説明

耐火タイルの取付け構造及び耐火タイル

【課題】耐火タイルを用いて、所望の耐火性能を備える耐火外壁構造を効率良く形成できる耐火タイルの取付け構造を提供する。
【解決手段】建物の外壁30の外壁下地面13に沿って取り付けられた掛着下地材11に掛着されて、縦横に多数並べて設置されることにより、耐火外壁構造12を形成して屋内に火炎が侵入するのを防止する耐火タイル10の取付け構造であって、耐火タイル10は、矩形正面形状を備えると共に、横方向に貫通する貫通穴17を有しており、且つ4方の端面が斜め対向面18a,18bや合決り状対向面19a,19bとなっている。これらの斜め対向面18a,18bや合決り状対向面19a,19bを対向配置して横方向及び上下方向に隣接する耐火タイル10の間の各目地部20a,20bが形成され、連設配置される複数の耐火タイル10の貫通穴17を横方向に連通させた状態で、多数の耐火タイル10が掛着下地材11に取り付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐火タイルの取付け構造及び耐火タイルに関し、特に、建物の外壁下地面に沿って取り付けられた掛着下地材と共に耐火外壁構造を形成する、耐火タイルの取付け構造及び該取付け構造に用いる耐火タイルに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、住宅建築物等の建物において、建物の外部から内部への火炎の侵入を効果的に防止できるようにするために、建物の外壁に耐火性能を付与することが望まれている。例えば準耐火45分の耐火性能として、非加熱側へ10秒を超えて継続する火炎の噴出がないこと、非加熱側で10秒を超えて継続する発炎がないこと、火炎が通る亀裂などの損傷を生じないこと等の、大臣認定試験と同様のIS0834に準拠した垂直加熱試験による所望の準耐火性能を備える耐火外壁構造が種々開発されている。
【0003】
これらの従来の耐火外壁構造では、例えば不燃性の材料である外装タイルを表面材として使用すると共に、サイディング材やモルタルを下地材として用いて、サイディング材にタイルを引掛ける乾式工法や、モルタルにタイルを接着させる湿式接着工法等によってタイルを外壁部分に取り付けることによって形成されるものが主流である(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平11−93289号公報
【特許文献2】特開2007−77752号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の耐火外壁構造では、外壁の耐火性能は、サイディング材やモルタルによる下地材の耐火性能によって担保されるようになっており、これらの下地材に所望の耐火性能を付与するために多くの手間とコストを要することになる。
【0005】
一方、外装タイルは、不燃性の材料であってそれ自体が相当の耐火性能を有している。したがって、外装タイルの形状や取付け方法等を工夫することで、耐火タイルとしての機能を効果的に発揮させることにより、所望の耐火性能を備える耐火外壁構造を効率良く形成できるものと考えられる。
【0006】
本発明は、耐火タイルを用いて、所望の耐火性能を備える耐火外壁構造を効率良く形成することができる耐火タイルの取付け構造及び該取付け構造に用いる耐火タイルを提供することを目的する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、建物の外壁の外壁下地面に沿って取り付けられた掛着下地材に掛着されて、縦横に多数並べて設置されることにより、前記掛着下地材と共に耐火外壁構造を形成して屋内に火炎が侵入するのを防止する耐火タイルの取付け構造であって、前記耐火タイルは、矩形正面形状を備えると共に、横方向に貫通する貫通穴を有しており、且つ4方の端面が斜め対向面又は合決り状対向面となっており、該斜め対向面又は合決り状対向面を対向配置して横方向及び上下方向に隣接する前記耐火タイルの間の各目地部が形成されていると共に、横方向に連設配置される複数の前記耐火タイルの前記貫通穴を横方向に直線状に連通させた状態で、多数の前記耐火タイルが前記掛着下地材に取り付けられている耐火タイルの取付け構造を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【0008】
そして、本発明の耐火タイルの取付け構造は、前記掛着下地材が、鋼板を用いて形成された、前記外壁下地面を覆って設置される被覆プレートと、該被覆プレートの表面側に平行に延設して取り付けられた複数の掛着レールプレートとからなる鋼板下地材であることが好ましい。
【0009】
また、本発明は、上記耐火タイルの取付け構造に用いる耐火タイルであって、矩形正面形状を備えると共に、横方向に貫通する貫通穴を有しており、且つ裏面の上下方向中間部位に中間係止凹部が設けられており、上下の端面が合決り状対向面となっていると共に、左右の端面が斜め対向面となっている耐火タイルを提供することにより、上記目的を達成したものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の耐火タイルの取付け構造又は該取付け構造に用いる耐火タイルによれば、所望の耐火性能を備える耐火外壁構造を耐火タイルを用いて効率良く形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の好ましい一実施形態に係る耐火タイル10の取付け構造は、図1に示すように、多数の耐火タイル10を、火災時の火炎によって燃焼や炭化を生じる接着剤等の材料を用いることなく、掛着下地材11に単に掛着して縦横に多数並べて取り付けるだけの作業によって、掛着下地材11と共に外壁30の屋外側の部分に設置される耐火外壁構造12を効率良く形成して、外壁30に、例えば準耐火45分といった優れた耐火性能を発揮させるようにするものである。
【0012】
すなわち、本実施形態の耐火タイル10の取付け構造は、建物の外壁30の外壁下地面13に沿って取り付けられた掛着下地材11に掛着されて、縦横に多数並べて設置されることにより、掛着下地材11と共に耐火外壁構造12を形成して屋内に火炎が侵入するのを防止するための構造であって、耐火タイル10は、矩形正面形状を備えると共に、横方向に貫通する貫通穴17を有しており、且つ4方の端面が斜め対向面18a,18bや合決り状対向面19a,19bとなっており、これらの斜め対向面18a,18bや合決り状対向面19a,19bを対向配置して横方向及び上下方向に隣接する耐火タイル10の間の各目地部20a,20bが形成されていると共に、横方向に連設配置される複数の耐火タイル10の貫通穴17を横方向に直線状に連通させた状態で、多数の耐火タイル10が掛着下地材11に取り付けられている。
【0013】
また、本実施形態では、掛着下地材11は、図2及び図3に示すように、鋼板を用いて形成された、外壁下地面13を覆って設置される被覆プレート14と、この被覆プレート14の表面側に平行に延設して取り付けられた複数の掛着レールプレート15,16とからなる鋼板下地材11となっている。
【0014】
本実施形態では、建物の外壁30は、好ましくは耐力壁を構成するものであり、例えば柱や梁等の骨組部材(図示せず)に支持させて、これらの骨組部材の屋外側及び屋内側の面に耐力面材25が取り付けられており(図1参照(b),(c))、また屋外側の耐力面材25の表面には、透湿防水シートが敷設されている。この透湿防水シートの表面を外壁下地面13として、当該外壁下地面13に沿って鋼板下地材(掛着下地材)11が取り付けられるようになっている。
【0015】
なお、本実施形態では、骨組部材の屋内側の面に取り付けられた耐力面材(図示せず)には、内装仕上材等が適宜取り付けられ、屋外側の耐力面材25と屋内側の耐力面材との間の中空部分には、断熱材等が適宜配設されるようになっている。また、本実施形態では、屋外側の耐力面材25として、好ましくは特開2000−160732号公報に記載のパネル部材と同様の構成を備える、間隔をおいて平行に配置された複数の表側帯状小幅板と、間隔をおいて平行に配置された複数の裏側帯状小幅板とを互いに交差させた状態で接合一体化してなるクロスパネルが用いられている。
【0016】
そして、本実施形態では、耐火タイル10は、好ましくは陶磁器製のタイルであり、例えば天然に産出する粘土、長石、陶石、石灰石等の鉱物を原料として配合し、粉砕し、攪拌し、坏土調整してから、押出成形等によって成形し、しかる後に乾燥させたり、例えば約800℃〜約1300℃の高温で焼成して焼き固めることによって、所定の形状に容易に形成されることになる。
【0017】
本実施形態では、耐火タイル10は、例えば高さ60mm程度、長さ240mm程度の横長の矩形正面形状を有すると共に、厚さが30mm程度の厚板ブロック形状を備えるように形成されている。耐火タイル10は、その表面及び裏面が平坦な面となるように形成されており、裏面の上下方向中間部分には、上面21aが例えば45°の角度で斜め上方に切り欠かれた中間係止凹部21が形成されている。
【0018】
また、耐火タイル10は、左右両側の側端面が、例えば60°の角度で斜めに切り欠かれていて、斜め対向面18a,18bとなっている。さらに、耐火タイル10の上端部の裏面側略1/3の部分が、裏面側上端突部22として上方に突出していて、耐火タイル10の上端面が上部合決り状対向面19aとなっいると共に、耐火タイル10の下端部の表面側略2/3の部分が、表面側下端突部23として下方に突出していて、耐火タイル10の下端面が下部合決り状対向面19bとなっている。さらにまた、耐火タイル10の裏面側下端部には、表面側下端突部23との間に係止溝を介在させて当該表面側下端突部23よりも突出高さが小さな下端装着突部24が設けられている。この下端装着突部24は、後述するように、鋼板下地材11に耐火タイル12が掛着された際に、第1レールプレート15のタイル受凹部26に装着されることになる。
【0019】
また、本実施形態では、耐火タイル10は、左右両側の側端面の間を横方向に貫通して、貫通穴17が形成されており、耐火タイル10が横方向に連設配置された際に、複数の耐火タイル10の貫通穴17が横方向に直線状に連通するようになっている。横方向に連設配置される耐火タイル10の貫通穴17が横方向に直線状に連通することにより、耐火タイル10の内部に空気の流通路を確保して、耐火タイル10による耐火性能を向上させることが可能になる。
【0020】
そして、本実施形態では、多数の耐火タイル10が掛着される掛着下地材としての鋼板下地材11は、図2及び図3にも示すように、好ましくは厚さが0.15〜3.5mm程度のガルバリューム鋼板を用いて形成された、外壁下地面13を覆って設置される被覆プレート14と、この被覆プレート14の表面側に平行に延設して交互に取り付けられる、複数の第1掛着レールプレート15及び複数の第2掛着レールプレート16とによって構成される。
【0021】
被覆プレート14は、例えば厚さが0.4mmのガルバリューム鋼板からなり、取り扱いに便利なように、例えば幅1820mm、高さ420mm程度の大きさの横長矩形形状に形成された複数の単位プレートを、周縁部を例えば5mm程度の幅で重ね合せて接合しつつ縦横に並べて配置することにより、外壁下地面13の全体を覆うようにして取り付けられる。なお、単位プレートは、その周縁部を、例えば柱や間柱等の外壁骨組部材が設けられた部分で重ね合せて接合するようにすることが好ましい。
【0022】
また、被覆プレート14には、ガルバリューム鋼板に折曲げ加工やプレス加工等を施すことにより、上下方向に延設して裏面側に突出する突起溝27が、略等脚台形の断面形状を有するように突出して、横方向に例えば227.5mm程度のピッチで複数設けられている。被覆プレート14を、突起溝27の裏面を外壁下地面13に密着させて取り付けることにより、被覆プレート14と外壁下地面13との間に空気が流通可能な間隔s1を保持することが可能になり、耐火性能をさらに向上させることが可能になる(図1(b),(c)参照)。
【0023】
そして、被覆プレート14の表面には、複数の第1掛着レールプレート15と複数の第2掛着レールプレート16とが、例えばスポット溶接、プレスカシメ等による接合方法によって、横方向に平行に延設した状態で、上下方向に交互に接合一体化されて取り付けられることになる。
【0024】
第1掛着レールプレート15は、例えば厚さが0.6mmのガルバリューム鋼板に、折曲げ加工やプレス加工等を施すことによって形成される。第1掛着レールプレート15には、被覆プレート14の表面に密着接合される中間平板部28の上方部分を、例えば45°の角度で斜め前方に折り曲げて、斜め引掛け片29が設けられており、また中間平板部28の下方部分を斜面部を介して前方に押し出すことにより、耐火タイル10の裏面の下端部を密着させる下部密着段差部31が、中間平板部28と平行な面に沿って配置されて設けられている。
【0025】
また、本実施形態では、第1掛着レールプレート15の下端部には、下部密着段差部31の下端部分をコの字形状に折り曲げてタイル受凹部26が形成されており、このタイル受凹部26には、上述のように、鋼板下地材11に掛着される耐火タイル10の下端装着突部24が装着されるようになっている。
【0026】
さらに、本実施形態では、タイル受凹部26の先端よりも先の部分が下方に向けてさらに外側に折り返されていて、折返し重合部32を形成している。またこの折返重合せ部32の下端は、タイル受凹部26の下面よりも下方に突出していて、脱落防止片33を形成している。
【0027】
タイル受凹部26の外側に折返し重合部32が形成されていることにより、タイル受凹部26を効果的に補強することが可能になる。また折返し重合部33の下端がタイル受凹部26の下面よりも下方に突出していて脱落防止片33が形成されていることにより、タイル受凹部26の下面と下段の耐火タイル10の上端面との間に介在して取り付けられる、後述する板ばねクリップ34が、取付け位置から脱落するのを効果的に回避することが可能になる。
【0028】
さらにまた、本実施形態では、第1掛着レールプレート15の斜め引掛け片29には、被覆プレート14の突起溝27と対応する位置に、水抜き切欠き部35が設けられている。斜め引掛け片29の突起溝27と対応する位置に水抜き切欠き部35が設けられていることにより、鋼板下地材11と耐火タイル10との間に存在する水を、突起溝27を介してスムーズに排水することが可能になる。
【0029】
第2掛着レールプレート16は、例えば厚さが0.4mmのガルバリューム鋼板に、折曲げ加工やプレス加工等を施すことによって形成される。第2掛着レールプレート16には、被覆プレート14の表面に密着接合される下部平板部36の上方部分を斜面部を介して前方に押し出すことにより、耐火タイル10の裏面の上端部を密着させる上部密着段差部37が、下部平板部36と平行な面に沿って配置されて設けられている。
【0030】
なお、本実施形態では、第2掛着レールプレート16は、その上部密着段差部37の上端縁部を、第1掛着レールプレート15のタイル受凹部26の被覆プレート14側の下面角部分に下方から当接させるようにして、第1掛着レールプレート15と上下方向に交互に取り付けられることになる。
【0031】
また、本実施形態では、第2掛着レールプレート16の上部密着段差部37の部分、及び第1掛着レールプレート15のタイル受凹部26の部分には、第1掛着レールプレート15の斜め引掛け片29に設けられた複数の水抜き切欠き部35、及び被覆プレート14に設けられた複数の突起溝27の各中間部分に配置されて、中間部水抜き切欠き部38,39が形成されている。これらの中間部水抜き切欠き部38,39を介することにより、鋼板下地材11と耐火タイル10との間に存在する水を、さらにスムーズに排水することが可能になる。
【0032】
本実施形態の耐火タイル10を用いて外壁30の屋外側の部分に耐火外壁構造12を形成するには、例えば固定ビス等を使用して、外壁下地面13を覆うようにして鋼板下地材11を屋外側の耐力面材25に沿って取り付け、しかる後に、第1掛着レールプレート15及び第2掛着レールプレート16が一体接合された鋼板下地材11の表面に、多数の耐火タイル10を縦横に並べて掛着してゆく。
【0033】
すなわち、各耐火タイル10を、中間係止凹部21を第1掛着レールプレート15の斜め引掛け片29に係止し、裏面の下端部を下部密着段差部31に密着させ、且つ裏面の上端部を第2掛着レールプレート16の上部密着段差部37に密着させた状態で各々掛着してゆくことにより、耐火外壁構造12が、多くの手間を要することなく、簡易な作業によって容易に形成されることになる。ここで、各耐火タイル10の中間係止凹部21の上面21aは、鋼板下地材11の第1掛着レールプレート15の斜め引掛け片29の上面に沿って係止されるので、耐火タイル10の重量によって、裏面の下端部や上端部を下部密着段差部31や上部密着段差部37に押し付ける方向の力が負荷されることになり、これによって各耐火タイル10の下端部や上端部を、下部密着段差部31や上部密着段差部37に安定した状態で密着させることが可能になる。
【0034】
また、本実施形態では、図2及び図1(c)に示すように、第1掛着レールプレート15のタイル受凹部26の下面と、下段の耐火タイル10の裏面側上端突部22の上端面との間に介在して、板ばねクリップ34が取り付けられる。タイル受凹部26の下面と、下段の耐火タイル10の上端面との間に板ばねクリップ34が介在することにより、当該板ばねクリップ34の弾性付勢力によって、各耐火タイル10の中間係止凹部21を第1掛着レールプレート15の斜め引掛け片29に押し付ける力や、耐火タイル10の裏面の下端部や上端部を下部密着段差部31や上部密着段差部37に押し付ける力が負荷されることになり、さらに安定した状態で各耐火タイル10を鋼板下地材11に取り付けることが可能になる。
【0035】
そして、上述の構成を有する本実施形態の耐火タイル10の取付け構造によれば、所望の耐火性能を備える耐火外壁構造12を、耐火タイル10を用いて効率良く形成することが可能になる。すなわち、本実施形態の耐火タイル10の取付け構造は、建物の外壁30の外壁下地面13に沿って取り付けられた鋼板下地材11に、多数の耐火タイル10を縦横に並べて掛着することで構成されており、火災時の火炎によって燃焼や炭化を生じる接着剤等の材料を使用していないので、延焼時に耐火タイル10の脱落を効果的に回避することが可能になると共に、タイルが脱落した際の急激な熱伝導を防止することが可能になる。
【0036】
また、耐火タイル10は、横方向に貫通する貫通穴17を有しており、且つ斜め対向面18a,18bや合決り状対向面19a,19bを対向配置して横方向及び上下方向に隣接する耐火タイル10の間の各目地部20a,20bが形成されると共に、横方向に連設配置される複数の耐火タイル10の貫通穴17を横方向に直線状に連通させた状態で、多数の耐火タイル10が掛着下地材11に取り付けられている。したがって、横方向に直線状に連通する貫通穴17により耐火タイル10の内部に空気の流通路が確保されて、耐火タイル10による耐火性能をさらに効果的に発揮させることが可能になると共に、対向配置された斜め対向面18a,18bや合決り状対向面19a,19bによる目地部20a,20bによって、延焼時に火災の火炎を鋼板下地材11まで侵入させ難くしたり到達させ難くして、耐火性能をさらに向上させることが可能になる、
【0037】
さらに、隣接する耐火タイル10の間の各目地部20a,20bが斜め対向面18a,18bや合決り状対向面19a,19bによって形成されることで、目地部20a,20bを介して鋼板下地材11を直接見ることができなくなり、鋼板下地材11を目隠しして、鋼板下地材11に施す化粧を不要にすることが可能になる。さらにまた、耐火タイル10に貫通穴17が形成されていることで、耐火タイル10の軽量化を効果的に図ることが可能になる。
【0038】
なお、本発明は上記実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。例えば、掛着下地材は、ガルバリューム鋼板からなる鋼板下地材である必要は必ずしも無く、その他の鋼板や、鋼板以外の材料によって多数の耐火タイルを掛着可能に形成されていても良い。また、耐火タイルは、上下の端面が合決り状対向面となっており、左右の端面が斜め対向面となっている必要は必ずしも無く、これらの逆であったり、4方の端面の全てが合決り状対向面や斜め対向面となっていても良い。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の好ましい一実施形態に係る耐火タイルの取付け構造の構成を説明する、(a)は部分正面図、(b)は(a)の上面図、(c)は(a)の右側面図である。
【図2】本発明の好ましい一実施形態に係る耐火タイルの取付け構造に用いる鋼板下地材(掛着下地材)の要部分解斜視図である。
【図3】本発明の好ましい一実施形態に係る耐火タイルの取付け構造を用いて形成される耐火外壁構造の構成を説明する要部斜視図である。
【符号の説明】
【0040】
10 耐火タイル
11 鋼板下地材(掛着下地材)
12 耐火外壁構造
13 外壁下地面
14 被覆プレート
15 第1掛着レールプレート
16 第2掛着レールプレート
17 貫通穴
18a,18b 斜め対向面
19a,19b 合決り状対向面
20a,20b 目地部
26 タイル受凹部
27 突起溝
29 斜め引掛け片
30 外壁
31 下部密着段差部
34 板ばねクリップ
37 上部密着段差部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の外壁の外壁下地面に沿って取り付けられた掛着下地材に掛着されて、縦横に多数並べて設置されることにより、前記掛着下地材と共に耐火外壁構造を形成して屋内に火炎が侵入するのを防止する耐火タイルの取付け構造であって、
前記耐火タイルは、矩形正面形状を備えると共に、横方向に貫通する貫通穴を有しており、且つ4方の端面が斜め対向面又は合決り状対向面となっており、
該斜め対向面又は合決り状対向面を対向配置して横方向及び上下方向に隣接する前記耐火タイルの間の各目地部が形成されていると共に、横方向に連設配置される複数の前記耐火タイルの前記貫通穴を横方向に直線状に連通させた状態で、多数の前記耐火タイルが前記掛着下地材に取り付けられている耐火タイルの取付け構造。
【請求項2】
前記掛着下地材は、鋼板を用いて形成された、前記外壁下地面を覆って設置される被覆プレートと、該被覆プレートの表面側に平行に延設して取り付けられた複数の掛着レールプレートとからなる鋼板下地材である請求項1に記載の耐火タイルの取付け構造。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の耐火タイルの取付け構造に用いる耐火タイルであって、
矩形正面形状を備えると共に、横方向に貫通する貫通穴を有しており、且つ裏面の上下方向中間部位に中間係止凹部が設けられており、
上下の端面が合決り状対向面となっていると共に、左右の端面が斜め対向面となっている耐火タイル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−156129(P2010−156129A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−334352(P2008−334352)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000183428)住友林業株式会社 (540)
【出願人】(504000502)近江窯業株式会社 (9)
【Fターム(参考)】