラムであって、コンピュータに、前記閉状態情報出力手段によって出力された前記閉状態情報を受信する閉状態情報受信ステップと、当該閉状態情報受信ステップにおいて前記閉状態情報を受信した場合に、前記マイク又は前記スピーカの少なくとも一方の入出力レベルを、前記開状態の場合に比べて小さくする制御ステップとを実行させることを特徴とする。
【0018】
第4態様に係る制御プログラムは、制御装置のコンピュータが実行することによって、第2態様の効果と同じ効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】テレビ会議システム100の構成を示す図である。
【図2】カメラ機器1の斜視図(開状態)である。
【図3】カメラ機器1の斜視図(閉状態)である。
【図4】カメラ機器1の正面図(閉状態)である。
【図5】カメラ機器1の右側面図(閉状態)である。
【図6】カメラ機器1の右側面図(開状態)である。
【図7】図4に示すI−I線矢視方向断面図である。
【図8】図7の断面位置に対応するカメラ機器1の開状態の断面図である。
【図9】第一筐体2の背面22の下側部分を示す図である。
【図10】カメラ機器1の電気的構成を示すブロック図である。
【図11】端末装置10の電気的構成を示すブロック図である。
【図12】CPU41(又はCPU101)が実行する制御処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の端末機器を具現化した一実施形態であるカメラ機器1について、図面を参照して説明する。なお、参照する図面は、本発明が採用し得る技術的特徴を説明するために用いられるものである。図面に記載されている機器の構成等は、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。なお、図2,図3の上側、下側、右斜め下側、左斜め上側を、カメラ機器1の上側、下側、右側、左側とする。
【0021】
まず、カメラ機器1を用いたテレビ会議システム100について説明する。図1に示すように、テレビ会議システム100は、ネットワーク(図示外)に接続された端末装置10と、該端末装置10にケーブル4を介して接続されたカメラ機器1とを備えている。カメラ機器1は、カメラ機能の他、利用者の音声を端末装置10に入力するマイク機能、及び他拠点の利用者の音声を出力するスピーカ機能を併せ持つ。
【0022】
カメラ機器1は、カメラの撮影情報、マイクの音声情報を端末装置10に入力する。端末装置10は、ネットワークを経由して、これらの情報を他拠点の端末装置との間で送受信する。端末装置10のディスプレイ122には、他拠点のカメラ機器が撮影した撮影情報が表示される。利用者は、キーボード123により操作を行う。このようにして、テレビ会議システム100は、他拠点の端末装置との間で遠隔会議を実施できる。
【0023】
次に、カメラ機器1の全体構造について説明する。図2,図3に示すように、カメラ機器1は、第一筐体2と、第二筐体3とを備えている。第一筐体2と第二筐体3とは、その上部で回転軸5を介して連結され、回転軸5を中心に回動することで折り畳み可能となっている。カメラ機器1の上部中央には、回転軸5に回動可能に軸支されたカメラ装置6が設けられている。カメラ装置6の正面中心にはレンズ部7(図2参照)が設けられている。第一筐体2の前面21の下部には、利用者の音声を捉えるためのマイク部11が設けられている。第二筐体3の前面31の略中央には、前側に向かってやや斜め下方に突出し、音声が出力されるスピーカ部35が設けられている。なお、第一筐体2と、第二筐体3と、回転軸5とが本発明の「可動機構」に相当する。
【0024】
図2に示すように、カメラ機器1は、回転軸5の軸心方向を水平面に対して平行にし、かつ第一筐体2と第二筐体3とを最大角度で開いた状態で、水平面である机上(図示外)に載置して自立させることができる。カメラ機器1が自立した状態で、カメラ装置6を回動させ、レンズ部7を利用者に向けることで、カメラ機器1の設置が完了する。カメラ機器1は、自拠点の利用者の音声をマイク部11で捉える。他拠点の音声は、スピーカ部35から出力される。なお、以下説明において、カメラ機器1を最大角度で開いて机上に設置する状態を「開状態」(図2、図6参照)とし、折り畳んだ状態を「閉状態」(図3〜図5参照)とする。
【0025】
次に、第一筐体2の構造について説明する。図2〜図4に示すように、第一筐体2は、正面視縦長の略長方形の薄板状に形成されている。第一筐体2の略中央には、正面視略長方形状の開口部12が設けられている。図2に示すように、開口部12は、開状態で、後方に位置するスピーカ部35に対向して位置する。故に、第一筐体2が、スピーカ部35から出力される音声の妨げにはならない。一方、図3に示すように、開口部12は、閉状態で、第二筐体3の前面31に突設されたスピーカ部35を内側に格納する機能を有する。
【0026】
図2〜図4に示すように、第一筐体2の上部の左右方向中央には、略長方形状に切り欠いた凹部19が設けられている。凹部19の内側には、回転軸5を中心に回動可能に軸支されたカメラ装置6が設けられている。カメラ装置6を使用する時は、図2に示すように、カメラ装置6を回動させてレンズ部7を外部に露出させる。カメラ装置6を使用しない時は、図3に示すように、カメラ装置6を回動させてレンズ部7を凹部19の内側に収納する。レンズ部7を収納できるので、使用しない時にレンズ部7が損傷するのを防止できる。
【0027】
第一筐体2の前面21の下部には、マイク部11が設けられている。マイク部11には、カメラ機器1の前方の音声を捉えるための複数の貫通孔14Aが網目状に設けられている。図7,図8に示すように、マイク部11に位置する第一筐体2の内側には、マイク20が設けられている。マイク20は、第一筐体2の前方に指向性を有する「単一指向性マイク」である。図9に示すように、マイク20の背面側に対向する第一筐体2の背面22の下部には、カメラ機器1の後方の音声を拾うための複数の貫通孔14Bが網目状に設けられている。マイク20の指向性の原理については後述する。
【0028】
図2,図4に示すように、開口部12は、カメラ機器1の開状態の姿勢において、上側内面12A、右側内面12B、左側内面12C、及び下側内面12Dを形成している。図4に示すように、カメラ機器1を、第一筐体2の前面21を鉛直方向に立たせた状態において、下側内面12Dは後方に向かって斜め上方に傾斜している。そして、カメラ機器1を開状態にして机上に設置した状態では、図2に示すように、下側内面12Dは略水平となっている。
【0029】
下側内面12Dには、カメラ機器1を操作するための4つのボタンを有する操作部55が設けられている。操作部55には、左側から右側に向かって順に、電源ボタン15、マイクミュートボタン16、スピーカ音量を上げるための音量プラスボタン17、スピーカ音量を下げるための音量マイナスボタン18が各々設けられている。カメラ機器1が開状態で机上に設置されたときに下側内面12Dが略水平となるので、利用者にとって操作部55の操作がし易くなり、使い勝手が向上する。
【0030】
図2,図3に示すように、第一筐体2の凹部19の左右両側には、前面21の上部から後方に向かって半円弧状に形成され、第一筐体2と第二筐体3を開く際に、第二筐体3の上端部に設けられた係止部37,38(図2,図3参照)が係止するための被係止部27,28が各々設けられている。被係止部27,28の後方に向かう各終端部は、前面21の最上部に位置し、かつ回転軸5に対して直交する方向に切断されている。
【0031】
図3,図5に示すように、第一筐体2の下端部には、机上に接地するための接地部8が設けられている。接地部8は、前面21側から背面22側に向かって所定角度で斜め上方に傾斜している。接地部8の傾斜面は、カメラ機器1を最大角度で開き、机上に自立させたときに水平となるように形成されている(図6,図8参照)。接地部8には滑り止めのストッパ81が固定されている。
【0032】
次に、第二筐体3の構造について説明する。図2に示すように、第二筐体3は、正面視縦長の略長方形の薄板状に形成されている。第二筐体3は、その上端部において回転軸5に回動可能に連結されている。第二筐体3の上部の左右方向中央にも、カメラ装置6を格納するための略長方形状に切り欠いた凹部(図示外)が設けられている。第二筐体3の前面31の略中央には、前面31に直交する方向の前方に向かって突出する角柱状のスピーカ部35が設けられている。スピーカ部35の前面には、複数の貫通孔35Aが網目状に設けられている。
【0033】
図8に示すように、第二筐体3の内側には、カメラ機器1の動作を制御するための制御基板70が複数の螺子75で固定されている。さらに、スピーカ部35の内側には、スピーカ50が設けられている。スピーカ50は、カメラ機器1を開状態で机上に設置した場合に、音声の出力方向を、カメラ機器1の前方にかつ略水平に向けられるように支持されている。スピーカ50の音声は、スピーカ部35の貫通孔35Aからカメラ機器1の前方にかつ略水平に向かって出力される。これにより、スピーカ50の音声を利用者に対して直接伝えることができるので、利用者は、スピーカ50の音声を明瞭に聞き取ることができる。
【0034】
図2,図3に示すように、第二筐体3の切り欠き部の左右両側には、背面32の上部から前方に向かって半円弧状に形成され、第一筐体2と第二筐体3を開く際に、第一筐体2の上端部に設けられた被係止部27,28(図2,図3参照)に係止するための係止部37,38が各々設けられている。係止部37,38の前方に向かう各終端部は、回転軸5に対して直交する方向に切断されている。
【0035】
図2に示すように、第一筐体2と第二筐体3とを開いたときに、係止部37,38が被係止部27,28に係止することによって、第一筐体2と第二筐体3の回動が制限される。このとき、第一筐体2と第二筐体3との開度は最大角度となる。なお、第一筐体2と第二筐体3との開度は、カメラ機器1の机上における設置面積を考慮すると、最大角度を90°以下にするのが好ましい。なお、第一筐体2と第二筐体3の回動を制限する構造は、これに限らず、他の構造でもよい。
【0036】
図5に示すように、第二筐体3の下端部にも、机上に接地するための接地部9が設けられている。接地部9は、背面32側から前面31側に向かって所定角度で斜め上方に傾斜している。接地部9の傾斜面は、カメラ機器1を最大角度で開き、机上に自立させたときに水平となるように形成されている(図6,図8参照)。接地部9にも滑り止めのストッパ91が固定されている。
【0037】
さらに、第二筐体3の前面31の上側であって、回転軸5の近傍には、カメラ機器1が折り畳まれて閉状態になったことを検出するための閉状態検出スイッチ48(本発明の「閉状態検出手段」に相当)が設けられている。閉状態検出スイッチ48は、第一筐体2の背面22に押圧されることでオン信号を出力する。カメラ機器1の制御基板70上に設けられた後述するCPU41(図10参照)は、オン信号を受信することによって、カメラ機器1が開状態か閉状態であるかを認識できる。
【0038】
次に、マイク20の指向性の原理について説明する。マイク20は、特定の方向を捉えやすい性質を持つ単一指向性のマイクである。図8に示すように、開状態のカメラ機器1を机上に設置した場合を例に説明する。カメラ機器1の後方の音声は、第一筐体2の背面22の下側に設けられた貫通孔14Bからマイク20の振動板の裏側に届く(直接音)。同じ音声は第一筐体2の前側にも回り込み、第一筐体2の前面21のマイク部11に設けられた貫通孔14Aから少し遅れて振動板の表側にも届く(間接音)。貫通孔14Bから振動板の裏側までの間には障害物(図示外)等が設けられている。それ故、直接音の速度が遅れて間接音と同時に到達する。この音声は振動板の表と裏で同時に生じた同量のエネルギーとして相殺されるので、電気出力にならない。
【0039】
一方、カメラ機器1の前方の音声は、第一筐体2の前面21のマイク部11に設けられた貫通孔14Aから、まず先にマイク20の振動板の表側に伝わる。その後の第一筐体2の裏側への回り込みは、上述の障害物によって到達がさらに遅くなる。この時間差によってエネルギーは相殺されずに電気出力される。このような原理で、マイク20はカメラ機器1の前方に対し、図8の一点鎖線で示すような指向性Rを有する。
【0040】
次に、カメラ機器1の電気的構成について説明する。図10に示すように、カメラ機器1は、カメラ機器1の制御を司るCPU41を備えている。CPU41には、ROM42、RAM43、フラッシュメモリ47、および入出力インターフェース45が、バス44を介して接続されている。これらは、第二筐体3に格納された制御基板70上に設けられている(図8参照)。
【0041】
ROM42は、カメラ機器1を動作させるための本発明の制御プログラムおよび初期値等を記憶している。RAM43は、制御プログラム及び本発明の通信プログラムで使用される各種の情報を一時的に記憶する。フラッシュメモリ47は、制御プログラム等の各種の情報を記憶する不揮発性メモリである。フラッシュメモリ47の代わりに、EEPROMまたはメモリカード等のメモリを用いてもよい。
【0042】
入出力インターフェース45には、音声入力処理部51、音声出力処理部52、映像入力処理部53、検出処理部54、操作部55、および外部通信I/F46が接続されている。音声入力処理部51は、マイク20からの音声データの入力を処理する。音声出力処理部52は、音声を出力するスピーカ50の動作を処理する。映像入力処理部53は、カメラ装置6からの画像データの入力を処理する。検出処理部54は、カメラ機器1の閉状態を検出する閉状態検出スイッチ48のオン信号を処理する。外部通信I/F26は、カメラ機器1をケーブル4を介して端末装置10に接続している。
【0043】
次に、端末装置10の電気的構成について説明する。図11に示すように、端末装置10は、CPU101を備えている。CPU101は、端末装置10の動作を統括制御する。CPU101には、ROM102、RAM103、及び入出力インターフェース106が電気的にそれぞれ接続されている。ROM102は、端末装置10の制御プログラム等が記憶されている。RAM103は、各種データを一時的に記憶する。
【0044】
入出力インターフェース106には、ケーブル4を介してカメラ機器1と、HDD104と、ビデオコントローラ111と、キーコントローラ112と、CD−ROMドライブ113等が接続されている。HDD104には、各種プログラム等が記憶されている。ビデオコントローラ111は、ディスプレイ122の表示制御を行う。キーコントローラ112は、キーボード123における入力操作等を信号に変換する。CD−ROMドライブ113に挿入されるCD−ROM130には各種プログラムが記憶されている。CD−ROM130の導入時には、これら各種プログラムが、CD−ROM130からHDD104にセットアップされて記憶される。
【0045】
次に、カメラ機器1を開いて自立させたときの使用状態について説明する。図2に示すように、第一筐体2と第二筐体3とを回転軸5を中心に開くと、第一筐体2の被係止部27,28に第二筐体3の係止部37,38が係止する。このとき、第一筐体2と第二筐体3との開度は最大角度となる。最大角度で開いた開状態であるカメラ機器1を、回転軸5の軸心方向を水平面に対して平行にして机上に載置する。
【0046】
図6に示すように、この状態のカメラ機器1を回転軸5の軸方向から見た場合、第一筐体2の接地部8と、第二筐体3の接地部9とは何れも水平である。これにより、第一筐体2の接地部8と、第二筐体3の接地部9とは、机上に対して何れも水平面で接地できるので、カメラ機器1は、開いた状態の姿勢を安定して保持できる。
【0047】
また、図8に示すように、カメラ機器1において、上から下に向かって、カメラ装置6、スピーカ50、マイク20の順に位置する。カメラ装置6は、カメラ機器1の最上部に位置している。これにより、図2,図6に示すように、カメラ機器1を机上に設置したときに、レンズ部7の高さ位置が低すぎない。故に、適切な高さで利用者を撮影できる。
【0048】
これに対し、マイク20は、カメラ機器1の最下部に位置している。マイク20は机上に最も近い。故に、利用者のマイク20に直接届く音声と、反射した音声がマイク20に届くまでのタイムラグが少ないので、利用者の音声を良好に取得できる。
【0049】
スピーカ50は、マイク20の上側に位置している。従って、スピーカ50から出力された音声は机上に反射しないので、利用者は、スピーカ50の音声を良好にかつ明瞭に聞き取ることができる。
【0050】
そして、図8に示すように、カメラ機器1が開状態において、マイク20とスピーカ50との間はスピーカ50の出力方向に沿って所定距離離れるようになっている。マイク20とスピーカ50とがスピーカ50の出力方向に沿って所定距離離れることによって、スピーカ50の音声がマイク20に拾われることによって生じるエコー現象を効果的に低減できる。これらマイク20とスピーカ50との位置関係は、マイク20の指向性とスピーカ50の出力方向によって決まる。
【0051】
次に、マイク20とスピーカ50の位置関係について具体的に説明する。図8に示すように、マイク20は、カメラ機器1の前方に対して指向性Rを有する。マイク20の指向性Rは、カメラ機器1の前方を最大とするカーディオイド型状であり、マイク20の裏側に回り込みつつ裏面の中心部に向かって感度が低下している。このような指向性Rを有するマイク20の後方のやや上方にスピーカ50が位置し、マイク20とスピーカ50との間がスピーカ50の出力方向に沿って所定距離離れている。
【0052】
このような位置関係において、スピーカ50の正面中心と、マイク20の中心とを仮想直線P(図8中点線)で結ぶ。仮想直線Pは、マイク20の指向性により感度が低下する部分と交わるように位置している。これにより、マイク20の入力信号を、スピーカ50の音声出力信号に対して効果的に低くすることができる。
【0053】
このように、カメラ機器1を開状態にしたときに、マイク20とスピーカ50とが、上記の位置関係に位置決めされることで、スピーカ50の音声をマイク20が拾うことによるエコー現象を効果的に低減できる。よって、スピーカ50の音声を明瞭に聞き取ることができるので、テレビ会議の進行を良好にできる。
【0054】
次に、折り畳まれたカメラ機器1を開くときの操作性について説明する。図5に示すように、折り畳まれたカメラ機器1を回転軸5の軸方向から見た場合、第一筐体2の接地部8は、前方から後方に向かって斜め上方に傾斜している。これに対し、第二筐体3の接地部9は、後方から前方に向かって斜め上方に傾斜している。さらに、カメラ機器1を折り畳んだ状態では、第一筐体2の接地部8と、第二筐体3の接地部9とは、同じ位置関係となっている。故に、接地部8,9はV字形状を形成している。
【0055】
さらに、接地部8,9は、第一筐体2と第二筐体3とが対向する対向面を中心とした対称形状の傾斜面となっている。これは、第一筐体2と第二筐体3とが回転軸5を中心に開く構造であって、その開いた状態の接地部8,9を水平にしたことに起因する。これらの特徴から、接地部8,9に対して両手の指を当てやすく、さらには指を引っ掛けやすくなるので、カメラ機器1を開く際の操作性が向上する。
【0056】
次に、カメラ機器1を折り畳んだ場合の使用状態について説明する。図2〜図5に示すように、利用者は、カメラ機器1を閉状態にして携帯しながら使用する場合がある。例えば、カメラ装置6で撮影したい物をクローズアップして撮影する場合である。カメラ機器1が閉状態では、スピーカ50とマイク20とが互いに近付くので、開状態のときのようなエコー防止効果は得られない。
【0057】
そこで、カメラ機器1が折り畳まれると、第二筐体3の前面31に設けられた閉状態検出スイッチ48が第一筐体2の前面21に押し潰される。これにより、閉状態検出スイッチ48はオン信号を出力する。オン信号は検出処理部54によって処理され、入出力インターフェース45を介してCPU41が受信する。CPU41は、オン信号に基づき、マイク20の入力レベル(若しくはスピーカ50の出力レベル)を予め設定された低レベルに調整する。これにより、マイク20の入力信号を、スピーカ50の音声出力信号に対して効果的に低くすることができる。従って、カメラ機器1を閉状態にした場合でも、エコー現象を効果的に低減できる。なお、スピーカ50の出力レベルを低レベルにした場合も同じ効果が得られる。また、マイク20の入力レベルとスピーカ50の出力レベルとの両方を低レベルにしてもよい。
【0058】
また、閉状態のカメラ機器1を手に持った状態で、利用者が発言している場合、利用者は、スピーカ50から出力される音声を聞いていることが少ない。そこで、本実施形態のカメラ機器1のCPU41は、マイク20が利用者の音声を検出している間は、スピーカ50の出力を停止する制御を行う。これにより、エコー現象を確実に低減できると共に、スピーカ50が消費する電力を節約することもできる。
【0059】
次に、CPU41が実行する制御処理について、図12のフローチャートを参照して説明する。本発明の制御処理は、カメラ機器1の操作部55の電源ボタン15がオンされることによって、ROM42に記憶された制御プログラムが呼び出されて実行される。まず、CPU41は、端末装置10から会議開始信号を受信したか否か判断する(S11)。端末装置10は、ネットワークを介して他拠点の端末装置と接続を確立した場合、会議開始信号をカメラ機器1に送信する。CPU41は、会議開始信号を受信したと判断するまでは(S11:NO)、S11に戻って待機状態となる。CPU41は、会議開始信号を受信したと判断した場合(S11:YES)、カメラ装置6、マイク20、スピーカ50を起動する(S12)。
【0060】
次いで、CPU41は、カメラ機器1の閉状態を検出したか否か判断する(S13)。カメラ機器1が折り畳まれると、第二筐体3の前面31に設けられた閉状態検出スイッチ48が押し潰される。閉状態検出スイッチ48はオン信号を出力する。CPU41は、オン信号を受信しないと判断した場合(S13:NO)、カメラ機器1は開状態であり、図8に示すように、マイク20とスピーカ50の間は所定距離離れている。故に、カメラ機器1は、エコー現象を効果的に低減できる。従って、CPU41は、マイク20の入力レベル、及びスピーカ50の出力レベルを予め設定された通常レベルに調整する(S15)。
【0061】
一方、CPU41は、オン信号を受信したと判断した場合(S13:YES)、カメラ機器1は閉状態であり、図2に示すように、マイク20とスピーカ50の間は近接している。この状態では、カメラ機器1は、開状態のようなエコーの低減効果を得ることができない。そこで、CPU41は、マイク20の入力レベル、若しくはスピーカ50の出力レベルの少なくとも一方を予め設定された低レベルに調整する(S14)。マイク20の感度が低下することによって、スピーカ50から出力された音声がマイク20に拾われにくくなる。従って、閉状態のカメラ機器1でも、エコー現象を効果的に低減できる。なお、スピーカ50の出力レベルを低レベルにした場合も同じ効果が得られる。
【0062】
次いで、CPU41は、マイク20が音声を検出したか否か判断する(S16)。例えば、マイク20の入力信号からピークを抽出し、抽出されたピークの電圧レベルと所定の閾値電圧レベルとを比較する。抽出されたピークの電圧レベルが所定の閾値電圧レベルを超えた場合に利用者の音声として判定する。CPU41は、マイク20が利用者の音声を検出したと判断した場合(S16:YES)、利用者は閉状態のカメラ機器1を持って発言している可能性が高い。この場合、利用者は発言をしているので、スピーカ50から出力された音声に耳を傾けることはなく、スピーカ50から音声を出力する必要性に乏しい。そこで、CPU41は、マイク20が音声を検出している間は、スピーカ50の出力を停止する(S17)。これにより、カメラ機器1は、エコー現象を確実に低減できると共に、スピーカ50が消費する電力を節約することができる。
【0063】
そして、CPU41は、会議終了信号を端末装置10から受信したか否か判断する(S18)。端末装置10はネットワークを介して他拠点の端末装置との通信を遮断した場合、会議終了信号をカメラ機器1に送信する。CPU41は、会議終了信号を受信しないと判断した場合(S18:NO)、S13に戻り、再度カメラ機器1の使用状態に応じて、マイク20及びスピーカ50の入出力レベルを制御する。CPU41は、端末装置10から会議終了信号を受信したと判断した場合(S18:YES)、処理を終了する。
【0064】
以上説明したように、本実施形態であるカメラ機器1は、第一筐体2と第二筐体3とを備え、回転軸5を中心に回動することで折り畳み可能に構成されている。第一筐体2には、マイク20が設けられ、第二筐体3にはスピーカ50が設けられている。カメラ機器1は、回転軸5を上方に向け、第一筐体2と第二筐体3とを最大角度で開いた状態で、机上に載置して自立させることができる。マイク20は、スピーカ50の出力方向と同方向に単一指向性を有する。そして、カメラ機器1を開状態で机上に設置した場合、マイク20とスピーカ50との間が所定距離離間して位置決めされる。これにより、スピーカ50の音声をマイク20が拾うことによるエコー現象を効果的に低減できる。
【0065】
また、カメラ機器1を折り畳んで閉状態で使用する場合は、マイク20の入力レベル、若しくはスピーカ50の出力レベルの少なくとも一方を低レベルに調整する。さらに、利用者の音声をマイク20で検出した場合、スピーカ50の出力を停止する。これにより、カメラ機器1が閉状態でもエコー現象を低減できる。即ち、カメラ機器1の使用状態に応じて、エコー現象を効果的に低減できる。従って、利用者は、スピーカ50の音声を明瞭に聞き取ることができるので、テレビ会議の進行を良好にできる。
【0066】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、様々な変形が可能である。例えば、上記実施形態では、カメラ機器1のCPU41が、カメラ機器1の使用状態(開状態と閉状態)に応じて、マイク20の入力レベル、又はスピーカ40の出力レベルの少なくとも何れか一方を低くする制御をしている。これに対し、例えば、マイク20及びスピーカ40の各動作の制御を、端末装置10のCPU101が行うようにしてもよい。即ち、図1に示すテレビ会議システム100が本発明の「エコー低減システム」を構成する。
【0067】
この変形例の場合、カメラ機器1は上記のCPU41による制御は不要である。その代わりに、端末装置10のCPU101(図11参照)は、図8の制御処理を実行する。他拠点の端末装置と通信を開始したのを契機として、HDD104(図11参照)に記憶された制御プログラムが実行される。カメラ機器1が折り畳まれると、閉状態検出スイッチ48から出力されたオン信号を、ケーブル4を介して端末装置10のCPU101が受信する。CPU101は、オン信号を受信することで、カメラ機器1が閉状態であることを認識する。そして、マイク20の入力レベル、又はスピーカ40の出力レベルの少なくとも何れか一方を低くする制御を上記と同様に行う。このようなシステムにおいても、上記実施形態と同じ効果を得ることができる。
【0068】
また、上記実施形態では、端末装置10が接続されたケーブル4を、第一筐体2に設けられた入出力部に接続し、ケーブル4を通じて音声情報または映像情報の入出力を行っている。これに対し、例えば、テレビ会議端末と無線通信によって音声情報、映像情報の入出力を行うようにしてもよい。この場合、テレビ会議端末と通信するためのアンテナを、第一筐体2又は第二筐体3の内側に格納すればよい。
【0069】
また、上記実施形態では、カメラ機器を開状態で机上に設置したときに、マイク20の指向方向は略水平にしているが、やや下向きにしてもよい。この場合、指向性Rの内、出来るだけ感度の低いマイク20の背面に対してスピーカ50の音声が入力される。故に、エコー現象をさらに確実に低減できる。さらに、上記実施形態では、スピーカ50の正面方向を略水平にしているが、やや上向きにしてもよい。
【符号の説明】
【0070】
1 カメラ機器
2 第一筐体
3 第二筐体
5 回転軸
6 カメラ装置
20 マイク
41 CPU
48 閉状態検出スイッチ
50 スピーカ
101 CPU
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラ、スピーカ及びマイクを備え、前記スピーカの出力方向と同方向に前記マイクの指向性を有する端末機器であって、
前記端末機器を水平面に設置するときに、前記カメラよりも下方の位置で、前記マイクと前記スピーカとが互いに近づいた閉状態から、前記マイクと前記スピーカとの間が所定距離離間する開状態となるように、前記マイク又は前記スピーカを可動させる可動機構と、
当該可動機構において前記閉状態を検出する閉状態検出手段と、
当該閉状態検出手段によって前記閉状態が検出された場合、前記マイク又は前記スピーカの少なくとも一方の入出力レベルを、前記開状態の場合に比べて小さくする制御手段と
を備えたことを特徴とする端末機器。
【請求項2】
前記制御手段は、前記閉状態検出手段によって前記閉状態が検出された場合、前記開状態の場合に比べて、前記マイクの入力レベルを小さくすることを特徴とする請求項1に記載の端末機器。
【請求項3】
前記マイクから音声入力があるか否かを判断する音声入力判断手段を備え、
前記制御手段は、
前記音声入力判断手段によって前記音声入力があると判断された場合に、前記スピーカの出力を停止することを特徴とする請求項1又は2に記載の端末機器。
【請求項4】
カメラ、スピーカ及びマイクを備え、前記スピーカの出力方向と同方向に前記マイクの指向性を有する端末機器と、前記マイク又は前記スピーカの少なくとも一方の入出力レベルを制御可能な制御装置とを備えたエコー低減システムであって、
前記端末機器は、
前記端末機器を水平面に設置するときに、前記カメラよりも下方の位置で、前記マイクと前記スピーカとが互いに近づいた閉状態から、前記マイクと前記スピーカとの間が所定距離離間する開状態となるように、前記マイク又は前記スピーカを可動させる可動機構と、
当該可動機構において前記閉状態を検出する閉状態検出手段と、
当該閉状態検出手段によって前記閉状態が検出された場合に、前記可動機構の閉状態の情報である閉状態情報を前記制御装置に出力する閉状態情報出力手段と
を備え、
前記制御装置は、
前記閉状態情報出力手段によって出力された前記閉状態情報を受信する閉状態情報受信手段と、
当該閉状態情報受信手段によって前記閉状態情報を受信した場合に、前記マイク又は前記スピーカの少なくとも一方の入出力レベルを、前記開状態の場合に比べて小さくする制御手段と
を備えたことを特徴とするエコー低減システム。
【請求項5】
カメラ、スピーカ及びマイクを備え、前記スピーカの出力方向と同方向に前記マイクの指向性を有する端末機器の動作を制御する制御プログラムであって、
コンピュータに、
前記端末機器を水平面に設置するときに、前記カメラよりも下方の位置で、前記マイクと前記スピーカとが互いに近づいた閉状態から、前記マイクと前記スピーカとの間が所定距離離間する開状態となるように、前記マイク又は前記スピーカを可動させる可動機構において、前記閉状態を検出する閉状態検出手段によって前記閉状態を検出する閉状態検出ステップと、
前記閉状態検出ステップにおいて、前記閉状態が検出された場合に、前記マイク又は前記スピーカの少なくとも一方の入出力レベルを、前記開状態の場合に比べて小さくする制御ステップと
を実行させることを特徴とする制御プログラム。
【請求項6】
カメラ、スピーカ及びマイクを備え、前記スピーカの出力方向と同方向に前記マイクの指向性を有し、水平面に設置するときに、前記カメラよりも下方の位置で、前記マイクと前記スピーカとが互いに近づいた閉状態から、前記マイクと前記スピーカとの間が所定距離離間する開状態となるように、前記マイク又は前記スピーカを可動させる可動機構と、当該可動機構において前記閉状態を検出する閉状態検出手段と、当該閉状態検出手段によって前記閉状態が検出された場合に、前記可動機構の閉状態の情報である閉状態情報を出力する閉状態情報出力手段とを備えた端末機器と、前記マイク又は前記スピーカの少なくとも一方の入出力レベルを制御可能な制御装置とを備えたエコー低減システムにおいて、前記制御装置の動作を制御する制御プログラムであって、
コンピュータに、
前記閉状態情報出力手段によって出力された前記閉状態情報を受信する閉状態情報受信ステップと、
当該閉状態情報受信ステップにおいて前記閉状態情報を受信した場合に、前記マイク又は前記スピーカの少なくとも一方の入出力レベルを、前記開状態の場合に比べて小さくする制御ステップと
を実行させることを特徴とする制御プログラム。
【請求項1】
カメラ、スピーカ及びマイクを備え、前記スピーカの出力方向と同方向に前記マイクの指向性を有する端末機器であって、
前記端末機器を水平面に設置するときに、前記カメラよりも下方の位置で、前記マイクと前記スピーカとが互いに近づいた閉状態から、前記マイクと前記スピーカとの間が所定距離離間する開状態となるように、前記マイク又は前記スピーカを可動させる可動機構と、
当該可動機構において前記閉状態を検出する閉状態検出手段と、
当該閉状態検出手段によって前記閉状態が検出された場合、前記マイク又は前記スピーカの少なくとも一方の入出力レベルを、前記開状態の場合に比べて小さくする制御手段と
を備えたことを特徴とする端末機器。
【請求項2】
前記制御手段は、前記閉状態検出手段によって前記閉状態が検出された場合、前記開状態の場合に比べて、前記マイクの入力レベルを小さくすることを特徴とする請求項1に記載の端末機器。
【請求項3】
前記マイクから音声入力があるか否かを判断する音声入力判断手段を備え、
前記制御手段は、
前記音声入力判断手段によって前記音声入力があると判断された場合に、前記スピーカの出力を停止することを特徴とする請求項1又は2に記載の端末機器。
【請求項4】
カメラ、スピーカ及びマイクを備え、前記スピーカの出力方向と同方向に前記マイクの指向性を有する端末機器と、前記マイク又は前記スピーカの少なくとも一方の入出力レベルを制御可能な制御装置とを備えたエコー低減システムであって、
前記端末機器は、
前記端末機器を水平面に設置するときに、前記カメラよりも下方の位置で、前記マイクと前記スピーカとが互いに近づいた閉状態から、前記マイクと前記スピーカとの間が所定距離離間する開状態となるように、前記マイク又は前記スピーカを可動させる可動機構と、
当該可動機構において前記閉状態を検出する閉状態検出手段と、
当該閉状態検出手段によって前記閉状態が検出された場合に、前記可動機構の閉状態の情報である閉状態情報を前記制御装置に出力する閉状態情報出力手段と
を備え、
前記制御装置は、
前記閉状態情報出力手段によって出力された前記閉状態情報を受信する閉状態情報受信手段と、
当該閉状態情報受信手段によって前記閉状態情報を受信した場合に、前記マイク又は前記スピーカの少なくとも一方の入出力レベルを、前記開状態の場合に比べて小さくする制御手段と
を備えたことを特徴とするエコー低減システム。
【請求項5】
カメラ、スピーカ及びマイクを備え、前記スピーカの出力方向と同方向に前記マイクの指向性を有する端末機器の動作を制御する制御プログラムであって、
コンピュータに、
前記端末機器を水平面に設置するときに、前記カメラよりも下方の位置で、前記マイクと前記スピーカとが互いに近づいた閉状態から、前記マイクと前記スピーカとの間が所定距離離間する開状態となるように、前記マイク又は前記スピーカを可動させる可動機構において、前記閉状態を検出する閉状態検出手段によって前記閉状態を検出する閉状態検出ステップと、
前記閉状態検出ステップにおいて、前記閉状態が検出された場合に、前記マイク又は前記スピーカの少なくとも一方の入出力レベルを、前記開状態の場合に比べて小さくする制御ステップと
を実行させることを特徴とする制御プログラム。
【請求項6】
カメラ、スピーカ及びマイクを備え、前記スピーカの出力方向と同方向に前記マイクの指向性を有し、水平面に設置するときに、前記カメラよりも下方の位置で、前記マイクと前記スピーカとが互いに近づいた閉状態から、前記マイクと前記スピーカとの間が所定距離離間する開状態となるように、前記マイク又は前記スピーカを可動させる可動機構と、当該可動機構において前記閉状態を検出する閉状態検出手段と、当該閉状態検出手段によって前記閉状態が検出された場合に、前記可動機構の閉状態の情報である閉状態情報を出力する閉状態情報出力手段とを備えた端末機器と、前記マイク又は前記スピーカの少なくとも一方の入出力レベルを制御可能な制御装置とを備えたエコー低減システムにおいて、前記制御装置の動作を制御する制御プログラムであって、
コンピュータに、
前記閉状態情報出力手段によって出力された前記閉状態情報を受信する閉状態情報受信ステップと、
当該閉状態情報受信ステップにおいて前記閉状態情報を受信した場合に、前記マイク又は前記スピーカの少なくとも一方の入出力レベルを、前記開状態の場合に比べて小さくする制御ステップと
を実行させることを特徴とする制御プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−119909(P2012−119909A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−267420(P2010−267420)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
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