説明

組成物および水性分散液

(A)エチレンベースのコポリマーおよびプロピレンベースのコポリマーからなる群より選択された少なくとも1つのベースポリマー;(B)少なくとも1つのポリマー安定剤;および少なくとも1つの充填剤を含んでいる水性分散液あって、このポリマー安定剤は、この少なくとも1つのベースポリマーと異なり、この少なくとも1つのベースポリマーおよびこの少なくとも1つの充填剤と適合性があり、この少なくとも1つのベースポリマーとこのポリマー安定剤との組み合わせ量100部あたり0〜約600部超の範囲内にある充填剤を有する分散液が開示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、充填剤を含む水性分散液に関する。より具体的には本発明は、カーペット産業において有用な分散液に関する。
【0002】
関連出願への相互参照
本出願は、発明の名称が、「組成物および水性分散液」という、2005年12月15日に出願された、米国特許出願第11/300,807号からの優先権を主張する非仮出願であり、本特許の教示は、下に完全に再現されたかのように、参照して本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
カーペット構成のための方法および技術は、当分野において公知である。タフテッドおよび非タフテッドカーペットを包含する、多様な型のカーペットが存在する。タフテッドカーペットは、ヤーン(繊維束(fiber bundle)として公知である)、表側表面および裏側表面を有する第一裏打ち材料、接着性裏打ち材料、および場合により第二裏打ち材料を含む複合構造である。
【0004】
典型的には、タフテッドカーペットの表側表面を形成するために、ヤーンは、各縫い目の長い方の長さが、第一裏打ち材料の表側表面を通って伸びるように第一裏打ち材料を通してタフトされる。典型的には第一裏打ち材料は、織布または不織布材料、例えば熱可塑性ポリマー、最も通常はポリプロピレンからできている。
【0005】
タフテッドカーペットの表面は一般に、3つの方法の1つを用いて製造される。第一に、ループパイルカーペットについては、タフティングプロセスにおいて形成されたヤーンループは、そのまま(intact)にされる。第二に、カットパイルカーペットについては、ヤーンループは、タフティングの間またはその後にカットされ、ループの代わりにヤーン末端のパイルを生じる。第三に、いくつかのカーペットスタイルは、ループおよびカットパイルの両方を含む。このハイブリッドの1つの変種は、先端が刈り込まれた(tip-sheared)カーペットと呼ばれ、この場合、異なる長さのループがタフトされ、ついで非カット、一部カット、および完全カットのループのミックスを生じるような高さにカーペットを刈り込む。あるいはまたタフト機は、これらのループのいくつかだけをカットし、これによってカットおよび非カットループの1つのパターンを残す。ループであれ、カットであれ、またはハイブリッドであれ、第一裏打ち材料の裏面のヤーンは典型的には、密接に詰まった非延長ループを含んでいる。
【0006】
接着性裏打ち材料または第二裏打ち材料の適用をともなわないタフテッドヤーンと第一裏打ち材料との組み合わせは、カーペット産業において、粗タフテッドカーペットまたは生地反(greige goods)と呼ばれる。生地反は、第一裏打ち材料の裏面への接着性裏打ち材料および任意第二裏打ち材料の適用で完成したタフテッドカーペットになる。完成したタフテッドカーペットは、典型的には6または12フィート(約2または約4メートル)のロールの広幅織りカーペットとして調製することができる。あるいはまたカーペットは、典型的には18インチ(50cm)平方〜4フィート(1.3m)平方のカーペットタイルとして調製することができる。
【0007】
接着性裏打ち材料は典型的には、ヤーンを第一裏打ち材料へ付着させるために、第一裏打ち材料の裏側表面へ適用される。1つの方法において、接着性裏打ち材料は、ローラーを用いたパンアプリケータ、ローラーまたはベッド上のロール、またはローラーまたはベッド上のナイフ(ドクターブレードとしても公知である)によって適用される。適切に適用された時、接着性裏打ち材料は、第一裏打ち材料を通過しない。
【0008】
接着性裏打ち材料は、単一コーティングもしくは単層として、または多層として適用されてもよい。ヤーンが付着される限度または強さは、「タフトロック」またはタフト結合強度と呼ばれる。十分なタフトロックを有するカーペットは、良好な耐摩耗性を示し、そのようなものなので、より長い耐用年数を有する。良好な性能特徴を有するために、接着性裏打ち材料は、第一裏打ち材料の裏面上で暴露されたヤーン(繊維束)へ実質的に浸透し、ヤーン内の個々の繊維を実質的に強固にすべきである。ヤーンの良好な浸透および繊維の強固化は、良好な耐磨耗性につながる。さらには、良好なタフト結合強度および耐磨耗性に加えて、接着性材料は好ましくは、カーペットの設置を容易にするために、カーペットへ良好な柔軟性を賦与するか、これを可能にする。
【0009】
第二裏打ち材料は典型的には、織布または不織布材料、例えば熱可塑性ポリマー、最も通常はポリプロピレンからできている軽量スクリムである。第二裏打ち材料は場合により、主として、強化された寸法安定性をカーペット構造へ与えるため、ならびに直接貼り付け(glue-down)接着剤の適用のためのより多くの表面積を与えるために、接着性裏打ち材料上のカーペットの裏面へ適用される。
【0010】
これに代わる裏打ち材料は、フォーム緩衝材(例えば発泡ポリウレタン)および感圧フロア接着剤を含んでいてもよい。これに代わる裏打ち材料はまた、例えば直接貼り付け接着性設置(例えば緩衝材の必要性が最小であることが多い、請負商業用敷物類、自動車カーペット、および飛行機カーペット)を容易にするために、例えば向上された表面積を有するウェビングとしても適用されうる。これに代わる裏打ち材料はまた場合により、湿分、昆虫、および食品に関してバリヤー保護を強化するため、ならびにカーペットの鎮火、断熱、および防音特性を与えるか、または強化するためにも適用することができる。
【0011】
公知の接着性裏打ち材料は、硬化性ラテックス、ウレタン、またはビニル系を包含するが、ラテックス系が最も普通である。従来のラテックス系は、高いカーペット生産率で適用することができ、かつ良好な繊維対裏打ち材接着、タフト結合強度、および適切な柔軟性を提供しうる低粘度水性組成物である。一般に過剰水が追い出され、ラテックスは、乾燥オブンを通過することによって硬化される。スチレンブタジエンゴム(SBR)は、ラテックス接着性裏打ち材料のために用いられる最も通常のポリマーである。典型的には、ラテックス裏打ち材系は、無機充填剤、例えば炭酸カルシウムまたはアルミニウム三水和物が多量に充填され、ほかの成分、例えば酸化防止剤、抗菌剤、難燃剤、防煙剤、湿潤剤、および起泡助剤を含む。
【0012】
従来のラテックス接着性裏打ち材系は、あるいくつかの欠点を有することがある。1つの重要な欠点として、典型的なラテックス接着性裏打ち材系は、湿分バリヤーを与えない。もう1つの可能性のある欠点は、特にポリプロピレンヤーン、およびポリプロピレン第一および第二裏打ち材料を有するカーペットの場合、ラテックス系の非同類(dissimilar)ポリマーが、無機充填剤とともに、カーペットの再利用可能性を減少させうることである。これに加えて、ラテックス系の高い分子量は、再利用可能性を有意に減少させることがある。
【0013】
これらの欠点から見て、カーペット産業において、従来のラテックス接着性裏打ち材系の適切な置換物を求め始めた者もいる。1つの代替法は、ウレタン接着性裏打ち材系の使用である。カーペットを強固にするために適切な接着を与えることに加えて、ウレタン裏打ち材は一般に、良好な柔軟性およびバリヤー特性を示し、発泡された時、別個の下敷きパディングの必要性を除くことができる。しかしながら、ウレタン裏打ち材系はまた、比較的高いコスト、ラテックス系に対して遅いカーペット生産率での適用を必要とする硬化条件を要するなどの、重要な欠点も有している。
【0014】
熱可塑性ポリオレフィン、例えばエチレンビニルアセテート(EVA)コポリマー、および低密度ポリエチレン(LDPE)もまた、部分的にはこれらの低コスト、良好な湿分安定性、および非硬化必要条件により、接着性裏打ち材料として提案されてきた。ポリオレフィン裏打ち材料を適用するために、様々な方法が利用可能であり、これは、粉末コーティング、ホットメルト塗布、および押出しフィルム、またはシートラミネーションを包含する。しかしながら、ラテックス接着性裏打ち材と置き換えるためにポリオレフィンを用いることも、問題を示すことがある。例えば米国特許第5,240,530号、表Aの10列目は、普通のポリオレフィン樹脂が、カーペット構成における使用のためには不適切な接着を有することを指摘している。これに加えて、ラテックスおよびほかの硬化系に対して、普通のポリオレフィンは、比較的高い適用粘度、および比較的高い熱要件を有する。すなわち、通常の熱可塑性ポリオレフィンは、ラテックスおよびほかの硬化(熱硬化性)系に特徴的な、典型的な水性粘度、および硬化温度要件に対して、比較的高い融解粘度および高い再結晶化もしくは固化温度を特徴とする。
【0015】
通常のエラストマーポリオレフィン、すなわち低結晶度を有するポリオレフィンでさえ一般に、比較的高い粘度および比較的高い再結晶化温度を有する。高い再結晶化温度は、加工処理の間に比較的短い融解時間を結果として生じ、高い融解粘度と組み合わされた時、特に従来の接着性裏打ち材適用率でヤーンの適切な浸透を達成することを難しくすることがある。
【0016】
通常のポリオレフィンの粘度および再結晶化欠陥を克服するための1つの方法は、ポリオレフィン樹脂をホットメルト接着剤として配合することである。このような方法は通常、低分子量ポリオレフィンを、ワックス、粘着賦与剤、様々な流量調節剤、および/またはほかのエラストマー材料との配合を包含する。例えば配合されたホットメルト接着性裏打ち材組成物およびほかのポリオレフィン組成物中に用いられてきたエチレン/ビニルアセテート(EVA)コポリマーもまた、ホットメルト裏打ち材組成物における使用のために提案されてきた。例えばタフト(Taft)らの米国特許第3,982,051号は、エチレン/ビニルアセテートコポリマー、アタクチックポリプロピレン、および加硫ゴムを含んでいる組成物が、ホットメルトカーペット裏打ち材接着剤として有用であるということを開示している。
【0017】
残念ながら、ホットメルト接着剤系は一般的には、従来のラテックス接着性裏打ち材の完全な置換物と考えられていない。EVA、およびエチレンと不飽和コモノマーとのほかのコポリマーの典型的なホットメルト系は、配合においてかなりの努力を必要とし、多くの場合、不適切なタフト結合強度を生じうる。さらにはこれらは、ラテックスで可能にされた(latex-enabled)系で実施することができないので、新たな資本の取得を必要とする。しかしながら、典型的なホットメルト系の最も有意な欠陥は、これらの融解強度であり、これらは、直接押出しコーティング技術による適用を可能にするには一般に低すぎる。そのようなものなので、ポリオレフィンホットメルト系は典型的には、比較的遅くて、あまり効率的でない技術によって、例えば加熱ドクターブレード、または回転メルトトランスファーローラーの使用によって第一裏打ち材へ適用される。
【0018】
非配合高圧低密度ポリエチレン(LDPE)は、従来の押出しコーティング技術によって適用することができるが、LDPE樹脂は典型的には低い柔軟性を有し、これは、過剰なカーペット剛性を結果として生じることがある。一方、改良された柔軟性を有するこれらのポリオレフィン、例えば超低密度ポリエチレン(ULDPE)、およびエチレン/プロピレンインターポリマーは、依然として十分な柔軟性を有さず、過度に低い融解強度を有し、および/または押出しコーティングの間、共振を引き出す(draw resonate)傾向がある。押出しコーティングの問題を克服するため、十分な柔軟性を有する通常のポリオレフィンが、適切なヤーン対裏打ち材接着を保証するために、ラミネーション技術によって適用されうる。しかしながらラミネーション技術は典型的には高価であり、直接押出しコーティング技術に対して、減少した生産率を結果として生じることがある。
【0019】
柔軟性ポリオレフィン裏打ち材料の公知例は、米国特許第3,390,035号;第3,583,936号;第3,745,054号;および第3,914,489号に開示されている。一般にこれらの開示は、エチレンコポリマー、例えばエチレン/ビニルアセテート(EVA)、およびワックスをベースとしたホットメルト接着性裏打ち材組成物について記載している。ヤーン中へのホットメルト接着性裏打ち材組成物の浸透を向上させるための公知技術は、生地反が、例えば米国特許第3,551,231号に記載されているような回転メルトトランスファーローラーと接触している間の加圧を含む。
【0020】
ホットメルト系の有効性を向上させるための別の公知技術は、プレコート系の使用を包含する。例えば米国特許第3,684,600号;第3,583,936号;および第3,745,054号は、ホットメルト接着性組成物の適用に先立って、第一裏打ち材料の裏側表面への低粘度水性プレコートの適用について記載している。これらの特許に開示されているホットメルト接着性裏打ち材系は、機能性エチレンポリマー、例えばエチレン/エチルアクリレート(EEA)およびエチレン/ビニルアセテート(EVA)コポリマーをベースとする多成分配合物に由来する。
【0021】
カーペット製造の別の先行技術方法が、PCT公開第98/38376号に開示されており、これは、裏打ち材料として均質に枝分かれした線状エチレンポリマーを用いる押出しコーティング技術を開示している。この出願は、18〜22ミクロン範囲の粒子サイズの使用、および水スラリー中への粒子の配合を開示している。
【0022】
カーペット裏打ち材の分野において公知の様々な系があるが、熱可塑性ポリオレフィンカーペット裏打ち材系への必要性が依然として存在し、これは、硬化されたラテックス裏打ち材系と置き換えるのに適切なタフト結合強度、良好な耐磨耗性、および良好な柔軟性を与える。また、良好なタフト結合強度、耐磨耗性、バリヤー特性、および柔軟性の所望の特徴を達成しつつ、高いカーペット生産率を可能にする適用方法への必要性も依然として残る。最後に、カーペット成分材料の広範な引渡し(handing)および分離の必要もなく、容易に再利用可能な繊維および裏打ち材料を有するカーペット構造への必要性も存在する。
【発明の開示】
【0023】
1つの態様において、本発明は、(A)エチレンベースのコポリマーおよびプロピレンベースのコポリマーからなる群より選択された少なくとも1つのベースポリマー;(B)少なくとも1つのポリマー安定剤;および少なくとも1つの充填剤を含む化合物であって、このポリマー安定剤は、少なくとも1つのベースポリマーとは異なり、この少なくとも1つのベースポリマーおよびこの少なくとも1つの充填剤と適合性があり、分散液が、この少なくとも1つのベースポリマーとこのポリマー安定剤との組み合わせ量の100部あたり0〜約600部超の範囲内にある充填剤を有する化合物に関する。
【0024】
1つの態様において、本発明は、化合物を支持体へ適用する方法であって、(A)エチレンベースのコポリマーおよびプロピレンベースのコポリマーからなる群より選択された少なくとも1つのベースポリマー;(B)少なくとも1つのポリマー安定剤;および少なくとも1つの充填剤を含んでいる水性分散液を形成する工程であって、このポリマー安定剤は、この少なくとも1つのベースポリマーと異なり、この少なくとも1つのベースポリマーおよびこの少なくとも1つの充填剤と適合性があり、この分散液は、この少なくとも1つのベースポリマーとこのポリマー安定剤との組み合わせ量の100部あたり0〜約600部超の範囲内にある充填剤を有する工程;この混合物をガスで起泡させる工程;およびこの起泡した混合物を支持体へ適用する工程を含む方法に関する。
【0025】
本発明のほかの態様および利点は、次の記載および添付の請求項の範囲から明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明の実施形態は、ベースポリマー、安定剤、および充填剤を含む組成物に関する。このようにして形成された組成物は、カーペット産業において特に有用である。カーペット産業に関して、本発明の実施形態は、ニードルパンチ、製織(weaved)カーペット、および/または人工ターフを含むタフテッドカーペットに有用である。さらには、カーペット産業に関連して用いられる特別な用語法は、Dictionary of Fibers and Textile Technology Product/Technical Communications Services IZ503 Hoescht Celanese Corporation, Charlotte, North Carolina 1990にしたがって解釈されるものとする。
【0027】
簡単に言えば、本明細書において用いられているように、ニードルパンチングという用語は、ばら(loose)繊維のバットまたはウェブを、ニードル織機でコヒーレント不織布へ転化するプロセスのことを言う。製織とは、2つのヤーンが互いに交差して織布を生じるように2つのヤーンを織り交ぜる方法またはプロセスのことを言う。縦糸または末端は、布地において縦に走り、フィリング糸(横糸)またはピックは、左右に走る。最後に、本明細書において用いられているように、タフティングとは、針を用いて第一裏打ち布を通してパイルヤーンを縫い合わせてタフト列を形成することによる、カーペット布の製造プロセスのことを言う。
【0028】
ベースポリマー(Base Polymer)
本発明の実施形態は、ポリエチレンベースのポリマー、ポリプロピレンベースのポリマー、およびプロピレン−エチレンコポリマーを、組成物の一成分として使用する。
【0029】
選択された実施形態において、1つの成分は、エチレン−アルファオレフィンコポリマー、またはプロピレン−アルファオレフィンコポリマーから形成される。特に、好ましい実施形態において、このベースポリマーは、1またはそれ以上の非極性ポリオレフィンを含む。
【0030】
特定の実施形態において、ポリオレフィン、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、およびこれらのコポリマー、およびこれらのブレンド、ならびにエチレン−プロピレン−ジエンターポリマーが用いられてもよい。いくつかの実施形態において、好ましいオレフィンポリマーは、エルストン(Elston)へ発行された米国特許第3,645,992号;アンダーソン(Anderson)へ発行された米国特許第4,076,698号に記載されているような高密度ポリエチレン(HDPE);不均質枝分かれ線状低密度ポリエチレン(LLDPE);不均質枝分かれ線状超低密度ポリエチレン(ULDPE);均質枝分かれ線状エチレン/アルファ−オレフィンコポリマー;例えば米国特許第5,272,236号および第5,278,272号(これらの開示は、参照して本明細書に組み込まれる)に開示されたプロセスによって調製することができる、均質枝分かれの実質的に線状のエチレン/アルファ−オレフィンポリマー;および高圧フリーラジカル重合エチレンポリマーおよびコポリマー、例えば低密度ポリエチレン(LDPE)を包含する。
【0031】
米国特許第6,538,070号、第6,566,446号、第5,869,575号、第6,448,341号、第5,677,383号、第6,316,549号、第6,111,023号、または第5,844,045号(これらの各々は、その全体を参照して本明細書に組み込まれる)に記載されたポリマー組成物もまた、いくつかの実施形態において適切である。当然ながら、ポリマーのブレンドも同様に用いることができる。いくつかの実施形態において、これらのブレンドは、2つの異なるチーグラー−ナッタポリマーを含む。ほかの実施形態において、これらのブレンドは、チーグラー−ナッタとメタロセンポリマーとのブレンドを含みうる。さらにほかの実施形態において、本発明において用いられているポリマーは、2つの異なるメタロセンポリマーのブレンドである。ほかの実施形態において、単一サイト触媒が用いられてもよい。
【0032】
いくつかの特別な実施形態において、このポリマーは、プロピレンベースのコポリマーまたはインターポリマーである。いくつかの実施形態において、プロピレン/エチレンコポリマーまたはインターポリマーは、実質的にアイソタクチックなプロピレン配列を有することを特徴とする。「実質的にアイソタクチックなプロピレン配列」という用語、および同様な用語は、これらの配列が、約0.85超、好ましくは約0.90超、より好ましくは約0.92超、最も好ましくは約0.93超の13C NMRにより測定されたアイソタクチックトライアド(isotactic triad)(mm)を有することを意味する。アイソタクチックトライアドは、当分野において周知であり、例えば米国特許第5,504,172号および第WO00/01745号に記載されており、これは、13C NMRスペクトルによって決定されたコポリマー分子鎖におけるトライアド単位としてのアイソタクチック配列のことを言う。
【0033】
ほかの特別な実施形態において、このベースポリマーは、エチレンビニルアセテート(EVA)ベースのポリマーである。
【0034】
ほかの選択された実施形態において、オレフィンブロックコポリマー、例えばエチレン多ブロックコポリマー、例えば国際公報第WO2005/090427号および米国特許出願第11/376.835号に記載されたオレフィンブロックコポリマーは、ベースポリマーとして用いることができる。このようなオレフィンブロックコポリマーは、次のようなエチレン/α−オレフィンインターポリマーであってもよい。
(a)約1.7〜約3.5のMw/Mn、少なくとも1つの融点Tm(℃)、および密度d(g/立方cm)を有し、Tmおよびdの数値は、関係、
Tm>−2002.9+4538.5(d)−2422.2(d)2
に対応するか;または
(b)約1.7〜約3.5のMw/Mnを有し、融解熱ΔH(J/g)、および最高DSCピークと最高CRYSTAFピークとの間の温度差として規定されるデルタ量ΔT(℃)を特徴とし、ここで、ΔTおよびΔHの数値は、次の関係、
ゼロより大きく、130J/gまでのΔHについては、ΔT>−0.1299(ΔH)+62.81
130J/g超のΔHについては、ΔT≧48℃
を有し、
この場合、CRYSTAFピークは、累積ポリマーの少なくとも5パーセントを用いて決定され、このポリマーの5%未満が、同定しうるCRYSTAFピークを有するならば、その場合にはCRYSTAF温度は30℃であるか;または
(c)エチレン/α−オレフィンインターポリマーの圧縮成形フィルムを用いて測定された、300パーセント歪および1サイクルにおける弾性回復Re(%)を特徴とし、密度d(g/立方cm)を有し、ここで、Reおよびdの数値は、エチレン/α−オレフィンインターポリマーが、架橋相を実質的に含まない時、次の関係、
Re>1481−1629(d)
を満たすか;または
(d)TREFを用いて分別された時、40℃〜130℃で溶離する分子フラクションを有し、このフラクションは、同じ温度間で溶離する匹敵しうるランダムエチレンインターポリマーフラクションのものよりも少なくとも5%高いモルコモノマー含量を有することを特徴とし、この場合、前記匹敵しうるランダムエチレンインターポリマーは、同じ1または複数のコモノマーを有し、このエチレン/α−オレフィンインターポリマーのものの10パーセント以内のメルトインデックス、密度、およびモルコモノマー含量(全ポリマーを基準にして)を有するか;または
(e)25℃における貯蔵弾性率G’(25℃)、および100℃における貯蔵弾性率G’(100℃)を有し、この場合、G’(25℃)対G’(100℃)の比は、約1:1〜約9:1の範囲内にある。
このエチレン/α−オレフィンインターポリマーはまた、次のものであってもよい。
(a)TREFを用いて分別された時、40℃〜130℃で溶離する分子フラクションを有し、このフラクションは、少なくとも0.5〜約1までのブロックインデックス、および約1.3超の分子量分布Mw/Mnを有することを特徴とするか;または
(b)0超であって約1.0までの平均ブロックインデックス、および約1.3超の分子量分布Mw/Mnを有する。
【0035】
当業者なら、上記リストは、適切なポリマーの非包括的リストであることを認識するであろう。本発明の範囲は、特許請求の範囲によってのみ制限されることが理解されるであろう。
【0036】
安定剤(Stabilizing Agent)
本発明の実施形態は、安定剤を用いる。選択された実施形態において、安定剤は、界面活性剤、コモノマーまたはグラフト化モノマーのどちらかとして極性基を有するポリマー(上に詳細に記載されたベースポリマーとは異なる)、またはこれらの混合物であってもよい。好ましい実施形態において、安定剤は、1またはそれ以上の極性ポリオレフィンを含んでいる。典型的なポリマーは、エチレン−アクリル酸(EAA)、およびエチレン−メタクリル酸コポリマー、例えば商品名PRIMACOR(商標)、Nucrel(商標)、およびEscor(商標)として入手可能なもの、および米国特許第4,599,392号、第4,988,781号、および第5,938,437号に記載されているコポリマーを包含する。これらの各々は、その全体が参照して本明細書に組み込まれる。ほかのポリマーは、エチレンエチルアクリレート(EEA)コポリマー、エチレンメチルメタクリレート(EMMA)、およびエチレンブチルアクリレート(EBA)を包含する。当業者なら、多くのほかの有用なポリマーもまた、用いうることを認識するであろう。
【0037】
このポリマーの極性基が、本来、酸性または塩基性であるならば、安定化性ポリマーは、中和剤で一部または全部中和されて、対応塩を形成しうる。例えば、EAAについて、中和剤は、塩基、例えば水酸化アンモニウムまたは水酸化カリウムである。もう1つの別の方法において、中和剤は例えば、いずれかのアミン、例えばモノエタノールアミン、または2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(AMP)であってもよい。当業者なら、適切な中和剤の選択が、配合された特定の組成によること、およびこのような選択は、当業者の知識の範囲内にあることを理解するであろう。
【0038】
本発明の実施において有用でありうる追加の界面活性剤は、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、または非イオン性界面活性剤を包含する。アニオン性界面活性剤の例は、スルホン酸塩、カルボン酸塩、およびリン酸塩を包含する。カチオン性界面活性剤の例は、第四アミンを包含する。非イオン性界面活性剤の例は、酸化エチレンおよびシリコーン界面活性剤を含有するブロックコポリマーを包含する。本発明の実施において有用な界面活性剤は、外部界面活性剤であるか、または内部界面活性剤のどちらかであってもよい。外部界面活性剤は、分散液調製の間に化学的に反応してポリマーにならない界面活性剤である。本発明において有用な外部界面活性剤の例は、ドデシルベンゼンスルホン酸の塩、およびラウリルスルホン酸塩を包含する。内部界面活性剤は、分散液調製の間に化学的に反応してポリマーになる界面活性剤である。本発明において有用な内部界面活性剤の一例は、2,2−ジメチロールプロピオン酸およびその塩を包含する。
【0039】
充填剤(Fillers)
本発明の実施形態は、充填剤をこの組成物の一部として使用する。本発明の実施において、ポリオレフィン分散液中の適切な充填剤負荷は、100部のポリオレフィンあたり約0〜約600部の充填剤であってもよい。この充填剤材料は、従来の充填剤、例えばミルドグラス、炭酸カルシウム、アルミニウム三水和物、タルク、ベントナイト、アンチモン三酸化物、カオリン、フライアッシュ、またはほかの公知充填剤を包含しうる。
【0040】
配合物(Formulations)
したがって、好ましい配合において、本発明による化合物は、1またはそれ以上の非極性ポリオレフィンを含むベースポリマー、1またはそれ以上の極性ポリオレフィンを含む安定剤、および充填剤を含んでいてもよい。ベースポリマーおよび安定剤に関して、好ましい実施形態において、1またはそれ以上の非極性ポリオレフィンは、この組成物においてベースポリマーおよび安定剤の総量の約30%〜99%(重量)を構成しうる。より好ましくは、この1またはそれ以上の非極性ポリオレフィンは、約50%〜約80%を構成する。さらにより好ましくは、この1またはそれ以上の非極性ポリオレフィンは、約70%を構成する。
【0041】
充填剤に関して典型的には、100のポリマーあたり約0〜約1,000部超の量(ポリマーはここでは、安定剤と組み合わされた非極性ポリオレフィンを意味する)が用いられる。選択された実施形態において、100あたり約50〜250部が用いられる。選択された実施形態において、100あたり約10〜500部が用いられる。さらにほかの実施形態において、100あたり約20〜400部が用いられる。
【0042】
これらの固体材料は好ましくは、好ましい実施形態において水である液体培地中に分散される。好ましい実施形態において、約6〜約14のpH範囲を得るために、結果として生じた分散液を中和するのに十分な塩基が添加される。好ましい実施形態において、約9〜約12のpHを維持するのに十分な塩基が添加される。この分散液の水含量は好ましくは、固体含量が約1%〜約74%(容量)になるように制御される。別の実施形態において、固体含量は、約25%〜約74%(容量)である。特に好ましい実施形態において、固体範囲は、約30%〜約50%である(充填剤を用いない、重量で)。
【0043】
本発明の実施形態にしたがって形成された分散液は、約0.3〜約3.0ミクロンの平均粒子サイズを有することを特徴とする。ほかの実施形態において、分散液は、約0.8μm〜約1.2μmの平均粒子サイズを有する。「平均粒子サイズ」によって、本発明は、容積平均粒子サイズを意味する。粒子サイズを測定するために、例えばレーザー回折技術が用いられてもよい。この記載における粒子サイズとは、分散液中のポリマーの直径のことを言う。球形でないポリマー粒子について、この粒子の直径は、この粒子の長軸および短軸の平均である。粒子サイズは、ベックマン−コールターLS230(Beckman-Coulter LS230)レーザー回折粒子サイズ分析器またはほかの適切な器具で測定することができる。
【0044】
例えば本発明の配合物は、界面活性剤、起泡剤、分散剤、増粘剤、難燃剤、顔料、帯電防止剤、強化繊維、酸化防止剤、中和剤、レオロジー調節剤、防腐剤、殺生剤、酸掃去剤、湿潤剤などを含んでいてもよい。本発明の目的のためには任意であるが、製造プロセスの間およびその後、生成物安定性のために、ほかの成分が非常に有利であることがある。
【0045】
これに加えて、本発明の実施形態は場合により、充填剤湿潤剤を含んでいる。充填剤湿潤剤は一般に、充填剤の製造を補助し、ポリオレフィン分散液をより適合性にしうる。有用な湿潤剤は、リン酸塩、例えばヘキサメタリン酸ナトリウムを包含する。充填剤湿潤剤は、本発明の組成物中に、100部の充填剤あたり少なくとも約0.5重量部の濃度で含まれてもよい。
【0046】
さらには、本発明の実施形態は場合により、増粘剤を含んでいてもよい。増粘剤は、本発明において、低粘度分散液の粘度を増すために有用でありうる。本発明の実施への使用に適した増粘剤は、当分野において公知のいずれかのもの、例えばポリアクリレート型であってもよく、または非イオン性増粘剤、例えば変性セルロースエーテルを組み合わせてもよい。例えば適切な増粘剤は、ALCOGUM(商標)VEP−II(Alco Chemical Corporationの商品名)、Rheovis(商標)およびViscalex(商標)(Ciba Ceigyの商品名)、UCAR(登録商標)増粘剤146、またはEthocell(商標)、またはMethocell(商標)(Dow Chemical Companyの商品名)、およびPARAGUM(商標)241(Para−Chem Southern,Inc.の商品名)、またはBermacol(商標)(Akzo Nobelの商品名)、またはAqualon(商標)(Herculesの商標)、またはACUSOL(登録商標)(Rohm and Haasの商標)を包含する。増粘剤は、所望の粘度の化合物を調製するのに必要ないずれかの量で用いることができる。
【0047】
したがって、この分散液の極限粘度は制御可能である。充填剤量を含む分散液への増粘剤の添加は、カーペットコーティングに必要とされるような粘度を結果として生じるために、従来の手段を用いて実施することができる。このようにして化合物の粘度は、中程度の増粘剤投与(100phrのポリマー分散液を基準にして、好ましくは4%まで、3%以下)で、+3,000cP(20rpmでのブルックフィールドスピンドル4)に達しうる。記載されているような出発ポリマー分散液は、20〜1,000cP(室温において、スピンドルrv3を用いて50rpmで測定されたブルックフィールド粘度)の充填剤および添加剤との配合に先立ち当初粘度を有する。さらにより好ましくは、この分散液の出発粘度は、約100〜約600cPであってもよい。
【0048】
また、本発明の実施形態は、充填剤がポリマー/安定剤へ添加された時、それらの安定性を特徴とする。この文脈において、安定性とは、結果として生じる水性ポリオレフィン分散液の粘度の安定性のことを言う。安定性をテストするために、粘度は、ある期間にわたって測定される。好ましくは20℃で測定された粘度は、周囲温度で保存された時、24時間にわたって、もとの粘度の+/−10%にとどまるべきである。
【0049】
特定の実施形態において、ベースポリマー、安定剤、および充填剤が、押出し機において、水および中和剤、例えばアンモニア、水酸化カリウム、またはこれら2つの組み合わせとともに融解混練されて、分散液化合物が形成される。当業者なら、多くのほかの中和剤が用いられてもよいことを認識するであろう。いくつかの実施形態において、充填剤が、ベースポリマーおよび安定剤をブレンドした後に添加されてもよい。
【0050】
当分野において公知のどの融解混練手段が用いられてもよい。いくつかの実施形態において、混練機、バンバリーミキサー、一軸押出し機、または多軸押出し機が用いられる。本発明にしたがう分散液の生成方法は、特に制限されているわけではない。1つの好ましいプロセスは例えば、米国特許第5,756,659号および米国特許公報第20010011118号にしたがって上記成分を融解混練する工程を含むプロセスである。
【0051】
図1は、本発明の実施形態において用いることができる押出し装置を図解している。押出し機20、あるいくつかの実施形態においては二軸押出し機が、背圧調節機、メルトポンプ、またはギアポンプ30と組み合わされる。実施形態はまた、塩基リザーバ40、および当初水リザーバ(initial water reservoir)50も提供し、これらの各々は、ポンプ(図示されていない)を含んでいる。所望量の塩基および当初水が、それぞれ塩基リザーバ40および当初水リザーバ50から供給される。いずれかの適切なポンプが用いられてもよいが、いくつかの実施形態において、240バールの圧力において約150cc/分の流量を与えるポンプが、押出し機20へ、塩基および当初水を供給するために用いられる。ほかの実施形態において、液体注入ポンプは、200バールで300cc/分、または133バールで600cc/分の流量を与える。いくつかの実施形態において、塩基および当初水は、予熱器において予熱される。
【0052】
有利には、あるいくつかの実施形態において押出し機を用いることによって、ベースポリマーおよび安定剤は、単一プロセスにおいてブレンドされて、分散液を形成しうる。また有利には、上に列挙された安定剤の1またはそれ以上を用いることによって、分散液は、充填剤およびほかの添加剤に対して安定である。ポリオレフィンベースのポリマーに関わる先行配合物は、充填剤に対して不安定である。
【0053】
有利には、本明細書に開示された実施形態にしたがって形成されたポリオレフィン分散液は、この分散液をカーペットサンプルへ適用して良好なタフトロックを達成し、第一および第二裏打ち材へ接着し、そして柔軟性ラミネートを維持する能力を提供する。特定の実施形態において、本発明者らはまた、本明細書に開示された化合物が、極性支持体(例えば表面繊維用に用いられるポリアミド)への良好な接着を有することも発見した。
【0054】
特定の実施形態において、ポリオレフィン分散液は、当業者に公知のいずれかの適用方法を用いてカーペットへ適用される。例えば1つの実施形態において、本発明によるポリマー裏打ちカーペットの調製において、ポリオレフィン分散液は、適切に調製されたカーペット支持体の非パイル表面上へ好ましくは均一な厚さの層として適用される。ポリオレフィンプレコート、ラミネートコート、およびフォームコートは、このような裏打ち材の調製分野における当業者に公知の方法によって調製することができる。分散液から調製されたプレコート、ラミネートコート、およびフォームコートは、P.L. Fitzgerald 「Integral Dispersion Foam Carpet Cushioning」 J.Coat.Fab.1977、第7巻(107〜120ページ)、およびR.P. Brentin 「Dispersion Coating Systems for Carpet Backing」 J.Coat.Fab.1982、第12巻(82〜91ページ)に記載されている。
【0055】
フォームの調製の時、分散液を起泡するのが好ましいことが多い。この発明の実施において好ましいのは、起泡剤としてのガスの使用である。適切な起泡剤の例は、ガスおよび/またはガス混合物、例えば空気、二酸化炭素、窒素、アルゴン、ヘリウムなどを包含する。特に好ましいのは、起泡剤としての空気の使用である。起泡剤は典型的には、液体中へのガスの機械的導入によって導入され、泡を形成する。この技術は、機械的起泡として公知である。起泡ポリオレフィン裏打ち材の調製において、装置、例えばOAKES、MONDO、またはFIRESTONEのような起泡機を用いてすべての成分を混合し、ついで空気またはガスをこの混合物中にブレンドすることが好ましい。
【0056】
安定した泡を調製するために有用な界面活性剤は、本明細書においてフォーム安定剤と呼ばれる。フォーム安定剤は、本発明の実施において有用である。この分野において通常の技術を有する者なら、多くのフォーム安定剤を用いることができることを理解するであろう。フォーム安定剤は、例えば硫酸塩、スクシナメート、およびスルホスクシナメートを包含しうる。
【0057】
図2においてフローチャート形態で示されている本発明の1つの実施形態において、ポリオレフィン分散液が形成される(ST200)。次に、分散液が起泡される(ST210)。これは例えば、空気と機械的に混合することによって行なわれてもよい。起泡分散液はついで、カーペット上へ広げられる(ST220)。選択された実施形態において、ポリオレフィン分散液は、約65℃〜約125℃で適用される。好ましい実施形態において、ポリオレフィン分散液は、約85℃〜約95℃で適用される。
【0058】
支持体、例えばカーペット上へ適用された分散液は、いずれかの従来の乾燥方法によって乾燥されてもよい。このような従来の乾燥方法は、空気乾燥、対流式オブン乾燥、温風乾燥、電子レンジ乾燥、および/または赤外線オブン乾燥を包含するが、これらに限定されるわけではない。支持体、例えばカーペット上へ適用された分散液は、どんな温度で乾燥されてもよい。例えばこれは、ベースポリマーの融点と同じまたはそれ以上の範囲の温度で乾燥されてもよい。または別の方法において、これはベースポリマーの融点未満の範囲内の温度で乾燥されてもよい。支持体、例えばカーペット上へ適用された分散液は、約60°F(15.5℃)〜約700°F(371℃)の範囲内の温度で乾燥されてもよい。約60°F(15.5℃)〜約700°F(371℃)のすべての個々の値および部分的な範囲が本発明に包含され、本発明において開示される。例えば、支持体、例えばカーペット上へ適用された分散液は、約60°F(15.5℃)〜約500°F(260℃)の範囲内の温度で乾燥されてもよく、または別の方法において、支持体、例えばカーペット上へ適用された分散液は、約60°F(15.5℃)〜約450°F(232.2℃)の範囲内の温度で乾燥されてもよい。支持体、例えばカーペット上へ適用された分散液の温度は、約40分未満の間、ベースポリマーの融点温度と同じかまたはそれ以上の範囲内の温度へ上昇されてもよい。約40分未満からのすべての個々の値および部分的な範囲が本発明に包含され、本発明において開示される。例えば、支持体、例えばカーペット上へ適用された分散液の温度は、約20分未満の間、ベースポリマーの融点温度と同じかまたはそれ以上の範囲内の温度へ上昇されてもよく、または別の方法において、支持体、例えばカーペット上へ適用された分散液の温度は、約10分未満の間、ベースポリマーの融点温度と同じかまたはそれ以上の範囲内の温度へ上昇されてもよく、またはもう1つの別の方法において、支持体、例えばカーペット上へ適用された分散液の温度は、約0.5〜600秒の範囲内の間、ベースポリマーの融点温度と同じかまたはそれ以上の範囲内の温度へ上昇されてもよい。もう1つの別の方法において、支持体、例えばカーペット上へ適用された分散液の温度は、40分未満の間、ベースポリマーの融点温度未満の範囲内の温度へ上昇されてもよい。約40分未満からのすべての個々の値および部分的な範囲が本発明に包含され、本発明において開示される。例えば、支持体、例えばカーペット上へ適用された分散液の温度は、約20分未満の間、ベースポリマーの融点温度未満の範囲内の温度へ上昇されてもよく、または別の方法において、支持体、例えばカーペット上へ適用された分散液の温度は、約10分未満の間、ベースポリマーの融点温度未満の範囲内の温度へ上昇されてもよく、またはもう1つの別の方法において、支持体、例えばカーペット上へ適用された分散液の温度は、約0.5〜600秒の範囲内の間、ベースポリマーの融点温度未満の範囲内の温度へ上昇されてもよい。
【0059】
ベースポリマーの融点温度と同じかまたはそれ以上の範囲内の温度における、支持体、例えばカーペット上へ適用された分散液の乾燥は重要である。その理由は、このことが、その中に離散安定剤相が分散されている連続ベースポリマー相を有するフィルムの形成を容易にし、連続ベースポリマー相はこれによって、油およびグリース抵抗を改良し、ならびに湿分および蒸気透過へのバリヤーを提供するからである。
【実施例】
【0060】
プレコートが、TCR002と呼ばれるポリオレフィン分散液を用いて、タフテッドカーペットのサンプルへ適用された。このポリオレフィン分散液は、70%対30%ブレンド(重量)としてのAFFINITY(商標)8200/PRIMACOR(商標)5980iから形成されたベースポリマー/安定剤ミックスを含んでいた。これらのどちらも、Dow Chemical Company(ミシガン州ミッドランド)から入手しうる。このタフテッドカーペットは、ポリプロピレンパイルおよびポリプロピレンパイル裏打ち材を有していた。配達されたままの熱可塑性ポリマー、AFFINITY(商標)8200は、軟質柔軟性ビーズからなっていた。配達されたままのPRIMACOR(商標)5980iは、硬質球形ビーズからなっていた。
【0061】
25重量%KOH保存溶液が、界面活性剤を中和するために調製された。この溶液の最終密度は、20℃で1.25g/mlであった。この調製は、下の表1に示されている。
【表1】

【0062】
ポリマー、すなわちAFFINITY(商標)8200が、第一固体フィーダーを通して供給されることになった。このフィーダーは、シェンク(Schenck)減量フィーダーからなっており、一方、PRIMACOR(商標)5980iは、第二固体フィーダーを通して供給されることになった。この第二フィーダー、すなわちシェンクモデル301/304は、所望の比でPRIMACOR(商標)5980iを送達するように設定された。この設定の間、AFFINITY(商標)8200/PRIMACOR(商標)5980i比は、70/30〜85/15(重量)で様々に変えられることになった。オールテック(Alltech)301マクロヘッドHPLCポンプは、すべての水性ストリームを計量供給した。水または水/KOH混合物が、タペットスタイルインジェクタ設計ではあるが二軸押出し機中に汲み入れられた。
【0063】
この水性ストリームは、190℃に設定されたDC200シリコーン油浴によって調質された(temper)24”コア/シェル熱交換器(20’1/8チュービングコア)を通して予熱された。これに加えて、インジェクタのすぐ上流に位置する、予め設置された背圧調節機が、550psiの値へ設定された。希釈ストリームもまた、150℃へ加熱された同一交換器/浴設定で予熱された。第二希釈もまた、この実験のために用いられた。ゾーン7(e−ゾーン)に位置する温度/圧力プローブが、最終粒子サイズへの圧力効果を決定するために用いられた。押出し機背圧を制御するメルトポンプは、2.92cc/rev容量を有するゼニス(Zenith)シリーズポンプからなっていた。
【0064】
この実験の間、IA/供給原料比は、0.467〜0.098で様々に変えられた。PRIMACOR(商標)5980i濃度は、総ポリマーの30〜15重量で様々に変えられた。塩基添加もまた、9.6〜4.5ml/分の25重量%KOH保存溶液で様々に変えられた(3.000〜1.406gKOH/分)。モル中和は、198.9〜90.1で様々に変えられた。いくつかのサンプルが、これらの水/塩基/PRIMACOR(商標)5980i変動の間に得られた。これらのサンプルは、調製された0.025重量%KOH溶液中の適切な希釈後、エポキシモデルを実行するコールターLS230光散乱粒子分析器で測定された。
【0065】
粒子サイズ(Particle Size)
30重量%PRIMACOR(商標)5980iで得られた最小粒子サイズは、0.321のIA/ポリマー比および450rpmのスクリュー速度において2.20の多分散度で、0.67μmであった。15重量%PRIMACOR(商標)5980iで、得られた最小粒子サイズは、0.240のIA/ポリマー比および450rpmのスクリュー速度において13.30の多分散度で、4.18μmであった。
【0066】
中和レベル(Neutralization level)
30重量%におけるPRIMACOR(商標)5980iが、苛性アルカリ(caustic)で90.1モル%のレベルにおいて一部中和された。計算された100%中和レベルは、2.719の計量供給された量と比較して、3.016g/分のKOHになるはずであった。15重量%において、PRIMACOR(商標)5980iは、苛性アルカリで93.2モル%のレベルにおいて一部中和された。計算された100%中和レベルは、1.406の計量された量と比較して、1.508g/分のKOHになるはずであった。
【0067】
サンプリング(Sampling)
5ガロンのサンプルが、次の規格で得られた(後希釈および防腐剤添加後)。
【表2】

【0068】
この分散液の3つのバージョンが作られた。まず未充填(すなわち充填剤が添加されていない)バージョンが、カーペットサンプル上に付着された。第二に、(ベースポリマーおよび安定剤に対して)100あたり200部の炭酸カルシウム充填剤を用いて、サンプルが作られ、第三サンプルが、(ベースポリマーおよび安定剤に対して)100あたり200部のアルミニウム三水和物を用いて作られた。Ciba Specialty Chemicals(スイス国バーゼル)から入手しうる、100あたり0.25部のAlcopol(登録商標)O湿潤剤が、第二および第三サンプルへ添加された。多くの比較サンプルもまた生成され、テストが実施された。
【0069】
下記サンプルの各々に関するテスト/仕様の説明
【表3】

【0070】
このテストの結果が図3に示されている。この図面に示されているように、本発明にしたがって配合された実施形態(上記表の13および15)は、良好な接着およびタフトロックを示した。
【0071】
有利には、本発明の1またはそれ以上の実施形態は、その意図された用途において良好な性能を有する組成物、方法、および物品を提供する。例えば1つの用途において、本発明の1またはそれ以上の実施形態は、自動車産業においてカーペットに対して用いることができる。
【0072】
標準的CRYSTAF方法(Standard CRYSTAF Method)
【0073】
枝分かれ分布は、スペイン国バレンシアのポリマーチャー(PolymerChar)から市販されているCRYSTAF200単位を用いた結晶化分析分別(CRYSTAF)によって決定される。サンプルが、160℃(0.66mg/mL)で1時間、1,2,4−トリクロロベンゼン中に溶解され、95℃で45分間安定化される。サンプリング温度は、0.2℃/分の冷却速度で95〜30℃の範囲である。赤外線検出器が、ポリマー溶液濃度を測定するために用いられる。累積可溶性濃度は、温度が減少される間にポリマーが結晶化するにつれて測定される。累積プロフィールの分析導関数(derivative)は、このポリマーの短鎖枝分かれ分布を反映する。
【0074】
CRYSTAFピーク温度および面積は、CRYSTAFソフトウエア(バージョン2001.b、スペイン国バレンシアのポリマーチャー)中に含まれているピーク分析モジュールによって同定される。CRYSTAFピーク発見ルーティーンは、dW/dT曲線中の最大としてのピーク温度、および導関数曲線中の同定されたピークのどちらか一方側にある最大のプラスの屈折間の面積を同定する。CRYSTAF曲線を計算するために、好ましいプロセシングパラメーターは、70℃の温度限界、および0.1の温度限界以上および0.3の温度限界以下の平滑化パラメーターを有する。
【0075】
屈曲/割線モジュラス/貯蔵モジュラス(Flexural/Secant Modulus/Storage Modulus)
【0076】
サンプルが、ASTM D 1928を用いて圧縮成形される。屈曲および2パーセント割線モジュラスが、ASTM D−790にしたがって測定される。貯蔵モジュラスは、ASTM D 5026−01または同等の技術にしたがって測定される。
【0077】
DSC標準方法(DSC Standard Method)
【0078】
示差走査熱量測定結果が、RCS冷却付属品およびオートサンプラーを備えたTAIモデルQ1000DSCを用いて決定される。50ml/分の窒素パージガス流が用いられる。サンプルが薄膜中に押し込まれ、このプレスにおいて約175℃で融解され、ついで室温(25℃)へ空気冷却される。3〜10mgの材料がついで、6mm直径ディスクにカットされ、正確に重さが量られ、軽アルミニウムパン(約50mg)に入れられ、ついでクリンプ閉鎖される。サンプルの熱挙動が、次の温度プロフィールで調査される。サンプルは、急速に180℃へ加熱され、以前のあらゆる熱履歴を取り除くために、3分間等温に保持される。サンプルはついで、10℃/分の冷却率で−40℃へ冷却され、3分間−40℃に保持される。サンプルはついで、10℃/分の加熱率で150℃へ加熱される。冷却および第二加熱曲線が記録される。
【0079】
DSC融解ピークが、−30℃と融解の終了の間に引かれた直線ベースラインに関して熱流量(W/g)における最大として測定される。融解熱は、直線ベースラインを用いて、−30℃と融解の終了の間の融解曲線下の面積として測定される。
【0080】
DSCの較正は次のように行なわれる。第一に、ベースラインは、アルミニウムDSCパン中にサンプルを全く入れずに、DSCを−90℃から行なうことによって得られる。ついで、7mgの新鮮なインジウムサンプルが、サンプルを180℃へ加熱し、サンプルを10℃/分の冷却率で140℃へ冷却し、ついでサンプルを1分間140℃で等温に保持し、ついでサンプルを1分あたり10℃/分の加熱率で140℃から180℃へ加熱することによって分析される。融解熱、およびインジウムサンプルの融解の開始が決定され、融解の開始については156.6℃から0.5℃以内になり、融解熱については28.71J/gから0.5J/g以内になるようにチェックされる。ついで脱イオン水は、DSCパン中の新鮮なサンプルの小滴を、1分あたり10℃の冷却率で、25℃から−30℃へ冷却することによって分析される。サンプルは、2分間−30℃で等温に保持され、1分あたり10℃の加熱率で、30℃へ加熱される。融解の開始が決定され、0℃から0.5℃以内になるようにチェックされる。
【0081】
GPC方法(GPC Method)
【0082】
ゲル浸透クロマトグラフィー系は、ポリマー・ラボラトリーズ・モデルPL−210、またはポリマー・ラボラトリーズ・モデルPL−220機器のいずれかからなる。カラムおよびカルーセルコンパートメントは、140℃で操作される。3つのポリマー・ラボラトリーズ10ミクロン混合−Bカラムが用いられる。溶媒は、1,2,4トリクロロベンゼンである。これらのサンプルは、200ppmのブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を含有する50ミリリットルの溶媒中、0.1グラムのポリマーの濃度で調製される。サンプルは、160℃で2時間、軽く撹拌することによって調製される。用いられる射出容積は、100マイクロリットルであり、流量は1.0ml/分である。
【0083】
GPCカラムセットの較正は、580〜8,400,000の範囲の分子量の21の狭い分子量分布のポリスチレン標準を用いて実施される。これは、個々の分子量間に少なくとも10(decade)の分離を有する6つの「カクテル」混合物として配列されている。これらの標準は、Polymer Laboratories(英国シュロップシャー州)から購入される。ポリスチレン標準は、1,000,000と同じかまたはそれ以上の分子量について、50ミリリットルの溶媒中0.025グラムで、および1,000,000未満の分子量について、50ミリリットルの溶媒中0.05グラムで調製される。ポリスチレン標準は、80℃で30分間静かな撹拌をともなって溶解される。狭い標準混合物が最初に試験され、そして分解を最小限するするために漸減最高分子量成分の順序で試験される。ポリスチレン標準ピーク分子量は、(Williams and Ward,J.Polym.Sci.Polym.Let.,6、621(1968)に記載されているように)次の等式を用いてポリエチレン分子量へ転化される。Mホ゜リエチレン=0.431(Mホ゜リスチレン)。
【0084】
ポリエチレン等量分子量計算が、Viscotek TriSECソフトウエア、バージョン3.0を用いて実施される。
【0085】
密度(Density)
【0086】
密度測定のためのサンプルが、ASTM D 1928にしたがって調製される。測定は、ASTM D 792、方法Bを用いてサンプルプレスの1時間以内に行なわれる。
【0087】
ATREF
【0088】
分析的温度上昇溶離分別(ATREF)分析が、米国特許第4,798,081号、およびWilde, L.; Ryle T.R.; Knobeloch D.C.; Peat, I.R.; Determination of Branching Distributions in Polyetylene and Ethylene Copolymer, J.Polym.Sci.,20、441-455(1982)に記載されている方法にしたがって実施される。これらは、その全体を、参照して本明細書に組み込まれる。分析されることになる組成物は、トリクロロベンゼン中に溶解され、0.1℃/分の冷却率で温度を20℃へゆっくりと低下させることによって、不活性担体(ステンレス鋼ショット)を含有するカラム中で結晶化することができる。カラムには赤外線検出器が備えられている。ついでATREFクロマトグラム曲線は、溶離溶媒(トリクロロベンゼン)の温度を1.5℃/分の率で20℃から120℃へゆっくりと上昇させて、カラムから結晶化ポリマーサンプルを溶離することによって生成される。
【0089】
13C NMR分析(13C NMR Analysis)
【0090】
これらのサンプルは、10mmのNMR管において、0.4gサンプルへ、約3gのテトラクロロエタン−d2/オルトジクロロベンゼンの50/50混合物を添加することによって調製される。これらのサンプルは、この管およびその内容物を150℃へ加熱することによって溶解され、均質化される。データは、JEOL Eclipse(商標)400MHz分光計またはVarian Unity Plus(商標)400MHz分光計を用いて収集される。これは、100.5MHzの13C共鳴周波数に相当する。データは、6秒パルス反復遅延で、1データファイルあたり4000トランジェントを用いて獲得される。定量分析のための最小信号対雑音比を得るために、多重データファイルがともに加えられる。スペクトル幅は、32Kデータ点の最小ファイルサイズで25,000Hzである。これらのサンプルは、130℃で10mmブロードバンドプローブにおいて分析される。コモノマー組み込みは、ランダルのトライアッド方法(Randall,J.C.;JMS-Rev.Macromol.Chem.Phys.,C29,201-317(1989))を用いて決定される。これは、その全体を、参照して本明細書に組み込まれる。
【0091】
ブロックインデックス(Block Index)
【0092】
エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、0以上、約1.0までである平均ブロックインデックス(ABI)、および約1.3超の分子量分布Mw/Mnを特徴とする。平均ブロックインデックスABIは、5℃のインクリメントで(ただしほかの温度インクリメント、例えば1℃、2℃、10℃も用いることができる)、20℃〜110℃の分取TREF(すなわち、温度上昇溶離分別によるポリマーの分別)において得られたポリマーフラクションの各々についてのブロックインデックス(「BI])の重量平均である。
【0093】
【数1】

【0094】
式中、BIiは、分取TREFにおいて得られた本発明のエチレン/α−オレフィンインターポリマーのi番目のフラクションについてのブロックインデックスであり、wiは、i番目のフラクションの重量パーセンテージである。同様に、平均についての第二モーメントの平方根は、以後、第二モーメント重量平均ブロックインデックスと呼ばれるが、これは次のように規定することができる。
【0095】
【数2】

【0096】
式中、Nは、BIiが0超であるフラクションの数として規定される。図9を参照すると、各ポリマーフラクションについて、BIは、2つの次の等式の1つによって規定される(これらの両方は、同じBI値を与える)。
【0097】
【数3】

または
【数4】

【0098】
式中、Txは、i番目のフラクションについてのATREF(すなわち分析TREF)溶離温度(好ましくはケルビンで表示される)であり、Pxは、i番目のフラクションについてのエチレンモルフラクションであり、これは、下記のようにNMRまたはIRによって測定することができる。PABは、全エチレン/α−オレフィンインターポリマー(分別前)のエチレンモルフラクションであり、これもまた、NMRまたはIRによって測定することができる。TAおよびPAは、ATREF溶離温度、および純粋な「硬質セグメント」(これは、インターポリマーの結晶質セグメントのことを言う)についてのエチレンモルフラクションである。概算として、または「硬質セグメント」組成物が未知であるポリマーについて、TAおよびPA値は、高密度ポリエチレンホモポリマーについての値に設定される。
【0099】
ABは、本発明のコポリマーと同じ組成(PABのエチレンモルフラクションを有する)および分子量のランダムコポリマーについてのATREF溶離温度である。TABは、次の等式を用いて、エチレンのモルフラクション(NMRによって測定された)から計算することができる。
【0100】
【数5】

【0101】
式中、αおよびβは、広い組成のランダムコポリマーの多くの十分に特徴付けられた分取TREFフラクション、および/または狭い組成を有する十分に特徴付けられたランダムエチレンコポリマーを用いた較正によって決定することができる2つの定数である。αおよびβは、機器毎に様々でありうることに留意すべきである。さらには、較正を生じるために用いられる分取TREFフラクションおよび/またはランダムコポリマーについて適切な分子量範囲およびコモノマー型を用いて、前記ポリマー組成で適切な較正曲線を生成する必要があるであろう。わずかな分子量効果が存在する。較正曲線が、同様な分子量範囲から得られるならば、このような効果は、本質的に無視しうるであろう。図8に図解されているようないくつかの実施形態において、ランダムエチレンコポリマーおよび/またはランダムコポリマーの分取TREFフラクションは、次の関係を満たす。
【0102】
【数6】

【0103】
上記較正等式は、狭い組成のランダムコポリマーおよび/または広い組成のランダムコポリマーの分取TREFフラクションについて、エチレンのモルフラクションPを、分析的TREF溶離温度TATREFと関係付ける。TXOは、同じ組成(すなわち同じコモノマー型および含量)および同じ分子量を有し、かつPXのエチレンモルフラクションを有するランダムコポリマーについてのATREF温度である。TXOは、測定されたPXモルフラクションから、LnPX=α/TXO+βにより計算することができる。逆にPXOは、同じ組成(すなわち同じコモノマー型および含量)および同じ分子量を有し、かつTXのATREF温度を有するランダムコポリマーについてのエチレンモルフラクションである。これは、TXの測定された値を用いて、LnPXO=α/TX+βから計算することができる。
【0104】
各分取TREFフラクションについてのブロックインデックス(BI)がひとたび得られたら、全ポリマーについての重量平均ブロックインデックスABIを計算することができる。
【0105】
機械的性質−引張り、ヒステリシス、および引裂き(Mechanical Properties - Tensile Hysteresis and Tear)
【0106】
一軸引張りにおける応力−歪挙動は、ASTM D 1708微小引張り標本を用いて測定される。サンプルは、Instronを用いて、500%分-1で21℃においてストレッチされる。引張り強さおよび破断伸びは、5つの標本の平均から報告される。
【0107】
100%および300%のヒステリシスは、Instron(商標)機器とともにASTM D 1708微小引張り標本を用いて、100%および300%歪への循環(cyclic)荷重から決定される。サンプルは、3サイクルについて21℃において267%分-1で荷重され、荷重除去される。300%および80℃における循環実験は、環境室を用いて実施される。80℃実験において、サンプルは、テスト前、テスト温度において45分間平衡するままにされる。21℃、300%歪循環実験において、第一荷重除去サイクルからの150%歪における収縮(retractive)応力が記録される。すべての実験についてのパーセント回復は、第一荷重除去サイクルから、荷重がベースラインへ戻る歪を用いて計算される。パーセント回復は、次のように規定される。
【0108】
【数7】

【0109】
式中、εfは、循環荷重のために取られた歪であり、εsは、荷重が、第一荷重除去サイクルの間にベースラインに戻る歪である。
【0110】
本発明は、限定数の実施形態に関して記載されているが、この開示の恩恵を有する当業者なら、本明細書に開示されている発明の範囲から逸脱しないほかの実施形態を考案することができることを理解するであろう。したがって、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】図1は、本発明の実施形態にしたがう分散液の配合に用いることができる押出し機を示す。
【図2】図2は、本発明の実施形態にしたがう方法を図解するフローチャートを示す。
【図3】図3は、本発明の実施形態と先行技術の組成物との比較を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)エチレンベースのコポリマーおよびプロピレンベースのコポリマーからなる群より選択された少なくとも1つのベースポリマー;および
(B)少なくとも1つのポリマー安定剤
を含んでいる水性分散液;ならびに
少なくとも1つの充填剤、を含有する化合物;であって、
前記ポリマー安定剤は、前記少なくとも1つのベースポリマーと異なり、前記少なくとも1つのベースポリマーおよび前記少なくとも1つの充填剤と適合性があり、前記分散液は、前記少なくとも1つのベースポリマーと前記ポリマー安定剤との組み合わせ量100部あたり0〜約600部超の範囲内にある充填剤を有する化合物。
【請求項2】
前記少なくとも1つのベースポリマーが、前記水性分散液の約35〜55容量%を構成する、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記安定剤が、少なくとも1つの中和された極性ポリマーを含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
前記極性ポリマーが、コモノマーとしての極性基を有するポリオレフィン、およびグラフト化モノマーとしての極性基を有するポリオレフィンから選択された少なくとも1つを含む、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
前記少なくとも1つのベースポリマーと前記ポリマー安定剤との組み合わせ量は、前記水性分散液の約1〜約74容量%を構成する、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
約6〜約14のpHを有する化合物を含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
前記水性分散液が、約0.3〜約3.0ミクロンの平均粒子サイズを有する水性分散液を含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
さらに、湿潤剤、界面活性剤、帯電防止剤、中和剤、起泡剤、増粘剤、レオロジー調節剤、殺生物剤、および防カビ剤から選択された少なくとも1つも含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
化合物を支持体へ適用する方法であって、
(A)エチレンベースのコポリマーおよびプロピレンベースのコポリマーからなる群より選択された少なくとも1つのベースポリマー;および
(B)少なくとも1つのポリマー安定剤
を含む水性分散液;ならびに
少なくとも1つの充填剤、を含有する化合物;であって、前記ポリマー安定剤は、前記少なくとも1つのベースポリマーと異なり、前記少なくとも1つのベースポリマーおよび前記少なくとも1つの充填剤と適合性があり、前記分散液は、前記少なくとも1つのベースポリマーと前記ポリマー安定剤との組み合わせ量100部あたり0〜約600部超の範囲内にある充填剤を有する化合物を形成する工程;
前記混合物をガスで起泡させる工程;および
前記起泡した混合物を支持体へ適用する工程
を含む方法。
【請求項10】
前記支持体が、カーペットを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
さらに、前記支持体を高温へ暴露することによって、水の少なくとも一部分を除去する工程も含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
温度が65〜125℃である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
化合物を支持体へ適用する方法であって、
(A)エチレンベースのコポリマーおよびプロピレンベースのコポリマーからなる群より選択された少なくとも1つのベースポリマー;
(B)少なくとも1つのポリマー安定剤
を含む水性分散液;ならびに
少なくとも1つの充填剤、を含有する化合物;であって、前記ポリマー安定剤は、前記少なくとも1つのベースポリマーと異なり、前記少なくとも1つのベースポリマーおよび前記少なくとも1つの充填剤と適合性があり、前記分散液は、前記少なくとも1つのベースポリマーと前記ポリマー安定剤との組み合わせ量100部あたり0〜約600部超の範囲内にある充填剤を有する化合物を形成する工程;および
前記混合物を支持体へ適用する工程
を含む方法。
【請求項14】
前記支持体が、織布または不織布テキスタイルを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
さらに、前記支持体を高温へ暴露することによって、水の少なくとも一部分を除去する工程も含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
温度が65〜125℃である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
組成物の形成方法であって、
水および中和剤の存在下に水性分散液の成分を融解混練して、融解混練された成分を形成する工程であって、前記水性分散液の成分が、
(A)エチレンベースのコポリマーおよびプロピレンベースのコポリマーからなる群より選択された少なくとも1つのベースポリマー;および
(B)安定剤
を含む工程;
ついで、前記少なくとも1つのベースポリマーと前記ポリマー安定剤との組み合わせ量100部あたり0〜約600部超の量で、充填剤を前記融解混練された成分へ添加する工程
を含む方法。
【請求項18】
カーペット構成方法であって、
接着剤としての化合物をカーペットへ適用する工程であって、前記化合物が、
(A)エチレンベースのコポリマーおよびプロピレンベースのコポリマーからなる群より選択された少なくとも1つのベースポリマー;
(B)少なくとも1つのポリマー安定剤;および
(C)少なくとも1つの充填剤
を含み、
前記ポリマー安定剤が、前記少なくとも1つのベースポリマーとは異なり、前記少なくとも1つのベースポリマーおよび前記少なくとも1つの充填剤と適合性があり、前記分散液が、前記少なくとも1つのベースポリマーとこのポリマー安定剤との組み合わせ量100部あたり0〜約600部超の範囲で充填剤を有する工程を含む方法。
【請求項19】
カーペットが、織布カーペットを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
カーペットが、ニードルパンチカーペットを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
カーペットが、タフテッドカーペットを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
カーペットが、人工ターフを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
第一支持体および第二支持体を含有する物品であって、第一支持体および第二支持体が、請求項1に記載の化合物によって互いに結合されている物品。
【請求項24】
テキスタイル上に付着された、請求項1に記載の化合物を含む物品。
【請求項25】
さらに、前記含浸テキスタイルの温度を、エチレンベースの熱可塑性ポリマー、プロピレンベースの熱可塑性ポリマー、およびこれらの混合物からなる群より選択された前記ポリマーの融点に等しいかまたはそれ以上の範囲の温度へ上昇させる工程も含む、請求項9に記載の方法。
【請求項26】
さらに、前記含浸テキスタイルの温度を、エチレンベースの熱可塑性ポリマー、プロピレンベースの熱可塑性ポリマー、およびこれらの混合物からなる群より選択された前記ポリマーの融点未満の範囲の温度へ上昇させる工程も含む、請求項9に記載の方法。
【請求項27】
さらに、前記含浸テキスタイルの温度を、エチレンベースの熱可塑性ポリマー、プロピレンベースの熱可塑性ポリマー、およびこれらの混合物からなる群より選択された前記ポリマーの融点に等しいかまたはそれ以上の範囲の温度へ上昇させる工程も含む、請求項13に記載の方法。
【請求項28】
さらに、前記含浸テキスタイルの温度を、エチレンベースの熱可塑性ポリマー、プロピレンベースの熱可塑性ポリマー、およびこれらの混合物からなる群より選択された前記ポリマーの融点未満の範囲の温度へ上昇させる工程も含む、請求項13に記載の方法。
【請求項29】
カーペット;および
連続ベースポリマー相であって、前記ベースポリマーが、エチレンベースの熱可塑性ポリマー、プロピレンベースの熱可塑性ポリマー、およびこれらの混合物からなる群より選択された相;および
前記連続ベースポリマー相中に分散された離散安定剤相を含有するフィルム
を含む物品。
【請求項30】
カーペット;ならびに
フィルムであって、連続安定剤相;および
前記連続安定剤相中に分散された離散ベースポリマー相であって、前記ベースポリマーが、エチレンベースの熱可塑性ポリマー、プロピレンベースの熱可塑性ポリマー、およびこれらの混合物からなる群より選択された相を含有するフィルム、
を含む物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−520055(P2009−520055A)
【公表日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−545649(P2008−545649)
【出願日】平成18年12月4日(2006.12.4)
【国際出願番号】PCT/US2006/046517
【国際公開番号】WO2007/075279
【国際公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【Fターム(参考)】