説明

簡易温室の自動開閉ドア装置

【課題】簡易温室の出入り口を人や車両等が出入りする際に引き戸が自動的に開いて人や車両等の通行を許容し、一定時間後に自動的に閉じる自動開閉ドア装置を提供する。
【解決手段】レール4に乗って回転しドア開閉用の推進力を発生する駆動ローラ5と、駆動ローラ5を回転する小型モータ6と、小型モータ6の駆動を制御するコントローラと、引き戸2の全開位置および全閉位置を検出する位置検出手段7、8とがケーシング9に設備されてユニット3が構成されている。ユニット3は、ケーシング9の取付用腕部材11により、駆動ローラ5がレール4に乗る姿勢で引き戸2の最後部に取り付けられている。小型モータ6へ電源を提供する手段、引き戸2の全開位置および全閉位置を位置検出手段7、8へ提供する位置決め手段12、13、小型モータ4の駆動を制御するコントローラへ少なくとも開信号を提供する開指令発信手段14、15、16が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、農業用簡易温室又はこれに類する各種の温室や建屋(以下、簡易温室と総称する。)の出入り口を開閉する引き戸を対象とする自動開閉ドア装置の技術分野に属し、更にいえば、簡易温室の出入り口を人や車両等が出入りする際に引き戸が自動的に開いて人や車両等の通行を許容し、一定時間後に自動的に閉じる自動開閉ドア装置の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来、簡易温室の出入り口は、温室効果を低下させないように各種形式の開閉自在なドアを設置して気密性を高めている(例えば下記の特許文献1を参照)。ただし、既往のドアは、出願人が知り得るかぎり、手動操作により開閉する構成になっている。それは簡易温室であるが故に、その費用対効果として、および設置する環境が一般の住宅やビルの出入り口や窓等のように整った場所ではなく、極端に言えば、風雨に晒され、土埃の立つような場所であるから、一般の住宅やビルに採用されている高価で精緻な全自動ドア(例えば下記の特許文献2、3を参照)を適用する条件に当てはまらないからであろう。
【0003】
しかし、現実問題として、簡易温室の出入り口を自動開閉する自動開閉ドア装置の必要性は極めて高い。というのも簡易温室へ出入りする人達は、通例、その片手ないし両手になにがしらの手荷物や道具類を持っており、ドアを手動操作で開閉するには、その手が塞がっていることが多い。そのため収穫物や肥料類、あるいは農耕具類を手にして簡易温室へ出入りする人達は、手に持った収穫物や肥料類、あるいは農耕具類を一旦地面に下ろしてドアを手動操作により開け、前記の手荷物を手に持って出入りを行い、出入りの目的を達した後には、再び手荷物類を下ろしてドアを閉じる手動操作を行なわねばならず、まことに面倒で手間と時間の掛かる手順と動作が要求されている。この点は手押し台車を押したり、耕耘機や小型トラックなどに乗って簡易温室へ出入りする場合でも全く同じである。ドアを開いたり閉じる度に手押し台車を置いて、又は耕耘機機や小型トラックからいちいち降りて操作しなければならない。
【0004】
【特許文献1】特開平11−243790号公報
【特許文献2】特開2005−256411号公報
【特許文献3】特開2001−329756号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した次第で、簡易温室の出入り口を自動開閉する自動開閉ドア装置の必要性は極めて高く、利用価値はすこぶる大きい。しかし、簡易温室であるが故の費用対効果を満足させるためには、安価で、安全で、簡易、軽便に使用できて使い勝手の良いものであることが望まれる。ところが、前記の要望を満たすような自動開閉ドア装置は未だ実用化するに至っておらず、早急なる開発と実用化が望まれている。
【0006】
したがって、本発明の目的は、簡易温室の出入り口を自動開閉する用途に適し、しかも簡易温室の費用対効果を満足させる程度に安価で、安全で、簡易、軽便に使用できて使い勝手が良い自動開閉ドア装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する手段として、請求項1に記載した発明に係る簡易温室の自動開閉ドア装置は、
簡易温室1の出入り口を開閉する引き戸2の自動開閉ドア装置であって、
少なくとも引き戸2のレール4に乗って回転しドア開閉用の推進力を発生する駆動ローラ5と、前記駆動ローラ5を回転する小型モータ6と、前記小型モータ6の駆動を制御するコントローラ(CPU制御を含むもの)と、当該引き戸2の全開位置および全閉位置を検出する位置検出手段7、8とがそれぞれ共通のケーシング9に設備されてユニット3が構成されている。そして、前記ユニット3は、ケーシング9の取付用腕部材11により、前記駆動ローラ5がレール4に乗る姿勢で引き戸2の最後部(戸枠2A)に取り付けられている。
更に、前記小型モータ6へ電源を提供する手段、および引き戸2の全開位置および全閉位置を前記位置検出手段7、8へ提供する位置決め手段12、13、並びに前記小型モータ4の駆動を制御するコントローラへ少なくとも開信号を提供する開指令発信手段14、15、16が設けられている。
【0008】
請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した簡易温室の自動開閉ドア装置において、
小型モータ6へ電源を提供する手段は、外部電源を提供する電源線17の接続、又はユニット3へ搭載した若しくは搭載しない電源電池から成り、前記外部電源は商用電源又は太陽光発電装置である。
また、請求項3に記載した発明は、請求項1に記載した簡易温室の自動開閉ドア装置において、
前記小型モータ6の駆動を制御するコントローラへ開信号を提供する開指令発信手段は、利用者が手又は足で直接操作する接触型スイッチ14、16、若しくは人や物に反応する非接触型の赤外線スイッチや近接スイッチ15、又は携帯型のコントロールスイッチの少なくとも一種である。
更に、請求項4に記載した発明は、請求項1に記載した簡易温室の自動開閉ドア装置において、
引き戸2のレール4は、その横断面において中央部が高いハット型鋼状材で成り、駆動ローラ5は前記ハット型鋼状材で成るレール4の中高凸部4Aの上に跨る凹溝5aの両側に大径のフランジ部5b、5bを備え、摩擦係数が大きい合成樹脂で成形された両フランジ付き車輪である。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る簡易温室の自動開閉ドア装置は、その主要部として、引き戸2のレール4に乗って回転しドア開閉用の推進力を発生する駆動ローラ5と、前記駆動ローラ5を回転する小型モータ6と、前記小型モータ6の駆動を制御するコントローラ(CPU制御を含むもの)と、当該引き戸2の全開位置および全閉位置を検出する位置検出手段7、8とがそれぞれ共通のケーシング9に設備されてユニット3を構成し、このユニット3をケーシング9の取付用腕部材11、11により、前記駆動ローラ5がレール4に乗る姿勢で引き戸2を閉じる方向の最後部に取り付けて使用されるから、新設の又は既存する簡易温室1の引き戸2へ軽便に設置して簡易に安全に使用できる。
前記ユニット3以外には、小型モータ6へ電源を提供する手段(例えば電源線17)を設け、引き戸2の全開位置および全閉位置を前記位置検出手段7、8へ提供する位置決め手段12、13を所望位置へ設置し、更に前記小型モータ6の駆動を制御するコントローラへ開信号を提供する開指令発信手段14、15、16、の少なくとも一種を設けるだけで実施でき、すこぶる安価に、安全に実施できる。
しかも農地に建てられた環境の簡易温室1へその場所や環境を懸念することなく設置して簡易温室1の用途に即して便利に軽便に使用できる。
【0010】
本発明に係る簡易温室の自動開閉ドア装置は、上記した開信号を提供する開指令発信手段14、15、16を働かせることで、簡易温室1の出入り口を出入りする人達は両手に収穫物や肥料類、あるいは農耕具類を一杯持っていても、それらを地面に下ろすまでもなく、手荷物を持ったままの姿勢で速やかに自由に出入りできる。そして、出入り行動を完了した一定時間後に、引き戸2は自動的に閉じるので、温室効果が損なわれることもなく、何の面倒も手間も時間も掛けないで済み、農作業に励むことができ、農作業の効率を高められる。
この点は荷車を押したり、耕耘機や小型トラックに乗って簡易温室1へ出入りする場合でも全く同じであり、出入りの都度に耕耘機や小型トラックから降り乗りする必要をなくすることができる。
本発明に係る簡易温室の自動開閉ドア装置は、その主要部であるユニット3を、必要に応じて引き戸2に対する着脱を容易に簡単に行えるから、点検やメンテナンスに至便であるし、異なる簡易温室の出入り口を開閉する引き戸へ使い回すことも容易にできる自由度があり、その意味でも経済性が高い。
即ち、タイマーの設定時間を調整することで、ドアの規格が異なっても、簡易温室の用途や機能が異なる場合にも自在に対応できる。引き戸2の開閉推進力は駆動ローラ5の回転力と摩擦力に依存しているが、さして大きくはなく、仮に引き戸2に人や物が挟まっても安全な範囲の推進力に設計して実施でき、駆動ローラ5の空回り(スリップ)で安全性を図れる。勿論、緊急事態に備えて小型モータ6の駆動を止める回路も簡単に組み込めるし、電源を遮断すれば緊急避難ができる。
一方、小型モータ6の電源の供給自体が遮断される事故が生じた場合(例えば停電時など)でも、引き戸2は本来手動操作で開閉できる構成で設置されているから、簡易温室への出入りに困ることはない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
簡易温室1の出入り口を開閉する引き戸2の自動開閉ドア装置として実施する。
少なくとも引き戸2のレール4に乗って回転しドア開閉用の推進力を発生する駆動ローラ5と、前記駆動ローラ5を回転する小型モータ6と、前記小型モータ6の駆動を制御するコントローラ(CPU)と、当該引き戸2の全開位置および全閉位置を検出する位置検出手段7、8とを共通のケーシング9に設備してユニット3が構成される。このユニット3は、前記ケーシング9の取付用腕部材11、11により、前記駆動ローラ5がレール4に乗る姿勢で引き戸2を閉じる方向の最後部に取り付ける。
更に、前記小型モータ6へ電源を提供する手段、および引き戸2の全開位置および全閉位置を前記位置検出手段7、8へ提供する位置決め手段12、13、並びに前記小型モータ6の駆動を制御するコントローラへ少なくとも開信号を提供する開指令発信手段14、15、16の少なくとも一種を設置する。
【0012】
小型モータ6へ電源を提供する手段は、外部電源を提供する電源線17の接続、又はユニット3に搭載した若しくは搭載しない電源電池から成るものとし、前記外部電源は商用電源又は太陽光発電装置とする。
前記小型モータ6の駆動を制御するコントローラへ開信号を提供する開指令発信手段は、利用者が手又は足で直接操作する接触型スイッチ14、16、若しくは人や物に反応する非接触型の赤外線スイッチや近接スイッチ15、又は携帯型のコントロールスイッチとして実施する。
引き戸2のレール4は、その横断面において中央部が高いハット型鋼状材で成るものとし、駆動ローラ5は前記ハット型鋼状材で成るレール4の中高凸部4Aの上に袴って乗る凹溝5aの両側に大径のフランジ部5b、5bを備え、摩擦係数が大きい合成樹脂で成形された両フランジ付き車輪で実施する。
【実施例1】
【0013】
以下に、本発明を図示した実施例に基づいて説明する。
先ず図1は、簡易温室1(いわゆるビニルハウス)の出入り口が2枚の引き戸2、2で耕耘機や小型トラックの出入りが可能に大きく開閉される構成とされ、各引き戸2、2に自動開閉ドア装置が設備された実施例を示している。図中の符号3が自動開閉ドア装置の主要部を納めて構成したユニットである。このユニット3は、2枚の引き戸2、2を閉じる方向の最後部の戸枠2Aに取り付けている。これは2枚の引き戸2、2で簡易温室1の出入り口を開閉する構成であるため、ユニット3は、引き戸2を閉じる方向の最後部の戸枠2Aへ取り付けることで、図1のように全閉状態とされた場合に何ら支障を生じない構成とするためである。しかし、1枚の引き戸2のみで出入り口を開閉する構成の場合には、同引き戸2の開閉方向の前後いずれの端部にユニット3を取り付けても支障なく実施することができる。
【0014】
図2〜図4は、上記ユニット3の構造詳細を示している。このユニット3には、当該自動開閉ドア装置の主要な構成要素である、引き戸2のレール4上に乗って回転し引き戸2の開閉用推進力を発生する駆動ローラ5(図4を参考)と、前記駆動ローラ5を回転駆動する小型モータ6と、前記小型モータ6の駆動を制御するコントローラ(いわゆるCPU制御を含む構成のもの、その構成の図示は省略した。)と、当該引き戸2の全開位置および全閉位置を検出する位置検出手段(図示例はリミットスイッチ7、8)とを共通のケーシング9に設備してユニット化されている。前記リミットスイッチ7、8は、各々の位置検出用端子7A、8Aが引き戸2の開閉方向の前後に向いた配置で設置されている。図中の符号20は電源スイッチ、21はパイロットランプである。
【0015】
更に具体的に説明する。引き戸2のレール4は、図2に示した実施例では地面上に敷設された下レールであり、その横断面形状は、中央部が高いハット型鋼状材で構成されている。一方、駆動ローラ5は、前記ハット型鋼状材で構成したレール4の中高凸部4Aの上に跨って乗る凹溝5aの両側に大径のフランジ部5b、5bを備えた形態で、摩擦係数が大きい合成樹脂で成形された両フランジ付き車輪とされている。前記レール4と駆動ローラ5の組み合わせによれば、引き戸2は脱輪の虞のない安定走行を期待できる。駆動ローラ5は、ハット型鋼状材で成るレール4の中高凸部4Aの上に跨って乗る凹溝5aの両側に大径のフランジ部5b、5bを備え、摩擦係数が大きい合成樹脂で成形された両フランジ付き車輪であるから、レール4との接触面積も十分に多く、空回り(スリップ)の心配が少なく、引き戸2を開閉する推進力を必要十分な大きさで確実に発生する。
上記駆動ローラ5を回転駆動する小型モータ6は、具体的には、直流12Vモータ(又は交流100Vの小型モータ)で十分である。小型モータ6と駆動ローラ5とは、モータ回転数を減速し、反比例的に回転トルクを高めて引き戸2の開閉速度を実用的に好ましい範囲に調整する構成の減速式ギヤボックス10を介して動力の連結(伝達)が行われている。
【0016】
上記小型モータ6の駆動を制御するコントローラ(CPU制御を含む)は、ケーシング9の内部に防水構造、耐振動構造で内蔵されている。該コントローラの構成を具体的に図示することは省略したが、後述する各種のスイッチ類の入力を受けて、一例を図5に示した制御フローにしたがって、順次に決められた動作(ステップ)を進め、小型モータ6の駆動制御を実行する構成とされている。
本実施例のコントローラは、簡易温室1の出入り口を通る人や車両等を知らせる開指令発信手段の入力信号が入ると、小型モータ6を、引き戸2を開く方向への正転回転をスタートさせる回路が組まれている。同小型モータ6の回転は引き戸2の全開位置を検出する位置検出手段(リミットスイッチ7)の信号入力を受けて停止する。そして、同コントローラに組まれたタイマーの設定時間、例えば出入り口を通る人や車両等が当該簡易温室1の中に入るか外へ出るのに必要十分で長すぎない動作時間(一例として20秒程度)を経過すると、小型モータ6を自動的に逆転回転でスタートさせ、引き戸2を閉じる方向に動かす。引き戸2の全閉状態を位置検出手段(リミットスイッチ8)が検出し、その信号が入ると、小型モータ6の回転を止める制御回路が組み立てられている。その他、安全性確保の手段として、前記タイマーの設定時間経過後の引き戸2を閉じる動作中に、引き戸2の開閉動作線上ないしその近傍位置に人影や車両等の存在を安全確認スイッチが検出しその信号が入力された場合や、引き戸2を閉じる動作中に一定以上に大きな負荷が発生した場合に、小型モータ6の回転を緊急停止させ、前記引き戸2の閉動作を急停止し、更には逆に全開動作に戻す制御回路も組み込む。前記した制御回路の構成は、既に当業者には周知に等しいので、具体的に図示することは省略する。
【0017】
上記構成のユニット3のケーシング9には、共通方向へ平行に突き出す2本の取付用腕部材11、11がヨーク形状に一体的に設けられている(図3)。ユニット3は、前記取付用腕部材11を利用して、目的の引き戸2の最後部の戸枠2Aの下部へ取り付けられる。具体的には、図2と図4に示したように、駆動ローラ5がレール4の上に跨って乗る姿勢とし、且つ2本の取付用腕部材11、11が引き戸2の下部の戸枠2Aの最後部へ前方から差し込まれ、同戸枠2Aの両側を挟む配置とする。そして、取付用腕部材11のボルト孔11aと、予め引き戸2の戸枠2Aの該当位置へ設けたボルト孔(図示省略)との芯合わせを行い、ボルト18をねじ込み締結して取り付けが行なわれる。したがって、ユニット3の取り外しも、ボルト18を緩めて外すことで簡単に行える。
【0018】
次に、上記小型モータ6へ電源を提供する手段としては、外部の商用電源を導く電源線17を接続するのが一般的である。よって、コントローラは変圧器と整流器を具備するものとする。しかし、近くに商用電源が配電されていない場合には、小型モータ6の電源は上記したように直流12V程度で足りるから、独自に太陽光発電装置を用意したり、電源電池を用意して提供することができる。ユニット3へ電源電池を搭載させて、あるいは搭載させることなく近傍位置に電源電池を設備して実施すると、電源線17を引き回す煩わしさも解消できる。
次に、引き戸2の全開位置および全閉位置を決める前記位置検出手段7、8と、これに対して各位置を指示する位置決め手段12、13の構成と関係は、位置検出手段が接触型か非接触型の構成であるかによって様々である。図示例のように位置検出手段がリミットスイッチ7、8である場合、位置決め手段には、金属製の位置決め部材12、13が軽便に採用される。図1に示したように、全閉位置を示す位置決め部材13は、引き戸2が全閉位置へ到達した際に、ユニット3上のリミットスイッチ7の入力端子7Aが丁度当たり所要ストロークの入力動作をさせる位置に、位置決め部材13が例えばレール構造への固定処理として、又は地面へ固定して設置される。一方、全開位置を指示する位置決め部材12は、引き戸2が全開した際に、ユニット3上のリミットスイッチ8の入力端子8Aが丁度当たり所要ストロークの入力動作をさせる位置に固定して設置される。各位置決め部材12、13はそれぞれ、対応するリミットスイッチ7、8の入力端子7A、8Aが移動して来て当たる位置へ位置決め板12A、13Aを突き出した構成とされている。
【0019】
次に、上記小型モータ6の駆動を制御するコントローラへ、少なくとも初動の開信号を提供する開指令発信手段としては、利用者の使い勝手に応じて種々なものが採用される。例えば利用者が手で直接操作する接触型の押し釦スイッチやタッチセンサー14などを採用する場合は、図1に例示したように、スイッチの所在が最も明かとなる引き戸2の中央部の操作しやすい高さ位置へ押し釦スイッチやタッチセンサー14などを設置して使用するのが好都合である。足で操作する接触型スイッチ16の場合は、出入り口の両サイドの地面などに設置して使用するのが良い。
人や物に反応する非接触型の赤外線スイッチや近接スイッチ15を採用する場合には、簡易温室1の出入り口を出入りする人や荷車、耕耘機、小型トラックなどを監視して最も確認しやすい位置、例えば図1に例示したように出入り口の中央上部の位置や両サイドなどに設置して使用することができる。
その他、テレビなどの操作や駐車場の扉の遠隔開閉操作などに多用されている携帯式のコントロールスイッチを使用することもできる。この場合には、例えばでユニット3上に受信用アンテナを設置して使用することになる。
【0020】
以上に本発明を図示した実施例に基づいて説明したが、もとより、本発明は、上記実施例の構成に限定されるものではない。発明の目的と要旨を逸脱しない範囲で、いわゆる当業者が必要に応じて行う設計変更や変形、応用の類として、多様な実施例を展開できることを念のため申し添える。
例えば図示した実施例は、引き戸2のレール4が地面上に設置された下レール型の構成を示しているが、出入り口開口の上縁部に沿って上レールを設置し、懸垂型の戸車で開閉する構成の引き戸にもほぼ同様な構成で実施できる。
簡易温室1の側面や妻面、天井面に、引き戸形式で開閉自在な換気用窓を設置した場合には、その窓用引き戸が全開した位置で電源を切ることにより換気用窓を開放する手段として応用することができる。
あるいは夏季に簡易温室1内が甚だしく高温になるような場合の温度調節手段としても出入り口の上記引き戸2が全開した時点で電源を切ることにより、出入り口を全開したままに保って換気効果を高める利用法も実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る簡易温室1の自動開閉ドア装置の実施概況を示した斜視図である。
【図2】自動開閉ドア装置の主要部であるユニットを拡大して示した斜視図である。
【図3】前記ユニットを単独で示した斜視図である。
【図4】前記ユニットを下面側から見た底面図である。
【図5】コントローラの制御フローを示す。
【符号の説明】
【0022】
1 簡易温室
2 引き戸
4 レール
5 駆動ローラ
6 小型モータ
7、8 位置検出手段(リミットスイッチ)
9 ケーシング
3 ユニット
11 取付用腕部材
2A 戸枠
12、13 位置決め手段
14、15、16 開指令発信手段
17 電源線
4A 中高凸部
5a 凹溝
5b フランジ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
簡易温室の出入り口を開閉する引き戸の自動開閉ドア装置であって、
少なくとも引き戸のレールに乗って回転しドア開閉用の推進力を発生する駆動ローラと、前記駆動ローラを回転する小型モータと、前記小型モータの駆動を制御するコントローラと、当該引き戸の全開位置および全閉位置を検出する位置検出手段とが共通のケーシングに設備されてユニットを構成し、前記ユニットは、ケーシングの取付用腕部材により前記駆動ローラがレールに乗る姿勢で引き戸の最後部に取り付けられており、
更に、前記小型モータへ電源を提供する手段、および引き戸の全開位置および全閉位置を前記位置検出手段へ提供する位置決め手段、並びに前記小型モータの駆動を制御するコントローラへ少なくとも開信号を提供する開指令発信手段がそれぞれ設けられていることを特徴とする、簡易温室の自動開閉ドア装置。
【請求項2】
小型モーター電源を提供する手段は、外部電源を提供する電源線の接続、又はユニットに搭載した若しくは搭載しない電源電池から成り、前記外部電源は商用電源又は太陽光発電装置であることを特徴とする、請求項1に記載した簡易温室の自動開閉ドア装置。
【請求項3】
前記小型モータの駆動を制御するコントローラへ開信号を提供する開指令発信手段は、利用者が手又は足で直接操作する接触型スイッチ、若しくは人や物に反応する非接触型の赤外線スイッチや近接スイッチ、又は携帯型のコントロールスイッチの少なくとも一種であることを特徴とする、請求項1に記載した簡易温室の自動開閉ドア装置。
【請求項4】
引き戸のレールは、その横断面において中央部が高いハット型鋼状材で成り、駆動ローラは前記ハット型鋼状材で成るレールの中高凸部の上に跨る凹溝の両側に大径のフランジ部を備え、摩擦係数が大きい合成樹脂で成形された両フランジ付き車輪であることを特徴とする、請求項1に記載した簡易温室の自動開閉ドア装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−18999(P2010−18999A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−180276(P2008−180276)
【出願日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【出願人】(000221568)東都興業株式会社 (57)
【Fターム(参考)】