説明

線形焦点式レーザビームを用いた固形物のレーザドーピング方法、および該方法に基づいて製造された太陽電池エミッタ

本発明は、線形焦点式レーザビームを用いた固形物のレーザドーピング方法、および該方法に基づいて製造された太陽電池エミッタである。本発明に係るレーザドーピング方法では、まず第1に、ドーパントを含む媒体を、固体材料の表面に接触させる。そして、レーザパルスを照射することによって、媒体と接触する固体材料の表面下の領域を溶解させる。その結果、ドーパントが、溶解した領域に拡散し、また、冷却されて、該溶解した領域が再結晶する。レーザビームの焦点は、固体材料上に線形的に合わせられ、その線形焦点の幅は、10μmよりも小さいことが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、請求項1の序文からも読み取れるように、固体材料におけるドープ領域を形成する方法に関するものであり、また、該方法を実現するための装置に関するものである。本発明は、また、本発明の方法に基づく太陽電池のエミッタ領域を形成する方法にも関する。さらに、本発明は、半導体と金属との間のオーム接触を形成する方法に関する。
【0002】
単結晶または多結晶シリコン太陽電池の商業製造において、太陽電池エミッタは、高温処理ステップによって生成され、その後、およそ1000Kの温度の拡散オーブンにおいて、一般的にはリン等のドーパントの拡散が行われる。この処理に必要な時間はおよそ30分である。このように、拡散オーブンにおける拡散によって太陽電池エミッタを製造する従来の製造は、エネルギーおよび時間を消費してしまう。
【0003】
これに加えて、従来の拡散処理では、エミッタ拡散に長時間要するため、製造は、製造システムにおいて1回限りのみ実行される。また、太陽電池の低コスト製造では、個々のステップは単純かつ迅速であるが、全体的には調和している処理、すなわち、インライン製造処理が要求される。拡散オーブンにおける拡散による太陽電池エミッタの製造は、これらの要求を十分に満たすことができない。
【0004】
US5918140号公報には、以下の半導体レーザドーピング方法が開示されている。まず、ドーパントを含む材料からなる薄い層を半導体表面上へ蒸着し、続いて、半導体表面へレーザパルスビームを照射し、該レーザパルスのエネルギーが、半導体表面と蒸着されたドーパント層との間の接触面において、吸収され、熱エネルギーに変換される。その結果、半導体の上側の領域が溶解し、その溶解した領域にドーパント原子が組み込まれることにより、溶解中で拡散が起こる。レーザパルスの照射中または照射時間の終盤には、半導体の溶解領域が再結晶し、それによって、結晶の空間格子にドーパント原子が組み込まれる。これにより、特に、固体材料中における表面近くには、ドーパントが高濃度であるドープ領域を生成することができる。これまでは、欠損のないおよそ1μmまたはそれより薄い溶解した表面層で、再結晶することが可能なシリコン等の半導体に、レーザドーピングを実施することは不可能であった。試験的に、市販のレーザプロセスシステムを用いて、シリコンに、ドープされた領域を生成したが、その結果、特に、太陽電池効率や、無鉛に相当する非常に低い電圧値等において、太陽電池エミッタの質が悪くなった。さらに、TEM(透過型電子顕微鏡)分析法において、太陽電池エミッタは、高転移濃度によるダメージを受けることが明らかとなった。
【0005】
上記問題点に鑑みて、本発明の目的は、レーザドーピング手段によって、ドープされた領域における固体材料の欠損によってもたらされる自由原子(hohe Defektfreiheit)を増加させることが可能な、固体材料にドープ領域を形成する方法を提供することである。また、ドーパント層を供給する点、高濃度のドーパントをもたらす点、レーザの照射効率を高める点に関して、従来方法を改善することにある。
【0006】
上記目的は、請求項1およびさらに独立請求項の特徴的な構成により実現できる。さらには、従属請求項の内容は有利な実施の形態および解釈によって補填している。
【0007】
本発明に係る方法手段による太陽電池のエミッタ領域を生成する方法もさらに本発明の範囲を定義づける。また、本発明に係る方法手段によって、半導体と金属との間のオーム接触を形成する方法も本発明の範囲を定義づける。さらには、本発明に係る方法を実施するために装置も本発明の範囲を定義づける。
【0008】
固体材料にドープ領域を形成するための本発明に係る方法は、まず、ドーパントを含む媒体を、固体材料の表面に接触させる。それから、レーザパルスを照射することによって、ドーパントが該溶解した領域に拡散し、溶解した領域が冷却されたときには再結晶するように、該媒体と接触した表面下の固体材料の領域を溶解させる。
【0009】
本発明に係る方法の実質的な構成は、固体材料に線形的にレーザビームの焦点を合わし、その線形焦点の幅は10μmよりも小さい値が選択される。例えば、焦点幅が、5μmから10μmまでの範囲内に含まれるものであってもよい。また、この焦点幅は、合計がちょうど5μm、またはそれ以下のものであってもよい。
【0010】
レーザドーピング方法に関する線形焦点によって、欠損から生じた自由原子を高濃度で有する再結晶したドープ領域を形成することができることは、試験によってすでに確証されている。
【0011】
これは、高温処理を用いる必要がなく、また、非常に長い処理時間を必要とすることのない本発明に係る方法によって実現される。それどころか、本発明に係る方法は、高い結晶性および欠損部分からの自由原子を有するドープ領域を形成する、固体材料の低温度ドーピング方法を意味する。
【0012】
本発明に係る方法は、高温度オーブンでの半導体ウェハのバッチ処理を、太陽電池のような電子部品の製造における直接的組み込みのために、より効率的なロジティクスで行うインライン処理と取り替えることが可能となる。
【0013】
試験で実行されるレーザビームは、5μm幅および数百μm長の線で形成されるが、線形焦点の長さは、一般的に、100μmから10mmの範囲内であることが好ましい。
【0014】
本発明に係る方法では、ドープされる領域の深さは、適当なレーザ波長を選択することによって定めることができる。これは、レーザビームの、吸収長さまたは固体材料における貫通深さが、所望のドープされる領域の深さに一致するように、波長を選択することにより可能となる。太陽電池エミッタでは、該深さが、1μm若しくはそれよりも小さく選択される。固体材料が半導体シリコンであるときのレーザビームの波長は、大体600nm若しくはそれよりも小さい値である。
【0015】
さらには、ドープされる領域の深さをある範囲で要求するときは、溶解した固体材料におけるドーパント原子の熱拡散距離が、前記所望の深さの範囲の領域における熱拡散距離となるように、パルス波長を選択すべきである。固体材料が半導体シリコンであり、かつ所望の深さの範囲が1μmであるときは、パルス波長を100ns、好ましくは、50ns以下とすべきである。
【0016】
通常、少なくとも一方向におけるドープ領域のラテラル範囲は、線形焦点よりも大きく、線形焦点のラインに対して垂直に並べられるビーム光束線と固体材料とが相対運動するように、ビーム光束線を固体材料上で走査させる必要がある。
【0017】
固体材料が、X−Y線形テーブル(verschiebetisch)に据え付けられ、レーザビームが静止状態で維持されるのが好ましい。しかしながら、ここでは、静止状態が維持される固体材料と、該固体材料上でレーザビームを走査させる構成のレーザビームの光学系とを提供する。
【0018】
ドーパントを含む材料は、スピンコーティングや、スクリーン若しくはフィルム印刷によって、液体や固体状態の塗膜として接触面上に蒸着される。けれども、前記媒体は気体になるため、固体材料の表面と直接接触することになる。
【0019】
本発明に係る他の方法の具体的な説明は、スパッタリングによって、固体材料上に、固体状態の塗膜としてドーパントを含む媒体を蒸着し、レーザビームは、必ずしも後の溶解で、線形的に焦点を合わせる必要はない。
【0020】
媒体は、まず、スパッタリングの第1段階において、まず、基礎基板(Startsubstrat)上に蒸着され、そこから、スパッタされ、中間ターゲット(Zwischen-target)に蒸着される。そして、スパッタリングの第2段階において、中間ターゲットからスパッタされ、ドープされる固体材料上に蒸着する。
【0021】
また、基礎基板は、中間ターゲットのように、基板やウェハ等のシリコンを含む構成であってもよい。
【0022】
媒体は、大部分、または全部が、ドーパント自体から構成され、例えば、基礎基板に粉末として蒸着する。したがって、シリコンウェハから中間ターゲット上にスパッタされる前に、特にドーパント要素として一般的に用いられる、リン、ヒ素、アンチモン、ボロン、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タンタル、若しくは、チタニウムが、シリコンウェハ上に粉末として蒸着される。中間ターゲット上から、ドープされる固体材料に蒸着される層は、90パーセント以上のドーパントを含んでいてもよく、これにより、シリコン基板をわずかにスパッタリングするだけで、スパッタリングの第1段階でドーパントが含まれることとなる。したがって、このような方法によれば、ドープされる固体材料上に、例えば、数ナノメートルの薄さの非常に薄いドーパント層を設けるだけで、例えば、固体材料中に1022/cmの高ドーパント濃度にすることができる。
【0023】
これまでは、本発明におけるドープされる固体材料は、ドープされる半導体自体を意味していたが、媒体が中間層上に蒸着される本発明に係る方法によれば、固体材料は、ドープされる半導体の構成要素となる主材料と、該主材料の表面を被覆する中間層を含むものであることを意味してもよい。また、次のドーピング時のレーザビームで、線形的に焦点を合わせることは必ずしも必要ではない。そういうものの1つとして、例えば、中間層が、半導体上に発せられるレーザビームを反射しない非反射層として作用する場合がある。非反射層は、中間層下に位置する半導体の表面領域を溶解するのに、レーザビームの全ビーム光束を用いることを可能にする。中間層によって溶解している間に、ドーパントは半導体内に拡散する。このように、前述のスパッタリングによって、中間層上のドーパント濃度を予め非常に高濃度にすることができるため、中間層に関わらず、高ドーパント濃度は半導体内で実現される。高ドーパント変化度の結果、ドーパントは、高速度で中間層内に拡散する。
【0024】
中間層は、半導体の表面を被覆保護するための被覆層の代わりであってもよいし、または被覆層に付加的に形成されるものであってもよい。
【0025】
特に、中間層は、シリコン窒化物、二酸化ケイ素、アモルファスシリコン、または、これらの物質のひとつに基づくものを含んでいてもよい。
【0026】
中間層は、また、スパッタリングによって生成されてもよい。特に、ドーパント層がスパッタリングによって生成されるとき、ドーパント層および中間層は、全く同一のスパッタシステムによって生成される。
【0027】
本発明に係る方法は、特に、太陽電池エミッタとして利用される半導体表面領域をドーピングすることによって、太陽電池のエミッタ領域を生成するために用いられる。
【0028】
さらに、本発明に係る方法は、本発明に係る方法によって半導体上に形成されたドープ領域付近での半導体と金属との間でオーム接触を発生するのに用いられる。ドープ領域を被覆する金属層が、非常に低い接触抵抗であるオーム接触をp型およびn型ウェハの両者との間で発生させることができる。前述した方法によって、ストリップ接触と、点接触とが可能になる。
【0029】
本発明は、また、パルス状のレーザビーム源、線形焦点を生成する円柱レンズ、固体材料の表面上にサイズが縮小された線形焦点の像を結ぶ対物レンズ、を含む本発明に係る方法を実行するための装置にも関する。
【0030】
この装置は、基準点から固体材料表面までの空間を測定し、対物レンズと固体材料表面との間の空間を調整する。該調整は、必ず、焦点位置が、表面の湾曲や粗さに関わらず、ウェハ表面上の焦点深度内で維持されるように、固体材料表面上の焦点深度内に焦点位置を維持するように行われる。
【0031】
(実施例)
本発明に係る方法の実施例、およびそれを実施するための装置を、図を用いて、以下に詳細に説明する。
【0032】
図1は、本発明に係る方法を実行するための装置の実施例を示す図である。
【0033】
図2は、2段階のスパッタリング方法を用いる本発明に係る方法を実行するための実施例を示す図である。
【0034】
図3は、半導体材料上に、非反射層を追加した本発明に係る方法を実行するための実施例を示す図である。
【0035】
図1を参照すると、図1には、周波数を2重にすることによりλ=532nmの波長のレーザビームを発するQスイッチNd:YVOレーザを光源として用いる装置が示されている。そのパルス周波数は、一般的に、10kHzから100kHzの範囲内のものである。
【0036】
シリコンにレーザドーピングするときの最適なパルス・エネルギー濃度は、2J/cm−2から6J/cm−2の範囲内のものである。
【0037】
レーザビームは、場合によっては、円柱レンズによって、広範囲で焦点を合わせた後に、線形焦点を生成する。本実例では、円柱レンズの焦点距離は、f=200mmである。
【0038】
これにより、対物レンズによって、レーザビームは、シリコンウェハ上に像を結ぶ。ここで、本実施例における対物レンズは、f=50mmの焦点距離を有する。対物レンズは、シリコンウェハ上において、サイズの小さくなった線形焦点を映し出す。ここでは、たとえ表面が湾曲していたり、粗かったりしていても、焦点が、常に、光学的像を結ぶ焦点深度内のウェハ表面上に存在するかを確かめる必要がある。
【0039】
これは、連続して、基準点からウェハ表面までの空間を測定し、対物レンズとシリコンウェハとの間の空間の補正をオートフォーカス装置が行うことによって可能になる。補正のために、レーザビームの中心線上でシリコンウェハの位置を移動することが好ましいが、本実施例では、図に示すように、レーザビームの中心線上で、対物レンズを移動することによって、補正している。
【0040】
シリコンウェハは、レーザビームに対して垂直なX−Y線形変位テーブル(verschiebetisch)上に備え付けられる。入射されるビーム光束に対して相対的にシリコンウェハを移動させることにより、シリコンウェハ上の広範囲において走査することが可能となる。
【0041】
太陽電池エミッタを製造するためのテストでは、市販のリン酸塩を含有するドーパント液体が、スピンコーターによってシリコンウェハに塗布される。ドーピングは、1または複数のレーザパルスによって溶解されたウェハ表面が、1μmまたはそれ以下の深さだけ下がり、ドーパント液体のリン原子が、溶解したシリコン内に入り込むことによって行われる。冷却および溶解したウェハを凝固後、高度にドープされたn型エミッタ領域が完成する。
【0042】
シリコンn型ウェハ上における、ボロンでドープされるP型エミッタは、本発明に係る方法によって、すでに処理されているものとする。
【0043】
良好なドーピングを実現するためには、表面の各領域で必要な数のレーザパルスが確立され、その後で、それらのビーム光束が、予め定められた所定の速度で、ウェハ表面上に連続して導かれることが好ましい。このパルス数およびパルス周波数から、走査速度を決定する。走査速度は、0.1から0.5m/sの範囲内であることが好ましい。また、それに対する代替案として、実質的には焦点幅に相当する離散的方法で、テーブルを移動させてもよい。
【0044】
各照射ポイントでは、所定の数のレーザパルスを静的に、シリコンウェハに照射し、そして、レーザパルスを照射せずに、次の照射ポイントにおける走査線の配向性と垂直に、線形焦点の位置合わせをする。
【0045】
30Wのレーザシステムを用いると、およそ10cm/sの処理能力が得られる。
【0046】
次に、本発明に係る方法の変形例が図示されている図2a,bを参照する。ここでは、媒体が、2段階のスパッタ処理によって、固体塗膜として、ドープされる固体材料に蒸着される。
【0047】
まず、基礎基板としてのシリコンウェハ1上に、例えば純粋なリンの粉末等のドーパント2が蒸着される。それから、図2aに示すように、第1段階のスパッタリングにおいて、ドーパント2の粉末が、スパッタされて、シリコンウェハから成る中間ターゲット3(Zwischen-target)上に蒸着される。そして、該ドーパント2は、この中間ターゲット3上のドーパント層4として蒸着される。この第1段階によって、接触するドーパント層4のドーパント濃度を、例えば、90%等の非常に高濃度とすることができる。リン等のドーパントを除いたドーパント層は、スパッタリングの第1段階でシリコンウェハ1から付加的に剥がれたシリコンを含んでいてもよい。
【0048】
スパッタリングの第2段階では、図2bに示すように、ドーパント層4は、スパッタされ、第2のドーパント層6として、ドープされる固体材料5に蒸着される。ドーパント層4と比較すると、その後のレーザビームドーピングにおいて、固体材料5で高均一性のドーピング濃度を実現できるように、このドーパント層6は、構成成分の均一性が優れていることを特徴としている。そのドーパント層6は、数nm、例えば、1から10nmの範囲内の薄さであってもよい。その後、レーザビームは、ドーパント層が蒸着された固体材料5上に焦点が合わせられ、これによって、瞬間的に表面領域が溶解する。このときの焦点は、必ずしも線形焦点である必要はない。このドーパント層6は、それから、固体材料5の表面付近の溶解した領域内に拡散し、固体材料の再結晶の格子構造に組み込まれる。
【0049】
図3に示すように、図3は、本発明に係る方法のさらなる変形例を示したものであり、例えば、半導体10の上層領域がドープされているシリコンウェハ10の代わりとして、非反射層11が半導体上に載置される。非反射層11は、レーザビームのほぼ全光量を半導体10に照射するものであり、溶解に用いるレーザビームの反射率をできるだけ低くするために設ける。
【0050】
ドーパントを含む媒体を非反射層11上に載置する。この媒体はドーパント自身から構成されていてもよいし、例えば、スパッタリングすることにより、非反射層11上にドーパントが蒸着された構成でもよい。上述したように、特に、2段階スパッタリング処理を用いることにより、リン等のドーパントを非反射層11上に高濃度で蒸着させることが可能となる。非反射層11は、同様に同一の試験室で、スパッタリングによって生成されることが好ましい。
【0051】
そして、レーザビームの焦点を半導体10上に合わせ、瞬間的に表面領域を溶解する。これに対しては、線形焦点とすることは必ずしも必要であるとは限らない。そうすると、ドーパントが、非反射層11を通り抜けて、半導体10の表面付近の溶解した領域内に拡散し、再結晶における格子構造に組み込まれる。
【0052】
特に太陽電池の効率性については、これまでのフォトリソグラフィーパターニングと同様に高温度処理を必要とする方法による多段式エミッタが知られている。
【0053】
比較的高パルスな周波数を有するレーザを用いる本発明に係る方法によって、多段式エミッタを生成するためのドーパント濃度のラテラル方向パターニングが、同時にまたは付加的に実現することができる。
【0054】
本発明に係る方法の目的は(それ自体単独で)、裏面の少数キャリアとの再結合を減らす裏面電界を生成することにある。その処理は、上述したものに限らず、P型ウェハの裏面上に、ボロンのドーパントペーストを蒸着し、それから、レーザでその表面を照射するものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明に係る方法を実行するための装置の実施例を示す図である。
【図2】2段階のスパッタリング方法を用いる本発明に係る方法を実行するための実施例を示す図である。
【図3】半導体材料上に、非反射層を追加した本発明に係る方法を実行するための実施例を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドーパントを含む媒体を固体材料の表面に接触させるステップと、
レーザパルスを照射して、前記媒体と接触する前記固体材料の表面下の領域を溶解させることによって、前記ドーパントを拡散し、かつ、冷却して再結晶するステップとを含む、前記固体材料に、ドープされた領域を形成する方法であって、
前記固体材料に線形的にレーザビームの焦点を合わせることを特徴とするレーザドーピング方法。
【請求項2】
前記線形的な焦点の幅(Breite)は10μmよりも小さいことを特徴とする請求項1に記載のレーザドーピング方法。
【請求項3】
前記線形的な焦点の長さ(Lange)は、100μm以上10mm以下であることを特徴とする請求項1に記載のレーザドーピング方法。
【請求項4】
前記固体材料への前記レーザビームの吸収波長が、所定の波長、特に1μmに一致するように、前記レーザビームの波長を選択することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のレーザドーピング方法。
【請求項5】
前記固体材料がシリコンであるとともに、前記レーザビームの波長が600nm以下であることを特徴とする請求項4に記載のレーザドーピング方法。
【請求項6】
前記溶解した固体材料のドーパント原子の熱拡散距離が、所定の距離、特に1μmに一致するように、パルス長を選択することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のレーザドーピング方法。
【請求項7】
前記固体材料がシリコンであるとともに、前記パルス長が100ns以下、特に50ns以下であることを特徴とする請求項6に記載のレーザドーピング方法。
【請求項8】
前記固体材料と前記ビームの光束線とが相対運動をするように、前記ビームの光束線を、前記固体材料上で走査させることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のレーザドーピング方法。
【請求項9】
液体または固体状態で塗膜されている前記媒体を、スピンコーティング、スクリーン、またはフィルム印刷によって、前記固体材料の表面に蒸着(festen)することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のレーザドーピング方法。
【請求項10】
前記媒体は、スパッタリングによって固体塗膜(6)の形で蒸着されることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のレーザドーピング方法。
【請求項11】
基礎基板(1)(Startsubstrat)に蒸着された前記媒体が、スパッタされて、中間ターゲット(3)(Zwischen-Target)に蒸着する第1のスパッタリング処理と、
前記媒体が前記中間ターゲット(3)からスパッタされて、ドープされる固体材料(5)に蒸着される第2のスパッタリング処理とによって、
前記媒体が前記固体材料(5)に蒸着されることを特徴とする請求項10に記載のレーザドーピング方法。
【請求項12】
前記中間ターゲット(3)は、シリコン素材であることを特徴とする請求項11に記載のレーザドーピング方法。
【請求項13】
前記媒体は、ドーパント自身から成り、前記基礎基板(1)上に粉末として蒸着されることを特徴とする請求項11または12に記載のレーザドーピング方法。
【請求項14】
前記固体材料が、主材料と、前記主材料の表面を被覆する中間層(11)と、前記中間層(11)に蒸着された媒体物とを含むことを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載のレーザドーピング方法。
【請求項15】
前記中間層(11)は、保護層であることを特徴とする請求項14に記載のレーザドーピング方法。
【請求項16】
前記中間層(11)は、前記レーザビームの非反射層として作用することを特徴とする請求項14または請求項15に記載のレーザドーピング方法。
【請求項17】
前記中間層(11)は、シリコン窒化物、二酸化ケイ素、またはアモルファスシリコン、または、これらの物質の一つに基づくものを含むことを特徴とする請求項14から16のいずれかに記載のレーザドーピング方法。
【請求項18】
請求項1〜17のいずれかに記載の半導体にドープ領域を形成する方法を用いて、太陽電池のエミッタ領域を形成することを特徴とする太陽電池エミッタ領域形成方法。
【請求項19】
請求項1〜17のいずれかに係る方法で生成される太陽電池のドープ領域を、前記金属層で被覆することにより、半導体と金属との間にオーム接触を形成することを特徴とするオーム接触形成方法。
【請求項20】
パルスビーム源と、線形焦点を生成する円柱レンズと、前記固体材料の表面上にサイズの小さい像を結ぶ対物レンズとを備えることを特徴とする請求項1〜19のいずれか1項に記載の方法を実行するための装置。
【請求項21】
請求項20に記載の装置が、基準点から前記固体材料までの空間を測定し、焦点位置が、前記固体材料の表面の焦点深度内に位置するように、前記対物レンズと前記固体材料の表面の空間を調整するオートフォーカス装置であることを特徴とする装置。

【図1】
image rotate

【図2a】
image rotate

【図2b】
image rotate

【図3】
image rotate


【公表番号】特表2008−507849(P2008−507849A)
【公表日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−522910(P2007−522910)
【出願日】平成17年7月21日(2005.7.21)
【国際出願番号】PCT/DE2005/001280
【国際公開番号】WO2006/012840
【国際公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【出願人】(507026486)
【出願人】(507026497)
【Fターム(参考)】