粉末材料の合成や分離や精製のための方法
本発明は、プラズマ処理と、プラズマ処理済み粉末に対する超音波処理と、を組み合わせたような、粉末の球状化焼鈍や高密度化や精製のためのプロセスに関するものである。超音波処理により、プラズマによって溶融して部分的に蒸発した粉末から、『煤塵』とも称されるような、ナノサイズの凝結粉末を分離することができる。また、このプロセスを使用することにより、ナノ粉末を合成することができる。この場合、供給材料を部分的に蒸発させ、その後に、蒸気クラウドの迅速な凝縮を行い、これにより、ナノ粉末からなる微細エアロゾルを生じさせる。後者の場合、超音波処理ステップは、部分的に蒸発した材料から、形成されたナノ粉末を分離するように作用する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉末材料の合成や分離や精製のためのプロセスに関するものである。より詳細には、本発明は、プラズマ条件下での材料変質を備えたプロセスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
プラズマ条件下で個々の粒子を浮遊させつつ融解しその後に成形済み小滴の凝固を行うという粉末材料の処理プロセスは、従来より公知であって、粉末の形状とされた材料を高密度化したり球状化焼鈍したりするための手段として、注目を集めている。一般に粉末の球状化焼鈍として公知のプロセスにより、それら粉末の取扱い時や輸送時における流動特性と摩耗耐性とを著しく改良することができる。
【0003】
さらに、粉末の球状化焼鈍プロセスは、粉末材料の化学的組成の適切な制御のための有効な手段としても、また、新しい材料や複合混合物の合成のための有効な手段としても、認識されている。
【0004】
また、処理のための熱源として、誘導結合型のラジオ周波数(r.f.)の無電極放電を使用することにより、処理対象をなす粉末の高度な精製を、いくつかの不純物の部分的放散によって行い得ることが観測された。これは、溶融した小滴からの不純物の、単純な蒸発ステップの結果、あるいは、不純物の反応的蒸発の結果、のうちのどちらかである。前者の場合、粒子マトリクスの沸点よりも低い沸点の不純物が、優先的に蒸発し、この場合には、ガス状不純物が、粒子マトリクスから放散することとなる。後者の場合、不潔は、処理環境との接触によって溶融小滴の表面のところで化学的に変性し、その後、形成された合成物が蒸発することとなる。生じる化学反応は、限定するものではないけれども、例えば、プラズマフロー中の酸素との接触による不純物の酸化とすることができる。この処理により、粉末内における不純物レベルが実質的に低減する、すなわち、精製される。
【0005】
しかしながら、そのような状況で生じる問題点は、不純物によって形成された蒸気クラウドが、元素の形態であろうがあるいは化合物の形態であろうが、精製済みの粉末を輸送しているプラズマガスと混合したままであることである。プラズマ流の全体が、含有粉末と一緒に冷却される際に、不純物も、また、非常に微細な煤塵の形態として凝集し、反応チャンバ内のすべての表面上に堆積する可能性がある。そのような表面には、処理済みのつまり精製済みの表面も、含まれる。よって、一旦は除去された同じ不純物によって、精製済み表面が、再び汚染されることとなる。金属粉末の場合には、この煤塵は、非常に微細な金属粒子から構成される。このような金属粒子は、周囲エアに対して接触することによって、酸化を受けやすい。この酸化反応により、粉末の酸素含有量が著しく増大する。
【0006】
他の状況においては、粉末の誘導プラズマ処理をうまく使用することにより、供給前駆体の浮遊状態での加熱と溶融と蒸発とによって、金属ナノ粉末やセラミックナノ粉末の合成が行われ、その後に、形成された蒸気の急速なクエンチが行われ、これにより、蒸気クラウドの一様な凝集のために、ナノ粉末からなる微細エアロゾルが形成される。しかしながら、そのような場合には、形成されたナノ粉末エアロゾルは、供給材料の残余部分と混合されて部分的に蒸発し、これにより、幅広い粒径分布を有した混合粉末が形成されてしまう。動作条件に依存して、収集された粉末は、多くの場合、二峰性の粒径分布を有し、このことは、大部分のナノ粉末応用に際して、そのような粉末の受入に際しての主要な制限事項を呈する。なお、本出願人の知る限りにおいては、本出願に関連性を有する先行技術文献は存在しない。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
したがって、本発明の目的は、粉末材料の合成のための改良されたプロセスを提供することである。
【0008】
本発明の他の目的は、粉末材料の分離および/または精製のための改良されたプロセスを提供することである。
【0009】
本発明は、プラズマ処理と、プラズマ処理済み粉末に対する超音波処理と、を組み合わせたような、粉末の球状化焼鈍や高密度化や精製のためのプロセスに関するものである。超音波処理により、プラズマによって溶融して部分的に蒸発した粉末から、『煤塵』とも称されるような、ナノサイズの凝結粉末を分離することができる。また、このプロセスを使用することにより、ナノ粉末を合成することができる。この場合、供給材料を部分的に蒸発させ、その後に、蒸気クラウドの迅速な凝縮を行い、これにより、ナノ粉末からなる微細エアロゾルを生じさせる。後者の場合、超音波処理ステップは、部分的に蒸発した材料から、形成されたナノ粉末を分離するように作用する。
【0010】
より詳細には、本発明の第1見地においては、材料を精製するための方法であって、
不純物を含有している材料からなる粉末粒子を準備し;
材料からなる粉末粒子をプラズマ流によって加熱して溶融させ、これにより、蒸気相内へと不純物を放出させ、これにより、プラズマ流内において混合された材料からなる溶融粒子小滴と、蒸発した不純物と、を生成し;
プラズマ流内において混合された材料からなる溶融粒子小滴と、蒸発した不純物と、を冷却し、これにより、材料からなる精製済み粉末粒子と、煤塵と、からなる混合物を生成し;
材料からなる精製済み粉末粒子と煤塵とからなる混合物を、音響処理媒体内において超音波振動に対して曝し、これにより、音響媒体内において精製済み粉末粒子と煤塵とを分離させ;
材料からなる精製済み粉末粒子を、煤塵から分離させた状態で音響媒体内から回収する;
という方法が提供される。
【0011】
本発明の第2見地においては、粗い粉末に対して混合したナノ粉末を分離するための方法であって、粗い粉末に対して混合したナノ粉末に対して、音響処理媒体内において、超音波振動を印加するという方法が提供される。
【0012】
本発明の第3見地においては、材料からなるナノ粉末を合成するための方法であって、
i)粉末という形態でもって材料を準備し;
ii)材料からなる粉末をプラズマ流によって加熱して溶融させて蒸発させ、これにより、材料を、プラズマ流内において、部分的に蒸発した粒子と混合された蒸気相とし;
iii)プラズマ流内において、部分的に蒸発した粒子と混合された蒸気相とされた材料を、クエンチ流の中を通過させ、これにより、材料から形成されたナノ粉末と、残余の粗い材料粉末と、からなる混合物を形成し;
iv)材料から形成されたナノ粉末と残余の粗い材料粉末とからなる混合物を、音響処理媒体内において超音波振動に対して曝し、これにより、ナノ粉末粒子と粗い材料粉末とを分離させる;
という方法が提供される。
【0013】
本発明による材料の合成方法または精製方法によれば、例えば太陽電池やスパッタリングターゲットといったような高純度材料の製造のために、粉末材料の精製を行うことができる。
【0014】
本発明によるナノ粉末の合成方法によれば、本発明において音響処理プロセスとして特定されるような強力な超音波作用の印加により、残余の部分的に蒸発した前駆体材料から、合成されたナノ粉末を、分離させることができる。
【0015】
本発明による方法によれば、広範囲の材料粉末を精製したり合成したりまた分離したりすることができる。例えば、限定するものではないけれども、セラミクスや、合金や、複合体や、限定するものではないけれどもシリコンやクロミウムやモリブデンやタングステンやタンタルやルテニウム等の純粋な金属、といったような材料の粉末を、精製したり合成したりまた分離したりすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の他の目的や特徴点や利点は、添付図面を参照しつつ、本発明を何ら限定するものではなく単なる例示としての好ましい実施形態に関する以下の詳細な説明を読むことにより、明瞭となるであろう。
【0017】
さて、本発明の例示としての一実施形態による材料の精製プロセス100について、図1を参照して説明する。
【0018】
ステップ102においては、材料を、生の粉末の形態として準備する。その後、粉末粒子を、誘導結合型のラジオ周波数のプラズマ流の中心内へと、軸方向に挿入する。
【0019】
ステップ104においては、図2に示す誘導結合型のラジオ周波数(r.f.)のプラズマ反応チャンバ10の中心内へと注入することに基づいて、材料の粉末粒子を加熱して溶融させる。
【0020】
実際、個々の粉末粒子がプラズマ流に接触した際には、それら粉末粒子は、数ミリ秒といった程度の比較的短時間でもって加熱されて溶融する。これにより、材料からなる溶融粒子小滴が、プラズマ流内において混合される。材料粒子の溶融に加えて、ステップ102においては、さらに、粒子をなす材料自体の部分的蒸発と、粒子をなす材料内におけるすべての不純物の部分的な蒸発と、の一方または双方が引き起こされる。また、粒子内に閉じ込められた不純物は、溶融ステップ時には、表面張力の影響によって、粒子の表面へと到達する。
【0021】
プラズマ反応チャンバに関しては、プラズマガスの組成は、処理対象をなす材料の化学的特性に応じて、および、存在する不純物に応じて、不活性雰囲気、あるいは、酸化雰囲気、あるいは、還元雰囲気、とされる。
【0022】
動作圧力は、大気圧、あるいは、減圧、あるいは、『ソフトな真空』、あるいは、雰囲気圧力よりも大きな圧力、とされる。蒸発は、粒子材料の単純な蒸発の結果とすることができる、あるいは、いかなる化学的変性をも伴うことなく蒸気相内における粒子からの不純物の分離の結果とすることができる。また、粒子材料とプラズマガスとの相互作用に基づく粒子材料の化学的変性を伴うような、あるいは、存在する不純物とプラズマガスとの相互作用に基づく不純物の化学的変性を伴うような、反応性蒸発とすることができる。その後、形成された化合物は、蒸発する。
【0023】
そのようなr.f.プラズマ反応が、当業者には周知であるので、それ以上の詳細な説明を省略する。ここで、粉末粒子の加熱および溶融に際しては、例えば直流(d.c.)プラズマジェットや容量結合型r.f.プラズマやマイクロ波プラズマといったような他のタイプのプラズマ反応を使用し得ることに注意されたい。
【0024】
ステップ106においては、プラズマ流との混合の結果として形成された溶融粒子小滴が冷却され、これにより、精製済み材料からなる溶融粒子小滴が、凝固して球状化焼鈍され、ナノサイズのエアロゾルの形態とされた輸送蒸気が凝集する。凝集物は、プラズマ反応チャンバ10のすべての利用可能な表面上にも、および、輸送される凝固粒子小滴の表面にも、成膜する。後者の場合は、煤塵状材料が、精製済み粉末と混合される。
【0025】
図3Aは、プロセス100のステップ102〜106によって凝固した粒子小滴に関し、シリコン上に凝縮した凝集ナノ粉末煤塵の例を示しており、図3Bは、ルテニウム上に凝縮した凝集ナノ粉末煤塵の例を示している。
【0026】
図3Aおよび図3Bに示すように、ステップ106は、プラズマステップの際に得られた精製操作の損失となる。
【0027】
凝固した粒子小滴から煤塵状ナノ粉末粒子を分離し得るよう、したがって、精製を行い得るよう、材料粉末粒子と煤塵材料粉末粒子とからなる得られた混合物に対して、音響媒体内において強力な超音波振動を印加する(ステップ108)。音響媒体の容積に応じてまたパワー導入レベルに応じて、音響処理の必要な強度は、100W〜数kWとすることができる。分離は、強力なコヒーレント振動に応答して設定された複数の定在波からなるファラデー波パターンによって、得られる。ファラデー波パターンは、当業者には周知であるので、これ以上の説明を省略する。
【0028】
ステップ108を実行するに際して使用し得る超音波アセンブリ20の一例が、図4に示されている。このアセンブリ20は、小さな水冷されたガラスビーカー22を備えている。このガラスビーカー22は、ステップ102〜106に起因する材料粉末粒子と煤塵材料粉末粒子との混合物が充填されており、例えば、限定するものではないけれども、水やアセトンやアルコールといったような適切な音響処理液体内への懸濁液(図4において符号24によって全体的に示されている)として充填されている。
【0029】
アセンブリ20は、さらに、超音波生成プローブ26を備えている。超音波生成プローブ26の先端28が、懸濁液24内へと含浸され、粉末に対して強力な振動を印加し、比較的大きな精製済み粉末粒子あるいは部分蒸発粉末粒子の表面から、ナノサイズの「煤塵」粒子の離脱を引き起こす。
【0030】
ステップ108が音響処理液体内において実行するものとして図示されているけれども、このステップは、また、例えばエアといったような他の音響媒体内において実行することもできる。
【0031】
当然のことながら、他のタイプの容器を使用することによって、懸濁液24を運ぶことができる。音響媒体は、既に、プラズマ反応チャンバ10のプラズマ処理収集チャンバ内に設けることができる(図2を参照)。また、アセンブリ20は、煤塵状ナノサイズ粒子と凝固粒子小滴とからなる混合物に対して超音波を印加し得るような他の任意の様々な形態とすることができる。
【0032】
超音波プローブが当業者に周知であることにより、ここではさらなる説明を省略する。
【0033】
次なるステップ110においては、音響媒体から精製済み材料粉末粒子を回収する。
【0034】
ステップ110においては、まず最初に、2つの粒子種類(分離された粉末と、ナノサイズの煤塵)の分離を行う。この分離は、通常の重力下における湿式の分級処理あるいは差分的体積によって、あるいは、重力の数倍という大きさの強力な遠心分離によって、行う。その後、分離された粉末および/またはナノサイズの煤塵を、ステップ108を液体媒体内において行うときには濾過を行いその後に蒸発乾燥操作を行うことにより、さらに必要であれば真空パッキング操作を行うことにより、音響媒体から回収する。
【0035】
これに代えて、精製済み粉末材料に関する他の回収プロセスを、使用することもできる。
【0036】
粉末処理プロセス100においては、粉末のフロー特性を改良することができる。実際、プロセス100の後に、ホール(Hall)テストを、球状化焼鈍粉末粒子に対して行った。例えば、図5Aに示すような生のWC(タングステンカーバイド)粉末が、54.3s/20cm3 というホールフロー値を有していること、一方、図5Bおよび図5Cに示すような、プロセス100の後に球状化焼鈍になったWC粉末が、それぞれ32.5および34.3s/20cm3 というホールフロー値を有していることが、測定された。
【0037】
以下においては、装置10,20を使用したプロセス100の特定の応用例について、説明する。特定の例は、本発明による精製プロセスに関する追加的な特徴点および利点を示している。
【0038】
「ソーラーグレードのシリコン応用のためのシリコン粉末の精製」
第1の例は、ソーラーグレードのシリコン応用のためのシリコン粉末の精製に関するものである。この第1の例においては、中程度の純度のシリコン粉末を、プロセス100のステップ102〜106に基づき大気圧近傍で動作するアルゴン/水素の誘導結合プラズマ放電内へと導入することにより、溶融させた。
【0039】
収集した粉末は、表面上に凝結した凝集ナノサイズ煤塵粒子のネットワークに対して混合した個々の球状化焼鈍粒子から構成される。
【0040】
プロセス100のステップ108に後に、煤塵を、アセトンバス内における強力な音響処理により、精製済みシリコン粒子から分離した。その後、プロセス100のステップ110に対応して、質量差に基づく堆積、および、ろ過、および、乾燥操作を行った。
【0041】
プラズマ処理後のシリコン粒子に関し、および、強力な音響処理ステップ108の前後におけるシリコン粒子に関し、電子顕微鏡写真を、それぞれ、図6A〜図6Dおよび図7A〜図7Dに示す。粉末のBET(Brunauer Emmett Teller)比表面積分析に対応する値を、表1に示す。
【0042】
【表1】
【0043】
露光時間を同じとした場合に、超音波に関する所定の2つの強度(17Wおよび100W)において得られた結果は、より良好な結果が、少なくとも最小パワーでの音響処理ステップによって得られることを示した。より詳細には、およそ、50〜100Wという範囲のパワーでの音響処理ステップによって得られることを示した。表1に示された結果は、比表面積の急激な低下によって実証されているように、粉末粒子の表面上における煤塵成膜度合いの明らかな低減を示している。
【0044】
「電子応用のためのルテニウムの精製」
第2の例は、電子的な応用のためのルテニウムの精製に関するものである。この例においては、ルテニウム粉末が、大気圧近傍の圧力でもって、アルゴン/ヘリウム誘導結合プラズマに対して曝される。この場合、個々の粒子が加熱溶融し、プロセス100のステップ104〜106に基づくような、球状化焼鈍処理が行われる。ステップ104〜106においては、さらに、粒子表面からの、粒子表面上に存在する不純物の蒸発が、引き起こされる。その後、処理済み粉末は、ステップ108において、100Wの超音波ホーンジェネレータ26を使用して、強力な超音波振動に曝される。ジェネレータ26の先端28は、アセトン内における250gという処理済み粉末の100mlの懸濁液の中に、含浸される。
【0045】
プラズマ処理済みルテニウム粉末の電子顕微鏡写真が、図8A〜図8Eに示されている。図8Aは、音響処理ステップ108の開始(t=0)を示しており、図8B〜図8Eは、音響処理に関する様々な時間後(30、60、90および120min)における様子を示している。図8A〜図8Eは、ルテニウム粒子の表面からの煤塵粒子の除去により、粉末が徐々にかつ着実に精製されている様子を示している。精製効果は、また、音響処理時間(ステップ108)の関数として図9に図示されたような、粉末内における酸素濃度分析によって確認される。この結果は、この実験で使用された100Wという音響処理パワーレベルに関しては、最初の60分を超えた処理時間において、粉末の残留酸素濃度が急激に減少していることを、明確に示している。
【0046】
「ナノサイズのタングステン粉末の合成」
第3の例は、プロセス100を使用したナノサイズ粉末の合成に関するものである。この例においては、プロセス100を使用することにより、例えばタングステンといったような耐火金属のナノ粉末が合成される。この場合、大気圧近傍の圧力においてアルゴン/水素の誘導結合プラズマ内における微細金属タングステン粉末の部分的な蒸発と;その後の、プラズマガスの急速なクエンチ、および、生成された金属蒸気の急速なクエンチと;が行われる(ステップ104〜106)。急速なクエンチは、冷たいガス流を注入することによって、得られる。急速なクエンチは、また、霧化液体流によっても、また、プラズマガスが冷たい表面に対して接触することによっても、得ることができる。
【0047】
形成されたタングステンナノ粉末と、残余の部分的に蒸発したタングステン粉末と、からなる収集混合物は、強力な音響処理ステップ108を受け、これにより、より大きなタングステン粒子から、ナノ粉末を分離することができる。図10Aは、プラズマ反応チャンバのクエンチ領域の出口(図2を参照)のところで収集されたような、粗いタングステン粉末とナノサイズのタングステン粉末との混合物に関する電子顕微鏡写真を示している。
【0048】
音響処理流体としてアセトンをした場合における強力な音響処理によって得られた粗い粉末粒子と微細な粉末粒子とに関する電子顕微鏡写真は、それぞれ、図10Bおよび図10Cに示されている。混合粉末に関しての粒子サイズ分布が、図11Aに示されており、音響処理後に分離された粗い粉末に関しての粒子サイズ分布が、図11Bに示されており、音響処理後に分離された微細な粉末に関しての粒子サイズ分布が、図11Cに示されている。
【0049】
本発明につき、本発明の例示としての実施形態を参照して説明したけれども、上記実施形態は、本発明の精神および範囲を逸脱することなく、特許請求の範囲内において、任意に変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の一例をなす実施形態による粉末材料の精製プロセスを示すフローチャートである。
【図2】図1のプロセスにおける最初の部分を行うためのプラズマ反応チャンバを概略的に示す図である。
【図3A】図1のプロセスにおけるステップ104〜106の後に得られたような、プラズマによって球状化焼鈍されたシリコン粉末粒子を示す電子顕微鏡写真であり、粉末粒子上に凝集した凝結ナノ粉末煤塵からなるウェブを示している。
【図3B】図1のプロセスにおけるステップ104〜106の後に得られたような、プラズマによって球状化焼鈍されたルテニウム粉末粒子を示す電子顕微鏡写真であり、粉末粒子上に凝集した凝結ナノ粉末煤塵からなるウェブを示している。
【図4】図1のプロセスにおける第2の部分を行うための音響処理アセンブリを概略的に示す図である。
【図5A】生のWC粉末粒子を示す電子顕微鏡写真である。
【図5B】図1のプロセスを経て得られたような、球状化焼鈍されたWC粉末粒子の一例を示す電子顕微鏡写真である。
【図5C】図1のプロセスを経て得られたような、球状化焼鈍されたWC粉末粒子の他の例を示す電子顕微鏡写真である。
【図6A】図1のプロセスにおける最初のステップに基づくプラズマ処理の後に得られたような、かつ、図1のプロセスにおける音響処理ステップを行う前の時点で得られたような、シリコン粉末を示す電子顕微鏡写真である。
【図6B】図1のプロセスにおける最初のステップに基づくプラズマ処理の後に得られたような、かつ、図1のプロセスにおける音響処理ステップを行う前の時点で得られたような、シリコン粉末を示す電子顕微鏡写真である。
【図6C】図1のプロセスにおける最初のステップに基づくプラズマ処理の後に得られたような、かつ、図1のプロセスにおける音響処理ステップを行う前の時点で得られたような、シリコン粉末を示す電子顕微鏡写真である。
【図6D】図1のプロセスにおける最初のステップに基づくプラズマ処理の後に得られたような、かつ、図1のプロセスにおける音響処理ステップを行う前の時点で得られたような、シリコン粉末を示す電子顕微鏡写真である。
【図7A】図6Aに対応するものであるものの、図1のプロセスにおける音響処理ステップを行った後におけるシリコン粉末を示す電子顕微鏡写真である。
【図7B】図6Bに対応するものであるものの、図1のプロセスにおける音響処理ステップを行った後におけるシリコン粉末を示す電子顕微鏡写真である。
【図7C】図6Cに対応するものであるものの、図1のプロセスにおける音響処理ステップを行った後におけるシリコン粉末を示す電子顕微鏡写真である。
【図7D】図6Dに対応するものであるものの、図1のプロセスにおける音響処理ステップを行った後におけるシリコン粉末を示す電子顕微鏡写真である。
【図8A】図1のプロセスによって得られたプラズマ処理済みルテニウム粉末を示す電子顕微鏡写真であって、所定の音響処理時間後の状況を示している。
【図8B】図1のプロセスによって得られたプラズマ処理済みルテニウム粉末を示す電子顕微鏡写真であって、所定の音響処理時間後の状況を示している。
【図8C】図1のプロセスによって得られたプラズマ処理済みルテニウム粉末を示す電子顕微鏡写真であって、所定の音響処理時間後の状況を示している。
【図8D】図1のプロセスによって得られたプラズマ処理済みルテニウム粉末を示す電子顕微鏡写真であって、所定の音響処理時間後の状況を示している。
【図8E】図1のプロセスによって得られたプラズマ処理済みルテニウム粉末を示す電子顕微鏡写真であって、所定の音響処理時間後の状況を示している。
【図9】図8A〜図8Eに示すルテニウム粉末に関し、残留酸素濃度を示すグラフである。
【図10A】プラズマ処理後における、なおかつ、音響処理前における、タングステン粉末を示す電子顕微鏡写真である。
【図10B】プラズマ処理後における、なおかつ、音響処理後における、粗い粒子を示す電子顕微鏡写真である。
【図10C】プラズマ処理後における、なおかつ、音響処理後における、微細な粒子を示す電子顕微鏡写真である。
【図11A】図10Aに示すタングステン粉末に関し、粒子サイズの分布を示すグラフである。
【図11B】図10Bに示すタングステン粉末に関し、粒子サイズの分布を示すグラフである。
【図11C】図10Cに示すタングステン粉末に関し、粒子サイズの分布を示すグラフである。
【符号の説明】
【0051】
10 プラズマ反応チャンバ
20 超音波アセンブリ
26 超音波生成プローブ
100 精製プロセス、粉末処理プロセス
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉末材料の合成や分離や精製のためのプロセスに関するものである。より詳細には、本発明は、プラズマ条件下での材料変質を備えたプロセスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
プラズマ条件下で個々の粒子を浮遊させつつ融解しその後に成形済み小滴の凝固を行うという粉末材料の処理プロセスは、従来より公知であって、粉末の形状とされた材料を高密度化したり球状化焼鈍したりするための手段として、注目を集めている。一般に粉末の球状化焼鈍として公知のプロセスにより、それら粉末の取扱い時や輸送時における流動特性と摩耗耐性とを著しく改良することができる。
【0003】
さらに、粉末の球状化焼鈍プロセスは、粉末材料の化学的組成の適切な制御のための有効な手段としても、また、新しい材料や複合混合物の合成のための有効な手段としても、認識されている。
【0004】
また、処理のための熱源として、誘導結合型のラジオ周波数(r.f.)の無電極放電を使用することにより、処理対象をなす粉末の高度な精製を、いくつかの不純物の部分的放散によって行い得ることが観測された。これは、溶融した小滴からの不純物の、単純な蒸発ステップの結果、あるいは、不純物の反応的蒸発の結果、のうちのどちらかである。前者の場合、粒子マトリクスの沸点よりも低い沸点の不純物が、優先的に蒸発し、この場合には、ガス状不純物が、粒子マトリクスから放散することとなる。後者の場合、不潔は、処理環境との接触によって溶融小滴の表面のところで化学的に変性し、その後、形成された合成物が蒸発することとなる。生じる化学反応は、限定するものではないけれども、例えば、プラズマフロー中の酸素との接触による不純物の酸化とすることができる。この処理により、粉末内における不純物レベルが実質的に低減する、すなわち、精製される。
【0005】
しかしながら、そのような状況で生じる問題点は、不純物によって形成された蒸気クラウドが、元素の形態であろうがあるいは化合物の形態であろうが、精製済みの粉末を輸送しているプラズマガスと混合したままであることである。プラズマ流の全体が、含有粉末と一緒に冷却される際に、不純物も、また、非常に微細な煤塵の形態として凝集し、反応チャンバ内のすべての表面上に堆積する可能性がある。そのような表面には、処理済みのつまり精製済みの表面も、含まれる。よって、一旦は除去された同じ不純物によって、精製済み表面が、再び汚染されることとなる。金属粉末の場合には、この煤塵は、非常に微細な金属粒子から構成される。このような金属粒子は、周囲エアに対して接触することによって、酸化を受けやすい。この酸化反応により、粉末の酸素含有量が著しく増大する。
【0006】
他の状況においては、粉末の誘導プラズマ処理をうまく使用することにより、供給前駆体の浮遊状態での加熱と溶融と蒸発とによって、金属ナノ粉末やセラミックナノ粉末の合成が行われ、その後に、形成された蒸気の急速なクエンチが行われ、これにより、蒸気クラウドの一様な凝集のために、ナノ粉末からなる微細エアロゾルが形成される。しかしながら、そのような場合には、形成されたナノ粉末エアロゾルは、供給材料の残余部分と混合されて部分的に蒸発し、これにより、幅広い粒径分布を有した混合粉末が形成されてしまう。動作条件に依存して、収集された粉末は、多くの場合、二峰性の粒径分布を有し、このことは、大部分のナノ粉末応用に際して、そのような粉末の受入に際しての主要な制限事項を呈する。なお、本出願人の知る限りにおいては、本出願に関連性を有する先行技術文献は存在しない。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
したがって、本発明の目的は、粉末材料の合成のための改良されたプロセスを提供することである。
【0008】
本発明の他の目的は、粉末材料の分離および/または精製のための改良されたプロセスを提供することである。
【0009】
本発明は、プラズマ処理と、プラズマ処理済み粉末に対する超音波処理と、を組み合わせたような、粉末の球状化焼鈍や高密度化や精製のためのプロセスに関するものである。超音波処理により、プラズマによって溶融して部分的に蒸発した粉末から、『煤塵』とも称されるような、ナノサイズの凝結粉末を分離することができる。また、このプロセスを使用することにより、ナノ粉末を合成することができる。この場合、供給材料を部分的に蒸発させ、その後に、蒸気クラウドの迅速な凝縮を行い、これにより、ナノ粉末からなる微細エアロゾルを生じさせる。後者の場合、超音波処理ステップは、部分的に蒸発した材料から、形成されたナノ粉末を分離するように作用する。
【0010】
より詳細には、本発明の第1見地においては、材料を精製するための方法であって、
不純物を含有している材料からなる粉末粒子を準備し;
材料からなる粉末粒子をプラズマ流によって加熱して溶融させ、これにより、蒸気相内へと不純物を放出させ、これにより、プラズマ流内において混合された材料からなる溶融粒子小滴と、蒸発した不純物と、を生成し;
プラズマ流内において混合された材料からなる溶融粒子小滴と、蒸発した不純物と、を冷却し、これにより、材料からなる精製済み粉末粒子と、煤塵と、からなる混合物を生成し;
材料からなる精製済み粉末粒子と煤塵とからなる混合物を、音響処理媒体内において超音波振動に対して曝し、これにより、音響媒体内において精製済み粉末粒子と煤塵とを分離させ;
材料からなる精製済み粉末粒子を、煤塵から分離させた状態で音響媒体内から回収する;
という方法が提供される。
【0011】
本発明の第2見地においては、粗い粉末に対して混合したナノ粉末を分離するための方法であって、粗い粉末に対して混合したナノ粉末に対して、音響処理媒体内において、超音波振動を印加するという方法が提供される。
【0012】
本発明の第3見地においては、材料からなるナノ粉末を合成するための方法であって、
i)粉末という形態でもって材料を準備し;
ii)材料からなる粉末をプラズマ流によって加熱して溶融させて蒸発させ、これにより、材料を、プラズマ流内において、部分的に蒸発した粒子と混合された蒸気相とし;
iii)プラズマ流内において、部分的に蒸発した粒子と混合された蒸気相とされた材料を、クエンチ流の中を通過させ、これにより、材料から形成されたナノ粉末と、残余の粗い材料粉末と、からなる混合物を形成し;
iv)材料から形成されたナノ粉末と残余の粗い材料粉末とからなる混合物を、音響処理媒体内において超音波振動に対して曝し、これにより、ナノ粉末粒子と粗い材料粉末とを分離させる;
という方法が提供される。
【0013】
本発明による材料の合成方法または精製方法によれば、例えば太陽電池やスパッタリングターゲットといったような高純度材料の製造のために、粉末材料の精製を行うことができる。
【0014】
本発明によるナノ粉末の合成方法によれば、本発明において音響処理プロセスとして特定されるような強力な超音波作用の印加により、残余の部分的に蒸発した前駆体材料から、合成されたナノ粉末を、分離させることができる。
【0015】
本発明による方法によれば、広範囲の材料粉末を精製したり合成したりまた分離したりすることができる。例えば、限定するものではないけれども、セラミクスや、合金や、複合体や、限定するものではないけれどもシリコンやクロミウムやモリブデンやタングステンやタンタルやルテニウム等の純粋な金属、といったような材料の粉末を、精製したり合成したりまた分離したりすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の他の目的や特徴点や利点は、添付図面を参照しつつ、本発明を何ら限定するものではなく単なる例示としての好ましい実施形態に関する以下の詳細な説明を読むことにより、明瞭となるであろう。
【0017】
さて、本発明の例示としての一実施形態による材料の精製プロセス100について、図1を参照して説明する。
【0018】
ステップ102においては、材料を、生の粉末の形態として準備する。その後、粉末粒子を、誘導結合型のラジオ周波数のプラズマ流の中心内へと、軸方向に挿入する。
【0019】
ステップ104においては、図2に示す誘導結合型のラジオ周波数(r.f.)のプラズマ反応チャンバ10の中心内へと注入することに基づいて、材料の粉末粒子を加熱して溶融させる。
【0020】
実際、個々の粉末粒子がプラズマ流に接触した際には、それら粉末粒子は、数ミリ秒といった程度の比較的短時間でもって加熱されて溶融する。これにより、材料からなる溶融粒子小滴が、プラズマ流内において混合される。材料粒子の溶融に加えて、ステップ102においては、さらに、粒子をなす材料自体の部分的蒸発と、粒子をなす材料内におけるすべての不純物の部分的な蒸発と、の一方または双方が引き起こされる。また、粒子内に閉じ込められた不純物は、溶融ステップ時には、表面張力の影響によって、粒子の表面へと到達する。
【0021】
プラズマ反応チャンバに関しては、プラズマガスの組成は、処理対象をなす材料の化学的特性に応じて、および、存在する不純物に応じて、不活性雰囲気、あるいは、酸化雰囲気、あるいは、還元雰囲気、とされる。
【0022】
動作圧力は、大気圧、あるいは、減圧、あるいは、『ソフトな真空』、あるいは、雰囲気圧力よりも大きな圧力、とされる。蒸発は、粒子材料の単純な蒸発の結果とすることができる、あるいは、いかなる化学的変性をも伴うことなく蒸気相内における粒子からの不純物の分離の結果とすることができる。また、粒子材料とプラズマガスとの相互作用に基づく粒子材料の化学的変性を伴うような、あるいは、存在する不純物とプラズマガスとの相互作用に基づく不純物の化学的変性を伴うような、反応性蒸発とすることができる。その後、形成された化合物は、蒸発する。
【0023】
そのようなr.f.プラズマ反応が、当業者には周知であるので、それ以上の詳細な説明を省略する。ここで、粉末粒子の加熱および溶融に際しては、例えば直流(d.c.)プラズマジェットや容量結合型r.f.プラズマやマイクロ波プラズマといったような他のタイプのプラズマ反応を使用し得ることに注意されたい。
【0024】
ステップ106においては、プラズマ流との混合の結果として形成された溶融粒子小滴が冷却され、これにより、精製済み材料からなる溶融粒子小滴が、凝固して球状化焼鈍され、ナノサイズのエアロゾルの形態とされた輸送蒸気が凝集する。凝集物は、プラズマ反応チャンバ10のすべての利用可能な表面上にも、および、輸送される凝固粒子小滴の表面にも、成膜する。後者の場合は、煤塵状材料が、精製済み粉末と混合される。
【0025】
図3Aは、プロセス100のステップ102〜106によって凝固した粒子小滴に関し、シリコン上に凝縮した凝集ナノ粉末煤塵の例を示しており、図3Bは、ルテニウム上に凝縮した凝集ナノ粉末煤塵の例を示している。
【0026】
図3Aおよび図3Bに示すように、ステップ106は、プラズマステップの際に得られた精製操作の損失となる。
【0027】
凝固した粒子小滴から煤塵状ナノ粉末粒子を分離し得るよう、したがって、精製を行い得るよう、材料粉末粒子と煤塵材料粉末粒子とからなる得られた混合物に対して、音響媒体内において強力な超音波振動を印加する(ステップ108)。音響媒体の容積に応じてまたパワー導入レベルに応じて、音響処理の必要な強度は、100W〜数kWとすることができる。分離は、強力なコヒーレント振動に応答して設定された複数の定在波からなるファラデー波パターンによって、得られる。ファラデー波パターンは、当業者には周知であるので、これ以上の説明を省略する。
【0028】
ステップ108を実行するに際して使用し得る超音波アセンブリ20の一例が、図4に示されている。このアセンブリ20は、小さな水冷されたガラスビーカー22を備えている。このガラスビーカー22は、ステップ102〜106に起因する材料粉末粒子と煤塵材料粉末粒子との混合物が充填されており、例えば、限定するものではないけれども、水やアセトンやアルコールといったような適切な音響処理液体内への懸濁液(図4において符号24によって全体的に示されている)として充填されている。
【0029】
アセンブリ20は、さらに、超音波生成プローブ26を備えている。超音波生成プローブ26の先端28が、懸濁液24内へと含浸され、粉末に対して強力な振動を印加し、比較的大きな精製済み粉末粒子あるいは部分蒸発粉末粒子の表面から、ナノサイズの「煤塵」粒子の離脱を引き起こす。
【0030】
ステップ108が音響処理液体内において実行するものとして図示されているけれども、このステップは、また、例えばエアといったような他の音響媒体内において実行することもできる。
【0031】
当然のことながら、他のタイプの容器を使用することによって、懸濁液24を運ぶことができる。音響媒体は、既に、プラズマ反応チャンバ10のプラズマ処理収集チャンバ内に設けることができる(図2を参照)。また、アセンブリ20は、煤塵状ナノサイズ粒子と凝固粒子小滴とからなる混合物に対して超音波を印加し得るような他の任意の様々な形態とすることができる。
【0032】
超音波プローブが当業者に周知であることにより、ここではさらなる説明を省略する。
【0033】
次なるステップ110においては、音響媒体から精製済み材料粉末粒子を回収する。
【0034】
ステップ110においては、まず最初に、2つの粒子種類(分離された粉末と、ナノサイズの煤塵)の分離を行う。この分離は、通常の重力下における湿式の分級処理あるいは差分的体積によって、あるいは、重力の数倍という大きさの強力な遠心分離によって、行う。その後、分離された粉末および/またはナノサイズの煤塵を、ステップ108を液体媒体内において行うときには濾過を行いその後に蒸発乾燥操作を行うことにより、さらに必要であれば真空パッキング操作を行うことにより、音響媒体から回収する。
【0035】
これに代えて、精製済み粉末材料に関する他の回収プロセスを、使用することもできる。
【0036】
粉末処理プロセス100においては、粉末のフロー特性を改良することができる。実際、プロセス100の後に、ホール(Hall)テストを、球状化焼鈍粉末粒子に対して行った。例えば、図5Aに示すような生のWC(タングステンカーバイド)粉末が、54.3s/20cm3 というホールフロー値を有していること、一方、図5Bおよび図5Cに示すような、プロセス100の後に球状化焼鈍になったWC粉末が、それぞれ32.5および34.3s/20cm3 というホールフロー値を有していることが、測定された。
【0037】
以下においては、装置10,20を使用したプロセス100の特定の応用例について、説明する。特定の例は、本発明による精製プロセスに関する追加的な特徴点および利点を示している。
【0038】
「ソーラーグレードのシリコン応用のためのシリコン粉末の精製」
第1の例は、ソーラーグレードのシリコン応用のためのシリコン粉末の精製に関するものである。この第1の例においては、中程度の純度のシリコン粉末を、プロセス100のステップ102〜106に基づき大気圧近傍で動作するアルゴン/水素の誘導結合プラズマ放電内へと導入することにより、溶融させた。
【0039】
収集した粉末は、表面上に凝結した凝集ナノサイズ煤塵粒子のネットワークに対して混合した個々の球状化焼鈍粒子から構成される。
【0040】
プロセス100のステップ108に後に、煤塵を、アセトンバス内における強力な音響処理により、精製済みシリコン粒子から分離した。その後、プロセス100のステップ110に対応して、質量差に基づく堆積、および、ろ過、および、乾燥操作を行った。
【0041】
プラズマ処理後のシリコン粒子に関し、および、強力な音響処理ステップ108の前後におけるシリコン粒子に関し、電子顕微鏡写真を、それぞれ、図6A〜図6Dおよび図7A〜図7Dに示す。粉末のBET(Brunauer Emmett Teller)比表面積分析に対応する値を、表1に示す。
【0042】
【表1】
【0043】
露光時間を同じとした場合に、超音波に関する所定の2つの強度(17Wおよび100W)において得られた結果は、より良好な結果が、少なくとも最小パワーでの音響処理ステップによって得られることを示した。より詳細には、およそ、50〜100Wという範囲のパワーでの音響処理ステップによって得られることを示した。表1に示された結果は、比表面積の急激な低下によって実証されているように、粉末粒子の表面上における煤塵成膜度合いの明らかな低減を示している。
【0044】
「電子応用のためのルテニウムの精製」
第2の例は、電子的な応用のためのルテニウムの精製に関するものである。この例においては、ルテニウム粉末が、大気圧近傍の圧力でもって、アルゴン/ヘリウム誘導結合プラズマに対して曝される。この場合、個々の粒子が加熱溶融し、プロセス100のステップ104〜106に基づくような、球状化焼鈍処理が行われる。ステップ104〜106においては、さらに、粒子表面からの、粒子表面上に存在する不純物の蒸発が、引き起こされる。その後、処理済み粉末は、ステップ108において、100Wの超音波ホーンジェネレータ26を使用して、強力な超音波振動に曝される。ジェネレータ26の先端28は、アセトン内における250gという処理済み粉末の100mlの懸濁液の中に、含浸される。
【0045】
プラズマ処理済みルテニウム粉末の電子顕微鏡写真が、図8A〜図8Eに示されている。図8Aは、音響処理ステップ108の開始(t=0)を示しており、図8B〜図8Eは、音響処理に関する様々な時間後(30、60、90および120min)における様子を示している。図8A〜図8Eは、ルテニウム粒子の表面からの煤塵粒子の除去により、粉末が徐々にかつ着実に精製されている様子を示している。精製効果は、また、音響処理時間(ステップ108)の関数として図9に図示されたような、粉末内における酸素濃度分析によって確認される。この結果は、この実験で使用された100Wという音響処理パワーレベルに関しては、最初の60分を超えた処理時間において、粉末の残留酸素濃度が急激に減少していることを、明確に示している。
【0046】
「ナノサイズのタングステン粉末の合成」
第3の例は、プロセス100を使用したナノサイズ粉末の合成に関するものである。この例においては、プロセス100を使用することにより、例えばタングステンといったような耐火金属のナノ粉末が合成される。この場合、大気圧近傍の圧力においてアルゴン/水素の誘導結合プラズマ内における微細金属タングステン粉末の部分的な蒸発と;その後の、プラズマガスの急速なクエンチ、および、生成された金属蒸気の急速なクエンチと;が行われる(ステップ104〜106)。急速なクエンチは、冷たいガス流を注入することによって、得られる。急速なクエンチは、また、霧化液体流によっても、また、プラズマガスが冷たい表面に対して接触することによっても、得ることができる。
【0047】
形成されたタングステンナノ粉末と、残余の部分的に蒸発したタングステン粉末と、からなる収集混合物は、強力な音響処理ステップ108を受け、これにより、より大きなタングステン粒子から、ナノ粉末を分離することができる。図10Aは、プラズマ反応チャンバのクエンチ領域の出口(図2を参照)のところで収集されたような、粗いタングステン粉末とナノサイズのタングステン粉末との混合物に関する電子顕微鏡写真を示している。
【0048】
音響処理流体としてアセトンをした場合における強力な音響処理によって得られた粗い粉末粒子と微細な粉末粒子とに関する電子顕微鏡写真は、それぞれ、図10Bおよび図10Cに示されている。混合粉末に関しての粒子サイズ分布が、図11Aに示されており、音響処理後に分離された粗い粉末に関しての粒子サイズ分布が、図11Bに示されており、音響処理後に分離された微細な粉末に関しての粒子サイズ分布が、図11Cに示されている。
【0049】
本発明につき、本発明の例示としての実施形態を参照して説明したけれども、上記実施形態は、本発明の精神および範囲を逸脱することなく、特許請求の範囲内において、任意に変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の一例をなす実施形態による粉末材料の精製プロセスを示すフローチャートである。
【図2】図1のプロセスにおける最初の部分を行うためのプラズマ反応チャンバを概略的に示す図である。
【図3A】図1のプロセスにおけるステップ104〜106の後に得られたような、プラズマによって球状化焼鈍されたシリコン粉末粒子を示す電子顕微鏡写真であり、粉末粒子上に凝集した凝結ナノ粉末煤塵からなるウェブを示している。
【図3B】図1のプロセスにおけるステップ104〜106の後に得られたような、プラズマによって球状化焼鈍されたルテニウム粉末粒子を示す電子顕微鏡写真であり、粉末粒子上に凝集した凝結ナノ粉末煤塵からなるウェブを示している。
【図4】図1のプロセスにおける第2の部分を行うための音響処理アセンブリを概略的に示す図である。
【図5A】生のWC粉末粒子を示す電子顕微鏡写真である。
【図5B】図1のプロセスを経て得られたような、球状化焼鈍されたWC粉末粒子の一例を示す電子顕微鏡写真である。
【図5C】図1のプロセスを経て得られたような、球状化焼鈍されたWC粉末粒子の他の例を示す電子顕微鏡写真である。
【図6A】図1のプロセスにおける最初のステップに基づくプラズマ処理の後に得られたような、かつ、図1のプロセスにおける音響処理ステップを行う前の時点で得られたような、シリコン粉末を示す電子顕微鏡写真である。
【図6B】図1のプロセスにおける最初のステップに基づくプラズマ処理の後に得られたような、かつ、図1のプロセスにおける音響処理ステップを行う前の時点で得られたような、シリコン粉末を示す電子顕微鏡写真である。
【図6C】図1のプロセスにおける最初のステップに基づくプラズマ処理の後に得られたような、かつ、図1のプロセスにおける音響処理ステップを行う前の時点で得られたような、シリコン粉末を示す電子顕微鏡写真である。
【図6D】図1のプロセスにおける最初のステップに基づくプラズマ処理の後に得られたような、かつ、図1のプロセスにおける音響処理ステップを行う前の時点で得られたような、シリコン粉末を示す電子顕微鏡写真である。
【図7A】図6Aに対応するものであるものの、図1のプロセスにおける音響処理ステップを行った後におけるシリコン粉末を示す電子顕微鏡写真である。
【図7B】図6Bに対応するものであるものの、図1のプロセスにおける音響処理ステップを行った後におけるシリコン粉末を示す電子顕微鏡写真である。
【図7C】図6Cに対応するものであるものの、図1のプロセスにおける音響処理ステップを行った後におけるシリコン粉末を示す電子顕微鏡写真である。
【図7D】図6Dに対応するものであるものの、図1のプロセスにおける音響処理ステップを行った後におけるシリコン粉末を示す電子顕微鏡写真である。
【図8A】図1のプロセスによって得られたプラズマ処理済みルテニウム粉末を示す電子顕微鏡写真であって、所定の音響処理時間後の状況を示している。
【図8B】図1のプロセスによって得られたプラズマ処理済みルテニウム粉末を示す電子顕微鏡写真であって、所定の音響処理時間後の状況を示している。
【図8C】図1のプロセスによって得られたプラズマ処理済みルテニウム粉末を示す電子顕微鏡写真であって、所定の音響処理時間後の状況を示している。
【図8D】図1のプロセスによって得られたプラズマ処理済みルテニウム粉末を示す電子顕微鏡写真であって、所定の音響処理時間後の状況を示している。
【図8E】図1のプロセスによって得られたプラズマ処理済みルテニウム粉末を示す電子顕微鏡写真であって、所定の音響処理時間後の状況を示している。
【図9】図8A〜図8Eに示すルテニウム粉末に関し、残留酸素濃度を示すグラフである。
【図10A】プラズマ処理後における、なおかつ、音響処理前における、タングステン粉末を示す電子顕微鏡写真である。
【図10B】プラズマ処理後における、なおかつ、音響処理後における、粗い粒子を示す電子顕微鏡写真である。
【図10C】プラズマ処理後における、なおかつ、音響処理後における、微細な粒子を示す電子顕微鏡写真である。
【図11A】図10Aに示すタングステン粉末に関し、粒子サイズの分布を示すグラフである。
【図11B】図10Bに示すタングステン粉末に関し、粒子サイズの分布を示すグラフである。
【図11C】図10Cに示すタングステン粉末に関し、粒子サイズの分布を示すグラフである。
【符号の説明】
【0051】
10 プラズマ反応チャンバ
20 超音波アセンブリ
26 超音波生成プローブ
100 精製プロセス、粉末処理プロセス
【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料を精製するための方法であって、
不純物を含有している材料からなる粉末粒子を準備し;
前記材料からなる前記粉末粒子をプラズマ流によって加熱して溶融させ、これにより、蒸気相内へと前記不純物を放出させ、これにより、前記プラズマ流内において混合された前記材料からなる溶融粒子小滴と、蒸発した不純物と、を生成し;
前記プラズマ流内において混合された前記材料からなる前記溶融粒子小滴と、前記蒸発した前記不純物と、を冷却し、これにより、前記材料からなる精製済み粉末粒子と、煤塵と、からなる混合物を生成し;
前記材料からなる前記精製済み粉末粒子と前記煤塵とからなる前記混合物を、音響処理媒体内において超音波振動に対して曝し、これにより、前記音響媒体内において前記精製済み粉末粒子と前記煤塵とを分離させ;
前記材料からなる前記精製済み粉末粒子を、前記煤塵から分離させた状態で前記音響媒体内から回収する;
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法において、
前記音響処理媒体を、水、アセトン、アルコール、および、エア、からなるグループの中から選択することを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1記載の方法において、
前記材料からなる前記精製済み粉末粒子を前記煤塵から分離させた状態で前記音響媒体内から回収するに際しては、前記材料からなる前記精製済み粉末粒子と前記煤塵とを、湿潤分級、あるいは、通常の重力下での質量差に基づく堆積作用、あるいは、強力な遠心分離、によって行うことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1記載の方法において、
前記材料からなる前記精製済み粉末粒子を前記音響媒体内から回収するに際しては、前記音響処理媒体の濾過を行うことを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1記載の方法において、
前記材料からなる前記粉末粒子をプラズマ流によって加熱して溶融させるに際しては、キャリアガスを使用することによって、誘導結合型のラジオ周波数のプラズマ流内へと、前記粉末粒子を注入することを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1記載の方法において、
前記材料からなる前記粉末粒子をプラズマ流によって加熱して溶融させるに際しては、大気圧、減圧、『ソフトな真空』、および、雰囲気圧力よりも大きな圧力、からなるグループの中から選択された圧力下で行うことを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1記載の方法において、
前記プラズマ流を、不活性雰囲気、酸化雰囲気、および、還元雰囲気、からなるグループの中から選択された状況下で行うことを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1記載の方法において、
前記材料からなる前記粉末粒子を、生の形態で準備することを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1記載の方法において、
前記超音波振動を、100W〜10kWという範囲の強度を有することによって特徴づけられた超音波ジェネレータを使用して、生成することを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項1記載の方法において、
前記プラズマ流内において混合された前記材料からなる前記溶融粒子小滴の冷却に際しては、前記プラズマ流内において混合された前記材料からなる前記溶融粒子小滴の急速なクエンチングを行うことを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項10記載の方法において、
前記急速なクエンチングに際しては、冷たいガス流の注入、あるいは、霧化液体流の注入、あるいは、冷たい表面との接触、を行うことを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項1記載の方法において、
前記材料を、セラミック、純粋な金属、合金、および、複合物、からなるグループの中から選択することを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項12記載の方法において、
前記金属を、シリコン、クロミウム、モリブデン、タングステン、タンタル、および、ルテニウム、からなるグループの中から選択することを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項1記載の方法において、
前記粉末材料のフロー特性を改良することを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項1に記載された方法の使用方法であって、
前記粉末粒子の酸素含有量を低下させるために使用することを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項1記載の方法において、
太陽電池あるいはスパッタリングターゲットの製造のために、前記粉末材料の前記精製を行うことを特徴とする方法。
【請求項17】
粗い粉末に対して混合したナノ粉末を分離するための方法であって、
前記粗い粉末に対して混合した前記ナノ粉末に対して、音響処理媒体内において、超音波振動を印加することを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項17記載の方法において、
前記音響処理媒体を、水、アセトン、アルコール、および、エア、からなるグループの中から選択することを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項17記載の方法において、
前記超音波振動を、100W〜10kWという範囲の強度を有することによって特徴づけられた超音波ジェネレータを使用して、生成することを特徴とする方法。
【請求項20】
材料からなるナノ粉末を合成するための方法であって、
i)粉末という形態でもって前記材料を準備し;
ii)前記材料からなる前記粉末をプラズマ流によって加熱して溶融させて蒸発させ、これにより、前記材料を、前記プラズマ流内において、部分的に蒸発した粒子と混合された蒸気相とし;
iii)前記プラズマ流内において、前記部分的に蒸発した粒子と混合された前記蒸気相とされた前記材料を、クエンチ流の中を通過させ、これにより、前記材料から形成されたナノ粉末と、残余の粗い材料粉末と、からなる混合物を形成し;
iv)前記材料から形成された前記ナノ粉末と前記残余の粗い材料粉末とからなる前記混合物を、音響処理媒体内において超音波振動に対して曝し、これにより、前記ナノ粉末粒子と前記粗い材料粉末とを分離させる;
ことを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項20記載の方法において、
さらに、
v)前記材料からなる前記ナノ粉末粒子を前記残余の粗い材料粉末とのうちの分離された少なくとも一方を回収することを特徴とする方法。
【請求項22】
請求項21記載の方法において、
前記ステップv)を行うに際しては、前記材料からなる前記ナノ粉末粒子と前記材料からなる前記粗い粉末とを、湿潤分級、あるいは、通常の重力下での質量差に基づく堆積作用、あるいは、強力な遠心分離、によって行うことを特徴とする方法。
【請求項23】
請求項21記載の方法において、
前記ステップv)を行うに際しては、前記音響処理媒体の濾過を行うことを特徴とする方法。
【請求項24】
請求項20記載の方法において、
前記音響処理媒体を、水、アセトン、アルコール、および、エア、からなるグループの中から選択することを特徴とする方法。
【請求項25】
請求項20記載の方法において、
前記超音波振動を、100W〜10kWという範囲の強度を有することによって特徴づけられた超音波ジェネレータを使用して、生成することを特徴とする方法。
【請求項26】
請求項20記載の方法において、
前記材料からなる前記粉末をプラズマ流によって加熱して溶融させるに際しては、キャリアガスを使用することによって、誘導結合型のラジオ周波数のプラズマ流内へと、前記粉末を注入することを特徴とする方法。
【請求項27】
請求項26記載の方法において、
前記材料からなる前記粉末粒子をプラズマ流によって加熱して溶融させるに際しては、大気圧、減圧、『ソフトな真空』、および、雰囲気圧力よりも大きな圧力、からなるグループの中から選択された圧力下で行うことを特徴とする方法。
【請求項28】
請求項26記載の方法において、
前記プラズマ流を、不活性雰囲気、酸化雰囲気、および、還元雰囲気、からなるグループの中から選択された状況下で行うことを特徴とする方法。
【請求項29】
請求項20記載の方法において、
前記材料を、セラミック、純粋な金属、合金、および、複合物、からなるグループの中から選択することを特徴とする方法。
【請求項1】
材料を精製するための方法であって、
不純物を含有している材料からなる粉末粒子を準備し;
前記材料からなる前記粉末粒子をプラズマ流によって加熱して溶融させ、これにより、蒸気相内へと前記不純物を放出させ、これにより、前記プラズマ流内において混合された前記材料からなる溶融粒子小滴と、蒸発した不純物と、を生成し;
前記プラズマ流内において混合された前記材料からなる前記溶融粒子小滴と、前記蒸発した前記不純物と、を冷却し、これにより、前記材料からなる精製済み粉末粒子と、煤塵と、からなる混合物を生成し;
前記材料からなる前記精製済み粉末粒子と前記煤塵とからなる前記混合物を、音響処理媒体内において超音波振動に対して曝し、これにより、前記音響媒体内において前記精製済み粉末粒子と前記煤塵とを分離させ;
前記材料からなる前記精製済み粉末粒子を、前記煤塵から分離させた状態で前記音響媒体内から回収する;
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法において、
前記音響処理媒体を、水、アセトン、アルコール、および、エア、からなるグループの中から選択することを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1記載の方法において、
前記材料からなる前記精製済み粉末粒子を前記煤塵から分離させた状態で前記音響媒体内から回収するに際しては、前記材料からなる前記精製済み粉末粒子と前記煤塵とを、湿潤分級、あるいは、通常の重力下での質量差に基づく堆積作用、あるいは、強力な遠心分離、によって行うことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1記載の方法において、
前記材料からなる前記精製済み粉末粒子を前記音響媒体内から回収するに際しては、前記音響処理媒体の濾過を行うことを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1記載の方法において、
前記材料からなる前記粉末粒子をプラズマ流によって加熱して溶融させるに際しては、キャリアガスを使用することによって、誘導結合型のラジオ周波数のプラズマ流内へと、前記粉末粒子を注入することを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1記載の方法において、
前記材料からなる前記粉末粒子をプラズマ流によって加熱して溶融させるに際しては、大気圧、減圧、『ソフトな真空』、および、雰囲気圧力よりも大きな圧力、からなるグループの中から選択された圧力下で行うことを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1記載の方法において、
前記プラズマ流を、不活性雰囲気、酸化雰囲気、および、還元雰囲気、からなるグループの中から選択された状況下で行うことを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1記載の方法において、
前記材料からなる前記粉末粒子を、生の形態で準備することを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1記載の方法において、
前記超音波振動を、100W〜10kWという範囲の強度を有することによって特徴づけられた超音波ジェネレータを使用して、生成することを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項1記載の方法において、
前記プラズマ流内において混合された前記材料からなる前記溶融粒子小滴の冷却に際しては、前記プラズマ流内において混合された前記材料からなる前記溶融粒子小滴の急速なクエンチングを行うことを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項10記載の方法において、
前記急速なクエンチングに際しては、冷たいガス流の注入、あるいは、霧化液体流の注入、あるいは、冷たい表面との接触、を行うことを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項1記載の方法において、
前記材料を、セラミック、純粋な金属、合金、および、複合物、からなるグループの中から選択することを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項12記載の方法において、
前記金属を、シリコン、クロミウム、モリブデン、タングステン、タンタル、および、ルテニウム、からなるグループの中から選択することを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項1記載の方法において、
前記粉末材料のフロー特性を改良することを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項1に記載された方法の使用方法であって、
前記粉末粒子の酸素含有量を低下させるために使用することを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項1記載の方法において、
太陽電池あるいはスパッタリングターゲットの製造のために、前記粉末材料の前記精製を行うことを特徴とする方法。
【請求項17】
粗い粉末に対して混合したナノ粉末を分離するための方法であって、
前記粗い粉末に対して混合した前記ナノ粉末に対して、音響処理媒体内において、超音波振動を印加することを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項17記載の方法において、
前記音響処理媒体を、水、アセトン、アルコール、および、エア、からなるグループの中から選択することを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項17記載の方法において、
前記超音波振動を、100W〜10kWという範囲の強度を有することによって特徴づけられた超音波ジェネレータを使用して、生成することを特徴とする方法。
【請求項20】
材料からなるナノ粉末を合成するための方法であって、
i)粉末という形態でもって前記材料を準備し;
ii)前記材料からなる前記粉末をプラズマ流によって加熱して溶融させて蒸発させ、これにより、前記材料を、前記プラズマ流内において、部分的に蒸発した粒子と混合された蒸気相とし;
iii)前記プラズマ流内において、前記部分的に蒸発した粒子と混合された前記蒸気相とされた前記材料を、クエンチ流の中を通過させ、これにより、前記材料から形成されたナノ粉末と、残余の粗い材料粉末と、からなる混合物を形成し;
iv)前記材料から形成された前記ナノ粉末と前記残余の粗い材料粉末とからなる前記混合物を、音響処理媒体内において超音波振動に対して曝し、これにより、前記ナノ粉末粒子と前記粗い材料粉末とを分離させる;
ことを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項20記載の方法において、
さらに、
v)前記材料からなる前記ナノ粉末粒子を前記残余の粗い材料粉末とのうちの分離された少なくとも一方を回収することを特徴とする方法。
【請求項22】
請求項21記載の方法において、
前記ステップv)を行うに際しては、前記材料からなる前記ナノ粉末粒子と前記材料からなる前記粗い粉末とを、湿潤分級、あるいは、通常の重力下での質量差に基づく堆積作用、あるいは、強力な遠心分離、によって行うことを特徴とする方法。
【請求項23】
請求項21記載の方法において、
前記ステップv)を行うに際しては、前記音響処理媒体の濾過を行うことを特徴とする方法。
【請求項24】
請求項20記載の方法において、
前記音響処理媒体を、水、アセトン、アルコール、および、エア、からなるグループの中から選択することを特徴とする方法。
【請求項25】
請求項20記載の方法において、
前記超音波振動を、100W〜10kWという範囲の強度を有することによって特徴づけられた超音波ジェネレータを使用して、生成することを特徴とする方法。
【請求項26】
請求項20記載の方法において、
前記材料からなる前記粉末をプラズマ流によって加熱して溶融させるに際しては、キャリアガスを使用することによって、誘導結合型のラジオ周波数のプラズマ流内へと、前記粉末を注入することを特徴とする方法。
【請求項27】
請求項26記載の方法において、
前記材料からなる前記粉末粒子をプラズマ流によって加熱して溶融させるに際しては、大気圧、減圧、『ソフトな真空』、および、雰囲気圧力よりも大きな圧力、からなるグループの中から選択された圧力下で行うことを特徴とする方法。
【請求項28】
請求項26記載の方法において、
前記プラズマ流を、不活性雰囲気、酸化雰囲気、および、還元雰囲気、からなるグループの中から選択された状況下で行うことを特徴とする方法。
【請求項29】
請求項20記載の方法において、
前記材料を、セラミック、純粋な金属、合金、および、複合物、からなるグループの中から選択することを特徴とする方法。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図8E】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図8E】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【公表番号】特表2007−503973(P2007−503973A)
【公表日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−524185(P2006−524185)
【出願日】平成16年8月19日(2004.8.19)
【国際出願番号】PCT/CA2004/001525
【国際公開番号】WO2005/021148
【国際公開日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願人】(503389611)テクナ・プラズマ・システムズ・インコーポレーテッド (10)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年8月19日(2004.8.19)
【国際出願番号】PCT/CA2004/001525
【国際公開番号】WO2005/021148
【国際公開日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願人】(503389611)テクナ・プラズマ・システムズ・インコーポレーテッド (10)
【Fターム(参考)】
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