説明

粉体状ソース供給系の洗浄方法、記憶媒体、基板処理システム及び基板処理方法

【課題】成膜処理時に容器内や導入管内からパーティクルが流出するのを防止することができる粉体状ソース供給系の洗浄方法を提供する。
【解決手段】基板処理システム10は、粉体状ソース供給系12と成膜処理装置11とを備え、粉体状ソース供給系12は、粉体状ソース13(タングステンカルボニル)を収容するアンプル14と、該アンプル14内へキャリアガスを供給するキャリアガス供給装置16と、アンプル14及び成膜処理装置11を接続する粉体状ソース導入管17と、該粉体状ソース導入管17から分岐するパージ管19と、粉体状ソース導入管17を開閉する開閉弁22とを有し、成膜処理に先立って、開閉弁22が閉弁し且つパージ管19内を排気する際に、キャリアガス供給装置16が、キャリアガスによる粘性力が成膜処理時におけるキャリアガスによる粘性力よりも大きくなるようにキャリアガスを供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体状ソース供給系の洗浄方法、記憶媒体、基板処理システム及び基板処理方法に関し、特に、基板に成膜処理を施す成膜処理装置に粉体状ソースを供給する粉体状ソース供給系の洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板としてのウエハに成膜処理を施す基板処理システムとして、粉体状の固体ソース、例えば、粉体状のタングステンカルボニル(W(CO))を用いるものが知られている。この基板処理システムは、固体ソースを収容する容器(アンプル)と、ウエハに成膜処理を施す成膜処理装置と、該成膜処理装置及び容器を接続して固体ソースを成膜処理装置に向けて導入する導入管とを備える。
【0003】
この基板処理システムでは、固体ソースがキャリアガスによって導入管内を通って成膜処理装置に運搬される。運搬される固体ソースは気化器等によってガス化され、該ガスは成膜処理装置においてプラズマ化される。そして、該プラズマによってウエハに成膜処理が施される(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−93240号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記基板処理システムでは長時間に亘って待機状態を維持すると、導入管内や容器内でタングステンカルボニルの粉粒が成長して粉粒よりも大きな粒子(パーティクル)となることがある。このパーティクルが成膜処理時に容器内や導入管内から流出して成膜処理装置に流入し、該流入したパーティクルはウエハに付着すると該ウエハから製造される半導体デバイスにおいて不具合を引き起こすことがある。
【0005】
本発明の目的は、成膜処理時に容器内や導入管内からパーティクルが流出するのを防止することができる粉体状ソース供給系の洗浄方法、記憶媒体、基板処理システム及び基板処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1記載の粉体状ソース供給系の洗浄方法は、粉体状ソースを供給する粉体状ソース供給系と、該供給された粉体状ソースを用いて基板に成膜処理を施す成膜処理装置とを備え、前記粉体状ソース供給系は、前記粉体状ソースを収容する容器と、該容器内へキャリアガスを供給するキャリアガス供給装置と、前記容器及び前記成膜処理装置を接続し、且つ前記キャリアガス及び前記粉体状ソースの混合物を前記容器から前記成膜処理装置に向けて導入する導入管と、該導入管から分岐して排気装置に接続されたパージ管と、前記導入管を前記成膜処理装置及び前記パージ管への分岐点の間において開閉する開閉弁とを有する基板処理システムにおける前記粉体状ソース供給系の洗浄方法であって、前記成膜処理に先立って、前記開閉弁が閉弁し且つ前記排気装置が前記パージ管内を排気する際に、前記キャリアガス供給装置が、前記キャリアガスによる粘性力が前記成膜処理時における前記キャリアガスによる粘性力よりも大きくなるように前記キャリアガスを供給する洗浄ステップを有することを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の粉体状ソース供給系の洗浄方法は、請求項1記載の洗浄方法において、前記洗浄ステップでは、前記キャリアガス供給装置が前記成膜処理時の供給流量よりも多い供給流量で前記キャリアガスを前記容器内に供給することを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の粉体状ソース供給系の洗浄方法は、請求項2記載の洗浄方法において、前記洗浄ステップでは、前記キャリアガス供給装置が前記成膜処理時の供給流量の少なくとも25%増の供給流量で前記キャリアガスを前記容器内に供給することを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の粉体状ソース供給系の洗浄方法は、請求項1記載の洗浄方法において、前記基板処理システムは、前記容器及び前記パージ管への分岐点の間において前記導入管内に付加ガスを供給する付加ガス供給装置を備え、前記洗浄ステップでは、前記付加ガス供給装置が前記成膜処理時の供給流量よりも少ない供給流量で前記付加ガスを前記導入管内に供給することを特徴とする。
【0010】
請求項5記載の粉体状ソース供給系の洗浄方法は、請求項4記載の洗浄方法において、前記洗浄ステップでは、前記付加ガス供給装置が前記成膜処理時の供給流量の少なくとも40%減の供給流量で前記付加ガスを前記導入管内に供給することを特徴とする。
【0011】
請求項6記載の粉体状ソース供給系の洗浄方法は、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の洗浄方法において、前記洗浄ステップを繰り返すことを特徴とする。
【0012】
請求項7記載の粉体状ソース供給系の洗浄方法は、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の洗浄方法において、前記洗浄ステップでは、前記容器内の粉体状ソースの表面に境界層を発生させるように、前記キャリアガスを前記容器内に供給することを特徴とする。
【0013】
上記目的を達成するために、請求項8記載の記憶媒体は、粉体状ソースを供給する粉体状ソース供給系と、該供給された粉体状ソースを用いて基板に成膜処理を施す成膜処理装置とを備え、前記粉体状ソース供給系は、前記粉体状ソースを収容する容器と、該容器内へキャリアガスを供給するキャリアガス供給装置と、前記容器及び前記成膜処理装置を接続し、且つ前記キャリアガス及び前記粉体状ソースの混合物を前記容器から前記成膜処理装置に向けて導入する導入管と、該導入管から分岐して排気装置に接続されたパージ管と、前記導入管を前記成膜処理装置及び前記パージ管への分岐点の間において開閉する開閉弁とを有する基板処理システムにおける前記粉体状ソース供給系の洗浄方法をコンピュータに実行させるプログラムを格納するコンピュータで読み取り可能な記憶媒体であって、前記洗浄方法は、前記成膜処理に先立って、前記開閉弁が閉弁し且つ前記排気装置が前記パージ管内を排気する際に、前記キャリアガス供給装置が、前記キャリアガスによる粘性力が前記成膜処理時における前記キャリアガスによる粘性力よりも大きくなるように前記キャリアガスを供給する洗浄ステップを有することを特徴とする。
【0014】
上記目的を達成するために、請求項9記載の基板処理システムは、粉体状ソースを供給する粉体状ソース供給系と、該供給された粉体状ソースを用いて基板に成膜処理を施す成膜処理装置とを備え、前記粉体状ソース供給系は、前記粉体状ソースを収容する容器と、該容器内へキャリアガスを供給するキャリアガス供給装置と、前記容器及び前記成膜処理装置を接続し、且つ前記キャリアガス及び前記粉体状ソースの混合物を前記容器から前記成膜処理装置に向けて導入する導入管と、該導入管から分岐して排気装置に接続されたパージ管と、前記導入管を前記成膜処理装置及び前記パージ管への分岐点の間において開閉する開閉弁とを有する基板処理システムであって、前記成膜処理に先立って、前記開閉弁が閉弁し且つ前記排気装置が前記パージ管内を排気する際に、前記キャリアガス供給装置が、前記キャリアガスによる粘性力が前記成膜処理時における前記キャリアガスによる粘性力よりも大きくなるように前記キャリアガスを供給することを特徴とする。
【0015】
請求項10記載の基板処理システムは、請求項9記載の基板処理システムにおいて、前記パージ管は圧力制御弁を有することを特徴とする。
【0016】
請求項11記載の基板処理システムは、請求項9又は10記載の基板処理システムにおいて、前記パージ管のコンダクタンスは、前記成膜処理装置及び前記パージ管への分岐点の間における前記導入管のコンダクタンスより大きいことを特徴とする。
【0017】
請求項12記載の基板処理システムは、請求項9乃至11のいずれか1項に記載の基板処理システムにおいて、前記容器は超音波振動発生装置を有することを特徴とする。
【0018】
請求項13記載の基板処理システムは、請求項9乃至12のいずれか1項に記載の基板処理システムにおいて、前記導入管はヒータを有することを特徴とする。
【0019】
上記目的を達成するために、請求項14記載の基板処理方法は、請求項1記載の粉体状ソース供給系の洗浄方法の実行に続けて前記基板に前記成膜処理を施すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
請求項1記載の粉体状ソース供給系の洗浄方法、請求項8記載の記憶媒体、請求項9記載の基板処理システム及び請求項14記載の基板処理方法によれば、成膜処理に先立って、キャリアガス及び粉体状ソースの混合物を容器から成膜処理装置に向けて導入する導入管の開閉弁が閉弁し且つ排気装置が導入管から分岐したパージ管内を排気する際に、キャリアガス供給装置が、キャリアガスによる粘性力が成膜処理時におけるキャリアガスによる粘性力よりも大きくなるようにキャリアガスを供給する。これにより、導入管内や容器内において成長したパーティクルに成膜処理時における粘性力よりも大きい粘性力を作用させることができる。その結果、成膜処理前に、成膜処理時における粘性力によって移動するパーティクルだけでなく、該パーティクルよりも大きいパーティクルを移動させることができる。また、移動するパーティクルはパージ管内の排気の流れによって導入管ではなくパージ管に導かれ、該パージ管から排出される。すなわち、成膜処理前に、成膜処理時に粘性力によって移動する可能性のあるパーティクルを容器内や導入管内から殆ど排除することができる。その結果、成膜処理時に容器内や導入管内からパーティクルが流出するのを防止することができる。
【0021】
請求項2記載の粉体状ソース供給系の洗浄方法によれば、キャリアガス供給装置が成膜処理時の供給流量よりも多い供給流量でキャリアガスを容器内に供給するので、キャリアガスの導入管内や容器内における流量を増加させることができる。粘性力はキャリアガスの流量の二乗に比例するため、パーティクルに作用する粘性力を成膜処理時における粘性力よりも確実に大きくすることができる。
【0022】
請求項3記載の粉体状ソース供給系の洗浄方法によれば、キャリアガス供給装置が成膜処理時の供給流量の少なくとも25%増の供給流量でキャリアガスを容器内に供給するので、パーティクルに作用する粘性力を成膜処理時における粘性力よりもより確実に大きくすることができる。
【0023】
請求項4記載の粉体状ソース供給系の洗浄方法によれば、容器及びパージ管への分岐点の間において導入管内に付加ガスを供給する付加ガス供給装置が成膜処理時の供給流量よりも少ない供給流量で付加ガスを導入管内に供給するので、排気装置がパージ管を介して排気する付加ガスの量が減り、該排気装置はより多くのキャリアガスを排気することができ、キャリアガスの導入管内や容器内の圧力を低減することができる。粘性力は導入管内又は容器内における圧力に反比例するため、パーティクルに作用する粘性力を成膜処理時における粘性力よりも確実に大きくすることができる。
【0024】
請求項5記載の粉体状ソース供給系の洗浄方法によれば、付加ガス供給装置が成膜処理時の供給流量の少なくとも40%減の供給流量で付加ガスを導入管内に供給するので、パーティクルに作用する粘性力を成膜処理時における粘性力よりもより確実に大きくすることができる。
【0025】
請求項6記載の粉体状ソース供給系の洗浄方法によれば、洗浄ステップを繰り返すので、成膜処理前に、基板処理システムの容器内や導入管内からパーティクルを確実に除去することができる。
【0026】
請求項7記載の粉体状ソース供給系の洗浄方法によれば、容器内の粉体状ソースの表面に境界層を発生させるようにキャリアガスが容器内に供給される。境界層内では流れが発生しないため、境界層から突出しない粉体状ソースの粉粒に粘性力が作用することがない。一方、境界層外では流れが発生するため、境界層から突出するパーティクルには粘性力が作用する。これにより、容器内からパーティクルを選択的に除去することができる。
【0027】
請求項10記載の基板処理システムによれば、パージ管は圧力制御弁を有するので、該圧力制御弁はパージ管を介して導入管内や容器内の圧力を所望の低圧力に制御することができる。その結果、パーティクルに作用する粘性力を成膜処理時における粘性力よりもより確実に大きくすることができる。
【0028】
請求項11記載の基板処理システムによれば、パージ管のコンダクタンスは、成膜処理装置及びパージ管への分岐点の間における導入管のコンダクタンスより大きいので、パージ管にキャリアガスに流した際、成膜処理装置及びパージ管への分岐点の間にキャリアガスが流れる成膜処理時よりも、キャリアガスの排出を促進することができ、もって、キャリアガスの導入管内や容器内の圧力を低減することができる。その結果、パーティクルに作用する粘性力を成膜処理時における粘性力よりもより確実に大きくすることができる。
【0029】
請求項12記載の基板処理システムによれば、容器は超音波振動発生装置を有する。容器に超音波振動が付与されるとパーティクルが容器内の粉体状ソースの表面に向けて浮上する。これにより、パーティクルへ確実に粘性力を作用させることができる。
【0030】
請求項13記載の基板処理システムによれば、導入管はヒータを有するので、熱応力によって導入管内のパーティクルの除去を促進することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0032】
まず、本発明の第1の実施の形態に係る基板処理システムについて説明する。
【0033】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る基板処理システムの構成を概略的に示す図である。
【0034】
図1において、基板処理システム10は、基板としてのウエハ(図示しない)に成膜処理、例えば、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)処理を施す成膜処理装置11と、該成膜処理装置11に成膜処理のソースとして粉体状のタングステンカルボニルを供給する粉体状ソース供給系12とを備える。
【0035】
成膜処理装置11は、ウエハを収容するチャンバ(図示しない)を有する。成膜処理装置11では、チャンバ内に収容されたウエハに向けてガス化されたタングステンカルボニルが供給され、該ガス化されたタングステンカルボニルによって成膜処理を施す。
【0036】
粉体状ソース供給系12は、粉体状のタングステンカルボニルからなる粉体状ソース13を収容するアンプル14(容器)と、キャリアガス供給管15を介してアンプル14内にキャリアガス、例えば、アルゴンガスを供給するキャリアガス供給装置16と、アンプル14及び成膜処理装置11を接続する粉体状ソース導入管17と、該粉体状ソース導入管17から分岐点17aにおいて分岐してドライポンプ18(排気装置)に接続されるパージ管19とを有する。
【0037】
粉体状ソース供給系12では、キャリアガス供給装置16がキャリアガス供給管15を介してアンプル14内に所定の供給流量でアルゴンガスを供給すると、該アルゴンガスは粉体状ソース13としてのタングステンカルボニルを巻き上げ、該巻き上げられたタングステンカルボニルはキャリアガスと混合して気体と固体の混合物となり、該混合物は成膜処理装置11へ流入する。
【0038】
また、粉体状ソース供給系12は、付加ガス供給管20を介して粉体状ソース導入管17内に付加ガス、例えば、アルゴンガスを供給する付加ガス供給装置21を有する。付加ガス供給管20は、アンプル14及び分岐点17aの間において粉体状ソース導入管17に接続する。付加ガス供給装置21は粉体状ソース導入管17内を流れる混合物に付加ガスを付加して全体の流量を向上させることにより、混合物の成膜処理装置11への安定的な流入を実現する。
【0039】
なお、図1において、キャリアガス供給管15内におけるキャリアガスの流路、粉体状ソース導入管17における混合物の流路、及び付加ガス供給管20における付加ガスの流路を点線で示す。
【0040】
粉体状ソース導入管17は、成膜処理装置11及び分岐点17aの間において、径がパージ管19の径よりも小さい細径部17bと、該細径部17bに配置されて細径部17bを開閉する開閉弁22とを有する。また、パージ管19は圧力制御弁23を有する。開閉弁22を開弁し、圧力制御弁23を閉弁すると、キャリアガスや付加ガス等は成膜処理装置11へ向けて流れ(図中において2点鎖線で示す。)、開閉弁22を閉弁し、圧力制御弁23を開弁すると、キャリアガスや付加ガス等はドライポンプ18へ向けて流れ(図中において1点鎖線で示す。)、成膜処理装置11へ向けて流れることがない。ここで、パージ管19の径は細径部17bの径よりも大きいので、パージ管19のコンダクタンスは細径部17bのコンダクタンスよりも大きい。
【0041】
また、パージ管19は粉体状ソース導入管17内及び該粉体状ソース導入管17を介してアンプル14内に連通するので、圧力制御弁23はパージ管19内だけでなく、アンプル14内や粉体状ソース導入管17内(以下、単に「アンプル14内等」という。)の圧力も制御することができる。なお、圧力計24が分岐点17aの近傍に設けられ、該圧力計24は粉体状ソース導入管17内の圧力を測定する。
【0042】
キャリアガス供給管15には流量制御器25が設けられ、付加ガス供給管20には流量制御器26が設けられる。該流量制御器25,26はそれぞれキャリアガス供給装置16が供給するキャリアガスの流量、及び付加ガス供給装置21が供給する付加ガスの流量を制御する。
【0043】
粉体状ソース導入管17の周りにはヒータ27が設けられ、該ヒータ27は粉体状ソース導入管17を加熱する。また、アンプル14には超音波振動発生装置28が設けられ、該超音波振動発生装置28はアンプル14に超音波振動を付与する。
【0044】
この基板処理システム10では、長時間に亘って待機状態を維持すると、アンプル14内等でタングステンカルボニルの粉粒が成長して粉粒よりも大きなパーティクルPが発生するが、本実施の形態では、キャリアガスの粘性力を利用してこれらのパーティクルPを成膜処理前に除去する。
【0045】
図2は、本実施の形態に係る粉体状ソース供給系の洗浄方法としてのプリパージ処理を示すフローチャートである。該プリパージ処理は、基板処理システム10において成膜処理装置11の成膜処理に先立って実行される。
【0046】
図2において、まず、開閉弁22が閉弁し且つ圧力制御弁23が開弁する(ステップS21)。これにより、アンプル14から粉体状ソース導入管17及びパージ管19を経由したドライポンプ18への流路(図1中における1点鎖線)が確保される。
【0047】
次いで、常時稼働しているドライポンプ18が確保された流路によってパージ管19内を排気し(ステップS22)、キャリアガス供給装置16がアンプル14内及び該アンプル14を介して粉体状ソース導入管17内へキャリアガスを供給する。このときのキャリアガスの供給流量は、成膜処理時におけるキャリアガスの供給流量よりも多く設定される(ステップS23)(洗浄ステップ)。
【0048】
一般に、球形のパーティクルに作用するキャリアガスの粘性力は下記式(1)で示される。
【0049】
【数1】

【0050】
ここで、Fはキャリアガスの粘性力であり、nはキャリアガスの分子密度であり、mはキャリアガスの分子量であり、vはキャリアガスの流速であり、dはパーティクルの直径である。
【0051】
また、一般に、下記式2に示すように、分子密度nは圧力に比例し、流速vは流量に比例すると共に圧力に反比例する。
【0052】
【数2】

【0053】
したがって、キャリアガスの粘性力Fは、下記式3に示すように、キャリアガスの流量の二乗に比例すると共にアンプル14又は粉体状ソース導入管17内の圧力に反比例する。
【0054】
【数3】

【0055】
ステップS23では、具体的に、キャリアガスの供給流量が、成膜処理時におけるキャリアガスの供給流量(80sccm)の25%増である、100sccmに設定される。これにより、アンプル14内等のパーティクルPに成膜処理時における粘性力よりも大きい粘性力を作用させることができる。その結果、成膜処理時における粘性力によって移動するパーティクルPだけでなく、該パーティクルPよりも大きいパーティクルPをもアンプル14内等から移動させることができる。
【0056】
また、付加ガス供給装置21が粉体状ソース導入管17内に付加ガスを供給する(ステップS24)。このとき、付加ガス供給装置21が供給する付加ガスの供給流量は、成膜処理時における付加ガスの供給流量(500sccm)よりもやや少ない、480sccmに設定される。ここで、アンプル14内から移動したパーティクルP及びキャリアガスの混合物に付加ガスが付加される。また、開閉弁22が閉弁し且つ圧力制御弁23が開弁しているので、上記混合物は細径部17bを流れることが無く、パージ管19から基板処理システム10の外部へ排出される。これにより、パーティクルPはアンプル14内等から除去される。
【0057】
続くステップS25では、パージ管19内の排気開始から所定時間が経過したか否か且つステップS23が所定回数以上実行されたか否かが判別される。該判別の結果、所定時間が経過していないとき且つステップS23が所定回数以上実行されていないときは、ステップS23に戻り、キャリアガスの供給等を継続し、所定時間が経過しているとき又はステップS23が所定回数以上実行されたときは、本処理を終了する。なお、ステップS25における所定時間としては、例えば、予め実験等で確認された、アンプル14内等からのパーティクルPの完全除去に要する時間が設定される。具体的には、所定時間として、例えば、1秒が設定される。また、ステップS25における所定回数としては、例えば、予め実験等で確認された、アンプル14内等からのパーティクルPの完全除去に要するステップS23の実行回数が設定される。
【0058】
図2の処理によれば、成膜処理に先立って、開閉弁22が閉弁し且つドライポンプ18がパージ管19内を排気する際に、キャリアガス供給装置16は、成膜処理時におけるキャリアガスの供給流量よりも多い供給流量でキャリアガスをアンプル14内及び該アンプル14を介して粉体状ソース導入管17内に供給するので、キャリアガスのアンプル14内等における流量を増加させることができる。ここで、上記式3に示すように、パーティクルPに作用するキャリアガスの粘性力はキャリアガスの流量の二乗に比例するため、アンプル14内等のパーティクルPに作用する粘性力を成膜処理時における粘性力よりも大きくすることができる。その結果、成膜処理前に、成膜処理時における粘性力によって移動するパーティクルPだけでなく、該パーティクルPよりも大きいパーティクルPを移動させることができる。また、移動するパーティクルPはパージ管19内の排気の流れによって粉体状ソース導入管17ではなくパージ管19に導かれ、該パージ管19から排出される。すなわち、成膜処理前に、成膜処理時に粘性力によって移動する可能性のあるパーティクルPをアンプル14内等から殆ど排除することができる。その結果、成膜処理時にアンプル14内等からパーティクルPが流出するのを防止することができる。
【0059】
また、図2の処理では、洗浄ステップであるステップS23を繰り返して実行するので、成膜処理前に、基板処理システムのアンプル14内等からパーティクルPを確実に除去することができる。なお、一度のステップS23の実行によってパーティクルPを完全に除去できる場合には、ステップS23を繰り返して実行する必要はない。なお、図2の処理を終了するか否かを所定時間の経過や所定回数以上の実行に基づいて判別することなく、アンプル14内等からのパーティクルPの除去処理のエンドポイント検出器を設け、該エンドポイント検出器の検出結果に基づいて判別してもよい。
【0060】
ステップS23において、キャリアガスの供給流量やアンプル14内の圧力を制御することによってアンプル14内の粉体状ソース13の表面に境界層を発生させてもよい。境界層は厚さが数μm程度であるため、図3に示すように、パーティクルPは該境界層29から突出するが、粉体状ソース13の粉粒30は境界層29から突出しない。ここで、境界層29内では流れが発生しないため、境界層29から突出しない粉粒30に粘性力が作用することがない。一方、境界層29外ではキャリアガスの流れが発生するため、境界層29から突出するパーティクルPには粘性力が作用する。これにより、アンプル14内からパーティクルPを選択的に除去することができる。なお、アンプル14内において境界層を発生させるためには少なくともアンプル14内の圧力を133Pa(1Torr)以上に設定する必要があるため、境界層を発生させる場合にはアンプル14内の圧力を133Pa以上に設定するのが好ましい。
【0061】
また、ステップS23において、キャリアガス供給装置16からのキャリアガスの供給流量を増加させたが、該供給流量を余りに増加させすぎると、粉体状ソース13の大部分を巻き上げ、結果として、成膜処理前に、アンプル14内から粉体状ソース13の大部分を除去してしまう可能性がある。したがって、ステップS23におけるキャリアガスの供給流量には上限があり、該上限は、例えば、200sccmであることが本発明者等によって実験等で確認されている。さらに、ステップS23ではキャリアガスの供給流量が、成膜処理時におけるキャリアガスの供給流量(80sccm)の25%増である、100sccmに設定されたが、キャリアガスの供給流量を成膜処理時におけるキャリアガスの供給流量の10%増である、88sccmに設定すれば、成膜処理時における粘性力によって移動するパーティクルPをアンプル14内等から移動させることができることが本発明者等によって実験等で確認されている。
【0062】
上述した基板処理システム10では、アンプル14は超音波振動発生装置28を有する。アンプル14に超音波振動が付与されるとパーティクルPがアンプル14内の粉体状ソース13の表面に向けて浮上する。これにより、パーティクルPをキャリアガスの流れに晒すことができ、もって、パーティクルPへ確実に粘性力を作用させることができる。
【0063】
また、上述した基板処理システム10では、粉体状ソース導入管17はヒータ27を有し、該ヒータ27は粉体状ソース導入管17を加熱するので、熱応力によって粉体状ソース導入管17内のパーティクルPの除去を促進することができる。
【0064】
また、粉体状ソース導入管17を加振器等によって振動させてもよく、これにより、パーティクルPを粉体状ソース導入管17の内壁からの剥離を促進し、その結果、パーティクルPの除去を促進することができる。
【0065】
なお、上述した基板処理システム10は付加ガス供給装置21を有するが、粉体状ソース導入管17内を流れる混合物(パーティクルP及びキャリアガスの混合物)の成膜処理装置11への安定的な流入を実現することができるのであれば、基板処理システム10は付加ガス供給装置21を有する必要はない。
【0066】
次に、本発明の第2の実施の形態に係る基板処理システム及び粉体状ソース供給系の洗浄方法について説明する。
【0067】
本実施の形態に係る粉体状ソース供給系の洗浄方法は、キャリアガスの供給流量や付加ガスの供給流量が第1の実施の形態と異なるのみであるので、重複した構成、作用については説明を省略し、以下に異なる構成、作用についての説明を行う。
【0068】
図4は、本実施の形態に係る粉体状ソース供給系の洗浄方法としてのプリパージ処理を示すフローチャートである。該プリパージ処理も、基板処理システム10において成膜処理装置11の成膜処理に先立って実行される。
【0069】
図4において、まず、開閉弁22が閉弁し且つ圧力制御弁23が開弁し(ステップS41)、ドライポンプ18がパージ管19内を排気する(ステップS42)。
【0070】
次いで、キャリアガス供給装置16がアンプル14内及び該アンプル14を介して粉体状ソース導入管17内へキャリアガスを供給する。このときのキャリアガスの供給流量は、成膜処理時におけるキャリアガスの供給流量(80sccm)と同じ量である、80sccmに設定される(ステップS43)。
【0071】
次いで、付加ガス供給装置21が粉体状ソース導入管17内に付加ガスを供給する(ステップS44)(洗浄ステップ)。このとき、付加ガス供給装置21が供給する付加ガスの供給流量は、成膜処理時における付加ガスの供給流量(500sccm)よりも少ない、具体的には、成膜処理時の40%減である、300sccmに設定される。なお、供給された付加ガスは、アンプル14内から移動したパーティクルP及びキャリアガスの混合物に付加される。
【0072】
ステップS44では、付加ガスの供給流量が成膜処理時よりも減るため、ドライポンプ18がパージ管19を介して排気する付加ガスの量が減り、ドライポンプ18はより多くのキャリアガスを排気することができる。これにより、アンプル14内又は粉体状ソース導入管17内における圧力を成膜処理時の圧力より低減することができる。また、上記式3に示すように、キャリアガスの粘性力はアンプル14内又は粉体状ソース導入管17内における圧力に反比例する。これにより、アンプル14内等のパーティクルPに成膜処理時における粘性力よりも大きい粘性力を作用させることができる。その結果、成膜処理時における粘性力によって移動するパーティクルPだけでなく、該パーティクルPよりも大きいパーティクルPをもアンプル14内等から移動させることができる。
【0073】
また、ステップS44では、開閉弁22が閉弁し且つ圧力制御弁23が開弁しているので、パーティクルPはアンプル14内等からパージ管19を介して除去される。
【0074】
続くステップS45では、パージ管19内の排気開始から所定時間が経過したか否か且つステップS44が所定回数以上実行されたか否かが判別される。該判別の結果、所定時間が経過していないとき且つステップS44が所定回数以上実行されていないときは、ステップS43に戻り、付加ガスの供給等を継続し、所定時間が経過しているとき又はステップS44が所定回数以上実行されたときは、本処理を終了する。なお、ステップS45における所定時間は、図2におけるステップS25の所定時間と同じである。また、ステップS45における所定回数としては、例えば、予め実験等で確認された、アンプル14内等からのパーティクルPの完全除去に要するステップS44の実行回数が設定される。
【0075】
図4の処理によれば、成膜処理に先立って、開閉弁22が閉弁し且つドライポンプ18が稼働してパージ管19内を排気する際に、付加ガス供給装置21は、成膜処理時における付加ガスの供給流量よりも少ない供給流量で付加ガスを粉体状ソース導入管17内に供給するので、ドライポンプ18がパージ管19を介して排気する付加ガスの量が減り、該ドライポンプ18はより多くのキャリアガスを排気することができ、アンプル14内又は粉体状ソース導入管17内における圧力を低減することができる。ここで、上記式3に示すように、パーティクルPに作用するキャリアガスの粘性力はアンプル14内又は粉体状ソース導入管17内における圧力に反比例するため、アンプル14内等のパーティクルPに作用する粘性力を成膜処理時における粘性力よりも大きくすることができる。その結果、第1の実施の形態が奏する効果と同様の効果を奏することができる。
【0076】
なお、図4の処理を終了するか否かを所定時間の経過や所定回数以上の実行に基づいて判別することなく、アンプル14内等からのパーティクルPの除去処理のエンドポイント検出器を設け、該エンドポイント検出器の検出結果に基づいて判別してもよい。
【0077】
また、ステップS44では付加ガスの供給流量が、成膜処理時における付加ガスの供給流量(500sccm)の40%減である、300sccmに設定されたが、付加ガスの供給流量を成膜処理時における付加ガスの供給流量の10%減である、450sccmに設定すれば、成膜処理時における粘性力によって移動するパーティクルPをアンプル14内等から移動させることができることが本発明者等によって実験等で確認されている。
【0078】
上述した基板処理システム10では、パージ管19が圧力制御弁23を有するので、該圧力制御弁23はパージ管19を介してアンプル14内等の圧力を所望の低圧力に制御することができる。その結果、パーティクルPに作用する粘性力を成膜処理時における粘性力よりも確実に大きくすることができる。また、キャリアガスの粘性力はアンプル14内の圧力が133Pa(1Torr)以下となると作用しないことが、本発明者等によって実験等で確認されている。したがって、基板処理システム10では、圧力制御弁23によってアンプル14内の圧力が133Pa以下とならないように制御される。
【0079】
また、上述した基板処理システム10では、パージ管19のコンダクタンスは、粉体状ソース導入管17の細径部17bのコンダクタンスより大きいので、パージ管19にキャリアガスを流した際、細径部17bにキャリアガスが流れる成膜処理時よりも、キャリアガスの排出を促進することができ、もって、キャリアガスのアンプル14内又は粉体状ソース導入管17内における圧力を低減することができる。その結果、パーティクルPに作用する粘性力を成膜処理時における粘性力よりもより確実に大きくすることができる。
【0080】
上述した各実施の形態では、パージ管19が粉体状ソース導入管17から分岐したが、基板処理システム10は、パージ管19の代わりにアンプル14内に連通するパージ専用管を備えてもよく、キャリアガスの粘性力によって移動するパーティクルPを該パージ専用管から排出させてもよい。
【0081】
また、上述した各実施の形態では、キャリアガス供給装置16及び付加ガス供給装置21はアルゴンガスを供給したが、供給されるガスは不活性ガスであればよく、キャリアガス供給装置16等がキセノンガスやクリプトンガスを供給してもよい。
【0082】
また、本発明の目的は、上述した各実施の形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、コンピュータに供給し、コンピュータのCPUが記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出して実行することによっても達成される。
【0083】
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が上述した各実施の形態の機能を実現することになり、プログラムコード及びそのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0084】
また、プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、RAM、NV−RAM、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD(DVD−ROM、DVD−RAM、DVD−RW、DVD+RW)等の光ディスク、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、他のROM等の上記プログラムコードを記憶できるものであればよい。或いは、上記プログラムコードは、インターネット、商用ネットワーク、若しくはローカルエリアネットワーク等に接続される不図示の他のコンピュータやデータベース等からダウンロードすることによりコンピュータに供給されてもよい。
【0085】
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、上記各実施の形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、CPU上で稼動しているOS(オペレーティングシステム)等が実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって上述した各実施の形態の機能が実現される場合も含まれる。
【0086】
更に、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって上述した各実施の形態の機能が実現される場合も含まれる。
【0087】
上記プログラムコードの形態は、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラムコード、OSに供給されるスクリプトデータ等の形態から成ってもよい。
【実施例】
【0088】
次に、本発明の実施例について説明する。
【0089】
実施例1
まず、長時間に亘って待機状態が維持された基板処理システム10において図2の処理を実行した後、成膜処理装置11において2枚のウエハに続けて成膜処理を施した。その後、該成膜処理を施されたウエハの表面に付着した、大きさが0.10μm以上のパーティクルの数をパーティクルカウンタ等によって数えた。そして、その結果を図5のグラフに示した。
【0090】
実施例2
まず、長時間に亘って待機状態が維持された基板処理システム10において図4の処理を実行した後、成膜処理装置11において2枚のウエハに続けて成膜処理を施した。その後、該成膜処理を施されたウエハの表面に付着した、大きさが0.10μm以上のパーティクルの数を数えた。そして、その結果を図5のグラフに示した。
【0091】
比較例1
長時間に亘って待機状態が維持された基板処理システム10において図2の処理や図4の処理を実行することなく、成膜処理装置11において2枚のウエハに続けて成膜処理を施した。その後、該成膜処理を施されたウエハの表面に付着した、大きさが0.10μm以上のパーティクルの数を数えた。そして、その結果を図5のグラフに示した。
【0092】
比較例2
まず、長時間に亘って待機状態が維持された基板処理システム10において、図2の処理におけるキャリアガスの供給流量を成膜処理時と同じ量に設定してプリパージ処理を実行した後、成膜処理装置11において2枚のウエハに続けて成膜処理を施した。その後、該成膜処理を施されたウエハの表面に付着した、大きさが0.10μm以上のパーティクルの数を数えた。そして、その結果を図5のグラフに示した。
【0093】
図5のグラフに示すように、比較例1と比較例2を比較すると、プリパージ処理を実行することにより、成膜処理時にアンプル14内等からパーティクルが流出するのを抑制できることが分かった。しかしながら、キャリアガスの供給流量や付加ガスの供給流量を成膜処理時と同じ量に設定してプリパージ処理を実行しても、ウエハの表面に付着するパーティクルの数を目標値である30個以下にすることは出来ないことも分かった。
【0094】
一方、比較例2と、実施例1又は2とを比較すると、プリパージ処理を実行する際に、キャリアガスの供給流量を増加し、または、付加ガスの供給流量を低減することにより、パーティクルPにより大きい粘性力を作用させることができ、もって、アンプル14内等からパーティクルPを殆ど排除でき、その結果、成膜処理時にアンプル14内等からパーティクルPが流出して成膜処理装置11内に流入するのを防止できることが分かった。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る基板処理システムの構成を概略的に示す図である。
【図2】本実施の形態に係る粉体状ソース供給系の洗浄方法としてのプリパージ処理を示すフローチャートである。
【図3】図1におけるアンプル内の粉体状ソースの表面に発生させる境界層を模式的に示す図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る粉体状ソース供給系の洗浄方法としてのプリパージ処理を示すフローチャートである。
【図5】プリパージ処理の実行の有無等によるパーティクル付着数の変化を示すグラフである。
【符号の説明】
【0096】
P パーティクル
10 基板処理システム
11 成膜処理装置
12 粉体状ソース供給系
13 粉体状ソース
14 アンプル
16 キャリアガス供給装置
17 粉体状ソース導入管
18 ドライポンプ
19 パージ管
21 付加ガス供給装置
22 開閉弁
23 圧力制御弁
27 ヒータ
28 超音波振動発生装置
29 境界層
30 粉粒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体状ソースを供給する粉体状ソース供給系と、該供給された粉体状ソースを用いて基板に成膜処理を施す成膜処理装置とを備え、前記粉体状ソース供給系は、前記粉体状ソースを収容する容器と、該容器内へキャリアガスを供給するキャリアガス供給装置と、前記容器及び前記成膜処理装置を接続し、且つ前記キャリアガス及び前記粉体状ソースの混合物を前記容器から前記成膜処理装置に向けて導入する導入管と、該導入管から分岐して排気装置に接続されたパージ管と、前記導入管を前記成膜処理装置及び前記パージ管への分岐点の間において開閉する開閉弁とを有する基板処理システムにおける前記粉体状ソース供給系の洗浄方法であって、
前記成膜処理に先立って、前記開閉弁が閉弁し且つ前記排気装置が前記パージ管内を排気する際に、前記キャリアガス供給装置が、前記キャリアガスによる粘性力が前記成膜処理時における前記キャリアガスによる粘性力よりも大きくなるように前記キャリアガスを供給する洗浄ステップを有することを特徴とする洗浄方法。
【請求項2】
前記洗浄ステップでは、前記キャリアガス供給装置が前記成膜処理時の供給流量よりも多い供給流量で前記キャリアガスを前記容器内に供給することを特徴とする請求項1記載の粉体状ソース供給系の洗浄方法。
【請求項3】
前記洗浄ステップでは、前記キャリアガス供給装置が前記成膜処理時の供給流量の少なくとも25%増の供給流量で前記キャリアガスを前記容器内に供給することを特徴とする請求項2記載の粉体状ソース供給系の洗浄方法。
【請求項4】
前記基板処理システムは、前記容器及び前記パージ管への分岐点の間において前記導入管内に付加ガスを供給する付加ガス供給装置を備え、
前記洗浄ステップでは、前記付加ガス供給装置が前記成膜処理時の供給流量よりも少ない供給流量で前記付加ガスを前記導入管内に供給することを特徴とする請求項1記載の粉体状ソース供給系の洗浄方法。
【請求項5】
前記洗浄ステップでは、前記付加ガス供給装置が前記成膜処理時の供給流量の少なくとも40%減の供給流量で前記付加ガスを前記導入管内に供給することを特徴とする請求項4記載の粉体状ソース供給系の洗浄方法。
【請求項6】
前記洗浄ステップを繰り返すことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の粉体状ソース供給系の洗浄方法。
【請求項7】
前記洗浄ステップでは、前記容器内の粉体状ソースの表面に境界層を発生させるように、前記キャリアガスを前記容器内に供給することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の粉体状ソース供給系の洗浄方法。
【請求項8】
粉体状ソースを供給する粉体状ソース供給系と、該供給された粉体状ソースを用いて基板に成膜処理を施す成膜処理装置とを備え、前記粉体状ソース供給系は、前記粉体状ソースを収容する容器と、該容器内へキャリアガスを供給するキャリアガス供給装置と、前記容器及び前記成膜処理装置を接続し、且つ前記キャリアガス及び前記粉体状ソースの混合物を前記容器から前記成膜処理装置に向けて導入する導入管と、該導入管から分岐して排気装置に接続されたパージ管と、前記導入管を前記成膜処理装置及び前記パージ管への分岐点の間において開閉する開閉弁とを有する基板処理システムにおける前記粉体状ソース供給系の洗浄方法をコンピュータに実行させるプログラムを格納するコンピュータで読み取り可能な記憶媒体であって、前記洗浄方法は、
前記成膜処理に先立って、前記開閉弁が閉弁し且つ前記排気装置が前記パージ管内を排気する際に、前記キャリアガス供給装置が、前記キャリアガスによる粘性力が前記成膜処理時における前記キャリアガスによる粘性力よりも大きくなるように前記キャリアガスを供給する洗浄ステップを有することを特徴とする記憶媒体。
【請求項9】
粉体状ソースを供給する粉体状ソース供給系と、該供給された粉体状ソースを用いて基板に成膜処理を施す成膜処理装置とを備え、前記粉体状ソース供給系は、前記粉体状ソースを収容する容器と、該容器内へキャリアガスを供給するキャリアガス供給装置と、前記容器及び前記成膜処理装置を接続し、且つ前記キャリアガス及び前記粉体状ソースの混合物を前記容器から前記成膜処理装置に向けて導入する導入管と、該導入管から分岐して排気装置に接続されたパージ管と、前記導入管を前記成膜処理装置及び前記パージ管への分岐点の間において開閉する開閉弁とを有する基板処理システムであって、
前記成膜処理に先立って、前記開閉弁が閉弁し且つ前記排気装置が前記パージ管内を排気する際に、前記キャリアガス供給装置が、前記キャリアガスによる粘性力が前記成膜処理時における前記キャリアガスによる粘性力よりも大きくなるように前記キャリアガスを供給することを特徴とする基板処理システム。
【請求項10】
前記パージ管は圧力制御弁を有することを特徴とする請求項9記載の基板処理システム。
【請求項11】
前記パージ管のコンダクタンスは、前記成膜処理装置及び前記パージ管への分岐点の間における前記導入管のコンダクタンスより大きいことを特徴とする請求項9又は10記載の基板処理システム。
【請求項12】
前記容器は超音波振動発生装置を有することを特徴とする請求項9乃至11のいずれか1項に記載の基板処理システム。
【請求項13】
前記導入管はヒータを有することを特徴とする請求項9乃至12のいずれか1項に記載の基板処理システム。
【請求項14】
請求項1記載の粉体状ソース供給系の洗浄方法の実行に続けて前記基板に前記成膜処理を施すことを特徴とする基板処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−251905(P2008−251905A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−92379(P2007−92379)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】