説明

簡易プリンタの冷圧式転写定着

【課題】乾式電子写真方式プリンタの転写及び定着ステップを1つに結合し、転写用電場の必要性をなくするためのシステムを提供する。
【解決手段】画像は、光導電体16から用紙24または他の適切な基材へ直に転写定着される。このステップの間、用紙上にトナーを冷圧式に定着させるために、基材のタイプ及びトナーのタイプを考慮して適切な圧力が加えられる。冷圧式転写定着は、中間転写ベルト(ITB)なしに受光体から直に行われることが可能であり、全ての静電転写サブシステム及び定着作業がなくされる。或いは、中間転写ベルト(ITB)を使用するエンジンの場合、冷圧式転写定着が、必要とされる第2の転写及び定着システムに取って代わることも可能である。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
米国特許第3,988,061号は、基材上の画像パターン内に沈着されるトナー粉末が熱ではなく圧力を印加することによって所定位置に定着され得ることを開示している。これは、通常は十分な定着を保証するには不十分な程度の圧力を印加することによって行われるが、この処置を1回または複数回反復することによって十分な定着が達成される。また米国特許第3,854,975号も、2つの硬質表面ロールによって生じる圧力を使用して基材上へトナー粒子を定着させる定着技術を開示している。提案されている別のプロセスは、熱の印加と組み合わせて硬質表面ロール間に基材を通す。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
本開示によれば、乾式電子写真方式プリンタの乾式電子写真方式転写及び定着ステップを1つに結合し、並びに転写用電場の必要性をなくするためのシステムが示されている。画像は、光導電体から用紙または他の適切な基材へ直に転写定着される。このステップの間、用紙上にトナーを冷圧式に定着させるために、基材のタイプ及びトナーのタイプを考慮して適切な圧力が加えられる。高い圧力、適切な光導電表面及び適切なトナーは、転写電場の必要性をなくする。
【0003】
冷圧式転写定着は、中間転写ベルト(ITB)なしに感光体から直に行われることが可能である。これは、全ての静電転写サブシステムをなくし、かつ定着作業もなくする。代わりに、これは冷圧式の直接転写定着に置換される。或いは、中間転写ベルトを使用するエンジンの場合、冷圧式転写定着が、必要とされる第2の転写及び定着システムに取って代わることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【図1】本開示による冷圧式転写定着(CPX)乾式電子写真方式システムを示す略図である。
【図2】本開示による中間転写ベルトを有するプリンタシステムにおける代替CPXアーキテクチャを示す。
【発明を実施するための形態】
【0005】
図1を参照すると、概して12で示される回転ドラムは矢印14で示される時計方向へ回転される。ドラムは、16で示される層または適切な光導電層の外面を支持している。このシステムが、ドラム、エンドレスな光導電性ウエブまたは他の任意の適切な形状である可能性もあることは留意されるべきである。
【0006】
冷圧式転写定着の動作順における第1のステップにおいて、18で示される充電器は光導電性表面16へ静電荷を与える。荷電表面16は、20で示されるラスタ出力スキャナ等の光学素子によって投影される画像へ露光される。画像は次に、21で示される現像装置によるトナーの適切な付着によって光導電性表面に現像される。22で示されるトナー画像は、次に、概して圧力ローラ26で示される冷圧転写定着ステーション及びドラム12と圧力ローラ26との係合により形成されるニップへと移送され、Fと記された垂直の矢印により示されるように用紙上へ冷圧が加えられる。
【0007】
圧力ローラ26とドラム12との係合は、画像22を用紙等の適切な基材上へ圧着し、または定着させる。矢印30により示されるように右から左へ移動する用紙は、用紙経路24に沿ってステーション26へ運ばれ、32で示される画像をニップ内で受容して出力トレイまたは他の適切な最終トレイまで運ばれる。従って、画像化及び用紙上への画像の定着はこの単一ステージで完了されている。
【0008】
乾式電子写真方式において他に必要な唯一のステップは、次の画像のためにトナーのない表面を提供するために34で示されるブレードが光導電性表面16から36で示される過剰なトナーを掃引する標準的なクリーニング処置である。最終ステップでは、38で示される消去ランプが光導電層16を均一に放電し、次の荷電及び画像化サイクルの開始のために上記層をベース状態に設定する。
【0009】
CPXに必要とされるドラム12と圧力ローラ26とのニップにおける圧力は、典型的には、有機光導電体(または光導電層)及び互換トナーとの適合性がある室温で3kpsiから6kpsiまでの範囲である。冷圧式転写定着にとって重要な要件は、温度、光導電材料及びトナー材料に対する冷圧の程度の適合性である。
【0010】
光導電体の暖機は、圧力、トナー及び光電導性表面の適切な混合に関する1つの考慮事項であり得る。例えば、より低い圧力及び/またはより優れた定着レベルは、光導電体が室温より高い温度(20゜Cから150゜Cまでの範囲内)まで暖められれば可能である。
【0011】
また、従来の有機光導電体は、高温環境では動作することができない。これらは、60゜Cという低温で劣化する傾向がある。これに対して、アモルファスシリカドラムは、温度200゜Cでの貯蔵後でもその動作特性を保つことができる。より高い光導電体温度の場合、アモルファスシリカ光導電体が好適である。
【0012】
転写プロセスには電場が関わらないことから、印刷基材として導電フィルム及び導電材料の使用が可能である。さらに、転写は基材の詳細な電気特性とは独立したものになり、基材、環境及び材料の経時変化に対する多大な寛容度がもたらされる。CPXのさらなる優位点は、従来の乾式電子写真方式の転写技術とは対照的に、極厚基材も印刷用に良好に使用できることにある。乾式電子写真方式のシステムはサブシステム間の折衷による複雑なセットである場合が多いが、CPXは、このバランスをシフトして遙かにロバストな全体システムを生み出す機会を提供する。
【0013】
従来の乾式電子写真方式フューザは、基材が燃える、または容融する可能性があるという理由で極薄基材には適さない。しかしながら、CPXは薄膜基材を扱うことができ、かつ薄い基材及び金属基材の両方に適し、任意の製品または印刷システムにおける基材としての選択肢が広がる。
【0014】
図2を参照すると、フルカラープリンタにおける冷圧転写定着システムの第2の実施形態の略図が示されている。具体的には、4つの別々の現像剤ステーション、即ち42で示される黒のトナーを現像するためのステーションと、44で示されるシアンのトナーを現像するためのステーションと、46で示されるマゼンタのトナーを現像するためのステーションと、48で示されるイエローのトナーを現像するためのステーションとを含む、概して40で示されるカラープリンタが示されている。これらのステーションは、「第1の転写」と記されている第1の、または従来の転写動作を表している。
【0015】
これらの現像剤は、ベルト駆動装置52によって駆動される、50で示されるようなエンドレス光導電体ベルトに沿って位置づけられる。このベルトは、このタイプの印刷アーキテクチャにおける第1の転写動作のための、矢印ITBで記述される中間転写ベルトである。黒、シアン、マゼンタ及びイエローの各トナー現像剤からのトナーは、ベルトが矢印54の方向へ移動するにつれて、従来の静電場環境においてベルトへ誘引される。中間転写ベルト沿いには、不図示の適切なクリーニングステーションも包含される。
【0016】
しかしながら、このタイプのプリンタアーキテクチャにおける第2の転写ステーションでの標準的な静電場の代わりに、この実施形態は、概して56に、矢印「CPXロール」とも記述されている本開示による冷圧式転写定着(CPX)ステーションを示している。具体的には、1対のCPXロール58及び60がニップを形成し、62で示される用紙がニップを通って64で示される出力ステーションまたは最終ステーションへ進むにつれてベルト50上の現像された画像が用紙へ定着される。なお、ロール58及び60のニップにおいて静電場は不要である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾式電子写真方式のコピー機において現像されたトナー画像をコピーシートへ定着するために使用する冷圧式定着装置において、このコンビネーションは、
前記コピー機に取り付けられる光導電体であって、前記光導電体へ駆動手段が動作可能式に接続され、前記光導電体は現像されたトナー画像を支持する光導電体と、
前記コピー機に取り付けられる圧力ロールであって、前記圧力ロールは前記光導電体と圧力式に接触し、前記圧力ロール及び光導電体はニップを形成する圧力ロールと、
前記光導電体から現像されたトナー画像を受け入れるために前記ニップへ進入するコピーシートであって、前記コピーシートは前記現像されたトナー画像が前記コピーシートへ定着された状態で前記ニップを出るコピーシートとを備え、
前記圧力ロールは、前記現像されたトナー画像を前記コピーシートへ定着するためにトナー材料との関連で適切な圧力を提供する冷圧式定着装置。
【請求項2】
前記トナー画像を前記コピーシート上へ定着するための適切な圧力は温度及びコピーシートのタイプに関連している、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
有機光導電体を備え、前記ニップにおける圧力は室温で1kpsiから6kpsiまでである、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記ニップにおける圧力は比較的低く、かつ前記光導電体は室温より高い温度まで暖められる、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
高温に耐え得る受光体材料を備え、かつ前記圧力ロールまたは光導電体の少なくとも1つの温度は比較的高い、請求項2に記載の装置。
【請求項6】
乾式電子写真方式のコピー機において現像されたトナー画像を基材へ定着するために使用する冷圧式定着装置において、このコンビネーションは、
前記コピー機に取り付けられる光導電体であって、前記光導電体の表面は現像されたトナー画像を支持する光導電体と、
前記コピー機に取り付けられる圧力ロールであって、前記圧力ロールは前記光導電体と接触し、前記圧力ロール及び光導電体表面は現像されたトナー画像を基材へ固定するためのニップを形成する圧力ロールと、
現像されたトナー画像を前記基材へ固定するために前記ニップに圧力を加えるための圧力制御装置とを備え、
前記圧力ロールは、前記現像されたトナー画像を前記基材へ固定するために、圧力を基材のタイプ及びトナー材料の関数として与える冷圧式定着装置。
【請求項7】
前記ニップにおける圧力は温度の関数である、請求項8に記載の装置。
【請求項8】
有機光導電体表面を含み、前記圧力は室温で1kpsiから6kpsiまでである、請求項8に記載の装置。
【請求項9】
前記ニップにおける圧力は比較的低く、かつ前記光導電体は室温より高い温度まで暖められる、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
高温に耐え得る受光体材料を備え、かつ前記ニップロールの少なくとも一方の温度は比較的高い、請求項8に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−18397(P2012−18397A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−138684(P2011−138684)
【出願日】平成23年6月22日(2011.6.22)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】