説明

粘着テープ貼付け装置

【課題】帯状の粘着テープとプリカット粘着テープを使い分けてこれら粘着テープをリングフレームと半導体ウエハの裏面とにわたって貼り付ける粘着テープ貼付け装置を提供する。
【解決手段】リングフレームおよびウエハを保持するワーク保持機構5と、連続したダイシングテープDT、あるいは、プリカットダイシングテープが貼付け保持された連続したキャリアテープを、貼付け位置に供給するテープ供給手段と、連続したダイシングテープDT、あるいは、キャリアテープから剥離したプリカットダイシングテープを、リングフレームおよび半導体ウエハに貼り付けてゆく貼付けユニット24と、リングフレームに貼り付けられたダイシングテープをリングフレームに沿って切断するテープ切断機構28と、切断後の残渣テープDT’を巻取り回収する残渣テープ回収部26とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リングフレームと該リングフレームの中央に載置された半導体ウエハの裏面にわたって支持用の粘着テープを貼り付けて、この粘着テープを介して半導体ウエハをリングフレームに一体化するための粘着テープ貼付け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
粘着テープ貼付け装置としては、次の2通りの構成が利用されている。例えば、特許文献1に開示されているように、帯状の粘着テープをリングフレームと半導体ウエハの裏面にわたって貼付けた後、リングフレームに沿って円形に粘着テープを切断する構成や、特許文献2に開示されているように、予め円形に切断したプリカット粘着テープをキャリアテープから剥離してリングフレームと半導体ウエハの裏面にわたって貼付ける構成である。
【特許文献1】特開2005−150177号公報
【特許文献2】特開2005−123653号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
すなわち、従来の粘着テープ貼付け装置では、次のような問題がある。一方のプリカット粘着テープ用の貼付け装置は、帯状の粘着テープのように切断時に付与される張力によって切断部位と切断部位と隣接する切抜き部位との間の残渣部分の分断を回避させる余分な長さを確保する必要がないので、単位ロール当たりの貼付け枚数を増やすことができるとともに、残渣テープの廃棄量も削減できるといったメリットがある。
【0004】
しかしながら、この装置は、粘着テープに張力を付与した状態にしてリングフレームなどに貼り付けることができないので、皺の発生や貼付け界面に気泡を巻き込むといった問題がある。
【0005】
他方の帯状の粘着テープ用の装置は、張力付与の状態で粘着テープをリングフレームなどに貼り付けることができるので、皺などのない高い貼付け精度を確保できるが、単位ロール当たりの貼付け枚数が少なく、かつ、残渣テープの廃棄量がプリカット品より多く発生するといった問題がある。
【0006】
したがって、これら形態の異なる粘着テープをリングフレームなどに貼り付ける場合、使用する粘着テープに応じたものを個別に選択して使用する必要があり、両仕様の装置を個別に準備しておく必要がある。したがって、設備コストが高くつくとともに、大きい装置設置スペースを確保しておく必要がある。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、帯状の粘着テープとプリカット粘着テープを使い分けることができる粘着テープ貼付け装置を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、上記目的を達成するために次のような構成をとる。
【0009】
すなわち、第1の発明は、リングフレームと、このリングフレームの中央に配置された半導体ウエハの裏面とにわたって支持用の粘着テープを貼り付けて一体化する粘着テープ貼付け装置において、
リングフレームおよび半導体ウエハのそれぞれを所定姿勢で保持するワーク保持機構と、
帯状の粘着テープ、あるいは、リングフレームの大きさに対応して予め切断されたプリカット粘着テープが貼付け保持された帯状のキャリアテープを、前記ワーク保持機構に保持されたリングフレームの裏面に向けて供給するテープ供給手段と、
供給された帯状の前記粘着テープの幅方向に張力を付与するテンション機構と、
前記テンション機構によって張力付与の状態にある帯状の粘着テープの非粘着面、および、剥離部材によって折り返されて前記キャリアテープから繰出される前記プリカット粘着テープの非粘着面を押圧しながら転動する貼付けローラを備え、前記ワーク保持機構に保持されたリングフレームおよび半導体ウエハに粘着テープを貼り付ける貼付けユニットと、
貼付け後の帯状の粘着テープをリングフレームに沿って切断するテープ切断機構と、
切断処理された帯状の前記粘着テープの残渣テープを巻取り回収する残渣テープ回収部とを備えたことを特徴とする。
【0010】
(作用・効果) この構成によれば、粘着テープの形態に関わらず帯状の粘着テープ、あるいは、プリカット粘着テープを共通の貼付けユニットを用いて貼付け処理することができる。したがって、設備コストおよび設置スペースを節減できる。
【0011】
第2の発明は、上記第1の発明において、
前記ワーク保持手段は、リングフレームを保持するフレーム保持手段と半導体ウエハを保持するウエハ保持手段とからなり、両保持手段を昇降可能な可動台に装備して構成したことを特徴とする。
【0012】
(作用・効果) この構成によれば、貼付け機構における貼付け位置から離れた位置でリングフレームおよび半導体ウエハを供給保持した後、リングフレームおよび半導体ウエハを略同時に貼付け位置へ搬入セットすることができる。すなわち、リングフレームおよび半導体ウエハを別個に貼付け位置へ搬入セットする場合に比べて簡素化、および、小型化することができる。
【0013】
第3の発明は、上記第1または第2の発明において、
前記フレーム保持手段で保持されたリングフレームに対して半導体ウエハを独立して上下動可能に保持するよう前記ウエハ保持手段を構成したことを特徴とする。
【0014】
(作用・効果) この構成によれば、リングフレームの裏面に半導体ウエハの裏面を揃えることで、リングフレームと半導体ウエハへの貼付けを同時に行うことができる。また、半導体ウエハを後退させた状態でリングフレームへの貼り付けを先に行った後、半導体ウエハを貼り付け作用位置に移動させて貼り付けを行うことが可能となる。したがって、リングフレームおよび半導体ウエハへの貼り付けを的確に行うことができる。
【0015】
第4の発明は、上記第2または第3の発明において、
前記ウエハ保持手段で保持した半導体ウエハを、ウエハ保持面側に後退変位可能に弾性支持したことを特徴とする。
【0016】
(作用・効果) この構成によれば、半導体ウエハの裏面(テープ貼付け面)をリングフレームの裏面より若干突出させた状態で貼付けを行うことが可能となり、半導体ウエハへの粘着テープの貼付けを一層確実なものとすることができる。
【0017】
第5の発明は、上記第1ないし第4のいずれかの発明において、
帯状の前記粘着テープは、セパレータ付きであり、剥離したこのセパレータ、あるいは、プリカット粘着テープが剥離されたキャリアテープを巻取り回収する共用のセパレータ回収部を備えたことを特徴とする。
【0018】
(作用・効果) この構成によれば、単一の巻取り軸を装備するだけですみ、構造の簡素化と装置全体の小型化に有効となる。
【0019】
第6の発明は、上記第1ないし第5のいずれかの発明において、
ロール巻きされたセパレータ付きの粘着テープ、あるいは、プリカット粘着テープを貼付け保持してロール巻きされたキャリアテープを繰出し供給する共用のテープ供給部を備えたことを特徴とする。
【0020】
(作用・効果) この構成によれば、単一の繰出し軸を装備するだけですみ、構造の簡素化と装置全体の小型化に有効となる。
【発明の効果】
【0021】
この発明に係る粘着テープ貼付け装置によれば、設備コストおよび設置スペースを節減できる一つの装置で、帯状の粘着テープとプリカット粘着テープを使い分けて貼付け処理することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明に係る粘着テープ貼付け装置の実施例を説明する。
【0023】
図1は、この発明の一実施例に係る粘着テープ貼付け装置の側面図が示されている。
【0024】
この実施例の粘着テープ貼付け装置1は、床置き設置されるテープ貼付け機構2と、テープ貼付け機構2の台枠3から立設した支柱フレーム4を介して装備されたワーク保持機構5とで構成されており、支柱フレーム4に沿って昇降自在に装着された可動台6にワーク保持機構5が装備されている。
【0025】
図1ないし図3に示すように、可動台6は支柱フレーム4に設けられた一対の縦レール7に沿って昇降自在に支持されるとともに、モータ8によって正逆回転されるネジ軸9によってねじ送り昇降されるようになっている。
【0026】
図2に示すように、可動台6の下端部には、一方のワークであるリングフレームfを上面から吸着して水平姿勢に保持する中抜き状のフレーム保持枠11が装備されるとともに、このフレーム保持枠11の中央に、他方のワークであるバックグラインド処理後の半導体ウエハ(以下、単に「ウエハ」と称する)wを上面から吸着して水平姿勢に保持するチャックテーブル12が配備されている。なお、フレーム保持枠11は、本発明のフレーム保持手段に相当し、チャックテーブル12はウエハ保持手段に相当する。
【0027】
可動台6には、3本のガイド軸13を介して上下動可能に支持されるとともに、エアーシリンダ14によって駆動される昇降ブラケット15が装備されている。また、この昇降ブラケット15にチャックテーブル12がゴム製の緩衝部材16を介して支持され、昇降ブラケット15を上下動させることで、保持したウエハwをリングフレームfに対して独立して昇降させることができるようになっている。
【0028】
テープ貼付け機構2における台枠3の内部には、図1に示すように、縦板状の支持フレーム21が固定配備されており、この支持フレーム21に、テープ供給部22、セパレータ回収部23、貼付けユニット24、剥離ユニット25、および、残渣テープ回収部26が装備される。また、台枠3の上部にテンション機構27が配備され、さらに、台枠3の中央部位にはテープ切断機構28が装備されている。
【0029】
テープ供給部22には繰出し軸29が備えられており、ロール巻きしたセパレータ付きの帯状のダイシングテープDT、あるいは、図10に示すように、リングフレームfの大きさに合わせた円形に予め切断されたプリカットダイシングテープdtを所定ピッチで貼付け保持してロール巻きしたキャリアテープCTが繰出し軸29に装填可能に構成されている。なお、ダイシングテープDTは、本発明の帯状の粘着テープに相当し、プリカットダイシングテープdtは、プリカット粘着テープに相当する。
【0030】
繰出し軸29にダイシングテープDTが装着された場合、図1に示すように、テープ供給部22から繰出されたセパレータ付きのダイシングテープDTは、支持フレーム21の上部一端に配備されたピンチローラ30に導かれ、ここでダイシングテープDTからセパレータsが剥離されて下方に反転案内されるとともに、セパレータsが剥離されて粘着面が上向きに露出されたダイシングテープDTが水平に引き出されて剥離ユニット25に導かれる。
【0031】
繰出し軸29にキャリアテープCTが装着された場合、図10に示すように、テープ供給部22から繰出されたキャリアテープCTは、後述するように、貼付けユニット24を経て前記ピンチローラ30に導かれる。
【0032】
セパレータ回収部23には巻取り軸31が備えられており、ダイシングテープDTから剥離されてピンチローラ30で下方に反転案内されたセパレータs、あるいは、ピンチローラ30で下方に反転案内されたキャリアテープCTを巻取り回収するよう構成されている。
【0033】
貼付けユニット24は、図示されていないねじ送り式あるいはベルト式の駆動手段によって水平に往復移動可能に構成されている。例えば、図4に示すように、キャリアテープCTを受け入れる導入用ピンチローラ32、案内ローラ33、エッジ状薄板からなる剥離部材34、貼付けローラ35、およびキャリアテープCTを送り出す送出用ピンチローラ36などが備えられている。
【0034】
ダイシングテープDTが使用される場合には、図1に示すように、ピンチローラ30でセパレータsが剥離されて水平方向に折り返し案内されたダイシングテープDTが貼付けローラ35に接する状態で剥離ユニット25に導かれる。
【0035】
プリカットダイシングテープdtが使用される場合には、図14に示すように、貼付けユニット24に供給されたキャリアテープCTは、導入用ピンチローラ32、案内ローラ33を経て剥離部材34で折り返し案内された後、送出用ピンチローラ36を経て後方に送出されてピンチローラ30に導かれる。剥離部材34の先端エッジでの折り返し案内によって、プリカットダイシングテープdtの先端がキャリアテープCTから剥離される。この剥離された先端部分がリングフレームfの貼付け位置に近接すると略同時に、このテープdtの非粘着面を貼付けローラ35が押圧する。
【0036】
ここで、キャリアテープCTを巻回した一方の導入用ピンチローラ32の上方箇所には、走行するキャリアテープCTの表面に圧接されて従動回転する検出ローラ37と、その回転に伴って作動するロータリエンコーダ38が配備されている。つまり、このロータリエンコーダ38の検知情報からキャリアテープCTの移動量が検出されるようになっている。
【0037】
また、導入用ピンチローラ32と案内ローラ33との間のテープ走行経路脇には、投光器39aと受光器39bを配備して構成した透過式の光センサ39が設置されている。つまり、受光器39bによる受光量の減少変化からキャリアテープCTに貼付け保持されたプリカットダイシングテープdtの先端位置が検知されるようになっている。
【0038】
剥離ユニット25は、図示されていないねじ送り式の駆動手段によって水平に往復移動可能に構成されている。また、図5に示すように、貼付けユニット24から水平に導出されてきたダイシングテープDTを案内する剥離ローラ41と案内ロー42が備えられている。
【0039】
残渣テープ回収部26は、巻取り軸43が配備されており、剥離ユニット25から送り出されてきた処理済みのダイシングテープ(残渣テープ)DT’を巻取り回収する。
【0040】
テープ切断機構28は、図1に示すように、ワーク保持機構5の中心線X上に位置して配備されており、エアーシリンダ44によって昇降されるとともに、中心線Xを中心として旋回駆動される基台45から水平に支持アーム46が延出されている。この支持アーム46の端部には、円板形のカッタ刃47が備えられている。また、カッタ刃47の対角位置には、ワークの下面に沿って転動する遊転ローラ48が配備されている。
【0041】
テンション機構27は、台枠3の上端部左右においてダイシングテープ走行経路を挟んで対向配備されており、図5に示すように、ピンチローラ30と剥離ユニット25とにわたって掛け渡されるダイシングテープDTの左右端辺をエアー駆動されるクランプ部材49で上下から挟持して左右外方にスライド付勢することで、ダイシングテープDTに幅方向への適度の張力を付与するよう構成されている。
【0042】
本実施例の粘着テープ貼付け装置1は以上のように構成されており、帯状のダイシングテープDT、あるいは、プリカットダイシングテープdtをワーク(リングフレームfとウエハw)に貼付ける処理を以下に説明する。
【0043】
図5ないし図9に、帯状のダイシングテープDTを貼り付け処理する場合の工程が示されている。
【0044】
(1)図5に示すように、貼付け開始状態においては、ワーク保持機構5は上方の待機位置にあり、このワーク保持機構5にリングフレームfおよびウエハwがロボットアームなどを用いて供給され、それぞれが所定の位置で吸着保持される。この場合、ウエハwの下面がリングフレームfの下面より僅かに突出された状態にセットする。
【0045】
テープ貼付け機構2においては、貼付けユニット24および剥離ユニット25は図中右端の待機位置にあり、テープ供給部22から繰出されたセパレータ付きのダイシングテープDTは、セパレータsが剥離された状態でピンチローラ30と剥離ローラ41にわたって掛け渡されている。この掛け渡されたダイシングテープDTの左右端辺にテンション機構27が作用してダイシングテープDTが幅方向に適度に張力が付与される。
【0046】
(2)次に、ワーク保持機構5が貼付け位置まで下降され、リングフレームfおよびウエハwの下面がダイシングテープDTの上向き粘着面に接近対向される。
【0047】
(3)次に、図6に示すように、貼付けユニット24が図中左方に前進移動する。このとき、貼付けローラ35でダイシングテープDTを押し上げながらリングフレームfおよびウエハwの下面に貼り付けてゆく。この場合、ウエハwを保持したチャックテーブル12は緩衝部材16を介して弾性支持されているので、リングフレームfより下方に突出されているウエハwが貼付けローラ35による押圧力を受けると、緩衝部材16の弾性変形によってウエハwの下面がリングフレームfの下面と面一になるよう後退上昇する。したがって、ダイシングテープDTは、ウエハwの下面全体に確実に押し付けられる。
【0048】
(4)図7に示すように、貼付けユニット24が前進して終端位置に到達して貼付けが完了すると、テンション機構27が解除作動してダイシングテープDTを放す。そして、テープ切断機構28が上昇および回転作動し、カッタ刃47が旋回走行してリングフレームfの下面に貼付けられたダイシングテープDTを所定の径で切断する。このとき、ダイシングテープDTの切断部位上を遊転ローラ48が転動し、テープの浮き上がりなどを修正する。
【0049】
(5)テープ切断が完了すると、テープ切断機構28が下降作動し、その後、図8に示すように、剥離ユニット25が図中左方向に前進走行し、ダイシングテープDTの円形に切り抜かれた残渣テープDT’をリングフレームfから剥離してゆく。これと同調して残渣テープ回収部26の巻取り軸43が巻取り作動して残渣テープDT’を巻き取ってゆく。
【0050】
(6)切断処理後に、剥離ユニット25が前進して終端位置に到達すると、図9に示すように、ワーク保持機構5が上昇作動し、円形に切断されたダイシングテープDTを介しリングフレームfとウエハwとを一体化したマウントフレームMFが搬出される。
【0051】
また、剥離ユニット25においては、テープ固定用シリンダ50が進出作動して、残渣テープDT’を剥離ローラ41と押圧片51との間に挟持固定し、この状態で剥離ユニット25および貼付けユニット24が後退走行するとともに、残渣テープ回収部26の巻取り作動、テープ供給部22の繰出し作動、および、セパレータ回収部23の巻取り作動が同調して行われる。
【0052】
(7)剥離ユニット25および貼付けユニット24が待機位置まで復帰すると、テープ固定用シリンダ50が後退作動して残渣テープDT’の固定を解除し、図5に示される初期状態となり、新たらしいワークの搬入に備える。以上でダイシングテープDTを用いた場合の一巡の貼り付ける処理が終了する。
【0053】
次に、図10から図13に沿って、プリカットダイシングテープdtを貼り付け処理する工程を説明する。
【0054】
(1)貼付け開始状態においては、ワーク保持機構5は上方待機位置にあり、このワーク保持機構5にリングフレームfおよびウエハwがそれぞれ所定の位置で吸着保持される。図10に示すように、テープ貼付け機構2においては、使用されない剥離ユニット25が図中右端の待機位置に固定される。他方、貼付けユニット24は図中左方に設定された初期セット位置に待機されるとともに、使用されないテープ切断機構28は下方の待機位置に固定される。
【0055】
テープ供給部22から繰出されたキャリアテープCTは、貼付けユニッ24に供給されて所定の径路に巻き掛け案内されて後方に送り出され、ピンチローラ30を経てセパレータ回収部23に導かれて巻き取られる。なお、キャリアテープCTを貼付けユニット24に装填する際には、図4(b)に示すように、先ず、貼付けローラ35および案内ローラ33を取外すとともに、導入用ピンチローラ32および送出用ピンチローラ36の間隔を開け、かつ、テープ走行量検知用の検出ローラ37を上方に逃がしてテープ走行経路を開放してキャリアテープCTを巻き掛け、その後、貼付けローラ35および案内ローラ33を装着することで、迅速かつ容易に図4(a)に示す所定のテープ巻き掛け状態にすることができる。
【0056】
(2)次に、図10に示すように、ワーク保持機構5が下降されてリングフレームfの下面が貼付けローラ35に接近対向されるとともに、ピンチローラ30の駆動によってキャリアテープCTが繰出し走行される。キャリアテープCTの走行に伴って、図14(a)に示すように、貼付け保持されたプリカットダイシングテープdtの先端が光センサ39で検知されると、ロータリエンコーダ38による計測が開始され、予め設定された所定の長さだけテープ走行が行われた時点でテープ走行が停止される。テープ走行が停止された状態においては、図14(b)に示すように、プリカットダイシングテープdtの先端部がキャリアテープCTから剥離されて、その粘着面を上向きにした姿勢でリングフレームfの貼付け位置に近接対向するとともに、貼付けローラ35の直上に位置する。そして、計測開始時点から走行停止までのテープ走行長さが予め入力設定されている。
【0057】
(3)次に、図11に示すように、貼付けローラ35がリングフレームfの他方の端部直下に対向する貼付け開始位置にいたるまで貼付けユニット24が図中右方の走行される。この場合、導入用ピンチローラ32および送出用ピンチローラ36を回転停止してキャリアテープCTを挟持固定しておく。これにより貼付けユニット24の走行に伴って導入用ピンチローラ32より上手のキャリアテープ部分はテープ供給部22から引き出される。また同時、送出用ピンチローラ36から出たキャリアテープ部分はセパレータ回収部23から引き出されることになり、プリカットダイシングテープdtの先端部と貼付けローラ35との位置関係に変化が生じない。なお、貼付けユニット24が貼付け開始位置まで走行される際、テープ供給部22およびセパレータ回収部23では弱いバックテンションが発生するよう駆動される。
【0058】
(4)次に、図12に示すように、貼付け開始位置に達した貼付けローラ35が押し上げ移動されて、プリカットダイシングテープdtの先端部がリングフレームfの下面に押し付けられる。その後、図13に示すように、貼付けユニット24が図中左方向に前進走行される。このとき、ピンチローラ30が貼付けユニット24の移動速度と同調した速度で巻き込み駆動されてキャリアテープCTがテープ供給部22から連続して引き出され、剥離部材34の先端エッジ部で剥離されるプリカットダイシングテープdtが貼付けローラ35によってリングフレームfおよびウエハwの下面に連続して貼り付けられてゆく。なお、貼付けユニット24が貼付け走行するとき、テープ供給部22およびセパレータ回収部23では弱いバックテンションが発生するよう駆動される。
【0059】
(5)貼付けユニット24が前進移動して終端位置に到達すると、ワーク保持機構5が上昇作動し、プリカットダイシングテープdtを介しリングフレームfとウエハwとを一体化したマウントフレームMFが搬出されるとともに、新たらしいワークの搬入に備える。以上でプリカットダイシングテープdtを用いた場合の一巡の貼り付ける処理が終了する。
【0060】
上述の粘着テープ貼付け装置1によれば、1台の装置で帯状およびプリカットした両形態のダイシングテープをリングフレームfとウエハwとにわたって貼り付けることができる。したがって、テープの形態に応じた装置を個別に設置する必要がないので、設備コストおよび設置スペースを節減できる。
【0061】
本発明は、以下のような形態に変形して実施することもできる。
【0062】
(1)プリカットダイシングテープdtを使用する場合、図15に示すように、リングフレームfを貼付け位置まで下降した状態において、ウエハwを貼付け高さより浮上させておき、この状態で貼付けユニット24を走行させてプリカットダイシングテープdtをリングフレームfの下面にのみ貼り付ける。その後、図16に示すように、ウエハwをリングフレームfの下面高さ、あるいは、それより若干下方にまで下降し、別途装備した第2貼付けユニット52を走行移動させて、リングフレームfの下面に貼り付けられているプリカットダイシングテープdtを第2貼付けローラ53でウエハwの下面に押圧して貼付けるようにして実施することもできる。このように、リングフレームfへの貼付けとウエハwへの貼付けを別工程とすることで、それぞれの貼付けを確実に行うことができる。
【0063】
また、帯状のダイシングテープDTを使用する場合においても、上記プリカットダイシングテープdtの貼付けと同様に、先にリングフレームfの下面にのみ貼り付けた後、ウエハwを貼付け作用位置に降下させて貼り付けるように構成してもよい。この構成によれば、風などの外乱を受けて帯状のダイシングテープDTがなびいたとしても、貼付けローラ35の位置よりも先にあるダイシングテープDTが先行してウエハwの裏面に不要に貼り付くのを回避できる。したがって、粘着テープの貼付け精度の向上を図ることができる。
【0064】
(2)実施例では、テープ貼付け機構2の上方にワーク保持機構5を配備して、ワークの下面に貼付け処理を行う形態を示しているが、テープ貼付け機構2の下方に貼付け面を上向きにしてワークを保持するワーク保持機構5を昇降可能に配備した形態で実施することもできる。
【0065】
(3)上記実施例では、テープ供給部22の繰出し軸29を共用して、ロール巻きしたダイシングテープDTあるいはロール巻きしたキャリアテープCTを装填するようにしているが、テープ供給部22にダイシングテープDT専用の繰出し軸とキャリアテープCT専用の繰出し軸を配備し、ダイシングテープDTあるいはキャリアテープCTのそれぞれを別個に装填する形態で実施することもできる。また、上記実施例では、セパレータ回収部23の巻取り軸31を共用してセパレータsとキャリアテープCTを巻取り回収するようにしているが、セパレータ回収部23に2本の巻取り軸を配備して、セパレータsあるいはキャリアテープを専用の巻取り軸で個別に巻取り回収する形態で実施することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】粘着テープ貼付け装置の全体側面図である。
【図2】ワーク保持機構の正面図である。
【図3】ワーク保持機構の平面図である。
【図4】貼付けユニットの側面図を示し、(a)はキャリアテープ巻き掛け装填状態、(b)はキャリアテープ巻き掛け工程図である。
【図5】帯状のダイシングテープの貼付け工程図である。
【図6】帯状のダイシングテープの貼付け工程図である。
【図7】帯状のダイシングテープの貼付け工程図である。
【図8】帯状のダイシングテープの貼付け工程図である。
【図9】帯状のダイシングテープの貼付け工程図である。
【図10】プリカットダイシングテープの貼付け工程図である。
【図11】プリカットダイシングテープの貼付け工程図である。
【図12】プリカットダイシングテープの貼付け工程図である。
【図13】プリカットダイシングテープの貼付け工程図である。
【図14】プリカットダイシングテープを装填した貼付けユニットの側面図であり、(a)はプリカットダイシングテープの先端検知状態、(b)はプリカットダイシングテープの初期セット状態である。
【図15】別実施例におけるプリカットダイシングテープの貼付け工程図である。
【図16】別実施例におけるプリカットダイシングテープの貼付け工程図である。
【符号の説明】
【0067】
3 … ワーク保持機構
22 … テープ供給部
23 … セパレータ回収部
24 … 貼付けユニット
26 … 残渣テープ回収部
28 … テープ切断機構
f … リングフレーム
w … 半導体ウエハ
DT … ダイシングテープ
DT’… 残渣テープ
dt … プリカットダイシングテープ
s … セパレータ
CT … キャリアテープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リングフレームと、このリングフレームの中央に配置された半導体ウエハの裏面とにわたって支持用の粘着テープを貼り付けて一体化する粘着テープ貼付け装置において、
リングフレームおよび半導体ウエハのそれぞれを所定姿勢で保持するワーク保持機構と、
帯状の粘着テープ、あるいは、リングフレームの大きさに対応して予め切断されたプリカット粘着テープが貼付け保持された帯状のキャリアテープを、前記ワーク保持機構に保持されたリングフレームの裏面に向けて供給するテープ供給手段と、
供給された帯状の前記粘着テープの幅方向に張力を付与するテンション機構と、
前記テンション機構によって張力付与の状態にある帯状の粘着テープの非粘着面、および、剥離部材によって折り返されて前記キャリアテープから繰出される前記プリカット粘着テープの非粘着面を押圧しながら転動する貼付けローラを備え、前記ワーク保持機構に保持されたリングフレームおよび半導体ウエハに粘着テープを貼り付ける貼付けユニットと、
貼付け後の帯状の粘着テープをリングフレームに沿って切断するテープ切断機構と、
切断処理された帯状の前記粘着テープの残渣テープを巻取り回収する残渣テープ回収部と、
を備えたことを特徴とする粘着テープ貼付け装置。
【請求項2】
請求項1に記載の粘着テープ貼付け装置において、
前記ワーク保持手段は、リングフレームを保持するフレーム保持手段と半導体ウエハを保持するウエハ保持手段とからなり、両保持手段を昇降可能な可動台に装備して構成した
ことを特徴とする粘着テープ貼付け装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の粘着テープ貼付け装置において、
前記フレーム保持手段で保持されたリングフレームに対して半導体ウエハを独立して上下動可能に保持するよう前記ウエハ保持手段を構成した
ことを特徴とする粘着テープ貼付け装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の粘着テープ貼付け装置において、
前記ウエハ保持手段で保持した半導体ウエハを、ウエハ保持面側に後退変位可能に弾性支持した
ことを特徴とする粘着テープ貼付け装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の粘着テープ貼付け装置において、
帯状の前記粘着テープは、セパレータ付きであり、剥離したこのセパレータ、あるいは、プリカット粘着テープが剥離されたキャリアテープを巻取り回収する共用のセパレータ回収部を備えた
ことを特徴とする粘着テープ貼付け装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の粘着テープ貼付け装置において、
ロール巻きされたセパレータ付きの粘着テープ、あるいは、プリカット粘着テープを貼付け保持してロール巻きされたキャリアテープを繰出し供給する共用のテープ供給部を備えた
ことを特徴とする粘着テープ貼付け装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2008−205363(P2008−205363A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−42115(P2007−42115)
【出願日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【出願人】(394016601)日東精機株式会社 (79)
【Fターム(参考)】