説明

粘土鉱物およびPVPを含んだコポリマーをベースにした洗剤添加剤

この発明は、少なくとも(a)1種類の粘土鉱物と(b)1種類のPVP/VAコポリマーを含んでなる、繊維製品の柔軟性を改善するための洗剤添加剤を開示する。さらに、その製造方法ならびに好適な適用が開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、繊維製品の柔軟性を改善するための洗剤添加剤ならびにその製造方法におよび適用に関する。
【背景技術】
【0002】
洗濯物の柔軟性を高める洗剤添加物の使用は久しい以前から知られており、多くの洗剤調合物に適用されている。産業上の使用分野ならびに家庭用化学物質の分野における化学物質使用の指針の変遷の中で、一部は従来極めて効果的に使用されていた物質の多くが見直し対象となっている。また、益々増加している個々の洗剤添加剤に対するアレルギーおよび配合禁忌によって、問題のある添加剤成分を代替する試みの強化が必要とされている。特に柔軟剤、すなわち生地の柔軟性を高める調合物の分野において、問題の無い代替成分の必要性が高い。柔軟剤の作用物質は織物繊維上に付着し、従って長時間皮膚と直接的に接触する。
【0003】
英国特許出願公開第1400898号明細書には洗浄と柔軟性の改善を同時に行う洗剤調合物が記載されている。そのため、陰イオン性、両性および両性イオン性の合成界面活性剤、有機質または無機質の“ビルダー”、ならびにスメクタイト質の三層粘土鉱物が使用される。
【0004】
欧州特許出願公開第0313146号明細書には柔軟性を改善するための洗剤調合物が記載されている。これは一般的な界面活性剤とスメクタイト質粘土鉱物と、ポリオールとそれから誘導されたエーテルアルコールおよびエステルアルコールならびにモノサッカリドおよびオリゴサッカリド等の湿潤剤を含んでいる。さらに、この洗剤調合物は、ポリ酸化エチレン、ポリアクリルアミドおよびポリアクリレート等のポリマー性凝集剤を含んでいる。
【0005】
米国特許出願公開第2005/0170997号明細書にも柔軟性を改善するための洗剤添加剤が記載されている。粘土鉱物の特性を改善するために、シリコン油および任意選択のイオン性ポリマー、ならびにビルダー、漂白剤、湿潤剤および転色防止剤等の補助剤が使用される。
【0006】
欧州特許出願公開第0299575号明細書には、スメクタイト質粘土鉱と、100,000g/モルないし10,000,000g/モルの分子量を有するポリ酸化エチレン等のポリマー性湿潤剤とから生成された、柔軟性を改善するための洗剤合成物が記載されている。追加的な添加物として、第4級アンモニウム化合物ならびに陰イオン性、非イオン性、両性および両性イオン性の界面活性剤を使用することができる。
【0007】
しかしながら、粘土鉱物含有率を上昇させても同じ比率で柔軟性が増すわけではなく、従って従来の技術においては少なからずその他の添加物を用いる必要があった。その例として、前述した第4級アンモニウム塩、界面活性剤、湿潤剤、およびシリコン油が単独および組み合わせで挙げられる。しかしながら、それらの添加物によって洗剤調合物のコストが少なからず上昇する。加えて、高い粘土鉱物含有率を有する調合物と比べて生物学的な分解が低下する。加えてそれらの添加物は多くの場合、特に皮膚の許容性およびアレルギー危険性の観点から健康上の問題が心配される。以上の理由から、柔軟性の改善を伴った粘土含有率のさらなる増大が必要かつ有効である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って本発明の目的は、従来の技術の難点を解消し粘土鉱物およびその他の健康的および環境的に無害な添加物の使用ならびに改善された柔軟性を特徴とする、特に顆粒状の洗剤調合物のための粘土鉱物をベースにした低コストな洗剤添加剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の1つの特徴によれば、前記の課題は請求項1に記載の洗剤添加剤によって解決される。本発明に係る洗剤添加剤の好適な実施形態が従属請求項の対象である。
【0010】
本発明に係る繊維製品の柔軟性を改善するための洗剤添加剤は少なくとも以下の成分:
(a)1種類の粘土鉱物
(b)1種類のPVP−VAコポリマー
を有する。
【0011】
粘土鉱物は、天然粘土鉱物および合成製造された粘土鉱物のいずれとすることもできる。粘土および粘土鉱物の概念はここでは同意義として用いる。極めて好適な粘土鉱物の構造については後の段落で詳細に記述する。例えば木綿等の織物繊維の柔軟性に対する粘土鉱物の作用は、粘土鉱物が例えば2μm未満の粒子直径を有する小板形状のアルモシリケートである等の形態学的な特性、ならびに滑り特性等の物理化学的特性のため木綿繊維間および/または繊維上に付着することによって理由付けられる。それによって繊維同士がより良好に滑動し、それが柔軟性の改善につながる。柔軟性の改善と並んで、粘土が汚染粒子を吸着してそれを濯ぎの際に容易に除去し得ることによって洗浄工程も強化される。
【0012】
本発明に係る洗剤添加剤によれば意外なことに、少なくとも1種類の粘土鉱物と少なくとも1種類のPVP(ポリビニルピロリドン)とVA(ビニルアセテート)を含有するコポリマーとの組み合わせを使用することによって柔軟性が著しく改善されることが判明した。その際コポリマーは規則的あるいは不規則に交替する構造単位(例えば−A−B−A−B−A−または−A−A−A−B−B−A−B−B−B−)を有することができ、またブロック共重合体(例えばA−B)として存在することもできる。それらに限定されるものではないが考えられるブロック共重合体の構造には、A−ブロック共重合体、A−トリブロック共重合体、A−トリブロック共重合体、A(B−ブロック共重合体、またはブロックA−主鎖およびB−側鎖を有するコポリマー(櫛形ポリマー)、ならびにそれらのものの組み合わせが含まれる。この際本発明の1つの特徴によれば粘土鉱物とPVP/VAからなる組み合わせによって織物繊維上への粘土鉱物の付着が改善され、それによって粘土鉱物による柔軟性が高められる。
【0013】
本発明の枠内において意外なことに、少なくとも1種類のPVP/VAコポリマーを使用することによって予想外の柔軟性の改善が達成されることが判明した。
【0014】
別の好適な実施形態によれば洗剤添加剤が界面活性剤を含有する。一般的に当業者において周知の界面活性剤を使用することができる。界面活性剤とは荷電(イオン性界面活性剤)あるいは非荷電(非イオン性界面活性剤)の界面活性な有機化合物に係り、その際少なくとも1つの親水性分子層が有極性の溶媒内で溶解可能であり非極性の溶媒内においては溶解困難あるいは溶解不可能である。さらに、前記の界面活性剤は非極性の溶媒内で溶解可能であり有極性の溶媒内においては溶解困難あるいは溶解不可能である少なくとも1つの疎水性の分子層を有する。一般的な界面活性剤の定義は例えば1995年ゲオルグ・ティエメ社発刊のレンプ化学辞典第9版第4495−4499頁にも記載されている。それによると界面活性剤は、界面張力を減少させるものであるとともに少なくとも1つの親水性の基と少なくとも1つの疎水性の基とからなる特徴的な構造を有する物質である。
【0015】
好適な実施形態によれば、好適な粘土鉱物はスメクタイト質粘土鉱物である。この粘土は層状ケイ酸塩ユニットの構造を有している。スメクタイト質粘土鉱物の例は、バイデライト、ヘクトライト、サポナイト、ステベンス石、ノントロナイト、およびモンモリロナイトあるいはベントナイトである。
【0016】
好適な実施形態において、界面活性剤は非イオン性界面活性剤に係る。非イオン性界面活性剤において頻繁に反復する構造要素は、疎水性の炭化水素鎖および親水性のエチレンオキシド鎖、プロピレンオキシド鎖あるいはポリオールである。それらに限定されるものではないが、非イオン性界面活性剤の例は、脂肪族アルコールエトキシレート、ポリエチレングリコールエーテル、アルキルグリコシド、アルキルポリグリコシド、ソルビタン脂肪酸エステル、アルキルフェニルエトキシレート、アルキルフォスフィンオキシド、およびシリコン界面活性剤である。
【0017】
好適な実施形態によれば、PVP/VAはポリビニルピロリドンモノマー単位およびポリビニルアセテートモノマー単位のみを含んだコポリマーに係る。しかしながら別の実施形態によれば、PVP/VAコポリマーがビニルピロリドンモノマー単位とビニルアセテートモノマー単位に加えてさらに1つあるいは複数の別のモノマー単位を含む。それらの別のモノマー単位は、0.1ないし20モル%の割合でPVA−VAコポリマー内に含有することができる。好適なモノマーは例えばビニルイミダゾール、ビニルオキサゾリドン、ビニルプロピオネート、メチルアクリレートあるいはエチルアクリレート(メタクリレート)である。
【0018】
好適な実施形態によれば、PVP/VAコポリマーは一般的に約1ないし99%のビニルピロリドンモノマー単位含有率を有する。
【0019】
PVP/VAコポリマーが少なくとも約20%、特に少なくとも約30%、さらに好適には少なくとも40%、さらに好適には少なくとも50%の割合でビニルアセテート(VA)モノマー単位を含んでいても効果的である。すなわち、柔軟性の改善がPVP/VAコポリマー中のVAの含有量あるいは割合の増加に伴って驚くほど増大することが判明した。また、PVP/VAコポリマー中のビニルアセテートモノマー単位の割合が約90%未満、特に約80%未満、さらに好適には75%未満であれば好適である。
【0020】
本発明に係る洗剤添加剤の別の好適な実施形態によれば、PVP/VAコポリマーが約80:20ないし20:80、特に約70:30ないし30:70であるビニルピロリドンモノマー単位対ビニルアセテートモノマー単位の比率を有する。技術的な観点から粉末状のPVP/VAコポリマーを使用することが好適である。その種の粉末状PVP/VAコポリマーは、約70:30ないし60:40であるビニルピロリドンモノマー単位対ビニルアセテートモノマー単位の比率を有することが好適である。しかしながら、例えば水性アルコール溶液として溶解された形態で処理することができるPVP/VAコポリマーを使用することも可能である。これはより高い割合でビニルアセテートモノマー単位を含んでいる。1つの例としてコポリマーが約50:50のビニルピロリドンモノマー単位対ビニルアセテートモノマー単位の比率を有する。
【0021】
PVP/VAコポリマーは100000ないし1000000g/モルの範囲の分子量を有することが好適である。好適な分子量の範囲は、30000−900000g/モルならびに500000ないし800000g/モルである。
【0022】
別の実施形態によれば、洗剤添加剤が少なくとも1種類のカラゲナンを含む。意外なことに、カラゲナンはそれ自体の作用、また粘土鉱物、界面活性剤および/またはPVP/VAコポリマーとの組み合わせのいずれによっても柔軟性をさらに改善することが判明した。
【0023】
カラゲナンはそれ自体当業者において周知であり、全ての汎用のカラゲナンを本発明の枠内において使用することができる。それらは線状のガラクトースポリサッカリド(海水原料のもの)の塩である。
【0024】
商業的にはλ−カラゲナン、κ−カラゲナン、ならびにι−カラゲナンである。λ−カラゲナンは二量体成分、β−D−ガラクトシド(1,4)−α−D−ガラクトースから構成された鎖状分子である。それらの二量体は1,3−グリコシドによって互いに結合されている。α−D−ガラクトースの第一アルコール基は硫酸によってエステル化され、また両方のガラクトースのC2上のヒドロキシ基も約70%まで硫酸によってエステル化される。その後でλ−カラゲナンは32ないし39%の硫酸塩含有率を有する。κ−カラゲナンおよびι−カラゲナンは二量体のカラビオースからなり、その中においてβ−D−ガラクトースが1,4−グリコシドによってα−D−3,6−無水ガラクトース上に結合されている。それらの二量体は1,3−グリコシド結合によって鎖状分子に結合されている。両方のカラゲナンタイプの間の違いは硫酸化に関する。κ−カラゲナンにおいては硫酸エステル基がガラクトースのC−4上に存在し、その際硫酸エステル濃度は25ないし30%の間で変動する。ι−カラゲナンにおいては追加的に無水ガラクトースのC−2上でヒドロキシ基が硫酸によってエステル化されている。硫酸エステル含有率は28ないし35%である。カラゲナンの平均分子量は100000g/モルないし800000g/モルとなる。
【0025】
食品用における認可のため(カラゲナンはE407として認可されている)、カラゲナンは健康上および環境上において無害の添加物である。
【0026】
好適な実施形態によれば、本発明に係る洗剤添加剤は50000g/モルないし1000000g/モル、特に100000g/モルないし800000g/モルの分子量を有する少なくとも1種類のカラゲナンを含む。
【0027】
別の実施形態によれば、洗剤添加剤が粘土鉱物の質量に比して0.0001重量%超、特に0.001重量%超、特に好適には0.01重量%超のカラゲナンを含む。0.1重量%を超えて添加しても大抵の場合それ以上の改善は観察されず、従ってそれより高い割合のカラゲナンの添加は経済的な観点から全く無意味であるか、極限定的な意味しか示さない。大抵の場合所要の特性を達成するために0.06重量%までの添加で充分である。
【0028】
本発明の極めて好適な実施形態によれば、スメクタイト質粘土鉱物がベントナイトである。1985年のR.ファーン氏、N.シャル氏による界面活性洗剤第22年報に記載されているように、ベントナイトは大きな割合でモンモリロナイトから形成されている。ここで珪酸アルミニウムモンモリロナイトは、2つのSiO−三角錐層から形成されその間に主にアルミニウムイオンからなる八面体層が存在している三層材料である。カルシウムあるいはマグネシウム等の二価のイオンによる三価のアルミニウムイオンの同形置換によって負の余剰電荷が生じ、それらは例えばMg2+、Ca2+、Naによって補償することができる。この陽イオンの交換によってベントナイトはイオン交換体としても作用する。異なった荷電に加えてNaおよびCa2+等の陽イオンがさらに極めて顕著にベントナイトの膨潤特性に影響をもたらす。従って堆積したカルシウムイオンが狭い層状構造を成すように作用し、他方堆積したナトリウムイオンはより開放されたベントナイトの層を可能にする。加えてベントナイトは、界面活性剤を付着させそれによって織物繊維上への吸着特性を変えるような能力を有する。
【0029】
本発明の好適な特徴によれば、粘土鉱物の粒子大が柔軟性の改善に影響をもたらすことが判明した。すなわち、粒子の少なくとも10重量%、好適には粒子の少なくとも14重量%、さらに好適には粒子の約10ないし50重量%、さらに好適には粒子の約10ないし30重量%が約600nm未満の粒子大を有するような粒子形態で粘土鉱物が存在すれば極めて効果的であることが判明した。粒子大の判定は、レーザ回折方法等の標準的な方式により、フリッチュ・パーティクル・サイザ・アナリセット22エコノミー(独国フリッチュ社製)を使用して製造者の指示に従い、また試料の前処理を考慮して実施することができる。試料は脱イオン水内において補助剤を添加せずに均質化され、5分間超音波によって処理される。別の実施形態によれば粒子大判定は、ダルムシュタット市のシュタインコッフ社発行(1993年)のヤスムンド/ラガリ氏による“粘土鉱物および粘土”第16頁、ならびにそこで引用されているGIT研究所専門ジャーナル第30版(1986年)第524頁および第771頁のトリバス&ラガリ氏による文献“土壌粘土および堆積粘土の処理ならびに識別”に記載されているように実施される。
【0030】
本発明の別の特徴によれば前述した好適な粘土鉱物の粒子大は、洗剤中あるいは洗剤添加剤中におけるPVP/VAコポリマー、界面活性剤、および/またはカラゲナンとの組み合わせによる粘土鉱物の使用にかかわらず有効である。
【0031】
別の好適な実施形態によれば、粘土鉱物、特にベントナイトが活性形態で存在し、すなわち層間に蓄積された二価あるいは三価の陽イオンがナトリウムイオン等の一価のイオンあるいはプロトンと交換される。この種の活性化された粘土鉱物は、既知の方式により例えばソーダを使用して生成される。イオンの交換によってベントナイトの膨潤特性が高められ、それがまた吸着特性に影響をもたらす。
【0032】
別の好適な実施形態によれば、粘土鉱物、特にベントナイトがその陽イオン交換容量(CEC)の少なくとも50%、好適には少なくとも60%、特に好適には少なくとも80%でNa、K、あるいはNH等の一価の陽イオンから形成されることを特徴とする。
【0033】
好適には洗剤添加剤が少なくとも80重量%、好適には少なくとも85重量%のベントナイト等の粘土鉱物を含む。このベントナイト等の粘土鉱物の高い割合が界面活性剤あるいはその他のポリマー添加物に比べて洗剤添加剤のコストを低下させる。加えて、界面活性剤ならびにポリマーあるいはコポリマーの濃度が低ければ多くの場合化学物質規制上の製品の等級付けが不要となる。その結果、洗剤添加剤の貯蔵、搬送ならびにその後の取り扱いに際しての低コストが達成される。上記のパーセント定義は約10重量%の残留水分を未だ含んでいる粘土鉱物に関してのものである。
【0034】
洗剤添加剤の非イオン性界面活性剤を脂肪族アルコールエトキシレートおよびポリエチレングリコールエーテルの基から選択すれば特に好適である。それらは実質的に製造方法によって異なるものである。両方の基は、線形あるいは分岐した疎水性炭化水素鎖(C)および末端のアルコール基(群)を有する疎水性の酸化エチレン鎖(EO)からなる同じ基本構造を有する。それによって効率、すなわち必要な界面活性剤の量ならびに界面活性剤類の温度感応性の両方が制御される。加えて、親水性の酸化エチレン基内において個々の酸化エチレンユニットが酸化プロピレンユニットと交換されることが可能である。それによって得られる疎水/親水特性の変化は、その際界面活性剤の選択に際して目的に合わせて選択することができる。特に脂肪族アルコールエトキシレートは天然の原料から取得することができ、略完全に生物的に分解することができる。
【0035】
洗剤添加剤が粘土鉱物の質量に対して0.001重量%超、特に0.01重量%超の脂肪族アルコールエトキシレートおよび/またはポリエチレングリコールエーテルを含んでいれば極めて好適である。0.1重量%超の添加においては殆どの場合さらなる改善は観察されず、従ってより高い割合での脂肪族アルコールエトキシレートおよび/またはポリエチレングリコールエーテルの添加は経済的な観点から無意味であるか、せいぜい限定的な意味しか示されない。殆どの場合所要の特性を得るためには0.06重量%までの添加で充分である。
【0036】
洗剤添加剤が粘土鉱物の質量に対して0.001重量%超、特に0.01重量%超のポリビニルピロリドン−ポリビニルアセテート(PVP/VA)コポリマーを含んでいれば好適である。0.1重量%超の添加においては殆どの場合さらなる改善は観察されず、従ってより高い割合でのポリビニルピロリドン−ポリビニルアセテート(PVP/VA)コポリマーの添加は経済的な観点から無意味であるか、せいぜい限定的な意味しか示されない。殆どの場合所要の特性を得るためには0.06重量%までの添加で充分である。
【0037】
洗剤添加剤が粘土鉱物の質量に対して0.05重量%超、特に0.5重量%超、特に好適には1重量%超の水ガラスを含む。水ガラスとしては(1995年、ワルター・ド・グルイター社発行のホレマン−ヴィーベルグ氏による無機化学教書第101版第942頁に記載されているように)MO・nSiOでM=Na,Kかつn≒1,2,3,4,の一般化合式のナトリウムおよびカリウム珪酸塩が理解され、これは水中に溶解可能であるとともに工業的にしばしば鉱物性の糊として使用される。水ガラスは強度にアルカリ性であり従って刺激性であるため、水ガラスの比率は5重量%未満、特に3重量%未満に選択することが好適である。このパーセント表示は水ガラスの固形成分に関するものである。水ガラスのモジュラス(SiO:NaO)は2.4ないし3.5の範囲、特に2.6ないし3.4の範囲に選択することが好適である。意外なことに、水ガラスをベースにした結合システム、例えば顆粒は容易に溶解し従って改善された柔軟性を示すことが判明した。加えて、水ガラスの使用によって、一方で溶解が困難であるとともにそのため他方で多少繊維上に堆積する可能性がある荷電したポリマー(部分的にプロトン化したコポリマーPVP/VA)と逆に荷電した粘土薄層からなる塊の形成が防止される。この作用は水ガラスをベースにした水性の結合剤システムを使用することによって回避することができる。水ガラスは0.5ないし8重量%、特に3ないし5重量%の固形分含有率で使用することが好適である。本発明に係る洗剤添加剤は顆粒の他にも液体状あるいは粉末状、または錠剤型あるいは球形等の成形体として提供することができる。その際水ガラスの使用によって充分に迅速な顆粒あるいは成形体の分解が達成され、従って前述した洗剤添加剤の成分との組み合わせによって高められた柔軟性につながることが補償される。
【0038】
本発明の別の特徴は:
(a)少なくとも1種類の粘土鉱物、特にスメクタイト質粘土鉱物を提供し;
(b)少なくとも1種類のPVP/VAコポリマーを提供し;
(c)前記少なくとも1種類のPVP/VAコポリマーと少なくとも1種類の粘土鉱物を混合する、
ステップを少なくとも含んでなる洗剤添加剤の製造方法に関する。
【0039】
好適には前記の洗剤添加剤の製造方法は、ステップ(c)の前、同時、あるいはその後に少なくとも1種類の界面活性剤、特に非イオン性の界面活性剤を混合することを含む。これはPVP/VAコポリマーおよび粘土鉱物と共に提供し、当業者において周知の方式によってそれらと混合することができる。
【0040】
界面活性剤および/またはPVP/VAコポリマーは共通あるいは別々の水性溶液の形態で提供することが好適である。水の他にも例えばメタノール、エタノール、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ピリジン、ジメチルスルホキシド等を含んだ溶液等の有極有機溶媒が適している。
【0041】
界面活性剤とPVP/VAコポリマーは第1番目の工程において混合することが好適である。これは、純粋な物質ならびに界面活性剤およびPVP/VAコポリマーの水性溶液のいずれから実施することも可能である。それをその後当業者において周知の方法によって粘土鉱物上に塗付する。この塗付は噴霧によって行うかあるいは混合器内で粘土鉱物と混錬することによって行うことができる。強力に混錬するために機械的な流動層を形成することが好適である。そのため一般的に現行の技術において既知の強力混合器を装填式(バッチ方式)あるいは継続的な方法によって使用することができる。
【0042】
さらに、その後PVP−VAコポリマー、界面活性剤、および粘土鉱物からなる混合物を乾燥させ、必要に応じて顆粒、ペレットあるいは錠剤型に成形する。顆粒は混合(湿式粒化)の後に乾燥させ、篩分ける。通常篩分けによって洗剤工業において一般的なように適宜な粒子大、例えば0.2ないし1.2mm、0.4ないし1.4mm、1.0ないし2.0mmの粒子大範囲に調節される。ペレットあるいは錠剤型等の成形体の形成は、当業者において周知の方法ならびに添加物を使用して実施することができる。添加物の例は、結合剤、被覆材(コーティング)、ならびに成形体の分解を容易化する添加物(例えば炭酸塩およびクエン酸)である。
【0043】
好適な実施形態によれば、洗剤添加剤の製造方法が前述したカラゲナンの添加を含む。これは独立した水性溶液として添加するか、あるいは界面活性剤およびPVP−VAコポリマーと共に共通の溶液として粘土鉱物と混合することができる。カラゲナンの添加によって柔軟性がさらに意外なほど大きく改善される。
【0044】
別の好適な実施形態によれば、洗剤添加剤の製造方法が特に水性溶液の形態の水ガラスの添加を含む。その際例えば3.2のモジュラス(モジュラス=SiO:NaOの比率)の水ガラス溶液(好適には約34ないし36%の固形分含有率)を使用する。好適なモジュラスの範囲は前述した通りである。この溶液はさらに希釈して例えば2ないし3:1の比率で水と混合しその後本発明に係る方法に適用することができる。しかしながら、固形の水ガラスを使用することも可能である。水ガラスの使用によって完成した顆粒の溶解が容易化され、従って織物繊維上への粘土顆粒の均等な配分を妨げる塊形成を防止することができる。
【0045】
本発明の別の特徴によれば、前述した洗剤添加剤が柔軟性を改善するために使用される。その際この洗剤添加剤は固形、例えば顆粒状あるいは液体状の形態の独立した柔軟剤としても適している。柔軟性の改善と並んで、例えば(非イオン性の)界面活性剤あるいは粘土鉱物等の成分が汚染物粒子の分解および洗剤液中における安定化を高める。
【0046】
好適な実施形態によれば、洗剤添加剤が液体状あるいは固形の洗剤、浄化剤、および保護剤の成分として使用され、その際に前述したような効果を示すものとなる。それによって洗剤使用量が低減され、消費者にとってのコストが低下するとともに洗浄プロセスが簡略化される。従来の全ての洗剤、浄化剤、および保護剤を使用することができ、例えば衣類用洗剤、食器洗浄機および食器手洗い用洗剤、手洗い石鹸、染み抜き剤、漂白剤、シャワーソープ、シャンプー、ボディローション、クリーム、自動車、船舶、および航空機用の洗浄および保護剤、ならびに表面処理あるいは含浸剤である。
【0047】
本発明の別の特徴は、特に木綿、絹、羊毛織物、ポリエステル、ポリアミド、エラスタン(登録商標)、ナイロン(登録商標)、ビスコースの一群の中から選択した布地および/または織物(織物材料)、特に木綿を含有した布地の柔軟性および/または色合保持を改善するための本発明に係る洗剤添加剤の適用に関する。
【0048】
本発明のさらに別の特徴は、特に織物材料あるいは布地の柔軟性および/または色合保持を改善するための洗剤添加剤および/または洗剤、浄化剤、あるいは保護剤化合物中への少なくとも1種類のカラゲナンの使用に関する。
【0049】
本発明は添付の検査および実験方法、実施例および図面を参照しながらさらに詳細に説明される。それらの例は単に説明の目的のものであり、本発明がそれらによって限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明に係る洗剤添加剤を使用した際の洗濯実験による柔軟性指数の結果を示した説明図である。
【図2】異なった洗剤添加剤の柔軟性指数に対する影響を示した説明図である。
【図3】本発明に係る洗剤添加剤(PVP/VAコポリマーを含んだ)と比較洗剤添加剤(PVP/VIコポリマーを含んだ)の柔軟性指数に対する影響を示した説明図である。
【図4】本発明に係る洗剤添加剤のPVP/VAコポリマー中における異なったVA−モノマー単位の比率に対する柔軟性改善の依存性を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
1. 使用される材料および方法
1.1 試験洗剤
以下の洗濯実験のために標準的な試験洗剤が使用された。そのためWfk洗浄技術研究所(登録法人)から購入した試験洗剤IEC60456を使用した。この試験洗剤の組成は表1に示されている。過硼酸ナトリウム−四水和物およびテトラアセチルエチレンジアミンの成分は試験洗剤の構成成分ではなく、配量前に試験洗剤と混合したものである。これらの成分もWfk洗浄技術研究所(登録法人)から購入した。試験洗剤中におけるそれらの成分の材料濃度に関する定義も表1に記載されている。
【0052】
【表1】

【0053】
1.2 洗濯実験
洗濯実験のためにフロタナ繊維有限会社製の市販のタオル、品質:4264g/m、サイズ:50×100cmを使用した。いずれも8枚のタオルを1台の洗濯機内で選択した。比較基準として試験洗剤のみによって洗濯したタオルが用いられた。選択工程毎に分析のために木綿試験繊維を共に洗濯した。洗濯工程毎に過硼酸ナトリウム−四水和物およびテトラアセチルエチレンジアミンを含んだ90gの試験洗剤と10gの洗剤添加剤(添加剤顆粒の組成は洗濯実験例毎に提示されている)を使用した。全ての洗濯実験がボッシュ社の洗濯機WFG2460型を使用し、洗濯プログラム“木綿、60℃”によって実施した。水の硬度は21°DHであった。これは3.7ミリモル/lのCa2+含有率に相当する。タオルは閉鎖した空間内で室温において空気乾燥した。
【0054】
1.3 柔軟性検査
柔軟性検査に際してはいずれも15人の検査人が把持および手による触診によってどのタオルが他のものと比べて柔軟あるいは硬質であるかを判定する。その際各検査人がいずれもタオルの特定の面あるいは部分を1回のみ触診するように配慮した。例えば試験洗剤のみによって洗濯されたものと同数のタオルを試験洗剤および洗剤添加剤によって洗濯した合計8枚のタオルを比較する場合、各タオルについてそれぞれ異なった部分で2回判定する(反復検査)。各タオルが最高で30ポイントの判定数値に到達する。点数はパーセンテージあるいは柔軟性指数として表示される(0点が0%に相当し、30点は100%に相当する)。パーセンテージあるいは柔軟性インデックスは例えば50%のケースで(点数が15である場合)それに相当する数の試料が比較基準試料よりも柔軟に判断されたことを意味する。
【0055】
1.4 灰化残留物の判定
灰化残留物の判定のために約5gの(洗濯されたタオルまたは洗濯された試験繊維の)被検材料をセラミック堝内に量り入れ、灰化してその後60分間窯内において850℃でか焼した。乾燥器内で冷却した後に試料を計量し繊維灰を量り入れた繊維に対する重量比で計算した。比較のためにさらに全く洗濯されていないかあるいは試験洗剤のみによって洗濯された試料も灰化した。洗剤添加剤あるいは顆粒を用いた試料と試験洗剤のみによって洗濯された試料の灰化残留物の差から“正味灰化残留物”が判定された。
【0056】
1.5 陽イオン交換容量(CEC)と陽イオン比率の判定
原理: 粘土(例えばベントナイト)を過剰量の水性NH−Cl溶液によって処理して洗浄し、粘土上に残留したNH分量をケルダール法によって判定する。
【0057】
Me(粘土)+NH ―――― NH(粘土)+Me
(Me=H、K、Na、1/2Ca2+、1/2Mg2+・・・)
【0058】
使用器具: 63μmの篩;300mlのエルレンマイヤーフラスコ;化学天秤;400mlの薄膜吸込みフィルタ;0.15μmの硝酸セルロースフィルタ(サルトリウス社製);乾燥庫;還流冷却器;加熱盤;蒸留装置VAPODEST−5(ゲアハルト社製6550番);250mlのメスシリンダ;原子吸光分析(FAAS)。
【0059】
化学材料: 2N NHCl溶液ネスラー試薬(メルク社製品番号9028);2%の硼酸溶液;32%の苛性ソーダ;0.1N 塩酸;0.1%のNaCl溶液;0.1%のKCl溶液。
【0060】
実施: 5gの粘土を63μmの篩で篩分け110℃で乾燥する。その後正確に2gを化学天秤上で計量してエルレンマイヤーフラスコ内に注入し、100mlの2N NHCl溶液と混合する。懸濁物を還流しながら1時間沸騰させる。強度にCaCOを含有した粘土の場合はアンモニア生成が発生し得る。その場合はアンモニア臭が確認されなくなるまでNHCl溶液を添加する必要がある。湿式の指示紙によって追加的な確認を実施することができる。約16時間の待機時間後NH粘土を薄膜吸込みフィルタを介して濾過し、殆ど無イオン状態になるまで脱イオン水(800ml)で洗浄する。洗浄水の無イオン状態の証明はNHイオンに対して感応性のネスラー試薬によって実施する。洗浄回数は粘土の種類に応じて30分から3日間まで変化させることができる。洗浄されたNH粘土をフィルタから取り出し、110℃で2時間乾燥させて、粉砕および篩分け(63μm篩)し、再度110℃で2時間乾燥させる。その後NH含有率をケルダール法によって判定する。
【0061】
CECの算定: 粘土のCECはケルダール法によって判定されたNH粘土のNH含有率である(いくつかの粘土鉱物のCECについては添付の表参照)。判定値表示はmeq/粘土100gで行われる。
【0062】
例: 窒素含有率=0.93%;
分子量: N=14.0067g/モル
【0063】
【数1】

CEC=66.4meq/NH粘土100g
【0064】
交換された陽イオンとその比率:
交換によって解放された陽イオンは洗浄水(濾過液)の中に存在する。濾過液中の一価の陽イオン(“交換可能な陽イオン”)の比率と種類はドイツ工業規格第38406号22項に従って分光分析によって判定される。例えばAAS判定のために洗浄液(濾過液)を圧縮し、250mlのメスシリンダ内に注入して計測指標まで脱イオン水を充填する。FAASのために適した測定条件は次の表に示される。
【0065】
【表2】

【0066】
【表3】

【0067】
陽イオンの計算:
【0068】
【数2】

分子量:(g/モル):Ca=20.040;K=39.096;Li=6.94;Mg=12.156;Na=22.990;Al=8.994;Fe=18.616
【0069】
いわゆる超活性化された粘土、すなわち化学量論よりも大きな量の例えばソーダによって活性化されたものにおいては、判定された一価の陽イオンの量の合計が前述したように判定されたCECを超越することがあり得る。そのような場合、一価の陽イオン(Li,K,Na)の総含有量がCECの100%と見られる。
【0070】
メチレンブルー吸着によるモンモリロナイト含有率の判定
メチレンブルー数値は粘土材料の内表面の大きさである。
【0071】
(a)二燐酸四ナトリウム溶液の生成
5.41gの二燐酸四ナトリウムを0.001gの精度で1000mlメスシリンダ内に量り入れ、振盪しながら目盛線まで蒸留水を充填する。
【0072】
(b)0.5%のメチレンブルー溶液の生成
2000mlのビーカグラス内において125gのメチレンブルーを約1500mlの蒸留水中に溶解する。その溶液をデカントして25lまで蒸留水を充填する。
【0073】
既知の内表面を有している0.5gの湿性の試験ベントナイトをエルレンマイヤーフラスコ内に0.001gの精度で量り入れる。50mlの二燐酸四ナトリウム溶液を添加し混合物を5分間沸騰させる。室温まで冷却した後10mlの0.5モルHSOを添加し、さらに予想されるメチレンブルー溶液の最終使用量の80ないし95%を添加する。ガラス棒で1滴の懸濁物を取り出して濾過紙上に付加する。無色の内側部分を有する青黒い班が形成される。その後1mlに小分けにしてさらにメチレンブルー溶液を添加し、斑点検査を繰り返す。この添加は前記の内側部分が薄い空色に変色するまで、すなわち添加されたメチレンブルー溶液がそれ以上試験ベントナイトによって吸収されなくなるまで実施する。
【0074】
(c)粘土材料の検査
粘土材料の検査は試験ベントナイトと同様な方式で実施される。メチレンブルー溶液の使用量から粘土材料の内表面を計算することができる。
【0075】
この方式によれば381mgのメチレンブルー/粘土1gが100%のモンモリロナイト含有率に相当する。
【0076】
2.
洗剤添加剤顆粒の製造
用意された粘土鉱物(使用される粘土鉱物は表4に記載されている)を界面活性剤とPVP/VAコポリマーの水性溶液と混合する。そのためまず以下の溶液1および2を用意した:
【0077】
溶液1: 水ガラス(仏国シャシュー市のブレンタグS.A.社製のシリカート・ド・ソード38/40、第16N34タイプ)と水の2:1の混合物250ml内に0.1gのカラゲナン(独国ハンブルグ市のデグサ・テスツラント・システムズ有限会社製のサチアゲルTMME4、分子量100000−800000)を溶解した。この溶液に5%のC12−C14−アルコール・ポリエチレングリコールエーテル(EO)(独国マール市のサソル&サーファクタンツ社製のマーリパル24/70)溶液1.5mlを添加した。
【0078】
溶液2: 1lの蒸留水中に2.5gのPVP/VAコポリマー(米国テキサスシティ市のISPグローバルテクノロジーズ社製のPVP/VA S−630)を溶解した。
【0079】
その後混合機(仏国F23200オーブソン市のDiTO−SAMA社製)内に500gの粘土1(表4)を注入し、72gの溶液1と36gの溶液2と共に粒化した。その後その顆粒を10ないし15%の残留水分含有率になるまで乾燥させ、0.4ないし1.4mmの篩を介して篩分け、それを洗濯実験に使用した。
【0080】
【表4】

【0081】
本発明に係る洗剤添加剤を使用したものおよび使用しない試験洗剤の比較による柔軟性試験結果
図1には柔軟性インデックスの実験結果が示されている。試料W3およびW10の組成は前述した組成に相当し、使用された粘土鉱物および界面活性剤の種類によってのみ相異している。試料W3およびW10中に使用された粘土鉱物および界面活性剤は表5に記載されている。
【0082】
【表5】

【0083】
純粋に試験洗剤のみからなる試料W0と比べて試料W3および試料W10による柔軟性はいずれも2ないし3倍に高められる。両方の試料とも活性化された粘土鉱物を含んでいる。しかしながら柔軟性の改善は活性化されていない粘土鉱物によっても達成することができる。その柔軟性は試験洗剤に比べて約50%高めることができる(図示されていない)。
【0084】
検査された試料の個々の添加剤の柔軟性に対する影響
図2には、個々の本発明に係る添加剤の柔軟性に対する影響が示されている。試料の組成は表6に示されている。量り入れ量は排除された成分を除いて例1のものと同様である。図2に示されているように、試料B17において本発明に係る添加剤を全て使用した場合に最高の柔軟性が達成される。最も高い柔軟性の向上は個々の成分の組み合わせから得られることが示されている。それに比べて、他の試料においては非イオン性界面活性剤(C12−C14−アルコール−ポリエチレングリコールエーテル(7EO)C12−14EO)(B18)ならびにカラゲナン(B19)が排除されている。それらにおいては、全ての本発明に係る成分を含んでいる試料B17と比べて柔軟性インデックスが低下している。図2にはさらに、試料B19における界面活性剤の付加、ならびに試料B17におけるカラゲナンのさらなる付加のいずれによっても柔軟性が意外なほど大きく改善することが示されている。
【0085】
加えて、さらに意外なことに試料B17(全ての本発明に係る成分を含む)が粘土鉱物のみを含んだ洗剤添加剤(図示されていない)と略等しい灰化残留量を有することが判明した。しかしながら、本発明に係る試料B17の柔軟性インデックスは純粋な粘土鉱物のみからなる洗剤添加剤と比べて著しく改善する。
【0086】
この効果は光学顕微鏡による撮影によっても確認でき(図示されていない)、その際ベントナイトのみを含んだ洗剤添加剤によって処理されたものと、本発明に係る試料B17の洗剤添加剤によって処理された試験繊維がまずメチレンブルーによって着色された。それによって、光学顕微鏡(倍率100)による観察において着色されたベントナイト粒子が試験繊維上で目視可能になる。試験繊維上に存在する粘土粒子の量は、試料B17によって処理されたものと純粋な粘土鉱物によって処理された試験繊維を比べても略等しいことが示されている。この点において、図2に示された本発明に係る組成の大幅に改善された柔軟性は極めて驚くべきものであり、また繊維上に付着した粘土粒子の量の違いに起因するものではない。
【0087】
【表6】

【0088】
別の実験によって、本発明に係るPVP/VAコポリマー(前述の試料B17に相当する組成)を使用した場合の効果をPVP/VI(ビニルイミダゾール)コポリマー(PVP/VAコポリマーがPVP/VIコポリマーによって代替されていることを除いてB17と同様な組成)を使用した場合の効果と比較した。柔軟性試験の結果(前述したように実施した)は図3に示されている。PVP/VAコポリマーを含んだ本発明に係る試料の効果がPVP/VIコポリマーを含んだ比較試料に比べて驚くほど良好であることが顕著に示された。
【0089】
別の実験によって、多様な割合でVAモノマー単位を含んだ、あるいは多様なVPモノマー単位対VAモノマー単位の比率を有する(それ以外の組成は前述した試料B17に相当)本発明に係る多様なPVP/VAコポリマーを使用した際の効果が比較されている。その際以下のPVP/VAコポリマーを使用した:
【0090】
【表7】

【0091】
柔軟性試験の結果(前述したように実施した)は図4に示されている。最も高いVA−モノマー単位の比率(50%)を有するPVP/VAコポリマーを含んだ本発明に係る試料が驚くほど改善された効果を有することが顕著に示されている。
【0092】
検査試料の色合保持に対する本発明に係る添加剤の影響
14色の被検織物(標準的な木綿繊維)を、(a)表1の試験洗剤組成、および(b)表1の試験洗剤組成に前述の表4のように粘土1を用いて製造したものであるがPVP/VAコポリマーの含有量を3倍にした本発明に係る添加剤を3%添加したものによって60℃で5回洗濯した。色付き被検織物を5回洗濯した後にISO105−A05に従って色合保持を検査した。
【0093】
その際、本発明に係る洗剤添加剤の使用によって著しく改善された色合保持が提供されることが示された。等級1(極めて強い色合変化)から等級5(確認可能な色変化は無し)で示される色合変化は、実験(a)、すなわち本発明に係る洗剤添加剤を使用しない場合は4.3となり、他方本発明に係る洗剤添加剤を使用した場合は4.4の数値に到達することができた。提示された数値は被検織物の14の部分の平均値に該当し、統計学的に有意義なものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0094】
【特許文献1】英国特許出願公開第1400898号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第0313146号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2005/0170997号明細書
【特許文献4】欧州特許出願公開第0299575号明細書

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも次の成分:
(a)1種類の粘土鉱物
(b)1種類のPVP/VAコポリマー
を含んでなる繊維製品の柔軟性を改善するための洗剤添加剤。
【請求項2】
洗剤添加剤が界面活性剤を含むことを特徴とする請求項1記載の洗剤添加剤。
【請求項3】
粘土鉱物がスメクタイト質の粘土鉱物であることを特徴とする請求項1または2記載の洗剤添加剤。
【請求項4】
界面活性剤が非イオン性の粘土材料であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の洗剤添加剤。
【請求項5】
PVP/VAコポリマーが約1ないし99%のビニルピロリドンモノマー単位含有率を有することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の洗剤添加剤。
【請求項6】
PVP/VAコポリマーが少なくとも約20%、特に少なくとも約30%の割合でビニルアセテートモノマー単位を有することを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の洗剤添加剤。
【請求項7】
PVP/VAコポリマーが約90%、特に約80%、さらに好適には75%を超えない割合でビニルアセテートモノマー単位を有することを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の洗剤添加剤。
【請求項8】
PVP/VAコポリマーがビニルピロリドンモノマー単位とビニルアセテートモノマー単位の総量に関して約80:20ないし20:80、特に約70:30ないし30:70であるビニルピロリドンモノマー単位対ビニルアセテートモノマー単位の比率を有することを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の洗剤添加剤。
【請求項9】
PVP/VAコポリマーがビニルピロリドンモノマー単位とビニルアセテートモノマー単位の他にさらに1つあるいは複数の別のモノマー単位を含むことを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の洗剤添加剤。
【請求項10】
洗剤添加剤が少なくとも1種類のカラゲナンを含むことを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載の洗剤添加剤。
【請求項11】
カラゲナンが50000g/モルないし1000000g/モル、特に100000g/モルないし800000g/モルの分子量を有することを特徴とする請求項10記載の洗剤添加剤。
【請求項12】
洗剤添加剤が粘土鉱物の質量に比して0.0001重量%超、特に0.001重量%超のカラゲナンを含むことを特徴とする請求項10または11記載の洗剤添加剤。
【請求項13】
スメクタイト質の粘土鉱物がベントナイトであることを特徴とする請求項1ないし12のいずれかに記載の洗剤添加剤。
【請求項14】
粒子の少なくとも10重量%、好適には粒子の少なくとも14重量%、さらに好適には粒子の約10ないし50重量%、さらに好適には粒子の約10ないし30重量%が約600nm未満の粒子大を有するような粒子形態で粘土鉱物が存在することを特徴とする請求項1ないし13のいずれかに記載の洗剤添加剤。
【請求項15】
粘土鉱物、特にベントナイトが活性化されている、特にソーダによって活性化されていることを特徴とする請求項1ないし14のいずれかに記載の洗剤添加剤。
【請求項16】
粘土鉱物、特にベントナイトの陽イオン交換容量(CEC)の少なくとも50%、好適には少なくとも60%、特に好適には少なくとも80%が一価の陽イオンから形成されることを特徴とする請求項1ないし15のいずれかに記載の洗剤添加剤。
【請求項17】
洗剤添加剤が少なくとも80%、好適には少なくとも85%の特にベントナイト等の粘土鉱物を含むことを特徴とする請求項1ないし16のいずれかに記載の洗剤添加剤。
【請求項18】
非イオン性界面活性剤は脂肪族アルコールエトキシレートおよびポリエチレングリコールエーテルの基から選択することを特徴とする請求項4ないし17のいずれかに記載の洗剤添加剤。
【請求項19】
洗剤添加剤が粘土鉱物の質量に対して0.001重量%超、特に0.01重量%超の脂肪族アルコールエトキシレートおよび/またはポリエチレングリコールエーテルを含むことを特徴とする請求項1ないし18のいずれかに記載の洗剤添加剤。
【請求項20】
洗剤添加剤が粘土鉱物の質量に対して0.001重量%超、特に0.01重量%超のPVP/VAコポリマーを含むことを特徴とする請求項1ないし19のいずれかに記載の洗剤添加剤。
【請求項21】
洗剤添加剤が粘土鉱物の質量に対して0.05重量%超、特に0.5重量%超の水ガラスを含むことを特徴とする請求項1ないし20のいずれかに記載の洗剤添加剤。
【請求項22】
洗剤添加剤の製造方法であり:
(a)少なくとも1種類の粘土鉱物、特にスメクタイト質粘土鉱物を提供し;
(b)少なくとも1種類のPVP/VAコポリマーを提供し;
(c)前記少なくとも1種類のPVP/VAコポリマーと少なくとも1種類の粘土鉱物を混合する、
ステップを少なくとも含んでなる方法。
【請求項23】
ステップ(c)の前、同時、あるいはその後に少なくとも1種類の界面活性剤、特に非イオン性の界面活性剤を混合することを特徴とする請求項22記載の方法。
【請求項24】
界面活性剤および/またはPVP/VAコポリマーは水性溶液の形態で提供することを特徴とする請求項22または23記載の方法。
【請求項25】
最初にPVP/VAコポリマーと界面活性剤を混合しその後粘土鉱物上に塗付することを特徴とする請求項22ないし24のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
PVP/VAコポリマー、界面活性剤、および粘土鉱物からなる混合物を乾燥させ、必要に応じて顆粒、ペレットあるいは錠剤型に成形することを特徴とする請求項22ないし25のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
カラゲナンを添加することを特徴とする請求項22ないし26のいずれかに記載の方法。
【請求項28】
水ガラスを添加することを特徴とする請求項22ないし27のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
洗剤、浄化剤、および/または保護剤調合物の構成成分としての請求項1ないし21のいずれかに記載の洗剤添加剤、あるいは請求項22ないし28のいずれかに記載の方法によって製造された洗剤添加剤の適用。
【請求項30】
柔軟性を改善するための請求項29記載の適用。
【請求項31】
特に木綿、絹、羊毛織物、ポリエステル、ポリアミド、エラスタン、ナイロン、ビスコースの一群の中から選択した布地および/または織物、中でも木綿を含有した布地の柔軟性および/または色合保持を改善するための請求項29または30記載の適用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−501686(P2010−501686A)
【公表日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−525963(P2009−525963)
【出願日】平成19年8月27日(2007.8.27)
【国際出願番号】PCT/EP2007/007494
【国際公開番号】WO2008/025505
【国際公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願人】(507294959)ジュート−ヒェミー アクチェンゲゼルシャフト (21)
【Fターム(参考)】