説明

耐硬化性及び耐収縮性に優れる本革複合体

【課題】 本革表皮からなる表皮材の耐久性を高める。
【解決手段】 本革表皮10と、本革表皮10の裏面に配置された、80℃における透湿係数が500g・mm/m/day以下であり、かつ、25℃における引張弾性が本革表皮10の引張弾性以下であるフィルム20とからなる自動車用本革複合体である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用内装部品に用いられる本革表皮材に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のシート、ドアトリム、ステアリング、シフトノブ等に表皮材として使用される材料としては、本革や合成皮革が用いられている。本革は高級感があるものの、使用とともに本革が硬化したり収縮したりするため、リアシートバック上面やドアトリムウエスト部、ステアリングなどの光線が入射する部位に使用しにくい。このため、これらの部位には、本革の代わりに合成皮革などの人工製品が使用されることが多い。
【0003】
しかしながら、人工製品は高級感や風合いの点で本革に劣ることは否めない。このため、リアシートバック上面などの部位にも本革表皮材を適用できるように、本革表皮材の耐久性を高める技術の開発が所望されていた。
【0004】
表皮材の改良技術としては、表皮材の裏面に他の材料を裏打ちする技術が提案されている。例えば、ウレタンフォーム層が裏打ちされた表皮材を、ホットメルトフィルムを介して発泡積層シートに積層させる技術が開示されている(特許文献1参照)。しかしながら、特許文献1の技術によって解決されるのは、表皮材と発泡積層シートとの層間剥離の防止であり、本革そのものの耐久性ではない。
【特許文献1】特開2000−118319
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、本革表皮からなる表皮材の耐久性を高めることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、本革表皮材が劣化するメカニズムについて検討したところ、本革表皮材の裏面を通じた湿気の出入りによって本革が劣化することを見出した。本革表皮材の表面は、耐光性や耐摩耗性を向上させるために塗膜が形成されており、湿気の出入りは抑制されている。しかしながら、本革表皮材の裏面は、本革の繊維が露出しており、湿気の出入りが比較的自由である。このため、湿気の出入りが繰り返されるにつれて、本革表皮材における硬化および収縮の影響が徐々に大きくなっていく。そこで、本発明においては、本革表皮の裏面に、湿気の出入りを抑制するためのフィルムを配置する。
【0007】
また、本革表皮の裏面に配置されるフィルムの弾性が本革表皮より高いと、フィルムの弾性の影響を受けて本革表皮の風合いが低下する虞がある。このため、引張弾性が本革表皮以下であるフィルムが用いられる。
【0008】
具体的には、本発明は、本革表皮と、前記本革表皮の裏面に配置された、80℃における透湿係数が500g・mm/m/day以下であり、かつ、25℃における引張弾性が前記本革表皮の引張弾性以下であるフィルムとからなる自動車用本革複合体である。また本発明は、前記本革複合体を表皮材として用いた自動車用内装部品である。
【発明の効果】
【0009】
本革表皮の硬化や収縮が、本革表皮の裏面に配置されたシートによって抑制される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1は、本発明の自動車用本革複合体の断面図である。本革複合体は、本革表皮10と本革の裏面に配置されたフィルム20とを有する。場合によっては、他の部材が本革複合体に配置されてもよい。本革複合体の形状は特に限定されない。シート状であってもよいし、用途の形状に合わせて切断されていてもよい。
【0011】
本革表皮10は、本革であれば、動物の種類や部位については特に限定されない。動物としては、例えば、牛、馬、羊などが挙げられる。部位についても特に限定されず、例えば、背、尻、腹など、本革として使用可能な部位の皮革を用いればよい。本革表皮10は、革の耐久性や風合いを向上させるための各種処理が施されることが好ましい。例えば、通常は、表面側に耐光性や耐摩耗性を向上させるための塗膜が形成される。
【0012】
フィルム20は、本革表皮10の裏面に配置される。フィルム20は、本革表皮10の裏面を通じた湿気の出入りを抑制するために、湿気が通過しづらい部材から構成される。具体的には、フィルムの80℃における透湿係数が500g・mm/m/day以下であり、好ましくは100g・mm/m/day以下、より好ましくは10g・mm/m/day以下である。
【0013】
フィルムの透湿係数が500g・mm/m/dayを超える場合、本革表皮の内部と外部との間の湿気の出入りが大きくなり、吸湿の繰り返しによる本革表皮の硬化や収縮を抑制できない虞がある。フィルムの透湿係数の下限は特に限定されず、フィルムの透湿係数が低いほど、厳しい環境下で長期間使用しても硬化や収縮が生じにくい。
【0014】
透湿係数の測定方法は、信頼性があるデータが得られる方法であれば、特に限定されない。ただし、透湿係数の測定方法によって測定データに有意差が生じる場合には、後述する実施例で用いられている測定方法によって得られた数値を、本願における透湿係数とする。
【0015】
また、フィルム20は、フィルムによる本革表皮の劣化を抑制するために、引張弾性の低い材料から構成される。具体的には、フィルムの25℃での引張弾性が、本革表皮の引張弾性以下である。ここで、引張弾性とは、材料を引っ張った際の応力を意味し、引張弾性が小さいことは、伸びやすい材料であることを意味する。重ね合わせるフィルムの引張弾性が大きいと、フィルムにより本革裏面が拘束され、本革の風合いが損なわれる虞がある。また、本革表皮を内側にして折り曲げた場合に、本革表皮の表面に不自然な折れジワが発生する虞がある。引張弾性が小さく伸びやすい材料からなるフィルムを用いることによって、不自然な折れジワの発生を抑制できる。
【0016】
フィルムの引張弾性が小さいほど本革表皮に生じる問題を効果的に抑制できる。フィルムの引張弾性は、前記本革表皮の引張弾性に対して、好ましくは50%以下であり、より好ましくは30%以下であり、さらにより好ましくは10%以下である。
【0017】
車両が幅広い温度領域で使用されることを考慮すると、幅広い温度領域において、フィルムの引張弾性が、上述の関係を満たすことが好ましい。好ましくは10〜30℃、より好ましくは0〜40℃、より好ましくは−10〜50℃、さらに好ましくは−50〜120℃における引張弾性が、本革表皮の引張弾性以下、より好ましくは、本革表皮の引張弾性の50%以下、さらに好ましくは本革表皮の引張弾性の30%以下、特に好ましくは本革表皮の引張弾性の10%以下である。
【0018】
引張弾性の測定方法は、信頼性があるデータが得られる方法であれば、特に限定されない。例えば、JIS K7161などの公知の手法に準拠して測定可能である。ただし、引張弾性の測定方法によって測定データに有意差が生じる場合には、後述する実施例で用いられている測定方法によって得られた数値を、本願における引張弾性とする。
【0019】
フィルムの材質は、前述の透湿係数及び引張弾性を満足するものであれば、特に限定されない。好ましい材料としては、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリオレフィン、スチレン系熱可塑性エラストマー、スチレン系ゴムおよびこれらの変性物が挙げられる。これらの2種以上が併用されてもよい。これらの高分子化合物は、2以上のモノマーから合成された共重合体であってもよい。なお、ここでいう変性物とは、ポリエステルなどの例示したポリマーを、官能基や側鎖などにより修飾した構造を有する化合物をいう。
【0020】
ポリエステルとは、多塩基酸と多価アルコールとの重縮合によって得られるエステル結合(−O−CO−)を主鎖に有する、ポリマーをいう。ポリエステルの例としては、不飽和ポリエステル;アルキド樹脂;ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートなどのテレフタル酸とエチレングリコールとの縮合によって合成される熱可塑性ポリエステルが挙げられる。
【0021】
ポリウレタンとは、主鎖中にウレタン結合をもつ高分子化合物をいう。例えば、ジイソシアナート(OCN−R−N−CO)とジオール(HO−R’−OH)などの多価アルコールとの重付加反応によって得られる。
【0022】
ポリアミドとは、分子内にアミド結合(−CO−NH−)を有する線状高分子をいう。ポリアミドの例としては、ラクタムの開環重合によって得られるポリアミド、アミノカルボン酸の重縮合によって得られるポリアミド、ジアミンと二塩基酸との重縮合によって得られるポリアミドなどが挙げられる。
【0023】
ポリオレフィンとは、オレフィン重合体をいう。ポリオレフィンの例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリイソプレンなどが挙げられる。ポリエチレン酢酸ビニル(EVA)などの共重合体が用いられてもよい。
【0024】
スチレン系熱可塑性エラストマーとは、スチレン構造を主鎖中に有する熱可塑性エラストマーをいう。スチレン系ゴムとは、スチレン構造を主鎖中に有するゴムをいう。スチレン系熱可塑性エラストマーおよびスチレン系ゴムの例としては、スチレン・ブタジエン・スチレンブロックコポリマー(SBS)、スチレン・エチレン・ブチレン・スチレンブロックコポリマー(SEBS)、スチレン・イソプレン・スチレンブロックコポリマー(SIS)などが挙げられる。
【0025】
実際にフィルムに用いる材料を選択するにあたっては、透湿係数や引張弾性を考慮して、材料を選択すればよい。また、透湿係数や引張弾性が所望の値になるように、材料を変性させてもよい。上述の化合物の中では、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリエチレン酢酸ビニル、スチレン系熱可塑性エラストマー、およびこれらの変性物が、分子構造的に透湿係数を抑えることが容易であり好ましい。なかでも、ポリエステルおよびこの変性物が、透湿係数及び引張弾性のコントロールが容易であり、好ましい。他の化合物についても、ポリウレタンの分子内のウレタン結合や、ポリアミドの分子内のアミド結合の量を減少させることによって、透湿係数の低下を図ることが可能である。
【0026】
本皮表皮の厚さは、特に限定されない。本皮表皮は天然素材であるため、その厚さは、ある程度、原料に依存する。フィルムの厚さも、透湿係数および引張弾性が所望する範囲となるのであれば、特に限定されない。ただし、フィルムが厚すぎると、形成される本革複合体が硬くなってしまう虞がある。通常は、フィルムの厚さは、30〜100μm程度である。ただし、本発明の技術的範囲はこの範囲に限定されない。
【0027】
なお、必要に応じて、本革表皮およびフィルム以外の材料が配置されてもよい。
【0028】
本革表皮の裏面にフィルムを貼り付ける方法としては、熱プレスによりフィルムを本革表皮に融着させる方法、接着剤を用いて本革表皮とフィルムとを接着する方法、粘着テープを用いて本革表皮とフィルムとを接着する方法などが挙げられる。フィルムを別途形成してから、本革表皮に貼り付ける方法以外の方法で、フィルムが形成されてもよい。例えば、フィルムは、本革表皮の裏面に樹脂をコーティングすることによって形成された樹脂層であってもよい。
【0029】
熱プレスにより本革表皮にフィルムを融着させる方法を採用する場合には、フィルムとして、ホットメルトフィルムを用いる。好ましくは、フィルムの融点より10〜150℃高い温度で前記本革表皮に融着するホットメルトフィルムが用いられる。ホットメルトフィルムとして用いられうる材料としては、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリオレフィン、スチレン系熱可塑性エラストマー、スチレン系ゴムが挙げられる。
【0030】
熱プレスによりフィルムを貼り付けるには、まず、本革表皮とフィルムとを重ね合わせて、フィルムの融点より10〜150℃高い温度にフィルムを加熱して、フィルムを溶融させる。溶融したフィルムは加圧され、本革表皮に貼り付く。加熱温度、加圧力は貼り付けるフィルムにより選択される。
【0031】
接着剤によりフィルムを貼り付けるには、本革表皮の裏面またはフィルムの一方または双方に接着剤を塗布し、本革表皮とフィルムとを重ね合わせて加圧すればよい。必要に応じて、加圧とともに、加熱してもよい。接着剤の種類は、本革とフィルムとを接着可能な材料であれば、特に限定されない。接着剤の塗布方法も特に限定されない。はけ塗り、スプレー、ロールコーターなどの方法が、適宜選択される。
【0032】
粘着テープによりフィルムを貼り付けるには、本革表皮の裏面またはフィルムの一方または双方に両面テープなどの粘着テープを貼り付け、本革表皮とフィルムとを重ね合わせて加圧すればよい。
【実施例】
【0033】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明の技術的範囲は以下の実施例によって限定されることはない。なお、各種表価値の評価方法は、以下の通りである。
【0034】
(引張弾性の測定方法)
試験片(30mm×150mm)の両端をつかみ冶具で固定し、JIS K7161に準拠した装置を用いて、つかみ幅30mm、つかみ間隔100mm、つかみ冶具速度200mm/minで引っ張ったときの引張弾性をJIS K7161に準拠し算出した。なお、表1に示した数値は、25℃における引張弾性である。
【0035】
(透湿係数の測定方法)
フィルムの透湿係数は、フィルムの水蒸気透過割合を測定し算出した。図2は、フィルムの透湿係数の算出に用いた装置の平面図であり、図3は、図2のIII−III線における断面図である。
【0036】
図3に示すAl製カップ30の溝に、線径Φが3mmのゴム製Oリング40をセットした。Al製カップ30の内部に30mlの純水を入れて、透湿係数が測定されるフィルムで覆い、フィルム上にSUS製フタ50を配置し、ボルト/ナット60で締結した。ボルト/ナット60でSUS製フタ50を締結するために形成されている孔の径Φは、5mmとした。SUS製フタ50は、図示する形状の通気孔55が形成されているものを用いた。通気孔の径Φは、7mmとした。
【0037】
この状態で、温度80℃、湿度5%の雰囲気下に静置し、1時間の間隔で装置の質量を秤量した。秤量装置としては、島津製作所製電子天秤(AEX−200G)を用いた。また、温度制御のための恒温槽として、タバイエスペック株式会社製恒温槽(PVH−211)を用いた。1時間あたりの質量減少量が一定値に達したときの質量減少量から、以下の式により透湿係数(g・mm/m/day)として算出した。なお、下記式におけるフィルム面積とは、容器内部の水蒸気が透過しうる領域の総面積を意味する。
【0038】
【数1】

【0039】
(収縮率の測定方法)
本革複合体の収縮率は、以下の湿熱収縮試験により算出した。
【0040】
(1)110mm×110mmの試験片を作成し、23℃50%の標準状態に48時間以上静置した。その後、縦横約100mmにマーキングし正確に評点間距離を測定した。
【0041】
(2)試験片を100℃×22h恒温槽に静置し、次に20℃×65%RH×30min恒温恒湿槽に静置した。さらに、50℃×95%RH×1h恒温槽に静置し、20℃×65%RH×30min恒温恒湿槽に静置した。
【0042】
(3)(2)のサイクルを5回繰り返した。
【0043】
(4)試験片を100℃×22h恒温槽に静置し、次に20℃×65%RH×30min恒温恒湿槽に静置した。試験片の縦横の評点間距離を測定し、以下の式により収縮率を計算した。
【0044】
【数2】

【0045】
e:湿熱収縮試験後の本革複合体における評点間距離の縦横平均
f:湿熱収縮試験前の本革複合体における評点間距離の縦横平均
(硬化率の測定方法)
本革複合体の硬化率は、剛軟度を測定し、剛軟度に基づいて硬化率を算出した。
【0046】
剛軟度の測定方法は以下の通りである。まず、試験片(25mm×200mm)をJIS L1096に示される45゜カンチレバー試験機台上のスケールに合わせて置き、試験片とほぼ同じ大きさの押さえ板を試験片上に置いた。試験片の一端が45゜の斜面に接するまで押さえ板と共に試験片をゆるやかに押し出し、試験片の一端が斜面に接したときの試験片の他端の位置スケール差をmmで測定した。
【0047】
初期(プレス圧着後)の硬化率は以下の式により計算した。
【0048】
【数3】

【0049】
a:本革を重ね合わせて安定した後の本革複合体の剛軟度
b:本革の剛軟度
湿熱収縮試験後の硬化率は以下の式にて計算した。
【0050】
【数4】

【0051】
c:湿熱収縮試験後の本革複合体の剛軟度
d:湿熱収縮試験前の本革複合体の剛軟度
(外観評価)
本革複合体の初期の折れ皺を以下に示す方法で評価し、評点化した。
【0052】
本革を重ね合わせて安定した後の本革複合体を、本革の表皮側を内側に折り曲げたときにできる表面の折れ皺を以下の方法で評点化した。A4サイズの本革複合体の銀面側を内側にしてR20にて折り曲げ、折り曲げ部の近辺に発生するしわを評価した。評価基準は以下の通りである。
【0053】
○:本革と比較して不自然な皺でない
△:本革と比較して不自然な皺がある
×:本革と比較して不自然な皺が多い
湿熱収縮試験後の本革複合体の外観を、平面状に広げた状態で銀面側に発生するしわを観察することにより評価した。評価基準は、以下の通りである。
【0054】
○:湿熱収縮試験後の本革と比較して不自然な皺でない
△:湿熱収縮試験後の本革と比較して不自然な皺がある
×:湿熱収縮試験後の本革と比較して不自然な皺が多い
(実施例1〜7、比較例1〜4)
本革表皮およびフィルムとして、表1に記載した材料を用いて、本革複合体を製造した。本革表皮とフィルムとの接合方法としては、実施例1〜5、比較例2〜4においては、熱プレスによりフィルムを本革表皮に融着させる方法を用いた。実施例6においては、接着剤(セメダイン社製エポキシ接着剤EP−001、引張強さ:113kgf/cm)で本革表皮とフィルムとを貼り付ける方法を用いた。実施例7においては、粘着テープ(日東電工社製アクリル両面テープNo.500、引張強さ:105kgf/cm)である両面テープで本革表皮とフィルムとを貼り付ける方法を用いた。なお、比較例1は、フィルムが接合されていない本革表皮についての実験例である。
【0055】
なお、実施例および比較例で用いたフィルムの材質は、以下の通りである。
【0056】
実施例1、2、6、7:ポリエステル(変性ポリブチレンテレフタレート)
実施例3:ポリオレフィン(エチレン・アクリル酸エステル・無水マレイン酸三元コポリマー)
実施例4:ポリオレフィン(エチレン酢酸ビニル)
実施例5:スチレン系熱可塑性エラストマー(水添スチレン・エチレン・ブチレンブロックコポリマー)
比較例2、3:ポリウレタン(日東紡績株式会社製 ダンヒューズ6730A)
比較例4:ポリアミド(ナイロン6/66/12コポリマー)
【0057】
【表1】

【0058】
【表2】

【0059】
以上のように、本発明の本革複合体は、本革本来の風合いが保たれ、不自然な皺の発生が抑制され、また、湿気の出入りが繰り返されることによる本革の硬化や収縮も抑制されることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明の本革複合体は、各種製品に適用されうる。特に、長期間に亘る耐久性が要求される、自動車に適用されることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の自動車用本革複合体の断面図である。
【図2】フィルムの透湿係数を算出する装置の平面図である。
【図3】図2の装置のIII−III面での断面図である。
【符号の説明】
【0062】
10…本革表皮、20…フィルム、30…Al容器、40…Oリング、50…SUSふた、55…通気孔、60…ボルト/ナット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本革表皮と、
前記本革表皮の裏面に配置された、80℃における透湿係数が500g・mm/m/day以下であり、かつ、25℃における引張弾性が前記本革表皮の引張弾性以下であるフィルムと、
からなる自動車用本革複合体。
【請求項2】
前記フィルムの80℃における透湿係数が100g・mm/m/day以下である、請求項1に記載の自動車用本革複合体。
【請求項3】
前記フィルムの80℃における透湿係数が10g・mm/m/day以下である、請求項2に記載の自動車用本革複合体。
【請求項4】
前記フィルムの引張弾性が前記本革表皮の引張弾性の50%以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の自動車用本革複合体。
【請求項5】
前記フィルムの引張弾性が前記本革表皮の引張弾性の30%以下である、請求項4に記載の自動車用本革複合体。
【請求項6】
前記フィルムの引張弾性が前記本革表皮の引張弾性の10%以下である、請求項5に記載の自動車用本革複合体。
【請求項7】
前記フィルムは、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリオレフィン、スチレン系熱可塑性エラストマー、スチレン系ゴムおよびこれらの変性物からなる群より選択される1種以上からなる請求項1〜6のいずれか1項に記載の自動車用本革複合体。
【請求項8】
前記フィルムは、ポリエステルまたはこの変性物からなる、請求項7に記載の自動車用本革複合体。
【請求項9】
前記フィルムは、前記フィルムの融点より10〜150℃高い温度で前記本革表皮に融着するホットメルトフィルムである、請求項1〜8のいずれか1項に記載の自動車用本革複合体。
【請求項10】
前記フィルムは、接着剤で前記本革表皮に重ね合わされてなる、請求項1〜8のいずれか1項に記載の自動車用本革複合体。
【請求項11】
前記フィルムは、粘着テープで前記本革表皮に重ね合わされてなる、請求項1〜8のいずれか1項に記載の自動車用本革複合体。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の本革複合体を表皮材として用いた自動車用内装部品。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2006−296996(P2006−296996A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−127210(P2005−127210)
【出願日】平成17年4月25日(2005.4.25)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【出願人】(591189535)ホクヨー株式会社 (37)
【出願人】(000107907)セーレン株式会社 (462)
【Fターム(参考)】