説明

経皮投与系

【課題】生理的活性剤の有効量を患者に適用するために適当な経皮投与方法、及び該生理的活性剤の経皮投与による対象の治療又は予防方法を提供する。
【解決手段】1又は複数の生理的活性剤を経皮投与することができる実質的に均一な液体組成物であって、速度調節ポリマー、揮発性溶剤及び少なくとも1種の生理的活性剤を含んで成り、前記速度調節ポリマーが前記生理的活性剤の投与速度を調節することができるように選択されたものであることを特徴とする組成物。この組成物を用いての生理的活性剤の経皮投与方法及び抗微生物、抗真菌又は抗ウィルス予防又は治療方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は経皮投与(percutaneous derivery) 、特に活性剤の経皮投与 (transdermal derivery) のために適当な系に関する。本発明はまた、活性成分の経皮投与方法、及び活性剤の経皮投与による対象の治療又は予防方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書において使用する場合、「活性剤」 (active agent) は生理的効果を有する物質、例えば薬物 (drug) を意味することが意図される。本明細書において使用する場合、「均一」 (homogeneous)は、全体的に均一(uniform) であることを意味することが意図される。本明細書において、「フィルム形成」とは、ある物質が表面に適用されそして周囲条件に暴露された場合に薄層を形成することができる当該物質を意味することが意図される。本明細書において使用する場合、「液体」とは、流動性である (flowable) 物質を意味することが意図される。本明細書において使用する場合、「経皮」 (percutaneous) とは、局所的(topical) 、局部的(local) 又は全身的 (systemic) 生理的効果の1つ又は複数を達成するために対象の皮膚上に、皮膚内に又は皮膚を通過して活性物質を投与するあらゆる経路を意味することが意図される。
【0003】
薬物を投与するための経路としての皮膚の使用は比較的最近のことである。投与系の1つの形態は接着性経皮パッチの使用に基く。これらの経皮パッチは、経口投与のために適当であるか又は適当でない薬物投与のための代替的な非侵襲的非経腸的経路を提供する。経皮パッチの初期の形態の例は米国特許 No. 3,598,122に記載されており、この場合、パッチは包帯(bandage) の形態にある。
【0004】
薬物投与の常用の経路は薬物投与の経皮投与に比べて幾つかの欠点を有する。経皮投与経路は全身循環系への薬物の制御された放出を可能にする。多くの薬物が伝統的投与経路によりあまりよく吸収されず、そして経皮投与がこれらの活性物質の改良された生物利用性(bioavailability) を達成する効果的な方法を提供することが見出されている。
【0005】
経皮パッチの使用の例には、ニコチン含有パッチを用いるニコチン習慣性の治療、ホルモン置換療法、ヒオシン (hyoscine) を用いる乗物酔の治療、グリセリルトリニトリルを用いるアンギナの治療、フルルビプロフェン (flurbiprofen) 又はイブプロフェン(ibuprofen) を用いるリューマチの治療、及びフェンタミル (fentamyl)を用いる頑固な痛みの救済が含まれる。経皮パッチの他の例は血管収縮神経療法及び片頭痛のためのクロニジンパッチ(例えば、米国特許 No. 4,201,211を参照のこと)、骨粗鬆症の治療のためのエストラジオールパッチ、オストラジオール/ノルエチステロンパッチ、並びにエストロゲン/プロゲステロンパッチである。世界の療法パッチ市場はこの先数年間に大きく拡大すると予想される。
【0006】
既存の経皮パッチは通常、活性成分を含有する層及び接着剤層を含んで成り、そして対象の皮膚にパッチを付着するための接着剤層に依存する。この投与系は、ポリマーマトリクス及び/又は感圧接着剤製剤のごときキャリヤー中に薬物を導入することを含む。接着剤は皮膚に接着しなければならず、そして薬物を皮膚を通して対象の血流中に移行せしめることを可能にしなければならない。薬物はポリマーマトリクスもしくは接着剤層又は両方に含まれることができる。
【0007】
接着性経皮投与系の例はオーストラリア特許No. 670033に記載されている。この特許は、ポリアクリレートと、ポリシロキサン又は炭化水素ポリマーから選択された第二のポリマーとのブレンド並びに薬物を含んで成る経皮組成物を記載しており、この場合、ポリアクリレート及び第二のポリマーは相互に不溶性又は不混和性のポリマーであり、そして組成物は感圧接着剤である。
【0008】
接着剤に基く経皮系は多くの欠点を有する。1つの大きな欠点は、約30%の個体において接着剤が不都合な皮膚反応を生じさせることである。現在の皮膚パッチは閉塞性でありそして皮膚からの蒸散を防止する。さらに、接着剤パッチが適用される皮膚の領域は小しわ、大しわ及びひだのない皮膚の毛のない領域に限られる。さらに、接着剤パッチは体の動きの際に皮膚と共に伸びることができないので、その着用者は、該パッチの存在を意識する。
【0009】
関連技術において、ある種の皮膚疾患の治療用に活性剤を投与するための局所クリームが存在する。このような開示の1つはシオノギ社の米国特許 No. 4,935,241のそれである。この特許は、活性剤及びエチルアクリレート−メチルメタクリレートコポリマーを含む局所クリームを含んで成る、輪癬(tinea pedis) の局所治療のための医薬製剤を記載する。
【0010】
本発明の目的は、従来技術の接着剤経皮パッチが有する欠点の1又は複数を回避し、又は少なくとも緩和する、1又は複数の活性剤の経皮投与系を提供することである。特に、開発された組成物は非閉塞性 (non-occlusive)で、速度可変性であり、そして対象に対して全身的、局所的又は局部的効果を有するように、活性剤を投与するのに効果的であるべきである。
【発明の開示】
【0011】
従って、本発明は、1つの観点において、1又は複数の生理的に活性な剤の経皮投与が可能な実質的に均一な液体組成物を提供し、この組成物は少なくとも1種の速度調節ポリマー、揮発性溶剤及び少なくとも1種の生理的活性剤を含み、速度調節ポリマーは前記生理的活性剤の投与速度の調節が可能なように選択される。
【0012】
本発明の利点は、本発明の組成物を対象の皮膚上に分配しそしてその中に擦り込んで、皮膚表面に薄いフィルムを形成することができることであり、このフィルムは組成物中の1又は複数の活性剤の皮膚投与を提供する。この組成物は皮膚の選択された皮膚表面に適用することができ、そして適当な厚さのフィルムが形成されるまで皮膚上に擦りつけることができる。従来の皮膚パッチとは異なり、本発明の経皮系は接着剤層の使用を必要としない。さらに強固であり(偶然に離れることがなく)、耐水性でありそして皮膚で良好な実在性(substantivity) を有する。さらに、本発明の製剤は、患者の皮膚への活性剤の放出速度を変えるために調節ポリマーの性質を変えることにより種々変化することができる。特に、調節ポリマーの使用により、製剤の他の成分に依存して変化する速度で皮膚により吸収されることができる患者の皮膚上の活性剤の「留め」の形成が可能になることが見出される。
【0013】
皮膚表面に毛が無いのが好ましいが、毛の存在は、接着剤パッチの場合のような深刻な問題を生じさせない。同様に、皮膚中の小じわ、大しわ及びひだの存在は体の特定の部位への本発明の組成物の適用の障害とはならない。但し、かなりの大しわ又はひだを有する表面は回避した方が好ましい。さらに、形成されるフィルムは、対象者が皮膚上のその存在をほとんど意識しない点で、対象者にとって目立たない。
【0014】
本発明の組成物はまた、好ましくは、第1のポリマーに対して逆の水親和性を有する第2のポリマーを含有する。例えば、第1のポリマーが疎水性である場合、第2のポリマーは親水性であることができ、この逆も真である。本発明の経皮投与組成物は好ましくは少なくとも1種の疎水性ポリマー及び少なくとも1種の親水性ポリマーを含み、その1つは前記生理的活性剤の投与速度が調節できるように選択される。
【0015】
疎水性ポリマー及び親水性ポリマーが使用される場合、組成物は、それが皮膚に適用された場合、揮発性溶剤が2相フィルムを残して蒸発するようなものであることができる。形成されたフィルムは連続相及び分散相を含むことができる。形成されたフィルムに親水性ポリマーは連続相を形成することができそして疎水性ポリマーは分散相を形成することができ、又はこの逆であってもよい。
【0016】
あるいは、患者の皮膚への組成物の適用後に揮発性溶剤が蒸発する場合に残ったフィルムが単一相であるように、親水性ポリマーが疎水性ポリマー中に可溶性であるか、又はその逆であってもよい。
【0017】
本発明の組成物が2相フィルムを形成するために必要とされる場合、活性成分はフィルムの連続相に含まれてもよく、又は分散相に含まれてもよく、あるいは両相に含まれてもよい。形成されたフィルムの連続相中への活性成分の含有は活性成分の放出速度を上昇させる効果を有し、他方分散相への活性成分の含有はその放出速度を低下せしめると考えられる。
【0018】
本発明の他の観点において、1又は複数の生理的活性剤の経皮投与が可能な実質的に均一な液体組成物が提供され、この組成物は揮発性溶剤、少なくとも1種の生理的活性剤及び少なくとも2種類のポリマーを含んで成り、その内の一方は水溶性であり、他の1つは前記生理的活性剤の投与速度の調節が可能である。
【0019】
第2のポリマーは第1のポリマーとは逆の水親和性を有することができる。例えば、第1のポリマーが疎水性である場合は第2のポリマーは親水性であることができ、あるいはこの逆であってもよい。本発明の経皮投与組成物は好ましくは少なくとも1種の疎水性ポリマー及び少なくとも1種の親水性ポリマーを含有し、その1つは前記生理的活性剤の投与速度を調節することができるように選択される。
【0020】
特に好ましい観点において、本発明は1又は複数の活性剤の経皮投与を可能にする実質的に均一な液体組成物を提供し、この組成物は親水性ポリマー及びアルキルオレフィン酸アミド/オレフィン酸又はエステルコポリマー、少なくとも1種の活性成分、並びに前記親水性ポリマー及び前記コポリマーのための、及び場合によっては前記少なくとも1種の活性剤のための揮発性溶剤を含んで成る。
【0021】
本発明の他の観点において、1又は複数の生理的活性剤の経皮投与が可能な実質的に均一な液体組成物が提供され、この組成物は、揮発性溶剤、少なくとも1種の生理的活性剤、少なくとも1種の調節ポリマー及び増粘剤 (thickening agent) を含んで成り、前記少なくとも1種のポリマーは前記生理的活性剤の投与速度の調節が可能なように選択され、そして前記増粘剤はエチルセルロースを含まない。好ましくはこの増粘剤は水及びアルコールの両方に可溶性である。さらに好ましくは、前記増粘剤はポリマー、好ましくは親水性ポリマーである。
【0022】
本発明の更なる観点は、1又は複数の生理的活性剤の経皮投与が可能な実質的に均一な液体組成物を提供することであり、この組成物は、揮発性溶剤、少なくとも1種の生理的活性剤及び少なくとも2種のポリマーを含んで成り、その一方は調節用ポリマーであり、前記生理的活性剤の投与速度は活性剤に対する前記調節用ポリマーの比率を変えることにより調整可能である。調節用ポリマー:活性剤の好ましい比率は1〜10,000:10,000〜1である。この比率は活性成分の効力、すなわち所望の生理的効果を達成するために質量基準でいかなる量の活性剤が必要か、により異るであろう。例えば、クロトリマゾール (clotrimazole) の場合、調節用ポリマー:活性剤の比率は1〜10:10〜1のオーダーである。
【0023】
本発明の更なる他の観点は、1又は複数の生理的活性剤の経皮投与が可能な実質的に均一な液体組成物を提供することであり、この組成物は揮発性溶剤、少なくとも1種の生理的活性剤及び少なくとも2種のポリマーを含んで成り、その一方は疎水性ポリマーでありそして他方は親水性ポリマーであり、前記生理的活性剤の投与速度は、前記親水性ポリマーに対する前記疎水性ポリマーの比率を変えることにより調整可能である。疎水性ポリマー:親水性ポリマーの好ましい比率は1〜100:100〜1である。疎水性ポリマー:親水性ポリマーのさらに好ましい比率は1〜10:10〜1である。
【0024】
本発明の組成物中に使用される揮発性溶剤は1又は複数の医薬として又は動物薬として許容される溶剤である。溶剤は少なくとも50%(w/w)の量で存在することができる。
本発明の組成物は、活性剤の吸収及び/又は浸透を増強するための1又は複数の皮膚吸収/浸透増強剤を含有することができる。この吸収/浸透増強剤は組成物の約 0.1〜40%(w/w)の量で存在することができる。吸収/浸透増強剤は当業界において知られている任意の適当な増強剤であることができる。増強剤はプロトン受容溶剤であることができる。活性剤の浸透速度はまた、ポリマーからの浸透増強剤の放出速度の調節により変えることができる。
【0025】
本発明の組成物は溶液又は分散体の形態であることができる。組成物はまた、ゲルの形態であることができる。
【0026】
組成物が分散体の形態である場合、分散相は微小粒子(microparticle) 、マイクロカプセル、微小球(microsphere) 、マイクロスポンジ(microsponge) 又はリポゾームであることができ、これらは活性剤を含有し、又は活性剤により被覆されていることができる。分散体が微小粒子、マイクロカプセル、微小球又はリポゾームの形態である場合、連続相は疎水性ポリマー又は親水性ポリマーを含むことができる。
【0027】
活性剤は本発明の組成物中に分散又は溶解することができ、そして生理的に有効な量で組成物中に存在するであろう。本発明の組成物中で使用される活性剤の濃度は従来の製剤中で特定の個々の剤について通常使用される量、特に従来の経皮パッチ投与系において使用される量、とおよそ同等であろう。組成物中に導入されるべき薬物の量は特定の薬物、所望の療法効果、及び装置が治療を提供する時間に依存して変化する。ほとんどの薬物について、皮膚を通しての薬物の通過が投与の律速段階である。従って、薬物の量及び放出速度は典型的には、長期間にわたってゼロ次時間依存性により特徴付けられる経皮投与を提供するように選択される。系中の薬物の最少量は、装置が治療を提供する時間における、皮膚を通して通過する薬物の量に基いて選択される。
【0028】
通常、系中の薬物の量は0.01%(w/w)〜約50%(w/w)の範囲で異ることができる。
更なる観点において、本発明は活性剤の経皮投与方法を提供し、この方法は本発明の経皮組成物を対象の皮膚に適用することを含んで成る。本発明の組成物は、抗真菌活性、抗細菌活性又は抗ウィルス活性を有することができる。対象はヒト又は他の動物であることができる。
【0029】
更に他の観点において、本発明は、本発明の組成物を対象の皮膚に適用することにより有効量の活性剤を経皮投与することを含んで成る、対象の予防又は治療のための方法を提供する。この対象はヒト又は他の動物であることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
好適な揮発性溶剤の例は皮膚に安全な溶剤、例えばエタノール、イソプロパノール又はアセトンが含まれる。
好ましくは、増強剤は安全な皮膚寛容性のエステルである。オクチルジメチルパラアミノベンゾエート及びオクチルメトキシシンナメートのごとき化合物が特に好ましく、イソアミルパラアミノベンゾエート、オクチルサリチレート、グリセリルパラアミノベンゾエート、トリエタノールアミンサリチレート及びオクトクリレン(octocrylene) が適当であると予想される。
【0031】
調節用ポリマーは好ましくは、実質的に非閉塞性(non-occlusive) のフィルム形成性ポリマー、例えばヒドロキシアルキルセルロースである。さらに好ましくは、フィルム形成性ポリマーはヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、カーボマー (carbomer 、PVM/MAデカジエンクロスポリマー、ヒドロキシプロピルグアー、アクリレートポリマー又はコポリマー、アルキルオレフィン酸アミド/オレフィン酸又はエステルコポリマーオクチルアクリルアミド、オクチルプロペンアミドアクリレートコポリマー、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、アンモニオメタクリレートコポリマー、 PVP/VAコポリマー、 PVA、 PVM/MAブチルエステルコポリマー、シェラック又はアルキルアクリレート/メチルメタクリレートコポリマーである。
【0032】
親水性ポリマー又は増粘剤は医薬として又は動物薬として許容されるポリマーから選択することができる。親水性ポリマー又は増粘剤の例には、アルキルセルロース及びヒドロキシアルキルセルロースが含まれる。好ましくは、親水性ポリマー又は増粘剤はヒドロキシプロピルメチルセルロース、さらに好ましくはヒドロキシプロピルセルロースであるが、他の親水性ポリマー、例えばポリビニルピロリドン、カーボマー、 PVM/MAデカジエンクロスポリマー、ヒドロキシプロピルグアー等を使用することもできる。
【0033】
疎水性ポリマーはアクリレートポリマー又はコポリマーであることができる。好ましくは疎水性ポリマーはカルボキシル化アクリルポリマー又はコポリマーである。疎水性ポリマーはまたアクリルオレフィン酸アミド/オレフィン酸又はエステルコポリマーであることができる。疎水性ポリマーはさらに好ましくはオクチルアクリルアミド、オクチルプロペンアミドアクリレートコポリマー、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、アンモニオメタクリレートコポリマー、 PVP/VAコポリマー、 PVA、 PVM/MAブチルエステルコポリマー、シェラック又はアルキルアクリレート/メチルメタクリレートコポリマーである。
【0034】
本発明の組成物の全ポリマー含量は50%(w/w)以下であろう。
親水性ポリマー又は増粘剤は好ましくは本発明の組成物の約 0.5〜30%(w/w)の量で存在する。さらに好ましくは、親水性ポリマーは組成物の0.05〜10%(w/w)の量、さらに好ましくは組成物の 1.0〜5.0 %(w/w)の量で存在する。
疎水性ポリマーは約50%(w/w)以下の量で存在することができる。疎水性ポリマーは本発明の組成物の約 0.001〜30%の量で存在するであろう。好ましくは、疎水性ポリマーは組成物の 1.0〜10%の量、そしてさらに好ましくは 1.5〜6.0 %の量で存在するであろう。
【0035】
活性剤は任意の適当な化合物であることができる。活性剤は医薬用剤又は動物用剤であることができる。活性剤は経口、非経腸、経皮又は直腸経路で通常投与される薬物であることができる。活性剤はプロドラッグであることができる。
本発明の新規な経皮薬物投与系により投与することができる活性薬物の例には次のものが含まれるが、それらに限定されない。
【0036】
心臓活性医薬、例えば有機硝酸化合物、例えばニトログリセリン、イソソルビドジニトレート及びイソソルビドモノニトレート;キニン硫酸化合物;プロカインアミド;チアジド、例えばベンドロフルメチアジド、クロロチアジド及びヒドロクロロチアジド;ニアエジピン;ニアルジピン;副腎ブロック剤、例えばチモロール及びプロプラノロール;ベラパミル;ディルチアゼム;カプトプリル;クロニジン及びプロゾシン。
【0037】
アンドロゲン性ステロイド、例えばテストステロン、メチルテストステロン及びフルオキシメステロン。
【0038】
エストロゲン、例えばコンジゲートエストロゲン、エステル化エストロゲン、エストロピペート、17β−エストラジオール、17β−エストラジオールバレレート、エクイリン、メストラノール、エストロン、エストリオール、17β−エチニルエストラジオール及びジエチルスチルボエストロール。月経前期物質 (progestational agent) 、例えばプロゲステロン、19−ノルプロゲステロン、ノルエチンドロン、ノルエチンドロンアセテート、メレンゲストロール、クロルマジノン、エチステロン、メドロキシプロゲステロンアセテート、ヒドロキシプロゲステロンカプロエート、エチノジオールジアセテート、ノルエチノドレル、17α−ヒドロキシプロゲステロン、ヒドロゲステロン、ジメチステロン、エチニルエストレノール、ノルゲストレル、デメゲストン、プロメゲストン及びメグストロールアセテート。
【0039】
中枢神経系に作用を有する薬物、例えばセダチブ、ハイプノチック、抗不安剤、鎮痛剤及び麻酔剤、例えばクロラール、ブプレノルフィン、ナロキソン、ハロペリドール、フルフェナジン、ペントバルビタール、フェノバルビタール、セコバルビタール、コデイン、リドカイン、テトラカイン、ディクロニン、ディブカイン、メトカイン、コカイン、プロカイン、メピバカイン、ブピバカイン、エチドカイン、プリロカイン、ベンゾカイン、フェンタニル及びニコチン。
栄養剤、例えばビタミン類、必須アミノ酸及び必須脂肪。
【0040】
抗−炎症剤、例えばヒドロコーチゾン、コーチゾン、デキサメタソン、フルオシノロン、トリアムシノロン、メドリソン、プロドニソロン、フルランドレノリド、プレディソール、ハルシノニド、メチルプレドニソロン、フルランドレノリド、プレドニソン、ハルシノニド、メチルプレドニソロン、フルドロコーチゾン、コルチコステロン、パラメタソン、ベータメタソン、イブプロフェン、ナプロキセン、フェノプロフェン、フェンブフェン、フルルビプロフェン、インドプロフェン、ケトプロフェン、スプロフェン、インドメタシン、ピロキシカム、アスピリン、サリチル酸、ディフルニサール、サリチル酸メチル、フェニルブタゾン、スリンダック、メフェナミン酸、メクロフェナム酸ナトリウム、トルメチン等。
【0041】
抗ヒスタミン剤、例えばジフェンヒドラミン、ジメンヒドリネート、ペルフェナジン、トリプロリジン、ピルビルアミン、クロロシクリジン、プロメタジン、カルビノキサミン、トリペレンアミン、ブロムフェニラミン、ヒドロキシジン、シクリジン、メクリジン、クロルプレナリン、テルフェナジン及びクロルフェニルアミン。
呼吸剤、例えばゼオフィリン及びβ2−アドレナリンアゴニスト、例えばアルブテロール、テルブタリン、メタプロテレノール、リトドリン、カルブテロール、フェノテロール、クインテレロール、リミテロール、ソルメファモール、ソテレノール及びテトロキロール。
【0042】
交感神経興奮剤、例えばドパミン、ノルエピノフリン、フェニルプロパノールアミン、フェニレフリン、シュードエフェドリン、アンフェタミン、プロピルヘキサドリン及びエピネフリン。縮瞳剤、例えばピロカルピン等。コリン性アゴニスト、例えばコリン、アセチルコリン、メタコリン、カルバコール、ベタネコール、ピコラルピン、ムスカリン及びアレコリン。
【0043】
アンチムスカリン性又はムスカリン性コリンブロック剤、例えばアトロピン、スコポラミン、ホマトロピン、メトスコポラミン、ホマトロピン、メチルブロミン、メタンセリン、シクロペントレート、トロピカミド、プロパンテリン、アニソトロピン、ジシクロミン及びユーカトロピン。散瞳剤、例えばアトロピン、シクロペントレート、ホマトロピン、スコポラミン、トロピカミド、ユーカトロピン及びヒドロキシアンフェタミン。
精神活動剤(psychic energizer) 、例えば3−(2−アミノプロピル)インドール、3−(2−アミノブチル)インドール等。
【0044】
抗−感染剤、例えば抗生物質、例えばペニシリン、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、スルファセタミド、フルファメタジン、スルファジアジン、スルファメラジン、フルファメチゾール及びスルフイソキサゾール;抗ウィルス剤、例えばイドキスリジン;抗細菌剤、例えばエリストマイシン及びクラリスロマイシン;並びに他の抗感染剤、例えばニトロフラゾン等。
【0045】
皮膚科剤、例えばビタミンA及びE。
液性剤(humoral agent) 、例えばプロスタグランジン、天然の又は合成の、例えばPGE1, PGF2α、及びPGF2α、並びにPGE1類似体ミソプロストール。
鎮痙剤、例えばアトロピン、メタンセリン、パパベリン、シンナメドリン、及びメトスコポラミン。
【0046】
抗抑制剤、例えばイソカルボキサジド、フェノルジン、トラニルシプロミン、イミプラミン、アミトリプチリン、トリミプラミン、ドキセピン、デシプラミン、ノルトリプチリン、プロトリプチリン、アモキサピン、マプロチリン及びトラゾロン。
【0047】
抗−糖尿病剤、例えばインシュリン、抗癌剤、例えばタモキシフェン及びメトロレキセート。
食欲欠乏剤 (anorectic drug) 、例えばデキストロアンフェタミン、メタアンフェタミン、フェニルプロパノールアミン、フェンフルラミン、ジエチルプロピオン、マジンドール及びフェテルミン。
【0048】
抗−アレルギー剤、例えばアンタゾリン、メタピリレン、クロルフェニラミン、ピリラミン及びフェニラミン。
精神安定剤、例えばレセルピン、クロルプロマジン及び抗−不安ベンゾジアゼピン等、例えばアルプラゾラム、クロルジアゼポキシド、クロルアゼプテート、ハラゼパム、オキサゼパム、プラゼパム、クロナゼパム、フルラゼパム、トリアゾラム、1オラゼパム及びジアゼパム。
【0049】
抗精神剤、例えばチオプロパガート、クロルプロマジン、トリフルプロマジン、メソリダジン、ピペラセタジン、チオリダジン、アセトフェナジン、フルフェナジン、ペルフェナジン、トリフルオペラジン、クロルプラチキセン、チオキキセン、ハロペリドール、ブロムペリドール、1オキサピン及びモリンドン。
充血除去剤、例えばフェニルフリン、エフェドリン、ナファゾリン。
解熱剤、例えばアスピリン、サリチル酸アミド等。
【0050】
抗偏頭痛剤、例えばジヒドロエルゴタミン及びピゾチリン。
吐き気及び嘔吐の治療剤、例えばクロルプロマジン、ペルフェナジン、プロクロルペラジン、プロタメジン、メリチルペラジン、トリフルプロマジン及びトリメプラジン。
抗−マラリア剤、例えば4−アミノキノリン、α−アミノキノリン、クロロキン及びピリメタミン。
【0051】
抗−潰瘍剤、例えばミソプロストール、オメプラゾール及びエンプロスチル。
ペプチド及び蛋白質、例えばパーキンソン病、けいれん及び急性筋肉けいれん用治療剤、例えばレボドーパ、カルビドーパ、ナマンタジン、アポモルフィン、ブロモクリプチン、セレギリン(ビプレニル)、トリエキシフェニジル塩酸塩、ベンズトロピンメシレート、プロシクリジン塩酸塩、バクトフェン、ジアゼパム、ダントロレン、インシュリン、エリストポエチン及び成長ホルモン。
【0052】
抗−エストロゲン又はホルモン剤、例えばタモキシフェン又はヒト絨毛性ゴナドトロピン。
ヌクレオチド及び核酸(例えばDNA)。
活性剤は、いかなる形態が最適の投与特性をもたらすかにより種々の形態の組成物として存在することができる。すなわち、薬物の場合、薬物は遊離形、酸形又は塩、エステル、又は他の任意の医薬として許容される誘導体として、又は分子錯体の成分として存在することができる。
【0053】
本発明の用途を種々の例及びグラフを用いて次に記載する。例は本発明の限界を示すものではない。例の目的は本発明の機能及びその利点を証明するためのものである。
記載される例において、拡散制御フィルムとしての本発明の組成物の有効性が示される。この系は活性分子の経皮流れ速度を調整するために経皮浸透増強剤と共に使用することができることが示される。活性成分を皮膚の表層に効果的に保持するため又は皮膚への活性剤の持続された放出速度を得るため、浸透増強剤を使用し又は使用しないことができる。
【実施例】
【0054】
幾つかの例はまた洗浄耐性を提供する系の能力を強調する。
例 A
周囲温度にて撹拌された容器中で下記の成分を混合することにより本発明の組成物を調製した。
【0055】
【表1】

形成された組成物は透明な溶液状であった。皮膚に適用され皮膚上にぬり拡げられた時、実質的に透明な薄層を形成した。
【0056】
例 B
【表2】

【0057】
例 C
【表3】

【0058】
インビトロ拡散測定
ヘビのぬけ皮自然脱皮中に子供のニシキヘビのぬけ皮を得、そして背部の皮を使用した。ヘビのぬけ皮はヒトの皮膚のための適切なモデル膜であることがItohらにより示されている。 Use of Shed Snake Skin as a Model Membrane for In Vitro Percutaneous Penetration Studies : Comparison with Human Skin ; Pharm. Res. 7 (10), 1042-1047, 1990、及びRiggら,Shed Snake Skin and Hairless Mousses Skin as Model Membranes for Human Skin During Permeation Studies ; J. Invest. Dermatol., 94 ; 235-240, 1990。
【0059】
水性拡散セル中でインビトロ皮膚拡散実験を行う方法
Cooper, J. Pharm. Sci. 73, 1984 により最初に示された装置に基く改変されたステンレススティール流過拡散セルを用いて、ヘビの皮を通しての種々の供与組成物からの薬物の拡散についての実験を行った。
局所投与製剤を 0.79cm2の面積を有する皮膚基材上に秤り取る。活性物質は皮膚を通して、セルの底部の受容溶液中に浸透する。受容チャンバーに取り付けられた入口チューブ及び出口チューブは皮膚条件を維持する。
【0060】
皮膚の温度を32℃に保持した。
受容溶液は水中50%ポリエチレングリコールから成り、 0.9%塩化ナトリウムにより等張にされ、そして 0.1%ナトリウムアジドにより防腐された。
各拡散セルサンプル中の適用される薬物の濃度は高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)及び吸光度検出を用いて測定した。各実験について報告される結果は重複拡散セルの平均値である。各薬物について使用された測定条件は各例において記載する。
【0061】
例 1
上記のインビトロ拡散セル法を用いて、この系を用いての皮膚を通してイブプロフェンが浸透することを示す。試験された製剤を下記の表に示す。
【0062】
【表4】

【0063】
サンプルは前記のようにして測定した。
検出波長は 210nmであり、そして移動相は60%アセトニトリル、0.1% H3PO4、pHをNaOHにより3に調整から成った。
図1は、各製剤について時間に対する輸送された量の%のプロットを示す。誤差バーは平均の標準誤差を示す。
【0064】
例 2
上記の同じインビトロ拡散セル法を用いて、この系の皮膚をイブプロフェン(他のNSAID)が浸透することを示す。
下記製剤を試験した。
【0065】
【表5】

【0066】
サンプルを前記の一般的方法に従って測定した。
検出波長は 247nmであり、そして移動相は60%アセトニトリル、0.1% H3PO4、NaOHにてpHを3に調整から成った。
図2は、この製剤についての時間に対する輸送された量の%のプロットを示す。誤差バーは平均の標準誤差を示す。
【0067】
例 3
インビトロ浸透研究を用いて、ケトプロフェンが皮膚を浸透すること、及びより高レベルの DermacrylTM 79 を含有させることにより浸透速度を変えることができることを示す。
試験した製剤は次の通りであった。
【0068】
【表6】

【0069】
図3は、各製剤についての時間に対する輸送された量の%のプロットを示す。これは、ポリマー:活性剤比及び/又は疎水性ポリマー:親水性ポリマー比を調整することにより対象の皮膚へのケトプロフェンの放出速度を変えることができることを示す。特に、このグラフは、ゲル中の DermacrylTMのレベルを変えることにより浸透の増強を制御することができることを示す。
前記記載した一般的方法に従ってサンプルを測定した。検出波長は 255nmであり、そして移動相は55%アセトニトリル、 0.1% H3PO4、NaOHにてpHを3に調整から成った。
【0070】
例 4
活性剤の皮膚実在性(skin substantivity) を増加することができる耐水フィルムを形成する、本発明の組成物の能力を示すため、次の試験を行った。
皮膚実在性及び洗浄耐性を試験するため、市販のクロトリマゾールクリーム(1%クロトリマゾール)に対する本発明の1%クロトリマゾールについて、インビボ実験を行った。
本発明のゲル製剤は次の通りであった。
【0071】
2.5%(w/w) KlucelTM(ヒドロキシプロピルセルロース)
3.2%(w/w) DermacrylTM79(アクリレート/オクチルプロペンアミドコポリマー)
1.0%(w/w) クロトリマゾール
100%(w/w) までのエタノール
各製品を対象の前腕に適用し、そして完全に乾かした。
【0072】
適用後6時間及び24時間後に、皮膚上に残留する活性剤を温エタノールを用いて抽出した。
使用した更なる条件は、10時間後における石けん液中への35秒間の浸漬であった。
試行の結果を図4に示す。
結果が明瞭に示すところによれば、市販のクロトリマゾールクリームに比べて本発明のゲルの適用後、皮膚上に有意により多くのクロトリマゾールが残留する。
【0073】
実際に、24時間後に、最初に適用したクロトリマゾールの50%より多くがなお存在し、これに対して市販のクロトリマゾールクリームについては約5%であった。
さらに、この結果はゲルの洗浄耐性を示した。
フィルムの浸漬によりゲル製剤からクロトリマゾールのわずかな部分のみが除去され、他方市販のクロトリマゾールクリームの浸漬後はクロトリマゾールのもとの量のわずか約1%が残留した。
【0074】
例 5
適用後の本発明のゲル製剤中のクロトリマゾールの活性を示すため、次の実験を行った。
本発明に従って調製された一連の1%クロトリマゾールゲル、及び市販の1%クロトリマゾールクリームを、キャンディダ・アルビカンス (Candida albicans) に対する阻害試験の領域に適用した。
ゲル及びクリームを5cm2 の円形ガラスカバースリップに適用した。すべての製品の適用率は5mg/cm2 であった。
【0075】
乾燥した後、スライドの被覆された例を、C.アルビカンスの培養物をあらかじめ接種しておいた MEAプレート上に置いた。プレートを37℃にて72時間インキュベートした。インキュベーション期間の終りに、試験スライドの周囲の阻止ゾーンを測定した。さらに、スライドを除去し、そしてスライドとの接触ゾーンにおいて試験生物の増殖の評価を行った。すべての試験は2重に行った。
試験した製剤は次の通りであった。
【0076】
【表7】

【0077】
試験の結果を次の表に示す。
【表8】

【0078】
結果が明瞭に示すところによれば、本発明のフィルム内でクロトリマゾールは生物学的に活性であり、そして事実、市販のクロトリマゾールクリームより活性であった。
さらに、可塑剤、すなわちプロピレングリコールの添加によりクロトリマゾールの活性を増加することができた。
【0079】
例 6
本発明における種々の増粘剤の使用の可能性を示すため、次の製剤を調製した。
【表9】

【0080】
本発明に従って製造されたゲルの対応する粘度を25℃にてブルックフィールド RVT粘度計により測定した。
粘度(F71/37/06、スピンドル3,10rpm) = 2,500cps.
粘度(F71/37/07、スピンドル5,2.5rpm) =112,000cps.
粘度(F71/37/10、スピンドル4,5rpm) = 76,000cps.
粘度(F71/37/11、スピンドル4,2.5rpm) = 40,800cps.
粘度(F71/37/13、スピンドル6,5rpm) =102,000cps.
粘度(F71/57/01、スピンドル4,10rpm) = 10,000cps.
これらの粘度の測定は、種々の疎水性ポリマーを用いて適切なゲルを製造するために種々の増粘剤を使用することができることを示す。
【0081】
例7比較例
1990年6月19日付シオノギの米国特許 No. 4,935,241は、
・エチルセルロースからの粘度を欠くため適用が困難である:
・CPC又はHPMCとEA/MMA とが不適合である:
ために化粧料として許容されない基礎を有する。
【0082】
これらの欠点を克服するため、ヒドロキシプロピルセルロース及び適合性のポリマー DermacrylTM 79 を用いてゲルを調製した。このゲルは、
・溶液中の2種類のポリマー(HPC及び DermacrylTM 79)の間が完全に混和性である:
・ポリマーが、使用した HPCの分子量及び%に依存して100cps〜200,000cpsの広範囲の粘度で調製することができた:
という利点を有していた。
【0083】
従って、この製品は、透明性、均一性及び製造の容易さという利点を有していた。
皮膚に活性物質を投与するように適合されたゲル製剤の有用性を試験するため、本発明の組成物、シオノギ製品及び市販のクロトリマゾールTMクリームからのクロトリマゾール(抗菌剤)の吸収を比較してインビトロ皮膚吸収実験を行った。すべての調製物は1%クロトリマゾールを含有していた。
使用したゲル製剤を下に示す。
【0084】
【表10】

【0085】
これらの製剤を皮膚浸透並びに表皮又は真皮での保持について、次の方法により比較した。
方 法
装置及び材料
・全厚ヒト皮膚(表面積 1.23cm2、受容器体積3.5ml)を備えたインビトロ Franz拡散セル
・HPLC装置:シマズ自動化HPLC系、UV検出器付き
・生理的条件を模倣するための受容相としてのリン酸緩衝液(pH7.4)に溶解されたウシ血清アルブミン(BSA)
【0086】
実験方法
・最終投与量(各製剤50mg)
・受容相:pH 7.4の BSA中4% BSA
・サンプル採取時間:0,6,10及び24時間(受容相中の量)
・製剤への24時間暴露の後皮膚から表皮分離
・非閉塞的研究
・各時間及び製剤は3連
【0087】
適用方法
・各製剤50mgを0分において、暴露された皮膚に適用した。
・方法はすべての製品について同一であった。
HPLC測定
活性成分含量は 210nmの検出波長を用いてHPLC測定により決定した。
下記の表は、クロトリマゾールゲル(F65/64/01及び F71/17/02) 及び市販のクロトリマゾールクリームの適用後、0,6,10及び24時間での受容相中の、並びに表皮(epidermis) 及び真皮(dermis)中の累積クロトリマゾール濃度を示す。
【0088】
【表11】

【0089】
統計的解析
各製剤を適用した後のクロトリマゾールの表皮及び真皮での保持を、 Tukey-HSDを用いてのポストホク・ホローアップ(posthoc follow up) による一方向 ANOVAにより比較した (有意性p<0.05) 。
表皮保持:製剤1(クロトリマゾールゲル F65/64/01) は試験した他の製剤に比べて、クロトリマゾールの有意に高い表皮保持を示した。
真皮保持:製剤1及び2(クロトリマゾールゲル)は、市販のクロトリマゾールクリームに比べて有意に高い真皮保持を示した。
【0090】
1.試験された製剤のいずれも、適用後24時間までに、受容相への検出し得る皮膚浸透を示さなかった。
2.クロトリマゾールの表皮保持は、製剤1(F65/64/01、本発明の製品)、製剤2(F71/17/02、シオノギ)及び製剤3(市販の1%クロトリマゾールクリーム)の順に低下した。製剤1の表皮保持は試験された他の2種類の製剤に比べて有意に高かった。
3.製剤1及び2の真皮保持は近似しており、そして市販のクロトリマゾールクリームに比べて有意に高かった。
【0091】
これらの結果は驚くべきことであり、そして24時間にわたってクロトリマゾールを皮膚により多く投与するための本発明の組成物の卓越性を示す。さらに、本発明の組成物は、クロトリマゾールの投与のための市販のクリームより効果的であった。
例4に示す結果を伴うこの研究が示すところによれば、本発明の組成物は市販のクロトリマゾールクリームに比べて皮膚の上層に実質的であるのみならず、活性物質を皮膚内に供給する。
【0092】
例 8
皮膚を通しての活性物質の浸透を変える一連の疎水性ポリマーの能力を示すため、下記の実験を行った。
活性成分としてケトプロフェンを用い、そして浸透増強剤としてサリチル酸オクチルを用いて、本発明の基本組成中に6種類の異る疎水性ポリマーを用意した。
これらを、前記のヘビ子供の皮膚を用いてインビトロ経皮浸透について試験した。
【0093】
【表12】

【0094】
これらのゲルからの浸透の結果を図5においてグラフで示す。図において、輸送された量%が時間に対してプロットされている。
これらの結果は、ケトプロフェンの浸透が疎水性ポリマーの導入により制御され得ることを示している。
【0095】
例 9
この例は、本発明の組成物が抗ウィルス化合物のビヒクルとして使用できることを示す。この場合の活性剤はペンシクロビル(penciclovir) である。ゲルは次の組成に従って調製した。
【0096】
【表13】

この製品は透明で粘稠な無色の均一な、局所的に抗ウィルス効果を生じさせるために皮膚に適用するのに適したゲルである。
【0097】
例 10
皮膚を通して NSAIDを投与するための本発明の組成物の有用性をさらに示すため、前に記載したインビトロ拡散セル法を用いてジクロフェナック (diclofenac) の浸透を評価した。
次の製剤を試験した。
【0098】
【表14】

製剤からの皮膚浸透の結果を図6にグラフで示す。
【0099】
例11シオノギ特許のゲルの比較記載
この例の目的は「Pharmaceutical Preparation for Tinea Pedis」と題する1990年6月19日付米国特許 No. 4,935,241のゲルが本発明の組成物の規準、すなわち貯蔵中の均一性、に合わないことを示すことである。
【0100】
【表15】

【0101】
室温にて1週間貯蔵した後のゲルの外観は次の通りである。
F71/46/04
底に沈澱する微小な凝集粒子を伴う薄い透明なゲル。
F71/46/05
幾らかの固体白色塊を伴う半透明の薄い塊状ゲル。
F71/46/06
透明な2層に分かれる透明なゲル。
以上本発明の特定の態様を記載したが、本発明はこれらの特定の態様に限定されないことは明らかであり、本発明の本質を逸脱することなく変更を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】図1は、本発明の種々のゲル製剤からのインビトロでのヘビのぬけ皮を通して輸送されるイブプロフェンの投与量に対する%のプロットである。誤差バーは SEMを示す。
【図2】図2は、フルルビプロフェンゲルからのインビトロでのヘビのぬけ皮を通して輸送される薬物の投与量に対する%のプロットである。p=0.002(対照に対する対t−検定)
【図3】図3は、本発明の種々のゲル製剤からのインビトロでのヘビのぬけ皮を通して輸送されるケトプロフェンの投与量に対する%のプロットである。誤差バーは SEMを示す。
【0103】
【図4】図4は、所与の条件下で所与の時間後の、皮膚上に保持されたカネステンTM及び本発明の製剤の投与量に対する%のグラフである。
【図5】図5は、疎水性ポリマーの性質が変えられている本発明のケトプロフェンゲルからのインビトロで皮膚を通して輸送される量の、投与量に対する%のプロットである。誤差バーは SEMを示す。
【図6】図6は、本発明のジクロフェナックゲルからのインビトロでの、皮膚を通して輸送される量の、投与量に対する%のプロットである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1又は複数の生理的活性剤を経皮投与することができる実質的に均一な液体組成物であって、速度調節ポリマー、揮発性溶剤及び少なくとも1種の生理的活性剤を含んで成り、前記速度調節ポリマーが前記生理的活性剤の投与速度を調節することができるように選択されたものである、ことを特徴とする組成物。
【請求項2】
さらに浸透増強剤を含んで成る、請求項1に記載の液体組成物。
【請求項3】
第二のポリマーを含む、請求項1又は2に記載の液体組成物。
【請求項4】
前記第二のポリマーが前記第一のポリマーとは逆の水親和性を有する、請求項3に記載の液体組成物。
【請求項5】
親水性ポリマー及び疎水性ポリマーを含む、請求項3又は4に記載の液体組成物。
【請求項6】
対象の皮膚に適用後、前記親水性ポリマーが連続相を形成し、そして疎水性ポリマーがその中に分散され又は溶解している、請求項5に記載の液体組成物。
【請求項7】
前記疎水性ポリマーが連続相を形成し、そして前記親水性ポリマーがその中に分散し又は溶解している、請求項5に記載の液体組成物。
【請求項8】
対象の皮膚に適用後、生理活性剤が前記連続相中に含有される、請求項6又は7に記載の液体組成物。
【請求項9】
分散体の形態であり、対象の皮膚に適用後、生理的活性物質が前記分散相に含まれる、請求項6又は7に記載の液体組成物。
【請求項10】
前記親水性ポリマーがヒドロキシアルキルセルロースである、請求項5〜9のいずれか1項に記載の液体組成物。
【請求項11】
前記親水性ポリマーがヒドロキシプロピルセルロースである、請求項10に記載の液体組成物。
【請求項12】
前記疎水性ポリマーがオクチルアクリルアミド又はオクチルプロペンアミドアクリレートコポリマーである、請求項5〜9のいずれか1項に記載の液体組成物。
【請求項13】
1又は複数の生理的活性剤を経皮投与することができる実質的に均一な液体組成物であって、揮発性溶剤、少なくとも1種の生理的活性剤及び少なくとも2種類のポリマーを含んで成り、その一方が水溶性であり、そして他方が前記生理的活性剤の投与速度を調節することができるように選択されたものである、ことを特徴とする組成物。
【請求項14】
さらに浸透増強剤を含んで成る、請求項13に記載の液体組成物。
【請求項15】
前記第二のポリマーが前記第一のポリマーとは逆の水親和性を有する、請求項13又は14に記載の液体組成物。
【請求項16】
親水性ポリマー及び疎水性ポリマーを含む、請求項13〜15のいずれか1項に記載の液体組成物。
【請求項17】
対象の皮膚に適用後、前記親水性ポリマーが連続相を形成し、そして疎水性ポリマーがその中に分散され又は溶解している、請求項16に記載の液体組成物。
【請求項18】
前記疎水性ポリマーが連続相を形成し、そして前記親水性ポリマーがその中に分散し又は溶解している、請求項16に記載の液体組成物。
【請求項19】
対象の皮膚に適用後、生理活性剤が前記連続相中に含有される、請求項17又は18に記載の液体組成物。
【請求項20】
分散体の形態であり、対象の皮膚に適用後、生理的活性物質が前記分散相に含まれる、請求項17又は18に記載の液体組成物。
【請求項21】
前記親水性ポリマーがヒドロキシアルキルセルロースである、請求項15〜20のいずれか1項に記載の液体組成物。
【請求項22】
前記親水性ポリマーがヒドロキシプロピルセルロースである、請求項21に記載の液体組成物。
【請求項23】
前記疎水性ポリマーがオクチルアクリルアミド又はオクチルプロペンアミドアクリレートコポリマーである、請求項15〜19のいずれか1項に記載の液体組成物。
【請求項24】
1又は複数の生理的活性剤を経皮投与することができる実質的に均一な液体組成物であって、揮発性溶剤、少なくとも1種の生理的活性剤、並びに少なくとも1種の速度調節ポリマー及び増粘剤を含んで成り、前記少なくとも1種の速度調節ポリマーが前記生理的活性剤及びエチルセルロース以外の前記増粘剤の投与速度を調節することができるように選択されたものである、ことを特徴とする組成物。
【請求項25】
前記増粘剤が、アルコール及び水の両方に可溶性のポリマーである、請求項24に記載の液体組成物。
【請求項26】
さらに浸透増強剤を含んで成る、請求項25に記載の液体組成物。
【請求項27】
ポリマーである前記増粘剤が前記速度調節ポリマーとは逆の水親和性を有する、請求項25又は26に記載の液体組成物。
【請求項28】
親水性ポリマー及び疎水性ポリマーを含む、請求項27に記載の液体組成物。
【請求項29】
患者の皮膚に適用後、前記親水性ポリマーが連続相を形成し、そして疎水性ポリマーがその中に分散され又は溶解している、請求項28に記載の液体組成物。
【請求項30】
対象の皮膚に適用後、前記増粘剤が連続相を形成し、そして前記親水性ポリマーがその中に分散し又は溶解している、請求項29に記載の液体組成物。
【請求項31】
患者の皮膚に適用後、生理活性剤が前記連続相中に含有される、請求項29又は30に記載の液体組成物。
【請求項32】
分散体の形態であり、対象の皮膚に適用後、生理的活性物質が前記分散相に含まれる、請求項29又は30に記載の液体組成物。
【請求項33】
前記親水性ポリマーがヒドロキシアルキルセルロースである、請求項29〜32のいずれか1項に記載の液体組成物。
【請求項34】
前記親水性ポリマーがヒドロキシプロピルセルロースである、請求項33に記載の液体組成物。
【請求項35】
前記増粘剤がオクチルアクリルアミド又はオクチルプロペンアミドアクリレートコポリマーである、請求項29〜34のいずれか1項に記載の液体組成物。
【請求項36】
1又は複数の生理的活性剤を経皮投与することができる実質的に均一な液体組成物であって、揮発性溶剤、少なくとも1種の生理的活性剤及び少なくとも2種のポリマーを含んで成り、前記ポリマーの一方が速度調節ポリマーであり、前記生理的活性剤の投与速度が該速度調節剤:活性剤の比率を変えることにより調節可能であることを特徴とする組成物。
【請求項37】
さらに浸透増強剤を含んで成り、その量を、ポリマー及び活性剤の量に対して調節して前記生理活性剤の投与速度を変えることができる、請求項36に記載の液体組成物。
【請求項38】
前記少なくとも2種類のポリマーが相互に逆の水親和性を有する、請求項36又は37に記載の液体組成物。
【請求項39】
親水性ポリマー及び疎水性ポリマーを含む、請求項36〜38のいずれか1項に記載の液体組成物。
【請求項40】
対象の皮膚に適用後、前記親水性ポリマーが連続相を形成し、そして疎水性ポリマーがその中に分散され又は溶解している、請求項39に記載の液体組成物。
【請求項41】
患者の皮膚に適用後、前記疎水性ポリマーが連続相を形成し、そして前記親水性ポリマーがその中に分散し又は溶解している、請求項39に記載の液体組成物。
【請求項42】
対象の皮膚に適用後、生理活性剤が前記連続相中に含有される、請求項40又は41に記載の液体組成物。
【請求項43】
分散体の形態であり、対象の皮膚に適用後、生理的活性物質が前記分散相に含まれる、請求項40又は41に記載の液体組成物。
【請求項44】
前記親水性ポリマーがヒドロキシアルキルセルロースである、請求項38〜43のいずれか1項に記載の液体組成物。
【請求項45】
前記親水性ポリマーがヒドロキシプロピルセルロースである、請求項44に記載の液体組成物。
【請求項46】
前記疎水性ポリマーがオクチルアクリルアミド又はオクチルプロペンアミドアクリレートコポリマーである、請求項38〜43のいずれか1項に記載の液体組成物。
【請求項47】
1又は複数の生理的活性剤を経皮投与することができる実質的に均一な液体組成物であって、揮発性溶剤、少なくとも1種の生理的活性剤及び少なくとも2種類のポリマーを含んで成り、このポリマーの一方は疎水性であり、そして他方は親水性であり、前記生理的活性剤の投与速度が、前記ポリマーの相互の比率を変えることにより調節可能であることを特徴とする組成物。
【請求項48】
さらに浸透増強剤を含んで成り、その量をポリマー及び活性剤の量に対して変えて、前記生理活性剤の投与速度を変えることができる、請求項47に記載の液体組成物。
【請求項49】
対象の皮膚に適用後、前記親水性ポリマーが連続相を形成し、そして疎水性ポリマーがその中に分散され又は溶解している、請求項47又は48に記載の液体組成物。
【請求項50】
患者の皮膚に適用後、前記疎水性ポリマーが連続相を形成し、そして前記親水性ポリマーがその中に分散し又は溶解している、請求項47〜49のいずれか1項に記載の液体組成物。
【請求項51】
対象の皮膚に適用後、生理活性剤が前記連続相中に含有される、請求項47〜49のいずれか1項に記載の液体組成物。
【請求項52】
分散体の形態であり、対象の皮膚に適用後、生理的活性物質が前記分散相に含まれる、請求項47〜49のいずれか1項に記載の液体組成物。
【請求項53】
前記親水性ポリマーがヒドロキシアルキルセルロースである、請求項47〜52のいずれか1項に記載の液体組成物。
【請求項54】
前記親水性ポリマーがヒドロキシプロピルセルロースである、請求項53に記載の液体組成物。
【請求項55】
前記疎水性ポリマーがオクチルアクリルアミド又はオクチルプロペンアミドアクリレートコポリマーである、請求項47〜54のいずれか1項に記載の液体組成物。
【請求項56】
請求項1〜55のいずれか1項に記載の液体組成物を対象の皮膚に適用することを含んで成る、活性剤の経皮投与方法。
【請求項57】
前記対象がヒト又はヒト以外の動物である、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
請求項1〜55のいずれか1項に記載の液体組成物の有効量を患者に適用することを含んで成る、抗微生物、抗真菌又は抗ウィルス予防又は治療方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−247912(P2008−247912A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−107196(P2008−107196)
【出願日】平成20年4月16日(2008.4.16)
【分割の表示】特願平10−524053の分割
【原出願日】平成9年11月24日(1997.11.24)
【出願人】(500177400)スティーフェル リサーチ オーストラリア プロプライアタリー リミティド (2)
【Fターム(参考)】