説明

絶縁膜用材料、絶縁膜用コーティングワニス、及び、これらを用いた絶縁膜並びに半導体装置

【課題】 熱処理後に高耐熱性、低誘電率となる樹脂組成物、およびそれを用いた半導体装置を提供する。
【解決手段】 一般式(1)で表される構造を有する化合物と、前記化合物中のヒドロキシル基と反応する溶解促進化合物とを反応させて得られた化合物を膜形成成分として含む樹脂組成物。
【化1】


[Arは多環式構造を有する基又は芳香族基、aは0又は1を示す。R11は水素又は炭素数1以上の有機基で、qは0以上の整数で2以上の場合、互いに同じでも異なっても良い。R〜RとR〜R10は1つ以上がArとの結合部位で、また、1つ以上がヒドロキシル基であり、それら以外は水素、脂環式構造を有する基、炭素数1以上10以下の有機基及びカルボキシル基のいずれかを示す。またR11、R〜R及びR〜R10は、1つ以上が脂環式構造を有する基を示す。Xは、−O−、−NHCO−、−CONH−、−COO−及び−OCO−のいずれかを示す。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶縁膜用材料、絶縁膜用コーティングワニス、及び、これらを用いた絶縁膜並びに半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体用の層間絶縁膜としては、現在、CVD法(化学蒸着法)等で作製した酸化膜(SiOx膜)が主に使用されている。しかし、酸化膜等の無機絶縁膜は、誘電率が高いため、半導体の高速化、高性能化に対応するのが困難である。そこで、低誘電率の層間絶縁膜として、有機材料の適用が検討されている。層間絶縁膜に用いられる有機材料としては、耐熱性、電気特性に優れ、かつ低誘電率であることが要求される。
【0003】
従来、有機材料としては、ポリイミド樹脂、ポリキノリン樹脂、ポリキノキサリン樹脂等が検討されている(例えば、特許文献1参照。)。
しかし、一般的にポリイミド樹脂は、耐熱性が低い、誘電率が高い、吸湿性が高い等の問題があった。そのため、その用途は信頼性の上でバイポーラ半導体素子などの一部の半導体素子に限られていた。
【0004】
一方、ポリイミド樹脂より高耐熱性、低誘電率性、低吸湿性を兼ね備えたポリキノリン樹脂、ポリキノキサリン樹脂は、熱可塑性樹脂であるため、樹脂のガラス転移点以上の温度に曝された場合、樹脂のパターンが変形し、半導体製造時に問題となる場合があった。
【0005】
【特許文献1】特開2000−195853号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、絶縁膜とした場合高耐熱性、低誘電率となる絶縁膜用材料、およびそれを含む絶縁膜用コーティングワニスを提供することにある。
また、本発明の目的は、耐熱性および低誘電率である絶縁膜およびそれを用いた半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的は、下記(1)〜(10)に記載の本発明により達成される。
(1) 一般式(1)で表される構造を有する化合物と、前記化合物中のヒドロキシル基と反応する溶解促進化合物とを反応させて得られた化合物を含む絶縁膜用材料であって、該反応させて得られた化合物は、前記ヒドロキシル基末端に、前記溶解促進化合物で構成される基を有することを特徴とする絶縁膜用材料。
【0008】
【化1】


[式(1)中、Arは多環式構造を有する基または芳香族基を示し、aは0または1を示す。またR11は、水素または炭素数1以上の有機基を示し、qが2以上の整数である場合、R11は互いに同じであっても異なっていても良い。RからRおよびRからR10は、それぞれのベンゼン環において少なくとも1つがArとの結合部位であり、また、少なくとも1つがヒドロキシル基であり、それら以外は、水素、脂環式構造を有する基、該脂環式構造を有する基以外の炭素数1以上10以下の有機基およびカルボキシル基のいずれかを示す。また、R11、RからRおよびRからR10は、少なくとも1つが脂環式構造を有する基を示す。qは、0以上の整数である。Xは、−O−、−NHCO−、−CONH−、−COO−および−OCO−のいずれかを示す。]
【0009】
(2) 前記一般式(1)で表される構造を有する化合物は、一般式(1)におけるArとして一般式(2)で表される構造から選ばれる基を有するものである第(1)項記載の絶縁膜用材料。
【0010】
【化2】


[式中、Yは、−O−、−S−、−OCO−および−COO−のいずれかを示す。R12とR13は、水素、炭素数1以上10以下の有機基である。nは1以上4以下の整数である。]
【0011】
(3) 前記一般式(1)における脂環式構造を有する基は、アダマンタン構造を有する基である第(1)項または第(2)項記載の絶縁膜用材料。
(4) 前記一般式(1)で表される構造を有する化合物は、一般式(1)におけるXとして−NHCO−を有し、RもしくはR、およびRもしくはRとしてカルボキシル基を有するものである第(1)項乃至第(3)項のいずれかに記載の絶縁膜用材料。
(5) 前記一般式(1)で表される構造を有する化合物は、一般式(1)におけるXとして−NHCO−を有し、RもしくはR、およびRもしくはRとしてヒドロキシル基を有するものである第(1)項乃至第(3)項のいずれかに記載の絶縁膜用材料。
(6) 前記ヒドロキシル基末端の溶解促進化合物で構成される基は、50℃以上400℃以下の温度で脱離するものである第(1)項乃至第(5)項のいずれかに記載の絶縁膜用材料
(7) 前記溶解促進化合物が、酸塩化物、酸無水物、ジカーボネート化合物、又はクロロホルメート化合物である第(1)項乃至第(6)項のいずれかに記載の絶縁膜用材料。
(8) 第(1)項乃至第(7)項のいずれかに記載の絶縁膜用材料と、該絶縁膜用材料を溶解若しくは分散させることが可能な有機溶媒を含むことを特徴とする絶縁膜用コーティングワニス。
(9) 第(8)項に記載の絶縁膜用コーティングワニスを、加熱処理して得られることを特徴とする絶縁膜。
(10) 第(9)項に記載の絶縁膜からなる層間絶縁膜および/又は表面保護層を有することを特徴とする半導体装置。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、熱処理後に高耐熱性、低誘電率となる樹脂組成物を得ることができる。
発明によれば、ポリイミド樹脂とした場合に耐熱性と溶解性に優れるポリイミド樹脂前駆体を得ることができる、また、ポリベンゾオキサゾール樹脂とした場合に耐熱性と溶解性に優れるベンゾオキサゾール樹脂前駆体を得ることができる。
また、本発明によれば、耐熱性および低誘電率であるポリイミド樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂、樹脂膜およびそれを用いた半導体装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の絶縁膜用材料、絶縁膜用コーティングワニス、及び、これらを用いた絶縁膜並びに半導体装置について説明する。
本発明の絶縁膜用材料は、前記一般式(1)で表される構造を有する化合物と、前記化合物中のヒドロキシル基と反応する溶解促進化合物とを反応させて得られた化合物を含むものであって、該反応させて得られた化合物は、前記ヒドロキシル基末端に、前記溶解促進化合物で構成される基を有することにより、耐熱性に優れ、低誘電率である絶縁膜を得ることができる。また、これを用いたワニスなどの製造においては、溶剤に溶解する際に、溶剤溶解性に優れる絶縁膜用材料を得ることができる。
【0014】
本発明に用いる一般式(1)で表される構造を有する化合物は、一般式(1)におけるArとして、多環式構造を有する基または芳香族基を有するものである。
前記多環式構造を有する基としては、例えば、シクロプロパン構造、シクロブタン構造、シクロペンタン構造、シクロヘキサン構造、シクロヘプタン構造、ノルボルネン構造、アダマンタン構造を有する基などが挙げられ、特にアダマンタン構造を有する基であることが好ましい。前記アダマンタン構造を有する基とは、アダマンタン構造を最小単位とする構造を有するものであり、例えば、アダマンチル基、ジアマンチル基、トリアマンチル基、テトラマンチル基、ペンタマンチル基、ヘキサマンチル基、ヘプタマンチル基、オクタマンチル基、ノナマンチル基、デカマンチル基およびウンデカマンチル基など(脂肪族)多環式骨格構造を有する基が挙げられ、更には、前記多環式骨格構造を有する基を複数個有する基などが挙げられる。前記多環式骨格構造を有する基を複数個有する基としては、オリゴ構造やポリ構造を有する基などが挙げられるが、前記多環式骨格構造を有する基としてアダマンチル基の場合、例えば、ジ(1,3−アダマンタン)基およびジ(2,2−アダマンタン)基などのビアダマンチル基、トリ(1,3−アダマンタン)基およびトリ(2,2−アダマンタン)基などのトリアダマンチル基、テトラ(1,3−アダマンタン)基およびテトラ(2,2−アダマンタン)基などのテトラアダマンチル基、ペンタ(1,3−アダマンタン)基およびペンタ(2,2−アダマンタン)基などのペンタアダマンチル基、ヘプタ(1,3−アダマンタン)基およびヘプタ(2,2−アダマンタン)基などのヘプタアダマンチル基、ヘキサアダマンチル基、オクタアダマンチル基、ノナアダマンチル基、デカアダマンチル基、ウンデカアダマンチル基などのオリゴアダマンタン構造を有する基や、更にアダマンチル基の個数の多いポリアダマンタン構造を有する基などが挙げられ、また、前記多環式骨格構造を有する基としてアダマンチル基以外の基の場合、前記オリゴアダマンタン構造を有する基やポリアダマンタン構造を有する基において該アダマンチル基を置換した基が挙げられ、例えば、ビ−(ジアマンタン)基、トリ−(ジアマンタン)基、テトラ−(ジアマンタン)基、ペンタ−(ジアマンタン)基、ヘキサ−(ジアマンタン)基、ヘプタ−(ジアマンタン)基、オクタ−(ジアマンタン)基、ノナ−(ジアマンタン)基、デカ−(ジアマンタン)基およびウンデカ−(ジアマンタン)基、などのジアマンタン基を複数個有する基、ビ−(トリアマンタン)基、トリ−(トリアマンタン)基、テトラ−(トリアマンタン)基、ペンタ−(トリアマンタン)基、ヘキサ−(トリアマンタン)基、ヘプタ−(トリアマンタン)基、オクタ−(トリアマンタン)基、ノナ−(トリアマンタン)基、デカ−(トリアマンタン)基およびウンデカ−(トリアマンタン)基、などのトリアマンタン基を複数個有する基、ビ−(テトラアマンタン)基、トリ−(テトラアマンタン)基、テトラ−(テトラアマンタン)基、ペンタ−(テトラアマンタン)基、ヘキサ−(テトラアマンタン)基、ヘプタ−(テトラアマンタン)基、オクタ−(テトラアマンタン)基、ノナ−(テトラアマンタン)基、デカ−(テトラアマンタン)基およびウンデカ−(テトラアマンタン)基、などのテトラアマンタン基を複数個有する基、などが挙げられる。これらの中でも、アダマンチル基、ジアマンチル基、トリアマンチル基、テトラマンチル基、ペンタマンチル基、ヘキサマンチル基、ヘプタマンチル基、オクタマンチル基、ノナマンチル基、デカマンチル基、ウンデカマンチル基、ビアダマンチル基、トリアダマンチル基、テトラアダマンチル基、ペンタアダマンチル基、ヘキサアダマンチル基、ヘプタアダマンチル基、オクタアダマンチル基、ノナアダマンチル基、デカアダマンチル基およびウンデカアダマンチル基が好ましく、アダマンチル基、ジアマンチル基、トリアマンチル基、テトラマンチル基、ペンタマンチル基、ジ(1,3−アダマンタン)基、トリ(1,3−アダマンタン基)、テトラ(1,3−アダマンタン)基、ペンタ(1,3−アダマンタン)基、ジ(2,2−アダマンタン)基、トリ(2,2−アダマンタン)基、テトラ(2,2−アダマンタン)基およびペンタ(2,2−アダマンタン)基がより好ましい。本発明において、上記多環式構造を導入することにより、耐熱性、溶媒への溶解性を低下させることなく、低誘電率化、耐湿性を向上することができる。上記アダマンタン構造を有する基は、メチル基、エチル基、プロピル基およびブチル基などのアルキル基、フルオロメチル基、フルオロエチル基、フルオロプロピル基およびフルオロブチル基などのフルオロアルキル基などが結合していても良い。
【0015】
また、前記Arとしての、該芳香族基としては、例えば、フェニル基、ナフタレン基、アントラセン基、フェナントレン基、芳香族環が4個以上の多環式芳香族基、フルオレン基、ジフェニルフルオレン基、ビフェニル基、ピリジル基、ジピリジル基、窒素を含む多環式芳香族基などが挙げられ、特に一般式(2)で表される構造が好ましい。これによって、樹脂膜、それを含む半導体装置を作る際に使用する溶剤への良好な溶解性を与えることができる。
前記一般式(2)におけるYとしては、−O−、−S−、−OCO−、−COO−が挙げられるが、特に−O−が溶剤への溶解性、耐熱性の点で好ましい。
【0016】
また、一般式(1)で表される構造を有する化合物は、RからRおよびRからR10として、それぞれのベンゼン環において、少なくとも1つがArとの結合部位となるものであり、少なくとも1つがヒドロキシル基であり、それら以外は、水素、脂環式構造を有する基、該脂環式構造を有する基以外の炭素数1以上10以下の有機基およびカルボキシル基のいずれかを有するものである。該脂環式構造を有する基の具体例としては、前記同様のものが挙げられ、該脂環式構造を有する基以外の炭素数1以上10以下の有機基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ヘプチル基、ヘキシル基、ペンチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などが挙げられる。これら脂環式構造を有する基以外の炭素数1以上10以下の有機基を有することにより、溶解性に優れるものが得られる。
【0017】
また、一般式(1)で表される構造を有する化合物は、R11として、水素以外の場合、炭素数1以上の有機基を有することができ、炭素数1以上の有機基としては、前記脂環式構造を有する基や該脂環式構造を有する基以外の炭素数1以上10以下の有機基などが挙げられ、これらの有機基を有する場合、少なくとも1つが脂環式構造を有する基を有することが好ましい。該脂環式構造を有する基や該脂環式構造を有する基以外の炭素数1以上10以下の有機基としては、前記同様のものを挙げることができる。
【0018】
また、一般式(1)で表される構造を有する化合物は、Xとして、−O−、−NHCO−、−CONH−、−COO−および−OCO−のいずれかを有するものである。
【0019】
本発明に用いる一般式(1)で表される構造を有する化合物において、式中、Xとして−O−を有する場合は、ポリフェニレンエーテルに、Xとして−NHCO−あるいは−CONH−を有する場合は、ポリアミドに、Xとして−COO−、−OCO−を有する場合は、ポリエステルとして、用いることができる。
上記構造において、特に、ポリアミドの場合は、RもしくはR、およびRもしくはRとしてカルボキシル基を有する場合、一般式(1)で表される構造を有する化合物は、ポリイミド樹脂前駆体の構造となる。また、RもしくはR、およびRもしくはRとしてヒドロキシル基にした場合、一般式(1)で表される構造を有する化合物は、ポリベンゾオキサゾール樹脂前駆体構造となる。これらの構造を選んだ場合は、より耐熱性を向上させることができる。
【0020】
前記一般式(1)で表される構造を有する化合物が、ポリイミド樹脂前駆体の構造となる場合は、これを脱水閉環することにより、ポリイミド樹脂とすることができる。
また、ポリベンゾオキサゾール樹脂前駆体構造となる場合は、これを脱水閉環することにより、ポリベンゾオキサゾール樹脂することができる。
【0021】
前記ポリイミド樹脂前駆体を製造する方法としては、例えば、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを反応して得ることができる。反応方法は、アルコール類で酸二無水物をハーフエステル化した後に、ジアミンと反応させても良い。
【0022】
前記テトラカルボン酸二無水物としては、脂環式構造を有するものとして、下記一般式(3)で表される構造を有するものが挙げられる。
【0023】
【化3】

【0024】
式(3)中、Arは芳香族基を示し、aは0または1を示す。またR22は、水素または炭素数1以上の有機基を示し、qが2以上の整数である場合、R22は互いに同じであっても異なっていても良い。R14からR17およびR18からR21は、それぞれのベンゼン環において少なくとも1つがArとの結合部位であり、それ以外は、水素、脂環式構造を有する基、該脂環式構造を有する基以外の炭素数1以上10以下の有機基のいずれかを示す。また、R22、R14からR17およびR18からR21は、少なくとも1つが脂環式構造を有する基を示す。qは、1以上の整数である。上記芳香族基、炭素数1以上の有機基、脂環式構造を有する基、該脂環式構造を有する基以外の炭素数1以上10以下の有機基は、一般式(1)におけるものと同様の基を示す。
【0025】
前記脂環式構造を有するテトラカルボン酸二無水物の具体例としては、9,9−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−2,7−ジアダマンチル−フルオレン−二無水物、9,9−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)−フェニル]−2,7−ジアダマンチル−フルオレン−二無水物、9,9−ビス[4−(3,4−ジカルボキシ−5−アダマンチルフェノキシ)−フェニル]−フルオレン−二無水物などのアダマンタン構造とフルオレン構造を有するテトラカルボン酸無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)−4,6−ジアダマンチル−ベンゼン−二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシ−5−アダマンチルフェノキシ)−ベンゼン−二無水物などのアダマンタン構造とベンゼン構造を有するテトラカルボン酸無水物、アダマンタン構造とナフタレン構造を有するテトラカルボン酸無水物、アダマンタン構造とアントラセン構造を有するテトラカルボン酸無水物、2,2’−ビス((3,4−ジカルボキシフェノキシ)−5,5’−ジアダマンチル−ビフェニル−二無水物、2,2’−ビス((3,4−ジカルボキシ−5−アダマンチルフェノキシ)−ビフェニル−二無水物などのアダマンタン構造とビフェニル構造を有するテトラカルボン酸無水物などが挙げられ、脂環式構造を有する基において、アダマンタン構造としては、上記に記載のアダマンタン構造を最小単位とする構造を選ぶことができる。アダマンタン構造の結合位置も、一般式(1)に含まれる範囲で任意に選んでかまわない。
【0026】
また、脂環式構造を有する基を有するジアミンを用いる場合、これらテトラカルボン酸ニ無水物において脂環式構造を有する基を有しないものを用いることができる。前記脂環式構造を有する基を有しないテトラカルボン酸二無水物としては、9,9−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)フルオレン−二無水物、9,9−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)−フェニル]フルオレン−二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン−二無水物、2,2’−ビス((3,4−ジカルボキシフェノキシ)ビフェニル−二無水物などが挙げられる。
【0027】
前記ジアミンとしては、脂環式構造を有するものとして、下記一般式(4)で表される構造を有するものが挙げられる。
【0028】
【化4】

【0029】
式(4)中、Arは芳香族基を示し、aは0または1を示す。またR33は、水素または炭素数1以上の有機基を示し、qが2以上の整数である場合、R33は互いに同じであっても異なっていても良い。R23からR27およびR28からR32は、それぞれのベンゼン環において少なくとも1つがArとの結合部位であり、それ以外は、水素、脂環式構造を有する基、該脂環式構造を有する基以外の炭素数1以上10以下の有機基のいずれかを示す。また、R33、R23からR27およびR28からR32は、少なくとも1つが脂環式構造を有する基を示す。qは、1以上の整数である。上記芳香族基、炭素数1以上の有機基、脂環式構造を有する基、該脂環式構造を有する基以外の炭素数1以上10以下の有機基は、一般式(1)におけるものと同様の基を示す。
【0030】
前記脂環式構造を有するジアミンの具体例としては、9,9−ビス(4−アミノフェニル)−2,7−ジアダマンチル−フルオレン、9,9−ビス(4−アミノ−5−アダマンチルフェニル)−フルオレンおよび9,9−ビス[(4−アミノフェノキシ)−フェニル]−2,7−ジアダマンチル−フルオレンなどのアダマンタン構造とフルオレン構造を有するジアミン化合物、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)−4,6−ジアダマンチル−ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−5−アダマンチルフェノキシ)−ベンゼンなどのアダマンタン構造とベンゼン構造を有するジアミン化合物、アダマンタン構造とナフタレン構造を有するジアミン化合物、アダマンタン構造とアントラセン構造を有するジアミン化合物、2,2’−ビス(4−アミノフェノキシ)−5,5’−ジ(1−アダマンチル)−ビフェニル、2,2’−ビス(4−アミノ−5−アダマンチルフェノキシ)−ビフェニルなどのアダマンタン構造とビフェニル構造を有するジアミン化合物などが挙げられ、アダマンタン構造としては、上記に記載のアダマンタン構造を最小単位とする構造を選ぶことができる。アダマンタン構造の結合位置も、一般式(1)に含まれる範囲で任意に選んでかまわない。
【0031】
また、脂環式構造を有する基を有するテトラカルボン酸ニ無水物を用いる場合、これらジアミンにおいて脂環式構造を有する基を有しないものを用いることができる。前記脂環式構造を有する基を有しないジアミンとしては、9,9−ビス(4−アニリン)フルオレン、9,9−ビス[(4−アミノフェノキシ)−フェニル]フルオレン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)−ベンゼン、2,2’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニルなどが挙げられる。
前記テトラカルボン酸二無水物とジアミンとの組み合わせにおいて、より誘電率を低下させると共に、耐熱性に優れたポリイミド樹脂を得る上で、両方に脂環式構造を有する基を有することが好ましい。
【0032】
前記ポリベンゾオキサゾール樹脂前駆体を製造する方法としては、例えば、ビスo−アミノフェノールとジカルボン酸とを酸クロ法や活性エステル法で反応して得ることができる。
前記ビス−o−アミノフェノールとしては、脂環式構造を有するものとして、上記一般式(3)で表される構造を有するものが挙げられる。
前記脂環式構造を有するビスo−アミノフェノールの具体例としては、9,9−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−フェニル)−2,7−ジアダマンチル−フルオレン、9,9−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−5−アダマンチルフェニル)−フルオレン、9,9−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−フェニル)−2,7−ジ(3,5−ジメチル−1−アダマンチル)−フルオレン、9,9−ビス[(3−ヒドロキシ−4−アミノ−5−アダマンチルフェノキシ)−フェニル]−フルオレン、9,9−ビス[(3−ヒドロキシ−4−アミノフェノキシ)−フェニル]−2,7−ジアダマンチル−フルオレンおよび9,9−ビス[4−(4−アミノ−3−ヒドロキシ−6−アダマンチル−フェノキシ)−フェニル]−2,7−フルオレンなどのアダマンタン構造とフルオレン構造を有するビスアミノフェノール、1,3−ビス(3−ヒドロキシ−4−アミノフェノキシ)−4,6−ジアダマンチル−ベンゼン、1,3−ビス(3−ヒドロキシ−4−アミノ−5−アダマンチルフェノキシ)−ベンゼン、4,6−ジ(1−アダマンチル)−1,3−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、4,6−ジ(3,5−ジメチル−1−アダマンチル)−1,3−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、4,6−ジ(3−(3,5−ジメチル−1−アダマンチル)−(3,5−ジメチル−1−アダマンチル))−1,3−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−6−アダマンチル−フェノキシ)ベンゼンおよび4,6−ジ(1−アダマンチル)−1,3−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−6−アダマンチル−フェノキシ)ベンゼンなどのアダマンタン構造とベンゼン構造を有するビスアミノフェノール、アダマンタン構造とナフタレン構造を有するビスアミノフェノール、アダマンタン構造とアントラセン構造を有するビスアミノフェノール、2,2’−ジヒドロキシ−3,3’−ジアミノ−5,5’−ジアダマンチル−ビフェニル、2,2’−ジヒドロキシ−3,3’−ジアミノ−5,5’−ビス(3,5−ジメチル−1−アダマンチル)−ビフェニル、2,2’−ジヒドロキシ−3,3’−ジアミノ−5,5’−ビス(3−(5,7−ジメチル−1−アダマンチル)−(3,5−ジメチル−1−アダマンチル))ビフェニル、2,2’−ビス(3−ヒドロキシ−4−アミノフェノキシ)−5,5’−ジアダマンチル−ビフェニル、2,2’−ビス(3−ヒドロキシ−4−アミノ−5−アダマンチルフェノキシ)−ビフェニル、2,2’−ビス[4−(3−ヒドロキシ−4−アミノ)フェノキシ]−5,5’−ビス(3−(3,5−ジメチル−1−アダマンチル)ビフェニル)、2,2’−ビス[4−(3−ヒドロキシ−4−アミノ)フェノキシ−フェニル]−5,5’−ビス(3−(3,5−ジメチル−1−アダマンチル)ビフェニル、2,2’−ビス[4−(4−アミノ−3−ヒドロキシ−6−アダマンチル)フェノキシ]−ビフェニルおよび2,2’−ビス[4−(4−アミノ−3−ヒドロキシ−6−アダマンチル)フェノキシ]−5,5’−ビス(1−アダマンチル)ビフェニルなどのアダマンタン構造とビフェニル構造を有するビスアミノフェノールなどが挙げられ、アダマンタン構造としては、上記に記載のアダマンタン構造を最小単位とする構造を選ぶことができる。アダマンタン構造の結合位置も、一般式(1)に含まれる範囲で任意に選んでかまわない。
【0033】
また、脂環式構造を有する基を有するジカルボン酸を用いる場合、これらビスo−アミノフェノールにおいて脂環式構造を有する基を有しないものを用いることができる。前記脂環式構造を有する基を有しないビスo−アミノフェノールとしては、9,9−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−フェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−フェニル)フルオレン、1,3−ビス(3−ヒドロキシ−4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、2,2’−ジヒドロキシ−3,3’−ジアミノビフェニル、2,2’−ビス[4−(3−ヒドロキシ−4−アミノ)フェノキシ]ビフェニルなどが挙げられる。
【0034】
前記ジカルボン酸としては、脂環式構造を有するものとして、上記一般式(4)で表される構造を有するものが挙げられる。
前記脂環式構造を有するジカルボン酸の具体例としては、2,7−ジアダマンチルフルオレン−9,9−ビス安息香酸、9,9−ビス(4−カルボキシ−3−アダマンチルフェニル)フルオレン、2,7−ジ(3,5−ジメチル−1−アダマンチル)フルオレン−9,9−ビス安息香酸、9,9−ビス(4−カルボキシ−フェニル)−2,7−ジアダマンチル−フルオレン、9,9−ビス[(4−カルボキシ−フェノキシ)−フェニル]−2,7−ジアダマンチル−フルオレン、9,9−ビス[(4−カルボキシ−3−アダマンチルフェノキシ)−フェニル]−フルオレンおよび9,9−ビス[(4−カルボキシ−フェノキシ)−フェニル]−2,7−ジ(3,5−ジメチル−1−アダマンチル)−フルオレンなどのアダマンタン構造とフルオレン構造を有するジカルボン酸、1,3−ビス(4−カルボキシル−フェノキシ)−4,6−ジアダマンチル−ベンゼン、1,3−ジカルボキシ−4,6−ジアダマンチル−ベンゼン、1,3−ビス(4−カルボキシ−3−アダマンチルフェノキシ)ベンゼン、4,6−ジ[(3−(5,7−ジメチル−1−アダマンチル)−(3,5−ジメチル−1−アダマンチル))−1,3−ビス(4−カルボキシ−フェノキシ)ベンゼンおよび1,3−ビス(4−カルボキシル−フェノキシ)−4,6−ジ(3,5−ジメチル−1−アダマンチル)−ベンゼンなどのアダマンタン構造とベンゼン構造を有するジカルボン酸、アダマンタン構造とベンゼン構造を有するジカルボン酸、アダマンタン構造とナフタレン構造を有するジカルボン酸、アダマンタン構造とアントラセン構造を有するジカルボン酸、2,2’−ビス(4−カルボキシ−フェノキシ)−5,5’−ジアダマンチル−ビフェニル、2,2’−ジカルボキシ−5,5’−ジアダマンチル−ビフェニル、2,2’−ビス[(4−カルボキシ−フェノキシ)−フェニル]−5,5’−ビス[3−(1−アダマンチル)−(1−アダマンチル)]−ビフェニル、2,2’−ビス[(4−カルボキシ−3−アダマンチルフェノキシ)−フェニル]−ビフェニル、2,2’−ビス(4−カルボキシ−フェノキシ)−5,5’−ジアダマンチル−ビフェニルおよび2,2’−ビス(4−カルボキシ−フェノキシ)−5,5’−ジ(3,5−ジメチル−1−アダマンチル)−ビフェニルなどのアダマンタン構造とビフェニル構造を有するジカルボン酸などが挙げられ、アダマンタン構造としては、上記に記載のアダマンタン構造を最小単位とする構造を選ぶことができる。結合位置も式(1)に含まれる範囲で任意に選んでかまわない。
【0035】
また、脂環式構造を有する基を有するビスo−アミノフェノールを用いる場合、これらジカルボン酸において脂環式構造を有する基を有しないものを用いることができる。前記脂環式構造を有する基を有しないジカンルボン酸としては、9,9−ビスカルボキシフェニルフルオレン、9,9−ビス[(4−カルボキシ−フェノキシ)−フェニル]フルオレン、1,3−ビス(4−カルボキシ−フェノキシ)ベンゼン、2,2’−ビス[(4−カルボキシ−フェノキシ)−フェニル]ビフェニルなどが挙げられる。
前記ビスo−アミノフェノールとジカルボン酸との組み合わせにおいて、より誘電率を低下させると共に、耐熱性に優れたポリベンゾオキサゾール樹脂を得る上で、両方に脂環式構造を有する基を有することが好ましい。
【0036】
本発明に用いる溶解促進化合物としては、前記一般式(1)で表される構造を有する化合物中のヒドロキシル基と反応し得るものであれば、特に制限されないが、酸塩化物、ジカーボネート化合物、クロロホルメート化合物および酸無水物などを挙げることができる。具体的には、前記酸塩化物としては、酢酸クロリド、プロピオン酸クロリド、酪酸クロリド、吉草酸クロリド、カプロン酸クロリド、カプリル酸クロリド、カプリン酸クロリド、ラウリン酸クロリド、安息香酸クロリド、o−トルイル酸クロリド、m−トルイル酸クロリド、p−トルイル酸クロリドなどが挙げられ、前記ジカーボネート化合物としては、ジメチルジカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、ジ−t−ブチルジカーボネートなどが挙げられ、前記クロロホルメート化合物としては、メチルクロロホルメート、エチルクロロホルメート、プロピルクロロホルメート、t−ブチルクロロホルメート、3,4−ジヒドロ−2H−ピラン、4−t−ブチル−3,4−ジヒドロ−2H−ピラン、2−メトキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ピラン、2−メトキシ−4−メチル−3,4−ジヒドロ−2H−ピラン、1−(クロロメトキシメチル)アダマンタン、クロロメチルメチルエーテル、クロロメチルエチルエーテル、2−シクロヘキシルシクロヘキシルクロロメチルエーテルなどが挙げられ、前記酸無水物としては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、無水吉草酸、無水カプロン酸、無水カプリル酸、無水カプリン酸、無水ラウリン酸、無水安息香酸、無水o−トルイル酸、無水m−トルイル酸、無水p−トルイル酸などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらの化合物のうち、前記一般式(1)で表される構造を有する化合物と反応させて得られた化合物における、ヒドロキシル基末端に、前記溶解促進化合物で構成される基が、絶縁膜形成時に、プリベークする温度以上で、該反応させて得られた化合物が加熱により閉環反応を示す温度以下で、脱離するものが好ましく、更には、ジ−t−ブチルジカーボネートは150〜200℃の温度領域で脱離し、ヒドロキシル基を再生することができるので、特に好ましい。
【0037】
前記一般式(1)で表される化合物と溶解促進化合物との反応物は、前記一般式(1)で表される化合物を溶解可能な有機溶媒に溶解させ、塩基存在下で、溶解促進化合物と混合攪拌することにより得ることができる。
この反応に用いる、前記一般式(1)で表される構造を有する化合物としては、該化合物を合成し反応容器から回収した生成物を、乾燥済みの物を用いて、溶解促進化合物と反応させてもよいし、あるいは、反応終了後、反応容器から回収することなく、同一反応容器を用いて、生成物溶液をそのまま、溶解促進化合物と反応させてもよい。
【0038】
前記有機溶媒として、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン等を挙げることができ、これら以外であっても、溶解若しくは分散させることが可能な有機溶媒であれば、用いることができる。これらの有機溶媒は1種を用いてもよく、2種以上を混合して用いてよい。
前記塩基としては、例えば、4−ジメチルアミノピリジン、ピペリジン、ピリジン、トリエチルアミン等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0039】
本発明の絶縁膜用材料には、目的に応じて各種添加剤を含有させることができる。各種添加剤としては、界面活性剤、シラン系に代表されるカップリング剤、酸素ラジカルやイオウラジカルを加熱により発生するラジカル開始剤、ジスルフィド類などの触媒等が挙げられる。
【0040】
本発明の絶縁膜用材料は、これらを溶解若しくは分散させることが可能な有機溶媒に溶解または分散させることにより、コーティングワニスとすることができ、このワニスを用いて、絶縁膜などの製造に用いるのが好ましい。前記有機溶媒として、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、メチル−1,3−ブチレングリコールアセテート、1,3−ブチレングリコール−3−モノメチルエーテル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メチル−3−メトキシプロピオネート、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン等を挙げることができ、これら以外であっても、溶解若しくは分散させることが可能な有機溶媒であれば、用いることができる。これらの有機溶媒は1種を用いてもよく、2種以上を混合して用いてよい。
【0041】
また、前記絶縁膜用材料が完全に溶解又は分散し得る量であればよく、特に制限されず、その用途に応じて適宜調整することができるが、一般的には、ワニス中の溶媒含有量は、70〜95重量%程度が好ましい。
【0042】
次に、絶縁膜について説明する。
本発明の絶縁膜は、前述したような絶縁膜用材料を用いて得られるものである。これにより、密着性および寸法安定性に優れる。
前記絶縁膜としては、例えば、半導体用の層間絶縁膜や表面保護膜、多層回路の層間絶縁膜、フレキシブル銅張板のカバーコート、ソルダーレジスト膜、液晶配向膜、エッチング保護膜(エッチングストッパー)、接着剤等が挙げられる。これらの中でも、半導体用の層間絶縁膜および表面保護膜、エッチング保護膜として好適に用いられる。
【0043】
また、前記絶縁膜用材料に感光剤としてのナフトキノンジアジド化合物等を添加することにより、感光性を有する表面保護膜として用いることもできる。
【0044】
前記層間絶縁膜の厚さは、特に限定されないが、0.01〜20μmが好ましく、特に0.05〜10μmが好ましく、最も0.1〜0.7μmが好ましい。厚さが前記範囲内であると、プロセス適合性に優れる。
【0045】
前記層間絶縁膜を得る場合、例えば、前記絶縁膜用材料を、N−メチル−2−ピロリドン等の有機溶媒に溶解することでワニスを作製し、このワニスを適当な支持体、例えば、シリコンウエハやセラミック基板等に塗布して塗膜を形成する。塗布方法としては、スピンナーを用いた回転塗布、スプレーコーターを用いた噴霧塗布、浸漬、印刷、ロールコーティング等が挙げられる。その後、塗膜を乾燥し、加熱処理をして、溶媒除去することにより、層間絶縁膜とすることができる。ポリイミド樹脂前駆体、ポリベンゾオキサゾール前駆体の場合は、溶媒除去に続いて、縮合反応および架橋反応させ、ポリイミド樹脂、または、ポリベンゾオキサゾール樹脂とし、それを含む樹脂組成物で構成される層間絶縁膜とすることができる。また、前記ポリイミド樹脂またはポリベンゾオキサゾール樹脂前駆体から樹脂に変換したものが有機溶媒に溶解するものであれば、予め、ポリイミド樹脂、または、ポリベンゾオキサゾール樹脂としてワニスを作製し同様の方法により、層間絶縁膜を得ることができる。その際、塗膜の加熱処理において、ポリイミド樹脂前駆体またはポリベンゾオキサゾール樹脂前駆体を樹脂に変換する工程を必要としないので、加熱処理時間の短縮をすることができる。
【0046】
また、絶縁膜が、前記半導体用の保護膜の場合も層間絶縁膜同様に、前記絶縁膜用材料を、例えば、炭酸プロピレン、ジアセトンアルコール、N−メチル−2−ピロリドン等の有機溶媒に溶解することでワニスを作製し、このワニスを適当な支持体、例えば、シリコンウエハやセラミック基板等に塗布する。塗布方法としては、スピンナーを用いた回転塗布、スプレーコーターを用いた噴霧塗布、浸漬、印刷、ロールコーティング等が挙げられる。その後、乾燥し、加熱処理をして、溶媒除去することにより、保護膜とすることができる。ポリイミド樹脂前駆体またはポリベンゾオキサゾール樹脂前駆体の場合は、溶媒除去に続いて、脱水反応させ、ポリイミド樹脂またはポリベンゾオキサゾール樹脂とし、それを含む樹脂組成物で構成される保護膜とすることができる。
【0047】
前記保護膜の厚さは、特に限定されないが、0.05〜70μmが好ましく、特に0.1〜50μmが好ましい。厚さが前記範囲内であると、特に半導体素子の保護特性および加工性の両方に優れる。
【0048】
次に、半導体装置について好適な実施の形態に基づいて説明する。
図1は、本発明の半導体装置の一例を模式的に示す断面図である。
半導体装置100は、素子が形成された半導体基板1と、半導体基板1の上側(図1上側)に設けられた窒化珪素膜2と、窒化珪素膜2の上に設けられた層間絶縁膜3およびバリア層6で覆われた銅配線層4を有している。
層間絶縁膜3には、配線すべきパターンに対応した凹部が形成されており、その凹部内には銅配線層4が設けられている。
また、層間絶縁膜3と、銅配線層4との間には、改質処理層5が設けられている。
また、層間絶縁膜3の上側(窒化珪素膜2と反対側面)には、ハードマスク層7が形成されている。
【0049】
また、本実施の形態では、層間絶縁膜3を用いた半導体装置100について説明したが、本発明はこれに限定されない。
【0050】
本発明の半導体装置は、上述したような層間絶縁膜を用いているので寸法精度に優れ、絶縁性を十分に発揮できるので、それにより接続信頼性が優れている。
また、上述したような層間絶縁膜は、配線層との密着性に優れるので、半導体装置の接続信頼性をさらに向上できる。
また、上述したような層間絶縁膜は、誘電特性に優れているので、半導体装置の信号損失を低下することができる。
また、上述したような層間絶縁膜は、誘電特性に優れているので、配線遅延を低下することができる。
【0051】
(実施例)
以下、本発明を実施例および比較例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【実施例1】
【0052】
ベンゾオキサゾール樹脂前駆体の製造
温度計、ジムロート冷却管、および攪拌機を備えた2Lの4つ口フラスコに、窒素ガスフロー下で、3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノ−ビフェニル20.6g(0.095mol)を、乾燥したN−メチル−2−ピロリドン800gに溶解し、ピリジン17.4g(0.22mol)を添加した後、−15℃に冷却し、5−アダマンチル−1,3−イソフタル酸クロリド33.7g(0.10mol)を、少しずつ添加した。滴下終了後、−15℃で、1時間撹拌後、室温まで戻し、室温で5時間撹拌した。その後、4−ジメチルアミノピリジン2.4g(0.02mol)、ジ−t−ブチルジカーボネート48.0g(0.22mol)を、この順に添加して、さらに1時間撹拌した。その後、反応液を蒸留水4リットルに小さな液滴で滴下し、沈殿物を集めて乾燥することにより、ベンゾオキサゾール樹脂前駆体を得た。
得られたベンゾオキサゾール樹脂前駆体の数平均分子量(Mn)を、東ソー株式会社製GPCを用いてポリスチレン換算で求めたところ、10,000であった。
【実施例2】
【0053】
実施例1のベンゾオキサゾール樹脂前駆体の製造において、3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノ−ビフェニル20.6g(0.095mol)の代わりに、4,6−ジ(1−アダマンチル)−1,3−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン56.3g(0.095mol)を、5−アダマンチル−1,3−イソフタル酸クロリド33.7g(0.10mol)の代わりに4,4’’−ターフェニルジカルボン酸クロリド35.5g(0.10mol)を用いた以外は、実施例1と同様に反応を行い、ベンゾオキサゾール樹脂前駆体を得た。
得られたベンゾオキサゾール樹脂前駆体の数平均分子量(Mn)を、東ソー株式会社製GPCを用いてポリスチレン換算で求めたところ、13,000であった。
【実施例3】
【0054】
実施例1のベンゾオキサゾール樹脂前駆体の製造において、20.6g(0.095mol)の代わりに、3,3’−ビス[4−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ )フェニル]−1,1’−ビアダマンタン63.5g(0.095mol)を、5−アダマンチル−1,3−イソフタル酸クロリド33.7g(0.10mol)の代わりに1,1’−ビアダマンタン−3,3’−ジカルボン酸クロリド39.5g(0.10mol)を用いた以外は、実施例1と同様に反応を行い、ベンゾオキサゾール樹脂前駆体を得た。
得られたベンゾオキサゾール樹脂前駆体の数平均分子量(Mn)を、東ソー株式会社製GPCを用いてポリスチレン換算で求めたところ、11,000であった。
【実施例4】
【0055】
実施例1のベンゾオキサゾール樹脂前駆体の製造において、20.6g(0.095mol)の代わりに、9,9’−ビス[5−(1−アダマンチル)−3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル]フルオレン61.6g(0.095mol)を、5−アダマンチル−1,3−イソフタル酸クロリド33.7g(0.10mol)の代わりに4,4’’−ターフェニルジカルボン酸クロリド35.5g(0.10mol)を用いた以外は、実施例1と同様に反応を行い、ベンゾオキサゾール樹脂前駆体を得た。
得られたベンゾオキサゾール樹脂前駆体の数平均分子量(Mn)を、東ソー株式会社製GPCを用いてポリスチレン換算で求めたところ、19,000であった。
【実施例5】
【0056】
実施例1のベンゾオキサゾール樹脂前駆体の製造において、20.6g(0.095mol)の代わりに、2,6−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ )ナフタレン35.6g(0.095mol)を、5−アダマンチル−1,3−イソフタル酸クロリド33.7g(0.10mol)の代わりに2,6−ナフタレンジカルボン酸クロリド25.3g(0.10mol)を用いた以外は、実施例1と同様に反応を行い、ベンゾオキサゾール樹脂前駆体を得た。
得られたベンゾオキサゾール樹脂前駆体の数平均分子量(Mn)を、東ソー株式会社製GPCを用いてポリスチレン換算で求めたところ、15,000であった。
【実施例6】
【0057】
実施例1のベンゾオキサゾール樹脂前駆体の製造において、20.6g(0.095mol)の代わりに、1,10−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ )アントラセン40.3g(0.095mol)を、5−アダマンチル−1,3−イソフタル酸クロリド33.7g(0.10mol)の代わりに2,6−ナフタレンジカルボン酸クロリド25.3g(0.10mol)を用いた以外は、実施例1と同様に反応を行い、ベンゾオキサゾール樹脂前駆体を得た。
得られたベンゾオキサゾール樹脂前駆体の数平均分子量(Mn)を、東ソー株式会社製GPCを用いてポリスチレン換算で求めたところ、16,000であった。
【実施例7】
【0058】
攪拌装置、窒素導入管、原料投入口を供えたセパラブルフラスコ中、2,6−(4−アミノフェノキシ)−4,8−ジヒドロキシナフタレン35.6g(0.095mol)を、乾燥したN−メチル−2−ピロリドン(以下NMPと略す)300gに溶解する。乾燥窒素下、10℃に溶液を冷却して、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物29.4g(0.1mol)を投入した。投入から5時間後に室温まで戻し、室温で2時間攪拌した。その後、反応液を蒸留水4リットルに小さな液滴で滴下し、沈殿物を集めて乾燥することにより、ポリイミド樹脂前駆体を得た。
得られたポリイミド樹脂前駆体の数平均分子量(Mn)を、東ソー株式会社製GPCを用いてポリスチレン換算で求めたところ、16,000であった。
【実施例8】
【0059】
攪拌装置、窒素導入管、原料投入口を供えたセパラブルフラスコ中、3,3’−(2−ヒドロキシー4−アミノフェニル)−1,1’−ビアダマンタン46.0g(0.095mol)を乾燥したN−メチル−2−ピロリドン(以下NMPと略す)300gに溶解する。乾燥窒素下、10℃に溶液を冷却して2,4−ビス[(3,4−ジカルボキシ)−フェノキシ]−ベンゼン二無水物40.2g(0.1mol)を投入した。投入から5時間後に室温まで戻し、室温で2時間攪拌した。その後、反応液を蒸留水4リットルに小さな液滴で滴下し、沈殿物を集めて乾燥することにより、ポリイミド樹脂前駆体を得た。
得られたポリイミド樹脂前駆体の数平均分子量(Mn)を、東ソー株式会社製GPCを用いてポリスチレン換算で求めたところ、17,000であった。
【0060】
(比較例1)
実施例1のベンゾオキサゾール樹脂前駆体の製造において、4−ジメチルアミノピリジン2.4g(0.02mol)、二炭酸ジ−t−1ブチル48.0g(0.22mol)を用いない以外はすべて同様に実施し、ベンゾオキサゾール樹脂前駆体を得た。
得られたベンゾオキサゾール樹脂前駆体は溶媒に不溶のため、数平均分子量(Mn)を得ることは出来なかった。
【0061】
(比較例2)
実施例2のベンゾオキサゾール樹脂前駆体の製造において、4−ジメチルアミノピリジン2.4g(0.02mol)、二炭酸ジ−t−1ブチル48.0g(0.22mol)を用いない以外はすべて同様に実施し、ベンゾオキサゾール樹脂前駆体を得た。
得られたベンゾオキサゾール樹脂前駆体は溶媒に不溶のため、数平均分子量(Mn)を得ることは出来なかった。
【0062】
(比較例3)
実施例3のベンゾオキサゾール樹脂前駆体の製造において、4−ジメチルアミノピリジン2.4g(0.02mol)、二炭酸ジ−t−1ブチル48.0g(0.22mol)を用いない以外はすべて同様に実施し、ベンゾオキサゾール樹脂前駆体を得た。
得られたベンゾオキサゾール樹脂前駆体は溶媒に不溶のため、数平均分子量(Mn)を得ることは出来なかった。
【0063】
(比較例4)
実施例4のベンゾオキサゾール樹脂前駆体の製造において、4−ジメチルアミノピリジン2.4g(0.02mol)、二炭酸ジ−t−1ブチル48.0g(0.22mol)を用いない以外はすべて同様に実施し、ベンゾオキサゾール樹脂前駆体を得た。
得られたベンゾオキサゾール樹脂前駆体は溶媒に不溶のため、数平均分子量(Mn)を得ることは出来なかった。
【0064】
(比較例5)
実施例5のベンゾオキサゾール樹脂前駆体の製造において、4−ジメチルアミノピリジン2.4g(0.02mol)、二炭酸ジ−t−1ブチル48.0g(0.22mol)を用いない以外はすべて同様に実施し、ベンゾオキサゾール樹脂前駆体を得た。
得られたベンゾオキサゾール樹脂前駆体は溶媒に不溶のため、数平均分子量(Mn)を得ることは出来なかった。
【0065】
(比較例6)
実施例6のベンゾオキサゾール樹脂前駆体の製造において、4−ジメチルアミノピリジン2.4g(0.02mol)、二炭酸ジ−t−1ブチル48.0g(0.22mol)を用いない以外はすべて同様に実施し、ベンゾオキサゾール樹脂前駆体を得た。
得られたベンゾオキサゾール樹脂前駆体は溶媒に不溶のため、数平均分子量(Mn)を得ることは出来なかった。
【0066】
(比較例7)
実施例7のポリイミド樹脂前駆体の製造において、4−ジメチルアミノピリジン2.4g(0.02mol)、二炭酸ジ−t−1ブチル48.0g(0.22mol)を用いない以外はすべて同様に実施し、ポリイミド樹脂前駆体を得た。
得られたポリイミド樹脂前駆体は溶媒に不溶のため、数平均分子量(Mn)を得ることは出来なかった。
【0067】
(比較例8)
実施例8のポリイミド樹脂前駆体の製造において、4−ジメチルアミノピリジン2.4g(0.02mol)、二炭酸ジ−t−1ブチル48.0g(0.22mol)を用いない以外はすべて同様に実施し、ポリイミド樹脂前駆体を得た。
得られたポリイミド樹脂前駆体は溶媒に不溶のため、数平均分子量(Mn)を得ることは出来なかった。
【0068】
実施例1乃至8および比較例1乃至8で得られた樹脂膜について以下の評価を行った。評価項目を方法と共に示す。得られた結果を表1、表2に示す。
1. 溶解性
上記で得たポリベンゾオキサゾール樹脂前駆体またはポリイミド樹脂前駆体1gと、N−メチル−2−ピロリドン3gを、ふた付きのガラス製サンプル容器に精秤し、撹拌子で1時間撹拌後の不溶物の有無により判断した。
【0069】
2. 耐熱性
耐熱性は、ガラス転移温度および熱分解温度で評価した。ガラス転移温度は、得られた樹脂膜を動的粘弾性測定装置(セイコーインスツルメンツ(株)製DMS6100)で窒素ガス300mL/min.フロー下、昇温速度3℃/min.、周波数1Hzの条件により測定し、tanδのピークトップ温度をガラス転移温度とした。
また、熱分解温度は、得られた樹脂膜をTG/DTA測定装置(セイコーインスツルメンツ(株)製TG/DTA220)を用いて、窒素ガス200mL/min.フロー下、昇温速度10℃/min.の条件により測定し、重量の減少が5%に到達した温度を熱分解温度とした。
【0070】
3. 比誘電率
JIS−K6911に準拠し、周波数100kHzで、ヒューレットパッカード社製HP−4284A Precision LCRメーターを用いて半導体用接着フィルムの容量測定を行い下記計算式により比誘電率を算出した。
比誘電率=(容量測定値×フィルムの厚み)/(真空の誘電率×測定面積)
【0071】
【表1】

【0072】
【表2】

【0073】
表1、表2から明らかなように実施例1、2は、ガラス転移温度および熱分解温度が高く、耐熱性に優れていた。
また、実施例1乃至8は、溶剤に溶解可能であり、かつ誘電率が低く、作業性および誘電特性に優れていることが示された。
また、比較例1乃至8は、溶解性が悪く、樹脂膜を作製することができず、ガラス転移温度、熱分解温度、誘電率が測定できなかった。
【0074】
次に、層間絶縁膜および半導体装置について説明する。
【実施例9】
【0075】
コーティング用ワニスおよび半導体装置の製造
実施例1で得られたベンゾオキサゾール樹脂前駆体を、N−メチル−2−ピロリドンに溶解し、テフロン(登録商標)フィルターで濾過して、コーティング用ワニスを得た。
半導体基板の上に窒化珪素層を形成し、該窒化珪素層上に上記で得られたコーティング用ワニスを塗布して、窒素雰囲気のオーブン中で、90℃/1分間、400℃/1時間で加熱処理して、厚さ0.3μmの層間絶縁膜を形成した。
次に、前記層間絶縁膜に所定のパターンを形成するように金属配線を形成して、半導体装置を得た。
【実施例10】
【0076】
コーティング用ワニスおよび半導体装置の製造
実施例2で得られたベンゾオキサゾール樹脂前駆体を、N−メチル−2−ピロリドンに溶解し、テフロン(登録商標)フィルターで濾過して、コーティング用ワニスを得た。
半導体基板の上に窒化珪素層を形成し、該窒化珪素層上に上記で得られたコーティング用ワニスを塗布して、窒素雰囲気のオーブン中で、90℃/1分間、400℃/1時間で加熱処理して、厚さ0.3μmの層間絶縁膜を形成した。
次に、前記層間絶縁膜に所定のパターンを形成するように金属配線を形成して、半導体装置を得た。
【実施例11】
【0077】
得られた半導体装置について配線遅延速度を評価した。
実施例9,10の層間絶縁膜を用いて得られた半導体装置と、この半導体装置と同様な構成でSiO絶縁膜を有する半導体装置との配線遅延の程度を比較した。評価の基準には、リングオシュレータの発信周波数から換算して求めた信号遅延時間を採用した。両者を比較した結果、本発明で得られた半導体装置では、配線遅延が少なく、実施例9では約10%の速度が向上し、実施例10では約12%の速度が向上することが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】図1は、本発明の半導体装置の一例を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
【0079】
1 半導体基板
2 窒化珪素膜
3 層間絶縁膜
4 銅配線層
5 改質処理層
6 バリア層
7 ハードマスク層
100 半導体装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)で表される構造を有する化合物と、前記化合物中のヒドロキシル基と反応する溶解促進化合物とを反応させて得られた化合物を含む絶縁膜用材料であって、該反応させて得られた化合物は、前記ヒドロキシル基末端に、前記溶解促進化合物で構成される基を有することを特徴とする絶縁膜用材料。
【化1】


[式(1)中、Arは多環式構造を有する基または芳香族基を示し、aは0または1を示す。またR11は、水素または炭素数1以上の有機基を示し、qが2以上の整数である場合、R11は互いに同じであっても異なっていても良い。RからRおよびRからR10は、それぞれのベンゼン環において少なくとも1つがArとの結合部位であり、また、少なくとも1つがヒドロキシル基であり、それら以外は、水素、脂環式構造を有する基、該脂環式構造を有する基以外の炭素数1以上10以下の有機基およびカルボキシル基のいずれかを示す。また、R11、RからRおよびRからR10は、少なくとも1つが脂環式構造を有する基を示す。qは、0以上の整数である。Xは、−O−、−NHCO−、−CONH−、−COO−および−OCO−のいずれかを示す。]
【請求項2】
前記一般式(1)で表される構造を有する化合物は、一般式(1)におけるArとして一般式(2)で表される構造から選ばれる基を有するものである請求項1記載の絶縁膜用材料。
【化2】


[式中、Yは、−O−、−S−、−OCO−および−COO−のいずれかを示す。R12とR13は、水素、炭素数1以上10以下の有機基である。nは1以上4以下の整数である。]
【請求項3】
前記一般式(1)における脂環式構造を有する基は、アダマンタン構造を有する基である請求項1または2記載の絶縁膜用材料。
【請求項4】
前記一般式(1)で表される構造を有する化合物は、一般式(1)におけるXとして−NHCO−を有し、RもしくはR、およびRもしくはRとしてカルボキシル基を有するものである請求項1乃至3のいずれかに記載の絶縁膜用材料。
【請求項5】
前記一般式(1)で表される構造を有する化合物は、一般式(1)におけるXとして−NHCO−を有し、RもしくはR、およびRもしくはRとしてヒドロキシル基を有するものである請求項1乃至3のいずれかに記載の絶縁膜用材料。
【請求項6】
前記ヒドロキシル基末端の溶解促進化合物で構成される基は、50℃以上400℃以下の温度で脱離するものである請求項1乃至5のいずれかに記載の絶縁膜用材料
【請求項7】
前記溶解促進化合物が、酸塩化物、酸無水物、ジカーボネート化合物、又はクロロホルメート化合物である請求項1乃至6のいずれかに記載の絶縁膜用材料。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載の絶縁膜用材料と、該絶縁膜用材料を溶解若しくは分散させることが可能な有機溶媒を含むことを特徴とする絶縁膜用コーティングワニス。
【請求項9】
請求項8に記載の絶縁膜用コーティングワニスを、加熱処理して得られることを特徴とする絶縁膜。
【請求項10】
請求項9に記載の絶縁膜からなる層間絶縁膜および/又は表面保護層を有することを特徴とする半導体装置。

【図1】
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【公開番号】特開2006−269833(P2006−269833A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−87234(P2005−87234)
【出願日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願人】(000002141)住友ベークライト株式会社 (2,927)
【Fターム(参考)】