説明

細胞増殖性疾患を治療する化合

本発明は、細胞増殖性疾患(例えば、癌)を治療する化合物およびそれらの使用に関する。本発明の化合物は、キナーゼ阻害剤として著しい効力を示し、c−mycの下方制御を引き起こし、そして癌性細胞系の成長および生存を阻止する。本発明は、AG490と比較した場合、改善された薬理学的プロフィール(例えば、増大された効力)を示す化合物を提供することによって、当該分野における限度を克服する。これらの化合物は、低濃度(約1μM)でIL−6媒介性Stat3活性をブロックし、そして多くの悪性腫瘍において頻繁に過剰発現、再配列、または変異されるc−myc癌原遺伝子の発現を急速に抑制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2003年12月1日に出願された米国仮特許出願第60/528,877号(その全開示内容は、本明細書中で参考として具体的に援用されている)から優先権を主張している。
【0002】
(発明の背景)
(1.発明の分野)
本発明は、一般に細胞増殖性疾患(例えば、癌)の処置に関連する。より詳細には、細胞増殖性疾患(例えば、癌)の処置、これらの化合物の合成方法、およびこれらの化合物を利用した処置方法にとって有用な、チロホスチン(tyrphostin)およびチロホスチン様化合物に関係する。
【背景技術】
【0003】
(2.関連分野の説明)
AG490は、Jak2/Stat3シグナル伝達を阻害するキナーゼインヒビターである。AG490を使用したJak/Stat経路の標的とされた阻害は、腫瘍細胞増殖およびアポトーシスの刺激に対する感受性の増大を阻害する;したがって、この経路のインヒビターは、癌治療に対して、おそらく強力な治療剤を表す(Catlett−Falconeら、1999;AlasおよびBonavida、2003;Burdelyaら、2002)。IL−6は、STAT3のリン酸化を介して特定の癌細胞株の生存および増殖を促進する(Bhartiら、Vermaら、Kerrら)ので、AG490に類似するキナーゼインヒビターは、抗癌薬物としての潜在性を有する。
【0004】
AG490は、チロホスチンとして構造的に分類される。特許文献1および特許文献2は、AG490と構造的類似性を有する化合物を記載する。
【0005】
残念ながら、AG490は動物研究において限られた活性を有し、かつJak2/Stat3シグナル伝達の阻害および抗腫瘍効果を達成するためには高濃度(約50μM〜100μM)で使用されなくてはならず、そしてこのAG490の低い効力は、癌の処置のためのこの化合物の臨床試験を保証するには不十分である(Burdelyaら、2002;Meydanら、1996;Constantinら、1998)。
【特許文献1】米国特許第6,596,828号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2003/0013748号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、低い治療的濃度で同様の機序により強力な抗増殖性効果を示す治療剤についての必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の要旨)
本発明は、AG490と比較した場合、改善された薬理学的プロフィール(例えば、増大された効力)を示す化合物を提供することによって、当該分野における限度を克服する;これらの化合物は、低濃度(約1μM)でIL−6媒介性Stat3活性をブロックし、そして多くの悪性腫瘍において頻繁に過剰発現、再配列、または変異されるc−myc癌原遺伝子の発現を急速に抑制する(Hallekら、1998;Selvanayagamら、1988;Jernberg−Wiklundら、1992;Kuehlら、1997)。さらに、本発明の化合物はまた、それらのc−myc下方制御性活性に対応したc−myc過剰発現腫瘍細胞におけるアポトーシスを誘導する。本発明は、抗腫瘍ならびに/または化学療法薬物としての有用性を有する化合物、これらの化合物の合成の方法、および癌を有する患者を処置するためにこれらの化合物を使用する方法に関与する。
【0008】
本発明の1局面は、以下の化学式を含む化合物に関する:
【0009】
【化22】

ここで、Rは、RおよびR−Z−からなる群から選択される;そして
ここで、Zは、アルキルである;そして
ここで、Rは、以下からなる群から選択される:
【0010】
【化23】

ここで、X、X、XおよびXは、それぞれ別個に、水素、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、OH、トリハロメチルおよびNOからなる群から選択される;
ここで、Yは、ハロゲンおよびONからなる群から選択される;そして
は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルアリール、ハロゲン、水素、OH、NO、チオエーテル、アミン、SHおよびNHからなる群から選択される;
は、以下からなる群から選択される:
【0011】
【化24】

ここで、Zは、アルキルである;そして
ここで、m=1、2、3または4である;そして
ここで、Rは、以下からなる群から選択される:CN、置換アミン、CHS−アルキル、アルキルおよびCH
ここで、RおよびRは、それぞれ別個に、以下からなる群から選択される:
【0012】
【化25】

単糖類、単糖類誘導体、多糖類、多糖類誘導体、アリールおよびアルキルアリール;
ここで、Zは、NH、SおよびOからなる群から選択され、そして
ここで、XおよびXは、それぞれ別個に、水素および低級アルキルからなる群から選択される。
【0013】
本発明の特定の実施形態では、Rは、CNである。特定の実施形態では、Rは、以下からなる群から選択され得る:
【0014】
【化26】

さらに具体的な実施形態では、Rは、以下である:
【0015】
【化27】

特定の実施形態では、Xは、ハロゲン(例えば、Br)である。
【0016】
は、
【0017】
【化28】

の構造を有するアルキルアリール、および
【0018】
【化29】

の構造を有するアリールからなる群から選択され得る:
ここで、m=0、1、2、3、4、5、6または7であり、そして
ここで、XおよびXは、それぞれ別個に、水素およびアルキルからなる群から選択され、そして
ここで、R、R、R、R10およびR11は、それぞれ別個に、水素、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、OH、トリハロメチルおよびNOからなる群から選択される。
【0019】
さらに具体的な実施形態では、Rは、アルキルアリールである。X、X、XおよびXは、水素であり得る。Zは、低級アルキルであり得、そして該低級アルキルは、−(CHm3−であり、ここで、M3=0、1、2、3または4である。
【0020】
は、低級アルキルであり得、そして該低級アルキルは、−(CHm4−であり、ここで、M4=0、1、2、3または4である。Yは、ONまたはハロゲン(例えば、ClまたはBr)であり得る。
【0021】
特定の実施形態では、Rは、以下からなる群から選択される:
【0022】
【化30】

は、水素であり得る。Yは、ONおよびハロゲン(例えば、BrまたはCl)からなる群から選択され得る。
【0023】
本発明の特定の実施形態は、以下の式を有する化合物に関する:
【0024】
【化31】

本発明の特定の実施形態は、以下の式を有する化合物に関する:
【0025】
【化32】

本発明の特定の実施形態は、以下の式を有する化合物に関する:
【0026】
【化33】

本発明の特定の実施形態は、以下の式を有する化合物に関する:
【0027】
【化34】

本発明の特定の実施形態は、以下の式を有する化合物に関する:
【0028】
【化35】

本発明の特定の実施形態は、以下の式を有する化合物に関する:
【0029】
【化36】

本発明の特定の実施形態は、以下の式を有する化合物に関する:
【0030】
【化37】

本発明の特定の実施形態は、以下の式を有する化合物に関する:
【0031】
【化38】

本発明の特定の実施形態は、以下の式を有する化合物に関する:
【0032】
【化39】

本発明の特定の実施形態は、以下の式を有する化合物に関する:
【0033】
【化40】

本発明の特定の実施形態は、以下の式を有する化合物に関する:
【0034】
【化41】

本発明の特定の実施形態は、以下の式を有する化合物に関する:
【0035】
【化42】

本発明の他の局面は、細胞増殖性疾患を治療する方法に関し、該方法は、被験体に、治療有効量(therapeutically relevant amount)の本発明の第一化合物を投与する工程を包含する。前記被験体は、哺乳動物であり得、そして該哺乳動物は、ヒトであり得る。前記第一化合物は、薬学的に受容可能な賦形剤、希釈剤またはビヒクル中で構成され得る。前記細胞増殖性疾患は、癌であり得る。前記癌は、黒色腫、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、肺癌、肝臓癌、網膜芽細胞腫、星細胞腫、グリア芽細胞腫、白血病、血液癌、脳腫瘍、皮膚癌、眼癌、舌癌、歯肉癌、神経芽細胞腫、頭癌、頸癌、乳癌、膵臓癌、腎臓癌、骨癌、精巣癌、卵巣癌、中皮腫、子宮頚癌、消化管癌、リンパ腫、大腸癌または膀胱癌であり得る。
【0036】
前記細胞増殖性疾患は、関節リウマチ、炎症性腸疾患、骨関節炎、平滑筋腫、腺腫、脂肪腫、血管腫、線維腫、血管閉塞、再狭窄、アテローム性動脈硬化症、新生物発生前病変、上皮内癌、経口毛髪状白斑または乾癬であり得る。
【0037】
特定の実施形態では、前記被験体の細胞において、stat3活性化が減少される。前記被験体の細胞において、c−myc発現が減少され得る。前記第一化合物は、治療有効量の第二化合物と併用して投与され得る。前記第二化合物は、抗癌化合物であり得る。前記第一化合物は、手術、放射線療法または遺伝子療法と併用して投与され得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
(例示的実施形態の説明)
以前の研究は、転写因子(例えば、NF−kB、Stat 3)を活性化するサイトカイン経路が、複数の腫瘍型において、遺伝子損傷またはオートクライン/パラクライン機序によって、調節されないか、または活性化されることを立証した(Hallekら、1998;Hideshimaら、2002)。これらの経路は、腫瘍形成能および癌の進行に対して寄与する。本発明において、数種の化合物が合成され、そしてインビトロスクリーニングは、これらの化合物が、低濃度(約1μM)でIL−6媒介性Stat3活性化を完全にブロックし得ることを明らかにした。さらに、これらの化合物は、多くの悪性腫瘍において頻繁に過剰発現、再配列、または変異されるc−myc癌原遺伝子の発現を急速に抑制する(Hallekら、1998;Selvanayagamら、1988;Jernberg−Wiklundら、1992;Kuehlら、1997)。構造と活性との関連性は、チロホスチンおよびチロホスチン様化合物に関して、本発明において記載される。AG490と比較した場合、これらの化合物は、IL−6処理細胞におけるJak2/Stat3シグナル伝達の阻害において20倍〜50倍以上の活性であり、かつ急速なc−myc下方制御活性を有する。これらの化合物はまた、それらのc−myc下方制御性活性に対応した濃度においてc−myc過剰発現腫瘍細胞のアポトーシスを誘導し得る。本発明は、腫瘍細胞の生存および進行のために重要な遺伝子およびシグナル伝達経路を不活性化する化合物を開示し、そしてこれらの化合物は、単独か、または他の因子と組み合わせて、癌の処置のために使用され得る。
【0039】
(I.化学関連の定義)
長年にわたる特許法の慣習に従って、「a」および「an」は、請求の範囲を含めた本明細書中で使用するとき、1個またはそれ以上を意味する。
【0040】
「アルキル」基は、飽和脂肪族炭化水素を意味し、これには、直鎖、分枝鎖および環状アルキル基が挙げられる。好ましくは、アルキル基は、1個〜12個の炭素を有する。さらに好ましくは、それは、1個〜7個の炭素、さらに好ましくは、1個〜4個の炭素の低級アルキルである。アルキル基は、置換または非置換であり得る。置換されているとき、置換基は、好ましくは、ヒドロキシル、シアノ、アルコキシ、=O、=S、NO、N(CH、アミノまたはSHである。
【0041】
「アルケニル」基は、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を含む不飽和脂肪族炭化水素を意味し、これには、直鎖、分枝鎖および環状基が挙げられる。好ましくは、アルケニル基は、1個〜12個の炭素を有する。さらに好ましくは、それは、1個〜7個の炭素、さらに好ましくは、1個〜4個の炭素の低級アルケニルである。アルケニル基は、置換または非置換であり得る。置換されているとき、置換基は、好ましくは、ヒドロキシル、シアノ、アルコキシ、=O、=S、NO、N(CH、ハロゲン、アミノまたはSHである。
【0042】
「アルキニル」基は、少なくとも1個の炭素−炭素三重結合を含む不飽和脂肪族炭化水素を意味し、これには、直鎖、分枝鎖および環状基が挙げられる。好ましくは、アルキニル基は、1個〜12個の炭素を有する。さらに好ましくは、それは、1個〜7個の炭素、さらに好ましくは、1個〜4個の炭素の低級アルキニルである。アルキニル基は、置換または非置換であり得る。置換されているとき、置換基は、好ましくは、ヒドロキシル、シアノ、アルコキシ、=O、=S、NO、N(CH、アミノまたはSHである。
【0043】
「アルコキシ」基は、「−O−アルキル」基を意味し、ここで、「アルキル」は、上で定義したとおりである。
【0044】
「アリール」基は、共役パイ電子系を持つ少なくとも1個の環を有する芳香族基を意味し、炭素環アリール基、複素環アリール基およびビアリール基が挙げられ、これらの全ては、必要に応じて、置換され得る。好ましくは、アリールは、置換または非置換フェニルまたはピリジルである。好ましいアリール置換基には、ハロゲン、トリハロメチル、ヒドロキシル、SH、OH、NO、アミン、チオエーテル、シアノ、アルコキシ、アルキルまたはアミノ基である。
【0045】
「アルキルアリール」基は、アリール基(上記)に共有結合したアルキル(上記)を意味する。好ましくは、このアルキルは、低級アルキルである。
【0046】
「炭素環アリール」基は、芳香環上の環原子が全て炭素原子である基である。これらの炭素原子は、必要に応じて、上記アリール基について記述した好ましい基で置換されている。
【0047】
「複素環アリール」基は、芳香環内に環原子として1個〜3個のヘテロ原子を有する基であり、その環の残りは、炭素原子である。適当なヘテロ原子には、酸素、イオウおよび窒素が挙げられ、そしてフラニル、チエニル、ピリジル、ピロリル、N−低級アルキルピロロ、ピリミジル、ピラジニル、イミダゾイルなどが挙げられ、全て、必要に応じて、置換されている。
【0048】
「アミド」は、−C(O)−NH−Rを意味し、ここで、Rは、アルキル、アリール、アルキルアリールまたは水素のいずれかである。
【0049】
「チオアミド」は、−C(S)−NH−Rを意味し、ここで、Rは、アルキル、アリール、アルキルアリールまたは水素のいずれかである。
【0050】
「エステル」は、−C(O)−OR’を意味し、ここで、R’は、アルキル、アリールまたはアルキルアリールのいずれかである。
【0051】
「アミン」は、−N(R”)R”’を意味し、ここで、R”およびR”’は、それぞれ別個に、水素、アルキル、アリールまたはアルキルアリールのいずれかであるが、但し、R”およびR”’は、両方共に水素になることはない。
【0052】
「チオエーテル」は、−S−Rを意味し、ここで、Rは、アルキル、アリールまたはアルキルアリールのいずれかである。
【0053】
「スルホニル」は、−S(O)−Rを意味し、ここで、Rは、アリール、C(CN)=C−アリール、CH−CN、アルキルアリール、NH−アルキル、NH−アルキルアリールまたはNH−アリールである。
【0054】
(II.チルホスチンおよびチルホスチン様化合物)
本発明は、細胞増殖性疾患(例えば、癌)を治療するチルホスチンおよびチルホスチン様化合物を提供する。本発明の化合物には、以下の化学式を含む化合物が挙げられる:
【0055】
【化43】

ここで、Rは、RおよびR−Z−からなる群から選択される;そして
ここで、Zは、アルキルである;そして
ここで、Rは、以下からなる群から選択される:
【0056】
【化44】

ここで、X、X、XおよびXは、それぞれ別個に、水素、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、OH、トリハロメチルおよびNOからなる群から選択される;
ここで、Yは、ハロゲンおよびONからなる群から選択される;そして
は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルアリール、ハロゲン、水素、OH、NO、チオエーテル、アミン、SHおよびNHからなる群から選択される;
は、以下からなる群から選択される:
【0057】
【化45】

ここで、Zは、アルキルである;そして
ここで、m=1、2、3または4である;そして
ここで、Rは、以下からなる群から選択される:CN、置換アミン、CHS−アルキル、アルキルおよびCH
ここで、RおよびRは、それぞれ別個に、以下からなる群から選択される:
【0058】
【化46】

単糖類(例えば、グルコース、フルクトース、ガラクトースなど)、多糖類、単糖類誘導体(例えば、アセチル化単糖類(例えば、アセチル化ガラクトース、1,2,3,4−ジイソプロピリデノ−D−ガラクトース))、置換および非置換アリール、および置換および非置換アルキルアリール);
ここで、Zは、NH、SおよびOからなる群から選択され、そして
ここで、XおよびXは、それぞれ別個に、水素および低級アルキルからなる群から選択される。
【0059】
本発明の特定の実施形態では、Rは、CNである。特定の実施形態では、Rは、以下からなる群から選択され得る:
【0060】
【化47】

さらに具体的な実施形態では、Rは、以下である:
【0061】
【化48】

特定の実施形態では、Xは、ハロゲン(例えば、Br)である。
【0062】
は、
【0063】
【化49】

の構造を有するアルキルアリール、および
【0064】
【化50】

の構造を有するアリールからなる群から選択され得る:
ここで、m=0、1、2、3、4、5、6または7であり、そして
ここで、XおよびXは、それぞれ別個に、水素およびアルキルからなる群から選択され、そして
ここで、R、R、R、R10およびR11は、それぞれ別個に、水素、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、OH、トリハロメチルおよびNOからなる群から選択される。
【0065】
さらに具体的な実施形態では、Rは、アルキルアリールである。X、X、XおよびXは、水素であり得る。Zは、低級アルキルであり得、そして該低級アルキルは、−(CHm3−であり、ここで、M3=0、1、2、3または4である。
【0066】
は、低級アルキルであり得、そして該低級アルキルは、−(CHm4−であり、ここで、M4=0、1、2、3または4である。Yは、ONまたはハロゲン(例えば、ClまたはBr)であり得る。
【0067】
特定の実施形態では、Rは、以下からなる群から選択される:
【0068】
【化51】

は、水素であり得る。Yは、ONおよびハロゲン(例えば、BrまたはCl)からなる群から選択され得る。
【0069】
本発明の特定の実施形態は、以下の式を有する化合物に関する:
【0070】
【化52】

本発明の特定の実施形態は、以下の式を有する化合物に関する:
【0071】
【化53】

本発明の特定の実施形態は、以下の式を有する化合物に関する:
【0072】
【化54】

本発明の特定の実施形態は、以下の式を有する化合物に関する:
【0073】
【化55】

本発明の特定の実施形態は、以下の式を有する化合物に関する:
【0074】
【化56】

本発明の特定の実施形態は、以下の式を有する化合物に関する:
【0075】
【化57】

本発明の特定の実施形態は、以下の式を有する化合物に関する:
【0076】
【化58】

本発明の特定の実施形態は、以下の式を有する化合物に関する:
【0077】
【化59】

本発明の特定の実施形態は、以下の式を有する化合物に関する:
【0078】
【化60】

本発明の特定の実施形態は、以下の式を有する化合物に関する:
【0079】
【化61】

本発明の特定の実施形態は、以下の式を有する化合物に関する:
【0080】
【化62】

本発明の特定の実施形態は、以下の式を有する化合物に関する:
【0081】
【化63】

(III.細胞増殖性疾患)
用語「細胞増殖性疾患」とは、損害(例えば、不快さまたは低い平均余命)を多細胞生物に招く、多細胞生物における細胞の異常な増大した成長および/または細胞の制御不能な成長に起因する障害をいう。細胞増殖性疾患は、動物またはヒトにおいて起こり得る。癌は、細胞増殖性疾患の一例であり、そして本発明の特定の実施形態は、癌の処置に関する。
【0082】
特定の実施形態において、本発明の化合物および方法は、多種多様の癌の状態を処置するために使用され得、多種多様の癌の状態としては、例えば、黒色腫、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、肺癌、肝細胞癌、網膜芽腫、星状細胞腫、グリア芽腫、白血病、血液の癌、脳の癌、皮膚の癌、眼の癌、舌の癌、歯肉(gum)の癌、神経芽腫、頭部の癌、頚(neck)部の癌、乳癌、膵臓癌、腎癌、骨の癌、精巣癌、卵巣癌、中皮腫、頚(cervical)部の癌、胃腸の癌、リンパ腫、結腸癌、および/または膀胱の癌の状態が挙げられる。この癌は、癌細胞からできた腫瘍を含み得る。これらの癌の状態は、癌性の細胞、前癌性の細胞、および/または悪性の細胞を含み得る。
【0083】
本発明の化合物はまた、癌以外の細胞増殖性疾患を処置するために使用され得ることもまた、企図される。本発明の特定の実施形態において処置され得る他の細胞増殖性疾患としては、例えば、リウマチ性関節炎、炎症性腸疾患、変形性関節症、平滑筋腫、腺腫、脂肪腫、血管腫、線維腫、血管閉塞、再狭窄、関節硬化症(artherosclerosis)、前新生物性病変(例えば、腺腫様増殖、前立腺上皮内腫瘍新形成)、上皮内癌、口腔毛髪状白斑症(oral hariy leukoplakia)および/または乾癬が挙げられる。
【0084】
さらに、本発明の化合物は、過増殖性疾患以外の疾患を処置するために使用され得る。例えば、特定のチロホスチンは、肥大および虚血(米国特許第6,433,018号明細書)、ならびにB型肝炎感染(米国特許第6,420,338号明細書)の処置のために有用であり得る。本発明の化合物はまた、他の疾患の処置のために有用であり得、他の疾患としては、肥大、虚血、およびウイルス感染(例えば、B型肝炎感染)が挙げられる。
【0085】
(IV.薬学的組成物)
本発明の抗腫瘍化合物は、細胞増殖性疾患に関係している特定の細胞(例えば、腫瘍細胞)を殺すために、活性成分と上記腫瘍中のこの因子の作用部位との接触を可能にする任意の方法によって投与され得る。それらは、個々の治療的活性成分としてか、または治療的活性成分の組み合わせとしてかのいずれかで、医薬品とともに使用するために利用可能な、任意の従来の方法によって投与され得る。それらは、単独で投与され得るが、一般に選ばれた投与の経路および標準的薬学的慣習に基づいて選択された薬学的に受容可能なキャリアとともに投与される。
【0086】
本発明の水性組成物は、癌細胞を殺すか、または癌細胞の成長を遅延するために効果的な量の化合物を有する。このような組成物は、一般に、薬学的に受容可能なキャリア中または水性媒体中に、溶解または分散される。
【0087】
用語「AG化合物」および「WP化合物」とは、本発明の特定の例をいう。例えば、化合物WP1015は、WP化合物の一例であり、そしてAG1801は、AG化合物の一例である。
【0088】
語句「薬学的に受容可能なまたは薬理学的に受容可能な」とは、動物またはヒトそれぞれに見合った投与をした場合、有害な反応、アレルギー性の反応または他の有害な反応を生じない分子実体(entity)および組成物をいう。本明細書中で使用する場合、「薬学的に受容可能なキャリア」は、ありとあらゆる溶媒、分散媒、コーティング、抗菌性因子および抗真菌性因子、等張性因子および吸収遅延因子などを含む。薬学的に活性な物質のためのこのような媒体および因子の使用は、当該分野において周知である。任意の従来の媒体または因子が活性成分と適合性がない場合を除いて、治療的組成物におけるその使用が企図される。補足的な活性成分(例えば、他の抗癌因子)はまた、上記組成物中に取り込まれ得る。
【0089】
非経口的投与(例えば、静脈内注入または筋内注入)のために処方された化合物のみならず、他の薬学的に受容可能な形態としては、例えば、経口投与のための錠剤または他の固形物;徐放性カプセル剤;および現在使用されている任意の他の形態(クリーム、ローション剤、含そう薬、吸入剤、脂質キャリア、リポソームなどを含む)が挙げられる。
【0090】
(A.非経口投与)
活性化合物は、しばしば、非経口的投与のために処方される(例えば、静脈内経路、筋内経路、皮下経路、またはさらに腹腔内経路を介した注入のために処方される)。活性成分として本発明のアントラサイクリンを含む水性組成物の調製は、本開示を踏まえて当業者において公知となる。代表的に、このような組成物は、水性溶液または懸濁液のいずれかとして、注入可能物として調製され得る;注入に先立つ液体の添加により、溶液または懸濁液を調製するように使用するために適切な固形形態もまた、調製され得、そしてこの調製物はまた、乳化され得る。
【0091】
遊離塩基または薬理学的に受容可能な塩としての活性組成物の溶液は、界面活性剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース)と適切に混合された水中で調製され得る。分散液(dispersion)はまた、グリセロール中、液体ポリエチレングリコール中、ならびにそれらの混合物中および油状物中で調製され得る。保管および使用の通常の条件下では、これらの調製物は、微生物の成長を防ぐための保存剤を含む。
【0092】
いくつかの形態において、一般に溶解性およびバイオアベイラビリティーを改善するため、およびより容易に吸収される活性薬物形態を提供するための塩形態の化合物を処方することが所望される。本明細書中で使用する場合、用語「薬学的に受容可能な塩」とは、適切な生理学的に許容される酸を用いた置換アントラサイクリン溶液の酸性化から形成される化合物をいう。適切な生理学的に許容された酸は、有機酸および無機酸(例えば、塩酸、硫酸、リン酸、酢酸、クエン酸、シュウ酸、マロン酸、サリチル酸、マレイン酸、メタンスルホン酸、イソチオン酸、乳酸、グルコン酸、グルクロン酸、アミド硫酸、安息香酸、酒石酸およびパモエート酸(pamoaic acid))である。代表的に、このような活性化合物の塩形態は、使用に先立って提供または混合される。
【0093】
注入可能な使用のために適切な薬学的形態としては、滅菌した水溶液または水性分散液;ゴマ油、ピーナッツ油または水性プロピレングリコールを含む処方物;および滅菌した注入可能な溶液または分散液の即時的な調製のための滅菌した散剤が挙げられる。すべての場合において、上記形態は滅菌されなくてはならず、かつ容易に注射可能な存在(easy syringability exist)である範囲の流体でなくてはならない。それは製造および保管の条件下で安定でなくてはならず、かつ微生物(例えば、細菌および真菌)の汚染作用に対抗して貯蔵されなくてはならない。
【0094】
活性化合物は、中性形態または塩形態で組成物中に処方され得る。薬学的に受容可能な塩としては酸付加塩が挙げられ、そしてそれは、例えば、塩酸またはリン酸のような無機酸、または酢酸、シュウ酸、酒石酸、マンデル酸などのような有機酸とともに形成される。
【0095】
本発明の化合物はまた、リポソームまたは任意の他の脂質キャリアを含む組成物中に処方され得る。リポソームとしては、多小胞リポソーム、多層リポソーム、および単層リポソームが挙げられる。
【0096】
上記キャリアはまた、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)、それらの適切な混合物、および植物油を含む溶媒または分散媒であり得る。適切な流動性は、例えば、コーティング(例えば、レシチン)の使用によって、分散媒の場合は必要とされる粒子サイズの維持によって、および界面活性剤の使用によって維持され得る。微生物の作用の防止は、種々の抗菌性因子および抗真菌性因子(例えば、パラベン(paraben)、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなど)によってもたらされ得る。多くの場合、等張性因子(例えば、糖または塩化ナトリウム)を含むことが好ましい。注入可能な組成物の延長された吸収は、吸収を遅延させる因子の組成物(例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチン)の使用によってもたらされ得る。
【0097】
滅菌した注入可能溶液は、必要に応じて、上に列挙された種々の他の成分を有する適切な溶媒中の必要とされる量の活性化合物を取り込み、続いて濾過滅菌することによって調製される。一般に、分散液は、種々の滅菌した活性成分を塩基性分散媒および上に列挙された必要とされる他の成分を含む滅菌したビヒクル中に取り込むことによって調製される。滅菌した注入可能溶液の調製のための滅菌した散剤の場合、好ましい調製の方法は、活性成分+任意の付加的な所望される成分の散剤を前もって滅菌−濾過された溶液から得る、真空乾燥技術および凍結乾燥技術である。
【0098】
特定の場合において、本発明の治療的処方物はまた、局所的投与のために適切な形態(例えば、クリームおよびローション剤)で調製され得る。これらの形態は、皮膚関連疾患(例えば、種々の肉腫)を処置するために使用され得る。
【0099】
処方に関して、溶液は、投薬処方物と適合した様式および治療的に効果的であるような量で投与され得る。この処方物は、種々の投与形態(例えば、上述の注入可能な溶液の型)で、さらに利用可能な薬物放出カプセルなどを用いて容易に投与される。
【0100】
水性溶液における非経口的投与のために、例えば、この溶液は必要に応じて適切に緩衝されるべきであり、そして液体希釈剤を最初に十分な生理食塩水またはグルコースを用いて等張性にされるべきである。これらの特定の水性溶液は、特に、静脈内投与、筋内投与、皮下投与および腹腔内投与のために適切である。この点について、利用され得る滅菌した水性媒体は、本開示を踏まえて当業者において公知となる。例えば、ある投与量は1mLの等張性NaCl中に溶解され得、そして1000mLの皮下注入液に添加されるか、または計画された注入の部位に注入される(例えば、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」第15版、1035〜1038頁および1570〜1580頁を参照のこと)。投与量におけるいくらかの変動は、処置されている被験体の状態に依存して必然的に生じる。投与の責任がある人物は、いずれにせよ、個々の被験体にとって適切な用量を決定する。
【0101】
(B.経口投与)
特定の実施形態において、活性化合物は、経口的に投与され得る。これは、消化酵素によるタンパク質分解に対して一般に耐性のある因子、または耐性を与えられた因子について企図される。このような化合物は、製造者からの錠剤形態利用可能なすべての化合物または薬物ならびにその誘導体および類似物を含むように企図される。
【0102】
経口投与について、活性化合物は、例えば、不活性の希釈剤または吸収可能な食用キャリアとともに投与され得るか、またはそれらは硬質外皮または軟質外皮のゼラチンカプセルに封入され得るか、または錠剤へと圧縮され得るか、または食事の食物とともに直接取り込まれ得る。経口治療的投与に関して、活性化合物は、賦形剤とともに取り込まれ得、そして摂取可能な錠剤、バッカル錠(buccal table)、トローチ剤、カプセル剤、エリキシル剤、懸濁剤、シロップ剤、カシェ剤などの形態で使用される。このような組成物および調製物は、少なくとも0.1%の活性化合物を含むべきである。この組成物および調製物の百分率は当然ながら変動し得、そして都合良くは1単位の重量の約2%と約60%との間であり得る。このような治療的に有用な組成物における活性化合物の量は、適切な投与量が得られるような量である。
【0103】
錠剤、トローチ剤、丸剤、カプセル剤などはまた、以下のものを含み得る:結合剤(例えば、ガムトラガカント(gum tragacanth)、アカシア、コーンスターチまたはゼラチン);賦形剤(例えば、リン酸二カルシウム);崩壊剤(例えば、コーンスターチ、ジャガイモデンプン、アルギン酸など);滑尺剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム);そして甘味剤(例えば、ショ糖、乳糖またはサッカリン)が添加され得、または矯味剤(例えば、ペパーミント、ウィンターグリーンの油、またはサクランボ香料(cherry flavoring))が含まれ得る。投薬単位形態がカプセル剤である場合、上記の型の材料に加えて液状キャリアを含み得る。種々の他の材料は、コーティングとして存在し得るか、そうでなければ、上記投薬単位の物理的形態を改変するために存在し得る。例えば、錠剤、丸剤、またはカプセル剤は、シェラック、糖またはその両方でコートされ得る。エリキシル剤のシロップ剤は、活性化合物、甘味剤としてのショ糖、保存剤としてのメチルパラベンおよびプロピルパラベン、色素および香料(例えば、サクラ香料またはオレンジ香料)を含み得る。当然ながら、任意の投薬単位形態の調製において使用される任意の材料は、薬学的に純粋であり、かつ使用される量において実質的に無毒性であるべきである。さらに、上記活性化合物は、持続して放出される調製物および処方物の中に取り込まれ得る。
【0104】
処方に関して、化合物は、投薬処方物と適合するある様式で、かつ治療的に効果のあるような量で投与される。この処方物は、種々の投与量(例えば、以下の特定の実施例において記載される投与量)で容易に投与される。
【0105】
(IV.療法)
今日の腫瘍学における主な挑戦の1つは、既存の(given)腫瘍の効果的な処置である。腫瘍は、しばしば従来の療法に対して耐性である。したがって、癌の効果的な処置を見つけることに多大な努力が向けられている。これを達成するための1つの方法は、新規の薬物と従来の療法とを併用することによる方法である。本発明の状況において、化合物を使用した療法は、外科的療法、化学療法、放射線療法、および/または遺伝子療法と併用して使用され得ることが企図される。
【0106】
「効果的な量」または「治療的に関連した量」は、治療的利点を生じるために十分な(例えば、癌細胞の成長の再現性のある阻害、減少、低下、阻害またはその他に抑止に効果のある)化合物の量である。被験体を処置するという状況において、効果的な量は、治療的利点を生じるのに十分である。本明細書中で使用する場合、用語「治療的利点」とは、被験体の細胞増殖性疾患の医療処置に関して、被験体の健康(well−being)を促進または亢進するあらゆることをいう。この非網羅的な例のリストとしては、任意の期間までの患者の生命の延長;疾患の腫瘍性の発達における減少または遅延;過剰増殖の減少;腫瘍成長の低下;転移の遅延;癌細胞、腫瘍細胞、または任意の他の過剰増殖細胞の増殖速度の低下;任意の処置された細胞または処置された細胞によって影響される任意の細胞におけるアポトーシスの誘導;および/または患者の状態に起因し得る、被験体に対する痛みの減少が挙げられる。
【0107】
以下の実施例は、本発明の好ましい実施形態を実証するために含まれる。以下の実施例中で開示される技術は、発明者によって発見された技術が、本発明の実施において良く機能することを表し、したがって、その実施のための好ましい態様を構成すると考えられ得ることが当業者によって理解されるはずである。しかしながら、当業者は本開示を踏まえて、開示される特定の実施形態において多くの変化がなされ得、そしてさらに、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、同様の結果または類似の結果が得られると理解する。
【実施例】
【0108】
(実施例1)
(化合物を合成する一般的な方法)
以下の一般的な手順により、N−(フェニルアルキル)シンナミドを調製した。ベンジルアミン(3.0g、28mmol)およびシアノ酢酸エチル(4.7g、42mmol)を、アセトニトリル(20mL)中にて撹拌し、そして4時間還流した。この一般的な手順におけるベンジルアミンは、上記Rとして描写された任意の置換基で置き換えることができる。真空中で溶媒を除去して、油状物を得、これは、放置すると、固化した。沈殿させると(EtOAc)、3.28g(68%)の灰白色粉末が得られ、これは、中間体としてのN−ベンジルシアノアセトアミドに相当していた。N−ベンジルシアノメチルアミド(1.3、7.5mmol)、3,4−ジヒドロキシベンズアルデヒド(1.1g、8.2mmol)およびピペリジン(触媒、5滴)を、還流状態で、3時間撹拌した。フラッシュクロマトグラフィー(EtOAc)に続いて再結晶(HO/EtOH)すると、白色粉末0.8g(36%)として、生成物が得られた。
【0109】
(実施例2)
(化合物の合成)
実施例1で詳述したプロトコルを使用して、以下の化合物を合成した。これらの化合物の合成に関するデータを、以下で提示する。
【0110】
【化64】

【0111】
【化65】

【0112】
【化66】

【0113】
【化67】

【0114】
【化68】

【0115】
【化69】

【0116】
【化70】

(実施例3)
(化合物は強力な抗癌効果を示す)
IL−6は、多発性骨髄腫(MM)細胞および非ホジキンリンパ腫(NHL)細胞において、Stat3リン酸化を刺激する。図1において、細胞溶解物を調製する前に、MM細胞(MM−1、8226、8226/S、U266)またはNHL(DBr、DB、DS、LP、LR、Mino、MS、FN、Jeko、JM)細胞をIL−6(10ng/ml)で10分間処理し、そして免疫ブロット(Cell Signalingからの抗pY705−Stat3)によってStat3チロシンリン酸化を評価した。すべてのMM細胞株および10種のNHL細胞株のうち5種(具体的に、DB細胞、DS細胞、LP細胞、FN細胞、およびJM細胞)において、IL−6はStat3リン酸化を刺激した。U266細胞が、恒常的に活性化されたStat3を発現し、この発現がIL−6の外因的な添加によってさらに刺激されたことは、注目されるべきことである。
【0117】
サイトカイン媒介性Stat活性化に対する新しく合成されたAG化合物およびWP化合物の効果を試験するために、IL−6またはIFN−αで10分間刺激する前に、多発性骨髄腫(MM−1)細胞を2.5μM濃度、12μM濃度、および25μM濃度で(2時間)AG490またはAG1801を用いて調製した。Stat3およびStat1の発現および活性化を、免疫ブロッティングによって試験した。AG1801(12μMおよび25μM)は、IFN−αシグナル伝達には影響することなく、IL−6シグナル伝達の抑制において効果的であった。AG2019は、12μMおよび25μMで同様の活性を有した。AG490は、これらの条件下では不活性であった。
【0118】
MM細胞においてAG1801がカスパーゼ活性化に影響するか否かを決定するために、カスパーゼ活性化およびPARP開裂について細胞溶解物を試験する前に、上述のようにOCI−My5細胞を処理した。12.5μMおよび25μMで、AG1801は上流カスパーゼおよび下流カスパーゼの両方(すなわち、カスパーゼ3およびカスパーゼ8)を活性化し、そしてAG1801はPARP開裂を増大させた。12.5μMおよび25μMで、AG490は、これらの細胞におけるカスパーゼ活性化およびPARP開裂において効果が無かった。
【0119】
これらの化合物が初代MMコロニー成長(primary MM colony growth)に影響するかを決定するために、MM患者由来の骨髄吸引を磁性ビーズ分離によって部分的に精製し、そしてPCRによって免疫グロブリンH鎖遺伝子再配列を分析した。AG化合物の存在下または非存在下において、細胞をメチルセルロース中で記述されたように7日間〜10日間コロニーとして成長させた。この集団のクローンの性質を確認するために、対照コロニーをIg H鎖遺伝子再配列について試験した。図1において示されるように、AG1801およびAG2019は、MMコロニー形成を完全に阻害した一方、AG490は、より高濃度でより低い有効性であった。
【0120】
Stat3活性化およびc−mycタンパク質発現の両方に対する化合物の効果を決定するために、MM−1細胞、OCI−My5細胞およびU266細胞を、細胞を2ng/mlのIL−6で10分間刺激する前に、25μMのAG1801、AG490、WP1038、WP1039、WP1051、またはWP1052とともに2時間インキュベートした。細胞溶解物を調製し、そしてp−Stat3、Stat3、c−mycおよび(コントロールとして)アクチンで免疫ブロットした。Stat3活性化およびc−myc発現の両方は、WP化合物およびAG化合物によって影響された。IL−6はStat3活性化を刺激したが、c−myc発現を有意に刺激しなかった。
【0121】
MM細胞成長/生存に対するAG化合物およびWP化合物の効果を決定するために、MTTアッセイによって細胞成長および細胞生存を評価する前に、MM細胞を、示された濃度のAGまたはWPとともに72時間インキュベートした。図2A〜図2Cにおいて示されるように、c−mycの下方制御およびIL−6媒介性Stat3活性化のブロッキングにおける化合物活性は、MM細胞株の成長および生存における低下に効果的であった。
【0122】
MM細胞におけるc−myc発現に対するAG490の作用およびAG1801作用の時間的効果および機序を決定するために、MM−1細胞を0μM、25μM、または50μMのAG490またはAG1801とともにインキュベートし、30分後、60分後、または120分後に収集した。c−mycまたはタンパク質ローディング対照としてのアクチンで溶解物を免疫ブロットした。25μMおよび50μMで、測定されたインキュベーション時間のすべてにおいて、AG1801はMM−1細胞におけるc−myc発現を急速に減少させた。対照的に、試験した濃度およびインキュベーション時間で、AG490はc−myc発現に効果をおよぼすことは完全に不可能であった。25μM AG1801で30分間処理した細胞から抽出したc−myc mRNAにおける変化を測定するために、半定量的PCR(semi−quantitative PCR)を使用した。GAPDH PCRを、対照として使用した。この技術で評価した場合、AG1801は、c−myc mRNA発現に対して最小の効果を有した。
【0123】
MM細胞の成長/生存に対するAG化合物およびWP化合物の効果を決定するために、MTTアッセイによって細胞成長および細胞生存を評価する前に、MM細胞を、示された濃度のAGまたはWPとともに72時間インキュベートした。この研究の結果は、図3A〜図3Cに示される。
【0124】
本発明の他の化合物に関するさらなるデータを要約した最新の表は、以下の表1中に含まれる。c−myc下方制御およびStat3阻害に関するSARならびに各々の化合物に関するIC50値は、以下の表1中に示される。
【0125】
【表1−1】

【0126】
【表1−2】

【0127】
【表1−3】

2つの新たな化合物(WP1015およびWP1066)を、図4において示されるように、過去のSAR研究に基づいて合成した。これらの化合物を、多発性骨髄腫、リンパ腫および慢性骨髄性白血病に対するそれらのシグナル阻害性および抗増殖性/抗アポトーシス特性について評価した。WP1015、WP1034、AG1801、およびAG490を、ある濃度の範囲(6μM、12μM、および25μM)にわたり免疫ブロットを使用してそれらのc−myc発現を阻害する能力を試験した。WP1015は、c−mycタンパク質発現の阻害において以前に合成したWP化合物と比較してより活性であった。AG490は、50μMまでの濃度でc−myc発現に対してほとんど効果を有さないか、または効果を有さなかった。同様に、WP1015は、以前の化合物と比較してMM−1細胞におけるStat3リン酸化の阻害において、より効果的であった。
【0128】
WP1066を次いで合成した;WP1066におけるさらなる修飾は、(WP1015と比較して)結果として改善された活性となった。免疫ブロットを使用して示されるように、WP1066は、c−mycタンパク質発現の抑制においてWP1015より活性であった。これらの免疫ブロットをある濃度の範囲(WP化合物に関して1.56μM〜25μM)で試験し、そしてβ−アクチンを対照として使用した。WP1066がc−ycタンパク質発現に対して同様の効果を媒介するか否かを決定するために、細胞をまた、強力な翻訳インヒビターシクロヘキシミド(CHX)で0分間〜30分間処理した。非常に高い濃度でのCHXは、WP1066処理細胞において見られたような急速なc−mycの減少という結果にはならず、このことは、WP1066によるc−mycの翻訳および/または分解の両方に対する可能のある効果を示唆している。
【0129】
WP1066での処理への応答に関して、さらなる細胞型を調べた。免疫ブロットを使用して示されるように、WP1066は、LP非ホジキンリンパ腫細胞ならびにMM細胞においてc−mycタンパク質の急速な下方制御を引き起こし、このことは、c−myc下方制御活性は多発性骨髄腫細胞のみに限定されないことを示した。WP1066について複数の培養時間(5分間、15分間、30分間、60分間)を試験した;c−mycにおける強い減少を、最も短い(5分間)インキュベーション時間で観察した。
【0130】
LPおよび他の細胞型のIL−6媒介性Stat3活性化、c−mycタンパク質発現および抗増殖性に対するこれらの新たな化合物の用量依存的効果および時間依存的効果を決定するために、さらなる研究を行った。範囲(3μM〜25μMのWP化合物)の免疫ブロットを使用して示されるように、WP1066およびWP1015の両方は、LP細胞においてIL−6媒介性Stat3活性化をブロックし、そしてc−myc発現を減少させた。WP1066はWP1015よりもわずかに良い活性を有し、多くの細胞型に対する化合物作用の同時発生的な改善を立証した。
【0131】
WP1066の抗増殖性/抗アポトーシス作用をまた、c−mycを過剰発現することが知られている細胞株において調べた。図5において示されるように、WP1066処理は、多発性骨髄腫(MM−1)細胞株、マントル細胞リンパ腫(Mino)細胞株およびCML(WDT−2、WDT−3、K562、K562−R)細胞株(キナーゼインヒビターイマニチブメシレート(Imatinib mesylate)(K562−R)に耐性であるものを含む)に対して用量依存的抗腫瘍効果を誘導した。したがって、WP1066は、多くの癌細胞株において細胞増殖および/または細胞生存の強力な阻害を明らかに及ぼし、そしてWP1066は治療法として使用される。
【0132】
本明細書中で開示され、そして特許請求された組成物のすべては、本開示を踏まえて、過度の実験を伴わずに作製および完成され得る。本発明の組成物および方法は、好ましい実施形態に関して記載されているが、その変化形は、本発明の概念、精神および範囲から逸脱することなく、その組成物および本明細書に記載された方法の工程または一連の工程に適応され得ることは、当業者に明らかである。より具体的には、化学的も生理学的にも関連する特定の因子は、本明細書中に記載される因子に対して置換され得るが、同一または同様の結果が達成されることは明らかである。当業者にとって明らかな全てのこのような同様の置換および改変は、添付された特許請求の範囲によって定義される本発明の精神、範囲および概念の範囲内であると判断される。
【0133】
(実施例4)
(化合物はインビボにおいて強力な抗癌効果を示す)
化合物WP1129および化合物1130を、実施例1において記載される方法を介して合成した。WP1129およびWP1130の構造は、図6において示される。MM−1骨髄腫腫瘍に対するこれらの化合物のIC50値もまた、図6中に示され、そしてこれらの化合物は化合物WP1066よりもさらに良いIC50値を示す。WP1129およびWP1130の増大された効力は、細胞増殖性疾患(例えば、癌)を処置するためのこれらの化合物への使用を支持する。
【0134】
WP1066、WP1130、およびWP1129によるc−myc/Stat3の改善された阻害を観察した(図7)。これらの化合物を、MM−1細胞におけるそれらのStat3/c−myc阻害活性に関して比較した。c−myc/Stat3の強い阻害を、WP1066、WP1130、およびWP1129について観察した。
【0135】
WP1066が、インビボにおいて腫瘍サイズを縮小させることを見出した。腫瘍が明白なサイズに到達した後にWP1066で処理した、ヌードマウスにおけるヒトA375骨髄腫腫瘍成長の動物研究の結果は、図8において示される。上記化合物の抗腫瘍効果および抗癌効果を評価するために、以下の動物モデルを使用した:0日目に、A375細胞をRPMI 1640培地中に20×10細胞/mlとなるように懸濁した。0日目に、A375細胞を含むこの懸濁液 0.2mlを6週齢〜7週齢の雌スイスヌードマウスの中に注入(皮下)した。7日目に、DMSO/PEG300(50/50)の0.1ml懸濁液中の40mg/kgのWP1066を、8回の注入のためのスケジュールで隔日、1日1回(qd)上記マウスの中に注入(腹腔内)した。ビヒクル(DMSO/PEG300)対照群を含め、実験群あたり5匹のマウスを使用した。動物は、40mg/kgのWP1066を隔日(QID)で合計8回の注入を受けた。上記対照群は、21日目で最大の腫瘍負荷に到達し、そしてこの理由により上記実験を中止した。WP1066は、インビボにおいて強い抗癌効果および抗腫瘍効果を示した。これらの結果は、WP1066、および明細書中に記載される他の化合物は、過剰増殖性(hyperproliferative)疾患(例えば、癌)を処置するために使用され得ることを示す。
【0136】
(参考文献)
以下の参考文献の内容は、本明細書中で述べたものを補う代表的な手順または他の詳細を提供する範囲まで、本明細書中で参考として具体的に援用されている。
【0137】
【化71】

【図面の簡単な説明】
【0138】
以下の図面は本明細書の一部を形成し、そしてそれらは本発明の特定の局面をさらに立証するために含まれる。本発明は、1つ以上のこれらの図面と本明細書中で示された特定の実施形態の詳細な説明とを組み合わせて参考とすることにより、より良く理解され得る。
【図1】化合物AG490、化合物AG1801および化合物AG2019によるMMコロニー形成の阻害。AG1801(12μM)およびAG2019(12μM)がMMコロニー形成を完全に阻害する一方、AG490(25μM)はより高い濃度でより低い効果である。
【図2A】MM細胞株の成長および生存の阻害。図2Aは、MM−1 MM細胞における、化合物に関する用量反応関係である。MTTアッセイによって細胞成長および細胞生存が評価される前に、MM細胞を示された濃度のAG化合物またはWP化合物とともに72時間インキュベートした。化合物AG1801、化合物AG490、および化合物WP1034は、MM1細胞の成長および生存の減少に効果的であった。
【図2B】図2Bは、OCI MM細胞における、化合物に関する用量反応関係である。化合物AG1801、化合物AG490、および化合物WP1034は、上記OCI細胞の成長および生存の減少において、効果的であった。
【図2C】図2Cは、U266 MM細胞における、化合物に関する用量反応関係である。化合物AG1801、化合物AG490、および化合物WP1034は、上記U266細胞の成長および生存の減少において、効果的であった。
【図3A】MM細胞の成長/生存に対する、AG化合物およびWP化合物の効果。MM細胞の成長/生存に対するAG化合物およびWP化合物の効果を決定するために、MTTアッセイによって細胞成長および細胞生存が評価される前に、MM細胞を示された濃度のAGまたはWPで72時間インキュベートした。AG490と比較して、AG1801、WP1034、およびWP1050の効力における明らかな増加が観察され得る。図3Aにおいて、AG1801、WP1034、およびWP1050はMM1細胞の成長および生存を阻害し、そしてAG490と比較して増大された効力を立証している。
【図3B】図3Bにおいては、AG1801、WP1034、およびWP1050がOCI細胞の成長および生存を阻害し、そしてAG490と比較して増大された効力を立証している。
【図3C】図3Cにおいては、AG1801、WP1034、およびWP1050はU266細胞の成長および生存を阻害し、そしてAG490と比較して増大された効力を立証している。
【図4】WP1015およびWP1066の構造が示される。
【図5】多くの癌細胞株に対するWP1066の効果。WP1066は、多くの癌細胞株において、細胞増殖を減少させることにおいて効果的であり、強力な抗癌効果を立証した。
【図6】WP1066、WP1130、およびWP1129の構造が示される。MM−1骨髄腫腫瘍に対するこれらの化合物についてのIC50値が示される。この図は、これらの化合物の改善された活性を図解する。
【図7】WP1066、WP1130、およびWP1129による、改善されたc−myc/Stat3阻害。これらの化合物を、MM−1細胞におけるそれらのStat3/c−myc阻害活性に関して比較した。WP1066、WP1130、およびWP1129に関して、c−myc/Stat3の強い阻害が観察された。
【図8】WP1066は、インビボにおいて腫瘍サイズを縮小させる。腫瘍が明白なサイズに到達した後にWP1066で処理した、ヌードマウスにおけるヒトA375骨髄腫腫瘍成長の動物研究の結果が示される。動物は、合計8回の注入のための40mg/kgのWP1066を隔日(QID)で受けた。対照群が最大の腫瘍負荷に到達した21日目に、この実験を中止した。これらの結果は、WP1066はインビボにおいて腫瘍容積を減少させることを示した。
【図9】WP1119、WP1026、およびWP1127の構造が示される。本発明の化合物の構造の中に取り込まれ得る単糖類(例えば、ガラクトース)および単糖類誘導体(例えば、アセチル化単糖類(例えば、アセチル化ガラクトース、1,2,3,4−ジイソプロピリデノ−D−ガラクトース))の種類の例が、WP1119、WP1026、およびWP1127の構造によって例示される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の化学式を含む化合物:
【化1】

ここで、Rは、RおよびR−Z−からなる群から選択される;そして
ここで、Zは、アルキルである;そして
ここで、Rは、以下からなる群から選択される:
【化2】

ここで、X、X、XおよびXは、それぞれ別個に、水素、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、OH、トリハロメチルおよびNOからなる群から選択される;
ここで、Yは、ハロゲンおよびONからなる群から選択される;そして
は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルアリール、ハロゲン、水素、OH、NO、チオエーテル、アミン、SHおよびNHからなる群から選択される;
は、以下からなる群から選択される:
【化3】

ここで、Zは、アルキルである;そして
ここで、m=1、2、3または4である;そして
ここで、Rは、以下からなる群から選択される:CN、置換アミン、CHS−アルキル、アルキルおよびCH
ここで、RおよびRは、それぞれ別個に、以下からなる群から選択される:
【化4】

単糖類、単糖類誘導体、アリールおよびアルキルアリール;
ここで、Zは、NH、SおよびOからなる群から選択され、そして
ここで、XおよびXは、それぞれ別個に、水素および低級アルキルからなる群から選択される、
化合物。
【請求項2】
が、CNである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が、水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
が、アルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
が、以下からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物:
【化5】

【請求項6】
が、以下である、請求項1に記載の化合物:
【化6】

【請求項7】
が、ハロゲンである、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
が、Brである、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
が、
【化7】

の構造を有するアルキルアリール、および
【化8】

の構造を有するアリールからなる群から選択される、請求項1に記載の化合物:
ここで、m=0、1、2、3、4、5、6または7であり、そして
ここで、XおよびXは、それぞれ別個に、水素およびアルキルからなる群から選択され、そして
ここで、R、R、R、R10およびR11は、それぞれ別個に、水素、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、OH、トリハロメチルおよびNOからなる群から選択される、
化合物。
【請求項10】
が、アルキルアリールである、請求項6に記載の化合物。
【請求項11】
、X、XおよびXが、水素である、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
が、低級アルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
前記低級アルキルが、−(CHm3−であり、ここで、M3=0、1、2、3または4である、請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
が、低級アルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
前記低級アルキルが、−(CHm4−であり、ここで、M4=0、1、2、3または4である、請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
が、ONである、請求項1に記載の化合物。
【請求項17】
が、ハロゲンである、請求項1に記載の化合物。
【請求項18】
前記ハロゲンが、Clである、請求項17に記載の化合物。
【請求項19】
前記ハロゲンが、Brである、請求項17に記載の化合物。
【請求項20】
が、以下からなる群から選択される、請求項10に記載の化合物:
【化9】

【請求項21】
が、水素である、請求項20に記載の化合物。
【請求項22】
が、ONおよびClからなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項23】
が、ONである、請求項22に記載の化合物。
【請求項24】
が、Clである、請求項22に記載の化合物。
【請求項25】
が、ハロゲンである、請求項6に記載の化合物。
【請求項26】
が、Brである、請求項25に記載の化合物。
【請求項27】
以下の式を有する、請求項1に記載の化合物:
【化10】

【請求項28】
以下の式を有する、請求項1に記載の化合物:
【化11】

【請求項29】
以下の式を有する、請求項1に記載の化合物:
【化12】

【請求項30】
以下の式を有する、請求項1に記載の化合物:
【化13】

【請求項31】
以下の式を有する、請求項1に記載の化合物:
【化14】

【請求項32】
以下の式を有する、請求項1に記載の化合物:
【化15】

【請求項33】
以下の式を有する、請求項1に記載の化合物:
【化16】

【請求項34】
以下の式を有する、請求項1に記載の化合物:
【化17】

【請求項35】
以下の式を有する、請求項1に記載の化合物:
【化18】

【請求項36】
以下の式を有する、請求項1に記載の化合物:
【化19】

【請求項37】
以下の式を有する、請求項1に記載の化合物:
【化20】

【請求項38】
以下の式を有する、請求項1に記載の化合物:
【化21】

【請求項39】
細胞増殖性疾患を治療する方法であって、被験体に、治療有効量の請求項1〜38に記載の第一化合物を投与する工程を包含する、方法。
【請求項40】
前記被験体が、哺乳動物である、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記哺乳動物が、ヒトである、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記第一化合物が、薬学的に受容可能な賦形剤、希釈剤またはビヒクル中で構成される、請求項39に記載の方法。
【請求項43】
前記細胞増殖性疾患が、癌である、請求項39に記載の方法。
【請求項44】
前記癌が、黒色腫、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、肺癌、肝臓癌、網膜芽細胞腫、星細胞腫、グリア芽細胞腫、白血病、血液癌、脳腫瘍、皮膚癌、眼癌、舌癌、歯肉癌、神経芽細胞腫、頭癌、頸癌、乳癌、膵臓癌、腎臓癌、骨癌、精巣癌、卵巣癌、中皮腫、子宮頚癌、消化管癌、リンパ腫、大腸癌または膀胱癌である、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記細胞増殖性疾患が、関節リウマチ、炎症性腸疾患、骨関節炎、平滑筋腫、腺腫、脂肪腫、血管腫、線維腫、血管閉塞、再狭窄、アテローム性動脈硬化症、新生物発生前病変、上皮内癌、経口毛髪状白斑または乾癬である、請求項39に記載の方法。
【請求項46】
stat3活性化が、前記被験体の細胞において、減少される、請求項39に記載の方法。
【請求項47】
c−myc発現が、前記被験体の細胞において、減少される、請求項39に記載の方法。
【請求項48】
前記第一化合物が、治療有効量の第二化合物と併用して投与される、請求項39に記載の方法。
【請求項49】
前記第二化合物が、抗癌化合物である、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記第一化合物が、手術、放射線療法または遺伝子療法と併用して投与される、請求項39に記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2007−515413(P2007−515413A)
【公表日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−544085(P2006−544085)
【出願日】平成16年12月13日(2004.12.13)
【国際出願番号】PCT/US2004/041712
【国際公開番号】WO2005/058829
【国際公開日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(591217403)ボード オブ リージェンツ, ザ ユニバーシティ オブ テキサス システム (49)
【氏名又は名称原語表記】BOARD OF REGENTS,THE UNIVERSITY OF TEXAS SYSTEM
【Fターム(参考)】