説明

紡機の糸切れ検出装置

【課題】糸継ぎ作業の邪魔にならず、保全作業性の良い紡機の糸切れ検出装置を提供する。
【解決手段】リングプレート11の上面にはトラベラ13を検知する検知部14aを備えたセンサ14がリングプレート11の後側に設けられている。センサ14の検知信号を処理して糸切れの有無を判断するCPU15を備えた制御基板16がリングプレート11の前側に設けられている。センサ14とCPU15とはリングプレート11の下面側に配置されたフレキシブル配線22,27や制御基板16及び信号伝達用基板17上の信号配線を介して電気的に接続されている。制御基板16及び信号伝達用基板17は、リングプレート11の前壁11bに固定されるとともにリングプレート11に沿って延びる収容部24aを備えた支持部材24に支持されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紡機の糸切れ検出装置に係り、詳しくはリング精紡機、リング撚糸機等の紡機においてトラベラの走行を検知して糸切れを検出する紡機の糸切れ検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、この種の糸切れ検出装置は、磁性材料製のリングプレート(リングレール)に固定されたリング上を走行する磁性材料製のトラベラが磁気回路を横切ることによる電磁誘導作用によりトラベラの走行を検知する検知部と、検知部の検知信号を処理して糸切れの有無を判断する判断装置とを備えている。
【0003】
従来、図7に示すように、断面形状がクランク状に形成されたリングプレート(リングレール)51の背面部51aに、リング52上を走行するトラベラ53の走行経路を挟んでリング52に対向する状態で検知部54aが配置されるように取り付けられた糸切れセンサ54が提案されている。(例えば、特許文献1参照。)。検知部54aは各錘毎に設けられ、各検知部54aの検知信号は背面部51aの裏面に固定された支持板55上に取り付けられた配線基板56を介して図示しない判断装置に送られるようになっている。検知部54aはフレキシブル配線57及びコネクタを介して配線基板56に接続されている。
【0004】
精紡機は、1台で数百錘以上を備えており、機台に設けられた主制御装置ですべての検知部54aの検知信号を処理して糸切れ検出を行う構成では、フレキシブル配線57の本数が多くなる。そこで、各リングプレート51に検知部54aの検知信号の処理を行うCPU及び信号線を備えた制御基板を設け、CPUで処理された信号を制御基板及び配線基板56を介して主制御装置に送る構成の糸切れ検出装置もある。
【特許文献1】特開平9−111556号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
糸切れセンサ54をリングプレート51に取り付ける場合、糸切れセンサ54が糸継ぎ作業の邪魔にならないように、糸切れセンサ54をリングプレート51の後ろ側に取り付ける必要がある。従来は、糸切れセンサ54の検知部54aと配線基板56あるいは制御基板とが近い位置になるように、配線基板56あるいは制御基板がリングプレート51の後側に設けられている。しかし、配線基板56あるいは制御基板をリングプレート51の後側に設けた場合は、配線基板56あるいは制御基板の保全作業の際、リングプレート51のすぐ後側にはニューマダクトの前壁が有って作業スペースがほとんど無いため、リングプレート51を取り外さないと作業が難しく、保全作業に手間がかかるという問題がある。
【0006】
本発明は、前記従来の問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、糸継ぎ作業の邪魔にならず、保全作業性の良い紡機の糸切れ検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、トラベラの走行を検知して糸切れを検出する紡機の糸切れ検出装置であって、前記トラベラを検知する検知部を備えたセンサがリングプレートの後側に設けられ、前記センサの検知信号を処理して糸切れの有無を判断する判断部を備えた制御基板がリングプレートの前側に設けられ、前記センサと前記制御基板とは前記リングプレートの下面側に配置された配線を介して電気的に接続されている。ここで、「リングプレートの後側」とは、リングの中心を通り、リングプレートの長手方向と平行に延びる仮想線より後側を意味する。
【0008】
この発明では、センサはリングプレートの後側に設けられているため、糸継ぎ作業の邪魔にならない。また、制御基板がリングプレートの前側に設けられているため、制御基板がリングプレートの後側に設けられた構成と異なり、センサ側の配線と、制御基板側の配線との接続、接続解除の作業が行い易く制御基板の取り換え作業が簡単になり、保全作業も行い易い。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記センサは前記トラベラに付着した繊維を引っ掻けて除去する掛止部を備えるとともに、前記リングプレートに形成されたトラベラクリアラ取り付け孔を利用して前記リングプレートに取り付けられている。この発明では、センサがトラベラクリアラ機能を備えるため、専用のトラベラクリアラを別に設ける必要がない。また、糸切れ検出装置を備えず、トラベラクリアラのみ備えた既存の紡機に糸切れ検出装置を取り付ける際、既存のトラベラクリアラを取り外して、トラベラクリアラ取り付け孔を利用してセンサをリングプレートに取り付けることができ、リングプレートに取り付け孔を後加工する手間が不要になる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記制御基板は、前記リングプレートの前壁に固定されるとともにリングプレートに沿って延びる収容部を備えた支持部材に支持され、前記支持部材は前記前壁の一方の面に当接可能な押圧部と、前記前壁を挟んで前記押圧部と対応するように設けられるとともにねじ孔を有する締結具取り付け部とを備え、前記ねじ孔に螺合される締結具と前記押圧部とにより前記前壁に締め付け固定されている。
【0011】
この発明では、制御基板を支持する支持部材が、締結具取り付け部のねじ孔に螺合される締結具と押圧部とにより、リングプレートの前壁に締め付け固定されるため、リングプレートに後加工を行わずに制御基板を取り付けることができ、糸切れ検出装置を既存の紡機に後付けで容易に取り付けることができる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の発明において、前記センサは、前記検知部を収容するケースが取り付け孔を貫通する取り付け具を介して前記リングプレートに取り付けられ、前記取り付け具には前記検知部に接続された配線をリングプレートの下方に導く導出経路が形成されている。この発明では、ケース内の検知部に接続された配線を、取り付け具に形成された導出経路からリングプレートの下方に導出することができる。したがって、リングプレートやケースに配線導出専用の孔を形成せずに、制御基板までの短い配線経路を確保することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、糸継ぎ作業の邪魔にならず、保全作業性の良い紡機の糸切れ検出装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明をリング精紡機の糸切れ検出装置に具体化した一実施形態を図1〜図3にしたがって説明する。
図1(a)に示すように、リングプレート11にはリング12が一定間隔で固定され、各リング12のリングフランジ12a上にはトラベラ13(図1(b),(d)に図示)が摺動可能に取り付けられている。なお、リングプレート11の前は図1(a)において下側、後は図1(a)おいて上側を意味する。糸切れ検出装置は、トラベラ13を検知するセンサ14と、センサ14の検知信号を処理して糸切れの有無を判断する判断部としてのCPU15(図1(c)にのみ図示)を備えた制御基板16とを備えている。この実施形態では1つのリングプレート11に24個のリング12が固定され、各リング12の後寄り、即ちリングプレート11の後側にセンサ14が1個ずつ設けられている。CPU15を備えた制御基板16はリングプレート11の前側に1個設けられ、CPU15は24個のセンサ14の検知信号を処理するようになっている。
【0015】
リングプレート11の前側には、図示しない配線としての信号配線及びCPU15を備えた制御基板16の他に、CPU15を備えずに信号配線を備えた信号伝達用基板17が3個設けられている。そして、24個のセンサ14のうち6個のセンサ14は配線18を介して制御基板16に電気的に接続され、残りの18個のセンサ14は配線18を介して信号伝達用基板17に電気的に接続されている。制御基板16及び信号伝達用基板17の信号配線は電気的に接続され、各センサ14の検知信号がCPU15に入力可能になっている。
【0016】
一般にリング精紡機は数百以上の錘を備え、多数のリングプレート11が機台の長手方向に沿って各リング12が一定間隔となるように配置されている。図1(a)に示すように、各リングプレート11に設けられたCPU15は、制御基板16及び信号伝達用基板17に設けられた信号配線や配線等を介して主制御装置19に接続され、各センサ14の検知信号の処理結果をシリアル通信で主制御装置19に送るようになっている。
【0017】
図1(b)に示すように、センサ14は、トラベラ13を検知する検知部14aと、検知部14aを収容するケース20とを備えている。ケース20は、検知部14aが固定された状態でリングプレート11に固定される取り付け部20aと、検知部14aや取り付け具21を覆うように取り付け部20aに固定されるカバー20bとを備えている。カバー20bは非磁性材料、例えば、ステンレスや樹脂で形成されている。
【0018】
図1(d)に示すように、カバー20bの外側にはトラベラ13に付着した繊維を引っ掻けて除去する機能を果たす掛止部20cが突設されている。即ち、センサ14はトラベラクリアラの役割も果たすように構成されている。取り付け部20aは、リングプレート11に形成された取り付け孔11a及び取り付け部20aに形成された孔20dを貫通する取り付け具21を介してリングプレート11に取り付けられている。この実施形態では取り付け孔11aはトラベラクリアラ取り付け孔を利用している。
【0019】
検知部14aは、例えば、特許文献1の糸切れセンサの検知部と同様に、磁性材料製の磁気ヨークと、円板状の永久磁石と、磁気ヨークに巻回されたピックアップコイル(いずれも図示せず)とが樹脂にてモールドされた状態に構成され、ピックアップコイルに電気的に接続されたフレキシブル配線22が延出されている。フレキシブル配線22の端部にはコネクタ22aが設けられている。検知部14aの永久磁石のN極からS極に向かう磁束により、リングプレート11、リング12、磁気ヨークを通る磁気回路が形成されており、ピックアップコイルは、磁性材料製のリング12上を走行する磁性材料製のトラベラ13が磁気回路を横切ることによる電磁誘導作用によりトラベラ13の走行を検知する。
【0020】
取り付け具21は、ボルトのように大径部(頭部)及び小径部を有し、小径部に雄ねじ21aが形成され、小径部が取り付け孔11aを貫通するとともに雄ねじ21aに螺合したナット23と協働してケース20をリングプレート11に固定する。取り付け具21には検知部14aに接続された配線、即ちフレキシブル配線22をリングプレート11の下方に導く孔からなる導出経路21bが形成されている。
【0021】
また、図1(c)に示すように、制御基板16及び信号伝達用基板17は、リングプレート11の前壁11bに固定されるとともにリングプレート11に沿って延びる収容部24aを備えた支持部材24に支持されている。支持部材24は前壁11bの一方の面としての前面に当接可能な押圧部24bと、前壁11bを挟んで押圧部24bと対応するように設けられるとともにねじ孔25aを有する締結具取り付け部25とを備えている。支持部材24は、ねじ孔25aに螺合される締結具としてのねじ26と、押圧部24bとにより前壁11bに締め付け固定されている。
【0022】
制御基板16及び信号伝達用基板17にはそれぞれ6本のフレキシブル配線27が、制御基板16及び信号伝達用基板17の長手方向と直交する方向に延出されており、フレキシブル配線27の端部にはコネクタ22aと接合可能なコネクタ27aが設けられている。図2及び図3に示すように、支持部材24には制御基板16及び信号伝達用基板17からのフレキシブル配線27の延出位置と対応する箇所に、上端に開放されるとともに上下方向に延びるガイド溝28が形成されている。また、締結具取り付け部25は高さが収容部24aより低く形成されるとともに、ねじ孔25aに螺合されるねじ26と、フレキシブル配線27との干渉を回避するため、ねじ孔25aがガイド溝28とずれた位置に形成されている。
【0023】
前記のように構成された糸切れ検出装置をリングプレート11に組み付ける場合は、検知部14aが固定されたケース20の取り付け部20aを、孔20dが取り付け孔11aと対向する位置に配置する。そして、検知部14aとリング12との距離が使用されるトラベラ13に対応して予め設定された範囲の値になる位置に、取り付け具21及びナット23を用いて固定する。次に、フレキシブル配線22を端部側から取り付け具21の導出経路21bを貫通させてリングプレート11の下面側に導出する。
【0024】
また、支持部材24の収容部24aに1個の制御基板16及び3個の信号伝達用基板17を、各フレキシブル配線27がガイド溝28から収容部24aの外に導出された状態で隣り合うように収容し、隣接する制御基板16及び信号伝達用基板17の図示しない信号配線同士を図示しないコネクタで接続する。そして、その支持部材24を、リングプレート11の前壁11bが締結具取り付け部25と押圧部24bとによって挟持される状態にねじ26を用いて固定する。次にリングプレート11の下面側を延びるフレキシブル配線22の先端に設けられた各コネクタ22aと制御基板16及び信号伝達用基板17からのフレキシブル配線27のコネクタ27aとを接続することにより、1個のリングプレート11に対する糸切れ検出装置の組み付けが完了する。
【0025】
そして、このように糸切れ検出装置が組みつけられた多数のリングプレート11は、紡機機台の長手方向に沿って延びるように配置され、隣り合うリングプレート11の制御基板16及び信号伝達用基板17の図示しない信号配線同士が図示しないコネクタで接続され、各制御基板16上のCPU15と主制御装置19との間の信号授受が可能になる。
【0026】
次に、糸切れ検出装置の作用を説明する。
検知部14aに内蔵された永久磁石の磁化作用により、リングプレート11、リング12及び磁気ヨークに、永久磁石のN極からS極に向かう磁束により構成される磁気回路が形成される。紡出運転時にスピンドル(図示せず)の回転に伴って管糸(図示せず)が回転すると、糸切れ状態でなければトラベラ13が管糸の回転速度に対応した速度でリングフランジ12a上を走行する。そして、トラベラ13がリングフランジ12a上を1回転するたびに1回の割合で磁気回路を横切り、ピックアップコイルの両端にはトラベラ13の回転に同期したパルス電圧が現れる。また、糸切れ状態ではピックアップコイルからトラベラ13の回転に同期したパルス電圧は出力されない。
【0027】
CPU15は、24個の検知部14aからの出力信号を順次入力して、パルス電圧が出力されていれば正常紡出状態と判断し、パルス電圧が出力されなければ糸切れと判断する。各制御基板16に設けられたCPU15は、主制御装置19からの指令信号に基づいて糸切れ錘の有無及び糸切れ錘の位置(錘番号)を主制御装置19に出力する。主制御装置19はCPU15の糸切れ検出信号に基づいて各錘の紡出状態を判断する。
【0028】
この実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)トラベラ13を検知する検知部14aを備えたセンサ14がリングプレート11の後側に設けられているため、センサ14は糸継ぎ作業の邪魔にならない。また、センサ14の検知信号を処理して糸切れの有無を判断する判断部(CPU15)を備えた制御基板16がリングプレート11の前側に設けられており、センサ14と制御基板16とはリングプレート11の下面側に配置された配線(フレキシブル配線22,27)を介して電気的に接続されている。したがって、制御基板16がリングプレート11の後側に設けられた構成と異なり、センサ14側の配線(フレキシブル配線22)と、制御基板16側の配線(フレキシブル配線27)との接続、接続解除の作業を、リングプレート11を取り外さずに行うことができ、制御基板16の取り換え作業が簡単になり、保全作業も行い易い。
【0029】
(2)センサ14はトラベラ13に付着した繊維を引っ掻けて除去する掛止部20cを備えるとともに、リングプレート11に形成されたトラベラクリアラ取り付け孔(取り付け孔11a)を利用してリングプレート11に取り付けられている。したがって、専用のトラベラクリアラを別に設ける必要がなく、糸切れ検出装置を備えず、トラベラクリアラのみ備えた既存の紡機に糸切れ検出装置を後付けで取り付ける際、既存のトラベラクリアラ取り付け孔を利用してセンサ14をリングプレート11に取り付けることができ、リングプレート11に取り付け孔11aを後加工する手間が不要になる。
【0030】
(3)制御基板16は、リングプレート11の前壁11bに固定されるとともにリングプレート11に沿って延びる収容部24aを備えた支持部材24に支持されている。支持部材24は前壁11bの一方の面に当接可能な押圧部24bと、前壁11bを挟んで押圧部24bと対応するように設けられるとともにねじ孔25aを有する締結具取り付け部25とを備え、ねじ孔25aに螺合される締結具(ねじ26)と押圧部24bとにより前壁11bに締め付け固定されている。したがって、支持部材24が、締結具取り付け部25のねじ孔25aに螺合される締結具(ねじ26)と押圧部24bとにより、リングプレート11の前壁11bに締め付け固定されるため、リングプレート11に後加工を行わずに制御基板16を取り付けることができ、糸切れ検出装置を既存の紡機に後付けで容易に取り付けることができる。
【0031】
(4)センサ14は、検知部14aを収容するケース20がリングプレート11に形成された取り付け孔11aを貫通する取り付け具21を介してリングプレート11に取り付けられ、取り付け具21には検知部14aに接続された配線(フレキシブル配線22)をリングプレート11の下方に導く孔からなる導出経路21bが形成されている。したがって、ケース20内の検知部14aに接続された配線(フレキシブル配線22)を、導出経路21bからリングプレート11の下方に導出することができ、リングプレート11やケース20に配線導出専用の孔を形成せずに、制御基板16及び信号伝達用基板17までの短い配線経路を確保することができる。
【0032】
(5)リングプレート11の前側には制御基板16の他に信号伝達用基板17が設けられ、一部のセンサ14のフレキシブル配線22は信号伝達用基板17のフレキシブル配線27に接続され、検出信号が信号伝達用基板17を介して制御基板16のCPU15に入力されるようになっている。したがって、1個のリングプレート11に複数の制御基板16を設ける構成と異なりCPU15の数を少なくでき、コスト低減に寄与する。また、1個のリングプレート11に固定されるすべてのセンサ14のフレキシブル配線22が直接制御基板16のフレキシブル配線27と接続される構成に比較して、制御基板16を小さくすることができ、組み付けが容易になる。
【0033】
実施形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
○ センサ14はリング12毎に設けられる構成に限らない。例えば、図4(a)に示すように、2個の検知部14aを備えたセンサ14を2個のリング12に対して1個の割合で設けてもよい。また、センサ14として検知部14aを3個以上備えた構成を採用して、3個以上のリング12に対して1個の割合で設けてもよい。
【0034】
○ 支持部材24は、制御基板16及び信号伝達用基板17をリングプレート11の前壁11bより前側に位置する状態で支持する構成に限らない。たとえば、図4(b)に示すように、締結具取り付け部25が前壁11bの前面より前方に位置し、押圧部24bが前壁11bの後面に当接するように支持部材24を前壁11bにねじ26で固定してもよい。この場合、壁24cの高さを低くした場合は、壁24cにガイド溝28を形成しなくてもよい。
【0035】
○ 締結具取り付け部25を介して支持部材24を前壁11bに固定する締結具は、ねじ孔25aに螺合されるねじ26やボルトに限らない。例えば、図5(a),(b)に示すように、支持部材24の押圧部24bが前壁11bの前面に当接する状態で、前壁11bの後面と締結具取り付け部25との間に略U字状のバネ性を有する締結具29を嵌入する。そして、押圧部24bと締結具29で前壁11bを締め付ける状態で支持部材24を前壁11bに固定する。
【0036】
○ 支持部材24は、リングプレート11の前壁11bやリングプレート11の前側に形成した取り付け用の孔やねじ孔を利用して取り付ける構成としてもよい。
○ 支持部材24を設けずに、制御基板16や信号伝達用基板17をリングプレート11の前壁11bに形成したねじ孔に螺合するねじやボルトで直接取り付けたり、リングプレート11の前壁11bに形成した孔を貫通するねじやボルト及びナットで直接取り付けたりしてもよい。
【0037】
○ 1個のリングプレート11に設けられる制御基板16及び信号伝達用基板17の数は、制御基板16が1個で信号伝達用基板17が3個に限らない。例えば、8本のフレキシブル配線27を備えた制御基板16が1個で信号伝達用基板17が2個としたり、12本のフレキシブル配線27を備えた制御基板16及び信号伝達用基板17が共に1個としたり、24本のフレキシブル配線27を備えた制御基板16が1個のみとしてもよい。また、1個のリングプレート11に設けられるリング12の数は24個に限らず、24個より多くても少なくてもよい。
【0038】
○ フレキシブル配線27の数は、制御基板16と信号伝達用基板17とで異なるようにしてもよい。
○ 信号伝達用基板17を設けずに、全てCPU15を備えた制御基板16としてもよい。この場合、CPU15の数が増えるが、制御基板16と信号伝達用基板17とを間違えて取り付ける虞がなくなる。
【0039】
○ 取り付け具21に形成される導出経路21bは、検知部14aに接続された配線をリングプレートの下方に導出可能であればよく、孔に限らない。例えば、図6(a)に示すように、取り付け具21に軸方向に沿って延びる溝30を形成してもよい。この場合もリングプレート11やケース20に配線導出専用の孔を形成せずに、制御基板16や信号伝達用基板17までの短い配線経路を確保することができる。
【0040】
○ 検知部14aは、磁性材料製のリングプレート11に固定されたリング12上を走行する磁性材料製のトラベラ13が磁気回路を横切ることによる電磁誘導作用によりトラベラの走行を検知する構成のものに限らず、例えば、投受光型の光センサを用いた構成のものでもよい。
【0041】
○ センサ14にトラベラクリアラの機能を持たせる場合、カバー20bに掛止部20cを形成せずに、平面四角形状のカバー20bの角部で走行中のトラベラ13から堆積繊維を除去するようにしてもよい。
【0042】
○ センサ14にトラベラクリアラの機能を持たせずに、トラベラクリアラと別にセンサ14を設けてもよい。この場合、リングプレート11にはトラベラクリアラ取り付け孔と別にセンサ14の取り付け孔11aが形成される。
【0043】
○ センサ14は取り付け部20aと、取り付け部20a及び検知部14aを覆うカバー20bとを備える構成に限らない。例えば、図6(b)に示すように、検知部14aと取り付け部14bとが一体に形成され、取り付け部14bに孔14cが形成された構成としてもよい。
【0044】
○ リングプレート11は断面逆U字状に限らず、例えば、断面クランク形状として、センサ14をリングプレート11の後壁に取り付ける構成としてもよい。また、断面逆U字状のリングプレート11の後壁に、リングプレート11の上面より高い位置まで突出する取り付け板を固定し、その取り付け板にセンサ14を取り付けるようにしてもよい。
【0045】
○ 紡機はリング精紡機に限定されない。例えばリング撚糸機に本発明を適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】(a)はリングプレートと糸切れ検出装置との関係を示す模式平面図、(b)はリングとセンサとの位置関係を示す模式断面図、(c)は支持部材の取り付け状態を示す模式断面図、(d)は掛止部を示す模式平面図。
【図2】支持部材の模式部分斜視図。
【図3】支持部材の部分側面図。
【図4】(a)は別の実施形態のセンサの模式平面図、(b)は別の支持部材の取り付け状態を示す模式断面図。
【図5】(a)は別の実施形態の締結具による取り付け状態を示す模式断面図、(b)は(a)のB−B断面図。
【図6】(a)は別の実施形態の取り付け具の模式斜視図、(b)は別の実施形態のセンサの一部破断模式図。
【図7】従来技術の糸切れセンサを装備したリングプレートの断面図。
【符号の説明】
【0047】
11…リングプレート、11a…取り付け孔、11b…前壁、12…リング、13…トラベラ、14…センサ、14a…検知部、15…判断部としてのCPU、16…制御基板、18…配線、20…ケース、20c…掛止部、21…取り付け具、21b…導出経路、22…配線としてのフレキシブル配線、24…支持部材、24a…収容部、24b…押圧部、25…締結具取り付け部、25a…ねじ孔、26…締結具としてのねじ、27…配線としてのフレキシブル配線、29…締結具、30…導出経路としての溝。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラベラの走行を検知して糸切れを検出する紡機の糸切れ検出装置であって、前記トラベラを検知する検知部を備えたセンサがリングプレートの後側に設けられ、前記センサの検知信号を処理して糸切れの有無を判断する判断部を備えた制御基板がリングプレートの前側に設けられ、前記センサと前記制御基板とは前記リングプレートの下面側に配置された配線を介して電気的に接続されている紡機の糸切れ検出装置。
【請求項2】
前記センサは前記トラベラに付着した繊維を引っ掻けて除去する掛止部を備えるとともに、前記リングプレートに形成されたトラベラクリアラ取り付け孔を利用して前記リングプレートに取り付けられている請求項1に記載の紡機の糸切れ検出装置。
【請求項3】
前記制御基板は、前記リングプレートの前壁に固定されるとともにリングプレートに沿って延びる収容部を備えた支持部材に支持され、前記支持部材は前記前壁の一方の面に当接可能な押圧部と、前記前壁を挟んで前記押圧部と対応するように設けられるとともにねじ孔を有する締結具取り付け部とを備え、前記ねじ孔に螺合される締結具と前記押圧部とにより前記前壁に締め付け固定されている請求項1に記載の紡機の糸切れ検出装置。
【請求項4】
前記センサは、前記検知部を収容するケースが取り付け孔を貫通する取り付け具を介して前記リングプレートに取り付けられ、前記取り付け具には前記検知部に接続された配線をリングプレートの下方に導く導出経路が形成されている請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の紡機の糸切れ検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−111982(P2010−111982A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−288082(P2008−288082)
【出願日】平成20年11月10日(2008.11.10)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】