説明

粘着剤、粘着シートおよびタッチパネル用積層体

【課題】金属あるいは金属酸化物からなる導電膜を有するタッチパネル用の粘着剤において、耐熱性、耐湿熱安定性、段差追従性に優れ、金属あるいは金属酸化物に対する腐食性のない粘着剤、粘着シート、および、これを用いたタッチパネル用積層体を提供する。
【解決手段】次に示す成分(a-1)アルコキシ(メタ)アクリレート20〜99.9重量%および(a-2)架橋性官能基を有するモノマー0.1〜10重量%を含むモノマー(全モノマーを100重量%とする)を共重合させて得られる酸性基を実質的に有しない重量平均分子量が5万以上40万未満であるアクリル系ポリマー(A)と、該アクリル系ポリマー(A)100重量部に対して、脂肪族イソシアネート系架橋剤(B)0.1〜5重量部とを含有することを特徴とする粘着剤23−1、23−2。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はタッチパネル用の積層体に使用される粘着剤、この粘着剤をシート状にした粘着シート、および、この粘着シートを用いて部材を貼着したタッチパネル用積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
現在主流で用いられているタッチパネルには、大別して抵抗膜式タッチパネルと静電容量方式のタッチパネルとがあり、これらは共には各種材料の積層体であり、その貼り合わせには主にアクリル系粘着剤が使用されている。タッチパネルユニットは、画面の最表面に配置されることから、高い透明性が求められ、さらに、高い耐熱性、耐湿熱性などの特性が必要とされる。具体的には、タッチパネルユニットは、各種材料の積層体であり、タッチパネル装置の最表面に配置されることから、外部からの水分の浸入によって白化現象を生ずることがあり、また、貼着の際、空気を巻き込むことによる発泡および積層する材料から発生するアウトガスによる発泡などが問題になる。
【0003】
また、これまでのタッチパネルの主流であった抵抗膜方式のタッチパネルにおいては、ポリカーボネート(PC)あるいはインモールドフィルム(IMF)の貼り付けのために種々の粘着剤が使用されてきた。
【0004】
しかしながら、PCの材料上の特性として高温条件でアウトガスが発生するとの特性があり、耐熱条件で発泡が起きること、湿熱条件で水分流入による粘着剤層の白化現象を抑えることが難しいという問題もある。さらに、IMFはサブミクロンオーダーの段差を有するために、その段差に粘着剤が追随できずに泡を巻き込むという問題もある。
【0005】
従来は、上記のような問題を、粘着剤に酸成分を配合することにより解決していた。即ち、酸成分は混入した水分を分散させて析出させないという機能を有しており、粘着剤層に浸入した水分は酸成分の分散力によって粘着剤層内に分散され析出することがなかったので、粘着剤層が白化するのを防止し、また水素結合を形成することからその水素結合による高い凝集力によって、耐熱発泡における泡の発生を抑えていたのである。
【0006】
ところで、近時、マルチタッチ化をはじめとする機能の充実化に伴い静電容量方式のタッチパネルが抵抗膜方式のタッチパネルに代わって主流になりつつある。この静電容量方式のタッチパネルにおいては、抵抗膜方式のタッチパネルで要求されていた特性は当然必要となるが、それに加えて、粘着剤が配線を形成している導電層と直接接触するために、粘着剤が導電層の特性を変動させないという特性が必要になる。導電層は、酸化インジウムスズ(ITO)や銀のような金属あるいは金属酸化物で形成されており、酸との接触により腐食を起こし、その抵抗値が上昇してしまうので、従来から使用されていた酸成分を用いて耐熱性、耐湿熱性などの特性を確保するという手段は用いることができない。
【0007】
このようなITO等の金属あるいは金属酸化物からなる透明電極の腐食に関しては、特許文献1(特開2010-77287号公報)には、アルコキシアルキルアクリレートを主成分とする重合体が開示されており、この特許文献1では、重量平均分子量が40万〜160万のアルコキシアルキルアクリレート系のポリマーであってカルボキシル基含有モノマーを使用しないポリマーを用いることが開示されている。
【0008】
このようにカルボキシル基含有モノマーを使用せずに40万〜160万のアルコキシアルキルアクリレート系のポリマーを使用することにより、ITOなどの金属あるいは金属酸化物からなる透明電極の腐食に関してはある程度改善されるものの、湿熱白化性、耐熱発泡性などの性能に関しては充分な効果を得られていない。さらに、作業性も充分とはいえない。
【0009】
さらに、特許文献1に開示されているポリマーの重量平均分子量は40万〜160万と大きいので、これを溶媒に溶解して塗布液を調製する際に固形分の量が多くなるとポリマー溶液の粘度が高くなりすぎる。タッチパネルにおいては、額縁印刷による段差を有する支持体上に粘着剤を積層することがあり、その段差に追従させるために厚膜の粘着剤層を形成する必要があり、また、特に静電容量方式のタッチパネルにおいては、表面支持体とITOなどの導電性膜を接着するために厚膜の粘着剤層が求められることがあるが、重量平均分子量が40万〜160万のアルコキシアルキルアクリレート系ポリマーを用いたのでは固形分含量が高い塗布液を調製することができないので、固形分含有量の低い塗布液を調製し、繰返し塗布する必要があり、一度の塗工で必要とされる厚さの粘着剤層を形成することが困難であるとの問題を有している。
【0010】
一方、上記粘着剤は、剥離性フィルム間に粘着剤層を形成したトランスファーテープの形態で用いられることがある。このようなトランスファーテープは、剥離性フィルムを剥がしてタッチパネル部材に転写して用いられるが、トランスファーテープの粘着剤層は既に粘着剤層中の架橋構造が形成されており、凹凸を有する部材への追従性に劣るものとなる。したがって、架橋させても、フィルムや基材に貼り合わせるために適度な柔軟性を有し、貼り合わせ時の巻き込み由来の発泡を低減させた粘着シートが求められている。特許文献2には、脂肪族イソシアネート系架橋剤を用いて耐黄変性を向上させた粘着剤組成物が記載されている。脂肪族イソシアネート系架橋剤を用いて養生した粘着シートは、芳香族環を有する架橋剤を用いて養生した粘着シートよりも柔軟性に優れる。しかしながら、特許文献2に記載された架橋対象のアクリル系ポリマーの重量平均分子量は、40万以上160万以下であり、上記問題点を有していた。
【0011】
またタッチパネルの表面支持体を構成するポリエチレンテレフタレートやポリカーボネートの表面は、ハードコート処理されていることが多い。よって、粘着シートには、ハードコート層に対する粘着力が良好であることも求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2010-77287号公報
【特許文献2】特開2010-215923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、金属あるいは金属酸化物からなる導電膜を有するタッチパネル用の粘着剤において、耐熱性、耐湿熱安定性、段差追従性に優れ、金属あるいは金属酸化物に対する腐食性のない粘着剤、粘着シート、および、これを用いたタッチパネル用積層体を提供することを目的としている。
【0014】
また、本発明は作業性のよい粘着剤あるいは粘着シートを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、たとえば以下の[1]〜[29]である。
[1] 次に示す成分(a-1)および(a-2)
(a-1)アルコキシ(メタ)アクリレート 20〜99.9重量%
(a-2)架橋性官能基を有するモノマー 0.1〜10重量%
を含むモノマー(全モノマーを100重量%とする)を共重合させて得られる酸性基を実質的に有しない重量平均分子量が5万以上40万未満であるアクリル系ポリマー(A)と、該アクリル系ポリマー(A)100重量部に対して、脂肪族イソシアネート系架橋剤(B):0.1〜5重量部とを含有することを特徴とする粘着剤。
[2] 上記脂肪族イソシアネート系架橋剤(B)が、1分子内に三個以上のイソシアネート基を有することを特徴とする[1]に記載の粘着剤。
[3] 上記アクリル系ポリマー(A)を形成する(a-2)架橋性官能基を有するモノマーが、水酸基含有モノマーであることを特徴とする[1]または[2]に記載の粘着剤。
[4] 上記アクリル系ポリマー(A)が、さらに(a-3)窒素含有モノマー5重量%以下を含むモノマーを共重合させて得られることを特徴とする[1]〜[3]のいずれか一項に記載の粘着剤。
[5] 上記(a-3)窒素含有モノマーが、アミノ基含有モノマー、アミド基含有モノマー、窒素系複素環含有モノマー、シアノ基含有モノマーよりなる群から選ばれる少なくとも1種類であることを特徴とする[4]に記載の粘着剤。
[6] 上記粘着剤が、金属あるいは金属酸化物と直接接触する静電容量方式のタッチパネル用の粘着剤であることを特徴とする[1]〜[5]のいずれか一項に記載の粘着剤。
[7] 上記粘着剤が、タッチパネルの表面支持体上のハードコート層と直接接触する静電容量方式のタッチパネル用の粘着剤であることを特徴とする[1]〜[5]のいずれか一項に記載の粘着剤。
[8] 上記ハードコート層がシリコーン系であることを特徴とする[7]に記載の粘着剤。
[9] 次に示す成分(a-1)および(a-2)
(a-1)アルコキシ(メタ)アクリレート 20〜99.9重量%
(a-2)架橋性官能基を有するモノマー 0.1〜10重量%
を含むモノマー(全モノマーを100重量%とする)を共重合させて得られる酸性基を実質的に有しない重量平均分子量が5万以上40万未満であるアクリル系ポリマー(A)と、該アクリル系ポリマー(A)100重量部に対して、脂肪族イソシアネート系架橋剤(B):0.1〜5重量部とを含有する粘着剤から形成され、
ゲル分率が40〜80重量%で、厚さが10〜1000μmの範囲内にある粘着剤層を有することを特徴とする粘着シート。
[10] 上記脂肪族イソシアネート系架橋剤(B)が、1分子内に三個以上のイソシアネート基を有することを特徴とする[9]に記載の粘着シート。
[11] 上記アクリル系ポリマー(A)を形成する(a-2)架橋性官能基を有するモノマーが、水酸基含有モノマーであることを特徴とする[9]または[10]に記載の粘着シート。
[12] 上記アクリル系ポリマー(A)が、さらに(a-3)窒素含有モノマー5重量%以下を含むモノマーを共重合させて得られることを特徴とする[9]〜[11]のいずれか一項に記載の粘着シート。
[13] 上記(a-3)窒素含有モノマーが、アミノ基含有モノマー、アミド基含有モノマー、窒素系複素環含有モノマー、シアノ基含有モノマーよりなる群から選ばれる少なくとも1種類であることを特徴とする[12]に記載の粘着シート。
[14] 上記粘着シートを形成する粘着剤が、金属あるいは金属酸化物と直接接触する静電容量方式のタッチパネル用の粘着剤であることを特徴とする[9]〜[13]のいずれか一項に記載の粘着シート。
[15] 上記粘着シートを形成する粘着剤が、タッチパネルの表面支持体上のハードコート層と直接接触する静電容量方式のタッチパネル用の粘着剤であることを特徴とする[9]〜[14]のいずれか一項に記載の粘着シート。
[16] 上記ハードコート層がシリコーン系であることを特徴とする[15]に記載の粘着シート。
[17] 上記粘着シートの少なくとも一方の表面に、剥離処理を施したカバーフィルムが配置されていることを特徴とする[9]〜[16]のいずれか一項に記載の粘着シート。
[18] 次に示す成分(a-1)および(a-2)
(a-1)アルコキシ(メタ)アクリレート 20〜99.9重量%
(a-2)架橋性官能基を有するモノマー 0.1〜10重量%
を含むモノマー(全モノマーを100重量%とする)を共重合させて得られる酸性基を実質的に有しない重量平均分子量が5万以上40万未満であるアクリル系ポリマー(A)と、該アクリル系ポリマー(A)100重量部に対して、脂肪族イソシアネート系架橋剤(B):0.1〜5重量部とを含有する粘着剤から形成され、
ゲル分率が40〜80重量%で、厚さが10〜1000μmの範囲内にある粘着剤層を有することを特徴とする粘着シートの一方の面に、該粘着シートと対面する面の縁部に額縁印刷された表面支持体が貼着されており、該粘着シートの他方の面に金属あるいは金属酸化物または電極支持体付き金属あるいは金属酸化物からなる透明導電膜が貼着されていることを特徴とするタッチパネル用積層体。
[19] 上記タッチパネル用積層体が、静電容量方式タッチパネルを形成する部材であることを特徴とする[18]に記載のタッチパネル用積層体。
[20] 上記額縁印刷の厚さが、10〜50μmの範囲内にあることを特徴とする[18]または[19]に記載のタッチパネル用積層体。
[21] 上記透明導電膜が、ITO、ATO、又は、酸化錫を用いた配線パターンであり、該配線パターンに上記粘着シートが直接接触していることを特徴とする[18]〜[20]のいずれか一項に記載のタッチパネル用積層体。
[22] 上記表面支持体の厚さが25〜2000μmの範囲内にあることを特徴とする[18]〜[21]のいずれか一項に記載のタッチパネル用積層体。
[23] 上記透明導電膜の厚さが10〜100nmの範囲内にあることを特徴とする[18]〜[22]のいずれか一項記載のタッチパネル用積層体。
[24] 上記脂肪族イソシアネート系架橋剤(B)が、1分子内に三個以上のイソシアネート基を有することを特徴とする[18]〜[23]のいずれか一項に記載のタッチパネル用積層体。
[25] 上記アクリル系ポリマー(A)を形成する(a-2)架橋性官能基を有するモノマーが、水酸基含有モノマーであることを特徴とする[18]〜[24]のいずれか一項記載のタッチパネル用積層体。
[26] 上記アクリル系ポリマー(A)が、さらに(a-3)窒素含有モノマー5重量%以下を含むモノマーを共重合させて得られることを特徴とする[18]〜[25]のいずれか一項に記載の粘着剤。
[27] 上記(a-3)窒素含有モノマーが、アミノ基含有モノマー、アミド基含有モノマー、窒素系複素環含有モノマー、シアノ基含有モノマーよりなる群から選ばれる少なくとも1種類であることを特徴とする[26]に記載のタッチパネル用積層体。
[28] 上記粘着シートが、タッチパネルの表面支持体上のハードコート層と直接接触することを特徴とする[18]〜[27]のいずれか一項に記載のタッチパネル用積層体。
[29] 上記ハードコート層がシリコーン系であることを特徴とする[28]に記載のタッチパネル用積層体。
【発明の効果】
【0016】
本発明の粘着剤は、実質的に酸成分を含有していないので、ITOや銀などの金属あるいは金属酸化物からなる配線の腐食による劣化を有効に抑えることができる。
さらに、本発明の粘着剤は、重量平均分子量(Mw)が5万以上40未満であるので、溶媒中に固形分を高濃度に保つことができ、一回の塗工工程で充分な厚塗りをすることができる。
【0017】
そして、脂肪族イソシアネート系架橋剤によって架橋構造が形成されるので、本発明の粘着剤は、耐熱性、耐湿熱安定性に優れており、また柔軟性があるため、段差追従性が非常に良好である。さらに、ハードコート処理されたフィルムに対する接着性も良好である。
【0018】
従って、本発明の粘着剤、この粘着剤を粘着層として有する粘着シート、および、この粘着シートを用いたタッチパネル用積層体は、ITOや銀などの金属あるいは金属酸化物からなる透明導電膜に対する腐食がおこりにくく、さらに白化、発泡も発生しにくい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、本発明のタッチパネル用積層体を組み込んだ抵抗膜方式のタッチパネルにおけるタッチパネルユニットの例を模式的に示す断面図である。
【図2】図2は、本発明のタッチパネル用積層体を組み込んだ静電容量方式のタッチパネルにおけるタッチパネルユニットの例を模式的に示す断面図である。
【図3】図3は、静電容量方式のタッチパネルにおける端部の構成の例を模式的に示す断面図である、
【図4】図4は、タッチパネルの端部に形成された額縁印刷部分への粘着シートの粘着状態を模式的に示す断面図である。
【図5】図5は、タッチパネル用積層体に生ずる発泡の状態を説明するための断面図である。
【図6】図6は、タッチパネル用積層体に生ずる白化現象の発生を説明するための断面図である。
【0020】
次に本発明の粘着剤、粘着シートおよびタッチパネル用積層体について具体的に説明する。
本発明の粘着剤は、アクリル系ポリマー(A)と脂肪族イソシアネート系架橋剤(B)とからなる。
【0021】
本発明において、アクリル系ポリマー(A)は、次に示す成分(a-1)および(a-2)
(a-1)アルコキシ(メタ)アクリレートと、
(a-2)架橋性官能基を有するモノマーとを共重合して得られるポリマーである。
【0022】
ここで使用されるアクリル系ポリマー(A)を構成する(a-1)アルコキシ(メタ)アクリレートの例としては、メトキシメチル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシブチル(メタ)アクリレート、エトキシメチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシプロピル(メタ)アクリレート、エトキシブチル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレートを挙げることができる。これらの(a-1)アルコキシ(メタ)アクリレートの中でもメトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレートを使用することが好ましく、これらは単独であるいは組合わせて使用することができる。
【0023】
本発明のアクリル系ポリマーにおいて、上記の(a-1)アルコキシ(メタ)アクリレートは20〜99.9重量%、好ましくは30〜99.1重量%、更に好ましくは50〜98.3重量%の量で共重合している。(a-1)アルコキシ(メタ)アクリレートが99.9重量%よりも多いと、必然的に官能基を有するモノマーの使用量が少なくない充分な架橋密度を達成できない。また20重量%よりも少ないと湿熱時に水分析出が抑えられず粘着剤層が白化し、外観に異常を来す。
【0024】
また、上記(a-1)アルコキシ(メタ)アクリレートと共重合する(a-2)架橋性官能基を有するモノマーは、水酸基含有モノマーであることが好ましい。水酸基含有モノマーとしては官能基として水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物が好ましく、このような水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物の例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロシキブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8-ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレートを挙げることができる。上記のような水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが好ましく、これらの水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物は単独であるいは組合わせて使用することができる。
【0025】
本発明で使用するアクリル系ポリマー(A)中において、(a-2)架橋性官能基を有するモノマーが、0.1〜10重量%、好ましくは、0.8〜9重量%、更に好ましくは1.2〜6重量%の範囲内の量で共重合している。
【0026】
架橋性官能基を有するモノマーの量が上記より少ないと、脂肪族イソシアネート系架橋剤による架橋構造が充分に形成されないことがあり、架橋性官能基を有するモノマーの量が10重量%より多いと、アクリル系ポリマーとしての特性が充分に発現しないことがある。
【0027】
さらに、本発明のアクリル系ポリマーは、上記(a-1)アルコキシ(メタ)アクリレートおよび(a-2)架橋性官能基を有するモノマーの他に、このアクリル系ポリマーの特性を損なわない範囲内で他のアクリル系モノマーが共重合していてもよい。
【0028】
ここで、アクリル系ポリマーを形成する他のモノマーの例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、iso-プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、iso-ブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデカ(メタ)アクリレート、ジデカ(メタ)アクリレートを挙げることができる。これらの(メタ)アクリレートは単独であるいは組み合わせて使用することができる。これらの中でも、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、iso-ブチル(メタ)アクリレートを使用することが好ましく、これらのアルキル(メタ)アクリレートは、アクリル系ポリマー(A)中、0〜79.9重量%の範囲で用いることができ、好ましくは、0〜69.1重量%、より好ましくは0〜48.3重量%の範囲で用いられる。
【0029】
さらに、本発明で使用するアクリル系ポリマー(A)は、粘着剤の凝集力を向上させ、さらに、イソシアネート系架橋剤による架橋を促進する上で、(a-3)窒素含有モノマーが共重合していることが好ましい。窒素含有モノマーとしては、アミノ基含有モノマー、アミド基含有モノマー、窒素系複素環含有モノマー、シアノ基含有モノマーよりなる群から選ばれる少なくとも1種類を用いることが好ましい。
【0030】
ここでアミノ基含有モノマーの例としては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、を挙げることができる。
また、アミド基含有モノマーの例としては、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−ヘキシル(メタ)アクリルアミドを挙げることができる。
【0031】
さらに窒素系複素環含有モノマーの例としては、ビニルピロリドン、アクリロイルモルホリン、ビニルカプロラクタムを挙げることができる。
また、シアノ基含有モノマーの例としては、シアノ(メタ)アクリレートを挙げることができる。
【0032】
このような(a-3)窒素含有モノマーはアクリル系ポリマー中、好ましくは5重量%以下、より好ましくは、0.1〜4重量%、最も好ましくは0.5〜3重量%の量で共重合している。
【0033】
また、さらに、本発明で使用するアクリル系ポリマー(A)には、本願発明の効果を阻害しない範囲において、その他のモノマーを共重合することができる。その他のモノマーとしては、酢酸ビニル;(メタ)アクリロニトリル;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート;スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、プロピルスチレン、ブチルスチレン、へキシルスチレン、ヘプチルスチレンおよびオクチルスチレンなどのアルキルスチレン、フロロスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、ヨウ化スチレン、ニトロスチレン、アセチルスチレンおよびメトキシスチレン等のスチレン系単量体;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、さらには、不飽和基を有するメチルメタクリレート重合体、不飽和基を有するt−ブチルメタクリレート重合体および不飽和基を有するスチレン重合体等のマクロモノマーを挙げることができる。
【0034】
本発明で使用するアクリル系ポリマー(A)は、酸性基を実質的に有しない。ここで酸性基を有していないとは、作為的に酸性基を配合しないことを意味し、酸価で表すと通常は0.5以下である。ここで酸性基を有するモノマーとしては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等のカルボキシル基を有するモノマー、リン酸基を有するモノマー、硫酸基を有するモノマーなどを挙げることができる。本発明においてアクリル系ポリマー(A)には、上記のような酸性基含有モノマーは共重合していない。このように酸性基含有モノマーを共重合させていないので、本発明のアクリル系ポリマー(A)は、金属あるいは金属酸化物からなる配線と直接接触してもこれらを腐食することがなく、本発明の粘着剤に、配線の抵抗値を長期間にわたって変動させないとする特性を賦与することができる。
【0035】
さらに、本発明で使用するアクリル系モノマー(A)は、重量平均分子量が5万以上40万未満、好ましくは10万〜38万の範囲内にある。
上記のアクリル系ポリマー(A)は、公知の方法により製造することができるが、溶液重合により製造することが好ましい。溶液重合においては、重合溶媒として、例えば酢酸エチル、メチルエチルケトン、トルエン、アセトンなどを使用することができる。具体的には反応容器内に重合溶媒、モノマーを仕込み、窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気下で重合開始剤を添加し、反応温度50〜90℃程度に加熱し、4〜20時間反応させる。
【0036】
溶液重合に用いる反応開始剤としては、アゾ系開始剤、過酸化物系開始剤を挙げることができる。これらの反応開始剤は、モノマー100重量部に対して、通常は0.01〜5重量部の範囲内の量で使用される。また、上記重合反応中に、重合開始剤、連鎖移動剤、モノマー、溶媒を適宜追加添加してもよい。
【0037】
上記のような条件において、重量平均分子量は、公知技術に従って、使用する溶媒の種類、重合開始剤の種類および量、反応時間、反応温度などの反応条件を調製することにより調節することができる。
【0038】
本発明の粘着剤は、さらに脂肪族イソシアネート系架橋剤(B)を含有している。脂肪族イソシアネート系架橋剤(B)は、架橋後も粘着シートの柔軟性を保つとともに、粘着シートのポリエチレンテレフタレート等のハードコート処理面との粘着性を良好にする。
【0039】
本発明で使用する脂肪族イソシアネート系架橋剤(B)の例としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネートなどの1分子内に二個以上のイソシアネート基を有する化合物、さらには公知のポリエーテルポリオールやポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンなどと付加反応させたウレタンプレポリマー型の1分子内に二個以上のイソシアネート基を有する化合物を挙げることができる。それらの中でも、貼り付け面の段差追従性を向上させ、耐熱発泡性を良好にすることができる点で、1分子内に三個以上のイソシアネート基を有する化合物が好ましい。1分子内に三個以上のイソシアネート基を有する化合物としては、上記1分子内に二個以上のイソシアネート基を有する化合物のアダクト型化合物、上記1分子内に二個以上のイソシアネート基を有する化合物をペンタエリスリトールなどの多価アルコールと付加反応させた化合物、上記1分子内に二個以上のイソシアネート基を有する化合物のイソシアヌレート化合物、上記1分子内に二個以上のイソシアネート基を有する化合物のビウレット型化合物が挙げられる。上記アダクト型化合物としては、1分子内に二個以上のイソシアネート基を有する化合物をトリメチロールプロパンと付加反応させた化合物が挙げられる。
【0040】
このような脂肪族イソシアネート系架橋剤(B)は単独であるいは組合わせて使用することができる。本発明の粘着剤中の脂肪族イソシアネート系架橋剤(B)の含有量は、アクリル系ポリマー(A)100重量具に対して0.1〜5重量部、好ましくは0.1〜2重量部である。
【0041】
このように脂肪族イソシアネート系架橋剤(B)を配合することにより、粘着剤の凝集力が向上し、貼り付け時に僅かに巻き込んだ気泡の膨張を抑えることができる。
本発明の粘着剤は、窒素含有モノマー由来の構成単位を含む低分子量体を含むことも好ましい。窒素含有モノマーとしては、上記に例示したものが挙げられる。低分子量体を構成する窒素含有モノマー以外のモノマーとしては、不飽和基を有するモノマーであれば、特に限定されないが、(メタ)アクリレートなどのアクリル系モノマー、スチレン系モノマーなどが好ましく挙げられる。低分子量体の重量平均分子量は5000以上5万未満であることが好ましい。本発明の粘着剤が上記低分子量体を含む場合、粘着剤の凝集力を向上させ、さらに、イソシアネート系架橋剤による架橋を促進するという効果を有する。
【0042】
本発明の粘着剤には、本発明の粘着剤の効果を損なわない範囲で、さらに酸化防止剤、金属腐食防止剤、光安定剤、粘着付与剤、可塑剤、帯電防止剤、架橋促進剤、リワーク剤などを配合することもできる。
【0043】
このようにして得られた粘着剤は、公知の粘着剤と同様に、適当な濃度に希釈された後、塗工、乾燥することにより、各種部材の接着に用いることができる。本発明で用いるアクリル系ポリマー(A)、脂肪族イソシアネート系架橋剤(B)を溶媒中に含有する塗布溶液は、アクリル系ポリマー(A)の重量平均分子量(Mw)が低いことから、酢酸エチル、メチルエチルケトン、アセトン、トルエンなどの溶剤に容易に不揮発分の濃度を調整することができる。そのため、本発明の粘着剤を用いることにより、塗工後の粘着剤の厚さを容易に所望の厚さにすることができる。特に本発明の粘着剤は、不揮発分含量の高い溶液を容易に調製することができ、例えば不揮発分を10〜70%、好ましくは30〜60%の範囲内で調整することが可能であるので、所望の厚さを少ない塗布回数で達成することができる。また、このように不揮発分含量の高い溶液を用いることにより、塗工・乾燥後の塗膜のレベリング性が向上し、さらに乾燥時間も短縮され作業性が向上する。さらに揮発溶剤量が少ないので環境への負荷も小さくなる。
【0044】
このような特性を利用して、本発明の粘着シートは、上記粘着剤を10〜1000μmの範囲内の厚さ、好ましくは25〜500μmの範囲内の厚さに塗布することにより得られる。
【0045】
この粘着剤シートは、通常は不揮発分が10〜70%、好ましくは30〜60%に調整された粘着剤の塗布液を、表面が剥離処理された支持体(例:剥離処理PET等)の表面に乾燥厚が25〜1000μmの範囲内の厚さ、好ましくは25〜500μmの範囲内の厚さになるように塗布し、溶媒を除去した後、形成された粘着層の表面に、表面が剥離処理されたカバーフィルムを貼着して通常は0〜50℃の温度で1日〜10日養生することにより得られる。
【0046】
このようにして得られた粘着剤層のゲル分率は、40〜80%、好ましくは60〜70%の範囲内にある。
このようにして得られた粘着シートは、各種部材に対して貼着することができるが、特に異種部材を貼り合わせるタッチパネル用部材の貼着に好適である。
【0047】
図1および図2に示すように、タッチパネルユニットは、抵抗膜方式タッチパネルのユニット(図1参照)と、静電容量方式タッチパネルのユニット(図2参照)がある。
図1に抵抗膜方式タッチパネルユニット10-1の例を示す。図1に示されるように、抵抗膜方式のタッチパネルユニット10-1は、貼り合わせ剤30によって間隙34が形成されるように上部積層体11-1と下部積層体13-1とからなり、間隙34内には有効にスペースを確保するためにスペーサー32が配置されている。
【0048】
上部積層体11-1には、間隙34に面して金属あるいは金属酸化物からなる透明導電膜27-1が配置されている。この透明導電膜27-1は、ITO、ATO、酸化錫などの透明性を有する導電材料で形成されており、通常は図1に示すようにポリエチレンテレフタレート(PET)あるいはガラスからなる上部電極支持体25-1の表面に形成されている。
【0049】
上部積層体の最表面には表面支持体21-1が配置されており、この表面支持体21-1は通常は透明性の高いガラスあるいはポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、シクロオレフィンポリマー(COP)などの透明フィルム、又は、透明板である。上記表面支持体21-1と上部電極支持体25-1とを接着するために、本発明の粘着剤からなる粘着剤層23-1が形成されている。上記上部電極支持体25-1および表面支持体21-1の粘着剤層23-1と接する表面には、ハードコート層が設けられていることが好ましい。ハードコート層は、通常使用されているものを制限なく用いることができるが、通常アクリル系粘着剤による接着が困難であるシリコーン系のハードコート層であっても粘着力が向上し、好ましい。
【0050】
また、下部積層体13-1は、同様に間隙34に面して金属あるいは金属酸化物からなる透明導電膜27-2が形成されており、この透明導電膜27-2は、ITO、ATO、酸化錫などの透明性を有する導電材料で形成されており、通常は図1に示すようにポリエチレンテレフタレート(PET)あるいはガラスからなる下部電極支持体25-2の表面に形成されている。
【0051】
下部積層体13-1の最深部にはディスプレイの表面と対面するように深部の表面支持体21-2が形成されており、この深部の表面支持体21-2はガラスあるいはポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、シクロオレフィンポリマー(COP)などの透明性の高い部材から形成されている。
【0052】
下部積層体13-1において、深部の表面支持体21-2と下部電極支持体25-2とを接着するために、本発明の粘着剤からなる粘着剤層23-2が形成されている。上記下部電極支持体25-2および表面支持体21-2の粘着剤層23−2と接する表面には、ハードコート層が設けられていることが好ましい。ハードコート層は、通常使用されているものを制限なく用いることができる。シリコーン系のハードコート層のような、通常のアクリル系粘着剤では十分な粘着力が得られないような被着体であっても、本発明のアクリル系粘着剤は十分な粘着力を示し好ましく用いられる。
【0053】
また、貼り合わせ剤30として本発明の粘着剤が使用されることもある。
なお、上記透明導電膜27-1、27-2は、表面支持体21-1の上から指などで圧力を加えることにより、圧力が加わった部分の間隙34が消滅して透明導電膜27-1、27-2が接触して通電し、加圧部分を検知するように形成されている。
【0054】
抵抗膜方式のタッチパネルユニット10-1において、表面支持体21-1の厚さは通常は25〜2000μmであり、上部透明導電膜27-1の厚さは通常10〜100nmであり、上部電極支持体25-1の厚さは通常は25〜2000μmである。これらを積層する粘着剤層23-1の厚さは上述の通り、10〜1000μmの範囲内にある。
【0055】
同様に抵抗膜方式のタッチパネルユニットにおいて、深部の表面支持体21-2の厚さは通常は25〜2000μmであり、下部透明導電膜27-2の厚さは通常10〜100nmであり、下部電極支持体25-2の厚さは通常は25〜2000μmである。これらを積層する粘着剤層23-2の厚さは上述の通り、10〜1000μmの範囲内にある。
【0056】
また、抵抗膜方式のタッチパネルユニット10-1において、中央に形成されている間隙の幅は、通常は100〜300μmの範囲内にある。
他方、静電容量方式のタッチパネルユニット10-2は、一般にはガラス、ポリカーボネートなどの透明性の高い部材からなる中央支持体60を挟んで上部積層体15-1と下部積層体15-2とは配置された構造を有していることが多い。
【0057】
静電容量方式のタッチパネル10-2における上部積層体15-1では、中央支持体60に接触して透明導電膜57-1が配置されており、最表面は、カバーガラスあるいはポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、シクロオレフィンポリマー(COP)等の光透過性部材からなる表面支持体51-1が配置されている。この粘着剤層53-1は、透明導電膜57-1と直接接触している。この透明導電膜57-1は、ITO、ATO、酸化錫などの透明性を有する導電材料で形成されている。
【0058】
この透明導電膜57-1と表面支持体51-1とを接着するように本発明の粘着剤からなる粘着剤層53-1が配置されており、上記表面支持体51-1の粘着剤層53-1と接する表面には、ハードコート層が設けられていることが好ましい。ハードコート層は、通常使用されているものを制限なく用いることができる。シリコーン系のハードコート層のような、通常のアクリル系粘着剤では十分な粘着力が得られないような被着体であっても、本発明のアクリル系粘着剤は十分な粘着力を示し好ましく用いられる。
【0059】
一方、静電容量方式のタッチパネルユニット10-2における下部積層体15-2では、中央支持体60に接触して透明導電膜57-2が配置されており、最深部には、カバーガラスあるいはポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、シクロオレフィンポリマー(COP)等の光透過性部材からなる表面支持体51-2が配置されている。透明導電膜57-2は、ITO、ATO、酸化錫などの透明性を有する導電材料で形成されている。この透明導電膜57-2と最深部の表面支持体51-2とを接着するように本発明の粘着剤からなる粘着剤層53-2が配置されており、この粘着剤層53-2は、透明導電膜57-2と直接接触している。上記表面支持体51-2の粘着剤層53-2と接する表面には、ハードコート層が設けられていることが好ましい。ハードコート層は、通常使用されているものを制限なく用いることができる。シリコーン系のハードコート層のような、通常のアクリル系粘着剤では十分な粘着力が得られないような被着体であっても、本発明のアクリル系粘着剤は十分な粘着力を示し好ましく用いられる。
【0060】
静電容量方式のタッチパネルユニット10-2において、最深部の表面支持体51-2は、ディスプレイと対面するように配置される。
上記静電容量方式のタッチパネルユニット10-2において、上部表面支持体51-1の厚さは通常は25〜2000μm、上部透明導電膜57-1の厚さは通常は10〜100nmであり、両者を接着する粘着剤層53-1の厚さは上述のように25〜1000μmである。また下部積層体15-2において、下部透明導電膜57-2の厚さは通常は10〜100nmであり、最深部の表面支持体51-2の厚さは通常は25〜2000μmであり、両者を接着する粘着剤層の厚さは上述のように25〜1000μmである。また、上記上部積層体15-1と下部積層体15-2の間にある中央支持体60の厚さは、通常は25〜1000μmの範囲内にある。
【0061】
なお、上部透明導電膜57-1および下部透明導電膜57-2は、回路を形成している。また、図2に示す静電容量方式のタッチパネルユニット10-2においては、上部透明導電膜57-1をX軸方向およびY軸方向にそれぞれ独立に設けられた二系列の回路とすることにより、下部積層体15-2を省略することもできる。
【0062】
静電容量方式のタッチパネルにおいては、タッチパネルユニット10-2の表面に指が接触することによる接触部分の静電容量の変化を読み取って接触位置を検知する。
上記のようなタッチパネルユニットには、例えば図2にAで示す縁部の表面支持体51-1の粘着剤と接触する面に額縁印刷が施される。この額縁印刷部分を図3に拡大して示す。図3において額縁印刷部分は付番62で示されている。この額縁印刷部分62の厚さ(t0)は通常10〜50μmであり、その断面はほぼ矩形に形成されている。粘着剤層53-1は、上述した本発明の粘着シートを表面支持体51-1に貼着することにより形成されるので、粘着シートに形成された粘着剤層が硬質で段差追従性に乏しいと、図4(イ)に示すように額縁印刷部分62の端部であって表面支持体51-1との間に粘着剤層53-1が表面支持体51-1および額縁印刷部分62の縁部のいずれにも接触していない空隙64が形成されてしまう。この部分は本来は図4(ロ)に示すように空隙64を形成せずに表面支持体51-1および額縁印刷部分62の縁部に粘着剤層53-1が密着しなければならない。
【0063】
しかしながら、従来のように重量平均分子量が40万〜160万の粘着剤をベースにした粘着剤においては、こうした非常に微細な形態の変化に粘着剤層の形状が変化しきれずに、空隙64が形成されてしまうのである。
【0064】
表面支持体、粘着剤層および(支持体を有することもある)透明導電膜が積層された本発明のタッチパネル用部材を構成する粘着剤層53-1は、上述のように特定の組成を有し、重量平均分子量(Mw)が5万以上40万未満のアクリル系ポリマー(A)を用いて、これらを脂肪族イソシアネート系架橋剤(B)で架橋することにより、非常に優れた段差追従性を有しており、額縁印刷部分62の周辺に空隙64が形成されることがない。
【0065】
また、本発明のタッチパネル用部材が、図5に示すように支持体51-2としてポリカーボネート(PC)のようにアウトガスの発生し易い部材を用いた場合、例えば耐熱試験条件80℃の条件で試験を行うと支持体からのアウトガスが発生して支持体と粘着剤層との間に気泡66を生じさせることがある。また、アウトガスが発生しない支持体を用いたとしても、支持体と粘着剤層との接着の際に泡68を巻き込むことがあり、温度変化によってこの気泡が成長すれば発泡原因となる。本発明の粘着剤は、特定の組成を有し、重量平均分子量(Mw)が5万以上40万未満のアクリル系ポリマー(A)を用いて、これらを脂肪族イソシアネート系架橋剤(B)で架橋しているので、非常に高い凝集力を有しており、上記のようなアウトガスによる発泡および巻き込み気泡の成長による発泡を高い凝集力によって抑え込むことができる。従って、本発明のタッチパネル用部材では、上記のような発泡は殆ど観察されないようにすることができる。
【0066】
また、タッチパネル用部材では、耐久試験条件(60℃、90%)に部材を放置すると、図6に示すように、支持体及び端部から水分が浸入することがある。温度が高い条件では、この浸入した水分が析出することはないが、温度が下がると浸入した水分が析出してタッチパネル用部材が白化し、ヘイズが著しく上昇する。本発明のタッチパネル用部材を形成する粘着剤層は、特定の組成を有することにより支持体層からの水分の浸入によっても、水分の析出が抑えられるために白化現象によるヘイズの上昇が極めて発生しにくい。
【0067】
さらに、本発明の粘着剤には酸性基が実質的に含有されていないので、金属あるいは金属酸化物からなる透明導電膜にこの粘着剤が直接接触したとしても、透明導電膜の抵抗値の変化は最大でも10%程度であり、この変化量はタッチパネルを駆動させる上では全く問題にならない量である。
【0068】
上記のように本発明のタッチパネル用部材は、粘着剤として特定の組成を有する重量平均分子量5万以上40万未満の主アルキル系ポリマー(A)と、脂肪族イソシアネート系架橋剤(B)とを有する粘着剤を用いて支持体と透明導電性膜とを粘着しており、優れた段差追従性を有しており、縁部に形成された額縁印刷部分に空隙が形成されることなく、また、巻き込みによる発泡およびアウトガスによる発泡の両者を抑えることができ、さらに水分を析出しにくいので粘着剤層が白化してヘイズが上昇することもない。
【実施例】
【0069】
次に本発明の実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが本発明はこれらによって限定されるものではない。
以下に示す方法により、粘着剤の重量平均分子量、ゲル分率、湿熱白化性、耐熱発泡性、ITO腐食性、段差追従性、接着強度を測定した。
〔測定方法〕
<分子量>
ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を用いて、標準ポリスチレン換算による重量平均分子量(Mw)を求めた。
測定条件
装置:HLC-8120GPC(東ソー(株)製)
カラム:以下の五連カラムを用いた。
【0070】
TSK-GEL HXL-H(ガードカラム、東ソー(株)製)
TSK-GEL G7000HXL(東ソー(株)製)
TSK-GEL GMHXL(東ソー(株)製)
TSK-GEL GMHXL(東ソー(株)製)
TSK-GEL G2500HXL(東ソー(株)製)
サンプル濃度:1.0mg/cm3となるようにテトラヒドロフランで希釈
移動相溶媒:テトラヒドロフラン
流速:1.0cm3/分
カラム温度:40℃
<ゲル分率>
23℃で7日間熟成後の粘着剤組成物約0.1g(採取重量)をサンプリング瓶に採取し、酢酸エチル30ccを加えて4時間振盪した後、このサンプル瓶の内容物を200メッシュのステンレス製金網で濾過し、金網上の残留物を100℃で2時間乾燥して乾燥重量を測定し、次式により求めた。
【0071】
【数1】

<ヘイズ>
得られた粘着シートの片面の剥離処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、PETフィルムともいう。)を剥がして、厚み25μmポリエチレンテレフタレートフィルムを貼り合わせ、50mm×50mmのサイズに裁断した。次いで、もう一方の剥離フィルムを剥がして、厚み2mmポリカーボネート(PC)板に貼り合わせ、50℃、5atmのオートクレーブで2分間処理した後、1時間静置して試験片を作成した。
【0072】
作成した試験片の耐久試験前のヘイズを測定した後、それぞれ60℃かつ90%環境下、85℃かつ85%環境下に500時間静置し、耐久試験を行った。その後、各試験片を常温で1時間静置した後、ヘイズを測定し、耐久試験前のヘイズとの差を求めた。
【0073】
ヘイズの測定には、MH−150(村上色彩技術研究所(株)製)を用いた。
<発泡>
得られた粘着シートの片側の剥離処理されたPETフィルムを剥がし、ITOを蒸着した厚み25μmポリエチレンテレフタレートフィルムを貼り合わせて、50mm×50mmのサイズに裁断した。次いで、もう一方の剥離フィルムを剥がして、厚み2mmポリカーボネート(PC)板に貼り合わせ、50℃、5atmのオートクレーブで2分間処理した後、1時間静置して試験片を作成した。
【0074】
作成した試験片を、それぞれ60℃かつ90%環境下、85℃かつdry環境下、85℃かつ85%環境下に500時間静置した。その後、各試験片を常温下で1時間静置下後、目視で発泡の度合いを確認し、以下の基準で評価した。
【0075】
評価の基準は以下の通りである
(評価) (内容)
◎ :目視では粘着剤層に気泡は確認できない。
【0076】
○ :目視で僅かに気泡が確認できる。
△ :実用可能な程度であるが、目視ではっきりと気泡が確認できる。
× :大きな気泡が確認できる。また、粘着剤層が基材または被着体から浮いている。
<ITO抵抗変化率>
発泡試験と同様にして試験片を作成し、予め試験片の抵抗値を測定した。次いで85℃かつ85%環境下に500時間静置した試験片の抵抗値を測定し、予め測定した値に対する抵抗値の変化率を求めた。
【0077】
なお、抵抗値の測定には、テスター(三和電気計器(株)製、デジタルマルチメーターPC510)を用いて測定した。
<段差追従性>
得られた粘着シートの片面の剥離処理されたPETフィルムを剥がし、25μmPETフィルムを貼り合わせ、50mm×50mmに裁断して試験片を作成した。
【0078】
次いで、25mm×25mmに裁断したPETフィルムをガラス板上に置き、作成した試験片のもう一方の面の剥離処理されたPETフィルムを剥がし、ガラス板上のPETフィルムを、全面を覆うように貼り付け、80℃環境下に500時間静置した後、常温下に1時間静置し、段差部分の外観を目視によって観察した。
【0079】
(評価) (内容)
◎ :目視では貼りつけ段差部分に気泡は確認できない。
○ :目視で貼りつけ段差部分に僅かに気泡が確認できる。
きる。
× :貼りつけ段差部分に大きな気泡が確認できる。また、粘着剤層が基材または被着体から浮いている。
<対ITO接着力>
得られた粘着シートの片側の剥離処理されたPETフィルムを剥がし、25μmPETフィルムに貼り合わせ、幅25mmに裁断して試験片を作成した。
【0080】
次いで、試験片のもう一方の剥離性PETフィルムを剥がし、ITOを蒸着したPETフィルムに貼り合わせた。
試験片を180°方向に300mm/minの速度で剥離し、その剥離強度を測定した。
<対HC接着力>
得られた粘着シートの片側の剥離処理されたPETフィルムを剥がし、25μmPETフィルムを貼り合わせ、幅25mmに裁断して試験片を作成した。
【0081】
次いで、試験片のもう一方の剥離性PETフィルムを剥がし、シリコーンハードコートPETフィルムに貼り合わせた。
試験片を180°方向に300mm/minの速度で剥離し、その剥離強度を測定した。
〔製造例1〕
攪拌機、環流冷却器、温度計および窒素導入管を備えた反応装置に、メトキシエチルアクリレート(MEA)60重量部、ブチルアクリレート(BA)34重量部、2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-HEA)4重量部、アクリルアミド(AM)2重量部および酢酸エチル(EtAc)100重量部、メチルエチルケトン(MEK)20重量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら70℃に昇温した。
【0082】
次いで、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.2重量部を加え、窒素雰囲気下、70℃で5時間重合反応を行った。
反応終了後、酢酸エチル(EtAc)にて希釈し、固形分濃度30%に調整し、重量平均分子量30万のアクリル系ポリマー1を得た。
〔製造例2〕
攪拌機、環流冷却器、温度計および窒素導入管を備えた反応装置に、メトキシエチルアクリレート(MEA)60重量部、ブチルアクリレート(BA)34重量部、2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-HEA)4重量部、ジメチルアミノエチルアクリレート(DMAEA)2重量部および酢酸エチル(EtAc)100重量部、メチルエチルケトン(MEK)20重量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら70℃に昇温した。
【0083】
次いで、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.2重量部を加え、窒素雰囲気下、70℃で5時間重合反応を行った。
反応終了後、酢酸エチル(EtAc)にて希釈し、固形分濃度30%に調整し、重量平均分子量30万のアクリル系ポリマー2を得た。
〔製造例3〕
攪拌機、環流冷却器、温度計および窒素導入管を備えた反応装置に、メトキシエチルアクリレート(MEA)60重量部、ブチルアクリレート(BA)34重量部、2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-HEA)4重量部、n−ビニルピロリドン(n-VP)2重量部および酢酸エチル(EtAc)100重量部、メチルエチルケトン(MEK)20重量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら70℃に昇温した。
【0084】
次いで、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.2重量部を加え、窒素雰囲気下、70℃で5時間重合反応を行った。
反応終了後、酢酸エチル(EtAc)にて希釈し、固形分濃度30%に調整し、重量平均分子量30万のアクリル系ポリマー3を得た。
〔製造例4〕
攪拌機、環流冷却器、温度計および窒素導入管を備えた反応装置に、メトキシエチルアクリレート(MEA)60重量部、ブチルアクリレート(BA)34重量部、2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-HEA)4重量部、アクリロイルモルホリン(ACMO)2重量部および酢酸エチル(EtAc)100重量部、メチルエチルケトン(MEK)20重量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら70℃に昇温した。
【0085】
次いで、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.2重量部を加え、窒素雰囲気下、70℃で5時間重合反応を行った。
反応終了後、酢酸エチル(EtAc)にて希釈し、固形分濃度30%に調整し、重量平均分子量30万のアクリル系ポリマー4を得た。
〔製造例5〕
攪拌機、環流冷却器、温度計および窒素導入管を備えた反応装置に、メトキシジエチレングリコールアクリレート(ECA)60重量部、ブチルアクリレート(BA)34重量部、2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-HEA)4重量部、アクリルアミド(AM)2重量部および酢酸エチル(EtAc)100重量部、メチルエチルケトン(MEK)20重量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら70℃に昇温した。
【0086】
次いで、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.2重量部を加え、窒素雰囲気下、70℃で5時間重合反応を行った。
反応終了後、酢酸エチル(EtAc)にて希釈し、固形分濃度30%に調整し、重量平均分子量30万のアクリル系ポリマー5を得た。
〔製造例6〕
攪拌機、環流冷却器、温度計および窒素導入管を備えた反応装置に、メトキシエチルアクリレート(MEA)60重量部、ブチルアクリレート(BA)36重量部、2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-HEA)4重量部および酢酸エチル(EtAc)100重量部、メチルエチルケトン(MEK)20重量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら70℃に昇温した。
【0087】
次いで、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.2重量部を加え、窒素雰囲気下、70℃で5時間重合反応を行った。
反応終了後、酢酸エチル(EtAc)にて希釈し、固形分濃度30%に調整し、重量平均分子量30万のアクリル系ポリマー6を得た。
〔製造例7〕
攪拌機、環流冷却器、温度計および窒素導入管を備えた反応装置に、メトキシエチルアクリレート(MEA)60重量部、ブチルアクリレート(BA)34重量部、2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-HEA)4重量部、アクリルアミド(AM)2重量部およびメチルエチルケトン(MEK)150重量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら70℃に昇温した。
【0088】
次いで、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.2重量部を加え、窒素雰囲気下、70℃で5時間重合反応を行った。
反応終了後、酢酸エチル(EtAc)にて希釈し、固形分濃度30%に調整し、重量平均分子量10万のアクリル系ポリマー7を得た。
〔製造例8〕
攪拌機、環流冷却器、温度計および窒素導入管を備えた反応装置に、メトキシエチルアクリレート(MEA)20重量部、ブチルアクリレート(BA)74重量部、2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-HEA)4重量部、アクリルアミド(AM)2重量部および酢酸エチル(EtAc)100重量部、メチルエチルケトン(MEK)20重量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら70℃に昇温した。
【0089】
次いで、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.2重量部を加え、窒素雰囲気下、70℃で5時間重合反応を行った。
反応終了後、酢酸エチル(EtAc)にて希釈し、固形分濃度30%に調整し、重量平均分子量30万のアクリル系ポリマー8を得た。
〔製造例9〕
攪拌機、環流冷却器、温度計および窒素導入管を備えた反応装置に、メトキシエチルアクリレート(MEA)20重量部、2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)74重量部、2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-HEA)4重量部、アクリルアミド(AM)2重量部および酢酸エチル(EtAc)110重量部、メチルエチルケトン(MEK)10重量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら70℃に昇温した。
【0090】
次いで、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.2重量部を加え、窒素雰囲気下、70℃で5時間重合反応を行った。
反応終了後、酢酸エチル(EtAc)にて希釈し、固形分濃度30%に調整し、重量平均分子量38万のアクリル系ポリマー9を得た。
〔製造例10〕
攪拌機、環流冷却器、温度計および窒素導入管を備えた反応装置に、メトキシエチルアクリレート(MEA)60重量部、ブチルアクリレート(BA)37重量部、2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-HEA)1重量部、アクリルアミド(AM)2重量部および酢酸エチル(EtAc)100重量部、メチルエチルケトン(MEK)20重量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら70℃に昇温した。
【0091】
次いで、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.2重量部を加え、窒素雰囲気下、70℃で5時間重合反応を行った。
反応終了後、酢酸エチル(EtAc)にて希釈し、固形分濃度30%に調整し、重量平均分子量30万のアクリル系ポリマー10を得た。
〔製造例11〕
攪拌機、環流冷却器、温度計および窒素導入管を備えた反応装置に、メトキシエチルアクリレート(MEA)60重量部、ブチルアクリレート(BA)35重量部、2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-HEA)3重量部、アクリルアミド(AM) 2重量部および酢酸エチル(EtAc)100重量部、メチルエチルケトン(MEK)20重量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら70℃に昇温した。
【0092】
次いで、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.2重量部を加え、窒素雰囲気下、70℃で5時間重合反応を行った。
反応終了後、酢酸エチル(EtAc)にて希釈し、固形分濃度30%に調整し、重量平均分子量30万のアクリル系ポリマー11を得た。
〔製造例12〕
攪拌機、環流冷却器、温度計および窒素導入管を備えた反応装置に、メトキシエチルアクリレート(MEA)60重量部、ブチルアクリレート(BA)29重量部、2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-HEA)9重量部、アクリルアミド(AM) 2重量部および酢酸エチル(EtAc)100重量部、メチルエチルケトン(MEK)20重量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら70℃に昇温した。
【0093】
次いで、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.2重量部を加え、窒素雰囲気下、70℃で5時間重合反応を行った。
反応終了後、酢酸エチル(EtAc)にて希釈し、固形分濃度30%に調整し、重量平均分子量30万のアクリル系ポリマー12を得た。
〔製造例13〕
攪拌機、環流冷却器、温度計および窒素導入管を備えた反応装置に、メトキシエチルアクリレート(MEA)60重量部、ブチルアクリレート(BA)33重量部、2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-HEA)4重量部、アクリルアミド(AM) 2重量部、アクリル酸(AA)1重量部および酢酸エチル(EtAc)100重量部、メチルエチルケトン(MEK)20重量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら70℃に昇温した。
【0094】
次いで、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.2重量部を加え、窒素雰囲気下、70℃で5時間重合反応を行った。
反応終了後、酢酸エチル(EtAc)にて希釈し、固形分濃度30%に調整し、重量平均分子量30万のアクリル系ポリマー13を得た。
〔製造例14〕
攪拌機、環流冷却器、温度計および窒素導入管を備えた反応装置に、メトキシエチルアクリレート(MEA)60重量部、ブチルアクリレート(BA)34重量部、2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-HEA)4重量部、アクリルアミド(AM) 2重量部および酢酸エチル(EtAc)120重量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら70℃に昇温した。
【0095】
次いで、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.2重量部を加え、窒素雰囲気下、70℃で5時間重合反応を行った。
反応終了後、酢酸エチル(EtAc)にて希釈し、固形分濃度30%に調整し、重量平均分子量50万のアクリル系ポリマー14を得た。
〔製造例15〕
攪拌機、環流冷却器、温度計および窒素導入管を備えた反応装置に、ブチルアクリレート(BA)63重量部、メチルアクリレート(MA) 31重量部、2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-HEA)4重量部、アクリルアミド(AM) 2重量部および酢酸エチル(EtAc)105重量部、メチルエチルケトン(MEK)15重量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら70℃に昇温した。
【0096】
次いで、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.2重量部を加え、窒素雰囲気下、70℃で5時間重合反応を行った。
反応終了後、酢酸エチル(EtAc)にて希釈し、固形分濃度30%に調整し、重量平均分子量36万のアクリル系ポリマー15を得た。
〔製造例16〕
攪拌機、環流冷却器、温度計および窒素導入管を備えた反応装置に、メトキシエチルアクリレート(MEA)60重量部、ブチルアクリレート(BA)34重量部、2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-HEA)4重量部、アクリルアミド(AM) 2重量部およびメチルエチルケトン(MEK)180重量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら70℃に昇温した。
【0097】
次いで、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.2重量部を加え、窒素雰囲気下、70℃で5時間重合反応を行った。
反応終了後、酢酸エチル(EtAc)にて希釈し、固形分濃度30%に調整し、重量平均分子量3万のアクリル系ポリマー16を得た。
[製造例18 低分子量体の製造]
攪拌機、環流冷却器、温度計および窒素導入管を備えた反応装置に、メチルメタクリレート(MMA)95重量部、ジメチルアミノエチルアクリレート(DMAEA)5重量部およびトルエン150重量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら85℃に昇温した。
【0098】
次いで、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.2重量部を加え、窒素雰囲気下、70℃で5時間重合反応を行った。
反応終了後、酢酸エチル(EtAc)にて希釈し、固形分濃度30%に調整し、重量平均分子量1万の低分子量体を得た。
[実施例1]
製造例1で得たアクリル系ポリマー1 100重量部に対して、架橋剤としてトリメチロールプロパンアダクト型のヘキサメチレンジイソシアネート 0.3重量部を混合し、粘着剤組成物を得た。
【0099】
得られた粘着剤組成物を、剥離処理されたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に、乾燥後の厚みが50μmになるように塗工し、80℃で2分間乾燥させ溶剤を除去して粘着剤層を形成した。粘着剤層のPETフィルムと接している面に対する表面に、剥離処理されたPETフィルムを貼り合わせ、23℃、65%環境下で7日間エージングを行い、粘着シートを得た。
【0100】
[実施例2]
アクリル系ポリマー1 100重量部の代わりにアクリル系ポリマー2 100重量部を用いた以外は、実施例1と同様にして粘着シートを得た。
[実施例3]
アクリル系ポリマー1 100重量部の代わりにアクリル系ポリマー3 100重量部を用いた以外は、実施例1と同様にして粘着シートを得た。
【0101】
[実施例4]
アクリル系ポリマー1 100重量部の代わりにアクリル系ポリマー4 100重量部を用いた以外は、実施例1と同様にして粘着シートを得た。
[実施例5]
架橋剤としてトリメチロールプロパンアダクト型のヘキサメチレンジイソシアネート 0.3重量部の代わりにヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート 0.3重量部を用いた以外は、実施例1と同様にして粘着シートを得た。
【0102】
[実施例6]
架橋剤としてトリメチロールプロパンアダクト型のヘキサメチレンジイソシアネート 0.3重量部の代わりにビウレット型のヘキサメチレンジイソシアネート 0.3重量部を用いた以外は、実施例1と同様にして粘着シートを得た。
[実施例7]
アクリル系ポリマー1の代わりにアクリル系ポリマー5を用いた以外は、実施例1と同様にして粘着シートを得た。
【0103】
[実施例8]
製造例6で得たアクリル系ポリマー6 100重量部に対して、製造例18で得た低分子量体 5重量部、架橋剤としてトリメチロールプロパンアダクト型のヘキサメチレンジイソシアネート 0.3重量部を混合して得た粘着剤組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして粘着シートを得た。
【0104】
[実施例9]
アクリル系ポリマー1の代わりにアクリル系ポリマー7を用いた以外は、実施例1と同様にして粘着シートを得た。
[実施例10]
アクリル系ポリマー1の代わりにアクリル系ポリマー8を用いた以外は、実施例1と同様にして粘着シートを得た。
【0105】
[実施例11]
アクリル系ポリマー1の代わりにアクリル系ポリマー9を用いた以外は、実施例1と同様にして粘着シートを得た。
[実施例12]
アクリル系ポリマー1の代わりにアクリル系ポリマー10を用い、アクリル系ポリマー10 100重量部に対して、架橋剤としてのトリメチロールプロパンアダクト型のヘキサメチレンジイソシアネートの量を1重量部に変更した以外は、実施例1と同様にして粘着シートを得た。
【0106】
[実施例13]
アクリル系ポリマー1の代わりにアクリル系ポリマー11を用い、アクリル系ポリマー11 100重量部に対して、架橋剤としてのトリメチロールプロパンアダクト型のヘキサメチレンジイソシアネートの量を0.5重量部に変更した以外は、実施例1と同様にして粘着シートを得た。
【0107】
[実施例14]
アクリル系ポリマー1の代わりにアクリル系ポリマー12を用い、アクリル系ポリマー12 100重量部に対して、架橋剤としてのトリメチロールプロパンアダクト型のヘキサメチレンジイソシアネートの量を0.1重量部に変更した以外は、実施例1と同様にして粘着シートを得た。
【0108】
[比較例1]
アクリル系ポリマー1 100重量部に対して、架橋剤としてアダクト型のヘキサメチレンジイソシアネート 0.3重量部の代わりにトリメチロールプロパンアダクト型のキシリレンジイソシアネート 0.4重量部を混合して得た粘着剤組成物を得た以外は、実施例1と同様にして粘着シートを得た。
【0109】
[比較例2]
アクリル系ポリマー1 100重量部に対して、架橋剤としてトリメチロールプロパンアダクト型のヘキサメチレンジイソシアネート 0.3重量部の代わりにビウレット型のキシリレンジイソシアネート 0.3重量部を混合して得た粘着剤組成物を得た以外は、実施例1と同様にして粘着シートを得た。
【0110】
[比較例3]
アクリル系ポリマー1 100重量部に対して、架橋剤としてトリメチロールプロパンアダクト型のヘキサメチレンジイソシアネート 0.3重量部の代わりにトリメチロールプロパンアダクト型のトリレンジイソシアネート 0.3重量部を混合して得た粘着剤組成物を得た以外は、実施例1と同様にして粘着シートを得た。
【0111】
[比較例4]
アクリル系ポリマー1 100重量部に対して、架橋剤としてトリメチロールプロパンアダクト型のヘキサメチレンジイソシアネート 0.3重量部の代わりにトリメチロールプロパンアダクト型のイソホルニルジイソシアネート 0.3重量部を混合して得た粘着剤組成物を得た以外は、実施例1と同様にして粘着シートを得た。
【0112】
[比較例5]
アクリル系ポリマー1の代わりにアクリル系ポリマー13を用いた以外は、実施例1と同様にして粘着シートを得た。
[比較例6]
アクリル系ポリマー1の代わりにアクリル系ポリマー5を用い、アクリル系ポリマー14 100重量部に対して、架橋剤としてトリメチロールプロパンアダクト型のヘキサメチレンジイソシアネート 0.3重量部の代わりにトリメチロールプロパンアダクト型のキシリレンジイソシアネート 0.3重量部を混合して得た粘着剤組成物を得た以外は、実施例1と同様にして粘着シートを得た。
【0113】
[比較例7]
アクリル系ポリマー1の代わりにアクリル系ポリマー14を用いた以外は、実施例1と同様にして粘着シートを得た。
[比較例8]
アクリル系ポリマー1 100重量部に対して、架橋剤としてのトリメチロールプロパンアダクト型のヘキサメチレンジイソシアネートの量を0.05重量部に変更した以外は、実施例1と同様にして粘着シートを得た。
【0114】
[比較例9]
アクリル系ポリマー1 100重量部に対して、架橋剤としてのトリメチロールプロパンアダクト型のヘキサメチレンジイソシアネートの量を10重量部に変更した以外は、実施例1と同様にして粘着シートを得た。
[比較例10]
アクリル系ポリマー1の代わりにアクリル系ポリマー15を用いた以外は、実施例1と同様にして粘着シートを得た。
[比較例11]
アクリル系ポリマー1の代わりにアクリル系ポリマー16を用いた以外は、実施例1と同様にして粘着シートを得た。
【0115】
【表1】

【0116】
【表2】

表中の略号は、以下の通りである。
MEA:メトキシエチルアクリレート
ECA:メトキシジエチレングリコールアクリレート
BA:ブチルアクリレート
2EHA:2-エチルヘキシルアクリレート
MA:メチルアクリレート
2-HEA:2-ヒドロキシエチルアクリレート
AM:アクリルアミド
DMAEA:ジメチルアミノエチルアクリレート
n-VP:n-ビニルピロリドン
ACMO:アクリロイルモルホリン
AA:アクリル酸
HDI:ヘキサメチレンジイソシアネート
XDI:キシリレンジイソシアネート
TDI:トリレンジイソシアネート
IPDI:イソホルニルジイソシアネート
【符号の説明】
【0117】
10-1・・・抵抗膜方式のタッチパネルユニット
10-2・・・静電容量方式のタッチパネルユニット
11-1・・・上部積層体
13-1・・・下部積層体
15-1・・・上部積層体
15-2・・・下部積層体
21-1・・・表面支持体
21-2・・・深部の表面支持体
23-1・・・粘着剤層
23-2・・・粘着剤層
25-1・・・上部電極支持体
25-2・・・下部電極支持体
27-1・・・透明導電膜
27-2・・・透明導電膜
30・・・貼り合わせ剤
32・・・スペーサー
34・・・間隙
51-1・・・表面支持体
51-2・・・表面支持体
53-1・・・粘着剤層
57-1・・・透明導電膜
57-2・・・透明導電膜
60・・・中央支持体
62・・・額縁印刷部分
64・・・空隙
66・・・気泡
68・・・泡

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次に示す成分(a-1)および(a-2)
(a-1)アルコキシ(メタ)アクリレート 20〜99.9重量%
(a-2)架橋性官能基を有するモノマー 0.1〜10重量%
を含むモノマー(全モノマーを100重量%とする)を共重合させて得られる酸性基を実質的に有しない重量平均分子量が5万以上40万未満であるアクリル系ポリマー(A)と、該アクリル系ポリマー(A)100重量部に対して、脂肪族イソシアネート系架橋剤(B)0.1〜5重量部とを含有することを特徴とする粘着剤。
【請求項2】
上記脂肪族イソシアネート系架橋剤(B)が、1分子内に三個以上のイソシアネート基を有することを特徴とする請求項1に記載の粘着剤。
【請求項3】
上記アクリル系ポリマー(A)を形成する(a-2)架橋性官能基を有するモノマーが、水酸基含有モノマーであることを特徴とする請求項1または2に記載の粘着剤。
【請求項4】
上記アクリル系ポリマー(A)が、さらに(a-3)窒素含有モノマー5重量%以下を含むモノマーを共重合させて得られることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の粘着剤。
【請求項5】
上記(a-3)窒素含有モノマーが、アミノ基含有モノマー、アミド基含有モノマー、窒素系複素環含有モノマー、シアノ基含有モノマーよりなる群から選ばれる少なくとも1種類であることを特徴とする請求項4に記載の粘着剤。
【請求項6】
上記粘着剤が、金属あるいは金属酸化物と直接接触する静電容量方式のタッチパネル用の粘着剤であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の粘着剤。
【請求項7】
上記粘着剤が、タッチパネルの表面支持体上のハードコート層と直接接触する静電容量方式のタッチパネル用の粘着剤であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の粘着剤。
【請求項8】
上記ハードコート層がシリコーン系であることを特徴とする請求項7に記載の粘着剤。
【請求項9】
次に示す成分(a-1)および(a-2)
(a-1)アルコキシ(メタ)アクリレート 20〜99.9重量%
(a-2)架橋性官能基を有するモノマー 0.1〜10重量%
を含むモノマー(全モノマーを100重量%とする)を共重合させて得られる酸性基を実質的に有しない重量平均分子量が5万以上40万未満であるアクリル系ポリマー(A)と、該アクリル系ポリマー(A)100重量部に対して、脂肪族イソシアネート系架橋剤(B)0.1〜5重量部とを含有する粘着剤から形成され、
ゲル分率が40〜80重量%で、厚さが10〜1000μmの範囲内にある粘着剤層を有することを特徴とする粘着シート。
【請求項10】
上記脂肪族イソシアネート系架橋剤(B)が、1分子内に三個以上のイソシアネート基を有することを特徴とする請求項9に記載の粘着シート。
【請求項11】
上記アクリル系ポリマー(A)を形成する(a-2)架橋性官能基を有するモノマーが、水酸基含有モノマーであることを特徴とする請求項9または10に記載の粘着シート。
【請求項12】
上記アクリル系ポリマー(A)が、さらに(a-3)窒素含有モノマー5重量%以下を含むモノマーを共重合させて得られることを特徴とする請求項9〜11のいずれか一項に記載の粘着シート。
【請求項13】
上記(a-3)窒素含有モノマーが、アミノ基含有モノマー、アミド基含有モノマー、窒素系複素環含有モノマー、シアノ基含有モノマーよりなる群から選ばれる少なくとも1種類であることを特徴とする請求項12に記載の粘着シート。
【請求項14】
上記粘着シートを形成する粘着剤が、金属あるいは金属酸化物と直接接触する静電容量方式のタッチパネル用の粘着剤であることを特徴とする請求項9〜13のいずれか一項に記載の粘着シート。
【請求項15】
上記粘着シートを形成する粘着剤が、タッチパネルの表面支持体上のハードコート層と直接接触する静電容量方式のタッチパネル用の粘着剤であることを特徴とする請求項9〜14のいずれか一項に記載の粘着シート。
【請求項16】
上記ハードコート層がシリコーン系であることを特徴とする請求項15に記載の粘着シート。
【請求項17】
上記粘着シートの少なくとも一方の表面に、剥離処理を施したカバーフィルムが配置されていることを特徴とする請求項9〜16のいずれか一項に記載の粘着シート。
【請求項18】
次に示す成分(a-1)および(a-2)
(a-1)アルコキシ(メタ)アクリレート 20〜99.9重量%
(a-2)架橋性官能基を有するモノマー 0.1〜10重量%
を含むモノマー(全モノマーを100重量%とする)を共重合させて得られる酸性基を実質的に有しない重量平均分子量が5万以上40万未満であるアクリル系ポリマー(A)と、該アクリル系ポリマー(A)100重量部に対して、脂肪族イソシアネート系架橋剤(B)0.1〜5重量部とを含有する粘着剤から形成され、
ゲル分率が40〜80重量%で、厚さが10〜1000μmの範囲内にある粘着剤層を有することを特徴とする粘着シートの一方の面に、該粘着シートと対面する面の縁部に額縁印刷された表面支持体が貼着されており、該粘着シートの他方の面に金属あるいは金属酸化物または電極支持体付き金属あるいは金属酸化物からなる透明導電膜が貼着されていることを特徴とするタッチパネル用積層体。
【請求項19】
上記タッチパネル用積層体が、静電容量方式タッチパネルを形成する部材であることを特徴とする請求項18に記載のタッチパネル用積層体。
【請求項20】
上記額縁印刷の厚さが、10〜50μmの範囲内にあることを特徴とする請求項18または19に記載のタッチパネル用積層体。
【請求項21】
上記透明導電膜が、ITO、ATO、又は、酸化錫を用いた配線パターンであり、該配線パターンに上記粘着シートが直接接触していることを特徴とする請求項18〜20のいずれか一項に記載のタッチパネル用積層体。
【請求項22】
上記表面支持体の厚さが25〜2000μmの範囲内にあることを特徴とする請求項18〜21のいずれか一項に記載のタッチパネル用積層体。
【請求項23】
上記透明導電膜の厚さが10〜100nmの範囲内にあることを特徴とする請求項18〜22のいずれか一項記載のタッチパネル用積層体。
【請求項24】
上記脂肪族イソシアネート系架橋剤(B)が、1分子内に三個以上のイソシアネート基を有することを特徴とする請求項18〜23のいずれか一項に記載のタッチパネル用積層体。
【請求項25】
上記アクリル系ポリマー(A)を形成する(a-2)架橋性官能基を有するモノマーが、水酸基含有モノマーであることを特徴とする請求項18〜24のいずれか一項記載のタッチパネル用積層体。
【請求項26】
上記アクリル系ポリマー(A)が、さらに(a-3)窒素含有モノマー5重量%以下を含むモノマーを共重合させて得られることを特徴とする請求項18〜25のいずれか一項に記載のタッチパネル用積層体。
【請求項27】
上記(a-3)窒素含有モノマーが、アミノ基含有モノマー、アミド基含有モノマー、窒素系複素環含有モノマー、シアノ基含有モノマーよりなる群から選ばれる少なくとも1種類であることを特徴とする請求項26に記載のタッチパネル用積層体。
【請求項28】
上記粘着シートが、タッチパネルの表面支持体上のハードコート層と直接接触することを特徴とする請求項18〜27のいずれか一項に記載のタッチパネル用積層体。
【請求項29】
上記ハードコート層がシリコーン系であることを特徴とする請求項28に記載のタッチパネル用積層体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−18892(P2013−18892A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−154182(P2011−154182)
【出願日】平成23年7月12日(2011.7.12)
【出願人】(000202350)綜研化学株式会社 (135)
【Fターム(参考)】