説明

組み換え細胞毒性RNAseを含む融合タンパク質

抗体または抗体フラグメントに融合された細胞毒性RNAseを含む組み換え免疫毒素が、哺乳動物細胞培養物中で産生され得る。驚くべきことに、抗体の可変ドメインのN末端に融合された細胞毒性RNAseを含む免疫毒素が調製されて、抗原に特異的に結合する能力が保持され得る。この免疫毒素は、望ましくないまたは不適切な細胞増殖または活性を伴う疾患または症候群を処置するための種々の治療方法において用いられ得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、その内容が全体として引用することにより本明細書に組み込まれる、2004年2月13日出願の米国仮特許出願第60/544,227号に対する優先権を主張する。
【0002】
本発明は、非哺乳動物の細胞毒性RNAseおよび免疫グロブリンおよび免疫グロブリンフラグメントの融合タンパク質を含む免疫毒素を提供する。
【背景技術】
【0003】
ランピルナーゼ(ranpirnase)は、疾患の処置のための細胞毒性因子としての見込みを示す非哺乳動物リボヌクレアーゼ(RNAse)のあるクラスのメンバーである。これらのRNAseの細胞毒性は、細胞表面レセプターに対する当初の結合および細胞のサイトゾルへの内部移行(リボソームRNAの付随する分解および細胞タンパク質合成の阻害を伴う)に関与する機構に起因している。Wu et al.,J.Biol.Chem.,268:10686-10693(1993)を参照のこと。当該RNAse活性は、哺乳動物のRNAseインヒビターに対して耐性であり、これによって哺乳動物の酵素に比較して観察される細胞毒性の増強が説明され得る。同上。ランピルナーゼは、このファミリーのRNAseの原型的なメンバーであり、ヒョウガエルの卵母細胞および初期の胚から精製され得る。ランピルナーゼは、12,000の分子量を有し、そしてウサギの網状赤血球溶解物において(IC50 10-11M)、そしてアフリカツメガエル(Xenopus)の卵母細胞に微量注入された場合(IC50 10-10M)、タンパク質合成の強力な阻害を生じる。RNase Aスーパーファミリーの他のメンバーとは異なり、これらの細胞毒性リボヌクレアーゼは、卵母細胞rRNAを分解しない。Lin et al.,Biochem Biophys Res Commun.204:156-62(1994)。これらの分子は、酵素のリン酸結合ポケットの一部を形成し、RNAseおよび抗腫瘍活性に必須である必須のN末端ピログルタミル残基を含む。
【0004】
動物の毒性研究によって、ランピルナーゼが予測可能な用量依存性でかつ可逆性の毒性を、ラット(用量範囲0.01〜0.02mg/kg)およびイヌ(0.005〜0.15mg/kg)の両方で示すということが示される。侵襲性のM109 Madison肺癌腫を接種されて、かつ毎日および毎週の両方のスケジュールでランピルナーゼの腹腔内投与の処置をされたマウスは、有意に延長された生存を示した。ほとんどの著しい結果は、ランピルナーゼの毎週のスケジュールで処置されたマウスの群でみられ、ここでは、18匹の動物のうち6匹が、長期間生存して、明らかに癌が治癒した。Mikulski et al.,J Natl Cancer Inst.82:151-3(1990)。
【0005】
天然のランピルナーゼは、臨床試験において、種々の固体腫瘍に対して抗腫瘍活性を有することが示されている。これに関しては、ランピルナーゼは、例えば、膵臓癌を有する患者を処置する場合、単独で、そしてタモキシフェンのような他の抗腫瘍因子と組み合わせての両方で用いられている。抗腫瘍因子として用いられる場合、これらの細胞毒性RNAseは、特定の細胞タイプに対する標的を可能にするためのマーカーに複合体化され得る。
【0006】
第I相試験では、種々の再発性および耐性の腫瘍に罹患している患者を、ランピルナーゼ(用量範囲60〜960μg/m2)を用いて毎週静脈内処置した。観察される副作用としては、一般に顔面紅潮、筋肉痛、一過性の眩暈および食欲減退が含まれた。タンパク尿の増大、末梢浮腫、高窒素血症、クレアチニンクリアランスの低下、および疲労によって呈示される、用量を制限する腎臓毒性を含む、観察される毒性は、用量依存性でかつ可逆性であり、これは、動物での毒物学的研究と一致している。真の免疫学的感作の臨床的な顕在化は、ランピルナーゼの反復された毎週の静脈内用量後でさえ証明されていない。最大耐容量は、主に腎毒性に起因して、960μg/m2であることが見出された。非小細胞肺癌、食道癌および結腸直腸癌にはなんらかの他覚的な応答があった。Mikulski et al.,Int J Oncol 3:57-64,(1993);Mikulski et al.,J Clin Oncol.20:274-81(2002)を参照のこと。それにもかかわらず、ランピルナーゼは、試験された動物およびほとんどのヒト患者では十分耐容されて、一貫してかつ可逆性の臨床毒性パターンを示し、そしてほとんどの従来の化学療法剤に伴うほとんどの毒性、例えば、骨髄抑制および脱毛症は誘発しなかった。
【0007】
WO97/31116は、(a)N末端メチオニンに続いてグルタミン酸以外のアミノ酸、(b)システインを26位、40位、58位、84位、95位、および110位に、リジンを41位に、そしてヒスチジンを119位に(ウシRNAseAとの最大一致について整列させた場合)を有する組み換えリボヌクレアーゼ、ならびに天然のランピルナーゼ由来のアミノ酸配列を開示している。しかし、RNAse改変体(variant)を含む組み換え細胞毒性RNAseは、多段階のプロセスによって細菌で調製されており、このプロセスには、細菌によって挿入されたN末端ホルミルメチオニン残基を除去するため、そして必須のN末端ピログルタミル残基を生成するためのさらなる工程を要する。それにもかかわらず、細菌中での産生は、グリコシル化された細胞毒性RNAse含有融合タンパク質の調製を妨げる。従って、真核生物細胞において組み換え細胞毒性RNAse融合タンパク質を産生することが有利である。真核生物細胞では、細胞毒性RNAseは、両生類の供給源から精製されたランピルナーゼの細胞毒性特性を保持するが、ヒトにおける所望されない免疫応答は少ないか、またはない。しかし、真核生物細胞における細胞毒性RNAseの発現は、RNAseの細胞毒性活性に起因して細胞死を生じるということも予想される。
【0008】
従って、グリコシル化RNAse融合タンパク質を含む、細胞性RNAse含有融合タンパク質を調製する改良方法が極めて望ましいということが明らかである。グリコシル化細胞毒性RNAse融合タンパク質自体が極めて所望される分子であるということも明らかである。
【発明の開示】
【0009】
従って、本発明の目的は、(a)第一の免疫グロブリン可変ドメインに融合された非哺乳動物の細胞毒性リボヌクレアーゼを含む融合ポリペプチドと、(b)第二の免疫グロブリン可変ドメインを含む第二のポリペプチドとを含み、この免疫グロブリン可変ドメインの1つが軽鎖可変ドメインであり、かつもう一方の免疫グロブリン可変ドメインが重鎖可変ドメインであり、この第一および第二の免疫グロブリン可変ドメインが一緒になって抗原結合部位を形成し、そしてこの免疫毒素がグリコシル化されている、免疫毒素を提供することである。
【0010】
本発明の別の目的は、哺乳動物宿主細胞を培養することによってこれらおよび他の免疫毒素を作製する方法を提供することであって、この宿主細胞は、(a)第一の免疫グロブリン可変ドメインに融合された非哺乳動物細胞毒性リボヌクレアーゼを含む融合ポリペプチドをコードする核酸配列と、(b)第二の免疫グロブリン可変ドメインを含む第二のポリペプチドをコードする核酸配列とで形質転換され、この第一および第二の免疫グロブリンの可変ドメインは一緒になって抗原結合部位を形成する。
【0011】
本発明のさらに別の目的は、細胞毒性RNAse部分に融合された内部移行抗体(internalizing antibody)または抗体フラグメントを含む免疫毒素であって、このRNAse部分がN末端ピログルタミン酸残基を保有し、かつこのRNAse部分がそのC末端において、この抗体または抗体フラグメントの軽鎖を含むポリペプチドのN末端、あるいはこの抗体またはフラグメントの重鎖を含むポリペプチドのN末端、あるいはこの抗体またはフラグメントの軽鎖および重鎖の両方のN末端に融合されている免疫毒素を提供することである。
【0012】
例えば、一実施形態では、非哺乳動物細胞毒性リボヌクレアーゼは、第一の免疫グロブリン可変ドメイン、例えば、軽鎖可変ドメインのN末端に融合されてもよい。この非哺乳動物リボヌクレアーゼは、N末端ピログルタミン酸残基を有してもよい。
【0013】
上記融合ポリペプチドおよび第二の免疫グロブリン可変ドメインは、別の分子であってもよく、そして宿主細胞中で別の分子として産生されてもよい。
【0014】
上記融合ポリペプチドはさらに、CLドメインを含んでもよく、そして上記第二のポリペプチドはさらにCH1ドメインを含んでもよい。
【0015】
上記第二のポリペプチドはさらに、CH2ドメインおよびCH3ドメインを含んでもよい。
【0016】
別の実施形態では、非哺乳動物リボヌクレアーゼは、重鎖可変ドメインのN末端に融合されてもよい。この非哺乳動物リボヌクレアーゼは、N末端ピログルタミン酸残基を有してもよい。この融合ポリペプチドおよび第二の免疫グロブリン可変ドメインは、別の分子であってもよく、そして宿主細胞中で別の分子として産生されてもよい。
【0017】
この融合ポリペプチドはさらに、CH1ドメインを含んでもよく、そして第二のポリペプチドはさらにCLドメインを含んでもよい。
【0018】
この融合ポリペプチドはさらに、CH2ドメインおよびCH3ドメインを含んでもよい。
【0019】
さらに別の実施形態では、非哺乳動物リボヌクレアーゼは、第一および第二の免疫グロブリン可変ドメインの両方のN末端に融合されてもよい。この非哺乳動物リボヌクレアーゼは、N末端ピログルタミン酸残基を有してもよい。この第一の免疫グロブリン可変ドメインは、重鎖可変ドメインであってもよく、そして第二の免疫グロブリン可変ドメインは、軽鎖可変ドメインであってもよい。
【0020】
この第一および第二の融合ポリペプチドは、別の分子であってもよく、そして宿主細胞中で別の分子として産生されてもよい。
【0021】
この第一の融合ポリペプチドはさらに、CH1ドメインを含んでもよく、そして第二の融合ポリペプチドはさらにCLドメインを含んでもよい。
【0022】
この第一の融合ポリペプチドはさらに、CH2ドメインおよびCH3ドメインを含んでもよい。
【0023】
免疫毒素は、例えば、CH2ドメイン上で、および/またはRNAse上でグリコシル化されてもよい。
【0024】
上記の非非哺乳動物リボヌクレアーゼは、例えば、ヒョウガエルから精製されたランピルナーゼの配列および構造を有する酵素であってもよい。
【0025】
上記抗原結合部位は、細胞表面分子に対して特異的に結合してもよく、そして上記免疫毒素は、この細胞表面分子を保有する細胞結合した際に内部移行されてもよい。
【0026】
上記免疫毒素は、ガン細胞、感染/炎症の部位、自己免疫疾患に対するか、または微生物および寄生生物に対するものであり得る。
【0027】
上記免疫毒素は、B細胞抗原、T細胞抗原、形質細胞抗原、HLA−DR系統抗原、CEA,NCA、MUC1、MUC2、MUC3、MUC4およびMUC16抗原、EGP−1抗原、GEP−2抗原、胎盤アルカリホスファターゼ抗原、IL−6、VEGF、P1GF、ILGF、EGFR、Her2/neu、テネイシン、CD33、CD74、PSMA、PSA、PAP、Leyを含む腫瘍関連抗原、自己免疫疾患、感染/炎症および感染性疾患に関連する抗原からなる群より選択される抗原に対するものであってもよい。
【0028】
上記抗原は、B細胞もしくはT細胞リンパ腫に関連する標的抗原、または自己免疫疾患に関連するB細胞もしくはT細胞であってもよい。
【0029】
上記抗原は、悪性疾患によって発現されるCD19、CD22、CD40、CD74、CEA、NCA、MUC1、MUC2、MUC3、MUC4、HLA−DR、EGP−1、EGP−2、EGFR、Her2/neu、IL−15およびHLA−DRからなる群より選択される抗原であってもよい。
【0030】
上記免疫毒素の免疫グロブリン可変ドメインは、悪性疾患を標的する場合、例えば、RS11、17−1A、RS7、LL1、LL2、MN−3、MN−14、MN−15もしくはPAM4,またはそのヒト化バージョンに由来し得る。
【0031】
免疫毒素によって結合される抗原は、特定の悪性疾患に関しては、例えば、EGP−2,EGP−1、CD22、CD74、CEA、炭酸脱水素酵素IX、またはMUC1であってもよい。
【0032】
標的化抗原は、細菌、ウイルス、真菌、マイコプラズマ、寄生生物、または他の微生物によって発現されてもよい。
【0033】
標的化合物抗原は、活性化顆粒球のような、感染の部位での宿主細胞蓄積によって発現されてもよい(例えば、CD15、CD33、CD66a、CD66b、およびCD66c(NCA)など)。適切なこのような顆粒球抗体は、MN−3であり、そのFab’はLeukoScan(商標)で用いられる。
【0034】
上記の方法および/または組成物のいずれかにおいて、可変ドメインはヒト化されてよいしまたはヒトドメインであってもよい。
【0035】
本発明の別の実施形態では、薬学的に受容可能なキャリアとともに上記されたような免疫毒素を含む薬学的組成物が提供される。
【0036】
本発明のさらに別の実施形態では、被験体に対して上記のような組成物を、疾患または症候群の症状を処置または改善するために有効な量で投与することによって、この被験体におけるこの疾患または症候群を処置する方法が提供される。この疾患または症候群は、この被験体における細胞、例えばT細胞、骨髄細胞または形質細胞の望ましくないまたは不適切な増殖または活性化によって特徴付けられ得る。あるいは、この疾患は、感染性微生物または寄生生物の存在によって特徴付けられ得る。
【0037】
この疾患は、例えば、癌腫、肉腫、神経膠腫、白血病、リンパ腫、黒色腫、神経芽細胞腫、および骨髄腫からなるガンの群より選択され得る。
【0038】
この疾患または症候群は、固形腫瘍、例えば、神経芽細胞腫、悪性黒色腫、または癌腫、例えば、乳房、藍藻、前立腺、肺、腎臓、胃、結腸直腸、肝臓、または膵臓の癌腫の存在によって特徴付けられ得る。
【0039】
これらの方法では、薬学的組成物は、被験体に対して、1日あたり2回以上、例えば、0.1〜約1000mgの量で投与されてもよいが、それより多く用いられても少なく用いられてもよい。
【0040】
望ましくないまたは不適切な増殖または活性化を受けている細胞は、例えば、関節リウマチ、シェーグレン症候群、急性特発性血小板減少性紫斑病、慢性特発性血小板減少性紫斑病、皮膚筋炎、シデナム舞踏病、重症筋無力症、全身性エリテマトーデス、ループス腎炎、リウマチ熱、多腺性症候群、水疱性類天疱瘡、糖尿病、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病、連鎖球菌感染後腎炎、結節性紅斑、高安動脈炎、アジソン病、多発性硬化症、サルコイドーシス、潰瘍性大腸炎、多形性紅斑、IgA腎症、結節性多発性動脈炎、強直性脊椎炎、グッドパスチャー症候群、血栓血管炎(thromboangitis ubiterans)、原発性胆汁性肝硬変、橋本甲状腺炎、甲状腺中毒症、強皮症、慢性活動性肝炎、多発性筋炎/皮膚筋炎、多発性軟骨炎、尋常性天疱瘡、ヴェーゲナー肉芽腫症、膜性腎症、筋萎縮性側索硬化症、脊髄癆、巨細胞性動脈炎/多発性筋痛、悪性貧血、急速進行性糸球体腎炎および線維化性肺胞炎のような1つ以上の自己免疫疾患の発症および進行に関与し得る。
【0041】
本発明の組成物が、感染の治療的処置のために用いられる場合、免疫毒素の免疫グロブリン構成要素は、疾患原因の微生物、例えば、病原性細菌、ウイルス、真菌および多様な寄生生物に特異的に結合し、そして抗体は、これらの微生物、それらの産物もしくは表面抗原、またはそれらの病変に関連する抗原を標的し得る。微生物の例としては、限定はしないが、
ストレプトコッカス・アガラクティエ、在郷軍人病菌、化膿連鎖球菌、大腸菌、淋菌、髄膜炎菌、肺炎球菌、Hemophilis influenzae B、梅毒トレポネーマ、ライム病スピロヘータ、緑膿菌、ハンセン菌、ウシ流産菌、ヒト結核菌、破傷風毒素、抗ウイルスモノクローナル抗体、HIV−1、HIV−2、HIV−3、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、D型肝炎、狂犬病ウイルス、インフルエンザウイルス、サイトメガロウイルス、単純疱疹IおよびII、ヒト血清パルボ様ウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、B型肝炎ウイルス、麻疹ウイルス、アデノウイルス、ヒトT細胞白血病ウイルス、エプスタイン・バーウイルス、マウス白血病ウイルス、流行性耳下腺炎ウイルス、水疱性口内炎ウイルス、シンドビスウイルス、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス、疣ウイルス、ブルー・タングウイルス、センダイウイルス、猫白血病ウイルス、レオウイルス、ポリオウイルス、シミアン・ウイルス40、マウス乳癌ウイルス、デング熱ウイルス、ポリオーマウイルス、パピローマウイルス、SARSウイルス、種々のインフルエンザウイルス、風疹ウイルス、原生動物、熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)、三日熱マラリア原虫(Plasmodium vivax)、トキソプラズマ原虫、Trypanosoma rangeli、クルーズ・トリパノソーマ、Trypanosoma rhodesiensei、トリパノソーマ・ブルーセイ、マンソン住血吸虫,Schistosoma japanicum、Babesia bovis、Elmeria tenella、回旋糸状虫、熱帯リーシュマニア、旋毛虫、Theileria parva、Taenia hydatigena、Taenia ovis、無鉤条虫、単包条虫、Mesocestoides corti、マイコプラズマ、Mycoplasma arthritidis、M.hyorhinis、M.orale、M.arginini、Acholeplasma laidlawii、M.salivarium、およびM肺炎が挙げられる。
【0042】
本発明の他の目的、特徴および利点は、以下の詳細な説明から明らかになる。しかし、この詳細な説明および特定の実施例は、本発明の好ましい実施形態を示すが、例示のためだけに示していることが理解されるべきである。なぜなら、本発明の趣旨および範囲内の種々の変化および改変が、この詳細な説明から当業者には明白になるからである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
本発明者らは、驚くべき事に、細胞毒性RNAse分子を含む融合分子が哺乳動物細胞において調製され得ることを見出した。この結果は、驚くべきである。なぜなら、酵素的に活性な細胞毒性RNAse分子を含む分子は、細胞増殖を妨害して、これによって融合タンパク質の組み換え産生を妨げる程度まで細胞毒性であることが予想されるからである。
【0044】
この結果によって、原核生物宿主細胞を用いて組み換え方法によって調製することが以前には困難であるかまたは不能であった哺乳動物細胞において、細胞毒性RNAse融合タンパク質を調製する可能性がもたらされる。例えば、哺乳動物宿主細胞における産生によって、原核生物宿主細胞を用いる場合、必須のN末端ピログルタミル残基を生成することに関連する困難性が回避される。さらに、哺乳動物宿主細胞の使用によって、マルチサブユニットタンパク質、例えば、インタクトなFc領域を含むIgG構造の容易な調製が可能になり、そしてまたグリコシル化融合タンパク質、例えば、Fc領域上でグリコシル化されるインタクトな抗体の調製が可能になる。細胞毒性RNAseと免疫グロブリン、例えば抗体または抗体フラグメントとの間の融合タンパク質は、本明細書において以降では免疫毒素と呼ばれる。この方法はまた、任意の適切な抗体フラグメント、例えば、F(ab’)2、F(ab)2、Fab’、Fab、FvおよびscFvを含む免疫毒素を調製するために用いられ得る。
【0045】
本発明はまた、RNAseが、Ig可変ドメイン(例えばVHまたはVLドメイン)の1つのN末端に融合される、細胞毒性RNAse含有免疫グロブリン融合タンパク質を提供する。これは驚くべきことに、細胞毒性RNAse活性を保持するだけでなく、抗原結合部位でIg結合特異性を保持しており、N末端融合の調製によって立体的にブロックされることが期待されている融合タンパク質を提供する。
【0046】
さらに、本発明者らは、驚くべきことに、本発明の細胞毒性RNAse融合タンパク質が細胞および微生物/寄生生物の殺傷に有効であることを見出している。詳細には、迅速な内部移行抗体成分を含む免疫毒素は細胞特異的な様式で極めて細胞毒性であることが見出されている。例えば、ヒト化LL1抗体のN末端に対する細胞毒性RNAseの融合によって、CD74(LL−1の標的)の不変鎖を発現する細胞に対して特異的に結合して、結合の際その細胞集団に対して細胞毒性である免疫毒素が産生された。この結果は、驚くべきことである。なぜなら、融合タンパク質は、融合タンパク質の細胞毒性を大きく低下させるか、またはさらに排除する可能性が高いことが予期される、内部移行の際に細胞のリソソームに送達されて、そこで分解されることが予想されるからである。
【0047】
本発明はまた、疾患または症候群に罹患している被験体を、上記で記載されるタイプの免疫毒素の有効量をこの被験体に投与することによって処置する方法を提供する。
【0048】
(定義)
他に特定しない限り、用いられる全ての技術および科学的用語は、当業者によって通常理解されるのと同じ意味を有する。さらに、本明細書に引用される全ての特許および他の引用文献の内容は、その全体が引用することにより組み込まれる。本発明の目的のためには、以下の用語は以下のとおり規定される:
【0049】
アミノ酸は、名称によるか、またはその一般に公知の3文字記号か、もしくは1文字のIUPAC記号のいずれかによって言及される。ヌクレオチドは、その通常受容される一文字コードによって呼ばれる。
【0050】
特定の核酸配列の「保存的に改変されたバリエーション(conservatively modified variations)」とは、同一であるかまたは本質的に同一であるアミノ酸配列をコードする核酸をいうか、またはこの核酸が、アミノ酸配列をコードしない場合は、本質的に同一の配列をいう。遺伝子コードの縮重の理由で、多数の機能的に同一の核酸が、任意の所定のポリペプチドをコードする。例えば、コドンGCA、GCC、GCGおよびGCUは全てがアラニンというアミノ酸をコードする。従って、アラニンがコドンによって特定されるあらゆる位置では、このコドンは、コードされたポリペプチドを変化させることなく、記載される任意の対応するコドンに変化され得る。メチオニンをコードするAUG以外の核酸中の各々のコドンが、機能的に同一の分子を生じるように改変され得る。本明細書に記載される核酸配列はまた、これらの変更を包含する。
【0051】
アミノ酸配列の「保存的に改変されたバリエーション」とは、コードされた配列中の単独のアミノ酸または小さい割合のアミノ酸を変更させる個々の置換であって、この変更によって、化学的に類似のアミノ酸でのアミノ酸の置換が生じる置換を包含する。保存的置換は当業者に周知である。以下の6つの群の各々は、お互いについて保存的置換であるアミノ酸を含む:
1.アラニン、セリン、トレオニン
2.アスパラギン酸、グルタミン酸
3.アスパラギン、グルタミン
4.アルギニン、リジン
5.イソロイシン、ロイシン、メチオニン、バリン、そして
6.フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン。
【0052】
アミノ酸配列の「保存的に改変されたバリエーション」はまた、コードされた配列中の単独のアミノ酸または小さい割合のアミノ酸の欠失または付加であって、この付加および欠失が、化学的に類似のアミノ酸でのアミノ酸の置換を生じる欠失または付加を包含する。本明細書に記載されるアミノ酸配列はまた、これらのバリエーションを包含する。
【0053】
「単離された(isolated)」または「生物学的に純粋な(biologically pure)」という用語は、その天然に存在する環境において見出されるような通常伴う成分を実質的にまたは本質的に含まない物質をいう。この単離された物質は状況に応じて、その天然の環境においてこの物質とともに見出されない物質を含む。
【0054】
「核酸(nucleic acid)」という用語は、デオキシリボヌクレアーゼまたはリボヌクレオチドポリマーであって、一本鎖型または二本鎖型のいずれかをいい、他に限定しない限り、天然に存在するヌクレオチドに対して同様の様式で核酸にハイブリダイズする天然のヌクレオチドの公知のアナログを包含する。他に示さない限り、特定の核酸配列とは、その相補的な配列を含む。
【0055】
「発現ベクター(expression vector)」とは、組み換え発現カセットを含み、この組み換え発現カセットは、細胞によって転写および翻訳され得る、本発明によるポリペプチドをコードする核酸を包含する。組み換え発現カセットとは、組み換え的にまたは合成的に生成された核酸構築物であり、標的細胞において特定の核酸の転写を可能にする一連の特定の核酸エレメントを伴う。発現ベクターは、プラスミド、ウイルスまたは核酸フラグメントの一部であってもよい。代表的には、この発現ベクターのこの組み換え発現カセット部分は、転写されるべき核酸およびそれに作動可能に連結されるプロモーターを包含する。
【0056】
「組み換え体(recombinant)」という用語は、タンパク質に関して用いられる場合、ある細胞がその細胞には外因性である起源の核酸によってコードされるペプチドまたはタンパク質を発現することを示す。組み換え細胞は、その細胞の天然の(非組み換え体)型内では見出されない遺伝子を発現し得る。組み換え細胞はまた、細胞の天然の形態で見出される遺伝子を発現し得、この遺伝子は、人工的な方法によって、例えば、異種プロモーターの制御下で細胞に再導入される。
【0057】
「実質的な同一性(substantial identity)」または「実質的な類似性(substantial similarity)」という用語は、ポリペプチドの文脈では、あるポリペプチドが参照配列と少なくとも80%、さらに好ましくは90%、そして最も好ましくは少なくとも95%の同一性を有する配列を含むことを示す。実質的に同一である2つのポリペプチドとは、このポリペプチドの1つが第二のペプチドに対して惹起された抗体と免疫学的に反応性であることを意味する。2つの核酸が実質的に同一であるとは、この2つの分子がストリンジェントな条件下でお互いにハイブリダイズすることである。一般に、ストリンジェントな条件とは、所定のイオン強度およびpHにおいて特定の配列についての融点(Tm)よりも約5℃〜20℃低いように選択される。このTmは、標的配列の50%が完全にマッチしたプローブにハイブリダイズする温度(所定のイオン強度およびpH下で)である。しかし、ストリンジェントな条件下でお互いに対してハイブリダイズしない核酸は、それらがコードするポリペプチドが実質的に同一であるならば、やはり実質的に同一である。
【0058】
「抗体(antibody)」とは、当分野で周知の種々の免疫グロブリン種(IgG1、IgG4、IgMなど)の抗体全体および抗体フラグメント、例えば、F(ab’)2、F(ab)2、Fab’Fab、Fvなどを含み、このフラグメントとしては、標的抗原に結合する能力を保持するハイブリッドフラグメントが挙げられる。また、免疫グロブリンの超可変性の抗原結合領域を保持する任意の小フラグメントも有用である。抗体全体から、抗原に特異的に結合する能力を保持している抗体フラグメントを作成する方法は、当分野で周知であり、そして例えば、Harlow and Lane「Antibodies:A Laboratory Manual」CSHL Press(1988)に記載されている。組み換え抗体または抗体フラグメントを作成する方法は、当分野で周知であり、例えば、McCafferty et al.,「Antibody Engineering:A Practical Approach」IRL Press(1996)に記載されている。Fabフラグメントは、代表的には鎖間ジスルフィド結合を含む(VL−CL)−(VH−CH1)二量体を含む。Fab’フラグメントは、類似であるが、また重鎖ヒンジドメインの一部を含む。F(ab’)2フラグメントとは、従来、2つのFab’フラグメントのジスルフィド結合二量体を指すことが理解される。本発明の抗体は、任意の種の抗体であってもよいが、この抗体はヒト抗体またはヒト化抗体であることが有利である。抗体はまた、任意の周知の形態または組み換え抗体、例えば、単鎖Fv(VH鎖に対する任意のリンカーによって結合されたVL鎖を含む)であってもよい。このリンカーが短いかまたは存在しない場合、この単鎖Fvは二量体または多量体に二量化し、この二量体とは二重特異性抗体として公知である。特定の環境下では、本発明の抗体はまた、単結合ドメイン抗体、例えば、ラクダ科抗体(Dumoulin et al.,「Single-domain antibody fragments with high conformational stability.」Protein Sci. 11,500-515(2002);Hamers-Casterman et al.,「Naturally occurring antibodies devoid of light chains」Nature 363,446-448(1993);ならびにMuyldermans.「Single domain camel antibodies:current status」J Biotechnol.74,277-302(2001)を参照のこと)、または「ドメイン抗体(domain antibody)」を含み得る。WO92/01787およびそこに引用される参考文献を参照のこと。ヒト抗体とは、ヒト被験体において産生される抗体由来であるか、またはヒトにおいて産生される抗体の特徴である配列を有するかのいずれかの配列を有する、抗体または抗体フラグメントである。このような抗体は、例えば、米国特許第6,300,064号に記載される。ヒト抗体はまた、ヒト抗体ライブラリーから単離され得る。例えば、米国特許第6,300,064号および同第6,172,197号、ならびにそこに記載される参考文献を参照のこと。ヒト化抗体は、非ヒト抗体からヒトフレームワークへCRD領域を挿入することによって、続いて必要に応じて抗原結合を回復または最適化させるための特定のフレームワーク残基の変異によって調製される抗体である。ヒト化抗体は当分野で周知である、そして例えば、Jones et al.,Nature 321:522(1988);Riechmann et al.,Nature 332:323(1988);およびWinter&Milstein,Nature,349:293(1991)に記載される。
【0059】
「標的化部分(targeting moiety)」とは、所定の細胞タイプの上のマーカーまたはレセプターに特異的である抗体、ペプチド、サイトカイン、オリゴヌクレオチド、または増殖因子である。標的化部分は、所定の細胞タイプに関連するマーカーと優先的に関連することによって、その細胞タイプに対して、結合された分子を特異的に送達するために用いられ得る。
【0060】
「融合タンパク質(fusion protein)」とは、2つ以上のポリペプチド、さらに詳細には、細胞毒性RNAseおよび標的化部分を結合することによって形成されるキメラ分子である。細胞毒性RNAseおよび標的化部分は、標的化部分のアミノ末端とRNAseのカルボキシル末端との間で形成されたペプチド結合を通じて結合され、そして融合タンパク質をコードする核酸配列によって組み換え的に発現される。単鎖融合タンパク質は、単一の連続するポリペプチド骨格を有する融合タンパク質である。
【0061】
「化学的複合体(chemical conjugate)」とは、細胞毒性RNAseおよび標的化部分の化学的カップリングによって形成される複合体である。
【0062】
「薬学的に受容可能なキャリア(pharmaceutically acceptable carrier)」とは、免疫毒素を投与するためのビヒクルとして用いられ得る物質であって、この物質は、不活性であるかそうでなければ医学的に受容可能であり、そして融合タンパク質またはアームのリガンドと適合性であるという理由でビヒクルとして用いられ得る物質である。
【0063】
(細胞毒性RNAseをコードする核酸の調製)
当業者は、本発明における使用に適切な細胞毒性RNAse部分が、天然のランピルナーゼ構造を有するポリペプチドおよび全ての酵素的に活性なその改変体を含むことを認識する。これらの分子は有利には、RNAse活性に必須であると考えられるN末端ピログルタミン酸残基を有し、哺乳動物RNAseインヒビターによって実質的に阻害されない。天然の細胞毒性RNAseをコードする核酸は、適切な配列のクローニングおよび制限によって、またはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によるDNA増幅を用いることによって調製され得る。ヒョウガエルのランピルナーゼのアミノ酸配列は、Ardelt et al.,J.Biol.Chem.,256:245(1991)から得ることが可能であり、そして天然のランピルナーゼをコードするcDNA配列、またはその保存的に改変された改変体は、Leung et al.,Mol.Immunol.,32:1413(1995)のhLL2ヒト化に用いられるen bloc V-geneアセンブリ法と同様の方法によって遺伝子合成され得る。細胞毒性RNAse改変体を作成する方法は、当分野で公知であり、そして慣用的な技術の範囲内である。
【0064】
あるいは、細胞毒性RNAseまたはその改変体をコードする核酸は、インビトロで合成され得る。化学的合成によって一本鎖オリゴヌクレオチドが生成される。相補的な配列とのハイブリダイゼーションによって、または短いプライマーおよび一本鎖をテンプレートとして用いるDNAポリメラーゼでの重合によって、これは二本鎖DNAに変換され得る。化学的合成は、約100塩基の配列に最も適合するが、より短い配列を連結することによってそれより長い配列を得てもよい。下の実施例2は、細胞毒性RNAse遺伝子を得るための1つの例示的な方法を提供する。
【0065】
(免疫グロブリン遺伝子の調製)
抗体をコードする遺伝子を調製する方法は、当分野で周知である。例えば、変性プライマーセットを用いるPCRを用いて、抗体産生細胞、例えばハイブリドーマから得られる可変鎖配列cDNAを増幅してもよい(または周知の方法を用いる直接RT−PCRが、細胞から得られるmRNAに対して直接用いられ得る)。例えば、Marks et al.,J Mol Biol.(1991)222:581-97、およびそこに引用される参考文献を参照のこと。非ヒト抗体は、当分野で周知である方法によってヒト化されてもよい。Leung、前出およびそこに引用される方法を参照のこと。あるいは、ヒト(または他の種)の抗体可変領域ドメインをコードする遺伝子は、MorphoSys(Martinsried,Germany)またはCambridge Antibody Technology(Cambridge,UK)から市販されているタイプのファージ・ディスプレイ・ライブラリーから得てもよい。下の実施例1および実施例3はまた、抗体可変ドメインをコードする核酸配列を得るための例示的な方法を示す。
【0066】
本質的に、所望の特異性を有する任意の抗体配列が、本発明による免疫毒素を調製するために用いられ得る。特に好ましいのは、治療上有用であることが示されている特異性を有する抗体である。適切な例としては、限定はしないが、腫瘍に結合する抗体、例えば、B細胞抗原、T細胞抗原、形質細胞抗原、HLA−DR系統抗原、MUC1、MUC2、MUC3、およびMUC4およびMUC16抗原、EGP−1抗原、EGP−2抗原、胎盤アルカリホスファターゼ抗原、炭酸脱水素酵素IX、IL−6、VEGF、P1GF、ILGF、Her2/neu、テネイシン、CD33、CD40、CD74、CD80、PSMA、PSAおよびPAP;ならびにHLA−DR、CD27、CD40、B細胞およびT細胞抗原(例えば、CD15、CD19、CD20、CD21、CD25およびCD22抗原)を含む自己免疫疾患に関連する抗原が挙げられる。この抗原は、CD19、CD21、CD22、CD40、MUC1、HLA−DRおよびIL−15のようなB細胞またはT細胞リンパ腫または白血病に関連する抗原であってもよい。この抗原がCD74またはCD74−HLA−DR複合体である場合、適切な抗体はLL1またはそのヒト化バージョンである。抗原がCD22である場合、適切な抗体はLL2もしくはRBF4であるか、またはそのヒト化バージョンである。抗原がMUC1である場合、適切な抗体はPAM4、またはそのヒト化バージョンである。抗原がCD16である場合、適切な抗体は、CA125またはMu−9のいずれかである。抗原がEGP−1である場合、適切な抗体はRS7またはそのヒト化バージョンである。抗原がEGP−2である場合、適切な抗体としてはRS11もしくは17−1Aまたはそのヒト化バージョンが挙げられる。この抗体は急速に内部移行する抗体であることが有利である。
【0067】
可変ドメイン遺伝子の挿入に適切な抗体定常ドメインを含むか、または含むように操作され得るベクターは、当分野で公知であり、そしてこのようなベクターはまた、本発明の免疫毒素の発現のために適切である。このようなベクターは、哺乳動物宿主細胞において、コードされた遺伝子の転写を開始するのに必須である必須の制御配列を含む。このようなコントロール配列は、当分野で周知である。例えば、その全体において引用することにより本明細書に組み込まれる、米国特許第5,650,150号および同第6,472,511号のpdHL2ベクターの説明を参照のこと。あるいは、定常ドメイン遺伝子(CH1、CH2、CH3およびCL)は、抗体産生細胞から得られてもよいし、当分野で周知の方法を用いて適切な発現ベクターにクローニングされてもよい。
【0068】
(免疫毒素遺伝子の調製)
本発明による免疫毒素コード遺伝子の調製は、例示の目的でのみ提供されて、限定されるものではない、下の実施例1および4に詳細に例示される。要するに、PCRを用いて例えば、抗体軽鎖可変ドメイン(または必要に応じて重鎖可変ドメイン)をコードする遺伝子を得てもよく、当分野で公知のPCR法を用いて得てもよい。適切な制限部位が、PCRプライマーに導入されてもよく、それによってこの遺伝子とさらなる配列とのその後の結合が容易になる。同様に、細胞毒性RNAseコード遺伝子は、都合のよい制限部位を提供するプライマーをここでも用いて、適切なテンプレートからPCRによって得られてもよい。次いで、細胞毒性RNAse遺伝子および可変ドメイン遺伝子は、適切な制限エンドヌクレアーゼで消化されて、可変鎖RNAse融合タンパク質をコードする遺伝子を提供するために直接一緒に結合されてもよい。細胞毒性RNAse遺伝子は、有利には、可変ドメイン遺伝子のN末端に結合され、さらに有利には軽鎖可変鎖遺伝子のN末端に結合されるが、RNAse遺伝子は、あるいは、重鎖可変ドメインのN末端に、または重鎖および軽鎖可変ドメインの両方のN末端に結合されてもよい。
【0069】
あるいは、適切なリンカーは、合成オリゴヌクレオチド(例えば、細胞毒性RNAseおよび免疫グロブリン遺伝子に含まれる制限部位と適合しており、そして細胞毒性RNAseと可変ドメイン遺伝子とリンカー配列との直接の結合をもたらす制限部位を含むように調製され得る)を用いて、可変ドメイン遺伝子と細胞毒性RNAse遺伝子との間に導入され得る。当業者は、種々のリンカーが本発明における使用に適切であることを認識する。しかし、リンカーは有利には、10〜30アミノ酸長であり、そして二次構造も三次構造もほとんどまたは全く有さない、親水性アミノ酸を含むリンカーである。このようなリンカーは当分野で周知であり、そして例えば、単鎖Fv分子を構築するのに用いられる。例えば、米国特許第4,946,778号を参照のこと。適切なリンカーとしては、配列GGGGSなどの多量体が挙げられる。免疫毒素遺伝子を調製する他の方法は、その全体が引用することにより本明細書に組み込まれる、米国特許出願第20030099629号に記載される。
【0070】
インタクトな抗体構造を含む免疫毒素(すなわち、軽鎖VLおよびCLドメイン、ならびに重鎖VHおよびCH1−3ドメインを含む免疫毒素)が調製されるべき場合、上記の可変ドメイン鎖は、これらのさらなる定常ドメインをコードする配列に結合されなければならない。有利には、適切な定常ドメインを既に含むベクター、例えば、上記のpdHL2を用いる。適切な定常ドメインを調製して、それらを可変ドメインに結合させる別の方法が当分野で周知である。Fabフラグメントについては、CLおよびCH1ドメインのみが必要である。一旦、適切な形態に結合されれば、次にこれらの配列は、宿主細胞のトランスフェクションの前に適切な発現ベクターに挿入され得る。哺乳動物発現に適切である発現ベクターは、当分野で周知であり、そしてまた例えば、Invitrogen,Carlsbad,CAからも市販されている。
【0071】
(哺乳動物細胞における免疫毒素の発現)
一旦適切な発現ベクターが調製されれば、適切な宿主細胞にトランスフェクトされる。組み換え抗体の発現に適切な宿主細胞は、当分野で周知であり、そしてこれには例えば、CHO細胞、および有利には、骨髄細胞株、例えば、NSO細胞が挙げられる。CHOおよびNSO細胞の両方がATCC(Manassas,VA)から入手可能である。ヒト抗体配列を含む免疫毒素の産生のために特に適切な別の宿主細胞は、Karpas et al.,Proc.Natl.Acad.Sci USA 98:1799(2001)に記載されるKarpas 707H系統である。トランスフェクションは、周知の方法、例えば、エレクトロポレーション、リポフェクション、およびDEAEデキストラン媒介性トランスフェクションによって達成され得る。有利には、発現ベクターは、選択マーカー、例えば、DHFRを含み、そして宿主細胞はDHFR-である。この細胞は、選択因子(例えば、選択マーカーがDHFRである場合はメトトレキセート)の存在下で培養される。陽性のクローンは、例えば、免疫毒素の細胞毒性RNAse部分に特異的に結合する抗体を用いてELISA法によって確認され得る。陽性クローンは、後の増殖のために凍結されてもよいし、または直接増殖されてもよい。陽性クローンの培養物を、適切な培地、例えば完全HSFM培地中で増殖させる場合、免疫毒素を含む培養上清を収集する。
【0072】
(免疫毒素の精製)
免疫毒素は、当分野で周知である方法を用いて容易に精製され得る。例えば、アフィニティー精製が用いられてもよい。完全な抗体構造を含む免疫毒素については、プロテインAアフィニティー精製を用いて、純粋な免疫毒素を単独の精製工程で得てもよい。さらなる精製工程は、必要に応じて、イオン交換クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィーなどのような従来の方法を用いて行なわれ得る。免疫毒素は、従来の方法、例えば、RP−HPLC、SDS−PAGE、質量分析、および例えば抗細胞毒性RNAse抗体を用いるウエスタンブロットによって特徴付けられ得る。ヒョウガエル由来のランピルナーゼは、潜在的なグリコシル化部位を含む(実施例1を参照のこと)。この部位のグリコシル化が所望されない事象では、免疫毒素は、オンコナーゼ(onconase)上に存在する炭水化物部分を除去するためにグリコシダーゼ酵素で処理されてもよい。あるいは、RNAseをコードする遺伝子配列は、保存的アミノ酸置換を介してAsn残基を置換することによってグリコシル化部位を欠失するために、部位特異的変異誘発法によって変異されてもよい。例えば、69位置のAsnは、グルタミンで(変異体N69Q)、または本明細書に記載される任意の構築物中の他の適切なアミノ酸で置換されてもよい。このグリコシル化変異体の適切な例としては、2L−Rap(N69Q)−hLL1−r4P、2L−Rap(N69Q)−hRS7および2L−Rap(N69Q)−hLL2が挙げられる。
【0073】
(細胞毒性RNAse免疫毒性を用いる治療方法)
本明細書に記載の免疫毒素は、広範な種々の細胞毒性の治療様式のための薬学的組成物に処方され得る。これらの組成物は、任意の欲されない細胞タイプ、例えば、不適切な増殖または活性化を受けている細胞を標的するために用いられてもよいし、または病原性微生物を標的することによって感染性疾患を処置するために用いられてもよい。詳細には、この組成物は、種々のガンおよび自己免疫疾患を処置するために有用である。処置され得るガンとしては、例えば、リンパ腫、白血病、黒色腫、神経芽細胞腫、および骨髄腫、肉腫、神経膠腫、または癌腫、例えば、乳癌、結腸直腸癌、卵巣癌、肝臓癌、胃癌、結腸直腸癌、前立腺癌、肺癌、腎臓癌または膵臓癌が挙げられる。処置され得る自己免疫疾患としては、例えば、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群、急性特発性血小板減少性紫斑病、慢性特発性血小板減少性紫斑病、皮膚筋炎、シデナム舞踏病、重症筋無力症、ループス腎炎、リウマチ熱、多腺性症候群、水疱性類天疱瘡、糖尿病、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病、連鎖球菌感染後腎炎、結節性紅斑、高安動脈炎、アジソン病、多発性硬化症、サルコイドーシス、潰瘍性大腸炎、多形性紅斑、IgA腎症、結節性多発性動脈炎、強直性脊椎炎、グッドパスチャー症候群、血栓血管炎(thromboangitis ubiterans)、原発性胆汁性肝硬変、橋本甲状腺炎、甲状腺中毒症、強皮症、慢性活動性肝炎、多発性筋炎/皮膚筋炎、多発性軟骨炎、尋常性天疱瘡、ヴェーゲナー肉芽腫症、膜性腎症、筋萎縮性側索硬化症、脊髄癆、巨細胞性動脈炎/多発性筋痛、悪性貧血、急速進行性糸球体腎炎および線維化性肺胞炎が挙げられる。
【0074】
本発明の組成物はまた、感染の治療的処置のためにも有用であり、ここでは免疫毒素の免疫グロブリン成分は、疾患を生じる微生物に特異的に結合する。本発明の状況では、疾患を生じる微生物としては、病原性細菌、ウイルス、真菌および多様な寄生生物が挙げられ、そしてこの抗体は、これらの微生物、それらの産物またはそれらの病変に関連する抗原を標的し得る。微生物の例としては、限定はしないが以下が挙げられる:
ストレプトコッカス・アガラクティエ、在郷軍人病菌、化膿連鎖球菌、大腸菌、淋菌、髄膜炎菌、肺炎球菌、Hemophilis influenzae B、梅毒トレポネーマ、ライム病スピロヘータ、緑膿菌、ハンセン菌、ウシ流産菌、ヒト結核菌、破傷風毒素、HIV−1、HIV−2、HIV−3、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、D型肝炎、狂犬病ウイルス、インフルエンザウイルス、サイトメガロウイルス、単純疱疹IおよびII、ヒト血清パルボ様ウイルス、パピローマウイルス、ポリオーマウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、B型肝炎ウイルス、パピローマウイルス、麻疹ウイルス、アデノウイルス、ヒトT細胞白血病ウイルス、エプスタイン・バーウイルス、マウス白血病ウイルス、流行性耳下腺炎ウイルス、水疱性口内炎ウイルス、シンドビスウイルス、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス、疣ウイルス、ブルー・タングウイルス、センダイウイルス、猫白血病ウイルス、レオウイルス、ポリオウイルス、シミアン・ウイルス40、マウス乳癌ウイルス、デング熱ウイルス、風疹ウイルス、原生動物、熱帯熱マラリア原虫、三日熱マラリア原虫、トキソプラズマ原虫、Trypanosoma rangeli、クルーズ・トリパノソーマ、Trypanosoma rhodesiensei、トリパノソーマ・ブルーセイ、マンソン住血吸虫,Schistosoma japanicum、Babesia bovis、Elmeria tenella、回旋糸状虫、熱帯リーシュマニア、旋毛虫、Theileria parva、Taenia hydatigena、Taenia ovis、無鉤条虫、単包条虫、Mesocestoides corti、抗マイコプラズマモノクローナル抗体、Mycoplasma arthritidis、M.hyorhinis、M.orale、M.arginini、Acholeplasma laidlawii、M.salivarium、およびM肺炎。これらの病原性微生物に結合するモノクローナル抗体は当分野で周知である。
【0075】
当業者は、これらの実施例が例示的であって、本発明を限定するものではないことを理解する。
【0076】
これらの方法では、薬学的組成物は、被験体に1日あたり2回以上、例えば、0.1〜約1000mgの量で投与されてもよいが、それより多くてもまたは少なくても適切とみなして用いられ得る。
【0077】
この組成物のタンパク質性の性質に起因して、それらの組成物は特に、非経口投与、例えば静脈内投与または皮下投与(または皮内投与)に適切であるが、当業者は、他の送達方法が用いられ得ることを理解する。この方法は、現在開発中であるか、または将来開発されるタンパク質送達のための方法を包含し、そしてまた例えば、腹腔、頭蓋、胸膜などのような局所投与を包含し得る。非経口投与のためには、組成物は、薬学的に受容可能なキャリア、好ましくは、緩衝化生理食塩水のような水性キャリアに溶解されるかまたは懸濁された免疫毒素の溶液を含んでもよい。これらの溶液は、無菌であって、補助物質、例えば、pH調節剤および緩衝化剤、ならびに毒性および等張性の調節剤を含んでもよい。
【0078】
免疫毒素の用量は、1日あたり1患者あたり約0.1〜10mgであるが、特にこの薬物が局所的に投与され、血流中ではない場合には、1日あたり1患者あたり最大100mgの用量が用いられてもよい。この用量は、より少量のRNAse成分を含む、抗体融合タンパク質に基づく。
【0079】
治療適用では、この組成物は、疾患に罹患している被験体に対して、目的の細胞を殺傷するのに十分な量として規定される、治療上細胞毒性の量で投与される。これを達成するのに十分な量は、「薬学的に有効な量(therapeutically effective amount)」として規定される。任意の所定の環境における正確な量は、疾患の重篤度および患者の健康の一般的状態を含む種々の要因に依存する。この組成物の単回投与または複数回投与は、必要な用量に依存して投与され得る。適切な投薬レジメンの決定は、当分野で周知の慣用的方法を用いて行なわれる。
【0080】
免疫毒素はまた、インビトロにおいて細胞の集団を処置するために用いられ得る。例えば、それらは、骨髄アブレーションを受けている患者への移植の前に骨髄中の欲されない細胞タイプを選択的に殺傷するために用いられ得る。
【0081】
このように一般的に記載された本発明は、例示のために記載されており、本発明の限定は意図していない以下の実施例を参照してさらに容易に理解される。
【実施例1】
【0082】
(2L−rap−hLL1−γ4Pの発現および特徴付け)
実施例1では、rapはランピルナーゼである。
【0083】
(pdHL−IgG4P改変体の構築)
IgG4遺伝子を含むB13−24細胞は、ATCC(ATCC番号 CRL−11397)から購入して、ゲノムDNAを単離した。要するに、細胞をPBSで洗浄して、消化緩衝液(100mM NaCl,10mMのTris−HCl pH8.0、25mMのEDTA pH8.0、0.5%のSDS、0.1mg/mlのプロテイナーゼK)に再懸濁して、50℃で18時間インキュベートさせた。等容積のフェノール/クロロホルム/イソアミルアルコールを用いてこのサンプルを抽出して、7.5MのNH4Ac/100% EtOHで沈殿させた。ゲノムDNAは、遠心分離によって回収して、TE緩衝液に溶解した。テンプレートとしてゲノムDNAを用い、IgG4遺伝子を、以下のプライマーを用いてPCRによって増幅させた。
プライマー−SacII:5'CCGCGGTCAC ATGGCACCAC CTCTCTTGCA GCTTCCACCA AGGGCCC 3'(47マー);
プライマー−EagI:5'CCGGCCGTCG CACTCAT TTA CCCAGAGACA GGG 3'(33マー)
【0084】
増幅されたPCR産物を、TOPO−TA配列決定ベクター(Invitrogen)中にクローニングして、DNA配列決定によって確認した。pdHL−hLL2中のIgG1の重鎖定常領域を含むSacII−EagIフラグメントを、TOPO−TA−IgG4プラスミドのSacII−EagIで置換して、pdHL2−hLL2−IgG4(pdHL2−hLL2−γ4)ベクターを生成した。
【0085】
(IgG4−プロリン変異)
Ser228Proの変異をIgG4のヒンジ領域に導入して、半分子の形成を回避した。変異したヒンジ領域の56bpフラグメント(PstI−StuI)を合成し(トップ:5'GAG TCC AAA TAT GGT CCC CCA TGC CCA CCG TGC CCA GGT AAG CCA ACC CAG G3';ホ゛トム:5'C CTG GGT TGG CTT ACC TGG GCA CGG TGG GCA TGG GGG ACC ATA TTT GGA CTC TGC A 3')、アニーリングして、IgG4のPstI−StuIフラグメントで置換した。この構築で、最終ベクターpdHL2−hLL2−γ4Pを得た。
【0086】
(pdHL2−hLL1−γ4Pの構築)
pdHL2−hLL2−γ4PのXbaI−HindIIIフラグメントを、VkおよびVH領域を含むpdHL2−hLL1のXba−HindIIIフラグメントで置換して、hLL1−γ4P構築物を生成した。
【0087】
(pdHL2−2L−rap−hLL1−γ4Pの構築)
可塑性リンカー(GGGGS)3を用いて、hLL1のVkのN末端に対してRapのC末端を結合させた。各々の軽鎖のN末端に1つのrap分子を結合させた。この分子についてのDNAの構築は、以下のプライマーを用いてPCRによって行なった:
P1;リーダー5’(XbaI):5'CTC TAG ACA CAG GAC CTC ACC ATG GGA TGG 3'(30マー)
P2;リーダー3’:5'TGA AAC GTT AGC CAA TCC TGG GAG TGG ACA CCT GTG GA 3'(38マー)
P3;Onc 5’:5'TCC ACA GGT GTC CAC TCC CAG GAT TGG CTA ACG TTT CA 3'(38マー)
P4;Onc 3’(EcoRV):5'AGT CAG CTG GAT ATC GGA GCC ACC GCC TCC AGA TC 3'(35マー)
P5;LL1−Vk 5’(EcoRV):5'GAT CTG GAG GCG GTG GCT CCG ATA TCC AGC TGA CT 3'(35マー)
P6;LL1−Vk 3’(BamHI):5'GGG ATC CAA CTG AGG AAG CAA AGT TTA A 3'(28マー)
【0088】
図1に図示されるように、pdHL2−hLL1−γ4PのXba−BamHIフラグメントを、pBS−2L−rap−hLL1のXba−BamHI(Xba−Leader−rap−Linker−Vk−BamHI)フラグメントで置換して、最終のベクターpdHL2−2L−rap−hLL1−γ4Pを完成させた。
【0089】
(トランスフェクション)
ベクターDNA(30μg)をSalI酵素で直線化して、エレクトロポレーション(450V)によってNS0(4×106細胞/mL)またはSp2/0−Ag14(5×106個の細胞/mL)の骨髄腫細胞にトランスフェクトした。低IgG FBS(10%)、ペニシリン(100単位/mL)、ストレプトマイシン(100μg/mL)、L−グルタミン(2mM)、ピルビン酸ナトリウム(1mM)、非必須アミノ酸(100μM)およびメトトレキセート(0.1μM)を補充した完全なハイブリドーマ−SFM培地中で細胞を増殖させた。陽性のクローンをELISAによってスクリーニングした。要するに、プレートを、PBS培地中に含まれる5μg/mLの50μlの抗rap抗体を用いてコーティングして、4℃で一晩インキュベートさせた。PBSでプレートを洗浄し、2%BSAでブロックした後に細胞培養上清を添加した。HRP複合体化ヤギ抗ヒトIgG4抗体を検出のために用いて、OPDを発色のための基質として用いた。プレートを490nmで読み取った。陽性のクローンを増殖させて、さらなる使用のために凍結させた。クローンC6を、最適のプロデューサーとして特定して、さらなる開発のために用いた。
【0090】
(発現および精製)
各々に500mlの培地を有する2つのローラーボトル中で細胞を最終培養物まで増殖させて(10〜20%の生存度)、その細胞を遠心分離によって取り出した。培養上清を充填して、プロテインAカラムに加え、20mM Tris−HCl/100mM NaCl緩衝液(pH8.5)で平衡化した。ローディング後、このカラムを100mMのクエン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)で洗浄して、100mMのクエン酸ナトリウム緩衝液(pH3.5)で溶出させ、融合タンパク質を得た。生成物を含有するピークを、3M Tris−HCl、pH8.0を用いてpH7.0に調節して、10mMのPBS緩衝液に対して透析した。濃縮後、この生成物を0.22μmのフィルターを通して濾過し、2〜8℃で保管した。1Lの培養物から、精製後に16mgを回収した。
【0091】
(2L−rap−hLL1−γ4Pの特徴付け)
HPLC:タンパク質の純度および濃度は、HPLCでチエックした。先鋭な単独のピークが、図2に示されるように7.7分で観察され、この保持時間によって、この分子がIgGより大きいことが示された。
【0092】
SDS−PAGE:4〜20% Tris−Glycineゲル(PAGEr(商標)Gold Precast Gels,Cambrex)を用いて、SDS−PAGEを還元条件下で行なった。図3に示されるように、予想されるサイズ約50kDの重鎖に関連するバンド、ならびにhLL1の軽鎖(約25kD)よりも両方とも大きい、約37kDおよび39kDの分子量の2つのバンドが観察された。2つの軽鎖の存在は、融合タンパク質上のrapのグリコシル化に起因することが示された(以下参照)。
【0093】
質量分析法:The Scripps Research Institute,CAにおいて、MALDI−TOF法によって質量分析を行った。2つのサンプル、その1つは天然の状態(1.6mg/mLを10mMのPBSに含有)、そしてもう一方は、還元状態(1.6mg/mLを1mMのHEPES/10mMのDTT、pH7.5緩衝液)を、分析のために送った。天然のサンプル(図4a)は、質量177150の1つの主要なピークを示し、これは、IgGに加えて2つのrapのMWとよく一致している。この還元サンプルは、50560(重鎖に相当する)、38526および36700(rapを含有する2つの軽鎖に相当する)において3つの主なピークを示した(図4b)。
【0094】
ウエスタンブロッティング:精製されたタンパク質におけるrapの存在を確認するために、ウエスタンブロッティングを行った。還元条件下のSDS−PAGEゲル由来のサンプルを、PVDF-Plus(Osmonics,Inc.,)メンブレン上に電気的に転写した。5% BSAでのブロッキング後、マウスの抗rap抗体を、1:10,000希釈または100ng/mlで添加して、1時間インキュベートさせた。洗浄後、HRP複合体化ヤギ抗マウスFc抗体を添加して1時間インキュベートさせた。6回の洗浄後、LumiGloTM(Kirkegaard&Perry Laboratories)基質を添加して、コダックのフィルムを現像した。図5に示されるように、融合された軽鎖に相当する両方のバンドをフィルム上で検出し、これによって両方の軽鎖上のrapの存在を確認した。
【0095】
N−グリコシダーゼでの処理:rapは、潜在的なNグリコシル化部位、Asn−X−Thr/Ser、Asn69−Val70−Thr71を有するので、分子量で2kDの相違があるという2つの軽鎖の観察は、rapの一様でないグリコシル化の結果であり得る。この可能性を検討するために、rap−hLL1抗体を、供給業者の推奨に従って変性条件下でNグリコシダーゼ(New England Biolabs)とともにインキュベートさせた。図6に示されるとおり、N−グリコシダーゼ処理後、2つの軽鎖に相当する2つのバンドが1つ(より早く移動するバンド)に集束し、これによってカルボヒドラーゼの一様でない分解が、SDS−PAGEでの2つのバンドという観察の原因であったことが確認された。除去されたグリコシル化部位を有するRapの改変体であるRap(N69Q)が組み換え構築物中でRapについて置換される場合、唯一のrap融合軽鎖の観察によってさらなる支持が得られた(データ示さず)。
【0096】
rapの活性:RNAse活性は、供給業者の推奨に従ってBright-GloTM Luciferase Reporter Assayシステム(Promega)を用いてTNT(商標)Quick Coupled Transcription/Translation System(Promega)によって試験した。このアッセイの原理は、ルシフェラーゼレポーター系を用いるRNase活性の結果としてのタンパク質合成の阻害(mRNA分解)の測定であって。サンプルは、種々の希釈中で遊離のrap(0.001〜2.5nM)、hLL1−rap(0.01−20nM)またはPKI−LL2−OncおよびPKII−LL2−Onc(0.01〜20nM)として表されるhLL2−rapの化学的複合体を調製した。各々のサンプル(5μL)を、20μlのTNTマスター混合物と混合して、96ウェルプレート中で30℃で2時間インキュベートして、それから1μlを、50μlのBright-GloTM基質での分析のために取り出した。その結果を、ExcelまたはPrism Padソフトウェアを用いて、図7に示した。EC50値は、rap−hLL1およびhLL2−Oncの化学的複合体については約300pM、そして遊離のrapについては30pMであった。
【0097】
WPについての競合結合:WPはhLL1の抗イディオタイプ抗体である。WPに対するhLL1抗体と比較したrap−hLL1抗体の親和性は、競合結合アッセイによって評価した。要するに、96ウェルプレートを50μlのWPを5μg/mLで用いてコーティングして、4℃で一晩インキュベートさせた。タンパク質サンプルの3つのタイプであるhLL1、rap−hLL、またはhA20は、種々の2倍希釈(最終濃度は0.49〜1000nMに及ぶ)中で調製して、等容積の2×HRP複合体化mLL1抗体(最終希釈は1/20,000)と混合した。上記のようなHRP複合体化mLL1と混合した50μLのタンパク質サンプルを、各々のウェルに添加して、1時間インキュベートさせた。洗浄後、H22を含有するOPD基質を添加してプレートを490nmで読んだ。図8に示されるように、吸光度に対するタンパク質濃度を、ExcelまたはPrism Pad graphソフトウェアを用いてプロットした。hA20(ヒト化抗−CD20抗体)を、陰性のコントロールとして用いた。図8から、rap−hLL1は、hLL1と同様の結合親和性を有し、そして陰性コントロールhA20は、親和性を全く有さないことが明らかである。抗原の供給源としてRaji細胞を用いて同様の結果を得た。
【0098】
インビトロ細胞毒性:インビトロ細胞毒性は、B細胞リンパ腫細胞株(Daudi)および複数の黒色腫細胞株(MC/CAR)で測定した。細胞(0.1ml中に10,000個)を、96ウェルプレートの各々のウェルに入れた。24時間後、遊離のhLL1、遊離のrapまたはrap−hLL1(10μl)を適切なウェルに添加して、その細胞をインキュベーター中で37℃で3日間インキュベートした。細胞増殖は、MTSテトラゾリウム色素還元アッセイまたはBrDU比色定量アッセイを用いて決定した。結果は、Prism Padソフトウェアを用いてグラフとして得られたEC50で表す。図(図9〜10)から、rap−hLL1が、B−細胞リンパ腫細胞株(Daudi)および多発性骨髄腫細胞株(MC/CAR)の両方に対して感受性であることが証明される。rap−hLL1は、EC50値によって反映されるように、MC/CAR細胞に比較してDaudi細胞に対して有意により強力(細胞毒性)であった(図9および図10)。MC/CAR細胞については、EC50値は、試験した濃度では達成されなかった。最高濃度(56nM)では、細胞の生存度は57%であった。将来の実験は、Daudi細胞上のrap−hLL1について正確なEC50値を測定することが目的である。hLL1または遊離のrapは、それ自体では、いずれの細胞株でも細胞毒性を実証しなかった。
【0099】
薬物動態および体内分布:hLL1または2L−Rap−hLL1−γ4Pを、Sharkey et al.,(Int J Cancer.1990;46:79-85)に記載のように、2−(4−イソチオシアナートベンジル)DTPA(Macrocyclics,Dallas,TX)を用いてジエチレントリアミノペンタ酢酸(DTPA)と複合体化させて、DTPA−hLL1またはDTPA−2L−Rap−hLL1−γ4Pを得た。これはそれぞれ、薬物動態学的研究および生体分布の研究のために、88Y塩化物(Los Alamos National Laboratory(Los Alamos,NM)または111In塩化物(Perkin Elmer Life Sciences,Boston,MA)で標識された。ナイーブな雌性SCIDマウス(8週齢、18〜22g)に対して各々の動物に、hLL1および2L−Rap−hLL1−γ4Pの各々10μgの総用量を投与するように、未標識の、hLL1または2L−Rap−hLL1−γ4PのDTPA複合体を補充した0.001mCi88Y−DTPA−hLL1および0.02mCiの111In−DTPA−2L−Rap−hLL1−γ4Pの混合物を静脈内注射した。投与後選択された時点(1、2、4、16、48、72、168時間)後に、5匹のマウスの群を麻酔して、血液サンプルを心臓穿刺によって採取した。主な組織を取り出して、秤量して、容器中に入れた。血液サンプルおよび組織を、目盛り付きのガンマカウンターであるMinaxiλ Auto-Gamma(商標)5000シリーズのガンマカウンター(Packard Instrument Company;Downers Grove,IL)で、111In(チャネル120〜480)および88Y(チャネル600〜2000)についてカウントした。111Inカウンティングウインドウへの88Yエネルギーの後方散乱について補正するために交差曲線を作成した。
【0100】
インビトロの毒性:ナイーブなSCIDまたはBALB/cマウスに、マウス1匹あたり25〜400μgに及ぶ種々の用量の2L−Rap−hLL1−γ4Pを静脈内注射して、毒性および体重の損失の可視的な徴候について毎日モニターした。最大耐容用量(MTD)は、死亡が生じず、かつ体重減少が処置前の動物の重量(約20g)の20%以下である最高用量として規定した。毒性効果を経験した動物は屠殺して、回収して、組織病理学的分析に供した。ナイーブなSCIDマウスでは、2L−Rap−hLL1−γ4Pの100、150、200、250、300または400μgの単回静脈内用量によって、動物の重篤な体重減少および死亡が生じたが、全てのマウスは、25または50μgの用量で生残した(表2)。BALB/cマウスでは、全てのマウスが2L−Rap−hLL1−γ4Pの30または50μgの単回静脈内用量で生残したが、100または200μgでは生残しなかった。別の実験では、2L−Rap−hLL1−γ4Pの75μgの用量は、SCIDマウスに対して毒性であることが見いだされた(データ示さず)。従って、単回ボーラス注射として与えられた2L−Rap−hLL1−γ4PのMTDは、SCIDマウスでは50〜75μgであって、BALB/cマウスでは50〜100μgである。死亡マウスおよび屠殺されたマウスの全体の病理学的な検査では、重篤な肝臓および脾臓の毒性が示された。肝臓は、色が青ざめており、脾臓は縮んで、通常のサイズより小さかった。組織病理学的検査によって、肝臓および脾臓の壊死が明らかになった。代表的なマウスの血清サンプルでは、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、アアスパルテートアミノトランスフェラーゼ(AST)および総ビリルビンのレベル上昇があり、このことはこれらの高用量での有意な肝臓毒性を示唆していた。
【0101】
データ分析:インビトロの細胞毒性研究のために、三連の測定値の平均から用量応答曲線を作成して、GraphPad Prismソフトウェア(Advanced Graphics Software,Encinitas,CA)を用いて50%阻害濃度(IC50)値を得た。薬物動態学的データは、ノンコンパートメント分析プログラムWinNonlin,バージョン4.1(Pharsight,Mountain View,CA)の標準的アルゴリズムを用いて分析した。このプログラムは、線形補間による線形台形公式を用いて曲線下免疫(AUC)を算出する。排出速度定数(kβ)は、一次速度式を仮定して終末半減期(t1/2β)から算出した。生残研究は、GraphPad Prismソフトウェアを用いるKaplan-Meierプロット(ログランク分析)を用いて分析した。相違はP<0.05で有意とみなした。
【0102】
薬物動態および生体分布のデータ:放射性標識したhLL1および2L−Rap−hLL1−γ4Pの薬物動態および生体分布を、ナイーブなSCIDマウスで測定した。hLL1および2L−Rap−hLL1−γ4Pを、DTPAと結合体化して、それぞれ標識した88Yおよび111Inで追跡した。図11に示されるように、111IIn−標識した2L−Rap−hLL1−γ4Pは、初期の急速な再分布相(α)および後期の緩徐な排出相(β)によって特徴付けられる、88Y−標識されたhLL1と同様の血液からの二相性のクリアランスを示す。わずかに短いα半減期が、hLL1(4時間)に比較して、2L−Rap−hLL1−γ4P(5.1時間)について観察された。5時間を超えるデータポイントを用いて、t1/2β、kβ、AUC、平均滞留時間(mean residence time)(MRT)、見かけの分布容積(Vd)、およびクリアランスの速度(Cl)を算出して、これらのパラメーターの値を表1に示す。111In−標識された2L−Rap−hLL1−γ4Pの組織取り込みは、88Y−標識hLL1の取り込みと同様であった(データ示さず)。
【表1】

【0103】
インビトロの毒性:ナイーブなSCIDマウスでは、100、150、200、250、300または400μgの単回静脈内用量の2L−Rap−hLL1−γ4Pは、動物の重篤な体重減少および死亡を生じたが、全てのマウスは、25または50μgの用量で生残した(表2)。BALB/cマウスでは、全てのマウスが2L−Rap−hLL1−γ4Pの30または50μgの単回静脈内用量では生残したが、100または200μgでは生残しなかった(表2)。別の実験では、2L−Rap−hLL1−γ4Pの75μgの用量は、SCIDマウスに対して毒性であることが見いだされた(データ示さず)。従って、単回ボーラス注射として与えられた2L−Rap−hLL1−γ4PのMTDは、SCIDマウスでは50〜75μgであって、BALB/cマウスでは50〜100μgである。死亡マウスおよび屠殺されたマウスの全体的な病理学的な検査では、重篤な肝臓および脾臓の毒性が示された。肝臓は、色が青ざめており、脾臓は縮んで、通常のサイズより小さかった。組織病理学的検査によって、肝臓および脾臓の壊死が明らかになった。代表的なマウスの血清サンプルでは、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、アアスパルテートアミノトランスフェラーゼ(AST)および総ビリルビンのレベル上昇があり、このことはこれらの高用量での有意な肝臓毒性を示唆していた。
【表2】

【0104】
(腫瘍保有マウスでの治療有効性)
腫瘍保有マウスでの治療有効性:1群あたり8〜9匹の雌性SCIDマウス(8週齢、18〜22g)に、1.5×107個のDaudi細胞を静脈内注射して、1日後に処置した。後肢の麻痺についてマウスを毎日検査して、毎週秤量した。動物が後肢の麻痺を発症するかまたはその処置前の体重の20%が低下した場合、それらの動物を安楽死させた。各々のセットの治療実験は180日後に終えた。
【0105】
図12に示されるように、未処置のマウス(PBSのみ)は、30日内に全て死亡し、平均生残時間(median survival time)(MST)は28日であった。50μgの2L−Rap−hLL1−γ4P中の成分タンパク質の組成に相当する、hLL1−γ4P(43.2μg)およびRap(6.6μg)の混合物を投与されたコントロール群のMSTは、70日であった(P<0.0001対PBS群)。対照的に、5μgまたは15μgのいずれかの2L−Rap−hLL1−γ4Pの単回注射を受けた全てのマウスでは、100日より長く生きており(MST>180日;P=0.0005対成分処置群)、そしてこの研究の終わり近くで各々の群から欠けたのは1匹のマウスだけであった。180日後に研究が終わったとき、5、15、30、40または50μgの2L−Rap−hLL1−γ4Pの単回注射を投与されたマウスの90%が治癒した。1μgの単回注射を受けたマウスのMSTは、230%の増大に相当する、未処置の群の28日に比較して92日であった(P<0.0001)ことに注目すべきである。
【実施例2】
【0106】
(細胞毒性RNAseをコードするPCR増幅したDNAの合成)
組み換え細胞毒性RNAseのN末端配列(46アミノ酸)をコードするセンス鎖配列[5'-TGG CTA ACG TTT CAG AAG AAA CAT ATC ACG AAT ACA CGA GAT GTA GAC TGG GAC AAT ATA ATG TCT ACG AAT CTG TTT CAC TGT AAG GAT AAG AAT ACC TTT ATA TAC AGT CGC CCA GAG CCT GTA AAG GCT ATC TGT A-3']を有する139マーのDNAヌクレオチド、ONCO−Nを、自動DNAシンセサイザー(Applied Biosystem 392 DNA/RNA Synthesizer)によって合成して、隣接するプライマーONNBACK[5'-AAG CTT CAT ATG CAG GAT TGG CTA ACG TTT CAG AAG AAA-3'、およびONNFOR[5'-CTT ACT CGC GAT AAT GCC TTT ACA GAT AGC CTT TAC AGG CTC TG-3']を用いるPCR増幅のためのテンプレートとして用いた。得られた二本鎖PCR産物は、細胞毒性RNAseのN末端の半分の54アミノ酸残基をコードするcDNA配列を含む。ONNBACKは、ステージングベクターに、または細菌発現ベクターへのインフレーム結合のために(NdeI部位)サブクローニングを容易にするために、制限部位HindIII(AAAGCTT)およびNdeI(CATATG)を含む。NruI部位(TCGCGA)を、ONNFORプライマーに組み込んで、細胞毒性RNAseのC末端半分をコードするcDNAとのインフレーム結合を容易にする。
【0107】
同様に、細胞毒性DNAseのC末端配列(46アミノ酸)をコードするセンス鎖配列[TGC TGA CTA CTT CCG AGT TCT ATC TGT CCG ATT GCA ATG TGA CTT CAC GGC CCT GCA AAT ATA AGC TGA AGA AAA GCA CTA ACA AAT TTT GCG TAA CTT GCG AGA ACC AGG CTC CTG TAC ATT TCG TTG GAG TCG GG-3']を有する137マーのDNAヌクレオチド、ONCO−Cを合成して、プライマーONCBACK[5'-ATT ATC GCG AGT AAG AAC GTG CTG ACT ACT TCC GAG TTC TAT-、およびONCFOR[5'-TTA GGA TCC TTA GCA GCT CCC GAC TCC AAC GAA ATG TAC-3']によってPCR増幅させる。最終の二本鎖PCR産物は、細胞毒性RNAseのC末端の半分の残りの51アミノ酸をコードするcDNA配列を含んだ。NruI部位によって、ONCBACKに組み込まれたPCR増幅されたDNAのN末端の半分とのインフレームの結合が可能になった。ステージングベクターへ、または細菌発現ベクターへのサブクローニングのために、終止コドン(太字で示される)およびBamHI制限部位(下線)をONCFOR配列に入れた。
【0108】
適切な制限酵素での処理後に細胞毒性RNAseのN末端およびC末端の半分をコードする、PCR増幅されたDNAをNruI部位に結合して、ステージングベクター、例えばStratageneのpBluescript中にサブクローニングした。この結合された配列は、N末端のMetを有する105アミノ酸のポリペプチドをコードしなければならない。
【実施例3】
【0109】
(LL2およびMN−14のV−領域配列のクローニング、ならびにLL2およびMN−14のヒト化)
hLL2およびhMN−14のV領域配列は公開されている。Leung et al.,Mol.Immunol.,32:1413(1995);米国特許第5,874,540号。LL2およびMN−14のVKおよびVHの配列は、公開された方法およびプライマーを用いてPCR増幅させた。
【0110】
PCR増幅されたDNAの配列分析によって、それらが抗体のVKおよびVHドメインの代表的なタンパク質をコードすることが示された。PCR−増幅されたLL2およびMN−14の配列に基づいて構築されたキメラ抗体は、その親抗体に匹敵する免疫反応性を示しており、これによって得られた配列の信頼性が確認された。
【0111】
LL2抗体の配列分析によって、フレームワーク−1領域におけるVK付加されたN結合グリコシル化部位の存在が明らかになった。突然変異研究によって、VK付加部位でのグリコシル化は、抗体の免疫反応性を維持するには必要ないことが示された。FR−1グリコシル化部位の包含なしに、REIフレームワーク配列を、軽鎖CDRを接合するため、そしてEU/NEWMをLL2の重鎖CDRを接合するための足場として用いた。ヒト化LL2(hLL2)の免疫反応性は、マウスおよびキメラのLL2の免疫反応性に匹敵することが示された。LL2の内部移行の速度は、抗体のキメラ化またはヒト化によっては影響されなかった。
【実施例4】
【0112】
(ヒト化LL2および細胞毒性RNAseの融合タンパク質をコードする遺伝子の構築)
hLL2のVHおよびVKの配列をテンプレートとして用いて、標準的なPCR手順によってhLL2−scFv遺伝子をアセンブルした。遺伝子の構成は、Met(−1)−VL−(GGGS)4−VH−(His)6であった。VHドメインに対して16アミノ酸のリンカー(GGGS)6を介して結合されたVL遺伝子のN末端に、Met(ATG)開始コドンを−1位置で組み込んだ。6つのヒスチジル残基からなるテールを、VH鎖のカルボキシル末端に入れて、金属キレートクロマトグラフィーを介した融合タンパク質の精製を容易にする。
【0113】
ランピルナーゼ−hLL2scFvの免疫毒素融合タンパク質遺伝子を、制限消化および結合方法によって同様の方式で構築した。cDNA配列は発現された場合、以下の構築物:
ランピルナーゼ−[リンカー]−VL−(GGGS)4−VH−(His)6の融合タンパク質をコードした。
【0114】
細胞毒性RNAseのC末端とVLドメインのN末端との間に挿入され得る種々のリンカーが存在する。好ましいリンカーは、シュードモナスの外毒素(PE)のC末端位置273〜281由来のアミノ酸配列TRHRQPRGWである。この配列は、配列のG残基とW残基との間に存在する切断でのサブチリシンによる、活性フラグメントへのPEの細胞内切断の認識部位であることが示されている。Chiron et al.,J.Biol Chem.,269:18167(1994)。この配列の組み込みによって、融合免疫毒素の内部移行後の活性細胞毒性RNAseの放出が容易になる。あるいは、細胞毒性RNAseとscFvとの間の可塑性の結合を可能にするために、EDN−scFvの構築に用いられるStaphylococcalのプロテインAのフラグメントBのアミノ酸残基48〜60からなる13アミノ酸残基のスペーサーを代わりに用いてもよい。Tai et al.,Biochemistry,29:8024(1990)、およびRybak et al.,Tumor Targeting,1:141(1995)。
【実施例5】
【0115】
(ヒト化MN−14およびランピルナーゼの融合タンパク質をコードする遺伝子の構築)
MN−14scFvは、ヒト化MN−14トランスフェクトーマ(transfectoma)由来のcDNAのPCR増幅によって生成した。MN−14 scFvのために用いられるリンカーは、15アミノ酸リンカー(GGSGS)3であり、そして方向はVL−リンカー−VHであった。DNA配列の確認後、単鎖構築物を、実施例1に記載のような真核生物発現ベクター中にサブクローニングして、発現のために適切な哺乳動物宿主細胞中にトランスフェクトする。
【0116】
別の単鎖構築物も作成した。これは、重鎖および軽鎖の反対の5’−3’方向で作成し、pCANTABE5E(Pharmacia Biotech,Piscataway,N.J.)中でアセンブルして、ファージ中で発現させた。このscFvを発現する組み換えファージの特異的結合はELISAによって実証された。
【0117】
L−リンカー−V配列を、以下に図示されるように、ランピルナーゼ−MN−14融合タンパク質の構築のために用いた。ランピルナーゼをコードするDNAフラグメントを実施例1に記載のように得た。23アミノ酸リンカーをランピルナーゼ配列とscFvとの間で用いた。Kurucz et al.(1995)。あるいは、上記のMN−14 scFvの構築に用いられる(GGSGS)3リンカーを用いた。融合タンパク質の好ましい構成は以下:
ランピルナーゼ−リンカー−−VL−−(GGSGS)3−−VH
であった。
【0118】
本明細書に引用される全ての特許および他の引用文献の内容は、その全体が引用することにより本明細書に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】ベクターpdHL2−rap−hLL1−γ4Pの構成を示す。構築物である、リーダーペプチド−RNAse、−リンカー−hLL1のVk領域を含むXbaI−BamHIフラグメントを、pBSベクターに挿入して、pdHL2ベクターに連結した。注記:本発明においては、rpRNAseおよびrapという用語は、交換可能である。
【図2】宿主細胞から分泌された融合タンパク質のHPLCプロフィールを示す。単一のピークが7.7分で観察された。
【図3】分泌された融合タンパク質のSDS−PAGEを示す。2つの接近して移動する軽鎖バンドをみることができるが、これはhLL1単独の軽鎖よりも長い(25kD)。
【図4a】天然の条件下で分泌された融合タンパク質の質量スペクトルを示す:177150の質量を有するrap−hLL1−γ4P融合タンパク質に相当する、1つの主要なピークが観察された。
【図4b】変性条件下の質量スペクトルを示す。重鎖、およびrap−hLL1−γ4P融合タンパク質の糖分子の有無の2つの軽鎖に相当する3つの主要なピークが見出され得る。
【図5】融合タンパク質のウエスタンブロットを示す。両方の分子ともrapを含むことを示している、糖有の軽鎖および糖無の軽鎖が示され得る。
【図6】N−グリコシダーゼ処理による軽鎖糖分子の除去を示すSDS−PAGEゲルを示す:レーン1は、未処理のサンプルに相当し、ここでは2つの軽鎖バンドを見ることができる。レーン2〜5は、Nグリコシダーゼ酵素で処理されたサンプルである。2つの軽鎖に相当するバンドは、糖の除去の際に1つのバンドに集束した。
【図7】インビトロ転写翻訳アッセイによるRNAse活性を示す。
【図8】競合結合アッセイを示しており、これは、hLL1およびrap−hLL1融合タンパク質の両方が、hLL1の抗イディオタイプ抗体であるWPについて同じ親和性を有することを示している。
【図9】Daudi細胞における融合タンパク質のインビトロ細胞毒性を示す:A)MTSアッセイによって測定した細胞毒性;B)BRdUアッセイ法によって測定した細胞毒性。
【図10】MTSアッセイによるMC/CAR細胞における融合タンパク質のインビトロ細胞毒性を示す。
【図11】ナイーブなSCIDマウスにおける2L−Rap−hLL1−γ4Pの血液クリアランスを示す。ナイーブなSCIDマウスに、88Y−DTPA−hLL1(O)および111In−DTPA−2L−Rap−hLL1−γ4P(□)を静脈内に同時注射した。投与後選択された時間で、心臓穿刺によってマウスを放血させて、血液サンプルを放射能についてカウントした。データは、血液中の注射用量の平均±S.D.である(n=3)。
【図12】2L−Rap−hLL1−γ4Pまたは成分のタンパク質を用いた侵襲最小ダウディリンパ腫(aggressive minimal Daudi lymphoma)の処置を示す。SCIDマウス(1群あたり8〜10匹のマウス)に、1.5×107個のDaudi細胞を静脈内に接種した。1日後、マウスを、2L−Rap−hLL1−γ4Pの1μg(×)、5μg(黒四角)、15μg(黒三角)、30μg(下向き黒三角)、40μg(◆)、または50μg(●)の単回ボーラス注射で処置した。コントロール群には、50μgの免疫毒素(*)に等価な構成要素のタンパク質またはPBS(□)のみを注射した。
【図13】インビトロの転写/翻訳アッセイによって測定されたRNase活性を示す。rRap(黒四角)、2L−Rap−hLL1−γ4P(黒上向き三角)およびhLL1−γ4P(◆)の濃度を、相対発光単位(relative luminescence units)(RLU)に対してプロットした。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳動物宿主細胞を培養するステップを含む、免疫毒素を調製する方法であって、
前記宿主細胞が、(a)第一の免疫グロブリン可変ドメインに融合された非哺乳動物リボヌクレアーゼを含む融合ポリペプチドをコードする第一の核酸配列と、(b)第二の免疫グロブリン可変ドメインを含む第二のポリペプチドをコードする第二の核酸配列とで形質転換されており、前記第一および第二の免疫グロブリンの可変ドメインが一緒になって抗原結合部位を形成する、方法。
【請求項2】
前記非哺乳動物リボヌクレアーゼが、前記第一の免疫グロブリン可変ドメインのN末端に融合されている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記非哺乳動物リボヌクレアーゼが、N末端ピログルタミン酸残基を保有する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第一の免疫グロブリン可変ドメインが軽鎖可変ドメインである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記融合ポリペプチドと前記第二の免疫グロブリン可変ドメインとが、前記宿主細胞中で別の分子として産生される、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記融合ポリペプチドがCLドメインをさらに含み、前記第二のポリペプチドがCH1ドメインをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記融合ポリペプチドがCH1ドメインをさらに含み、前記第二のポリペプチドがCLドメインをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記第二のポリペプチドが、CH2ドメインおよびCH3ドメインをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記融合ポリペプチドが、CH2ドメインおよびCH3ドメインをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記免疫毒素がグリコシル化されている、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記免疫毒素が、CH2ドメイン上でグリコシル化されている、請求項8または9に記載の方法。
【請求項12】
前記非哺乳動物のリボヌクレアーゼが、ランピルナーゼまたはその改変体である、請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記細胞毒性RNAseが、ヒョウガエルから精製されたランピルナーゼの配列および構造を有する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
免疫毒素であって、(a)第一の免疫グロブリン可変ドメインに融合された非哺乳動物リボヌクレアーゼを含む融合ポリペプチドと、(b)第二の免疫グロブリン可変ドメインを含む第二のポリペプチドとを含み、前記免疫グロブリン可変ドメインの1つが軽鎖可変ドメインであり、もう一方の免疫グロブリン可変ドメインが重鎖可変ドメインであり、前記第一および第二の免疫グロブリン可変ドメインが一緒になって抗原結合部位を形成し、
前記免疫毒素がグリコシル化されている、免疫毒素。
【請求項15】
前記非哺乳動物リボヌクレアーゼが、前記第一の免疫グロブリン可変ドメインのN末端に融合されている、請求項14に記載の免疫毒素。
【請求項16】
前記非哺乳動物リボヌクレアーゼが、N末端ピログルタミン酸残基を保有する、請求項15に記載の免疫毒素。
【請求項17】
前記第一の免疫グロブリン可変ドメインが軽鎖可変ドメインである、請求項16に記載の免疫毒素。
【請求項18】
前記融合ポリペプチドと前記第二の免疫グロブリン可変ドメインとが、別の分子である、請求項14〜17のいずれかに記載の免疫毒素。
【請求項19】
前記融合ポリペプチドがCLドメインをさらに含み、前記第二のポリペプチドがCH1ドメインをさらに含む、請求項17に記載の免疫毒素。
【請求項20】
前記融合ポリペプチドがCH1ドメインをさらに含み、前記第二のポリペプチドがCLドメインをさらに含む、請求項17に記載の免疫毒素。
【請求項21】
前記第二のポリペプチドが、CH2ドメインおよびCH3ドメインをさらに含む、請求項19に記載の免疫毒素。
【請求項22】
前記融合ポリペプチドが、CH2ドメインおよびCH3ドメインをさらに含む、請求項20に記載の免疫毒素。
【請求項23】
前記免疫毒素が、VLドメイン上でグリコシル化されている、請求項14〜22のいずれかに記載の免疫毒素。
【請求項24】
前記免疫毒素が、CH2ドメイン上でグリコシル化されている、請求項19〜23に記載の免疫毒素。
【請求項25】
前記非哺乳動物のリボヌクレアーゼが、ランピルナーゼまたはその改変体である、請求項14〜25のいずれかに記載の免疫毒素。
【請求項26】
前記細胞毒性RNAseが、ヒョウガエルから精製されたランピルナーゼの配列および構造を有する、請求項25に記載の免疫毒素。
【請求項27】
前記抗原結合部位が細胞表面分子に対して特異的に結合し、前記免疫毒素が前記細胞表面分子を保有する細胞に結合した際に内部移行されるという特性を有する、請求項14〜26のいずれかに記載の免疫毒素。
【請求項28】
細胞毒性RNAse部分に融合された内部移行抗体または抗体フラグメントを含む免疫毒素であって、前記細胞毒性RNAse部分がN末端ピログルタミン酸残基を保有し、前記細胞毒性RNAse部分がそのC末端において前記抗体または抗体フラグメントの軽鎖を含むポリペプチドのN末端に融合されており、前記抗体または抗体フラグメントが別の軽鎖および重鎖を含む、免疫毒素。
【請求項29】
腫瘍関連抗原、B細胞抗原、T細胞抗原、形質細胞抗原、HLA−DR系統抗原、CEA,NCA、MUC1、MUC2、MUC3、MUC4およびMUC16抗原、EGP−1抗原、GEP−2抗原、胎盤アルカリホスファターゼ抗原、IL−6、EGFR、VEGF、ILGF、P1GF、テネイシン、CD33、PSMA、PSA、PAP、Her2/neu、炭酸脱水素酵素IX、および自己免疫疾患に関連する抗原からなる群より選択される抗原に対する、請求項14〜28のいずれかに記載の免疫毒素。
【請求項30】
前記抗原が、B細胞またはT細胞リンパ腫または白血病に関連する標的抗原である、請求項29に記載の免疫毒素。
【請求項31】
前記抗原が、CD15、CD19、CD21、CD22、CD25、CD40、CD80、MUC1、HLA−DR、IL−6、P1GF、VEGF、CD66a、CD66b、CD66c、およびCD66dからなる群より選択される抗原である、請求項30に記載の免疫毒素。
【請求項32】
前記抗原がHLA−DRである、請求項31に記載の免疫毒素。
【請求項33】
前記免疫グロブリン可変ドメインが、LL1に由来する、請求項32に記載の免疫毒素。
【請求項34】
前記抗原がCD22である、請求項31に記載の免疫毒素。
【請求項35】
前記免疫グロブリン可変ドメインが、LL2に由来する、請求項34に記載の免疫毒素。
【請求項36】
前記抗原がMUC1である、請求項31に記載の免疫毒素。
【請求項37】
前記免疫グロブリン可変ドメインがPAM4由来である、請求項36に記載の免疫毒素。
【請求項38】
前記抗原がEGP−1である、請求項31に記載の免疫毒素。
【請求項39】
前記免疫グロブリン可変ドメインが、RS7に由来する、請求項38に記載の免疫毒素。
【請求項40】
前記抗原がEGP−2である、請求項31に記載の免疫毒素。
【請求項41】
前記免疫グロブリン可変ドメインが、RS11または17−1Aに由来する、請求項40に記載の免疫毒素。
【請求項42】
前記抗原がCEAである、請求項31に記載の免疫毒素。
【請求項43】
前記免疫グロブリン可変ドメインがMN−14由来である、請求項42に記載の免疫毒素。
【請求項44】
前記抗原がNCAである、請求項31に記載の免疫毒素。
【請求項45】
前記免疫グロブリン可変ドメインが、MN−3またはMN−15に由来する、請求項44に記載の免疫毒素。
【請求項46】
前記可変ドメインが、ヒト化ドメインまたはヒトドメインである、請求項1〜13のいずれかに記載の方法。
【請求項47】
前記可変ドメインが、ヒト化ドメインまたはヒトドメインである、請求項14〜46のいずれかに記載の免疫毒素。
【請求項48】
請求項1〜47のいずれかに記載の免疫毒素、および薬学的に受容可能なキャリアを含む薬学的組成物。
【請求項49】
被験体における疾患または症候群を処置する方法であって、前記被験体に対して、請求項48に記載の組成物を、前記疾患または症候群の症状を処置または改善するのに有効な量で投与するステップを含む、方法。
【請求項50】
前記疾患またな症候群が、前記被験体における細胞の望ましくないまたは不適切な増殖または活性化によって特徴付けられる、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記疾患または症候群が、前記被験体におけるB細胞、T細胞、骨髄細胞または形質細胞の望ましくないまたは不適切な増殖または活性化によって特徴付けられる、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記疾患が、癌腫、肉腫、神経膠腫、リンパ腫、白血病、黒色腫、神経芽細胞腫および骨髄腫からなるガンの群より選択される、請求項50に記載の方法。
【請求項53】
前記疾患または症候群が、固形腫瘍の存在によって特徴付けられる、請求項50に記載の方法。
【請求項54】
前記固形腫瘍が、神経芽細胞腫、神経膠腫、悪性黒色腫、乳房、結腸直腸、胃、卵巣、前立腺、膀胱、肝臓、肺、腎臓、および膵臓の腫瘍からなる群より選択される腫瘍である、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記薬学的組成物が、前記被験体に対して2回以上投与される、請求項48〜54のいずれかに記載の方法。
【請求項56】
1日あたり0.1〜約1000mgの前記薬学的組成物が、前記被験体に投与される、請求項48〜55のいずれかに記載の方法。
【請求項57】
前記組成物が非経口的に投与される、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記組成物が、静脈内に、動脈内に、皮内にまたは皮下に投与される、請求項56に記載の方法。
【請求項59】
前記細胞が、1つ以上の自己免疫疾患の発生および進行に関与する、請求項50に記載の方法。
【請求項60】
前記自己免疫疾患が、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群、急性特発性血小板減少性紫斑病、慢性特発性血小板減少性紫斑病、皮膚筋炎、シデナム舞踏病、重症筋無力症、全身性エリテマトーデス、ループス腎炎、リウマチ熱、多腺性症候群、水疱性類天疱瘡、糖尿病、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病、連鎖球菌感染後腎炎、結節性紅斑、高安動脈炎、アジソン病、多発性硬化症、サルコイドーシス、潰瘍性大腸炎、多形性紅斑、IgA腎症、結節性多発性動脈炎、強直性脊椎炎、グッドパスチャー症候群、血栓血管炎(thromboangitis ubiterans)、原発性胆汁性肝硬変、橋本甲状腺炎、甲状腺中毒症、強皮症、慢性活動性肝炎、多発性筋炎/皮膚筋炎、多発性軟骨炎、尋常性天疱瘡、ヴェーゲナー肉芽腫症、膜性腎症、筋萎縮性側索硬化症、脊髄癆、巨細胞性動脈炎/多発性筋痛、悪性貧血、急速進行性糸球体腎炎および線維化性肺胞炎からなる群より選択される、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
感染性の生物によって引き起こされる疾患を処置する方法であって、前記疾患に罹患している被験体に対して、請求項14に記載の免疫毒素の有効量を投与するステップを含み、前記免疫毒素の免疫グロブリン成分が、疾患を引き起こす微生物または寄生生物に特異的に結合する、方法。
【請求項62】
前記疾患を引き起こす微生物が、
ストレプトコッカス・アガラクティエ、在郷軍人病菌、化膿連鎖球菌、大腸菌、淋菌、髄膜炎菌、肺炎球菌、Hemophilis influenzae B、梅毒トレポネーマ、ライム病スピロヘータ、緑膿菌、ハンセン菌、ウシ流産菌、ヒト結核菌、破傷風毒素、抗ウイルスモノクローナル抗体、HIV−1、HIV−2、HIV−3、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、D型肝炎、パピローマウイルス、狂犬病ウイルス、インフルエンザウイルス、サイトメガロウイルス、単純疱疹IおよびII、ヒト血清パルボ様ウイルス、ポリオーマウイルス、パピローマウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、B型肝炎ウイルス、麻疹ウイルス、アデノウイルス、ヒトT細胞白血病ウイルス、エプスタイン・バーウイルス、マウス白血病ウイルス、流行性耳下腺炎ウイルス、水疱性口内炎ウイルス、シンドビスウイルス、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス、疣ウイルス、ブルー・タングウイルス、センダイウイルス、猫白血病ウイルス、レオウイルス、ポリオウイルス、シミアン・ウイルス40、マウス乳癌ウイルス、デング熱ウイルス、風疹ウイルス、原生動物、熱帯熱マラリア原虫、三日熱マラリア原虫、トキソプラズマ原虫、Trypanosoma rangeli、クルーズ・トリパノソーマ、Trypanosoma rhodesiensei、トリパノソーマ・ブルーセイ、マンソン住血吸虫、Schistosoma japanicum、Babesia bovis、Elmeria tenella、回旋糸状虫、熱帯リーシュマニア、旋毛虫、Theileria parva、Taenia hydatigena、Taenia ovis、無鉤条虫、単包条虫、Mesocestoides corti、抗マイコプラズマMAbs、Mycoplasma arthritidis、M.hyorhinis、M.orale、M.arginini、Acholeplasma laidlawii、M.salivarium、およびM肺炎からなる群より選択される、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記第一および第二の核酸配列が、pdHL2ベクター内に含まれる、請求項1〜13のいずれかに記載の方法。
【請求項64】
前記第一および第二の免疫グロブリンドメインが、半分子の形成を阻害する変異を含むIgG4ドメインである、請求項8または9に記載の方法。
【請求項65】
前記第一の免疫グロブリン可変ドメインが重鎖可変ドメインである、請求項3に記載の方法。
【請求項66】
前記第一の免疫グロブリン可変ドメインが軽鎖可変ドメインであり、前記第二の免疫グロブリン可変ドメインが重鎖可変ドメインであり、前記免疫グロブリン重鎖可変ドメインが、前記第二の免疫グロブリン重鎖可変ドメインのN末端に融合された非哺乳動物リボヌクレアーゼを含む、請求項3に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2007−524686(P2007−524686A)
【公表日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−553352(P2006−553352)
【出願日】平成17年2月14日(2005.2.14)
【国際出願番号】PCT/US2005/004860
【国際公開番号】WO2005/080586
【国際公開日】平成17年9月1日(2005.9.1)
【出願人】(599176263)イムノメディクス, インコーポレイテッド (16)
【Fターム(参考)】