説明

紙葉類繰出し装置

【課題】
紙葉類繰出しにおいて、紙葉類の破損、異物の混入による機器破損を防止することができる紙葉類繰出し装置を提供することにある。
【解決手段】
押圧板11が入出金口1に投入された紙葉類を厚さ方向に押圧し、ピックローラ13が押圧された紙葉類を分離して繰出し、異物検知センサ17が正常な繰出しであるか否かを検知し、制御部30が、検知結果に基づいて、正常な繰出しではない場合の紙葉類の繰出し搬送と、前記検知結果が正常な繰出しである場合の紙葉類の繰出し搬送とを、異なる制御で行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、金融機関のATM(Automated Teller Machine)に搭載されている紙幣入出金機に適用されるような紙葉類繰出し装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、紙幣等の紙葉類をATM内部に収納する場合、投入口に設けた繰出し制御機構を用いて投入された紙葉類を1枚ずつATM内部に繰出し搬送して収納する。
【0003】
通常、投入口に投入される紙葉類は、例えば分離可能な紙幣のように、繰出し部で1枚分離されて繰り出されて搬送されるが、投入される紙葉類によっては正常に繰り出されない、もしくは繰り出されても正常に搬送されない異常媒体が投入されることがある。
【0004】
異常媒体の例としては、硬貨や通帳などの紙葉類とは全く異なるもの、帯封された紙葉類束、レシート、または破損のひどい紙幣など通常の紙幣とは全く異なる形状の紙葉類があげられる。
【0005】
繰出し制御の中には、投入された紙葉類が異常媒体であると検出した時には、これを顧客に返却するようにしている。
【0006】
例えば、金融機関のATMの場合、顧客が異常媒体を投入した場合、繰出し制御機構により、異常媒体を検出し、顧客に紙葉類を返却し、紙葉類を確認したうえで再投入するように促すガイダンスを実施し、取引を続行するようにしている。
【0007】
この、異常媒体の検出方法には、異常媒体の捕らえ方によってさまざまな方法が開示されている。
【0008】
一般に大きな異常媒体(異物)が投入されているような場合は図3のように繰り出しを開始したときに異常媒体が分離される1枚の紙幣が通過する箇所を通過できずにフィードローラ14、ゲートローラ15ごと下に下がり、異物検知センサ16で検知して異物と判断して繰出し動作を停止し、これ以上紙葉類がでないようにするものが開示されている。
【0009】
また、異物が投入されている場合、本機構により、異物の繰出しに時間がかかることから異物検知センサ16が遮光しなくても「空出し」と判断し繰出し動作を停止し、これ以上紙葉類がでないようにするものが開示されている。
【0010】
公知文献としては、繰出し時に異常媒体を検出する方式が提案されている(特許文献1参照)。この方式は繰出し直後垂直方向に複数個に配置されたセンサにて姿勢変化大(傾斜が著しく大きい)や変形(紙葉類の折り重なりの大きいものや、破れていたりして正常の紙葉類寸法とは大きく異なる状態)を検出し、異常を検出した際には繰出しモータを停止して逆転した後に返却する仕組みが開示されている。
【0011】
他の公知文献としては、繰出し機構内に検知コイルを内蔵して、検知コイルの検出値により金属の有無を検知し、金属を検知した際には繰出しを実施せずに紙葉類を返却する仕組みが開示されている(特許文献2参照)。
【0012】
【特許文献1】特開平8-194859号公報
【特許文献2】特許第3199605号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
図3において、上記紙葉類が何らかの原因で分離不可な状態、例えば帯封された紙幣束等がフィードローラ14とゲートローラ15を通過しない程度に充分大きければ紙葉類が分離されることなく繰出しが終了する。
【0014】
しかし、海外で入金取引に慣れていない地域では、紙葉類10枚をホッチキスやクリップ、輪ゴムでとめたような、繰出し機構が分離できない紙葉類束であって、上記フィードローラ14とゲートローラ15の隙間に近い厚みの紙葉類束を投入する人が多い。このような場合、異物検知センサ16が遮光したタイミングで繰出しモータ12を停止しても、紙葉類束がフィードローラ14、ゲートローラ15の間および、繰出しセンサ17を強引に通過し、搬送モータ駆動に引っ張られる。この際にホッチキスや輪ゴムでとめられた紙葉類束は紙葉類が破損してばらけてしまい、またクリップでとめられた紙葉類束はクリップが分離し、搬送路内に混入してしまい、機器破損の一因となる。これは異物検知センサ16が遮光したタイミングで繰出しモータ12を停止しても停止タイミングが遅くすでに紙葉類束がばらけてしまうためである(図4参照)。
【0015】
このような場合には、例えばバネ18のバネ圧を弱くするか、または「空出し」と判断する所定時間を通常よりも短くすることにより異物検知センサ16の遮光タイミングを早くし紙葉類束を繰出さないようにすることが可能だが、これだと通常取り扱われる分離可能な紙葉類束を投入された際にも検知が働いてしまい、繰出し機構としての機能を果たさないという課題が生じる。
【0016】
また、前述したように繰出し機構内に金属の有無を検知する機構を要し、金属を検知した際には繰出しを実施せずに紙葉類を返却する方法があるが、これだと(1)金属を検知する機能を持った構成を実施するのは大幅なコストアップにつながる、(2)金属で束ねられた場合は有効だが輪ゴムなどの非金属で束ねられた場合には対応できない、という問題がある。
【0017】
また特許文献1においても、紙葉類束がばらけた結果としての姿勢変化大や変形を検出できるが、ばらけた後では繰出しを停止して紙葉類を返却するにはタイミングが遅く、また厚みによる紙葉類束を検出することにより繰出しを停止することもできないという課題が生じる。
【0018】
本発明の目的は、ホッチキスやクリップ、輪ゴムでとめられた紙葉類束が投入される際には紙葉類束のみであることが多いことに着目し、装置内部に搬送する前に事前に上述したような紙葉類束を検知し、装置内部に搬送しないようにする紙葉類繰出し装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記目的を達成するために本発明は、押圧手段が紙葉類を厚さ方向に押圧し、分離手段が押圧された紙葉類を分離して繰出し、第1の検知手段が正常な繰出しであるか否かを検知し、制御手段が、正常な繰出しである場合の紙葉類の繰出し制御と、正常な繰出しではない場合の紙葉類の繰出し制御とを、異なる制御とする構成を採用した。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、繰出し対象の紙葉類の形態に応じて、紙葉類をスムーズに繰出すことができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に、本発明の一実施形態を説明する。本実施形態は例えば、金融機関等のATM(Automated Teller Machine)のような自動取引装置の内部に搭載される紙幣入出金機に関する。
【0022】
図1は紙幣入出金機の内部構造を側面から示した図である。図1に示すように、紙幣入出金機は、入出金口1、識別部2、一時保留部3、返却保留部4、リジェクトボックス5、カセットA〜D(6〜9)と、これらの間で紙幣搬送を行う搬送路10から構成されている。
【0023】
また、入金、出金取引の紙幣制御は以下の通りである。
【0024】
入金取引時には、入出金口1に投入された紙幣を、紙幣入出金機は上部中間位置に配置した識別部2に搬送し、紙幣の真偽、金種、枚数、破れ、汚れなどを識別した後、一時保留部3に搬送され一時保留する。この取込み時に識別不良と判定した紙幣は、返却保留部4に一時保留し、後に入出金口1に返却する。
【0025】
一時保留部3は、入金取引毎に入金紙幣をここで一時保留し、入金確定後に一時保留した紙幣を識別部2に搬送し、紙葉類の金種、枚数、破れ、汚れなどと識別した後、下方の6〜9のカセットA〜Dに分配収納する。この時に識別不良と判定した紙幣は、リジェクトボックス5に収納する。
【0026】
一方、出金取引時には、6〜9のカセットA〜Dから繰出した出金紙幣を、識別部2で金種、枚数、破れ、汚れなどを確認して入出金口1へと放出する。この時に識別不良と判定した紙幣は、リジェクトボックス5に収納する。
【0027】
本実施形態において、紙葉類繰出し装置は紙幣入出金機の入出金口1に実装され、ATMなどの自動機では、入金取引時において顧客が入金する紙幣を、入出金口1から装置内部への取り込む時に機能するものである。
【0028】
図2は入出金口1に設けた繰出し制御機構の構成図である。押圧板11が紙葉類に押圧をかけた状態で繰出しモータ12を正方向に回転させることにより、ピックローラ13とフィードローラ14に駆動が伝わり、紙幣が紙幣束から1枚分離し、フィードローラ14とゲートローラ15の間を通り、繰出し方向に対して垂直に複数個配置された繰出しセンサ17に到着する。繰出しセンサ17に到着した後、一定量の駆動後に繰出しモータ2の回転を停止する。このタイミングで紙幣の先端は繰出しセンサ17を通過し搬送モータ駆動の範囲に到達するため、以降は搬送モータ駆動により搬送される。紙幣の後端が繰出しセンサ17を通過して一定量駆動するまでが、紙幣1枚分の繰出し処理の制御内容である。以降、同様に入出金口1に投入された全ての紙幣がなくなるまで1枚ずつ繰出処理を実施する。
【0029】
この繰出し機構で図3において、例えば100枚程度の紙幣が帯封や輪ゴムなどで束ねられている場合(紙幣束)や大きい異物の場合、繰出しモータ12の駆動により、紙幣束が束ごと押し出されるが、その紙幣束はフィードローラ14とゲートローラ15の間を通れずにフィードローラ14、ゲートローラ15ごと下に下がり、異物検知センサ16が遮光する(異物検知センサ16を遮光するバーはバネ18にて本体と接続されており、ローラ類の自重程度では下がらないようになっている。)。異物検知センサ16が遮光した場合、異物検知と判断し、繰出しモータ12を停止しこれ以上紙幣を繰出さないようにしている。
【0030】
図3において、繰出しモータ12の駆動を始めてから所定時間の間に紙葉類の先端が繰出しセンサ17に到達しない場合は、「空出し」と判断し、繰出しを停止する。異物が投入されている場合は、異物の繰出しに時間がかかることから、異物検知センサ16が遮光しなくても「空出し」と判断し、繰出しモータ12を停止してこれ以上紙幣を繰出さないようにしている。
【0031】
また、投入される紙幣が10枚程度で、それらがホッチキスや輪ゴム、クリップなどで束ねられている場合、通常はフィードローラ14とゲートローラ15の間を無理に通り、紙幣がばらけて破損したり、ホッチキスやクリップ、輪ゴムなどが機器内部に混入し、機器破損につながるおそれがある。
【0032】
この場合は、紙幣束に対する繰出し制御動作(以降、束出し検知とする)で繰出すことにより、10枚程度でホッチキスや輪ゴム、クリップなどで束ねられている紙葉類を取り込まなくなる。
【0033】
この繰出し制御に関連するブロック図を図5に示す。図5において、制御部30は、制御全体を実施するためのCPU30−a、制御プログラムを格納するためのROM(プログラム)30−b、制御プログラムを実行するためのRAM30−cを含む。また、繰出し制御動作の運用を実施するかどうかの設定を記憶するためのROM(運用記憶用)31、繰出し制御を実施するための押圧板モータ32−aを含むIO(繰出し機構)32、本発明の繰出し制御動作の運用設定を行うための7セグメントLED33−a、ボタン33−bから成るIO(ユーザーI/F)33から構成されている。ROM(プログラム)30−b内には通常時の繰出し制御ロジックと監視値、および本発明の繰出し制御動作を実施する際の繰出し制御ロジックと監視値が格納されている。
【0034】
図6は、この繰出し制御の繰出し前の処理動作の制御フロー図を示す。電源投入による紙幣入出金機の起動時にROM(運用記憶用)31から運用情報を読込み(S1)、その結果により束出し検知が有効か無効かを記憶する(S2,S3)。
【0035】
この束出し検知が有効か無効かの設定は、海外で入金取引に不慣れな人が多い地域で、紙幣10枚程度をホッチキスやクリップ、輪ゴムで留めたような、分離できない紙幣束が投入されることが多いことに着目して、国または地域ごとに設定を変更することを想定しているが、紙幣入出金機の障害、入金時の受付されない紙幣が多いときに、紙幣入出金機で運用設定を自動的に切り替える構成としても良く、また紙幣入出金機に制御の指示をする上位端末からの指示で、地域ごと、営業時間ごと、取引ごと、などで運用設定を切り替える構成でも良い。
【0036】
図7は、束出し検知における繰出し制御の繰出し時の処理動作のフロー図を示す。搬送路モータが起動した後、押圧板11を動かしている押圧板モータ32−aを、紙葉類をはさむ方向に回転させる(S11)。この後、束出し検知が有効ならば(S12:Yes)、繰出しセンサ17に紙幣が到達しなかったと判断するための所要時間である「空出し監視値」を2枚目以降の値より少なくする(S13)。図7の例では、空出し監視値を「100ms」に設定する。また押圧板11を回している押圧板モータ32−aを停止する(S14)。これにより、1枚目の繰出し時に押圧板11を動かしている押圧板モータ32−aを停止させ押圧力を無効にする。
【0037】
次に、繰出しモータ12を紙葉類が繰出される方向(正方向)に回転させるとともに空出しの監視を始める(S15)。この後、異物検知センサ16が遮光するか(S16)、空出し監視が所定時間に達するか(S17)、及び紙幣が繰出しセンサ17に達するか(S19)、を周期的に監視する。束検知が有効で1枚目の繰出しの場合は、繰出しセンサ17の空出し監視の所要時間が2枚目以降よりも短い値、例えば、図7の(S13)で100msに設定する。異物検知センサ16が遮光した場合は(S16:Yes)、繰出しモータ12を停止し(S18)、処理を終了する。また空出し監視の所定時間をオーバーした場合は(S17:Yes)、繰出しモータ12を停止し(S18)、処理を終了する。紙幣が繰出しセンサ17に達した場合は(S19:Yes)、一定時間後に繰出しモータ12を停止し(S20)、紙幣が通過し一定時間経過するのを待った後(S21)、次の繰出し紙幣があるか確認する(S22)。次の繰出しが不要の場合は(S22:Yes)、繰出しを終了し、次の必要な場合(S22:No)で、束出し検知が有効な場合は(S23:Yes)、押圧板11を動かしている押圧板モータ32−aを、紙葉類をはさむ方向に回転させ(S24)、空出し監視値を2枚目以降の値(図7の例では350ms)に設定する(S25)。つまり、2枚目以降の繰出しの制御として押圧をかけ、空出し監視値を元に戻す。その後に繰出しモータ12を正方向に回転させ、2枚目以降の繰出しを実施する。
【0038】
このようにして1枚目の繰出しの制御を分離できない紙幣束を繰出さないようにし、2枚目以降の繰出しの制御と異なるようにしている。
【0039】
上記の制御により、1枚目の繰出しに関して繰出し部への押圧を停止して、繰出し力を弱くする制御を行い、さらに、異物検知センサ16で1枚目の紙幣の空出し判定値(繰出しセンサに到達しないことを判断して繰出しを停止するタイミング)を2枚目以降に比べて短くする制御により、異常を検知した時に即座に搬送駆動を停止することが可能となり、以降の紙幣束の繰出しを防止することができる。例えば、海外で頻繁に存在する10枚程度の紙葉類をホッチキスやクリップ、輪ゴムで留めた分離できない紙幣束が破れることを防止したり、あるいは繰出し部で紙幣束がバラバラになり紙幣が破損することを防止したり、紙幣束を束ねるクリップなどの異物が機器内部への混入することによる機器破損を防止したりすることが可能となる。
【0040】
上記の紙葉類繰出し装置がATMに適用されるとき、顧客は誤って紙葉類束を入出金口1に投入した場合も、紙葉類破損、異物の機器内部への混入を起こすことなく、繰出しを停止する。ATMではこの後、顧客に紙葉類の確認・再投入を促すガイダンスを例えばATMに設置された図8のような画面または音声で実施することにより、顧客が紙葉類の確認をして、正常な紙幣が投入されることが期待できる。また、この表示により、入出金口1に紙幣束を投入してはいけないことを顧客が認識できるという効果がある。
【0041】
本実施形態では、紙幣の「空出し監視」のための所定時間の変更や、押圧の押圧力の変更による紙幣束検知を行っているが、これら以外にも、1枚目の繰出し時の繰出しモータ12の回転速度を下げる構成にして、繰出しモータが即時に停止できるようにしてもよく、また1枚目の繰出し時の繰出しセンサ17での姿勢変化大や変形の検出方法を2枚目以降よりも厳しく設定する構成にして、1枚目の紙幣の異常媒体の検知精度を高めるようにしてもよい。
【0042】
また、媒体については分離できない10枚程度の紙幣束を想定しているが、同等の厚さを持つものでもよく、1枚目の繰出しの監視時間や、押圧の加減を変更することにより異なる厚さの媒体検知として使用してもよい。
【0043】
本実施形態のように、1枚目の繰出しに関して繰出し部への押圧を停止して、繰出し力を弱くするよう制御したり、異物検知センサ16で1枚目の紙幣の空出し判定値(繰出しセンサに到達しないことを判断して繰出しを停止するタイミング)を2枚目以降に比べて短くするよう制御したりすることで、異常を検知した場合に即座に搬送駆動を停止することが可能となり、以降の紙幣束の繰出しを防止することができるので、例えば海外で頻繁に存在する10枚程度の紙幣束をホッチキスやクリップ、輪ゴムで留めた分離できない紙幣束が破れることを防止したり、繰出し部で紙幣束がバラバラになって紙幣が破損したり、紙幣束を留めるクリップなどの異物が装置内部へ混入することによる装置破損を防止することが可能となる。
【0044】
また、国、地域などで紙幣束がよく投入される場合とそうでない場合があるため、束検知を実施するかどうかを切り替える仕組みをもつように構成したことにより、紙幣束がよく投入される場合には、束検知を実施して紙幣束を返却しやすいようにし、紙幣束が投入されることがない場合には通常の繰出しを実施することが可能となる。
【0045】
本実施形態の他の適用例として、以下がある。
【0046】
積層された紙葉類を厚み方向に押圧する押圧手段と、前記押圧された紙葉類を1枚毎に分離して次段へ繰出し搬送する1枚分離手段と、前記1枚分離手段により繰出される1枚の紙葉類が正常な紙葉類か否かを判定する判定手段と、から構成され、前記判定手段で正常であると判定された紙葉類を内部に収納する紙葉類収納装置において、前記紙葉類の1枚目の繰出し搬送制御を2枚目以降と異なる手段を設けることにより紙葉類破損と紙葉類束を束ねるクリップやホッチキスの芯などの異物の混入による機器破損を防止することを特徴とするように構成する。
【0047】
一つには1枚目の繰出し時の押圧板1の押圧力が2枚目以降の繰出し時の押圧力より弱くし、押圧力が弱くなることにより、繰出し時の紙葉類の1枚分離を実施する力が落ち、繰出しスピードが落ちて、繰出し停止を実施したときに即座に実施できる効果と、押圧力が弱くなることにより、ホッチキスやクリップ、輪ゴムで束ねられた紙葉類束は分離されにくくなり、束で繰出されることにより、異物検知センサ16で検知しやすくなる。このことにより分離できない紙葉類束を検出したときに繰出しを早く停止できるようにして、紙葉類束を繰出さないように構成したことにある。
【0048】
さらに、1枚目の繰出し時の媒体が所定時間内に繰出しセンサに到達しないことを検出した時に繰出しの停止をする所定時間が2枚目以降の所定時間より短くし、所要時間が短くなることにより紙葉類束を検出した際には繰出しを早く停止できるようになり、紙葉類束を繰出さないように構成したことにある。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】紙幣入出金機の構成図
【図2】繰出し制御機構の構成図
【図3】異物検知時の繰出し制御説明図
【図4】紙幣束投入時(10枚程度)の繰出し制御説明図
【図5】繰出し制御機構の内部ブロック図
【図6】起動時の制御フロー図
【図7】繰出し制御フロー図
【図8】ガイダンス図
【符号の説明】
【0050】
1:入出金口、2:識別部、3:一時保留部、4:返却保留部、5:リジェクトボックス、6:カセットA、7:カセットB、8:カセットC、9:カセットD、10:搬送路、11:押圧板、12:繰出しモータ、13:ピックローラ、14:フィードローラ、15:ゲートローラ、16:異物検知センサ、17:繰出しセンサ、18:バネ、30:制御部、31:ROM(運用記憶用)、32:IO(繰出し機構)、33:IO(ユーザーI/F)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙葉類を繰出して収納する紙葉類繰出し装置において、
繰出し対象の紙葉類を厚さ方向に押圧する押圧手段と、
該押圧手段によって押圧された紙葉類を分離して繰出す分離手段と、
該分離手段による紙葉類の繰出しが正常な繰出しであるか否かを検知する第1の検知手段と、
前記第1の検知手段による検知結果が正常な繰出しではない場合の紙葉類の繰出し搬送と、前記検知結果が正常な繰出しである場合の紙葉類の繰出し搬送とを、異なる繰出し制御とする制御手段を備えることを特徴とする紙葉類繰出し装置。
【請求項2】
請求項1記載の紙葉類繰出し装置において、
前記制御手段は、繰出し搬送制御において、前記第1の検知手段による検知結果が正常な繰出しではない場合の紙葉類の繰出し搬送における前記押圧手段による紙葉類への押圧力を、前記検知結果が正常な繰出しである場合の紙葉類の繰出し搬送における前記押圧手段による紙葉類への押圧力よりも低くする制御を行うことを特徴とする紙葉類収納装置。
【請求項3】
請求項1記載の紙葉類繰出し装置において、
前記前記分離手段によって繰出された紙葉類を検知する第2の検知手段を備え、
前記制御手段は、前記分離手段によって繰出された紙葉類が前記第2の検知手段に到達するまでの到達時間を計測し、
前記制御手段は、紙葉類の繰出し時における到達時間が所定値よりも大きい場合、前記繰出し搬送を停止する制御を行うことを特徴とする紙葉類繰出し装置。
【請求項4】
請求項3記載の紙葉類繰出し装置において、
前記第1の検知手段による検知結果が正常な繰出しではない場合に、前記分離手段によって繰出される紙葉類の繰出し時に対する所定値が、
前記第1の検知手段による検知結果が正常な繰出しである場合に、前記分離手段によって繰出される紙葉類の繰出し時に対する所定値よりも小さいことを特徴とする紙葉類繰出し装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−210303(P2008−210303A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−48328(P2007−48328)
【出願日】平成19年2月28日(2007.2.28)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】