説明

置換二環式ヘテロアリール化合物およびその使用

本出願は新規置換二環式ヘテロアリール化合物、それらの製造のための方法、疾患の処置および/または予防のためのそれらの使用、および、疾患の処置および/または予防のための、とりわけ心血管疾患の処置および/または予防のための薬剤の製造のためのそれらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は新規置換二環式ヘテロアリール化合物、それらの製造方法、疾患の処置および/または予防のためのそれらの使用、並びに疾患の処置および/または予防、とりわけ心血管疾患の処置および/または予防用薬剤を製造するためのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
プロスタサイクリン(PGI)はアラキドン酸の誘導体である生物活性プロスタグランジンのクラスに属する。PGIは内皮細胞におけるアラキドン酸代謝の主な生成物であり、強力な血管拡張因子および血小板凝集の阻害因子である。PGIはトロンボキサンA(TxA)の生理学的アンタゴニスト、強力な血管収縮因子および血小板凝集の刺激因子であり、したがって、血管ホメオスタシスの維持に貢献する。PGIレベルの低下は種々の心血管疾患の発症の1つの原因であると考えられる[Dusting, G.J. et al., Pharmac. Ther. 1990, 48: 323-344; Vane, J. et al., Eur. J. Vasc. Endovasc. Surg. 2003, 26: 571-578]。
【0003】
ホスホリパーゼAによるリン脂質からのアラキドン酸の放出後、PGIはシクロオキシゲナーゼ、次にPGI−シンターゼにより合成される。PGIは貯蔵されず、合成後即座に放出され、その効果は局所的に働く。PGIは、即座に(半減期、約3分)かつ非酵素的に不活性な代謝物の6−ケト−プロスタグランジン−F1アルファに変換される不安定な分子である[Dusting, G.J. et al., Pharmac. Ther. 1990, 48: 323-344]。
【0004】
PGIの生物学的効果はプロスタサイクリン受容体またはIP受容体と呼ばれる膜結合受容体への結合を介して起こる[Narumiya, S. et al., Physiol. Rev. 1999, 79: 1193-1226]。IP受容体は7回膜貫通ドメインにより特徴付けられるG−タンパク質−共役受容体の1つである。ヒトIP受容体に加えて、プロスタサイクリン受容体は、また、ラットおよびマウスからクローニングされている[Vane, J. et al., Eur. J. Vasc. Endovasc. Surg. 2003, 26: 571-578]。平滑筋細胞において、IP受容体の活性化はATPからcAMPの形成を触媒するアデニル酸シクラーゼの刺激を引き起こす。細胞内cAMP濃度の増加はプロスタサイクリンに誘導される血管拡張および血小板凝集の阻害の原因である。血管作用特性に加えて、抗増殖性効果[Schroer, K. et al., Agents Actions Suppl. 1997, 48: 63-91; Kothapalli, D. et al., Mol. Pharmacol. 2003, 64: 249-258; Planchon, P. et al., Life Sci. 1995, 57: 1233-1240]および抗動脈硬化効果[Rudic, R.D. et al., Circ. Res. 2005, 96: 1240-1247; Egan K.M. et al., Science 2004, 114: 784-794]が、また、PGIに対して示されている。さらに、PGIは、また、転移の形成を阻害する[Schneider, M.R. et al., Cancer Metastasis Rev. 1994, 13: 349-64]。これらの効果がcAMP形成の刺激によるものか、またはそれぞれの標的細胞における他のシグナル伝達経路、例えば、ホスホイノシチドカスケードおよびカリウムチャネルのIP受容体に媒介される活性化[Wise, H. et al. TIPS 1996, 17: 17-21]によるものかは不明である。
【0005】
PGIの効果は全体的に見ると治療的に有利な点があるが、PGIの臨床適用はその化学的かつ代謝的不安定性により非常に限定される。より安定であるPGI類似体、例えば、イロプロスト[Badesch, D.B. et al., J. Am. Coll. Cardiol. 2004, 43: 56S-61S]およびトレプロスチニル[Chattaraj, S.C., Curr. Opion. Invest. Drugs 2002, 3: 582-586]を利用することができるが、これらの化合物は非常に作用時間が短い。さらに、該物質は、例えば、持続注入、皮下的または反復吸入による複雑な投与経路によってのみ患者に投与することができる。これらの投与形路は、また、注射部位でさらなる副作用、例えば、感染症または疼痛を有し得る。今日までで患者へ経口投与で利用できる唯一のPGI誘導体であるベラプロスト[Barst, R.J. et al., J. Am. Coll. Cardiol. 2003, 41: 2119-2125]の使用は、その短い作用時間により再度限定される。
【0006】
本出願において記載されている化合物は、PGIの生物学的作用をまね、したがって疾患、特に心血管疾患の処置のために使用することができる、PGIと比較して、化学的にかつ代謝的に安定なIP受容体の非プロスタノイド活性化剤である。
【0007】
WO00/75145は細胞接着阻害剤としての二環式ヘテロアリール核構造を有する化合物を主張している。4−アミノ−、4−オキシ−および/または4−チオ−置換フロ[2,3−d]ピリミジン、チエノ[2,3−d]ピリミジンおよび/またはピロロ[2,3−d]ピリミジン誘導体および疾患を処置するためのそれらの使用はとりわけWO97/02266、WO99/07703、WO99/65908、JP2002−105081−A、WO02/092603、WO03/018589、WO03/022852、WO2004/111057、WO2005/092896、WO2005/121149、WO2006/004658、WO2006/004703およびUS2007/0099877−A1に記載されている。4−グリシンまたは4−アラニン側鎖を有するジアリール−置換チエノ[2,3−d]ピリミジンの製造および生物学的活性はBioorg. Med. Chem. 10, 3113-3122 (2002)で報告されている。疾患を処置するための種々の4−アミノ−、4−オキシ−および/または4−チオ−置換フロピリジン、チエノピリジンまたはピロロピリジン誘導体は、例えば、US6,232,320−B1、WO2006/069080およびWO2006/130160で主張されており、DE 29 09 754−A1はアテローム性動脈硬化症を処置するための特定のオキシ−置換ベンゾフラン誘導体を記載している。
【0008】
先行技術の化合物と対照的に、本出願で請求している化合物は、二置換二環式ヘテロアリール核構造がカルボン酸またはカルボン酸様官能基に特定の空間距離で結合していることを特徴とする。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、一般式(I)
【化1】

〔式中、
B、DおよびEはそれぞれCHまたはNを示し、
GはNH、OまたはSを示し
{ただし、同時にBおよびEがNを示し、そしてDがCHを示すとき、GはOを示さず、
そして、同時にB、DおよびEがCHを示すとき、GはNHまたはSを示さない}、
AはOまたはN−Rを示し
{ここで、Rは水素、(C−C)−アルキル、(C−C)−シクロアルキルまたは(C−C)−シクロアルケニルを示す}、
Mは式
【化2】

で示される基を示し
[ここで、
#は基Aへの結合点を示し、
そして、
##は基Zへの結合点を示し、
は水素、またはヒドロキシルもしくはアミノにより置換されていてもよい(C−C)−アルキルを示し、
はフッ素により一置換もしくは二置換されていてもよい(C−C)−アルカンジイルまたは(C−C)−アルケンジイルを示すか、または式◆−L1A−V−L1B−◆◆の基を示し
{ここで、
◆は基−CHRへの結合点を示し、
◆◆は基Zへの結合点を示し、
1Aは(C−C)−アルキルおよび(C−C)−アルコキシからなる群から選択される同一であるかまたは異なる置換基により一置換もしくは二置換されていてもよい(C−C)−アルカンジイルを示し、
1Bは結合またはフッ素により一置換もしくは二置換されていてもよい(C−C)−アルカンジイルを示し、
そして、
VはOまたはN−Rを示し、ここで、
は水素、(C−C)−アルキルまたは(C−C)−シクロアルキルを示す}、
は結合または(C−C)−アルカンジイルを示し、
はフッ素により一置換もしくは二置換されていてもよい(C−C)−アルカンジイル{ここで、メチレン基はOまたはN−Rにより置換されていてもよく、ここで、Rは水素、(C−C)−アルキルまたは(C−C)−シクロアルキルを示す}を示すか、または(C−C)−アルケンジイルを示し、
そして、
Qは(C−C)−シクロアルキル、(C−C)−シクロアルケニル、フェニル、5ないし7員ヘテロシクリルまたは5もしくは6員ヘテロアリールを示し、これらそれぞれはフッ素、塩素、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、トリフルオロメトキシ、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノおよびジ−(C−C)−アルキルアミノ{ここで、この部分の(C−C)−アルキルはヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、アミノ、モノ−もしくはジ−(C−C)−アルキルアミノにより置換されていてよい}からなる群から選択される2個までの同一であるかまたは異なるラジカルにより置換されていてよい]、
【0010】
Zは式
【化3】

で示される基を示し
{ここで、###は基LまたはLへの結合点を示し、
そして、Rは水素または(C−C)−アルキルを示す}、
そして、
およびRは同一であるか、または異なっており、互いに独立して、(C−C)−シクロアルキル、(C−C)−シクロアルケニル、フェニル、5ないし7員ヘテロシクリルまたは5もしくは6員ヘテロアリールを示し、これらそれぞれはハロゲン、シアノ、ニトロ、(C−C)−アルキル、(C−C)−アルケニル、(C−C)−アルキニル、(C−C)−シクロアルキル、(C−C)−シクロアルケニル、(C−C)−アルコキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、(C−C)−アルキルチオ、(C−C)−アシル、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノ、ジ−(C−C)−アルキルアミノおよび(C−C)−アシルアミノ{ここで、これらの部分の(C−C)−アルキルおよび(C−C)−アルコキシはそれぞれシアノ、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−アルキルチオ、アミノ、モノ−もしくはジ−(C−C)−アルキルアミノにより置換されていてもよい}からなる群から選択される同一であるかまたは異なるラジカルにより一置換ないし三置換されていてよいか、
または、
および/またはRはフェニルを示し、そこでは、隣接する環炭素原子に結合している2個のラジカルが一体となって式−O−CH−O−、−O−CHF−O−、−O−CF−O−、−O−CH−CH−O−または−O−CF−CF−O−の基を形成する〕
で示される化合物並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物を提供する。
【0011】
本発明の化合物は式(I)の化合物およびそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物、下記の式の式(I)により包含される化合物およびそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物、ならびに式(I)により包含され実施例として後述する化合物、およびそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物である(後述する式(I)に包含される化合物が、既に塩、溶媒和物および塩の溶媒和物でない場合に)。
【0012】
構造によっては本発明の化合物は立体異性体形(エナンチオマー、ジアステレオマー)で存在し得る。したがって本発明はエナンチオマーまたはジアステレオマーおよびそれらのそれぞれの混合物に関する。立体異性的に純粋な構成物が、エナンチオマーおよび/またはジアステレオマーのこのような混合物から既知の方法で単離できる。
【0013】
本発明の化合物が互変異性体を生じることができるとき、本発明はすべての互変異性体形を包含する。
【0014】
本発明の目的のために好ましいは、本発明の化合物の生理学的に許容される塩である。しかしながら、医薬的適用に不適当であるが、例えば、本発明の化合物を単離または精製するために使用され得る塩もまた含まれる。
【0015】
本発明の化合物の生理学的に許容される塩は鉱酸、カルボン酸およびスルホン酸の酸付加塩、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸および安息香酸の塩を含む。
【0016】
本発明の化合物の生理学的に許容される塩は慣用の塩基の塩、例えば、好ましくは、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウムおよびカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウムおよびマグネシウム塩)およびアンモニアまたは1から16個のC原子を含む有機アミン、例えば、好ましくは、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジメチルアミノエタノール、プロカイン、ジベンジルアミン、N−メチルモルホリン、アルギニン、リシン、エチレンジアミンおよびN−メチルピペリジン由来のアンモニウム塩を含む。
【0017】
溶媒和物は、本発明の目的上、溶媒分子との配位を介して固体または液体状態の錯体を形成している本発明の化合物の形態を意味する。水和物は配位が水とで起こっている溶媒和物の特定の形態である。水和物は本発明の内容において好ましい溶媒和物である。
【0018】
さらに、本発明は、本発明による化合物のプロドラッグの使用を含む。用語「プロドラッグ」には、それら自体は生物学的に活性であっても不活性であってもよいが、それらの体内残留時間中に(例えば代謝的または加水分解的に)本発明による化合物に変換される化合物が含まれる。
【0019】
特に、Zが式
【化4】

で示される基を示す式(I)の化合物に対して、本発明はこれらの化合物の加水分解性エステル誘導体も含む。これらは、生理学的媒体中、下記の生物学的試験の条件下で、特にインビボで、酵素または化学経路により、生物学的に主に活性である化合物としての遊離カルボン酸に加水分解することができるエステルを意味すると理解すべきである。アルキル基が直鎖または分岐鎖であってよい(C−C)−アルキルエステルがこのようなエステルとして好ましい。特に好ましくはメチルまたはエチルエステルが挙げられる(ラジカルRの対応する定義も参照)。
【0020】
本発明の文脈において、置換基は、特に記載のない限り、下記の意味を有する:
(C−C)−アルキル、(C−C)−アルキル、(C−C)−アルキルおよび(C−C)−アルキルは本発明の内容において各々1から6個、1から5個、1から4個および1から3個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アルキルラジカルを示す。好ましくは1から4個、特に1から3個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アルキルラジカルが挙げられる。好ましいものとして挙げることができる例は下記のものである:メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、1−エチルプロピル、n−ペンチルおよびn−ヘキシル。
【0021】
(C−C)−アルケニル、(C−C)−アルケニルおよび(C−C)−アルケニルは本発明の内容において各々2から6個、2から5個および2から4個の炭素原子および1または2個の二重結合を有する直鎖または分岐鎖アルケニルラジカルを示す。2から4個の炭素原子および1個の二重結合を有する直鎖または分岐鎖アルケニルラジカルが好ましい。好ましいものとして挙げることができる例は下記のものである:ビニル、アリル、イソプロペニルおよびn−ブタ−2−エン−1−イル。
【0022】
(C−C)−アルキニルは本発明の内容において2から4個の炭素原子および1個の三重結合を有する直鎖または分岐鎖アルキニルラジカルを示す。2から4個の炭素原子を有する直鎖アルキニルラジカルが好ましい。好ましいものとして挙げることができる例は下記のものである:エチニル、n−プロパ−1−イン−1−イル、n−プロパ−2−イン−1−イル、n−ブタ−2−イン−1−イルおよびn−ブタ−3−イン−1−イル。
【0023】
(C−C)−アルカンジイルおよび(C−C)−アルカンジイルは本発明の内容において各々1から4個および1から3個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖二価アルキルラジカルを示す。それぞれの場合において、各々1から4個および1から3個の炭素原子を有する直鎖アルカンジイルラジカルが好ましい。好ましいものとして挙げることができる例は下記のものである:メチレン、エタン−1,2−ジイル(1,2−エチレン)、エタン−1,1−ジイル、プロパン−1,3−ジイル(1,3−プロピレン)、プロパン−1,1−ジイル、プロパン−1,2−ジイル、プロパン−2,2−ジイル、ブタン−1,4−ジイル(1,4−ブチレン)、ブタン−1,2−ジイル、ブタン−1,3−ジイルおよびブタン−2,3−ジイル。
【0024】
(C−C)−アルカンジイル、(C−C)−アルカンジイルおよび(C−C)−アルカンジイルは本発明の内容において各々1から7個、1から5個および3から7個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖二価アルキルラジカルを示す。それぞれの場合において、各々1から7個、1から5個および3から7個の炭素原子を有する直鎖アルカンジイルラジカルが好ましい。好ましいものとして挙げることができる例は下記のものである:メチレン、エタン−1,2−ジイル(1,2−エチレン)、エタン−1,1−ジイル、プロパン−1,3−ジイル(1,3−プロピレン)、プロパン−1,1−ジイル、プロパン−1,2−ジイル、プロパン−2,2−ジイル、ブタン−1,4−ジイル(1,4−ブチレン)、ブタン−1,2−ジイル、ブタン−1,3−ジイル、ブタン−2,3−ジイル、ペンタン−1,5−ジイル(1,5−ペンチレン)、ペンタン−2,4−ジイル、3−メチルペンタン−2,4−ジイルおよびヘキサン−1,6−ジイル(1,6−ヘキシレン)。
【0025】
(C−C)アルケンジイルおよび(C−C)−アルケンジイルは本発明の内容において各々2から4個および2から3個の炭素原子および2個までの二重結合を有する直鎖または分岐鎖二価アルケニルラジカルを示す。それぞれの場合において、各々2から4個および2から3個の炭素原子および1個の二重結合を有する直鎖アルケンジイルラジカルが好ましい。好ましいものとして挙げることができる例は下記のものである:エテン−1,1−ジイル、エテン−1,2−ジイル、プロペン−1,1−ジイル、プロペン−1,2−ジイル、プロペン−1,3−ジイル、ブタ−1−エン−1,4−ジイル、ブタ−1−エン−1,3−ジイル、ブタ−2−エン−1,4−ジイルおよびブタ−1,3−ジエン−1,4−ジイル。
【0026】
(C−C)アルケンジイルおよび(C−C)−アルケンジイルは本発明の内容において各々2から7個および3から7個の炭素原子および3個までの二重結合を有する直鎖または分岐鎖二価アルケニルラジカルを示す。それぞれの場合において、各々2から7個および3から7個の炭素原子および1個の二重結合を有する直鎖アルケンジイルラジカルが好ましい。好ましいものとして挙げることができる例は下記のものである:エテン−1,1−ジイル、エテン−1,2−ジイル、プロペン−1,1−ジイル、プロペン−1,2−ジイル、プロペン−1,3−ジイル、ブタ−1−エン−1,4−ジイル、ブタ−1−エン−1,3−ジイル、ブタ−2−エン−1,4−ジイル、ブタ−1,3−ジエン−1,4−ジイル、ペンタ−2−エン−1,5−ジイル、ヘキサ−3−エン−1,6−ジイルおよびヘキサ−2,4−ジエン−1,6−ジイル。
【0027】
(C−C)−アルコキシおよび(C−C)−アルコキシは本発明の内容において各々1から6個および1から4個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アルコキシラジカルを示す。1から4個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アルコキシラジカルが好ましい。好ましいものとして挙げることができる例は下記のものである:メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、tert−ブトキシ、n−ペントキシおよびn−ヘキソキシ。
【0028】
(C−C)−アルキルチオおよび(C−C)−アルキルチオは本発明の内容において各々1から6個および1から4個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アルキルチオラジカルを示す。1から4個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アルキルチオラジカルが好ましい。好ましいものとして挙げることができる例は下記のものである:メチルチオ、エチルチオ、n−プロピルチオ、イソプロピルチオ、n−ブチルチオ、tert−ブチルチオ、n−ペンチルチオおよびn−ヘキシルチオ。
【0029】
(C−C)−アシル[(C−C)−アルカノイル]、(C−C)−アシル[(C−C)−アルカノイル]および(C−C)−アシル[(C−C)−アルカノイル]は本発明の内容において1位に二重結合した酸素原子を有し、1位を介して結合している各々1から6個、1から5個および1から4個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アルキルラジカルを示す。1から4個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アシルラジカルが好ましい。好ましいものとして挙げることができる例は下記のものである:ホルミル、アセチル、プロピオニル、n−ブチリル、イソブチリルおよびピバロイル。
【0030】
モノ−(C−C)−アルキルアミノおよびモノ−(C−C)−アルキルアミノは本発明の内容において各々1から6個および1から4個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アルキル置換基を有するアミノ基を示す。1から4個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖モノアルキルアミノラジカルが好ましい。好ましいものとして挙げることができる例は下記のものである:メチルアミノ、エチルアミノ、n−プロピルアミノ、イソプロピルアミノおよびtert−ブチルアミノ。
【0031】
ジ−(C−C)−アルキルアミノおよびジ−(C−C)−アルキルアミノは本発明の内容において各々1から6個および1から4個の炭素原子を有する2個の同一であるか、または異なっている直鎖または分岐鎖アルキル置換基を有するアミノ基を示す。それぞれの場合において1から4個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖ジアルキルアミノラジカルが好ましい。好ましいものとして挙げることができる例は下記のものである:N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ、N−エチル−N−メチルアミノ、N−メチル−N−n−プロピルアミノ、N−イソプロピル−N−n−プロピルアミノ、N−tert−ブチル−N−メチルアミノ、N−エチル−N−n−ペンチルアミノおよびN−n−ヘキシル−N−メチルアミノ。
【0032】
(C−C)−アシルアミノおよび(C−C)−アシルアミノは本発明の内容において各々1から6個および1から4個の炭素原子を有し、カルボニル基を介して結合している直鎖または分岐鎖アシル置換基を有するアミノ基を示す。1から4個の炭素原子を有するアシルアミノラジカルが好ましい。好ましいものとして挙げることができる例は下記のものである:ホルムアミド、アセトアミド、プロピオンアミド、n−ブチルアミドおよびピバロイルアミド。
【0033】
(C−C)−シクロアルキル、(C−C)−シクロアルキルおよび(C−C)−シクロアルキルは本発明の内容において各々3から7個、3から6個および4から6個の炭素原子を有する単環式飽和シクロアルキル基を示す。3から6個の炭素原子を有するシクロアルキルラジカルが好ましい。好ましいものとして挙げることができる例は下記のものである:シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチル。
【0034】
(C−C)−シクロアルケニル、(C−C)−シクロアルケニルおよび(C−C)−シクロアルケニルは本発明の内容において各々4から7個、4から6個および5または6個の炭素原子および1個の二重結合を有する単環式シクロアルキル基を示す。4から6個、特に好ましくは5または6個の炭素原子を有するシクロアルケニルラジカルが好ましい。好ましいものとして挙げることができる例は下記のものである:シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニルおよびシクロヘプテニル。
【0035】
5ないし7員ヘテロシクリルは本発明の内容においてNおよびOからなる基からの1または2個の環ヘテロ原子を含み、環炭素原子および/または、適当なとき、環窒素原子を介して結合している5から7個の環原子を有する飽和または部分的に不飽和ヘテロ環を示す。NおよびOからなる基からの1または2個の環ヘテロ原子を有する5もしくは6員飽和ヘテロ環が好ましい。挙げることができる例は下記のものである:ピロリジニル、チオピラニル、ピラゾリジニル、テトラヒドロフラニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロピラニル、モルホリニル、ヘキサヒドロアゼピニルおよびヘキサヒドロ−1,4−ジアゼピニル。好ましくはピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ピペリジニル、ピペラジニル、テトラヒドロピラニルおよびモルホリニルが挙げられる。
【0036】
5もしくは6員ヘテロアリールは本発明の内容においてN、OおよびSからなる基からの1または2個の環ヘテロ原子を含み、環炭素原子および/または、適当なとき、環窒素原子を介して結合している5または6個の環原子を有する芳香族性ヘテロ環(ヘテロ芳香族性)を示す。挙げることができる例は下記のものである:フリル、ピロリル、チエニル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニルおよびピラジニル。好ましくはチエニル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニルおよびピラジニルが挙げられる。
【0037】
ハロゲンは本発明の内容においてフッ素、塩素、臭素およびヨウ素を含む。好ましくは塩素またはフッ素が挙げられる。
【0038】
本発明の化合物のラジカルが置換されているとき、該ラジカルは、特に記載のない限り、1個以上の置換基で置換されていてもよい。本発明の文脈において、1個以上で存在するすべてのラジカルの意味は互いに独立している。1、2または3個の同一であるかまたは異なっている置換基による置換が好ましい。1個の置換基による置換がさらに特に好ましい。
【0039】
本発明の文脈において、好ましくは、二環式環系
【化5】

が式
【化6】

で示されるヘテロアリール基を示し
{ここで、
*はラジカルRへの結合点を示し、
**はラジカルRへの結合点を示し、
そして、
***は基−A−M−Zへの結合点を示し、
B、DおよびEはそれぞれCHまたはNを示す、ただし、同時にDがCHを示し、EがNを示すとき、BはNを示さず、
そして、
GはNHまたはSを示す}、
AがOまたはN−Rを示し
{ここで、Rは水素、(C−C)−アルキルまたはシクロプロピルを示す}、
Mが式
【化7】

で示される基を示し
[ここで、
#は基Aへの結合点を示し、
そして、
##は基Zへの結合点を示し、
は水素、またはヒドロキシルもしくはアミノにより置換されていてもよい(C−C)−アルキルを示し、
はフッ素により一置換もしくは二置換されていてもよい(C−C)−アルカンジイルまたは(C−C)−アルケンジイル、または、式◆−L1A−V−L1B−◆◆で示される基を示し
{ここで、
◆は基−CHRへの結合点を示し、
◆◆は基Zへの結合点を示し、
1Aはメチルおよびエチルからなる群から選択される同一であるかまたは異なっている置換基により一置換もしくは二置換されていてもよい(C−C)−アルカンジイルを示し、
1Bはフッ素により一置換もしくは二置換されていてもよい(C−C)−アルカンジイルを示し、
そして、
VはOまたはN−Rを示し、ここで、
は水素、(C−C)−アルキルまたはシクロプロピルを示す}、
は結合または(C−C)−アルカンジイルを示し、
は(C−C)−アルカンジイル{これは、フッ素により一置換もしくは二置換されていてもよい}、(C−C)−アルケンジイル、または、式●−W−CR−●●、●−W−CH−CR−●●または●−CH−W−CR−●●の基を示し
{ここで、
●は環Qへの結合点を示し、
●●は基Zへの結合点を示し、
WはOまたはN−Rを示し、ここで、
は水素、(C−C)−アルキルまたはシクロプロピルを示し、
そして、
およびRは、互いに独立して、水素またはフッ素を示す}、
そして、
Qは(C−C)−シクロアルキル、(C−C)−シクロアルケニル、フェニルまたは5もしくは6員ヘテロシクリルを示し、これらそれぞれはフッ素、塩素、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメトキシ、アミノ、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノおよびジエチルアミノからなる群から選択される2個までの同一であるかまたは異なるラジカルにより置換されていてもよい]、
【0040】
Zが式
【化8】

で示される基を示し
{ここで、###は基LまたはLへの結合点を示し、
そして、Rは水素、メチルまたはエチルを示す}、
そして、
およびRが同一であるか、または異なっており、互いに独立して、(C−C)−シクロアルケニル、フェニルまたは5もしくは6員ヘテロアリールを示し、これらそれぞれはフッ素、塩素、シアノ、(C−C)−アルキル、(C−C)−アルケニル、(C−C)−シクロアルキル、(C−C)−シクロアルケニル、(C−C)−アルコキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、(C−C)−アルキルチオ、(C−C)−アシル、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノ、ジ−(C−C)−アルキルアミノおよび(C−C)−アシルアミノからなる群から選択される同一であるかまたは異なるラジカルにより一置換もしくは二置換されていてもよいか、
または、
および/またはRがフェニルを示し、そこでは、隣接する環炭素原子に結合している2個のラジカルが一体となって式−O−CH−O−、−O−CHF−O−または−O−CF−O−の基を形成する、
式(I)の化合物並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物が挙げられる。
【0041】
本発明の文脈において、特に好ましくは二環式環系
【化9】

が式
【化10】

で示されるヘテロアリール基を示し
{ここで、
*はラジカルRへの結合点を示し、
**はラジカルRへの結合点を示し、
そして、
***は基−A−M−Zへの結合点を示す}、
AがOまたはNHを示し、
Mが式
【化11】

で示される基を示し
[ここで、
#は基Aへの結合点を示し、
そして、
##は基Zへの結合点を示し、
は水素、メチルまたはエチルを示し、
は(C−C)−アルカンジイル、(C−C)−アルケンジイルまたは式◆−L1A−V−L1B−◆◆の基を示し
{ここで、
◆は基−CHRへの結合点を示し、
◆◆は基Zへの結合点を示し、
1Aはメチルにより一置換もしくは二置換されていてもよい(C−C)−アルカンジイルを示し、
1Bは(C−C)−アルカンジイルを示し、
そして、
VはOまたはN−CHを示す}、
は結合、メチレン、エタン−1,1−ジイルまたはエタン−1,2−ジイルを示し、
は(C−C)−アルカンジイルまたは式●−W−CH−●●もしくは●−W−CH−CH−●●の基を示し
{ここで、
●は環Qへの結合点を示し、
●●は基Zへの結合点を示し、
そして、
WはOまたはN−Rを示し、ここで、
は水素または(C−C)−アルキルを示す}、
そして、
Qはシクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、ピロリジニル、ピペリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、モルホリニルまたはフェニルを示し、これらそれぞれはフッ素、メチル、エチル、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、メトキシおよびエトキシからなる群から選択される2個までの同一であるかまたは異なるラジカルにより置換されていてもよい]、
【0042】
Zが式
【化12】

で示される基を示し
{ここで、###は基LまたはLへの結合点を示す}、
そして、
およびRが同一であるか、または異なっており、互いに独立して、シクロペンテン−1−イル、シクロヘキセン−1−イル、フェニル、チエニルまたはピリジルを示し、これらそれぞれはフッ素、塩素、シアノ、(C−C)−アルキル、(C−C)−アルケニル、(C−C)−アルコキシ、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシからなる群から選択される同一であるかまたは異なるラジカルにより一置換もしくは二置換されていてもよい、
式(I)の化合物並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物が挙げられる。
【0043】
本発明の文脈において、特別に好ましくは式(I−A)
【化13】

〔式中、
AはOまたはNHを示し、
Mは式
【化14】

で示される基を示し
[ここで、
#は基Aへの結合点を示し、
そして、
##はカルボン酸基への結合点を示し、
は水素またはメチルを示し、
はブタン−1,4−ジイル、ペンタン−1,5−ジイルまたは式◆−L1A−O−L1B−◆◆の基を示し
{ここで、
◆は基−CHRへの結合点を示し、
◆◆はカルボン酸基への結合点を示し、
1Aはメチルにより一置換もしくは二置換されていてもよいメチレンまたはエタン−1,2−ジイルを示し、
そして、
1Bはメチレンまたはエタン−1,2−ジイルを示す}、
は結合またはメチレンを示し、
はメチレン、エタン−1,2−ジイル、プロパン−1,3−ジイルまたは式●−O−CH−●●もしくは●−O−CH−CH−●●の基を示し
{ここで、●は環Qへの結合点を示し、
そして、●●はカルボン酸基への結合点を示す}、
そして、
Qはシクロペンチル、シクロヘキシルまたはフェニルを示す]、
はフッ素または塩素により置換されていてもよいフェニルを示し、
そして、
はメチル、エチル、メトキシまたはエトキシにより置換されていてもよいフェニルを示す〕
の化合物並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物が挙げられる。
【0044】
特別に好ましくは、また、式(I−B)
【化15】

〔式中、
AはOまたはNHを示し、
Mは式
【化16】

で示される基を示し
[ここで、
#は基Aへの結合点を示し、
そして、
##はカルボン酸基への結合点を示し、
は水素またはメチルを示し、
はブタン−1,4−ジイル、ペンタン−1,5−ジイルまたは式◆−L1A−O−L1B−◆◆の基を示し
{ここで、
◆は基−CHRへの結合点を示し、
◆◆はカルボン酸基への結合点を示し、
1Aはメチルにより一置換もしくは二置換されていてもよいメチレンまたはエタン−1,2−ジイルを示し、
そして、
1Bはメチレンまたはエタン−1,2−ジイルを示す}、
は結合またはメチレンを示し、
はメチレン、エタン−1,2−ジイル、プロパン−1,3−ジイルまたは式●−O−CH−●●もしくは●−O−CH−CH−●●の基を示し
{ここで、●は環Qへの結合点を示し、
そして、●●はカルボン酸基への結合点を示す}、
そして、
Qはシクロペンチル、シクロヘキシルまたはフェニルを示す]、
はフッ素または塩素により置換されていてもよいフェニルを示し、
そして、
はメチル、エチル、メトキシまたはエトキシにより置換されていてもよいフェニルを示す〕
の化合物並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物が挙げられる。
【0045】
特別に好ましくは式(I−C)
【化17】

〔式中、
AはOまたはNHを示し、
Mは式
【化18】

で示される基を示し
[ここで、
#は基Aへの結合点を示し、
そして、
##はカルボン酸基への結合点を示し、
は水素またはメチルを示し、
はブタン−1,4−ジイル、ペンタン−1,5−ジイルまたは式◆−L1A−O−L1B−◆◆の基を示し
{ここで、
◆は基−CHRへの結合点を示し、
◆◆はカルボン酸基への結合点を示し、
1Aはメチルにより一置換もしくは二置換されていてもよいメチレンまたはエタン−1,2−ジイルを示し、
そして、
1Bはメチレンまたはエタン−1,2−ジイルを示す}、
は結合またはメチレンを示し、
はメチレン、エタン−1,2−ジイル、プロパン−1,3−ジイルまたは式●−O−CH−●●もしくは●−O−CH−CH−●●の基を示し
{ここで、●は環Qへの結合点を示し、
そして、●●はカルボン酸基への結合点を示す}、
そして、
Qはシクロペンチル、シクロヘキシルまたはフェニルを示す]、
はフッ素または塩素により置換されていてもよいフェニルを示し、
そして、
はメチル、エチル、メトキシまたはエトキシにより置換されていてもよいフェニルを示す〕
の化合物並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物が挙げられる。
【0046】
特別に好ましくは、また、式(I−D)
【化19】

〔式中、
AはOまたはNHを示し、
Mは式
【化20】

で示される基を示し
[ここで、
#は基Aへの結合点を示し、
そして、
##はカルボン酸基への結合点を示し、
は水素またはメチルを示し、
はブタン−1,4−ジイル、ペンタン−1,5−ジイルまたは式◆−L1A−O−L1B−◆◆の基を示し
{ここで、
◆は基−CHRへの結合点を示し、
◆◆はカルボン酸基への結合点を示し、
1Aはメチルにより一置換もしくは二置換されていてもよいメチレンまたはエタン−1,2−ジイルを示し、
そして、
1Bはメチレンまたはエタン−1,2−ジイルを示す}、
は結合またはメチレンを示し、
はメチレン、エタン−1,2−ジイル、プロパン−1,3−ジイルまたは式●−O−CH−●●もしくは●−O−CH−CH−●●の基を示し
{ここで、●は環Qへの結合点を示し、
そして、●●はカルボン酸基への結合点を示す}、
そして、
Qはシクロペンチル、シクロヘキシルまたはフェニルを示す]、
はフッ素または塩素により置換されていてもよいフェニルを示し、
そして、
はメチル、エチル、メトキシまたはエトキシにより置換されていてもよいフェニルを示す〕
の化合物並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物が挙げられる。
【0047】
特別に好ましくは、また、式(I−E)
【化21】

〔式中、
AはOまたはNHを示し、
Mは式
【化22】

で示される基を示し
[ここで、
#は基Aへの結合点を示し、
そして、
##はカルボン酸基への結合点を示し、
は水素またはメチルを示し、
はブタン−1,4−ジイル、ペンタン−1,5−ジイルまたは式◆−L1A−O−L1B−◆◆の基を示し
{ここで、
◆は基−CHRへの結合点を示し、
◆◆はカルボン酸基への結合点を示し、
1Aはメチルにより一置換もしくは二置換されていてもよいメチレンまたはエタン−1,2−ジイルを示し、
そして、
1Bはメチレンまたはエタン−1,2−ジイルを示す}、
は結合またはメチレンを示し、
はメチレン、エタン−1,2−ジイル、プロパン−1,3−ジイルまたは式●−O−CH−●●もしくは●−O−CH−CH−●●の基を示し
{ここで、●は環Qへの結合点を示し、
そして、●●はカルボン酸基への結合点を示す}、
そして、
Qはシクロペンチル、シクロヘキシルまたはフェニルを示す]、
はフッ素または塩素により置換されていてもよいフェニルを示し、
そして、
はメチル、エチル、メトキシまたはエトキシにより置換されていてもよいフェニルを示す〕
の化合物並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物が挙げられる。
【0048】
ラジカルのそれぞれの組合せおよび好ましい組合せにおける個々のラジカルの定義は、また、それぞれの与えられたラジカルの組合せから独立して、他の組合せのラジカルの定義により置き換えることができる。
【0049】
特に好ましいのは、上記好ましい範囲の2つ以上の組合せで得られるものである。
【0050】
本発明の文脈において、非常に特に好ましくは下記の化合物が挙げられる:
(6R)−6−{[5−(4−メトキシフェニル)−6−フェニル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル]オキシ}ヘプタン酸;
(6R)−6−{[5−(4−メトキシフェニル)−6−フェニルチエノ[2,3−d]ピリミジン−4−イル]オキシ}ヘプタン酸;
(6R)−6−{[5−(4−エチルフェニル)−6−フェニルチエノ[2,3−d]ピリミジン−4−イル]オキシ}ヘプタン酸;
(6R)−6−{[3−(4−メトキシフェニル)−2−フェニル−1−ベンゾフラン−4−イル]オキシ}ヘプタン酸;
(3−{[3−(4−メトキシフェニル)−2−フェニルフロ[3,2−c]ピリジン−4−イル]アミノ}−2,2−ジメチルプロポキシ)酢酸;
(6R)−6−{[3−(4−メトキシフェニル)−2−フェニルフロ[3,2−c]ピリジン−4−イル]オキシ}ヘプタン酸;
3−(3−{[3−(4−エチルフェニル)−2−フェニルフロ[2,3−b]ピリジン−4−イル]アミノ}−2,2−ジメチルプロポキシ)プロパン酸;
6−{[3−(4−エチルフェニル)−2−フェニルフロ[2,3−b]ピリジン−4−イル]アミノ}ヘキサン酸;
(3−{[3−(4−エチルフェニル)−2−フェニルフロ[2,3−b]ピリジン−4−イル]オキシ}プロポキシ)酢酸;
および
(6R)−6−{[3−(4−エチルフェニル)−2−フェニルフロ[2,3−b]ピリジン−4−イル]オキシ}ヘプタン酸、
並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物。
【0051】
本発明はさらに、Zが−COOHまたは−C(=O)−COOHを示す、本発明の式(I)の化合物を製造する方法を提供し、それは、
[A]式(II)
【化23】

〔式中、B、D、E、G、RおよびRはそれぞれ上記意味を有し、
そして、Xは脱離基、例えば、ハロゲン、特に塩素を示す〕
で示される化合物を、不活性溶媒中で塩基の存在下で、式(III)
【化24】

〔式中、AおよびMはそれぞれ上記意味を有し、
そして、
はシアノまたは式−[C(O)]−COOR7Aの基を示し、ここで、
yは0または1の数を示し、
そして、
7Aは(C−C)−アルキルを示す〕
で示される化合物と反応させ、式(IV)
【化25】

〔式中、A、B、D、E、G、M、Z、RおよびRはそれぞれ上記意味を有する〕
で示される化合物を得るか、または、
【0052】
[B]式(V)
【化26】

〔式中、A、B、D、E、G、RおよびRはそれぞれ上記意味を有する〕
で示される化合物を、不活性溶媒中で塩基の存在下で、式(VI)
【化27】

〔式中、MおよびZは上記意味を有し、
そして、
は脱離基、例えば、ハロゲン、メシレート、トシレートまたはトリフレートを示す〕
で示される化合物と反応させ、式(IV)
【化28】

〔式中、A、B、D、E、G、M、Z、RおよびRはそれぞれ上記意味を有する〕
で示される化合物を得、
次に式(IV)の化合物をエステルまたはシアノ基Zの加水分解により式(Ia)
【化29】

〔式中、A、B、D、E、G、M、R、Rおよびyはそれぞれ上記意味を有する〕
で示されるカルボン酸に変換し、
これらを、適当なとき、適当な(i)溶媒および/または(ii)塩基または酸を使用して、それらの溶媒和物、塩および/または塩の溶媒和物に変換することを特徴とする。
【0053】
工程(II)+(III)→(IV)および(V)+(VI)→(IV)のための不活性溶媒は、例えば、エーテル、例えば、ジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、グリコールジメチルエーテルまたはジエチレングリコールジメチルエーテル、炭化水素、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサンまたは鉱油画分、ハロゲン化炭化水素、例えば、ジクロロメタン、トリクロロメタン、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロベンゼンもしくはクロロトルエン、または他の溶媒、例えば、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N’−ジメチルプロピレンウレア(DMPU)、N−メチルピロリドン(NMP)またはアセトニトリルである。言及した溶媒の混合物を使用することも可能である。好ましくはテトラヒドロフラン、トルエン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドまたはこれらの溶媒の混合物を使用する。
【0054】
しかしながら、適当なとき、工程(II)+(III)→(IV)および(V)+(VI)→(IV)は、また、溶媒の非存在下で行うことができる。
【0055】
工程(II)+(III)→(IV)および(V)+(VI)→(IV)のための適当な塩基は、慣用の無機または有機塩基である。これらは、好ましくは、水酸化アルカリ金属、例えば、水素化リチウム、水酸化ナトリウムもしくは水酸化カリウム、炭酸アルカリ金属またはアルカリ土類金属、例えば、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウムまたは炭酸セシウム、アルカリ金属アルコキシド、例えば、ナトリウムtert−ブトキシドまたはカリウムtert−ブトキシド、水素化アルカリ金属、例えば、水素化ナトリウムまたは水素化カリウム、アミド、例えば、リチウムビス(トリメチルシリル)アミドまたはカリウムビス(トリメチルシリル)アミドまたはリチウムジイソプロピルアミド、有機金属化合物、例えば、ブチルリチウムまたはフェニルリチウム、または有機アミン、例えば、トリエチルアミン、N−メチルモルホリン、N−メチルピペリジン、N,N−ジイソプロピルエチルアミンまたはピリジンを含む。
【0056】
アルコール誘導体[(III)および(V)のA=O]との反応の場合、ホスファゼン塩基(いわゆる“シュヴェージンガー塩基”)、例えば、P2−t−BuまたはP4−t−Buが同様に好都合である[例えば、R. Schwesinger, H. Schlemper, Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 26, 1167 (1987); T. Pietzonka, D. Seebach, Chem. Ber. 124, 1837 (1991)、参照]。
【0057】
アミン誘導体[(III)および(V)のA=N]との反応において、使用する塩基は好ましくは三級アミン、特に、N,N−ジイソプロピルエチルアミンまたはナトリウムtert−ブトキシドである。しかしながら、適当なとき、これらの反応は−過剰のアミン成分(III)が使用されるとき−また、助剤塩基の添加なしで実施できる。アルコール誘導体[(III)のA=O]との反応において、好ましくは水素化ナトリウム、炭酸カリウムまたは炭酸セシウムまたはホスファゼン塩基P2−t−BuおよびP4−t−Buが挙げられる。
【0058】
適当なとき、工程(II)+(III)→(IV)および(V)+(VI)→(IV)はクラウンエーテルの添加で有利に実施できる。
【0059】
1つの変法において、該反応(II)+(III)→(IV)および(V)+(VI)→(IV)は、また、塩基として水酸化アルカリ金属水溶液およびさらなる溶媒として上記炭化水素またはハロゲン化炭化水素の1つからなる二相混合物中で、相間移動触媒、例えば、テトラブチルアンモニウム硫酸水素塩またはテトラブチルアンモニウムブロマイドを使用して実施できる。
【0060】
工程(II)+(III)→(IV)および(V)+(VI)→(IV)は、アミン誘導体[(III)および(V)のA=N]との反応において、一般的に+50℃から+200℃、好ましくは+80℃から+150℃の温度範囲で実施する。アルコール誘導体[(III)および(V)のA=O]との反応において、該反応は一般的に−20℃から+120℃、好ましくは0℃から+80℃の温度範囲で実施する。
【0061】
工程(IV)→(Ia)のエステルまたはニトリル基Zの加水分解は、エステルまたはニトリルを不活性溶媒中で酸または塩基(後者の場合、最初に形成される塩が酸での処置により遊離カルボン酸に変換される)で処理することによる慣用の方法により実施される。tert−ブチルエステルの場合、エステル開裂は好ましくは酸を使用して実施する。
【0062】
これらの反応のための適当な不活性溶媒は水またはエステル開裂のための慣用の有機溶媒である。これらは好ましくはアルコール、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールまたはtert−ブタノール、またはエーテル、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンまたはグリコールジメチルエーテル、または他の溶媒、例えば、アセトン、ジクロロメタン、ジメチルホルムアミドまたはジメチルスルホキシドを含む。言及した溶媒の混合物を使用することも可能である。塩基性エステル加水分解の場合、好ましくは水とジオキサン、テトラヒドロフラン、メタノールおよび/またはエタノールの混合物を使用することが挙げられ、そして、ニトリル加水分解の場合、好ましくは水および/またはn−プロパノールを使用することが挙げられる。トリフルオロ酢酸との反応の場合、好ましくはジクロロメタンを使用することが挙げられ、そして、塩化水素との反応の場合、好ましくはテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサンまたは水を使用することが挙げられる。
【0063】
適当な塩基は慣用の無機塩基である。これらは、好ましくは水酸化アルカリ金属または水酸化アルカリ土類金属、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウムまたは水酸化バリウム、または炭酸アルカリ金属または炭酸アルカリ土類金属、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムまたは炭酸カルシウムを含む。特に好ましくは水酸化ナトリウムまたは水酸化リチウムが挙げられる。
【0064】
エステル開裂のために適当な酸は、一般的に、硫酸、塩化水素/塩酸、臭化水素/臭化水素酸、リン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸またはトリフルオロメタンスルホン酸、またはそれらの、適当なとき水との混合物である。好ましくはtert−ブチルエステルの場合、塩化水素またはトリフルオロ酢酸、メチルエステルの場合、塩酸が挙げられる。
【0065】
エステル開裂は一般的に0℃から+100℃、好ましくは+0℃から+50℃の温度範囲で行う。ニトリル加水分解は一般的に+50℃から+150℃、好ましくは+80℃から+120℃の温度範囲で行う。
【0066】
該反応は大気圧、高圧または低圧(例えば、0.5から5bar)で実施できる。一般的に、該反応は大気圧で実施する。
【0067】
Zが式
【化30】

で示される基を示す本発明の式(I)の化合物は、Zがシアノを示す式(IV)の化合物を不活性溶媒中でアルカリ金属アジドと塩化アンモニウムの存在下で、またはトリメチルシリルアジドと、適当なとき触媒の存在下で反応させることにより製造することができる。
【0068】
この反応のための不活性溶媒は、例えば、エーテル、例えば、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、グリコールジメチルエーテルまたはジエチレングリコールジメチルエーテル、炭化水素、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサンまたは鉱油画分、または他の溶媒、例えば、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、N,N’−ジメチルプロピレンウレア(DMPU)またはN−メチルピロリドン(NMP)である。言及した溶媒の混合物を使用することも可能である。好ましくはトルエンを使用する。
【0069】
適当なアジドは特に塩化アンモニウムの存在下のアジ化ナトリウムまたはトリメチルシリルアジドである。下記反応は有利に触媒の存在下で実施できる。この目的のために適当なものは特に化合物、例えば、ジ−n−ブチルスズオキシド、トリメチルアルミニウムまたは臭化亜鉛である。好ましくはジ−n−ブチルスズオキシドと共にトリメチルシリルアジドを使用することが挙げられる。
【0070】
該反応は一般的に+50℃から+150℃、好ましくは+60℃から+110℃の温度範囲で行う。該反応は大気圧、高圧または低圧(例えば、0.5から5bar)で実施できる。一般的に、該反応は大気圧で行う。
【0071】
Zが式
【化31】

で示される基を示す本発明の式(I)の化合物は、Zがメトキシカルボニルまたはエトキシカルボニル[y=0]を示す式(IV)の化合物を最初にヒドラジンを有する不活性溶媒中で式(VII)
【化32】

〔式中、A、B、D、E、G、M、RおよびRはそれぞれ上記意味を有する〕
で示される化合物に変換し、次にホスゲンまたはホスゲン同等物、例えば、N,N’−カルボニルジイミダゾールを有する不活性溶媒中で反応させることにより製造することができる。
【0072】
この反応系の最初の工程のための適当な不活性溶媒は、特にアルコール、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールもしくはtert−ブタノール、またはエーテル、例えば、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、グリコールジメチルエーテルまたはジエチレングリコールジメチルエーテルである。これらの溶媒の混合物を使用することも可能である。好ましくはメタノールおよびテトラヒドロフランの混合物を使用する。第2反応工程は好ましくはエーテル、特にテトラヒドロフラン中で行う。反応は一般的に0℃から+70℃の温度範囲で大気圧下で行う。
【0073】
が式◆−L1A−V−L1B−◆◆の基(式中、L1A、L1BおよびVは上記意味を有する)を示す本発明の式(I)の化合物は、あるいは、また、式(VIII)
【化33】

〔式中、A、B、D、E、G、L1A、V、R、RおよびRはそれぞれ上記意味を有する〕で示される化合物を塩基の存在下で、適当なとき不活性溶媒中で、式(IX)
【化34】

〔式中、L1BおよびZは上記意味を有し、
そして、
は脱離基、例えば、ハロゲン、メシレート、トシレートまたはトリフレートを示す〕で示される化合物で、または、L1Bが−CHCH−を示す場合、式(X)
【化35】

〔式中、Zは上記意味を有する〕
で示される化合物で、式(IV−A)
【化36】

〔式中、A、B、D、E、G、L1A、L1B、V、Z、R、RおよびRはそれぞれ上記意味を有する〕
で示される化合物に変換し、次にこれらをさらに上記方法に対応する方法で反応させることにより製造することができる。
【0074】
式(VIII)の化合物は、化合物(IV)の製造に準じて、式(II)または(V)の化合物の、式(XI)または(XII)
【化37】

〔式中、A、L1A、VおよびRはそれぞれ上記意味を有し、
Tは水素または一時的なO−もしくはN−保護基を示し、
そして、
は脱離基、例えば、ハロゲン、メシレート、トシレートまたはトリフレートを示す〕
で示される化合物での塩基触媒反応により得ることができる(下記反応スキーム1および2も参照)。
【0075】
類似の方法において、Lが式●−W−CR−●●または●−W−CH−CR−●●の基(式中、W、RおよびRは上記意味を有する)を示す本発明の式(I)の化合物は、また、式(XIII)
【化38】

〔式中、A、B、D、E、G、L、Q、W、RおよびRはそれぞれ上記意味を有する〕
で示される化合物を、塩基の存在下で、適当なとき不活性溶媒中で、式(XIV)
【化39】

〔式中、R、RおよびZはそれぞれ上記意味を有し、
mは0または1の数を示し、
そして、
は脱離基、例えば、ハロゲン、メシレート、トシレートまたはトリフレートを示す〕
で示される化合物で、またはLが●−W−CHCH−●●を示す場合、式(X)
【化40】

〔式中、Zは上記意味を有する〕
で示される化合物で式(IV−B)
【化41】

〔式中、A、B、D、E、G、L、Q、W、Z、R、R、R、Rおよびmはそれぞれ上記意味を有する〕
で示される化合物に変換し、次にこれらをさらに上記方法の1つの方法にしたがって反応させることにより製造することができる。
【0076】
式(XIII)の化合物は、化合物(IV)の製造に準じて、式(II)または(V)の化合物の、式(XV)または(XVI)
【化42】

〔式中、A、L、QおよびWはそれぞれ上記意味を有し、
Tは水素または一時的なO−もしくはN−保護基を示し、
そして、
は脱離基、例えば、ハロゲン、メシレート、トシレートまたはトリフレートを示す〕
で示される化合物での塩基触媒反応により得ることができる(下記反応スキーム1および2も参照)。
【0077】
工程(VIII)+(IX)および(X)→(IV−A)、(II)+(XI)→(VIII)、(V)+(XII)→(VIII)、(XIII)+(XIV)および(X)→(IV−B)、(II)+(XV)→(XIII)および(V)+(XVI)→(XIII)に対して、反応(II)+(III)→(IV)および(V)+(VI)→(IV)のための上記反応パラメーター、例えば、溶媒、塩基および反応温度を類似の方法で使用する。
【0078】
式(II)および(V)の化合物は文献から既知であるか、または文献に記載の方法に準じて製造することができる(以下の反応スキーム3−10およびそこに引用されている文献も参照)。
【0079】
式(III)、(VI)、(IX)、(X)、(XI)、(XII)、(XIV)、(XV)および(XVI)の化合物は市販されているか、文献から既知であるか、または文献から既知の方法に準じて製造することができる。
【0080】
本発明の化合物の製造は、下記合成スキームにより例示説明できる:
スキーム1:
【化43】

【0081】
スキーム2:
【化44】

【0082】
スキーム3:ベンジル−保護4−アミノ−および4−クロロピロロ[2,3−d]ピリミジン誘導体の合成
【化45】

【0083】
スキーム4:ジアリール−置換チエノ[2,3−d]ピリミジン誘導体の合成
【化46】

【0084】
スキーム5:ジアリール−置換4−ヒドロキシベンゾフラン誘導体の合成
【化47】

【0085】
スキーム6:ジアリール−置換4−クロロフロ[3,2−c]ピリジン誘導体の合成
【化48】

【0086】
スキーム7:4−クロロフロ[2,3−b]ピリジン誘導体の合成
【化49】

【0087】
スキーム8:4−クロロフロ[2,3−d][1,2,3]トリアジン誘導体の合成
【化50】

【0088】
スキーム9:4−ヒドロキシ−および4−クロロフロ[2,3−c]ピリジン誘導体の合成(1部)
【化51】

【0089】
スキーム10:4−ヒドロキシ−および4−クロロフロ[2,3−c]ピリジン誘導体の合成(2部)
【化52】

【0090】
本発明の化合物は価値のある薬理学的特性を有し、ヒトおよび動物における疾患の予防および処理のために使用することができる。本発明の化合物はIP受容体の化学的にかつ代謝的に安定な非プロスタノイド活性化剤である。
【0091】
したがって、それらは特に心血管疾患、例えば、安定および不安定狭心症、高血圧および心不全、肺高血圧の予防および/または処置、血栓塞栓症および虚血、例えば、心筋梗塞、卒中、一過性および虚血性発作およびくも膜下出血の予防および/または処置、ならびに、例えば、血栓溶解治療、経皮経管的血管形成術(PTA)、冠動脈血管形成術(PTCA)およびバイパス手術後の再狭窄の予防のために適当である。
【0092】
本発明の化合物は特に肺高血圧(PH)(種々の症状を含む)の処置および/または予防のために適当である。したがって、本発明の化合物は特に肺動脈高血圧(PAH)およびそのサブタイプ、例えば、特発性および家族性肺動脈高血圧、および、例えば、門脈高血圧、線維症、HIV感染または不適切な投薬または毒素と関連する肺動脈高血圧の処置および/または予防のために適当である。
【0093】
本発明の化合物は、また、他のタイプの肺高血圧の処置および/または予防のために使用することができる。したがって、例えば、それらは左心房または左心室障害および左心弁障害と関連する肺高血圧の処置および/または予防のために使用することができる。加えて、本発明の化合物は慢性閉塞性肺疾患、間質性肺疾患、肺線維症、睡眠時無呼吸症候群、肺胞低換気、高山病および肺発達障害と関連する肺高血圧の処置および/または予防のために適当である。
【0094】
さらに、本発明の化合物は慢性血栓および/または塞栓性疾患、例えば、近位肺動脈の血栓塞栓症、遠位肺動脈の閉塞および肺塞栓に基づく肺高血圧の処置および/または予防のために適当である。さらに、本発明の化合物はサルコイドーシス、ヒスチオサイトーシスXまたはリンパ脈管筋腫症と関連がある肺高血圧(ここで、肺高血圧は血管の外部圧迫により引き起こされる(リンパ節、腫瘍、線維化縦隔炎))の処置および/または予防のために使用することができる。
【0095】
加えて、本発明の化合物は、また、末梢および心血管疾患、末梢閉塞性疾患(PAOD、PVD)および末梢血流の障害の処置および/または予防のために使用することができる。
【0096】
さらに、本発明の化合物は動脈硬化、肝炎、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺水腫、線維化性肺疾患、例えば、特発性肺線維症(IPF)およびARDS、炎症性血管疾患、例えば、強皮症およびエリテマトーデス、腎不全、関節炎および骨粗鬆症の処置のため、また、癌、とりわけ転移性腫瘍の予防および/または処置のために使用することができる。
【0097】
さらに、本発明の化合物は、また、臓器移植、例えば、腎臓、肺、心臓または膵島細胞の保存媒体への添加剤として使用することができる。
【0098】
本発明は、さらに疾患、とりわけ前記疾患の処置および/または予防のための本発明の化合物の使用に関する。
【0099】
本発明は、さらに疾患、とりわけ前記疾患の処置および/または予防のための薬剤の製造のための本発明の化合物の使用に関する。
【0100】
本発明は、さらに有効量の少なくとも1種の本発明の化合物を使用する、疾患、とりわけ前記疾患の処置および/または予防のための方法に関する。
【0101】
本発明の化合物は、単独で、または、必要なとき、他の活性化合物と組み合わせて使用できる。本発明は、さらに、とりわけ上記障害の処置および/または予防のための、本発明の化合物および1種以上のさらなる活性成分を含む薬剤に関する。組合せに適する活性成分は、例として、好ましくは、以下のものである:
●有機硝酸塩およびNOドナー、例えば、ニトロプルシドナトリウム、ニトログリセリン、一硝酸イソソルビド、二硝酸イソソルビド、モルシドミンまたはSIN−1、およびNO吸入;
●環状グアノシン一リン酸(cGMP)および/または環状アデノシン一リン酸(cAMP)の分解を阻害する化合物、例えば、ホスホジエステラーゼ(PDE)1、2、3、4および/または5の阻害剤、とりわけPDE5阻害剤、例えば、シルデナフィル、バルデナフィルおよびタダラフィル;
●グアニル酸シクラーゼのNO−非依存性であるがヘム−依存性の刺激剤、例えば、特にWO00/06568、WO00/06569、WO02/42301およびWO03/095451に記載の化合物;
●グアニル酸シクラーゼのNO−およびヘム−非依存性活性化剤、例えば、特にWO01/19355、WO01/19776、WO01/19778、WO01/19780、WO02/070462およびWO02/070510に記載の化合物;
【0102】
●ヒト好中球エラスターゼ(HNE)を阻害する化合物、例えば、シベレスタット、DX−890(Reltran)、エラフィンまたは特にWO03/053930、WO2004/020410、WO2004/020412、WO2004/024700、WO2004/024701、WO2005/080372、WO2005/082863およびWO2005/082864に記載の化合物;
●シグナル伝達カスケードを阻害する化合物、例えば、そして好ましくはキナーゼ阻害剤、特にチロシンキナーゼおよび/またはセリン/スレオニンキナーゼ阻害剤のグループの化合物;
●可溶性エポキシドヒドラーゼ(sEH)を阻害する化合物、例えば、N,N’−ジシクロヘキシルウレア、12−(3−アダマンタン−1−イル−ウレイド)ドデカン酸または1−アダマンタン−1−イル−3−{5−[2−(2−エトキシエトキシ)エトキシ]ペンチル}ウレア;
●心臓のエネルギー代謝に影響する化合物、例として、そして好ましくはエトモキシル、ジクロロ酢酸、ラノラジンまたはトリメタジジン;
【0103】
●VPAC受容体のアゴニスト、例として、好ましくは血管活性腸管ポリペプチド(VIP);
●例えば、そして好ましくは血小板凝集阻害剤、抗凝固剤またはプロフィビリン溶解物質のグループの抗血栓作用を有する薬剤;
●例えば、そして好ましくはカルシウムアンタゴニスト、アンギオテンシンAIIアンタゴニスト、ACE阻害剤、エンドセリンアンタゴニスト、レニン阻害剤、アルファ−受容体遮断剤、ベータ−受容体遮断剤、ミネラルコルチコイド受容体アンタゴニスト、Rhoキナーゼ阻害剤および利尿剤のグループの血圧を下げる活性成分;および/または、
●例えば、そして好ましくは甲状腺受容体アゴニスト、コレステロール合成阻害剤、例として、好ましくはHMG−CoAレダクターゼ阻害剤またはスクアレン合成阻害剤、ACAT阻害剤、CETP阻害剤、MTP阻害剤、PPAR−アルファ、PPAR−ガンマおよび/またはPPAR−デルタアゴニスト、コレステロール吸収阻害剤、リパーゼ阻害剤、ポリマー性胆汁酸吸着剤、胆汁酸再吸収阻害剤およびリポタンパク質(a)アンタゴニストのグループの脂質代謝を変化する活性成分。
【0104】
本発明の好ましい態様において、本発明の化合物はキナーゼ阻害剤、例として、好ましくはボルテゾミブ、カネルチニブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、イマチニブ、ラパチニブ、レスタウルチニブ、ロナファーニブ、ペガプチニブ(pegaptinib)、ペリチニブ、セマキサニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、タンズチニブ、ティピファニブ、バタラニブ、ファスジル、ロニダミン、レフルノミドまたはY−27632と組み合わせて投与される。
【0105】
抗血栓作用を有する薬剤は好ましくは血小板凝集阻害剤、抗凝固剤またはプロフィブリン溶解物質のグループの化合物を意味する。
【0106】
本発明の好ましい態様において、本発明の化合物は血小板凝集阻害剤、例として、好ましくはアスピリン、クロピドグレル、チクロピジンまたはジピリダモールと組み合わせて投与される。
【0107】
本発明の好ましい態様において、本発明の化合物はトロンビン阻害剤、例として、好ましくはキシメラガトラン、メラガトラン、ビバリルジンまたはクレキサンと組み合わせて投与される。
【0108】
本発明の好ましい態様において、本発明の化合物はGPIIb/IIIaアンタゴニスト、例として、好ましくはチロフィバンまたはアブシキシマブと組み合わせて投与される。
【0109】
本発明の好ましい態様において、本発明の化合物は第Xa因子阻害剤、例として、好ましくはリバロキサバン、DU−176b、フィデキサバン、ラザキサバン、フォンダパリナックス、イドラパリナックス、PMD−3112、YM−150、KFA−1982、EMD−503982、MCM−17、MLN−1021、DX9065a、DPC906、JTV803、SSR−126512またはSSR−128428と組み合わせて投与される。
【0110】
本発明の好ましい態様において、本発明の化合物はヘパリンまたは低分子量(LMW)ヘパリン誘導体と組み合わせて投与される。
【0111】
本発明の好ましい態様において、本発明の化合物はビタミンKアンタゴニスト、例として、好ましくはクマリンと組み合わせて投与される。
【0112】
血圧を下げる薬剤は好ましくはカルシウムアンタゴニスト、アンギオテンシンAIIアンタゴニスト、ACE阻害剤、エンドセリンアンタゴニスト、レニン阻害剤、アルファ−受容体遮断剤、ベータ−受容体遮断剤、ミネラルコルチコイド受容体アンタゴニスト、Rhoキナーゼ阻害剤および利尿剤のグループの化合物を意味する。
【0113】
本発明の好ましい態様において、本発明の化合物はカルシウムアンタゴニスト、例として、好ましくはニフェジピン、アムロジピン、ベラパミルまたはジルチアゼムと組み合わせて投与される。
【0114】
本発明の好ましい態様において、本発明の化合物はアルファ−1受容体遮断剤、例として、好ましくはプラゾシンと組み合わせて投与される。
【0115】
本発明の好ましい態様において、本発明の化合物はベータ−受容体遮断剤、例として、好ましくはプロプラノロール、アテノロール、チモロール、ピンドロール、アルプレノロール、オクスプレノロール、ペンブトロール、ブプラノロール、メチプラノロール、ナドロール、メピンドロール、カラゾロール、ソタロール、メトプロロール、ベタキソロール、セリプロロール、ビソプロロール、カルテオロール、エスモロール、ラベタロール、カルベジロール、アダプロロール、ランジオロール、ネビボロール、エパノロールまたはブシンドロールと組み合わせて投与される。
【0116】
本発明の好ましい態様において、本発明の化合物はアンギオテンシンAIIアンタゴニスト、例として、好ましくはロサルタン、カンデサルタン、バルサルタン、テルミサルタンまたはエンブサルタンと組み合わせて投与される。
【0117】
本発明の好ましい態様において、本発明の化合物はACE阻害剤、例として、好ましくはエナラプリル、カプトプリル、リシノプリル、ラミプリル、デラプリル、フォシノプリル、キナプリル、ペリンドプリルまたはトランドプリルと組み合わせて投与される。
【0118】
本発明の好ましい態様において、本発明の化合物はエンドセリンアンタゴニスト、例として、好ましくはボセンタン、ダルセンタン、アンブリセンタンまたはシタキセンタンと組み合わせて投与される。
【0119】
本発明の好ましい態様において、本発明の化合物はレニン阻害剤、例として、好ましくはアリスキレン、SPP−600またはSPP−800と組み合わせて投与される。
【0120】
本発明の好ましい態様において、本発明の化合物はミネラルコルチコイド受容体アンタゴニスト、例として、好ましくはスピロノラクトンまたはエプレレノンと組み合わせて投与される。
【0121】
本発明の好ましい態様において、本発明の化合物はRhoキナーゼ阻害剤、例として、好ましくはファスジル、Y27632、SLx−2119、BF−66851、BF−66852、BF−66853、KI−23095、SB−772077、GSK−269962AまたはBA−1049と組み合わせて投与される。
【0122】
本発明の好ましい態様において、本発明の化合物は利尿剤、例として、好ましくはフロセミドと組み合わせて投与される。
【0123】
脂質代謝を変化する薬剤は好ましくはCETP阻害剤、甲状腺受容体アゴニスト、コレステロール合成阻害剤、例えば、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤またはスクアレン合成阻害剤、ACAT阻害剤、MTP阻害剤、PPAR−アルファ、PPAR−ガンマおよび/またはPPAR−デルタアゴニスト、コレステロール吸収阻害剤、ポリマー性胆汁酸吸着剤、胆汁酸再吸収阻害剤、リパーゼ阻害剤およびリポタンパク質(a)アンタゴニストのグループの化合物を意味する。
【0124】
本発明の好ましい態様において、本発明の化合物はCETP阻害剤、例として、好ましくはトルセトラピブ(CP−529 414)、JJT−705またはCETPワクチン(Avant)と組み合わせて投与される。
【0125】
本発明の好ましい態様において、本発明の化合物は甲状腺受容体アゴニスト、例として、好ましくはD−チロキシン、3,5,3’−トリヨードチロニン(T3)、CGS23425またはアキシチローム(CGS 26214)と組み合わせて投与される。
【0126】
本発明の好ましい態様において、本発明の化合物はスタチンのクラスのHMG−CoAレダクターゼ阻害剤、例として、好ましくはロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、ロスバスタチン、セリバスタチンまたはピタバスタチンと組み合わせて投与される。
【0127】
本発明の好ましい態様において、本発明の化合物はスクアレン合成阻害剤、例として、好ましくはBMS188494またはTAK−475と組み合わせて投与される。
【0128】
本発明の好ましい態様において、本発明の化合物はACAT阻害剤、例として、好ましくはアバシマイブ、メリナミド、パクチミベ、エフルシマイブまたはSMP−797と組み合わせて投与される。
【0129】
本発明の好ましい態様において、本発明の化合物はMTP阻害剤、例として、好ましくはインプリタピド、BMS201038、R−103757またはJTT−130と組み合わせて投与される。
【0130】
本発明の好ましい態様において、本発明の化合物はPPAR−ガンマアゴニスト、例として、好ましくはピオグリタゾンまたはロシグリタゾンと組み合わせて投与される。
【0131】
本発明の好ましい態様において、本発明の化合物はPPAR−デルタアゴニスト、例として、好ましくはGW−501516またはBAY68−5042と組み合わせて投与される。
【0132】
本発明の好ましい態様において、本発明の化合物はコレステロール吸収阻害剤、例として、好ましくはエゼチミブ、チクエシドまたはパマクエシドと組み合わせて投与される。
【0133】
本発明の好ましい態様において、本発明の化合物はリパーゼ阻害剤、例として、好ましくはオルリスタットと組み合わせて投与される。
【0134】
本発明の好ましい態様において、本発明の化合物はポリマー性胆汁酸吸着剤、例として、好ましくはコレスチラミン、コレスチポール、コレソルバン、CholestaGelまたはコレスチミドと組み合わせて投与される。
【0135】
本発明の好ましい態様において、本発明の化合物は胆汁酸再吸収阻害剤、例として、好ましくはASBT(=IBAT)阻害剤、例えば、AZD−7806、S−8921、AK−105、BARI−1741、SC−435またはSC−635と組み合わせて投与される。
【0136】
本発明の好ましい態様において、本発明の化合物はリポタンパク質(a)アンタゴニスト、例として、好ましくはゲムカベンカルシウム(CI−1027)またはニコチン酸と組み合わせて投与される。
【0137】
本発明は、さらに、少なくとも1種の本発明の化合物を、通常は1種以上の、不活性、非毒性の医薬的に許容し得る補助剤と共に含む医薬、および上述の目的でのそれらの使用に関する。
【0138】
本発明の化合物は、全身的および/または局所的に作用できる。この目的で、例えば、経口で、非経腸で、肺に、鼻腔に、舌下に、舌に、頬側に、直腸に、皮膚に、経皮で、結膜に、耳に、またはインプラントもしくはステントとしてなど、適する方法で投与できる。
【0139】
これらの投与経路のために、本発明の化合物を、適する投与形で投与できる。
【0140】
経口投与に適するのは、先行技術に準じて働き、本発明の化合物を迅速におよび/または改変された形態で送達し、本発明の化合物を結晶形および/または不定形および/または溶解形で含む投与形、例えば、錠剤(非被覆または被覆錠剤、例えば、腸溶性被覆、または、遅れて溶解するか、または不溶であり、本発明の化合物の放出を制御する被覆を施された錠剤)、口腔中で迅速に崩壊する錠剤、またはフィルム/オブラート、フィルム/凍結乾燥剤、カプセル剤(例えば、ハードまたはソフトゼラチンカプセル剤)、糖衣錠、顆粒剤、ペレット剤、粉末剤、乳剤、懸濁剤、エアゾル剤または液剤である。
【0141】
非経腸投与は、吸収段階を回避して(例えば、静脈内、動脈内、心臓内、脊髄内または腰椎内に)、または吸収を含めて(例えば、筋肉内、皮下、皮内、経皮または腹腔内)、実施できる。非経腸投与に適する投与形は、とりわけ、液剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥剤または滅菌粉末剤形態の注射および点滴用製剤である。
【0142】
他の投与経路に適するのは、例えば、吸入用医薬形(とりわけ、散剤吸入器、噴霧器)、点鼻薬、液、スプレー;舌に、舌下に、または頬側に投与するための、錠剤、フィルム/オブラートまたはカプセル剤、坐剤、耳または眼用製剤、膣カプセル剤、水性懸濁剤(ローション剤、振盪混合物)、親油性懸濁剤、軟膏、クリーム、経皮治療システム(例えばパッチなど)、ミルク、ペースト、フォーム、散布用粉末剤(dusting powder)、インプラントまたはステントである。
【0143】
経口または非経口投与、とりわけ経口および静脈内投与が好ましい。
【0144】
本発明の化合物は、上述の投与形に変換できる。これは、不活性、非毒性、医薬的に許容し得る補助剤と混合することにより、それ自体既知の方法で行うことができる。これらの補助剤には、とりわけ、担体(例えば微結晶セルロース、ラクトース、マンニトール)、溶媒(例えば液体ポリエチレングリコール類)、乳化剤および分散剤または湿潤剤(例えばドデシル硫酸ナトリウム、ポリオキシソルビタンオレエート)、結合剤(例えばポリビニルピロリドン)、合成および天然ポリマー(例えばアルブミン)、安定化剤(例えばアスコルビン酸などの抗酸化剤)、着色料(例えば酸化鉄などの無機色素)および味および/または臭気の隠蔽剤が含まれる。
【0145】
一般的に非経口投与で約0.001ないし1mg/体重kg、好ましくは約0.01ないし0.5mg/体重kgの量を投与するのが、有効な結果を達成するために有利であることが証明されている。経口投与では、投与量は、約0.01ないし100mg/体重kg、好ましくは0.01ないし20mg/体重kg、特に好ましくは0.1ないし10mg/体重kgである。
【0146】
それにも拘わらず、必要に応じて、特に体重、投与経路、有効成分に対する個体の応答、製剤の性質および投与を行う時間または間隔に応じて、上述の量から逸脱することが必要であり得る。従って、上述の最小量より少なくても十分な場合があり、一方上述の上限を超えなければならない場合もある。比較的に大量に投与する場合、これらを1日に亘る複数の個別用量に分割するのが望ましいことがある。
【0147】
以下の例示的実施態様は、本発明を例示説明する。本発明は、これらの実施例に限定されない。
【0148】
下記の試験および実施例における百分率は、断りの無い限り、重量パーセントである;部は、重量部である。液体/液体溶液の溶媒比、希釈比および記述する濃度は、他に記載のない限り、各場合で体積に基づく。
【実施例】
【0149】
A.実施例
略語:
【表1】

【表2】

【0150】
LC−MSおよびGC−MS方法:
方法1(LC−MS):
MS装置型:Micromass ZQ;HPLC 装置型:HP 1100 Series;UV DAD;カラム:Phenomenex Gemini 3μ 30mm×3.00mm;移動相A:1lの水+0.5mlの50%強度のギ酸、移動相B:1lのアセトニトリル+0.5mlの50%強度のギ酸;勾配:0.0分 90% A→2.5分 30% A→3.0分 5% A→4.5分 5% A;流速:0.0分 1ml/分→2.5分/3.0分/4.5分 2ml/分;オーブン:50℃;UV検出:210nm.
【0151】
方法2(LC−MS):
装置:HPLC Agilent Serie 1100を備えたMicromass Quattro LCZ;カラム:Phenomenex Onyx Monolithic C18、100mm×3mm;移動相A:1lの水+0.5mlの50%強度のギ酸、移動相B:1lのアセトニトリル+0.5mlの50%強度のギ酸;勾配:0.0分 90% A→2分 65% A→4.5分 5% A→6分 5% A;流速:2ml/分;オーブン:40℃;UV検出:208−400nm.
【0152】
方法3(LC−MS):
MS装置型:Waters ZQ;HPLC 装置型:Waters Alliance 2795;カラム:Phenomenex Onyx Monolithic C18、100mm×3mm;移動相A:1lの水+0.5mlの50%強度のギ酸、移動相B:1lのアセトニトリル+0.5mlの50%強度のギ酸;勾配:0.0分 90% A→2分 65% A→4.5分 5% A→6分 5% A;流速:2ml/分;オーブン:40℃;UV検出:210nm.
【0153】
方法4(LC−MS):
装置:HPLC Agilent Serie 1100を備えたMicromass Quattro LCZ;カラム:Phenomenex Synergi 2.5μ MAX−RP 100A Mercury、20mm×4mm;移動相A:1lの水+0.5mlの50%強度のギ酸、移動相B:1lのアセトニトリル+0.5mlの50%強度のギ酸;勾配:0.0分 90% A→0.1分 90% A→3.0分 5% A→4.0分 5% A→4.1分 90% A;流速:2ml/分;オーブン:50℃;UV検出:208−400nm.
【0154】
方法5(LC−MS):
MS装置型:Micromass ZQ;HPLC 装置型:Waters Alliance 2795;カラム: Phenomenex Synergi 2.5μ MAX−RP 100A Mercury、20mm×4mm;移動相A:1lの水+0.5mlの50%強度のギ酸、移動相B:1lのアセトニトリル+0.5mlの50%強度のギ酸;勾配:0.0分 90% A→0.1分 90% A→3.0分 5% A→4.0分 5% A→4.01分 90% A;流速:2ml/分;オーブン:50℃;UV検出:210nm.
【0155】
方法6(GC−MS):
装置:Micromass GCT、GC6890;カラム:Restek RTX−35、15m×200μm×0.33μm;一定ヘリウム流速:0.88ml/分;オーブン:70℃;流入口:250℃;勾配:70℃、30℃/分→310℃(3分維持).
【0156】
方法7(LC−MS):
MS装置型:Micromass ZQ;HPLC 装置型:Waters Alliance 2795;カラム:Merck Chromolith SpeedROD RP−18e 100×4.6mm;移動相A:水+500μl 50%強度のギ酸/l、移動相B:アセトニトリル+500μl 50%強度のギ酸/l;勾配:0.0分 10% B→7.0分 95% B→9.0分 95% B;オーブン:35℃;流速:0.0分 1.0ml/分→7.0分 2.0ml/分→9.0分 2.0ml/分;UV検出:210nm.
【0157】
方法8(LC−MS):
装置:HPLC Agilent Serie 1100を備えたMicromass Plattform LCZ;カラム:Thermo Hypersil GOLD 3μ 20mm×4mm;移動相A:1lの水+0.5mlの50%強度のギ酸、移動相B:1lのアセトニトリル+0.5mlの50%強度のギ酸;勾配:0.0分 100% A→0.2分 100% A→2.9分 30% A→3.1分 10% A→5.5分 10% A;オーブン:50℃;流速:0.8ml/分;UV検出:210nm.
【0158】
方法9(LC−MS):
装置:HPLC Agilent Serie 1100を備えたMicromass Quattro LCZ;カラム:Phenomenex Synergi 2μ Hydro−RP Mercury 20mm×4mm;移動相A:1lの水+0.5mlの50%強度のギ酸、移動相B:1lのアセトニトリル+0.5mlの50%強度のギ酸;勾配:0.0分 90% A→2.5分 30% A→3.0分 5% A→4.5分 5% A;流速:0.0分 1ml/分→2.5分/3.0分/4.5分 2ml/分;オーブン:50℃;UV検出:208−400nm.
【0159】
方法10(LC−MS):
装置:Waters UPLC Acquityを備えたMicromass QuattroPremier;カラム:Thermo Hypersil GOLD 1.9μ、50mm×1mm;移動相A:1lの水+0.5mlの50%強度のギ酸、移動相B:1lのアセトニトリル+0.5mlの50%強度のギ酸;勾配:0.0分 90% A→0.1分 90% A→1.5分 10% A→2.2分 10% A;オーブン:50℃;流速:0.33ml/分;UV検出:210nm.
【0160】
出発物質および中間体:
実施例1A
tert−ブチル(2E,6R)−6−ヒドロキシヘプタ−2−エノアート
【化53】

溶液A:10.71g(267.7mmol)の60%の水素化ナトリウムを150mlの無水THFに懸濁し、43.3ml(276.7mmol)のtert−ブチルP,P−ジメチルホスホノアセテートを冷却しながら滴下する。混合物を室温で撹拌し、約30分後、溶液を形成する。
187.4ml(187.4mmol)の1MのTHF中のDIBAHの溶液を−78℃に冷却した200mlの無水THF中の17.87g(178.5mmol)の(R)−γ−バレロラクトン[(5R)−5−メチルジヒドロフラン−2(3H)−オン]の溶液に滴下する。溶液を−78℃で1時間撹拌し、上記で製造された溶液Aを加える。添加終了後、混合物をゆっくり室温に温め、室温で一晩撹拌する。反応混合物を300mlの酢酸エチルに加え、50mlの濃酒石酸ナトリウムカリウム溶液で撹拌することにより抽出する。相分離後、水相を酢酸エチルで再抽出する。有機相を合わせ、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下濃縮する。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製する(移動相 シクロヘキサン/酢酸エチル 5:1)。これで32.2g(理論値の90.1%)の少量のシス異性体を含む表題生成物を得る。
MS(DCI):m/z=218(M+NH
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 6.70 (dt, 1H), 5.73 (d, 1H), 4.44 (d, 1H), 3.58 (m, 1H), 2.28-2.13 (m, 2H), 1.47-1.40 (m, 2H), 1.45 (s, 9H), 1.04 (d, 3H).
【0161】
実施例2A
tert−ブチル(−)−6−ヒドロキシヘプタノエート
【化54】

32.2g(160.8mmol)のtert−ブチル(2E,6R)−6−ヒドロキシヘプタ−2−エノアートを200mlのエタノールに溶解し、1.7gの10%パラジウム炭素を加える。混合物を室温で水素雰囲気下(大気圧)で2時間撹拌し、次にセライトを介して濾取する。濾液を減圧下濃縮する。シリカゲルクロマトグラフィー後(移動相 シクロヘキサン/酢酸エチル 10:1→6:1)、残渣で15.66gの表題生成物(理論値の48.1%)を得る。
MS(DCI):m/z=220(M+NH
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 3.85-3.75 (m, 1H), 2.22 (t, 2H), 1.68-1.54 (m, 2H), 1.53-1.30 (m, 4H), 1.45 (s, 9H), 1.18 (d, 3H).
[α]20=−21°、c=0.118、クロロホルム.
【0162】
実施例3A
メチル6−[(6−フェニルチエノ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)アミノ]ヘキサノエート
【化55】

アルゴン雰囲気下で、500mg(2.03mmol)の4−クロロ−6−フェニルチエノ[2,3−d]ピリミジンを最初に2mlのDMFに充填し、1.8ml(1309mg、10.13mmol)のDIEAおよび736mg(4.05mmol)のメチル6−アミノヘキサノエート塩酸塩を加える。反応物を120℃の浴温度で1.5時間撹拌する。後処理のために、水を冷却した反応混合物に加え、混合物を酢酸エチルで3回抽出する。合わせた抽出物を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を完全にロータリーエバポレーターで除去する。次に残渣をシクロヘキサンおよび酢酸エチルの勾配(4:1→2:1)を使用するシリカゲルクロマトグラフィーに付す(Biotage(登録商標)カートリッジ)。これで590mgの表題生成物(理論値の82%)を得る.
LC−MS(方法1):R=2.54分;m/z=356(M+H)
【0163】
実施例4A
メチル6−[(5−ブロモ−6−フェニルチエノ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)アミノ]ヘキサノエート
【化56】

544mg(1.53mmol)のメチル6−[(6−フェニルチエノ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)アミノ]ヘキサノエートを1.6mlのアセトニトリルに懸濁し、次に300mg(1.68mmol)のN−ブロモスクシンイミドを加える。次に反応混合物を室温で1時間撹拌する。ジクロロメタンを懸濁液に加え、混合物を連続して飽和重炭酸ナトリウム溶液および飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下濃縮する。残渣をシクロヘキサンおよび酢酸エチルの勾配(5:1→4:1)を使用するシリカゲルクロマトグラフィーに付す。これで563mgの表題生成物(理論値の84%)を得る。
LC−MS(方法1):R=3.01分;m/z=434(M+H)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ=8.42 (s, 1H), 7.70-7.62 (m, 2H), 7.60-7.49 (m, 3H), 7.37 (t, 1H), 3.63-3.53 (m, 5H), 2.31 (t, 2H), 1.70-1.53 (m, 4H), 0.91-0.76 (m, 2H).
【0164】
実施例5A
tert−ブチル(6R)−6−[(6−フェニルチエノ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)オキシ]ヘプタノエート
【化57】

最初にアルゴン雰囲気下で、500mg(2.03mmol)の4−クロロ−6−フェニルチエノ[2,3−d]ピリミジンおよび615mg(3.04mmol)のtert−ブチル(−)−6−ヒドロキシヘプタノエートを3.4mlのTHFに充填し、−20℃に冷却し、2.6ml(1670mg、2.64mmol)の1Mのヘキサン中のN’’’−tert−ブチル−N,N’,N’’−トリス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデン]ホスホルイミド酸トリアミドの溶液を加える。混合物を−20℃で30分撹拌し、次にゆっくり0℃に温め、この温度で1時間撹拌する。後処理のために、水を加え、反応混合物を1Mの塩酸で中和し、繰り返しジクロロメタンで抽出する。合わせた抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下濃縮する。残渣をシクロヘキサンおよび酢酸エチルの移動相勾配(30:1→20:1→10:1)を使用するシリカゲルクロマトグラフィーに付す(Biotage(登録商標)カートリッジ)。これで249mgの表題生成物(理論値の30%)を得る。
LC−MS(方法2):R=5.01分;m/z=413(M+H)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ=8.64 (s, 1H), 7.86 (d, 2H), 7.79 (s, 1H), 7.50 (t, 1H), 7.46-7.41 (m, 1H), 5.50 (m, 1H), 2.19 (t, 2H), 1.88-1.66 (m, 2H), 1.60-1.29 (m, 14H), 1.39 (d, 3H), 1.32 (s, 9H).
[α]20=−71°、c=0.480、クロロホルム.
【0165】
実施例6A
tert−ブチル(6R)−6−[(5−ブロモ−6−フェニルチエノ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)オキシ]ヘプタノエート
【化58】

215mg(0.52mmol)のtert−ブチル(6R)−6−[(6−フェニルチエノ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)オキシ]ヘプタノエートを0.6mlのアセトニトリル中の102mg(0.57mmol)のN−ブロモスクシンイミドと室温で2時間反応させる。次にジクロロメタンを懸濁液に加え、混合物を連続して飽和重炭酸ナトリウム溶液および飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下濃縮する。残渣をシクロヘキサンおよび酢酸エチルの移動相(10:1)を使用するシリカゲル60クロマトグラフィーに付す。これで214mgの表題生成物(理論値の84%)を得る。
LC−MS(方法3):R=5.04分;m/z=491(M+H)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ=8.72 (s, 1H), 7.69 (dd, 2H), 7.61-7.49 (m, 3H), 5.51 (m, 1H), 2.19 (t, 2H), 1.90-1.65 (m, 2H), 1.61-1.28 (m, 14H), 1.39 (d, 3H), 1.32 (s, 9H).
【0166】
実施例7A
2−アミノ−1−ベンジル−4−(4−メトキシフェニル)−5−フェニル−1H−ピロール−3−カルボニトリルおよび
2−アミノ−1−ベンジル−5−(4−メトキシフェニル)−4−フェニル−1H−ピロール−3−カルボニトリル(異性体混合物)
【化59】

30.0g(123.83mmol)の2−ヒドロキシ−1−(4−メトキシフェニル)−2−フェニルエタノンを100mlのトルエンに溶解し、13.5ml(123.83mmol)のベンジルアミンおよび2.3g(12.38mmol)のp−トルエンスルホン酸一水和物を加える。水分離器で、反応混合物を沸点で2時間撹拌する。次に8.2g(123.83mmol)のマロノニトリルを少量のトルエンに懸濁し、連続して反応混合物に滴下し、これを穏やかに沸騰する。次に混合物を沸点でさらに2時間撹拌する。後処理のために、溶媒を完全にロータリーエバポレーターで除去し、残渣をエタノールから再結晶し、結晶を濾取し、減圧下乾燥する。これで位置異性体の混合物として15.3g(理論値の33%)の表題生成物を得る。
LC−MS(方法3):R=3.81分;m/z=380(M+H)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ (両方の異性体)=7.31-7.17 (m, 5H), 7.13 (d, 2H), 7.09-6.95 (m, 3H), 6.40-6.25 (m, 2H), 6.12および6.10 (2s, 2H), 4.96および4.93 (2s, 2H), 3.71および3.69 (2s, 3H).
【0167】
実施例8A
7−ベンジル−5−(4−メトキシフェニル)−6−フェニル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−アミンおよび
7−ベンジル−6−(4−メトキシフェニル)−5−フェニル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−アミン(異性体混合物)
【化60】

2−アミノ−1−ベンジル−4−(4−メトキシフェニル)−5−フェニル−1H−ピロール−3−カルボニトリルおよび2−アミノ−1−ベンジル−5−(4−メトキシフェニル)−4−フェニル−1H−ピロール−3−カルボニトリルの15.2g(40.06mmol)の混合物を60mlのホルムアミド、20mlのジメチルホルムアミドおよび8mlの99%強度のギ酸の混合物に溶解し、還流下で浴温度で約190℃で10時間撹拌する。後処理のために、反応混合物を室温に冷却し、沈殿した固体を濾取し、濾過残渣を5%強度の水酸化ナトリウム水溶液で洗浄する。濾過残渣をエタノールから再結晶し、結晶をもう一度濾取し(次に捨てる)。再結晶した濾液をロータリーエバポレーターで蒸発乾燥し、残渣を減圧下乾燥する。これで位置異性体の混合物として12.6g(理論値の45%)の表題生成物を得る。
LC−MS(方法2):R=3.05および3.09分;m/z、それぞれの場合において=407(M+H)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ (両方の異性体)=8.17および8.19 (2s, 1H), 7.38-7.13 (m, 7H), 7.09 (d, 2H), 6.93-6.81 (m, 4H), 5.88 (br. s, 2H), 5.31 (s, 2H), 3.74および3.72 (2s, 3H).
【0168】
実施例9A
7−ベンジル−4−クロロ−5−(4−メトキシフェニル)−6−フェニル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジンおよび
7−ベンジル−4−クロロ−6−(4−メトキシフェニル)−5−フェニル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(異性体混合物)
【化61】

最初に7−ベンジル−5−(4−メトキシフェニル)−6−フェニル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−アミンおよび7−ベンジル−6−(4−メトキシフェニル)−5−フェニル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−アミンの12.6g(31.02mmol)の混合物を13.5mlのクロロホルムに充填し、11.6ml(1.7g、46.53mmol)の4Mのジオキサン中の塩化水素溶液および8.3ml(7.3g、62.04mmol)の亜硝酸イソアミルを連続して加える。次に反応混合物を還流下で2.5時間撹拌する。後処理のために、混合物をクロロホルムで希釈し、次に注意深く飽和重炭酸ナトリウム溶液および飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄する。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下濃縮する。粗生成物をシクロヘキサンおよび酢酸エチルの移動相(20:1)を使用するシリカゲルクロマトグラフィーに付す(Biotage(登録商標)カートリッジ)。これで位置異性体の混合物として2.4g(理論値の18%)の表題生成物を得る。
LC−MS(方法2):R=4.40分;m/z=426(M+H)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ (両方の異性体)=8.71および8.69 (2s, 1H), 7.40-7.12 (m, 10H), 6.92-6.79 (m, 4H), 5.45 (s, 2H), 3.74および3.72 (2s, 3H).
【0169】
実施例10A
tert−ブチル(6R)−6−{[7−ベンジル−5−(4−メトキシフェニル)−6−フェニル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル]オキシ}ヘプタノエート
【化62】

アルゴン雰囲気下で、7−ベンジル−4−クロロ−5−(4−メトキシフェニル)−6−フェニル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジンおよび7−ベンジル−4−クロロ−6−(4−メトキシフェニル)−5−フェニル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジンの800mg(1.88mmol)の混合物および570mg(2.82mmol)のtert−ブチル(−)−6−ヒドロキシヘプタノエートを3.2mlのTHFに溶解し、2.8ml(1785mg、2.64mmol)の1Mのヘキサン中のN’’’−tert−ブチル−N,N’,N’’−トリス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデン]ホスホルイミド酸トリアミド溶液を0℃で滴下する。反応混合物を0℃で10分維持し、次に室温に温め、この温度でさらに1時間撹拌する。後処理のために、水を加え、混合物を1Mの塩酸で中和し、繰り返しジクロロメタンで抽出する。合わせた抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下濃縮する。残渣をシクロヘキサンおよび酢酸エチルの移動相を使用するシリカゲルで前精製する(Biotage(登録商標)カートリッジ)(10:1)。次に異性体を水およびアセトニトリルの移動相(20:80)を使用する30分の実施時間で分取RP−HPLCにより分離する(カラム物質:Phenomenex Gemini C18、5μm)。これで純粋な位置異性体として234mg(理論値の21%)の表題生成物を得る。
LC−MS(方法2):R=5.12分;m/z=592(M+H)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ=8.43 (s, 1H), 7.41-7.30 (m, 3H), 7.22-7.11 (m, 7H), 6.83 (m, 2H), 6.75 (d, 2H), 5.41-5.31 (m, 1H), 5.38 (s, 2H), 3.69 (s, 3H), 2.10 (t, 2H), 1.53 (m, 2H), 1.42 (m, 2H), 1.34 (s, 9H), 1.28-1.12 (m, 2H), 1.25 (d, 3H).
[α]20=−48°、c=0.470、クロロホルム.
【0170】
実施例11A
(6R)−6−{[7−ベンジル−5−(4−メトキシフェニル)−6−フェニル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル]オキシ}ヘプタン酸
【化63】

130mg(0.22mmol)のtert−ブチル(6R)−6−{[7−ベンジル−5−(4−メトキシフェニル)−6−フェニル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル]オキシ}ヘプタノエートを0.7mlのジクロロメタンに溶解し、0.2mlのトリフルオロ酢酸を加え、混合物を室温で40分撹拌する。後処理のために、溶媒を完全にロータリーエバポレーターで除去し、残渣を分取RP−HPLCにより精製する。これで93mg(理論値の79%)の表題生成物を得る。
LC−MS(方法4):R=2.68分;m/z=536(M+H)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ=12.00 (br. s, 1H), 8.44 (s, 1H), 7.41-7.29 (m, 3H), 7.24-7.10 (m, 7H), 6.83 (dd, 2H), 6.75 (d, 2H), 5.41-5.29 (m, 1H), 5.38 (s, 2H), 3.69 (s, 3H), 2.11 (t, 2H), 1.53 (m, 2H), 1.42 (m, 2H), 1.32-1.13 (m, 2H), 1.25 (d, 3H).
[α]20=−45°、c=0.490、クロロホルム.
【0171】
実施例12A
2−フェニル−6,7−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−4(5H)−オン
【化64】

最初にアルゴン雰囲気下で、107.6g(196.20mmol)の硝酸セリウム(IV)アンモニウムおよび37.5g(445.91mmol)の重炭酸ナトリウムを130mlのアセトニトリルに充填する。懸濁液を0℃に冷却する。20mlのアセトニトリル中の10.0g(89.18mmol)の1,3−シクロヘキサンジオンおよび27.3g(267.55mmol)のフェニルアセチレンの溶液を滴下し、混合物を室温で3時間撹拌する。後処理のために、固体を濾取し、濾過残渣をアセトニトリルで洗浄し、濾液を減圧下濃縮する。残渣を酢酸エチルに取り、連続して水、飽和重炭酸ナトリウム溶液および飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させる。溶媒を完全にロータリーエバポレーターで除去し、得られた褐色の油状物をシクロヘキサンおよび酢酸エチルの勾配(20:1→10:1→8:1→6:1)を使用するシリカゲルクロマトグラフィーに付す。これで6.9g(理論値の36%)の表題生成物を得る。
LC−MS(方法2):R=3.43分;m/z=213(M+H)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ=7.74 (d, 2H), 7.44 (t, 2H), 7.34 (t, 1H), 7.18 (s, 1H), 2.97 (t, 2H), 2.45 (t, 2H), 2.12 (m, 2H).
【0172】
実施例13A
3−ブロモ−2−フェニル−6,7−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−4(5H)−オン
【化65】

アルゴン雰囲気下で、6.9g(32.42mmol)の2−フェニル−6,7−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−4(5H)−オンを34.4mlのアセトニトリルに懸濁し、6.9g(38.90mmol)のN−ブロモスクシンイミドを加え、混合物を室温で20分撹拌する。次に混合物を減圧下濃縮し、残渣をジクロロメタンに取り、不溶性残渣を濾取し、濾過残渣をジクロロメタンで洗浄する。合わせた濾液を減圧下濃縮し、残渣をジクロロメタンおよびシクロヘキサンの移動相(30:1)を使用するシリカゲルクロマトグラフィーに付す(Biotage(登録商標)カートリッジ)。これで7.6g(理論値の80%)の表題生成物を得る。
LC−MS(方法3):R=3.56分;m/z=291(M+H)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ=7.91 (d, 2H), 7.53 (t, 2H), 7.43 (t, 1H), 2.99 (t, 2H), 2.47 (t, 2H), 2.12 (m, 2H).
【0173】
実施例14A
3−(4−メトキシフェニル)−2−フェニル−6,7−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−4(5H)−オン
【化66】

アルゴン雰囲気下で、6.8g(23.18mmol)の3−ブロモ−2−フェニル−6,7−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−4(5H)−オンを22.5mlのDMFに溶解し、0.8g(1.16mmol)のビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロライド、23.2ml(4.9g、46.36mmol)の2Mの炭酸ナトリウム水溶液および3.9g(25.5mmol)の4−メトキシフェニルボロン酸を加える。反応混合物を80℃で5時間撹拌する。後処理のために、ジクロロメタンを冷却した反応混合物に加え、触媒を珪藻土を介して濾取し、濾過残渣をジクロロメタンで洗浄し、濾液を減圧下濃縮する。残渣をシクロヘキサンおよび酢酸エチルの勾配(10:1→5:1)を使用するシリカゲルクロマトグラフィーに付す。これで5.0g(理論値の67%)の表題生成物を得る。
LC−MS(方法2):R=4.04分;m/z=319(M+H)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ=7.35-7.18 (m, 5H), 7.21 (d, 2H), 6.93 (d, 2H), 3.79 (s, 3H), 2.99 (t, 2H), 2.43 (t, 2H), 2.13 (m, 2H).
【0174】
実施例15A
5−ブロモ−3−(4−メトキシフェニル)−2−フェニル−6,7−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−4(5H)−オン
【化67】

アルゴン雰囲気下で、500mg(1.57mmol)の3−(4−メトキシフェニル)−2−フェニル−6,7−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−4(5H)−オンを3mlのTHFに溶解し、590mg(1.57mmol)のフェニルトリメチルアンモニウムトリブロマイドを加える。反応混合物を室温で6時間撹拌する。後処理のために、溶液を減圧下濃縮し、残渣を水およびアセトニトリルの勾配を使用する分取RP−HPLCにより精製する。これで550mg(理論値の88%)の表題生成物を得る。
LC−MS(方法5):R=2.49分;m/z=397(M+H)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ=7.39-7.26 (m, 5H), 7.21 (d, 2H), 6.96 (d, 2H), 4.80 (t, 1H), 3.80 (s, 3H), 3.09 (m, 2H), 2.75-2.63 (m, 1H), 2.58-2.40 (m, 1H).
【0175】
実施例16A
3−(4−メトキシフェニル)−2−フェニル−1−ベンゾフラン−4−オール
【化68】

アルゴン雰囲気下で、1.0g(2.52mmol)の5−ブロモ−3−(4−メトキシフェニル)−2−フェニル−6,7−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−4(5H)−オンを20mlのメタノールに懸濁し、0.7ml(0.5g、5.03mmol)のトリエチルアミンを加える。還流下で4時間撹拌後、さらに0.7ml(0.5g、5.03mmol)のトリエチルアミンを加え、混合物を沸点で一晩撹拌する。冷却した反応溶液を1Nの塩酸に注ぎ、酢酸エチルで3回抽出し、合わせた抽出物を飽和重炭酸ナトリウム溶液および飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下濃縮する。残渣をシクロヘキサンおよび酢酸エチルの移動相(10:1)を使用するシリカゲルクロマトグラフィーに付す(Biotage(登録商標)カートリッジ)。濃縮した生成物画分を少量のメタノールでトリチュレートし、得られた結晶を濾取し、減圧下乾燥する。これで0.1g(理論値の15%)の表題生成物を得る。
LC−MS(方法4):R=2.59分;m/z=317(M+H)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ=9.60 (s, 1H), 7.43 (d, 2H), 7.38-7.25 (m, 5H), 7.15 (t, 1H), 7.08 (d, 1H), 6.98 (d, 2H), 6.61 (d, 1H), 3.81 (s, 3H).
【0176】
実施例17A
tert−ブチル(+)−(6S)−6−ブロモヘプタノエート
【化69】

0℃で、15mlの無水トルエン中の2.3g(5.4mmol)のトリフェニルホスフィンジブロマイドの溶液を10mlの無水ジクロロメタン中の1.0g(4.9mmol)のtert−ブチル (−)−6−ヒドロキシヘプタノエートの溶液に1−2時間にわたって滴下する。添加終了後、混合物を0℃で約90分撹拌する。得られた懸濁液をセライトを介して濾過し、濾過残渣を完全にジクロロメタンで洗浄する。濾液を水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下濃縮する。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーに付す(Biotage(登録商標)カートリッジ、移動相 シクロヘキサン/酢酸エチル 40:1)。これで880.7mg(理論値の67.2%)の表題生成物を得る。
GC−MS(方法6):R=4.48分;
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ=4.28 (m, 1H), 2.19 (t, 2H), 1.80-1.71 (m, 2H), 1.67 (d, 3H), 1.55-1.35 (m, 6H), 1.40 (s, 9H).
[α]20=+30°、c=0.55、クロロホルム.
【0177】
実施例18A
4−ブロモ−5−フェニル−2−フルアルデヒド
【化70】

アルゴン雰囲気下で、17.1g(95.83mmol)のN−ブロモスクシンイミドを90mlのアセトニトリルに懸濁した15.0g(87.12mmol)の5−フェニルフルフラールに加える。反応混合物を室温で一晩撹拌する。次に混合物を減圧下濃縮し、残渣をシクロヘキサンおよび酢酸エチルの移動相(30:1)を使用するシリカゲルクロマトグラフィーに付す。これで16.3g(理論値の75%)の表題生成物を得る。
LC−MS(方法1):R=2.55分;m/z=250(M+H)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ=9.61 (s, 1H), 8.02 (dd, 2H), 7.87 (s, 1H), 7.63-7.50 (m, 3H).
【0178】
実施例19A
4−(4−メトキシフェニル)−5−フェニル−2−フルアルデヒド
【化71】

アルゴン雰囲気下で、1.1g(1.62mmol)のビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロライド、64.9ml(13.76g、129.84mmol)の2Mの炭酸ナトリウム水溶液および10.9g(71.41mmol)の4−メトキシフェニルボロン酸を90mlのDMFに溶解した16.3g(64.92mmol)の4−ブロモ−5−フェニル−2−フルアルデヒドに加える。反応混合物を80℃で2時間撹拌する。後処理のために、水を冷却した混合物に加え、混合物をジクロロメタンで3回抽出する。合わせた抽出物を硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下濃縮する。残渣をシクロヘキサンおよび酢酸エチルの移動相(20:1)を使用するシリカゲルクロマトグラフィーに付す。これで14.5g(理論値の80%)の表題生成物を得る。
LC−MS(方法1):R=2.76分;m/z=279(M+H)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ=9.64 (s, 1H), 7.74 (s, 1H), 7.55 (dd, 2H), 7.48-7.39 (m, 3H), 7.35 (d, 2H), 7.00 (d, 2H), 3.80 (s, 3H).
【0179】
実施例20A
(2E)−3−[4−(4−メトキシフェニル)−5−フェニル−2−フリル]アクリル酸
【化72】

アルゴン雰囲気下で、5.0g(17.97mmol)の4−(4−メトキシフェニル)−5−フェニル−2−フルアルデヒドおよび1.9g(17.97mmol)のマロン酸を9mlのピリジンに懸濁する。100℃で1時間撹拌後、さらに0.5g(4.49mmol)のマロン酸を加え、混合物を100℃でさらに8時間撹拌する。次に冷却した反応溶液を氷水および塩酸の混合物に注ぐ。一晩で、結晶が酸性溶液から沈殿する。固体を濾取し、中性まで水で洗浄し、減圧下乾燥し、ジクロロメタンおよびメタノールの勾配(100:1→50:1→20:1→10:1)を使用するシリカゲルクロマトグラフィーに付す。これで2.0g(理論値の35%)の表題生成物を得る。
LC−MS(方法5):R=2.17分;m/z=321(M+H)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ=12.43 (s, 1H), 7.55 (dd, 2H), 7.48-7.25 (m, 6H), 7.14 (s, 1H), 7.00 (d, 2H), 6.35 (d, 1H), 3.78 (s, 3H).
【0180】
実施例21A
(2E)−3−[4−(4−メトキシフェニル)−5−フェニル−2−フリル]アクリル酸アジド
【化73】

アルゴン雰囲気下で、8.2g(25.66mmol)の(2E)−3−[4−(4−メトキシフェニル)−5−フェニル−2−フリル]アクリル酸を30mlのアセトンに懸濁し、4.1ml(29.77mmol)のトリエチルアミンおよびさらに30mlのアセトンを加え、混合物を−10℃に冷却する。6mlのアセトンに溶解した3.1ml(32.07mmol)のクロロギ酸エチルを滴下し、混合物を0℃で30分撹拌する。次に16mlの水に溶解した2.5g(38.49mmol)のアジ化ナトリウムを反応混合物に0℃で加え、混合物を10mlのアセトンで希釈する。混合物を室温に温め、さらに1時間撹拌する。後処理のために、懸濁液を水で希釈し、沈殿を濾取し、濾過残渣を中性まで水で洗浄し、固体を減圧下乾燥する。これで8.4g(理論値の95%)の表題生成物を得る。
LC−MS(方法7):R=6.72分;m/z=318(M+H−N
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ=7.65-7.55 (m, 3H), 7.44-7.27 (m, 6H), 7.01 (d, 2H), 6.45 (d, 1H), 3.79 (s, 3H).
【0181】
実施例22A
3−(4−メトキシフェニル)−2−フェニルフロ[3,2−c]ピリジン−4(5H)−オン
【化74】

8.4g(6.37mmol)の(2E)−3−[4−(4−メトキシフェニル)−5−フェニル−2−フリル]アクリル酸アジドを10.5mlのトルエンに溶解し、7.6ml(5.9g、31.77mmol)のトリ−n−ブチルアミンおよび21.1mlのダウサムAを加え、混合物を強アルゴン流下で230℃の浴温度で2時間撹拌する。次に反応混合物を氷浴で冷却し、結晶の沈殿を得る。懸濁液をジエチルエーテルで希釈し、固体を濾取し、ジエチルエーテルで洗浄し、生成物を減圧下乾燥する。これで5.1g(理論値の65%)の表題生成物を得る。
LC−MS(方法5):R=1.90分;m/z=318(M+H)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ=11.42 (d, 1H), 7.43 (d, 2H), 7.38-7.25 (m, 6H), 6.97 (d, 2H), 6.69 (d, 1H), 3.81 (s, 3H).
【0182】
実施例23A
4−クロロ−3−(4−メトキシフェニル)−2−フェニルフロ[3,2−c]ピリジン
【化75】

アルゴン雰囲気下で、5.1g(15.91mmol)の3−(4−メトキシフェニル)−2−フェニルフロ[3,2−c]ピリジン−4(5H)−オンを30ml(318mmol)のオキシ塩化リン中で130℃で10時間撹拌する。次に冷却した反応混合物を酢酸エチルで希釈し、氷水を注意深く加え、飽和炭酸ナトリウム溶液および10%強度の水酸化ナトリウム水溶液の混合物を使用してpHを6−7に調節する。有機相を分離し、水相を酢酸エチルで2回抽出し、合わせた抽出物を硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下濃縮する。残渣をメタノールでトリチュレートし、結晶を濾取し、メタノールで洗浄し、減圧下乾燥する。これで4.9g(理論値の92%)の表題生成物を得る。
LC−MS(方法4):R=2.66分;m/z=336(M+H)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ=8.33 (d, 1H), 7.85 (d, 1H), 7.52 (dd, 2H), 7.45-7.25 (m, 5H), 7.08 (d, 2H), 3.83 (s, 3H).
【0183】
実施例24A
3−{[3−(4−メトキシフェニル)−2−フェニルフロ[3,2−c]ピリジン−4−イル]アミノ}−2,2−ジメチルプロパン−1−オール
【化76】

アルゴン雰囲気下で、200mg(0.60mmol)の4−クロロ−3−(4−メトキシフェニル)−2−フェニルフロ[3,2−c]ピリジンおよび123mg(1.19mmol)の3−アミノ−2,2−ジメチル−1−プロパノールを0.5mlのDMFに溶解し、0.2ml(1.19mmol)のジイソプロピルエチルアミンを加え、混合物を120℃で2日間撹拌する。水を冷却した反応混合物に加え、混合物を塩化ナトリウムで飽和させ、酢酸エチルで3回抽出する。合わせた抽出物を硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下濃縮する。残渣をシクロヘキサンおよび酢酸エチルの勾配(10:1→5:1→3:1→2:1)を使用するシリカゲルクロマトグラフィーに付す(Biotage(登録商標)カートリッジ)。これで56mg(理論値の23%)の表題生成物を得る。
LC−MS(方法1):R=1.86分;m/z=403(M+H)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ=7.88 (d, 1H), 7.52-7.40 (m, 4H), 7.38-7.25 (m, 3H), 7.15 (d, 2H), 6.95 (d, 1H), 4.63 (t, 1H), 4.50 (t, 1H), 3.85 (s, 3H), 3.15 (d, 2H), 2.95 (d, 2H), 0.61 (s, 6H).
【0184】
実施例25A
tert−ブチル6−{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}ヘキサノエート
【化77】

10.0g(37.69mmol)の6−{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}ヘキサン酸を21mlのジクロロメタンおよび99mlのシクロヘキサンの混合物に懸濁する。9.8g(45.23mmol)のtert−ブチル2,2,2−トリクロロアセトイミダートを加え、0.3ml(566mg、3.77mmol)のトリフルオロメタンスルホン酸を0−10℃で滴下し、混合物を室温で一晩撹拌する。形成した固体を濾取し、濾過残渣をジクロロメタンで洗浄し、濾液を減圧下濃縮する。残渣をシクロヘキサンおよび酢酸エチルの移動相(5:1)を使用するシリカゲル60クロマトグラフィーに付す。これで4.9g(理論値の40%)の標的化合物を得る。
LC−MS(方法2):R=3.91分;m/z=322(M+H)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ=7.39-7.25 (m, 5H), 7.22 (t, 1H), 4.99 (s, 2H), 2.97 (q, 2H), 2.15 (t, 2H), 1.48 (m, 2H), 1.43-1.33 (m, 2H), 1.38 (s, 9H), 1.25 (m, 2H).
【0185】
実施例26A
tert−ブチル6−アミノヘキサノエート
【化78】

最初に4.9g(15.21mmol)のtert−ブチル6−{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}ヘキサノエートを15mlのエタノールおよび1.5mlのTHFの混合物に充填し、0.3g(0.15mmol)の5%パラジウム炭素を加え、混合物を大気圧で室温で4時間水素化する。触媒をセライトを介して濾取し、濾過残渣をエタノール/THF(10:1)で洗浄し、濾液を減圧下濃縮し、残渣を減圧下乾燥する。これで2.8g(理論値の97%)の表題生成物を得る。
LC−MS(方法8):R=2.41分;m/z=188(M+H)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ=2.21-2.12 (m, 2H), 1.55-1.15 (m, 4H), 1.39 (s, 9H).
【0186】
実施例27A
1−ベンジル−4−(ベンジルオキシ)ピリジン−2(1H)−オン
【化79】

9.0g(44.73mmol)の4−(ベンジルオキシ)ピリジン−2(1H)−オンを8.94g(223.63mmol)の粉末化水酸化ナトリウムおよび6.074g(17.89mmol)のテトラ−n−ブチルアンモニウム硫酸水素塩と一緒に、最初に1.6リットルのトルエンに充填する。38.25g(223.63mmol)の臭化ベンジルを加え、混合物を80℃で撹拌しながら2時間加熱する。次に混合物を濃縮し、残渣をそれぞれ500mlの水およびジクロロメタンの混合物に溶解する。相を分離し、水相を200mlのジクロロメタンで1回抽出する。合わせたジクロロメタン相を100mlの水で1回および100mlの飽和塩化ナトリウム溶液で1回洗浄する。ジクロロメタン相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濃縮する。得られた残渣を石油エーテルでトリチュレートし、固体を吸引濾取する。生成物を高真空下で乾燥し、13.0g(理論値の99.8%)の標的化合物を得る。
LC−MS(方法3):R=3.21分;m/z=292(M+H)
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ=7.69 (d, 1H), 7.45-7.22 (m, 10H), 6.02 (dd, 1H), 5.94 (d, 1H), 5.08 (s, 2H), 5.02 (s, 2H).
【0187】
実施例28A
1−ベンジル−4−(ベンジルオキシ)−3−ヨードピリジン−2(1H)−オン
【化80】

14.50g(49.77mmol)の1−ベンジル−4−(ベンジルオキシ)ピリジン−2(1H)−オンを1リットルのアセトニトリルに溶解する。20.16g(89.58mmol)の1−ヨードピロリジン−2,5−ジオンを加え、反応フラスコをアルミニウムホイルで覆い、混合物を室温で20時間撹拌する。次に混合物を濃縮し、残渣をシクロヘキサン/酢酸エチル勾配(9:1→8:2→7:3→6:4→1:1)を使用するカラムシリカゲルクロマトグラフィーにより精製する。生成物含有画分を濃縮し、残渣を50℃で250mlのシクロヘキサン/酢酸エチル混合物で撹拌する。次に混合物をもう一度0℃に冷却し、形成した固体を吸引濾取する。この方法で、15.5g(理論値の74.6%)の標的化合物を得る。
LC−MS(方法9):R=2.47分;m/z=418(M+H)
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ=7.92 (d, 1H), 7.48-7.38 (m, 4H), 7.37-7.24 (m, 6H), 6.39 (d, 1H), 5.31 (s, 2H), 5.12 (s, 2H).
【0188】
実施例29A
7−ベンジル−3−(4−エチルフェニル)−2−フェニルフロ[2,3−b]ピリジン−4(7H)−オン
【化81】

13.20g(31.64mmol)の1−ベンジル−4−(ベンジルオキシ)−3−ヨードピリジン−2(1H)−オンを26.4mlのトリエチルアミンと一緒に、最初に224mlのアセトニトリルに充填する。1.11g(1.58mmol)のビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロライド、301mg(1.58mmol)のヨウ化銅(I)および4.20g(41.13mmol)のエチニルベンゼンを加え、混合物をアルゴン下で撹拌しながら60℃で22時間加熱する。次に混合物を室温に冷却し、11.01g(47.45mmol)の4−エチルヨードベンゼンを加え、混合物をもう一度アルゴン下で撹拌しながら60℃で24時間加熱する。次に混合物を濃縮し、シリカゲルを介して濾過する(移動相:シクロヘキサン/酢酸エチル 1:1、次にジクロロメタン/メタノール 95:5)。生成物含有画分を合わせ、濃縮する。この方法で得られた生成物をもう一度カラムシリカゲルクロマトグラフィーにより精製する(移動相:ジクロロメタン/メタノール 100:3)。生成物含有画分をもう一度合わせ、濃縮する。残渣を温酢酸エチルに溶解し、少量の活性炭を加え、混合物を一時的に沸点に加熱し、活性炭を再び濾取する。室温に冷却後、沈殿した結晶を吸引濾取し、さらに結晶を母液から得る。この方法で、全量6.00g(理論値の44.1%)の標的化合物を得る。
LC−MS(方法1):R=2.86分;m/z=406(M+H)
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ=7.85 (d, 1H), 7.49-7.23 (m, 11H), 7.22 (d, 2H), 6.05 (d, 1H), 5.45 (s, 2H), 2.69-2.61 (q, 2H), 1.26-1.21 (t, 3H).
【0189】
実施例30A
4−クロロ−(4−エチルフェニル)−2−フェニルフロ[2,3−b]ピリジン
【化82】

6.00g(14.8mmol)の7−ベンジル−3−(4−エチルフェニル)−2−フェニルフロ[2,3−b]ピリジン−4(7H)−オンを最初に150mlのクロロホルムに充填する。室温で、0.5mlのDMF、次にゆっくり7.51g(59.19mmol)の塩化オキサリルを加え、次に混合物を還流下で18時間撹拌する。次に混合物を濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製する(移動相:シクロヘキサン/酢酸エチル 85:15)。これで3.22g(理論値の65.2%)の標的化合物を得る。
LC−MS(方法1):R=3.41分;m/z=334(M+H)
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ=8.20 (d, 1H), 7.62-7.58 (m, 2H), 7.35 (d, 2H), 7.31-7.25 (m, 5H), 7.18 (d, 1H), 2.80-2.72 (q, 2H), 1.35-1.30 (t, 3H).
【0190】
実施例31A
3−{[3−(4−エチルフェニル)−2−フェニルフロ[2,3−b]ピリジン−4−イル]アミノ}−2,2−ジメチルプロパン−1−オール
【化83】

400mg(1.2mmol)の4−クロロ−(4−エチルフェニル)−2−フェニルフロ[2,3−b]ピリジンを618mg(5.99mmol)の1−アミノ−2,2−ジメチル−3−プロパノールと一緒に4mlのDMSOに溶解する。混合物を最初に150℃で1時間、次に200℃でさらに2時間マイクロ波で反応させる。次に混合物を300mlの水で希釈し、それぞれの場合において200mlのジクロロメタンで2回抽出する。合わせたジクロロメタン相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濃縮する。生成物をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し(移動相:シクロヘキサン/酢酸エチル 1:1)、250mg(理論値の52.1%)の標的化合物を得る。
LC−MS(方法1):R=2.80分;m/z=401(M+H)
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ=7.97 (d, 1H), 7.56-7.52 (m, 2H), 7.42 (d, 2H), 7.35 (d, 2H), 7.26-7.21 (m, 3H), 6.28 (d, 1H), 4.42-4.38 (t, 1H), 3.16 (s, 2H), 2.93 (d, 2H), 2.78-2.71 (q, 2H), 1.32-1.28 (t, 3H), 0.68 (s, 6H).
【0191】
実施例32A
2−{[3−(4−エチルフェニル)−2−フェニルフロ[2,3−b]ピリジン−4−イル]オキシ}エタノール
【化84】

150mg(0.45mmol)の4−クロロ−3−(4−エチルフェニル)−2−フェニルフロ[2,3−b]ピリジンおよび39mg(0.63mmol)の1,2−エタンジオールを1mlのDMFに溶解し、23mg(0.58mmol)の60%の水素化ナトリウムを0℃で加える。懸濁液を室温で3時間、さらに45分60℃で撹拌する。次に別々に39mg(0.63mmol)の1,2−エタンジオールおよび23mg(0.58mmol)の60%の水素化ナトリウムを室温でDMF中で30分撹拌し、懸濁液を濾過し、濾液を室温で上記反応溶液に滴下し、次に溶液をもう一度60℃で一晩撹拌する。この方法をさらに39mg(0.63mmol)の1,2−エタンジオールおよび23mg(0.58mmol)の60%の水素化ナトリウムで繰り返して、反応混合物を60℃でさらに3時間撹拌する。次に、冷却後、水を加え、混合物を酢酸エチルで抽出し、有機相を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下濃縮する。残渣をジクロロメタンおよびメタノールの移動相(50:1)を使用するシリカゲル60クロマトグラフィーに付す。この方法で、172mg(理論値の27%)の表題生成物を得る。
LC−MS(方法1):R=2.79分;m/z=360(M+H)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ=8.20 (d, 1H), 7.52 (dd, 2H), 7.45-7.29 (m, 5H), 7.25 (d, 2H), 6.98 (d, 1H), 4.64 (t, 1H), 4.11 (t, 2H), 3.53 (q, 2H), 2.68 (q, 2H), 1.24 (t, 3H).
【0192】
実施例33A
3−{[3−(4−エチルフェニル)−2−フェニルフロ[2,3−b]ピリジン−4−イル]オキシ}プロパン−1−オール
【化85】

0℃で、15.6mg(0.389mmol、60%)の水素化ナトリウムを1.0mlのDMF中の100mg(0.30mmol)の4−クロロ−3−(4−エチルフェニル)−2−フェニルフロ[2,3−b]ピリジンおよび30μl(0.419mmol)の1,3−プロパンジオールの溶液に加える。最初に混合物を室温で2時間、次に60℃で一晩撹拌する。冷却後、さらに1.4等量の1,3−プロパンジオールおよび1.3等量の60%の水素化ナトリウムを加え、反応混合物をもう一度80℃で一晩加熱する。冷却後、反応混合物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出する。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下濃縮し、残渣を高真空下で乾燥する。シリカゲルクロマトグラフィーに付し(移動相:ジクロロメタン/メタノール 50:1)、70mg(理論値の60.4%)の標的化合物を得る。
LC−MS(方法1):R=2.80分;m/z=374(M+H)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ=8.19 (d, 1H), 7.53 (dd, 2H), 7.39-7.29 (m, 5H), 7.28 (d, 2H), 6.95 (d, 1H), 4.39 (t, 1H), 4.09 (t, 2H), 3.18 (q, 2H), 2.69 (q, 2H), 1.61 (m, 2H), 1.25 (t, 3H).
【0193】
実施例34A
メチル3−ニトロフェノキシアセテート
【化86】

最初に50g(359.4mmol)の3−ニトロフェノールおよび175.67g(539mmol)の炭酸セシウムを1.0リットルのアセトンに充填し、71.5g(467.3mmol)のメチルブロモアセテートを加える。混合物を50℃で1時間撹拌し、冷却後、7.5リットルの水に注ぐ。懸濁液を30分撹拌し、次に吸引濾取し、濾過残渣を水で洗浄する。固体を乾燥キャビネットで50℃で100mbarで乾燥させる。これで64.3g(理論値の84.7%)の標的化合物を得る。
MS(DCI):m/z=229(M+NH
1H-NMR (300 MHz, CDCl3): δ=7.90 (dd, 1H), 7.43 (t, 1H), 7.48 (t, 1H), 7.28 (dd, 1H), 4.75 (s, 2H), 3.86 (s, 3H).
【0194】
実施例35A
メチル3−アミノフェノキシアセテート
【化87】

アルゴン下、1.3gのパラジウム活性炭(10%)を150mlのメタノール中の13g(61.6mmol)のメチル3−ニトロフェノキシアセテートに加える。混合物を水素雰囲気下(大気圧)で室温で18時間撹拌する。触媒を珪藻土を介して濾取し、濾液を減圧下濃縮する。これで高真空下で乾燥後、10.7g(理論値の95.9%)の標的化合物を得る。
MS(DCI):m/z=199(M+NH、182(M+H)
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ=7.10-7.02 (m, 1H), 6.35-6.23 (m, 2H), 4.58 (s, 2H), 3.79 (s, 3H), 3.65 (br. s, 2H).
【0195】
実施例:
一般的な方法A:ヘテロアリールブロマイドのパラジウム触媒アリール化
容量あたり10%のメタノール、適当なアリールボロン酸(1.2から1.8等量)、炭酸カリウム(1.5から2.0等量)およびビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロライド(0.04から0.1等量)を連続してDMSO(約0.1から0.5mol/l)中の問題のヘテロアリールブロマイドの溶液に加える。アルゴン下で、反応混合物を80−100℃で2から8時間撹拌する。冷却後、粗混合物を分取RP−HPLCにより分離し、表題生成物を単離する。
【0196】
下記実施例は一般的な方法Aにしたがって得られる:
【表3】

【表4】

【表5】

【0197】
実施例5
(6R)−6−{[5−(4−メトキシフェニル)−6−フェニル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル]オキシ}ヘプタン酸
【化88】

最初に92mg(0.17mmol)の(6R)−6−{[7−ベンジル−5−(4−メトキシフェニル)−6−フェニル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル]オキシ}ヘプタン酸を30mlの酢酸および3mlの水の混合物に充填し、次に10mgの10%パラジウム炭素を加え、混合物を水素雰囲気下で大気圧で一晩撹拌する。さらに2回、それぞれの場合において次に10mgの触媒を加え、混合物を大気圧でさらに5日間水素化する。後処理のために、触媒を濾取し、濾過残渣を酢酸で洗浄し、濾液を減圧下で10−20℃で濃縮する。残渣を分取RP−HPLCにより精製する(水およびアセトニトリルの勾配)。これで5mg(理論値の7.0%)の表題化合物を得る。
LC−MS(方法1):R=2.59分;m/z=446(M+H)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ=12.34 (s, 1H), 8.34 (s, 1H), 7.40 (d, 2H), 7.35-7.25 (m, 3H), 7.21 (d, 2H), 6.88 (d, 2H), 5.27 (m, 1H), 3.76 (s, 3H), 2.10 (t, 2H), 1.53-1.43 (m, 4H), 1.31-1.05 (m, 2H), 1.20 (d, 3H).
[α]20=−24°、c=0.050、クロロホルム.
【0198】
一般的な方法B:メチルまたはエチルエステルの対応するカルボン酸への加水分解
室温で1Nの水溶液としての1.5から10等量の水酸化ナトリウムをTHFまたはTHF/メタノール(1:1)中のメチルまたはエチルエステルの溶液(濃度約0.05から0.5mol/l)に加える。混合物を室温で0.5−18時間撹拌し、次に1Nの塩酸で中性またはわずかに酸性化する。固体が沈殿したとき、生成物を濾過により単離でき、水で洗浄し、高真空下で乾燥させる。あるいは、標的化合物を分取RP−HPLC(移動相:水/アセトニトリル勾配)により粗生成物から直接単離する(適当なとき抽出後、ジクロロメタンで後処理する)。
【0199】
下記実施例は一般的な方法Bにしたがって得られる:
【表6】

【0200】
一般的な方法C:tert−ブチルエステルの対応するカルボン酸への開裂
0℃から室温で、約2:1から1:1のジクロロメタン/TFA比に達するまで、TFAをジクロロメタン中のtert−ブチルエステルの溶液(濃度 0.05から1.0mol/l;さらに1滴の水)に添加する。混合物を室温で1−18時間撹拌し、次に減圧下濃縮する。残渣を分取RP−HPLC(移動相:アセトニトリル/水勾配)により精製する。
【表7】

【表8】

【0201】
実施例10
エチル6−{[3−(4−メトキシフェニル)−2−フェニル−1−ベンゾフラン−4−イル]オキシ}ヘキサノエート
【化89】

アルゴン雰囲気下で、100mg(0.32mmol)の3−(4−メトキシフェニル)−2−フェニル−1−ベンゾフラン−4−オールを0.6mlのDMFに溶解し、103mg(0.32mmol)の炭酸セシウム、10mg(0.06mmol)のヨウ化カリウムおよび88mg(0.40mmol)のエチル6−ブロモヘキサノエートを加える。室温で1時間撹拌後、さらに51mg(0.16mmol)の炭酸セシウムおよび35mg(0.16mmol)のエチル6−ブロモヘキサノエートを加え、混合物を室温で一晩撹拌する。水を加え、反応混合物を塩化ナトリウムで飽和させ、酢酸エチルで抽出し、合わせた抽出物を硫酸マグネシウムで乾燥させ、有機相を減圧下濃縮する。残渣を水およびアセトニトリルの移動相を使用する分取RP−HPLCにより精製する。118mg(理論値の81%)の標的化合物を単離する。
LC−MS(方法1):R=3.51分;m/z=459(M+H)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ=7.49 (d, 2H), 7.38-7.21 (m, 7H), 6.99 (d, 2H), 6.71 (d, 1H), 4.05 (q, 2H), 3.85 (t, 2H), 3.70 (s, 3H), 2.15 (t, 2H), 1.48-1.31 (m, 4H), 1.18 (t, 3H), 0.94 (m, 2H).
【0202】
実施例11
tert−ブチル(6R)−6−{[3−(4−メトキシフェニル)−2−フェニル−1−ベンゾフラン−4−イル]オキシ}ヘプタノエート
【化90】

アルゴン下で、最初に130mg(0.41mmol)の3−(4−メトキシフェニル)−2−フェニル−1−ベンゾフラン−4−オールを0.5mlのDMFに充填し、136.2mg(0.51mmol)のtert−ブチル(+)−(6S)−6−ブロモヘプタノエート、133.9mg(0.41mmol)の炭酸セシウムおよび13mg(0.08mmol)のヨウ化カリウムを連続して加える。混合物を室温で一晩撹拌し、次に水で希釈する。混合物を塩化ナトリウムで飽和させ、酢酸エチルで3回抽出する。合わせた有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下濃縮する。粗生成物を分取RP−HPLCにより精製する。161mg(理論値の78.3%)の標的化合物を単離する。
LC−MS(方法1):R=3.68分;m/z=523(M+Na)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ=7.49 (d, 2H), 7.38-7.19 (m, 7H), 6.99 (d, 2H), 6.75 (d, 1H), 4.37 (m, 1H), 3.81 (s, 3H), 2.07 (t, 2H), 1.39 (s, 9H), 1.38-1.25 (m, 4H), 1.07 (d, 3H), 1.05-0.95 (m, 2H).
[α]20=−63.5°、c=0.535、クロロホルム.
【0203】
実施例12
6−{[3−(4−メトキシフェニル)−2−フェニル−1−ベンゾフラン−4−イル]オキシ}ヘキサン酸
【化91】

アルゴン雰囲気下で、90mg(0.20mmol)のエチル6−{[3−(4−メトキシフェニル)−2−フェニル−1−ベンゾフラン−4−イル]オキシ}ヘキサノエートを1mlのエタノールに懸濁し、0.8mlの2.5Mの水酸化ナトリウム水溶液を加える。室温で1時間撹拌後、さらに0.8mlの2.5Mの水酸化ナトリウム水溶液を加え、混合物を40℃で1時間撹拌する。後処理のために、冷却した反応溶液を1Mの塩酸を使用してわずかに酸性にし、得られた沈殿を濾取する。沈殿を繰り返し水で洗浄し、次に少量のメタノールでトリチュレートし、濾取し、減圧下乾燥する。これで47mg(理論値の56%)の表題化合物を得る。
LC−MS(方法4):R=2.79分;m/z=431(M+H)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ=11.98 (br. s, 1H), 7.48 (d, 2H), 7.38-7.20 (m, 7H), 6.99 (d, 2H), 6.71 (d, 1H), 3.87 (t, 2H), 3.71 (s, 3H), 2.09 (t, 2H), 1.48-1.28 (m, 4H), 0.94 (m, 2H).
【0204】
実施例13
(6R)−6−{[3−(4−メトキシフェニル)−2−フェニル−1−ベンゾフラン−4−イル]オキシ}ヘプタン酸
【化92】

60mg(0.12mmol)のtert−ブチル(6R)−6−{[3−(4−メトキシフェニル)−2−フェニル−1−ベンゾフラン−4−イル]オキシ}ヘプタノエートを0.5mlのジクロロメタンに溶解する。1滴の水の添加後、約0.1mlのトリフルオロ酢酸を加え、混合物を室温で30分撹拌する。さらに0.1mlのTFAを加え、次に混合物をさらに30分撹拌する。反応混合物を減圧下濃縮し、残渣を高真空下で乾燥する。最初に粗生成物を分取RP−HPLCにより前精製し、得られた生成物をさらにメタノールでトリチュレートおよび濾過により精製する。7mg(理論値の13.1%)の標的化合物を単離する。
LC−MS(方法10):R=3.68分;m/z(ESIneg)=443(M−H)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ=11.96 (br. s, 1H), 7.50 (d, 2H), 7.38-7.18 (m, 7H), 6.99 (d, 2H), 6.73 (d, 1H), 4.36 (m, 1H), 3.82 (s, 3H), 2.09 (t, 2H), 1.38-1.22 (m, 4H), 1.05 (d, 3H), 1.05-0.95 (m, 2H).
【0205】
実施例14
tert−ブチル(6R)−6−{[3−(4−メトキシフェニル)−2−フェニルフロ[3,2−c]ピリジン−4−イル]オキシ}ヘプタノエート
【化93】

アルゴン雰囲気下で、100mg(0.30mmol)の4−クロロ−3−(4−メトキシフェニル)−2−フェニルフロ[3,2−c]ピリジンおよび73mg(0.36mmol)のtert−ブチル(−)−6−ヒドロキシヘプタノエートを1mlのDMFに溶解する。0℃で、次に0.4ml(0.36mmol)の1Mのヘキサン中のN’’’−tert−ブチル−N,N’,N’’−トリス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデン]ホスホルイミド酸トリアミドの溶液を加える。反応混合物を0℃で1時間撹拌し、次にゆっくり室温に温め、室温でさらに2時間撹拌する。水を加え、混合物を塩化ナトリウムで飽和させ、酢酸エチルで3回抽出する。合わせた抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、ロータリーエバポレーターで濃縮する。粗生成物を水およびアセトニトリルの勾配を使用する分取RP−HPLCにより精製する。これで21mgの表題生成物(理論値の12.9%)を得る。
LC−MS(方法4):R=3.44分;m/z=502(M+H)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ=8.01 (d, 1H), 7.51 (d, 2H), 7.41-7.29 (m, 6H), 6.99 (d, 2H), 5.13 (m, 1H), 3.82 (s, 3H), 2.08 (t, 2H), 1.49-1.29 (m, 4H), 1.35 (s, 9H), 1.21-0.97 (m, 2H), 1.17 (d, 3H).
【0206】
実施例15
tert−ブチル6−{[3−(4−メトキシフェニル)−2−フェニルフロ[3,2−c]ピリジン−4−イル]アミノ}ヘキサノエート
【化94】

アルゴン雰囲気下で、最初に100mg(0.30mmol)の4−クロロ−3−(4−メトキシフェニル)−2−フェニルフロ[3,2−c]ピリジンを1mlのトルエンに充填し、34mg(0.36mmol)のナトリウムtert−ブトキシド、7mg(0.01mmol)のrac−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、55mg(0.06mmol)のトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムおよび89mg(0.48mmol)のtert−ブチル6−アミノヘキサノエートを連続して加える。混合物を還流下で1時間撹拌する。次に冷却した反応混合物をジクロロメタンで希釈し、水を加え、触媒および塩をセライトを介して濾取し、濾過残渣をジクロロメタンで洗浄し、減圧下濃縮する。粗生成物を分取RP−HPLC(アセトニトリルおよび水の勾配)により精製する。これで96mg(理論値の66%)の表題化合物を得る。
LC−MS(方法5):R=1.82分;m/z=487(M+H)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ=7.93 (d, 1H), 7.45 (d, 4H), 7.39-7.26 (m, 3H), 7.15 (m, 2H), 6.95 (d, 1H), 4.31 (t, 1H), 3.86 (s, 3H), 3.25 (q, 2H), 2.13 (t, 2H), 1.45-1.25 (m, 4H), 1.38 (s, 9H), 1.11-0.99 (m, 2H).
【0207】
実施例16
tert−ブチル(3−{[3−(4−メトキシフェニル)−2−フェニルフロ[3,2−c]ピリジン−4−イル]アミノ}−2,2−ジメチルプロポキシ)アセテート
【化95】

123mg(1.54mmol)の50%強度の水酸化ナトリウム水溶液および0.2mlのトルエンを40℃に温め、5mg(0.02mmol)のテトラ−N−ブチルアンモニウム硫酸水素塩を加える。0.2mlのトルエン中の62mg(0.15mmol)の3−{[3−(4−メトキシフェニル)−2−フェニルフロ[3,2−c]ピリジン−4−イル]アミノ}−2,2−ジメチルプロパン−1−オールの溶液および46μl(0.31mmol)のtert−ブチルブロモアセテートを次に滴下する。次に混合物を60℃で4時間撹拌する。冷却後、混合物を水で希釈し、次に酢酸エチルで3回抽出する。合わせた抽出物を硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下濃縮する。粗生成物を分取RP−HPLCにより精製する(水およびアセトニトリルの勾配)。これで35mg(理論値の56%)の表題化合物を得る。
LC−MS(方法1):R=2.25分;m/z=517(M+H)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ=7.90 (d, 1H), 7.50-7.40 (m, 4H), 7.37-7.26 (m, 3H), 7.15 (d, 2H), 6.94 (d, 1H), 4.49 (t, 1H), 3.85 (s, 3H), 3.75 (s, 2H), 3.25 (d, 2H), 2.98 (s, 2H), 1.40 (s, 9H), 0.69 (s, 6H).
【0208】
実施例17
(6R)−6−{[3−(4−メトキシフェニル)−2−フェニルフロ[3,2−c]ピリジン−4−イル]オキシ}ヘプタン酸
【化96】

13mg(0.03mmol)のtert−ブチル(6R)−6−{[3−(4−メトキシフェニル)−2−フェニルフロ[3,2−c]ピリジン−4−イル]オキシ}ヘプタノエートを1mlのジクロロメタンに溶解し、40μl(59mg、0.52mmol)のトリフルオロ酢酸を加え、混合物を室温で3時間撹拌する。次に反応混合物をジクロロメタンで希釈し、水および飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、ロータリーエバポレーターで濃縮し、残渣を減圧下乾燥する。これで11mg(理論値の93%)の標的化合物を得る。
LC−MS(方法5):R=2.52分;m/z=446(M+H)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ=11.95 (s, 1H), 8.01 (d, 1H), 7.52 (d, 2H), 7.41-7.29 (m, 6H), 7.01 (d, 2H), 5.14 (m, 1H), 3.82 (s, 3H), 2.10 (t, 2H), 1.50-1.30 (m, 4H), 1.21-0.97 (m, 2H), 1.17 (d, 3H).
[α]20=−64°、c=0.420、クロロホルム.
【0209】
実施例18
6−{[3−(4−メトキシフェニル)−2−フェニルフロ[3,2−c]ピリジン−4−イル]アミノ}ヘキサン酸
【化97】

69mg(0.14mmol)のtert−ブチル6−{[3−(4−メトキシフェニル)−2−フェニルフロ[3,2−c]ピリジン−4−イル]アミノ}ヘキサノエートを2mlのジクロロメタンに溶解し、0.2mlのトリフルオロ酢酸を加え、混合物を室温で3時間撹拌する。反応混合物をジクロロメタンで希釈し、水および飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィーに付す(移動相:ジクロロメタン/メタノール 10:1)。これで48mg(理論値の79%)の標的化合物を得る。
LC−MS(方法1):R=1.81分;m/z=431(M+H)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ=12.01 (br. s, 1H), 7.92 (d, 1H), 7.45 (d, 4H), 7.39-7.27 (m, 3H), 7.15 (m, 2H), 6.95 (d, 1H), 4.31 (t, 1H), 3.86 (s, 3H), 3.25 (q, 2H), 2.15 (t, 2H), 1.41 (m, 2H), 1.32 (m, 2H), 1.06 (m, 2H).
【0210】
実施例19
(3−{[3−(4−メトキシフェニル)−2−フェニルフロ[3,2−c]ピリジン−4−イル]アミノ}−2,2−ジメチルプロポキシ)酢酸
【化98】

25mg(0.05mmol)のtert−ブチル(3−{[3−(4−メトキシフェニル)−2−フェニルフロ[3,2−c]ピリジン−4−イル]アミノ}−2,2−ジメチルプロポキシ)アセテートを37μlのトリフルオロ酢酸および1滴の水で室温で10分撹拌する。次にトリフルオロ酢酸および水をロータリーエバポレーターで除去し、酢酸エチルを残渣に加え、混合物を飽和重炭酸ナトリウム溶液で1回洗浄する。水相を酢酸エチルで2回再抽出する。合わせた有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下濃縮する。残渣を高真空下で乾燥させ、7mg(理論値の32%)の表題化合物を得る。
LC−MS(方法1):R=1.93分;m/z=461(M+H)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ=12.54 (br. s, 1H), 7.90 (d, 1H), 7.50-7.40 (m, 4H), 7.36-7.26 (m, 3H), 7.16 (d, 2H), 6.94 (d, 1H), 4.47 (t, 1H), 3.85 (s, 3H), 3.79 (s, 2H), 3.25 (d, 2H), 2.99 (s, 2H), 0.69 (s, 6H).
【0211】
実施例20
tert−ブチル3−(3−{[3−(4−エチルフェニル)−2−フェニルフロ[2,3−b]ピリジン−4−イル]アミノ}−2,2−ジメチルプロポキシ)プロピオネート
【化99】

150mg(0.375mmol)の3−{[3−(4−エチルフェニル)−2−フェニルフロ[2,3−b]ピリジン−4−イル]アミノ}−2,2−ジメチルプロパン−1−オールを、240mg(1.873mmol)のtert−ブチルアクリレートおよび25mg(0.075mmol)のテトラ−N−ブチルアンモニウム硫酸水素塩と一緒に、最初に3.75mlのジクロロメタンに充填し、0℃に冷却する。0.75mlの50%強度の水酸化ナトリウム水溶液を加え、混合物を0℃で20分激しく撹拌する。次に混合物を室温に温め、さらに3時間激しく撹拌する。混合物を少量のジクロロメタンおよび水で希釈し、10%強度のクエン酸で酸性化し、相を分離する。水相をジクロロメタンで再抽出する。合わせた有機相を飽和塩化ナトリウム溶液で1回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濃縮する。残渣を分取薄層シリカゲルクロマトグラフィーで精製する(移動相:シクロヘキサン/酢酸エチル 7:3)。純粋な領域を削り取り、ジクロロメタン/メタノール(95:5)で抽出する。溶媒を除去し、残渣を高真空下で乾燥し、これで150mg(理論値の75.8%)の標的化合物を得る。
LC−MS(方法2):R=4.97分;m/z=529(M+H)
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ=7.98 (d, 1H), 7.56-7.51 (m, 2H), 7.42 (d, 2H), 7.34 (d, 2H), 7.26-7.19 (m, 3H), 6.29 (d, 1H), 4.26-4.22 (t, 1H), 3.52-3.48 (t, 2H), 2.92-2.87 (m, 4H), 2.78-2.71 (q, 2H), 2.41-2.36 (t, 2H), 1.41 (s, 9H), 1.31-1.26 (t, 3H), 0.64 (s, 6H).
【0212】
実施例21
3−(3−{[3−(4−エチルフェニル)−2−フェニルフロ[2,3−b]ピリジン−4−イル]アミノ}−2,2−ジメチルプロポキシ)プロパン酸
【化100】

150mg(0.284mmol)のtert−ブチル3−(3−{[3−(4−エチルフェニル)−2−フェニルフロ[2,3−b]ピリジン−4−イル]アミノ}−2,2−ジメチルプロポキシ)プロピオネートを3mlのジクロロメタンに溶解する。0.75mlのトリフルオロ酢酸を加え、混合物を室温で2時間撹拌する。次に混合物を蒸発乾燥し、残渣を分取薄層シリカゲルクロマトグラフィーで精製する(移動相 ジクロロメタン/メタノール 95:5)。純粋な領域を削り取り、ジクロロメタン/メタノール(9:1)で抽出する。溶媒を除去し、残渣を高真空下で乾燥し、これで85mg(理論値の63.4%)の標的化合物を得る。
LC−MS(方法1):R=2.87分;m/z=473(M+H)
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ=7.86 (d, 1H), 7.47-7.40 (m, 4H), 7.34 (d, 2H), 7.15 (m, 3H), 6.22 (d, 1H), 4.36-4.32 (t, 1H), 3.65-3.62 (t, 2H), 2.96-2.92 (m, 4H), 2.79-2.70 (q, 2H), 2.57-2.54 (t, 2H), 1.32-1.27 (t, 3H), 0.64 (s, 6H).
【0213】
実施例22
tert−ブチル6−{[3−(4−エチルフェニル)−2−フェニルフロ[2,3−b]ピリジン−4−イル]アミノ}ヘキサノエート
【化101】

最初に50mg(0.15mmol)の4−クロロ−3−(4−エチルフェニル)−2−フェニルフロ[2,3−b]ピリジンを1mlのトルエンに充填し、17mg(0.18mmol)のナトリウムtert−ブトキシド、4mg(0.01mmol)のrac−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、27mg(0.03mmol)のトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムおよび45mg(0.24mmol)のtert−ブチル6−アミノヘキサノエートを連続して加える。反応混合物を還流下で一晩撹拌する。次に冷却した混合物をジクロロメタンで希釈し、水を加え、触媒をセライトを介して濾取し、濾液を水および飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下濃縮する。粗生成物をシクロヘキサンおよび酢酸エチルの移動相(2:1)を使用するシリカゲルクロマトグラフィーに付す。これで44mg(理論値の57%)の表題化合物を得る。
LC−MS(方法1):R=3.52分;m/z=485(M+H)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ=7.95 (d, 1H), 7.49-7.40 (m, 5H), 7.37-7.23 (m, 4H), 6.41 (d, 1H), 4.15 (t, 2H), 3.02 (q, 1H), 2.75 (q, 2H), 2.11 (t, 2H), 1.45-1.21 (m, 16H), 1.09-0.99 (m, 2H).
【0214】
実施例23
tert−ブチル(3−{[3−(4−エチルフェニル)−2−フェニルフロ[2,3−b]ピリジン−4−イル]オキシ}プロポキシ)アセテート
【化102】

最初に70mg(0.19mmol)の3−{[3−(4−エチルフェニル)−2−フェニルフロ[2,3−b]ピリジン−4−イル]オキシ}プロパン−1−オールおよび30μl(0.20mmol)のtert−ブチルブロモアセテートを2mlのDMFに充填し、0.2ml(126mg、0.20mmol)の1Mのヘキサン中のN’’’−tert−ブチル−N,N’,N’’−トリス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデン]ホスホルイミド酸トリアミドの溶液を0℃で加え、混合物を最初に0℃で4時間、次に室温で一晩撹拌する。0℃で、さらに30μl(0.20mmol)のtert−ブチルブロモアセテートおよび0.2ml(126mg、0.20mmol)の1Mのヘキサン中のN’’’−tert−ブチル−N,N’,N’’−トリス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデン]ホスホルイミド酸トリアミド溶液を次に加え、混合物を室温でさらに12時間撹拌する。水を加え、反応混合物を1Mの塩酸で中和し、ジクロロメタンで抽出する。抽出物を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、ロータリーエバポレーターで濃縮する。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーにより前精製する(勾配 ジクロロメタン/メタノール 100:1→50:1)。分取RP−HPLC(水およびアセトニトリルの勾配)により最後に入念に精製し、19mg(理論値の20%)の表題化合物を得る。
LC−MS(方法5):R=2.88分;m/z=488(M+H)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ=8.18 (d, 1H), 7.52 (dd, 2H), 7.39-7.29 (m, 5H), 7.27 (d, 2H), 6.93 (d, 1H), 4.55 (m, 1H), 3.79 (s, 2H), 3.12 (t, 2H), 2.69 (q, 2H), 1.70 (m, 2H), 1.39 (s, 9H), 1.23 (t, 3H).
【0215】
実施例24
tert−ブチル(6R)−6−{[3−(4−エチルフェニル)−2−フェニルフロ[2,3−b]ピリジン−4−イル]オキシ}ヘプタノエート
【化103】

80mg(0.24mmol)の4−クロロ−3−(4−エチルフェニル)−2−フェニルフロ[2,3−b]ピリジンおよび107mg(0.53mmol)のtert−ブチル(−)−6−ヒドロキシヘプタノエートを1mlのDMFに溶解する。次に0℃で、0.5ml(304mg、0.48mmol)の1Mのヘキサン中のN’’’−tert−ブチル−N,N’,N’’−トリス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデン]ホスホルイミド酸トリアミドの溶液を加え、反応混合物を−5℃から0℃で2.5時間撹拌する。次に水を加え、混合物を1Mの塩酸で中和し、ジクロロメタンで抽出する。有機相を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、ロータリーエバポレーターで濃縮する。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーに付す(移動相:シクロヘキサン/酢酸エチル 3:1)。これで27mg(理論値の18%)の表題化合物を得る。
LC−MS(方法5):R=3.19分;m/z=500(M+H)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ=8.18 (d, 1H), 7.52 (dd, 2H), 7.41-7.30 (m, 5H), 7.28 (d, 2H), 6.93 (d, 1H), 4.57 (m, 1H), 2.74-2.64 (m, 2H), 2.07 (t, 2H), 1.45-1.20 (m, 3H), 1.34 (s, 9H), 1.23 (t, 3H), 1.13 (d, 3H), 1.03 (m, 2H).
【0216】
実施例25
tert−ブチル3−(2−{[3−(4−エチルフェニル)−2−フェニルフロ[2,3−b]ピリジン−4−イル]オキシ}エトキシ)プロピオネート
【化104】

65mg(0.18mmol)の2−{[3−(4−エチルフェニル)−2−フェニルフロ[2,3−b]ピリジン−4−イル]オキシ}エタノールおよび24mg(0.19mmol)のtert−ブチルアクリレートを2mlのDMFに溶解し、0.2ml(126mg、0.20mmol)の1Mのヘキサン中のN’’’−tert−ブチル−N,N’,N’’−トリス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデン]ホスホルイミド酸トリアミドの溶液を0℃で加え、混合物を0℃で2.5時間撹拌する。次に水を反応混合物に加え、混合物を1Mの塩酸で中和し、ジクロロメタンで抽出する。有機相を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、ロータリーエバポレーターで濃縮する。残渣を2mlのDMFに溶解し、さらに48mg(0.38mmol)のtert−ブチルアクリレートおよび0.4ml(252mg、0.40mmol)の1Mのヘキサン中のN’’’−tert−ブチル−N,N’,N’’−トリス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデン]ホスホルイミド酸トリアミドの溶液を0℃で加え、混合物を室温で一晩撹拌する。反応物を上記のとおりに後処理し、得られた残渣を0℃でさらに232mg(1.81mmol)のtert−ブチルアクリレートおよび8mg(0.20mmol)の60%の水素化ナトリウムと反応させる。次に反応混合物を室温でさらに一晩撹拌する。上記の抽出的後処理の後、最後に乾燥させた残渣を分取RP−HPLCにより精製する(水およびアセトニトリルの勾配)。この方法で、22mg(理論値の25%)の表題化合物を得る。
LC−MS(方法4):R=3.05分;m/z=488(M+H)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ=8.21 (d, 1H), 7.51 (dd, 2H), 7.41-7.30 (m, 5H), 7.27 (d, 2H), 6.95 (d, 1H), 4.15 (t, 2H), 3.51 (t, 2H), 3.38 (t, 2H), 2.68 (q, 2H), 2.31 (t, 2H), 1.35 (s, 9H), 1.24 (t, 3H).
【0217】
下記実施例は一般的な方法Cにしたがって得られる:
【表9】

【表10】

【表11】

【0218】
実施例30
メチル(3−{[3−(4−メトキシフェニル)−2−フェニルフロ[3,2−c]ピリジン−4−イル]アミノ}フェノキシ)アセテート
【化105】

200mg(0.596mmol)の4−クロロ−3−(4−メトキシフェニル)−2−フェニルフロ[3,2−c]ピリジン、129.5mg(0.715mmol)のメチル3−アミノフェノキシアセテートおよび135μl(0.893mmol)のトリエチルアミンを混合し、温風送風機を使用して約200℃に加熱する。温風送風機を使用して、形成された融解物をさらに加熱し、次に一時的に(数分)沸点に加熱する。冷却後、表題生成物を反応混合物のシリカゲルクロマトグラフィーにより直接単離する(Biotage、勾配:シクロヘキサン/酢酸エチル 10:1→5:1)。この方法で、75mg(理論値の26.2%)の表題化合物を得る。
LC−MS(方法1):R=2.90分;m/z=481(M+H)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ=8.12 (d, 1H), 7.59 (d, 2H), 7.53 (d, 2H), 7.42-7.34 (m, 3H), 7.29-7.24 (m, 4H), 7.14 (t, 1H), 6.64 (d, 1H), 6.55 (s, 1H), 5.98 (d, 1H), 4.72 (s, 2H), 3.92 (s, 3H), 3.71 (s, 3H).
【0219】
実施例31
(3−{[3−(4−メトキシフェニル)−2−フェニルフロ[3,2−c]ピリジン−4−イル]アミノ}フェノキシ)酢酸
【化106】

最初に54.0mg(0.112mmol)のメチル(3−{[3−(4−メトキシフェニル)−2−フェニルフロ[3,2−c]ピリジン−4−イル]アミノ}フェノキシ)アセテートを0.5mlのメタノールに充填し、1.1mlの1Nの水酸化ナトリウム水溶液を室温で加える。30分撹拌後、1Nの塩酸を加え、反応混合物を酢酸エチルで3回抽出する。合わせた有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下濃縮する。残渣を分取RP−HPLCにより精製する(水/アセトニトリル勾配)。この方法で得られた生成物をさらにシリカゲルクロマトグラフィーにより精製する(勾配:ジクロロメタン→ジクロロメタン/メタノール 10:1)。これで32mgの表題化合物(理論値の61%)を得る。
LC−MS(方法10):R=1.25分;m/z=467(M+H)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ=8.15 (d, 1H), 7.60 (d, 2H), 7.52 (d, 2H), 7.42-7.33 (m, 3H), 7.30-7.25 (m, 4H), 7.11 (t, 1H), 6.61 (dd, 1H), 6.53 (s, 1H), 6.45 (dd, 1H), 4.54 (s, 2H), 3.93 (s, 3H).
【0220】
B. 薬理効果の評価
本発明の化合物の薬理学的作用は下記アッセイで証明できる:
B−1.ヒト血小板膜のプロスタサイクリン受容体(IP受容体)への結合試験
50mlのヒト血液(Maco Pharma, LangenのBuffy coats with CDP Stabilizer)を20分160×gで遠心することにより血小板膜を得る。上清(多血小板血漿、PRP)を除去し、次に再び2000×gで10分室温で遠心する。沈殿物を50mMのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンに再懸濁し、これを1Nの塩酸でpH7.4に調節し、−20℃で一晩貯蔵する。次の日、懸濁液を80000×gで4℃で30分遠心する。上清を捨てる。沈殿物を50mMのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン/塩酸、0.25mMのエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、pH7.4に再懸濁し、次にもう一回80000×gで4℃で30分遠心する。膜沈殿物を結合バッファー(50mMのトリス(ヒドロキシメチル)−アミノメタン/塩酸、5mMの塩化マグネシウム、pH7.4)に取り、−70℃で結合試験まで貯蔵する。
【0221】
結合試験のために、3nMのH−イロプロスト(592GBq/mmol、AmershamBioscience)を60分1回あたり300−1000μg/mlのヒト血小板膜(最大0.2ml)で試験物質の存在下で室温でインキュベートする。停止後、冷結合バッファーを膜に加え、0.1%のウシ血清アルブミンで洗浄する。Ultima Gold Scintillatorの添加後、シンチレーションカウンターを使用して膜に結合した放射能を定量する。非特異的結合を1μMのイロプロスト(Cayman Chemical, Ann Arborから)の存在下での放射能と定義し、一般的に結合した全放射能の<25%である。結合データ(IC50値)はプログラムGraphPad Prism Version 3.02を使用して決定する。
【0222】
本発明の化合物の代表的な結果を表1に示す:
表1
【表12】

【0223】
B−2.全細胞のIP−受容体刺激
試験物質のIP−アゴニスト作用を内因的にIP−受容体を発現するヒト赤白血病細胞系(HEL)を利用して測定する[Murray, R., FEBS Letters 1989, 1: 172-174]。このために、懸濁細胞(4×10細胞/ml)を特定の試験物質と5分30℃でバッファー[10mMのHEPES(4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸)/PBS(リン酸緩衝生理食塩水、Oxoid, UK)]、1mMの塩化カルシウム、1mMの塩化マグネシウム、1mMのIBMX(3−イソブチル−1−メチルキサンチン)pH7.4中でインキュベートする。次に、反応を4℃冷エタノールの添加により停止し、必要量をさらに30分4℃で貯蔵する。次にサンプルを10000×gで4℃で遠心する。得られた上清を捨て、沈殿物を市販のcAMP−ラジオイムノアッセイ(IBL, Hamburg)における環状アデノシン一リン酸(cAMP)の濃度の測定のために使用する。この試験において、IPアゴニストはcAMP濃度の増加を引き起こすが、IPアンタゴニストは効果を有さない。有効な濃度(EC50値)をプログラムGraphPad Prism Version 3.02を使用して決定する。
【0224】
B−3.インビトロでの血小板凝集の阻害
血小板凝集の阻害を健康な試験対象(両方の性別)からの血液を使用して測定する。血液と凝固剤としての3.8%のクエン酸ナトリウム溶液を9対1で混合する。血液を900rev/分で20分遠心する。得られた多血小板血漿のpH値をACD溶液(クエン酸ナトリウム/クエン酸/グルコース)でpH6.5に調節する。次に血小板を遠心により除去し、バッファーに取り、再び遠心する。血小板沈殿物をバッファーに取り、さらに2mmol/lの塩化カルシウムで懸濁する。
【0225】
凝集の測定のために、一部分の血小板懸濁液と試験物質を10分37℃でインキュベートする。次に、ADPを加えることにより凝集を誘導し、Bornの比濁法によりAggregometerで37℃で測定する[Born G.V.R., J. Physiol. (London) 168, 178-179 (1963)]。
【0226】
B−4.麻酔されたラットの血圧の測定
体重300−350gのオスWistarラットをチオペンタールで麻酔する(100mg/kg 腹腔内)。気管切開後、大腿動脈に血圧測定のためにカテーテルを挿入する。適当なビヒクル中の溶液として試験物質を、食道管により経口的にまたは大腿静脈を介して静脈内に投与する。
【0227】
B−5.麻酔されたイヌのPAHモデル
肺動脈高血圧(PAH)のこの動物モデルにおいて、体重約25kgを有する雑種犬を使用する。25mg/kgのチオペンタールナトリウム(トラパナール(登録商標))および0.15mg/kgの塩化アルクロニウム(アロフェリン(登録商標))のゆっくりな静脈内投与により昏睡を誘導し、0.04mg/kg/時のフェンタニル(登録商標)、0.25mg/kg/時のドロペリドール(デヒドロベンズペリドール(登録商標))および15μg/kg/時の塩化アルクロニウム(アロフェリン(登録商標))の持続注入により実験中維持する。血圧の低下による脈拍に対する反射的効果を、自律的遮断により最小に維持する[アトロピン(約10μg/kg/時)およびプロプラノロール(約20μg/kg/時)の持続注入]。挿管後、動物を約5%の呼気終末CO濃度に達するように一定の一回換気量で人工呼吸器を使用して人工呼吸する。人工呼吸を約30%の酸素で強化した周囲空気で行う(正常酸素圧)。血行動態パラメーターを測定するために、液体入りカテーテルを血圧測定用に大腿動脈に埋め込む。2つの管腔を有する(double-lumiger)Swan−Ganz(登録商標)カテーテルを頸静脈を介して肺動脈に挿入する(肺動脈圧を測定するために遠位管腔、中心静脈圧を測定するために近位管腔)。左室圧を頸動脈を介する左心室への微小先端カテーテル(Millar(登録商標) Instruments)の挿入の後に左心室を測定し、これから、dP/dt値を収縮性に関する尺度として導く。大腿静脈を介して静脈内に物質を投与する。血行動態シグナルを記録し、圧力センサー/増幅器およびデータ収集ソフトウェアとしてPONEMAH(登録商標)を使用して評価する。
【0228】
急性肺高血圧を誘導するために、使用する刺激は低酸素状態またはトロンボキサンAもしくはトロンボキサンA類似体の持続注入のいずれかである。急性低酸素状態を、mPAPが>25mmHgの値に増加するように、人工呼吸の酸素を約14%に徐徐に減少させることにより誘導する。使用する刺激がトロンボキサンA類似体であるとき、0.21−0.32μg/kg/分のU−46619[9,11−ジデオキシ−9α,11a−エポキシメタノプロスタグランジンF2a(Sigmaより)]を注入してmPAPを>25mmHgに増加させる。
【0229】
B−6.麻酔されたゲッティンゲンミニブタのPAHモデル
肺動脈高血圧(PAH)のこの動物モデルにおいて、体重約25kgを有するゲッティンゲンミニブタを使用する。30mg/kgのケタミン(Ketavet(登録商標))筋肉内投与、次に10mg/kgのチオペンタールナトリウム(トラパナール(登録商標))静脈内投与により昏睡を誘導し;実験中、約30−35%酸素で強化した周囲空気/NO(1:1.5)の混合物中のエンフルラン(2−2.5%)を使用する吸入麻酔によりそれを維持する。血行動態パラメーターを測定するために、液体入りカテーテルを血圧測定用に頸動脈に埋め込む。2つの管腔を有するSwan−Ganz(登録商標)カテーテルを頸静脈を介して肺動脈に挿入する(肺動脈圧を測定するために遠位管腔、中枢静脈圧を測定するために近位管腔)。頸動脈を介する左心室への微小先端カテーテル(Millar(登録商標)装置)の挿入の後に左室圧を測定し、これから、dP/dt値を収縮性に関する基準として導く。大腿静脈を介して静脈内に物質を投与する。血行動態シグナルを記録し、圧力センサー/増幅器およびデータ収集ソフトウェアとしてPONEMAH(登録商標)を使用して評価する。
【0230】
急性肺高血圧を誘導するために、使用する刺激はトロンボキサンA類似体の持続注入である。ここで、0.12−0.14μg/kg/分のU−46619[9,11−ジデオキシ−9α,11a−エポキシメタノプロスタグランジンF2a(Sigmaより)]を注入してmPAPを>25mmHgに増加させる。
【0231】
C. 医薬組成物の実施例
本発明の化合物は、以下の方法で医薬製剤に変換できる:
錠剤:
組成:
100mgの本発明の化合物、50mgのラクトース(一水和物)、50mgのトウモロコシデンプン(天然)、10mgのポリビニルピロリドン(PVP25)(BASFより、Ludwigshafen, Germany)および2mgのステアリン酸マグネシウム。
錠剤重量212mg、直径8mm、曲率半径12mm。
製造:
本発明の化合物、ラクトースおよびスターチの混合物を、5%強度PVP水溶液(m/m)で造粒する。顆粒を乾燥させ、ステアリン酸マグネシウムと5分間混合する。この混合物を慣用の打錠機で打錠する(錠剤の形状について、上記参照)。打錠のガイドラインの打錠力は、15kNである。
【0232】
経口投与できる懸濁剤:
組成:
1000mgの本発明の化合物、1000mgのエタノール(96%)、400mgのRhodigel(登録商標)(FMCのキサンタンガム、Pennsylvania, USA)および99gの水。
10mlの経口懸濁液は、100mgの本発明の化合物の単回用量に相当する。
製造:
Rhodigelをエタノールに懸濁し、本発明の化合物を懸濁液に加える。撹拌しながら水を加える。Rhodigelの膨潤が完了するまで、混合物を約6時間撹拌する。
【0233】
経口投与できる液剤:
組成:
500mgの本発明の化合物、2.5gのポリソルベートおよび97gのポリエチレングリコール400。20gの経口液剤は、100mgの本発明の化合物の単回用量に相当する。
製造:
本発明の化合物を、ポリエチレングリコールおよびポリソルベートの混合物に撹拌しながら懸濁する。本発明の化合物が完全に溶解するまで、撹拌過程を継続する。
【0234】
i.v.溶液:
本発明の化合物を、生理的に耐容される溶媒(例えば、等張塩水、5%グルコース溶液および/または30%PEG400溶液)に飽和溶解度より低い濃度で溶解する。溶液を濾過滅菌し、無菌のパイロジェンを含まない注射容器を満たすために使用する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

〔式中、
B、DおよびEはそれぞれCHまたはNを示し、
GはNH、OまたはSを示し
{ただし、同時にBおよびEがNを示し、そしてDがCHを示すとき、GはOを示さず、
そして、同時にB、DおよびEがCHを示すとき、GはNHまたはSを示さない}、
AはOまたはN−Rを示し
{ここで、Rは水素、(C−C)−アルキル、(C−C)−シクロアルキルまたは(C−C)−シクロアルケニルを示す}、
Mは式
【化2】

で示される基を示し
[ここで、
#は基Aへの結合点を示し、
そして、
##は基Zへの結合点を示し、
は水素、またはヒドロキシルもしくはアミノにより置換されていてもよい(C−C)−アルキルを示し、
はフッ素により一置換もしくは二置換されていてもよい(C−C)−アルカンジイルまたは(C−C)−アルケンジイルを示すか、または式◆−L1A−V−L1B−◆◆の基を示し
{ここで、
◆は基−CHRへの結合点を示し、
◆◆は基Zへの結合点を示し、
1Aは(C−C)−アルキルおよび(C−C)−アルコキシからなる群から選択される同一であるかまたは異なる置換基により一置換もしくは二置換されていてもよい(C−C)−アルカンジイルを示し、
1Bは結合またはフッ素により一置換もしくは二置換されていてもよい(C−C)−アルカンジイルを示し、
そして、
VはOまたはN−Rを示し、ここで、
は水素、(C−C)−アルキルまたは(C−C)−シクロアルキルを示す}、
は結合または(C−C)−アルカンジイルを示し、
はフッ素により一置換もしくは二置換されていてもよい(C−C)−アルカンジイル{ここで、メチレン基はOまたはN−Rにより置換されていてもよく、ここで、Rは水素、(C−C)−アルキルまたは(C−C)−シクロアルキルを示す}を示すか、または(C−C)−アルケンジイルを示し、
そして、
Qは(C−C)−シクロアルキル、(C−C)−シクロアルケニル、フェニル、5ないし7員ヘテロシクリルまたは5もしくは6員ヘテロアリールを示し、これらそれぞれはフッ素、塩素、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、トリフルオロメトキシ、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノおよびジ−(C−C)−アルキルアミノ{ここで、この部分の(C−C)−アルキルはヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、アミノ、モノ−もしくはジ−(C−C)−アルキルアミノにより置換されていてよい}からなる群から選択される2個までの同一であるかまたは異なるラジカルにより置換されていてよい]、
Zは式
【化3】

で示される基を示し
{ここで、###は基LまたはLへの結合点を示し、
そして、Rは水素または(C−C)−アルキルを示す}、
そして、
およびRは同一であるか、または異なっており、互いに独立して、(C−C)−シクロアルキル、(C−C)−シクロアルケニル、フェニル、5ないし7員ヘテロシクリルまたは5もしくは6員ヘテロアリールを示し、これらそれぞれはハロゲン、シアノ、ニトロ、(C−C)−アルキル、(C−C)−アルケニル、(C−C)−アルキニル、(C−C)−シクロアルキル、(C−C)−シクロアルケニル、(C−C)−アルコキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、(C−C)−アルキルチオ、(C−C)−アシル、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノ、ジ−(C−C)−アルキルアミノおよび(C−C)−アシルアミノ{ここで、これらの部分の(C−C)−アルキルおよび(C−C)−アルコキシはそれぞれシアノ、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−アルキルチオ、アミノ、モノ−もしくはジ−(C−C)−アルキルアミノにより置換されていてもよい}からなる群から選択される同一であるかまたは異なるラジカルにより一置換ないし三置換されていてよいか、
または、
および/またはRはフェニルを示し、そこでは、隣接する環炭素原子に結合している2個のラジカルが一体となって式−O−CH−O−、−O−CHF−O−、−O−CF−O−、−O−CH−CH−O−または−O−CF−CF−O−の基を形成する〕
で示される化合物またはその塩、その溶媒和物もしくはその塩の溶媒和物の1つ。
【請求項2】
二環式環系
【化4】

が式
【化5】

で示されるヘテロアリール基を示し
{ここで、
*はラジカルRへの結合点を示し、
**はラジカルRへの結合点を示し、
そして、
***は基−A−M−Zへの結合点を示し、
B、DおよびEはそれぞれCHまたはNを示す、ただし、同時にDがCHを示し、EがNを示すとき、BはNを示さず、
そして、
GはNHまたはSを示す}、
AがOまたはN−Rを示し
{ここで、Rは水素、(C−C)−アルキルまたはシクロプロピルを示す}、
Mが式
【化6】

で示される基を示し
[ここで、
#は基Aへの結合点を示し、
そして、
##は基Zへの結合点を示し、
は水素、またはヒドロキシルもしくはアミノにより置換されていてもよい(C−C)−アルキルを示し、
はフッ素により一置換もしくは二置換されていてもよい(C−C)−アルカンジイルまたは(C−C)−アルケンジイル、または、式◆−L1A−V−L1B−◆◆で示される基を示し
{ここで、
◆は基−CHRへの結合点を示し、
◆◆は基Zへの結合点を示し、
1Aはメチルおよびエチルからなる群から選択される同一であるかまたは異なっている置換基により一置換もしくは二置換されていてもよい(C−C)−アルカンジイルを示し、
1Bはフッ素により一置換もしくは二置換されていてもよい(C−C)−アルカンジイルを示し、
そして、
VはOまたはN−Rを示し、ここで、
は水素、(C−C)−アルキルまたはシクロプロピルを示す}、
は結合または(C−C)−アルカンジイルを示し、
はフッ素により一置換もしくは二置換されていてもよい(C−C)−アルカンジイル、(C−C)−アルケンジイル、または、式●−W−CR−●●、●−W−CH−CR−●●または●−CH−W−CR−●●の基を示し
{ここで、
●は環Qへの結合点を示し、
●●は基Zへの結合点を示し、
WはOまたはN−Rを示し、ここで、
は水素、(C−C)−アルキルまたはシクロプロピルを示し、
そして、
およびRは、互いに独立して、水素またはフッ素を示す}、
そして、
Qは(C−C)−シクロアルキル、(C−C)−シクロアルケニル、フェニルまたは5もしくは6員ヘテロシクリルを示し、これらそれぞれはフッ素、塩素、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメトキシ、アミノ、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノおよびジエチルアミノからなる群から選択される2個までの同一であるかまたは異なるラジカルにより置換されていてもよい]、
Zは式
【化7】

で示される基を示し
{ここで、###は基LまたはLへの結合点を示し、
そして、Rは水素、メチルまたはエチルを示す}、
そして、
およびRが同一であるか、または異なっており、互いに独立して、(C−C)−シクロアルケニル、フェニルまたは5もしくは6員ヘテロアリールを示し、これらそれぞれはフッ素、塩素、シアノ、(C−C)−アルキル、(C−C)−アルケニル、(C−C)−シクロアルキル、(C−C)−シクロアルケニル、(C−C)−アルコキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、(C−C)−アルキルチオ、(C−C)−アシル、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノ、ジ−(C−C)−アルキルアミノおよび(C−C)−アシルアミノからなる群から選択される同一であるかまたは異なるラジカルにより一置換もしくは二置換されていてもよいか、
または、
および/またはRがフェニルを示し、そこでは、隣接する環炭素原子に結合している2個のラジカルが一体となって式−O−CH−O−、−O−CHF−O−または−O−CF−O−の基を形成する、
請求項1に記載の式(I)の化合物またはその塩、その溶媒和物もしくはその塩の溶媒和物の1つ。
【請求項3】
二環式環系
【化8】

が式
【化9】

で示されるヘテロアリール基を示し
{ここで、
*はラジカルRへの結合点を示し、
**はラジカルRへの結合点を示し、
そして、
***は基−A−M−Zへの結合点を示す}、
AがOまたはNHを示し、
Mが式
【化10】

で示される基を示し
[ここで、
#は基Aへの結合点を示し、
そして、
##は基Zへの結合点を示し、
は水素、メチルまたはエチルを示し、
は(C−C)−アルカンジイル、(C−C)−アルケンジイルまたは式◆−L1A−V−L1B−◆◆の基を示し
{ここで、
◆は基−CHRへの結合点を示し、
◆◆は基Zへの結合点を示し、
1Aはメチルにより一置換もしくは二置換されていてもよい(C−C)−アルカンジイルを示し、
1Bは(C−C)−アルカンジイルを示し、
そして、
VはOまたはN−CHを示す}、
は結合、メチレン、エタン−1,1−ジイルまたはエタン−1,2−ジイルを示し、
は(C−C)−アルカンジイルまたは式●−W−CH−●●もしくは●−W−CH−CH−●●の基を示し
{ここで、
●は環Qへの結合点を示し、
●●は基Zへの結合点を示し、
そして、
WはOまたはN−Rを示し、ここで、
は水素または(C−C)−アルキルを示す}、
そして、
Qはシクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、ピロリジニル、ピペリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、モルホリニルまたはフェニルを示し、これらそれぞれはフッ素、メチル、エチル、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、メトキシおよびエトキシからなる群から選択される2個までの同一であるかまたは異なるラジカルにより置換されていてもよい]、
Zが式
【化11】

で示される基を示し
{ここで、###は基LまたはLへの結合点を示す}、
そして、
およびRが同一であるか、または異なっており、互いに独立して、シクロペンテン−1−イル、シクロヘキセン−1−イル、フェニル、チエニルまたはピリジルを示し、これらそれぞれはフッ素、塩素、シアノ、(C−C)−アルキル、(C−C)−アルケニル、(C−C)−アルコキシ、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシからなる群から選択される同一であるかまたは異なるラジカルにより一置換もしくは二置換されていてもよい、
請求項1または請求項2に記載の式(I)の化合物またはその塩、その溶媒和物もしくはその塩の溶媒和物の1つ。
【請求項4】
式(I−A)
【化12】

〔式中、
AはOまたはNHを示し、
Mは式
【化13】

で示される基を示し
[ここで、
#は基Aへの結合点を示し、
そして、
##はカルボン酸基への結合点を示し、
は水素またはメチルを示し、
はブタン−1,4−ジイル、ペンタン−1,5−ジイルまたは式◆−L1A−O−L1B−◆◆の基を示し
{ここで、
◆は基−CHRへの結合点を示し、
◆◆はカルボン酸基への結合点を示し、
1Aはメチルにより一置換もしくは二置換されていてもよいメチレンまたはエタン−1,2−ジイルを示し、
そして、
1Bはメチレンまたはエタン−1,2−ジイルを示す}、
は結合またはメチレンを示し、
はメチレン、エタン−1,2−ジイル、プロパン−1,3−ジイルまたは式●−O−CH−●●もしくは●−O−CH−CH−●●の基を示し
{ここで、●は環Qへの結合点を示し、
そして、●●はカルボン酸基への結合点を示す}、
そして、
Qはシクロペンチル、シクロヘキシルまたはフェニルを示す]、
はフッ素または塩素により置換されていてもよいフェニルを示し、
そして、
はメチル、エチル、メトキシまたはエトキシにより置換されていてもよいフェニルを示す〕
の請求項1、請求項2または請求項3に記載の化合物またはその塩、その溶媒和物もしくはその塩の溶媒和物の1つ。
【請求項5】
式(I−B)
【化14】

〔式中、
AはOまたはNHを示し、
Mは式
【化15】

で示される基を示し
[ここで、
#は基Aへの結合点を示し、
そして、
##はカルボン酸基への結合点を示し、
は水素またはメチルを示し、
はブタン−1,4−ジイル、ペンタン−1,5−ジイルまたは式◆−L1A−O−L1B−◆◆の基を示し
{ここで、
◆は基−CHRへの結合点を示し、
◆◆はカルボン酸基への結合点を示し、
1Aはメチルにより一置換もしくは二置換されていてもよいメチレンまたはエタン−1,2−ジイルを示し、
そして、
1Bはメチレンまたはエタン−1,2−ジイルを示す}、
は結合またはメチレンを示し、
はメチレン、エタン−1,2−ジイル、プロパン−1,3−ジイルまたは式●−O−CH−●●もしくは●−O−CH−CH−●●の基を示し
{ここで、●は環Qへの結合点を示し、
そして、●●はカルボン酸基への結合点を示す}、
そして、
Qはシクロペンチル、シクロヘキシルまたはフェニルを示す]、
はフッ素または塩素により置換されていてもよいフェニルを示し、
そして、
はメチル、エチル、メトキシまたはエトキシにより置換されていてもよいフェニルを示す〕
の請求項1、請求項2または請求項3に記載の化合物またはその塩、その溶媒和物もしくはその塩の溶媒和物の1つ。
【請求項6】
式(I−C)
【化16】

〔式中、
AはOまたはNHを示し、
Mは式
【化17】

で示される基を示し
[ここで、
#は基Aへの結合点を示し、
そして、
##はカルボン酸基への結合点を示し、
は水素またはメチルを示し、
はブタン−1,4−ジイル、ペンタン−1,5−ジイルまたは式◆−L1A−O−L1B−◆◆の基を示し
{ここで、
◆は基−CHRへの結合点を示し、
◆◆はカルボン酸基への結合点を示し、
1Aはメチルにより一置換もしくは二置換されていてもよいメチレンまたはエタン−1,2−ジイルを示し、
そして、
1Bはメチレンまたはエタン−1,2−ジイルを示す}、
は結合またはメチレンを示し、
はメチレン、エタン−1,2−ジイル、プロパン−1,3−ジイルまたは式●−O−CH−●●もしくは●−O−CH−CH−●●の基を示し
{ここで、●は環Qへの結合点を示し、
そして、●●はカルボン酸基への結合点を示す}、
そして、
Qはシクロペンチル、シクロヘキシルまたはフェニルを示す]、
はフッ素または塩素により置換されていてもよいフェニルを示し、
そして、
はメチル、エチル、メトキシまたはエトキシにより置換されていてもよいフェニルを示す〕
の請求項1、請求項2または請求項3に記載の化合物またはその塩、その溶媒和物もしくはその塩の溶媒和物の1つ。
【請求項7】
式(I−D)
【化18】

〔式中、
AはOまたはNHを示し、
Mは式
【化19】

で示される基を示し
[ここで、
#は基Aへの結合点を示し、
そして、
##はカルボン酸基への結合点を示し、
は水素またはメチルを示し、
はブタン−1,4−ジイル、ペンタン−1,5−ジイルまたは式◆−L1A−O−L1B−◆◆の基を示し
{ここで、
◆は基−CHRへの結合点を示し、
◆◆はカルボン酸基への結合点を示し
1Aはメチルにより一置換もしくは二置換されていてもよいメチレンまたはエタン−1,2−ジイルを示し、
そして、
1Bはメチレンまたはエタン−1,2−ジイルを示す}、
は結合またはメチレンを示し、
はメチレン、エタン−1,2−ジイル、プロパン−1,3−ジイルまたは式●−O−CH−●●もしくは●−O−CH−CH−●●の基を示し
{ここで、●は環Qへの結合点を示し、
そして、●●はカルボン酸基への結合点を示す}、
そして、
Qはシクロペンチル、シクロヘキシルまたはフェニルを示す]、
はフッ素または塩素により置換されていてもよいフェニルを示し、
そして、
はメチル、エチル、メトキシまたはエトキシにより置換されていてもよいフェニルを示す〕
の請求項1、請求項2または請求項3に記載の化合物またはその塩、その溶媒和物もしくはその塩の溶媒和物の1つ。
【請求項8】
式(I−E)
【化20】

〔式中、
AはOまたはNHを示し、
Mは式
【化21】

で示される基を示し
[ここで、
#は基Aへの結合点を示し、
そして、
##はカルボン酸基への結合点を示し、
は水素またはメチルを示し、
はブタン−1,4−ジイル、ペンタン−1,5−ジイルまたは式◆−L1A−O−L1B−◆◆の基を示し
{ここで、
◆は基−CHRへの結合点を示し、
◆◆はカルボン酸基への結合点を示し、
1Aはメチルにより一置換もしくは二置換されていてもよいメチレンまたはエタン−1,2−ジイルを示し、
そして、
1Bはメチレンまたはエタン−1,2−ジイルを示す}、
は結合またはメチレンを示し、
はメチレン、エタン−1,2−ジイル、プロパン−1,3−ジイルまたは式●−O−CH−●●もしくは●−O−CH−CH−●●の基を示し
{ここで、●は環Qへの結合点を示し、
そして、●●はカルボン酸基への結合点を示す}、
そして、
Qはシクロペンチル、シクロヘキシルまたはフェニルを示す]、
はフッ素または塩素により置換されていてもよいフェニルを示し、
そして、
はメチル、エチル、メトキシまたはエトキシにより置換されていてもよいフェニルを示す〕
の請求項1、請求項2または請求項3に記載の化合物またはその塩、その溶媒和物もしくはその塩の溶媒和物の1つ。
【請求項9】
Zが−COOHまたは−C(=O)−COOHを示す、請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の化合物を製造する方法であって、
[A]式(II)
【化22】

〔式中、B、D、E、G、RおよびRはそれぞれ請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の意味を有し、
そして、Xは脱離基、例えば、ハロゲン、特に塩素を示す〕
で示される化合物を、不活性溶媒中で塩基の存在下で、式(III)
【化23】

〔式中、AおよびMはそれぞれ請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の意味を有し、
そして、
はシアノまたは式−[C(O)]−COOR7Aの基を示し、ここで、
yは0または1の数を示し、
そして、
7Aは(C−C)−アルキルを示す〕
で示される化合物と反応させ、式(IV)
【化24】

〔式中、A、B、D、E、G、M、Z、RおよびRはそれぞれ上記意味を有する〕
で示される化合物を得るか、または、
[B]式(V)
【化25】

〔式中、A、B、D、E、G、RおよびRはそれぞれ請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の意味を有する〕
で示される化合物を、不活性溶媒中で塩基の存在下で、式(VI)
【化26】

〔式中、Mは請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の意味を有し、そしてZは上記意味を有し、
そして、
は脱離基、例えば、ハロゲン、メシレート、トシレートまたはトリフレートを示す〕
で示される化合物と反応させ、式(IV)
【化27】

〔式中、A、B、D、E、G、M、Z、RおよびRはそれぞれ上記意味を有する〕
で示される化合物を得、
次に式(IV)の化合物をエステルまたはシアノ基Zの加水分解により式(Ia)
【化28】

〔式中、A、B、D、E、G、M、R、Rおよびyはそれぞれ上記意味を有する〕
で示されるカルボン酸に変換し、
これらを、適当なとき、適当な(i)溶媒および/または(ii)塩基または酸を使用して、それらの溶媒和物、塩および/または塩の溶媒和物に変換することを特徴とする方法。
【請求項10】
疾患の処置および/または予防のための請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の化合物。
【請求項11】
狭心症、肺高血圧、血栓塞栓性疾患および末梢閉塞性疾患の処置および/または予防のための薬剤の製造のための請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項12】
請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の化合物を、不活性な、非毒性の、薬学的に許容される補助剤と共に含む薬剤。
【請求項13】
請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の化合物をさらなる活性化合物と共に含む薬剤。
【請求項14】
狭心症、肺高血圧、血栓塞栓性疾患および末梢閉塞性疾患の処置および/または予防のための請求項12または請求項13に記載の薬剤。
【請求項15】
有効量の少なくとも1種の請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の化合物または請求項12ないし請求項14のいずれかに記載の薬剤を投与することによりヒトおよび動物における狭心症、肺高血圧、血栓塞栓性疾患および末梢閉塞性疾患を処置および/または予防する方法。

【公表番号】特表2010−530007(P2010−530007A)
【公表日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−512553(P2010−512553)
【出願日】平成20年6月3日(2008.6.3)
【国際出願番号】PCT/EP2008/004408
【国際公開番号】WO2008/155017
【国際公開日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(507113188)バイエル・シェーリング・ファルマ・アクチェンゲゼルシャフト (141)
【氏名又は名称原語表記】Bayer Schering Pharma Aktiengesellschaft
【Fターム(参考)】