説明

縮合シアノピリジン類およびそれらの使用

本発明は、式(I)の新規置換縮合シアノピリジン誘導体{式中、環Qは、式(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)または(h)の基を表し、*は、C2原子への結合点を表し、#は、C3原子への結合点を表す}に関する。本発明は、また、該新規誘導体の製造方法、疾患の処置および/または予防におけるそれらの使用、並びに、疾患の処置および/または予防において、好ましくは心血管疾患の処置および/または予防において使用するための医薬の製造における、それらの使用に関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、新規置換縮合シアノピリジン誘導体、それらの製造方法、疾患の処置および/または予防のためのそれらの使用、並びに、疾患の処置および/または予防用、好ましくは心血管障害の処置および/または予防用の医薬を製造するためのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンヌクレオシドのアデノシンは、全ての細胞に存在し、多数の生理的および病態生理的刺激により放出される。アデノシンは、アデノシン−5'−一リン酸(AMP)およびS−アデノシルホモシステインの分解における中間体として細胞内で形成されるが、細胞から放出され得、その場合、それは、特異的受容体に結合することにより、ホルモン様物質または神経伝達物質として作用する。
【0003】
正常酸素圧条件下では、細胞外空間の遊離アデノシンの濃度は非常に低い。しかしながら、虚血または低酸素条件下では、冒された器官におけるアデノシンの細胞外濃度は劇的に上昇する。かくして、例えば、アデノシンが血小板凝集を阻害し、冠動脈への血液供給を増加させることが知られている。さらに、それは、血圧に、心拍数に、神経伝達物質の放出に、そしてリンパ球の分化に作用する。脂肪細胞では、アデノシンは、脂肪分解を阻害でき、かくして血中の遊離脂肪酸およびトリグリセリドの濃度を低下させる。
【0004】
これらのアデノシンの作用の目的は、冒された器官の酸素供給を増加させること、および/または、器官の代謝を虚血または低酸素条件下の器官の血液供給に適合させるために、これらの器官の代謝を低下させることである。
【0005】
アデノシンの作用は、特異的受容体により媒介される。今日までに、サブタイプA1、A2a、A2bおよびA3が知られている。本発明によると、「アデノシン受容体選択的リガンド」は、アデノシン受容体の1つまたはそれ以上のサブタイプに選択的に結合し、かくしてアデノシンの作用を模倣する(アデノシンアゴニスト)か、または、その作用を遮断する(アデノシンアンタゴニスト)物質である。
【0006】
これらのアデノシン受容体の作用は、メッセンジャーcAMPにより細胞内で媒介される。アデノシンのA2aまたはA2b受容体への結合の場合、細胞内cAMPは膜に結合したアデニル酸シクラーゼの活性化を介して増加し、一方、アデノシンのA1またはA3受容体への結合は、アデニル酸シクラーゼの阻害を介して細胞内cAMP濃度の低下をもたらす。
【0007】
心血管系では、アデノシン受容体の活性化の主要な結果は:A1受容体を介する徐脈、負の変力作用および虚血に対する心臓の保護(「プレコンディショニング」)、A2aおよびA2b受容体を介する血管の拡張、並びに、A2b受容体を介する線維芽細胞および平滑筋細胞の増殖の阻害である。
【0008】
A1アゴニスト(好ましくはGタンパク質を介して共役する)の場合、細胞内cAMP濃度の低下が観察される(好ましくは、フォルスコリンによるアデニル酸シクラーゼの直接的予刺激の後)。対応して、A2aおよびA2bアゴニスト(好ましくはGタンパク質を介して共役する)は、細胞におけるcAMP濃度の増加を導き、A2aおよびA2bアンタゴニストはその低下を導く。A2受容体の場合、フォルスコリンによるアデニル酸シクラーゼの直接的予刺激には利益がない。
【0009】
ヒトでは、特異的A1アゴニストによるA1受容体の活性化は、血圧に影響を与えずに、頻度依存性の心拍数の低下を導く。従って、選択的A1アゴニストは、とりわけ、狭心症および心房細動の処置に適当であり得る。
【0010】
心臓におけるA1受容体の心臓保護作用は、とりわけ、これらのA1受容体を特異的A1アゴニストで活性化することにより、急性心筋梗塞、急性冠症候群、心不全、バイパス術、心臓カテーテル検査および臓器移植の場合に、処置および器官の保護に利用され得る。
【0011】
アデノシンまたは特異的A2bアゴニストによるA2b受容体の活性化は、血管の拡張を介して、血圧の低下を導く。血圧の低下は、心拍数の反映的増加を伴う。心拍数の増加は、特異的A1アゴニストを使用するA1受容体の活性化により低減することができる。
【0012】
選択的A1/A2bアゴニストの血管系および心拍数に対する作用の組合せは、かくして、関連する心拍数の増加を伴わずに、血圧の全身的低下をもたらす。このような薬学的プロフィールを有するデュアルのA1/A2bアゴニストは、例えば、ヒトの高血圧症の処置に用い得る。
【0013】
ヒトでは、特異的A1アンタゴニストによるA1受容体の阻害は、糸球体濾過率に影響を与えずに、尿酸排泄作用、ナトリウム排泄増加作用およびカリウム保持性利尿作用を有し、従って、腎臓保護性である。従って、選択的A1アンタゴニストは、とりわけ、急性心不全および慢性心不全の処置に適当であり得る。さらに、それらは、腎症および他の腎障害の場合に、腎臓保護のために使用できる。
【0014】
脂肪細胞では、A1およびA2b受容体の活性化は、脂肪分解の阻害を導く。かくして、A1/A2bアゴニストの脂肪代謝に対する複合的作用は、遊離脂肪酸およびトリグリセリドの低下をもたらす。次いで、メタボリックシンドロームおよび糖尿病の患者において、脂質の低下は、インシュリン耐性の低下および症状の改善を導く。
【0015】
上述の受容体選択性は、対応するcDNAの安定的形質移入後に問題の受容体サブタイプを発現する細胞株に対する物質の効果により判定できる[刊行物 M. E. Olah, H. Ren, J. Ostrowski, K. A. Jacobson, G. L. Stiles, "Cloning, expression, and characterization of the unique bovine A1 adenosine receptor. Studies on the ligand binding site by site-directed mutagenesis" in J. Biol. Chem. 267 (1992), pages 10764-10770 を参照、その開示を出典明示により完全に本明細書の一部とする]。
【0016】
かかる細胞株に対する物質の効果は、細胞内メッセンジャーcAMPの生化学的測定により研究できる(刊行物 K. N. Klotz, J. Hessling, J. Hegler, C. Owman, B. Kull, B. B. Fredholm, M. J. Lohse, "Comparative pharmacology of human adenosine receptor subtypes - characterization of stably transfected receptors in CHO cells" in Naunyn Schmiedebergs Arch. Pharmacol. 357 (1998), pages 1-9 を参照、その開示を出典明示により完全に本明細書の一部とする)。
【0017】
先行技術から知られている「アデノシン受容体特異的」リガンドは、主に、天然アデノシンを基礎とする誘導体である[S.-A. Poulsen and R. J. Quinn, "Adenosine receptors: New opportunities for future drugs" in Bioorganic and Medicinal Chemistry 6 (1998), pages 619-641]。しかしながら、先行技術から知られているこれらのアデノシンリガンドには、それらの作用が真に受容体特異的ではなく、それらの活性が天然アデノシンのものより低いか、または経口投与後に非常に弱い活性しか有さないという不利益がある。従って、それらは主に実験目的でのみ使用される。依然として臨床開発中であるこのタイプの化合物は、今までのところ、静脈内投与にのみ適するものである。
【0018】
様々なテトラヒドロキノリン誘導体の合成が、Synthesis 2006, 14: 2357-2370, Chemistry of Heterocyclic Compounds 1997, 33 (10): 1203-1208 and Phosphorus, Sulfur and Silicon 1991, 57: 293-301 に記載されている。6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジン類は、Ukrainskii Khimicheskii Zhournal (Russian Edition) 2006, 72 (1-2): 116-120 に、合成中間体として記載されている。WO2004/014372は、ヘテロアリールで縮合したシクロアルケニルアミン類を、心血管障害の処置用のeNO−シンターゼ刺激剤として開示している。WO02/48115は、ピリジニルピリミドン類およびキナゾリノン類を、寄生性障害の処置用に記載している。EP0608565は、様々に置換されたピリド[2,3−d]ピリミジン類を、とりわけ、急性腎不全、高血圧症および心筋梗塞の処置用のエンドセリン受容体アンタゴニストとして特許請求している。EP0537463は、置換ピリド[2,3−d]ピリミジン類を、除草剤として記載している。US2007/0066630は、様々な縮合複素環を、メタボリックシンドローム、異脂肪血症、心血管障害および末梢および中枢神経系の障害の処置用のニコチン酸受容体アゴニストとして開示している。
【0019】
アデノシンA1および/またはアデノシンA2b受容体の選択的リガンドとして作用し、それ自体、疾患の処置および/または予防に、特に、心血管疾患の処置および/または予防に適する新規化合物を提供することが、本発明の目的である。
【発明の概要】
【0020】
本発明は、式(I)
【化1】

[式中、
環Qは、式
【化2】

の基を表し
{ここで、
*は、各場合でC2原子への結合点を表し、
#は、各場合でC3原子への結合点を表し、
は、水素または(C−C)−アルキルを表し、
は、水素または(C−C)−アルキルを表し、
は、水素、(C−C)−アルキルまたはアミノを表し、
は、各場合で、水素、(C−C)−アルキルまたはアリルを表し
(ここで、(C−C)−アルキルは、ヒドロキシカルボニル、(C−C)−アルコキシカルボニルおよびアミノからなる群から選択される置換基により置換されていてもよい)、
は、各場合で、水素、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチル、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノまたはジ−(C−C)−アルキルアミノを表し
(ここで、(C−C)−アルキルは、ヒドロキシル、メトキシおよびアミノからなる群から相互に独立して選択される1個または2個の置換基により置換されていてもよい)、
そして、
i)R8Aは、各場合で、水素、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシまたはモノ−(C−C)−アルキルアミノを表し
(ここで、(C−C)−アルコキシおよびモノ−(C−C)−アルキルアミノは、ヒドロキシル置換基により置換されていてもよい)、
かつ、R8Bは水素を表す、
または、
ii)R8Aは、R8Bと一体となって、オキソ、N−(C−C)−アルキルイミノ、N−(C−C)−アルコキシイミノまたは(C−C)−アルコキシカルボニルメチリデン基を形成する、
そして、
9AおよびR9Bは、相互に独立して、各場合で水素または(C−C)−アルキルを表すか、または、それらが結合している炭素原子と一体となって、スピロ結合した3員ないし5員のシクロアルキル環を形成し、
そして、
10は、水素、(C−C)−アルキルまたはフェニルを表す
(ここで、(C−C)−アルキルは、ヒドロキシルおよびアミノからなる群から相互に独立して選択される1個または2個の置換基により置換されていてもよい)}、
Xは、SまたはOを表し、
は、(C−C10)−アリールまたは5員ないし10員のヘテロアリールを表し
{ここで、(C−C10)−アリールおよび5員ないし10員のヘテロアリールは、ハロゲン、ニトロ、シアノ、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノ、ジ−(C−C)−アルキルアミノ、ヒドロキシカルボニル、(C−C)−アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、モノ−(C−C)−アルキルアミノカルボニル、ジ−(C−C)−アルキルアミノカルボニル、ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ、ピペラジノおよびN'−(C−C)−アルキルピペラジノ、フェニルおよび5員または6員のヘテロアリールからなる群から相互に独立して選択される1個または2個の置換基により置換されていてもよい
(ここで、フェニルおよび5員または6員のヘテロアリールは、ハロゲン、ニトロ、シアノ、(C−C)−アルキル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノ、ジ−(C−C)−アルキルアミノ、ヒドロキシカルボニルおよび(C−C)−アルコキシカルボニルからなる群から相互に独立して選択される1個ないし3個の置換基により置換されていてもよい)}、
【0021】
は、(C−C)−シクロアルキル、5員または6員の複素環、フェニルまたは5員または6員のヘテロアリールを表す
〔ここで、(C−C)−シクロアルキルは、(C−C)−アルキル、ヒドロキシル、オキソ、(C−C)−アルコキシ、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノおよびジ−(C−C)−アルキルアミノからなる群から相互に独立して選択される1個または2個の置換基により置換されていてもよく
{ここで、(C−C)−アルキルおよび(C−C)−アルコキシは、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシおよび(C−C)−シクロアルキルからなる群から相互に独立して選択される1個または2個の置換基により置換されていてもよい
(ここで、(C−C)−シクロアルキルは、(C−C)−アルキル、ヒドロキシル、オキソおよび(C−C)−アルコキシからなる群から相互に独立して選択される1個または2個の置換基により置換されていてもよい)}、
そして、5員または6員の複素環は、オキソ、チオキソ、ヒドロキシル、(C−C)−アルキル、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−アルキルカルボニル、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノ、ジ−(C−C)−アルキルアミノおよび(C−C)−シクロアルキルからなる群から相互に独立して選択される1個ないし3個の置換基により置換されていてもよい
{ここで、(C−C)−アルキルは、フッ素、オキソ、ヒドロキシル、トリフルオロメチル、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−アルキルカルボニルオキシ、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノ、ジ−(C−C)−アルキルアミノおよび(C−C)−シクロアルキルからなる群から相互に独立して選択される1個ないし3個の置換基により置換されていてもよく
(ここで、(C−C)−シクロアルキルは、(C−C)−アルキル、ヒドロキシル、オキソおよび(C−C)−アルコキシからなる群から相互に独立して選択される1個または2個の置換基により置換されていてもよい)、
そして、(C−C)−アルキルカルボニルは、ヒドロキシルおよび(C−C)−アルコキシからなる群から選択される置換基により置換されていてもよく、
そして、(C−C)−シクロアルキルは、(C−C)−アルキル、ヒドロキシル、オキソおよび(C−C)−アルコキシからなる群から相互に独立して選択される1個または2個の置換基により置換されていてもよい}
そして、
フェニルおよび5員または6員のヘテロアリールは、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシル、(C−C)−アルキル、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−シクロアルコキシおよび−NRからなる群から相互に独立して選択される1個ないし3個の置換基により置換されていてもよい
{ここで、(C−C)−アルキルは、1個ないし3個のフッ素置換基により置換されていてもよく、
そして、(C−C)−アルコキシは、フッ素、トリフルオロメチル、(C−C)−シクロアルキル、オキソ、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、ヒドロキシカルボニル、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノおよびジ−(C−C)−アルキルアミノからなる群から相互に独立して選択される1個ないし3個の置換基により置換されていてもよく、
そして、(C−C)−シクロアルコキシは、(C−C)−アルキル、ヒドロキシル、オキソおよび(C−C)−アルコキシからなる群から相互に独立して選択される1個または2個の置換基により置換されていてもよく、
そして、Rは、水素または(C−C)−アルキルを表し
(ここで、(C−C)−アルキルは、ヒドロキシルおよび(C−C)−アルコキシからなる群から選択される置換基により置換されていてもよい)、
は、水素、(C−C)−アルキル、(C−C)−シクロアルキル、(C−C)−アルキルスルホニルまたは(C−C)−シクロアルキルスルホニルを表し
(ここで、(C−C)−アルキルは、(C−C)−シクロアルキル、オキソ、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、ヒドロキシカルボニル、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノおよびジ−(C−C)−アルキルアミノからなる群から相互に独立して選択される1個または2個の置換基により置換されていてもよく、
そして、(C−C)−シクロアルキルは、(C−C)−アルキル、ヒドロキシル、オキソおよび(C−C)−アルコキシからなる群から相互に独立して選択される1個または2個の置換基により置換されていてもよい)、
または、フェニル上の2個の隣接する置換基は、それらが結合している炭素原子と一体となって、1,3−ジオキソランまたは2,2−ジフルオロ−1,3−ジオキソランを形成していてもよい}〕]、
の化合物、並びに、それらのN−オキシド、塩、溶媒和物、N−オキシドの塩およびN−オキシドおよび塩の溶媒和物を提供し、
但し、化合物5,6,7,8−テトラヒドロ−2−[[(2−メチルフェニル)メチル]チオ]−4−(2−チエニル)−3−キノリンカルボニトリル、5,6,7,8−テトラヒドロ−2−[(2−フェニルメチル)チオ]−4−(2−チエニル)−3−キノリンカルボニトリル、5,6,7,8−テトラヒドロ−2−[[(2−メチルフェニル)メチル]チオ]−4−(4−ピリジル)−3−キノリンカルボニトリル、5,6,7,8−テトラヒドロ−2−[(フェニルメチル)チオ]−4−フェニル−3−キノリンカルボニトリル、5,6,7,8−テトラヒドロ−2−[(フェニルメチル)チオ]−4−(4−クロロフェニル)−3−キノリンカルボニトリル、6,7−ジヒドロ−4−(4−ヒドロキシフェニル)−2−[(フェニルメチル)チオ]−5H−シクロペンタ[b]ピリジン−3−カルボニトリルを除く。
【0022】
本発明による化合物は、式(I)の化合物並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物、式(I)に包含される、下記の式の化合物並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物、並びに、式(I)に包含され、例示的実施態様として後述される化合物並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物である(式(I)に包含され、後述される化合物が、既に塩、溶媒和物および塩の溶媒和物ではない場合)。
【0023】
本発明による化合物は、それらの構造に依存して、立体異性体(エナンチオマー、ジアステレオマー)で存在し得る。従って、本発明は、エナンチオマーまたはジアステレオマーおよびそれらの各々の混合物を包含する。立体異性体的に純粋な構成分は、かかるエナンチオマーおよび/またはジアステレオマーの混合物から、既知方法で単離できる。
本発明による化合物が互変異性体で存在できる場合、本発明は全ての互変異性体を包含する。
【0024】
本発明の目的上、好ましいは、本発明による化合物の生理的に許容し得る塩である。また、それら自体は医薬適用に適さないが、例えば、本発明による化合物の単離または精製に使用できる塩も含まれる。
【0025】
本発明による化合物の生理的に許容し得る塩には、鉱酸、カルボン酸およびスルホン酸の酸付加塩、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸および安息香酸の塩が含まれる。
【0026】
本発明による化合物の生理的に許容し得る塩には、また、常套の塩基の塩、例えば、そして好ましくは、アルカリ金属塩(例えばナトリウムおよびカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えばカルシウムおよびマグネシウム塩)およびアンモニアまたは1個ないし16個の炭素原子を有する有機アミン類(例えば、そして好ましくは、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジメチルアミノエタノール、プロカイン、ジベンジルアミン、N−メチルモルホリン、アルギニン、リジン、エチレンジアミンおよびN−メチルピペリジン)から誘導されるアンモニウム塩が含まれる。
【0027】
溶媒和物は、本発明の目的上、固体または液体状態で溶媒分子との配位により錯体を形成している本発明による化合物の形態を表す。水和物は、配位が水と起こる、溶媒和物の特別な形態である。本発明の目的上、好ましい溶媒和物は水和物である。
【0028】
加えて、本発明はまた、本発明による化合物のプロドラッグも包含する。用語「プロドラッグ」は、それら自体は生物学的に活性であっても不活性であってもよいが、それらの体内残存時間中に、本発明による化合物に(例えば代謝的または加水分解的に)変換される化合物を包含する。
【0029】
本発明の目的上、断りのない限り、置換基は以下の意味を有する:
アルキルは、本発明に関して、1個ないし6個または1個ないし4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキルラジカルである。1個ないし4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキルラジカルが好ましい。以下のラジカルは、例として、そして好ましいものとして言及し得る:メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、1−エチルプロピル、n−ペンチルおよびn−ヘキシル。
【0030】
シクロアルキルは、本発明に関して、3個ないし7個または5個もしくは6個の環内炭素原子を有する単環式飽和炭素環である。以下のラジカルは、例として、そして好ましいものとして言及し得る:シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチル。
【0031】
アルキルカルボニルは、本発明に関して、1個ないし6個または1個ないし4個の炭素原子および1位に結合したカルボニル基を有する直鎖または分枝鎖のアルキルラジカルである。以下のラジカルは、例として、そして好ましいものとして言及し得る:メチルカルボニル、エチルカルボニル、n−プロピルカルボニル、イソプロピルカルボニル、n−ブチルカルボニル、イソブチルカルボニルおよびtert−ブチルカルボニル。
【0032】
アルキルカルボニルオキシは、本発明に関して、1個ないし4個の炭素原子、および、1位に結合した、酸素原子を介して結合しているカルボニル基を有する直鎖または分枝鎖のアルキルラジカルである。以下のラジカルは、例として、そして好ましいものとして言及し得る:メチルカルボニルオキシ、エチルカルボニルオキシ、n−プロピルカルボニルオキシ、イソプロピルカルボニルオキシおよびtert−ブチルカルボニルオキシ。
【0033】
アルコキシは、本発明に関して、1個ないし6個または1個ないし4個または2個ないし4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルコキシラジカルである。1個ないし4個または2個ないし4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルコキシラジカルが好ましい。以下のラジカルは、例として、そして好ましいものとして言及し得る:メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、tert−ブトキシ、n−ペントキシおよびn−ヘキソキシ。
【0034】
シクロアルコキシは、本発明に関して、3個ないし7個の炭素原子を有する単環式飽和アルコキシラジカルである。以下のラジカルは、例として、そして好ましいものとして言及し得る:シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシおよびシクロヘプチルオキシ。
【0035】
アルコキシカルボニルは、本発明に関して、1個ないし6個または1個ないし4個の炭素原子および酸素で結合したカルボニル基を有する直鎖または分枝鎖のアルコキシラジカルである。1個ないし4個の炭素原子をアルコキシ基中に有する直鎖または分枝鎖のアルコキシカルボニルラジカルが好ましい。以下のラジカルは、例として、そして好ましいものとして言及し得る:メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、n−プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニルおよびtert−ブトキシカルボニル。
【0036】
モノアルキルアミノは、本発明に関して、1個ないし6個または1個ないし4個または2個ないし4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキル置換基を有するアミノ基である。1個ないし4個または2個ないし4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のモノアルキルアミノラジカルが好ましい。以下のラジカルは、例として、そして好ましいものとして言及し得る:メチルアミノ、エチルアミノ、n−プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、n−ブチルアミノ、tert−ブチルアミノ、n−ペンチルアミノおよびn−ヘキシルアミノ。
【0037】
ジアルキルアミノは、本発明に関して、2個の同一であるかまたは異なる、1個ないし6個または1個ないし4個の炭素原子を各々有する直鎖または分枝鎖のアルキル置換基を有するアミノ基である。1個ないし4個の炭素原子を各々有する直鎖または分枝鎖のジアルキルアミノラジカルが好ましい。以下のラジカルは、例として、そして好ましいものとして言及し得る:N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ、N−エチル−N−メチルアミノ、N−メチル−N−n−プロピルアミノ、N−イソプロピル−N−n−プロピルアミノ、N,N−ジイソプロピルアミノ、N−n−ブチル−N−メチルアミノ、N−tert−ブチル−N−メチルアミノ、N−エチル−N−n−ペンチルアミノおよびN−n−ヘキシル−N−メチルアミノ。
【0038】
モノアルキルアミノカルボニルは、本発明に関して、カルボニル基を介して結合しており、1個ないし6個または1個ないし4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキル置換基を有するアミノ基である。1個ないし4個の炭素原子をアルキル基中に有するモノアルキルアミノカルボニルラジカルが好ましい。以下のラジカルは、例として、そして好ましいものとして言及し得る:メチルアミノカルボニル、エチルアミノカルボニル、n−プロピルアミノカルボニル、イソプロピルアミノカルボニル、n−ブチルアミノカルボニルおよびtert−ブチルアミノカルボニル。
【0039】
ジアルキルアミノカルボニルは、本発明に関して、カルボニル基を介して結合しており、2個の同一であるかまたは異なる、1個ないし6個または1個ないし4個の炭素原子を各々有する直鎖または分枝鎖のアルキル置換基を有するアミノ基である。各場合で1個ないし4個の炭素原子をアルキル基毎に有するジアルキルアミノカルボニルラジカルが好ましい。以下のラジカルは、例として、そして好ましいものとして言及し得る:N,N−ジメチルアミノカルボニル、N,N−ジエチルアミノカルボニル、N−エチル−N−メチルアミノカルボニル、N−メチル−N−n−プロピルアミノカルボニル、N−n−ブチル−N−メチルアミノカルボニルおよびN−tert−ブチル−N−メチルアミノカルボニル。
【0040】
アルキルイミノは、本発明に関して、1個ないし4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキル置換基を有するイミノ基である。以下のラジカルは、例として、そして好ましいものとして言及し得る:メチルイミノ、エチルイミノ、n−プロピルイミノ、イソプロピルイミノ、n−ブチルイミノおよびtert−ブチルイミノ。
【0041】
アルコキシイミノは、本発明に関して、1個ないし4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルコキシ置換基を有するイミノ基である。以下のラジカルは、例として、そして好ましいものとして言及し得る:メトキシイミノ、エトキシイミノ、n−プロポキシイミノ、イソプロポキシイミノ、n−ブトキシイミノおよびtert−ブトキシイミノ。
【0042】
アルキルスルホニルは、本発明に関して、1個ないし4個の炭素原子を有し、スルホン基を介して結合している、直鎖または分枝鎖のアルキルラジカルである。以下のラジカルは、例として、そして好ましいものとして言及し得る:メチルスルホニル、エチルスルホニル、n−プロピルスルホニル、イソプロピルスルホニル、n−ブチルスルホニルおよびtert−ブチルスルホニル。
【0043】
シクロアルキルスルホニルは、本発明に関して、3個ないし7個の炭素原子を有し、スルホン基を介して結合している単環式飽和アルキルラジカルである。以下のラジカルは、例として、そして好ましいものとして言及し得る:シクロプロピルスルホニル、シクロブチルスルホニル、シクロペンチルスルホニル、シクロヘキシルスルホニルおよびシクロヘプチルスルホニル。
【0044】
複素環は、本発明に関して、全部で5個または6個の環内原子を有し、N、OおよびSからなる群から1個または2個の環内ヘテロ原子を含有し、環内炭素原子を介して、または、適するならば、環内窒素原子を介して結合している、飽和複素環である。以下のラジカルは、例として言及し得る:ピロリジニル、ピラゾリジニル、テトラヒドロフラニル、ピペリジニル、ピペラジニル、テトラヒドロピラニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ヘキサヒドロアゼピニルおよびヘキサヒドロ−1,4−ジアゼピニル。ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ピペリジニル、ピペラジニル、テトラヒドロピラニルおよびモルホリニルが好ましい。
【0045】
(C−C10)−アリールは、本発明に関して、6個または10個の環内炭素原子を有する芳香族性炭素環である。好ましいアリールラジカルは、フェニルおよびナフチルである。
【0046】
ヘテロアリールは、本発明に関して、全部で5個ないし10個の環内原子を有し、N、OおよびSからなる群から3個までの同一であるかまたは異なる環内ヘテロ原子を含み、環内炭素原子を介して、または、適するならば、環内窒素原子を介して結合している、単環式または場合により二環式の芳香族性複素環(複素芳香族)である。以下のラジカルは、例として言及し得る:フリル、ピロリル、チエニル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、インドリル、インダゾリル、キノリニル、イソキノリニル、ナフチリジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、フタラジニル、ピラゾロ[3,4−b]ピリジニル。N、OおよびSからなる群から3個までの環内ヘテロ原子を有する単環式5員または6員のヘテロアリールラジカル、例えば、フリル、チエニル、チアゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニルが好ましい。
【0047】
ハロゲンには、本発明に関して、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素が含まれる。好ましいのは、塩素またはフッ素である。
【0048】
Qを表し得る基の式中、*または#の印しのある線の末端は、炭素原子またはCH基を表さず、Qが結合している原子への結合の一部である。
【0049】
本発明による化合物中のラジカルが置換されているとき、そのラジカルは、断りのない限り、一置換または多置換されていてよい。本発明の目的上、1個より多く存在する全てのラジカルの意味は、相互に独立している。好ましいのは、1個、2個または3個の同一かまたは異なる置換基による置換である。ことさら特に好ましいのは、1個または2個の同一かまたは異なる置換基による置換である。
【0050】
本発明に関して、好ましいのは、式中、
環Qが、式
【化3】

の基を表し
{ここで、
*は、各場合でC2原子への結合点を表し、
#は、各場合でC3原子への結合点を表し、
は、水素またはメチルを表し、
は、水素またはメチルを表し、
は、水素またはメチルを表し、
は、各場合で水素またはメチルを表し、
は、各場合で水素またはメチルを表し、
そして、
i)R8Aは、各場合で、水素またはヒドロキシルを表し、
かつ、R8Bは水素を表す、
または、
ii)R8Aは、R8Bと一体となって、オキソ基を形成する、
そして、
9AおよびR9Bは、相互に独立して、各場合で水素またはメチルを表す}、
Xが、SまたはOを表し、
が、フェニルまたは5員または6員のヘテロアリールを表し
{ここで、フェニルおよび5員または6員のヘテロアリールは、フッ素、塩素、シアノ、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、アミノ、ヒドロキシカルボニル、(C−C)−アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、フェニルおよび5員または6員のヘテロアリールからなる群から相互に独立して選択される1個または2個の置換基により置換されている
(ここで、フェニルおよび5員または6員のヘテロアリールは、フッ素、塩素、ニトロ、シアノ、(C−C)−アルキル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、アミノ、ヒドロキシカルボニルおよび(C−C)−アルコキシカルボニルからなる群から相互に独立して選択される1個ないし3個の置換基により置換されていてもよい)}、
【0051】
が、シクロヘキシル、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、フェニル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリルまたはピリジルを表す
〔ここで、シクロヘキシルは、ヒドロキシルおよび(C−C)−アルコキシからなる群から選択される置換基により置換されていてもよく
{ここで、(C−C)−アルコキシは、ヒドロキシルおよびメトキシからなる群から相互に独立して選択される1個または2個の置換基により置換されていてもよい}、
そして、ピペリジニル、ピペラジニルおよびモルホリニルは、(C−C)−アルキル、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシおよび(C−C)−アルキルカルボニルからなる群から選択される置換基により置換されていてもよく
{ここで、(C−C)−アルキルは、ヒドロキシル、メトキシ、エトキシ、メチルカルボニルオキシおよびエチルカルボニルオキシからなる群から相互に独立して選択される1個または2個の置換基により置換されていてもよく、
そして、(C−C)−アルキルカルボニルは、ヒドロキシル、メトキシおよびエトキシからなる群から選択される置換基により置換されていてもよい}、
そして、フェニルおよびピリジルは、フッ素、塩素、シアノ、ヒドロキシル、(C−C)−アルキルおよび(C−C)−アルコキシからなる群から相互に独立して選択される1個ないし3個の置換基により置換されていてもよく
{ここで、(C−C)−アルコキシは、オキソ、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、ヒドロキシカルボニルおよびアミノからなる群から相互に独立して選択される1個または2個の置換基により置換されていてもよい}、
そして、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリルおよびチアゾリルは、フッ素、塩素、シアノ、ヒドロキシル、(C−C)−アルキルおよび(C−C)−アルコキシからなる群から相互に独立して選択される1個または2個の置換基により置換されていてもよい
{ここで、(C−C)−アルコキシは、オキソ、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、ヒドロキシカルボニルおよびアミノからなる群から相互に独立して選択される1個または2個の置換基により置換されていてもよい}〕、
式(I)の化合物およびそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物であり、
化合物5,6,7,8−テトラヒドロ−2−[[(2−メチルフェニル)メチル]チオ]−4−(4−ピリジル)−3−キノリンカルボニトリルは除く。
【0052】
本発明に関して、特に好ましいのは、式中、
環Qが、式
【化4】

の基を表し
{ここで、
*は、各場合でC2原子への結合点を表し、
#は、各場合でC3原子への結合点を表し、
は、水素を表し、
は、水素を表し、
は、水素またはメチルを表し、
は、各場合で水素またはメチルを表し、
そして、Rは、水素またはメチルを表す}、
Xが、SまたはOを表し、
が、フェニルまたは5員または6員のヘテロアリールを表し
{ここで、フェニルおよび5員または6員のヘテロアリールは、フッ素、塩素、シアノ、メチル、エチル、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、メトキシ、エトキシ、アミノ、ヒドロキシカルボニル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、アミノカルボニル、フェニルおよび5員または6員のヘテロアリールからなる群から相互に独立して選択される1個または2個の置換基により置換されている
(ここで、フェニルおよび5員または6員のヘテロアリールは、フッ素、塩素、メチル、エチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、メトキシ、エトキシ、アミノ、ヒドロキシカルボニル、メトキシカルボニルおよびエトキシカルボニルからなる群から相互に独立して選択される1個ないし3個の置換基により置換されていてもよい)}、
が、フェニル、ピラゾリルまたはピリジルを表す
{ここで、フェニルおよびピリジルは、フッ素、塩素、シアノ、ヒドロキシル、(C−C)−アルキルおよび(C−C)−アルコキシからなる群から相互に独立して選択される1個または2個の置換基により置換されていてもよく
(ここで、(C−C)−アルコキシは、オキソ、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、ヒドロキシカルボニルおよびアミノからなる群から相互に独立して選択される1個または2個の置換基により置換されていてもよい)、
そして、ピラゾリルは、フッ素、塩素、シアノ、ヒドロキシル、(C−C)−アルキルおよび(C−C)−アルコキシからなる群から選択される置換基により置換されていてもよい
(ここで、(C−C)−アルコキシは、オキソ、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、ヒドロキシカルボニルおよびアミノからなる群から相互に独立して選択される1個または2個の置換基により置換されていてもよい)}、
式(I)の化合物およびそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物である。
【0053】
本発明に関して、ことさら特に好ましいのは、式中、
環Qが、式
【化5】

の基を表し
{ここで、
*は、各場合でC2原子への結合点を表し、
#は、各場合でC3原子への結合点を表し、
は、水素を表し、
は、水素を表し、
は、メチルを表し、
は、水素を表し、
そして、Rは、水素またはメチルを表す}、
Xが、SまたはOを表し、
が、チアゾリルまたはオキサゾリルを表し
{ここで、チアゾリルおよびオキサゾリルは、フェニル置換基により置換されており
(ここで、フェニルは、フッ素、塩素、シアノ、メチル、メトキシ、ヒドロキシカルボニルおよびメトキシカルボニルからなる群から選択される置換基により置換されていてもよい)、
そして、チアゾリルおよびオキサゾリルは、フッ素、塩素、シアノ、メチル、エチル、メトキシ、アミノ、ヒドロキシカルボニルおよびメトキシカルボニルからなる群から選択される置換基により置換されていてもよい}、
が、式
【化6】

の基を表す
{ここで、##は、二環への結合点を表し、
は、水素または(C−C)−アルコキシを表す
(ここで、(C−C)−アルコキシは、1個または2個のヒドロキシル置換基により置換されていてもよい)}、
式(I)の化合物およびそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物である。
【0054】
本発明に関して、好ましいのは、また、式中、
が、チアゾリルまたはオキサゾリルを表す
{ここで、チアゾリルおよびオキサゾリルは、フェニル置換基により置換されており
(ここで、フェニルは、フッ素、塩素、シアノ、メチル、メトキシ、ヒドロキシカルボニルおよびメトキシカルボニルからなる群から選択される置換基により置換されていてもよい)、
そして、チアゾリルおよびオキサゾリルは、フッ素、塩素、シアノ、メチル、エチル、メトキシ、アミノ、ヒドロキシカルボニルおよびメトキシカルボニルからなる群から選択される置換基により置換されていてもよい}、
式(I)の化合物である。
【0055】
本発明に関して、好ましいのは、また、式中、
置換されていてもよく、
が、式
【化7】

の基を表す
{ここで、##は、二環への結合点を表し、
は、水素または(C−C)−アルコキシを表す
(ここで、(C−C)−アルコキシは、1個または2個のヒドロキシル置換基により置換されていてもよい)}、
式(I)の化合物である。
【0056】
本発明は、さらに、心血管障害の予防および/または処置用の化合物5,6,7,8−テトラヒドロ−2−[[(2−メチルフェニル)メチル]チオ]−4−(2−チエニル)−3−キノリンカルボニトリル、5,6,7,8−テトラヒドロ−2−[(2−フェニルメチル)チオ]−4−(2−チエニル)−3−キノリンカルボニトリル、5,6,7,8−テトラヒドロ−2−[[(2−メチルフェニル)メチル]チオ]−4−(4−ピリジル)−3−キノリンカルボニトリル、5,6,7,8−テトラヒドロ−2−[(フェニルメチル)チオ]−4−フェニル−3−キノリンカルボニトリル、5,6,7,8−テトラヒドロ−2−[(フェニルメチル)チオ]−4−(4−クロロフェニル)−3−キノリンカルボニトリルまたは6,7−ジヒドロ−4−(4−ヒドロキシフェニル)−2−[(フェニルメチル)チオ]−5H−シクロペンタ[b]ピリジン−3−カルボニトリルを提供する。
【0057】
本発明は、さらに、5,6,7,8−テトラヒドロ−2−[[(2−メチルフェニル)メチル]チオ]−4−(2−チエニル)−3−キノリンカルボニトリル、5,6,7,8−テトラヒドロ−2−[(2−フェニルメチル)チオ]−4−(2−チエニル)−3−キノリンカルボニトリル、5,6,7,8−テトラヒドロ−2−[[(2−メチルフェニル)メチル]チオ]−4−(4−ピリジル)−3−キノリンカルボニトリル、5,6,7,8−テトラヒドロ−2−[(フェニルメチル)チオ]−4−フェニル−3−キノリンカルボニトリル、5,6,7,8−テトラヒドロ−2−[(フェニルメチル)チオ]−4−(4−クロロフェニル)−3−キノリンカルボニトリルおよび6,7−ジヒドロ−4−(4−ヒドロキシフェニル)−2−[(フェニルメチル)チオ]−5H−シクロペンタ[b]ピリジン−3−カルボニトリルからなる群から選択される化合物の、心血管障害の予防および/または処置用の医薬または医薬組成物を製造するための使用を提供する。
【0058】
本発明は、さらに、以下を特徴とする、本発明による式(I)の化合物の製造方法を提供する;
[A]式(II)
【化8】

(式中、X、RおよびRは、各々上記の意味を有する)
の化合物を、不活性溶媒中、または、溶媒の非存在下で、式(III)
【化9】

(式中、Rは、上記の意味を有し、そして、
は、ヒドロキシルまたは−OC(O)Rを表し、
ここで、Rは、上記の意味を有する)
の化合物と反応させ、式(I−A)
【化10】

(式中、X、R、RおよびRは、各々上記の意味を有する)
の化合物を得るか、
または、
【0059】
[B]式(II)の化合物を、不活性溶媒中、または、溶媒の非存在下で、適するアンモニア供給源、例えば、酢酸アンモニウムの存在下で、式(IV)
【化11】

(式中、Rは、上記の意味を有し、そして、
11は、(C−C)−アルキルを表す)
の化合物と反応させ、式(I−B)
【化12】

(式中、X、R、RおよびRは、各々上記の意味を有する)
の化合物を得るか、
または、
【0060】
[C]式(V)
【化13】

〔式中、Rは、上記の意味を有し、そして、
環Qは、式
【化14】

の基を表す
{ここで、
*は、各場合でC2原子への結合点を表し、
#は、各場合でC3原子への結合点を表し、
は、各場合で、水素、(C−C)−アルキルまたはアリルを表し
(ここで、(C−C)−アルキルは、ヒドロキシカルボニル、(C−C)−アルコキシカルボニルおよびアミノからなる群から選択される置換基により置換されていてもよい)、
は、各場合で、水素または(C−C)−アルキルを表し、
そして、i)R8AおよびR8Bは、水素を表すか、
または、ii)R8Aは、R8Bと一体となってオキソ基を形成する}〕
の化合物を、不活性溶媒中で、まず、アルカリ金属硫化物、例えば、硫化ナトリウムと反応させ、式(VI)
【化15】

〔式中、Rは、上記の意味を有し、
Akは、アルカリ金属塩、好ましくはナトリウム塩を表し、そして、
環Qは、式
【化16】

の基を表す
{ここで、
*は、各場合でC2原子への結合点を表し、
#は、各場合でC3原子への結合点を表し、
は、各場合で、水素、(C−C)−アルキルまたはアリルを表し
(ここで、(C−C)−アルキルは、ヒドロキシカルボニル、(C−C)−アルコキシカルボニルおよびアミノからなる群から選択される置換基により置換されていてもよい)、
は、各場合で、水素または(C−C)−アルキルを表し、
そして、i)R8AおよびR8Bは、水素を表すか、
または、iii)R8Aは、R8Bと一体となってオキソ基を形成する}〕
の化合物を得、
【0061】
次いで、これを、適する塩基の存在下で、式(VII)
【化17】

(式中、Rは、上記の意味を有し、そして、
は、適する脱離基、好ましくはハロゲン、特に塩素、臭素またはヨウ素を表すか、または、メシレート、トシレートまたはトリフレートを表す)
の化合物と反応させ、式(I−C)
【化18】

〔式中、RおよびRは、各々上記の意味を有し、
環Qは、式
【化19】

の基を表す
{ここで、
*は、各場合でC2原子への結合点を表し、
#は、各場合でC3原子への結合点を表し、
は、水素、(C−C)−アルキルまたはアリルを表し
(ここで、(C−C)−アルキルは、ヒドロキシカルボニル、(C−C)−アルコキシカルボニルおよびアミノからなる群から選択される置換基により置換されていてもよい)、
は、水素または(C−C)−アルキルを表し、
そして、i)R8AおよびR8Bは、水素を表すか、
または、ii)R8Aは、R8Bと一体となってオキソ基を形成する}〕
の化合物を得るか、
または、
【0062】
[D]式(V)の化合物を、不活性溶媒中、塩基の存在下で、式(VIII)
【化20】

(式中、Rは、上記の意味を有する)
の化合物と反応させ、式(I−D)
【化21】

〔式中、RおよびRは、各々上記の意味を有し、そして、
環Qは、式
【化22】

の基を表す
{ここで、
*は、各場合でC2原子への結合点を表し、
#は、各場合でC3原子への結合点を表し、
は、水素、(C−C)−アルキルまたはアリルを表し
(ここで、(C−C)−アルキルは、ヒドロキシカルボニル、(C−C)−アルコキシカルボニルおよびアミノからなる群から選択される置換基により置換されていてもよい)、
は、水素または(C−C)−アルキルを表し、
そして、i)R8AおよびR8Bは、水素を表すか、
または、iv)R8Aは、R8Bと一体となってオキソ基を形成する}〕
の化合物を得るか、
または、
【0063】
[E]式(IX)
【化23】

(式中、RおよびRは、各々上記の意味を有する)
の化合物を、不活性溶媒中、適する塩基の存在下、式(VII)の化合物と反応させ、式(I−E)
【化24】

(式中、R、RおよびRは、各々上記の意味を有する)
の化合物を得るか、
または、
【0064】
[F]式(IX)の化合物を、不活性溶媒中、適する塩基の存在下、アルキルハロゲン化物、例えば、ヨウ化メチルを用いて、式(X)
【化25】

(式中、RおよびRは、各々上記の意味を有し、
そして、R12は、(C−C)−アルキルを表す)
の化合物に変換し、次いで、これを、不活性溶媒中、適する塩基の存在下、式(VIII)の化合物と反応させ、式(I−F)
【化26】

(式中、R、RおよびRは、各々上記の意味を有する)
の化合物を得るか、
または、
【0065】
[G]式(XI)
【化27】

(式中、R、R9AおよびR9Bは、各々上記の意味を有する)
の化合物を、不活性溶媒中、適する塩基の存在下、式(VII)の化合物と、そして、必要に応じて、適する酸化剤、例えば、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノンを添加して反応させ、式(I−G)
【化28】

(式中、R、R、R9AおよびR9Bは、各々上記の意味を有する)
の化合物を得る、
または、
【0066】
[H]式(XI)の化合物を、不活性溶媒中、適する塩基の存在下、アルキルハロゲン化物、例えば、ヨウ化メチルを用いて、式(XII)
【化29】

(式中、R、R9AおよびR9Bは、各々上記の意味を有し、
そして、R12は、(C−C)−アルキルを表す)
の化合物に変換し、次いで、これを、不活性溶媒中、適する塩基の存在下、式(VIII)の化合物と、必要に応じて、適する酸化剤、例えば、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノンを添加して反応させ、式(I−H)
【化30】

(式中、R、R、R9AおよびR9Bは、各々上記の意味を有する)
の化合物を得、
次いで、存在する保護基を除去し、得られる式(I−A)、(I−B)、(I−C)、(I−D)、(I−E)、(I−F)、(I−G)および(I−H)の化合物を、必要に応じて、適当な(i)溶媒および/または(ii)塩基もしくは酸で、それらの溶媒和物、塩および/または塩の溶媒和物に変換する。
【0067】
式(II)、(V)、(IX)、(X)、(XI)および(XII)の化合物またはラジカルR、R、R、R、Rおよび/またはR8A中に存在し得る任意の官能基(例えば、特に、アミノ、ヒドロキシルおよびカルボキシル基)は、この方法において、好都合または必要であれば、一時的な保護形態でも存在し得る。そのような保護基の導入および除去は、これに関して、当業者に知られている常套の方法により行う[例えば、T.W. Greene and P.G.M. Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, Wiley, New York, 1999; M. Bodanszky and A. Bodanszky, The Practice of Peptide Synthesis, Springer-Verlag, Berlin, 1984 参照]。複数の保護基が存在するならば、除去は、ワンポット反応で同時に、または、別の反応工程で、場合により実施し得る。
【0068】
他の本発明による化合物は、上記の方法で得られる、式中
Qが、式
【化31】

(式中、#、*、R9AおよびR9Bは、各々上記の意味を有する)
の基を表す式(I)の化合物から、これらを、Hayakawa M. et al., Bioorg. Med. Chem. 2006, 14 (20), 6847-6858 に記載の方法と同様に、式(XIII)
【化32】

{式中、X、RおよびRは、上記の意味を有し、
そして、Qは、式
【化33】

(式中、#、*、R9AおよびR9Bは、上記の意味を有する)
の基を表す}
の化合物に変換し、次いで、これらの化合物を、文献から知られている方法と同様にさらに反応させることにより、製造できる。
【0069】
他の本発明による化合物は、必要に応じて、上記の方法により得られる化合物(I−A)、(I−B)、(I−C)、(I−D)、(I−E)、(I−F)、(I−G)および(I−H)から、個々の置換基の官能基、特にRおよびQで列挙したものを、変換することにより製造することもできる。これらの変換は、当業者に知られている常套の方法により実施し、例えば、求核性および求電子性置換、酸化、還元、水素化、遷移金属に触媒されるカップリング反応、脱離、アルキル化、アミノ化、エステル化、エステル開裂、エーテル化、エーテル開裂、カルボキサミドの形成、並びに、一時的な保護基の導入および除去などの反応が含まれる。
【0070】
Qが式
【化34】

(式中、R、RおよびR10は、上記の意味を有する)
の基を表す他の本発明による式(I)の化合物は、文献から知られている方法と同様に製造できる[例えば、Ghattas A.-B. A. G. et al., Phosphorus, Sulfur, and Silicon 2003, 178, 1781-1794 and Monge A. et al., J. Heterocycl. Chem. 1992, 29, 1545-1549 参照]。
【0071】
式(III)および(IV)の化合物は、購入できるか、または、文献から知られているか、または、それらは、文献から知られている方法と同様に製造できる。
【0072】
式(VII)の化合物は、購入できるか、または、文献から知られているか、または、それらは、文献から知られている方法により製造できる。従って、式(VII−A)および(VII−B)の置換オキサゾールおよびチアゾール誘導体を、例えば、アミド、チオアミドまたはチオウレア誘導体と、1,3−ジハロアセトンとの反応により得ることができる(スキーム1参照):
スキーム1
【化35】

【0073】
式(VIII)の化合物は、購入できるか、または、文献から知られているか、または、それらは、文献から知られている方法により製造できる [例えば、M. Suzuki et al., J. Org. Chem. 1973, 38, 3571-3575; E.A. Krasnokutskaya et al., Synthesis 2007, 1, 81-84; J. Hassan et al., Chem. Rev. 2002, 102, 1359-1469 参照]。
【0074】
XがSを表す式(II)の化合物は、式(XIV)
【化36】

(式中、Rは、上記の意味を有する)
の化合物を、不活性溶媒中、塩基の存在下、式(VII)の化合物と反応させ、式(II−A)
【化37】

(式中、RおよびRは、各々上記の意味を有する)
の化合物を得ることにより製造できる。
【0075】
式(XIV)の化合物は、文献から知られている方法と同様に、例えば、式(XV)
【化38】

(式中、Rは、上記の意味を有する)
のアルデヒドを、塩基の存在下、2当量のシアノチオアセトアミドと反応させることにより製造できる[例えば、Dyachenko et al., Russ. J. Chem. 1997, 33 (7), 1014 1017, 1998, 34 (4), 557 563; Dyachenko et al., Chemistry of Heterocyclic Compounds 1998, 34 (2), 188-194; Qintela et al., Eur. J. Med. Chem. 1998, 33, 887-897; Kandeel et al., Z. Naturforsch. 1987, 42b, 107-111; Reddy et al., J. Med. Chem. 2006, 49, 607-615; Evdokimov et al., Org. Lett. 2006, 8, 899-902 参照]。
式(XV)の化合物は、購入できるか、または、文献から知られているか、または、それらは、文献から知られている方法と同様に製造できる。
【0076】
XがOを表す式(II)の化合物は、式(XVI)
【化39】

(式中、Rは、上記の意味を有し、
そして、R13は、(C−C)−アルキルまたはフェニルを表す)
の化合物を、不活性溶媒中、塩基の存在下、式(VIII)の化合物と反応させ、式(II−B)
【化40】

(式中、RおよびRは、各々上記の意味を有する)
の化合物を得ることにより製造できる。
【0077】
式(XVI)の化合物は、文献に記載の方法と同様に製造できる[例えば、Kambe et al., Synthesis 1981, 531-533; Elnagdi et al., Z. Naturforsch. 1991, 47b, 572-578; Reddy et al., J. Med. Chem. 2006, 49, 607-615; Evdokimov et al., Org. Lett. 2006, 8, 899-902; Su et al., J. Med Chem. 1988, 31, 1209-1215]。
【0078】
式(V)の化合物は、式(XVII)
【化41】

(式中、QおよびRは、上記の意味を有する)
の化合物を、不活性溶媒中、塩化銅(II)および亜硝酸イソペンチルと反応させることにより製造できる。
【0079】
化合物(XVII)は、文献から知られているか、または、文献から知られている方法と同様に製造できる[例えば、Assy et al., J. Indian. Chem. Soc. 1996, 73(11), 623-624 and Kambe et al., Synthesis 1980, 5, 366-368 参照]。
【0080】
式(IX)の化合物は、式(XVIII)
【化42】

(式中、Rは、上記の意味を有する)
の化合物を、不活性溶媒中、式(XV)の化合物およびシアノチオアセトアミドと、適する酸の存在下で反応させることにより製造できる[例えば、Dyachenko et al., Russ. J. Chem. 1997, 33 (7), 1014 1017, 1998, 34 (4), 557 563; Dyachenko et al., Chemistry of Heterocyclic 化合物s 1998, 34 (2), 188-194; Qintela et al., Eur. J. Med. Chem. 1998, 33, 887-897; Kandeel et al., Z. Naturforsch. 1987, 42b, 107-111; Reddy et al., J. Med. Chem. 2006, 49, 607-615; Evdokimov et al., Org. Lett. 2006, 8, 899-902 参照]。
【0081】
式(XVIII)の化合物は、購入できるか、または、文献から知られているか、または、それらは、文献から知られている方法と同様に製造できる。
【0082】
式(XI)の化合物は、式(XIX)
【化43】

(式中、R9AおよびR9Bは、上記の意味を有する)
の化合物を、不活性溶媒中、式(XV)の化合物およびシアノチオアセトアミドと、適する塩基の存在下で反応させることにより製造できる[例えば、Dyachenko et al., Russ. J. Chem. 1997, 33 (7), 1014 1017, 1998, 34 (4), 557 563; Dyachenko et al., Chemistry of Heterocyclic Compounds 1998, 34 (2), 188-194; Qintela et al., Eur. J. Med. Chem. 1998, 33, 887-897; Kandeel et al., Z. Naturforsch. 1987, 42b, 107-111; Reddy et al., J. Med. Chem. 2006, 49, 607-615; Evdokimov et al., Org. Lett. 2006, 8, 899-902参照]。
【0083】
式(XIX)の化合物は、購入できるか、または、文献から知られているか、または、それらは、文献から知られている方法と同様に製造できる。
【0084】
化合物5,6,7,8−テトラヒドロ−2−[[(2−メチルフェニル)メチル]チオ]−4−(2−チエニル)−3−キノリンカルボニトリル、5,6,7,8−テトラヒドロ−2−[(2−フェニルメチル)チオ]−4−(2−チエニル)−3−キノリンカルボニトリル、5,6,7,8−テトラヒドロ−2−[[(2−メチルフェニル)メチル]チオ]−4−(4−ピリジル)−3−キノリンカルボニトリル、5,6,7,8−テトラヒドロ−2−[(フェニルメチル)チオ]−4−フェニル−3−キノリンカルボニトリル、5,6,7,8−テトラヒドロ−2−[(フェニルメチル)チオ]−4−(4−クロロフェニル)−3−キノリンカルボニトリルおよび6,7−ジヒドロ−4−(4−ヒドロキシフェニル)−2−[(フェニルメチル)チオ]−5H−シクロペンタ[b]ピリジン−3−カルボニトリルは、上記の製造方法または文献から知られている方法と同様に製造できる[例えば、Rodinovskaya et al., Synthesis 2006, 14, 2357-2370; Dyachenko et al., Chemistry of Heterocyclic Compounds 1997, 33 (10), 1203-1208; Awad et al., Phosphorus, Sulfur and Silicon 1991, 57, 293-301; Dyachenko V. D., Ukrainskii Khimicheskii Zhournal (Russian Edition) 2006, 72 (1-2), 116-120参照]。
【0085】
反応(II)+(III)→(I−A)および(II)+(IV)→(I−B)のための不活性溶媒は、例えば、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフランおよびジオキサンなどの非環式および環式エーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサンおよびシクロヘキサンなどの炭化水素類、または、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N−メチルピロリジノン(NMP)、アセトニトリルまたはピリジンなどの他の溶媒である。上述の溶媒の混合物を使用することも可能である。好ましいのは、溶媒テトラヒドロフランを使用することである。
【0086】
この反応は、一般的に、0℃ないし+160℃の温度範囲で、好ましくは+20℃ないし+140℃の範囲で、特に+50℃ないし+140℃で、必要に応じてマイクロ波中で実施する。この反応は、大気圧、加圧または減圧下で実施できる(例えば、0.5ないし5bar)。この反応は、一般的に、大気圧で実施する。
【0087】
反応(VI)+(VII)→(I−C)、(IX)+(VII)→(I−E)、(XI)+(VII)→(I−G)および(XIII)+(VII)→(II−A)のための不活性溶媒は、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールおよびtert−ブタノールなどのアルコール類、アセトンおよびメチルエチルケトンなどのケトン類、ジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフランおよびジオキサンなどの非環式および環式エーテル類、酢酸エチルまたは酢酸ブチルなどのエステル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサンおよびシクロヘキサンなどの炭化水素類、ジクロロメタン、トリクロロメタンおよびクロロベンゼンなどの塩化炭化水素類、または、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N−メチルピロリジノン(NMP)、アセトニトリルまたはピリジンなどの他の溶媒である。水も溶媒として適する。上述の溶媒の混合物を使用することも可能である。好ましいのは、溶媒ジメチルホルムアミドを使用することである。
【0088】
反応(VI)+(VII)→(I−C)、(IX)+(VII)→(I−E)および(XI)+(VII)→(I−G)に適する塩基は、常套の無機または有機塩基である。これらには、好ましくは、水酸化リチウム、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムまたは炭酸セシウムなどのアルカリ金属炭酸塩、重炭酸ナトリウムまたは重炭酸カリウムなどのアルカリ金属重炭酸塩、ナトリウムメトキシドまたはカリウムメトキシド、ナトリウムエトキシドまたはカリウムエトキシドまたはカリウムtert−ブトキシドなどのアルカリ金属アルコキシド、ナトリウムアミド、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド、ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミドまたはカリウムビス(トリメチルシリル)アミドまたはリチウムジイソプロピルアミドなどのアミド、ブチルリチウムまたはフェニルリチウムなどの有機金属化合物、または、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)または1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン(DBN)などの有機アミンが含まれる。好ましいのは、アルカリ金属炭酸塩およびアルカリ金属重炭酸塩である。
【0089】
ここで、塩基は、式(VII)の化合物1molを基準として、1ないし10mol、好ましくは1ないし5mol、特に1ないし4molの量で用いることができる。
【0090】
この反応は、一般的に、−78℃ないし+140℃の温度範囲で、好ましくは−20℃ないし+80℃の範囲で、特に0℃ないし+50℃で、必要に応じてマイクロ波中で実施する。この反応は、大気圧、加圧または減圧下で実施できる(例えば、0.5ないし5bar)。この反応は、一般的に、大気圧で実施する。
【0091】
反応(V)+(VIII)→(I−D)、(X)+(VIII)→(I−F)および(XII)+(VIII)→(I−H)に適する不活性溶媒は、特に、ジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフランおよびジオキサンなどの非環式および環式エーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサンおよびシクロヘキサンなどの炭化水素類、または、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N−メチルピロリジノン(NMP)およびピリジンなどの他の溶媒である。これらの溶媒の混合物を使用することも可能である。好ましいのは、1,2−ジメトキシエタンの使用である。
【0092】
反応(V)+(VIII)→(I−D)、(X)+(VIII)→(I−F)および(XII)+(VIII)→(I−H)に適する塩基は、特に、ナトリウムメトキシドまたはカリウムメトキシド、ナトリウムエトキシドまたはカリウムエトキシドまたはナトリウムtert−ブトキシドまたはカリウムtert−ブトキシドなどのアルカリ金属アルコキシド、ナトリウムアミド、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド、ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミドまたはカリウムビス(トリメチルシリル)アミドまたはリチウムジイソプロピルアミドなどのアミド、または、ブチルリチウムまたはフェニルリチウムなどの有機金属化合物である。好ましいのは、カリウムtert−ブトキシドの使用である。
【0093】
ここで、塩基は、一般的に、式(VIII)の化合物1molを基準として、1ないし1.25molの量で、好ましくは等モル量で用いる。
【0094】
反応(V)+(VIII)→(I−D)、(X)+(VIII)→(I−F)および(XII)+(VIII)→(I−H)は、一般的に、−20℃ないし+120℃の温度範囲で、好ましくは+20℃ないし+100℃で、必要に応じてマイクロ波中で実施する。これらの反応は、大気圧、加圧または減圧下で実施できる(例えば、0.5ないし5bar)。これらの反応は、一般的に、大気圧で実施する。
【0095】
反応(V)→(VI)に使用されるアルカリ金属硫化物は、好ましくは、式(V)の化合物1molを基準として、1ないし10mol、好ましくは1ないし5mol、特に1ないし4molの量の硫化ナトリウムである。
【0096】
反応(V)→(VI)に適する溶媒は、反応条件下で不活性である全ての有機溶媒である。これらには、好ましくは、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリジノン、ピリジンおよびアセトニトリルが含まれる。上述の溶媒の混合物を使用することも可能である。特に好ましいのは、ジメチルホルムアミドである。
【0097】
反応(V)→(VI)は、一般的に、+20℃ないし+140℃の温度範囲で、好ましくは+20℃ないし+120℃の範囲で、特に+60℃ないし+100℃で実施する。この反応は、大気圧、加圧または減圧下で実施できる(例えば、0.5ないし5bar)。この反応は、一般的に、大気圧で実施する。
【0098】
反応(XVI)→(V)は、一般的に、式(I−A)の化合物1molを基準として、2ないし12molの塩化銅(II)および2ないし12molの亜硝酸イソペンチルのモル比で実施する。
【0099】
工程(XVI)→(V)に適する溶媒は、反応条件下で不活性である全ての有機溶媒である。これらには、ジエチルエーテルおよびテトラヒドロフランなどの非環式および環式エーテル類、酢酸エチルまたは酢酸ブチルなどのエステル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサンおよびシクロヘキサンなどの炭化水素類、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタンおよびクロロベンゼンなどの塩化炭化水素類、または、ジメチルホルムアミド、アセトニトリルまたはピリジンなどの他の溶媒が含まれる。上述の溶媒の混合物を使用することも可能である。好ましい溶媒は、アセトニトリルおよびジメチルホルムアミドである。
【0100】
この反応は、一般的に、−78℃ないし+180℃の温度範囲で、好ましくは0℃ないし+100℃の範囲で、特に+20℃ないし+80℃で、必要に応じてマイクロ波中で実施する。この反応は、大気圧、加圧または減圧下で実施できる(例えば、0.5ないし5bar)。この反応は、一般的に、大気圧で実施する。
【0101】
反応(IX)→(X)および(XI)→(XII)に使用するアルキル金属ハロゲン化物は、好ましくは、式(V)の化合物1molを基準として、1ないし10mol、好ましくは1ないし5mol、特に1ないし4molの量のヨウ化メチルである。
【0102】
反応(IX)→(X)および(XI)→(XII)のための不活性溶媒は、例えば、ジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフランおよびジオキサンなどの非環式および環式エーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサンおよびシクロヘキサンなどの炭化水素類、ジクロロメタン、トリクロロメタンおよびクロロベンゼンなどの塩化炭化水素類、または、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N−メチルピロリジノン(NMP)、アセトニトリルまたはピリジンなどの他の溶媒である。上述の溶媒の混合物を使用することも可能である。好ましいのは、溶媒ジメチルホルムアミドの使用である。
【0103】
反応(IX)→(X)および(XI)→(XII)に適する塩基は、常套の無機または有機塩基である。これらには、好ましくは、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムまたは炭酸セシウムなどのアルカリ金属炭酸塩、重炭酸ナトリウムまたは重炭酸カリウムなどのアルカリ金属重炭酸塩、アルカリ金属アルコキシド、ナトリウムアミド、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド、ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミドまたはカリウムビス(トリメチルシリル)アミドまたはリチウムジイソプロピルアミドなどのアミド、ブチルリチウムまたはフェニルリチウムなどの有機金属化合物、または、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)または1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン(DBN)などの有機アミンが含まれる。好ましいのは、アルカリ金属炭酸塩およびアルカリ金属重炭酸塩である。
【0104】
ここで、塩基は、式(IX)または(XI)の化合物1molを基準として、1ないし10mol、好ましくは1ないし5mol、特に1ないし4molの量で用いることができる。
【0105】
この反応は、一般的に、−78℃ないし+140℃の温度範囲で、好ましくは−20℃ないし+80℃の範囲で、特に0℃ないし+50℃で、必要に応じてマイクロ波中で実施する。この反応は、大気圧、加圧または減圧下で実施できる(例えば、0.5ないし5bar)。この反応は、一般的に、大気圧で実施する。
【0106】
上記の方法は、下記の反応スキーム2ないし13により例示説明できる:
スキーム2
【化44】

【0107】
スキーム3
【化45】

【0108】
スキーム4
【化46】

【0109】
スキーム5
【化47】

【0110】
スキーム6
【化48】

【0111】
スキーム7
【化49】

【0112】
スキーム8
【化50】

【0113】
スキーム9
【化51】

【0114】
スキーム10
【化52】

【0115】
スキーム11
【化53】

【0116】
スキーム12
【化54】

【0117】
スキーム13
【化55】

【0118】
驚くべき事に、本発明による化合物は、予見できない有用な薬理活性スペクトルを有し、従って、障害の予防および/または処置に特に適する。
【0119】
本発明による化合物の薬理活性は、アデノシン受容体の個々のサブタイプまたは複数のサブタイプでの強力な選択的リガンドとしての、特にアデノシンA1および/またはA2b受容体の選択的リガンドとしての、それらの作用により説明できる。ここで、それらは、選択的A1アゴニストとして、選択的A1アンタゴニストとして、または選択的デュアルA1/A2bアゴニストとして作用する。
本発明による化合物は、主に選択的アデノシンA1アゴニストとして作用する。
【0120】
本発明に関して、「アデノシンA1および/またはA2b受容体の選択的リガンド」は、第一にA1および/またはA2bアデノシン受容体サブタイプで顕著な活性が、第2にA2aおよびA3アデノシン受容体サブタイプで、全くないか、またはかなり弱い活性(10倍またはそれ以上)が観察できるアデノシン受容体リガンドであり、ここで、活性/選択性の試験方法に関して、セクションB−1に記載の試験を参照する。
【0121】
それらの特定の構造次第で、本発明による化合物は、完全または部分アデノシン受容体アゴニストまたはアデノシン受容体アンタゴニストとして作用できる。ここで、部分アデノシン受容体アゴニストは、完全アゴニスト(例えば、アデノシン自体)のものよりも弱いアデノシン受容体での機能的応答を引き起こす受容体リガンドとして定義される。従って、部分アゴニストは、受容体の活性化に関して、完全アゴニストよりも低い活性を有する。
【0122】
式(I)の化合物は、単独で、または、1種またはそれ以上の他の活性成分と組み合わせて、様々な障害、例えば、特に、高血圧症および他の心血管系の障害(心血管障害)の予防および/または処置に、心臓の病変後の心臓の保護に、そして、代謝障害および腎障害に適する。
【0123】
本発明に関して、心血管系の障害または心血管障害は、高血圧症に加えて、例えば、以下の障害を含むものと理解すべきである:末梢および心血管の障害、冠動脈心疾患、冠動脈再狭窄、例えば、末梢血管のバルーン拡張術後の再狭窄、心筋梗塞、急性冠動脈症候群、安定および不安定狭心症、心不全、頻拍症、不整脈、心房および心室細動、末梢循環の障害、フィブリノーゲンおよび低密度LDLのレベルの上昇、並びに、プラスミノーゲン活性化因子阻害因子1(PAI−1)濃度の上昇、特に、冠動脈心疾患、急性冠動脈症候群、狭心症、心不全、心筋梗塞、心房細動および高血圧症。
【0124】
本発明に関して、心不全の用語には、急性および慢性の両方の心不全の顕在化、並びに、この疾患のより特異的な、または関連するタイプ、例えば、急性非代償性心不全、右心不全、左心不全、全体的不全、虚血性心筋症、拡張型心筋症、先天性心疾患、心臓弁疾患、心臓弁疾患に関連する心不全、僧帽弁狭窄症、僧帽弁閉鎖不全症、大動脈弁狭窄症、大動脈弁閉鎖不全症、三尖弁狭窄症、三尖弁閉鎖不全症、肺動脈弁狭窄症、肺動脈弁閉鎖不全症、複合心臓弁疾患、心筋の炎症(心筋炎)、慢性心筋炎、急性心筋炎、ウイルス性心筋炎、糖尿病性心不全、アルコール性心筋症、心臓の蓄積症、並びに、拡張期および収縮期心不全が含まれる。
【0125】
本発明による化合物は、さらに、梗塞により冒された心筋領域の縮小、および、二次梗塞の予防にも適する。
【0126】
本発明による化合物は、さらに、血栓塞栓性障害、虚血後の再灌流障害、微小血管性および大血管性の病変(血管炎)、浮腫、虚血、例えば、心筋梗塞、卒中および一過性虚血発作の予防および/または処置に、また、移植、バイパス術、カテーテル心臓検査および他の外科的手法に関する器官の保護に適する。
【0127】
さらに、本発明による化合物は、腎臓病、特に腎不全の処置および/または予防に適する。本発明に関して、腎不全の用語には、急性および慢性の形態の腎不全の両方、並びに、腎臓の低灌流、閉塞性尿路疾患、糸球体腎炎、急性糸球体腎炎、尿細管間質性疾患、原発性および先天性腎臓病などの腎症の疾患、腎炎、毒性物質に誘導される腎症、糖尿病性腎症、腎盂腎炎、腎嚢胞および腎硬化症などの、根底にあるか、または関連する腎臓病が含まれ、それは、例えば、異常に減少したクレアチニンおよび/または水排出、異常に上昇した尿素、窒素、カリウムおよび/またはクレアチニンの血液濃度、例えばグルタミルシンセターゼなどの腎臓の酵素の活性の変化、尿のモル浸透圧濃度または尿量の変化、微量アルブミン尿の増加、マクロアルブミン尿、糸球体および細動脈の病変、尿細管の拡大、高リン血症および/または透析の必要により、診断的に特徴付けることができる。本発明は、また、腎不全の続発症、例えば、高血圧症、肺水腫、心不全、尿毒症、貧血、電解質異常(例えば高カリウム血症、低ナトリウム血症)および骨および炭水化物代謝の障害の処置および/または予防のための本発明による化合物の使用も含む。
【0128】
本発明による化合物を使用し得るさらなる適応症は、例えば、過敏性膀胱(irritable bladder)、勃起不全および女性の性機能不全などにおける泌尿生殖系の障害の予防および/または処置であるが、加えて、炎症性皮膚疾患(乾癬、ざ瘡、湿疹、神経皮膚炎、皮膚炎、角膜炎、瘢痕の形成、疣贅の形成、凍傷)などの炎症性障害の、中枢神経系の障害および神経変性障害(卒中、アルツハイマー病、パーキンソン病、認知症、てんかん、うつ病、多発性硬化症)の、疼痛状態、癌性疾患(皮膚癌、脂肪肉腫、胃腸管、肝臓、膵臓、肺、腎臓、尿管、前立腺および生殖器の癌腫)、並びに、癌治療に伴う悪心および嘔吐の予防および/または処置でもある。
【0129】
他の適応症の領域は、例えば、炎症性および免疫性の障害(クローン病、潰瘍性大腸炎、エリテマトーデス、関節リウマチ)、例えば、慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎、COPD)、喘息、肺気腫、気管支拡張症、嚢胞性線維症(粘液粘稠症(mucoviscidosis))および肺高血圧症、特に肺動脈高血圧などの呼吸器の障害の予防および/または処置である。
【0130】
最後に、本発明による化合物は、糖尿病、特に、真性糖尿病、妊娠糖尿病、インスリン依存型糖尿病およびインスリン非依存型糖尿病、糖尿病の続発症、例えば、網膜症、腎症および神経障害、代謝障害(メタボリックシンドローム、高血糖症、高インスリン血症、インスリン抵抗性、グルコース不耐性および肥満症(脂肪過多症))、並びに、動脈硬化症および脂質異常症(高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、食後の血漿トリグリセリド濃度の上昇、低アルファリポ蛋白血症、複合型高脂血症)、特に、糖尿病、メタボリックシンドロームおよび脂質異常症の予防および/または処置にも適する。
【0131】
加えて、本発明による化合物は、甲状腺の障害(甲状線機能亢進症(hyperthyreosis))、膵臓の障害(膵炎)、肝臓の線維症、ウイルス性疾患(HPV、HCMV、HIV)、悪液質、骨粗鬆症、痛風、失禁の処置および/または予防、また、創傷治癒および血管新生にも使用できる。
【0132】
本発明は、さらに、障害、特に上述の障害の処置および/または予防のための、本発明による化合物の使用を提供する。
本発明は、さらに、障害、特に上述の障害の処置および/または予防用の医薬を製造するための、本発明による化合物の使用を提供する。
本発明は、さらに、冠動脈心疾患、急性冠症候群、狭心症、心不全、心筋梗塞および心房細動の処置および/または予防方法おいて使用するための本発明による化合物を提供する。
本発明は、さらに、糖尿病、メタボリックシンドロームおよび異脂肪血症の処置および/または予防方法のための本発明による化合物を提供する。
本発明は、さらに、本発明による化合物の少なくとも1種の有効量を使用する、障害、特に上述の障害の処置および/または予防方法を提供する。
【0133】
本発明による化合物は、単独で、または、必要であれば、他の有効成分と組み合わせて使用できる。本発明は、さらに、特に上述の障害の処置および/または予防のための、少なくとも1種の本発明による化合物および1種またはそれ以上のさらなる有効成分を含む医薬を提供する。
【0134】
組み合わせに適する有効成分は、例えば、そして好ましくは、脂質代謝を調節する有効成分、抗糖尿病薬、降圧剤、灌流増強および/または抗血栓剤、抗酸化剤、ケモカイン受容体アンタゴニスト、p38−キナーゼ阻害剤、NPYアゴニスト、オレキシンアゴニスト、食欲低下薬、PAF−AH阻害剤、消炎薬(COX阻害剤、LTB−受容体アンタゴニスト)、鎮痛薬、例えば、アスピリン、抗うつ剤および他の向精神薬(psychopharmaceutical)である。
【0135】
本発明は、特に、少なくとも1種の本発明による化合物の、少なくとも1種の脂質代謝を変更する有効成分、抗糖尿病薬、血圧を下げる有効成分および/または抗血栓作用を有する物質との組合せに関する。
【0136】
本発明による化合物を、好ましくは以下の1種またはそれ以上と組み合わせることができる;
・脂質代謝を変更する有効成分、例えば、そして好ましくは、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、HMG−CoAレダクターゼ発現阻害剤、スクアレン合成阻害剤、ACAT阻害剤、LDL受容体誘導剤、コレステロール吸収阻害剤、ポリマー性胆汁酸吸着剤(adsorber)、胆汁酸再吸収阻害剤、MTP阻害剤、リパーゼ阻害剤、LpL活性化剤、フィブラート類、ナイアシン、CETP阻害剤、PPAR−α、PPAR−γおよび/またはPPAR−δアゴニスト、RXRモジュレーター、FXRモジュレーター、LXRモジュレーター、甲状腺ホルモンおよび/または甲状腺ホルモン模倣薬(thyroid mimetic)、ATPクエン酸塩リアーゼ阻害剤、Lp(a)アンタゴニスト、カンナビノイド受容体1アンタゴニスト、レプチン受容体アゴニスト、ボンベシン受容体アゴニスト、ヒスタミン受容体アゴニストおよび抗酸化剤/ラジカル捕捉剤の群からのもの;
【0137】
・Roten Liste 2004/II、第12章に記載の抗糖尿病薬、並びに、例えば、そして好ましくは、スルホニルウレア類、ビグアナイド類、メグリチニド(meglitinide)誘導体、グルコシダーゼ阻害剤、ジペプチジルペプチダーゼIVの阻害剤(DPP−IV阻害剤)、オキサジアゾリジノン類、チアゾリジンジオン類、GLP1受容体アゴニスト、グルカゴンアンタゴニスト、インシュリン増感剤、CCK1受容体アゴニスト、レプチン受容体アゴニスト、糖新生および/またはグリコーゲン分解の刺激に関与する肝臓の酵素の阻害剤、グルコース取り込みのモジュレーターおよびカリウムチャネル開口固定薬、例えばWO97/26265およびWO99/03861に開示のものの群からのもの;
【0138】
・降圧性有効成分、例えば、そして好ましくは、カルシウム拮抗薬、アンジオテンシンAIIアンタゴニスト、ACE阻害剤、レニン阻害剤、ベータ受容体遮断薬、アルファ受容体遮断薬、アルドステロンアンタゴニスト、ミネラルコルチコイド受容体アンタゴニスト、ECE阻害剤、ACE/NEP阻害剤およびバソペプチダーゼ阻害剤の群からのもの;および/または
・抗血栓剤、例えば、そして好ましくは、血小板凝集阻害剤または抗凝血剤の群からのもの;
・利尿剤;
・バソプレシン受容体アンタゴニスト;
・有機硝酸塩およびNO供与源;
・陽性変力活性を有する化合物;
・環状グアノシン一リン酸(cGMP)および/または環状アデノシン一リン酸(cAMP)の分解を阻害する化合物、例えば、ホスホジエステラーゼ(PDE)1、2、3、4および/または5の阻害剤、特にPDE5阻害剤、例えば、シルデナフィル、バルデナフィルおよびタダラフィル、および、PDE3阻害剤、例えばミルリノン;
・ナトリウム利尿ペプチド、例えば、「心房性ナトリウム利尿ペプチド」(ANP、アナリチド(anaritide))、「B型ナトリウム利尿ペプチド」または「脳性ナトリウム利尿ペプチド」(BNP、ネシリチド)、「C型ナトリウム利尿ペプチド」(CNP)およびウロジラチン(urodilatin);
【0139】
・プロスタサイクリン受容体(IP受容体)のアゴニスト、例えば、イロプロスト、ベラプロスト、シカプロスト;
・I(ファニーチャネル(funny channel))チャネルの阻害剤、例えば、イバブラジン;
・カルシウム感受性増強薬、例えば、そして好ましくは、レボシメンダン;
・カリウム・サプリメント;
・NOに依存しないが、ヘムに依存するグアニル酸シクラーゼの刺激剤、例えば、特に、WO00/06568、WO00/06569、WO02/42301およびWO03/095451に記載の化合物;
・NOおよびヘムに依存しないグアニル酸シクラーゼの活性化剤、例えば、特に、WO01/19355、WO01/19776、WO01/19778、WO01/19780、WO02/070462およびWO02/070510に記載の化合物;
・ヒト好中球エラスターゼ(HNE)の阻害剤、例えば、シベレスタットおよびDX−890(レルトラン(Reltran));
・シグナル伝達カスケードを阻害する化合物、例えば、チロシンキナーゼ阻害剤、特に、ソラフェニブ、イマチニブ、ゲフィチニブおよびエルロチニブ;および/または、
・心臓のエネルギー代謝に影響を与える化合物、例えば、エトモキシル、ジクロロ酢酸、ラノラジンおよびトリメタジジン。
【0140】
脂質代謝を変更する有効成分は、好ましくは、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、スクアレン合成阻害剤、ACAT阻害剤、コレステロール吸収阻害剤、MTP阻害剤、リパーゼ阻害剤、甲状腺ホルモンおよび/または甲状腺ホルモン模倣薬、ナイアシン受容体アゴニスト、CETP阻害剤、PPAR−αアゴニスト、PPAR−γアゴニスト、PPAR−δアゴニスト、ポリマー性胆汁酸吸着剤、胆汁酸再吸収阻害剤、抗酸化剤/ラジカル捕捉剤、並びに、カンナビノイド受容体1アンタゴニストの群からの化合物を意味すると理解される。
【0141】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、ロスバスタチン、セリバスタチンまたはピタバスタチンなどのスタチン類のクラスからのHMG−CoAレダクターゼ阻害剤と組み合わせて投与される。
【0142】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、BMS−188494またはTAK−475などのスクアレン合成阻害剤と組み合わせて投与される。
【0143】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、アバシミブ(avasimibe)、メリナミド、パクチミブ(pactimibe)、エフルシミブ(eflucimibe)またはSMP−797などのACAT阻害剤と組み合わせて投与される。
【0144】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、エゼチミブ、チクエシド(tiqueside)またはパマクエシドなどのコレステロール吸収阻害剤と組み合わせて投与される。
【0145】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、イムプリタピド(implitapide)、BMS−201038、R−103757またはJTT−130などのMTP阻害剤と組み合わせて投与される。
【0146】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、オーリスタットなどのリパーゼ阻害剤と組み合わせて投与される。
【0147】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、D−サイロキシンまたは3,5,3'−トリヨードサイロニン(T3)などの甲状腺ホルモンおよび/または甲状腺ホルモン模倣薬と組み合わせて投与される。
【0148】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、ナイアシン、アシピモックス、アシフラン(acifran)またはラデコール(radecol)などのナイアシン受容体のアゴニストと組み合わせて投与される。
【0149】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、トルセトラピブ、JTT−705、BAY60−5521、BAY78−7499またはCETPワクチン(Avant)などのCETP阻害剤と組み合わせて投与される。
【0150】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、ピオグリタゾンまたはロシグリタゾンなどのPPAR−γアゴニストと組み合わせて投与される。
【0151】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、GW−501516またはBAY68−5042などのPPAR−δアゴニストと組み合わせて投与される。
【0152】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、コレスチラミン、コレスチポール、コレソルバム(colesolvam)、CholestaGel またはコレスチミドなどのポリマー性胆汁酸吸着剤と組み合わせて投与される。
【0153】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、ASBT(=IBAT)阻害剤、例えば、AZD−7806、S−8921、AK−105、BARI−1741、SC−435またはSC−635などの胆汁酸再吸収阻害剤と組み合わせて投与される。
【0154】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、プロブコール、AGI−1067、BO−653またはAEOL−10150などの抗酸化剤/ラジカル捕捉剤と組み合わせて投与される。
【0155】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、リモナバンまたはSR−147778などのカンナビノイド受容体1アンタゴニストと組み合わせて投与される。
【0156】
抗糖尿病薬は、好ましくは、インシュリンおよびインシュリン誘導体並びに経口で有効な低血糖有効成分を意味すると理解される。ここで、インシュリンおよびインシュリン誘導体には、動物、ヒトまたは生物工学的起源のインシュリンおよびそれらの混合物の両方が含まれる。経口で有効な低血糖有効成分には、好ましくは、スルホニルウレア類、ビグアナイド類、メグリチニド誘導体、グルコシダーゼ阻害剤およびPPAR−ガンマアゴニストが含まれる。
【0157】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、インシュリンと組み合わせて投与される。
【0158】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、トルブタミド、グリベンクラミド、グリメピリド、グリピジドまたはグリクラジドなどのスルホニルウレアと組み合わせて投与される。
【0159】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、メトホルミンなどのビグアナイドと組み合わせて投与される。
【0160】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、レパグリニドまたはナテグリニドなどのメグリチニド誘導体と組み合わせて投与される。
【0161】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、ミグリトールまたはアカルボースなどのグルコシダーゼ阻害剤と組み合わせて投与される。
【0162】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、シタグリプチンおよびビルダグリプチンなどのDPP−IV阻害剤と組み合わせて投与される。
【0163】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、ピオグリタゾンまたはロシグリタゾンなどの、チアゾリンジオン類のクラスからのPPAR−ガンマアゴニストと組み合わせて投与される。
【0164】
降圧剤は、好ましくは、カルシウム拮抗薬、アンジオテンシンAIIアンタゴニスト、ACE阻害剤、ベータ受容体遮断剤、アルファ受容体遮断剤および利尿剤の群からの化合物を意味すると理解される。
【0165】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、ニフェジピン、アムロジピン、ベラパミルまたはジルチアゼムなどのカルシウム拮抗薬と組み合わせて投与される。
【0166】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、ロサルタン、バルサルタン、カンデサルタン、エンブサルタン(embusartan)、オルメサルタンまたはテルミサルタンなどのアンジオテンシンAIIアンタゴニストと組み合わせて投与される。
【0167】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、エナラプリル、カプトプリル、リシノプリル、ラミプリル、デラプリル、ホシノプリル、キノプリル(quinopril)、ペリンドプリルまたはトランドプリル(trandopril)などのACE阻害剤と組み合わせて投与される。
【0168】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、プロプラノロール、アテノロール、チモロール、ピンドロール、アルプレノロール、オクスプレノロール、ペンブトロール、ブプラノロール、メチプラノロール、ナドロール、メピンドロール、カラザロール(carazalol)、ソタロール、メトプロロール、ベタキソロール、セリプロロール、ビソプロロール、カルテオロール、エスモロール、ラベタロール、カルベジロール、アダプロロール、ランジオロール、ネビボロール、エパノロールまたはブシンドロールなどのベータ受容体遮断薬と組み合わせて投与される。
【0169】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、プラゾシンなどのアルファ受容体遮断薬と組み合わせて投与される。
【0170】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、フロセミド、ブメタニド、トルセミド、ベンドロフルメチアジド、クロロチアジド、ヒドロクロロチアジド、ヒドロフルメチアジド、メチクロチアジド、ポリチアジド、トリクロロメチアジド、クロルタリドン、インダパミド、メトラゾン、キネタゾン、アセタゾラミド、ジクロフェナミド、メタゾラミド、グリセロール、イソソルビド、マンニトール、アミロライドまたはトリアムテレンなどの利尿剤と組み合わせて投与される。
【0171】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、スピロノラクトンまたはエプレレノンなどのアルドステロンまたは鉱質コルチコイド受容体アンタゴニストと組み合わせて投与される。
【0172】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、コニバプタン、トルバプタン、リキシバプタン(lixivaptan)またはSR−121463などのバソプレシン受容体アンタゴニストと組み合わせて投与される。
【0173】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、ニトロプルシドナトリウム、ニトログリセロール、一硝酸イソソルビド、二硝酸イソソルビド、モルシドミンまたはSIN−1などの有機硝酸塩またはNO供給源と組み合わせて、または、吸入NOと組み合わせて、投与される。
【0174】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、強心配糖体(ジゴキシン)、ベータ−アドレナリン作動性およびドーパミン作動性アゴニスト、例えば、イソプロテレノール、アドレナリン、ノルアドレナリン、ドーパミンおよびドブタミンなどの陽性の変力性化合物と組み合わせて投与される。
【0175】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、レセルピン、クロニジンもしくはアルファ−メチルドーパなどの交感神経抑制薬(antisympathotonic)と組み合わせて、または、ミノキシジル、ジアゾキシド、ジヒドララジンもしくはヒドララジンなどのカリウムチャネルアゴニストと組み合わせて、または、一酸化窒素を放出する物質、例えば、ニトログリセロールまたはニトロプルシドナトリウムと共に、投与される。
【0176】
抗血栓剤は、好ましくは、血小板凝集阻害剤または抗凝血剤の群からの化合物を意味するものと理解される。
【0177】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、アスピリン、クロピドグレル、チクロピジンまたはジピリダモールなどの血小板凝集阻害剤と組み合わせて投与される。
【0178】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、キシメラガトラン、メラガトラン、ダビガトラン、ビバリルジンまたはクレキサンなどのトロンビン阻害剤と組み合わせて投与される。
【0179】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、チロフィバンまたはアブシキシマブなどのGPIIb/IIIaアンタゴニストと組み合わせて投与される。
【0180】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、リバロキサバン(BAY59−7939)、DU−176b、アピキサバン、オタミキサバン(otamixaban)、フィデキサバン(fidexaban)、ラザキサバン(razaxaban)、フォンダパリヌクス、イドラパリヌクス、PMD−3112、YM−150、KFA−1982、EMD−503982、MCM−17、MLN−1021、DX9065a、DPC906、JTV803、SSR−126512またはSSR−128428などのXa因子阻害剤と組み合わせて投与される。
【0181】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、ヘパリンまたは低分子量(LMW)ヘパリン誘導体と組み合わせて投与される。
【0182】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、クマリンなどのビタミンKアンタゴニストと組み合わせて投与される。
【0183】
本発明に関して、特に好ましいのは、少なくとも1種の本発明による化合物、並びに、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤(スタチン類)、利尿剤、ベータ受容体遮断薬、有機硝酸塩およびNO供与源、ACE阻害剤、アンジオテンシンAIIアンタゴニスト、アルドステロンおよび鉱質コルチコイド受容体アンタゴニスト、バソプレシン受容体アンタゴニスト、血小板凝集阻害剤および抗凝血剤からなる群から選択される1種またはそれ以上のさらなる有効成分を含む組み合わせ、並びに、上述の障害の処置および/または予防のためのそれらの使用である。
【0184】
本発明は、さらに、少なくとも1種の本発明による化合物を、通常、1種またはそれ以上の不活性、非毒性の医薬的に適する補助剤と共に含む医薬、および、上述の目的のためのそれらの使用を提供する。
【0185】
本発明による化合物は、全身的および/または局所的に作用できる。この目的で、それらを、例えば、経口で、非経腸で、肺に、鼻腔に、舌下に、舌に、頬側に、直腸に、皮膚に、経皮で、結膜に、耳に、または、インプラントもしくはステントとしてなど、適する方法で投与できる。
これらの投与経路のために、本発明による化合物を、適する投与形で投与できる。
【0186】
経口投与に適するのは、先行技術に準じて働き、本発明による化合物を迅速に、かつ/または、改変された形態で放出し、本発明による化合物を結晶形および/または不定形および/または溶解形で含む投与形、例えば、錠剤(非被覆または被覆錠剤、例えば、腸溶性被覆、または、遅れて溶解するか、または不溶であり、本発明による化合物の放出を制御する被覆を有する錠剤)、口腔中で迅速に溶解するフィルム/オブラートまたは錠剤、フィルム/凍結乾燥剤、カプセル剤(例えば、ハードまたはソフトゼラチンカプセル剤)、糖衣錠、顆粒剤、ペレット剤、粉末剤、乳剤、懸濁剤、エアゾル剤または液剤である。
【0187】
非経腸投与は、生体吸収段階を回避して(例えば、静脈内、動脈内、心臓内、脊髄内または腰椎内に)、または、生体吸収を含めて(例えば、筋肉内、皮下、皮内、経皮または腹腔内に)、行い得る。非経腸投与に適する投与形は、とりわけ、液剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥剤または滅菌粉末剤の形態の注射または点滴用製剤である。
【0188】
他の投与経路に適するのは、例えば、吸入に適する医薬(とりわけ、粉末吸入器、噴霧器)、点鼻薬、液またはスプレー、舌に、舌下にまたは頬側に投与するための錠剤、フィルム/オブラートまたはカプセル剤、坐剤、耳または眼に投与するための製剤、膣用カプセル剤、水性懸濁剤(ローション、振盪混合物)、親油性懸濁剤、軟膏、クリーム、経皮治療システム(例えば、プラスター)、ミルク、ペースト、フォーム、散布用粉末剤(powders for pouring)、インプラントまたはステントである。
好ましいのは、経口または非経腸投与、特に経口および静脈内投与である。
【0189】
本発明による化合物は、上述の投与形に変換できる。これは、不活性、非毒性、医薬的に適する補助剤と混合することにより、それ自体既知の方法で実施できる。これらの補助剤には、とりわけ、担体(例えば、微結晶セルロース、ラクトース、マンニトール)、溶媒(例えば、液体ポリエチレングリコール類)、乳化剤および分散剤または湿潤剤(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム、ポリオキシソルビタンオレエート)、結合剤(例えば、ポリビニルピロリドン)、合成および天然ポリマー(例えば、アルブミン)、安定化剤(例えば、アスコルビン酸などの抗酸化剤)、着色料(例えば、酸化鉄などの無機色素)および香味および/または臭気の矯正剤が含まれる。
【0190】
一般に、非経腸投与の場合、約0.001ないし1mg/体重kg、好ましくは約0.01ないし0.5mg/体重kgの量を投与するのが、有効な結果を得るために有利であると判明した。経口投与の場合、投与量は、約0.01ないし100mg/体重kg、好ましくは約0.01ないし20mg/体重kg、ことさら特に好ましくは約0.1ないし10mg/体重kgである。
【0191】
それにも拘わらず、体重、投与経路、有効成分に対する個体の応答、製剤のタイプおよび投与を行う時間または間隔に応じて、上述の量から逸脱することが必要であり得る。従って、上述の最小量より少なく投与しても十分な場合があり得、一方、上述の上限を超えなければならない場合もある。比較的大量に投与する場合、これらを1日に亘って投与される複数の個別投与量に分割するのが好都合であり得る。
【0192】
下記の実施例は、本発明を例示説明する。本発明は、これらの実施例に限定されない。
下記の試験および実施例における百分率は、断りの無い限り、重量パーセントである;部は、重量部である。液体/液体溶液の溶媒比、希釈比および濃度は、各場合で体積を基準とする。
【実施例】
【0193】
A. 実施例
使用する略号:
【表1】

【0194】
HPLC、LC−MSおよびGC−MSの方法:
方法1(HPLC):装置:Hewlett Packard Series 1050;カラム:Symmetry TM C18 3.9 x 150 mm;流速:1.5ml/分;移動相A:水、移動相B:アセトニトリル;グラジエント:→0.6分10%B→3.8分100%B→5.0分100%B→5.5分10%B;停止時間:6.0分;注入量:10μl;ダイオードアレイ検出器のシグナル:214および254nm。
【0195】
方法2(LC−MS):MS装置タイプ:Micromass ZQ;HPLC装置タイプ:Waters Alliance 2795;カラム:Merck Chromolith SpeedROD RP-18e 100 mm x 4.6 mm;移動相A:水1l+50%濃度ギ酸0.5ml、移動相B:アセトニトリル1l+50%濃度ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分10%B→7.0分95%B→9.0分95%B;オーブン:35℃;流速:0.0分1.0ml/分→7.0分2.0ml/分→9.0分2.0ml/分;UV検出:210nm。
【0196】
方法3(LC−MS):MS装置タイプ:Micromass ZQ;HPLC装置タイプ:HP 1100 series; UV DAD; カラム: Phenomenex Gemini 3μ 30 mm x 3.00 mm;移動相A:水1l+50%濃度ギ酸0.5ml、移動相B:アセトニトリル1l+50%濃度ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分90%A→2.5分30%A→3.0分5%A→4.5分5%A;流速:0.0分1ml/分、2.5分/3.0分/4.5分。2ml/分;オーブン:50℃;UV検出:210nm。
【0197】
方法4(LC−MS):装置:HPLC Agilent series 1100 を備えた Micromass Quattro LCZ; カラム: Phenomenex Onyx Monolithic C18, 100 mm x 3 mm。移動相A:水1l+50%濃度ギ酸0.5ml、移動相B:アセトニトリル1l+50%濃度ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分90%A→2分65%A→4.5分5%A→6分5%A;流速:2ml/分;オーブン:40℃;UV検出:208−400nm。
【0198】
方法5(LC−MS):MS装置タイプ:Micromass ZQ;HPLC装置タイプ:Waters Alliance 2795;カラム:Phenomenex Synergi 2.5 μ MAX-RP 100A Mercury 20 mm x 4 mm;移動相A:水1l+50%濃度ギ酸0.5ml、移動相B:アセトニトリル1l+50%濃度ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分90%A→0.1分90%A→3.0分5%A→4.0分5%A→4.01分90%A;流速:2ml/分;オーブン:50℃;UV検出:210nm。
【0199】
方法6(LC−MS):装置:Waters UPLC Acquity を備えた Micromass QuattroPremier;カラム:Thermo Hypersil GOLD 1.9μ 50 x 1 mm;移動相A:水1l+50%濃度ギ酸0.5ml、移動相B:アセトニトリル1l+50%濃度ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分90%A→0.1分90%A→1.5分10%A→2.2分10%A;オーブン:50℃;流速:0.33ml/分;UV検出:210nm。
【0200】
方法7(LC−MS):MS装置タイプ:Waters ZQ;HPLC装置タイプ:Waters Alliance 2795;カラム:Phenomenex Onyx Monolithic C18, 100 mm x 3 mm;移動相A:水1l+50%濃度ギ酸0.5ml、移動相B:アセトニトリル1l+50%濃度ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分90%A→2分65%A→4.5分5%A→6分5%A;流速:2ml/分;オーブン:40℃;UV検出:210nm。
【0201】
方法8(LC−MS):装置:HPLC Agilent series 1100 を備えた Micromass Quattro LCZ;カラム:Phenomenex Synergi 2.5 μ MAX-RP 100A Mercury 20 mm x 4 mm;移動相A:水1l+50%濃度ギ酸0.5ml、移動相B:アセトニトリル1l+50%濃度ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分90%A→0.1分90%A→3.0分5%A→4.0分5%A→4.1分90%A;流速:2ml/分;オーブン:50℃;UV検出:208−400nm。
【0202】
方法9(LC−MS):装置:HPLC Agilent series 1100 を備えた Micromass Quattro LCZ;カラム:Phenomenex Synergi 2μ Hydro-RP Mercury 20 mm x 4 mm;移動相A:水1l+50%濃度ギ酸0.5ml、移動相B:アセトニトリル1l+50%濃度ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分90%A→2.5分30%A→3.0分5%A→4.5分5%A;流速:0.0分1ml/分、2.5分/3.0分/4.5分2ml/分;オーブン:50℃;UV検出:208−400nm。
【0203】
方法10(LC−MS):MS装置タイプ:Micromass ZQ;HPLC装置タイプ:Waters Alliance 2795;カラム:Merck Chromolith SpeedROD RP-18e 100 x 4.6 mm;移動相A:水1l+50%濃度ギ酸0.5ml;移動相B:アセトニトリル1l+50%濃度ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分10%B→7.0分95%B→9.0分95%B;オーブン:35℃;流速:0.0分1.0ml/分→7.0分2.0ml/分→9.0分2.0ml/分;UV検出:210nm。
【0204】
方法11(LC−MS):装置:HPLC Agilent series 1100 を備えた Micromass Platform LCZ;カラム:Thermo Hypersil GOLD 3μ 20 x 4 mm;移動相A:水1l+50%濃度ギ酸0.5ml、移動相B:アセトニトリル1l+50%濃度ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分100%A→0.2分100%A→2.9分30%A→3.1分10%A→5.5分10%A;オーブン:50℃;流速:0.8ml/分;UV検出:210nm。
【0205】
方法12(LC−MS):MS装置タイプ:M-40 DCI (NH3);HPLC装置タイプ:DAD 検出を備えたHP 1100;カラム:Kromasil 100 RP-18, 60 mm x 2.1 mm, 3.5 μm;移動相A:5mlHClO(70%濃度)/水1l、移動相B:アセトニトリル;グラジエント:0分2%B→0.5分2%B→4.5分90%B→6.5分90%B→6.7分2%B→7.5分2%B;流速:0.75ml/分;カラム温度:30℃;UV検出:210nm。
【0206】
方法13(LC−MS):装置:Micromass Quattro Micro MS with HPLC Agilent series 1100;カラム:Thermo Hypersil GOLD 3μ 20 x 4 mm;移動相A:水1l+50%濃度ギ酸0.5ml、移動相B:アセトニトリル1l+50%濃度ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分100%A→3.0分10%A→4.0分10%A→4.01分100%A(流速2.5ml)→5.00分100%A;オーブン:50℃;流速:2ml/分;UV検出:210nm
【0207】
出発物質および中間体:
実施例1A
2−アミノ−4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−6−スルファニルピリジン−3,5−ジカルボニトリル
【化56】

この製造は、WO03/053441に実施例6(工程1)について記載された通りに実施した。
LC-MS (方法 4): Rt = 1.73 分; MS (ESIpos): m/z = 313 [M+H]+.
【0208】
実施例2A
2−アミノ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}スルファニル)−4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]ピリジン−3,5−ジカルボニトリル
【化57】

この製造は、WO03/053441に実施例6(工程2)について記載された通りに実施した。
LC-MS (方法 10): Rt = 5.69 分; MS (ESIpos): m/z = 520 [M+H]+.
【0209】
実施例3A
2−アミノ−4−フェニル−6−スルファニルピリジン−3,5−ジカルボニトリル
【化58】

この製造は、WO03/053441に実施例6(工程1)について記載された通りに実施した。
MS (ESIpos): m/z = 253 (M+H)+
【0210】
実施例4A
2−アミノ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}スルファニル)−4−フェニルピリジン−3,5−ジカルボニトリル
【化59】

実施例3Aの化合物5.0g(19.82mmol)、重炭酸ナトリウム5.0g(59.45mmol)および4−(クロロメチル)−2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール5.32g(21.80mmol)を、無水DMF100ml中で合わせ、室温で終夜撹拌した。反応混合物を水700mlに注いだ。形成された沈殿をガラスフリットで濾過し、水で洗浄した。残渣を減圧下で乾燥させた。
収量:9.25g(理論値の93%、純度92%)
LC-MS (方法 4): Rt = 4.26 分; MS (ESIpos): m/z = 460 [M+H]+.
【0211】
実施例5A
2−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}チオ)−4−(4−{[(2S)−2,3−ジヒドロキシプロピル]オキシ}フェニル)−5−オキソ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロキノリン−3−カルボニトリル
【化60】

1,3−シクロヘキサンジオン150mg(1.31mmol)、4−{[(4R)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル]メトキシ}ベンズアルデヒド[WO2006/027142の実施例11Aと同様に製造した]315mg(1.31mmol)および2−シアノエタンチオアミド138mgを、先ず、エタノール4.3mlに加え、4−メチルモルホリン0.29ml(2.62mmol)を添加し、混合物を室温で終夜撹拌した。
この時間の後、4−(クロロメチル)−2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール320mg(1.31mmol)を添加し、反応溶液を室温で終夜撹拌した。
水約2mlを添加し、反応溶液を分取HPLC(Chromasil、水/アセトニトリル+0.1%TFA)により精製した。
収量: 214 mg (理論値の26%)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 9.91 (s, 1H), 7.91 (d, 2H), 7.54 (d, 2H), 7.49 (s, 1H), 6.98 (d, 2H), 6.78 (d, 2H), 4.48 (d, 1H), 4.41-4.35 (m, 2H), 3.93-3.87 (m, 1H), 3.80-3.70 (m, 2H), 3.41 (d, 2H), 2.67-2.49 (m, 2H), 2.24-2.16 (m, 2H), 1.98-1.74 (m, 2H).
LC-MS (方法 5): Rt = 1.75 分; MS (ESIpos): m/z = 580 [M+H]+.
【0212】
実施例6A
4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−メルカプト−5−オキソ−5,6−ジヒドロ−1,6−ナフチリジン−3−カルボニトリル
【化61】

4−アミノピリジン−2(1H)−オン[Searls, T., McLaughlin, L.W., Tetrahedron 55, 11985-11996 (1999)]1g(9.08mmol)、4−(2−ヒドロキシエトキシ)ベンズアルデヒド1.509g(9.08mmol)および2−シアノエタンチオアミド0.909g(9.08mmol)を、先ず、2−プロパノール50mlに加え、酢酸0.78ml(13.62mmol)を添加し、混合物を還流で終夜撹拌した。
反応混合物を濃縮し、粗生成物をクロマトグラフィー的精製に付した:Chromasil 100 C 18, 7μm, 250 x 20 mm;移動相:水/アセトニトリル/1%トリフルオロ酢酸グラジエント;流速:25ml/分;40℃;検出:210nm。
収量:374mg(理論値の12%)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 14.10 (s, 1H), 11.59 (d, 1H), 7.64-7.60 (m, 1H), 7.21 (d, 2H), 6.97 (d, 2H), 6.42 (d, 1H), 4.88 (br s, 1H), 4.06 (t, 2H), 3.75 (t, 2H).
LC-MS (方法 6): Rt = 0.65 分; MS (ESIpos): m/z = 340 [M+H]+. (purity about 81%)
【0213】
実施例7A
酢酸2−{4−[2−アミノ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}スルファニル)−3,5−ジシアノピリジン−4−イル]フェノキシ}エチル
【化62】

実施例2Aの化合物500mg(0.96mmol)を無水酢酸1.9mlに溶解し、還流下で1時間加熱した。1N塩酸約1mlを添加し、混合物を10分間撹拌した。得られる沈殿を濾過し、エタノール8mlに取り、短時間撹拌し、再度濾過した。沈殿を減圧下で乾燥させた。
収量:422mg(理論値の77%)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 7.96 (s, 1H), 7.93 (d, 2H), 7.57 (d, 2H), 7.49 (d, 2H), 7.11 (d, 2H), 4.63 (s, 2H), 4.38-4.35 (m, 2H), 4.29-4.25 (m, 2H), 2.05 (s, 3H).
LC-MS (方法 7): Rt = 4.08 分; MS (ESIpos): m/z = 562 [M+H]+.
【0214】
実施例8A
酢酸2−{4−[7−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}チオ)−6−シアノ−2−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−5−イル]フェノキシ}エチル
【化63】

実施例7Aの化合物200mg(0.36mmol)を、無水酢酸0.7mlに溶解し、還流で1時間加熱した。1N塩酸約1mlを添加し、混合物をさらに10分間撹拌した。形成された沈殿を濾過し、エタノール8mlに取り、短時間撹拌し、再度濾過した。沈殿を減圧下で乾燥させ、次いで分取HPLC(カラム:YMC GEL ODS-AQ S-5 / 15 μm;移動相グラジエント:アセトニトリル/水10:90→95:5)により精製した。
収量:24mg(理論値の11%)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 8.28-8.00 (br s, 1H), 7.95 (d, 2H), 7.92 (s, 1H), 7.57 (d, 2H), 7.48 (d, 2H), 7.11 (d, 2H), 4.64 (s, 2H), 4.39-4.33 (m, 2H), 4.32-4.23 (m, 2H), 2.04 (s, 3H).
LC-MS (方法 7): Rt = 2.39 分; MS (ESIpos): m/z = 604 [M+H]+.
【0215】
実施例9A
7−クロロ−2,4−ジオキソ−5−フェニル−1,2,3,4−テトラヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−6−カルボニトリル
【化64】

7−アミノ−2,4−ジオキソ−5−フェニル−1,2,3,4−テトラヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−6−カルボニトリル[Assy, M. G. et al., J. Indian Chem. Soc. 1996, 73 (11), 623-624]1.0g(3.04mmol)を、DMSO8mlに溶解し、亜硝酸イソペンチル0.82ml(713mg、6.09mmol)および塩化銅(II)818mg(6.09mmol)を添加し、混合物を80℃で終夜撹拌した。反応混合物を冷却し、次いで1N塩酸溶液6ml、続いて水100mlを添加した。形成された沈殿を濾過し、高真空下で乾燥させた。生成物をこれ以上精製しなかった(LC−MSによる純度:約82%)。
収量:729mg(理論値の64%)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 12.45 (br s, 1H), 11.59 (s, 1H), 7.50-7.43 (m, 3H), 7.36-7.29 (m, 2H).
LC-MS (方法 3): Rt = 1.94 分; MS (ESIpos): m/z = 299 [M+H]+.
【0216】
実施例10A
7−アミノ−5−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2,4−ジオキソ−1,2,3,4−テトラヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−6−カルボニトリル
【化65】

4−(2−ヒドロキシエトキシ)ベンズアルデヒド100mg(0.602mmol)、6−アミノ−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン76mg(0.602mmol)およびマロノニトリル40mg(0.602mmol)を、先ず、エタノール2mlに加え、4−メチルモルホリン0.13ml(122mg、1.204mmol)を添加し、混合物を還流で終夜撹拌した。反応混合物を冷却し、次いで、水約20mlを添加した。形成された沈殿を濾過し、乾燥させた。粗生成物をさらに精製せずに後続の反応に使用した。
収量:128mg(純度約50%)
LC-MS (方法 5): Rt = 0.74 分; MS (ESIpos): m/z = 340 [M+H]+.
【0217】
実施例11A
7−クロロ−5−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2,4−ジオキソ−1,2,3,4−テトラヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−6−カルボニトリル
【化66】

実施例10A863mg(約1.272mmol)を、先ず、DMSO/アセトニトリル(1:1)12mlに加え、亜硝酸イソペンチル0.34ml(298mg、2.54mmol)および塩化銅(II)342mg(2.54mmol)を添加し、混合物を80℃で4時間撹拌した。反応混合物を冷却し、次いで、1N塩酸溶液2.5ml、続いて水約50mlを添加した。形成された沈殿を濾過し、濾液を蒸発させた。粗生成物を分取HPLC(Chromasil、水/アセトニトリル+0.1%TFA)により精製した。
収量:143mg(理論値の31%)
LC-MS (方法 3): Rt = 1.54 分; MS (ESIpos): m/z = 359 [M+H]+.
【0218】
実施例12A
4−(クロロメチル)−2−(4−クロロフェニル)−1,3−オキサゾール
【化67】

1,3−ジクロロアセトン408mg(3.21mmol)および4−クロロベンズアミド500mg(3.21mmol)を合わせ、135℃で1時間撹拌した。次いで、混合物を室温に冷却し、濃硫酸1.1mlを注意深く添加し、混合物をさらに5分間撹拌した。注意深く、混合物を氷に注いだ。沈殿を濾過し、水で洗浄した。乾燥後、粗生成物をさらに精製せずに後続の反応に使用した。
収量:426mg(理論値の49%、純度85%)
LC-MS (方法 11): Rt = 3.78 分; MS (ESIpos): m/z = 228 [M].
【0219】
実施例13A
2−(4−クロロフェニル)−4,5−ジメチル−1,3−オキサゾール3−オキシド
【化68】

ジアセチルモノオキシム1.00g(9.89mmol)および4−クロロベンズアルデヒド1.53g(10.88mmol)を、先ず、氷酢酸2ml(34.94mmol)に加えた。次いで、反応混合物を氷で冷却しながら、塩化水素ガスを30分導入した。次いで、ジエチルエーテル10mlを反応混合物に添加した。沈殿が形成され、それを濾過し、各回2mlのジエチルエーテルで2回洗浄した。沈殿を水約5mlに再懸濁し、25%濃度アンモニア水溶液で懸濁液を塩基性にした。混合物を各回10mlのジクロロメタンで4回抽出した。合わせた有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒をロータリーエバポレーターで除去した。さらに精製せずに、残渣を次の反応に使用した。
収量:1.85g(理論値の84%)
LC-MS (方法 5): Rt = 2.29 分; MS (ESIpos): m/z = 224 [M+H]+.
【0220】
実施例14A
4−(クロロメチル)−2−(4−クロロフェニル)−5−メチル−1,3−オキサゾール
【化69】

実施例13Aの化合物1.00g(4.47mmol)を、先ず、クロロホルム15mlに加え、オキシ塩化リン1.5ml(16.10mmol)を注意深く添加した。撹拌しながら、反応混合物を還流下で30分間加熱した。次いで、反応を0℃に冷却し、25%濃度アンモニア水溶液の添加によりわずかに塩基性にした。混合物を各回20mlの酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機相を各回5mlの水で2回洗浄し、次いで硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒をロータリーエバポレーターで除去した。さらに精製せずに、残渣を後続の工程に使用した。
収量:1.33g(理論値の96%、純度78%)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 7.95 (d, 2H), 7.60 (d, 2H), 4.77 (s, 2H), 2.44 (s, 3H).
LC-MS (方法 3): Rt = 2.80 分; MS (ESIpos): m/z = 242 [M+H]+.
【0221】
実施例15A
2−アミノ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−オキサゾール−4−イル]メチル}スルファニル)−4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]ピリジン−3,5−ジカルボニトリル
【化70】

実施例1A500mg(1.60mmol)、実施例12A365mg(1.60mmol)および重炭酸ナトリウム403mg(4.80mmol)を、乾燥DMF11mlに溶解した。反応混合物を室温で2時間撹拌した。反応を水約5mlで希釈し、さらに1時間撹拌した。形成された沈殿を濾過し、乾燥キャビネット中、40℃で乾燥させた。分取HPLC(カラム:YMC GEL ODS-AQ S-5 / 15 μm;移動相グラジエント:アセトニトリル/水10:90→95:5)によりさらなる精製が可能である。
収量:665mg(理論値の77%)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 8.37 (s, 1H), 8.31-7.89 (br. s, 2H), 7.97 (d, 2H), 7.60 (d, 2H), 7.46 (d, 2H), 7.10 (d, 2H), 4.91 (t, 1H), 4.41 (s, 2H), 4.08 (t, 2H), 3.74 (q, 2H).
LC-MS (方法 3): Rt = 2.53 分; MS (ESIpos): m/z = 504 [M+H]+.
【0222】
実施例16A
2−アミノ−4−フェニル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジン−3−カルボニトリル
【化71】

トルエン12ml中、シクロペンタノン500mg(5.94mmol)、ベンジリデンマロノニトリル916mg(5.94mmol)および酢酸アンモニウム1.00g(13.1mmol)を、還流下で2時間加熱した。混合物を飽和重炭酸ナトリウム水溶液10ml、次いで水10mlで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒をロータリーエバポレーターで除去した。残渣を分取HPLC(カラム:YMC GEL ODS-AQ S-5, 15 μm;移動相グラジエント:アセトニトリル/水10:90→95:5)により精製した。
収量:250mg(理論値の18%)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 7.53-7.43 (m, 5H), 6.68 (s, 2H), 2.83 (t, 2H), 2.62 (t, 2H), 1.95 (m, 2H).
LC-MS (方法 6): Rt = 1.08 分; MS (ESIpos): m/z = 235 [M+H]+.
【0223】
実施例17A
2−クロロ−4−フェニル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジン−3−カルボニトリル
【化72】

アルゴン下、テトラヒドロフラン21ml中の実施例16Aの化合物500mg(2.12mmol)、亜硝酸イソペンチル0.57ml(4.25mmol)および塩化銅(II)571mg(4.25mmol)を、還流下で6時間加熱した。冷却後、1N塩酸を添加し、反応混合物を酢酸エチルで抽出した。有機相を水および飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒をロータリーエバポレーターで除去した。残渣を分取HPLC(カラム:YMC GEL ODS-AQ S-5, 15 μm;移動相グラジエント:アセトニトリル/水10:90→95:5)により精製した。
収量:158mg(理論値の29%)
LC-MS (方法 3): Rt = 2.63 分; MS (ESIpos): m/z = 254 [M+H]+.
【0224】
実施例18A
ナトリウム[3−シアノ−4−フェニル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジン−2−チオラート]
【化73】

硫化ナトリウム147mg(1.89mmol)を、DMF4.8ml中の実施例17Aの化合物400mg(1.57mmol)の溶液に添加し、混合物を30℃で5時間撹拌した。さらに後処理せずに、反応混合物をさらに直接反応させた。
LC-MS (方法 4): Rt = 4.68 分; MS (ESIpos): m/z = 483 [M+H]+.
【0225】
実施例19A
5−オキソ−4−(1H−ピラゾール−3−イル)−2−スルファニル−5,6−ジヒドロ−1,6−ナフチリジン−3−カルボニトリル
【化74】

4−アミノピリジン−2(1H)−オン573mg(5.20mmol)、ピラゾール−3−カルボアルデヒド500mg(5.02mmol)および2−シアノエタンチオアミド521mg(5.20mmol)を、先ず、2−プロパノール25mlに加え、酢酸0.45ml(7.81mmol)を添加し、混合物を還流で48時間撹拌した。沈殿を濾過により除去し、濾液を蒸発させ、さらに精製せずに反応させた。
収量:608mg(理論値の4%、純度約9%)
LC-MS (方法 13): Rt = 1.09 分; MS (ESIpos): m/z = 272 [M+H]+.
【0226】
実施例20A
2−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}スルファニル)−5−オキソ−4−(1H−ピラゾール−3−イル)−1,4,5,6−テトラヒドロ−1,6−ナフチリジン−3−カルボニトリル
【化75】

実施例19A608mg(約0.20mmol)を、DMF2mlに溶解し、4−クロロメチル−2−(4−クロロフェニル)チアゾール55mg(0.22mmol)および重炭酸ナトリウム68mg(0.81mmol)を添加し、混合物を室温で4時間撹拌した。澄んだ溶液が形成されるように、少量の水を反応混合物に添加した。この溶液を分取HPLC(Chromasil、水/アセトニトリル+0.1%TFA)により精製した。
収量:31mg(理論値の32%)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 11.25 (br s, 1H), 9.99 (s, 1H), 7.80 (d, 2H), 7.53-7.42 (m, 4H), 7.22 (d, 1H), 6.03 (d, 1H), 5.92 (d, 1H), 4.70 (s, 1H), 4.56 (d, 1H), 4.29 (d, 1H).
LC-MS (方法 5): Rt = 1.54 分; MS (ESIpos): m/z = 479 [M+H]+.
【0227】
実施例21A
4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−(メチルスルファニル)−5−オキソ−5,6−ジヒドロ−1,6−ナフチリジン−3−カルボニトリル
【化76】

実施例6A283mg(0.83mmol)を、先ず、DMF5.7mlに加え、0℃に冷却した。ヨードメタン118mg(0.83mmol)および重炭酸ナトリウム140mg(1.67mmol)を添加し、混合物を0℃で1時間撹拌した。水を反応混合物に添加し、沈殿を濾過した。沈殿を乾燥キャビネット中、50℃で終夜乾燥させ、さらに精製せずに反応させた。
収量:198mg(理論値の67%)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 11.49 (br s, 1H), 7.60 (d, 1H), 7.22 (d, 2H), 6.98 (d, 2H), 6.58 (d, 1H), 4.90 (br s, 1H), 4.05 (t, 2H), 3.80-3.70 (m, 2H), 2.69 (s, 3H).
LC-MS (方法 5): Rt = 1.43 分; MS (ESIpos): m/z = 354 [M+H]+.
【0228】
実施例22A
2−アミノ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}スルファニル)−5−シアノ−4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]ピリジン−3−カルボキサミド
【化77】

実施例2Aの化合物500mg(0.961mmol)を、50%濃度硫酸24mlに懸濁し、100℃で終夜撹拌した。冷却後、形成された反応溶液を氷に注いだ。形成された沈殿を吸引濾過し、DMF/THFに溶解し、次いで分取HPLC(Chromasil、水/アセトニトリル+0.1%TFA)により精製した。
収量:81mg(理論値の16%)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 7.93 (d, 2H), 7.89 (s, 1H), 7.58 (d, 2H), 7.32 (d, 2H), 7.29 (d, 2H), 7.18 (br s, 2H), 6.98 (d, 2H), 4.61 (s, 2H), 4.03 (t, 2H), 3.71 (t, 2H).
LC-MS (方法 5): Rt = 1.93 分; MS (ESIpos): m/z = 538 [M+H]+.
【0229】
実施例23A
酢酸2−{4−[7−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−オキサゾール−4−イル]メチル}スルファニル)−6−シアノ−2−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−5−イル]フェノキシ}エチル
【化78】

1時間、2−アミノ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−オキサゾール−4−イル]メチル}スルファニル)−4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]ピリジン−3,5−ジカルボニトリル770mg(1.528mmol)を、還流下で無水酢酸2.883ml(30.557mmol)中で加熱した。次いで、1N塩酸を冷却した反応混合物に添加し、沈殿した固体を濾過し、水およびジエチルエーテルで洗浄し、減圧下で乾燥させた。粗生成物を分取HPLC(移動相グラジエント:アセトニトリル/水10:90→95:5、0.1%TFAを添加したもの)により精製した。これにより、標的化合物102mg(理論値の11%)を得た。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): d = 11.15 (s, 1H), 8.30 (s, 1H), 7.97 (d, 2H), 7.61 (d, 2H), 7.55 (d, 2H), 7.18 (d, 2H), 4.57 (s, 2H), 4.38-4.35 (m, 2H), 4.31-4.29 (m, 2H), 2.24 (s, 3H), 2.05 (s, 3H).
LC-MS (方法 5): Rt = 2.29 分; MS (ESIpos): m/z = 588 [M+H]+.
【0230】
実施例24A
2−{4−[7−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}スルファニル)−6−シアノ−2−エチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−5−イル]フェノキシ}エチルプロパノエート
【化79】

1時間、2−アミノ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}スルファニル)−4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]ピリジン−3,5−ジカルボニトリル100mg(0.192mmol)を還流下で無水プロパン酸0.493ml(3.846mmol)中で加熱した。次いで、冷却した反応混合物を分取HPLC(移動相グラジエント:アセトニトリル/水10:90→95:5、0.1%TFAを添加したもの)により精製した。これにより、標的化合物44mg(理論値の36%)を得た。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): d = 11.13 (s, 1H), 7.95 (d, 2H), 7.84 (s, 1H), 7.59-7.53 (m, 4H), 7.18 (d, 2H), 4.77 (s, 2H), 4.40-4.37 (m, 2H), 4.31-4.29 (m, 2H), 2.56-2.53 (m, 2H), 2.35 (q, 2H), 1.14 (t, 3H), 1.03 (t, 3H).
LC-MS (方法 5): Rt = 2.61 分; MS (ESIpos): m/z = 632 [M+H]+.
【0231】
実施例:
実施例1
7−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}チオ)−4−オキソ−5−フェニル−3,4−ジヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−6−カルボニトリル
【化80】

以下のサイズの7つのバッチを製造した:
実施例4A50mg(0.11mmol)を、THF200μlに溶解し、ギ酸0.6ml(16.3mmol)を添加し、混合物をマイクロ波中、180℃で30分間照射した。
7個の反応溶液を合わせ、半濃縮(semiconcentrated)重炭酸ナトリウム溶液および酢酸エチルの混合物に注意深く注いだ(激しいガスの放出)。2つの相を分離し、水相を酢酸エチルで1回抽出した。合わせた有機相を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗生成物を分取HPLC[Chromasil、水/アセトニトリル+0.3%ギ酸]により精製した。これにより32mgを得、これを分取HPLC[Waters Symmetry C 18, 7μm, 300 x 19 mm;移動相:アセトニトリル+0.2%トリフルオロ酢酸;流速:25ml/分;室温;検出:210nm]によりもう一度分離した。
収量:4mg(理論値の1%)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 12.61 (br s, 1H), 8.39 (s, 1H), 7.97 (d, 2H), 7.79 (s, 1H), 7.58 (d, 2H), 7.48-7.40 (m, 3H), 7.38-7.31 (m, 2H), 4.80 (s, 2H).
LC-MS (方法 10): Rt = 5.39 分; MS (ESIpos): m/z = 488 [M+H]+.
【0232】
実施例2
2−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}チオ)−4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−5−オキソ−5,6,7,8−テトラヒドロキノリン−3−カルボニトリル
【化81】

1,3−シクロヘキサンジオン100mg(0.874mmol)、4−(ヒドロキシエトキシ)ベンズアルデヒド150mg(0.874mmol)および2−シアノエタンチオアミド92mg(0.874mmol)を、先ず、エタノール2.9mlに加え、N−メチルモルホリン179mg(1.748mmol)と、室温で終夜撹拌した。次いで、4−(クロロメチル)−2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール213mg(0.874mmol)を添加し、混合物を室温でさらに2.5時間撹拌した。反応混合物を水およびジクロロメタンで希釈し、2つの相を分離し、水相をジクロロメタンで4回抽出した。合わせた有機相を、0.5N塩酸および飽和塩化ナトリウム水溶液で1回ずつ洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗生成物を分取HPLC[Chromasil、水/アセトニトリル+0.15%塩酸]により精製した。
収量:27mg(理論値の6%)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 7.97 (d, 2H), 7.76 (s, 1H), 7.58 (d, 2H), 7.20 (d, 2H), 6.98 (d, 2H), 4.90 (br s, 1H), 4.78 (s, 2H), 4.05 (t, 2H), 3.74 (t, 2H), 3.24 (t, 2H), 2.58 (t, 2H), 2.11 (Quintett, 2H).
LC-MS (方法 4): Rt = 4.26 分; MS (ESIpos): m/z = 548 [M+H]+.
【0233】
実施例3
2−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}チオ)−4−(4−{[(2S)−2,3−ジヒドロキシプロピル]オキシ}フェニル)−5−オキソ−5,6,7,8−テトラヒドロキノリン−3−カルボニトリル
【化82】

室温で、実施例5Aの化合物100mg(0.172mmol)および2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン40mg(0.174mmol)を、ジクロロメタン6ml中で終夜撹拌した。反応溶液をジクロロメタンおよび水で希釈し、2つの相を分離した。水相をジクロロメタンで2回抽出した。合わせた有機相を濃縮し、分取HPLC(Chromasil、水/アセトニトリル+0.1%TFA)により精製した。
収量:78mg(理論値の78%)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 7.97 (d, 2H), 7.78 (s, 1H), 7.58 (d, 2H), 7.19 (d, 2H), 6.98 (d, 2H), 4.99 (br s, 1H), 4.78 (s, 2H), 4.70 (br s, 1H), 4.08 (dd, 1H), 3.92 (dd, 1H), 3.85-3.78 (m, 1H), 3.24 (t, 2H), 2.58 (t, 2H), 2.10 (quintet, 2H).
LC-MS (方法 8): Rt = 2.45 分; MS (ESIpos): m/z = 578 [M+H]+.
【0234】
実施例4
2−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}チオ)−4−(4−{[(2S)−2,3−ジヒドロキシプロピル]オキシ}フェニル)−5−ヒドロキシ−5,6,7,8−テトラヒドロキノリン−3−カルボニトリル
【化83】

実施例3の化合物25mg(0.043mmol)を、先ず、THF1mlおよびメタノール0.1mlに加え、撹拌しながら水素化ホウ素ナトリウム0.8mg(0.022mmol)を添加し、混合物を室温で16時間撹拌した。反応溶液を水約2mlで希釈し、分取HPLC(Chromasil、水/アセトニトリル+0.1%TFA)により精製した。
収量:15.8mg(理論値の63%)
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ = 7.97-7.90 (m, 2H), 7.68 (s, 1H), 7.59-7.42 (m, 3H), 7.26 (br s, 1H), 7.03 (d, 2H), 4.88 (br s, 1H), 4.70 (dd, 2H), 4.39 (s, 1H), 4.09-4.02 (m, 1H), 3.93-3.89 (m, 1H), 3.83-3.78 (m, 1H), 3.45 (d, 2H), 3.12 (dd, 1H), 2.93-2.84 (m, 1H), 2.18-2.08 (m, 1H), 1.86-1.72 (m, 2H), 1.62-1.54 (m, 1H).
LC-MS (方法 5): Rt = 2.23 分; MS (ESIpos): m/z = 580 [M+H]+.
【0235】
実施例5
2−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−オキサゾール−4−イル]メチル}チオ)−4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−5−オキソ−5,6−ジヒドロ−1,6−ナフチリジン−3−カルボニトリル
【化84】

実施例6Aの化合物75mg(約0.179mmol)および12Aの化合物66mg(0.197mmol)を、先ず、DMF3.5mlに加え、重炭酸ナトリウム45mg(0.537mmol)を添加し、混合物を室温で16時間撹拌した。反応溶液を水約2mlで希釈し、分取HPLC(Chromasil、水/アセトニトリル+0.1%TFA)により精製した。
収量:37mg(理論値の39%)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 11.49 (d, 1H), 8.28 (s, 1H), 7.98 (d, 2H), 7.63-7.58 (m, 3H), 7.22 (d, 2H), 6.98 (d, 2H), 6.77 (d, 1H), 4.90 (t, 1H), 4.59 (s, 2H), 4.04 (t, 2H), 3.74 (q, 2H).
LC-MS (方法 6): Rt = 1.27 分; MS (ESIpos): m/z = 531 [M+H]+.
【0236】
表1に挙げる実施例は、適当な出発物質から、実施例5と同様に、続いて精製[分取HPLC(Chromasil、水/アセトニトリル+0.1%TFA)]して、製造した:
表1
【表2】

【0237】
実施例8
4−アミノ−7−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−オキサゾール−4−イル]メチル}チオ)−5−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−メチルピリド[2,3−d]ピリミジン−6−カルボニトリル
【化85】

実施例15Aの化合物50mg(0.10mmol)、トリエチルオルトホルメート113mg(0.69mmol)および酢酸アンモニウム38mg(0.50mmol)を合わせ、マイクロ波中、160℃で10分間反応させた。室温に冷却後、反応を分取HPLC(カラム:YMC GEL ODS-AQ S-5 / 15 μm;移動相グラジエント:アセトニトリル/水10:90→95:5)により精製した。
収量:20mg(理論値の36%)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 8.21 (s, 1H), 8.17 (br. s, 1H), 7.97 (d, 2H), 7.60 (d, 2H), 7.47 (d, 2H), 7.20 (d, 2H), 4.92 (t, 1H), 4.88 (br. s, 1H), 4.60 (s, 2H), 4.10 (t, 2H), 3.75 (q, 2H), (s, 3H 隠されている).
LC-MS (方法 3): Rt = 1.98 分; MS (ESIpos): m/z = 545 [M+H]+.
【0238】
実施例9
4−アミノ−7−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}スルファニル)−5−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−メチルピリド[2,3−d]ピリミジン−6−カルボニトリル
【化86】

実施例5と同様に、実施例2Aから化合物を製造した。
収量:32mg(理論値の14%)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 8.27-8.03 (br s, 2H), 7.97 (s, 1H), 7.93 (d, 2H), 7.58 (d, 2H), 7.48 (d, 2H), 7.12 (d, 2H), 4.63 (s, 2H), 4.39-4.34 (m, 2H), 4.31-4.26 (m, 2H), 2.03 (s, 3H).
LC-MS (方法 5): Rt = 2.42 分; MS (ESIpos): m/z = 562 [M+H]+.
【0239】
実施例10
7−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}チオ)−5−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−6−カルボニトリル
【化87】

実施例8Aの化合物24mg(0.04mmol)を、先ず、ジオキサンと水の2:1混合物2.3mlに加え、水酸化リチウム1.9mg(0.08mmol)を添加した。反応混合物を室温で4時間撹拌した。さらに水酸化リチウム1.9mg(0.08mmol)を添加し、混合物をさらに4時間撹拌した。水2mlを反応に添加した。混合物を全部で3回、各回4mlの酢酸エチルで抽出した。合わせた有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒をロータリーエバポレーターで除去した。残渣を分取HPLC(カラム:YMC GEL ODS-AQ S-5 / 15 μm;移動相グラジエント:アセトニトリル/水10:90→95:5)により精製した。
収量:15mg(理論値の68%)
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ = 11.14 (s, 1H), 7.94 (d, 2H), 7.83 (s, 1H), 7.57 (d, 2H), 7.53 (d, 2H), 7.16 (d, 2H), 4.89 (t, 1H), 4.77 (s, 2H), 4.12-4.08 (m, 2H), 3.78-3.73 (m, 2H), 2.23 (s, 3H).
LC-MS (方法 3): Rt = 2.74 分; MS (ESIpos): m/z = 562 [M+H]+.
【0240】
実施例11
7−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}チオ)−2,4−ジオキソ−5−フェニル−1,2,3,4−テトラヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−6−カルボニトリル
【化88】

実施例9Aの化合物100mg(0.275mmol)を、DMF0.55mlに溶解し、硫化ナトリウム25mg(0.329mmol)を添加し、混合物を室温で終夜撹拌した。次いで、反応溶液をDMF1mlで希釈し、4−(クロロメチル)−2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール74mg(0.302mmol)および重炭酸ナトリウム69mg(0.825mmol)を添加し、混合物を室温で45分間撹拌した。水を反応混合物に添加した。形成された沈殿をTHF/メタノール(5ml/2ml)でトリチュレートし、次いで濾過した。これにより、生成物21mg(理論値の15%)を固体として得た。さらなる精製のために、濾液を分取HPLC(Chromasil、水/アセトニトリル+0.1%TFA)により精製した。これにより、さらに生成物70mg(理論値の50%)を得た。
総収量:91mg(理論値の65%)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 12.23 (s, 1H), 11.39 (s, 1H), 8.08 (s, 1H), 7.93 (d, 2H), 7.58 (d, 2H), 7.46-7.38 (m, 3H), 7.30-7.27 (m, 2H), 4.72 (s, 2H).
LC-MS (方法 3): Rt = 2.80 分; MS (ESIpos): m/z = 504 [M+H]+.
【0241】
実施例12
7−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}スルファニル)−5−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2,4−ジオキソ−1,2,3,4−テトラヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−6−カルボニトリル
【化89】

実施例11Aの化合物100mg(0.229mmol)を、DMF0.46mlに溶解し、硫化ナトリウム21mg(0.274mmol)を添加し、混合物を室温で終夜撹拌した。次いで、4−(クロロメチル)−2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール33mg(0.137mmol)および重炭酸ナトリウム23mg(0.275mmol)を添加し、反応溶液を室温で2時間撹拌した。分取HPLC(Chromasil、水/アセトニトリル+0.1%TFA)によるさらなる精製のために水を反応混合物に添加し、精製した。
収量:39mg(理論値の75%)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 12.20 (s, 1H), 11.36 (s, 1H), 8.06 (s, 1H), 7.94 (d, 2H), 7.58 (d, 2H), 7.21 (d, 2H), 6.98 (d, 2H), 4.89 (t, 1H), 4.72 (s, 2H), 4.05 (t, 2H), 3.73 (q, 2H).
LC-MS (方法 6): Rt = 1.21 分; MS (ESIpos): m/z = 564 [M+H]+.
【0242】
実施例13
メチル4−(4−{[(3−シアノ−4−フェニル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジン−2−イル)スルファニル]メチル}−1,3−チアゾール−2−イル)ベンゾエート
【化90】

メチル4−[4−(クロロメチル)−1,3−チアゾール−2−イル]ベンゾエート(WO2005/011685に記載の通りに製造)315mg(1.18mmol)および重炭酸ナトリウム329mg(3.92mmol)を、実施例18Aからの反応混合物に添加し、混合物を室温で16時間撹拌した。水50mlを添加し、反応を酢酸エチルで抽出した。有機相を水および飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒をロータリーエバポレーターで除去した。残渣を分取HPLC(カラム:YMC GEL ODS-AQ S-5, 15 μm;移動相グラジエント:アセトニトリル/水10:90→95:5)により精製した。
収量:100mg(理論値の21%)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 8.08 (s, 4H), 7.77 (s, 1H), 7.53 (m, 5H), 4.74 (s, 2H), 3.88 (s, 3H), 3.12 (t, 2H), 2.80 (t, 2H), 2.07 (m, 2H).
LC-MS (方法 4): Rt = 4.68 分; MS (ESIpos): m/z = 483 [M+H]+.
【0243】
実施例14
4−(4−{[(3−シアノ−4−フェニル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジン−2−イル)スルファニル]メチル}−1,3−チアゾール−2−イル)安息香酸
【化91】

実施例13の化合物80mg(0.17mmol)を、ジオキサン1.7mlに溶解し、1N水酸化ナトリウム水溶液0.33mlを添加した。反応混合物を50℃で3時間撹拌した。次いで、1N塩酸0.36mlを混合物に添加し、得られた沈殿を濾過し、水で洗浄し、乾燥させた。
収量:58mg(理論値の72%)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 13.19 (s, 1H), 8.06 (s, 4H), 7.77 (s, 1H), 7.53 (m, 5H), 4.73 (s, 2H), 3.13 (t, 2H), 2.80 (t, 2H), 2.07 (m, 2H).
LC-MS (方法 4): Rt = 4.16 分; MS (ESIpos): m/z = 469 [M+H]+.
【0244】
実施例15
2−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}スルファニル)−5−オキソ−4−(1H−ピラゾール−3−イル)−5,6−ジヒドロ−1,6−ナフチリジン−3−カルボニトリル
【化92】

40℃で、DMSO1ml中の実施例20A28mg(0.06mmol)および2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン14mg(0.06mmol)を終夜撹拌した。反応混合物を分取HPLC(Chromasil、水/アセトニトリル+0.1%TFA)により精製した。
収量:10mg(理論値の36%)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 13.08 (br s, 1H), 11.58 (br s, 1H), 7.95 (d, 2H), 7.82-7.70 (m, 2H), 7.63 (t, 1H), 7.58 (d, 2H), 6.71 (d, 1H), 6.39 (br s, 1H), 4.79 (d, 2H).
LC-MS (方法 3): Rt = 2.44 分; MS (ESIpos): m/z = 477 [M+H]+.
【0245】
実施例16
2−{[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メトキシ}−4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−5−オキソ−5,6−ジヒドロ−1,6−ナフチリジン−3−カルボニトリル
【化93】

カリウムtert−ブトキシド64mg(0.57mmol)を、DMF3.5mlに懸濁し、[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メタノール[Simiti, I. et al. Arch. Pharm. 1972, 305, 509-515]96mg(0.42mmol)、および、次いで実施例21Aの化合物100mg(0.28mmol)を添加し、混合物を60℃で16時間撹拌した。さらにカリウムtert−ブトキシド64mg(0.57mmol)を添加し、反応を80℃で終夜もう一度撹拌した。水を添加し、反応溶液を酢酸エチルで3回抽出した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、ロータリーエバポレーターで濃縮し、粗生成物を分取HPLC(Chromasil、水/アセトニトリル)により精製した。
収量:7mg(理論値の5%)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 11.47 (br s, 1H), 7.98 (d, 2H), 7.91 (s, 1H), 7.63-7.55 (m, 3H), 7.23 (d, 2H), 6.98 (d, 2H), 6.56 (d, 1H), 5.72 (s, 2H), 4.90 (t, 1H), 4.06 (t, 2H), 3.76 (q, 2H).
LC-MS (方法 3): Rt = 2.52 分; MS (ESIpos): m/z = 531 [M+H]+.
【0246】
実施例17
7−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}スルファニル)−5−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2,2−ジメチル−4−オキソ−1,2,3,4−テトラヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−6−カルボニトリル
【化94】

実施例22Aの化合物50mg(0.093mmol)を、先ず、アセトン2mlに加え、スパチュラ先端量の4−トルエンスルホン酸一水和物を添加し、混合物を還流で1時間撹拌した。冷却後、反応溶液を濃縮し、残渣を分取HPLC(Chromasil、水/アセトニトリル+0.1%TFA)により直接精製した。
収量:30mg(理論値の56%)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 8.80 (s, 1H), 8.12 (s, 1H), 7.96 (d, 2H), 7.82 (s, 1H), 7.58 (d, 2H), 7.18 (d, 2H), 6.92 (d, 2H), 4.89 (t, 1H), 4.67 (s, 2H), 4.03 (t, 2H), 3.73 (q, 2H), 1.50 (s, 6H).
LC-MS (方法 6): Rt = 1.29 分; MS (ESIpos): m/z = 578 [M+H]+.
【0247】
実施例18
7−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}スルファニル)−5−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−メチル−4−オキソ−1,2,3,4−テトラヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−6−カルボニトリル
【化95】

アルゴン下、実施例22Aの化合物138mg(0.256mmol)を、先ず、アセトアルデヒド3mlに加え、スパチュラ先端量の4−トルエンスルホン酸一水和物を添加し、混合物を室温で1時間撹拌した。次いで、メタノール2.5mlを反応溶液に添加し、2時間後、混合物を濃縮し、残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、トルエン/アセトニトリル2:1→1:1)により精製した。
収量:14mg(理論値の10%)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 8.74 (s, 1H), 8.05 (s, 1H), 7.97 (d, 2H), 7.82 (s, 1H), 7.58 (d, 2H), 7.20 (d, 2H), 6.92 (d, 2H), 5.02 (q, 1H), 4.89 (t, 1H), 4.68 (s, 2H), 4.03 (t, 2H), 3.73 (q, 2H), 1.41 (d, 3H).
LC-MS (方法 3): Rt = 2.41 分; MS (ESIpos): m/z = 564 [M+H]+.
【0248】
実施例19
7−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−オキサゾール−4−イル]メチル}スルファニル)−5−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−6−カルボニトリル
【化96】

酢酸2−{4−[7−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−オキサゾール−4−イル]メチル}スルファニル)−6−シアノ−2−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−5−イル]フェノキシ}エチル95mg(0.162mmol)を、先ず、10mlのジオキサン/水混合物2:1に加え、水酸化リチウム7.7mg(0.323mmol)を添加し、混合物を室温で5時間撹拌した。次いで、反応混合物を水で希釈し、1N塩酸で酸性化し、酢酸エチルで抽出した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、乾燥剤を濾過し、濾液を濃縮した。残渣を分取HPLC(移動相グラジエント:アセトニトリル/水10:90→95:5、0.1%TFAを添加したもの)により精製した。これにより、標的化合物88mg(理論値の99%)を得た。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): d = 11.15 (s, 1H), 8.30 (s, 1H), 7.97 (d, 2H), 7.61 (d, 2H), 7.54 (d, 2H), 7.16 (d, 2H), 4.57 (s, 2H), 4.09 (t, 2H), 3.75 (t, 2H), 2.25 (s, 3H).
LC-MS (方法 6): Rt = 1.27 分; MS (ESIpos): m/z = 546 [M+H]+.
【0249】
実施例20
7−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}スルファニル)−5−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−(2−メトキシエチル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−6−カルボニトリル
【化97】

3−メトキシプロパン酸無水物731mg(3.846mmol)を、2−アミノ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}スルファニル)−4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]ピリジン−3,5−ジカルボニトリル100mg(0.192mmol)に添加し、混合物を140℃で1時間撹拌した。次いで、反応混合物を分取HPLC(移動相グラジエント:アセトニトリル/水10:90−95:5、0.1%TFAを添加したもの)により精製した。これにより、標的化合物51mg(理論値の44%)を得た。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): d = 8.41-8.02 (m, 1H), 7.95 (d, 2H), 7.92 (s, 1H), 7.57 (d, 2H), 7.48 (d, 2H), 7.12 (d, 2H), 4.64 (s, 2H), 4.40-4.38 (m, 2H), 4.29-4-27 (m, 2H), 3.55 (t, 2H), 3.20 (s, 3H), 2.57 (t, 2H).
LC-MS (方法 6): Rt = 1.48 分; MS (ESIpos): m/z = 606 [M+H]+.
【0250】
実施例21
7−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}スルファニル)−2−エチル−5−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−4−オキソ−3,4−ジヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−6−カルボニトリル
【化98】

2−{4−[7−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}スルファニル)−6−シアノ−2−エチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−5−イル]フェノキシ}エチルプロパノエート40mg(0.063mmol)を、先ず、4mlのジオキサン/水混合物2:1に加え、水酸化リチウム3mg(0.127mmol)を添加し、混合物を室温で撹拌した。3時間後、反応混合物を分取HPLC(移動相グラジエント:アセトニトリル/水10:90→95:5、0.1%TFAを添加したもの)により精製した。これにより、標的化合物27mg(理論値の70%)を得た。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): d = 11.13 (s, 1H), 7.95 (d, 2H), 7.85 (s, 1H), 7.57 (d, 2H), 7.54 (d, 2H), 7.16 (d, 2H), 4.77 (s, 2H), 4.09 (t, 2H), 3.75 (t, 2H), 2.55-2.52 (m, 2H), 1.12 (t, 3H).
LC-MS (方法 6): Rt = 1.39 分; MS (ESIpos): m/z = 576 [M+H]+.
【0251】
B. 薬理および生理活性の評価
本発明による化合物の薬理および生理活性は、以下のアッセイで立証できる:
B−1. 遺伝子発現によるアデノシンアゴニズムの間接的測定
CHO(チャイニーズハムスター卵巣(Chinese Hamster Ovary))永久株の細胞を、アデノシン受容体サブタイプA1、A2aおよびA2bのcDNAで安定に形質移入する。アデノシンA1受容体は、Gタンパク質によりアデニル酸シクラーゼと共役し、一方、アデノシンA2aおよびA2b受容体は、Gタンパク質により共役する。これに対応して、細胞におけるcAMPの形成は、各々、阻害または刺激される。その後、ルシフェラーゼの発現は、cAMP依存性プロモーターにより調節される。高い感度および再現性、低い変動性およびロボットシステムでの実施に対する良好な適合性を目的として、細胞密度、増殖期および試験のインキュベーションの期間、フォルスコリン濃度および培地組成などのいくつかの試験パラメーターを変更することにより、ルシフェラーゼ試験を最適化する。以下の試験プロトコールを、細胞を薬理的に特徴解析するために、そして、ロボットに補助される物質のスクリーニングのために使用する:
【0252】
保存培養物を、37℃で、5%CO下で、10%FCS(ウシ胎児血清)を含有するDMEM/F12培地中、各場合で2、3日後に1:10に分けて増殖させる。試験培養物を細胞2000個/ウェルで384ウェルのプレートに播き、37℃で約48時間増殖させる。次いで、培地を、生理的塩化ナトリウム溶液(130mM塩化ナトリウム、5mM塩化カリウム、2mM塩化カルシウム、20mM HEPES、1mM塩化マグネシウム六水和物、5mM重炭酸ナトリウム、pH7.4)で置き換える。DMSOに溶解した被験物質を、5x10−11Mないし3x10−6M(最終濃度)の連続希釈で、試験培養物にピペットで加える(試験混合物中のDMSOの最大最終濃度:0.5%)。10分後、フォルスコリンをA1の細胞に添加し、その後、全ての培養物を37℃で4時間インキュベートする。その後、溶解剤(30mMリン酸水素二ナトリウム、10%グリセロール、3%TritonX100、25mM TrisHCl、2mMジチオスレイトール(DTT)、pH7.8)50%およびルシフェラーゼ基質溶液(2.5mM ATP、0.5mMルシフェリン、0.1mM補酵素A、10mMトリシン、1.35mM硫酸マグネシウム、15mM DTT、pH7.8)50%からなる溶液35μlを試験培養物に添加し、それを約1分間振盪し、カメラシステムを使用してルシフェラーゼ活性を測定する。EC50値、即ち、各々、A1細胞の場合、ルシフェラーゼ応答の50%が阻害され、A2bおよびA2a細胞の場合、対応する物質による最大刺激の50%が達成される濃度を決定する。全てのアデノシン受容体サブタイプに高い親和性で結合し、アゴニスト的効果を有するアデノシン類似化合物NECA(5−N−エチルカルボキシアミドアデノシン)を、これらの実験において参照化合物として使用する[Klotz, K.N., Hessling, J., Hegler, J., Owman, C., Kull, B., Fredholm, B.B., Lohse, M.J., "Comparative pharmacology of human adenosine receptor subtypes - characterization of stably transfected receptors in CHO cells", Naunyn Schmiedebergs Arch. Pharmacol., 357 (1998), 1-9)。
【0253】
下表1は、アデノシンA1、A2aおよびA2b受容体サブタイプの受容体刺激について、代表的実施例のEC50値を列挙する:
表1
【表3】

【0254】
B−2. 単離した血管での研究
麻酔したラットの尾動脈を切り取り、単離された血管を測定するための常套の器具に載せる。加熱浴中で血管を灌流し、フェニレフリンを使用して収縮させる。収縮の程度を、収縮測定装置を使用して測定する。予め収縮させた血管に試験物質を添加し、血管の収縮の減少を測定する。収縮の減少は、血管の拡張に対応する。血管の収縮が50%まで減少する濃度を、その弛緩特性に関する試験物質のEC50値として示す。
【0255】
B−3. 覚醒しているラットの血圧および心拍数の測定
様々な投与量の試験物質を、血圧および心拍数の両方を持続的に測定できる内部の伝達装置(血行動態パラメーターの遠隔測定モニタリング)を保有する、覚醒しているSHRラット(自然発症高血圧ラット)に経口投与する。次いで、血圧、心拍数およびそれらの変化を24時間にわたり記録する。
【0256】
B−4. 覚醒しているマーモセットの血圧および心拍数の測定
様々な濃度の試験物質を、血圧および心拍数の両方を永続的に測定できる内部の伝達装置(血行動態パラメーターの遠隔測定モニタリング)を保有する、覚醒しているマーモセットに経口投与する。次いで、血圧、心拍数およびそれらの変化を6−24時間にわたり記録する。
【0257】
B−5. 遺伝子発現によるアデノシン拮抗作用の間接的測定
永久株CHO K1(チャイニーズハムスター卵巣)の細胞を、レポーターコンストラクト(CREルシフェラーゼ)およびアデノシン受容体サブタイプA2aまたはA2bのcDNAで安定に形質移入する。A2aまたはA2b受容体は、Gαsタンパク質を介してアデニル酸シクラーゼと共役する。受容体活性化を介して、アデニル酸シクラーゼが活性化され、かくして細胞内のcAMPレベルが上昇する。レポーターコンストラクト(cAMP依存的プロモーター)を介して、cAMPレベルの変化はルシフェラーゼ発現と連動する。
【0258】
アデノシン受容体サブタイプA1に対するアデノシン拮抗作用の測定のために、もう一度CHO K1細胞に安定に形質移入するが、今回は、Ca2+−感受性レポーターコンストラクト(NFAT−TA−Luc;Clontech)およびA1−Gα16融合コンストラクトで形質移入する。この受容体キメラは、天然のA1受容体(Gαi共役)と対照的に、ホスホリパーゼCと共役する。ここで、ルシフェラーゼは、細胞質Ca2+濃度に応じて発現される。
【0259】
この永久細胞株を、DMEM/F12(Cat.No. BE04-687Q; BioWhittaker)中、10%FCS(ウシ胎児血清)および様々な添加物(20ml/l 1M HEPES(Cat.No. 15630; Gibco)、20ml/l GlutaMAX (Cat.No. 35050-038, Gibco)、14ml/l MEMピルビン酸ナトリウム(Cat.No. 11360-039; Gibco)10ml/l PenStrep (Cat.No. 15070-063; Gibco))と共に、37℃で、5%二酸化炭素下でインキュベートし、週に2回植え継ぐ。
【0260】
384ウェルプレート形式で試験するために、細胞2000個/ウェルで、25/ウェルの播種培地中に細胞を播き、37℃で、5%二酸化炭素下で、物質を試験するまで培養する。A2aおよびA2b細胞を物質の試験の24時間前に、添加物と5%FCSを含む培地に播き、A2a細胞に使用するベースの培地はDMEM/F12であり、A2b細胞に使用するベースの培地は、OptiMEM (Cat.No. 31985-047; Gibco)である。A1−Gα16細胞を、物質の試験の48時間前に、2.5%透析FCSおよび添加物を含む OptiMEM 中に播く。試験当日に、物質の添加に先立ち、培地を2mM塩化カルシウムおよび0.1%BSA(ウシ血清アルブミン)を含む Cafty バッファー(Cat. No. T21-154; PAA)25μlで置き換える。2mM塩化カルシウムおよび0.1%BSA(ウシ血清アルブミン)を含む Cafty バッファー中の希釈系列および適するアゴニスト濃度を、DMSOに溶解した試験物質から調製する。物質を最終濃度5x10−5Mないし2.56x10−11Mで試験培養物にピペットで加え、細胞上のDMSO含有量が0.5%を超えないようにする。EC50濃度にほぼ相当する最終濃度30nMのNECA(5−N−エチル−カルボキサミド−アデノシン)を、A2aおよびA2b細胞のアゴニストとして使用する。EC75濃度にほぼ相当する25nM CPA(N6−シクロペンチルアデノシン)を、A1−Gα16細胞のアゴニストとして使用する。物質の添加後、細胞のプレートを3−4時間37℃で5%二酸化炭素下でインキュベートする。次いで、50%溶解剤(30nMリン酸水素二ナトリウム、10%グリセロール、3% Triton X−100、25mM TrisHCl、2mMジチオスレイトール(DTT)、pH7.8)および50%のルシフェラーゼ基質溶液(2.5mM ATP、0.5mMルシフェリン、0.1mM補酵素A、10mMトリシン、1.35mM硫酸マグネシウム、15mM DTT、pH7.8)からなる溶液25μlを測定前に直接細胞に添加する。ルシフェラーゼ活性を発光リーダーで検出する。IC50値、即ち、各アゴニストによりもたらされるルシフェラーゼ応答が50%まで阻害される濃度を決定する。A2aおよびA2b細胞にはZM241385を、そして、A1−Gα16細胞にはDPCPX(1,3−ジプロピル−8−シクロペンチルキサンチン)を、参照アンタゴニストとして使用する。
【0261】
C. 医薬組成物の実施例
本発明の化合物は、以下の方法で医薬製剤に変換できる:
錠剤:
組成:
本発明の化合物100mg、ラクトース(一水和物)50mg、トウモロコシデンプン(天然)50mg、ポリビニルピロリドン(PVP25)10mg(BASF より、Ludwigshafen, Germany)およびステアリン酸マグネシウム2mg。
錠剤重量212mg、直径8mm、曲率半径12mm。
製造:
本発明の化合物、ラクトースおよびスターチの混合物を、5%強度PVP水溶液(m/m)で造粒する。顆粒を乾燥させ、ステアリン酸マグネシウムと5分間混合する。この混合物を常套の打錠機で打錠する(錠剤の形状について、上記参照)。打錠のためのガイドラインの打錠力は、15kNである。
【0262】
経口投与できる懸濁剤:
組成:
本発明の化合物1000mg、エタノール(96%)1000mg、Rhodigel(登録商標) (FMCのキサンタンガム、Pennsylvania, USA) 400mgおよび水99g。
経口懸濁剤10mlは、本発明の化合物100mgの単回用量に相当する。
製造:
Rhodigel をエタノールに懸濁し、本発明の化合物を懸濁液に添加する。撹拌しながら水を添加する。Rhodigel の膨潤が完了するまで、混合物を約6時間撹拌する。
【0263】
経口投与できる液剤:
組成:
本発明の化合物500mg、ポリソルベート2.5gおよびポリエチレングリコール400 97g。経口液剤20gは、本発明の化合物100mgの単回用量に相当する。
製造:
本発明の化合物を、ポリエチレングリコールおよびポリソルベートの混合物に撹拌しながら懸濁する。本発明の化合物が完全に溶解するまで、混合工程を継続する。
【0264】
i.v.液剤:
本発明の化合物を、生理的に耐容される溶媒(例えば、等張塩水、5%グルコース溶液および/または30%PEG400溶液)に飽和溶解度より低い濃度で溶解する。溶液を濾過滅菌し、無菌のパイロジェンを含まない注射容器に満たすのに使用する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

[式中、
環Qは、式
【化2】

の基を表し
{ここで、
*は、各場合でC2原子への結合点を表し、
#は、各場合でC3原子への結合点を表し、
は、水素または(C−C)−アルキルを表し、
は、水素または(C−C)−アルキルを表し、
は、水素、(C−C)−アルキルまたはアミノを表し、
は、各場合で、水素、(C−C)−アルキルまたはアリルを表し
(ここで、(C−C)−アルキルは、ヒドロキシカルボニル、(C−C)−アルコキシカルボニルおよびアミノからなる群から選択される置換基により置換されていてもよい)、
は、各場合で、水素、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチル、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノまたはジ−(C−C)−アルキルアミノを表し
(ここで、(C−C)−アルキルは、ヒドロキシル、メトキシおよびアミノからなる群から相互に独立して選択される1個または2個の置換基により置換されていてもよい)、
そして、
i)R8Aは、各場合で、水素、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシまたはモノ−(C−C)−アルキルアミノを表し
(ここで、(C−C)−アルコキシおよびモノ−(C−C)−アルキルアミノは、ヒドロキシル置換基により置換されていてもよい)、
かつ、R8Bは水素を表す、
または、
ii)R8Aは、R8Bと一体となって、オキソ、N−(C−C)−アルキルイミノ、N−(C−C)−アルコキシイミノまたは(C−C)−アルコキシカルボニルメチリデン基を形成する、
そして、
9AおよびR9Bは、相互に独立して、各場合で水素または(C−C)−アルキルを表すか、または、それらが結合している炭素原子と一体となって、スピロ結合した3員ないし5員のシクロアルキル環を形成し、
そして、
10は、水素、(C−C)−アルキルまたはフェニルを表す
(ここで、(C−C)−アルキルは、ヒドロキシルおよびアミノからなる群から相互に独立して選択される1個または2個の置換基により置換されていてもよい)}、
Xは、SまたはOを表し、
は、(C−C10)−アリールまたは5員ないし10員のヘテロアリールを表し
{ここで、(C−C10)−アリールおよび5員ないし10員のヘテロアリールは、ハロゲン、ニトロ、シアノ、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノ、ジ−(C−C)−アルキルアミノ、ヒドロキシカルボニル、(C−C)−アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、モノ−(C−C)−アルキルアミノカルボニル、ジ−(C−C)−アルキルアミノカルボニル、ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ、ピペラジノおよびN'−(C−C)−アルキルピペラジノ、フェニルおよび5員または6員のヘテロアリールからなる群から相互に独立して選択される1個または2個の置換基により置換されていてもよい
(ここで、フェニルおよび5員または6員のヘテロアリールは、ハロゲン、ニトロ、シアノ、(C−C)−アルキル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノ、ジ−(C−C)−アルキルアミノ、ヒドロキシカルボニルおよび(C−C)−アルコキシカルボニルからなる群から相互に独立して選択される1個ないし3個の置換基により置換されていてもよい)}、
は、(C−C)−シクロアルキル、5員または6員の複素環、フェニルまたは5員または6員のヘテロアリールを表す
〔ここで、(C−C)−シクロアルキルは、(C−C)−アルキル、ヒドロキシル、オキソ、(C−C)−アルコキシ、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノおよびジ−(C−C)−アルキルアミノからなる群から相互に独立して選択される1個または2個の置換基により置換されていてもよく
{ここで、(C−C)−アルキルおよび(C−C)−アルコキシは、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシおよび(C−C)−シクロアルキルからなる群から相互に独立して選択される1個または2個の置換基により置換されていてもよい
(ここで、(C−C)−シクロアルキルは、(C−C)−アルキル、ヒドロキシル、オキソおよび(C−C)−アルコキシからなる群から相互に独立して選択される1個または2個の置換基により置換されていてもよい)}、
そして、5員または6員の複素環は、オキソ、チオキソ、ヒドロキシル、(C−C)−アルキル、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−アルキルカルボニル、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノ、ジ−(C−C)−アルキルアミノおよび(C−C)−シクロアルキルからなる群から相互に独立して選択される1個ないし3個の置換基により置換されていてもよい
{ここで、(C−C)−アルキルは、フッ素、オキソ、ヒドロキシル、トリフルオロメチル、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−アルキルカルボニルオキシ、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノ、ジ−(C−C)−アルキルアミノおよび(C−C)−シクロアルキルからなる群から相互に独立して選択される1個ないし3個の置換基により置換されていてもよく
(ここで、(C−C)−シクロアルキルは、(C−C)−アルキル、ヒドロキシル、オキソおよび(C−C)−アルコキシからなる群から相互に独立して選択される1個または2個の置換基により置換されていてもよい)、
そして、(C−C)−アルキルカルボニルは、ヒドロキシルおよび(C−C)−アルコキシからなる群から選択される置換基により置換されていてもよく、
そして、(C−C)−シクロアルキルは、(C−C)−アルキル、ヒドロキシル、オキソおよび(C−C)−アルコキシからなる群から相互に独立して選択される1個または2個の置換基により置換されていてもよい}
そして、
フェニルおよび5員または6員のヘテロアリールは、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシル、(C−C)−アルキル、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−シクロアルコキシおよび−NRからなる群から相互に独立して選択される1個ないし3個の置換基により置換されていてもよい
{ここで、(C−C)−アルキルは、フッ素からなる群から選択される1個ないし3個の置換基により置換されていてもよく、
そして、(C−C)−アルコキシは、フッ素、トリフルオロメチル、(C−C)−シクロアルキル、オキソ、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、ヒドロキシカルボニル、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノおよびジ−(C−C)−アルキルアミノからなる群から相互に独立して選択される1個ないし3個の置換基により置換されていてもよく、
そして、(C−C)−シクロアルコキシは、(C−C)−アルキル、ヒドロキシル、オキソおよび(C−C)−アルコキシからなる群から相互に独立して選択される1個または2個の置換基により置換されていてもよく、
そして、Rは、水素または(C−C)−アルキルを表し
(ここで、(C−C)−アルキルは、ヒドロキシルおよび(C−C)−アルコキシからなる群から選択される置換基により置換されていてもよい)、
は、水素、(C−C)−アルキル、(C−C)−シクロアルキル、(C−C)−アルキルスルホニルまたは(C−C)−シクロアルキルスルホニルを表し
(ここで、(C−C)−アルキルは、(C−C)−シクロアルキル、オキソ、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、ヒドロキシカルボニル、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノおよびジ−(C−C)−アルキルアミノからなる群から相互に独立して選択される1個または2個の置換基により置換されていてもよく、
そして、(C−C)−シクロアルキルは、(C−C)−アルキル、ヒドロキシル、オキソおよび(C−C)−アルコキシからなる群から相互に独立して選択される1個または2個の置換基により置換されていてもよい)、
または、フェニル上の2個の隣接する置換基は、それらが結合している炭素原子と一体となって、1,3−ジオキソランまたは2,2−ジフルオロ−1,3−ジオキソランを形成していてもよい}〕]、
の化合物、または、そのN−オキシド、塩、溶媒和物、N−オキシドの塩またはN−オキシドもしくは塩の溶媒和物、
但し、化合物5,6,7,8−テトラヒドロ−2−[[(2−メチルフェニル)メチル]チオ]−4−(2−チエニル)−3−キノリンカルボニトリル、5,6,7,8−テトラヒドロ−2−[(2−フェニルメチル)チオ]−4−(2−チエニル)−3−キノリンカルボニトリル、5,6,7,8−テトラヒドロ−2−[[(2−メチルフェニル)メチル]チオ]−4−(4−ピリジル)−3−キノリンカルボニトリル、5,6,7,8−テトラヒドロ−2−[(フェニルメチル)チオ]−4−フェニル−3−キノリンカルボニトリル、5,6,7,8−テトラヒドロ−2−[(フェニルメチル)チオ]−4−(4−クロロフェニル)−3−キノリンカルボニトリル、6,7−ジヒドロ−4−(4−ヒドロキシフェニル)−2−[(フェニルメチル)チオ]−5H−シクロペンタ[b]ピリジン−3−カルボニトリルを除く。
【請求項2】
式中、
環Qが、式
【化3】

の基を表し
{ここで、
*は、各場合でC2原子への結合点を表し、
#は、各場合でC3原子への結合点を表し、
は、水素またはメチルを表し、
は、水素またはメチルを表し、
は、水素またはメチルを表し、
は、各場合で水素またはメチルを表し、
は、各場合で水素またはメチルを表し、
そして、
i)R8Aは、各場合で、水素またはヒドロキシルを表し、
かつ、R8Bは水素を表す、
または、
ii)R8Aは、R8Bと一体となって、オキソ基を形成する、
そして、
9AおよびR9Bは、相互に独立して、各場合で水素またはメチルを表す}、
Xが、SまたはOを表し、
が、フェニルまたは5員または6員のヘテロアリールを表し
{ここで、フェニルおよび5員または6員のヘテロアリールは、フッ素、塩素、シアノ、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、アミノ、ヒドロキシカルボニル、(C−C)−アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、フェニルおよび5員または6員のヘテロアリールからなる群から相互に独立して選択される1個または2個の置換基により置換されている
(ここで、フェニルおよび5員または6員のヘテロアリールは、フッ素、塩素、ニトロ、シアノ、(C−C)−アルキル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、アミノ、ヒドロキシカルボニルおよび(C−C)−アルコキシカルボニルからなる群から相互に独立して選択される1個ないし3個の置換基により置換されていてもよい)}、
が、シクロヘキシル、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、フェニル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリルまたはピリジルを表す
〔ここで、シクロヘキシルは、ヒドロキシルおよび(C−C)−アルコキシからなる群から選択される置換基により置換されていてもよく
{ここで、(C−C)−アルコキシは、ヒドロキシルおよびメトキシからなる群から相互に独立して選択される1個または2個の置換基により置換されていてもよい}、
そして、ピペリジニル、ピペラジニルおよびモルホリニルは、(C−C)−アルキル、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシおよび(C−C)−アルキルカルボニルからなる群から選択される置換基により置換されていてもよく
{ここで、(C−C)−アルキルは、ヒドロキシル、メトキシ、エトキシ、メチルカルボニルオキシおよびエチルカルボニルオキシからなる群から相互に独立して選択される1個または2個の置換基により置換されていてもよく、
そして、(C−C)−アルキルカルボニルは、ヒドロキシル、メトキシおよびエトキシからなる群から選択される置換基により置換されていてもよい}、
そして、フェニルおよびピリジルは、フッ素、塩素、シアノ、ヒドロキシル、(C−C)−アルキルおよび(C−C)−アルコキシからなる群から相互に独立して選択される1個ないし3個の置換基により置換されていてもよく
{ここで、(C−C)−アルコキシは、オキソ、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、ヒドロキシカルボニルおよびアミノからなる群から相互に独立して選択される1個または2個の置換基により置換されていてもよい}、
そして、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリルおよびチアゾリルは、フッ素、塩素、シアノ、ヒドロキシル、(C−C)−アルキルおよび(C−C)−アルコキシからなる群から相互に独立して選択される1個または2個の置換基により置換されていてもよい
{ここで、(C−C)−アルコキシは、オキソ、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、ヒドロキシカルボニルおよびアミノからなる群から相互に独立して選択される1個または2個の置換基により置換されていてもよい}〕、
請求項1に記載の式(I)の化合物またはその塩、溶媒和物もしくは塩の溶媒和物、
但し、化合物5,6,7,8−テトラヒドロ−2−[[(2−メチルフェニル)メチル]チオ]−4−(4−ピリジル)−3−キノリンカルボニトリルは除く。
【請求項3】
式中、
環Qが、式
【化4】

の基を表し
{ここで、
*は、各場合でC2原子への結合点を表し、
#は、各場合でC3原子への結合点を表し、
は、水素を表し、
は、水素を表し、
は、水素またはメチルを表し、
は、各場合で水素またはメチルを表し、
そして、Rは、水素またはメチルを表す}、
Xが、SまたはOを表し、
が、フェニルまたは5員または6員のヘテロアリールを表し
{ここで、フェニルおよび5員または6員のヘテロアリールは、フッ素、塩素、シアノ、メチル、エチル、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、メトキシ、エトキシ、アミノ、ヒドロキシカルボニル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、アミノカルボニル、フェニルおよび5員または6員のヘテロアリールからなる群から相互に独立して選択される1個または2個の置換基により置換されている
(ここで、フェニルおよび5員または6員のヘテロアリールは、フッ素、塩素、メチル、エチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、メトキシ、エトキシ、アミノ、ヒドロキシカルボニル、メトキシカルボニルおよびエトキシカルボニルからなる群から相互に独立して選択される1個ないし3個の置換基により置換されていてもよい)}、
が、フェニル、ピラゾリルまたはピリジルを表す
{ここで、フェニルおよびピリジルは、フッ素、塩素、シアノ、ヒドロキシル、(C−C)−アルキルおよび(C−C)−アルコキシからなる群から相互に独立して選択される1個または2個の置換基により置換されていてもよく
(ここで、(C−C)−アルコキシは、オキソ、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、ヒドロキシカルボニルおよびアミノからなる群から相互に独立して選択される1個または2個の置換基により置換されていてもよい)、
そして、ピラゾリルは、フッ素、塩素、シアノ、ヒドロキシル、(C−C)−アルキルおよび(C−C)−アルコキシからなる群から選択される置換基により置換されていてもよい
(ここで、(C−C)−アルコキシは、オキソ、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、ヒドロキシカルボニルおよびアミノからなる群から相互に独立して選択される1個または2個の置換基により置換されていてもよい)}、
請求項1または請求項2に記載の式(I)の化合物、または、その塩、溶媒和物もしくは塩の溶媒和物。
【請求項4】
式中、
環Qが、式
【化5】

の基を表し
{ここで、
*は、各場合でC2原子への結合点を表し、
#は、各場合でC3原子への結合点を表し、
は、水素を表し、
は、水素を表し、
は、メチルを表し、
は、水素を表し、
そして、Rは、水素またはメチルを表す}、
Xが、SまたはOを表し、
が、チアゾリルまたはオキサゾリルを表し
{ここで、チアゾリルおよびオキサゾリルは、フェニル置換基により置換されており
(ここで、フェニルは、フッ素、塩素、シアノ、メチル、メトキシ、ヒドロキシカルボニルおよびメトキシカルボニルからなる群から選択される置換基により置換されていてもよい)、
そして、チアゾリルおよびオキサゾリルは、フッ素、塩素、シアノ、メチル、エチル、メトキシ、アミノ、ヒドロキシカルボニルおよびメトキシカルボニルからなる群から選択される置換基により置換されていてもよい}、
が、式
【化6】

の基を表す
{ここで、##は、二環への結合点を表し、
は、水素または(C−C)−アルコキシを表す
(ここで、(C−C)−アルコキシは、1個または2個のヒドロキシル置換基により置換されていてもよい)}、
請求項1、請求項2または請求項3に記載の式(I)の化合物、または、その塩、溶媒和物もしくは塩の溶媒和物。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の式(I)の化合物の製造方法であって、
[A]式(II)
【化7】

(式中、X、RおよびRは、各々、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の意味を有する)
の化合物を、不活性溶媒中、または、溶媒の非存在下で、式(III)
【化8】

(式中、Rは、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の意味を有し、そして、
は、ヒドロキシルまたは−OC(O)Rを表し、
ここで、Rは、上記の意味を有する)
の化合物と反応させ、式(I−A)
【化9】

(式中、X、R、RおよびRは、各々上記の意味を有する)
の化合物を得るか、
または、
[B]式(II)の化合物を、不活性溶媒中、または、溶媒の非存在下で、酢酸アンモニウムなどの適するアンモニア供給源の存在下で、式(IV)
【化10】

(式中、Rは、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の意味を有し、そして、
11は、(C−C)−アルキルを表す)
の化合物と反応させ、式(I−B)
【化11】

(式中、X、R、RおよびRは、各々、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の意味を有する)
の化合物を得るか、
または、
[C]式(V)
【化12】

〔式中、Rは、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の意味を有し、そして、
環Qは、式
【化13】

の基を表す
{ここで、
*は、各場合でC2原子への結合点を表し、
#は、各場合でC3原子への結合点を表し、
は、水素、(C−C)−アルキルまたはアリルを表し
(ここで、(C−C)−アルキルは、ヒドロキシカルボニル、(C−C)−アルコキシカルボニルおよびアミノからなる群から選択される置換基により置換されていてもよい)、
は、各場合で、水素または(C−C)−アルキルを表し、
そして、i)R8AおよびR8Bは、水素を表すか、
または、ii)R8Aは、R8Bと一体となってオキソ基を形成する}〕
の化合物を、不活性溶媒中で、まず、硫化ナトリウムなどのアルカリ金属硫化物と反応させ、式(VI)
【化14】

〔式中、Rは、上記の意味を有し、
Akは、アルカリ金属塩、好ましくはナトリウム塩を表し、そして、
環Qは、式
【化15】

の基を表す
{ここで、
*は、各場合でC2原子への結合点を表し、
#は、各場合でC3原子への結合点を表し、
は、各場合で、水素、(C−C)−アルキルまたはアリルを表し
(ここで、(C−C)−アルキルは、ヒドロキシカルボニル、(C−C)−アルコキシカルボニルおよびアミノからなる群から選択される置換基により置換されていてもよい)、
は、水素または(C−C)−アルキルを表し、
そして、i)R8AおよびR8Bは、水素を表すか、
または、ii)R8Aは、R8Bと一体となってオキソ基を形成する}〕
の化合物を得、次いで、これを、適する塩基の存在下で、式(VII)
【化16】

(式中、Rは、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の意味を有し、そして、
は、適する脱離基、好ましくはハロゲン、特に塩素、臭素またはヨウ素を表すか、または、メシレート、トシレートまたはトリフレートを表す)
の化合物と反応させ、式(I−C)
【化17】

〔式中、RおよびRは、各々上記の意味を有し、
環Qは、式
【化18】

の基を表す
{ここで、
*は、各場合でC2原子への結合点を表し、
#は、各場合でC3原子への結合点を表し、
は、水素、(C−C)−アルキルまたはアリルを表し
(ここで、(C−C)−アルキルは、ヒドロキシカルボニル、(C−C)−アルコキシカルボニルおよびアミノからなる群から選択される置換基により置換されていてもよい)、
は、水素または(C−C)−アルキルを表し、
そして、i)R8AおよびR8Bは、水素を表すか、
または、ii)R8Aは、R8Bと一体となってオキソ基を形成する}〕
の化合物を得るか、
または、
[D]式(V)の化合物を、不活性溶媒中、塩基の存在下で、式(VIII)
【化19】

(式中、Rは、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の意味を有する)
の化合物と反応させ、式(I−D)
【化20】

〔式中、RおよびRは、各々、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の意味を有し、そして、
環Qは、式
【化21】

の基を表す
{ここで、
*は、各場合でC2原子への結合点を表し、
#は、各場合でC3原子への結合点を表し、
は、水素、(C−C)−アルキルまたはアリルを表し
(ここで、(C−C)−アルキルは、ヒドロキシカルボニル、(C−C)−アルコキシカルボニルおよびアミノからなる群から選択される置換基により置換されていてもよい)、
は、水素または(C−C)−アルキルを表し、
そして、i)R8AおよびR8Bは、水素を表すか、
または、iv)R8Aは、R8Bと一体となってオキソ基を形成する}〕
の化合物を得るか、
または、
[E]式(IX)
【化22】

(式中、RおよびRは、各々、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の意味を有する)
の化合物を、不活性溶媒中、適する塩基の存在下、式(VII)の化合物と反応させ、式(I−E)
【化23】

(式中、R、RおよびRは、各々、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の意味を有する)
の化合物を得るか、
または、
[F]式(IX)の化合物を、不活性溶媒中、適する塩基の存在下、ヨウ化メチルなどのアルキルハロゲン化物を用いて、式(X)
【化24】

(式中、RおよびRは、各々、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の意味を有し、
そして、R12は、(C−C)−アルキルを表す)
の化合物に変換し、次いで、これを、不活性溶媒中、適する塩基の存在下、式(VIII)の化合物と反応させ、式(I−F)
【化25】

(式中、R、RおよびRは、各々、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の意味を有する)
の化合物を得るか、
または、
[G]式(XI)
【化26】

(式中、R、R9AおよびR9Bは、各々、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の意味を有する)
の化合物を、不活性溶媒中、適する塩基の存在下、式(VII)の化合物と、そして、必要に応じて、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノンなどの適する酸化剤を添加して反応させ、式(I−G)
【化27】

(式中、R、R、R9AおよびR9Bは、各々、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の意味を有する)
の化合物を得る、
または、
[H]式(XI)の化合物を、不活性溶媒中、適する塩基の存在下、ヨウ化メチルなどのアルキルハロゲン化物を用いて、式(XII)
【化28】

(式中、R、R9AおよびR9Bは、各々、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の意味を有し、
そして、R12は、(C−C)−アルキルを表す)
の化合物に変換し、次いで、これを、不活性溶媒中、適する塩基の存在下、式(VIII)の化合物と、必要に応じて、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノンなどの適する酸化剤を添加して反応させ、式(I−H)
【化29】

(式中、R、R、R9AおよびR9Bは、各々、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の意味を有する)
の化合物を得、
次いで、存在する保護基を除去し、得られる式(I−A)、(I−B)、(I−C)、(I−D)、(I−E)、(I−F)、(I−G)および(I−H)の化合物を、必要に応じて、適当な(i)溶媒および/または(ii)塩基もしくは酸で、それらの溶媒和物、塩および/または塩の溶媒和物に変換することを特徴とする、方法。
【請求項6】
疾患の処置および/または予防のための、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の式(I)の化合物。
【請求項7】
糖尿病、メタボリックシンドロームまたは脂質異常症の処置および/または予防方法において使用するための、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の式(I)の化合物。
【請求項8】
冠動脈心疾患、急性冠動脈症候群、狭心症、心不全、心筋梗塞または心房細動の処置および/または予防用の医薬を製造するための、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項9】
冠動脈心疾患、急性冠動脈症候群、狭心症、心不全、心筋梗塞、心房細動または高血圧症の処置および/または予防用の医薬を製造するための、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項10】
糖尿病、メタボリックシンドロームまたは脂質異常症の処置および/または予防用の医薬を製造するための、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項11】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の式(I)の化合物を、不活性、非毒性の医薬的に適する補助剤と組み合わせて含む、医薬。
【請求項12】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の式(I)の化合物を、脂質代謝を変更する有効成分、抗糖尿病薬、降圧剤および抗血栓剤からなる群から選択される1種またはそれ以上のさらなる有効成分と組み合わせて含む、医薬。
【請求項13】
冠動脈心疾患、急性冠動脈症候群、狭心症、心不全、心筋梗塞、心房細動または高血圧症の処置および/または予防のための、請求項11または請求項12に記載の医薬。
【請求項14】
糖尿病、メタボリックシンドロームまたは脂質異常症の処置および/または予防のための、請求項11または請求項12に記載の医薬。
【請求項15】
有効量の少なくとも1種の請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の式(I)の化合物または請求項11ないし請求項13のいずれかに記載の医薬を使用する、ヒトまたは動物における冠動脈心疾患、急性冠動脈症候群、狭心症、心不全、心筋梗塞、心房細動または高血圧症の処置および/または予防方法。
【請求項16】
有効量の少なくとも1種の請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の式(I)の化合物または請求項11、請求項12および請求項14のいずれかに記載の医薬を使用する、ヒトまたは動物における糖尿病、メタボリックシンドロームまたは脂質異常症の処置および/または予防方法。

【公表番号】特表2011−506502(P2011−506502A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−538406(P2010−538406)
【出願日】平成20年12月9日(2008.12.9)
【国際出願番号】PCT/EP2008/010410
【国際公開番号】WO2009/080198
【国際公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【出願人】(507113188)バイエル・シェーリング・ファルマ・アクチェンゲゼルシャフト (141)
【氏名又は名称原語表記】Bayer Schering Pharma Aktiengesellschaft
【Fターム(参考)】