説明

端末装置

【課題】生体情報測定装置と組み合わせて使用する端末装置において、生体情報を正確に測定するために、ノイズの発生を低減させた端末装置を提供する。
【解決手段】この端末装置は、ノイズによる不正確な生体情報の測定を回避するために、まず、生体情報測定装置へ影響を与えるノイズを発生する機能や機器に関する情報を取得する。該生体情報測定装置で生体情報を測定中には、測定に必要な最小限の前記機能や機器を動作または一時停止状態から復帰させ、その他の前記機能や機器を一時的に停止させる制御を行い、生体情報の測定が終了すると、一時的に停止していた前記機能や機器を停止前の状態に復帰させる制御を行う。これにより、この端末装置が生体情報測定装置へ影響を与えないので、正確な生体情報が取得できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末装置に関し、特に、生体情報測定装置へ影響を与えるノイズを低減する端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、携帯電話機の普及に伴って、携帯電話機から送信される電波によって医療機器が誤作動を起こす場合(電磁干渉)があるといった問題が指摘されており、病院内での携帯電話機の使用を自粛するように求められていたり、ペースメーカ使用者は携帯電話機に近付かないように注意を促されている。
【0003】
しかしながら、携帯電話機では、電源が投入されている間は通話時に限らず、例えば、自分の現在位置を基地局に知らせたり、電話を受信した旨を基地局に知らせるなど、ユーザが意識しない間も電波を発信している。ところが、多くのユーザは通話しなければ、電波を発信していないと考えているため、病院内でも電源を切らずに入るなどして、医療機器やペースメーカ使用者に悪影響を与えてしまうといった問題があった。
【0004】
この問題点を解決するために、例えば、特許文献1では、無線使用規制場所に設置された発信器から発信される規制電波を検出することにより、無線使用規制場所であると判断して電波の発信動作を禁止する。これにより、ユーザが電源を切るのを忘れていても、無線使用規制場所での電波発信を規制して電波による医療機器やペースメーカ使用者への影響を防止することができる。
【0005】
一方、高齢化社会の進行などから生活習慣病や人々の健康に対する関心が非常に高くなっており、小型化/低消費電力化されたセンサをいつも持ち歩くものに付け、脈拍や血圧などの生体情報を測定して、健康管理に役立てる様にしている。
【0006】
このような小型化されたセンサとしては、例えば、特許文献2に記載されたリングセンサ(ウェアラブルセンサ)がある。このリングセンサは、手の指に指輪のように装着して、指の動脈から血液中の酸素濃度、脈拍数、血圧、血糖値、体温等の情報が得られるようにしたものである。
【特許文献1】特開平10−154111号公報
【特許文献2】特開2000−342547号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、近年では携帯電話機の高機能化によって様々な機能が搭載されるようになってきており、携帯電話機は常に身につけているか、あるいは、身近なところにあることが多いことから、上述のような小型化されたセンサと組み合わせて、生体を常時監視することで緊急時通報に役立つことが期待されている。
【0008】
従来の健康・医療機器は、専用機器である場合が多く、上述のように携帯電話機の電源を切ることによって医療機器へ影響を与えないようにすることはできた。
しかし、携帯電話機などの通信端末と小型化されたセンサを組み合わせると、通信端末の電源を切るわけにはいかず、また、通信端末が引き起こすノイズが影響して生体情報の正確な測定値が得られなくなる恐れがでてくる。
【0009】
本発明は、上述のような実情を考慮してなされたものであって、生体情報測定装置と組み合わせて使用する端末装置において、生体情報を正確に測定するために、生体情報測定装置へ影響を与えるノイズの発生を低減させた端末装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するために、本発明は次のような構成とする。
この端末装置は、まず、生体情報測定装置へ影響を与えるノイズを発生する機能や機器に関する情報を取得し、該生体情報測定装置で生体情報を測定中には、制御部が、測定に必要な最小限の前記機能や機器を動作または一時停止状態から復帰させ、その他の前記機能や機器を一時的に停止させ、測定途中で、必要としなくなった前記機能や機器の動作を一時的に停止させる。そして、前記生体情報測定装置における生体情報の測定が終了すると、制御部が、一時的に停止していた前記機能や機器を停止前の状態に復帰させる。
これにより、ノイズによる不正確な生体情報の測定を回避させることができる。
【0011】
前記機能や機器は、次のいずれかまたは組み合わせである。これらのそれぞれの停止および復帰させるタイミングは、それぞれが測定に不必要になったとき、それぞれが測定に必要になったとき、測定が終了したときに併せて行う。
また、下記の各部が複数の種類からなっている場合には、それぞれ個別に制御することができる。
【0012】
(1)通信部である。
(2)充電制御部である。
(3)電源コンバータである。
前記電源コンバータは、生体情報の測定中は電源コンバータへの入力を遮断するようになっているが、前記電源コンバータへの入力遮断中でも測定に必要な動作を行うために、当該電源コンバータからの出力全部または一部に蓄電池を設け、測定中でも電力の供給を可能とした。このうち、前記電源コンバータからの蓄電池を設けた一部の出力は、少なくとも前記生体情報測定装置への出力を含んでいる。
また、前記電源コンバータからの出力は、少なくとも1つ以上であり、電圧、電流のうち少なくとも1つを変換(コンバート)する。
さらに、前記蓄電池は、測定中に動作ができなくなることがないよう充分な容量をもっており、前記蓄電池の容量や種類は、同一でなくともよい。
【0013】
(4)表示に関連した機能や表示装置である。
(5)撮像部である。
この撮像部が光学ズームやオートフォーカスを行えるのであれば、これらも一時停止の対象となる。
(6)周囲の外部機器である。
この周囲の外部機器を動作、停止および復帰させる制御信号の伝送手段は、有線通信、無線通信、人体通信のいずれか、あるいは任意の組み合わせであってもよい。
【0014】
上記端末装置と生体情報測定装置との関係は、(A)端末装置に生体情報測定装置が組み込まれて一体となった場合、(B)生体情報測定装置を外部機器とし、端末装置と有線あるいは無線で接続可能にした場合とがある。
前者(A)の端末装置の場合には、端末装置に組み込まれた生体情報測定装置へ影響がある当該端末装置中の機能や機器を一時的に停止させる。
また、後者(B)の端末装置の場合には、外部機器としての生体情報測定装置へ影響を与える当該端末装置中の機能や機器を一時的に停止させるときと、生体情報測定装置とは異なる外部機器のうちで、この生体情報測定装置へ影響を与える外部機器を一時的に停止させる。
【0015】
また、上述した構成の端末装置の機能をコンピュータで実現させるためのプログラムを作成しておき、または、そのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録しておき、このプログラムをコンピュータで実行することによっても上記課題を解決することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、生体情報測定装置が影響を受け易い端末装置の機能を一時停止させることができるので、当該生体情報測定装置の誤作動のおそれがなくなり、生体情報を正確に測定できる。
また、生体情報測定装置が影響を受け易い機器に近付いたときにも、端末装置がその機器を一時停止させる指示を出すことができるので、当該生体情報測定装置の誤作動のおそれがなくなり、生体情報を正確に測定できる。
【0017】
また、ユーザが、生体情報測定装置へ影響を与える機能を知らなくても、あるいは、その影響を与える機能を一時停止し忘れても、その機能を確実に一時停止させることができる。
このため、ユーザがいちいち一時停止の操作をすることがなくなるので、ユーザが煩雑な操作をすることがなく、端末装置の使い勝手が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について説明する。
<実施形態1>
図1は、本発明の実施形態1に係る端末装置を示すブロック図である。この実施形態の端末装置として、携帯電話機を例にして説明するが、これに限定されるものではなく、生体情報測定装置を組み込み可能な機器であれば適用することができる。
【0019】
図1において、端末装置1は、主制御部10、アンテナ11、通信部12、通信制御部13、操作部14、表示制御部15、表示部16、表示用照明部17、記憶部18、撮像制御部19、撮像部20、マイク21、レシーバ22、時計23、電源制御部24、蓄電池25、生体情報測定用センサ部26を含んで構成されている。
【0020】
主制御部10は、記憶部18に記憶された所定の制御プログラムを実行することにより、当該端末装置1を構成する各部の動作状態を制御する。
【0021】
アンテナ11は、無線電波を介して通信相手の端末装置と無線通信を行うときに、音声データ、文字データおよび画像データなどを送受信する。
通信部12は、受信時にはアンテナ11を介して受信したデータを復調する。送信時には通信制御部13から送られてくる文字データおよび画像データなどを変調して増幅し、アンテナ11を介して通信相手の端末装置1に送信する。
通信制御部13は、通信部12が復調した文字データおよび画像データなどの受信データを所定の通信プロトコルに基づいて主制御部10に送る。また、主制御部10から送られた文字データおよび画像データなどの送信データを所定の通信プロトコルに基づいて通信部12へ送る。
この通信により、特定の端末装置等との間で音声電話通信を行ったり、電子メールの送受信や情報提供サイトのコンテンツを閲覧したり、コンテンツをダウンロードする等のデータ通信が行える。
【0022】
上記通信は、W−CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)、GSM(Global System for Mobile Communications)、CDMA(Code Division Multiple Access)、PHS(Personal Handyphone System)、W−LAN(Wireless Local Aera Network)、WiFi(Wireless Fidelity)、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)、Bluetooth、UWB(Ultra Wide Band)など、いかなる種類でもよい。また、通信部12が複数の通信部を持つ場合には、それらの通信部は同一種類の通信方式である必要はない。
【0023】
操作部14は、電話番号や各種ファンクションなどを入力するためのボタンやスイッチを備えており、電源、各種データ入力ボタン、発呼や通信の終了等を指示するためのオフフック/オンフック、カーソルを上下左右に移動させるスクロール、インターネットとの接続指示、電子メールに係わる機能の利用指示、表示された内容の決定指示等の多機能ボタン等を備えている。そして、使用者が何らかのボタンを操作する度に、どのボタンが操作されたかが主制御部10に通知される。操作部14は、通信部12を介して外部の端末装置から操作を入力できるのであれば、備えなくてもかまわない。
また、操作部14は、タッチパネルを用いて、タッチパネルに表示された機能ボタンを用いて操作するようにしてもよい。
【0024】
表示部16は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、FED(電界放出ディスプレイ)、CRTディスプレイ、LED(Light Emitting Diode)、FL(蛍光管)あるいは液晶やDLP(Digital Light Processing:米 TI社の登録商標)を用いたプロジェクタ等から構成され、表示制御部15を介して送られてくる生体情報や、操作部14により入力された情報や処理の中間・結果・警報等を表示して、主制御部10より発せられた端末装置1の各部の動作状況がユーザに伝達される。取得した生体情報を表示部16に表示せずに、通信部12を介して外部の端末装置へ送信して、その端末装置の表示部に表示してユーザに伝達するようにしても良い。このような外部の端末装置へ生体情報を送信する構成の場合、表示に関連する機能(表示制御部、表示部、表示用照明部)は備えなくてもよい。
【0025】
表示用照明部17は、LED(Light Emitting Diode)、有機EL(Electro-Luminescence)、無機EL(Electro-Luminescence)あるいはFL(蛍光管)等から構成され、表示部16に光を当てて輝度を増加させる。表示用照明部17の点灯、消灯の制御および輝度調整などの制御は、表示制御部15によって行われる。
【0026】
記憶部18は、例えば、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)などで構成され、主制御部10で実行される制御プログラム、各種アプリケーションプログラムやデータを格納したり、制御プログラムや各種アプリケーションプログラムが実行時に一時的にデータ等を格納する。
【0027】
撮像部20は、撮影用の光像の画角を変化させるためのズームレンズ群、撮影用の光像の合焦状態を変化させるためのフォーカスレンズ群および絞りを備えたレンズ、レンズによって結像された被写体の像をR(赤)、G(緑)、B(青)の色成分の画像信号(各画素で受光された画素信号の信号列からなる信号)に光電変換して出力する撮像素子(CCD(Charge Coupled Devices)、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等)、撮像素子から出力された画像信号(アナログ信号)に所定のアナログ信号処理を施す信号処理回路等からなっている。また、撮像制御部19から与えられる制御信号に基づいて駆動電力が供給されて、ズームモータ、オートフォーカス(AF)モータ、絞りモータが駆動され、レンズのズーム倍率、絞り径およびフォーカス状態を変化させることができる。ここで、光学ズームやオートフォーカスは、ステッピングモータ方式、リニアモータ方式など、いかなる方式でもよい。
【0028】
撮像制御部19は、設定されたズームの変倍率、絞りに応じて各モータを駆動するように制御信号を撮像部20へ与えるとともに、撮像部20から得た画像信号(アナログ信号)をデジタル画像信号へ変換して、画像データとして出力する。
上記の撮像部20や撮像制御部19は、生体情報の測定に利用しないのであれば、備えなくてもかまわない。
【0029】
マイク21は端末装置1の送話部として機能し、レシーバ22は端末装置1の受話部として機能する。通信相手の端末装置から発せられた電磁波は、アンテナ11により電流変化に変換されて通信部12に入力され、通信部12によって復調され、レシーバ22や表示部16を通して情報としてユーザに伝達される。
また、ユーザより発せられた情報は、操作部14やマイク21を通して通信部12に入力され、通信部12により変調され電流変化としてアンテナ11に入力される。そして、アンテナ11によって電流変化は電磁波に変換されて送出されて通信相手の端末装置で受信される。
このマイク21やレシーバ22は、この端末装置1が通話を行わない、または、音声による操作指示や生体情報の入出力に利用しないのであれば、備えなくてもかまわない。
【0030】
時計23は、現時点での日時を取得するだけでなく、予め設定した間隔あるいは時刻に割り込みを発生させて所定のプログラムを実行させる。
【0031】
電源制御部24は、電源コンバータを用いて入力電源を端末装置1で使用できる電力に変換して端末装置1の各部へ供給するとともに、蓄電池25へ充電する。
この電源コンバータは、AC−DCコンバータ、DC−DCコンバータ、AC−ACコンバータのいずれであってもよく、少なくとも1つ以上の出力、例えば、電圧や電流の変換(コンバート)を行う。また、この電源コンバータは、入力電圧を昇圧、降圧、反転する機能を持つなどいかなる種類でもよい。
【0032】
端末装置1の各部へ供給する蓄電池は、1つ以上の蓄電池であってよく、それぞれの蓄電池の種類や容量は同一でなくてもよい。この蓄電池の種類は、鉛電池、ニッケル亜鉛蓄電池、ニカド蓄電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池、リチウムポリマー電池、アルカリ蓄電池、キャパシタ、コンデンサ等、いかなる種類でもよい。さらに、電源は、電源コンバータからの電力供給だけではなく、振動や体温などにより発電して供給するようにしてもかまわない。
また、電源制御部24は、蓄電池25にも接続されており、電源コンバータからの電力が供給されていないときには、この端末装置1の各部への電力供給を行う。
【0033】
生体情報測定用センサ部26は、測定する生体情報によってそれぞれ異なるセンサを用いても良く、公知の技術を用いて構成されるもので、例えば、発光ダイオードと受光ダイオードを備え、動脈血管での反射・透過光を解析することにより血圧を測定したり、あるいは、動脈血管を含む生体組織の吸光度を測定することによって血中酸素飽和度等を測定して、測定されたそれぞれの生体情報を主制御部10へ通知する。ここで、生体情報測定用センサ部26の各センサへ電力を供給するそれぞれの蓄電池は、測定中に動作ができなくなることがないように充分な容量を持つものとする。
【0034】
上述した端末装置に組み込まれた生体情報測定用センサ部26を動作させるときに、他の機能が動作していると、その機能から生ずるノイズが影響して生体情報の正確な測定値が得られなくなる恐れがでてくる。
本実施形態1の端末装置では、このノイズによる不正確な生体情報の測定を回避するために、主制御部10は、生体情報の測定中にノイズを発生している、次に示したような機能や機器のうち、測定に必要な最小限の機能や機器を動作または一時停止状態から復帰させ、その他の機能や機器を一時的に停止させて、測定中に必要としなくなった機能や機器の動作を一時的に停止させる。また、主制御部10は、生体情報の測定が終了すると、一時的に停止していた前記の機能や機器を停止前の状態に復帰させる。
【0035】
(1)通信部を停止する。
生体情報の測定中は、通信部12の動作の停止、電波の送信を停止、電源を遮断することで、通信部12によるノイズの発生を防止する。ただし、外部センサと連携して測定するなど、測定中に通信部12を必要とする場合は除く。さらに、通信部が複数ある場合には、それらは個々に制御することができる。
【0036】
(2)充電を停止する。
図2に示す回路を設け、生体情報の測定中は、電源制御部24のうち充電を制御する回路をOFFにすることで、充電中に引き起こされるノイズの発生を防止する。
この図2の回路は、電源コンバータからの入力電源を利用する場合には、切替スイッチSWを入力電源側に切り替えることによって、各回路へ電力を供給する。また、蓄電池32から電力を供給するときには、切替スイッチSWを蓄電池32側へ切り替えることによって各回路へ電力を供給する。さらに、切替スイッチSWを閉じて、入力電源を充電制御回路31へ供給すると、蓄電池32へ蓄電される。充電制御回路31と蓄電池32との間には逆流防止用のダイオードが接続されており、蓄電池32の出力が入力側に逆流しないようにしてある。この逆流防止方法はこれに限定されるものではない。
【0037】
(3)電源コンバータを停止する。
生体情報の測定中は、電源コンバータ34への入力を遮断することで、電源コンバータ34によるノイズの発生を防止する。しかし、センサによる測定はしなければならないので、電源コンバータ34からの出力全部または一部に蓄電池36を設け、電源コンバータ34への入力遮断中でも、センサへの電力の供給を可能とする(図3参照)。
【0038】
図3の回路では、入力電源から電源コンバータ(DC−DCコンバータ)34との間に切替スイッチSWを設け、さらに各出力の電圧によって、逆流防止用ダイオード35を介して各蓄電池36と接続し、各蓄電池36からそれぞれに対応する各部へ電力を供給する。この逆流防止方法は、上記同様にこれに限定されるものではない。また、蓄電池36は、鉛電池、ニッケル亜鉛蓄電池、ニカド蓄電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池、リチウムポリマー電池、アルカリ蓄電池、キャパシタ、コンデンサ等、いかなる種類でもよい。
【0039】
さらに、電源コンバータ34も、入力電源や蓄電池36からの出力に応じて、AC−DCコンバータ、DC−DCコンバータ、AC−ACコンバータのいずれであってもよく、少なくとも1つ以上の出力、例えば、電圧や電流の変換(コンバート)を行う。また、この電源コンバータは、入力電圧を昇圧、降圧、反転する機能を持つなどいかなる種類でもよい。
これにより、生体情報の測定中は、この切替スイッチSWを遮断しておくことで、電源コンバータによるノイズの発生を防止する。
また、図4の回路を用いて、上記の充電と電源コンバータをまとめて停止するように構成してもよい。
【0040】
(4)表示に関する機能を停止する。
生体情報の測定中は、表示制御部15や表示部16の電源を遮断、表示用照明部17の電源を遮断、あるいは、両方の電源を遮断することで、表示に関するノイズの発生を防止する。但し、測定中にユーザの確認作業が必要であるなど、測定中に表示が必要な場合などは電源の遮断を行わない。
【0041】
(5)撮像に関する機能を停止する。
生体情報を測定中は、撮像部20をOFFにすることで、撮像部によるノイズの発生を防止する。ただし、測定中に撮像することが必要な場合は除く。
また、測定中には撮像部20の光学ズーム、オートフォーカスを停止することで、光学ズーム、オートフォーカスによるノイズの発生を防止する。ただし、測定中に撮像部の光学ズーム、オートフォーカスが必要な場合は除く。
【0042】
次に、図5に示したフローチャートを用いて、実施形態1に係る端末装置で生体情報を測定するときの処理手順を説明する。
ユーザは、操作部14あるいは通信部12を介して、生体情報測定アプリケーションの実行開始を指示すると、端末装置1は、生体情報測定アプリケーションを起動させる(ステップS1)。
主制御部10は、この生体情報測定アプリケーションが測定に必要な機能や機器に関する情報を記憶部18から取得し(ステップS2)、この測定に必要な機能や機器を除いて、ノイズを発生する機能や機器を一時停止させて、それらが全て停止するまで待つ(ステップS3、S4)。ここで、一時停止させた機能や機器に関する情報は、一時的に記憶部18へ記憶しておく。
【0043】
主制御部10は、ノイズを発生する機能や機器が全て一時停止すると、生体情報の測定を開始させて、測定の完了を待つ(ステップS5、S6)。
主制御部10は、測定が完了すると、記憶部18に記憶してあった一時停止させていた機能や機器の実行を停止前の状態に復帰させ(ステップS7)、生体情報測定アプリケーションを終了し(ステップS8)、次のユーザが指示を入力するまで待機する。
【0044】
上記ステップS2乃至S6において、複数の生体情報を測定する場合には、各生体情報の測定に必要な最低限度の機能や機器だけを動作させ、その他の機能や機器を一時的に停止させ、測定途中で、必要としなくなった機能や機器の動作を一時的に停止させるように制御する。
例えば、1回の測定中に複数の種類の測定(例えば、血圧、脈拍など)が行われるとき、測定開始時にはすべての通信部を必要とせず、途中で、例えば、Bluetoothによる通信部を必要とする測定がある場合にはその通信部を動作させ、その測定が終了するとその通信部を一時停止させ、その後他の種類の測定を行い、一連の測定を終了させる。
【0045】
<実施形態2>
次に、上記実施形態1における生体情報測定センサ部の一部あるいは全部が端末装置とは別体となっている実施形態2について説明する。
図6は、本発明の実施形態2に係る通信端末を示すブロック図である。図6において、端末装置1は、主制御部10、アンテナ11、通信部12、通信制御部13、操作部14、表示制御部15、表示部16、表示用照明部17、記憶部18、撮像制御部19、撮像部20、マイク21、レシーバ22、時計23、電源制御部24、蓄電池25、生体情報測定用センサ部26、外部機器制御用アンテナ27、外部機器制御用通信部28、外部機器制御部29を含んで構成されている。
このうち、生体情報を測定するセンサを端末装置1に備えていない場合には、生体情報測定用センサ部26を備えなくてもよい。
【0046】
図6において、図1と同じ機能については同じ符号を付して説明を省略する。
アンテナ11、通信部12、通信制御部13は、例えば、携帯電話機等の端末装置との無線通信に用いる。
一方、外部機器制御用アンテナ27、外部機器制御用通信部28、外部機器制御部29は、外部機器との無線通信に使われる。本実施形態2では、この通信により、本端末装置1に備えていない生体情報計測装置と当該端末装置とで生体情報の授受を行うものである。この無線通信には、例えば、Bluetoothや赤外線通信等の近距離無線が使われる。
【0047】
次に、図7に示したフローチャートを用いて、実施形態2に係る端末装置で生体情報を測定するときの処理手順を説明する。
ユーザは、操作部14あるいは通信部12を介して、生体情報測定アプリケーションの実行開始を指示すると、端末装置1は、生体情報測定アプリケーションを起動させる(ステップS11)。
主制御部10は、この生体情報測定アプリケーションが測定に必要な機能や機器に関する情報を記憶部18から取得する(ステップS12)。
取得した機能や機器が当該端末装置以外に存在するのであれば、それらの機能や機器へ一時停止信号と一時停止の時間を送信し、全て送信が終了するまで待つ(ステップS13、S14)。
さらに、取得した機能や機器が当該端末装置のものであれば、復帰するまでの時間を時計23に設定する(ステップS15)。
【0048】
主制御部10は、ノイズを発生する当該端末装置の機能や機器を一時停止させるとともに、生体情報測定装置に測定開始信号を送信し、受信完了信号が返信されるまで待つ(ステップS16)。ここで、一時停止させる機能や機器に関する情報は一時的に記憶部18へ記憶しておく。
生体情報測定装置から受信完了信号が返信されると、時計23によるタイマーのカウントを開始し(ステップS17)、指定した時間となるまで待つ(ステップS18)。
このように、生体情報を取得する間、時計によるタイマーが起動しているが、このような回路によるノイズは微々たるもので生体情報の測定には影響しないものと考えられる。
【0049】
主制御部10は、タイマーによる一時停止が終了すると、記憶部18に記憶してあった一時停止させていた機能や機器の実行を停止前の状態に復帰させ(ステップS19)、生体情報測定装置からの生体情報の測定結果が送られてくるのを待つ(ステップS20)。
送られてきた測定結果を表示部16へ表示したり、ユーザの指示に応じて、記憶部18へ保存したり、他の端末装置へ通信部12を介して送信し(ステップS21)、生体情報測定アプリケーションを終了し(ステップS22)、次のユーザが指示を入力するまで待機する。
【0050】
一方、生体情報測定装置は、端末装置1と接続し、計測開始信号を受信すると、受信完了信号を返信する(ステップS31)。
続いて、生体情報の計測を開始し、測定が完了すると(ステップS32、S33)、計測結果を端末装置1へ送信し(ステップS34)、生体情報の測定を終了して、次に計測開始信号を受信するまで待つ。
【0051】
上記の生体情報測定装置が複数個ある場合には、生体情報測定装置のいずれかが動作中には、その生体情報測定装置で生体情報を測定するのに必要な最低限度の当該端末装置の機能や機器だけを動作させ、その他の機能や機器を一時的に停止させ、測定途中で、必要としなくなった機能や機器の動作を一時的に停止させるように制御する。
【0052】
<実施形態3>
実施形態3では、端末装置に接続された生体情報測定装置以外の周囲の外部機器から発生し、この生体情報測定装置へ影響を与えるノイズを低減させるものである。ただし、測定中に必要な周囲の外部機器は除く。
このような外部機器としては、テレビ、動画配信用セットトップボックス、ラジオ、携帯電話、PHS、固定電話、IP電話、無線ルータ、通信モデム、エアコン、空気清浄機、掃除機、音響機器、パソコン、プリンタ、複写機、ファクシミリ、電子レンジ、トースター、オーブン、IHクッキングヒーター、ハロゲン調理器、洗濯機、乾燥機等がある。
【0053】
実施形態3の構成図は、実施形態1および2で示した図1または図6と同じである。
さらに、周囲の外部機器を動作、停止および復帰させる制御信号の伝送手段は、有線通信、無線通信、人体通信など、いかなる伝送手段であってもよい。
【0054】
次に、図8に示したフローチャートを用いて、実施形態3に係る端末装置で生体情報を測定するときの処理手順を説明する。
ユーザは、端末装置1の操作部14あるいは通信部12を介して、生体情報測定アプリケーションの実行開始を指示すると、端末装置1は、生体情報測定アプリケーションを起動させる(ステップS41)。
主制御部10は、この生体情報測定アプリケーションが測定に必要な機能や機器に関する情報を記憶部18から取得する(ステップS42)。
取得した機能や機器が当該端末装置以外の外部機器の機能や機器であれば、それらの外部機器の機能や機器へ一時停止信号と一時停止の時間とを送信し、受信完了信号がすべて返信されるまで待つ(ステップS43、S44)。
【0055】
主制御部10は、すべての受信完了信号が返信されると、生体情報の測定を開始し、測定の終了を待つ(ステップS45,S46)。この生体情報の測定は、端末装置1に備えられた生体情報測定用センサ部26や外部機器制御用通信部28を介して接続した生体情報測定装置で行われ、測定結果がそれぞれから返信される。
得られた生体情報の測定結果を表示部16へ表示したり、ユーザの指示に応じて、記憶部18へ保存したり、他の端末装置へ通信部12を介して送信し(ステップS47)、生体情報測定アプリケーションを終了し(ステップS48)、次のユーザが指示を入力するまで待機する。
【0056】
一方、端末装置1から一時停止信号と一時停止時間を受信した外部機器は、受信完了信号を返信するとともに、一時停止時間を時計へ設定する(ステップS51)。
ノイズを発生する当該機器の機能を一時停止させるとともに(ステップS52)、時計へ設定したタイマーのカウントを開始し(ステップS53)、指定した時間となるまで待つ(ステップS54)。ここで、一時停止させる機能に関する情報は一時的に記憶部へ記憶しておく。
タイマーによる一時停止が終了すると、記憶部18に記憶してあった一時停止させていた機能の実行を停止前の状態に復帰させる(ステップS55)。
このように、生体情報を取得する間、外部機器においても時計によるタイマーが起動しているが、このような回路によるノイズは微々たるもので生体情報の測定には影響しないものと考えられる。
【0057】
上記の生体情報測定装置が複数個ある場合には、生体情報測定装置のいずれかが動作中には、その生体情報測定装置で生体情報を測定するのに必要な最低限度の当該端末装置の機能や外部機器だけを動作させ、その他の機能や外部機器を一時的に停止させ、測定途中で、必要としなくなった機能や外部機器の動作を一時的に停止させるように制御する。
【0058】
本発明は、上述した実施形態のみに限定されたものではない。上述した実施形態の端末装置を構成する各機能をそれぞれプログラム化して、予め記録媒体に書き込んでおき、この記録媒体に記録されたこれらのプログラムを当該装置に備えられたメモリあるいは記憶装置に格納し、そのプログラムを実行することによって、本発明の目的が達成されることは言うまでもない。この場合、記録媒体から読み出されたプログラム自体が上述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムおよびそのプログラムを記録した記録媒体も本発明を構成することになる。
また、上記プログラムは、そのプログラムの指示に基づき、オペレーティングシステムあるいは他のアプリケーションプログラム等と共同して処理することによって上述した実施形態の機能が実現される場合も含まれる。
【0059】
なお、上述した実施形態の機能を実現するプログラムは、ディスク系(例えば、磁気ディスク、光ディスク等)、カード系(例えば、メモリカード、光カード等)、半導体メモリ系(例えば、ROM、不揮発性メモリ等)、テープ系(例えば、磁気テープ、カセットテープ等)等のいずれの形態の記録媒体で提供されてもよい。あるいは、ネットワークを介して記憶装置に格納された上記プログラムをサーバコンピュータから直接供給を受けるようにしてもよい。この場合、このサーバコンピュータの記憶装置も本発明の記録媒体に含まれる。
このように、上述した実施形態の機能をプログラム化して流通させることによって、コストの低廉化、および可搬性や汎用性を向上させることができる。
【0060】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で各種の変形、修正が可能であるのは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】実施形態1に係る端末装置を示すブロック図である。
【図2】電源制御部の回路図である(充電の遮断回路)。
【図3】電源制御部の他の回路図である(電源コンバータの動作の遮断回路)。
【図4】電源制御部の他の回路図である(図2および図3の遮断回路の統合回路)。
【図5】実施形態1に係る端末装置で生体情報を測定するときの処理手順を説明するフローチャートである。
【図6】実施形態2に係る端末装置を示すブロック図である。
【図7】実施形態2に係る端末装置で生体情報を測定するときの処理手順を説明するフローチャートである。
【図8】実施形態3に係る端末装置で生体情報を測定するときの処理手順を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0062】
1…端末装置、10…主制御部、11…アンテナ、12…通信部、13…通信制御部、14…操作部、15…表示制御部、16…表示部、17…表示用照明部、18…記憶部、19…撮像制御部、20…撮像部、21…マイク、22…レシーバ、23…時計、24…電源制御部、25…蓄電池、26…生体情報測定用センサ部、27…外部機器制御用アンテナ、28…外部機器制御用通信部、29…外部機器制御部、31…充電制御回路、32…蓄電池、34…電源コンバータ、35…逆流防止用ダイオード、36…蓄電池、SW,SW,SW…切替スイッチ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体情報測定装置へ影響を与えるノイズを発生する機能や機器に関する情報を取得し、該生体情報測定装置で生体情報を測定中には、測定に必要な最小限の前記機能や機器を動作または一時停止状態から復帰させ、その他の前記機能や機器を一時的に停止させる制御部を備え、ノイズによる不正確な生体情報の測定を回避することを特徴とする端末装置。
【請求項2】
請求項1に記載の端末装置において、前記制御部は、測定中に必要としなくなった前記機能や機器の動作を一時的に停止させることを特徴とする端末装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の端末装置において、前記制御部は、前記生体情報測定装置における生体情報の測定が終了すると、一時的に停止していた前記機能や機器を停止前の状態に復帰させることを特徴とする端末装置。
【請求項4】
請求項1、2または3に記載の端末装置において、前記機能や機器は、通信部であることを特徴とする端末装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の端末装置において、前記機能や機器は、充電制御部であることを特徴とする端末装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の端末装置において、前記機能や機器は、電源コンバータであることを特徴とする端末装置。
【請求項7】
請求項6に記載の端末装置において、前記制御部は、生体情報の測定中は電源コンバータへの入力を遮断することを特徴とする端末装置。
【請求項8】
請求項7に記載の端末装置において、前記電源コンバータへの入力遮断中でも測定に必要な動作を行うために、当該電源コンバータからの出力全部または一部に蓄電池を設け、測定中でも電力の供給を可能とすることを特徴とする端末装置。
【請求項9】
請求項8に記載の端末装置において、前記電源コンバータからの蓄電池を設けた一部の出力は、少なくとも前記生体情報測定装置への出力を含むことを特徴とする端末装置。
【請求項10】
請求項6乃至9のいずれかに記載の端末装置において、前記電源コンバータからの出力は、少なくとも1つ以上であることを特徴とする端末装置。
【請求項11】
請求項6乃至10のいずれかに記載の端末装置において、前記電源コンバータからの出力は、電圧、電流のうち少なくとも1つを変換(コンバート)することを特徴とする端末装置。
【請求項12】
請求項6乃至11のいずれかに記載の端末装置において、前記蓄電池は、測定中に動作ができなくなることがないよう充分な容量を有することを特徴とする端末装置。
【請求項13】
請求項6乃至12いずれかに記載の端末装置において、前記蓄電池の容量は、同一でなくともよいことを特徴とする端末装置。
【請求項14】
請求項6乃至13のいずれかに記載の端末装置において、前記蓄電池の種類は、同一でなくてもよいことを特徴とする端末装置。
【請求項15】
請求項1乃至14のいずれかに記載の端末装置において、前記機能や機器は、表示に関連した機能や表示装置であることを特徴とする端末装置。
【請求項16】
請求項1乃至15のいずれかに記載の端末装置において、前記機能や機器は、撮像部であることを特徴とする端末装置。
【請求項17】
請求項16に記載の端末装置において、前記機能や機器は、撮像部の光学ズームやオートフォーカスであることを特徴とする端末装置。
【請求項18】
請求項1乃至17のいずれかに記載の端末装置において、前記機能や機器は、周囲の外部機器であることを特徴とする端末装置。
【請求項19】
請求項18に記載の端末装置において、前記周囲の外部機器を動作、停止および停止前の状態に復帰させる制御信号の伝送手段は、有線通信、無線通信、人体通信のいずれか、あるいは任意の組み合わせからなることを特徴とする端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−151941(P2007−151941A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−353770(P2005−353770)
【出願日】平成17年12月7日(2005.12.7)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】