説明

耐湿性PBO繊維およびその物品ならびにその製造方法

高湿度に暴露後の物性の改善したPBO繊維、PBO繊維含有シート、およびその集合体。PBO繊維は、ASTM E96−95(Procedure E)により37.8℃で測定して25×10−11cm(stp)cm/(cm・sec・Pa)未満の水蒸気透過率を有する封止剤中に無水の手段によって被包される。PBO繊維含有シートの場合、封止剤が繊維間の体積を部分的に充填する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高湿度に暴露後の物性の改善された保持率を有するPBO繊維、PBO繊維を含む繊維シートおよびその集合体に関する。これらの繊維、シートおよび物品は、衝撃吸収、防弾性および耐貫通性を必要とする用途、ならびに他の用途において実用性を見い出している。
【背景技術】
【0002】
アラミド、高分子量ポリエチレン(HMWPE)および、より最近では、ポリベンザゾール(PBO)などの物質からの高強度繊維の製造によって、広範囲のニーズの実現が可能かつ実用のものとなってきている。おそらく最も劇的には、これら繊維からできた個人用の身体防護服が多数の警察官および軍人の命を救ってきた。
【0003】
身体防護服は、通常織物の複数層、または一緒に撚られた繊維からなる不織布シートから形成される。不織布シート内の繊維は、一方向に配向され得るかまた不規則な配向でフェルト加工され得る。一方向性の繊維シート(UDシート)は一般に、繊維間の体積を充填するマトリックス樹脂を含む。連続UDシートは、互いに相対的な角度を成しており、例えば0°/90°もしくは0°/45°/90°/45°/0°または他の角度を成す。交差して合わされた(cross−plied)UDシートは一般に、織物より良好な防弾性を有しており、それゆえに重量の利点を有する。暴徒鎮圧用の盾およびヘリコプターシートなどの用途に有用な硬質防弾性複合材は、個々のシートを熱および圧力を使用して一緒に接着し、各シートにおけるマトリックスを接着し、それらの間に結合を形成し、そして全体を一つの統一された物品に確立する。
【0004】
現在市販されている高強度繊維に関しては、PBO繊維が非常に高い強度と引張り係数を有しており、双方とも弾道事象に関与する、伝播し、広がる歪波に重要である。しかしながら、残念なことにPBO繊維は高湿度(気相の水分)に対する暴露によって弱くなり得、その結果これらの防弾効果の劣化を生じる。東洋紡績株式会社(Toyobo Co.LTD.)による「PBOファイバー ザイロン(Fiber ZYLON)(登録商標)」技術情報(2001年9月改訂)という表題の刊行物によれば、PBO繊維は、70℃、相対湿度80%で6週間の促進老化後に強度の約26%を失うことがわかる。身体防護服が十分な「通気性(breathability)」、すなわち水蒸気透過性を有して、着衣に対する快適性を増すことが望まれることが多い。従って、PBOから身体防護服を製造するには、2つの相反する課題を克服する必要があり得る。すなわち、PBO繊維を湿度の影響から保護することと、同時に着衣の快適性のために防護服を通る水蒸気透過性を提供することである。
【0005】
PBO織物を含む、防弾性および/または耐貫通性物品は、従来技術において知られている。例えば、米国特許第6,559,079号明細書、米国特許第6,449,769号明細書、米国特許第6,238,768号明細書および米国特許第5,552,221号明細書を参照のこと。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これら従来技術は、単独または組み合わせても、本発明の物品または方法の特定の構成について記載しておらず、本発明によって達成されるすべての要求を満足させることはできない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、PBO繊維およびPBO繊維含有シート、ならびにその集合体を形成する方法であって、高湿度および高温に暴露後の物性の改善された保持率を有する。これらの繊維、シートおよび集合体は、衝撃吸収性、防弾性および耐貫通性を必要とする用途、ならびに他の用途において実用性を見い出している。
【0008】
1つの実施形態において、本発明は、無水の手段によって封止剤中にPBO繊維を被包するステップを含む、熱と湿気の影響に対して耐性を有するPBO繊維を形成する方法である。
【0009】
封止剤は、ASTM E96−95(Procedure E)によって37.8℃で測定して25×10−11cm(stp)・cm/(cm・sec・Pa)未満の水蒸気透過率を有する。この繊維は、さまざまな他の物品に形成され得る。
【0010】
別の実施形態において、本発明は、PBO繊維を含み、熱および湿気の影響に対して耐性を有するシートを形成する方法であって、
a)繊維網状組織に複数のPBO繊維を含む繊維状のシートを形成するステップと、
b)無水の手段によって封止剤中にPBO繊維を被包するステップであって、該封止剤がASTM E96−95(Procedure E)によって37.8℃で測定して25×10−11cm(stp)・cm/(cm・sec・Pa)未満の水蒸気透過率を有しており、該封止剤が該繊維間の体積を部分的に充填し、不織布の繊維網状組織の場合には、さらに該繊維を一緒に結合するステップと、
c)場合によって、該繊維状のシートの少なくとも片面にプラスチックフィルムを接着するステップと、を含む方法である。
【0011】
さらに別の実施形態において、本発明は、70℃、相対湿度80%で4週間の促進老化試験後にGeco9mm、124グレーン、FMJ(スチールジャケット)弾丸に対する初期のV50値の少なくとも87%を保持する防弾性物品を形成する方法であって、
a)繊維網状組織に複数のPBO繊維を含む繊維状シートを形成するステップと、
b)無水の手段によって封止剤中にPBO繊維を被包するステップであって、該封止剤がASTM E96−95(Procedure E)によって37.8℃で測定して25×10−11cm(stp)・cm/(cm・sec・Pa)未満の水蒸気透過率を有しており、該封止剤が該繊維間の体積を部分的に充填し、不織布の繊維網状組織の場合には、さらに該繊維を一緒に結合するステップと、
c)場合によって、該繊維状のシートの少なくとも片面にプラスチックフィルムを接着するステップと、
d)複数の繊維状シートを、互いに結合されていないかまたは軽度に結合されている配列において積み重ねるステップと、を含む方法である。
【0012】
別の実施形態において、本発明は、70℃、相対湿度80%で4週間の促進老化試験後にGeco9mm、124グレーン、FMJ(スチールジャケット)弾丸に対する初期のV50値の少なくとも87%を保持する防弾性物品を形成する方法であって、
a)一方向性の、平面状のシートにおいて複数のPBO繊維を並べるステップと、
b)無水の手段によって封止剤中にPBO繊維を被包するステップであって、該封止剤がASTM E96−95(Procedure E)によって37.8℃で測定して25×10−11cm(stp)・cm/(cm・sec・Pa)未満の水蒸気透過率を有しており、該封止剤が該繊維間の体積を部分的に充填し、そして該繊維を一緒に結合して、凝集性のシートを形成するステップと、
c)凝集性のシートの第1および第2のシートを互いに積み重ねるステップであって、第1のシートにおける該繊維の方向が第2のシートにおける該繊維の方向に対して少なくとも30°の角度を成しているステップと、
d)第1および第2の凝集性のシートを一緒に接着してラミネートを形成するステップと、
e)場合によって、該ラミネートの少なくとも片面にプラスチックフィルムを接着するステップと、
f)複数の該ラミネートを互いに、結合されていないかまたは軽度に結合されている配列で積み重ねるステップと、を含む方法である。
【0013】
別の実施形態において、本発明は、該PBO繊維、繊維状のシート、および繊維網状組織にPBO繊維を含む1枚以上の繊維状のシートを含む物品、を含む。これらの各々において、PBO繊維は、上記したように封止剤に被包されている。繊維状のシートは、被包されたPBO繊維から形成され得るかまたはPBO繊維から形成して、その後被包され得る。後者の、その後被包される繊維状シートでは、封止剤が繊維間の体積を部分的に充填し、不織布シートの場合には、封止剤はさらに該繊維を結合する。本発明はまた、これら物品の集合体も含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
1つの実施形態において、本発明は、熱および湿気の影響に対して耐性があるPBO繊維を形成する方法であって、無水の手段によって封止剤中に該PBO繊維を被包するステップを含む。この封止剤は、ASTM E96−95(Procedure E)によって37.8℃で測定して25×10−11cm(stp)・cm/(cm・sec・Pa)未満の水蒸気透過率を有する。
【0015】
別の実施形態において、本発明は、熱および湿気の影響に対して耐性があるPBO繊維を含むシートを形成する方法であって、
a)繊維網状組織中にPBO繊維を含む繊維状のシートを形成するステップと、
b)無水の手段によって封止剤中にPBO繊維を被包するステップであって、該封止剤がASTM E96−95(Procedure E)によって37.8℃で測定して25×10−11cm(stp)・cm/(cm・sec・Pa)未満の水蒸気透過率を有するステップと、
c)該封止剤で該繊維間の体積を部分的に充填するステップと、
d)場合によって、繊維状のシートの少なくとも片面にプラスチックフィルムを接着するステップと、を含む方法である。
【0016】
さらに別の実施形態において、本発明は、70℃、相対湿度80%で4週間の促進老化試験後にGeco9mm、124グレーン、FMJ(スチールジャケット)弾丸に対する初期のV50値の少なくとも87%を保持する防弾性物品を形成する方法であって、
a)繊維網状組織中にPBO繊維を含む繊維状のシートを形成するステップと、
b)無水の手段によって封止剤中に該PBO繊維を被包するステップであって、該封止剤がASTM E96−95(Procedure E)によって37.8℃で測定して25×10−11cm(stp)・cm/(cm・sec・Pa)未満の水蒸気透過率を有しており、該封止剤が該繊維間の体積を部分的に充填し、不織布の繊維網状組織の場合には、さらに該繊維を結合するステップと、
c)場合によって、該繊維状のシートの少なくとも片面にプラスチックフィルムを接着するステップと、
d)複数の該繊維状のシートを互いに、結合されていないかまたは軽度に結合されている配列に積み重ねるステップと、を含む方法である。
【0017】
別の実施形態において、本発明は、70℃、相対湿度80%で4週間の促進老化試験後にGeco9mm、124グレーン、FMJ(スチールジャケット)弾丸に対する初期のV50値の少なくとも87%を保持する防弾性物品を形成する方法であって、
a)一方向性の、平面状のシートに複数のPBO繊維を並べるステップであって、
b)無水の手段によって封止剤中に該PBO繊維を被包するステップであって、該封止剤がASTM E96−95(Procedure E)によって37.8℃で測定して25×10−11cm(stp)・cm/(cm・sec・Pa)未満の水蒸気透過率を有しており、該封止剤が該繊維間の体積を部分的に充填し、そして該繊維を結合して、凝集性のシートを形成するステップと、
c)該凝集性のシートの第1および第2のシートを互いに積み重ねるステップであって、第1のシートにおける該繊維の方向が第2のシートにおける該繊維の方向に対して少なくとも30°の角度を成しているステップと、
d)第1および第2の凝集性のシートを一緒に接着してラミネートを形成するステップと、
e)場合によって、該ラミネートの少なくとも片面にプラスチックフィルムを接着するステップと、
f)複数の該ラミネートを互いに、結合されていないかまたは軽度に結合されている配列で積み重ねるステップと、を含む方法である。
【0018】
他の実施形態において、本発明は、該繊維、繊維状のシート、および繊維網状組織中にPBO繊維を含む1枚以上の繊維状シートを含む物品、を含む。該繊維および/または該繊維状のシートは、先に記載した封止剤中に被包される。繊維状のシートの場合において、該封止剤は該繊維間の体積を部分的に充填し、不織布シートの場合には、さらに該繊維を結合する。本発明はまた、これらの物品の集合体を含む。
【0019】
本発明の目的のために、繊維は細長い物体であり、その長さ方向の寸法は長さ方向に直角の方向の幅および厚さより非常に長い。従って、本明細書において使用される「繊維」は、1本または複数のフィラメント、リボン、ストリップ、および連続もしくは不連続な長さにおいて規則的または不規則な断面を有する同様のものを含む。糸は、連続または不連続な繊維からなる集合である。本明細書において使用されるように、「繊維網状組織」または「網状組織」は、所定の構成に配列された複数の繊維、または所定の構成に配列された、撚られているかもしくは撚られていない糸を形成するためにグループ化された複数の繊維を意味する。該繊維網状組織は、さまざまな構成を有することができる。例えば、該繊維または糸は、フェルト、編物、網組、織物、不規則に配向した平面状の不織布、一方向に配向した不織布、または任意の従来技術によって網状組織に形成されるものとして構成され得る。特に好ましい網状組織の配置によれば、該繊維は、網状組織層の長手方向に沿って互いに実質的に平行であるように一方向に並べられる。
【0020】
本発明のシートおよび物品は、高分子量ポリエチレン(HMPE)、アラミド、および液晶ポリエステルなどの他の高強度繊維をさらに含んでもよい。一方向の繊維配向においてPBO繊維と一緒に使用される場合、好ましいものとして、これら繊維は該PBO繊維に対して平行に並べられる。異なる組成物の繊維が、該繊維の方向に対して直角方向に、原則的に周期的な配列に配置されることがまた好ましい。本発明の混成繊維含有シート物品は、総繊維重量を基準として10〜100%のPBO繊維を含むことが好ましい。
【0021】
本発明の文脈においてPBO繊維は、ポリベンザゾール繊維またはポリベンゾオキサゾール繊維である。本発明の実施に好適なPBO繊維は、例えば、米国特許第5,185,296号明細書、米国特許第5,286,833号明細書、米国特許第5,356,584号明細書、米国特許第5,534,205号明細書、米国特許第5,976,447号明細書および米国特許第6,040,050号明細書に開示されており、これらは参照により本明細書に援用される。好ましくは、PBO繊維は、東洋紡績株式会社から市販されているザイロン(ZYLON)(登録商標)ブランドのポリ(p−フェニレン−2,6−ベンゾビスオキサゾール)である。
【0022】
本発明に有用なHMWPE繊維は、135℃で約5デシリットル/グラム(dl/g)〜約35dl/gのデカリン中の固有粘度を有する。このような高分子量ポリエチレン繊維は、ハネウェル インターナショナル社(Honeywell International Inc.)からスペクトラ(SPECTRA)(登録商標)の商品名で市販されている。米国特許第4,413,110号明細書の開示は、本明細書の記載に矛盾しない範囲で参照によって本明細書に援用される。HMWPE繊維はまた、米国特許第5,702,657号明細書に記載されているような圧延処理および延伸処理によって製造され得、アイティエス インダストリーズ社(ITS Industries Inc.)よりテンシロン(TENSYLON)(登録商標)の商品名で販売されている。
【0023】
本発明に有用なアラミド繊維は、米国特許第3,671,542号明細書において記載され、イー・アイ・デュポン社(E.I.Dupont Co.)からケブラー(KEVLAR)(登録商標)およびノーメックス(NOMEX)(登録商標)、テイジン トワロン BV(Teijin Twaron BV)からトワロン(TWARON)(登録商標)、テクノラ(TECHNORA)(登録商標)およびテイジンコネックス(TEIJINCONEX)(登録商標)、JSC ヒム ヴォロクノ(JSC Chim Volokno)からアルモス(ARMOS)の商品名、カメンスク ヴォロクノ JSC(Kamensk Volokno JSC)からルサール(RUSAR)およびSVMの商品名で市販されている。適度に高い弾性率と靭性値を有するポリ(p−フェニレンテレフタルアミド)繊維およびp−フェニレンテレフタルアミドアラミドコポリマー繊維は、本発明において特に有用である。本発明において有用なp−フェニレンテレフタルアミドコポリマーアラミドの例としては、コ−ポリ−(パラフェニレン3,4’−オキシジフェニレンテレフタルアミド)がある。本発明の実施にまた有用なものとして、ポリ(m−フェニレンイソフタルアミド)繊維がある。
【0024】
本発明の実施に好適な液晶コポリエステル繊維は、例えば米国特許第3,975,487号明細書、米国特許第4,118,372号明細書および米国特許第4,161,470号明細書に開示されている。
【0025】
封止剤中にPBO繊維を被包するための無水の手段としては、例えば、化学蒸着、気相重合および蒸着、無水溶液中の現場(in situ)重合後の乾燥、無水封止剤溶液によるコーティング後の乾燥、および該繊維と溶液もしくは分散液などの水性媒体との接触を含まない他の手段が挙げられる。基材へのポリマーの気相蒸着手段について記載する米国特許第4,624,867号明細書、米国特許第5,447,799号明細書、および米国特許第6,179,922号明細書の開示、ならびに多孔性基材中でのフルオロポリマーの現場重合の手段について記載する米国特許出願公開第2002/0002219A1号明細書の開示は、本明細書と矛盾しない範囲で参照によって本明細書に援用される。PBO繊維を被包する好ましい手段としては、PBO繊維を封止剤の無水溶液でコーティングし、引き続き乾燥することである。
【0026】
本発明の好ましい方法は、一方向性の繊維網状組織として図1において概略的に説明される。織物、編物、編組(braided)、不規則に配向された平面状の(例えば、空気流により置かれた)またはフェルト加工された網状組織に適応させるには説明される装置にどのような変更がなされるべきかは当業者には明らかであろう。
【0027】
PBO繊維は、クリール102から供給され、結合ステーション104を通って一方向性の網状組織を形成する。次いで、繊維網状組織は、固定バー20の周囲を通って、該糸を薄層に拡張する。次いで、繊維網状組織は、封止剤の無水溶液の浴105に浸漬されてロール下を運ばれ、各々およびすべてのフィラメントを完全にコーティングする。無水溶媒中の封止剤の濃度は、該溶媒が乾燥された場合、封止剤がフィラメント間の体積を完全に充填しないようにする。封止剤の濃度は、該封止剤の水蒸気透過性と関連して選択される。封止剤の水蒸気透過性が低ければ低いほど、封止剤溶液濃度はより低くなり得る。一方向に並んだ繊維などの不織布繊維網状組織を扱う場合、封止剤濃度はまた、構造の一体化のために凝集性のシートにおいて該繊維を結合させるのに十分でなければならないという制限を受ける。好ましくは、コーティング溶液中の封止剤濃度は、重量で溶液の1%〜25%(1重量%〜25重量%)であり、より好ましくは5重量%から20重量%である。浴の出口で絞りロール106は、繊維網状組織から過剰な封止剤を取り除く。
【0028】
コーティングされた繊維網状組織は、紙、プラスチックフィルムまたは織物であり得る運搬体網107と合わせられる。次いで、コーティングされた繊維網状組織は、加熱オーブン112を通り、封止剤中の溶媒を蒸発させ、それにより封止剤中に繊維を被包する。封止剤は、繊維間の体積を部分的に充填し、繊維を結合して凝集性のシートを形成する。ニップローラー116を用いてシステムを通して運搬体網と繊維シートを牽引する。基材および繊維シートは、その後のラミネートの製造または本発明の複合材に備えてローラー118に巻き取られる。運搬体網は、繊維シートから剥がされてもよいし、最終ラミネートもしくは複合材の一部とされてもよい。
【0029】
封止剤は、防湿層として機能し、PBO繊維を保護するとともにまた、バインダーとして機能して不織布繊維シートに結合を付与し得る。封止剤は、ASTM標準試験方法E96−95(Procedure E)により37.8℃で測定して25×10−11cm(stp)・cm/(cm・sec・Pa)未満、より好ましくは5×10−11cm(stp)・cm/(cm・sec・Pa)未満の水蒸気透過率を有する。透過率の単位中の略語「stp」は、「標準温度および圧力(standard temperature and pressure)」の通常理解される意味を有する。
【0030】
封止剤の種類は、本発明のシートから製造される物品に対する最終使用の要件によって選択される。柔軟な物品が必要とされる場合、封止剤は、ASTM D638により測定して6,000psi(41.4MPa)未満の初期引張り係数のエラストマーが好ましい。硬い物品が必要とされる場合は、剛性は、低剛性率の封止剤を有するシートを十分な数加えることにより得ることができるかまたは高剛性率の樹脂封止剤を有するシートをより少なく用いて得ることができる。物品が構造複合材に使用されるラミネートである場合、封止剤は、ASTM D638により測定して1×10psi(6.9GPa)の初期引張り係数を有することが好ましい。
【0031】
適切に低い水蒸気透過率および弾性係数を有するさまざまなエラストマー物質および処方は、本発明において封止剤として利用され得る。例えば、好適な物質としてポリイソプレン、天然ゴム、エチレン−プロピレンコポリマー、エチレン−プロピレン−ジエン三元ポリマー、ポリクロロプレン(Neoprene G)、ポリ(イソブチレン−コ−イソプレン)(ブチルゴム)、スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー[クラトン(KRATON)(登録商標)D1107ブランド)、スチレン−(エチレン−コ−ブチレン)−スチレンブロックコポリマー[クラトン(KRATON)(登録商標)G1650ブランド]、およびポリトリクロロフルオロエチレンが挙げられる。これらエラストマーのいくつかの水蒸気透過率は、例えば、「Polymer Handbook」第2版、J.ブランドラップ(J.Bradrup)およびE.H.イマーガット(E.H. Immergut)編、III−229〜III−250頁、ジョンウィリー&サンズ(John Wiley&Sons)、ニューヨーク(New York)、1975年および(1965年)、ならびに「Fact Sheet K0102 Gas Permeability of KRATON Polymers」、クラトン ポリマーズ社(Kraton Polymers Inc.)に報告されており、表Iに示される。
【0032】
【表1】

【0033】
本発明のラミネートに有用である得る高弾性係数の封止剤樹脂としては、熱硬化性アリル類、アミノ類、シアネート類、エポキシ類、フェノール類、不飽和ポリエステル類、ビスマレイミド類、硬質ポリウレタン類、シリコーン類、ビニルエステル類およびそれらのコポリマーおよびその混合物が挙げられる。熱硬化性ビニル樹脂が好ましい。
【0034】
ビニルエステルは、多官能エポキシ樹脂を不飽和モノカルボン酸、通常はメタクリル酸またはアクリル酸でエステル化することによって製造されたものが好ましい。ビニルエステルの実例としては、アジピン酸ジグリシジル、イソフタル酸ジグリシジル、アジピン酸ジ−(2,3,−エポキシブチル)、シュウ酸ジ−(2,3−エポキシブチル)、コハク酸ジ−(2,3−エポキシヘキシル)、マレイン酸ジ−(3,4−エポキシブチル)、ピメリン酸ジ(2,3−エポキシオクチル)、フタル酸ジ−(2,3−エポキシブチル)、テトラヒドロフタル酸ジ−(2,3−エポキシオクチル)、マレイン酸ジ−(4,5−エポキシドデシル)、テレフタル酸ジ−(2,3−エポキシブチル)、チオジプロピオン酸ジ−(2,3−エポキシフェニル)、ジフェニルジカルボン酸ジ−(5,6−エポキシテトラデシル)、スルホニルジ酪酸ジ−(3,4−エポキシヘプチル)、1,2,4−ブタントリカルボン酸トリ−(2,3−エポキシブチル)、マレイン酸ジ−(5,6−エポキシペンタデジル)、アゼライン酸ジ−(2,3−エポキシブチル)、クエン酸ジ−(3,4−エポキシペンタデシル)、シクロヘキサン−1,3−ジカルボン酸ジ−(4,5−エポキシオクチル)、マロン酸ジ−(4,5−エポキシオクタデシル)、ビスフェノール−A−フマル酸ポリエステルおよび同様の物質が挙げられる。ダウケミカルカンパニー(Dow Chemical Company)製デラカネ(DERAKANE)(登録商標)などのエポキシをベースとしたビニルエステル樹脂が最も好ましい。
【0035】
無水の溶媒は、封止剤のための良溶媒であるべく選ばれる。本発明の文脈での無水溶媒は、水0.5重量%未満を含むものである。無水溶媒は、水0.1重量%未満を含むことが好ましい。無水溶媒は、水0.01重量%未満を含むことが最も好ましい。封止剤として有用ないくつかのポリマー用の溶媒は、例えば、「Polymer Handbook」第2版、、J.ブランドラップ(J.Brandrup)およびE.H.イマーガット(E.H. Immergut)編、IV−241〜IV−262頁、ジョンウィリー&サンズ(John Wiley&Sons)、ニューヨーク(New York)、1975年に表化されており、本明細書において参照によって援用される。無水溶媒は、容易に蒸発させるために、常圧下沸点150℃未満が好ましく、100℃未満がより好ましい。炭化水素エラストマー封止剤用の好ましい無水溶媒は、シクロヘキサンである。エポキシベースビニルエステル樹脂用の好ましい無水溶媒は、メチルエチルケトンである。
【0036】
本発明はまた、繊維網状組織にPBO繊維を含む繊維状のシートであり、該繊維は、ASTM E96−95(Procedure E)によって37.8℃で測定して25×10−11cm(stp)・cm/(cm・sec・Pa)未満の水蒸気透過率を有する封止剤中に被包されており、かつ該封止剤は、繊維間の体積の5〜99%、好ましくは15〜95%を充填する。封止剤が無水溶液から沈着し、引き続き乾燥されることがまた好ましい。封止剤は、該繊維状のシートの1重量%〜50重量%が好ましく、5重量%〜25重量%がより好ましく、5重量%〜20重量%が最も好ましい。場合によって、プラスチックフィルムが、該繊維状のシートの片面または両面に接着される。
【0037】
本発明の1つの物品は、積み重ねられた配列における本発明の複数の繊維状のシートである。好ましい実施形態において、繊維状のシートを構成する繊維は、互い平行に一方向に配向され、あるシートの繊維方向は、隣接するシートの繊維方向とある角度を成す。繊維状のシートは互いに、結合されてなくてもよいし、軽度に結合されていてもよく、あるいは一緒に接着されていてもよい。本発明の好ましい物品は、交差して合わされかつ互いに接着された一方向性の繊維状のシートを含む。交差して合わすことは、これによって本明細書と矛盾しない範囲でここに参照によって本明細書に取り込まれる、米国特許第5,173,138号明細書もしくは米国特許第5,766,725号明細書に記載されているような連続的に交差させて合わせる操作、またはハンド・レイアップ、または他の好適な手段によって行い得る。
【0038】
好ましい実施形態において、本発明は、積み重ねられた配列に一緒に接着された本発明の第1および第2の一方向性の繊維状のシートを含むラミネートを含み、第1のシートにおける繊維方向は、第2のシートにおける繊維方向に対して少なくとも30°の角度を成す。本発明の好ましい物品は、互いに結合されていないかまたは軽度に結合されている、積み重ねられた配列における複数のこれらラミネートを含む。
【0039】
別の実施形態において、本発明のラミネートは、積み重ねられた配列において一緒に接着された、1枚以上の他の組成の高強度繊維の繊維状のシートで挟まれた本発明の1枚以上のPBOの繊維状のシートを含み、場合によって該ラミネートの片面または両面に接着されたプラスチックフィルムを有する。この具体例の好ましい形態は、順に第1、第2、第3および第4シート;第1と第4の薄層はアラミド繊維からなり、第2と第3の薄層はPBO繊維を含み、そして該シートは、積み重ねられた配列で互いに接着されているラミネートを含む。繊維状のシートの各々が、隣接するシートにおける繊維方向が互いに直角である一方向性の繊維を含むことが最も好ましい。
【0040】
場合によって、プラスチックフィルムが、本発明の物品の片面または両面に接着されてもよい。好ましくは、該プラスチックフィルムは、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、イオノマー、セルロース、セルロースエステル、エチルセルロース、ポリフルオロカーボンからなる群から選択される部材から選択される。プラスチックフィルムが存在する場合は、物品の1重量%〜40重量%を構成することが好ましい。プラスチックフィルムは、ASTM E96−95(Procedure E)によって37.8℃で測定して5×10−9cm(stp)/(cm・sec・Pa)以上の水蒸気透過を有することが好ましく、50×10−9cm(stp)/(cm・sec・Pa)以上であることがより好ましい。透過は、フィルム厚さで除した透過率に相当するので、薄いフィルムほどより小さい透過率の物質が使用されるべきであり、逆もまたそうである。例えば、0.675×10−11cm(stp)cm/(cm・sec・Pa)の透過率を有する密度0.914のポリエチレンフィルムの場合、フィルム厚さが0.0005インチ(0.0014cm)に等しいかそれ未満であることが好ましい。プラスチックフィルムが、多孔性フィルムであることが最も好ましい。
【0041】
本発明の一方向性のPBO繊維シートを接着して本発明のラミネートを形成するには、熱および圧力をかけることによって行うことが好ましい。封止剤の種類および存在するプラスチックフィルムに依存して、温度約90℃から約160℃および圧力約100psi〜約2,500psi(69〜17,000kPa)が用いられる。
【0042】
別の実施形態において、本発明は、積み重ねられた配列にある本発明の複数の上記ラミネートを含む物品であり、該ラミネートは、互いに結合されていないかまたは軽度に結合されている、すなわちこれらの縁部もしくは隅部でのみ結合されている。該物品を構成するラミネートの数およびこれらの寸法は、その用途の性質によって決定されることは理解されるであろう。
【0043】
該物品は耐貫通性および/または防弾性であることが好ましい。本発明の耐貫通性物品は、タイプ1突き刺し防護に対するNIJ規格0115.00の要件を少なくとも満していることが好ましい。本発明の防弾性物品は、タイプIIa身体防護服に対するNIJ規格0101.04改訂Aの要件を少なくとも満たしていることが好ましい。本発明の防弾性物品は、9mmGeco、124グレーンFMJ(スチールジャケット)弾丸による衝撃時に少なくとも300J−m/Kgの比エネルギー吸収および少なくとも1,300ft/sec(396m/sec)のV50値を有することがより好ましい。V50値は、弾丸が物品を貫通する確率50%を有するその速度をいう。本発明の防弾性物品は、70℃、相対湿度80%で4週間の促進老化試験後に初期のV50値の少なくとも87%を保持することが、さらにより好ましい。本発明の防弾性物品は、70℃、相対湿度80%で6週間の促進老化試験後に初期のV50値の少なくとも85%を保持するのが、最も好ましい。
【0044】
別の実施形態において、本発明は、積み重ねられた配列で一緒に接着される、本発明の複数の一方向性の繊維シートを含む複合材であり、ここである1枚のシートの繊維方向が隣接するシートの繊維方向に対してある角度を成す。
【0045】
以下の実施例は、本発明をより完全に理解するために提示される。本発明の原理を説明するために述べられた特定の技術、条件、材料、比率および報告データは、典型的なものであり、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【実施例】
【0046】
比較例1
PBOの一方向性の繊維シートを、図1に概略的に示した装置を用いて調製した。1,005デニールのPBO繊維(ザイロン(ZYLON)(登録商標)AS銘柄、東洋紡績株式会社製)の数個のロールをクリール102から供給し、結合ステーション104を通過させて一方向性の網状組織を形成した。この繊維状の網状組織を静止バー20の上方および下方を通過させ、糸を薄い層に拡張した。次いで、繊維網状組織をエラストマー系スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー封止剤の水性分散液の浴に浸漬させたロールの下方に運び、各フィラメントを完全にコーティングした。ソヴェリン・スペシャルティ・ケミカルズ、バッファロー、ニューヨーク(Sovereign Specialty Chemicals,Buffalo,NY)から供給されるプリンリン(PRINLIN)(登録商標)7137ALという、水性分散液は、メーカーにより41〜45重量%の固形分を含む「樹脂変性水ベース分散液クラトン(Kraton)(登録商標)D1107」として記載されている。
【0047】
コーティングされた繊維網状組織は、絞りロール106を通過させて浴の出口で過剰の封止剤分散液を取り除いた。コーティングした繊維網状組織を0.35mil(0.00089cm)のポリエチレンフィルム運搬体網107に載せ、加熱オーブンを通過させて水を蒸発させ、封止剤に加えて繊維の、20重量%の封止剤を含む凝集性の繊維シートを形成した。この繊維、封止剤およびプラスチックフィルムの総面積密度は、48.5g/mであった。この繊維面積密度は、36g/mであった。繊維シート中の封止剤の面積密度は、9g/mであった。次いで、特にラミネートの製造のために、この運搬体網および繊維シートは、ローラー118に巻き取られた。
【0048】
上記した2ロールのシート材料を米国特許第5,173,138号明細書に記載された交差して合わせる機械上に載せた。このシート材料を、PBO対PBO、0°/90°で交差して合わせ、温度115℃および圧力500psi(3.5MPa)で固め、2つの同じPBO繊維の薄層および両面にポリエチレンフィルムを有するラミネートを作製した。
【0049】
このラミネートをカットして40cm×40cmの横寸法を有する多数の断片とした。22枚を積み重ね、これらの周囲を縫い合わせて多数の防弾性試験用の物品を形成した。物品の1組を標準大気条件下に置いた。他の物品を70℃、相対湿度80%で4週間および6週間促進老化を受けさせた。防弾性試験前にすべての物品を最低3日間標準大気条件に戻した。9mmGeco、124グレーン、FMJ(スチールジャケット)弾丸を用いた防弾性試験の結果を下記の表IIに示す。
【0050】
実施例1
水性分散液の代りに、封止剤浴が、水0.1重量%未満を有する無水シクロヘキサン中スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマーエラストマー[クラトン(KRATON)(登録商標)D1107、クラトン ポリマーズ社(Kraton Polymers,Inc.)製]の20重量%溶液であることを除いて、PBOの一方向性の繊維シートを比較例1に記載のように調製した。封止剤は、ASTM標準試験方法E96−95(Procedure E)により37.8℃で測定して21.5×10−11cm(stp)・cm/(cm・sec・Pa)の水蒸気透過率を有し、かつASTM D638により測定して200psi(1.4MPa)の初期引張り係数を有した。
【0051】
コートされた繊維網状組織を0.35mil(0.00089cm)ポリエチレンフィルム運搬体107上に載せ、加熱オーブンの中を通過させシクロヘキサンを蒸発させ、各フィラメントが封止剤に被包され、繊維間の体積が部分的に封止剤によって充填されている凝集性の繊維シートを形成した。本発明の凝集性のPBO繊維シートは、封止剤に加えて繊維の、20重量%の封止剤を含む。次いで、本発明のプラスチックフィルム運搬体および繊維シートを、本発明のラミネートの製造に備えてローラー118に巻き取った。
【0052】
封止剤によって充填された繊維間の体積部分は、以下のように測定された:繊維、封止剤に加えてプラスチックフィルムの総面積密度は、48.5g/mであった。繊維面積密度は、36g/mであった。繊維シート中の封止剤の面積密度は、9g/mであった。PBO繊維の密度は、1.54g/cmである。コートされた繊維シートの1mあたりPBO繊維によって実際に占められる体積は、それゆえ36g/1.54g/cm=23.4cmに相当した。封止剤、クラトン(KRATON)(登録商標)D1107は、密度0.92g/cmであった。コートされた繊維シートの1mあたりの封止剤の体積は、それゆえ9g/0.92g/cm=9.8cmに相当した。
【0053】
繊維シートに加えてプラスチックフィルムの、総厚さを測定すると0.0043cmであった。コーティングされた繊維シート(繊維に加えて封止剤)の厚さは、総厚さ引くプラスチックフィルムの厚さで、0.0043cm−0.00089cm=0.00341cmに相当した。コーティングされた繊維シートの1mの体積は、それゆえ0.00341cm×10cm=34.1cmであった。コートされた繊維シートの体積と繊維の体積の差は繊維間の体積=34.1cm−23.4cm=10.7cmであった。封止剤の体積は9.8cmであった。それゆえ、封止剤は、本発明の凝集性のPBO繊維シートの繊維間の体積の9.8/10.7×100=92%を占めた。
【0054】
上記の発明性を有するシート材料の2本のロールを米国特許第5,173,138号明細書に記載された交差して合わせる機械上に載せた。このシート材料を、PBOに対するPBO、0°/90°に交差して合わせ、温度115℃および圧力500psi(3.5MPa)下で固め、2枚の同じPBO繊維の薄層と両面にポリエチレンフィルムとを有するラミネートを作製した。ポリエチレンフィルムは、ASTM標準試験方法E96−95(Procedure E)により37.8℃で測定して7.5×10−9cm(stp)/(cm・sec・Pa)の水蒸気透過度を有した。
【0055】
このラミネートをカットし、40cm×40cmの横寸法を有する多数の断片にした。各々このようなラミネート22枚からなる、本発明の多数の物品を、積み重ね、これらの周囲を縫い合わせることによって形成した。物品の一組を試験して、初期の防弾性を得た。他の物品を、70℃、相対湿度80%で4週間および6週間促進老化に曝した。防弾性試験の前に、すべての物品を最低3日間標準大気条件に戻した。9mmGeco、124グレーン、FMJ(スチールジャケット)弾丸を用いた防弾性試験の結果を下記の表2に示す。
【0056】
【表2】

【0057】
無水の溶媒における溶液から封止剤を塗布する本発明の物品は、水性分散液から封止剤を塗布する物品と比較して、高湿度に暴露後に防弾特性の著しく大きい保持率を示すことがわかる。本発明の物品は、70℃、相対湿度80%で4週間後に初期のV50値の87%、6週間後に85%を超えて保持した。物品の「通気性」は、繊維間の体積を不完全に充填すること、および十分に透過性のある表面フィルムを供給することによって付与された。
【0058】
本発明の物品は、9mmGeco 124グレーン、FMJ(スチールジャケット)弾丸に対して、300J−m/Kgより大きい比エネルギー吸収を示した。本発明の物品は、タイプIIA身体防護服に対するNIJ規格0101.04改訂Aの要件を少なくとも満たしていた。
【0059】
実施例2
本発明の複合材を、2枚の交差して合わせたPBO繊維薄層と両面上のポリエチレンフィルムからなる実施例1に記載のラミネート22枚から形成する。このラミネートを温度115℃および圧力1,000psi(6.9MPa)で成形して接着する。複合材は、タイプIIA身体防護服に対するNIJ規格0101.04改訂Aの要件およびタイプI突刺し防護に対するNIJ規格0115.00の要件を満たすとともに、70℃、相対湿度80%で4週間後に初期V50値の87%を超えて保持する。
【0060】
実施例3
封止剤浴が、0.1重量%未満の水を含む無水シクロヘキサン中のポリ(イソブチレン)エラストマー[ビスタネックス(VISTANEX)(登録商標)PIBMM I−100、エクソンモービル ケミカル カンパニー(ExxonMobil Chemical Co.)製]10重量%溶液であることを除き、PBOの一方向性繊維シートを実施例1に記載のように調製する。封止剤は、ASTM標準試験方法E96−95(Procedure E)により37.8℃で測定して0.28×10−11cm(stp)・cm/(cm・sec・Pa)の水蒸気透過率、およびASTM D638により測定して6,000psi(41.3MPa)未満の初期引張り係数である。
【0061】
コーティングされた繊維網状組織を、ASTM E96−95(Procedure E)により37.8℃で測定して50×10−9cm(stp)/(cm・sec・Pa)の水蒸気透過率を有する多孔性ポリテトラフルオロエチレンフィルム運搬体網107に載せる。このコーティングされた繊維網状組織およびフィルム運搬体を加熱オーブンの中を通過させてシクロヘキサンを蒸発させ、各フィラメントが封止剤に被包された凝集性の繊維シートを形成する。本発明の凝集性のPBO繊維シートは、封止剤に加えて繊維の、10重量%の封止剤を含む。この封止剤は、繊維間の体積の51%を占める。次いで、本発明のプラスチックフィルム運搬体網および繊維シートを本発明のラミネートの製造に備えてローラ118に巻き取った。
【0062】
上記の発明性を有するシート材料2ロールを米国特許第5,173,138号明細書に記載された交差させて合わす機械上に載せた。このシート材料は、PBOに対するPBO、0°/90°で交差させ合わせ、圧力500psi(3.5MPa)下、温度115℃で固めて、2枚の同じPBO繊維薄層および両面に多孔性プラスチックフィルムを有するラミネートを作製した。
【0063】
このラミネートを40cm×40cmの横寸法を有する多数の断片にカットした。各々22枚のこのようなラミネートからなる本発明の多数の物品を、積み重ねて、これらの周囲を縫い合わせることよって形成した。このように形成された本発明の物品は、タイプIIA身体防護服用のNIJ規格0101.04改訂Aの要件を少なくとも満たし、70℃、相対湿度80%で4週間暴露後に初期V50値の87%を少なくとも保持した。
【0064】
実施例4
ポリエチレンフィルム運搬体が多孔性フィルムであることを除き、実施例1に記載のようにPBOの一方向性繊維シートを調製した。発明性を有する2ロールのシート材料を米国特許第5,173,138号明細書に記載の交差して合わせる機械に載せた。このシート材料を、PBOに対するPBO、0°/90°に交差して合わせ、温度115℃および圧力500psi(3.5MPa)下で固めて、2枚の同じPBO繊維薄層および両面の多孔性ポリエチレンフィルムを有するラミネートを作製した。ポリエチレンフィルムは、ASTM E96−95(Procedure E)により37.8℃で測定して75×10−9cm(stp)/(cm・sec・Pa)の水蒸気透過度を有した。
【0065】
温度115℃および圧力1,000psi(6.9MPa)下で成形することによって22枚のラミネートを一緒に接着し、本発明の複合材を形成した。複合材は、タイプIIA身体防護服に対するNIJ規格0101.04改訂Aの要件およびタイプI突刺し防護に対するNIJ規格0115.00の要件を満たすとともに、70℃、相対湿度80%で4週間後に初期V50値の87%を超えて保持した。
【0066】
実施例5
8mil(0.02cm)厚さおよび面密度136g/mを有するPBO織物[東洋紡績株式会社製ザイロン(登録商標)AS500デニール繊維からなるヘクセル−シュヴェール スタイル(Hexcel−Schwebel style)530織物]を0.1重量%未満の水を含む無水シクロヘキサン中スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマーエラストマー[KRATON(登録商標)D1107、クラトン ポリマーズ社(Kraton Polymers,Inc.)製]の8重量%溶液を含む浴中に浸漬させたロールの下方を通過させた。この織物の各フィラメントを溶液で完全にコーティングした。織物を絞りロールを通過させ、過剰の溶液を取り除き、ポリエチレンフィルム0.35mil(0.00089cm)の運搬体網に載せ、加熱オーブンの中を通過させて溶媒を蒸発させた。次いで、この運搬体網および本発明のコートされた織物を下記および次の実施例6に記載の防弾性物品の製造に備えてロールに巻き取った。
【0067】
繊維および封止剤の総面積密度は143g/mであった。乾燥織物中の封止剤面積密度は7g/mであった。封止剤によって充填された繊維間の体積部分は以下のように測定した:コーティングされていない織物の1mによって占められる体積は、100cm×100cm×0.02cm=200cmであった。コートされていない織物の1mの繊維により実際に占められた体積は136g/1.54g/cm=88.3cmであった。繊維間の体積は、それゆえ200cm−88.3cm=111.7cmであった。封止剤によって占められた体積は、7g/0.92g/cm=7.6cmであった。それゆえ、封止剤は繊維間の体積の7.61cm/111.7cm×100=6.8%を占めた。
【0068】
防弾性試験用の物品を、積み重ねた40cm×40cmの横寸法を有する、片面にポリエチレンフィルムを有するコーティングされた織物22枚から形成した。このような一物品を標準大気条件に置いた。他のこのような物品を70℃、相対湿度80%で4週間および6週間の促進老化を受けさせた。防弾性試験前にすべての物品を最低3日間標準大気条件に戻した。本発明の物品は、タイプIIA身体防護服に対するNIJ規格0101.04改訂Aの要件およびタイプI突刺し防護に対するNIJ規格0115.00の要件を満たすとともに、70℃、相対湿度80%で4週間後に初期V50値の87%を超えて保持した。
【0069】
実施例6
上記実施例5で調製された本発明のPBO織物からポリエチレンフィルム運搬体網を剥がした。40cm×40cmの横寸法を有する11の断片をこの織物からカットし、各部分片を同じ寸法の2枚のアラミド織物(1インチ平織物あたり31×31の850デニール ケブラー(KEVLAR)(登録商標)KM−2繊維からなるヘクセル−シュヴェーベル スタイル705(Hexel−Schwebel style705)間に向かい合って挟んだ。このように形成された11枚の各織物サンドイッチは、温度115℃で圧力500psi(3.5MPa)下で圧縮成形し、本発明のラミネートを作製した。11枚のラミネートを積層し、それらの周囲を縫い合わせて本発明の別の物品を形成した。
【0070】
本発明の物品は、タイプIIA身体防護服に対するNIJ規格0101.04改訂Aの要件およびタイプI突刺し防護に対するNIJ規格0115.00の要件を満たすとともに、70℃、相対湿度80%で4週間後に初期V50値の87%を超えて保持した。
【0071】
実施例7
51mm長にチョップされたPBO繊維[ザイロン(ZYLON)(登録商標)AS]を東洋紡績株式会社から入手した。チョップト繊維を空気流で置く処理によって不規則に配向させた不織布シートに形成した。この不織布シート(batt)をニードル織機の中を通し、垂直方向に繊維を機械的に配向させ、繊維の集積をからめて凝集性のフェルト布地とした。このPBOフェルト布地を、0.1重量%未満の水を含む無水シクロヘキサン中ポリ(イソブチレン)エラストマー[ビスタネックス(VISTANEX)(登録商標)PIB MM 1−100、エクソンモービル ケミカル カンパニー(ExxonMobil Chemical Co.)製]の10重量%溶液を含む浴中に浸漬させたロールの下方を通過させた。封止剤は、ASTM標準試験方法E96−95(Procedure E)により37.8℃で測定して0.28×10−11cm(stp)・cm/(cm・sec・Pa)の水蒸気透過率、およびASTM D638により測定して6,000psi(41.3MPa)未満の初期引張り係数を有した。
【0072】
フェルト布地の各フィラメントをこの溶液で完全に塗布した。この布地を絞りロールを通して過剰の溶液を取り除き、0.35mil(0.00089cm)のポリエチレンフィルム運搬体網に載せ、加熱オーブンの中を通過させ、溶媒を蒸発させた。封止剤は、繊維間の体積の10%を占めた。1mil(0.0025cm)の多孔性ポリエチレンフィルムをフェルト布地の上面に当て、集合体を温度115℃および圧力500psi(3.5MPa)下で加熱ロール間を通過させ、本発明の繊維状のシートを作製した。
【0073】
防弾性試験用の物品を、一緒に積み重ねて、周囲を縫い合わせた40cm×40cmの横寸法を有する、ポリエチレンフィルムを両面に用いた22枚のコーティングされたフェルト布地から形成した。このような物品の1つを標準大気条件に置いた。他の物品を、70℃、相対湿度80%で4週間および6週間の促進老化を受けさせた。すべての物品を、防弾性試験前に最低3日間標準大気条件に戻した。本発明の物品は、タイプIIA身体防護服に対するNIJ規格0101.04改訂Aの要件、およびタイプI突刺し防護に対するNIJ規格0115.00の要件を満たすとともに、70℃、相対湿度80%で4週間後に初期V50値の87%を超えて保持するものである。
【0074】
以上、本発明をかなり十分詳細に説明してきたが、このような詳細は厳格に従われる必要はなく、さらなる変更および修正が、冒頭の特許請求の範囲によって規定される発明の範囲内にすべて包含されることを当業者に示唆し得ることが理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の一方向性のPBO繊維シートを製造する方法の概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
PBO繊維を含み、熱および湿気の影響に耐性を示すシートを形成する方法であって、
a)繊維網状組織において複数のPBO繊維を含む繊維状のシートを形成するステップと、
b)無水の手段によって封止剤中に前記PBO繊維を被包するステップであって、前記封止剤が、ASTM E 96−95(Procedure E)によって37.8℃で測定して25×10−11cm(stp)・cm/(cm・sec・Pa)未満の水蒸気透過率を有するステップと
c)前記封止剤で前記繊維間の体積を部分的に充填するステップと、
d)場合によって、前記繊維状のシートの少なくとも片面にプラスチックフィルムを接着するステップと、を含む方法。
【請求項2】
前記PBO繊維が、前記シートの繊維含量の10〜100重量%を構成する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記繊維網状組織が、フェルト、編物、編組、織物、不規則に配向した平面状の不織布、および一方向に配向した不織布からなる群から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記網状組織中の繊維が、互いに実質的に平行であるように一方向に並べられている請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記封止剤が、前記繊維間の体積の5%〜99%を充填する請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記封止剤が、前記繊維間の体積の15%〜95%を充填する請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記封止剤が、ASTM E 96−95(Procedure E)によって37.8℃で測定して5×10−11cm(stp)・cm/(cm・sec・Pa)未満の水蒸気透過率を有する請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記繊維を被包する前記無水の手段が、化学蒸着、気相重合、無水の溶液中の重合後に乾燥すること、無水の封止剤溶液によるコーティング後に乾燥すること、からなる群から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記繊維を被包する前記無水の手段が、無水の封止剤溶液によるコーティング後に乾燥することである請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記無水の封止剤溶液中の溶媒が、常圧下沸点150℃未満を有する請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記無水の封止剤溶液中の溶媒が、常圧下沸点100℃未満を有する請求項9に記載の方法。
【請求項12】
PBO繊維を含み、かつ70℃、相対湿度80%で4週間の調整後に初期V50値の少なくとも87%を保持する防弾性物品を形成する方法であって、
a)繊維網状組織中に複数のPBO繊維を含む繊維状のシートを形成するステップと、
b)無水の手段によって封止剤中に前記PBO繊維を被包するステップであって、前記封止剤が、ASTM E 96−95(Procedure E)によって37.8℃で測定して25×10−11cm(stp)・cm/(cm・sec・Pa)未満の水蒸気透過率を有するステップと、
c)前記繊維間の体積を前記封止剤で部分的に充填するステップと、
d)場合によって、前記繊維状のシートの少なくとも片面にプラスチックフィルムを接着するステップと、
e)複数の繊維状のシートを結合されていないかまたは軽度に結合されている配列で互いに積み重ねるステップと、を含む方法。
【請求項13】
PBO繊維を含み、70℃、相対湿度80%で4週間の調整後に初期V50値の少なくとも87%を保持する防弾性物品を形成する方法であって、
a)複数のPBO繊維を一方向性の、平面状のシートに並べるステップと、
b)無水の手段によって封止剤中に前記PBO繊維を被包するステップであって、前記封止剤が、ASTM E96−95(Procedure E)によって37.8℃で測定して25×10−11cm(stp)・cm/(cm・sec・Pa)未満の水蒸気透過率を有し、かつ前記繊維間の体積を部分的に充填する、ステップと、
c)前記繊維を一緒に結合して凝集性のシートを形成するステップと、
d)前記凝集性のシートの第1および第2のシートを互いに積み重ねるステップであって、前記第1のシートにおける前記繊維の方向が、前記第2のシートにおける前記繊維の方向に対して少なくとも30°の角度を成すステップと、
e)第1および第2の凝集性のシートを一緒に接着してラミネートを形成するステップと、
f)場合によって、前記ラミネートの片面または両面にプラスチックフィルムを接着するステップと、
g)複数のラミネートを結合されていないかまたは軽度に結合されている配列で互いに積み重ねるステップと、を含む方法。
【請求項14】
繊維網状組織中に、ASTM E96−95(Procedure E)によって37.8℃で測定して25×10−11cm(stp)・cm/(cm・sec・Pa)未満の水蒸気透過率を有する封止剤で被包されたPBO繊維を含む繊維状のシートであって、前記封止剤が前記繊維間の体積の5〜99%を充填し、場合によって、前記繊維状のシートの片面または両面に接着されたプラスチックフィルムを有する繊維状のシート。
【請求項15】
前記繊維網状組織が、フェルト、編物、編組、織物、不規則に配向した平面状の不織布および一方向に配向した不織布からなる群から選択される請求項20に記載の繊維状のシート。
【請求項16】
前記繊維網状組織中の前記繊維が、互いに実質的に平行であるように一方向に並べられている請求項20に記載の繊維状シート。
【請求項17】
前記封止剤が、前記繊維間の体積の15%〜95%を充填する請求項20に記載の繊維状のシート。
【請求項18】
前記PBO繊維が、ポリ(2−フェニレン−2,6−ベンゾビスオキサゾール)である請求項20に記載の繊維状シート。
【請求項19】
前記PBO繊維が、前記物品の繊維含量の10〜100重量%を構成する請求項20に記載の繊維状のシート。
【請求項20】
前記封止剤が、前記物品の1〜50重量%を構成する請求項20に記載の繊維状のシート。
【請求項21】
前記封止剤が、前記物品の5〜25重量%を構成する請求項20に記載の繊維状のシート。
【請求項22】
前記封止剤が、前記物品の5〜20重量%を構成する請求項20に記載の繊維状のシート。
【請求項23】
前記封止剤が、ASTM E96−95(Procedure E)によって37.8℃で測定して5×10−11cm(stp)・cm/(cm・sec・Pa)未満の水蒸気透過率を有する請求項20に記載の繊維状のシート。
【請求項24】
前記封止剤が、ASTM D638によって測定して6,000psi(41.3MPa)未満の初期引張り係数を有する弾性物質である請求項20に記載の繊維状のシート。
【請求項25】
前記プラスチックフィルムが、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、イオノマー、セルロース、セルロースエステル、エチルセルロースおよびポリフルオロカーボンからなる群から選択される部材である請求項20に記載の繊維状のシート。
【請求項26】
前記プラスチックフィルムが、ASTM E96−95(Procedure E)によって37.8℃で測定して5×10−9cm(stp)・cm/(cm・sec・Pa)以上の水蒸気透過率を有する請求項20に記載の繊維状のシート。
【請求項27】
前記プラスチックフィルムが、ASTM E96−95(Procedure E)によって37.8℃で測定して50×10−9cm(stp)・cm/(cm・sec・Pa)以上の水蒸気透過率を有する請求項20に記載の繊維状のシート。
【請求項28】
前記プラスチックフィルムが、多孔性である請求項20に記載の繊維状のシート。
【請求項29】
前記プラスチックフィルムが、前記シートの1〜40重量%を構成する請求項20に記載の繊維状のシート。
【請求項30】
積み重ねられた配列における請求項20に記載の複数の前記繊維状のシートを含む物品であって、前記繊維状のシートが、互いに結合されていないかまたは軽度に結合されている物品。
【請求項31】
タイプIIa身体防護服に対するNIJ規格0101.04改訂Aの要件を少なくとも満たしている請求項36に記載の物品。
【請求項32】
少なくとも300J−m/Kgの比エネルギー吸収、および9mmGeco、124グレーン、FMJ(スチールジャケット)弾丸による衝撃時に少なくとも1,300ft/sec(396m/sec)のV50値を有する請求項36に記載の物品。
【請求項33】
積み重ねられた配列と一緒に接着される他の組成の高強度繊維の1枚以上の繊維状のシートで挟まれる請求項20に記載の1枚以上の繊維状のシートを含むラミネートであって、場合によって前記ラミネートの片面または両面に接着されるプラスチックフィルムを有するラミネート。
【請求項34】
順に第1、第2、第3および第4の薄層を含むラミネートであって、前記第1および第4の薄層がアラミド繊維を含み、前記第2および第3の薄層が請求項20に記載の繊維状のシートを含む請求項39に記載のラミネート。
【請求項35】
前記第1および第4の薄層が、一方向性のアラミド繊維を含み、前記第1および第4の薄層における前記繊維の方向が互いに直角であり、前記第2および前記第3の薄層が請求項22に記載の前記繊維状のシートを含み、前記第2および前記第3の前記薄層の方向が互いに直角であり、前記第1の薄層における前記繊維方向が、前記第2薄層における前記繊維方向と直角であり、前記第3の薄層における前記繊維の方向が、前記第4の薄層における前記繊維の方向に直角である請求項40に記載のラミネート。
【請求項36】
積み重ねられた配列において一緒に接着された請求項22に記載の複数の一方向性の、繊維状のシートを含むラミネートであって、任意のシートにおける前記繊維の方向が隣接するシートにおける繊維の方向と任意の角度を成し、場合によって、前記ラミネートの片面または両面に接着されるプラスチックフィルムを有するラミネート。
【請求項37】
前記封止剤が、ASTM D638によって測定して1×10psi(6.9GPa)以上の初期引張り係数を有する請求項42に記載の積層品。
【請求項38】
請求項22に記載の第1および第2の一方向性の繊維状のシートが、積み重ねられた配列において一緒に接着され、前記第1のシートにおける前記繊維の方向が、前記第2のシートにおける前記繊維の方向に対して少なくとも30°の角度を成している請求項42に記載のラミネート。
【請求項39】
積層された配列において請求項44に記載の複数のラミネートを含む物品であって、前記ラミネートが互いに結合されていないかまたは軽度に結合されている物品。
【請求項40】
タイプIIa身体防護服に対するNIJ規格0101.04改訂Aの要件を少なくとも満たしている請求項42に記載の物品。
【請求項41】
9mmGeco、124グレーン、FMJ(スチールジャケット)弾丸による衝撃時に少なくとも300J−m/Kgの比エネルギー吸収および少なくとも1,300ft/sec(396m/sec)のV50値を有する請求項42に記載の物品。
【請求項42】
70℃、相対湿度80%で4週間の促進老化後に初期V50値の87%以上の保持率を有する請求項42に記載の物品。
【請求項43】
70℃、相対湿度80%で6週間の加速老化試験後に初期V50値の85%以上の保持率を有する請求項42に記載の物品。
【請求項44】
タイプ1突き刺し防護に対するNIJ規格0115.00の要件を少なくとも満たしている請求項42に記載の物品。
【請求項45】
前記繊維が、化学蒸着、気相重合、無水溶液中の重合後に乾燥すること、および無水の封止剤溶液によるコーティング後に乾燥すること、からなる群から選択される無水の方法によって被包される請求項20に記載の繊維状のシート。
【請求項46】
前記繊維が、無水の封止剤溶液によるコーティング後に乾燥させることによって被包される請求項20に記載の繊維状のシート。
【請求項47】
ASTM E96−95(Procedure E)によって37.8℃で測定して25×10−11cm(stp)・cm/(cm・sec・Pa)未満の水蒸気透過率を有する封止剤に被包されたPBO繊維。

【図1】
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【公表番号】特表2008−525243(P2008−525243A)
【公表日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−549417(P2007−549417)
【出願日】平成17年12月14日(2005.12.14)
【国際出願番号】PCT/US2005/045151
【国際公開番号】WO2007/044041
【国際公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【出願人】(500575824)ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド (1,504)
【Fターム(参考)】