説明

絶縁被覆用粒子、絶縁被覆導電粒子、異方導電材料及び接続構造体

【課題】対向配置された回路部材の電極同士を高い信頼性で導電接続できるとともに、絶縁性を確保すべき隣接する電極間の導電を確実に防止できる異方導電材料を得るのに有用な絶縁被覆用粒子及びこれを備える絶縁被覆導電粒子を提供すること。
【解決手段】表面が導電性を有する金属からなる基材粒子を被覆して絶縁被覆導電粒子を形成するための絶縁被覆用粒子であって、コア粒子及びシェル層を有するコアシェル構造を備え、コア粒子が有機高分子を含み、シェル層がSiO4/2単位、RSiO3/2単位及びRSiO2/2単位からなる群より選ばれる少なくとも1種の単位を有するシリコーン系化合物を含む、絶縁被覆用粒子。上記Rは、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数6〜24の芳香族基、ビニル基、及び、γ−(メタ)アクリロキシプロピル基からなる群より選ばれる少なくとも1種を示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶縁被覆用粒子、絶縁被覆導電粒子、異方導電材料及び接続構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
基材粒子の表面の一部を樹脂で被覆することにより、基材粒子に耐熱性、耐磨耗性、絶縁性、導電性、撥水性、接着性、分散性、光沢、着色等の性能を付与することが可能であることが知られている。そのように被覆された粒子は、種々の充填剤又は改質剤としてフィルム、粘着剤、接着剤、塗料等に用いられている。
【0003】
被覆粒子の一つとして、金属表面を有した導電粒子の表面を絶縁性の樹脂で被覆した絶縁被覆導電粒子が知られている。そして、絶縁被覆導電粒子を接着剤中に分散させて作製した異方導電フィルム及び異方導電接着剤にあっては、被覆に用いた絶縁樹脂により隣接する導電粒子間の導通を防ぐことが可能となるため、接続信頼性の向上が期待されている。
【0004】
このような絶縁被覆導電粒子としては、例えば、特許文献1には、ハイブリダイゼーションにより導電粒子の表面に絶縁層を形成させた絶縁被覆導電粒子が開示されている。また、例えば、特許文献2には、導電粒子よりも粒径が小さく、かつ、導電粒子と電荷の符号が異なる絶縁被覆用粒子を用いて、導電粒子の表面を被覆した絶縁被覆導電粒子が開示されている。絶縁被覆用粒子で導電粒子の表面を被覆する場合、主にポリマ粒子又はシリカ粒子が用いられている。
【0005】
また、特許文献3には中空粒子により絶縁被覆された粒子が開示されている。さらに、特許文献4にはコアシェル粒子により被覆された被覆導電粒子が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−105716号公報
【特許文献2】特開2003−26813号公報
【特許文献3】特開2005−203319号公報
【特許文献4】特開2005−149764号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ポリマ粒子を絶縁被覆用粒子として用いた場合、粒子表面に結合性官能基を有している場合においても、樹脂混練時に溶剤中において粒子表面が溶解し、導電粒子表面から絶縁被覆用粒子が剥離し易いため、絶縁信頼性が低下し易くなる。また、ポリマ粒子は、耐熱性が低く、熱膨張係数が大きいため、接続信頼性に劣る傾向がある。
【0008】
一方、シリカ粒子を絶縁被覆用粒子として用いた場合、高弾性となり、変形が起き難いため絶縁性が良好である。また、シリカ粒子は、耐溶剤性が高いという特徴を有している。しかし、異方導電フィルムとして低圧実装する際には、導通性が低くなる傾向がある。シリカ粒子の代替材料としてシリコーン粒子が考えられるが、粒径の単分散性に課題があるため、採用されていない。
【0009】
また、特許文献3の絶縁被覆された粒子は、粒子中に気泡が残存することによる導通阻害が起こり易い上に、溶剤、その他樹脂に配合される化合物を吸収するため、硬化阻害を起こすことがある。
【0010】
また、特許文献4の被覆導電粒子に用いられる絶縁被覆用粒子はポリマ粒子であるため、上記ポリマ粒子と同様に、耐溶剤性が低く、被覆導電粒子を異方導電フィルムとして実装する際に剥離し、絶縁性が低くなる傾向がある。
【0011】
本発明は、上記事情に鑑み、対向配置された回路部材の電極同士を高い信頼性で導電接続できるとともに、絶縁性を確保すべき隣接する電極間の導電を確実に防止できる異方導電材料を得るのに有用な絶縁被覆用粒子及びこれを備える絶縁被覆導電粒子を提供することを目的とする。また、本発明は、上記絶縁被覆導電粒子を含む異方導電材料及びこれを用いて回路部材同士が接続された接続構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記課題を解決するための手段として、基材粒子を被覆する粒子として、有機高分子を含有するコア粒子及びシリコーン系化合物を含有するシェル層を有する構造を備える絶縁被覆用粒子が有用であることを見出した。
【0013】
すなわち本発明は、表面が導電性を有する金属からなる基材粒子を被覆して絶縁被覆導電粒子を形成するための絶縁被覆用粒子であって、コア粒子及びシェル層を有するコアシェル構造を備え、コア粒子が有機高分子を含み、シェル層がSiO4/2単位、RSiO3/2単位及びRSiO2/2単位からなる群より選ばれる少なくとも1種の単位を有するシリコーン系化合物を含む、絶縁被覆用粒子を提供する。ここで、Rは、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数6〜24の芳香族基、ビニル基、及び、γ−(メタ)アクリロキシプロピル基からなる群より選ばれる少なくとも1種を示す。本明細書において「シリコーン系化合物」とは、シリコーン及びシリカを包含する名称であるものとする。
【0014】
この絶縁被覆用粒子は、導電粒子の表面被覆に用いることができる。これによれば、対向配置された回路部材の電極同士を高い信頼性で導電接続できるとともに、絶縁性を確保すべき隣接する電極間の導電を確実に防止できる異方導電材料を得るのに有用である。また、シェル層としてシリカ膜又はシリコーン膜を形成させることにより、耐溶剤性及び耐熱性を付与することができる。
【0015】
シェル層としてシリカ膜を形成した場合、低圧実装時においてもシェル層が割れるため、導通性が良好となる。また、実装時に圧縮される方向とは別の方向に対しては見かけ上弾性を示すため、高い絶縁性が得られる。さらに、シリカは表面処理が可能であるため、後述するバインダー樹脂に合わせて粒子の分散性を改良することができる。
【0016】
シェル層としてシリコーン膜を形成した場合、絶縁被覆用粒子が低圧縮時にも容易に変形するため、導通性が良好となる。また、シリコーンの特性により、絶縁被覆導電粒子の樹脂への分散性が向上し、吸湿性も低減することが可能となる。
【0017】
シェル層は、基材粒子に対する結合性を有する官能基を有することが好ましい。シェル層が結合性官能基を有することにより、当該絶縁被覆用粒子が基材粒子へ均一に共有結合を形成することが可能となる上、シェル層と基材粒子との密着性が向上する。
【0018】
ここで、上記「基材粒子に対する結合性を有する官能基」が、エポキシ基又はグリシジル基であると、当該絶縁被覆用粒子がアミノ基等を付与した基材粒子に対して容易に共有結合を形成することが可能となるため好ましい。
【0019】
また、シェル層は、エポキシ基又はグリシジル基を有するシリコーンオリゴマーによって処理されたものであることが好ましい。エポキシ基又はグリシジル基を有するシリコーンオリゴマーを用いてシェル層を表面処理することにより、基材粒子への吸着容易性及び密着性を向上させることが可能である。このような表面処理は、シェル層が表面官能基を有していない場合において特に好ましい。
【0020】
また、シェル層の厚みは1〜150nmであることが好ましい。この場合、本発明の絶縁被覆用粒子で被覆した絶縁被覆導電粒子を用いて接続した回路間の導通抵抗がより良好となる。
【0021】
また、本発明の絶縁被覆用粒子は、シェル層がSiO4/2単位のみを有するシリコーン系化合物で構成され、シェル層の厚みが1〜50nmとすることができる。この場合、コア粒子の特性を生かすことができる。
【0022】
また、本発明の絶縁被覆用粒子は、平均粒径が1μm以下であり、かつ、粒径の変動係数(C.V.)が10%以下であることが好ましい。平均粒子径が1μm以下であることにより、本発明の絶縁被覆用粒子で被覆した絶縁被覆導電粒子を用いて調製した異方導電材料の圧着時において、導通性と絶縁性とを両立することが可能となる。また、導電粒子の粒径の変動係数(C.V.)を10%以下にすることにより、絶縁特性の再現性を向上することが可能となる。
【0023】
また、本発明の絶縁被覆用粒子は、吸湿率が5質量%以下であることが好ましい。これにより、イオンマイグレーション等によるショート発生を抑制することが可能となる。
【0024】
また、本発明の絶縁被覆用粒子は、溶出アンモニウムイオン濃度が100ppm以下であることが好ましい。これにより、本発明の絶縁被覆用粒子で被覆した絶縁被覆導電粒子を用いて調製した異方導電材料に硬化阻害が起こることを抑制することが可能となる。
【0025】
また、シェル層は、3級アミン又はスルホン酸化合物を触媒とする反応により形成されたものであることが好ましい。
【0026】
また、コア粒子の表面がアミノ基又はカルボキシル基を有することが好ましい。これによれば、シェル層の形成時に、加水分解したシラノール基が水素結合することによりコア粒子表面にシェル層を形成し易くなる。
【0027】
また、コア粒子は、双イオン性の官能基を有することが好ましい。これによれば、対イオンの溶出を防止することが可能となる。
【0028】
本発明はまた、上記絶縁被覆用粒子と、絶縁被覆用粒子によって表面の少なくとも一部が被覆された基材粒子とを備える絶縁被覆導電粒子を提供する。本発明は更に、絶縁性のバインダー樹脂と、絶縁性のバインダー樹脂中に分散した上記絶縁被覆導電粒子とを備える異方導電材料を提供する。このような絶縁被覆導電粒子又は異方導電材料によれば、対向配置された回路部材の電極同士を高い信頼性で導電接続できるとともに、絶縁性を確保すべき隣接する電極間の導電を充分に防止できる。
【0029】
本発明はまた、対向配置された一対の回路部材と、上記異方導電材料の硬化物からなり、一対の回路部材の間に介在しそれぞれの回路部材が有する回路電極同士が電気的に接続されるように当該回路部材同士を接着する接続部と、を備える接続構造体を提供する。この接続構造体は、接続部が本発明の異方導電材料の硬化物からなるため、回路部材の電極同士を高い信頼性で導電接続できるとともに、絶縁性を確保すべき隣接する電極間の導電を充分に防止できる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、対向配置された回路部材の電極同士を高い信頼性で導電接続できるとともに、絶縁性を確保すべき隣接する電極間の導電を確実に防止できる異方導電材料を得るのに有用な絶縁被覆用粒子及びこれを備える絶縁被覆導電粒子を提供することができる。また、本発明は、上記絶縁被覆導電粒子を含む異方導電材料及びこれを用いて回路部材同士が接続された接続構造体を提供することができる。すなわち、本発明によれば、基板間の導通抵抗、絶縁信頼性及び接続信頼性が良好となる導電接続を行うことができるとともに、隣接する粒子間でのリークを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】絶縁被覆導電粒子の一実施形態を模式的に示す断面図である。
【図2】異方導電材料の一実施形態を模式的に示す断面図である。
【図3】回路電極同士が接続された接続構造体の一例を模式的に示す断面図である。
【図4】接続構造体の製造方法の一例を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。図1に示されるように、本実施形態の絶縁被覆用粒子1は、基材粒子2の表面を被覆して絶縁被覆導電粒子10を構成するものである。以下、それぞれの構成について説明する。
【0033】
<絶縁被覆用粒子>
[コアシェル構造]
図1に示されるように、絶縁被覆用粒子1は、コア粒子1aと、コア粒子1aの表面に形成されたシェル層1bとから構成されたコアシェル構造を備える。コア粒子1a及びシェル層1bの材料としては、コア粒子1aは有機高分子を含み、シェル層1bはシリコーン系化合物を含む。上記コア粒子1a及びシェル層1bを構成する材料の種類を適宜選択することで絶縁被覆用粒子1の熱的特性を調整することができるため、粒子が変形し易くなり、基板間の圧着を行う際に導通性が良好となる。また、上記コア粒子1a及びシェル層1bの材料は、必要に応じて、熱特性、光学特性、力学特性等に基づいて異なる組み合わせを適宜選択することができる。
【0034】
[コア粒子]
コア粒子は有機高分子からなる絶縁性粒子である。有機高分子としては絶縁性を有するものであれば特に限定されず、例えば、後述する基材粒子に用いられる樹脂を用いることもできる。
【0035】
コア粒子の製造において使用可能な重合性モノマとしては、下記のような非架橋性モノマ及び架橋性モノマが挙げられる。
【0036】
非架橋性モノマとして具体的には、i)スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、o−エチルスチレン、m−エチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロロスチレン、3,4−ジクロロスチレン等のスチレン類、(ii)アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロロエチル、アクリル酸フェニル、α−クロロアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ステアリル等の(メタ)アクリル酸エステル類、(iii)酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類、(iv)N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物、(v)フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、アクリル酸トリフルオロエチル、アクリル酸テトラフルオロプロピル等のフッ化アルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル類、及び、(vi)ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン類が挙げられる。
【0037】
架橋性モノマの具体例として、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、ジビニルナフタレン等のジビニル化合物;(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート等の(ポリ)アルキレングリコール系ジ(メタ)アクリレート;1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,12−ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ブチルエチルプロパンジオールジ(メタ)アクリレート、3−メチル−1,7−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、2−メチル−1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート等のアルカンジオール系ジ(メタ)アクリレート;ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタンジ(メタ)アクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタントリ(メタ)アクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルプロパントリアクリレート、ジアリルフタレート及びその異性体、並びにトリアリルイソシアヌレート及びその誘導体が挙げられる。
【0038】
さらにシリル基を有するモノマも架橋性モノマとして用いることができ、具体的にはγ―メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ―メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ―メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ―メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ―アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ―メタクリロキシプロピルビス(トリメトキシ)メチルシラン、11―メタクリロキシウンデカメチレントリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、4―ビニルテトラメチレントリメトキシシラン、8―ビニルオクタメチレントリメトキシシラン、3―トリメトキシシリルプロピルビニルエーテル、ビニルトリアセトキシシラン、p―トリメトキシシリルスチレン、p―トリエトキシシリルスチレン、p―トリメトキシシリル−α―メチルスチレン、p―トリエトキシシリル−α―メチルスチレン、γ―アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン及びN−β(N−ビニルベンジルアミノエチル−γ―アミノプロピル)トリメトキシシラン・塩酸塩が挙げられる。
【0039】
上記モノマは、1種又は2種以上混合使用されてもよい。
【0040】
コア粒子の製造方法は、従来公知の方法を用いることができ特に限定されないが、例えば、乳化重合法、転相乳化重合、ソープフリー乳化重合法、マイクロサスペンジョン重合法、ミニエマルション重合法、分散重合法等の公知の方法を使用することができる。中でも、粒径の制御が容易であり工業生産にも適する点から、乳化重合法又はソープフリー乳化重合法により製造することが好ましい。また、上記コア粒子は市販されているものを用いることもできる。
【0041】
コア粒子の製造において、反応溶液中における重合性モノマの含有量は、全反応溶液中1〜50質量%とすることが好ましく、より好ましくは2〜30質量%、さらに好ましくは3〜20質量%、最も好ましくは3〜15質量%である。架橋球状ポリマ微粒子を製造する場合は、従来法のように、反応系中のモノマ量を多くしても粒子の凝集物が極端に増大することはないが、原料モノマの含有量が、50質量%以下であると、粒子を単分散化した状態で高収率で得ることが容易になる。一方、原料モノマの含有量が1質量%以上であると、反応が完結するまでに長時間を要せず、また工業的観点から、実用的である。
【0042】
重合時の反応温度は、使用する溶媒の種類によっても変わるものであり、一概には規定できないが、通常、10〜200℃程度であり、好ましくは30〜130℃、より好ましくは40〜90℃である。また、反応時間は、目的とする反応がほぼ完結するのに要する時間であれば特に限定されるものではなく、モノマ種及びその配合量、官能基の種類、溶液の粘度及び濃度、目的の粒径等に大きく左右される。例えば、反応温度が40〜90℃の場合の反応時間は、1〜72時間が好ましく、2〜24時間がより好ましい。
【0043】
コア粒子は表面にカルボキシル基、アミノ基、又は両者を有することによって、その周囲にシェル層を形成し易くなる。これは、静電相互作用及び水素結合によりコア粒子に加水分解されたシリコーン化合物が吸着し易くなるためである。この点において、双イオン性の官能基を有することが特に好ましい。コア粒子に対してこれらの官能基を導入するには、カルボキシル基又はアミノ基を含有するモノマ又は開始剤を使用することが好ましい。また、粒子の分散性を改善するためにはスルホン酸基を含有する官能基を導入することが好ましい。
【0044】
上記カルボキシル基を有するモノマとして、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等の不飽和カルボン酸、イタコン酸モノブチル等のイタコン酸モノC1〜8アルキルエステル;マレイン酸モノブチル等のマレイン酸モノC1〜8アルキルエステル、ビニル安息香酸等のビニル基含有芳香族カルボン酸等の各種カルボキシル基含有単量体及びこれらの塩が挙げられる。なお、これらの化合物は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができ、中和によりNa等の対イオンを有していてもよい。
【0045】
上記アミノ基を有するモノマとして、具体的には、アクリル酸アミノエチル、アクリル酸−N−プロピルアミノエチル、(メタ)アクリル酸−N−エチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸−N−フェニルアミノエチル、(メタ)アクリル酸−N−シクロヘキシルアミノエチル等のアミノ基含有(メタ)アクリル酸アルキルエステル誘導体、アリルアミン、N−メチルアリルアミン等のアリルアミン系誘導体、p−アミノスチレン等のアミノ基含有スチレン誘導体、2−ビニル−4,6−ジアミノ−S−トリアジン等のトリアジン誘導体、メタクリル酸ジメチルアミノエチルの1,3−プロパンスルトン付加物等が挙げられる。これらの中でも1級又は2級アミノ基を有する化合物が好ましい。なお、これらの化合物は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0046】
また、4級アンモニウム塩を使用することもでる。第4級アンモニウム(塩)基を有するモノマとして、具体的には、C1〜12アルキルクロライド、ジアルキル硫酸、ジアルキルカーボネート、ベンジルクロライド等の4級化剤により、3級アミンを4級化したものが挙げられる。具体例としては、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムブロマイド、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリエチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルメチルモルホリノアンモニウムクロライド等のアルキル(メタ)アクリレート系第4級アンモニウム塩、(メタ)アクリロイルアミノエチルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルアミノエチルトリメチルアンモニウムブロマイド、(メタ)アクリロイルアミノエチルトリエチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルアミノエチルジメチルベンジルアンモニウムクロライド等のアルキル(メタ)アクリルアミド系第4級アンモニウム塩、ジメチルジアリルアンモニウムメチルサルフェート、トリメチルビニルフェニルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウム(メタ)アクリレート、トリメチルベンジルアンモニウム(メタ)アクリレート、2−(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムジメチルホスフェート等が挙げられる。
【0047】
また、双イオン性モノマとして、スルホベタイン又はカルボベタイン基を有するアクリレートを使用することができ、具体的にはスルホベタインメタ(ア)クリレート、スルホベタインアクリルアミド、スルホベタインビニル化合物、スルホベタインエポキシド、カルボキシベタインアクリレート、カルボキシベタインアクリルアミド、カルボキシベタインビニル化合物、カルボキシベタインエポキシド等が挙げられる。
【0048】
スルホン酸基を含有する官能基を導入するためのスルホン酸基含有モノマを使用することができる。例えば、エチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸等のアルケンスルホン酸、スチレンスルホン酸、α−メチルスチレンスルホン酸等の芳香族スルホン酸、C1〜10アルキル(メタ)アリルスルホコハク酸エステル、スルホプロピル(メタ)アクリレート等のスルホC2〜6アルキル(メタ)アクリレート、メチルビニルスルホネート,2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロキシプロピルスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2−ジメチルエタンスルホン酸、3−(メタ)アクリロイルオキシエタンスルホン酸、3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−(メタ)アクリルアミド−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸等のスルホン酸基含有不飽和エステル及びこれらの塩が挙げられる。
【0049】
これらのモノマは、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのモノマは単分散性を向上する上でも、0.1mol%〜5mol%で使用することが好ましく、0.1mol%〜2.5mol%で使用することがより好ましく、0.1〜1モル%で使用することが更に好ましい。
【0050】
このほか、以下のような開始剤も使用することができる。例えば、2’−アゾビス{2−[N−(2−カルボキシエチル)アミジノプロパン、2,2’−アゾビス[2−(フェニルアミジノ)プロパン]ジヒドロクロリド(VA−545、和光純薬製)、2,2’−アゾビス{2−[N−(4−クロロフェニル)アミジノ]プロパン}ジヒドロクロリド(VA−546、和光純薬製)、2,2’−アゾビス{2−[N−(4−ヒドロキシフェニル)アミジノ]プロパン}ジヒドロクロリド(VA−548、和光純薬製)、2,2’−アゾビス[2−(N−ベンジルアミジノ)プロパン]ジヒドロクロリド(VA−552、和光純薬製)、2,2’−アゾビス[2−(N−アリルアミジノ)プロパン]ジヒドロクロリド(VA−553、和光純薬製)、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリド(V−50、和光純薬製)、2,2’−アゾビス{2−[N−(4−ヒドロキシエチル)アミジノ]プロパン}ジヒドロクロリド(VA−558、和光純薬製)、2,2−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド(VA−041、和光純薬製)、2,2−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド(VA−044、和光純薬製)、2,2−アゾビス[2−(4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−1,3−ジアゼピン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド(VA−054、和光純薬製)、2,2−アゾビス[2−(3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド(VA−058、和光純薬製)、2,2−アゾビス[2−(5−ヒドロキシ−3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド(VA−059、和光純薬製)、2,2−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}ジヒドロクロリド(VA−060、和光純薬製)、2,2−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン](VA−061、和光純薬製)、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン](VA−057、和光純薬製)、ペルオキソ二硫酸カリウム(和光純薬製)及びペルオキソ二硫酸アンモニウム(和光純薬製)が挙げられる。これらは1種単独で、又は2種類以上組み合わせて使用することができる。また、粒子活性水素基又は親水性官能基を有する重合性モノマを使用しない場合は、上記開始剤中で活性水素基又は親水性官能基を有する化合物を使用することが粒子の分散性を向上する上で好ましい。ラジカル重合開始剤を用いる場合、その配合量は、通常、重合性モノマに対して、0.01〜1mol%である。コア粒子を従来のラジカル重合法で作製することにより、最終的に得られる絶縁被覆用粒子の単分散性を向上させることができる。高分子分散剤又は界面活性剤をコア粒子に吸着させることによりアミノ基又はカルボキシル基を付与してもよい。
【0051】
コア粒子の分散性を向上するために乳化剤を併用することができる。本実施形態では、アニオン系乳化剤又はノニオン系乳化剤が好適に使用される。アニオン系乳化剤の具体例としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリルスルホン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム等が挙げられるが、特にドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムが好適に用いられる。ノニオン系乳化剤の具体例としては、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル等が挙げられる。
【0052】
コア粒子のガラス転移温度(Tg)は、用いる重合性モノマを選択することにより、また、Tgの異なる2種以上の重合性モノマを共重合させることにより任意に調整可能である。例えば、Tg又は軟化点温度が単独で60℃以下となる重合性モノマとしては、イソブチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート等が挙げられる。また、Tgが60℃以上のスチレン、メタクリル酸メチル等と、Tgが60℃未満のブチルアクリレート、ドデシルメタクリレート等とを適当な比率で共重合させることによりTgを60℃以下にすることができる。また、Tgが80℃以上の樹脂としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、メチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、コア粒子の溶剤への溶出を防止するために、非架橋性モノマに対する架橋性モノマの量は5mol%未満であることが好ましい。
【0053】
[シェル層]
シェル層はシリコーン系化合物からなり、SiO4/2単位、RSiO3/2単位及びRSiO2/2単位からなる群より選ばれる少なくとも1種の単位を有する。複数のRは各々同じであっても異なっていてもよい。
【0054】
SiO4/2単位、RSiO3/2単位及びRSiO2/2単位は、下記式で表すことができる。
【化1】

【0055】
シリコーン系化合物中のSiO4/2単位の原料としては、例えば、四塩化ケイ素、テトラアルコキシシラン、水ガラス及び金属ケイ酸塩からなる群より選択される1種又は2種以上が挙げられる。テトラアルコキシシランの具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、及びそれらの縮合物が挙げられる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて適宜使用できる。
【0056】
シリコーン系化合物中のRSiO3/2単位中のRは、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数6〜24の芳香族基、ビニル基、及び、γ−(メタ)アクリロキシプロピル基からなる群より選ばれる少なくとも1種である。基材によっては、Rに少量のビニル基、γ−(メタ)アクリロキシプロピル基又はSH基を有する有機基と、多量のアルキル基又は芳香族基とを選択する場合もありうる。RSiO3/2単位の原料としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリプロポキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができ、これらは1種又は2種以上を組み合わせて適宜使用できる。
【0057】
シリコーン系化合物中のRSiO2/2単位(Rは、RSiO3/2単位中のRと同様の群から選択されうる)の原料としては、例えば、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、エチルフェニルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、エチルフェニルジエトキシシラン等、ヘキサメチルシクロトリシロキサン(D3)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)、デカメチルシクロペンタシロキサン(D5)、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン(D6)、トリメチルトリフェニルシクロトリシロキサン等の環状化合物のほかに、直鎖状あるいは分岐状のオルガノシロキサン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて適宜使用できる。
【0058】
本実施形態において、粒子に柔軟性を持たせたい場合等にRSiO2/2単位を少量混入することができる。絶縁被覆用粒子におけるシリコーン系化合物中のRSiO2/2単位の割合は、シリコーン系化合物の総量を基準として50モル%以下であることが好ましく、10モル%以下であることがより好ましい。RSiO2/2単位の割合が50モル%以下であると最終粒子が柔軟になり過ぎず、形状保持性が向上する。なお、シリコーン系化合物中のRSiO2/2単位の割合の下限値は0モル%である。
【0059】
シリコーン系化合物としては、本実施形態の効果を損なわない範囲でRSiO1/2単位を少量使用することができる。シリコーン系化合物中のRSiO1/2単位の割合は50モル%以下であることが好ましく、1モル%以下であることがより好ましい。RSiO1/2単位の割合が5モル%以下であると最終のシリコーン系微粒子の耐熱性がより優れる。なお、シリコーン系化合物中のRSiO1/2単位の割合の下限値は0モル%である。
【0060】
[絶縁被覆用粒子の製造方法]
絶縁被覆用粒子は、例えば、シェル層がシリコーンの場合、コア粒子とシェル形成触媒を含む溶媒に対し、SiO4/2単位の原料、RSiO3/2単位の原料、及びRSiO2/2単位の原料と、水との混合物をラインミキサー又はホモジナイザーで乳化した乳化液を一括あるいは連続的に追加することにより、シリコーンで被覆された絶縁被覆用粒子を得ることができる。時間的には長くなるがラテックス状粒子の安定性及び粒子径分布を重視する場合は、連続追加を採用することが好ましい。乳化液を追加する前に酸触媒を添加して、直ちに加水分解と縮合反応とが進む条件で連続追加を行うと、絶縁被覆用粒子は時間とともに大きく成長し、通常のシード重合のように、狭い粒子径分布を示すものを得ることができる。また、30分ないし1時間の比較的短い時間の連続追加を行うと、比較的良い生産性と狭い粒子径分布を両立することもできる。
【0061】
シェル層がシリカである絶縁被覆用粒子は、例えば、コア粒子とシェル形成触媒とを含む溶媒に対し、SiO4/2単位の原料と水/アルコール又はアルコールの均一液とを一括あるいは連続的に追加することにより製造することができる。
【0062】
また、本実施形態の絶縁被覆用粒子を後述のように異方導電材料として用いる場合は、上記絶縁被覆用粒子の粒径の好ましい下限は10nm、上限は1μmであり、より好ましい下限は30nm、上限は500nmである。粒径が5nm以上であると、隣接する被覆導電粒子間の距離が電子のホッピング距離より大きくなり、リークが起こり難くなり、1000nm以下であると、圧着する際に必要な圧力及び熱を低減できる。
【0063】
なお、大きな絶縁被覆用粒子により被覆された隙間に小さな粒子が入り込み、被覆密度を向上できるため、粒径の異なる2種以上の絶縁被覆用粒子を併用してもよい。この際、小さな絶縁被覆用粒子の粒径は大きな粒子の粒子径の1/2以下であることが好ましく、また、小さな粒子の数は大きな粒子の数の1/4以下であることが好ましい。
【0064】
[結合性を有する官能基]
本実施形態の被覆導電粒子において、シェル層は、基材粒子に対する結合性を有する官能基を介して上記基材粒子の表面を部分的に被覆していることが好ましい。この場合、上記絶縁被覆用粒子は、上記基材粒子に化学結合されることとなり、ファンデルワールス力又は静電気力のみによる結合に比べて結合力が強く、絶縁被覆用粒子で被覆した導電粒子(絶縁被覆導電粒子)が異方導電材料に用いられる場合、バインダー樹脂等に混練する際に絶縁被覆用粒子が剥がれ落ちたり、隣接する絶縁被覆導電粒子との接触により絶縁被覆用粒子が剥がれ落ちてリークが起こったりするのを防ぐことができる。また、この化学結合は基材粒子と絶縁被覆用粒子との間にのみ形成され、絶縁被覆用粒子同士が結合することはないので、基材粒子は単層の絶縁被覆用粒子で被覆されることとなる。このことから、基材粒子及び絶縁被覆用粒子として粒径の揃ったものを用いれば、容易に絶縁被覆導電粒子の粒径を均一なものとすることができる。
【0065】
上記官能基としては共有結合可能な基であれば特に限定されず、シラノール基、カルボキシル基、アミノ基、アンモニウム基、水酸基、カルボニル基、チオール基、スルホン酸基、スルホニウム基、エポキシ基、グリシジル基等が挙げられ、エポキシ基又はグリシジル基を有することが反応性の速さの観点から好ましい。上記官能基は、シェル形成時に上記官能基を有するシラン化合物を混ぜておくこと、又は、界面活性剤又は高分子分散剤でシェル層の表面を処理することにより付与することができる。また、導電粒子への吸着性を向上させる観点から、上記官能基を有するシラン化合物をオリゴマ化したもの(シリコーンオリゴマー)でシェル層の表面を処理することが好ましい。
【0066】
[シェル形成触媒]
シェル形成触媒とは、シリコンアルコキシドのゾルゲル反応に用いる触媒のことであり、酸又はアルカリが用いられる。酸触媒は、例えば、脂肪族スルホン酸、脂肪族置換ベンゼンスルホン酸、脂肪族置換ナフタレンスルホン酸等のスルホン酸類、及び硫酸、塩酸、硝酸等の鉱酸類が挙げられる。これらの中では、オルガノシロキサンの乳化安定性に優れる観点から、脂肪族置換ベンゼンスルホン酸が好ましく、n−ドデシルベンゼンスルホン酸が特に好ましい。アルカリ触媒としては、具体的には、メチルアミン、エーテルアミン、エチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、キヌクリジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、エチレンジアミン、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、ヘキサメチレンジアミン、アニリン、カテコールアミン、フェネチルアミン、1,8−ビス(ジメチルアミノ)ナフタレン(プロトンスポンジ)、アミノ酸、アマンタジン、スペルミジン、スペルミン等が挙げられる。特に3級アミノ基を有する化合物を使用することが好ましく、特にトリエチルアミンを使用することが好ましい。
【0067】
[平均粒径、粒径の変動係数(C.V.)及びシェル層の厚さ]
絶縁被覆用粒子の平均粒径は、走査型電子顕微鏡(SEM)にて粒径を100個観察した平均値である。絶縁被覆用粒子の平均粒径は、基材粒子の粒径及び目的とする絶縁被覆導電粒子の用途によっても異なるが、1μm以下であることが好ましい。それにより、基材粒子の物性が、絶縁被覆用粒子の物性によって支配され難く、基材粒子を用いる効果が得られ易くなる。より好ましくは、絶縁被覆用粒子の粒子径の下限は10nm、上限は1μmである。
【0068】
粒径の変動係数(C.V.)は以下の式(1)を用いて算出される。
C.V.={(粒径の標準偏差)/(平均粒径)}×100(%) ・・・(1)
C.V.は10%以下であることが特性の向上に好ましく、より好ましくは7%以下、最も好ましくは5%以下である。C.V.が10%以下であると、得られる絶縁被覆導電粒子の大きさが均一となり、絶縁被覆導電粒子が異方導電材料に用いられる場合に、基板間で圧着する際に均一に圧力がかかり易くなり、導電接続を向上することができる。
【0069】
絶縁被覆用粒子において、コア粒子の粒径及びシェル層の厚さとしては特に限定されないが、好ましくはシェル層の厚さがコア粒子の粒径の1/100以上、より好ましくは1/50以上である。また、シェル層がSiO4/2単位のみで構成される場合、シェル層の厚みは1〜50nmであることが好ましい。50nm以下であると、絶縁被覆用粒子の物性がシェル層の物性に支配され難く、絶縁被覆用粒子が変形し易くなり、基材粒子表面が露出し易くなるため、基板間の導電接続を行う場合に電極間の導通不良を起こし難くなる。
【0070】
[溶出アンモニウムイオン濃度]
絶縁被覆用粒子からアンモニウムイオンが溶出する場合、絶縁被覆導電粒子を用いて作製した異方導電材料中の硬化剤が失活し、硬化阻害が発生することがある。よって、絶縁被覆用粒子から溶出するアンモニウムイオンの濃度は150ppm以下であることが好ましく、100ppm以下であることがより好ましい。溶出アンモニウムイオン濃度は例えば、乾燥後の絶縁被覆用粒子0.5gをイオン交換水25gに分散させ、耐圧容器中100℃で12時間放置した後、イオンクロマトグラフィーにより測定することができる。
【0071】
[吸湿率]
絶縁被覆用粒子の吸湿率は、5質量%以下であることが好ましい。吸湿率が5質量%以下であると、イオンマイグレーション等によるショート発生を抑制することが可能となる。吸湿率は、例えば、重量を測定した絶縁被覆用粒子を高温高湿度試験槽(温度60℃、湿度90%)に18時間放置した後、再度粒子重量を測定することにより算出することができる。
【0072】
<基材粒子>
基材粒子は、その表面が導電性を有する金属からなり、導電粒子として機能するものである。この場合、図1に示されるように、基材粒子2は後述する無機化合物又は有機化合物からなる球状芯材粒子2aの表面に導電性を有する金属の層2bが形成されたものでもよく、導電性を有する金属のみからなる金属粒子であってもよい。中でも、有機化合物からなる球状芯材粒子の表面に導電性の金属層が形成されたものは、基板間を導電接続する際の圧着時に変形して接合面積を増やすことができることから、接続安定性の点で好ましい。
【0073】
上記導電性を有する金属としては特に限定されず、例えば、金、銀、銅、白金、亜鉛、鉄、錫、鉛、アルミニウム、パラジウム、コバルト、インジウム、ニッケル、クロム、チタン、アンチモン、ビスマス、ゲルマニウム、カドミウム等の金属、及び、ITO、ハンダ等の金属化合物からなるものが挙げられる。
【0074】
上記導電性を有する金属からなる金属層が有機化合物からなる球状芯材粒子の表面に形成されている場合、上記金属層は、単層構造であってもよく、複数の層からなる積層構造であってもよい。積層構造からなる場合には、最外層は金、パラジウム又はニッケルからなることが好ましい。最外層はパラジウム又は金からなるものにすることにより、耐食性が高く接触抵抗も小さいので、得られる被覆粒子は更に優れたものとなる。
【0075】
上記有機化合物からなる球状芯材粒子の表面に導電性の金属層を形成する方法としては特に限定されず、例えば、物理的な金属蒸着法、化学的な無電解メッキ法等の公知の方法が挙げられるが、工程の簡便さから無電解メッキ法が好適である。無電解メッキ法で形成できる金属層としては、例えば、金、銀、銅、プラチナ、パラジウム、ニッケル、ロジウム、ルテニウム、コバルト、錫及びこれらの合金が挙げられるが、本実施形態の基材粒子としては、均一な被覆を高密度で形成できることから金属層の一部又は全部が無電解ニッケルメッキによって形成されたものであることが好ましい。
【0076】
上記金属層の最外層に金層を形成する方法としては特に限定されず、例えば、無電解メッキ、置換メッキ、電気メッキ、スパッタリング等の既知の方法が挙げられる。
【0077】
上記金属層の厚みとしては特に限定されないが、好ましい下限は0.005μm、好ましい上限は2μmである。金属層の厚みが0.005μm未満であると、導電層としての充分な効果が得られないことがあり、2μmを超えると、得られる絶縁被覆導電粒子の比重が高くなりすぎたり、有機化合物からなる球状芯材粒子の硬さがもはや充分変形できる硬度ではなくなったりすることがある。金属層の厚みのより好ましい下限は0.01μm、より好ましい上限は1μmである。
【0078】
また、上記金属層の最外層を金又はパラジウム層とする場合には、金又はパラジウム層の厚みの好ましい下限は0.001μm、好ましい上限は0.5μmである。金又はパラジウム層の厚みが0.001μm未満であると、均一に金属層を被覆することが困難になり耐食性や接触抵抗値の向上効果が期待できないことがあり、0.5μmを超えると、その効果の割には高価となる。金又はパラジウム層の厚みのより好ましい下限は0.01μm、より好ましい上限は0.3μmである。
【0079】
上記基材粒子が球状芯材粒子の表面に上記導電性を有する金属の層が形成されている場合、上記球状芯材粒子としては特に限定されず、例えば、均一な組成からなる粒子、複数の原料が層状に構成された多層構造の粒子等が挙げられる。中でも、基材粒子に機械的特性、電気的特性等の種々の特性を付与したい場合には、多層構造の粒子が好適である。
【0080】
上記球状芯材粒子を構成する材料としては特に限定されず、公知のシリカ等の無機化合物、有機化合物等が挙げられる。中でも、絶縁被覆導電粒子が異方導電材料に用いられる場合、基板間を導電接続する際の圧着時に変形して基材粒子表面と電極との接合面積を増やすことができ、接続安定性に優れることから、有機化合物が好ましい。
【0081】
上記有機化合物としては特に限定されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン等のポリオレフィン、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート等のアクリル樹脂、ポリアルキレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、フェノールホルムアルデヒド樹脂等のフェノール樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂等のメラミン樹脂、ベンゾグアナミンホルムアルデヒド樹脂等のベンゾグアナミン樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、エポキシ樹脂、(不)飽和ポリエステル樹脂、ポリフェニレンオキサイド、ポリアセタール、ポリスルホン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン等からなるものが挙げられる。中でも、エチレン性不飽和基を有する種々の重合性モノマを1種又は2種以上重合させてなる樹脂を用いてなるものは、好適な硬さを得易いことから好ましい。
【0082】
非架橋性モノマとして具体的には、i)スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、o−エチルスチレン、m−エチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロロスチレン、3,4−ジクロロスチレン等のスチレン類、(ii)アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロロエチル、アクリル酸フェニル、α−クロロアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ステアリル等の(メタ)アクリル酸エステル類、(iii)酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類、(iv)N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物、(v)フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、アクリル酸トリフルオロエチル、アクリル酸テトラフルオロプロピル等のフッ化アルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル類、及び、(vi)ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン類が挙げられる。
【0083】
架橋性モノマの具体例として、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、ジビニルナフタレン等のジビニル化合物;(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート等の(ポリ)アルキレングリコール系ジ(メタ)アクリレート;1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,12−ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ブチルエチルプロパンジオールジ(メタ)アクリレート、3−メチル−1,7−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、2−メチル−1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート等のアルカンジオール系ジ(メタ)アクリレート;ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタンジ(メタ)アクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタントリ(メタ)アクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルプロパントリアクリレート、ジアリルフタレート及びその異性体、並びに、トリアリルイソシアヌレート及びその誘導体が挙げられる。
【0084】
上記モノマ及び他の重合性モノマは、1種又は2種以上混合使用されてもよい。このような球状芯材粒子の製造方法としては、従来公知の方法を用いることができ特に限定されないが、例えば、エマルジョン重合法、転相乳化重合、懸濁重合法、分散重合法、シード重合法、ソープフリー析出重合法等が挙げられる。中でも粒径の制御性に優れるシード重合法が好適である。また、上記球状芯材粒子は、市販されているものを用いることもできる。
【0085】
<絶縁被覆導電粒子>
本実施形態の絶縁被覆導電粒子は、上記基材粒子の表面が上記絶縁被覆用粒子で被覆されてなるものである。ここで、絶縁被覆用粒子は、その表面積の20%以下が上記基材粒子の表面と接触していることが好ましい。接触する表面積が20%以下であると、上記絶縁被覆用粒子の変形が小さく、得られる被覆導電粒子の大きさがより均一となり、また、シェル層が破壊され難くコアシェル構造を維持し易くなる傾向がある。なお、下限については特に限定されず、絶縁被覆用粒子と基材粒子とが、例えば鎖長の長いポリマにより結ばれている場合には、実質的に0%であってもよい。
【0086】
本実施形態の絶縁被覆導電粒子は、上記基材粒子の表面積の5%以上が上記絶縁被覆用粒子により被覆されていることが好ましい。被覆された表面積が5%以上であると、絶縁被覆導電粒子の絶縁性を確保し易くなる。また、絶縁被覆導電粒子が異方導電材料に用いられる場合、絶縁被覆用粒子の被覆率の好ましい下限は5%であり、好ましい上限は60%である。被覆率が5%以上であると、隣接粒子間で基材粒子の金属表面が接触して横方向のリークが起こるのを効率的に防止でき、60%以下であると、充分な導通性を確保し易くなる。なお、上記基材粒子表面の絶縁被覆用粒子による被覆率は、絶縁被覆用粒子の添加量(濃度)、基材粒子表面に導入する官能基の量(密度)、反応溶媒の種類等によって制御可能である。
【0087】
上記基材粒子表面の絶縁被覆用粒子による被覆率は以下の式(2)により算出される値である。
被覆率(%)={(基材粒子表面の絶縁被覆用粒子で覆われている部分の面積)/(基材粒子の全表面積)}×100 ・・・(2)
【0088】
絶縁被覆導電粒子は、乾式のハイブリダイゼーション又は湿式のヘテロ凝集によって作製することができる。被覆率及び粒子間距離制御の観点から、湿式のヘテロ凝集を用いることが好ましい。湿式のヘテロ凝集を利用する方法としては、粒子同士の共有結合又は静電引力を使用する方法が用いられる。絶縁被覆用粒子の脱落防止のために、共有結合を利用することが好ましい。被覆率は、導電粒子と絶縁被覆用粒子の割合を適宜調整することにより調整することができる。また、共有結合の形成が遅い場合、溶媒を加熱することにより共有結合の形成を促進することが可能である。
【0089】
具体的には、グリシジル基又はエポキシ基を導入した絶縁被覆用粒子(以下、場合に「子粒子」ともいう。)と、アミノ基を付与した導電粒子とを混合することにより化学結合を形成し、絶縁被覆導電粒子を作製することが可能となる。
【0090】
金又はパラジウムからなる金属層を有する導電粒子にアミノ基を導入する方法としては以下のような方法がある。金又はパラジウムに対して配位結合を形成するメルカプト基、スルフィド基又はジスルフィド基と、水酸基、カルボキシル基、アルコキシ基又はアルコキシカルボニル基とを有する化合物を用いて金属層表面を処理することにより、表面に水酸基、カルボキシル基、アルコキシ基及びアルコキシカルボニル基から選ばれる官能基を導入できる。用いられる化合物としては、例えば、メルカプト酢酸、2−メルカプトエタノール、メルカプト酢酸メチル、メルカプトコハク酸、チオグリセリン及びシステインが挙げられる。
【0091】
金属層表面を上記化合物で処理する方法としては特に限定されないが、メタノール又はエタノール等の有機溶媒中にメルカプト酢酸等の化合物を10〜100mmol/L程度の濃度で分散し、その中に金属表面を有する導電粒子を分散させる方法がある。
【0092】
水酸基、カルボキシル基、アルコキシ基及びアルコキシカルボニル基のような官能基を表面に有する粒子の表面電位(ゼータ電位)は、pHが中性領域であるとき、通常マイナスである。一方、水酸基を有する無機酸化物粒子の表面電位も通常マイナスである。表面電位がマイナスの粒子の表面を、表面電位がマイナスの粒子で充分に被覆することは難しい場合が多いが、これらの間に高分子電解質層を設けることにより、効率的に絶縁被覆用粒子を導電粒子に付着させることができる。また、高分子電解質層を設けることにより導電粒子の表面に絶縁被覆用粒子を欠陥なく均一に被覆することができることから、回路電極間隔が狭ピッチでも絶縁性が確保され、電気的に接続する電極間では接続抵抗が低くなるという効果がより一層顕著に奏される。
【0093】
高分子電解質層を形成する高分子電解質としては、水溶液中で電離し、荷電を有する官能基を主鎖又は側鎖に持つ高分子を用いることができ、中でもポリカチオンが好ましい。ポリカチオンとしては、一般に、ポリアミン等のように正荷電を帯びることのできる官能基を有するもの、例えば、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリアリルアミン塩酸塩(PAH)、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド(PDDA)、ポリビニルピリジン(PVP)、ポリリジン、ポリアクリルアミド及びそれらを少なくとも1種以上を含む共重合体を用いることができる。中でもポリエチレンイミンは電荷密度が高く、結合力が強い。
【0094】
[絶縁被覆導電粒子のシリコーンオリゴマー処理]
絶縁被覆用粒子がその表面にシラノール基を有する場合、シランカップリング剤又はシランカップリング剤をオリゴマ化したシリコーンオリゴマーにより処理することによって、後述する絶縁被覆導電粒子の絶縁信頼性を向上することができる。また、粒子表面への反応のし易さから、上記シランカップリング剤をシリコーンオリゴマー化して使用することが好ましい。シリコーンオリゴマーは、縮合反応により予め3次元架橋されていることが好ましい。また、シリコーンオリゴマーは、疎水性基と、シリカ等の無機材料と反応する官能基とを有していることが好ましい。
【0095】
シリコーンオリゴマーは、一般に、下記各化学式で表される構造を有するシロキサン単位から構成される。
【0096】
【化2】

【0097】
式中、R及びRはそれぞれ独立に疎水性基を示す。R及びRは、メチル基及びエチル基のような炭素数1又は2のアルキル基、フェニル基等の炭素数6〜12のアリール基、又は、ビニル基であることが好ましい。R及びRはそれぞれ独立にメチル基又はフェニル基であることがより好ましい。なお、R及びRは互いに同一でも異なっていてもよい。
【0098】
シリコーンオリゴマーの重合度は、通常3以上であり、好ましくは5以上、より好ましくは6以上、更に好ましくは10以上である。また、シリコーンオリゴマーの重合度は、通常90以下であり、好ましくは80以下、より好ましくは70以下、更に好ましくは50以下である。重合度が大きくなると、表面処理の際に処理むらが起こり難くなり、信頼性を向上することができる。また、重合度が小さいと充分な厚みでシリコーンオリゴマーが付着し易くなる傾向がある。
【0099】
シリコーンオリゴマーの重合度は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定によって求められる標準ポリスチレン換算の重量平均分子量に基づいて以下の式(3)により算出される。
重合度=重量平均分子量/シロキサン単位の分子量 ・・・(3)
なお、シリコーンオリゴマー中に複数種のシロキサン単位が含まれる場合、それらの平均値によって重合度が計算される。
【0100】
3次元架橋されたシリコーンオリゴマーは、一般に、RSiO3/2で表される3官能性のシロキサン単位、及びSiO4/2で表される4官能性のシロキサン単位のうち少なくとも一方を含むことが好ましい。例えば、シリコーンオリゴマーは、RSiO2/2で表される2官能性のシロキサン単位及びSiO4/2で表される4官能性のシロキサン単位を含んでいてもよいし、RSiO2/2で表される2官能性のシロキサン単位及びRSiO3/2で表される3官能性のシロキサン単位を含んでいてもよい。
【0101】
シロキサンオリゴマーは、全シロキサン単位を基準として、4官能性のシロキサン単位を15モル%以上含むことが好ましく、20〜60モル%含むことがより好ましい。
【0102】
シリコーンオリゴマーは、例えば、所望のシロキサン単位に対応するクロロ又はアルコキシシランを、水の存在下、酸触媒を用いて縮合させる方法により合成することができる。縮合反応は、シリコーンオリゴマーをサブミクロン重合体粒子に付着させる前にゲル状態とならない程度に行う。このためには、反応温度、反応時間、オリゴマーの組成比、触媒の種類及び量を変えて調整する。触媒としては、酢酸、塩酸、マレイン酸、リン酸等が好ましく用いられる。
【0103】
シリコーンオリゴマーは、サブミクロン重合体粒子に付着するとともに、その一部が導電粒子にも付着している場合が多い。絶縁被覆導電粒子全体におけるシリコーンオリゴマーの付着量は、サブミクロン重合体粒子の質量を基準として好ましくは0.01〜10質量%であり、より好ましくは0.05〜5.00質量%である。この付着量が0.01質量%以上であると界面接着性向上の効果を得易い傾向があり、10質量%以下であると耐熱性の低下を防ぐことができる。
【0104】
このような絶縁被覆導電粒子は、半導体素子等の小型電機部品を基板に電気的に接続したり、基板同士を電気的に接続したりするためのいわゆる異方導電材料として用いることができる。
【0105】
<異方導電材料>
絶縁被覆導電粒子を絶縁性のバインダー樹脂中に分散させることによって、接着剤組成物を調製することができる。そして、この接着剤組成物は、異方導電材料(回路接続材料)として使用することができる。異方導電材料は、フィルム状に成形して異方導電フィルムとして使用してもよい。図2に示す異方導電フィルム50は、絶縁性のバインダー樹脂20に絶縁被覆導電粒子10を分散させた接着剤組成物を、フィルム状に成形したものである。
【0106】
<接続構造体>
図3に示す接続構造体100は、相互に対向する第1の回路部材30及び第2の回路部材40を備えており、第1の回路部材30と第2の回路部材40との間には、これらを接続する接続部50aが設けられている。
【0107】
第1の回路部材30は、回路基板(第1の回路基板)31と、回路基板31の主面31a上に形成される回路電極(第1の回路電極)32とを備える。第2の回路部材40は、回路基板(第2の回路基板)41と、回路基板41の主面41a上に形成される回路電極(第2の回路電極)42とを備える。
【0108】
回路部材の具体例としては、ICチップ(半導体チップ)、抵抗体チップ、コンデンサチップ、ドライバーIC等のチップ部品及びリジット型のパッケージ基板が挙げられる。これらの回路部材は、回路電極を備えており、多数の回路電極を備えているものが一般的である。上記回路部材が接続される、もう一方の回路部材としては、金属配線を有するフレキシブルテープ基板、フレキシブルプリント配線板、インジウム錫酸化物(ITO)が蒸着されたガラス基板等の配線基板が挙げられる。異方導電フィルム50を用いることにより、これらの回路部材同士を効率的かつ高い接続信頼性をもって接続することができる。したがって、異方導電フィルム50は、微細な接続端子(回路電極)を多数備えるチップ部品の配線基板上へのCOG実装及びCOF実装に好適である。
【0109】
接続部50aは回路接続材料に含まれる絶縁性のバインダー樹脂の硬化物20aと、これに分散している絶縁被覆導電粒子10とを備える。そして、接続構造体100においては、対向する回路電極32と回路電極42とが、絶縁被覆導電粒子10を介して電気的に接続されている。より具体的には、図3に示すとおり、絶縁被覆導電粒子10にあっては、絶縁被覆用粒子1が圧縮により変形し、回路電極32及び42の双方に直接接触している。他方、図示横方向において、基材粒子2間に絶縁被覆用粒子1が介在することで絶縁性が維持される。従って、異方導電フィルム50を用いれば、10μmレベルの狭ピッチでの絶縁信頼性を向上させることが可能となる。
【0110】
絶縁性のバインダー樹脂20としては、熱反応性樹脂と硬化剤の混合物が用いられ、具体的には、エポキシ樹脂と潜在性硬化剤との混合物が好ましい。
【0111】
エポキシ樹脂としては、エピクロルヒドリンとビスフェノールA、F、AD等とから誘導されるビスフェノール型エポキシ樹脂、エピクロルヒドリンとフェノールノボラック又はクレゾールノボラックとから誘導されるエポキシノボラック樹脂、ナフタレン環を含んだ骨格を有するナフタレン系エポキシ樹脂、グリシジルアミン、グリシジルエーテル、ビフェニル、脂環式等の1分子内に2個以上のグリシジル基を有する各種のエポキシ化合物等を単独に又は2種以上を混合して用いることが可能である。
【0112】
これらのエポキシ樹脂は、不純物イオン(Na、Cl等)、加水分解性塩素等を300ppm以下に低減した高純度品を用いることが好ましい。これによりエレクトロマイグレーションを防止し易くなる。
【0113】
潜在性硬化剤としては、イミダゾール系、ヒドラジド系、三フッ化ホウ素−アミン錯体、スルホニウム塩、アミンイミド、ポリアミンの塩、ジシアンジアミド等が挙げられる。この他、接着剤には、ラジカル反応性樹脂と有機過酸化物との混合物、又は、紫外線等のエネルギー線硬化性樹脂が用いられる。
【0114】
絶縁性のバインダー樹脂20には、接着後の応力を低減するため、又は接着性を向上するために、ブタジエンゴム、アクリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム、シリコーンゴム等を混合することができる。
【0115】
接着剤組成物をフィルム状にするためには、当該組成物に、フィルム形成性を有するフェノキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂等の熱可塑性樹脂を配合することが効果的である。これらのフィルム形成性高分子は、反応性樹脂の硬化時の応力緩和にも効果がある。特に、フィルム形成性高分子が、水酸基等の官能基を有する場合、接着性が向上するため好ましい。フィルムの形成は、エポキシ樹脂、アクリルゴム、潜在性硬化剤、及びフィルム形成性高分子からなる接着組成物を、有機溶剤に溶解又は分散させることにより、液状化して、剥離性基材(セパレータフィルム)上に塗布し、硬化剤の活性温度以下で溶剤を除去することにより行われる。このとき用いる有機溶剤としては、材料の溶解性を向上させる点において、芳香族炭化水素系と含酸素系との混合溶剤が好ましい。
【0116】
異方導電フィルム50の厚さは、絶縁被覆導電粒子の粒径及び接着剤組成物の特性を考慮して相対的に決定されるが、1〜100μmであることが好ましい。厚さが1μm未満では充分な接着性が得られず、100μmを超えると導電性を得るために多量の絶縁被覆導電粒子を必要とするために現実的ではない。こうした理由から、厚さは3〜50μmであることがより好ましい。
【0117】
<接続構造体の製造方法>
図4は、異方導電材料を用いて上記接続構造体を製造する工程を概略断面図により示す工程図である。本実施形態では、異方導電材料を熱硬化させて接続構造体を製造する。
【0118】
先ず、上述した第1の回路部材30と、異方導電フィルム50を用意する。異方導電フィルム50は、上記のように絶縁被覆導電粒子10を含有する接着剤組成物からなる。
【0119】
次に、異方導電フィルム50を第1の回路部材30の回路電極32が形成されている面上に載せる。そして、異方導電フィルム50を、図4(a)の矢印A及びB方向に加圧し、異方導電フィルム50を第1の回路部材30に仮接続する(図4(b))。
【0120】
このときの圧力は回路部材に損傷を与えない範囲であれば特に制限されないが、一般的には0.1〜30.0MPaとすることが好ましい。また、加熱しながら加圧してもよく、加熱温度は異方導電フィルム50が実質的に硬化しない温度とする。加熱温度は一般的には50〜190℃にするのが好ましい。これらの加熱及び加圧は0.5〜120秒間の範囲で行うことが好ましい。
【0121】
次いで、図4(c)に示すように、第2の回路部材40を、第2の回路電極42を第1の回路部材30の側に向けるようにして異方導電フィルム50上に載せる。そして、異方導電フィルム50を加熱しながら、図4(c)の矢印A及びB方向に全体を加圧する。
【0122】
このときの加熱温度は、異方導電フィルム50が硬化可能な温度とする。加熱温度は、60〜200℃が好ましく、70〜190℃がより好ましく、80〜160℃が更に好ましい。加熱温度が60℃未満であると硬化速度が遅くなる傾向があり、200℃を超えると望まない副反応が進行し易い傾向がある。加熱時間は、0.1〜180秒が好ましく、0.5〜180秒がより好ましく、1〜180秒が更に好ましい。
【0123】
異方導電フィルム50の硬化により接続部50aが形成されて、図3に示すような接続構造体100が得られる。接続の条件は、使用する用途、接着剤組成物及び回路部材によって適宜選択される。なお、異方導電フィルム50における絶縁性のバインダー樹脂20として、光によって硬化するものを使用した場合には、異方導電フィルム50に対して活性光線又はエネルギー線を適宜照射すればよい。活性光線としては、紫外線、可視光、赤外線等が挙げられる。エネルギー線としては、電子線、エックス線、γ線、マイクロ波等が挙げられる。
【0124】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではない。
【実施例】
【0125】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明の内容をより具体的に説明する。なお、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0126】
<絶縁被覆用粒子の作製>
(コア粒子1の作製)
500mlフラスコに下記の化合物を一括して仕込み、窒素にて1時間溶存酸素を置換した後、温度70℃のウォーターバスで、約6時間加熱撹拌をしてコア粒子1を得た。
【0127】
スチレン 40.4g(388mmol)
ジビニルベンゼン 1.6g(12mmol)
2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン](VA−057) 1.4g(4mmol)
メタクリル酸ジメチルアミノエチルの1,3−プロパンスルトン付加物(DMAEMAPS) 0.6g(2mmol)
水 400g
【0128】
コア粒子1をSEMにより観察したところ、平均粒径は262nm、粒径の変動係数(C.V.)は4.1%であった。
【0129】
(コア粒子2〜4の作製)
表1に記載の材料を使用したこと以外は上記コア粒子1の作製手順と同様にして、コア粒子2〜4を作製した。表1中、「KBE−503」はγ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業社製、商品名)を示す。
【0130】
【表1】

【0131】
(絶縁被覆用粒子1の作製)
500mlフラスコに下記の化合物を一括して仕込み、温度35℃のウォーターバスで撹拌しながら、下記シェル原料分散液1を1時間かけて滴下し、滴下後6時間加熱撹拌を続け、絶縁被覆用粒子の分散液を得た。
【0132】
5質量%コア粒子1水溶液 100g
エタノール 100g
トリエチルアミン 2g
【0133】
[シェル原料分散液1]
テトラエトキシシラン 12.5g
エタノール 300g
【0134】
得られた絶縁被覆用粒子の分散液を遠心分離し、メタノールへの再分散を数回繰り返した。その後、絶縁被覆用粒子をSEMにより観察したところ、平均粒径は300nm、粒径の変動係数(C.V.)は4.2%であった。また、得られた絶縁被覆用粒子1gを高温高湿度試験槽(温度60℃、湿度90%)に18時間放置した後、再度粒子重量を測定することにより吸湿率を算出した。吸湿率は1.5質量%であった。また、得られた粒子を乾燥後、0.5gをイオン交換水25gに分散させ、耐圧容器中100℃で12時間放置後、イオンクロマトグラフィーにより溶出アンモニウムイオン濃度を測定したところ、15ppmであった。
【0135】
続いて、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン60g、メタノール3g、水14g、塩酸(全量の1質量%)を混合し、60℃で4時間撹拌することにより、グリシジル基を有するシリコーンオリゴマー1を合成した。このシリコーンオリゴマー1を上記絶縁被覆用粒子の分散液に粒子重量と同量添加し2時間撹拌を行い、表面がシリコーンオリゴマー処理された絶縁被覆用粒子1を得た。その後、遠心分離を3回行い、粒子の洗浄後、メタノールに分散させた。
【0136】
(絶縁被覆用粒子2の作製)
絶縁被覆用粒子1の合成においてシェル原料分散液のテトラエトキシシランの量を2倍にしたこと以外は同様にして絶縁被覆用粒子の分散液を作製した。SEMにより観察したところ、平均粒径は325nm、粒径の変動係数(C.V.)は4.0%であった。吸湿率を算出したところ、2.0質量%であった。溶出アンモニウムイオン濃度を測定したところ、31ppmであった。
また、シリコーンオリゴマー1を上記絶縁被覆用粒子の分散液に粒子重量と同量添加し2時間撹拌を行い、表面がシリコーンオリゴマー処理された絶縁被覆用粒子2を得た。その後、遠心分離を3回行い、粒子の洗浄後、メタノールに分散させた。
【0137】
(絶縁被覆用粒子3の作製)
絶縁被覆用粒子1の合成においてシェル原料分散液のテトラエトキシシランの量を3倍にしたこと以外は同様にして絶縁被覆用粒子の分散液を作製した。SEMにより観察したところ、平均粒径は363nm、粒径の変動係数(C.V.)は4.4%であった。吸湿率を算出したところ、3.0質量%であった。溶出アンモニウムイオン濃度を測定したところ、19ppmであった。
また、シリコーンオリゴマー1を上記絶縁被覆用粒子の分散液に粒子重量と同量添加し2時間撹拌を行い、表面がシリコーンオリゴマー処理された絶縁被覆用粒子3を得た。その後、遠心分離を3回行い、粒子の洗浄後、メタノールに分散させた。
【0138】
(絶縁被覆用粒子4の作製)
500mlフラスコに下記の化合物を一括して仕込み、温度80℃のウォーターバスで撹拌しながら、下記シェル原料分散液2を1時間かけて滴下し、滴下後5時間加熱撹拌を続け、20時間静置後、絶縁被覆用粒子の分散液を得た。
【0139】
2.5質量%コア粒子1水溶液 200g
ドデシルベンゼンスルホン酸Na 2g
ドデシルベンゼンスルホン酸 2g
【0140】
[シェル原料分散液2]
メチルトリメトキシシラン 15.0g
水 20.0g
ドデシルベンゼンスルホン酸Na 0.1g
【0141】
得られた粒子分散液を遠心分離し、メタノールへの再分散を数回繰り返した後、SEMにより観察したところ、平均粒径は312nm、粒径の変動係数(C.V.)は4.5%であった。実施例1と同様にして吸湿率を算出したところ、1.2質量%であった。溶出アンモニウムイオン濃度を測定したところ、21ppmであった。
また、シリコーンオリゴマー1を上記絶縁被覆用粒子の分散液に粒子重量と同量添加し2時間撹拌を行い、表面がシリコーンオリゴマー処理された絶縁被覆用粒子4を得た。その後、遠心分離を3回行い、粒子の洗浄後、メタノールに分散させた。
【0142】
(絶縁被覆用粒子5の作製)
500mlフラスコに下記の化合物を一括して仕込み、温度80℃のウォーターバスで撹拌しながら、下記シェル原料分散液3を1時間かけて滴下し、滴下後5時間加熱撹拌を続け、20時間静置後、絶縁被覆用粒子の分散液を得た。
【0143】
2.5質量%コア粒子1水溶液 200g
ドデシルベンゼンスルホン酸Na 2g
ドデシルベンゼンスルホン酸 2g
【0144】
[シェル原料分散液3]
メチルトリメトキシシラン 7.3g
ジメチルジメトキシシラン 6.4g
テトラメトキシシラン 1.3g
ドデシルベンゼンスルホン酸Na 0.1g
水 20g
【0145】
得られた粒子分散液を遠心分離し、メタノールへの再分散を数回繰り返した後、SEMにより観察したところ、平均粒径は315nm、粒径の変動係数(C.V.)は5%であった。吸湿率を算出したところ、0.7質量%であった。溶出アンモニウムイオン濃度を測定したところ、30ppmであった。
また、シリコーンオリゴマー1を上記絶縁被覆用粒子の分散液に粒子重量と同量添加し2時間撹拌を行い、表面がシリコーンオリゴマー処理された絶縁被覆用粒子5を得た。その後、遠心分離を3回行い、粒子の洗浄後、メタノールに分散させた。
【0146】
(絶縁被覆用粒子6の作製)
絶縁被覆用粒子4の合成においてシェル原料分散液2の2倍量を2時間かけて添加したこと以外は同様にして絶縁被覆用粒子の分散液を作製した。SEMにより観察したところ、平均粒径は365nm、粒径の変動係数(C.V.)は4.8%であった。吸湿率を算出したところ、1.0質量%であった。溶出アンモニウムイオン濃度を測定したところ、40ppmであった。
また、シリコーンオリゴマー1を上記絶縁被覆用粒子の分散液に粒子重量と同量添加し2時間撹拌を行い、表面がシリコーンオリゴマー処理された絶縁被覆用粒子6を得た。その後、遠心分離を3回行い、粒子の洗浄後、メタノールに分散させた。
【0147】
(絶縁被覆用粒子7の作製)
絶縁被覆用粒子4の合成においてコア粒子1の代わりにコア粒子2を用いたこと、及び、シェル原料分散液2の3倍量を3時間かけて添加したこと以外は同様にして絶縁被覆用粒子の分散液を作製した。SEMにより観察したところ、平均粒径は316nm、粒径の変動係数(C.V.)は3.5%であった。吸湿率を算出したところ、1.2質量%であった。溶出アンモニウムイオン濃度を測定したところ、20ppmであった。
また、シリコーンオリゴマー1を上記絶縁被覆用粒子の分散液に粒子重量と同量添加し2時間撹拌を行い、表面がシリコーンオリゴマー処理された絶縁被覆用粒子7を得た。その後、遠心分離を3回行い、粒子の洗浄後、メタノールに分散させた。
【0148】
(絶縁被覆用粒子8の作製)
絶縁被覆用粒子1の合成においてコア粒子2を使用したこと以外は同様にして絶縁被覆用粒子の分散液を作製した。SEMにより観察したところ、平均粒径は152nm、粒径の変動係数(C.V.)は4.8%であった。吸湿率を算出したところ、1.0質量%であった。溶出アンモニウムイオン濃度を測定したところ、18ppmであった。
また、シリコーンオリゴマー1を上記絶縁被覆用粒子の分散液に粒子重量と同量添加し2時間撹拌を行い、表面がシリコーンオリゴマー処理された絶縁被覆用粒子8を得た。その後、遠心分離を3回行い、粒子の洗浄後、メタノールに分散させた。
【0149】
(絶縁被覆用粒子9の作製)
絶縁被覆用粒子1の合成においてコア粒子1の代わりにコア粒子4を用いたこと以外は同様にして絶縁被覆用粒子の分散液を作製した。SEMにより観察したところ、平均粒径は405nm、粒径の変動係数(C.V.)は5.0%であった。吸湿率を算出したところ、1.2質量%であった。溶出アンモニウムイオン濃度を測定したところ、22ppmであった。
また、シリコーンオリゴマー1を上記絶縁被覆用粒子の分散液に粒子重量と同量添加し2時間撹拌を行い、表面がシリコーンオリゴマー処理された絶縁被覆用粒子9を得た。その後、遠心分離を3回行い、粒子の洗浄後、メタノールに分散させた。
【0150】
(絶縁被覆用粒子10の作製)
コア粒子1を絶縁被覆用粒子10とした。吸湿率を算出したところ、0.5質量%であった。溶出アンモニウムイオン濃度を測定したところ、30ppmであった。
【0151】
(絶縁被覆用粒子11の作製)
コア粒子3を作製後、下記化合物の混合物を上記で得られたコア粒子3の分散液に1時間かけて滴下し、更に4時間重合を行い、絶縁被覆用粒子11を作製した。
【0152】
スチレン 40.4g
ジビニルベンゼン 1.6g
VA−057 1.4g
DMAEMAPS 0.6g
【0153】
粒子をSEMにより観察したところ、平均粒径は320nm、粒径の変動係数(C.V.)は6%であった。吸湿率を算出したところ、1.0質量%であった。溶出アンモニウムイオン濃度を測定したところ、40ppmであった。
【0154】
(絶縁被覆用粒子12の作製)
コロイダルシリカ分散液(濃度20質量%、扶桑化学工業社製、商品名クオートロンPL−13、平均粒径130nm)を絶縁被覆用粒子12とした。吸湿率を算出したところ、4.0質量%であった。溶出アンモニウムイオン濃度を測定したところ、12ppmであった。
【0155】
(シェル層の厚さの測定)
上記絶縁被覆用粒子1〜12について、シェル形成前後の平均粒径よりシェル層の厚さを算出した。結果を表2に示す。
【0156】
【表2】

【0157】
<導電粒子の絶縁被覆と異方導電フィルムの実装試験>
(導電粒子)
平均粒径3.0μmの架橋ポリスチレン粒子の表面に、厚み0.2μmのニッケル層を無電界めっきで形成し、更にそのニッケルの外側に厚み0.04μmのパラジウム層を形成させて、導電粒子を得た。
【0158】
(導電粒子の絶縁被覆)
メルカプト酢酸8mmolをメタノール200mLに溶解させて反応液を調製した。この反応液に導電粒子を10g加え、室温で2時間スリーワンモータと直径45mmの攪拌羽を用いて攪拌して、導電粒子の表面をメルカプト酢酸で処理した。φ(孔径)3μmのメンブレンフィルタ(ミリポア社製)を用いた濾過により処理後の導電粒子を取り出し、取り出された導電粒子をメタノールで洗浄して、表面にカルボキシル基を有する導電粒子1gを得た。
【0159】
分子量70000の30%ポリエチレンイミン水溶液(和光純薬社製)を超純水で希釈し、0.3質量%ポリエチレンイミン水溶液を得た。このポリエチレンイミン水溶液に、上記で得た表面にカルボキシル基を有する導電粒子1gを加え、室温で15分攪拌した。次にφ3μmのメンブレンフィルタ(ミリポア社製)を用いた濾過により導電粒子を取り出し、取り出された導電粒子を超純水200gに入れて室温で5分攪拌した。その後、φ3μmのメンブレンフィルタ(ミリポア社製)を用いた濾過により導電粒子を取り出し、メンブレンフィルタ上の導電粒子を200gの超純水で2回洗浄して、吸着していないポリエチレンイミンを除去した。以上の操作により、表面にポリエチレンイミンが吸着した導電粒子を得た。
【0160】
次にポリエチレンイミンで処理した導電粒子をイソプロピルアルコールに浸漬し、絶縁被覆用粒子1〜12の分散液をそれぞれ滴下することで、微粒子被覆率が30%の絶縁被覆導電粒子を作製した。被覆率は滴下量で調整した。
【0161】
次にφ3μmのメンブレンフィルタ(ミリポア社製)を用いた濾過により導電粒子を取り出し、取り出された導電粒子を超純水200gに入れて室温で5分攪拌した。その後、φ3μmのメンブレンフィルタ(ミリポア社製)を用いた濾過により導電粒子を取り出し、メンブレンフィルタ上の導電粒子を200gの超純水で2回洗浄して、絶縁被覆用粒子が吸着していない導電粒子を除去した。次いで80℃で30分、120℃で1時間の順で加熱して絶縁被覆導電粒子を乾燥した。
【0162】
続いて、絶縁被覆導電粒子10gを、シリコーンオリゴマー2(信越化学工業社製、商品名:KR−212)を粒子重量と同量溶解した処理液100gに入れ、常温1時間の条件でスリーワンモータを用いて攪拌した。その後、濾過により粒子を取り出し、取り出された絶縁被覆導電粒子をメタノールで洗浄してから乾燥することで、表面にシリコーンオリゴマー2が付着した絶縁被覆導電粒子1〜12を得た。
【0163】
(絶縁被覆用粒子の耐溶剤性試験)
得られた絶縁被覆導電粒子をトルエン/酢酸エチル(混合比:50質量部/50質量部)溶液に浸漬し、5分超音波照射(24kHz)後、SEMにて絶縁被覆導電粒子を確認し、絶縁被覆用粒子が剥離しているかどうかを確認した。絶縁被覆用粒子の吸着量に変化が無い場合をA、絶縁被覆用粒子が部分的に剥離した場合をCとした。結果を表3に示す。
【0164】
(異方導電フィルムの作製及びこれを用いた回路接続)
フェノキシ樹脂(ユニオンカーバイド社製、商品名:PKHC)100gと、アクリルゴム(ブチルアクリレート40質量部、エチルアクリレート30質量部、アクリロニトリル30質量部、グリシジルメタクリレート3質量部の共重合体、重量平均分子量:85万)75gをトルエン/酢酸エチル(混合比:50質量部/50質量部)400gに溶解し、30質量%溶液を得た。この溶液に、マイクロカプセル型潜在性硬化剤を含有する液状エポキシ樹脂(エボキシ当量185、旭化成エポキシ株式会社製、商品名:ノバキュアHX−3941)300gを加え、撹拌して接着剤溶液を準備した。
【0165】
この接着剤溶液に、表面にシリコーンオリゴマーが付着した上記絶縁被覆導電粒子を分散させた。その濃度は接着剤溶液の量を基準として9体積%とした。得られた分散液をセパレータ(シリコーン処理したポリエチレンテレフタレートフイルム、厚み40μm)にロールコータを用いて塗布し、90℃で10分の加熱により乾燥して、厚み25μmの異方導電フィルムをセパレータ上に形成させた。
【0166】
次に、作製した異方導電フィルムを用いて、金バンプ(面積:30μm×90μm、スペース12μm、高さ:15μm、バンブ数362)付きチップ(1.7mm×1.7mm、厚み:0.5μm)とITO回路付きガラス基板(厚み:0.7mm)との接続を以下に示すi)〜iii)の手順に従って行い、接続構造体サンプル(実施例1〜9、及び、比較例1〜3)を作製した。
【0167】
i)異方導電接着フィルム(2mm×19mm)をITO回路付きガラス基板に80℃、0.98MPa(10kgf/cm)の圧力で貼り付けた。
ii)セパレータを剥離し、チップのバンプとITO回路付きガラス基板との位置合わせを行った。
iii)190℃、40MPa(低圧実装条件)、10秒の条件でチップ上方から加熱及び加圧を行い、本接続を行った。
【0168】
(絶縁抵抗試験及び導通抵抗試験)
作製した接続構造体サンプルについて絶縁抵抗試験及び導通抵抗試験を行った。異方導電フィルムはチップ電極間の絶縁抵抗が高く、チップ電極/ガラス電極間の導通抵抗が低いことが重要である。10サンプルのチップ電極間の絶縁抵抗を測定した。絶縁抵抗は初期値と、気温60℃、湿度90%、20V印加の条件で1000時間放置する信頼性試験(マイグレーション試験)後の値とを測定した。また、信頼性試験後の絶縁抵抗が10Ω以上であったものを良品とした場合の歩留まりを算出した。
【0169】
チップ電極/ガラス電極間の導通抵抗に関しては14サンプルの平均値を測定した。導通抵抗は初期値と気温85℃、湿度85%の条件で1000時間放置する信頼性試験(吸湿耐熱試験)後の値を測定した。測定結果を表3に示す。
【0170】
表3における絶縁抵抗試験及び導通抵抗試験の結果のまとめを表4に示す。導通抵抗評価として信頼性試験前の導通抵抗が1Ω以下の場合をA、1Ω超5Ω以下の場合をB、5Ω超の場合をCとした。絶縁信頼性の評価として信頼性試験前の歩留まりが100%以下80%以上の場合をA、80%未満50%以上の場合をB、50%未満をCとした。さらに、接続信頼性の評価として信頼性試験後の導通抵抗が0Ω以上50Ω未満の場合をA、50Ω以上100Ω未満の場合をB、100Ω以上の場合をCとした。
【0171】
【表3】

【0172】
【表4】

【0173】
表3に示されるように、実施例1〜9の接続構造体サンプルは、信頼性試験前後ともに良好な導通抵抗、絶縁信頼性及び接続信頼性を示した。これは、コア粒子にシリコーン系化合物でシェル層を形成することにより、粒子に耐熱性及び耐溶剤性を付与できたためであると推定される。また、実施例1〜9は信頼性試験後も歩留まり100%を維持した。
【0174】
絶縁被覆用粒子としてコアシェル構造を有しないポリマ粒子又はコアもシェルも同じポリマからなる粒子を用いた場合、初期導通抵抗は良好であったが、絶縁信頼性及び接続信頼性が悪い結果となった(比較例1及び2)。これはポリマ粒子の耐溶剤性が悪いために、樹脂混練中に絶縁被覆用粒子が剥離し、絶縁信頼性が低い結果となったと推定される。また、ポリマ粒子の耐熱性が低く、熱膨張係数が高いために、接続信頼性に影響を与えたと推定される。また、絶縁被覆用粒子としてシリカ粒子を用いた場合、導通抵抗が高い結果となった(比較例3)。これは粒子の弾性率が高いために粒子の変形が困難となり、導通が困難となったと推定される。
【符号の説明】
【0175】
1…絶縁被覆用粒子、1a…コア粒子、1b…シェル層、2…基材粒子、2a…球状芯材粒子、2b…金属の層、10…絶縁被覆導電粒子、20…絶縁性のバインダー樹脂、20a…絶縁性のバインダー樹脂の硬化物、30…第1の回路部材、31…回路基板(第1の回路基板)、31a…第1の回路基板の主面、32…回路電極(第1の回路電極)、40…第2の回路部材、41…回路基板(第2の回路基板)、41a…第2の回路基板の主面、42…回路電極(第2の回路電極)、50…異方導電フィルム、50a…接続部、100…接続構造体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面が導電性を有する金属からなる基材粒子を被覆して絶縁被覆導電粒子を形成するための絶縁被覆用粒子であって、
コア粒子及びシェル層を有するコアシェル構造を備え、
前記コア粒子が、有機高分子を含み、
前記シェル層が、SiO4/2単位、RSiO3/2単位及びRSiO2/2単位からなる群より選ばれる少なくとも1種の単位を有するシリコーン系化合物を含む、絶縁被覆用粒子。(ここで、前記Rは、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数6〜24の芳香族基、ビニル基、及び、γ−(メタ)アクリロキシプロピル基からなる群より選ばれる少なくとも1種を示す。)
【請求項2】
前記シェル層が、前記基材粒子に対する結合性を有する官能基を有する、請求項1に記載の絶縁被覆用粒子。
【請求項3】
前記基材粒子に対する結合性を有する官能基が、エポキシ基又はグリシジル基である、請求項2に記載の絶縁被覆用粒子。
【請求項4】
前記シェル層は、エポキシ基又はグリシジル基を有するシリコーンオリゴマーによって処理されたものである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の絶縁被覆用粒子。
【請求項5】
前記シェル層の厚みが1〜150nmである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の絶縁被覆用粒子。
【請求項6】
前記シェル層がSiO4/2単位のみを有するシリコーン系化合物で構成され、前記シェル層の厚みが1〜50nmである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の絶縁被覆用粒子。
【請求項7】
平均粒径が1μm以下であり、かつ、粒径の変動係数が10%以下である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の絶縁被覆用粒子。
【請求項8】
吸湿率が5質量%以下である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の絶縁被覆用粒子。
【請求項9】
溶出アンモニウムイオン濃度が100ppm以下である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の絶縁被覆用粒子。
【請求項10】
前記シェル層が、3級アミン又はスルホン酸化合物を触媒とする反応により形成されたものである、請求項1〜9のいずれか一項に記載の絶縁被覆用粒子。
【請求項11】
前記コア粒子の表面がアミノ基又はカルボキシル基を有する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の絶縁被覆用粒子。
【請求項12】
前記コア粒子が双イオン性の官能基を有する、請求項1〜11のいずれか一項に記載の絶縁被覆用粒子。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の絶縁被覆用粒子と、前記絶縁被覆用粒子によって表面の少なくとも一部が被覆された基材粒子と、を備える、絶縁被覆導電粒子。
【請求項14】
絶縁性のバインダー樹脂と、前記絶縁性のバインダー樹脂中に分散した請求項13に記載の絶縁被覆導電粒子と、を備える、異方導電材料。
【請求項15】
対向配置された一対の回路部材と、
請求項14に記載の異方導電材料の硬化物からなり、前記一対の回路部材の間に介在しそれぞれの回路部材が有する回路電極同士が電気的に接続されるように当該回路部材同士を接着する接続部と、を備える接続構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−69678(P2013−69678A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−193452(P2012−193452)
【出願日】平成24年9月3日(2012.9.3)
【出願人】(000004455)日立化成株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】