線状部材の整列供給装置
【課題】線材の絡みや重なりを抑制しながら、速やかに所定の姿勢に整列させ、縦横および表裏の向きを揃えて、次工程に供給する。
【解決手段】線材投入部2の底面を線材Wが載置される傾斜面22とし、傾斜面22の最下端部に沿って線材Wが一つずつ所定の姿勢で通過するように案内する案内溝23を設け、案内溝23への入口24近傍に設けた階段状ガイド部材9で、線材Wの重なりを解消する。案内溝23出口に面して線材Wの所定の姿勢に適合させた受け溝41を有する線材受け部4を配置し、案内溝23を通過した線材Wを所定姿勢に整列させた後、送り機構8で送り出す。
【解決手段】線材投入部2の底面を線材Wが載置される傾斜面22とし、傾斜面22の最下端部に沿って線材Wが一つずつ所定の姿勢で通過するように案内する案内溝23を設け、案内溝23への入口24近傍に設けた階段状ガイド部材9で、線材Wの重なりを解消する。案内溝23出口に面して線材Wの所定の姿勢に適合させた受け溝41を有する線材受け部4を配置し、案内溝23を通過した線材Wを所定姿勢に整列させた後、送り機構8で送り出す。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細長い形状を有する線状部材を、整列させて供給するための装置に関し、特に、平角線等の線材や、表裏等の方向性を有する線状部材の向きを揃えて、次工程へ供給可能な線状部材の整列供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車載電装品または電子機器用の各種部品、特に線状の部品を整列させて供給するための装置として、例えば、特許文献1に記載される整列装置が知られている。この整列装置は、コンデンサー素子等の長方形断面の本体部と、線状部を有する部品をボウルフィーダ(振動搬送装置)に投入し、螺旋状の搬送通路に沿って、直進フィーダに排出された後、単列単層に整列させるもので、長辺の向きを揃え、曲がった部品、重なり部品を排除する方向整列部と、懸吊姿勢に変換する姿勢変換部と、懸吊姿勢で搬送する搬送部を有している。
【0003】
方向整列部は、傾斜面に角溝穴形状の搬送通路を設けて、その角溝を長方形断面の本体部形状に適合させている。搬送通路の途中部分には、傾斜面側の複数箇所にエア穴が設けられて、圧縮エア等が部品に吹き付けられるようになっている。これにより、ボウルフィーダから排出される部品を一個ずつ姿勢変換し、角溝に整合していない部品を振り落として、整列搬送させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−267912号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載される装置は、ボウルフィーダを用いているため、装置が比較的大きい。また、直線状の部品を、円形のボウルフィーダに投入し、外周の螺旋状の搬送通路に排出させる構成であることから、ボウルフィーダ内で部品同士の絡みが発生しやすい。このため、排出口において詰りが生じやすくなり、また、搬送通路において重なりが生じて、整列できない部品が多数排除されると、部品供給が間に合わなくなる。これが稼働率低下の要因になって、生産性を低下させるおそれがあった。
【0006】
しかも、特許文献1に記載される装置は、コンデンサー素子のような小型部品を対象としており、より大きな部品、例えば、線材のように長手方向に長い線状部材に適用しようとすると、装置が大型化する。また、線材が、長方形断面で、かつ両端剥離部の形状により表裏を有する場合には、この剥離部の表裏の向きを揃える必要がある。ところが、特許文献1の姿勢変換部のように、本体部の縦横の向きを合わせるだけでは、表裏を揃えることはできず、所定の姿勢に整列させることができない。
【0007】
そこで、本願発明は、比較的大きな線状部材であっても、装置の大型化をまねくことなく、また、装置内での線材の絡みや重なりを抑制しながら、速やかに所定の姿勢に整列させて供給可能とすること、さらには、線状部材が縦横の姿勢だけでなく、表裏を有する形状である場合には、縦横および表裏の向きを揃えて、次工程に供給することができる整列供給装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の請求項1に記載の発明は、
線状部材が載置される傾斜面を有する線状部材投入部と、
上記線状部材投入部の上記傾斜面の最下端部に沿って設けられ、線状部材が一つずつ所定の姿勢で通過するように案内する案内溝と、
上記案内溝への入口近傍に設けられ、上記傾斜面に沿う階段状に形成されるとともに、上記傾斜面より上方へ突出可能であり、上記傾斜面の最下端部へ向けて移送される上記線状部材を上下動させる階段状ガイド部材と、
上記案内溝の出口に面する位置に、上記線状部材の上記所定の姿勢に適合させた形状の受け溝を設けた線状部材受け部と、
上記線状部材受け部に収容した線状部材を、長手方向に送り出す送り機構を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項2に記載の発明は、
線状部材が載置される傾斜面を有する線状部材投入部と、
上記線状部材投入部の上記傾斜面の最下端部に沿って設けられ、線状部材が一つずつ所定の姿勢で通過するように案内する案内溝と、
上記案内溝への入口近傍に設けられ、上記傾斜面の最下端部近傍に移送された上記線状部材に向けて気体を吹き付ける気体噴出部と、
上記案内溝の出口に面する位置に、上記線状部材の上記所定の姿勢に適合させた形状の受け溝を設けた線状部材受け部と、
上記線状部材受け部に収容した線状部材を、長手方向に送り出す送り機構を備えることを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項3に記載の発明において、上記線状部材は略長方形の断面形状を有しており、上記案内溝の溝幅は、上記線状部材の短辺長さより大きく、長辺長さより小さく設定される。
【0011】
本発明の請求項4に記載の発明において、上記線状部材投入部は、矩形容器の底面を上記傾斜面として、載置される線状部材が傾斜方向に移送される構成である。
【0012】
本発明の請求項5に記載の発明において、上記線状部材は、上記所定の姿勢において、特定の表面が上方を向く姿勢で整列供給されるように設定されており、上記線状部材受け部にて受け取った上記線状部材の表裏を判定する判定手段と、該判定手段の判定結果によって上記線状部材を反転させる反転部を備える。
【0013】
本発明の請求項6に記載の発明において、上記反転部は、筒内を上記線状部材の上記所定の姿勢に適合させた収容穴とする筒状ホルダと、該筒状ホルダを反転させる回転駆動部を有し、上記送り機構は、上記線状部材受け部に収容した線状部材を、上記筒状ホルダの上記収容穴に送り出す送り手段を有する。
【0014】
本発明の請求項7に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、上記案内溝への入口近傍に設けられ、上記傾斜面の最下端部近傍に移送された上記線状部材に向けて気体を吹き付ける気体噴出部を備える。
【0015】
本発明の請求項8に記載の発明は、請求項2または7に記載の発明において、上記気体噴出部は、上記案内溝への入口より上方で、上記傾斜面と対向する位置に1つ以上の噴出口を有する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の請求項1の整列供給装置において、線状部材投入部に投入された線状部材は、傾斜面に沿って下方へ送られながら、最下端部に開口する案内溝の入口近傍に達する。ここで、階段状ガイド部材が傾斜面より上方へ突出すると、複数の線状部材が重なり合っていても、階段状ガイド部材とともに上下動することによって、重なりが解消され、また、各線状部材の姿勢が整えられる。したがって、速やかに案内溝に沿う姿勢として1つずつ入口へ挿入され、案内溝を通過することによって、所定の姿勢で線状部材受け部に収容することができる。さらに、送り機構を用いて、受け溝に収容した線状部材を、長手方向に送り出すことで、次工程に供給することができる。
【0017】
本発明の請求項2の整列供給装置において、線状部材投入部に投入された線状部材は、傾斜面に沿って下方へ送られながら、最下端部に開口する案内溝に達する。ここで、複数の線状部材が重なり合っていても、気体噴出部から吹き付けられる気体によって、重なりが解消され、また、各線状部材の姿勢が整えられる。したがって、速やかに案内溝に沿う姿勢として1つずつ入口へ挿入され、案内溝を通過することによって、所定の姿勢で線状部材受け部に収容することができる。さらに、送り機構を用いて、受け溝に収容した線状部材を、長手方向に送り出すことで、次工程に供給することができる。
【0018】
本発明の請求項1、2の整列供給装置によれば、階段状部材または気体噴出部が、線状部材の重なりを解消する手段として機能する。したがって、線状部材投入部を比較的コンパクトに構成することができ、線状部材を確実に所定の姿勢に整列させて、効率よく部品供給を行い、稼働率を向上させることができる。
【0019】
本発明の請求項3に記載の発明において、長方形断面の線状部材は、短辺が上下位置となる姿勢に変換されて、案内溝の入口に挿入される。これにより、案内溝を通過した線状部材を、所定の縦横姿勢として、同形状の受け溝を設けた線状部材受け部に、確実に収容することができる。
【0020】
本発明の請求項4に記載の発明のように、具体的には、線状部材投入部を矩形容器状と
し、その底面を傾斜面とすることができる。この時、傾斜方向に線状部材が移送されるように載置することで、線状部材が傾斜面を下りながら案内溝に沿う方向に整列しやすく、速やかに案内溝に挿入されるので、コンパクトで効率よい装置とすることができる。
【0021】
本発明の請求項5に記載の発明のように、線状部材が表裏を有する形状である場合には、判定手段を用いて、特定の表面が上方を向く所定の姿勢でないと判定されたら、反転部において、線状部材を反転させる。これにより、縦横姿勢のみならず、表裏の向きを揃えた状態で、次工程に供給することができる。
【0022】
本発明の請求項6に記載の発明のように、具体的には、反転部は、筒内を線状部材の収容穴とする筒状ホルダとすることができ、回転駆動部で180°回転させることで、容易に表裏を反転させることができる。また、送り機構に、例えば線状部材の形状に合わせた送り手段を設けることで、線状部材受け部から反転部に、容易に移送することができる。
【0023】
本発明の請求項7に記載の発明のように、階段状ガイド部材に加えて、気体噴出部を設置すると、吹き付けられる気体によって、線状部材の重なりを解消し、案内溝へ向かう線状部材の姿勢を整える効果がより向上する。
【0024】
本発明の請求項8に記載の発明のように、気体噴出部の噴出口を、案内溝の入口より上方に位置させると、傾斜面の下端部近傍で重なり合う線状部材を吹き飛ばし、案内溝の入口に1つずつ線状部材を挿入しやすい。したがって、詰まりを生じることなく線状部材が順に案内溝を通過し、効率よく整列供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1実施形態における整列供給装置の主要部構成を示す側面図である。
【図2】(a)は、第1実施形態の整列供給装置の要部である整列部の概略図であり、(b)は、線状部材の一例を示す斜視図である。
【図3】第1実施形態の整列供給装置の全体構成図である。
【図4】(a)は、第1実施形態の整列供給装置の正面図、(b)は、その側面図である。
【図5】第1実施形態の整列供給装置の要部斜視図である。
【図6】第1実施形態の整列供給装置の作動を説明するための模式図である。
【図7】(a)〜(c)は、第1実施形態の整列供給装置における整列部の作動を説明するための模式図である。
【図8】(a)〜(d)は、第1実施形態の整列供給装置を用いた整列供給の各工程を説明するための模式図である。
【図9】(a)〜(b)は、第1実施形態の整列供給装置における表裏判定方法を説明するための模式図である。
【図10】本発明の第2実施形態における整列供給装置の要部構成を示す概略図である。
【図11】本発明の第3実施形態における整列供給装置の主要部構成を示す側面図である。
【図12】第3実施形態の整列供給装置の平面図および正面図である。
【図13】第3実施形態の整列供給装置の作動を説明するための整列部の要部概略図である。
【図14】第3実施形態の整列部の要部を拡大した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、本発明の第1実施形態となる線状部材の整列供給装置1について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の整列供給装置1の主要部構成を示す側面図であり、図2(a)、(b)に、整列供給装置1の要部である整列部11の概略図および線状部材の一例を示す。図3、4は、整列供給装置1の全体構成図、図5は装置要部の詳細構成図である。
【0027】
本発明の装置を用いて整列供給される線状部材は、全体に線状の細長形状を有する部材であればよく、好適には、長方形の断面形状を有し、特に表裏を有する形状の線状部材に有効である。一例として、本実施形態では、表裏を有する平角線状の線材へ適用した場合について説明する。図2(b)に示すように、本実施形態の線材Wは、平角導体表面に絶縁層を形成した被覆線材であり、コイル材や配線材として用いられる。平角線状の線材Wは、断面が長方形で短辺aと長辺bを有し、整列時に所定の縦横姿勢となるように高さ方向の向きを揃える必要がある。また、長手方向の端部W1は、表面が予め剥離されており、ここでは例えば所定のL字形状とされている。この端部W1形状により、整列時に縦横姿勢に加えて、端部W1の向き、すなわち線材Wの表裏を揃える必要がある。
【0028】
まず、図3、4により、本実施形態の整列供給装置1の全体構成を説明する。図3において、本実施形態の整列供給装置1は、整列部11と反転供給部12とで構成され、整列部11は、線状部材である線材Wを投入する線材投入部(線状部材投入部)2および整列させた線材を受ける線材受け部(線状部材受け部)4を有する。反転供給部12は、線材Wの表裏を反転させる反転部6と、表裏を判定する表裏判定器(判定手段)7および線材Wを反転部6または次工程へ供給する送り機構8を有している。整列部11の線材投入部2は、直方体容器(矩形容器)形状であり、容器側壁には、線材Wに圧縮エアを吹き付けるためのエアノズル部(気体噴出部)3と、線材Wに振動を与えるためのバイブレータ25が設置されている。エアノズル部3は、線状部材の重なりを解消する手段として機能する。
【0029】
図1に、整列部11の詳細を示す。図示するように、線材投入部2は、直方体容器の上面開口部を線材投入口21としており、線材投入口21と対向する底面は、線材受け部4へ向けて図の左方から右方へ下り傾斜する傾斜面22となっている。傾斜面22の最下端部には、その端縁に沿って開口し、線材受け部4へ線材Wを案内する案内溝23が設けられる。また、案内溝23の上方には、線材投入部2の側壁を貫通して、エアノズル部3のエア噴出口(噴出口)31が開口している。線材投入部2の下方には、線材受け部4を図の左右方向に進退可能とする駆動機構5が設置される。この機構の詳細は後述する。
【0030】
本実施形態において、線材投入部2は、図3、4に示す直方体容器の長手方向の長さが、線材Wの長さ以上となるように形成され、線材Wを長手方向に揃えて投入できるようにしている。また、容器底面が、直方体容器の幅方向に適度に傾斜して線材Wを支持する傾斜面22を形成している。線材Wは、直方体容器の長手方向と平行となるように予め揃えられ、この状態で線材投入口21に投入される。なお、線材Wの両端部が同一形状でない場合は、投入前に、長手方向の向きを揃えておくものとする。このように、線材投入部2を直方体容器状とし、搬送路となる底面を傾斜面22とすることで、ランダムに部品が投入されるボウルフィーダよりコンパクトとすることができる。
【0031】
投入された線材Wは、傾斜面22の傾斜とバイブレータ25の振動により、重なりがほぐされ徐々に整列しながら、傾斜面22に沿って下方へ移送される。すなわち、線材投入口21への投入時には、平角線状の線材Wの縦横姿勢は一定していないが、傾斜と振動で転がりながらより安定な姿勢となり、図2(a)に示すように、傾斜面22の下端部付近では、長辺bが下向きとなって傾斜面22に接する平置姿勢となる。
【0032】
線材投入部2の傾斜面22は、傾斜が緩やかすぎると線材Wの移送が速やかになされず、傾斜が急すぎると線材Wが下端部に集まり、重なりやすくなるので、線材Wの形状や材質等に応じた適当な傾斜角度に設定する。一般的な線材Wであれば、例えば、10°〜30°程度の傾斜面22とし、バイブレータ25の振動を併用することで、十分な効果が得られる。バイブレータ25は、振動発生源を内蔵する公知の構造のものが使用され、線材投入部2の底部近傍に取り付けられて、傾斜面22上の線材Wを振動させる。あるいは、線材Wが比較的滑りやすい材質であり、傾斜面22の傾斜角度のみで線材Wの移送が良好に行なわれる場合には、バイブレータ25を用いない構成とすることも可能である。
【0033】
図1、図2(a)に示すように、案内溝23は、線材投入部2の傾斜面22の最下端部から、内側面に沿って下方へ延びる垂直溝で、長手方向の全長に渡って設けられる。案内溝23の溝幅cは、平角線状の線材Wの短辺aの長さより大きく、長辺bの長さより小さく設定される(b>c>a)。好適には、平角線状の線材Wの短辺aよりわずかに大きく設定するとよく、長辺bより十分小さくすることで、所定の姿勢に揃えやすくなる。この時、傾斜面22の最下端部に達した線材Wは、案内溝23に沿って向きを変え、短辺aが下向きとなる縦姿勢で、一個ずつ案内溝23へ導入されることになる。ただし、傾斜面22の最下端部近傍では、複数の線材Wが集まりやすく、線材Wが重なって案内溝23への挿入がスムーズに進まなくなるおそれがある。そこで、本発明では、重なりを解消し、姿勢変換させるエアノズル部3を設けている。
【0034】
エアノズル部3は、案内溝23への入口24近傍、好ましくは入口24よりやや上方位置に設けられ、線材投入部2内側面に開口する噴出口31を有している。エアノズル部3は、公知の構造のものを用いることができ、対向する傾斜面22上に位置する線材Wに向けて、圧縮エアを所定の風量で常時吹き付ける。本実施形態では、図4に示すように、エアノズル部3を、案内溝23の長手方向の中央部一箇所に配置し、図示しない供給部から圧縮エアを供給している。これにより、傾斜面22の下端部付近に集まる線材Wに、効率的にエアを吹き付けて浮き上がらせ、詰まりを生じにくくして、下方に位置する線材Wから順に、案内溝23へ導入させることができる。なお、ここでは、エアノズル部3の噴出口31の数を1つとしているが、エアノズル部3の設置箇所は任意に設定され、複数設置することもできる。この場合は、案内溝23の長手方向に、複数の噴出口31が均等配置されるようにするとよく、例えば3つの噴出口31を、線材Wの両端部と中央部の対向位置に設けることができる。
【0035】
図2(a)において、案内溝23の下端出口は、線材受け部4の上方にて開口し、線材受け部4の上面に設けた受け溝41と対向している。受け溝41は、案内溝23と略同一幅で、線材Wの短辺aよりわずかに大きく設定される。また、受け溝41の溝高さは、線材Wの長辺bと略同一長に設定される。これにより、案内溝23を通過した線材Wが、そのままの姿勢で、つまり本実施形態では、短辺aが上下面となる縦置姿勢で、受け溝41に保持されることになる。図1、図3に示すように、線材受け部4は、線材投入部2の傾斜面22の最下端部の直下に、長手方向のほぼ全長に渡って配置され、受け溝41は、線材Wの全体を収容保持する。このようにして、線材投入部2内の線材Wを、所定の姿勢で1つずつ案内溝23から線材受け部4に移送することができる。
【0036】
線材受け部4に収容した線材Wは、次いで、反転供給部12の反転部6へ送られる。図1において、線材受け部4の駆動機構5は、固定ベースBから立設するステー52に取り付けたエアシリンダ51と、固定ベースBに形成されたレール54上を水平移動するガイド部材53とを有し、エアシリンダ51のピストン先端に取り付けられる可動部材55が、線材受け部4とガイド部材53を連結している。これにより、可動部材55と一体に線材受け部4が、線材投入部2から離れる方向(図1、3中に矢印で示す)へ平行移動可能となり、図示する原位置と反転部6との間を往復動させることができる。
【0037】
また好適には、線材受け部4の受け溝41に線材Wが収容されたことを確認してから、線材受け部4を駆動機構5で駆動することが望ましく、例えば、図5に示す位置判定器43a〜43cを用いて、線材Wの位置判定を行なう。位置判定器43a〜43cは、例えば公知の光電センサが用いられる。図示するように、線材受け部4の上面には、受け溝41の一部を横切るように幅方向の溝42が形成されており、この溝52の延長線上に、位置判定器43aおよび位置確認用のピンホール板44aが配置されている。
【0038】
位置判定器43aとなる光電センサは、例えば可視光の投光部を内蔵するもので、線材受け部4に線材Wが保持されない図示の状態では、溝42および受け溝41の一部を通って、投光ビームが対向するピンホール板44aに到達する。一方、線材受け部4の受け溝41に線材Wが適正に保持されていれば、投光ビームは線材Wによって遮られることになり、これを利用して線材Wの有無を判定可能となる。また、位置判定器43b、43c、ピンホール板44b、44cは、線材受け部4の一端側(図の左端側)において、例えば、受け溝41の近傍位置とその上方に配置され、案内溝23へ導入される線材Wを監視することができる。したがって、これら位置判定器43a〜43cにより線材Wの移送状態を監視しながら、無駄なく装置を作動させることができる。
【0039】
図3、4において、反転供給部12は、必要に応じて線材Wの表裏を反転する反転部6と、これに先立って表裏を判定する表裏判定器7と、線材Wの送り機構8を有する。駆動機構5により、線材投入部2の側方へ平行移動した線材受け部4は、受け溝41が、反転部6の筒状ホルダ61に対向する位置で停止する。筒状ホルダ61は、筒内に線材Wの形状に対応させた角溝穴(収容穴)6aを形成しており、筒状ホルダ61の延長線上には、線材受け部4の受け溝41を挟んで対向する位置に、送り機構8の突き出し矢(送り手段)81が配置されている。突き出し矢81は、線材Wに対応する角型形状と長さを有し、駆動用モータを備える駆動部83によって、軸方向に往復動可能に設けられる(図4の矢印方向)。この突き出し矢81の移動により、線材Wを筒状ホルダ61の角溝穴6aに収容することができる。
【0040】
反転部6の駆動部62は、筒状ホルダ61を軸周りに180°回転させるための駆動用モータ(回転駆動手段)63を備え、収容した線材Wとともに筒状ホルダ61を180°回転させることができる。表裏判定器7は、例えばレーザ光を用いた光電センサからなり、投光部からレーザ光を対象物に投光した時の反射光から、対象物の位置を精度よく検出することができる。これにより、表裏判定器7の判定結果から、表裏の反転が必要と判断された時には、筒状ホルダ61に収容されたまま線材Wを反転させ、その後、線材供給装置1から外部の搬送路または収容ホルダ等へ供給することができる。
【0041】
表裏判定器7の判定結果から、表裏の反転が不要と判断された時には、筒状ホルダ61に収容された線材Wの反転はなされず、そのままの姿勢で外部へ供給されることになる。この供給動作を行なうために、反転部6の駆動部62は、筒状ホルダ61を側方へ平行移動させるための駆動用モータ64を備える。駆動用モータ64により、筒状ホルダ61は、送り機構8の突き出し矢81に対向する位置から、もう1つの突き出し矢82に対向する位置へ移送される。突き出し矢82形状は、突き出し矢81と同様に、線材Wに対応する角型形状と長さを有し、駆動部83によって軸方向に往復動可能である(図4の矢印方向)。したがって、この突き出し矢82の駆動により、筒状ホルダ61内の線材Wを、筒状ホルダ61外へ送り出すことができる。
【0042】
次に、本実施形態の整列供給装置1の作動を、図6〜9により説明する。図6は、上記構成の整列供給装置1を用いて、線材Wを所定の姿勢に整列させて供給するための一連の工程を簡略化して示したものである。図6のステップ1)の工程では、整列部11の線材投入部2に投入した線材Wを、所定の縦横姿勢で、線材受け部4の受け溝41に収容する。この時、線材投入口21から投入された線材Wは、傾斜面22の傾斜とバイブレータ25の振動で、傾斜面22上を移動し、案内溝23が開口する最下端部に到達する。
【0043】
図7(a)に示すように、投入された線材Wが、傾斜面22の最下端部に集まった状態では、線材Wが重なりやすい。このため、他の線材Wの移動を妨げたり、案内溝23の入口24付近で詰まりが生じたりする場合がある。図7(b)に示すように、エアノズル部3は、この入口24付近の重なりをエアブローで解消し、線材Wの姿勢を案内溝23に挿入可能な向きに変換させる。すなわち、図7(c)に示すように、線材Wを、エアノズル部3の噴出口31が開口する壁面に押し当てて、壁面に沿う垂直状態に位置合わせし、下方の案内溝23へ挿入可能とする。
【0044】
図8(a)に示すように、案内溝23を通過した線材Wは、下方の線材受け部4の受け溝41に容易に収容される。このように、本発明では、直方体容器状の線材投入部2に、長手方向の向きを揃えた線材Wを投入すればよく、線材Wの絡まりを抑制しながら、傾斜面22を下る線材Wを順次整列させることができる。また、案内溝23とエアノズル部3によって、線材Wの詰まりを防止しながら、スムーズな搬送を可能にし、所定の姿勢にて1本ずつ確実に線材受け部4へ収容することができる。
【0045】
図6のステップ2)の工程において、線材Wが収容された線材受け部4は、次いで、反転供給部12へ移送される。そして、図8(b)に示すように、移動した線材受け部4の直上に位置する表裏判定器7が、線材Wの表裏を検出する。図9は、線材Wの端部W1形状の一例を示しており、図示するように、線材Wの配置によって、略L字状の端部W1が下向きとなる場合(図9(a))と、端部W1が上向きとなる場合(図9(b))とで、端部W1表面までの距離に違いが生じる。表裏判定器7は、投光部から照射されるレーザビームの反射光を受光することで、線材Wまでの距離を検出し、図9(a)、(b)のいずれの向きにあるかを判定することができる。
【0046】
図6のステップ3)の工程では、例えば、図9(a)の状態を表と設定した場合には、図9(b)の状態を裏と判定し、反転部6にて反転させる。これに先立って、送り機構8の突き出し矢81を用いて、線材受け部4の受け溝41に収容される線材Wを、反転部6の筒状ホルダ61へ向けて突き出し、筒内の角溝穴6aに収容する。次いで、駆動部62の駆動用モータ63を作動させて、図8(c)に示すように、筒状ホルダ61を180°回転させ、線材Wの表裏を反転させる。また、送り機構8の突き出し矢81および線状部材受け部4は、原位置に戻され、ステップ1)、2)を繰り返す。
【0047】
図6のステップ4)の工程では、さらに、駆動部62の駆動用モータ64を作動させて、筒状ホルダ61を側方へ移動し、送り機構8の突き出し矢82を用いて、筒状ホルダ61内の線材Wを次工程へ供給する。この時、図8(d)に示すように、例えば、整列させた線材Wを受け取る複数の溝H1を備えるホルダHを配置し、筒状ホルダ61に収容される線材Wを突き出して、ホルダHへ移動させることができる。
【0048】
このように、上記構成の整列供給装置1によれば、長方形断面の線材Wについて、縦横方向の姿勢を揃えるだけでなく、さらに、表裏判定器7で容易に表裏を判定して、裏向きの線材Wを反転部6において表裏反転させることができる。また、反転部6を回転させるとともに、反転後あるいは反転させずに側方へ移動させる駆動部62を設け、反転部6への線材Wの収容と、次工程への線材Wの送り出しを行う突き出し矢81、82を備える送り機構8を設けたので、線材Wの整列から反転供給を、効率よく実施することができる。
【0049】
したがって、従来のボウルフィーダより小型の装置で、絡みや詰まりを生じることなく、線材Wの縦横の向きと表裏の向きを揃えて、速やかに次工程に供給することができる。よって、本発明の整列供給装置1を用いることで、部品供給効率、装置の稼働率を、大幅に向上させることができる。
【0050】
図10に、本発明の第2実施形態における整列供給装置1の要部拡大図を示す。上記第1実施形態では、線材受け部4を平板状とし、その上面に受け溝41を形成しているが、本実施形態では、線材受け部4´を円柱状とし、その外周面に軸方向に延びる多数の受け溝41´を形成する。線材受け部4´は、軸周りに回転可能に設けられ、受け溝41´が、線材W投入部2に続く案内溝23の下方に位置した時に、案内溝23を通過する線材Wを順に受け取ることができる。受け溝41´に収容された線材Wは、例えば受け溝41´が所定位置となった時に、突き出し矢81を有する送り機構8によって、送り出すように構成することで、反転供給部12へ移送することができる。
【0051】
このように、本実施形態によれば、線材投入部2から線材受け部4´への線材Wの移送を連続的に行い、線材の整列および供給の速度を高めることができる。よって、部品供給効率、装置の稼働率をより向上させることができる。
【0052】
図11、12に、本発明の第3実施形態における整列供給装置1の主要部を示す。本実施形態の整列供給装置1は、固定ベースB上に整列部11および反転供給部12を設置した上記第1実施形態と同様の基本構造を有し、整列部11において線材Wの重なりを解消する手段が異なっている。また、上記第1実施形態の平板状の線材受け部4に代えて、上記第2実施形態と同様に、円柱状の線材受け部4´を有している。反転供給部12は、線材受け部4´から受け取った線材Wを次工程へ送る送り機構8の配置を変更している。以下、これら相違点を中心に詳細を説明する。
【0053】
図11において、整列部11の線材投入部2は、直方体容器状で、線材投入口21と対向する底面は、図の左方から右方へ下り傾斜する傾斜面22aと、図の右方から左方へ下り傾斜する傾斜面22bとからなる。傾斜面22aは、第1実施形態の傾斜面22より大きな傾斜角度(例えば30°以上)に設定され、第1実施形態のバイブレータ25による振動を併用せずに、線材Wが自重で滑落可能となっている。傾斜面22bは、傾斜面22aの約半分の高さで同等の傾斜角度に形成され、両傾斜面22a、22bが交差する最下端部に沿って、案内溝23が開口している。
【0054】
傾斜面22aの下半部には、その傾斜形状に沿う階段状ガイド部材9が埋設されている。階段状ガイド部材9はブロック状で、傾斜面22aに連なる階段状の上端面91を有し、線状部材の重なりを解消する手段として機能する。図12に示すように、階段状ガイド部材9は、線材投入部2の長手方向の複数箇所(ここでは3箇所)に、略等間隔で均等配置される。階段状ガイド部材9の上端面91は、傾斜面22aの対応位置に形成された開口部22cに面し、傾斜面22aより上方に突出可能となっている。階段状ガイド部材9および開口部22cの幅(線材投入部2の長手方向における長さ)は、傾斜方向の長さに対して比較的小さく形成されており、開口部22cの面積に対して線材Wを支持する傾斜面22aの面積は十分大きい。
【0055】
図11において、階段状ガイド部材9は、線材投入部2の下方に設置された駆動部としてのエアシリンダ92によって、全体が上下動可能となっている。階段状ガイド部材9の上端面91は、水平面と縦壁からなる複数の段部を有し、段部間の縦壁は頂部が傾斜面22aに沿って面取りされた傾斜面となっている。階段状の上端面91は、階段状ガイド部材9の上下動に伴い、傾斜面22aの開口部22cから上方に突出し、これに追従して、傾斜面22a上の線材Wが上下動することにより、重なりが解消される。この詳細は後述する。
【0056】
線材投入部2の傾斜面22aと傾斜面22bが交差する最下端部には、傾斜面22aに続く傾斜面を底面とする案内穴23が、長手方向の全長に渡って開口している。案内穴23は、傾斜面22bの端縁に沿って開口する入口24を有し、傾斜面22bを上端面とするブロック状部材の内部を通過して、線材投入部2の下端部側面を出口とする。案内穴23が傾斜面22aに連なる傾斜溝であることから、整列した線材Wが向きを変える必要がなく、また傾斜角度が十分大きいため、スムーズに案内穴23を通過する。
【0057】
整列部11の線材受け部4´は、軸周りに回動する円柱状の本体部を有し、その外周面の1箇所に軸方向に延びる受け溝41´を有する。本実施形態では、案内穴23の出口が開口する線材投入部2の下端部を、線材受け部4´形状に沿う曲面状として、受け溝41´を有する本体部を回動可能に近接配置する。線材受け部4´は、受け溝41´が案内穴23と対向する位置で、案内穴23を通過した線材Wを受け取り、図の右方に回動して、受け溝41´が送り機構8の突き出し矢81と対向する位置で停止する。線材受け部4´は、線材Wが送り出されると、図の左方に回動して、案内穴23と対向する位置へ戻る。
【0058】
この動作を繰り返すことで、線材Wを順に受け取り、送り出すことができる。線材受け部4´を回動させることで、第1実施形態の線材受け部4よりも移動量を小さくし、作業効率を高めるとともに、設置スペースを小さくすることができる。また、線材受け部4´の受け溝41´を1箇所とすることで、多数の受け溝41´を有する第2実施形態の線材受け部4よりも、簡易な構成で制御も容易となる。
【0059】
図11、12において、反転供給部12の送り機構8は、送り手段となる突き出し矢81の直上に、突き出し矢82を所定の間隔をおいて配設する。本実施形態では、突き出し矢81と突き出し矢82を上下に配置することで、装置をコンパクトにすることができ、駆動部83によって軸方向に往復動して、所定の動作を行う。すなわち、突き出し矢81は、線材受け部4´の受け溝41´から線材Wを突き出し、図示しない筒状ホルダ61の角溝穴6a(図4参照)に収容する。
【0060】
本実施形態では、反転部6の筒状ホルダ61を側方へ移動させる代わりに、上下方向に移動させる以外は、第1実施形態と同様の構成としてある。筒状ホルダ61は線材Wの向きに応じて反転後または反転せずに上方の所定位置へ移動し、突き出し矢82を用いて、線材Wを次工程へ供給するホルダへ移動させる。
【0061】
次に、本実施形態の整列供給装置1の作動を説明する。図11、12において、線材Wを整列部11の線材投入部2に投入すると、線材Wは傾斜面22aに沿って滑り落ちる(図11の(1)参照)。この時、線材投入部2の底部が、傾斜面22aと傾斜面22bが交差するV溝状であるために、案内溝23が開口する最下端部に集まり、重なった状態となりやすい。本実施形態では、傾斜面22aの下端部に設置した階段状ガイド部材9を駆動し、階段状の上端面91を一定周期で上下動させることを繰り返す(図11の(2)参照)。これにより、線材Wの重なりを崩して整列させた後、案内溝23へ送り込み、順に線材受け部41´に収容することができる(図11の(3)、(4)参照)。
【0062】
これを図13、14にて説明する。図13の左図において、階段状ガイド部材9は、上昇する上端面91が階段状であるため、段部に当接する線材Wが真上に持ち上げられて、周囲の線材Wとの相対位置や向きを変える。また、階段状ガイド部材9とともに線材Wが上昇して、空間が形成され、線材Wが動きやすくなる。したがって、図13の右図において、階段状ガイド部材9が下降する時に、持ち上げられた線材Wが落下しつつ傾斜面22aに沿って順に整列し、重なりが解消される。
【0063】
このように、本実施形態によれば、線材投入部2の底部に線材Wが重なって溜まる構成であっても、階段状ガイド部材9とともに上下動させて重なりを解消しながら、詰まりを生じさせることなく、線材Wを案内溝23に移案内することができる。ここで、階段状ガイド部材9の上端面91は、段部の水平面および縦壁が線材Wに当接することで、線材Wを上方へ持ち上げて重なりを崩し、隣接する線材Wを離す機能を有する。上端面91の段部の大きさは、段部上で線材Wが重なりあったまま上下動しないように、線材Wのサイズに応じて段部の水平面や縦壁の大きさを設定するとよい。
【0064】
図14に示すように、線材投入部2の最下端部に案内溝23への入口24が形成されることから、入口24近傍の形状を、線材Wがスムーズに案内されるように設定することが望ましい。好適には、案内溝23への入口24近傍に線材Wの大きさに対応する空間が形成されるように、例えば、入口24の水平方向長L(傾斜面22bの下端縁と入口24の下端縁との水平方向距離)を、平角線状の線材Wの長辺以上の長さとするとよい。案内溝23は、第1実施形態と同様、溝幅を線材Wの長辺と短辺の間に設定することで、所定の姿勢に揃えて案内することができる。
【0065】
この時、図14の左図のように、入口24の位置にある線材Wが、周囲の線材Wに囲まれて入口24に押し付けられても、図14の右図のように、階段状ガイド部材9が上下動することで、周囲の線材Wが容易に離れる。また、線材Wの周りに空間が形成されるので、容易に向きを変えて所定の姿勢となり、入口24から案内溝23へ導入される。
【0066】
このように、本実施形態によれば、線材Wの重なりを階段状ガイド部材9によって容易に解消し、詰まりなく案内溝23へ送ることができる。また、案内溝23は線材投入部2の傾斜面22aの延長上にあり、向きを変える必要がないので、速やかに案内溝23を通過させて、線材受け部4´から次工程への供給を高速で実施することができる。
【0067】
また、線状部材の重なりを解消する手段として、本実施形態の階段状ガイド部材9に、第1実施形態のエアノズル部3を組み合わせることもできる。このようにすれば、線材Wの整列および供給を、より確実に遅滞なく行い、部品供給効率、装置稼働率を向上させることができる。
【0068】
上記実施形態では、線状部材として、平角線状の線材Wを用いたが、本発明の整列供給装置1は、平角線に限らず扁平線または角線状の線材であっても、線材形状と所定の姿勢に適合させた案内溝23を設置することで、1つずつ線材を受け溝41に収容して、表裏を揃えて送り出す同様の効果が得られる。さらに、線材に限らず、線状の部品形状を有する部材、例えば、上述した特許文献1に記載される角型の本体部と線状部とを有する部材等に適用することもできる。この場合、表裏を揃える必要がない部品であれば、反転部6を省略し、受け溝41から直接次工程へ供給する構成とすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明の整列供給装置を採用することで、従来のボウルフィーダが不要となり、絡みや詰まりが生じにくくなるので、比較的大型の線状部材、または複雑な形状を有する線状部材を、整列供給する工程に有利である。特に、縦横姿勢や表裏を揃える必要がある場合に好適であり、線状部材を、容易に所定の姿勢に整列させ、次の工程に供給することができるので、各種製品の製造工程に利用されて、生産性の向上に大きく寄与するすることができる。
【符号の説明】
【0070】
B 固定ベース
W 線材(線状部材)
W1 端部
1 整列供給装置
11 整列部
12 反転供給部
2 線材投入部(線状部材投入部)
21 線材投入口
22 傾斜面
23 案内溝
24 入口
25 バイブレータ
3 エアノズル部(気体噴出部)
31 エア噴出口(噴出口)
4 線材受け部(線状部材受け部)
41 受け溝
5 駆動機構
6 反転部
6a 角溝穴(収容穴)
61 筒状ホルダ
62 駆動部
63 駆動用モータ(回転駆動手段)
64 駆動用モータ
7 表裏判定器(判定手段)
8 送り機構
81 突き出し矢(送り手段)
82 突き出し矢
83 駆動部
9 階段状ガイド部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、細長い形状を有する線状部材を、整列させて供給するための装置に関し、特に、平角線等の線材や、表裏等の方向性を有する線状部材の向きを揃えて、次工程へ供給可能な線状部材の整列供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車載電装品または電子機器用の各種部品、特に線状の部品を整列させて供給するための装置として、例えば、特許文献1に記載される整列装置が知られている。この整列装置は、コンデンサー素子等の長方形断面の本体部と、線状部を有する部品をボウルフィーダ(振動搬送装置)に投入し、螺旋状の搬送通路に沿って、直進フィーダに排出された後、単列単層に整列させるもので、長辺の向きを揃え、曲がった部品、重なり部品を排除する方向整列部と、懸吊姿勢に変換する姿勢変換部と、懸吊姿勢で搬送する搬送部を有している。
【0003】
方向整列部は、傾斜面に角溝穴形状の搬送通路を設けて、その角溝を長方形断面の本体部形状に適合させている。搬送通路の途中部分には、傾斜面側の複数箇所にエア穴が設けられて、圧縮エア等が部品に吹き付けられるようになっている。これにより、ボウルフィーダから排出される部品を一個ずつ姿勢変換し、角溝に整合していない部品を振り落として、整列搬送させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−267912号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載される装置は、ボウルフィーダを用いているため、装置が比較的大きい。また、直線状の部品を、円形のボウルフィーダに投入し、外周の螺旋状の搬送通路に排出させる構成であることから、ボウルフィーダ内で部品同士の絡みが発生しやすい。このため、排出口において詰りが生じやすくなり、また、搬送通路において重なりが生じて、整列できない部品が多数排除されると、部品供給が間に合わなくなる。これが稼働率低下の要因になって、生産性を低下させるおそれがあった。
【0006】
しかも、特許文献1に記載される装置は、コンデンサー素子のような小型部品を対象としており、より大きな部品、例えば、線材のように長手方向に長い線状部材に適用しようとすると、装置が大型化する。また、線材が、長方形断面で、かつ両端剥離部の形状により表裏を有する場合には、この剥離部の表裏の向きを揃える必要がある。ところが、特許文献1の姿勢変換部のように、本体部の縦横の向きを合わせるだけでは、表裏を揃えることはできず、所定の姿勢に整列させることができない。
【0007】
そこで、本願発明は、比較的大きな線状部材であっても、装置の大型化をまねくことなく、また、装置内での線材の絡みや重なりを抑制しながら、速やかに所定の姿勢に整列させて供給可能とすること、さらには、線状部材が縦横の姿勢だけでなく、表裏を有する形状である場合には、縦横および表裏の向きを揃えて、次工程に供給することができる整列供給装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の請求項1に記載の発明は、
線状部材が載置される傾斜面を有する線状部材投入部と、
上記線状部材投入部の上記傾斜面の最下端部に沿って設けられ、線状部材が一つずつ所定の姿勢で通過するように案内する案内溝と、
上記案内溝への入口近傍に設けられ、上記傾斜面に沿う階段状に形成されるとともに、上記傾斜面より上方へ突出可能であり、上記傾斜面の最下端部へ向けて移送される上記線状部材を上下動させる階段状ガイド部材と、
上記案内溝の出口に面する位置に、上記線状部材の上記所定の姿勢に適合させた形状の受け溝を設けた線状部材受け部と、
上記線状部材受け部に収容した線状部材を、長手方向に送り出す送り機構を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項2に記載の発明は、
線状部材が載置される傾斜面を有する線状部材投入部と、
上記線状部材投入部の上記傾斜面の最下端部に沿って設けられ、線状部材が一つずつ所定の姿勢で通過するように案内する案内溝と、
上記案内溝への入口近傍に設けられ、上記傾斜面の最下端部近傍に移送された上記線状部材に向けて気体を吹き付ける気体噴出部と、
上記案内溝の出口に面する位置に、上記線状部材の上記所定の姿勢に適合させた形状の受け溝を設けた線状部材受け部と、
上記線状部材受け部に収容した線状部材を、長手方向に送り出す送り機構を備えることを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項3に記載の発明において、上記線状部材は略長方形の断面形状を有しており、上記案内溝の溝幅は、上記線状部材の短辺長さより大きく、長辺長さより小さく設定される。
【0011】
本発明の請求項4に記載の発明において、上記線状部材投入部は、矩形容器の底面を上記傾斜面として、載置される線状部材が傾斜方向に移送される構成である。
【0012】
本発明の請求項5に記載の発明において、上記線状部材は、上記所定の姿勢において、特定の表面が上方を向く姿勢で整列供給されるように設定されており、上記線状部材受け部にて受け取った上記線状部材の表裏を判定する判定手段と、該判定手段の判定結果によって上記線状部材を反転させる反転部を備える。
【0013】
本発明の請求項6に記載の発明において、上記反転部は、筒内を上記線状部材の上記所定の姿勢に適合させた収容穴とする筒状ホルダと、該筒状ホルダを反転させる回転駆動部を有し、上記送り機構は、上記線状部材受け部に収容した線状部材を、上記筒状ホルダの上記収容穴に送り出す送り手段を有する。
【0014】
本発明の請求項7に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、上記案内溝への入口近傍に設けられ、上記傾斜面の最下端部近傍に移送された上記線状部材に向けて気体を吹き付ける気体噴出部を備える。
【0015】
本発明の請求項8に記載の発明は、請求項2または7に記載の発明において、上記気体噴出部は、上記案内溝への入口より上方で、上記傾斜面と対向する位置に1つ以上の噴出口を有する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の請求項1の整列供給装置において、線状部材投入部に投入された線状部材は、傾斜面に沿って下方へ送られながら、最下端部に開口する案内溝の入口近傍に達する。ここで、階段状ガイド部材が傾斜面より上方へ突出すると、複数の線状部材が重なり合っていても、階段状ガイド部材とともに上下動することによって、重なりが解消され、また、各線状部材の姿勢が整えられる。したがって、速やかに案内溝に沿う姿勢として1つずつ入口へ挿入され、案内溝を通過することによって、所定の姿勢で線状部材受け部に収容することができる。さらに、送り機構を用いて、受け溝に収容した線状部材を、長手方向に送り出すことで、次工程に供給することができる。
【0017】
本発明の請求項2の整列供給装置において、線状部材投入部に投入された線状部材は、傾斜面に沿って下方へ送られながら、最下端部に開口する案内溝に達する。ここで、複数の線状部材が重なり合っていても、気体噴出部から吹き付けられる気体によって、重なりが解消され、また、各線状部材の姿勢が整えられる。したがって、速やかに案内溝に沿う姿勢として1つずつ入口へ挿入され、案内溝を通過することによって、所定の姿勢で線状部材受け部に収容することができる。さらに、送り機構を用いて、受け溝に収容した線状部材を、長手方向に送り出すことで、次工程に供給することができる。
【0018】
本発明の請求項1、2の整列供給装置によれば、階段状部材または気体噴出部が、線状部材の重なりを解消する手段として機能する。したがって、線状部材投入部を比較的コンパクトに構成することができ、線状部材を確実に所定の姿勢に整列させて、効率よく部品供給を行い、稼働率を向上させることができる。
【0019】
本発明の請求項3に記載の発明において、長方形断面の線状部材は、短辺が上下位置となる姿勢に変換されて、案内溝の入口に挿入される。これにより、案内溝を通過した線状部材を、所定の縦横姿勢として、同形状の受け溝を設けた線状部材受け部に、確実に収容することができる。
【0020】
本発明の請求項4に記載の発明のように、具体的には、線状部材投入部を矩形容器状と
し、その底面を傾斜面とすることができる。この時、傾斜方向に線状部材が移送されるように載置することで、線状部材が傾斜面を下りながら案内溝に沿う方向に整列しやすく、速やかに案内溝に挿入されるので、コンパクトで効率よい装置とすることができる。
【0021】
本発明の請求項5に記載の発明のように、線状部材が表裏を有する形状である場合には、判定手段を用いて、特定の表面が上方を向く所定の姿勢でないと判定されたら、反転部において、線状部材を反転させる。これにより、縦横姿勢のみならず、表裏の向きを揃えた状態で、次工程に供給することができる。
【0022】
本発明の請求項6に記載の発明のように、具体的には、反転部は、筒内を線状部材の収容穴とする筒状ホルダとすることができ、回転駆動部で180°回転させることで、容易に表裏を反転させることができる。また、送り機構に、例えば線状部材の形状に合わせた送り手段を設けることで、線状部材受け部から反転部に、容易に移送することができる。
【0023】
本発明の請求項7に記載の発明のように、階段状ガイド部材に加えて、気体噴出部を設置すると、吹き付けられる気体によって、線状部材の重なりを解消し、案内溝へ向かう線状部材の姿勢を整える効果がより向上する。
【0024】
本発明の請求項8に記載の発明のように、気体噴出部の噴出口を、案内溝の入口より上方に位置させると、傾斜面の下端部近傍で重なり合う線状部材を吹き飛ばし、案内溝の入口に1つずつ線状部材を挿入しやすい。したがって、詰まりを生じることなく線状部材が順に案内溝を通過し、効率よく整列供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1実施形態における整列供給装置の主要部構成を示す側面図である。
【図2】(a)は、第1実施形態の整列供給装置の要部である整列部の概略図であり、(b)は、線状部材の一例を示す斜視図である。
【図3】第1実施形態の整列供給装置の全体構成図である。
【図4】(a)は、第1実施形態の整列供給装置の正面図、(b)は、その側面図である。
【図5】第1実施形態の整列供給装置の要部斜視図である。
【図6】第1実施形態の整列供給装置の作動を説明するための模式図である。
【図7】(a)〜(c)は、第1実施形態の整列供給装置における整列部の作動を説明するための模式図である。
【図8】(a)〜(d)は、第1実施形態の整列供給装置を用いた整列供給の各工程を説明するための模式図である。
【図9】(a)〜(b)は、第1実施形態の整列供給装置における表裏判定方法を説明するための模式図である。
【図10】本発明の第2実施形態における整列供給装置の要部構成を示す概略図である。
【図11】本発明の第3実施形態における整列供給装置の主要部構成を示す側面図である。
【図12】第3実施形態の整列供給装置の平面図および正面図である。
【図13】第3実施形態の整列供給装置の作動を説明するための整列部の要部概略図である。
【図14】第3実施形態の整列部の要部を拡大した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、本発明の第1実施形態となる線状部材の整列供給装置1について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の整列供給装置1の主要部構成を示す側面図であり、図2(a)、(b)に、整列供給装置1の要部である整列部11の概略図および線状部材の一例を示す。図3、4は、整列供給装置1の全体構成図、図5は装置要部の詳細構成図である。
【0027】
本発明の装置を用いて整列供給される線状部材は、全体に線状の細長形状を有する部材であればよく、好適には、長方形の断面形状を有し、特に表裏を有する形状の線状部材に有効である。一例として、本実施形態では、表裏を有する平角線状の線材へ適用した場合について説明する。図2(b)に示すように、本実施形態の線材Wは、平角導体表面に絶縁層を形成した被覆線材であり、コイル材や配線材として用いられる。平角線状の線材Wは、断面が長方形で短辺aと長辺bを有し、整列時に所定の縦横姿勢となるように高さ方向の向きを揃える必要がある。また、長手方向の端部W1は、表面が予め剥離されており、ここでは例えば所定のL字形状とされている。この端部W1形状により、整列時に縦横姿勢に加えて、端部W1の向き、すなわち線材Wの表裏を揃える必要がある。
【0028】
まず、図3、4により、本実施形態の整列供給装置1の全体構成を説明する。図3において、本実施形態の整列供給装置1は、整列部11と反転供給部12とで構成され、整列部11は、線状部材である線材Wを投入する線材投入部(線状部材投入部)2および整列させた線材を受ける線材受け部(線状部材受け部)4を有する。反転供給部12は、線材Wの表裏を反転させる反転部6と、表裏を判定する表裏判定器(判定手段)7および線材Wを反転部6または次工程へ供給する送り機構8を有している。整列部11の線材投入部2は、直方体容器(矩形容器)形状であり、容器側壁には、線材Wに圧縮エアを吹き付けるためのエアノズル部(気体噴出部)3と、線材Wに振動を与えるためのバイブレータ25が設置されている。エアノズル部3は、線状部材の重なりを解消する手段として機能する。
【0029】
図1に、整列部11の詳細を示す。図示するように、線材投入部2は、直方体容器の上面開口部を線材投入口21としており、線材投入口21と対向する底面は、線材受け部4へ向けて図の左方から右方へ下り傾斜する傾斜面22となっている。傾斜面22の最下端部には、その端縁に沿って開口し、線材受け部4へ線材Wを案内する案内溝23が設けられる。また、案内溝23の上方には、線材投入部2の側壁を貫通して、エアノズル部3のエア噴出口(噴出口)31が開口している。線材投入部2の下方には、線材受け部4を図の左右方向に進退可能とする駆動機構5が設置される。この機構の詳細は後述する。
【0030】
本実施形態において、線材投入部2は、図3、4に示す直方体容器の長手方向の長さが、線材Wの長さ以上となるように形成され、線材Wを長手方向に揃えて投入できるようにしている。また、容器底面が、直方体容器の幅方向に適度に傾斜して線材Wを支持する傾斜面22を形成している。線材Wは、直方体容器の長手方向と平行となるように予め揃えられ、この状態で線材投入口21に投入される。なお、線材Wの両端部が同一形状でない場合は、投入前に、長手方向の向きを揃えておくものとする。このように、線材投入部2を直方体容器状とし、搬送路となる底面を傾斜面22とすることで、ランダムに部品が投入されるボウルフィーダよりコンパクトとすることができる。
【0031】
投入された線材Wは、傾斜面22の傾斜とバイブレータ25の振動により、重なりがほぐされ徐々に整列しながら、傾斜面22に沿って下方へ移送される。すなわち、線材投入口21への投入時には、平角線状の線材Wの縦横姿勢は一定していないが、傾斜と振動で転がりながらより安定な姿勢となり、図2(a)に示すように、傾斜面22の下端部付近では、長辺bが下向きとなって傾斜面22に接する平置姿勢となる。
【0032】
線材投入部2の傾斜面22は、傾斜が緩やかすぎると線材Wの移送が速やかになされず、傾斜が急すぎると線材Wが下端部に集まり、重なりやすくなるので、線材Wの形状や材質等に応じた適当な傾斜角度に設定する。一般的な線材Wであれば、例えば、10°〜30°程度の傾斜面22とし、バイブレータ25の振動を併用することで、十分な効果が得られる。バイブレータ25は、振動発生源を内蔵する公知の構造のものが使用され、線材投入部2の底部近傍に取り付けられて、傾斜面22上の線材Wを振動させる。あるいは、線材Wが比較的滑りやすい材質であり、傾斜面22の傾斜角度のみで線材Wの移送が良好に行なわれる場合には、バイブレータ25を用いない構成とすることも可能である。
【0033】
図1、図2(a)に示すように、案内溝23は、線材投入部2の傾斜面22の最下端部から、内側面に沿って下方へ延びる垂直溝で、長手方向の全長に渡って設けられる。案内溝23の溝幅cは、平角線状の線材Wの短辺aの長さより大きく、長辺bの長さより小さく設定される(b>c>a)。好適には、平角線状の線材Wの短辺aよりわずかに大きく設定するとよく、長辺bより十分小さくすることで、所定の姿勢に揃えやすくなる。この時、傾斜面22の最下端部に達した線材Wは、案内溝23に沿って向きを変え、短辺aが下向きとなる縦姿勢で、一個ずつ案内溝23へ導入されることになる。ただし、傾斜面22の最下端部近傍では、複数の線材Wが集まりやすく、線材Wが重なって案内溝23への挿入がスムーズに進まなくなるおそれがある。そこで、本発明では、重なりを解消し、姿勢変換させるエアノズル部3を設けている。
【0034】
エアノズル部3は、案内溝23への入口24近傍、好ましくは入口24よりやや上方位置に設けられ、線材投入部2内側面に開口する噴出口31を有している。エアノズル部3は、公知の構造のものを用いることができ、対向する傾斜面22上に位置する線材Wに向けて、圧縮エアを所定の風量で常時吹き付ける。本実施形態では、図4に示すように、エアノズル部3を、案内溝23の長手方向の中央部一箇所に配置し、図示しない供給部から圧縮エアを供給している。これにより、傾斜面22の下端部付近に集まる線材Wに、効率的にエアを吹き付けて浮き上がらせ、詰まりを生じにくくして、下方に位置する線材Wから順に、案内溝23へ導入させることができる。なお、ここでは、エアノズル部3の噴出口31の数を1つとしているが、エアノズル部3の設置箇所は任意に設定され、複数設置することもできる。この場合は、案内溝23の長手方向に、複数の噴出口31が均等配置されるようにするとよく、例えば3つの噴出口31を、線材Wの両端部と中央部の対向位置に設けることができる。
【0035】
図2(a)において、案内溝23の下端出口は、線材受け部4の上方にて開口し、線材受け部4の上面に設けた受け溝41と対向している。受け溝41は、案内溝23と略同一幅で、線材Wの短辺aよりわずかに大きく設定される。また、受け溝41の溝高さは、線材Wの長辺bと略同一長に設定される。これにより、案内溝23を通過した線材Wが、そのままの姿勢で、つまり本実施形態では、短辺aが上下面となる縦置姿勢で、受け溝41に保持されることになる。図1、図3に示すように、線材受け部4は、線材投入部2の傾斜面22の最下端部の直下に、長手方向のほぼ全長に渡って配置され、受け溝41は、線材Wの全体を収容保持する。このようにして、線材投入部2内の線材Wを、所定の姿勢で1つずつ案内溝23から線材受け部4に移送することができる。
【0036】
線材受け部4に収容した線材Wは、次いで、反転供給部12の反転部6へ送られる。図1において、線材受け部4の駆動機構5は、固定ベースBから立設するステー52に取り付けたエアシリンダ51と、固定ベースBに形成されたレール54上を水平移動するガイド部材53とを有し、エアシリンダ51のピストン先端に取り付けられる可動部材55が、線材受け部4とガイド部材53を連結している。これにより、可動部材55と一体に線材受け部4が、線材投入部2から離れる方向(図1、3中に矢印で示す)へ平行移動可能となり、図示する原位置と反転部6との間を往復動させることができる。
【0037】
また好適には、線材受け部4の受け溝41に線材Wが収容されたことを確認してから、線材受け部4を駆動機構5で駆動することが望ましく、例えば、図5に示す位置判定器43a〜43cを用いて、線材Wの位置判定を行なう。位置判定器43a〜43cは、例えば公知の光電センサが用いられる。図示するように、線材受け部4の上面には、受け溝41の一部を横切るように幅方向の溝42が形成されており、この溝52の延長線上に、位置判定器43aおよび位置確認用のピンホール板44aが配置されている。
【0038】
位置判定器43aとなる光電センサは、例えば可視光の投光部を内蔵するもので、線材受け部4に線材Wが保持されない図示の状態では、溝42および受け溝41の一部を通って、投光ビームが対向するピンホール板44aに到達する。一方、線材受け部4の受け溝41に線材Wが適正に保持されていれば、投光ビームは線材Wによって遮られることになり、これを利用して線材Wの有無を判定可能となる。また、位置判定器43b、43c、ピンホール板44b、44cは、線材受け部4の一端側(図の左端側)において、例えば、受け溝41の近傍位置とその上方に配置され、案内溝23へ導入される線材Wを監視することができる。したがって、これら位置判定器43a〜43cにより線材Wの移送状態を監視しながら、無駄なく装置を作動させることができる。
【0039】
図3、4において、反転供給部12は、必要に応じて線材Wの表裏を反転する反転部6と、これに先立って表裏を判定する表裏判定器7と、線材Wの送り機構8を有する。駆動機構5により、線材投入部2の側方へ平行移動した線材受け部4は、受け溝41が、反転部6の筒状ホルダ61に対向する位置で停止する。筒状ホルダ61は、筒内に線材Wの形状に対応させた角溝穴(収容穴)6aを形成しており、筒状ホルダ61の延長線上には、線材受け部4の受け溝41を挟んで対向する位置に、送り機構8の突き出し矢(送り手段)81が配置されている。突き出し矢81は、線材Wに対応する角型形状と長さを有し、駆動用モータを備える駆動部83によって、軸方向に往復動可能に設けられる(図4の矢印方向)。この突き出し矢81の移動により、線材Wを筒状ホルダ61の角溝穴6aに収容することができる。
【0040】
反転部6の駆動部62は、筒状ホルダ61を軸周りに180°回転させるための駆動用モータ(回転駆動手段)63を備え、収容した線材Wとともに筒状ホルダ61を180°回転させることができる。表裏判定器7は、例えばレーザ光を用いた光電センサからなり、投光部からレーザ光を対象物に投光した時の反射光から、対象物の位置を精度よく検出することができる。これにより、表裏判定器7の判定結果から、表裏の反転が必要と判断された時には、筒状ホルダ61に収容されたまま線材Wを反転させ、その後、線材供給装置1から外部の搬送路または収容ホルダ等へ供給することができる。
【0041】
表裏判定器7の判定結果から、表裏の反転が不要と判断された時には、筒状ホルダ61に収容された線材Wの反転はなされず、そのままの姿勢で外部へ供給されることになる。この供給動作を行なうために、反転部6の駆動部62は、筒状ホルダ61を側方へ平行移動させるための駆動用モータ64を備える。駆動用モータ64により、筒状ホルダ61は、送り機構8の突き出し矢81に対向する位置から、もう1つの突き出し矢82に対向する位置へ移送される。突き出し矢82形状は、突き出し矢81と同様に、線材Wに対応する角型形状と長さを有し、駆動部83によって軸方向に往復動可能である(図4の矢印方向)。したがって、この突き出し矢82の駆動により、筒状ホルダ61内の線材Wを、筒状ホルダ61外へ送り出すことができる。
【0042】
次に、本実施形態の整列供給装置1の作動を、図6〜9により説明する。図6は、上記構成の整列供給装置1を用いて、線材Wを所定の姿勢に整列させて供給するための一連の工程を簡略化して示したものである。図6のステップ1)の工程では、整列部11の線材投入部2に投入した線材Wを、所定の縦横姿勢で、線材受け部4の受け溝41に収容する。この時、線材投入口21から投入された線材Wは、傾斜面22の傾斜とバイブレータ25の振動で、傾斜面22上を移動し、案内溝23が開口する最下端部に到達する。
【0043】
図7(a)に示すように、投入された線材Wが、傾斜面22の最下端部に集まった状態では、線材Wが重なりやすい。このため、他の線材Wの移動を妨げたり、案内溝23の入口24付近で詰まりが生じたりする場合がある。図7(b)に示すように、エアノズル部3は、この入口24付近の重なりをエアブローで解消し、線材Wの姿勢を案内溝23に挿入可能な向きに変換させる。すなわち、図7(c)に示すように、線材Wを、エアノズル部3の噴出口31が開口する壁面に押し当てて、壁面に沿う垂直状態に位置合わせし、下方の案内溝23へ挿入可能とする。
【0044】
図8(a)に示すように、案内溝23を通過した線材Wは、下方の線材受け部4の受け溝41に容易に収容される。このように、本発明では、直方体容器状の線材投入部2に、長手方向の向きを揃えた線材Wを投入すればよく、線材Wの絡まりを抑制しながら、傾斜面22を下る線材Wを順次整列させることができる。また、案内溝23とエアノズル部3によって、線材Wの詰まりを防止しながら、スムーズな搬送を可能にし、所定の姿勢にて1本ずつ確実に線材受け部4へ収容することができる。
【0045】
図6のステップ2)の工程において、線材Wが収容された線材受け部4は、次いで、反転供給部12へ移送される。そして、図8(b)に示すように、移動した線材受け部4の直上に位置する表裏判定器7が、線材Wの表裏を検出する。図9は、線材Wの端部W1形状の一例を示しており、図示するように、線材Wの配置によって、略L字状の端部W1が下向きとなる場合(図9(a))と、端部W1が上向きとなる場合(図9(b))とで、端部W1表面までの距離に違いが生じる。表裏判定器7は、投光部から照射されるレーザビームの反射光を受光することで、線材Wまでの距離を検出し、図9(a)、(b)のいずれの向きにあるかを判定することができる。
【0046】
図6のステップ3)の工程では、例えば、図9(a)の状態を表と設定した場合には、図9(b)の状態を裏と判定し、反転部6にて反転させる。これに先立って、送り機構8の突き出し矢81を用いて、線材受け部4の受け溝41に収容される線材Wを、反転部6の筒状ホルダ61へ向けて突き出し、筒内の角溝穴6aに収容する。次いで、駆動部62の駆動用モータ63を作動させて、図8(c)に示すように、筒状ホルダ61を180°回転させ、線材Wの表裏を反転させる。また、送り機構8の突き出し矢81および線状部材受け部4は、原位置に戻され、ステップ1)、2)を繰り返す。
【0047】
図6のステップ4)の工程では、さらに、駆動部62の駆動用モータ64を作動させて、筒状ホルダ61を側方へ移動し、送り機構8の突き出し矢82を用いて、筒状ホルダ61内の線材Wを次工程へ供給する。この時、図8(d)に示すように、例えば、整列させた線材Wを受け取る複数の溝H1を備えるホルダHを配置し、筒状ホルダ61に収容される線材Wを突き出して、ホルダHへ移動させることができる。
【0048】
このように、上記構成の整列供給装置1によれば、長方形断面の線材Wについて、縦横方向の姿勢を揃えるだけでなく、さらに、表裏判定器7で容易に表裏を判定して、裏向きの線材Wを反転部6において表裏反転させることができる。また、反転部6を回転させるとともに、反転後あるいは反転させずに側方へ移動させる駆動部62を設け、反転部6への線材Wの収容と、次工程への線材Wの送り出しを行う突き出し矢81、82を備える送り機構8を設けたので、線材Wの整列から反転供給を、効率よく実施することができる。
【0049】
したがって、従来のボウルフィーダより小型の装置で、絡みや詰まりを生じることなく、線材Wの縦横の向きと表裏の向きを揃えて、速やかに次工程に供給することができる。よって、本発明の整列供給装置1を用いることで、部品供給効率、装置の稼働率を、大幅に向上させることができる。
【0050】
図10に、本発明の第2実施形態における整列供給装置1の要部拡大図を示す。上記第1実施形態では、線材受け部4を平板状とし、その上面に受け溝41を形成しているが、本実施形態では、線材受け部4´を円柱状とし、その外周面に軸方向に延びる多数の受け溝41´を形成する。線材受け部4´は、軸周りに回転可能に設けられ、受け溝41´が、線材W投入部2に続く案内溝23の下方に位置した時に、案内溝23を通過する線材Wを順に受け取ることができる。受け溝41´に収容された線材Wは、例えば受け溝41´が所定位置となった時に、突き出し矢81を有する送り機構8によって、送り出すように構成することで、反転供給部12へ移送することができる。
【0051】
このように、本実施形態によれば、線材投入部2から線材受け部4´への線材Wの移送を連続的に行い、線材の整列および供給の速度を高めることができる。よって、部品供給効率、装置の稼働率をより向上させることができる。
【0052】
図11、12に、本発明の第3実施形態における整列供給装置1の主要部を示す。本実施形態の整列供給装置1は、固定ベースB上に整列部11および反転供給部12を設置した上記第1実施形態と同様の基本構造を有し、整列部11において線材Wの重なりを解消する手段が異なっている。また、上記第1実施形態の平板状の線材受け部4に代えて、上記第2実施形態と同様に、円柱状の線材受け部4´を有している。反転供給部12は、線材受け部4´から受け取った線材Wを次工程へ送る送り機構8の配置を変更している。以下、これら相違点を中心に詳細を説明する。
【0053】
図11において、整列部11の線材投入部2は、直方体容器状で、線材投入口21と対向する底面は、図の左方から右方へ下り傾斜する傾斜面22aと、図の右方から左方へ下り傾斜する傾斜面22bとからなる。傾斜面22aは、第1実施形態の傾斜面22より大きな傾斜角度(例えば30°以上)に設定され、第1実施形態のバイブレータ25による振動を併用せずに、線材Wが自重で滑落可能となっている。傾斜面22bは、傾斜面22aの約半分の高さで同等の傾斜角度に形成され、両傾斜面22a、22bが交差する最下端部に沿って、案内溝23が開口している。
【0054】
傾斜面22aの下半部には、その傾斜形状に沿う階段状ガイド部材9が埋設されている。階段状ガイド部材9はブロック状で、傾斜面22aに連なる階段状の上端面91を有し、線状部材の重なりを解消する手段として機能する。図12に示すように、階段状ガイド部材9は、線材投入部2の長手方向の複数箇所(ここでは3箇所)に、略等間隔で均等配置される。階段状ガイド部材9の上端面91は、傾斜面22aの対応位置に形成された開口部22cに面し、傾斜面22aより上方に突出可能となっている。階段状ガイド部材9および開口部22cの幅(線材投入部2の長手方向における長さ)は、傾斜方向の長さに対して比較的小さく形成されており、開口部22cの面積に対して線材Wを支持する傾斜面22aの面積は十分大きい。
【0055】
図11において、階段状ガイド部材9は、線材投入部2の下方に設置された駆動部としてのエアシリンダ92によって、全体が上下動可能となっている。階段状ガイド部材9の上端面91は、水平面と縦壁からなる複数の段部を有し、段部間の縦壁は頂部が傾斜面22aに沿って面取りされた傾斜面となっている。階段状の上端面91は、階段状ガイド部材9の上下動に伴い、傾斜面22aの開口部22cから上方に突出し、これに追従して、傾斜面22a上の線材Wが上下動することにより、重なりが解消される。この詳細は後述する。
【0056】
線材投入部2の傾斜面22aと傾斜面22bが交差する最下端部には、傾斜面22aに続く傾斜面を底面とする案内穴23が、長手方向の全長に渡って開口している。案内穴23は、傾斜面22bの端縁に沿って開口する入口24を有し、傾斜面22bを上端面とするブロック状部材の内部を通過して、線材投入部2の下端部側面を出口とする。案内穴23が傾斜面22aに連なる傾斜溝であることから、整列した線材Wが向きを変える必要がなく、また傾斜角度が十分大きいため、スムーズに案内穴23を通過する。
【0057】
整列部11の線材受け部4´は、軸周りに回動する円柱状の本体部を有し、その外周面の1箇所に軸方向に延びる受け溝41´を有する。本実施形態では、案内穴23の出口が開口する線材投入部2の下端部を、線材受け部4´形状に沿う曲面状として、受け溝41´を有する本体部を回動可能に近接配置する。線材受け部4´は、受け溝41´が案内穴23と対向する位置で、案内穴23を通過した線材Wを受け取り、図の右方に回動して、受け溝41´が送り機構8の突き出し矢81と対向する位置で停止する。線材受け部4´は、線材Wが送り出されると、図の左方に回動して、案内穴23と対向する位置へ戻る。
【0058】
この動作を繰り返すことで、線材Wを順に受け取り、送り出すことができる。線材受け部4´を回動させることで、第1実施形態の線材受け部4よりも移動量を小さくし、作業効率を高めるとともに、設置スペースを小さくすることができる。また、線材受け部4´の受け溝41´を1箇所とすることで、多数の受け溝41´を有する第2実施形態の線材受け部4よりも、簡易な構成で制御も容易となる。
【0059】
図11、12において、反転供給部12の送り機構8は、送り手段となる突き出し矢81の直上に、突き出し矢82を所定の間隔をおいて配設する。本実施形態では、突き出し矢81と突き出し矢82を上下に配置することで、装置をコンパクトにすることができ、駆動部83によって軸方向に往復動して、所定の動作を行う。すなわち、突き出し矢81は、線材受け部4´の受け溝41´から線材Wを突き出し、図示しない筒状ホルダ61の角溝穴6a(図4参照)に収容する。
【0060】
本実施形態では、反転部6の筒状ホルダ61を側方へ移動させる代わりに、上下方向に移動させる以外は、第1実施形態と同様の構成としてある。筒状ホルダ61は線材Wの向きに応じて反転後または反転せずに上方の所定位置へ移動し、突き出し矢82を用いて、線材Wを次工程へ供給するホルダへ移動させる。
【0061】
次に、本実施形態の整列供給装置1の作動を説明する。図11、12において、線材Wを整列部11の線材投入部2に投入すると、線材Wは傾斜面22aに沿って滑り落ちる(図11の(1)参照)。この時、線材投入部2の底部が、傾斜面22aと傾斜面22bが交差するV溝状であるために、案内溝23が開口する最下端部に集まり、重なった状態となりやすい。本実施形態では、傾斜面22aの下端部に設置した階段状ガイド部材9を駆動し、階段状の上端面91を一定周期で上下動させることを繰り返す(図11の(2)参照)。これにより、線材Wの重なりを崩して整列させた後、案内溝23へ送り込み、順に線材受け部41´に収容することができる(図11の(3)、(4)参照)。
【0062】
これを図13、14にて説明する。図13の左図において、階段状ガイド部材9は、上昇する上端面91が階段状であるため、段部に当接する線材Wが真上に持ち上げられて、周囲の線材Wとの相対位置や向きを変える。また、階段状ガイド部材9とともに線材Wが上昇して、空間が形成され、線材Wが動きやすくなる。したがって、図13の右図において、階段状ガイド部材9が下降する時に、持ち上げられた線材Wが落下しつつ傾斜面22aに沿って順に整列し、重なりが解消される。
【0063】
このように、本実施形態によれば、線材投入部2の底部に線材Wが重なって溜まる構成であっても、階段状ガイド部材9とともに上下動させて重なりを解消しながら、詰まりを生じさせることなく、線材Wを案内溝23に移案内することができる。ここで、階段状ガイド部材9の上端面91は、段部の水平面および縦壁が線材Wに当接することで、線材Wを上方へ持ち上げて重なりを崩し、隣接する線材Wを離す機能を有する。上端面91の段部の大きさは、段部上で線材Wが重なりあったまま上下動しないように、線材Wのサイズに応じて段部の水平面や縦壁の大きさを設定するとよい。
【0064】
図14に示すように、線材投入部2の最下端部に案内溝23への入口24が形成されることから、入口24近傍の形状を、線材Wがスムーズに案内されるように設定することが望ましい。好適には、案内溝23への入口24近傍に線材Wの大きさに対応する空間が形成されるように、例えば、入口24の水平方向長L(傾斜面22bの下端縁と入口24の下端縁との水平方向距離)を、平角線状の線材Wの長辺以上の長さとするとよい。案内溝23は、第1実施形態と同様、溝幅を線材Wの長辺と短辺の間に設定することで、所定の姿勢に揃えて案内することができる。
【0065】
この時、図14の左図のように、入口24の位置にある線材Wが、周囲の線材Wに囲まれて入口24に押し付けられても、図14の右図のように、階段状ガイド部材9が上下動することで、周囲の線材Wが容易に離れる。また、線材Wの周りに空間が形成されるので、容易に向きを変えて所定の姿勢となり、入口24から案内溝23へ導入される。
【0066】
このように、本実施形態によれば、線材Wの重なりを階段状ガイド部材9によって容易に解消し、詰まりなく案内溝23へ送ることができる。また、案内溝23は線材投入部2の傾斜面22aの延長上にあり、向きを変える必要がないので、速やかに案内溝23を通過させて、線材受け部4´から次工程への供給を高速で実施することができる。
【0067】
また、線状部材の重なりを解消する手段として、本実施形態の階段状ガイド部材9に、第1実施形態のエアノズル部3を組み合わせることもできる。このようにすれば、線材Wの整列および供給を、より確実に遅滞なく行い、部品供給効率、装置稼働率を向上させることができる。
【0068】
上記実施形態では、線状部材として、平角線状の線材Wを用いたが、本発明の整列供給装置1は、平角線に限らず扁平線または角線状の線材であっても、線材形状と所定の姿勢に適合させた案内溝23を設置することで、1つずつ線材を受け溝41に収容して、表裏を揃えて送り出す同様の効果が得られる。さらに、線材に限らず、線状の部品形状を有する部材、例えば、上述した特許文献1に記載される角型の本体部と線状部とを有する部材等に適用することもできる。この場合、表裏を揃える必要がない部品であれば、反転部6を省略し、受け溝41から直接次工程へ供給する構成とすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明の整列供給装置を採用することで、従来のボウルフィーダが不要となり、絡みや詰まりが生じにくくなるので、比較的大型の線状部材、または複雑な形状を有する線状部材を、整列供給する工程に有利である。特に、縦横姿勢や表裏を揃える必要がある場合に好適であり、線状部材を、容易に所定の姿勢に整列させ、次の工程に供給することができるので、各種製品の製造工程に利用されて、生産性の向上に大きく寄与するすることができる。
【符号の説明】
【0070】
B 固定ベース
W 線材(線状部材)
W1 端部
1 整列供給装置
11 整列部
12 反転供給部
2 線材投入部(線状部材投入部)
21 線材投入口
22 傾斜面
23 案内溝
24 入口
25 バイブレータ
3 エアノズル部(気体噴出部)
31 エア噴出口(噴出口)
4 線材受け部(線状部材受け部)
41 受け溝
5 駆動機構
6 反転部
6a 角溝穴(収容穴)
61 筒状ホルダ
62 駆動部
63 駆動用モータ(回転駆動手段)
64 駆動用モータ
7 表裏判定器(判定手段)
8 送り機構
81 突き出し矢(送り手段)
82 突き出し矢
83 駆動部
9 階段状ガイド部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
線状部材が載置される傾斜面を有する線状部材投入部と、
上記線状部材投入部の上記傾斜面の最下端部に沿って設けられ、線状部材が一つずつ所定の姿勢で通過するように案内する案内溝と、
上記案内溝への入口近傍に設けられ、上記傾斜面に沿う階段状に形成されるとともに、上記傾斜面より上方へ突出可能であり、上記傾斜面の最下端部へ向けて移送される上記線状部材を上下動させる階段状ガイド部材と、
上記案内溝の出口に面する位置に、上記線状部材の上記所定の姿勢に適合させた形状の受け溝を設けた線状部材受け部と、
上記線状部材受け部に収容した線状部材を、長手方向に送り出す送り機構を備えることを特徴とする線状部材の整列供給装置。
【請求項2】
線状部材が載置される傾斜面を有する線状部材投入部と、
上記線状部材投入部の上記傾斜面の最下端部に沿って設けられ、線状部材が一つずつ所定の姿勢で通過するように案内する案内溝と、
上記案内溝への入口近傍に設けられ、上記傾斜面の最下端部近傍に移送された上記線状部材に向けて気体を吹き付ける気体噴出部と、
上記案内溝の出口に面する位置に、上記線状部材の上記所定の姿勢に適合させた形状の受け溝を設けた線状部材受け部と、
上記線状部材受け部に収容した線状部材を、長手方向に送り出す送り機構を備えることを特徴とする線状部材の整列供給装置。
【請求項3】
上記線状部材は略長方形の断面形状を有しており、上記案内溝の溝幅は、上記線状部材の短辺長さより大きく、長辺長さより小さく設定される請求項1または2記載の線状部材の整列供給装置。
【請求項4】
上記線状部材投入部は、矩形容器の底面を上記傾斜面として、載置される線状部材が傾斜方向に移送される構成である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の線状部材の整列供給装置。
【請求項5】
上記線状部材は、上記所定の姿勢において、特定の表面が上方を向く姿勢で整列供給されるように設定されており、上記線状部材受け部にて受け取った上記線状部材の表裏を判定する判定手段と、該判定手段の判定結果によって上記線状部材を反転させる反転部を備える請求項1ないし4のいずれか1項に記載の線状部材の整列供給装置。
【請求項6】
上記反転部は、筒内を上記線状部材の上記所定の姿勢に適合させた収容穴とする筒状ホルダと、該筒状ホルダを反転させる回転駆動部を有し、上記送り機構は、上記線状部材受け部に収容した線状部材を、上記筒状ホルダの上記収容穴に送り出す送り手段を有する請求項1ないし5のいずれか1項に記載の線状部材の整列供給装置。
【請求項7】
上記案内溝への入口近傍に設けられ、上記傾斜面の最下端部近傍に移送された上記線状部材に向けて気体を吹き付ける気体噴出部を備える請求項1記載の線状部材の整列供給装置。
【請求項8】
上記気体噴出部は、上記案内溝への入口より上方で、上記傾斜面と対向する位置に1つ以上の噴出口を有する請求項2または7記載の線状部材の整列供給装置。
【請求項1】
線状部材が載置される傾斜面を有する線状部材投入部と、
上記線状部材投入部の上記傾斜面の最下端部に沿って設けられ、線状部材が一つずつ所定の姿勢で通過するように案内する案内溝と、
上記案内溝への入口近傍に設けられ、上記傾斜面に沿う階段状に形成されるとともに、上記傾斜面より上方へ突出可能であり、上記傾斜面の最下端部へ向けて移送される上記線状部材を上下動させる階段状ガイド部材と、
上記案内溝の出口に面する位置に、上記線状部材の上記所定の姿勢に適合させた形状の受け溝を設けた線状部材受け部と、
上記線状部材受け部に収容した線状部材を、長手方向に送り出す送り機構を備えることを特徴とする線状部材の整列供給装置。
【請求項2】
線状部材が載置される傾斜面を有する線状部材投入部と、
上記線状部材投入部の上記傾斜面の最下端部に沿って設けられ、線状部材が一つずつ所定の姿勢で通過するように案内する案内溝と、
上記案内溝への入口近傍に設けられ、上記傾斜面の最下端部近傍に移送された上記線状部材に向けて気体を吹き付ける気体噴出部と、
上記案内溝の出口に面する位置に、上記線状部材の上記所定の姿勢に適合させた形状の受け溝を設けた線状部材受け部と、
上記線状部材受け部に収容した線状部材を、長手方向に送り出す送り機構を備えることを特徴とする線状部材の整列供給装置。
【請求項3】
上記線状部材は略長方形の断面形状を有しており、上記案内溝の溝幅は、上記線状部材の短辺長さより大きく、長辺長さより小さく設定される請求項1または2記載の線状部材の整列供給装置。
【請求項4】
上記線状部材投入部は、矩形容器の底面を上記傾斜面として、載置される線状部材が傾斜方向に移送される構成である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の線状部材の整列供給装置。
【請求項5】
上記線状部材は、上記所定の姿勢において、特定の表面が上方を向く姿勢で整列供給されるように設定されており、上記線状部材受け部にて受け取った上記線状部材の表裏を判定する判定手段と、該判定手段の判定結果によって上記線状部材を反転させる反転部を備える請求項1ないし4のいずれか1項に記載の線状部材の整列供給装置。
【請求項6】
上記反転部は、筒内を上記線状部材の上記所定の姿勢に適合させた収容穴とする筒状ホルダと、該筒状ホルダを反転させる回転駆動部を有し、上記送り機構は、上記線状部材受け部に収容した線状部材を、上記筒状ホルダの上記収容穴に送り出す送り手段を有する請求項1ないし5のいずれか1項に記載の線状部材の整列供給装置。
【請求項7】
上記案内溝への入口近傍に設けられ、上記傾斜面の最下端部近傍に移送された上記線状部材に向けて気体を吹き付ける気体噴出部を備える請求項1記載の線状部材の整列供給装置。
【請求項8】
上記気体噴出部は、上記案内溝への入口より上方で、上記傾斜面と対向する位置に1つ以上の噴出口を有する請求項2または7記載の線状部材の整列供給装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−32222(P2013−32222A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−145420(P2012−145420)
【出願日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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