説明

細径同軸ケーブルアレイ及びその製造方法

【課題】コネクタを用いずに、接続基板にてアレイ化した細径同軸ケーブルをプリント配線板へ一括して直接接続することが可能な細径同軸ケーブルアレイを提供する。
【解決手段】端末部を段剥きしてジャケット2から外部導体3、絶縁層4、中心導体5を順次露出させた細径同軸ケーブル6を複数本並列に配置した多心同軸ケーブル7を、プリント配線板12に電気的に接続するための細径同軸ケーブルアレイ1であって、多心同軸ケーブル7の段剥きされた各端末部を接続基板10に形成した配列溝11に収容すると共に、その配列溝11をジャケット2側から中心導体5側にかけて徐々に浅くなるようにテーパ形状に形成したものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末部を段剥きしてジャケットから外部導体、絶縁層、中心導体を順次露出させた細径同軸ケーブルを複数本並列に配置した多心同軸ケーブルを、プリント配線板に電気的に接続するための細径同軸ケーブルアレイ及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プリント配線板上に実装されたLSIチップ間を電気的に接続する際には、図8に示すように、高速化のために細径同軸ケーブル80を複数本並列に配置した多心同軸ケーブル81を用いている。
【0003】
この多心同軸ケーブル81の各細径同軸ケーブル80をLSIチップ82の対応する各端子に一括接続するには、多心同軸ケーブル81を構成する各細径同軸ケーブル80の端末部に付加されるコネクタ83が必要であり、さらにそのコネクタ83に嵌合するための受けコネクタ又はソケット等がプリント配線板84側に設けられる必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−143728号公報
【特許文献2】特開2008−210563号公報
【特許文献3】特開2008−112699号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、コネクタ83には、金属で構成される電極(コンタクト)部品が必要であり、昨今の高速信号伝送(高周波信号伝送)ニーズの下、電極部品の配置状況によって決定される電界分布やインダクタンス成分等が原因でコネクタ83に起因する伝送特性劣化(例えば、損失、反射、放射ノイズ等)が生じ、信号品質の劣化が引き起こされているという問題がある。
【0006】
また、コネクタ83が用いられることで、機械的な嵌合機構(受けコネクタ又はソケット等)が必要とされ、広い実装スペースが必要となることから機器の小型化に向けた弊害にもなっている。
【0007】
そこで、本発明の目的は、コネクタを用いずに、接続基板にてアレイ化した細径同軸ケーブルをプリント配線板へ一括して直接接続することが可能な細径同軸ケーブルアレイ及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記目的を達成するために創案されたものであり、請求項1の発明は、端末部を段剥きしてジャケットから外部導体、絶縁層、中心導体を順次露出させた細径同軸ケーブルを複数本並列に配置した多心同軸ケーブルを、プリント配線板に電気的に接続するための細径同軸ケーブルアレイであって、前記多心同軸ケーブルの段剥きされた各端末部を接続基板に形成した配列溝に収容すると共に、その配列溝を前記ジャケット側から前記中心導体側にかけて徐々に浅くなるようにテーパ形状に形成した細径同軸ケーブルアレイである。
【0009】
請求項2の発明は、前記配列溝の深さは、前記細径同軸ケーブルの端末部を収容したときに、前記外部導体と前記中心導体がそれぞれ前記接続基板の表面から同じ高さだけ突出して水平面に対して一致するように、前記ジャケット側から前記中心導体側にかけて徐々に浅くなるようにされる請求項1に記載の細径同軸ケーブルアレイである。
【0010】
請求項3の発明は、前記配列溝の幅は、前記ジャケット側から前記中心導体側にかけて徐々に狭くなるようにされる請求項1又は2に記載の細径同軸ケーブルアレイである。
【0011】
請求項4の発明は、前記配列溝のピッチ間隔は、前記細径同軸ケーブルの配置間隔と同じにされ、隣り合う溝同士の前記ジャケット側或いは前記外部導体側が幅方向で一部重なり合うようにされる請求項1〜3のいずれかに記載の同軸ケーブルアレイである。
【0012】
請求項5の発明は、端末部を段剥きしてジャケットから外部導体、絶縁層、中心導体を順次露出させた細径同軸ケーブルを複数本並列に配置した多心同軸ケーブルを、プリント配線板に電気的に接続するための細径同軸ケーブルアレイの製造方法であって、前記多心同軸ケーブルの段剥きされた各端末部を接続基板に形成した配列溝に収容すると共に、その配列溝を前記ジャケット側から前記中心導体側にかけて徐々に浅くなるようにテーパ形状に形成する細径同軸ケーブルアレイの製造方法である。
【0013】
請求項6の発明は、前記配列溝の深さを、前記細径同軸ケーブルの端末部を収容したときに、前記外部導体と前記中心導体がそれぞれ前記接続基板の表面から同じ高さだけ突出して水平面に対して一致するように、前記ジャケット側から前記中心導体側にかけて徐々に浅くなるようにする請求項5に記載の細径同軸ケーブルアレイの製造方法である。
【0014】
請求項7の発明は、前記配列溝の幅を、前記ジャケット側から前記中心導体側にかけて徐々に狭くなるようにする請求項5又は6に記載の細径同軸ケーブルアレイの製造方法である。
【0015】
請求項8の発明は、前記配列溝のピッチ間隔を、前記細径同軸ケーブルの配置間隔と同じにし、隣り合う溝同士の前記ジャケット側或いは前記外部導体側が幅方向で一部重なり合うようにする請求項5〜7のいずれかに記載の同軸ケーブルアレイの製造方法である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、コネクタを用いずに、接続基板にてアレイ化した細径同軸ケーブルをプリント配線板へ一括して直接接続することが可能な細径同軸ケーブルアレイを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施の形態に係る細径同軸ケーブルアレイを示す図であり、(a)は斜視図、(b)はA−A線断面図、(c)はB−B線断面図、(d)はC−C線断面図、(e)はプリント配線板へ接続したときのA−A線断面図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係る細径同軸ケーブルアレイの接続基板を示す図であり、(a)は斜視図、(b)はD−D線断面図である。
【図3】図1の細径同軸ケーブルアレイとプリント配線板との接続を説明する斜視図である。
【図4】プリント配線板の中心導体用電極部及び外部導体用電極部のパターンの一例を示す図であり、(a)は上面図、(b)はE−E線断面図である。
【図5】本発明の他の実施の形態に係る細径同軸ケーブルアレイを示す図であり、(a)は斜視図、(b)はF−F線断面図、(c)はプリント配線板へ接続したときのF−F線断面図である。
【図6】図1の接続基板の変形例を示す図である。
【図7】図6の接続基板に多心同軸ケーブルの端末部を収容したときの図であり、(a)はG−G線断面図、(b)はH−H線断面図である。
【図8】プリント配線板上に実装されたLSIチップ間をコネクタを用いた多心同軸ケーブルで接続する従来の構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
【0019】
図1は、本実施の形態に係る細径同軸ケーブルアレイを示す図であり、(a)は斜視図、(b)はA−A線断面図、(c)はB−B線断面図、(d)はC−C線断面図、(e)はプリント配線板へ接続したときのA−A線断面図である。
【0020】
図1(a),(b)に示すように、細径同軸ケーブルアレイ1は、端末部を段剥きしてジャケット2から外部導体3、絶縁層4、中心導体5を順次露出させた細径同軸ケーブル6を複数本(図1(a)では5本)並列に間隔を空けて配置した多心同軸ケーブル7を、プリント配線板に電気的に接続するためものである。
【0021】
細径同軸ケーブル6の中心導体5は、複数の金属細線8が撚り合わされて構成され、外部導体3は、複数の金属細線9が絶縁層4の外周に螺旋状に巻きつけられて構成される。
【0022】
多心同軸ケーブル7の段剥きされた各細径同軸ケーブル6の端末部は、絶縁性材料、例えば石英ガラスやエポキシ系材料等からなる直方体形状の接続基板10に並列に複数形成された断面V字状の配列溝11に、樹脂や異方性導電ペースト等の接着剤を用いて固定収容される。接着剤として絶縁性の樹脂を用いる場合は、プリント配線板との良好な電気接続のために、両導体3,5のプリント配線板と対向する表面に接着剤が塗布されないようにする。異方性導電ペーストからなる接着剤を用いる場合には、接着剤で中心導体5や外部導体3の全面を覆った場合でも、細径同軸ケーブルアレイ1をプリント配線板に接続する際に加圧、加熱を行うため(詳しくは後述する)、その際に中心導体5や外部導体3を覆っている異方性導電ペーストは中心導体5及び外部導体3とプリント配線板の電極部とをそれぞれ導通させ、良好な接続を得ることができるので問題ない。
【0023】
図1(a),(b)、図2(a),(b)に示すように、接続基板10の配列溝11は、細径同軸ケーブル6のジャケット2側から中心導体5側にかけて徐々に浅くなるようにテーパ形状に形成される。また、図1(c),(d)に示すように、配列溝11は、細径同軸ケーブル6を収容したときに、その中心導体5及び外部導体3が接続基板10の表面10aから同じ高さhだけ突出して水平面に対して一致するように形成され、両導体3,5を部分的に収容するようになっている。
【0024】
配列溝11の幅は、ジャケット2側から中心導体5側にかけて徐々に狭くなるようにされ、配列溝11の長さは、細径同軸ケーブル6の中心導体5からジャケット2までが収容されるような長さにされ、配列溝11のピッチ間隔は、細径同軸ケーブル6の配置間隔と同じにされる。
【0025】
このような形状の配列溝11によって、複数の中心導体5と外部導体3は、並列方向に整列した状態で接続基板10に保持される。
【0026】
本実施の形態の細径同軸ケーブルアレイ1では、図1(e)に示すように、中心導体5と外部導体3が夫々接続基板10に形成された配列溝11によって整列、固定された状態でプリント配線板12と接続する。
【0027】
接続基板10の各配列溝11に固定された各細径同軸ケーブル6の端末部は、接続基板10の表面10aをプリント配線板12に対向させた状態で、プリント配線板12に形成された中心導体用電極部13及び外部導体用電極部14に、導電性の接着剤19を介して固定される。接着剤19としては、異方性導電ペースト又は異方性導電フィルムを用いるとよい。
【0028】
これにより、中心導体5と中心導体用電極部13、外部導体3と外部導体用電極部14とがそれぞれ電気的に接続される。
【0029】
ここでは、本実施の形態の細径同軸ケーブルアレイ1を用いてプリント配線板上に実装されたLSIチップ間を接続する例を説明する。
【0030】
図3に示すように、中心導体5と外部導体3が整列固定された接続基板10の表面10aをプリント配線板20と対向させ、中心導体5と外部導体3とを対応する電極部13,14と位置合せして設置する。
【0031】
この状態で、中心導体5と中心導体用電極部13の接続部、及び外部導体3と外部導体用電極部14の接続部を加熱と共に加圧(例えば、接続基板10をプリント配線板20側に加圧)しながら、接着剤19(異方性導電ペースト又は異方性導電フィルム)を介して、中心導体5と中心導体用電極部13、外部導体3と外部導体用電極部14とをそれぞれ電気的に接続する。細径同軸ケーブルアレイ1とプリント配線板20との接続の際に加熱、加圧する装置としては、パルスヒート装置が有効である。
【0032】
異方性導電ペースト又は異方性導電フィルムは、加圧された部分のみが導通されるため、接続基板10の表面10aの全面に接着剤19を塗布、或いは貼り付けても各中心導体5同士、及び中心導体5と外部導体3間を絶縁し、中心導体5と中心導体用電極部13間、及び外部導体3と外部導体用電極部14間のみを導通することができ、接続の信頼性を向上させることができる。
【0033】
ここで、図3のプリント配線板20の中心導体用電極部13及び外部導体用電極部14のパターンを図4で説明する。なお、図4では簡略化のため、細径同軸ケーブル6を2本しか図示していない。また、図4(b)の中心導体用電極部13の断面が図4(a)のE−E線断面と一致していないが、これは中心導体用電極部13とLSIチップの端子との接続を説明するために変更しているからである。
【0034】
図4(a),(b)に示すように、各中心導体用電極部13はLSIチップ16の端子17にそれぞれ電気的に接続されている。外部導体用電極部14は、各細径同軸ケーブル6で共通となっており(GNDは同電位であるため個別に配置する必要がない)、スルーホール15にてプリント配線板20の裏面に形成されたベタGND面18に接続されている。
【0035】
このように、本実施の形態の細径同軸ケーブルアレイ1では、プリント配線板20との接続にコネクタを用いていないため、プリント配線板20側に受けコネクタやソケット等の嵌合機構を必要としない。
【0036】
以上要するに、本実施の形態の細径同軸ケーブルアレイ1によれば、多心同軸ケーブル7の段剥きされた各端末部を直方体形状の接続基板10に形成した配列溝11に収容すると共に、その配列溝11をジャケット2側から中心導体5側にかけて徐々に浅くなるようにテーパ形状に形成することで、多心同軸ケーブル7をプリント配線板12,20に直接実装することが可能となり、コネクタを用いずにアレイ化した細径同軸ケーブル6の一括接続をすることができるため、コネクタに含有される電極部品(金属製の電極(コンタクト)部品)を用いることなく高速信号(高周波信号)を伝送するLSIチップ間配線を実現することができる。
【0037】
これにより、電極部品の配置状況によって決定される電界分布やインダクタンス成分の影響を低減することができ、従来課題とされていた、コネクタに起因する伝送特性劣化(例えば、損失、反射、放射ノイズ等)を改善することができる。
【0038】
また、従来のコネクタを用いた細径同軸ケーブルアレイと異なり、プリント配線板12,20側に機械的な嵌合機構を必要としないことから、実装面積の省スペース化に貢献でき、結果として、機器の小型化を実現することができる。
【0039】
また、細径同軸ケーブルアレイ1では、配列溝11の深さが、細径同軸ケーブル6の端末部を収容したときに、外部導体3と中心導体5がそれぞれ接続基板10の表面10aから同じ高さhだけ突出して水平面に対して一致するように、ジャケット2側から中心導体5側にかけて徐々に浅くなるようにされ、配列溝11の幅が、ジャケット2側から中心導体5側にかけて徐々に狭くなるようにされるため、外部導体3と中心導体5の高さを揃えてバラツキをなくすことができ、接触不良等に起因する接続信頼性の低下を防止することができる。
【0040】
また、両導体3,5が接続基板10の表面10aから突出するように整列配置されることで、中心導体5や外部導体3をプリント配線板12,20の電極部13,14に接続する際に、接着剤19が中心導体5や外部導体3に接触する面積を確保できるため、接続信頼性を向上することができる。
【0041】
すなわち、両導体3,5が接続基板10の表面10aから突出するようにすることで、中心導体5と外部導体3を夫々対応する電極部13,14へ電気的に接続するために用いる接着剤19が中心導体5と外部導体3、及びこれらに対応した電極部13,14の両方に濡れやすくなるため、接続を確実かつ容易に行うことができるようになる。
【0042】
細径同軸ケーブルアレイ1では、配列溝11の断面形状をV字形状としたが、それ以外の形状、例えば、台形状、半円形状であってもよい。但し、V溝であれば細径同軸ケーブル6を2点支持で安定に保持することができるので、細径同軸ケーブル6を安定に保持するという観点から見れば、断面形状はV字形状とするのが好ましい。また、中心導体5を撚り線としたが、単線であってもよい。
【0043】
細径同軸ケーブルアレイ1では、配列溝11の長さを細径同軸ケーブル6の中心導体5からジャケット2までが収容されるような長さにしたが、図5(a)〜(c)に示すように、細径同軸ケーブル6の中心導体5から外部導体3までが収容されるような長さにしてもよい。
【0044】
細径同軸ケーブルアレイ1では、複数の細径同軸ケーブル6を間隔を空けて並列に配置した多心同軸ケーブル7を用いたが、複数の細径同軸ケーブル6を密着するように隣接して並列に配置した多心同軸ケーブルを用いてもよい。
【0045】
この場合、図6に示すように、配列溝11のピッチ間隔が、細径同軸ケーブル6の外径と同じにされるため、隣り合う溝同士のジャケット2側或いは外部導体3側が幅方向で一部重なり合うようにされた接続基板60を用いるとよい。
【0046】
この接続基板60では、図7(a),(b)に示すように、ジャケット2側、或いは外部導体3側では隣り合う配列溝11同士が幅方向で一部重なっているが、中心導体5側では配列溝11の幅が狭くなるため、中心導体5は間隔を空けて配置されている。
【0047】
また、細径同軸ケーブルアレイ1では、石英ガラスやエポキシ系材料等からなる接続基板10を用いたが、プラスチック等を成形して形成された接続基板を用いるようにしてもよい。特に、透明な材料を用いて接続基板10を形成することにより、プリント配線板12上の電極部13,14との位置合わせが容易となる。また、接続基板10の形状は直方体形状に限るものではない。
【0048】
上記実施の形態では、細径同軸ケーブルアレイ1をプリント配線板12,20に接続する際に、異方性導電ペースト又は異方性導電フィルムを用いたが、半田接続等、他の方法を適用することも可能である。
【0049】
次に、細径同軸ケーブルアレイ1の製造方法を説明する。
【0050】
先ず、多心同軸ケーブル7の各細径同軸ケーブル6の端末部を段剥きして、中心導体5と外部導体3をそれぞれ露出させる。また、直方体形状の接続基板10に、細径同軸ケーブル6のジャケット2側から中心導体5側にかけて徐々に浅くなるようにテーパ形状の配列溝11を形成する。この配列溝11の形成は、水平に溝を切削する機械を用い、接続基板10を傾けた状態で水平方向に切削を行うことにより形成する。
【0051】
その後、接続基板10の配列溝11の内部それぞれに樹脂や異方性導電ペースト等からなる接着剤を塗布し、配列溝11に中心導体5と外部導体3を整列配置し、収容する。
【0052】
接続基板10に中心導体5と外部導体3を整列配置した後、加熱によって、接着剤を硬化させ、接続基板10の配列溝11に中心導体5、外部導体3を固定する。
【0053】
接着剤を硬化させる際に、加熱すると共に、中心導体5と外部導体3を接続基板10に押し付けるように加圧するようにしてもよい。加圧することによって、中心導体5と外部導体3とを夫々の配列溝11により確実に固定することができる。以上の工程により、細径同軸ケーブルアレイ1が形成される。
【0054】
本実施の形態の細径同軸ケーブルアレイ1の製造方法によれば、多心同軸ケーブル7の段剥きされた各端末部を直方体形状の接続基板10に形成した配列溝11に収容すると共に、その配列溝11をジャケット2側から中心導体5側にかけて徐々に浅くなるようにテーパ形状に形成することで、コネクタを用いることなく、アレイ化した細径同軸ケーブル6の一括接続が可能な細径同軸ケーブルアレイ1を簡単かつ低コストで得られる。
【符号の説明】
【0055】
1 細径同軸ケーブルアレイ
2 ジャケット
3 外部導体
4 絶縁層
5 中心導体
6 細径同軸ケーブル
7 多心同軸ケーブル
10 接続基板
11 配列溝
12 プリント配線板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末部を段剥きしてジャケットから外部導体、絶縁層、中心導体を順次露出させた細径同軸ケーブルを複数本並列に配置した多心同軸ケーブルを、プリント配線板に電気的に接続するための細径同軸ケーブルアレイであって、
前記多心同軸ケーブルの段剥きされた各端末部を接続基板に形成した配列溝に収容すると共に、その配列溝を前記ジャケット側から前記中心導体側にかけて徐々に浅くなるようにテーパ形状に形成したことを特徴とする細径同軸ケーブルアレイ。
【請求項2】
前記配列溝の深さは、前記細径同軸ケーブルの端末部を収容したときに、前記外部導体と前記中心導体がそれぞれ前記接続基板の表面から同じ高さだけ突出して水平面に対して一致するように、前記ジャケット側から前記中心導体側にかけて徐々に浅くなるようにされる請求項1に記載の細径同軸ケーブルアレイ。
【請求項3】
前記配列溝の幅は、前記ジャケット側から前記中心導体側にかけて徐々に狭くなるようにされる請求項1又は2に記載の細径同軸ケーブルアレイ。
【請求項4】
前記配列溝のピッチ間隔は、前記細径同軸ケーブルの配置間隔と同じにされ、隣り合う溝同士の前記ジャケット側或いは前記外部導体側が幅方向で一部重なり合うようにされる請求項1〜3のいずれかに記載の同軸ケーブルアレイ。
【請求項5】
端末部を段剥きしてジャケットから外部導体、絶縁層、中心導体を順次露出させた細径同軸ケーブルを複数本並列に配置した多心同軸ケーブルを、プリント配線板に電気的に接続するための細径同軸ケーブルアレイの製造方法であって、
前記多心同軸ケーブルの段剥きされた各端末部を接続基板に形成した配列溝に収容すると共に、その配列溝を前記ジャケット側から前記中心導体側にかけて徐々に浅くなるようにテーパ形状に形成することを特徴とする細径同軸ケーブルアレイの製造方法。
【請求項6】
前記配列溝の深さを、前記細径同軸ケーブルの端末部を収容したときに、前記外部導体と前記中心導体がそれぞれ前記接続基板の表面から同じ高さだけ突出して水平面に対して一致するように、前記ジャケット側から前記中心導体側にかけて徐々に浅くなるようにする請求項5に記載の細径同軸ケーブルアレイの製造方法。
【請求項7】
前記配列溝の幅を、前記ジャケット側から前記中心導体側にかけて徐々に狭くなるようにする請求項5又は6に記載の細径同軸ケーブルアレイの製造方法。
【請求項8】
前記配列溝のピッチ間隔を、前記細径同軸ケーブルの配置間隔と同じにし、隣り合う溝同士の前記ジャケット側或いは前記外部導体側が幅方向で一部重なり合うようにする請求項5〜7のいずれかに記載の同軸ケーブルアレイの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−288402(P2010−288402A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−141613(P2009−141613)
【出願日】平成21年6月12日(2009.6.12)
【出願人】(000005120)日立電線株式会社 (3,358)
【Fターム(参考)】