説明

絶縁転がり軸受用試験装置

【課題】諸性能の測定作業を能率良く行なえて信頼性の高い測定値を得る事ができ、測定作業に伴って絶縁層6を損傷しにくい構造を低コストで実現する。
【解決手段】外輪3の外周面を被覆した上記絶縁層6に対して、可撓性及び導電性を有する電極用帯状部材を巻装し、電極15とする。その後、この電極15の外周面に、帯状ゴムを上記外輪3の円周方向に引張り応力を作用させた状態で巻装し、この電極15の外径側に押圧部材16を設ける。そして、この押圧部材16に働く、収縮しようとする復元力に基づいて、上記電極15の内周側面17を上記絶縁層6に向けて押圧し、これら両面を全周に亙り密着させる。この為、上記課題を解決できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、汎用或いは鉄道車両用の電動モータの回転軸、或いは風力発電等の発電機の回転軸の様に、電流が流れる可能性がある回転支持部に組み込む、電食防止用の絶縁転がり軸受の絶縁性能を試験する為の試験装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
電動モータや発電機等、各種電気機器等の回転軸を支承する為の転がり軸受の場合、対策を講じないと、転がり軸受自体に、帰路電流、モータ軸電流等の電流が流れてしまう。転がり軸受に電流が流れた場合、電流の通路となる部分の腐食が進む、所謂電食が発生して、転がり軸受を損傷してしまう。この様な電食の発生を防止する為、転がり軸受を構成する外輪や内輪の表面に絶縁層を形成する事で、転がり軸受に電流が流れない様にする電食防止用絶縁転がり軸受が、例えば特許文献1〜7に記載されている様に、従来から知られている。
【0003】
これら各特許文献に記載された絶縁型の転がり軸受は何れも、転がり軸受を構成する軌道輪のうちで、相手部材の嵌合支持する部分に、セラミックス、合成樹脂等の絶縁層を形成して成るもので、例えば図4に示す様に構成されている。転がり軸受は、内輪1の外周面に形成した内輪軌道2と外輪3の内周面に形成した外輪軌道4との間に複数の転動体5、5を設ける事で、上記内輪1と外輪3との相対的回転を自在としている。そして、この外輪3の外周面及び軸方向両端面に、絶縁層6を形成している。この絶縁層6としては、ポリフェニレンサルファイド等の合成樹脂製被膜、或いはアルミナ等のセラミックス製の溶射層等が使用可能である。この様な電食防止用絶縁転がり軸受の場合、上記外輪3を金属製のハウジングに内嵌支持した状態では、上記絶縁層6が、これら外輪3とハウジングとを絶縁する。この結果、これら外輪3とハウジングとの間に電流が流れなくなり、上記転がり軸受の構成各部材1、3、5に、上述した様な電食が発生しなくなる。
【0004】
上述の様な絶縁型の転がり軸受に必要な性能を発揮させる為には、この転がり軸受の絶縁性能(抵抗値)、耐電圧性能、静電容量、インピーダンス等を正確に測定する必要がある。これら各性能は、上記絶縁層6の厚さ寸法を大きくすれば良好になるが、単に厚さ寸法を大きくすると、製造コストが嵩むだけでなく、絶縁層6を設けた軌道輪を相手部材に嵌合固定(図4に示した構造では、外輪3をハウジングに内嵌固定)する際に、上記絶縁層6が剥離し易くなる。勿論、この絶縁層6が剥離した場合には、必要とする絶縁性能を得られないので、この絶縁層6の厚さ寸法を過大にする事はできない。これらの事を考慮すれば、この絶縁層6の厚さ寸法は、この絶縁層6の材質や使用時に加わる電圧等の条件を考慮して、適正範囲に規制する必要がある。又、絶縁型の転がり軸受は個々の性能保証が重要である為、各製品毎に性能試験を行なってから出荷する場合もある。
【0005】
この為従来から、例えば特許文献8に記載された様な試験装置により、絶縁転がり軸受の諸性能(絶縁性能、耐電圧性能、静電容量、インピーダンス)を測定する事が行なわれている。上記特許文献8に記載される等により従来から知られている試験装置の3例に就いて、図5〜8に示す。先ず、図5〜6に示した従来構造の第1例の試験装置は、有底円筒状のケース本体7と円輪状の蓋体8とを備える。これらケース本体7と蓋体8とは、使用時に絶縁転がり軸受9を保持するハウジングと同種の金属により造っている。又、上記ケース本体7の内径は、このハウジングの内径と同じにしている。使用時には、このケース本体7に上記絶縁転がり軸受9を構成する外輪3を締り嵌めで内嵌すると共に、この外輪3を、上記ケース本体7の底面と上記蓋体8との間で挟持する。この状態で、これら外輪3とケース本体7及び蓋体8とが、この外輪3に被覆された絶縁層6により絶縁される。そこで、導線10a、10bにより、上記ケース本体7と上記絶縁転がり軸受9を構成する内輪1との間に所定の電圧を印加して、上記絶縁転がり軸受9の諸性能、即ち、絶縁性能、耐電圧性能、静電容量、インピーダンスを測定する。
【0006】
上述の様な従来構造の第1例の場合、使用状態に準じて、上記ケース本体7の内周面と上記絶縁層6の外周面とを確実に密着させる為に、このケース本体7に上記外輪3を締り嵌めで内嵌している。この内嵌作業及び試験後の取り外し作業は、プレス機等を使用して行なう必要があり、面倒で、試験作業の能率を低下させる原因となる。又、内嵌作業や取り外し作業に伴って、上記外輪3の絶縁層6を損傷する可能性がある。絶縁層6を損傷した絶縁転がり軸受9は、不良品として廃棄しなければならず、製品の歩留り悪化によるコスト上昇の原因となる。
【0007】
これに対して、図7に示した様な、従来構造の第2例の試験装置の場合には、外輪3の表面を被覆した絶縁層6を、導電ゴム製の被膜接触体11により抑え付ける事で、試験装置を構成するケース本体7aと、上記絶縁層6との接触状態を改善する事を意図している。但し、ゴム中にグラファイトやカーボンブラック等の導電性フィラーを分散させた導電ゴムの場合には、外輪表面(絶縁層6)と導電材(被膜接触体11)との接触面積が、連続した金属表面に接触させる場合に比べて狭くなる。この為、後述する(2)式からも明らかな通り、静電容量の計測値が低くなり、測定値の信頼性確保の面で問題を生じる可能性がある。又、ゴムの様な高分子材料は、圧縮される事で密度変化を生じ、抵抗値が変化してしまう。この為、上述の様な導電ゴム製の被膜接触体11を加圧して上記絶縁層6に密着させる場合には、測定値の信頼性を確保する為に、この被膜接触体11の抵抗値の変化分に就いて補正を施す必要がある。
【0008】
特に近年になって、電動機を制御する為のキャリア周波数が数十kHz以上にまで高くなっており、同時に、回路設計の高度化によりパルス波形の高精度化も進んでいる。この為、単に、絶縁転がり軸受の絶縁性能(抵抗値)を管理するだけでは不十分となる場合があり、インピーダンス特性に就いても、より正確に計測する事が求められ始めている。ここで、インピーダンス(|Z|)は、以下の(1)式に示す様に、静電容量(C)に対して反比例し、この静電容量(C)は、(2)式から明らかな様に、絶縁層に接触する電極の面積(A)の値に依存(比例)する。従って、静電容量の計測、延いては、インピーダンス特性に就いて正確な計測を行なう為には、絶縁層に対して電極の表面を密着させる必要がある。
【0009】
|Z|=1/{(1/R2 )+(2πfC)2 1/2 ・・・・(1)
|Z|:インピーダンス(Ω)、R:抵抗値(Ω)、f:周波数(Hz)、C:静電容量(F)
C=εo εr (A/S) ・・・・(2)
εo :真空中の誘電率(8.854×10-12 F/m)、εr :比誘電率、A:面積(m2 )、S:距離(m)
【0010】
一方、図8に示した、従来構造の第3例の試験装置の場合には、2分割型のケース12により、絶縁転がり軸受9の外輪3を抑え付ける様にしている。そして、この外輪3を抑え付けた状態で、上記ケース12と上記絶縁転がり軸受9の内輪1との間に電圧を印加し、この絶縁転がり軸受9の諸性能を測定する様にしている。この様な構造によれば、上記外輪3を上記ケース12に着脱する作業を容易に行なえ、この外輪3の外周面及び軸方向両端面に被覆した絶縁層を損傷する事を防止できる。但し、上記従来構造の第3例の場合には、上記ケース12を構成する1対のケース素子13a、13bの組み付け不良、即ち、これら両ケース素子13a、13bの円周方向両端部に形成した結合フランジ14a、14bの合わせ面のずれ等が発生する可能性がある。この様な組み付け不良が発生した場合には、これら両周面同士の接触面圧が不均一になり、一部で浮き上がり(面圧ゼロの状態)が発生する。この様な状態では、やはり絶縁層に対して電極の表面(ケース素子13a、13bの内周側面)を十分に密着させる事ができず、上記諸性能を正確に測定する事はできない。
【0011】
更に、前記図5〜6に示した従来構造の第1例の試験装置の場合、前述した様に、ケース本体7に絶縁転がり軸受9を構成する外輪3を締り嵌めで内嵌した状態で、絶縁試験を行なう。この為、上記ケース本体7の剛性を確保する必要があり、このケース本体7の肉厚を極端に薄くする事は困難である。従って、試験装置の小型化、軽量化を図る事が難しく、コスト増大の原因になっていた。又、上記図8に示した従来構造の第3例の試験装置の場合にも、やはりケース12(1対のケース素子13a、13b)の剛性を確保する必要があり、このケース12の肉厚を極端に薄くする事は困難である。この為、やはり試験装置の小型化及び軽量化を図り、コスト低減を図る事は難しい。
【0012】
【特許文献1】特開平1−182621号公報
【特許文献2】特開平5−52223号公報
【特許文献3】特開平5−312216号公報
【特許文献4】実開昭60−85626号公報
【特許文献5】実公平6−2030号公報
【特許文献6】特開2005−133876号公報
【特許文献7】特開2003−183806号公報
【特許文献8】特開2005−17251号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上述の様な事情に鑑み、諸性能の測定作業を能率良く行なえて、しかも信頼性の高い測定値を得る事ができ、測定作業に伴って絶縁層を損傷しにくい、低コストの絶縁転がり軸受用試験装置を実現すべく発明したものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の絶縁転がり軸受用試験装置は、前述した従来から知られている絶縁転がり軸受用試験装置と同様に、絶縁転がり軸受を試験する為に使用する。
この試験の対象となる絶縁転がり軸受は、金属製の内輪の外周面に形成した内輪軌道と金属製の外輪の内周面に形成した外輪軌道との間に金属製の転動体を設けると共に、上記内輪の内周面と上記外輪の外周面とのうちの少なくとも一方の周面を絶縁層で被覆して成る。そして、この絶縁層で被覆した周面を相手部材に嵌合した状態で使用される。
上記絶縁転がり軸受用試験装置は、この様な絶縁転がり軸受を試験する為に、保持部と電圧印加手段とを備える。このうちの保持部は、上記絶縁層により被覆された周面を保持面で抑え付ける事により、この絶縁層により周面を覆われた、上記内輪と上記外輪とのうちの一方である絶縁被覆軌道輪を保持する。又、上記電圧印加手段は、この絶縁被覆軌道輪と上記保持面との間に、上記絶縁層(並びに、各転動体及び他の軌道輪)を介して電圧を印加する。
特に、本発明の絶縁転がり軸受用試験装置に於いては、上記保持部が、上記電圧印加手段を構成し、内外両周面のうちの一方の周面であって、上記絶縁層により被覆された周面と対向する保持周面に上記保持面を設けた円筒形(円環状)の電極と、この電極を直径方向に押圧する事により、この保持面と上記絶縁層により被覆された周面とを全周に亙り隙間なく当接させる為の押圧部材とから成る。このうちの電極は、可撓性及び導電性を有する薄板を、上記絶縁層により被覆された周面に巻装する事により成る。又、上記押圧部材は、例えばゴム、合成樹脂の如きエラストマ等の高分子材料製、或いは、弾性係数の大きい金属薄板製で、上記電極の他方の周面(保持面とは径方向反対の周面)に、円周方向若しくは径方向への応力を作用させた(円周方向若しくは径方向に弾性変形させた)状態で(例えば巻き付けたり、或いは、直径を弾性的に拡縮した状態で嵌合する事により)積層している。
【0015】
上述の様な本発明の絶縁転がり軸受用試験装置を実施する場合に、例えば請求項2に記載した様に、絶縁被覆軌道輪を外輪とし、保持面を電極の内周面とする。そして、この電極と共に保持部を構成する押圧部材を、この電極の外周面に、円周方向若しくは径方向への引張り応力を作用させた状態で積層する。
又、上述の様な請求項2に記載した発明を実施する場合に、例えば請求項3に記載した様に、上記押圧部材として、熱収縮性樹脂製で円環状に形成したものを使用し、この押圧部材を、電極の外周面に、熱収縮させた状態で積層する。
更に、上述の様な請求項2〜3に記載した発明を実施する場合に、例えば請求項4に記載した様に、電極に、円周方向への引張り応力を作用させる。この場合に、この電極に作用させる引張り応力の大きさは、押圧部材に作用させる引張り応力の大きさに比べて小さくする。或いは、上述の様な請求項2〜3に記載した発明を実施する場合に、例えば請求項5に記載した様に、電極に、円周方向への圧縮応力を作用させる。
【0016】
又、上述の様な請求項1に記載した本発明の絶縁転がり軸受用試験装置を実施する場合に、例えば請求項6に記載した様に、絶縁被覆軌道輪を内輪とし、保持面を電極の外周面とする。そして、この電極と共に保持部を構成する押圧部材を、この電極の内周面に、円周方向若しくは径方向への圧縮応力を作用させた状態で積層する。
又、上述の様な請求項6に記載した発明を実施する場合に、例えば請求項7に記載した様に、電極に、円周方向への圧縮応力を作用させる。この場合に、この電極に作用させる圧縮応力の大きさは、押圧部材に作用させる圧縮応力の大きさに比べて小さくする。或いは、上述の様な請求項6に記載した発明を実施する場合に、例えば請求項8に記載した様に、電極に、円周方向への引張り応力を作用させる。
更に、上述した請求項1〜8に記載した発明を実施する場合に好ましくは、請求項9に記載した様に、電極を、金属薄板(金属箔を含む)製とする。
【発明の効果】
【0017】
上述の様に構成する本発明の絶縁転がり軸受用試験装置によれば、諸性能の測定作業を能率良く行なえて、しかも、信頼性の高い測定値を得る事ができる。又、測定作業に伴って絶縁層を損傷しにくい。更に、コストの低減を図る事ができる。
即ち、本発明の場合、上記保持部を構成する押圧部材が発揮する復元力(押圧部材を弾性材により構成した場合)、或いは、熱変形力(押圧部材を熱収縮性樹脂等により構成した場合)に基づいて、上記電極に設けられた保持面を、上記絶縁層に対して、ほぼ全周に亙って均一に、且つ、隙間なく当接(密着)させた状態で、諸性能の試験を行なう事ができる。
従って、上記諸性能のうち、特にインピーダンス及び静電容量に関しても、信頼性の高い測定値を得る事ができる。
又、前述した従来構造の場合の様に、上記電極と上記絶縁層とが強く擦れ合う事がない為、絶縁転がり軸受の試験装置への着脱作業、延いては上記諸性能の測定作業の能率化を図れる。又、着脱作業の際に、上記絶縁層を損傷する事もない。
更に、試験装置の小型化及び軽量化を図れ、コスト低減を図る事ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
[実施の形態の第1例]
図1〜2は、請求項1、2、9に対応する、本発明の実施の形態の第1例を示している。本例の場合、外周面及び軸方向両側面を絶縁層6により被覆された外輪3の外径側に、特許請求の範囲に記載した保持部を構成する、電極15と押圧部材16とを2層に積層した状態で設けている。そして、同じく特許請求の範囲に記載した保持面である、上記電極15の内周側面17により、上記外輪3の外周面を被覆した絶縁層6を抑え付けている。
【0019】
本例の場合、上記電極15は、図2の(A)の上下方向中間部右寄り部分に示した、金属薄板製の電極用帯状部材18を、図2の(B)に示す様に、上記外輪3の外周面を被覆した絶縁層6に沿って巻装する(巻き回す)事により構成している。本例の場合には、上記電極用帯状部材18として、厚さが約0.1mmのアルミニウム合金製のものを使用しているが、この電極用帯状部材18としては、可撓性及び導電性を有する材料製であれば良く、鋼板等を使用する事もできる。又、この電極用帯状部材18の厚さは、0.02〜0.3mm(更に好ましくは0.05〜0.2mm)の範囲内に規制する事が好ましい。この理由は、厚さが0.02mmよりも小さくなると、この電極用帯状部材18の取り扱い性が悪くなり、巻装作業の効率が悪化する為であり、0.3mm以上に大きくなると、上記電極用帯状部材18の可撓性が低下する為である。
【0020】
上述の様にして、絶縁被覆軌道輪である上記外輪3の外径側(絶縁層6の外周面)に、上記電極15を積層した後は、この電極15の外径側に上記押圧部材16を積層する。この押圧部材16は、上記図2の(A)の下端寄り部分に示した帯状ゴム19を、図2の(C)に示す様にして、上記電極15の外周面に巻装する事により構成する。本例の場合には、この帯状ゴム19として、ニトリルゴム製で、厚さが約2mmのものを使用している。 但し、例えば肉厚が0.1mm程度のSPC材等の鋼板を使用する事もできる。
【0021】
特に本例の場合、上記帯状ゴム19を巻装する作業を、この帯状ゴム19に上記外輪3の円周方向への引張り応力を作用させ、この帯状ゴム19を伸長させた状態で行なっている。この様な状態でこの帯状ゴム19を上記電極15の外周面に巻装すれば、巻装後の状態で、この帯状ゴム19(押圧部材16)は、収縮しようとする復元力を発揮する。この為、本例の場合には、この復元力を利用して、上記押圧部材16の内径側に配置された上記電極15を、直径を収縮させる方向に(径方向内方に)押圧している。この結果、この電極15の内周側面17が、上記外輪3の外周面を被覆した絶縁層6に、全周に亙り隙間なく当接(密着)する。尚、上記帯状ゴム19の伸長量は、この帯状ゴム19を構成する材料の弾性係数等を考慮して決定する。
【0022】
更に、本例の場合には、図2の(A)の上下方向中間部に示した、それぞれが金属製で円盤状の上側支持ブロック20と下側支持ブロック21とを用いて、上記絶縁転がり軸受9を構成する外輪3を軸方向両側(上下方向)から挟持する。この為に、本例の場合には、上記上側支持ブロック20と上記下側支持ブロック21とを、抑えボルト23を用いて連結している。又、図1に示す様な組立状態で、上記上側支持ブロック20の下面中央部、及び、上記下側支持ブロック21の上面中央部には、それぞれの直径寸法が、上記絶縁転がり軸受9を構成する内輪1の外径寸法よりも大きい円形の凹部22a、22bを設けている。
【0023】
以上の様な構成により、上記上側支持ブロック20の下面外径寄り部分を、上記外輪3の軸方向一端面(図1の上端面)に、上記下側支持ブロック21の上面外径寄り部分を、この外輪3の軸方向他端面(図1の下端面)に、それぞれ絶縁層6を介して全周に亙り突き当てている。上記両凹部22a、22bの存在により、上記上側、下側両支持ブロック20、21と上記内輪1とが接触する事はない。この様にして本例の場合には、これら上側、下側両支持ブロック20、21を介して、上記絶縁転がり軸受9を構成する内輪1や転動体5に電圧が印加される事を防止し、絶縁転がり軸受の試験の信頼性が低下する事を防止している。
尚、上記両支持ブロック20、21を構成する材料としては、導電性を有するものであれば良く、例えば上記電極15(電極用帯状部材18)と同じ材料を使用できる。
【0024】
上述の様にして、本例の絶縁転がり軸受用試験装置の準備作業が済んだならば、図2の(D)に示す様にして、導線10aを使用し、上記電極15に、上記上側支持ブロック20を介して電圧を印加する。同時に、この上側支持ブロック20に設けた通孔24を挿通した導線10bにより、上記絶縁転がり軸受9を構成する外輪3の内周面(絶縁層6により覆われていない部分)に電圧を印加する。この状態で、上記絶縁転がり軸受9を構成する外輪3の表面に被覆した絶縁層6の両側に所定の電圧が印加された状態になるので、上記絶縁転がり軸受9の諸性能、即ち、絶縁性能、耐電圧性能、静電容量、インピーダンスを測定する。本例の場合には、上記電極15の内周側面17と上記絶縁層6とを、全周に亙り密接させる事ができるので、上記諸性能に関して、信頼性を有する測定値を得られる。特に、上記電極15の内周側面17と上記絶縁層6とが、それぞれ全周に亙って当接するので、当接面積を広く、且つ、安定して得られる。この為、従来装置の様に絶縁抵抗及び耐電圧を求められるだけでなく、静電容量及びインピーダンスも、より正確に測定できる。
尚、上記導線10a、10bの取付位置は、図1及び図2の(D)に示した位置に限定されず、例えばこのうちの導線10aを、上記電極15に直接接続する事もできるし、或いは、押圧部材16を導電性を有する材料により造る場合には、この押圧部材16に接続しても良い。
【0025】
以上の様にして測定作業が終了した後は、準備作業と逆の手順で、上記絶縁転がり軸受9を取り出す。これら準備作業と取り出し作業との間中、上記外輪3の表面に被覆した絶縁層6が相手部材である上記電極15の内周側面17と強く擦れ合う事はない為、これら準備作業と取り出し作業を容易に行なえるし、上記絶縁層6が損傷する事もない。特に、本例の場合には、上記押圧部材16を、帯状ゴム19を巻装する事により構成している為、この押圧部材16の装着時に絶縁層6が損傷する事もない。
【0026】
更に、本例の場合には、前述した従来構造の第1〜3例の様に、上記絶縁転がり軸受9(外輪3)を、ケース(の保持部)に対して締り嵌めで内嵌固定する必要がない。即ち、本例の場合には、絶縁被覆軌道輪である上記外輪3を、それぞれが薄肉状の電極15と押圧部材16とを積層して成る保持部によって保持する様にしている。この為、保持部に関して、薄肉化を図る事ができ、試験装置の小型化を図る事ができる。又、軽量化を図る事もできる。従って、本例の試験装置は、従来構造の試験装置に比べて、低コスト化を図る事ができる。
【0027】
[実施の形態の第2例]
図3は、請求項1〜3、9に対応する、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の特徴は、電極15と共に保持部を構成し、この電極15の外径側に積層する押圧部材16aを、熱収縮性樹脂製とした点にある。その他の部分の構成及び作用・効果は、上述した実施の形態の第1例の場合と同様である為、重複する図示並びに説明は省略若しくは簡略にし、以下、本例の特徴部分を中心に説明する。
【0028】
本例の場合にも、前記図2の(A)に示す様にして、絶縁被覆軌道輪である外輪3の外径側(絶縁層6の外周面)に、電極用帯状部材18を巻き回し、上記電極15を積層する。その後、図3の(A)→(B)に示す様に、この電極15の周囲に、円環状の押圧部材16aを配置する。この押圧部材16aは、熱収縮性樹脂であるポリオレフィン樹脂から造られており、加熱前{図3の(A)(B)の状態で、熱収縮前}の内径寸法d16a1を、上記電極15の外径寸法D15よりも僅かに大きくしている(d16a1>D15)。この為、上記図3の(B)に示す様に、上記押圧部材16aを上記電極15の周囲に配置した状態で、この押圧部材16aの内周面とこの電極15の外周面との間には、円環状の隙間25が設けられる。この様にして、上記押圧部材16aを上記電極15の周囲に配置した後は、この押圧部材16aを加熱し、その温度を、ポリオレフィン樹脂の収縮温度である約100℃程度にまで上昇させ、上記押圧部材16aを熱収縮させる。
【0029】
尚、本例の場合には、上記押圧部材16aの加熱前(熱収縮前)の内径寸法d16a1を、この押圧部材16aを構成するポリオレフィン樹脂の収縮率、及び、上記外輪3(絶縁層6)に作用させる面圧に基づき定めている。即ち、上記押圧部材16aを、その内側に何も配置せずに熱収縮させた場合の内径寸法d16a2を、上記電極15の外径寸法D15よりも小さく(d16a2<D15)すると共に、この小さくする程度を、上記押圧部材16aの熱収縮に基づいて、上記電極15の内周側面17(図1参照)から上記外輪3に作用する面圧と、実際の使用状態でこの外輪3に作用する面圧とがほぼ等しくなる様に、上記加熱前の内径寸法d16a1を設定する。
又、上記押圧部材16aを加熱する手段としては、例えば、ヒーティングガン、赤外線ヒータ、電気炉等を使用する事ができる。但し、何れの方法を採用した場合にも、上記押圧部材16aを、円周方向に亙って均一に加熱する(熱ムラができない様にする)。
【0030】
上述の様な内径寸法を有する上記押圧部材16aを加熱し、熱収縮させると、この押圧部材16aの内周面と上記電極15の外周面との間の隙間25(の幅寸法)は小さくなり、やがて図3の(C)に示す様に、完全に消滅する。そして、この様に隙間25が消滅した後も、上記押圧部材16aは、上述した様な内径寸法d16a2{図3の(A)参照}になるまで収縮しようとする。この為、本例の場合には、この収縮しようとする力、即ち、熱変形力を利用して、上記押圧部材16aの内径側に配置された上記電極15を、直径を収縮させる方向(径方向内方)に押圧する。そして、この状態で、上記押圧部材16aは、上記電極15の外径側に、円周方向の引張り応力が作用した状態で積層され、この電極15は、円周方向に関して均一に、径方向内方に押圧される。この結果、本例の場合にも、この電極15の内周側面17を、上記外輪3の外周面を被覆した絶縁層6に、全周に亙り隙間なく当接(密着)させる事ができる。
【0031】
上述の様にして、上記電極15の内周側面17を上記絶縁層6に当接させた後は、上述した第1例の場合と同様に、それぞれが金属製で円盤状の上側、下側支持ブロック20、21(図1参照)を用いて、上記絶縁転がり軸受9を構成する外輪3を軸方向両側(上下方向)から挟持する。そして、この様にして、本例の絶縁転がり軸受用試験装置の準備作業が済んだならば、前記図2の(D)に示した場合と同様に、上記外輪3の表面に被覆した絶縁層6の両側に、所定の電圧を印加して、上記絶縁転がり軸受9の諸性能、即ち、絶縁性能、耐電圧性能、静電容量、インピーダンスを測定する。尚、この様にして、上記絶縁転がり軸受9の諸性能を測定する為の試験が終了した後は、上記押圧部材16aの円周方向の一部を、カッタ等を用いて切断する事により、上記転がり軸受9を取り出す。
【0032】
上述の様に、本例の場合には、上記電極15の内周側面17を上記絶縁層6に全周に亙り密着させる為に、上記押圧部材16aの熱収縮性(熱変形力)を利用する。この為、上記内周側面17を上記絶縁層6に密着させる作業の作業効率を向上できる共に、密着性の信頼性も確保できる。即ち、本例の場合には、熱収縮前の押圧部材16aの内径寸法d16a1を、上記電極15の外径寸法D15よりも大きくできる為、この押圧部材16aをこの電極15の周囲に配置する作業を容易に行なう事ができて、密着作業にプレス機等を使用する場合に比べ、作業効率を向上させる事ができる。
【0033】
尚、本例の場合には、絶縁転がり軸受の試験を行なう毎に、常に新しい(新品)の押圧部材16aを使用するが、ポリオレフィン樹脂等の熱収縮性樹脂により構成される押圧部材16aは、前述した従来構造の第1〜3例で使用する様な金属製のケースに比べて、単価を十分に低く抑えられる(低コストで作製できる)。この為、常に新品の押圧部材16aを使用する事によるコストの上昇を、十分に低く抑えられる。又、この様に、常に新品の押圧部材16aを使用する事により、この押圧部材16aが熱収縮する事で発揮する押圧力を、試験毎にほぼ等しくする事ができる。この為、本例の場合には、上記金属製のケースを繰り返し使用する場合の様に、このケースの内周面(保持面)が摩耗や破損等して、次第に絶縁層6との密着性が不足すると言った問題が生じる事もなく、密着度に関する信頼性を確保する面で有利になる。
尚、上記押圧部材16aを構成する熱収縮性樹脂としては、上述した様なポリオレフィン樹脂の他にも、例えばフッ素樹脂、ナイロン樹脂、ウレタン樹脂等を利用する事ができる。
その他の構成及び作用・効果は、上述した実施の形態の第1例の場合と同様である。
【産業上の利用可能性】
【0034】
前述した実施の形態の第1例及び第2例の準備作業の中で、前記電極用帯状部材18の巻装作業を行なう際には、この電極用帯状部材18に、前記外輪3の円周方向への引張り応力を作用(伸長)させたり(請求項4の場合)、或いは、圧縮応力を作用(収縮)させた状態で行なう事もできる(請求項5の場合)。この様に、電極用帯状部材18に応力を作用させた状態で巻装作業を行なえば、前述した帯状ゴム19より成る押圧部材16の場合と同様に、前記電極15に復元力を発揮させる事ができる。この為、これら押圧部材16、16a及び電極15を構成する材料や、弾性係数、内径寸法(熱収縮性樹脂より成る押圧部材16aの場合)等を変更する事なく、上記電極15の内周側面17が、前記絶縁層6を押圧する力を細かく調整する事ができて、この絶縁層6に作用する面圧を、実際の使用状態と同じに規制し易くできる。具体的には、上記電極15に、円周方向への引張り応力を作用させる場合には、上記押圧部材16、16aだけに引張り応力を作用させる場合に比べて、上記内周側面17が、上記絶縁層6を押圧する力を大きくできる。これに対して、上記電極15に、円周方向への圧縮応力を作用させた場合には、上記内周側面17が、上記絶縁層6を押圧する力を小さくできる。
【0035】
又、上述した実施の形態の第1例の説明に於いては、上記電極15として、帯状の電極用帯状部材18を巻装して成るものを示したが、ばね材等で造られた略C字形の部材を用いる事もできる。同様に、上記押圧部材16は、帯状ゴム19を巻装して成るものに限定されず、例えば実施の形態の第2例で示した様に、初めから円筒形(円環状)の形状をした押圧部材(帯状金属板を円筒状に丸めて、円周方向両端部を自由端としたものを含む)を使用する事もできる。この場合には、電極の外周面への取付作業を容易にする事ができて、作業効率を向上させる事ができる。この場合、上記押圧部材には、円周方向及び径方向への応力を作用させた状態で取付作業を行なう。尚、上記帯状ゴム19を使用した場合には、この帯状ゴム19の端縁部同士を、図示しないストッパ部材により結合して、上記押圧部材16とする事もできる。ストッパ部材を使用すれば、上記帯状ゴム19の取付作業及び取り外し作業が容易になるだけでなく、伸長量(作用させる応力の大きさ)を簡単に調整できる為、押圧部材16に発揮させる復元力の大きさを簡単に調節できる。又、この押圧部材16を、1枚の帯状ゴム19により構成するだけでなく、例えば弾性係数の異なる複数枚(例えば2〜3枚)の帯状ゴムを積層して押圧部材とする事もできる。
【0036】
又、絶縁被覆軌道輪が外輪である場合だけでなく、絶縁被覆軌道輪が内輪である場合にも、本発明を適用できる事は勿論である。絶縁被覆軌道輪が内輪である場合には、押圧部材に作用させる応力が、引張り応力ではなく圧縮応力になると共に、保持部(電極及び押圧部材)を設ける位置、保持面の押し付け方向等が、上記外輪の場合とは、径方向に関して内と外とで逆になるが、基本的な構造及び作用は、上述した外輪の場合とほぼ同じである。又、この様に絶縁被覆軌道輪が内輪である場合には、押圧部材として、塩化ビニル樹脂等の熱膨張性樹脂から成る押圧部材を用いる事ができる。そして、この様な熱膨張性樹脂から成る押圧部材を用いる場合には、この押圧部材を、電極の内周面に熱膨張させた状態で積層する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の実施の形態の第1例を示す断面図。
【図2】同じく準備作業から測定作業までの作業の流れを示す斜視図。
【図3】本発明の実施の形態の第2例の要部を示す工程図。
【図4】本発明の試験装置による試験対象となる絶縁転がり軸受の1例を示す断面図。
【図5】従来の試験装置の第1例を示す断面図。
【図6】同分解斜視図。
【図7】従来の試験装置の第2例を示す断面図。
【図8】同第3例を示す断面図。
【符号の説明】
【0038】
1 内輪
2 内輪軌道
3 外輪
4 外輪軌道
5 転動体
6 絶縁層
7、7a ケース本体
8、8a 蓋体
9 絶縁転がり軸受
10a、10b 導線
11 被膜接触体
12 ケース
13a、13b ケース素子
14a、14b 結合フランジ
15 電極
16、16a 押圧部材
17 内周側面
18 電極用帯状部材
19 帯状ゴム
20 上側支持ブロック
21 下側支持ブロック
22a、22b 凹部
23 抑えボルト
24 通孔
25 隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属製の内輪の外周面に形成した内輪軌道と金属製の外輪の内周面に形成した外輪軌道との間に金属製の転動体を設けると共に、上記内輪の内周面と上記外輪の外周面とのうちの少なくとも一方の周面を絶縁層で被覆して成り、この絶縁層で被覆した周面を相手部材に嵌合した状態で使用される絶縁転がり軸受を試験する為に、上記絶縁層により被覆された周面を保持面で抑え付ける事により、この絶縁層により周面を覆われた、上記内輪と上記外輪とのうちの一方である絶縁被覆軌道輪を保持する保持部と、この絶縁被覆軌道輪と上記保持面との間に上記絶縁層を介して電圧を印加する電圧印加手段とを備えた絶縁転がり軸受用試験装置に於いて、上記保持部が、この電圧印加手段を構成し、内外両周面のうちの一方の周面であって、上記絶縁層により被覆された周面と対向する保持周面に上記保持面を設けた円筒形の電極と、この電極を直径方向に押圧する事により、この保持面と上記絶縁層により被覆された周面とを全周に亙り隙間なく当接させる為の押圧部材とから成り、このうちの電極は、可撓性及び導電性を有する薄板を上記絶縁層により被覆された周面に巻装して成るもので、上記押圧部材は、上記電極の他方の周面に、円周方向若しくは径方向への応力を作用させた状態で積層されている事を特徴とする絶縁転がり軸受用試験装置。
【請求項2】
絶縁被覆軌道輪が外輪であり、保持面が電極の内周面であり、この電極と共に保持部を構成する押圧部材が、この電極の外周面に、円周方向若しくは径方向への引張り応力を作用させた状態で積層されている、請求項1に記載した絶縁転がり軸受用試験装置。
【請求項3】
押圧部材が、熱収縮性樹脂製で円環状に形成されており、電極の外周面に、熱収縮させた状態で積層されている、請求項2に記載した絶縁転がり軸受用試験装置。
【請求項4】
電極に、円周方向への引張り応力を作用させており、この電極に作用させる引張り応力の大きさが、押圧部材に作用させる引張り応力の大きさに比べて小さい、請求項2〜3のうちの何れか1項に記載した絶縁転がり軸受用試験装置。
【請求項5】
電極に、円周方向への圧縮応力を作用させている、請求項2〜3のうちの何れか1項に記載した絶縁転がり軸受用試験装置。
【請求項6】
絶縁被覆軌道輪が内輪であり、保持面が電極の外周面であり、この電極と共に保持部を構成する押圧部材が、この電極の内周面に、円周方向若しくは径方向への圧縮応力を作用させた状態で積層されている、請求項1に記載した絶縁転がり軸受用試験装置。
【請求項7】
電極に、円周方向への圧縮応力を作用させており、この電極に作用させる圧縮応力の大きさが、押圧部材に作用させる圧縮応力の大きさに比べて小さい、請求項6に記載した絶縁転がり軸受用試験装置。
【請求項8】
電極に、円周方向への引張り応力を作用させている、請求項6に記載した絶縁転がり軸受用試験装置。
【請求項9】
電極が、金属薄板製である、請求項1〜8のうちの何れか1項に記載した絶縁転がり軸受用試験装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−164585(P2008−164585A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−244768(P2007−244768)
【出願日】平成19年9月21日(2007.9.21)
【出願人】(000004204)日本精工株式会社 (8,378)
【Fターム(参考)】