説明

経口投与用速溶性製剤の製造方法及びその製造、並びに包装装置

【課題】服薬順応度が高く、口腔内で速やかに溶解する速溶性製剤を簡便、且つ経済的に製造できる方法及びその製造のための薬剤包装装置を提供する。
【要約】本発明は経口投与用速溶性製剤の製造方法及びその製造、並びに包装装置に関し、薬剤学的活性成分と糖又は糖アルコール類を含む混合粉末を包装材に充填させた後、この充填物を加熱することを特徴とし、このような本発明によれば、服薬順応度が高く、口腔内で速やかに溶解する経口投与用速溶性製剤を簡便、且つ経済的に製造できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は溶融結合を用いた経口投与用速溶性製剤の製造方法及びその製造、並びに包装装置、これにより製造される口腔内で速やかに溶解する速溶性製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、速溶錠を製造する方法としては、凍結乾燥方法、崩解剤又は昇華性物質を利用する方法、加湿及び除湿による方法などが挙げられる。
【0003】
これまで知られている速溶錠製剤の代表的な例としては、薬物が含まれている溶液を凍結乾燥(lyophilization)させて製剤化したもの(アル.ピー.シューラー(R.P.Scherer)による下記の特許文献1及び2参照)があり、このような製剤としては、ペプシッドRPD(Pepcid RPD、ファモチジン製剤、メルク)、ゾフランザイディス(Zofran zydis、オンダンセトロン製剤、グラクソ・ウエルカム)、クラリチンレディタブス(Claritin RediTabs)などの製品が挙げられる。これらの製品は口腔内で2〜3秒以内に速やかに溶けるという長所を有するが、予め成形された容器に薬物溶液を注入した後、特殊な温度条件で凍結乾燥させなければならないなど生産性が低く、このように製造された製剤は特殊材質で包装する必要があるため、生産コストが上昇するという短所を有する。
【0004】
このような短所を有する凍結乾燥法の代りに、日本の山之内製薬(Yamanouchi)はウォタブ(WOWTAB)技術を開発したが、これと関連した特許文献である下記の特許文献3には水溶性高分子を結合剤として用いて活性成分と共に打錠した後、高湿条件で湿らせた後、乾燥させて残留有機溶媒を含有しない速溶錠を製造する方法が開示されており、下記の特許文献4には活性成分と寒天、糖などの懸濁液を金型に充填し、30℃、−760mmHgで乾燥させて水分を除去する方法が開示されている。しかしながら、これらの方法は生産性が低く、製品間で品質の均一性を維持し難いという短所がある。
【0005】
速溶錠を製造する他の方法としてシーマ・ラブズ(Cima Labs)はオラソルブ(Orasolv)技術を開発したが、関連特許文献としては、下記の特許文献5及び特許文献6が挙げられる。この技術を通じて製剤化された代表的な製品としては、ジミッグラピメルト(Zimig Rapimelt、ゾルミトリプタン製剤、アストラゼネカ)があるが、この製品は発泡性物質を含有する錠剤剤形であるものの、満足できるだけの口腔崩解性を有さないだけでなく、口腔内の発泡ガスの発生により服薬性が良くないという短所を有する。
【0006】
下記の特許文献7にはウレタン、ウレア、アンモニウムカーボネート、ナフタレンなどの揮発性賦形剤を残りの錠剤成分と混合した後、打錠し加熱して揮発性賦形剤を揮発させて多孔性錠剤を製造する方法が開示されている。しかしながら、この方法の場合、製造された錠剤に残留する賦形剤が患者に致命的であるという短所を有する。
【0007】
また、下記の特許文献8には−30〜25℃範囲の氷点をもつ溶媒、例えば、水、シクロヘキサン、ベンゼン、tert-ブタノールなどを残りの錠剤成分に加えた後、この混合物を氷点以下に冷却させて溶媒を固形化させた後に打錠し溶媒を蒸発させて多孔性錠剤を製造する方法が開示されている。しかしながら、この方法は生産性が低く、使用する有機溶媒の毒性が非常に強いという短所を有する。
【0008】
前記内容から分かるように、速溶性製剤を製造する既存の方法は、昇華、揮発、除湿などの方法で除去され得る特定成分を含む製剤を製造した後、該当特定成分を昇華、揮発、除湿などの方法で除去してその成分の除去による通路(pore)を形成させることで、服用時にこのような通路に唾液などが速やかに侵入できるようにすることに基づいている。しかしながら、このような既存の方法によれば、初期製剤にない通路が強制的に形成されることにより、製剤の物性が著しく低下したり、性状が深刻に変化するおそれがある。
【0009】
従って、このような既存の方法による問題点を発生させることなく、容易に生産可能であり、服用が容易な速溶性製剤の製法に対する開発が切実な状況である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第5,631,023号
【特許文献2】米国特許第5,976,577号
【特許文献3】国際特許公開第WO 99/47126号
【特許文献4】国際特許公開第WO 93/12769号
【特許文献5】米国特許第5,178,878号
【特許文献6】米国特許第6,024,981号
【特許文献7】米国特許第3,885,026号
【特許文献8】米国特許第4,134,943号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで、本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、服薬順応度が高く、口腔内で速やかに溶解する速溶性製剤を簡便、且つ経済的に製造できる方法及びその製造のための薬剤包装装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様によれば、(A)薬剤学的活性成分と糖又は糖アルコール類を含む混合粉末を包装材に充填させる段階及び(B)前記段階(A)で得られた充填物を加熱する段階を含む経口投与用速溶性製剤の製造方法が提供される。
【0013】
本発明の他の態様によれば、前記製造方法により溶融結合された薬剤学的活性成分と糖又は糖アルコール類を含む経口投与用速溶性製剤が提供される。
【0014】
本発明の更に他の態様によれば、経口投与用速溶性製剤の製造及び包装のための装置であって、成形フィルムを供給する成形フィルム供給部と、前記成形フィルムを成形して容器形態のポケットを有する下部ポケットフィルムを製作するフィルム成形部と、混合粉末又は前記混合粉末を加圧して形態を備えた錠剤を前記下部ポケットフィルムの前記ポケット内に充填及び投入する薬剤投入部と、前記成形ポケットフィルム内の充填物を加熱して溶融結合させる加熱装置部と、前記下部ポケットフィルムに対して上部カバーフィルムを付着するシーリング部とを含む経口投与用速溶性製剤の製造及び包装装置が提供される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、強引的な通路の形成による製剤の性状及び物理的性質の低下なしに、服薬順応度が高く、口腔内で速やかに溶解する経口投与用速溶性製剤を、製造と包装が一連の単一工程からなる製造方式を通じて簡便、且つ経済的に製造できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明による経口投与用速溶性製剤の製造及び包装装置の構成に対するブロック図である。
【図2】本発明による経口投与用速溶性製剤の製造及び包装装置の薬剤投入部を示す断面図である。
【図3】本発明による経口投与用速溶性製剤の製造及び包装装置の薬剤投入部の要部を示す概略斜視図である。
【図4】本発明による経口投与用速溶性製剤の製造及び包装装置の加熱部を示す断面図である。
【図5】本発明の他の実施例による経口投与用速溶性製剤の製造及び包装装置の構成に対するブロック図である。
【図6】本発明の他の実施例による経口投与用速溶性製剤の製造及び包装装置の押圧部を示す断面図である。
【図7】本発明の更に他の実施例による経口投与用速溶性製剤の製造及び包装装置の構成に対するブロック図である。
【図8】本発明の更に他の実施例による経口投与用速溶性製剤の製造及び包装装置のサクション部を示す断面図である。
【発明の詳細な説明】
【0017】
以下、本発明を更に詳細に説明する。
【0018】
本発明による製法は、昇華、揮発、除湿などを通じて強制的に通路を形成する既存の製法とは異なり、本来多くの通路を有する薬剤学的活性成分と糖又は糖アルコール類の混合粉末を充填(段階(A))及び加熱(段階(B))して溶融結合させることで、既存の通路をそのまま維持することを特徴とする。
【0019】
このような本発明の方法は、強引的な通路の形成による製剤の性状及び物理的性質の低下がない卓越した方法であるだけでなく、混合/充填/加熱の一連の工程からなる単純、且つ経済的な方法である。
【0020】
段階(A)
本発明で製剤の製造に用いられる組成物(混合粉末)は、薬剤学的活性成分及び糖又は糖アルコール類を含み、これらの他にも薬剤学的に許容可能な添加剤を追加で含むことができる。
【0021】
以下では、本発明に用いられる組成物の構成成分について詳細に説明する。
【0022】
(1)薬剤学的活性成分
1.解熱剤、鎮痛剤又は消炎剤
例えば、トラマドル、イブプロフェン、デキシブプロフェン、アスピリン、アセトアミノフェン、インドメタシン、ジクロフェナクナトリウム、ケトプロフェン、イソプロフィルアンチピリン、フェナセチン、フルルビプロフェン、フェニルブタゾン、エトドラク、セレコキシブ、エトリコキシブ及びこれらの薬剤学的に許容可能な塩などが挙げられる。
【0023】
2.抗胃潰瘍剤
例えば、シメチジン、ファモチジン、ラニチジン、ニザチジン、ロキサチジン及びこれらの薬剤学的に許容可能な塩などが挙げられる。
【0024】
3.心血管剤又は血管拡張剤
例えば、ニフェジピン、アムロジピン、ベラパミル、カプトプリル、塩酸ジルチアゼム、プロプラノロール、オクスプレノロール、ニトログリセリン、エナラプリル及びこれらの薬剤学的に許容可能な塩などが挙げられる。
【0025】
4.抗生物質
例えば、アンピシリン、アモキシシリン、セファレキシン、セフロキシム、セフジニル、セファドロキシル、セフプロジル、セフポドキシム、セフジトレン、セファクロル、セフィキシム、セフラジン、ロラカルベフ、セフチブテン、セファトリジン、セフカペン、エリスロマイシン類、テトラサイクリン類、キノロン類及びこれらの薬剤学的に許容可能な塩などが挙げられる。
【0026】
5.鎮咳剤又はぜん息治療剤
例えば、テオフィリン、アニノピリン、リン酸コデイン、塩酸メチルエフェドリン、デキストロメトルファン、ノスカピン、サルブタモール、アンプロキソール、クレンブテロール、テルブタリン、モンテルカスト及びこれらの薬剤学的に許容可能な塩などが挙げられる。
【0027】
6.鎮吐剤又は胃機能調節剤
例えば、オンダンセトロン、メトクロプラミド、ドンペリドン、マレイン酸トリメブチン、シサプリド、レボスルピリド及びこれらの薬剤学的に許容可能な塩などが挙げられる。
【0028】
7.勃起不全治療剤
酸化窒素の分解を遮断する薬物として、例えば、シルデナフィル、バルデナフィル、タダラフィル、ウデナフィル及びこれらの薬剤学的に許容可能な塩などが挙げられる。
【0029】
8.痴呆症治療剤
例えば、ドネペジル、ガランタミン、リバスチグミン、アセチルカルニチン、メマンチン、ザリプロデン及びこれらの薬剤学的に許容可能な塩などが挙げられる。
【0030】
この他にもタムスロシンのような前立腺肥大症治療剤;スマトリプタン、ゾルミトリプタン、リザトリプタンのような偏頭痛治療剤;精神刺激剤;抗菌剤;ロラタジン、フェキソフェナジンのような抗ヒスタミン剤;グリメピリドのような経口糖尿治療剤;アレルギー治療剤;避姙薬;ビタミン剤;血液凝固防止剤;筋弛緩剤;脳代謝改善剤;トルセミド、フロセミドのような利尿剤;ガバペンチン、プレガバリン、バルプロ酸、トピラマート、カルバマゼピン、ラモトリジン、オクスカルバゼピンのような抗けいれん剤;セレギリンのようなパーキンソン病治療剤;リスペリドン、ジプラシドン、クエチアピン、オランザピン、クロザピン、パリペリドンのような抗精神病薬、及びこれらの薬剤学的に許容可能な塩なども用いることができる。また、経口用ワクチンのような生物学的製剤にも適用できる。
【0031】
前記活性成分は混合粉末の総重量に対して0.01〜90重量%、好ましくは0.02〜70重量%の量で用いることができる。
【0032】
(2)糖又は糖アルコール類
糖又は糖アルコール類は製剤の製造時には形状を維持し、溶解速度を決定し、口腔内では甘み、溶解性及び触感などに影響を与える重要な成分であって、このような効果を奏するためには甘みと水溶解性が良くなければならない。使用可能な糖及び糖アルコール類としては、ラクトース、グルコース、スクロース、フルクトース、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、リブロース、マルチトール、マルトース、マルトデキストリン、パラチノース、トレハロース、デキストロース及びこれらの混合物などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0033】
前記糖又は糖アルコール類は混合粉末の総重量に対して10〜99.9重量%、好ましくは20〜95重量%の量で用いることができる。もし、前記糖類の含有量が10重量%未満であれば、甘みと口腔内の触感が良くないという問題がある。
【0034】
(3)薬剤学的に許容可能な添加剤
本発明では、充填前の混合物の流れ性、服用の便宜性及び物理的性質を向上させる目的で、薬剤学的活性成分と糖又は糖アルコール類以外に任意に1つ以上の薬剤学的に許容可能な添加剤を用いることができる。薬剤学的に許容可能な添加剤の例としては、低融点結合剤、崩解剤、滑沢剤、賦形剤(例えば、甘味剤、充填剤)などが挙げられる。
【0035】
低融点結合剤の成分は速溶性製剤の硬度を補助する成分であって、製品の取り扱い、保管時に製品の形状を維持する目的で用いられる。前記低融点結合剤の成分としては100℃以下の融点を有し、当該分野において通常用いる剤形に強度を付与できるものであれば、どのようなものでも使用可能である。例えば、ポリエチレングリコール、ポロキサマー、HCO、グリセリン、プロピレングリコール、グリセリド類、これらの誘導体、これらの混合物など融点が100℃以下であることが好ましい。好ましい例としては、ポリエチレングリコール200、300、400、600、1000、1500、2000、3000、4000、6000、8000及び20000、ポロキサマー188、237、338及び407、HCO-50、HCO-60、グリセリン、グリセリルベヘナート、グリセリルモノステアレート、グリセリルモノオールレート、プロピレングリコール、中鎖トリグリセリド、脂肪酸グリセリドなどがある。
【0036】
崩解剤の成分は速溶性製剤を口腔内で更に速やかに崩解させるための成分であって、具体的には架橋結合されたポリビニルピロリドン、架橋結合されたカルボキシメチルセルロース、デンプングリコール酸ナトリウム、カルシウムカルボキシメチルセルロース、これらの混合物などを用いることができる。
【0037】
滑沢剤の成分としては、ステアリン酸マグネシウム、タルク、シリカ、ステアリルフマル酸ナトリウム、バリン、ショ糖脂肪酸エステル、水添ヒマシ油、これらの混合物などを用いることができる。
【0038】
また、製剤化を助けるための薬剤学的賦形剤として、アスパルテーム、ステビオサイド、スクラロース、アセスルファムなどの甘味剤成分、微細結晶セルロース、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、デンプンのような充填剤成分などを用いることができる。
【0039】
前記薬剤学的に許容可能な添加剤は、混合粉末100重量部に対して0.01〜50重量部、好ましくは0.1〜30重量部の量で用いることができる。
【0040】
本発明では、薬剤学的活性成分、糖又は糖アルコール類及び任意の薬剤学的に許容可能な添加剤を乾式混合又は湿式混合などの方法で混合できる。全ての構成成分を混合器で均質に混合する乾式混合法と、一部又は全体成分で湿式顆粒を作った後、再び乾燥させて用いる湿式混合法のうち何れかを用いても構わない。
【0041】
次に、得られた混合粉末を包装材に、特に、包装用下部ポケットフィルム内に一定量充填させるが、前記包装材の材質としては、アルミニウム、ポリ塩化ビニール(PVC)又はポリ塩化ビニリデン(PVDC)が好適である。後続して行われる高温の加熱工程を考慮すると、200〜1,000℃に上る温度に耐えられるアルミニウム材質がより好ましい。PVC又はPVDC材質を用いる場合には加熱により包装材が変形する可能性があるが、この場合、充填された粉末のみを選択的に加熱することで、包装材の変形を防ぐこともできる。患者や消費者が医薬品を混同するのを防止するために(個別識別表示が可能なように)、成形された下部ポケットフィルムを包装材として用いて陽刻又は陰刻の文字又は図案が製剤の表面に刻み込まれるように、モールド成形をすれば医薬品の誤用を未然に防止できる。
【0042】
段階(B)
前記段階(A)で得られた充填物を輻射熱を用いて200〜1,000℃で1〜60秒間、好ましくは1〜30秒間加熱することで、混合粉末から形態を有する速溶性製剤を形成させる。このとき、混合粉末の性状と加熱条件に応じて速溶性製剤が包装材の接触部分にくっ付くことができるので、混合粉末の組成比と加熱条件を適切に調節してこれを防止する。
【0043】
本発明では、充填物を数秒〜数十秒の非常に短時間で高温に露出させることで、薬剤学的活性成分の分解を最小化でき、露出時間は混合粉末に用いられた構成成分の種類に応じて適切に選択される。加熱手段としては、ハロゲンランプ、赤外線(IR)照射器、加温トンネルなどを用いることができ、これらのうちハロゲンランプが好ましい。
【0044】
次に、加熱により形成された形態を有する速溶性製剤の下部ポケットフィルムに上部カバーフィルムを接着させて製品の包装を完了し得る。前記カバーフィルムの材質としてはアルミニウムが好適であるが、剥ぎ取れるピール(peel)包装が可能であるか、容易に剥ぎ取れる材質であれば何でも良い。
【0045】
本発明による速溶性製剤の形態は錠剤、丸薬、カプセル又は散剤の中で目的に応じて多様に選択され得るが、好ましくは錠剤であり得る。
【0046】
以上のように、本発明の方法によれば、強引的な通路の形成による製剤の性状及び物理的性質の低下なしに、服薬順応度が高く、口腔内で速やかに溶解する経口投与用速溶性製剤を簡便、且つ経済的に製造できる。
【0047】
以下、本発明を実施例を通じて更に詳細に説明する。但し、下記の実施例は、本発明を例示するためのものに過ぎず、本発明の範囲がこれらのみに限定されるものではない。
【0048】
実施例1
1錠当たりの薬剤学的活性成分としてのファモチジン20mg及び糖アルコール類としてのキシリトール300mgを均質に混合した後、この混合粉末を成形されたアルミニウム材質の下部ポケットフィルム内に充填した。次に、充填物を約800℃の赤外線ランプで6秒間加熱して形態を有する速溶性製剤を形成させた後、アルミニウム材質の上部カバーフィルムを下部ポケットフィルムに付着して速溶性製剤を製造した。
【0049】
実施例2
充填物を約400℃の赤外線ランプを用いて20秒間加熱したことを除けば、実施例1と同様に、速溶性製剤を製造した。
【0050】
実施例3
充填物を約600℃の赤外線ランプを用いて15秒間加熱したことを除けば、実施例1と同様に、速溶性製剤を製造した。
【0051】
実施例4
充填物を約400℃の赤外線ランプを用いて30秒間加熱したことを除けば、実施例1と同様に、速溶性製剤を製造した。
【0052】
実施例5
充填物を約1000℃の赤外線ランプを用いて2秒間加熱したことを除けば、実施例1と同様に、速溶性製剤を製造した。
【0053】
実施例6〜10
糖アルコール類として、キシリトール300mgの代りに、ソルビトール300mg、キシリトール150mgとソルビトール150mgの混合物、マルチトール300mg、マンニトール300mg及びエリスリトール300mgをそれぞれ用いたことを除けば、実施例1と同様に、それぞれの速溶性製剤を製造した。
【0054】
実施例11〜20
糖アルコール類としてのキシリトールの代りに、糖として、ラクトース、グルコース、スクロース、フルクトース、マルトース、パラチノース、リブロース、マルトデキストリン、トレハロース及びデキストロースをそれぞれキシリトールと同量で用いたことを除けば、実施例1と同様に、それぞれの速溶性製剤を製造した。
【0055】
実施例21〜45
薬剤学的活性成分として、ファモチジン20mgの代りに、塩酸トラマドル50mg、イブプロフェン50mg、デキシブプロフェン30mg、アスピリン50mg、セレコキシブ50mg、塩酸バルデナフィル20mg、アムロジピン5mg、セフジニル50mg、テオフィリン50mg、オンダンセトロン4mg、シルデナフィル50mg、ドネペジル5mg、ガランタミン4mg、塩酸タムスロシン0.2mg、スマトリプタン4mg、モンテルカスト4mg、ロラタジン10mg、グリメピリド2mg、フェキソフェナジン30mg、トルセミド5mg、トピラマート50mg、リスペリドン2mg、オランザピン10mg、ゾルミトリプタン2.5mg及びモンテルカスト5mgをそれぞれ用いたことを除けば、実施例1と同様に、それぞれの速溶性製剤を製造した。
【0056】
実施例46〜51
低融点結合剤として、10mgのPEG 6000、20mgのPEG 6000、40mgのPEG 6000、10mgのポロキサマー188、20mgのポロキサマー188及び40mgのポロキサマー188をそれぞれ混合粉末に添加したことを除けば、実施例1と同様に、それぞれの速溶性製剤を製造した。
【0057】
実施例52
糖アルコール類として、キシリトール300mgの代りに、マンニトール300mgを水10mgとエタノール10mgに溶解させて湿式顆粒を製造した後、これを乾燥させて得られた乾燥物を用いたことを除けば、実施例1と同様に、速溶性製剤を製造した。
【0058】
実施例53
糖アルコール類として、キシリトール300mgの代りに、キシリトール150mgとマンニトール150mgの混合物を水5mgとエタノール10mgに溶解させて湿式顆粒を製造した後、これを乾燥させて得られた乾燥物を用いたことを除けば、実施例1と同様に、速溶性製剤を製造した。
【0059】
実施例54
糖アルコール類として、キシリトール300mgの代りに、キシリトール50mgとマンニトール250mgの混合物を水5mg、エタノール10mg及び中鎖トリグリセリド(MTC油)5mgの混合溶媒に溶解させて湿式顆粒を製造した後、これを乾燥させて得られた乾燥物を用いたことを除けば、実施例1と同様に、速溶性製剤を製造した。
【0060】
実施例55
糖アルコール類として、キシリトール300mgの代りに、キシリトール50mgとマンニトール250mgの混合物を水5mgとエタノール10mg及び中鎖トリグリセリド(MTC油)5mgの混合溶媒に溶解させて湿式顆粒を製造した後、これを乾燥させて得られた乾燥物に架橋結合されたポリビニルピロリドン30mgを混合して用いたことを除けば、実施例1と同様に、速溶性製剤を製造した。
【0061】
比較例1
発売中のガスター口腔崩壊錠(ファモチジン20mg、東亜製薬)を比較例として用いた。このとき、前記ガスター口腔崩壊錠はウォタブ(WOWTAB)技術を用いて製造されたものである。
【0062】
試験例1:速溶性製剤の崩解特性評価
[崩解時間]
大韓薬典一般試験法の崩解試験法によって錠剤水を用いて試験した。錠剤が完全に溶けてなくなるまでかかる時間を測定した。
【0063】
[試験管内の崩解時間]
ペトリディッシュ(petri dish、100×10mm)上に90mmの直径のろ過紙を置いて錠剤水7mLを皿に入れ、気泡が生じないように注意しながら皿を傾けた。ろ過紙が完全に濡れれば、皿の上に錠剤を置いて毛細管作用により錠剤水が上昇することを観察した。6つの錠剤をそれぞれの皿で試験して錠剤が完全に濡れるまでかかる時間を測定した。
【0064】
[口腔内の崩解時間]
健康な成人男子が口腔内に水分を入れず、錠剤を口腔内の舌上に乗せて柔らかく擦った時に完全に崩壊されて溶解するまでの時間を測定した。
【0065】
実施例で製造された本発明速溶性製剤と比較例のガスター口腔崩壊錠の崩解特性評価結果を下記の表1に示す。
【表1】

【0066】
前記表1の結果から分かるように、実施例により製造された本発明の速溶性製剤の場合、口腔内で2〜33秒間で柔らかく溶解されて水なしに服用できる程度に服薬順応度に優れている反面、比較例として用いたガスター口腔崩壊錠は口腔内で崩解されるのに40秒以上の時間がかかった。
【0067】
一方、以下では、本発明の製法を適用して速溶性製剤を大量に製造できる薬剤包装装置を詳細に説明する。
【0068】
一般の薬剤包装装置は別名ブリスター(blister)包装器であり、ブリスター包装とは、合成樹脂又は金属材質の平らなフィルムから一定の容器形状を成形してその中に被包装物を充填し蓋を被せて接着、封止した後、一定寸法で打抜、切断して1つの包装単位体を作る包装技法をいう。このようなブリスター包装は当初、製薬会社の錠剤やカプセルを1つのパックに包装するために開発されたものであって、近年は製菓、化粧品又は生活用品の製造などに多量利用されている。このようなブリスター包装は、他の包装方式に比べて透明フィルムを用いるため、製品の識別が容易であり、フィルムを成形して包装することで、成形ツールによって製品と同一の形状又は多様な形状に包装形態を自由自在に変えることができ、硬質フィルムを用いて製品保護性に優れ、使用時に製品の開封が容易であり、誰でも簡単に使用、携帯できるという長所がある。
【0069】
通常の薬剤包装装置は、概略以下の通り構成される。
【0070】
(1)成形フィルム供給部:包装用下部ポケットフィルムの製作のための平らな成形フィルムを供給するものであって、通常、成形フィルムを解いて供給するアンコイラー(uncoiler)と、このアンコイラーから成形フィルムを一定の速度で引っ張って移送するドロー-オフ(draw-off)手段を備える。
【0071】
(2)フィルム成形部:製品の形状に対応する形状に製作されたモールドを定着し、このモールド上に成形フィルムを位置させ、成形加圧棒が下向きになって押圧されることで、成形フィルム上に陥没されるポケットを形成するものであって、フィルムの成形性を良くするために、予め成形フィルムを予熱する予熱部を備えることができる。
【0072】
(3)内容物投入部:製品を格納するホッパー(hopper)などを備えて下部ポケットフィルムのポケット内に製品を投入する。
【0073】
(4)シーリング(sealing部):内容物が投入された下部ポケットフィルムに対してシーリング用上部カバーフィルムを付着するものであって、カバーフィルムをロール状に巻き取ったアンコイラーとシーリング器を備える。
【0074】
(5)切断部:製品を一定の包装単位に切断するものであって、必要に応じて製品ナンバーや製造日付などを表示するためにエンボシング(embossing)作業を行うエンボシング器、切断線を刻み込むスリッティング(slitting)器、パンチング(punching)作業を行えるパンチング器などを含むことができる。
【0075】
(6)制御部:機器前面に設置されて作業者により操作されて作動制御を実施するものであって、制御パネルで実現されることができる。
【0076】
このような薬剤包装装置の作動方式を詳察すれば、まず、成形フィルム供給部のアンコイラー上に巻き取られた成形フィルムが一定速度で進入し、成形フィルムはフィルム成形部の予熱部に進入して成形に適した温度で予熱され、直ちに成形加圧棒により押圧されて成形フィルム上に内容物が収容され得る容器形態のポケットが形成される。このようにポケットが形成された成形フィルムは包装用下部ポケットフィルムとなり、その後、内容物投入部によりそのポケット内に内容物(丸薬など)が投入され、内容物が投入された下部ポケットフィルムはシーリング部に移動して上部カバーフィルムと一体に圧着されて内容物をシーリングし、その後、切断部に到達して一定の包装単位に切断される。
【0077】
本発明に適用される薬剤包装装置は原則的に前記構成及び作動方式を有し、具体的な形態と機能は制限されない。即ち、基本的なブリスター包装機能さえあれば、本発明に応用され得る。
【0078】
図1は、本発明による経口投与用速溶性製剤の製造及び包装装置に対するブロック構成図である。図2は、該当薬剤投入部130の1つの構成形態に対する模式図である。
【0079】
本発明による経口投与用速溶性製剤の製造及び包装装置100は、基本的に前記通常の薬剤包装装置のように、成形フィルム供給部110、フィルム成形部120、シーリング部170、切断部180、制御部190を有し、混合粉末20又は該当混合粉末20を加圧して形態を備えた錠剤22を下部ポケットフィルム10のポケット10a内に投入できるように前記内容物投入部の代わりに、薬剤投入部130を有し、追加で下部ポケットフィルム10内に投入された充填物を加熱して溶融結合させるための加熱部160を備える。
【0080】
従って、順次、成形フィルム供給部110、フィルム成形部120、薬剤投入部130、加熱部160、シーリング部170、切断部180が配置される。
【0081】
薬剤投入部130は、薬剤学的活性成分と糖又は糖アルコール類を含む原料混合粉末20又は該当混合粉末20を加圧した錠剤22を既に成形された下部ポケットフィルム10のポケット10a内に投入する。
【0082】
薬剤投入部130は、その「粉末加圧位置」で混合粉末20を適正量充填、加圧して混合粉末20を、形態を備えた錠剤22にした後、その「薬剤排出位置」に予め移送されている下部ポケットフィルム10のポケット10a内に錠剤22を投入する。
【0083】
その一例による構成は、「粉末加圧位置」と「薬剤排出位置」に順次位置する2つ以上の充填ホール132aを有し、その上面上に混合粉末20が積載される充填ディスク132と、一側の充填ホール132aは閉鎖し、他側の充填ホール132aに対してはその開放のための開放ホール134aを有し、充填ディスク132の下部側に備えられる下部ディスク134と、充填ホール132a毎に対応するように上部側に備えられ、同時に充填ホール132a内に下降して混合粉末20を加圧したり、錠剤22を排出させた後、上昇する加圧棒136と、充填ディスク132上に混合粉末20を供給するホッパー138を含む。
【0084】
ここで、充填ディスク132は円形プレートであって、円周方向に沿って同一間隔離間する2つ以上の上下貫通される充填ホール132aを有し、それは回転作動されてその充填ホール132aを「粉末加圧位置」と「薬剤排出位置」に順次移動させる。
【0085】
従って、ホッパー138から混合粉末20が供給されて充填ディスク132上に積載された状態で充填ディスク132が回転されて一側の充填ホール132aが「薬剤排出位置」から「粉末加圧位置」に移動する過程に積載された混合粉末20の一部が該当充填ホール132a内に自然に流入し、続いて該当充填ホール132aは「粉末加圧位置」で停止される。その後、加圧棒136が該当充填ホール132a内に下降して内部に流入していた混合粉末20を圧縮してある程度結合力を有する錠剤22にした後に上昇する。次いで、充填ディスク132は再び一定角度回転して該当充填ホール132aが今回は「薬剤排出位置」で停止され、その後、加圧棒136が再び該当充填ホール132a内に下降して内部の錠剤22を下方に押し出して排出させ、排出される錠剤22は予め「薬剤排出位置」に移送されていた下部ポケットフィルム10のポケット10a内に落下して投入される。
【0086】
もちろん、全ての加圧棒136は同時に昇降するので、「粉末加圧」と「薬剤排出」は同時に行われる。
【0087】
整理すれば、薬剤投入部130の作動は、混合粉末20を充填する段階と、充填された混合粉末20を加圧する段階と、錠剤22を排出する段階とからなる。
【0088】
このとき、充填及び加圧段階は、薬剤の容量を合せるために2回以上の多段階で実施されることができ、このために必要な個数で充填ホール132aと加圧棒136が備えられ、充填ディスク132の回転段階がそれだけ多段化し得る。
【0089】
もちろん、充填及び加圧段階を多段階化するにおいて、目的とする生成物、即ち、速溶錠の活性成分の必要容量が少ないか、活性成分の凝集性が高ければ、その段階数を減らすことができる。
【0090】
また、「粉末加圧位置」で錠剤22を作る時及び作られた錠剤22が「粉末加圧位置」から「薬剤排出位置」に移送される時及び「薬剤排出位置」で停止された時点で、該当錠剤22が内部に位置する充填ホール132a内に周辺の混合粉末20がこれ以上流入するのを遮断することで、錠剤22の商品性及び後で実施される下部ポケットフィルム10に対する上部カバーフィルムのシーリング性を確保するために、図3に示すように、「粉末加圧位置」の前方側位置から「薬剤排出位置」の後方側位置までの充填ディスク132の上面上にはプレート状であり得る流入遮断手段137が備えられることができる。
【0091】
参考までに、図面符号112は下部ポケットフィルム10の移動を案内するガイドレールブロック112であり、図面符号139は充填ディスク132上に積載された混合粉末20の外側への流出を遮断するための流出遮断板である。
【0092】
更に、以上では混合粉末20を錠剤22にした後に下部ポケットフィルム10内に投入すると説明したが、単に混合粉末20をそのまま下部ポケットフィルム10内に投入するように実現することもできる。
【0093】
一方、加熱部160は、下部ポケットフィルム10内に投入された充填物を200〜1,000℃で数秒〜数十秒の非常に短時間で加熱することで、薬剤学的活性成分の分解は最小化しながら、充填物を溶融結合させるものであって、充填物が混合粉末形態である場合には該当混合粉末が互いに溶融結合されて結集された錠剤形態をなすようになり、錠剤形態である場合にはその結集力が更に強化し得る。
【0094】
図4は、該当加熱部160の1つの構成形態に対する模式図である。
【0095】
加熱部160は、ガイドレールブロック112上で移動及び停止される下部ポケットフィルム10に対する上部側に備えられて発熱作動されることで、下部ポケットフィルム10内の充填物を加熱して溶融結合させる発熱手段162と、この発熱手段162と下部ポケットフィルム10との間に進退することにより、発熱手段162からの高熱の進行を開閉して加熱露出時間を調整し、繰り返し加熱を可能にするシャッタ手段164を含む。
【0096】
ここで、発熱手段162としては、200℃以上の瞬間加熱が可能なハロゲンランプ、赤外線ランプなどを利用でき、状況に応じて多数利用することもできる。
【0097】
シャッタ手段164は、下部ポケットフィルム10を覆って発熱手段162に対するその露出を遮断できるプレートで実現可能であり、その進退による露出時間は薬剤構成成分の種類及び下部ポケットフィルム10の材質などに応じて調節され得る。
【0098】
従って、下部ポケットフィルム10が順次進み、このとき、シャッタ手段164が開閉を繰り返しながら、下部ポケットフィルム10内の充填物が所定露出時間繰り返し加熱されるようにできる。
【0099】
更に、本発明による経口投与用速溶性製剤の製造及び包装装置100は、図5に示すように、薬剤投入部130と加熱部160との間に押圧部140を備えることができ、該当押圧部140は薬剤投入部130を通じて下部ポケットフィルム10のポケット10a内に投入された充填物を押圧してポケット10aの形状と同一形態の錠剤22にする。
【0100】
該当押圧部140の構成は、図6の示すように、下部ポケットフィルム10のポケット10a内に下降して充填物を押圧した後、上昇するタンピング棒142を含むことができる。
【0101】
このとき、充填物を多段階で押圧してポケット10aの形状に更に近づいた形態にするために、タンピング棒142を前後に配置して繰り返して押圧することができ、図面上には1次的に混合物薬剤の外郭部を主に押圧する1次タンピング棒と、2次的に混合物薬剤の中心部を主に押圧する2次タンピング棒が示されている。
【0102】
そして、該当タンピング棒142は、充填物を押圧した状態で微細角度回転されることもでき、それにより、充填物がポケット10a内で偏らずに均一に広がるようにすることができる。
【0103】
更に、本発明による経口投与用速溶性製剤の製造及び包装装置100は、図7に示すように、薬剤投入部130と加熱部160との間にサクション部150を備えることができ、該当サクション部150は充填物が投入されている下部ポケットフィルム10に対して吸入圧を発生して下部ポケットフィルム10に付着されている不要な微粉を強制的に吸い込んで除去することで、薬剤の商品性を高め、後続する下部ポケットフィルム10に対する上部カバーフィルムのシーリング性を確保する。
【0104】
該当サクション部150の構成は、図8の示すように、工場内の真空ユーティリティラインや真空ポンプに連結されて下部ポケットフィルム10に対して真空吸入圧を発生させるサクションノズル152と、このサクションノズル152と下部ポケットフィルム10との間に介入するように備えられて真空吸入圧により充填物が引き上げられるのを防止するスクリーン網154とを含む。
【0105】
このとき、サクションノズル152は、下部ポケットフィルム10に対して近接又は離間するように昇降作動されることもできる。
【0106】
以上のような構成を有する本発明による経口投与用速溶性製剤の製造及び包装装置100の総合的な作用例について説明する。
【0107】
まず、成形フィルム供給部110から成形フィルムが一定速度で供給されて進められ、成形フィルムはフィルム成形部120で予熱された後、押圧成形されてその成形フィルム上に容器形態のポケット10aが形成され、これにより、下部ポケットフィルム10が製作される。
【0108】
その後、成形された下部ポケットフィルム10のポケット10a内に薬剤投入部130を通じて粉末形態又は錠剤形態で充填物が投入され、続いて、押圧部140で下部ポケットフィルム10のポケット10a内の充填物が押圧されてポケット10aの形状と同一の錠剤22に形成される。
【0109】
次に、サクション部150を通じて下部ポケットフィルム10上に不要に付着されている微粉が真空吸入されて除去される。
【0110】
その後、加熱部160で下部ポケットフィルム10内の充填物が加熱されて融融結合されることで、堅固な結合力を有する錠剤形態の経口用速溶錠に製剤化される。
【0111】
その後、経口用速溶錠が内部に収容されている下部ポケットフィルム10はシーリング部170で上部カバーフィルムと圧着されてシーリングされることで、包装が完了し、その後、切断部180で一定の包装単位に切断される。
【0112】
最後に、包装まで完了した経口用速溶錠製品は、包装された状態で徐々に室温冷却される。
【0113】
これにより、経口用速溶錠を一連の単一工程を通じて便利、且つ経済的に大量に製造できる。
【0114】
更に、本発明によれば、前述した通り、敢えて中間過程で加熱部160を通じて加熱せず、上部カバーフィルムまで付着して完全に包装した後に加熱を行っても同一の製品を作ることができることは自明であり、そのために、経口用速溶錠製品の包装を完了した後に加熱チャンバ内に装入して別途に加熱することもできることは明確である。
【0115】
以上、前記内容は、本発明の好適な一実施例を単に例示したものであって、本発明の当業者は、本発明の要旨を変更させることなく、本発明に対する修正と変更を加えることができることを理解すべきである

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)薬剤学的活性成分と糖又は糖アルコール類を含む混合粉末を包装材に充填させる段階と、
(B)前記段階(A)で得られた充填物を加熱する段階と、
を含む経口投与用速溶性製剤の製造方法。
【請求項2】
段階(A)で、前記混合粉末を前記包装材に投入した後、タンピング工程を行って充填させることを特徴とする請求項1に記載の経口投与用速溶性製剤の製造方法。
【請求項3】
段階(A)の前記包装材が下部モールド機能の下部ポケットフィルムであることを特徴とする請求項1に記載の経口投与用速溶性製剤の製造方法。
【請求項4】
段階(B)の後、前記下部ポケットフィルムに上部カバーフィルムを接着させる工程を追加で行うことを特徴とする請求項3に記載の経口投与用速溶性製剤の製造方法。
【請求項5】
段階(B)で、前記充填物を200〜1,000℃で1〜60秒間加熱することを特徴とする請求項1に記載の経口投与用速溶性製剤の製造方法。
【請求項6】
前記加熱が輻射熱を用いて行われることを特徴とする請求項5に記載の経口投与用速溶性製剤の製造方法。
【請求項7】
段階(A)の前記薬剤学的活性成分は、解熱剤、鎮痛剤、消炎剤、抗胃潰瘍剤、心血管剤、血管拡張剤、抗生物質、鎮咳剤、ぜん息治療剤、鎮吐剤、胃機能調節剤、勃起不全治療剤、痴呆症治療剤、前立腺肥大症治療剤、偏頭痛治療剤、精神刺激剤、抗菌剤、抗ヒスタミン剤、経口糖尿治療剤、アレルギー治療剤、避姙薬、ビタミン剤、血液凝固防止剤、筋弛緩剤、脳代謝改善剤、利尿剤、抗けいれん剤、パーキンソン病治療剤、抗精神病薬又はこれらの混合物であることを特徴とする請求項1に記載の経口投与用速溶性製剤の製造方法。
【請求項8】
段階(A)の前記薬剤学的活性成分は、トラマドル、イブプロフェン、デキシブプロフェン、アスピリン、アセトアミノフェン、インドメタシン、ジクロフェナクナトリウム、ケトプロフェン、イソプロフィルアンチピリン、フェナセチン、フルルビプロフェン、フェニルブタゾン、エトドラク、セレコキシブ、エトリコキシブ、シメチジン、ファモチジン、ラニチジン、ニザチジン、ロキサチジン、ニフェジピン、アムロジピン、ベラパミル、カプトプリル、塩酸ジルチアゼム、プロプラノロール、オクスプレノロール、ニトログリセリン、エナラプリル、アンピシリン、アモキシシリン、セファレキシン、セフロキシム、セフジニル、セファドロキシル、セフプロジル、セフポドキシム、セフジトレン、セファクロル、セフィキシム、セフラジン、ロラカルベフ、セフチブテン、セファトリジン、セフカペン、エリスロマイシン類、テトラサイクリン類、キノロン類、テオフィリン、アニノピリン、リン酸コデイン、塩酸メチルエフェドリン、デキストロメトルファン、ノスカピン、サルブタモール、アンプロキソール、クレンブテロール、テルブタリン、モンテルカスト、オンダンセトロン、メトクロプラミド、ドンペリドン、マレイン酸トリメブチン、シサプリド、レボスルピリド、シルデナフィル、バルデナフィル、タダラフィル、ウデナフィル、ドネペジル、ガランタミン、リバスチグミン、アセチルカルニチン、メマンチン、ザリプロデン、タムスロシン、スマトリプタン、ゾルミトリプタン、リザトリプタン、ロラタジン、フェキソフェナジン、グリメピリド、トルセミド、フロセミド、ガバペンチン、プレガバリン、バルプロ酸、トピラマート、カルバマゼピン、ラモトリジン、オクスカルバゼピン、セレギリン、リスペリドン、ジプラシドン、クエチアピン、オランザピン、クロザピン、パリペリドン、これらの薬剤学的に許容可能な塩及びこれらの混合物からなる群より選択されたものであることを特徴とする請求項1に記載の経口投与用速溶性製剤の製造方法。
【請求項9】
段階(A)の前記薬剤学的活性成分は、前記混合粉末の総重量に対して0.01〜90重量%の量で用いられることを特徴とする請求項1に記載の経口投与用速溶性製剤の製造方法。
【請求項10】
段階(A)の前記糖又は前記糖アルコール類は、ラクトース、グルコース、スクロース、フルクトース、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、リブロース、マルチトール、マルトース、マルトデキストリン、パラチノース、トレハロース、デキストロース及びこれらの混合物からなる群より選択されたものであることを特徴とする請求項1に記載の経口投与用速溶性製剤の製造方法。
【請求項11】
段階(A)の前記糖又は前記糖アルコール類は、前記混合粉末の総重量に対して10〜99.99重量%の量で用いられることを特徴とする請求項1に記載の経口投与用速溶性製剤の製造方法。
【請求項12】
段階(A)の前記混合粉末は、低融点結合剤、崩解剤、滑沢剤、賦形剤及びこれらの混合物からなる群より選択される薬剤学的に許容可能な添加剤を含むことを特徴とする請求項1に記載の経口投与用速溶性製剤の製造方法。
【請求項13】
前記薬剤学的に許容可能な添加剤は、前記混合粉末100重量部に対して0.01〜50重量部の量で用いられることを特徴とする請求項12に記載の経口投与用速溶性製剤の製造方法。
【請求項14】
前記低融点結合剤は、ポリエチレングリコール、ポロキサマー、HCO、グリセリン、プロピレングリコール、グリセリド類、これらの誘導体及びこれらの混合物からなる群より選択されたものであることを特徴とする請求項12に記載の経口投与用速溶性製剤の製造方法。
【請求項15】
前記崩解剤が架橋結合されたポリビニルピロリドン、架橋結合されたカルボキシメチルセルロース、デンプングリコール酸ナトリウム、カルシウムカルボキシメチルセルロース及びこれらの混合物からなる群より選択されたものであることを特徴とする請求項12に記載の経口投与用速溶性製剤の製造方法。
【請求項16】
請求項1〜15の何れか1項の方法により製造された溶融結合された薬剤学的活性成分と糖又は糖アルコール類を含む経口投与用速溶性製剤。
【請求項17】
経口投与用速溶性製剤の製造及び包装のための装置であって、
成形フィルムを供給する成形フィルム供給部と、
前記成形フィルムを成形して容器形態のポケットを有する下部ポケットフィルムを製作するフィルム成形部と、
混合粉末又は前記混合粉末を加圧して形態を備えた錠剤を前記下部ポケットフィルムの前記ポケット内に充填及び投入する薬剤投入部と、
前記成形ポケットフィルム内の充填物を加熱して溶融結合させる加熱装置部と、
前記下部ポケットフィルムに対して上部カバーフィルムを付着するシーリング部と
を含む経口投与用速溶性製剤の製造及び包装装置。
【請求項18】
付着された前記下部ポケットフィルムと前記上部カバーフィルムの包装材を一定単位に切断する切断部と、
作動制御のための制御部と
を追加で含むことを特徴とする請求項17に記載の経口投与用速溶性製剤の製造及び包装装置。
【請求項19】
前記混合粉末は、
薬剤学的活性成分と糖又は糖アルコール類を含むことを特徴とする請求項17に記載の経口投与用速溶性製剤の製造及び包装装置。
【請求項20】
前記混合粉末は、
低融点結合剤、崩解剤、滑沢剤、賦形剤及びこれらの混合物からなる群より選択される薬剤学的に許容可能な添加剤を追加で含むことを特徴とする請求項18に記載の経口投与用速溶性製剤の製造及び包装装置。
【請求項21】
前記薬剤投入部は、
「粉末加圧位置」と「薬剤排出位置」に順次位置する2つ以上の充填ホールを有し、上面上に前記混合粉末が積載される充填ディスクと、
一側の前記充填ホールは閉鎖し、他側の前記充填ホールは開放するように前記充填ディスクの下部に備えられる下部ディスクと、
前記充填ホール毎に対応する上部側に備えられ、同時に前記充填ホール内に下降して前記「粉末加圧位置」にある前記充填ホール内の前記混合粉末を加圧し、前記「薬剤排出位置」にある前記充填ホール内の前記錠剤を排出させた後に上昇する加圧棒と、
前記充填ディスク上に前記混合粉末を供給するホッパーと、
を含むことを特徴とする請求項17に記載の経口投与用速溶性製剤の製造及び包装装置。
【請求項22】
前記充填ディスクは回転作動され、
回転過程で積載された前記混合粉末が前記充填ホール内に流入することを特徴とする請求項21に記載の経口投与用速溶性製剤の製造及び包装装置。
【請求項23】
前記「粉末加圧位置」は2箇所以上形成され、
多段階で前記混合粉末を流入、加圧させることを特徴とする請求項21に記載の経口投与用速溶性製剤の製造及び包装装置。
【請求項24】
前記薬剤投入部は、
前記「粉末加圧位置」の前方側位置から前記「薬剤排出位置」の後方側位置の前記充填ディスク上に備えられて、前記充填ホール内に前記混合粉末が追加で流入するのを防止する流入遮断手段
を更に含むことを特徴とする請求項21に記載の経口投与用速溶性製剤の製造及び包装装置。
【請求項25】
前記加熱部は、
前記下部ポケットフィルム内の前記充填物を加熱するように発熱作動される発熱手段と、
前記発熱手段と前記下部ポケットフィルムとの間に進入/進出して加熱露出時間を調節するシャッタ手段と
を含むことを特徴とする請求項17に記載の経口投与用速溶性製剤の製造及び包装装置。
【請求項26】
前記発熱手段は、
ハロゲンランプ又は赤外線ランプであることを特徴とする請求項25に記載の経口投与用速溶性製剤の製造及び包装装置。
【請求項27】
前記薬剤投入部を通じて前記下部ポケットフィルムの前記ポケット内の前記充填物を押圧して前記ポケット形状と同一の形態に作る押圧部
を更に含むことを特徴とする請求項17に記載の経口投与用速溶性製剤の製造及び包装装置。
【請求項28】
前記押圧部は、
前記下部ポケットフィルムの前記ポケット内に下降して前記充填物を押圧した後、上昇するタンピング棒
を含むことを特徴とする請求項27に記載の経口投与用速溶性製剤の製造及び包装装置。
【請求項29】
前記押圧部は、
順次配置される前記タンピング棒を用いて順次2回以上押圧することを特徴とする請求項28に記載の経口投与用速溶性製剤の製造及び包装装置。
【請求項30】
前記押圧部の前記タンピング棒は、
前記下部ポケットフィルムの前記ポケット内に下降して前記充填物を押圧した状態で回転作動されて前記充填物が前記ポケット内で均一に広がるようにすることを特徴とする請求項29に記載の経口投与用速溶性製剤の製造及び包装装置。
【請求項31】
前記下部ポケットフィルムに対して吸入圧を発生して前記下部ポケットフィルム上に付着された不要な微粉を吸い込んで除去するサクション部
を更に含むことを特徴とする請求項17又は27に記載の経口投与用速溶性製剤の製造及び包装装置。
【請求項32】
前記サクション部は、
前記下部ポケットフィルムに対して真空吸入圧を発生するサクションノズルと、
前記サクションノズルと前記下部ポケットフィルムとの間に備えられて真空吸入圧により前記ポケット内の前記充填物が引き上げられるのを防止するスクリーン網と
を含むことを特徴とする請求項31に記載の経口投与用速溶性製剤の製造及び包装装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2010−531350(P2010−531350A)
【公表日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−514615(P2010−514615)
【出願日】平成20年6月25日(2008.6.25)
【国際出願番号】PCT/KR2008/003623
【国際公開番号】WO2009/002084
【国際公開日】平成20年12月31日(2008.12.31)
【出願人】(599139534)ハンミ ファーム. シーオー., エルティーディー. (56)
【Fターム(参考)】