説明

締結部材及び該締結部材を含む接合部の防食構造

【課題】長期にわたって防食が可能で、隙間腐食も防止でき、かつ簡便で安価な締結部材及び該締結部材を含む結合部の防食構造を提供すること。
【解決手段】被締結部材に締結されたボルトと、該ボルトのネジ部に螺合されたナットと、該被締結部材と該ボルトの頭部間に嵌合された座金及び該被締結部材と該ナット間の該ボルトのネジ部に嵌合された座金とからなる締結部材の防食構造であって、上記ボルトのネジ部に螺合された上記ナットの外側に流電陽極作用を有するナット状防食材を螺合すると共に、上記被締結部材と上記ナット間の上記ボルトのネジ部に嵌合された座金の側周面に、流電陽極作用を有するリング状防食材とその外周に設けられた樹脂製リングとからなる防食リングを嵌合してなる締結部材の防食構造を採用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、締結部材及び該締結部材を含む接合部の防食構造に関する。
【背景技術】
【0002】
橋梁や建築物等の構造物では、多様な接合方法が採られている。なかでも、ボルト・ナットによる接合は、溶接のような特別な装置や高度な技術を必要としないため多く用いられている。しかし、乾湿が繰り返される腐食雰囲気では、これらの防食が問題となっている。
【0003】
従来、この締結部材の防食は防錆塗料による塗装が中心であった。塗装による防食性能は、腐食因子である水や酸素等の遮断が目的であり、完全な塗装が存在することが必要である。
【0004】
しかし、この塗装による締結部材の防食は、十分な塗膜を形成できないため、長期間にわたる防食が期待できなかった。すなわち、ボルト頭部やナットでは、形状が角部や曲部を有するため塗膜が薄くなりがちであり、ボルトやナットのネジ部では、ネジ精度を確保する必要があるため厚い膜厚に塗布することができなかった。さらに、締め付ける際に塗膜が剥がれたり傷ついたりする欠点があった。
【0005】
このような腐食を回避するため、鋼製の締結部材(ボルト・ナット)に代えてステンレス製の締結部材(ボルト・ナット)を使用することが行われている。この場合には、上記問題は解消されるが、隙間腐食の問題が生じる。一般に、締結部材は表面に露出しており、被締結部材とボルト又は取付面と座金間に隙間が生じ、この隙間に水分が浸入すると排出が難しくなり、隙間部が他の部分よりも電位が卑となって隙間腐食が生じる。
【0006】
このような締結部材の腐食を防止するために、締結部材をアルミニウム製やポリエチレン製の保護キャップで覆ったり、さらにはその内部に無溶剤型エポキシ樹脂塗料やポリサルファイド樹脂系のコーキング材を防食材として充填することも提案されている。例えば、特許文献1(特開昭50−14966号公報)には、ボルト部及びナット部に防食被覆を施す際、ボルト部及びナット部を空洞状外被体でもって包被すること、並びに該外被体に予め接着性充填材を充填させておくことが記載されている。また、特許文献2(特開平2−138488号公報)には、ボルト及び/又はナットの構造物からの突出部に対して、該突出部を覆う内部透視可能でかつ注入口と排出口とを有する難燃性保護キャップを被せる工程と、該保護キャップ内に防食材を注入し充填させる工程と、上記保護キャップ内に充填された防食材を硬化させる工程とを含んでなるボルト・ナットの防食方法が記載されている。
【0007】
しかし、特許文献1に示されるように、単に保護キャップを用いた場合には、保護キャップ内に湿気が残っていたり、または外部より水や湿気が浸入したりしてボルト、ナット等に錆が発生し、腐食が防止できない場合がある。
【0008】
また、特許文献1及び2に示されるように、保護キャップ内に防食材料を充填した場合には、防食材料が構造物の定期点検や定期補修の際は、保護キャップを破壊して防食材料を取り除く必要があり、多くの手間を要することから実用的ではなかった。
【0009】
他の提案としては、鉄系材料よりも低い腐食電位を有する金属材料から形成される螺合部材が、ナットの外側にダブルナット状に螺合される構造が挙げられる。例えば、特許文献3(特許第2644591号)には、ボルト・ナットとボルトのネジ部うちナットの外側にダブルナット状に螺合され、かつボルト・ナットと螺合状態で電気的に導通する螺合部材とからなり、螺合部材がボルト・ナットを構成する材料よりも低い腐蝕電位を有する金属材料で形成された電気化学的防触部材が記載されている。また、特許文献4(特公昭39−4218号公報)には、締付ナット取付部は締付用ナットの外に亜鉛製ナットを設けた鋳鉄管接手ボルトの電気防食装置が記載されている。
【0010】
しかし、特許文献3及び4に示されるように、ダブルナット状の螺合構造のみでは、被締結部材(構造物)とボルト、被締結部材と座金間に形成される隙間に対して防食効果が不十分であり、水分の浸入により腐食する場合があった。
【0011】
その他、溶融亜鉛メッキ、電気アルミニウムメッキ又は種々亜鉛系、アルミニウム系粉末を用いた塗料による防食方法も提案されているが、いずれも短期間の防食効果しか得られていない。
【0012】
このように、従来にあっては、長期に渡って防食が可能で、また隙間腐食も防止することができ、かつ簡便な締結部材の防食方法又は防食構造は得られていない。
【0013】
【特許文献1】特開昭50−14966号公報
【特許文献2】特開平2−138488号公報
【特許文献3】特許第2644591号
【特許文献4】特公昭39−4218号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従って、本発明の目的は、長期にわたって防食が可能で、隙間腐食も防止でき、かつ簡便で安価な締結部材及び該締結部材を含む接合部の防食構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者らは、検討の結果、ボルトのネジ部に螺合されたナットの外側に流電陽極作用を有するナット状防食材を螺合すると共に、被締結部材とナット間のボルトのネジ部に嵌合された座金の側周面に、流電陽極作用を有するリング状防食材とその外周に設けられた樹脂製リングとからなる防食リングを嵌合させることにより、あるいは上記座金の側周面に、リング状防食材を嵌合し、かつリング状防食材の側周面に配され、ナット状防食材及びリング状防食材を含むナット側締結部材を複数の孔部を有する保護キャップで被覆することにより、上記目的が達成し得ることを知見して本発明に至った。
【0016】
すなわち、本発明は、被締結部材に締結されたボルトと、該ボルトのネジ部に螺合されたナットと、該被締結部材と該ボルトの頭部間に嵌合された座金及び該被締結部材と該ナット間の該ボルトのネジ部に嵌合された座金とからなる締結部材の防食構造であって、上記ボルトのネジ部に螺合された上記ナットの外側に流電陽極作用を有するナット状防食材を螺合すると共に、上記被締結部材と上記ナット間の上記ボルトのネジ部に嵌合された座金の側周面に、流電陽極作用を有するリング状防食材とその外周に設けられた樹脂製リングとからなる防食リングを嵌合してなる締結部材の防食構造を提供するものである。
【0017】
また、本発明は、被締結部材に締結されたボルトと、該ボルトのネジ部に螺合されたナットと、該被締結部材と該ボルトの頭部間に嵌合された座金及び該被締結部材と該ナット間の該ボルトのネジ部に嵌合された座金とからなる締結部材の防食構造であって、上記ボルトのネジ部に螺合された上記ナットの外側に流電陽極作用を有するナット状防食材を螺合すると共に、上記被締結部材と上記ナット間の上記ボルトのネジ部に嵌合された座金の側周面に、流電陽極作用を有するリング状防食材を嵌合し、かつ該リング状防食材の側周面に配され、該ナット状防食材及び該リング状防食材を含むナット側締結部材を複数の孔部を有する保護キャップで空隙をもって被覆してなる締結部材の防食構造を提供するものである。
【0018】
本発明に係る上記締結部材の防食構造において、上記被締結部材と上記ボルトの頭部間に嵌合された座金の側周面に、流電陽極作用を有するリング状防食材とその外周に設けられた樹脂製リングとからなる防食リングが嵌合されていることが望ましい。
【0019】
本発明に係る上記締結部材の防食構造において、上記ナット状防食材及び上記リング状防食材は、亜鉛、アルミニウム若しくはマグネシウムの金属単体又はその金属合金から選択されることが望ましい。
【0020】
本発明に係る上記締結部材の防食構造において、上記防食リングの上記樹脂製リングは、上記リング状防食材の上部を覆うように設けられていることが望ましい。
【0021】
また、本発明は、被締結部材に上記防食構造を有する締結部材を複数締結し、かつ締結された該複数の締結部材間に位置する被締結部材の両面に亜鉛シートを貼付してなる締結部材を含む接合部の防食構造を提供するものである。
【0022】
本発明に係る上記締結部材を含む接合部の防食構造において、上記被締結部材は、桁材の両面に連結板を接合した継手部である。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る締結部材及び該締結部材を含む接合部の防食構造は、締結部材を長期にわたって防食が可能であり、またナット状防食材のみならず、リング状防食材と樹脂製リングとからなる防食リング又はリング状防食材と保護キャップを用いているので、隙間腐食が防止でき、かつ簡便な構造で安価である。
【0024】
また、リング状防食材の外周に樹脂製リングが形成されていることにより、リング状防食材の溶出部位を規制されているので、長期にわたり隙間が防止でき、かつ簡便な構造で安価である。
【0025】
さらに、締結部材が複数の孔部を有する保護キャップで空隙をもって被覆されていることにより、締結部材のメンテナンスを行う際、保護キャップの取り外しを容易にできる。また、保護キャップの内側にリング状防食材が設けられていることにより複数の孔部から浸入してくる水分を積極的に利用して防食効果を発揮させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳述する。
図1は、本発明に係る締結部材の防食構造の一実施形態を示す概略断面図である。
【0027】
図1において、締結部材は、ボルト1と該ボルトのネジ部1aに螺合されたナット2と被締結部材4と該ボルトの頭部1b間に嵌合された座金3a及び該被締結部材4と該ナット2間の該ボルトのネジ部1bに嵌合された座金3bとからなり、これにより被締結部材4を締結している。この座金3a,3bには、ゆるみ止め防止として、平座金とばね座金の2枚の座金を用いることが好ましい。このような締結部材は、継手部に一般的に用いられるものである。
【0028】
本発明に係る締結部材の防食構造では、ボルトのネジ部1aに螺合されたナット2の外側に流電陽極作用を有するナット状防食材5が螺合されている。このナット状防食材5の斜視図を図2に示す。このナット状防食材5は、流電陽極作用を有するもので、亜鉛、アルミニウム若しくはマグネシウムの金属単体又はその金属合金から選択されるものが好ましい。
【0029】
本発明に係る締結部材の防食構造では、上記ナット状防食材5のみでは、被締結部材(構造物)4とボルト1、被締結部材(構造物)4と座金3b間に形成される隙間に対して防食効果が不十分であるので、図1に示されるように、被締結部材4とナット2間のボルトのネジ部1aに嵌合された座金3bの側周面に、流電陽極作用を有するリング状防食材6とその外周に設けられた樹脂製リング7とからなる防食リング8を嵌合する。
【0030】
図3に防食リング8の斜視図を示す。防食リング8は、上記したように、リング状防食材6とその外周に設けられた樹脂製リング7とから形成されている。リング状防食材6は、上記ナット状防食材5と同様に流電陽極作用を有するもので、亜鉛、アルミニウム若しくはマグネシウムの金属単体又はその金属合金から選択されるものが好ましい。また、樹脂製リング7は、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド樹脂、ABS樹脂等の衝撃強さを有する熱可塑性プラスチックから形成される。
【0031】
図1に示されるように、防食リング8の樹脂製リング7は、リング状防食材6の上部を覆うように設けられていることが望ましい。このような防食リング8を用いることによって、リング状防食材6の溶出部位を規制できると共に、めがねレンチ等の工具により押し込んで座金3bの側周面に嵌合させることができる。
【0032】
図1では、さらに被締結部材4とボルトの頭部1b間に嵌合された座金3aの側周面に、流電陽極作用を有するリング状防食材6とその外周に設けられた樹脂製リング7とからなる防食リング8が嵌合され、このことにより被締結部材(構造物)4とボルト1、被締結部材(構造物)4と座金3a間に形成される隙間腐食が防止される。リング状防食材6及び樹脂製リング7は、上記と同様のものが用いられる。また、防食リング8の樹脂製リング7は、上記と同様にリング状防食材6の上部を覆うように設けられていることが望ましい。なお、本発明では、この座金3aの側周面に嵌合されたリング状防食材6及び樹脂製リング7とからなる防食リング8の設置は必ずしも必須ではなく任意である。
【0033】
図4は、本発明に係る締結部材の防食構造である他の実施形態を示す概略断面図である。図4では、図1と同様の締結部材が用いられているが、ボルトの頭部1b側の締結部材は省略されており、ナット2側の締結部材のみが記載されている。
【0034】
図4においても、ボルトのネジ部1aに螺合されたナット2の外側に流電陽極作用を有するナット状防食材5が螺合されている。ナット状防食材5は、上記と同様の材質からなる。
【0035】
図4では、上記ナット状防食材5と共に、被締結部材4とナット2間のボルトのネジ部1aに嵌合された座金3bの側周面に、流電陽極作用を有するリング状防食材6を嵌合している。このリング状防食材6は、上記と同様の材質からなる。この場合には、図1に示されるような樹脂製リングは不要である。
【0036】
さらに、図4においては、保護キャップ9がリング状防食材6の側周面に配され、ナット状防食材5及びリング状防食材6を含むナット側締結部材を空隙をもって被覆されている。この保護キャップ9は複数の孔部10を有する。
【0037】
図5に、複数の孔部10を有する保護キャップ9の斜視図を示す。このような保護キャップ9を用いることによって、締結部材のメンテナンスが容易になると共に、取り外した保護キャップを再利用することができる。また、複数の孔部10から浸入してくる水分を利用して防食効果を発揮させることができる。保護キャップ9は、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド樹脂、ABS樹脂等の衝撃強さを有する熱可塑性プラスチック、又はクロロプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、ウレタンゴム等の反発弾性と耐候性を有するゴムから形成される。
【0038】
図4では、上述のように、ボルトの頭部側の締結部材は省略されているが、図1に記載されているように、被締結部材4とボルトの頭部1b間に嵌合された座金3aの側周面に、流電陽極作用を有するリング状防食材6とその外周に設けられた樹脂製リング7とからなる防食リング8を嵌合してもよい。
【0039】
図6は、本発明に係る締結部材を含む接合部の防食構造の断面図である。図6においては、被締結部材(継手部)4に本発明に係る上記防食構造を有する締結部材を複数締結し、かつ締結された複数の締結部材間に位置する被締結部材(継手部)4に亜鉛シート11をその両面に貼付している。被締結部材(継手部)4は、桁材12の両面に連結板13を接合したものである。
【0040】
被締結部材(継手部)の接合は、桁材の表裏両面に連結板を接合してボルトとナットにより締結するものである。このような締結部材を含む接合部の防食構造は、次の通り施工される。
(1)片面に導電性接着剤層を有する亜鉛シートに防食リングを挿通するための穴を所定の位置に開ける。
(2)連結板については、ワイヤーブラシ等で錆を落とし、ホコリ、水等を取り除く。
(3)ナットの外側にナット状防食材を螺合する。
(4)座金に嵌合できるように、防食リングを位置させて、めがねレンチ等の工具により強く押し込む。
(5)亜鉛シートを連結板に貼り付ける。
【0041】
上述した本発明に係る締結部材の防食構造によれば、3カ月の塩水噴霧試験の結果、ボルト、ナット、座金として軟鋼、溶融亜鉛メッキを施した軟鋼及びステンレスのいずれを用いた場合にも錆の発生がなく、被締結部材と座金の間の金属電位は−0.8〜−0.9Vであった。これに対して、本発明に係る締結部材の防食構造を用いないで、ボルト、ナット、座金として軟鋼を用いたものは赤錆が全面的に発生し、ボルト、ナット、座金として溶融亜鉛メッキを施した軟鋼を用いたものは赤錆が局部的に発生した。また、本発明に係る締結部材の防食構造を用いないで、ボルト、ナット、座金としてステンレスを用いたものは被締結部材とボルト及び被締結部材と座金間に著しい隙間腐食が発生した。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明に係る締結部材及び該締結部材を含む結合部の防食構造により、長期にわたって締結部材の防食が可能であり、またナット状防食材のみならず、リング状防食材と樹脂製リングとからなる防食リング又はリング状防食材と保護キャップを用いているので、隙間腐食が防止でき、かつ簡便な構造で安価である。従って、本発明に係る締結部材及び該締結部材を含む結合部の防食構造は、橋梁、建築物等の構造物に用いられる締結部材の防食構造として好適に使用される。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】図1は、本発明に係る締結部材の防食構造の一実施形態を示す概略断面図である。
【図2】図2は、本発明に用いられるナット状防食材の斜視図である。
【図3】図3は、本発明に用いられる防食リングの斜視図である。
【図4】図4は、本発明に係る締結部材の防食構造である他の実施形態を示す概略断面図である。
【図5】図5は、本発明に用いられる保護キャップの斜視図である。
【図6】図6は、本発明に係る締結部材を含む接合部の防食構造の断面図である。
【符号の説明】
【0044】
1:ボルト
1a:ボルトのネジ部
1b:ボルトの頭部
2:ナット
3a,3b:座金
4:被締結部材
5:ナット状防食材
6:リング状防食材
7:樹脂製リング
8:防食リング
9: 保護キャップ
10:孔部
11:亜鉛シート
12:桁材
13:連結板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被締結部材に締結されたボルトと、該ボルトのネジ部に螺合されたナットと、該被締結部材と該ボルトの頭部間に嵌合された座金及び該被締結部材と該ナット間の該ボルトのネジ部に嵌合された座金とからなる締結部材の防食構造であって、上記ボルトのネジ部に螺合された上記ナットの外側に流電陽極作用を有するナット状防食材を螺合すると共に、上記被締結部材と上記ナット間の上記ボルトのネジ部に嵌合された座金の側周面に、流電陽極作用を有するリング状防食材とその外周に設けられた樹脂製リングとからなる防食リングを嵌合してなる締結部材の防食構造。
【請求項2】
被締結部材に締結されたボルトと、該ボルトのネジ部に螺合されたナットと、該被締結部材と該ボルトの頭部間に嵌合された座金及び該被締結部材と該ナット間の該ボルトのネジ部に嵌合された座金とからなる締結部材の防食構造であって、上記ボルトのネジ部に螺合された上記ナットの外側に流電陽極作用を有するナット状防食材を螺合すると共に、上記被締結部材と上記ナット間の上記ボルトのネジ部に嵌合された座金の側周面に、流電陽極作用を有するリング状防食材を嵌合し、かつ該リング状防食材の側周面に配され、該ナット状防食材及び該リング状防食材を含むナット側締結部材を複数の孔部を有する保護キャップで空隙をもって被覆してなる締結部材の防食構造。
【請求項3】
上記被締結部材と上記ボルトの頭部間に嵌合された座金の側周面に、流電陽極作用を有するリング状防食材とその外周に設けられた樹脂製リングとからなる防食リングが嵌合されている請求項1又は2記載の防食構造。
【請求項4】
上記ナット状防食材及び上記リング状防食材が、亜鉛、アルミニウム若しくはマグネシウムの金属単体又はその金属合金から選択される請求項1、2又は3記載の締結部材の防食構造。
【請求項5】
上記防食リングは、上記樹脂製リングが上記リング状防食材の上部を覆うように設けられている請求項1、3又は4記載の締結部材の防食構造。
【請求項6】
被締結部材に請求項1〜5のいずれかに記載の防食構造を有する締結部材を複数締結し、かつ締結された該複数の締結部材間に位置する被締結部材の両面に亜鉛シートを貼付してなる締結部材を含む接合部の防食構造。
【請求項7】
上記被締結部材が、桁材の両面に連結板を接合した継手部である請求項6記載の締結部材を含む接合部の防食構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−285402(P2007−285402A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−113048(P2006−113048)
【出願日】平成18年4月17日(2006.4.17)
【出願人】(000211891)株式会社ナカボーテック (42)
【出願人】(000107044)ショーボンド建設株式会社 (71)
【Fターム(参考)】