説明

緊急警戒警報機能を有する装置の自己診断テスト

テレビジョン信号受信機(20)、ラジオまたは他のデバイスのような装置は、緊急警戒警報機能に関する自己診断テストを実行する。実施例により、装置(20)は緊急警戒警報機能に関連するテスト・データを記憶するメモリ(27)を具える。デコーダ(26)はテスト・データを復号化し、テスト信号を発生する。プロセッサ(27)は、テスト信号を処理し、緊急警戒警報機能の動作状態を検知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
一般に、本発明は、緊急警戒警報(emergency alert:非常警戒警報)機能を有するテレビジョン受信機、ラジオ、その他の装置に関し、特に、緊急警戒警報機能の適正な動作を確保するために行う、当該装置の自己診断テストに関する。
【背景技術】
【0002】
荒天、自然災害、火事、国内の危機、戦争、有毒薬品の流出、放射線漏れなどの非常事態は、準備のない個人に破壊をもたらす。気象に関連する緊急事態について、米国立測候所(NWS:National Weather Service)および政府の米国立海洋大気庁(NOAA:National Oceanographic and Atomospheric Administration)のような当局は一般に、大衆に先立ち、厳しい気象状態を検知することができる。ドップラー・レーダや気象衛星のような近代的気象検知装置を使用して、NWSとNOAAは、厳しい気象状態の早期警報を発することができ、多数の人命を救出することができる。しかしながら、このような警報は、その対象となる受信者に効果的に伝達されなければならない。
【0003】
或る種の装置は、米国立測候所(NWS)および米国立海洋大気庁(NOAA)のようなソースから発生される緊急警戒警報信号を受信することができ、特定区域メッセージ符号化(SAME:Specific Area Message Encoding)技術を使用して緊急警戒警報機能を提供する。一般に、SAME技術を使用する装置では、緊急警戒警報機能の設定(セットアップ)プロセスを実行することがユーザに要求され、このため、緊急警戒警報信号を受信するためにモニタ(傍受)される周波数帯(チャネル)、1つまたは複数の地理的区域(エリア)、および緊急警戒警報機能を起動させる非常事態のタイプ(型)を選択する必要がある。設定プロセスが完了すると、緊急警戒警報機能が起動され、入来する緊急警戒警報信号(特定区域メッセージ符号化(SAME)データを含む)は、設定プロセスでユーザが選択した地理的区域および非常事態のタイプに該当する非常事態の発生を表示する。緊急警戒警報機能が起動されると、オーディオ(音声)またはビデオ(映像)メッセージのような警報出力が発生され、緊急事態について個々の人々に警報を発する。
【0004】
特定区域メッセージ符号化(SAME)技術のような技術を使用する緊急警戒警報機能を有する装置では、緊急警戒警報機能の適正な動作を確保することが望ましい。現在このような装置は、週1回放送される/或いは外部のテスト設備から発生される、テスト信号を受信し処理することにより緊急警戒警報機能の動作をテストする。特に、このような装置はテスト信号を処理して、設定プロセスの間にユーザが選択した地理的区域および緊急事態のタイプに該当する非常事態の発生をテスト信号が伝えると、緊急警戒警報機能が確実に起動されるようにする。
【0005】
上記のテスト・プロセスでは、外部のテスト設備が使用されなければ緊急警戒警報機能に関連する誤動作を週に1回以上検知できないので問題があり、非常事態が事前に発生すると事態はいっそう悪化する。従って、このような問題を避け、それにより、放送されるテスト信号に頼ることなく、或いは外部のテスト設備を使用することなく、装置の緊急警戒警報機能の動作をテストすることのできる技術が必要である。本発明はこのような問題、およびその他の問題に取り組む。
【発明の開示】
【0006】
本発明の一態様により、緊急警戒警報機能を有する装置を開示する。1つの実施例によれば、この装置は、緊急警戒警報機能に関連するテスト・データを記憶するメモリ手段を具える。復号化手段(デコーダ)は、テスト・データを復号化してテスト信号を発生する。処理手段(プロセッサ)は、テスト信号を処理して、緊急警戒警報機能の動作状態を検知する。
【0007】
本発明の別の態様による、装置の緊急警戒警報機能の自己診断テストを実行する方法を開示する。実施例によれば、この方法は、装置内にあるメモリから、緊急警戒警報機能に関連するテスト・データを取り出すステップと、テスト・データを復号化し、テスト信号を発生するステップと、テスト信号を処理して、緊急警戒警報機能の動作状態を検知するステップと、から成る。
【0008】
本発明の別の態様による、緊急警戒警報機能を有する、テレビジョン信号受信機を開示する。実施例によれば、このテレビジョン信号受信機は、緊急警戒警報機能に関連するテスト・データを記憶するメモリを具える。デコーダはテスト・データを復号化し、テスト信号を発生する。プロセッサは、テスト信号を処理して、緊急警戒警報機能の動作状態を検知する。
【0009】
上述した、およびその他の、本発明の特徴と利点、並びにこれらを達成する方法は、添付されている図面と共に本発明の実施例についての以下の説明を参照して、いっそう明白となり、本発明はよりよく理解される。
【0010】
本明細書中で、本発明の好ましい実施例を示すが、これらの実施例は決して、本発明の範囲を制限するものと解釈してはならない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1に、本発明を実施するのに適する環境を例示する。図1で、環境100は、信号の送信源(ソース)10のような信号送信手段、住宅15(1、2、3...N:Nは任意の整数)のような居住手段、およびテレビジョン信号受信機20のような信号受信手段から成る。
【0012】
図1で、住宅15は、特定の大陸、国家、地域、州、エリア・コード、郵便番号、都市、郡、地方自治体、細分、および限定可能なその他の地理的区域内に位置する、住宅、営業所/事業所、その他の居住場所を表すが、これらに限定されない。実施例によれば、住宅15の各々は、緊急警戒警報機能を有する少なくとも1台のテレビジョン信号受信機20を具える。本発明により、緊急警戒警報機能は、テレビジョン信号受信機20に緊急警戒警報信号を受信させ、1つまたは複数の警報出力を発生させ、非常事態を個人に伝えることができる。例示するために、本発明はテレビジョン信号受信機20に関して説明するが、本発明の原理は、ラジオのような他の装置にも利用できる。
【0013】
実施例によれば、信号送信源10は、各テレビジョン信号受信機20で受信されるオーディオ(音声)、ビデオ(映像)および他の緊急警戒警報信号を含む信号を送信する。1つの実施例によれば、緊急警戒警報信号は、米国立測候所(NWS)のような当局、または政府政機関などのような他の当局から供給される。信号送信源10は、当局から供給される緊急警戒警報信号を原形のままで送信し、または緊急警戒警報信号を表すディジタル・データを他のデータに追加し、或いは緊急警戒警報信号を、その特定の送信形式のニーズに適するように変更する。緊急警戒警報信号に応答して、各テレビジョン信号受信機20は、1つまたは複数の警報出力を発生し、個々の人々に緊急事態を通知する。信号送信源10は、地上、ケーブル、衛星、光ファイバ、ディジタル加入者線(DSL)、および他の形式の放送/マルチキャスト(同報通信)手段のような、有線または無線リンク(しかし、これらに限定されない)を介して、テレビジョン信号受信機20に信号を送信する。
【0014】
図2に、図1のテレビジョン信号受信機20の実施例をブロック図で示す。図2で、テレビジョン信号受信機20は、信号受信要素21のような信号受信手段、チューナ22のような同調手段、復調器23のような復調手段、音声増幅器24のような音声増幅手段、スピーカ25のような音声出力手段、デコーダ26のような復号化手段、プロセッサおよびメモリ27のような処理手段およびメモリ手段、ビデオ・プロセッサ28のようなビデオ処理手段、およびディスプレイ29のような映像出力手段、から成る。上述した構成要素の幾つかは、集積回路(IC)で具体化される。説明を簡単にするため、制御信号、電源(パワー)信号、またはテレビジョン信号受信機20に関連する、他の或る種の従来要素は図2に示さない。
【0015】
信号受信要素21は、信号送信源10(図1)のような信号源からの信号(音声、映像および/または緊急警戒警報信号を含む)を受信する。1つの実施例によれば、受信された音声信号は、ディジタル的に符号化された緊急警戒警報信号を含んでいる。別の実施例によれば、緊急警戒警報信号は、ディジタル送信システムにおいて別個のデータ・パケットとして受信される。信号受信要素21は、アンテナ、入力端子、または他の要素のような任意の信号受信要素として具体化される。
【0016】
チューナ22は、信号(音声、映像および/または緊急警戒警報信号を含む)に同調する。1つの実施例によれば、チューナ22は、少なくとも以下に指定する米国立測候所(NWS)周波数の音声信号に同調する。即ち、162.400MHz、162.425MHz、162.450MHz、162.475MHz、162.500MHz、162.525MHz、162.550MHzである。前述のように、このような音声信号には、ディジタル符号化された緊急警戒警報信号が含まれる。チューナ22は、地上、ケーブル、衛星および/または他の送信に使用される他の周波数帯(チャネル)にも同調する。
【0017】
復調器23は、チューナ22から供給される信号を復調し、アナログまたはディジタルの送信形式の信号を復調する。実施例によれば、復調器23は音声信号を復調して、米国立測候所(NWS)音声メッセージ、警報トーンまたは他の音声内容を表す復調された音声信号を発生する。音声増幅器24はプロセッサ27から供給される1つまたは複数の制御信号に応答して、復調器23から出力される音声信号を増幅する。スピーカ25は、音声増幅器24から供給される増幅された音声信号を聴覚的に出力する。
【0018】
デコーダ26は、信号(音声、映像、または緊急警戒警報信号を含む)を復号化する。実施例によれば、デコーダ26は音声信号を復号化し、非常事態を示す緊急警戒警報信号を表すディジタル符号化されたFSK(Frequency Shift Keyed:周波数偏移キーイング)信号を抽出する。また、デコーダ27は、緊急警戒警報機能に関連するテスト・データを含むディジタル・データを復号化するる。また、デコーダ27は、アナログ・テレビジョン信号の垂直帰線消去期間(VBI)内に含まれる緊急警戒警報信号を表すデータを復号化するような、他の復号化機能も実行する。
【0019】
実施例によれば、緊急警戒警報信号は、非常事態に関するSAMEデータから成るデータを含んでいる。SAMEデータは、非常事態の影響を受ける特定の地理的区域、非常事態のタイプ(例えば、竜巻注意報、放射線危険警報、国内の危機など)、および警戒警報の終了する時のような、情報を表すディジタル・コードから成る。特定区域メッセージ符号化(SAME)データは、緊急警報の特殊性を改善し、且つ誤報の頻度を減少させるため、NWSおよび他の当局により使用される。本発明によれば、他のデータおよび情報も緊急警戒警報信号の中に含められる。
【0020】
プロセッサ/メモリ27は、テレビジョン信号受信機20の種々の処理機能/データ蓄積機能を実行する。プロセッサ27は、デコーダ26から緊急警戒警報信号を受信し、テレビジョン信号受信機20の緊急警戒警報機能が、緊急警戒警報信号内に含まれているデータに基づいて起動されているかどうか確認する。この実施例によれば、プロセッサ27は、緊急警戒警報信号内のデータを、メモリ27内に記憶されたユーザ・設定データと比較し、緊急警戒警報機能が起動されているかどうか確認する。以下に説明するように、テレビジョン信号受信機20の緊急警戒警報機能の設定プロセス(設定手順)より、ユーザは、当該の地理的区域、緊急警戒警報機能を起動させる非常事態のタイプ(例えば、竜巻の注意報、放射線の危険警報、国内の危機状態など)のような項目を選択する。
【0021】
テレビジョン信号受信機20の緊急警戒警報機能が起動されると、プロセッサ27は種々の動作をイネーブルに(enable:可能化)する1つまたは複数の制御信号を出力する。このような制御信号は1つまたは複数の警報出力(聴覚的/視覚的)をイネーブルにし、個人に非常事態を伝える。また、このような制御信号は、テレビジョン信号受信機20の他の動作をイネーブルにし、例えば、テレビジョン信号を、オフ/待機(スタンバイ)モードから、オン・モード切り替える。
【0022】
また、プロセッサ27は、テレビジョン信号受信機20の緊急警戒警報機能に関連する他の動作もイネーブルにする。本発明によれば、プロセッサ27は、メモリ27内に記憶されたテスト・データを使用して自己診断テストをイネーブルにし、それにより、緊急警戒警報機能に関連する誤動作を検知する。このようにして、放送されるテスト信号に頼らずに、また外部のテスト設備を使用せずに、緊急警戒警報機能をテストする。本発明のこの態様に関する更なる詳細は以下に説明する。
【0023】
ビデオ・プロセッサ28は、ビデオ信号を含む信号を処理する。このようなビデオ信号には、埋め込まれたメッセージ(NWSテキスト・メッセージ、非常事態の詳細を示す他のメッセージなど)を含んでいる。ビデオ・プロセッサ28には、クローズド・キャプション(CC:文字放送)表示をイネーブルにするクローズド・キャプション回路も含まれる。
【0024】
ディスプレイ29は、視覚表示を行う。ディスプレイ29は、非常事態の詳細を示す前述のメッセージを含む視覚表示を行う。ディスプレイ29には、発光ダイオード(LED)、液晶ディスプレイ(LCD/LQD)、1つまたは複数の表示要素を具える他の表示パネルも含まれる。このような表示要素には、モノクロ/カラー表示器、プラズマ・ディスプレイ表示器、または消費者用電子表示器として使用される従来のライトのような、ハイライト(強調)表示される表示器が含まれ、壁または机に表示する携帯型(非固定式)ライト・パネルのような、テレビジョン信号受信機20とは別個に存在するものもある。このため、種々のLED、LCD、LQD、プラズマ、またはCRTデバイスは緊急警戒警報機能用の表示要素を、視覚データ・フィールド全体またはその一部として、組み込むことができる。例えば、表示要素は、録画されたDVDからのビデオ・コンテンツを再生するLCDパネル上に表示される視覚データの一部としてハイライト(強調表示)される。
【0025】
図3に、緊急警戒警報機能を与えるステップをフローチャート300で示す。実例と説明を目的として、図3のステップは、図2のテレビジョン信号受信機20に関して記述する。図3のステップは単に例示的なもので、決して本発明を制限することを意図するものではない。
【0026】
ステップ310で、テレビジョン信号受信機20の緊急警戒警報機能の設定プロセス(設定手順)が実行される。ユーザは、この設定プロセスを実行するためにディスプレイ29に表示されるオンスクリーン(画面上)メニューに応答し、例えば、リモコン(表示せず)を使用しテレビジョン信号受信機20に入力する。このようなオンスクリーン・メニューは、テレビジョン信号受信機20の電子番組ガイド(EPG)機能の一部である。ユーザはステップ310における設定プロセスの間、少なくとも以下の項目を選択する。
A.イネーブル/ディセーブル(Enable/Disable):ユーザは緊急警戒警報機能をイネーブルに(可能化)するか、ディセーブル(不能化)するかを選択する。
B.周波数帯(Frequency Channel):ユーザは緊急警戒警報信号を受信するためモニタする周波数帯(チャネル)を選択する。例えば、ユーザは以下のNWS送信周波数のうち1つを選択する。即ち、162.400MHz、162.425MHz、162.450MHz、162.475MHz、162.500MHz、162.525MHz、162.550MHzである。周波数帯は、ユーザにより手動で選択され、或いは自動同調モードで選択されて、緊急警戒警報機能に関連する周波数帯の全てに自動的に同調し、それにより、最大信号強度が得られる1つまたは複数の周波数帯を確認する。
C.地理的区域(Geographical Area):ユーザは、1つまたは複数の地理的区域を選択する。例えば、ユーザは特定の大陸、国、地域、州、エリア・コード、都市、地方自治体、細分、および/または他の限定できる地理的区域を選択する。このような地理的区域はFIPS(Federal Information Processing Standard:連邦情報処理規格)のロケーション・コード(位置記号)で表される。
D.非常事態のタイプ(Event Type):ユーザは、緊急警戒警報機能を起動させる1つまたは複数の非常事態のタイプを選択する。ユーザは、例えば、国内の危機、放射線の危険警報、竜巻警報のような事態は緊急警戒警報機能を起動させるが、暴風注意報のような事態は緊急警戒警報機能を起動させないことを、指定する。また、ユーザは、NWSおよび他の警報機構より発せられる従来の音声警報トーンで緊急警戒警報機能が起動されるかどうか選択する。本発明によれば、異なる激しさのレベル、即ち異なる警報レベル(例えば、声明、注意報、警報など)は異なる「事態(イベント)」を表す。例えば、雷雨注意報は、雷雨警報とは異なる事態と見做される。
E.警報出力(Alert Output):緊急警戒警報機能が起動されると、ユーザは1つまたは複数の警報出力を選択する。ユーザは、緊急警戒警報機能を起動させる各タイプの非常事態について発せられる視覚的および/または聴覚的出力を選択する。例えば、ユーザは視覚的メッセージ(例えば、クローズド・キャプションとしてNWSテキスト・メッセージ)を表示し、或いはテレビジョン信号受信機20を特定のチャネルに同調させることを選択する。ユーザは、警報トーン(チャイム、サイレンなど)、および/または音声メッセージ(NWS音声メッセージ)、およびその各々について所定の音量、を選択することもできる。本発明により、他の形式の警報出力も発せられる。
【0027】
本発明では、ステップ310で、他のメニュー選択も得られ、上述したメニュー選択の幾つかは省略される。ステップ310の設定プロセスの間、ユーザの選択に該当するデータはメモリ27に記憶される。
【0028】
ステップ320で、テレビジョン信号受信機20は、緊急警戒警報信号に関するステップ310の設定プロセスの間、ユーザが選択する周波数帯(即ち、項目B)をモニタする。チューナ22は選択された周波数をモニタし、入来する緊急警戒警報信号を受信する。本発明では、テレビジョン信号受信機20は周波数をモニタし、全ての動作モードの間、例えば、テレビジョン信号受信機20がオン/オフにされるとき、および録音/録画された音声/映像コンテンツの再生の間、緊急警戒警報信号を受信する。
【0029】
ステップ330で、テレビジョン信号受信機20の緊急警戒警報機能が起動されるかどうか確認する。プロセッサ27はこの確認を行うため、入来する緊急警戒警報信号中に含まれるデータをメモリ27内に記憶されたデータと比較する。前述のように、緊急警戒警報信号には、非常事態のタイプ(竜巻の注意報、放射線危険警報、国内の非常事態など)、および非常事態の影響を受ける地理的区域を含む情報を表すSAMEデータのような、データが含まれる。プロセッサ27はこのSAMEデータを、メモリ27内に記憶された該当するユーザ設定データ(即ち、ステップ310の項目CおよびD)と比較し、それにより、緊急警戒警報機能が起動されているかどうか確認する。このようにして、緊急警戒警報信号により表示される非常事態が以下の項目に該当するとき、テレビジョン信号受信機20の緊急警戒警報機能が起動される。即ち、(1)ステップ310の項目Cに関してユーザが選択した地理的区域、および(2)ステップ310の項目Dに関してユーザが選択した非常事態のタイプ、である。
【0030】
ステップ330で、確認(判定)がNO(いいえ)であれば、プロセスの流れはステップ320に戻り、ここで、チューナ22は、選択された周波数帯をモニタし続ける。ステップ330で確認(判定)がYES(はい)であれば、プロセスの流れはステップ340に進み、ここでテレビジョン信号受信機20は1つまたは複数の警報出力を発生して、それにより、非常事態を個々の人々に通知する。
【0031】
ステップ340で、プロセッサ27はステップ310の設定プロセスの間にユーザが選択した1つまたは複数の警報出力(即ち、項目E)をイネーブルにする。このような警報出力は、聴覚的/視覚的出力である。ステップ340で、警報トーン/NWS音声メッセージのような聴覚的出力はスピーカ25で発生され、このような聴覚的出力の音量は、ステップ310の設定プロセスの間、ユーザが設定する音量レベルに調整される。ステップ340で、視覚的出力もディスプレイ29で発生され、個々の人々に非常事態を伝える。ステップ340で、NWSテキスト・メッセージのような補助情報(例えば、クローズド・キャプション)または特定チャネルからのビデオ出力が、プロッセッサ27の制御の下で、ディスプレイ29で発生れる。
【0032】
別の実施例によれば、ステップ340で発生される警報出力は、非常事態の激しさ、即ち警報のレベルに基づく。非常事態は、例えば、声明(statement)、注意報(watch)、警報(warning)のような3つの異なる警戒レベルに分類される。このような分類スキームでは、レベル1、即ち声明レベルでの非常事態についての警報は、激しさのレベルが最少なのでLEDの明滅のような控えめな通報手段により発せられる。レベル2、即ち注意報レベルでの非常事態についての警報出力は或るタイプの音声成分(例えば、ラジオ・メッセージ)を有する。レベル3、即ち警報レベルでの非常事態についての警報出力は、激しさのレベルが最大なので、サイレンまたはアラームで発生される。ここで明示した以外の他のタイプの聴覚的/視覚的警報出力も、本発明により発生される。
【0033】
図4に、本発明の実施例によるステップをフローチャート400で説明する。図4のステップは特に、本発明により、緊急警戒警報機能に関する自己診断テストがいかに実行されるかを説明する。図4のステップも、図2のテレビジョン信号受信機20に関して説明する。図4のステップは単に例示的なものであり、本発明を限定することを意図するものではない。
【0034】
ステップ410で、プロセッサ27はテスト・データをメモリ27から取り出し、このテスト・データをデコーダ26に供給する。実施例では、テスト・データは、緊急事態の間にテレビジョン信号受信機20で以前に受信されたSAMEデータを表す。別の実施例では、テスト・データは、緊急警戒警報機能の自己診断テストにのみ使用される所定のSAMEデータを表す。前述したように、SAMEデータには、非常事態のタイプ(例えば、竜巻の注意報、放射線の危険警報、国内の緊急事態など)、および非常事態の影響を受けた特定の地理的区域(エリア)を表示する情報が含まれる。
【0035】
ステップ420で、デコーダ26はテスト・データを復号化し、その復号化された信号を処理して、テレビジョン信号受信機20の緊急警戒警報機能が正常に動作している(誤動作がない)かどうか確認(判定)する。ステップ430で、プロセッサ27はテレビジョン信号受信機20が規定どおりテスト信号に応答しているかどうか検知することにより、これを確認するようプログラムされる。例えば、ステップ430で、プロセッサ27は、図3のステップ310で指定するユーザ設定データと一致するようテレビジョン信号受信機20がテスト信号に応答するかどうか確かめる。
【0036】
ステップ430におけるこの確認がYES(はい)であれば、プロセスの流れはステップ440に進み、ここで、緊急警戒警報機能が正常に動作していることを示す出力が発生される。ステップ440で発生される出力は聴覚的/視覚的出力である。図5は、ステップ440で供給される視覚的出力メッセージの一例を示す。他のタイプの視覚的出力(前述したディスプレイ29の表示要素を使用するようなもの)も、本発明により、ステップ440で発生される。本発明の変形によれば、ステップ440の出力は、緊急警戒警報機能が正常に動作しているので、省略される。ステップ440で出力を発生するかどうか(もしそうであれば、出力のタイプ)の選択は、例えば、図3のステップ310における緊急警戒警報機能の設定プロセスの間にユーザが決定する。
【0037】
ステップ430における確認がNO(いいえ)であれば、プロセスの流れはステップ450に進みここで、緊急警戒警報機能の誤動作が検出されたことを表示する出力が発生される。ステップ450で発生される出力は、聴覚的または視覚的出力である。図6は、ステップ450で発生される視覚的出力メッセージ600の一例を示す。図6に例示するように、出力メッセージ600は、緊急警戒警報機能の動作状態を改善するためにとるべき訂正行為(例えば、信号の受信を改善するためにテレビジョン信号受信機20に外部アンテナを接続するようユーザに指図する)を表示する。他のタイプの視覚的出力(前述した、ディスプレイ29の表示要素を使用するようなもの)も、本発明により、ステップ450で発生される。
【0038】
図4に示す自己診断テスト(self−diagnostic test)は、テレビジョン信号受信機20にユーザが入力する、例えば、「今、テストする(test now)」に応答して実行され、周期的(毎日、1日置き、など)に自動的に実行される。自動的に実行される場合、自己診断テストが実行される頻度は、例えば、図3のステップ310における緊急警戒警報機能に関する設定プロセスでユーザが決定する。図4に示す自己診断テストは、前述した週一回放送されるテストと連係して行われ、それにより、緊急警戒警報機能の適正な動作を確実にする付加的手段が得られる。
【0039】
本発明により、装置の緊急警戒警報機能の自己診断テストが行われ、それにより、放送されるテスト信号に頼らずに、或いは外部のテスト設備を使用せずに、緊急警戒警報機能をテストする。本発明は、ディスプレイ(表示装置)を具えるか、または具えない種々の装置に利用できる。従って、本明細書中で「テレビジョン信号受信機」という用語は、テレビジョン信号を受信し処理することのできるシステムまたは装置を指し、これには、テレビジョン受信機、ディスプレイを具えるコンピュータまたはモニタ、およびセットトップ・ボックス(STB)、ビデオカセット・レコーダ(VCR)、DVDプレーヤ、ビデオゲーム器(テレビゲーム器)、パーソナルビデオ・レコーダ(PVR)、ディスプレイを具えないコンピュータまたは他の装置も含まれるが、これらに限定されない。
【0040】
本発明は好ましい設計を有するものとして記述されているが、本発明は、本開示の技術思想と範囲内で更に変更が可能である。従って本出願は、その一般原理を使用する本発明の変形または改造も範囲とする。更に本願は、本発明が係り且つ請求事項の制限内に入る技術分野における既知の慣行内にある、本開示からの離脱も範囲とする。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明を実施するのに適する環境を例示する。
【図2】本発明の実施例によるテレビジョン信号受信機のブロック図である。
【図3】緊急警戒警報機能を与えるステップを例示するフローチャートである。
【図4】本発明の実施例によるステップを説明するフローチャートである。
【図5】図4のステップを実行するときの使用に適する例示的表示である。
【図6】図4のステップを実行するときの使用に適する別の例示的表示である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
緊急警戒警報機能を有する装置(20)であって、
前記緊急警戒警報機能に関連するテスト・データを記憶するメモリ手段(27)と、
テスト信号を発生するため前記テスト・データを復号化する復号化手段(26)と、
前記緊急警戒警報機能の動作状態を検出するため前記テスト信号を処理する処理手段(27)と、
から成る、前記緊急警戒警報機能を有する装置(20)。
【請求項2】
前記動作状態を検出する処理手段(27)に応答して、出力を発生する出力手段(25、29)を具える、請求項1に記載の緊急警戒警報機能を有する装置(20)。
【請求項3】
前記動作状態が、誤動作を含み、且つ
前記出力が訂正行為を表示する、請求項2に記載の緊急警戒警報機能を有する装置(20)。
【請求項4】
前記テスト信号が、地理的区域を表示する、請求項1に記載の緊急警戒警報機能を有する装置(20)。
【請求項5】
前記地理的区域が、FIPSコードで表される、請求項4に記載の緊急警戒警報機能を有する装置(20)。
【請求項6】
前記テスト信号が、緊急事態を表示する、請求項1に記載の緊急警戒警報機能を有する装置(20)。
【請求項7】
装置(20)の緊急警戒警報機能について自己診断テストを実行する方法(400)であって、
前記装置内部のメモリ(27)から前記緊急警戒警報機能に関連するテスト・データを取り出すステップ(410)と、
テスト信号を発生するために前記テスト・データを復号化するステップ(420)と、
前記テスト信号を処理し、前記緊急警戒警報機能の動作状態を検出するステップ(430)と、から成る、前記緊急警戒警報機能について自己診断テストを実行する方法。
【請求項8】
前記動作状態の検出に応答して、出力を発生するステップ(440、450)を含む、請求項7に記載の緊急警戒警報機能について自己診断テストを実行する方法(400)。
【請求項9】
前記動作状態が、誤動作を含み、
前記出力が、訂正行為を表示する、請求項8に記載の緊急警戒警報機能について自己診断テストを実行する方法(400)。
【請求項10】
前記テスト信号が、地理的区域を表示する、請求項7に記載の緊急警戒警報機能について自己診断テストを実行する方法(400)。
【請求項11】
前記地理的区域が、FIPFコードで表される、請求項10に記載の緊急警戒警報機能について自己診断テストを実行する方法。
【請求項12】
前記テスト信号が、緊急事態を表示する、請求項7に記載の緊急警戒警報機能について自己診断テストを実行する方法(400)。
【請求項13】
緊急警戒警報機能を有するテレビジョン信号受信機(20)であって、
前記緊急警戒警報機能に関連するテスト・データを記憶するメモリ(27)と、
テスト信号を発生するため前記テスト・データを復号化するデコーダ(26)と、
前記緊急警戒警報機能の動作状態を検出するために、前記テスト信号を処理するプロセッサ(27)と、
から成る、前記緊急警戒警報機能を有するテレビジョン信号受信機(20)。
【請求項14】
前記動作状態を検出する前記プロセッサ(27)に応答して、出力を発生する、出力装置(25、29)を具える、請求項13に記載の緊急警戒警報機能を有するテレビジョン信号受信機(20)。
【請求項15】
前記動作状態が、誤動作を含み、
前記出力が、訂正行為を表示する、請求項14に記載の緊急警戒警報機能を有するテレビジョン信号受信機(20)。
【請求項16】
前記テスト信号が、地理的区域を表示する、請求項13記載の緊急警戒警報機能を有するテレビジョン信号受信機(20)。
【請求項17】
前記地理的区域をFIPSコードで表す、請求項16記載の緊急警戒警報機能を有するテレビジョン信号受信機(20)。
【請求項18】
前記テスト信号が、非常事態を表示する、請求項13記載の緊急警戒警報機能を有するテレビジョン信号受信機(20)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−524882(P2007−524882A)
【公表日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−503247(P2006−503247)
【出願日】平成16年2月2日(2004.2.2)
【国際出願番号】PCT/US2004/002912
【国際公開番号】WO2004/071068
【国際公開日】平成16年8月19日(2004.8.19)
【出願人】(501263810)トムソン ライセンシング (2,848)
【氏名又は名称原語表記】Thomson Licensing 
【住所又は居所原語表記】46 Quai A. Le Gallo, F−92100 Boulogne−Billancourt, France
【Fターム(参考)】