説明

繊維状紙匹を塗布するための方法及び装置

本発明は、1つ又はそれよりも多くの塗工層で繊維状紙匹を塗工するための方法に関する。方法は、カーテンコーター(21)を用いて、塗工材料の少なくとも1つの層を、繊維状紙匹の少なくとも一方の面に塗布するステップを含むことを含み、塗工材料の塗被層の依然として湿潤な塗工は、塗布プロセスの本質的直後に、高温の接触面又は複数の接触面を用いて、高温圧縮接触に晒され、塗工は繊維状紙匹(W)の表面に結合され、塗工は乾燥し、その表面は平滑且つ高光沢になる。本発明は、繊維状紙匹(W)を塗工するための装置にも関する。装置は、少なくとも1つの層の塗工材料を前記繊維状紙匹(W)の表面の上に塗布するための少なくとも1つのカーテンコーター(21)と、高温圧縮接触において繊維状紙匹を処理するために繊維状紙匹(W)の進行方向におけるカーテンコーターの実質的に直ぐ下流にある処理装置(22)とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1つ又はそれよりも多くの塗工材料の層で繊維状紙匹を塗工するための方法に関する。本発明は、その方法を遂行するための装置にも関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術によれば、所謂キャストコーティング技法を用いて繊維状紙匹の塗工を行うのが従来的である。それは先ず1回又はそれよりも多くの操作で繊維状紙匹の上に塗工材料を塗工することを包含する。塗工の後には、塗工材料上に直接的に中間乾燥ステップ又は中間加湿ステップを遂行すること或いは最終乾燥プロセスを遂行すること、塗工材料を繊維状紙匹に結合すること、並びに、高温接触面との圧縮接触において塗工材料に光沢付けすることが続く。一般的に、このプロセスはヤンキーシリンダを用いて実施される。キャストコーティングプロセスにおける本質的な特徴は、依然として湿った塗工と高温の典型的には研磨された金属表面との間の直接的な接触を構築することである。高温表面と接触している間、塗工は乾燥を受け、それが繊維状紙匹の表面に付着するときに、その表面は高光沢になる。プロセスは特に良好な印刷品質を備える繊維状紙匹表面をもたらすことを可能にする。表面は高品質な滑らかさを有し、表面層も印刷インクをより迅速に吸収し、印刷インクの乾燥も同様により迅速に起こる。
【0003】
この種類のプロセスの問題は、例えば、運転速度に対する制限によって引き起こされる。より高速な運転速度は、塗工方法及び接触プロセスにおいて一般的に利用されるヤンキーシリンダの限定的な操作特性の双方によって否定されている。その結果、キャストコーティング型の塗工プロセスのために、オフライン機械を使用することが概ね必要である。他の明らかな問題は、高温金属表面への湿った塗工材料の付着によって引き起こされる。付着防止剤を用いて付着問題を軽減する試みが行われた。そのような剥離剤は、例えば、先ず、高温接触面に直接的に塗布され、次に、実際の圧縮接触中に、接触面と塗工との間に塗布される。
【0004】
他方、従来技術は、カーテンコーティング技法を用いたマルチコーティングプロセスも含む。層を混ぜることなしに、この技法は、繊維状紙匹の表面上への正確に所望の厚さの塗工材料の幾つかの層の或いは幾らかの他の機能的材料の層の1つ又は別個のプロセス段階での塗布を可能にする。塗工材料の実際の層は、他の追加的な塗膜を塗布することによって覆われることができ、下に位置する材料層に何ら影響を及ぼすはない。カーテンコーティング技法は、多くの他のコーティング技法に対して、より高い運転速度も容易にする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の1つの重要な目的は、塗工された繊維状紙匹の印刷適性に関してキャストコーティングプロセスの利益と等しい利益をもたらすと同時に、接触面への塗工材料の接着を包含する上記の種類の問題を回避することを可能にし、より高い運転速度を容易にする方法を提供することであり、よって、本方法は、オンライン機械の脈絡においても、以前よりも適用できるようになる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
これらの目的を達成するために、本発明の方法は、独立請求項1の特徴文節に示されるものによって特徴付けられる。本発明の好適実施態様は、従属請求項に開示される。
【0007】
発明的な方法は、従来技術の解決策に対して多くの利益をもたらす。発明的な方法によって得られる本質的な利点は、カーテンコーティングプロセスの使用が、塗工、例えば、頂部ライナ及び別個の塗膜としての頂部ライナの上への剥離剤の制御された塗布を可能にすることである。これは塗工が高温接触面に付着するときにキャストコーティングプロセスに含まれる問題を回避することをより容易にする。
【0008】
よって、塗工への剥離剤の塗布は、塗工剤自体の実際の塗布と同時ぐらい早期に遂行され得る。これは、カーテンコーティングプロセスにおいて一般的に達成される塗布のより高い運転速度との組み合わせで考慮されるとき、コーティングプロセス全体に関してより高い運転速度を可能にする。同時に、これはコーティングプロセスがオンライン機械として実施されることを可能にする。
【0009】
カーテンコーティングプロセス、特に複数カーテンコーティングプロセスの使用は、塗工材料の幾つかの別個の層、よって、層特異的塗工特性をもたらすためにの所望の種類の層状構造の形成も可能にする。塗工の様々な層は、所望の品質を備え得る。いままで、塗工の様々な層内の塗工の特性を規制する能力は、決定的により限定的であった。
【0010】
カーテンコーティングプロセスが、特に本発明によって必要とされるような塗工の塗布の本質的直後に、高温接触面との圧縮接触を含むよう構成されるとき、優れた平滑性の塗工面さえも得られる。これは印刷適性に関して大きな重要性を有する。結局、塗工の非接触塗布に基づく塗工方法における1つの有害な因子は、塗工が紙の元々の粗さと調和する粗い表面を発展するという事実であった。本発明の方法は、平滑な表面を備える最終製品を提供し得るが、それは非接触塗工方法のために普通可能ではない。吹付け及びカーテンコーティングでは、例えば、表面は普通極めて粗く、紙の元々の粗さと調和する。圧縮接触の間、塗工の頂部ライナ面は、実質的により平滑になる。他の顕著な利点は、問題が非接触塗工法に関してであるとき、それによって繊維状紙匹に加えられる応力、よって、紙匹が破れる性質も、他のコーティング法に対して実質的に低減されることである。
【0011】
実質的なさらなる利点は、本発明の1つの実施態様において提案されるように、圧縮接触が金属ベルトカレンダを用いて特に好適な方法で遂行されるならば得られる。金属ベルトカレンダの使用は、圧縮接触における処理時間、繊維状紙匹に加えられる圧力、及び、接触面の温度に関して、様々な運転条件と調和する調節可能な正に適切な値を提供することを直ちに可能にする。同時に、コーティングプロセスの下流での繊維状紙匹の別個の最終カレンダリングを放棄する機会をもたらす。金属ベルトカレンダの使用における他の本質的な利益は、例えばヤンキーシリンダと異なり、それがコーティングプロセスに関する運転速度に対して如何なる制限も課さないことである。
【0012】
発明的な解決策によってもたらされる一層さらなる顕著な利益は、特にマルチコーティングプロセス及びそれに先行する或いは後続する圧縮接触段階の実施に関して、特にコンパクトな、故に、低コスト機械構造を設計する可能性である。幾つかの利用可能なカレンダリングプロセスは、例えば、2ニップソフトカレンダ及び多数の同一ニップを連続的に備えるマルチニップカレンダのような、複数の離散的なサブプロセスから構成される。本発明は、幾つかの処理段階のカレンダを繊維状紙匹コーティングプロセスにおいて活用する可能性をもたらすので、可能な限りコンパクトな装置の使用を可能にするコーティング方法がもたらされる。本発明のこのさらなる実施態様に従った方法において、塗工されるべき繊維状紙匹は、繊維状紙匹の塗工操作の上流で、例えば、事前カレンダリングのために、カレンダの1つのニップ又は処理ゾーンに運搬される。この後には、繊維状紙匹の塗工操作を実行することが続き、塗工操作の後に、繊維状紙匹は、最終カレンダリングのために、同一のカレンダの第二ニップ又は処理ゾーンに運搬される。特に1つ且つ同一の装置の様々な処理ゾーンにおいて実行されるべきカレンダリングのために、2つ又はそれよりも多くの圧縮接触段階を提供することによって、結果として得られる機械構造は、実質的によりコンパクトであり、以前よりも余り高価ではない。
【0013】
添付の図面を参照して本発明を今やより詳細に記載する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1に示されるキャストコーティング型繊維状紙匹コーティングプロセスは、その方法のために典型的であるように、オフライン機械を用いて実行される。繊維状紙匹Wは給紙装置10から送り出され、その表面に塗工が塗布される。例えば、図1に示されるエアブラッシュコーティングプロセス11のような、多数の既知の従来技術を使用することによって塗布を遂行し得る。図1のプロセスにおいて、塗布の後には、繊維状紙匹を高温圧縮接触に導く前に、中間乾燥12並びに加湿13が続く。乾燥及び加湿プロセスが省略された方法を採用することも可能である、即ち、高温接触面を用いた処理は、塗工の塗布、及び、場合によっては、化学薬品添加の実質的直後に行われる。ここで意味されることは、塗工の乾燥の迅速化のために繊維状紙匹上で遂行される別個の行為なしに、塗工を接触面を備える圧縮接触に搬送する前に、塗工の意味のある乾燥のための十分な時間がないことである。
【0015】
よって、塗工の乾燥は、高温の典型的には研磨された金属表面との圧縮接触において行われる。この場合には、圧縮接触はヤンキーシリンダ20を用いて遂行され、それによって、ヤンキーシリンダの表面は高温接触面として機能する。処理前に、繊維状紙匹の表面には、そのような或いは例えば塗工材料と混合された付着防止剤がさらに塗布され得る。図1において、パドルコーティング法を用いたさらなる塗工の塗布、並びに、ヤンキーシリンダにおける処理直前の付着防止剤の添加が依然としてもたらされる。
【0016】
処理の後には、乾燥され依然として温かい塗被繊維状紙匹を、冷却段階16に晒し、場合によっては、例えば、加湿/蒸気キャビネット17加湿段階にも晒し、さらに、再び他の冷却段階に晒すことが続く。最終的に、この後には、場合によっては、カレンダリング段階18が続き、さらに、場合によっては、ロール19のための巻取りの前に仕上工程が続く。
【0017】
上記の種類のキャストコーティングプロセスは多くの問題によって妨げられる。現在採用されているコーティング技法の故に、塗工の構造及び特性に影響を及ぼす唯一の方法は、塗工全体の組成及び厚さを規制することによってである。塗工の湿った表面は、高温接触面に付着する傾向に関連する問題を生み出す。この問題のための最も顕著な1つの解決策は、塗工と接触面との間に付着防止剤を使用することであった。そのような防止剤を湿った塗工の表面に全面的に塗布することは困難であることが証明され、塗布は通常接触面によって遂行される。故に、目的は、繊維状紙匹との接触の直前に、高温接触面上の一貫した膜のために防止剤を拡散することである。問題は、表面を清浄に維持すること、防止剤の均一な拡散、並びに、運転速度の増大において直面される。
【0018】
加えて、従来的な塗工技法は、運転速度に関する制限も包含する。運転速度は、圧縮接触のために典型的に使用されるヤンキーシリンダによってさらに制限される。運転速度に関する制限の故に、キャストコーティング型のコーティングプロセスは、しばしばオフライン塗布として実施されなければならない。ヤンキーシリンダに関して、運転速度の増大は、バッキングワイヤ又は他のそのような構成の使用を実際に必要とする。加えて、既に大型のヤンキーシリンダは、十分に長い接触時間をもたらすために、一層さらに増大されなければならない。
【0019】
図2は、本発明の塗工プロセスを例証しており、塗工されるべき繊維状紙匹Wが、抄紙機/厚紙機から直接的に処理に搬送されるか、或いは、給紙装置(図示せず)から繰り出される。繊維状紙匹の表面に対する塗工の塗布は、現在、カーテンコーター21を用いて行われている。カーテンコーターはスロット給送又はスライド給送カーテンコーターのいずれかであり得る。後者の場合には、好ましくは、塗工材料の幾つかの層が同時に塗布され得る。よって、複数塗工の塗布は、単一装置を用いた単一プロセス操作において全体的に遂行され得る。本来的に、複数塗工を製造するために、複数の連続的なスロット給送カーテンコーターを用いることも考えられる。
【0020】
カーテンコーティング技術の故に、塗工は、その特性及び厚さの双方に関して極めて異なる層から構成され得る。要求されるものに正確に従うよう、各層はその特性のために調節され得る。下層は、結合剤を含め、繊維状紙匹の表面への高い付着のために組成され得るし、中間層は、余り効果でないバルク層で形成され得る。他方、上層は、印刷適性によって、特に頂部ライナの場合には、高温接触面への付着に関する問題によって設定される要求を留意しながら製造される。層は、付着防止剤で補われ得るし、或いは、付着防止剤のみで構成され得る。付着問題に関して本質的なものは、今や、上層の特性が、塗工の他の材料層に有害な影響を及ぼすことなしに、所望に規制され得るという事実である。
【0021】
塗布の後、繊維状紙匹は高温処理面との圧縮接触に直ぐに進むことができる状態になっている。処理前に、繊維状紙匹Wの事前乾燥23を行うこと、並びに、さらに他の加湿24を遂行することも尤もらしく思われる。コンデベルト(Condebelt)型装置、ヤンキーシリンダ、並びに、機械、ソフト、又は、シューカレンダのような少なくとも1つの加熱金属面を備える様々なカレンダのような、実際の処理を遂行するための多くの既知の従来的装置がある。高温接触面に接する繊維状紙匹の処理が乾燥シリンダを用いて遂行されることも考えられる。特に好適な場合には、本発明の構成において繊維状紙匹に適用される圧縮接触は、金属ベルトカレンダを用いて行われる。
【0022】
繊維状紙匹の処理に関して本発明の構成において本質的なことは、繊維状紙匹の表面に塗布される塗工が、処理に入った後、実質的に湿潤であり続けることであり、乾燥含量は典型的に90%未満である。処理は、塗工の塗布の実質的直後に行われるよう構成されるので、繊維状紙匹に適用される特殊な乾燥プロセスなしに、塗工が処理前に著しい乾燥を受ける十分な時間はない。
【0023】
特に、本発明の構成における金属ベルトカレンダの使用は、塗工プロセス後に別個のカレンダリングプロセスの省略するという追加的な利益をもたらす。繊維状紙匹は、乾燥に関して十分に長い処理時間、及び、塗工及び繊維状紙匹の双方の構造に対する所望の作用をもたらすための十分に高い圧力効果の双方に晒され得る。必要であれば、圧力効果は、金属ベルトカレンダ処理ゾーン内の別体のニップロール26で構築されるプレスニップNを用いて増大され得る。塗工は、印刷のための優れた平滑性及び所望の特性を備え得る。適切なプロセスパラメータを適用することによって、塗被繊維状紙匹を仕上げるための別個の最終カレンダリング処理を省略し得るという余分な利益を達成することも可能である。
【0024】
繊維状紙匹の処理において金属ベルトカレンダによってもたらされる他の利益は、その適応性及び速度を含むことである。処理ゾーンの長さは調節され得るし、例えばカーテンコーティングプロセスと比較すると、運転速度制限因子ではない。その上、金属ベルトカレンダにおいて、繊維状紙匹の両面に高温接触面を設けることは簡単である。例えば、2つの加熱金属ベルトを使用することが実現可能であり、繊維状紙匹はそれらの間を通過するよう構成される。他方、加熱が金属ベルトカレンダの対向素子の上にも提供され得る。対向素子は、普通、ロール25である。本発明の方法において、接触面のための好適な温度範囲は、約+50℃〜約+400℃である。
【0025】
本発明の上述の実施態様において、塗工全体の塗布は、カーテンコーティングを用いて遂行される。一部の塗工が他の既知の方法によって塗布されることも当然考えられる。本発明の構成において本質的なことは、塗工の少なくとも最上材料層、並びに、場合によって、それらと混合された或いはその独自の層において全体的に塗布された付着防止剤又は複数の付着防止剤が、カーテンコーティング法によって繊維状紙匹の表面に塗布されることである。これは塗工材料の下層に実質的に影響を及ぼすことなしに塗布を遂行することを可能にする。
【0026】
本発明の1つのさらなる特徴によれば、圧縮接触における処理は、例えば吹付け法によって付着防止剤を塗工表面に塗布することによって先行され得る。よって、防止剤は、適切に薄い液体において、或いは、例えば、水又は他の液体と混合されて塗布され得る。
【0027】
本発明の他のさらなる特徴によれば、コーティングプロセスは、繊維状紙匹の両面にも行われ得る。これは、先ず一方の面のために次に他方の面のためにカーテンコーティングで塗布を遂行することによって、或いは、高温圧縮接触において繊維状紙匹を処理する前に繊維状紙匹の両面の上に塗布を遂行することによって実施され得る。
【0028】
次いで、図3は、金属ベルトカレンダに基づく本発明の好適なさらなる実施態様に従った方法を実施する1つの構成を例証している。本構成は、ガイドロール3の周りを循環する2つの別個の金属ベルト2a,2bを含み、それらの間に存在し且つ対向素子として機能するロール5を用いて、繊維状紙匹W,Wのための2つの処理ゾーンN,Nを構築している。ベルト円内のガイドロール3の少なくとも一部は、ベルト2a,2bの張力及びそれらの運転を所望に調節するために移動可能とされている。各処理ゾーンをそれぞれ通過する間、繊維状紙匹は、時間の関数としての所望の圧力衝撃及び熱効果に晒される。ベルト円2aは、図3中の破線に示されるように、繊維状紙匹に対する増強された圧力効果を生み出すようロール5に対する余分のニップを構築するために、ニップロール6を備え得る。対向ロール5、並びに、ニップロール6は、撓み補償ロールであってもなくてもよく、それは、ポリマー塗被ロール、ゴム塗被ロール、又は、エラストマ面ロールのような可撓面ロール、シューロール、熱ロール、及び、充填ロールを含む群から選択される。
【0029】
図3の装置を使用するとき、繊維状紙匹Wが、塗工段階の前に、繊維状紙匹を事前カレンダリングするための処理ゾーンNを通じて、先ず搬送される。この後には、繊維状紙匹を適切なコーティング法、特にカーテンコーティング法を用いて塗工するための塗工プロセス15に繊維状紙匹を搬送することが続く。この場合には、コーティング法が、ドライコーティング、キャストコーティング、ブレードコーティング、吹付けコーティング、ミクロジェットコーティング、又は、フィルムコーティングを含む群から選択されることも考えられる。コーティングプロセスの後には、参照番号Wによって示される塗被繊維状紙匹を、塗工を結合し繊維状紙匹を最終カレンダリングするための同一のカレンダ装置の第二処理ゾーンNを通じて搬送することが続く。この脈絡において、カレンダリングという用語は、カレンダリング、及び、一般的に、繊維状紙匹に適用される圧縮接触又は高温圧縮接触に言及して使用される。
【0030】
図4は、2つのベルト円2a,2bと、図1におけるように、2つの処理ゾーンN,Nを構築するための、それらの間の対向ロール5とを含む構造40を例証している。1つよりも多くのコーティング段階が選択的であり、それによって、例えば、紙匹の一方の面を塗工するために塗工段階15aが使用され、紙匹の他方の面を塗工するために塗工段階15bが使用され得る。しかしながら、特にカーテンコーティングプロセスにおいては、塗工材料の幾つかの離散的な層の同時塗布を実施するために単一塗工段階が十分である。マルチコーティングプロセスを実施するために、他方では、塗工段階15bが塗工段階15aと同一面を塗工するために使用されるよう、塗工段階15bを設計することが可能である。繊維状紙匹Wは、先ず、事前カレンダリングプロセスNに、次に、塗工段階15aに搬送され、その後には、撓みロール7によって繊維状紙匹を選択的な第二塗工段階15に、故に、結合/最終カレンダリング段階Nに導くことが続く。
【0031】
図5に示される構造50は、先ず、それらの間に第一処理ゾーンNを構築するための金属ベルト円2a及び第一対向ロール5aと、それらの間に第二処理ゾーンNを構築するための第二金属ベルト2b及び第二対向ロール5bとを含む。対向ロール5a,5bは、塗工のために好ましくは加熱された結合ニップNを互いに構築するために配置されている。この構造は繊維状紙匹を様々な種類の処理に晒すことを可能にすることで、例えば、繊維状紙匹Wが、先ず、処理ゾーンNを通じた事前カレンダリングのために搬送され、次に、塗工段階15aを通じて、さらに、撓みロール7によって、第二塗工段階15bをさらに通じて搬送され、繊維状紙匹は、塗工材料を繊維状紙匹に結合するために、並びに、最終カレンダリングを実施するために、そこから結合ニップNに送り出される。このプロセスの後には、塗被紙匹Wを装置からさらなるプロセス、例えば、巻取りプロセスに搬送することが続く。塗工段階15a及び15bは互いに選択であり得るし、それらの双方は幾つかの層を備える紙匹の一方の面を塗工するために使用され得るし、紙匹の他方の面を塗工するために使用され得る。結合ニップNの下流で、紙匹は第三塗工段階15cを選択的に有し得る。紙匹は、撓みロール7によって、結合/最終カレンダリングプロセスのために、そこから第二処理ゾーンNに送り出され得る。装置は、例えば実際の塗工段階15a及び/又は15b及び/又は15cの上流で事前塗工段階として機能し得る第四塗工段階15dさえも有し得る。塗工段階15a−15dは、繊維状紙匹の一方又は両方の上の単一又は複数の塗工をもたらすよう1つの繊維状紙匹を処理するために、同時に1つ又はそれよりも多くが選択的に活性であり得る。加えて、繊維状紙匹の進行方向は上記に記載されたものに対して逆転され得ることによって、例えば、処理ゾーンN又は結合ニップNは事前カレンダとして機能し、処理ゾーンNは最終カレンダとして機能し得る。
【0032】
図6に示される構造60では、塗工ステーション15がソフトカレンダの2つのニップN及びNの間に配置されることによって、1つのコンパクトな装置が、塗工プロセスと、塗工プロセス後の最終カレンダの前に、事前カレンダリングを遂行し得る。
【0033】
図7に示される構造70では、塗工段階15が、マルチニップカレンダの2つのニップの間の場所に位置付けられており、図8の構造80では、塗工段階15が、ロールの2つの配列の間の場所に配置されている。図7及び8の実施態様において、繊維状紙匹は、塗工プロセスの前又は後に、効果的な事前カレンダリング及び最終カレンダリングのために、複数のニップを通過する。特に図8の場合には、問題はスーパーカレンダに関してでもあり得ることが留意されるべきである。図8に示されるように、スーパーカレンダは、2つ又はそれよりも多くの区画、より具体的には、2つの別個の組のロールに分割され、適切な塗工プロセスがそれらの間で遂行されるよう構成され得る。
【0034】
図3乃至8の構造において示されるコーティングプロセス15,15a,15bは、塗工材料の塗布、即ち、紙匹表面の上への塗工材料の移転を含む。コーティングプロセスは、必要に応じて、乾燥、加熱、及び、結合をさらに含み得る。加えて、提案されている方法は、乾燥形態(乾燥塗工)中の塗工材料を用いて実施されるコーティングプロセスに適している。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】繊維状紙匹を塗工するための従来技術のキャストコーティング方法を示す概略図である。
【図2】圧縮接触が金属ベルトカレンダを用いて実施される、繊維状紙匹を塗工するための本発明の方法を適用する1つの装置を示す概略図である。
【図3】本発明のさらなる実施態様に従った方法の実施に適した金属ベルトカレンダを示す概略図である。
【図4】本発明のさらなる実施態様に従った方法の実施に適した金属ベルトカレンダを示す概略図である。
【図5】本発明のさらなる実施態様に従った方法の実施に適した金属ベルトカレンダを示す概略図である。
【図6】本発明のさらなる実施態様に従った方法の実施に適した2ニップソフトカレンダを示す概略図である。
【図7】本発明のさらなる実施態様に従った方法の実施に適したマルチニップカレンダを示す概略図である。
【図8】本発明のさらなる実施態様に従った方法の実施に適したマルチニップカレンダを示す概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維状紙匹を1つ又はそれよりも多くの塗工層で塗工するための方法であって、
カーテンコーターを用いて、塗工材料の少なくとも1つの層を、前記繊維状紙匹の少なくとも一方の面に塗布するステップを含むこと、前記塗工材料の塗布された層の依然として湿潤な塗工は、前記塗布プロセスの本質的直後に、高温の接触面又は複数の接触面を用いて、高温圧縮接触に晒され、前記塗工は前記繊維状紙匹の表面に結合され、前記塗工は乾燥し、その表面は平滑且つ高光沢になることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記圧縮接触は、金属ベルトカレンダを用いて遂行されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記圧縮接触は、コンデベルト装置を用いて遂行されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記圧縮接触は、ヤンキーシリンダを用いて遂行されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記圧縮接触は、機械を備えるような、少なくとも1つの加熱金属面、ソフトカレンダ、又は、シューカレンダを含む幾つかの他の既知のカレンダを用いて遂行されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記圧縮接触は、乾燥シリンダを用いて遂行されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記塗布は、複数のカーテンコーティングプロセスとして実施されることを特徴とする、請求項1乃至6のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記塗工層の頂部ライナ又は表面は、前記カーテンコーティング塗布と同時に、付着防止剤を用いて補われることを特徴とする、請求項1乃至7のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記塗工層の塗布と前記高温接触プロセスとの間に、前記塗工層の事前乾燥及び/又は前記塗工表面の湿潤化が実施されることを特徴とする、請求項1乃至8のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
繊維状紙匹の表面の上への少なくとも頂部ライナの塗布は、カーテンコーティング技法によって遂行されること、並びに、前記塗布プロセスの本質的後に、前記繊維状紙匹は、金属ベルトカレンダを用いた高温接触における圧縮に晒されることを特徴とする、請求項1乃至9のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つの塗工層の塗布は、第二処理ゾーン又はニップにおいて遂行される前記繊維状紙匹の事前カレンダリングによって先行され、前記第二処理ゾーン又はニップは、前記塗工後圧縮接触のために使用される同一装置内に構築されることを特徴とする、請求項1乃至10のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記カレンダリングは、少なくとも2つのニップ又は処理ゾーンを有するソフトカレンダ、機械カレンダ、スーパーカレンダ、マルチニップカレンダ、ベルトカレンダ、又は、金属ベルトカレンダを用いて遂行されることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記カレンダリングは、少なくとも二組のロールを有するマルチニップカレンダを用いて遂行されることを特徴とする、上記請求項のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
繊維状紙匹塗工処理における前記事前カレンダリング、塗工、及び、最終カレンダリング操作は、繊維状紙匹製造ライン上のオンラインプロセスとして遂行されることを特徴とする、上記請求項のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
繊維状紙匹塗工処理における前記事前カレンダリング、塗工、及び、最終カレンダリング操作は、繊維状紙匹製造ラインに対するオフラインプロセスとして遂行されることを特徴とする、請求項1乃至13のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
繊維状紙匹を塗工するための装置であって、
少なくとも1つの層の塗工材料を前記繊維状紙匹の表面の上に塗布するための少なくとも1つのカーテンコーターと、高温圧縮接触において前記繊維状紙匹を処理するために前記繊維状紙匹の進行方向における該カーテンコーターの実質的に直ぐ下流にある処理装置とを含むことを特徴とする、装置。
【請求項17】
繊維状紙匹を事前カレンダリングし、塗工し、且つ、最終カレンダリングするための請求項16に記載の装置であって、事前カレンダリング段階と、塗工段階と、最終カレンダリング段階とを含むカレンダを含み、前記事前カレンダリング段階は、前記カレンダ内に少なくとも1つのニップ又は処理ゾーンを含み、前記最終カレンダリング段階は、前記同一カレンダ内に少なくとも1つのニップ又は処理ゾーンを含み、前記塗工段階は、前記事前カレンダリング段階と前記最終カレンダリング段階との間の場所にある前記同一のカレンダと関連して設定される装置。
【請求項18】
前記カレンダは、ソフトカレンダ、機械カレンダ、スーパーカレンダ、マルチニップカレンダ、又は、ベルトカレンダを含むことを特徴とする、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記カレンダは、金属ベルトカレンダを含むことを特徴とする、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記金属ベルトカレンダは、2つの別個の金属ベルト円を含み、繊維状紙匹のための2つの処理ゾーンを構築するために、前記2つの別個の金属ベルト円の間に対向ロールが配置されること、並びに、前記繊維状紙匹を、事前カレンダリング段階として働く前記第一処理ゾーンを通じて、前記塗工段階へ、そこから、最終カレンダリング段階として働く前記第二処理ゾーンへ通すために、前記塗工段階は、前記処理ゾーンの間の場所に設定されることを特徴とする、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記カレンダは、少なくとも二組の別個のロールを含むマルチニップカレンダを含むことを特徴とする、請求項18に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2008−503659(P2008−503659A)
【公表日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−517325(P2007−517325)
【出願日】平成17年7月1日(2005.7.1)
【国際出願番号】PCT/FI2005/050267
【国際公開番号】WO2006/003263
【国際公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【出願人】(507009216)メッツォ ペーパー インコーポレイテッド (76)
【Fターム(参考)】