説明

織物および繊維コンディショニング添加剤

液体洗浄製品用の織物、繊維、毛髪または皮膚コンディショニング添加剤をケイ素含有ポリマーネットワークからなるシェル内にカプセル化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば織物、皮膚、毛髪および/または繊維のような基質を柔軟化するためのコンディショニング用添加剤のような活性物質に関する。とくに、液体洗浄製品、例えば液体洗濯洗剤、ヘアシャンプー、液体ボディシャンプー、シャワージェルに添加すべき添加剤に関する。本発明はまた、織物、皮膚、毛髪および/または繊維コンディショニング添加剤を含有する液体洗浄製品に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの織物および繊維用コンディショニング組成物、例えば織物柔軟剤および毛髪コンディショナーが知られている。洗浄およびコンディショニングを単一プロセスで行うことができるように液体洗浄製品に組み込むことができるコンディショニング組成物に対する需要がある。しかしながら、コンディショナーが洗浄製品により織物または繊維から洗い落とされるリスクがある。これは、特に液体洗濯洗剤において問題となる。その理由は、かかる洗剤が通常強いアニオン界面活性剤を用い、よごれの再沈着を防止するために抗沈着剤を含有し、洗浄ステップで適用された後、織物の大規模なすすぎが行われるからである。
【0003】
一般に、皮膚および/または毛髪洗浄組成物(例えばシャワージェル等)は、皮膚を乾燥/刺激し、不快な質感を与える傾向があるイオン性および非イオン性界面活性剤として約10〜12%の表面活性物質を含む。快い質感(滑らかで絹のような手触りとしてよく記載される)を与え、炎症を起こした問題のある皮膚を鎮静化する親油性皮膚コンディショニング剤、例えばジメチコノールおよび植物油(ホホバ、アロエベラ、カモミール抽出物等)が当業界で既知である。しかしながら、親油性皮膚コンディショナーは、代表的な皮膚/毛髪洗浄組成物の豊富なベースである界面活性剤に可溶化しがちである。可溶化種は通常洗い流され、皮膚/毛髪上に沈着しない。
【0004】
国際公開第2007/049188号は、織物上への沈着を改善したマイクロエマルジョンに処方されたオルガノシリコーン織物柔軟剤を含有する織物洗濯組成物を開示する。
【0005】
米国特許出願公開第2004−121930号は、洗濯中の洗剤組成物の分散性ポリオレフィンおよびラテックスのような水不溶性織物ケア剤の沈着を増進するためのカチオンセルロースの使用を開示する。
【0006】
国際公開第2006/072083号は、第4級アンモニウム織物柔軟剤と、該第4級アンモニウム柔軟剤で錯化するシリコーンコポリオールカルボキシレートとを含有する液体洗濯洗剤組成物を開示する。
【0007】
米国特許第5,506,201号は、洗濯洗剤への組込み用の優れた持続性を有する脂肪成分およびソルビタンエステルのような固体界面活性剤から香料含有固体粒子の製造方法を開示する。
【0008】
米国特許第6,303,149号は、ゾルゲル前駆体および官能分子を水溶液中で乳化し、生成したエマルジョンを酸性、中性または塩基性水溶液と混合してマイクロカプセルの懸濁液を得ることにより官能分子を充填したゾルゲルマイクロカプセルを製造する方法を開示する。
【0009】
欧州特許第941761号は、オルガノポリシロキサンシェルおよびコア物質を有するマイクロカプセルの製造方法を開示し、ここで該シェルを現場で最大4個のケイ素原子を有するオルガノシランおよび/またはその縮合生成物の加水分解および重縮合により形成する。国際公開第03/066209号は、テトラアルコキシシランの乳化重合生成物のシェル内にカプセル化した日焼け止めのような親油性化粧品、化学、生物または医薬活性物質組成物を開示する。国際公開第2008/002637号は、油相およびカチオン界面活性剤の水溶液を混合して水中油型エマルジョンを形成し、テトラアルコキシシランを含む水反応性ケイ素化合物を該エマルジョンに添加し、テトラアルコキシシランを油/水界面で縮合および重合させることによりマイクロカプセルを製造する方法を開示する。カチオン界面活性剤の量は油相に対し0.1質量%〜0.3質量%であり、マイクロカプセルのシェル厚は少なくとも18nmである。
【発明の概要】
【0010】
液体洗浄製品に用いる本発明に係る織物、皮膚または繊維コンディショニング添加剤は、ケイ素含有ポリマーネットワークからなるシェル内にカプセル化した活性材料組成物、好適には織物または繊維コンディショナーを含む。
【0011】
本発明はまた、液体洗濯洗剤組成物の織物柔軟剤としてのカプセル化ポリオルガノシロキサンの使用を含む。
【0012】
本発明は、水反応性ケイ素化合物を含む液体組成物(組成物A)を繊維または織物コンディショナーの水性エマルジョン(組成物B)に添加し、これにより組成物Aを組成物Bの乳化液滴との界面で縮合および重合してマイクロカプセルを形成することを備えるカプセル化繊維または織物コンディショニング添加剤を製造する方法であり、この場合マイクロカプセルがケイ素系重合ネットワークからなるシェルにより囲まれた繊維または織物コンディショナー組成物Bのコアを有する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
ケイ素含有ポリマーネットワークからなるシェルは、活性材料組成物の水性エマルジョンに添加するテトラアルコキシシランを含む水反応性ケイ素化合物から形成することができる。水反応性ケイ素化合物は、親油性活性材料組成物の乳化液滴の界面で縮合および重合してマイクロカプセルを形成する。マイクロカプセルは、ケイ素系重合ネットワークであるシェルによって囲まれた活性材料組成物のコアを有する。
【0014】
次に、カプセル化物質を液体洗浄製剤、例えば織物洗浄用の重質液体洗剤に添加する。粒子は、その大きさのため、洗濯処理中に織物内に捕捉され、次いで脱水処理中にカプセルのシェルが破れて織物ケア添加剤を放出する傾向がある。
【0015】
捕捉され得る活性材料は、洗濯サイクルの間いくつかの織物ケア上の利点または/およびいくらかの香料を送達することができる。
【0016】
本発明のさらに別の態様では、ポリマーシェルがカプセル化した親油性活性材料を液体洗剤製剤による溶解から保護するか、またはカプセル化したシリコーンエマルジョンを凝集から保護する。
【0017】
織物または繊維コンディショニング剤は、一般に織物または繊維上沈着すると、柔軟性、艶または快い質感(手触り)のような利点を与える親油性物質である。本特許請求の範囲内のコンディショニング剤は、例えば洗濯した織物に柔軟性を与える柔軟剤および髪のコーミングを容易にするコンディショニング剤である。理論に拘束されることなく、本発明者らは、織物または繊維へのコンディショニング剤の沈着が、織物の製造に用いる個々の繊維および糸または毛髪のような生物学的繊維であろうとなかろうと、繊維間の滑り摩擦を低減すると考える。この滑り摩擦の低減は、織物の柔軟性として、また毛髪の柔らかいまたは絹のような質感として知覚される。皮膚コンディショニング剤は、皮膚に滑らかな質感を与え、界面活性剤によりもたらされる刺激を和らげる。
【0018】
コンディショニング剤は、例えば織物柔軟剤として既知の作用剤またはヘアーコンディショナーとして既知の作用剤とすることができる。ポリオルガノシロキサンはこれら両カテゴリー内の好適なコンディショニング剤である。
【0019】
一つの好適なタイプの織物柔軟剤は、アミノ官能ポリオルガノシロキサンである。アミノ官能ポリオルガノシロキサンは、例えばケイ素に結合したアミノアルキル基を少なくとも1個有するほぼ線状のアミノ官能ポリジオルガノシロキサンとすることができる。ポリジオルガノシロキサンの有機基は、例えばアルキルおよび/またはアリール基とすることができ、通常メチル基である。好適なアミノ官能ポリジオルガノシロキサンの一つの例は、次式:
Si(R−O−(Si(CH−O)−(Si(CH)R−O)−Si(R
を有し、式中のRは1〜18個の炭素原子および1〜3個の窒素原子を有するアミノアルキル基であり、各基Rは1〜4個の炭素原子を有するアルコキシ基、1〜18個の炭素原子を有する炭化水素基および/または1〜30個の炭素原子および1〜5個の窒素原子を有するアミノアルキル基から選択され、xおよびyは1〜100の整数であり、yは0.1x未満である。アミノ官能ポリジオルガノシロキサンのアミノアルキル基は、好適には次式:
−(NH−A’)−NH−A−
を有し、式中のAおよびA’はそれぞれ独立して1〜6個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アルキレン基であり;q=0〜4であり;Rは水素または1〜4個の炭素原子を有するアルキルもしくはヒドロキシアルキル基である。好適なアミノアルキル基の例としては、−(CHNH、−(CHNH、−(CHNH(CH)NH、−CHCH(CH)CHNH(CHNH、−(CHNHCHCHNH(CHNH、−CHCH(CH)CHNH(CHNH、−(CHNH(CHNHおよび−(CHO(CHNHが挙げられる。
【0020】
織物柔軟剤として有用な別の好適なタイプのコンディショニング剤は、例えばトリメチルまたはヒドロキシ末端とすることができるポリジメチルシロキサンのような長鎖ポリ(オルガノ)シロキサンである。800以上のDP(重合度)を用いることが好ましい。
【0021】
異なるポリシロキサンの混合物、例えばポリジメチルシロキサンとアミノ官能ポリオルガノシロキサンとを用いることができる。
【0022】
織物柔軟剤として有用な代替ポリオルガノシロキサンは、ポリジオルガノシロキサン部分、例えばポリジメチルシロキサンと、1つ以上の親水性ポリアルキレンオキシド、例えばポリオキシエチレン鎖とを有するケイ素ポリエーテルを含む。親水性ポリアルキレンオキシド鎖は、側鎖(ペンダント部分)としてまたはポリシロキサン部分とのブロックコポリマー部分として組み込むことができる。
【0023】
織物柔軟剤はあるいは、乳化性有機付加ポリマー、例えばカルボキシル基の包含により修飾したポリエチレンまたはポリプロピレンのような分散性ポリオレフィンとすることができる。
【0024】
好適な毛髪コンディショナーは、アミノ官能ポリオルガノシロキサン、例えば上記のようなほぼ直鎖のアミノ官能ポリジオルガノシロキサンを含む。長鎖ポリジメチルシロキサンのような未置換ポリジオルガノシロキサン、例えば米国特許第6013682号に記載されるように生成した鎖延長ポリジメチルシロキサンも有用な毛髪コンディショナーである。
【0025】
好適な皮膚コンディショナーとしては、親油性植物抽出物(油)および精油、例えば、限定されないが、アロエベラ、ホホバ油、カモミール油;ジメチコーンまたはジメチコノールとしてのケイ素系皮膚コンディショナー、ならびにイソドデカン、イソヘキサデカン、パラフィン、石油、イソノニルイソノナノエートエステル、オクチルドデカノールエステル等のような合成油がある。これらは単独でまたは組み合わせて用いることができる。
【0026】
織物または繊維コンディショング剤を水反応性ケイ素化合物と接触する前に乳化するので、コンディショニング剤が水中油型エマルジョンの分散相を形成する。コンディショニング剤を水性媒体中で好ましくは界面活性剤の助けを借りて乳化する。
【0027】
界面活性剤は、カチオンまたは両性界面活性剤が最も好ましく、これが正ゼータ電位のエマルジョンを容易に形成する。本発明者らは、正ゼータ電位がコンディショニング剤の乳化液滴の界面でテトラアルコキシシランの縮合および重合を促進して、より不浸透性なマイクロカプセルをもたらすことを見出した。非イオン性界面活性剤を用いることができ、例えばカチオンまたは両性界面活性剤を同量までの非イオン性界面活性剤と混合することができる。
【0028】
コンディショニング剤の水性エマルジョンにおける界面活性剤の濃度は、0.01〜10質量%とすることができるが、好適にはエマルジョンの少なくとも0.02質量%で2質量%未満、もっとも好適には0.05〜1.5質量%、とくに0.2〜1.0質量%である。一般に、コンディショニング剤の乳化およびアルコキシシランとの反応中の低レベルの界面活性剤の使用は、コンディショニング剤の拡散またはマイクロカプセルからの浸出に対してより耐性があるマイクロカプセルもたらす。
【0029】
その後の界面活性剤のマイクロカプセルの懸濁液への添加は、コンディショニング剤の拡散またはマイクロカプセルからの浸出に対してほとんどまたはまったく効果を有さない。
【0030】
エマルジョンにおける油相対水相の質量比は、一般に40:1〜1:50とすることができるが、水相のより高い割合はとくにマイクロカプセルのエマルジョンを形成するとき経済的に不利である。通常、油相対水相の質量比は2:1〜1:10であり、より好適には油相(コンディショニング剤)がエマルジョンの10または20質量%〜50質量%を形成する。コンディショニング剤が著しく粘稠な場合、位相反転プロセスを用い、油相を界面活性剤および少量、例えば油相に対し2.5〜10質量%の水と混合して、せん断されると水中油型エマルジョンに反転する油中水型エマルジョンを形成することができる。次に、追加の水を添加して、エマルジョンを所要の濃度まで希釈することができる。
【0031】
カチオン界面活性剤の例としては、水酸化オクチルトリメチルアンモニウム、水酸化ドデシルトリメチルアンモニウム、水酸化へキサデシルトリメチルアンモニウム、水酸化オクチルジメチルベンジルアンモニウム、水酸化デシルジメチルベンジルアンモニウム、水酸化ジドデシルジメチルアンモニウム、水酸化ジオクタデシルジメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、水酸化タロウトリメチルアンモニウムおよび水酸化ココトリメチルアンモニウムのような水酸化第4級アンモニウムの他に、これらの物質の対応する塩、脂肪族アミンおよび脂肪酸アミドならびにそれらの誘導体、塩基性ピリジニウム化合物、ベンズイミダゾリンの第4級アンモニウム塩基、ならびにポリプロパノールポリエタノールアミンが挙げられる。
【0032】
適当な両性界面活性剤の例としては、コカミドプロピルベタイン、ヒドロキシ硫酸コカミドプロピル、ココベタイン、コカミド酢酸ナトリウム、ココジメチルベタイン、N−ココ−3−アミノ酪酸およびイミダゾリニウムカルボキシル化合物が挙げられる。
【0033】
上記界面活性剤は単独でまたは組み合わせて用いることができる。
【0034】
非イオン性界面活性剤の例としては、ポリエチレングリコール長鎖(12〜14C)アルキルエーテルのようなポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンソルビタンエーテル、ポリオキシアルキレンアルコキシレートエステル、ポリオキシアルキレンアルキルフェノールエーテル、エチレングリコールプロピレングリコールコポリマー、ポリビニルアルコールおよびアルキルポリサッカリド、例えば米国特許第5,035,832号に記載されるように構造式R−O−(RO)−(G)を有する物質が挙げられ、式中のRは直鎖もしくは分岐鎖アルキル基、直鎖もしくは分岐鎖アルケニル基またはアルキルフェニル基を表し、Rはアルキレン基を表し、Gは還元糖を表し、mは0または正の整数を表し、nは正の整数を表す。
【0035】
エマルジョンの連続相は、水と、アルコールまたはラクタムような水混和性有機溶媒との混合物とすることができ、ただし連続相がコンディショニング剤と混和性でない。コンディショニング剤のエマルジョンの粒径は、水反応性ケイ素化合物の添加前に、例えばホモジナイザーもしくはマイクロフルイダイザーのような高せん断を付与する装置、またはソノレーター(超音波ミキサー)で小さくすることができる。或いはまた、エマルジョンを位相反転により調製することができる。
【0036】
エマルジョンの水相は増粘剤、例えばポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ベントナイト粘土、セルロース誘導体、特にカルボキシメチルセルロースナトリウムのようなセルロースエーテル、わずかに架橋したアクリルポリマー、変性デンプン、アルギン酸塩またはキサントゲンゴムを含有し、エマルジョンの形成中またはその後にマイクロカプセルが沈殿するのを阻害することができる。増粘剤を、テトラアルコキシシランの添加前にエマルジョンに添加する。テトラアルコキシシランの添加前のポリビニルピロリドンのエマルジョンへの添加は、ほとんどのマイクロカプセルの粒径についてマイクロカプセルからのコンディショナーの拡散に対してより耐性があるマイクロカプセルの形成を促進する。
【0037】
コンディショニング剤のエマルジョンに添加してマイクロカプセルを形成する水反応性ケイ素化合物は、重合してケイ素含有ネットワークポリマーを形成することができるあらゆるケイ素化合物とすることができる。こうしたケイ素化合物は、一般に1分子当たり平均3個以上のケイ素結合加水分解性基を有する。加水分解性基は、ケイ素に結合したアルコキシ基が好ましいが、アセトキシのような代替ヒドロキシ基を用いることができる。好適なアルコキシ基は、1〜4個の炭素原子を有するもの、とくにエトキシおよびメトキシ基である。
【0038】
一つの好適な実施形態では、水反応性ケイ素化合物はテトラアルコキシシランを含む。テトラアルコキシシランは、例えばモノマー形態でまたは液状部分縮合物として用いることができるテトラエトキシシラン(TEOS)とすることができる。
【0039】
テトラアルコキシシランは、少なくとも1個、好適には少なくとも2個、もっとも好適には3個のSi−OH基またはケイ素と結合した加水分解性基を有する一つ以上の他の水反応性ケイ素化合物、例えばメチルトリメトキシシランのようなアルキルトリアルコキシシラン、若しくはアルキルトリアルコキシシランの液状縮合物、または(置換アルキル)トリアルコキシシランと併せて用いることができる。置換アルキル基を含有するトリアルコキシシランの例としては、アミノアルキルトリアルコキシシランおよび4級化アミノアルキルトリアルコキシシランがある。一つの好適なタイプの第4級アミノシランは式R’−Si−A−N(+)R”を有し、式中の各基R’は1個または2個の炭素原子を有するアルコキシ基であり、各基R”は1〜18個の炭素原子を有するアルキル基であり、Aはnが1〜18の整数である式C2nを有する二価有機基である。かかる4級化アミノアルキルトリアルコキシシランの例としては、式(CHO)SiCHCHCH(CH(CH17CHClを有する塩化ジメチルオクタデシルトリメトキシシリルプロピルアンモニウムがある。水反応性ケイ素化合物は、例えば10〜100質量%のテトラアルコキシシランおよび0〜90%のトリアルコキシシラン、例えば10〜95%のテトラアルコキシシランおよび5〜90%のトリアルコキシシラン、とくにアミノまたは第4級アンモニウム置換アルキル基を有するトリアルコキシシランを含むことができる。本発明者らは、4級化アミノアルキルトリアルコキシシランのテトラアルコキシシランとの混合物が、ポリオルガノシロキサン織物柔軟剤を液体洗濯洗剤からの柔軟剤の制御された送達をもたらすためカプセル化するのにとくに効果的であることを見出した。
【0040】
テトラアルコキシシランおよびトリアルコキシシラン、例えばアミノまたは第4級アンモニウム置換アルキル基を有するトリアルコキシシランは、通常水中油型エマルジョンに触れる前に混合されるので、テトラアルコキシシランおよびトリアルコキシシランの混合物をエマルジョンに添加する。あるいはまた、テトラアルコキシシランおよびトリアルコキシシランを別々にかつ同時に水中油型エマルジョンに添加することができるか、または連続して水中油型エマルジョンに添加することができる。これらを連続して添加する場合、アミノまたは第4級アンモニウム置換アルキル基を有するトリアルコキシシランの前にテトラアルコキシシランを添加するのが好ましい。
【0041】
テトラアルコキシシラン、および所要に応じて他の水反応性ケイ素化合物が、加水分解および縮合して、ネットワークポリマー、すなわちコンディショニング剤の乳化液滴の周りにケイ素系物質の3次元ネットワークを形成する。例えば、テトラアルコキシシランがほぼSiO4/2単位からなる3次元ネットワークを形成する。このネットワークはコンディショニング剤の液滴を囲むシェルとして現れる。
【0042】
テトラアルコキシシラン、および所要に応じて他の水反応性ケイ素化合物が、コンディショニング剤のエマルジョンに未希釈液としてまたは有機溶媒の溶液としてもしくはエマルジョン形態で添加することができる。水反応性ケイ素化合物およびエマルジョンを通常添加中およびその後の縮合中にせん断下で混合して、乳化液滴の表面上にケイ素系ポリマーシェルを形成する。混合は例えば撹拌により行うことができるが、水反応性ケイ素化合物の添加中または水反応性ケイ素化合物の添加後かつマイクロカプセルの形成が完了する前に、エマルジョンおよび水反応性ケイ素化合物に例えばSilverson(商標)ミキサーのようなローターおよびステーター型のミキサーで高せん断を施すのが好ましい。
【0043】
水反応性ケイ素化合物の添加直後の高せん断混合が好ましい。これは、粒径が減少したマイクロカプセルをもたらし、ほぼすべてのテトラアルコキシシランおよび/または他の水反応性ケイ素化合物の重合をエマルジョン液滴の界面で促進するようである。
【0044】
縮合反応を、酸性、中性または塩基性pHで行うことができる。縮合反応は、通常大気温度および圧力で行われるが、高温、例えば最高95℃、および高圧または低圧、例えば真空下で行って、縮合反応中に生成した揮発性アルコールを揮散させることができる。コンディショニング剤対水反応性ケイ素化合物の質量比は、少なくとも0.5:1が好ましく、多くの場合少なくとも1.5:1、例えば2:1〜9:1とすることができる。より小さいマイクロカプセル、例えばマイクロエマルジョンから形成したものは、一般に低い活性材料組成物対水反応性ケイ素化合物の比を有する。
【0045】
生成するマイクロカプセルの粒径は、一般に出発エマルジョンの粒径に対応し、例えば0.1〜200μmの範囲内、好適には30μmより小さく、より好適には20μmより小さく、より好適には16μmより小さく、好適には少なくとも0.5μm、より好適には少なくとも1μmとすることができる。エマルジョン粒径は、例えば4〜15μmの範囲内とすることができる。
【0046】
4〜15μm、例えば8〜10μmの範囲内の粒径を有するマイクロカプセルがとくに好ましい場合がある。マイクロカプセルの粒径は、光学顕微鏡を用いて、例えば試料を走査型電子顕微鏡(SEM)下で調べることにより測定することができるか、または粒径測定を以下の実施例に記載するように、英国Malvern Instrument Ltd.の「Mastersizer 2000」を用いるレーザー回折法により行うことができる。
【0047】
マイクロカプセルのシェル厚は、コンディショニング剤対水反応性ケイ素化合物の質量比と、所定量のコンディショニング剤について液滴径と反比例するコンディショニング剤エマルジョン中のエマルジョン液滴の表面積とによって決まる。カプセルのシェル厚は、好適には2〜50nm、とくに5〜20nm、もっとも好適には6〜10nmまたは10〜15nmである。マイクロカプセルシェル厚は、実施例で詳述した物理的関係式により決定するのが好ましい。
【0048】
液体洗浄製品中での分散のため懸濁液からマイクロカプセルを回収することが好適である。マイクロカプセルの回収は、あらゆる既知の液体除去技術、例えば噴霧乾燥、噴霧冷却、ろ過、オーブン乾燥または凍結乾燥により達成することができる。あるいはまた、マイクロカプセルの懸濁液を液体洗浄製品に添加するのが好ましい場合がある。
【0049】
カプセル化した製品を水反応性金属アルコキシまたはアシルオキシ化合物で後処理することができる。金属化合物は、水とすぐに反応するものよりむしろ、水中で徐々に加水分解されるべきで、ケイ素、チタニウム、ジルコニウムまたはバナジウムの化合物のような周期表のIVB、IVAまたはVA族の化合物が適している。水反応性金属アルコキシまたはアシルオキシ化合物は、例えばマイクロカプセルのシェルを硬化および/またはより不浸透化することができる。反応性金属アルコキシまたはアシルオキシ化合物は、例えばアルコキシシランもしくはアシルオキシシラン、とくにメチルトリエトキシシランもしくはイソブチルトリエトキシシランのようなトリアルコキシシラン、またはトリス(ジメチルヒドロゲンシリルオキシ)n−オクチルシランのようなSi−H官能基を有するシラン、またはあるいはチタンアルコキシド(チタン酸アルキル)とすることができる。
【0050】
反応性金属アルコキシまたはアシルオキシ化合物は、基質、とくに繊維基質への付着を促進する有機官能基、例えば3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランおよび3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシランを有することができる。マイクロカプセルを反応性金属アルコキシまたはアシルオキシ化合物、例えばアルコキシシランで後処理して、例えばカプセル表面をより疎水化または親水化することによりその物理的および/または化学的特性を変えることができる。例えば、マイクロカプセル表面を、オクチルトリエトキシシランのような長鎖アルキル基を有するシランとの反応により一層疎水化することができる。化学反応に代わるものとして、マイクロカプセルをその表面特性を変える物質で被覆することができる。表面処理を、懸濁液中のマイクロカプセルまたは分離した固体マイクロカプセルに対して行うことができる。
【0051】
本発明に係る液体洗濯組成物は、一般に界面活性剤と、上述のようにカプセル化した織物柔軟添加剤を含み、織物または繊維コンディショナーが織物柔軟剤である。洗浄用界面活性剤は、通常液体洗濯組成物の約5質量%〜50質量%を形成する。用いる洗浄用界面活性剤は、アニオン性、非イオン性、両性イオン性、両性またはカチオン性タイプとすることができ、またはこれらのタイプの組み合わせを含むことができる。もっとも好適には、液体洗濯組成物は約7〜約9の洗濯溶液pHを付与し、少なくとも1つのアニオンおよび/または非イオン性界面活性剤を含む。
【0052】
市販の洗濯洗剤は大いに異なるため、カプセルの何らかの変更(一般にシェル厚および/または粒径)が洗剤中でのカプセルの良好な分散性を確保するために必要な場合がある。カプセルの良好な分散性は良好な柔軟性能にとって重要である。洗濯試験を行う前に、カプセルが液体洗剤中によく分散していることを確実にする(例えば顕微鏡観察により)ことが必要である。シェル厚のわずかな変化が分散性を向上させ得ることを見出した。
【0053】
好適な洗浄用アニオン界面活性剤は、分子構造中に約8〜約20個の炭素原子のアルキル基を有する有機スルホン酸塩および硫酸塩のアルカリ金属ならびにアンモニウム塩を含む。この群の合成界面活性剤の例としては、a)アルキル硫酸ナトリウム、カリウムおよびアンモニウム、とくに高級アルコール(炭素原子8〜18個)を硫化することにより得られるもの、例えば獣脂またはココナツ油のグリセリドを還元することにより生成されるもの;b)アルキルポリエトキシレート硫酸ナトリウム、カリウムおよびアンモニウム、とくにアルキル基が10〜22個、好適には12〜18個の炭素原子を含有し、ポリエトキシレート鎖が1〜15個、好適には1〜6個のオキシエチレン部分を含有するもの;およびc)アルキル基が直鎖または分鎖構造で約9〜約15個の炭素原子を含有するアルキルベンゼン硫酸ナトリウムおよびカリウム、とくにアルキル基中の平均炭素原子数が11〜13である直鎖スルホン酸アルキルベンゼンがある。液体洗濯組成物中の上記合成界面活性剤の代わりにまたはこれとともに用いることができる他の有用なアニオン界面活性剤としては、約8〜約24個、好適には12〜18個の炭素原子を含有する高級脂肪酸のナトリウム、カリウム、アンモニウムおよびアルキロールアンモニウム塩のようなアルカリ金属石鹸がある。石鹸は、脂肪および油の直接鹸化によるか、または遊離脂肪酸、例えばココナツ油または獣脂から誘導される脂肪酸の混合物のナトリウムおよびカリウム塩の中和により製造することができる。
【0054】
好適な洗浄用非イオン性界面活性剤としては、12〜16個の炭素原子を有するアルキル基および3〜40個のオキシエチレン単位を含有するエトキシル化脂肪アルコール、例えばC12〜C15アルコールとアルコール1モル当たり約5〜約20モルのエチレンオキシドとの縮合生成物、8〜12個の炭素原子を有するアルキル基および3〜40個のオキシエチレン単位を含有するエトキシル化アルキルフェノールならびにポリヒドロキシ脂肪酸アミドが挙げられる。
【0055】
液体洗濯組成物は、ビルダー、例えば1〜10質量%のアルカリ金属、アンモニウムまたは置換アンモニウムポリアセテート、カルボキシレート、ポリカルボキシレートまたはポリヒドロキシスルホネート;プロテアーゼ、リパーゼおよび/またはアミラーゼ酵素を含有する酵素製剤、ならびにpH調整剤または緩衝剤を含有することができる。液体洗濯組成物は、一般に例えば15〜95質量%の水を含有する水性組成物である。
【0056】
液体洗濯組成物に分散剤を添加して組成物の良好な性能に有利である組成物中のマイクロカプセルの分散を向上させるのが好ましい場合がある。適当な分散剤の例としては、BASFのGlenium 250cc、Glenium c327およびGlenium 21のようなポリカルボン酸を含有する(ブロック)コポリマー、または例えばダウコーニングより商品名DC193で販売されるようなケイ素ポリエーテルがある。分散剤はマイクロカプセルの凝集を防止するのを手助けし、透明または半透明の液体洗濯組成物が望ましい場合とくに好適である。分散剤をマイクロカプセルの添加前に液体洗濯組成物に添加することができるが、好適には、カプセル化織物柔軟剤を懸濁液として洗濯液に添加する場合、マイクロカプセルの懸濁液に添加するのが好ましい。
【0057】
本発明者らは、織物をカプセル化した織物柔軟添加剤を含有する本発明に係る液体洗濯組成物で洗濯すると、カプセル化していない同量の同じ織物柔軟剤を含有する同じ液体洗濯組成物での洗濯と比べて、織物の優れた柔軟性がおそらく織物に対する柔軟剤の優れたリテンションにより達成されることを見出した。本発明者らは、織物柔軟剤のカプセル化がその洗剤の界面活性剤ミセル中への溶解化から保護し、また織物がフィルターとして機能してマイクロカプセルを保持することができ、その後すすぎ中および脱水中に破れて活性織物柔軟剤を放出すると考える。
【0058】
本発明に係るヘアシャンプー組成物は、一般に界面活性剤と、上述のようにカプセル化した毛髪コンディショナー添加剤とを含み、ここで織物または繊維コンディショナーが毛髪コンディショナーである。洗髪用界面活性剤は、通常シャンプーの約4質量%〜40質量%を形成する。用いる洗髪用界面活性剤は、アニオン性、非イオン性、両性イオン性、両性またはカチオン性タイプとすることができ、またはこれらタイプの組み合わせもしくは同じタイプ(イオン性または非イオン性)の1つ以上の界面活性剤を含むことができる。好適には、シャンプー組成物が水で湿潤した際にほぼ中性のpH、例えばpH4.5〜9.5を有する。
【0059】
適当なアニオン性洗髪用界面活性剤の例としては、エトキシル化ラウリル硫酸ナトリウム(ラウレス硫酸ナトリウムまたはSLES)、ラウリル硫酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、キシレンスルホン酸ナトリウム、ラウレス硫酸アンモニウム、ポリナフタレンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウムおよびキシレンスルホン酸アンモニウムが挙げられる。
【0060】
適当なカチオン性洗髪用界面活性剤の例としては、塩化オクチルトリメチルアンモニウム、塩化ドデシルトリメチルアンモニウム、塩化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、塩化オクチルジメチルベンジルアンモニウム、塩化デシルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ジドデシルジメチルアンモニウム、塩化ジオクタデシルジメチルアンモニウム、塩化タロウトリメチルアンモニウムおよび塩化ココトリメチルアンモニウムのようなハロゲン化第4級アンモニウムの他に、これらの物質の対応する水酸化物または他の塩、脂肪アミンおよび塩基性ピリジニウム化合物、ベンズイミダゾリンの第4級アンモニウム塩基ならびにポリプロパノールポリエタノールアミンが挙げられる。
【0061】
適当な両性洗髪用界面活性剤の例としては、コカミドプロピルベタイン(CAPB)、ヒドロキシ硫酸コカミドプロピル、ココベタイン、コカミド酢酸ナトリウム、ココジメチルベタイン、N−ココ−3−アミノ酪酸およびイミダゾリニウムカルボキシル化合物が挙げられる。
【0062】
非イオン性洗髪用界面活性剤の例としては、ポリエチレングリコール長鎖(12〜14C)アルキルエーテルのようなポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンソルビタンエーテル、ポリオキシアルキレンアルコキシレートエステル、ポリオキシアルキレンアルキルフェノールエーテル、エチレングリコールプロピレングリコールコポリマー、長鎖脂肪酸アミドならびにコカミドジエタノールアミド(コカミドDEA)、ポリビニルアルコールおよびアルキルポリサッカリドのようなそれらの誘導体が挙げられる。
【0063】
本発明に係るヘアシャンプー組成物は、例えば、香料、フレグランス、染料のような着色料、精油、ビタミン、シャンプーの活性成分の毛髪上への沈着を改善するためのポリ第4級化合物のような沈着剤、緩衝剤、安定剤および防腐剤から選択される他の成分を含有することができる。
【0064】
コンディショニング剤をシェル中に香料とともにカプセル化し、コンディショニングおよび香り上の利点をもたらす添加剤を提供することができる。コンディショニング添加剤を、シェル中にカプセル化した香料または香料前駆体を含有する香料添加剤とともに用いてコンディショニングおよび香り添加剤を得ることもできる。
【0065】
本発明を以下の実施例により例示する。実施例について添付の図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1A】製剤例F1で製造したカプセルの濃縮分散およびこれらのカプセルの2つの市販の液体洗剤中での分散、ならびに製剤例F3のエマルジョンの1つの市販の液体洗剤中での分散の顕微鏡写真を示す。
【図1B】製剤例F1で製造したカプセルの4つ市販の液体洗剤中での分散の45日または65日保存した後の顕微鏡写真を示す。
【実施例】
【0067】
製剤例
製剤例1(F1)
アミノシロキサンポリマー織物柔軟剤25gを、29%の塩化セチルトリメチルアンモニウム(CTAC)の溶液0.4gおよび氷酢酸0.5gを用いて水70g中で乳化した。生成したエマルジョンは、10μmのD05を有していた。TEOS1.5gを添加し、12時間重合させた。重合の終わりに、分散剤2.4gを添加し、カプセルをさらに2時間撹拌した。
【0068】
製剤例2(F2)
F1と同じだが、TEOS1.5gの代わりにTEOS0.15gを添加する。
【0069】
製剤例3(F3)(本発明の範囲外の製剤例)
F1と同じだが、TEOSの代わりに水1.5gを添加する。この製剤を以下の実施例ではエマルジョンと呼ぶ。
【0070】
製剤例4(F4)
F1と同じだが、TEOSの代わりにTEOSおよび第4級アンモニウム置換アルキルトリアルコキシシラン3−(トリメトキシシリル)−プロピル−N,N−ジメチル−オクタデシルアンモニウムクロリドの混合物(50:50)、(メタノール中72質量%)1.5gを添加する。
【0071】
製剤例5(F5)
F1と同じだが、TEOS1.5gの代わりにTEOS1.0gを添加する。
【0072】
製剤例6(F6)
F1と同じだが、TEOS1.5gの代わりにTEOS0.5gを添加する。
【0073】
製剤例7(F7)
F1と同じだが、分散剤2.4gの代わりに水2.4gを添加する。
【0074】
製剤例8〜14(F8〜F14)
これらは製剤例4のように調製したが、TEOSと第4級窒素を含む官能基を有するアルキルトリアルコキシシランとの比を変える。これらを表1に示す。
【0075】
【表1】

【0076】
製剤例F15
866の重合度(DP)を有するヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサン34gを、29%の塩化セチルトリメチルアンモニウムの溶液0.4g、ポリオキシエチレン(3)ラウリルエーテル0.2gおよび2.5MのHCl0.2gを用いて水63.9g中で乳化した。生成したエマルジョンは約8マイクロメーターのD05を有していた。TEOSおよび第4級窒素を含む官能基を有するアルキルトリアルコキシシラン、3−(トリメトキシシリル)−プロピル−N,N−ジメチル−オクタデシルアンモニウムクロリドの混合物(50:50)、(メタノール中72質量%)1.3gを添加した後、12時間重合させた。
【0077】
製剤例F16〜F20
F16〜F20を表2に記載する成分でF15のように調製した。製剤F17はシランの代わりに水を含有した。これは従って本発明の範囲外の比較例である。
【0078】
【表2】

【0079】
マイクロカプセルシェル厚を以下の物理的関係式で求めた。
シェル厚(nm)=((D(v,0.5)/2)−(Dv0.5/2(ペイロード/100)1/3))1000
D(v,0.5)はミクロンで表す
ペイロード=柔軟ポリマー体積100/(柔軟ポリマー体積+シェル体積)
柔軟ポリマー体積=柔軟ポリマー質量/柔軟ポリマー密度
シェル体積=シェル質量/2
【0080】
製剤F1〜F20のマイクロカプセルのシェル厚は表3に示す。


【表3】

【0081】
ここに記載する粒径測定は、英国Malvern Instruments Ltd.の「Mastersizer 2000」を用いるレーザー回折法により行い、上記粒径についてのさらなる情報は、例えば“Basic Principles of Particle Size Analytics”, Dr. Alan Rawle, Malvern Instruments Limited, WR14 1XZ, UKおよび“Manual of Malvern Particle Size Analyser”に記載されている。とくに、取扱説明書第MNA 0096号、第1.0版、1994年11月を参照する。本出願において示すすべての粒径はD(v,0.5)による平均粒径であり、Malvern Mastersizerで測定され、他に何も記載されていないまたは自明でない場合、散乱パターンはMie理論に従って分析した。
【0082】
(実施例1)
分散物対エマルジョンの安定性
本例は、ミクロン径粒子の形態下での完全に製剤した市販のHDLにおける柔軟剤の相溶化について本発明の有用性を証明した。さまざまな市販の液体洗剤に、本発明者らはシリコーンエマルジョン(製剤F3)またはエマルジョン中のものと同じシリコーンポリマを含有するカプセル(製剤F1またはF2)を、同じポリマー/洗剤の質量比で添加した。
【0083】
こうして得た2イン1液体洗剤の試料を長焦点20倍対物レンズ(この場合ZeissのAXIOPLAN)およびフレーム取り込み器に接続した高感度ライブイメージCCDカメラ(25フレーム/秒)を備えたZeiss顕微鏡を用いて透過照明で観察した。HDL/エマルジョンおよびHDL/カプセル混合物を標準的な顕微鏡板の間に載せ、一定の時間間隔で観察した。
【0084】
シリコーンエマルジョン組み込みの混合15〜20分後、エマルジョン液滴は見られなかったが、カプセル化したシリコーンポリマーを用いる場合、1か月保存した後も分散カプセルが見られた。
【0085】
図1Aは、混合15〜20分後に撮った液体洗剤−エマルジョンおよび液体洗剤−カプセルの混合物の典型的な顕微鏡写真を示す。図1Bは、分散体がさまざまな液体洗剤中で何週間も安定していたことを示した。
【0086】
図1aのテキスト記述
透過照明(光学顕微鏡)で観察すると、この場合製剤F1である分散体はコアシェル構造の球体を示す。
【0087】
同じ分散体を液体洗剤(例えばRegular Tide(商標)またはOMO(商標))と3%のシリコーン活性で混合した。対照として、カプセル化前のエマルジョン(製剤F3)を同じ2つの市販の洗剤と混合した。
【0088】
非カプセル化エマルジョンの液滴は洗剤中で不安定であり、混合の15〜20分後これらの液滴はもはや顕微鏡で見えなくなる。いずれの理論にも拘束されることなく、この「消失」は洗剤のマトリックス中で活性なシリコーンの分子可溶化によると考えられる。これに対し、カプセル化エマルジョン(F1、カプセル厚10nm)は洗剤中で安定し、目に見える変化は観察されなかった。
【0089】
図1bのテキスト記述
F1のカプセルを3%のシリコーン活性でさまざまな市販の洗剤中に分散させた。これらの製剤を光学顕微鏡で透過照明で観察した。45または65日保存した後、カプセルは依然損なわれず、第1日目と同じ構造が観察される。
【0090】
各試料F15〜F20を市販の洗剤と最終混合物中で1%シリコーン活性の比率で混合した。得られた混合物を上述のように顕微鏡を用いて観察した。カプセルの非常に良好な分散性が見られた。次に、混合物を気候室に40℃で4週間置いた。熟成プロセスの終わりに混合物を再び顕微鏡を用いて観察した。試料F17(本発明の範囲外)ではカプセルは検出されなかった。F15、F16およびF18〜F20の外観は熟成前に観察したものと同様だった。F18およびF20の容器の壁に微量のバルクシリコーンを検出した。15μm未満のD05を有するF15、F16およびF19のマイクロカプセルは、F18およびF20の大きなマイクロカプセルより安定している。
【0091】
(実施例2)
シェル厚の影響
実施例1は、シェルがポリマーをHDL中に完全に溶解しないように保護することを示した。この実施例2は、カプセル化した活性物質の保護のためのポリマーシェルの重要性を示した。洗剤のマトリックス中での活性物質の溶解を定量化するため、本発明者らはTurbiscan M2000装置上で行う濁度測定を用いた。液体洗剤が透明または半透明であることが多いので、微細粒子の存在は洗剤の透過率を低下し、濁度を上昇させるはずである。同様に、エマルジョン液滴/粒子の消失は、濁度の低下および透過率の上昇ををもたらす。
【0092】
表4は、数週間の間記録した種々の2イン1製剤の透過率を示す。各試料をHDL/カプセル混合物を含有する容器の底からの2つの異なる高さ(A−底から4cm、B−底から5cm)で測定した。各測定前に、各試料を均質化し、クリーム種を再分散させた。表4は、F6の場合の不安定化が調製の4日後にはすでに顕著だったが、より厚いシェルを有するカプセルは時間が経っても非常に良好な安定性を示したことを示す。
【0093】
【表4】

【0094】
対照として、Regular Tideを観測した。時間0で、AおよびBでの透過率は0.9289だった。時間80000で、Aは0.92、Bは0.9269だった。
【0095】
(実施例3)
分散剤(分散体)の存在
分散剤を含むカプセル化織物柔軟剤(F1)および分散剤を含まない柔軟剤(F7)を市販の洗剤に3%アミノシロキサン活性の比率で添加した。すべての場合において、カプセル径は11um、(前述のように測定したD(v,0.5))だった。
【0096】
オペレータが直接目視観測で視覚的評価を行った。洗剤+F7を含有するボトルAを洗剤+F1を含有するボトルBと比較した。ボトルAでは卵白に似たはっきりとした大きな塊が見られ、これは再度分散することができなかった。ボトルBでは塊は見られず、液体は均質に見えた。おそらくカプセルのシェル上に吸収されるポリマーである分散剤の存在はよって、液体洗剤中の高濃度の界面活性剤によりもたらされる浸透圧衝撃を抑えると考えられる。
【0097】
(実施例4)
柔軟性の利点
柔軟性の利点についてのパネル試験
この試験は洗濯サイクル後の乾いた織物(とくにタオル)の柔軟性を測定するために行った。
【0098】
・ 織物のプレコンディショニング
このステップは、織物の製造中に施したシリコーン(またはその他)処理を除去し、本発明の特定の処理前に洗濯物がシリコーン/表面処理剤を含まないことを確実にするために行った。
【0099】
洗濯物は5つの新しい枕カバーおよび4つの小さなパイル地タオル(30×50cm)とし、1.0kgだった。
【0100】
この洗濯物を以下の条件で4回洗濯した。
・ プレウォッシュ1:Miele W934−長プログラム−水の硬度:0°F−Dash粉末20g−温度:95℃−スピン速度:600rpm
・ ブランク1:Miele W934−長プログラム−水の硬度:0°F−洗剤なし−温度:95℃−スピン速度:600rpm
・ プレウォッシュ2:プレウォッシュ1と同条件
・ ブランク2:ブランク1と同条件
【0101】
同じタイプの洗濯機(Miele W377、W934またはW715)ではプレコンディショニングの全サイクルを常に行った。いくらか時間を節約するため、3組の洗濯物を同じ洗濯機で同時にプレウォッシュすることができた。洗濯物総量は3.0kgであり、粉末洗剤の量は60gに調節した。
【0102】
・ 自家製HDL
自家製HDLは、15.70%のMaranilペーストA5(商品名)、7.30%のDehydrol LT7(商品名)、3.23%のシリコーン消泡剤、8.06%のソーダ灰および66.53%の水の混合物とした。
【0103】
・ 織物処理
2つまたは3つの処理を平行して2つまたは3つの異なる洗濯機で同時に行った。常に1つは織物柔軟剤を含む市販の液体洗剤で洗濯する対照処理とし、1つまたは2つは試験すべき製品での処理とした。異なる処理を行ったすべての織物を室温で同時に自然乾燥させた(温度および相対湿度は制御するか、一連の対照と同じでなければならない)。
【0104】
・ パネル試験
通常、各パネリストは2つ、3つまたは4つのタオルを提示された。1つ、2つまたは3つのタオルをそれぞれ実験製剤で処理し、1つは対照、すなわち織物柔軟剤を含有する市販の液体洗剤で洗濯したものだった。1つのパイル地タオルは4人のパネリストについて用い、その後別のものに取り替えた。16〜20人のパネリストに以下の質問をした。
・ 「どのタオルが柔らかいですか?」
・ 「1番目の織物を対照として10段階評価の5をつけるとすると、10が非常に柔らかく滑らかであることを指すとして、他の織物をどう評価しますか?」
【0105】
表5は16人のパネリストから得た結果を示す。「対照」は「Dash 2−in−1」の商標で市販される液体洗剤である。
【0106】
【表5】

【0107】
試験1は、市販の洗剤に本発明に係るカプセル化織物柔軟剤およびコンディショニング剤をドープすることにより市販の対照より良好な結果をもたらしたことを示した。
【0108】
試験2は、自家製洗剤よりなる材料が市販の対照より良好で、コンディショニングポリマーを用いるとさらに良好になることを示した。
【0109】
試験3は、異なる市販の洗剤について試験1と同じことを示した。
【0110】
試験4は、シェルを含有しないエマルジョン(F3)を添加しても効果がない、すなわちカプセル化が必要であることを示した。
【0111】
(実施例5)
シェルの組成
製剤F4、F8、F10、F11に従って調製したカプセルを市販の洗剤と3%の活性レベルで混合した。こうして得たドープ洗剤を前実施例に記載した手順に従ってパネル試験に用いた。表6に結果をまとめる。F4およびF11により処理したタオルは、洗剤のみで洗濯したタオルより「かなり柔らかい」とされた。試料F8およびF10も洗剤のみで洗濯したものより柔らかいタオルをもたらしたが、選択対照の柔らかさよりわずかに下回った。
【0112】
【表6】

【0113】
(実施例6)
代替ポリマー
20人のパネリストを選択し、上で説明したようなランクを付けさせるパネル評価を適用し、各試料F15〜F20を1つずつもとの市販の洗剤と比較した。これらの試験は、新鮮な混合物および熟成させた混合物の両方について行った。パネリストは2つのタオルを提示され、もとの(対照)洗剤で洗濯したタオルに5をつけた。各洗剤−カプセル混合物の平均点を20人のパネリストがつけた点数の相加平均として求めた。結果を表7に示す。
【0114】
すべての製剤F15〜F20は、製剤−HDL混合物が新鮮な場合、対照より良好な結果をもたらした。しかしながら、洗剤−製剤混合物の熟成後、F17製剤を含有する混合物は不安定となり、熟成後油性液滴が洗剤表面上に現れた。従って、この熟成混合物についてはパネル試験を行わなかった。本発明による製剤を含む熟成洗剤で処理したタオルはパネリストにより肯定的に評価された。
【0115】
【表7】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
織物、皮膚、毛髪または繊維コンディショニング剤をケイ素含有ポリマーネットワークからなるシェル内にカプセル化することを特徴とする液体洗浄製品用の織物、繊維、毛髪または皮膚コンディショニング添加剤
【請求項2】
前記シェルが一つ以上のアルコキシシラン化合物の重合生成物を含む請求項1に記載のコンディショニング添加剤。
【請求項3】
前記シェルがテトラアルコキシシランの重合生成物を含む請求項2に記載のコンディショニング添加剤。
【請求項4】
前記シェルがテトラアルコキシシランと、少なくとも一つのケイ素結合アルコキシ基を有する別のケイ素化合物との重合生成物を含む請求項3に記載のコンディショニング添加剤。
【請求項5】
前記シェルがテトラアルコキシシランと、少なくとも一つのケイ素結合アルコキシ基を有する第4級アミノシランとの重合生成物を含む請求項4に記載のコンディショニング添加剤。
【請求項6】
前記第4級アミノシランが式R’−Si−Y−N+R”を有し、式中の各基R’は1個または2個の炭素原子を有するアルコキシ基であり、各基R”は1〜18個の炭素原子を有するアルキル基であり、Yはnが1〜18の整数である式C2nを有する二価有機基である請求項5に記載のコンディショニング添加剤。
【請求項7】
前記コンディショニング剤がポリオルガノシロキサンを含む請求項1〜6のいずれかに記載のコンディショニング添加剤。
【請求項8】
前記コンディショニング剤がアミノ官能ポリオルガノシロキサンを含む請求項7に記載のコンディショニング添加剤。
【請求項9】
前記アミノ官能ポリオルガノシロキサンが次式:
Si(R−O−(Si(CH−O)−(Si(CH)R−O)−Si(R
を有し、式中のRは1〜30個の炭素原子および1〜5個の窒素原子を有するアミノアルキル基であり、各基Rは1〜4個の炭素原子を有するアルコキシ基、1〜18個の炭素原子を有する炭化水素基および/または1〜18個の炭素原子および1〜3個の窒素原子を有するアミノアルキル基から選択され、xおよびyは1〜100の整数であり、yは0.1x未満である請求項8に記載のコンディショニング添加剤。
【請求項10】
前記コンディショニング剤がトリメチルまたはヒドロキシ末端のポリジメチルシロキサンを含む請求項1〜9のいずれかに記載のコンディショニング添加剤。
【請求項11】
前記ポリジメチルシロキサンが100〜5000、より好適には500〜4000、更に好適には800〜3000の範囲内のDPを有する請求項10に記載のコンディショニング添加剤。
【請求項12】
前記シェルを含むカプセルの平均体積径が2〜30μmの範囲内である請求項1〜11に記載のコンディショニング添加剤。
【請求項13】
前記カプセルのシェル厚が5〜20nm、より好適には6〜18nmである請求項1〜12に記載のコンディショニング添加剤。
【請求項14】
水反応性ケイ素化合物を含む液体組成物(組成物A)を繊維または織物コンディショニング剤の水性エマルジョン(組成物B)に添加し、これにより組成物Aを組成物Bの乳化液滴との界面で縮合および重合してマイクロカプセルを形成することを備え、後者がケイ素系重合ネットワークからなるシェルにより囲まれた繊維、皮膚または織物コンディショナー組成物Bのコアを有することを特徴とするカプセル化した繊維、皮膚または織物コンディショニング添加剤の製造方法。
【請求項15】
前記液体組成物Aが液体テトラアルコキシシランを含む請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記組成物Bが10〜50質量%のアミノ官能ポリオルガノシロキサンを含有するカチオン水性エマルジョンを含む請求項14または15に記載の方法。
【請求項17】
界面活性剤と、請求項1〜13のいずれかに記載したまたは請求項14〜16のいずれかの方法により製造した織物柔軟添加剤とを含み、前記織物または繊維コンディショナーが織物軟化剤である液体洗濯洗剤組成物。
【請求項18】
界面活性剤と、請求項1〜13のいずれかに記載したまたは請求項14〜16のいずれかの方法により製造した毛髪コンディショニング添加剤とを含む液体毛髪洗浄組成物。
【請求項19】
界面活性剤と、請求項1〜13のいずれかに記載したまたは請求項14〜16のいずれかの方法により製造した皮膚コンディショニング添加剤とを含む液体パーソナルケア組成物。
【請求項20】
カプセル化したポリオルガノシロキサンの液体洗濯洗剤組成物における織物柔軟剤としての使用。
【請求項21】
ケイ素含有ポリマーネットワークからなるシェル内に織物柔軟剤をカプセル化することを特徴とする織物柔軟剤の液体洗濯洗剤組成物への使用。
【請求項22】
ケイ素含有ポリマーネットワークからなるシェル内にコンディショナーをカプセル化することを特徴とするカプセル化毛髪または皮膚コンディショナーの液体パーソナルケア組成物への使用。

【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate


【公表番号】特表2012−505959(P2012−505959A)
【公表日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−532249(P2011−532249)
【出願日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際出願番号】PCT/US2009/060836
【国際公開番号】WO2010/045454
【国際公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【出願人】(590001418)ダウ コーニング コーポレーション (166)
【氏名又は名称原語表記】DOW CORNING CORPORATION
【Fターム(参考)】