説明

耐食光輝性顔料とその製造方法、および耐食光輝性塗膜用塗料組成物

【課題】 電気クロムメッキに近い外観を有し、明るさおよび色調を調整する必要がある新しい顔料のニーズにも対応でき、優れた耐食性および耐薬品性を有する塗膜を得ることができる耐食光輝性顔料を、提供する。
【解決手段】 Cr合金、Ti合金およびNi合金から選ばれた少なくとも1種類の金属膜であり、表面反射率が10%〜49%である第1の金属膜と、Al、Al合金およびNi合金から選ばれた1種類の金属膜であり、表面反射率が50%〜95%である第2の金属膜とが積層されているフレーク状金属片を含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車部品や家電部品などの基材の光輝化に好適な耐食光輝性顔料とその製造方法、および該耐食光輝性顔料を用いた耐食光輝性塗膜用塗料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車部品や家電部品などの基材を光輝化する手段として、湿式メッキや真空蒸着やメタリック塗装がある。特に、メタリック塗装は、手法が簡便であり、広く用いられている。すなわち、基材を光輝化するためにアルミニウムの顔料やフレークを塗料に混入させ、アルミニウムを保護するためにその上にクリアーコートを塗布する塗装方法である。
【0003】
一般的に、アルミニウムフレークは、スタンプミル法、乾式ボールミル法または湿式ボールミル法などにより、機械的に金属アルミニウムを粉砕したり、金属アルミニウムを真空中で蒸発させてアルミニウム膜を成膜する真空蒸着法を用いたりして作製される。
【0004】
ところで、アルミニウムは価格が安く、表面反射率が高い金属であるという利点があるので、アルミニウムの箔や膜が顔料として広く使用されている。
【0005】
しかし、アルミニウムは、表面反射率が可視光で80%以上と高く、外観が白っぽく、クロムメッキのような高級感に欠けるという欠点がある。
【0006】
一方、光輝化する手段としてクロムメッキを使用することには、次の理由で問題がある。すなわち、クロム薄膜を乾式メッキ法で形成すると、成膜中に酸素、窒素またはアルゴンなどのガスの影響を受けて、薄膜の色が黒ずんでしまう。乾式メッキ法によるクロム薄膜の表面反射率は約30〜40%で、電気メッキ法によるクロム薄膜の表面反射率の約60%と比較すると低い。また、クロムメッキは、耐クラック性が低く、環境に対する配慮においても、アルミニウムホイール等に用いた場合に、異種金属が混じるために、リサイクルができないといった欠点を有する。
【0007】
アルミニウムホイールを用いる場合、前記外観上の欠陥を補うために、黒っぽいアンダーコートを下地に塗布する方法が採られている(特開昭62−13565号公報参照)。
【0008】
また、アルミニウムの箔や薄膜は、活性で、大気に触れると、酸化物被膜を形成して、光輝感が失われる。それだけでなく、酸化物被膜の成長に伴って、基材と塗膜との密着性(塗膜密着性)が低下する。また、水分を含む環境下では、酸化物被膜ではなく水酸化物被膜を形成する。アルミニウムの箔や薄膜に形成した水酸化物被膜は、それを含む塗膜の乾燥および加熱により容易に酸化物被膜になるが、乾燥および加熱した塗膜には透水性がある。そのため、塗膜を通過してきた水分とアルミニウムが塗膜内で反応するという水和反応を起こし(水分子と結合し)、塗膜の腐食および剥離に到る可能性がある。具体的にいえば、膜厚0.05μm〜1.0μmのアルミニウム薄膜は、トップコートなしで40℃〜60℃の温水に浸すと、水和反応により24時間〜100時間で溶解する。また、キャス(CASS)試験(JIS H 8502;50℃に設定された試験槽に、4%の塩水と0.027%の塩化第二銅(2水和物)の混合液を噴霧して、試験片の腐食性および耐食性を評価する)では、トップコートを塗布していても、トップコートを通じて試験液が浸透し、60時間以上でアルミニウム薄膜が溶解する。
【0009】
このような性質のアルミニウムの箔や薄膜をアルミニウムフレークとして使用していても、保護膜としてのトップコートが厚いか傷などを生じない場合は、大きな問題は発生しない。しかし、この場合でも、例えば、基材に凹凸がある場合などには、奥まった個所で保護膜が薄くなっており、酸またはアルカリなどの薬品が保護膜を浸透し、アルミニウムの箔や薄膜を溶解する。また、悪路地帯、海岸地帯、凍結防止のため塩を散布する地帯、または高温多湿地帯などで使用してトップコートに傷が入った場合、例えば実車が走行中に飛び石により傷が入ったり、清掃中に実車に傷が付いた場合には、アルミニウムの箔や薄膜が外部環境に触れ、その傷から塗膜の腐食が始まる。塗膜の腐食がいったん始まり進行していくと、アルミニウムの箔や薄膜は溶解消失し、アンダーコートが露出する。そうなると、本来の光輝面が損なわれるだけでなく、アンダーコートとトップコートとの密着がなくなり、膨れが発生する。さらに、そこを基点として基材の腐食へと進展する可能性がある。
【0010】
従来より、アルミニウムの箔や薄膜の耐食性および耐薬品性を向上させようとする処理方法が種々提案されている。しかしながら、アルミニウム自体の耐食性および耐薬品性が低いので、あまり大きな効果が得られていないのが実状である。これらの提案例とその欠点を、次の(1)〜(7)に示す。
【0011】
(1)特開2000−354828号公報
有機または無機の着色顔料にアルミニウムフレークを混入させたメッキ調コートで、アルミニウムホイールの表面を被覆する。この着色顔料の反射とアルミニウムフレークの反射との混合で、外観意匠ニーズに合った特殊な色調ができる。クロムメッキの外観に近い外観を得るために、各種の顔料と混合する。
【0012】
(2)特開平7−292294号公報
鱗片状着色金属顔料(Am)、および鱗片状着色金属顔料(Am)と異なる色調の1色以上の鱗片状着色金属顔料(An)を含有することを特徴とするカラーフリップフロップ性メタリック塗料である。具体的には、鱗片状アルミニウムフレークの表面に、さまざまな色の着色顔料を付着させたものを組み合わせる。
【0013】
しかし、特開2000−354828号公報および特開平7−292294号公報に記載の顔料は、光輝化する材質がアルミニウムであり、これらのメッキ調コートは、耐食性および耐薬品性が低い。そのため、ホイールなどの隅や縦面など、保護膜が塗布しづらい個所では、アルミニウムフレークが溶解する可能性が高い。また、アルミニウムフレークを使用しているため、白っぽく高級感のない外観を克服することができない。さらに、アルミニウムフレークの混合比率の調整方法によっては、光輝感が低下する。
【0014】
(3)特開平9−311561号公報
アルミニウムフレークを燐酸基含有樹脂の上に塗装する。アルミニウムフレーク塗膜を改善するために、特殊な塗装を行っている。しかし、この方法は、作業性が悪く、コスト高になり、広い範囲で適用できない。
【0015】
(4)特開平9−122575号公報
アルミニウムフレークが有機溶剤によって変色するのを防止するために、有機溶剤に浸漬した後の色変化が汚染用グレースケールで色票4号以上の色差を有するアルミニウムフレークを用いる。しかし、この塗膜も、アルミニウムフレークを含むため、耐薬品性が低い。
【0016】
(5)特開平7−133440号公報
耐食性を付与するために、アルミニウムフレークを腐食防止剤で処理する。腐食防止剤は、イットリウムおよび希土類金属などの水溶性塩などを含む。しかし、このような貴重な金属を使用する複雑な工程を経てアルミニウムフレークを処理する必要があり、また、アルミニウムフレークがコスト高になる。
【0017】
(6)特開平6−57171号公報
アルミニウムに対してMo金属換算量で0.1〜10質量%のモリブデン酸被膜を成膜し、その上に、アルミニウムに対してP元素換算量で0.05〜5質量%の燐酸エステルを吸着させる。しかし、この処理は、複雑で時間がかかり、コストアップの原因にもなる。
【0018】
また、その他の問題として、アルミニウムの箔や薄膜だけでは、明るさおよび色調が同じであるため、明るさおよび色調を調整する必要がある新しい顔料のニーズに答えられなかった。
【0019】
また、蒸着法で形成した金属薄膜自体は色調が乏しいため、着色顔料の中に金属箔膜を投入し表面を被覆することによって、着色金属顔料を得ていたが、充分とはいえなかった。
【0020】
(7)特開2003−292823号公報
チタンを15〜50質量%含み、残部がアルミニウムおよび不可避不純物であるフレーク状合金片を用いることによって、電気クロムメッキに近い外観及び優れた耐食性・耐薬品性を有する塗膜を得られる耐食光輝性顔料が得られるが、その製造方法においては、Al−Ti合金をターゲットとしてスパッタリング法でフレーク状合金を作製しており、用いたターゲットの組成の色しか出せず、顧客要望の色調ニーズに応えるためには数多くのターゲットを用意してフレーク状合金を作り、その中から色調を選択する必要があり、開発に時間と費用を要することが課題であった。また、Al−Ti合金では、当該合金1種類の色調のクロムメッキに近い外観のみしか得られず、新しい色調には対応できなかった。
【0021】
【特許文献1】特開昭62−13565号公報
【0022】
【特許文献2】特開2000−354828号公報
【0023】
【特許文献3】特開平7−292294号公報
【0024】
【特許文献4】特開平9−311561号公報
【0025】
【特許文献5】特開平9−122575号公報
【0026】
【特許文献6】特開平7−133440号公報
【0027】
【特許文献7】特開平6−57171号公報
【0028】
【特許文献8】特開2003−292823号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0029】
本発明の目的は、電気クロムメッキに近い外観を有し、明るさおよび色調を調整する必要がある新しい顔料のニーズにも対応でき、優れた耐食性および耐薬品性を有する塗膜を得ることができる耐食光輝性顔料を、アルミニウムフレークを用いた光輝性顔料に代わって提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0030】
本発明の耐食光輝性顔料の一態様は、表面反射率が10%〜49%である第1の金属膜と、表面反射率が50%〜95%である第2の金属膜とが積層されているフレーク状金属片を含有する。
【0031】
本発明の耐食光輝性顔料の異なる態様は、前記第1の金属膜が、Cr合金、Ti合金およびNi合金から選ばれた少なくとも1種類の金属膜であり、前記第2の金属膜が、Al、Al合金およびNi合金から選ばれた1種類の金属膜である。
【0032】
さらに、前記フレーク状金属片は、大きさが10μm〜100μmであることが望ましい。
【0033】
また、前記フレーク状金属片は、厚さが0.01μm〜0.1μmであることが望ましい。
【0034】
また、前記フレーク状金属片は、乾式成膜法により前記第1の金属膜と第2の金属膜を積層した薄膜を粉砕してフレーク状として得られることが望ましい。
【0035】
本発明の耐食光輝性塗膜用塗料組成物は、前記のいずれかに記載の耐食光輝性顔料と、ビヒクルとを含有する。
【0036】
本発明の耐食光輝性顔料の製造方法は、剥離可能な基材表面に、乾式成膜法を用いて、表面反射率が10%〜49%である第1の金属膜を形成し、該第1の金属膜の上に、表面反射率が50%〜95%である第2の金属膜を積層するか、あるいは、表面反射率が50%〜95%の第2の金属膜を形成し、該第2の金属膜の上に、表面反射率が10%〜49%である第1の金属膜を積層し、得られた積層膜を基材から剥離し、フレーク状に粉砕する。
【0037】
さらに、前記乾式成膜法が、蒸着法であることが好ましい。
【発明の効果】
【0038】
本発明の耐食光輝性顔料は、電気クロムメッキに近い外観を有し、黒っぽく表面反射率の低い薄膜と、反対面には明るい金属光沢で表面反射率の高い薄膜が形成されており、明るさおよび色調を調整する必要がある新しいニーズにも対応でき、意匠性に優れ、優れた耐食性および耐薬品性を有する塗膜を得ることができる。
【0039】
また、本発明の耐食光輝性顔料は、環境に優しく、安全なため、リサイクル性に優れ、簡単な塗装法により表面処理ができるので、施工性にも優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
本発明の耐食光輝性顔料の一態様は、表面反射率が10%〜49%である第1の金属膜と、表面反射率が50%〜95%である第2の金属膜とが積層されているフレーク状金属片を含有する。
【0041】
第1の金属膜の表面反射率は、10〜49%であることが必要である。表面反射率がこの範囲から外れると、黒っぽく表面反射率の低い金属膜とはならない。同時に、第2の金属膜の表面反射率は、50〜95%であることが必要である。表面反射率がこの範囲から外れると、明るい金属光沢で表面反射率の高い金属膜とはならない。
【0042】
前記第1の金属膜は、Cr合金、Ti合金およびNi合金から選ばれた少なくとも1種類の金属膜であることが好ましい。前記第2の金属膜は、Al、Al合金およびNi合金から選ばれた1種類の金属膜であることが好ましい。
【0043】
第1の金属膜において、前記Cr合金としては、例えば、20%〜80%Ni−Cr合金がある。前記Ti合金としては、例えば、Al−Ti−V合金、50〜80%Ti−Al合金がある。前記Ni合金としては、例えば、Ni−Ti合金、Ni−Cr合金がある。
【0044】
これらの金属膜では、Alは反射率が高く明るく、Tiは耐食性が高く反射率が低い、Vは合金成分で機械的強度を上げる。これらの成分組成を変更することにより、表面反射率が10%〜49%に調整される。
【0045】
第2の金属膜において、前記Al合金としては、例えば、Al−Ti合金、Al−In合金、Al−Sn合金がある。前記Ni合金としては、例えば、Sn−Ni合金、Al−Ni合金がある。これらは、Alは反射率が高く、Tiは耐食性が高く反射率が低い、Inは色調が少し青い外観を有するために用いているのであり、成分組成を変更することにより、表面反射率が50%〜95%に調整される。
【0046】
本発明の耐食光輝性顔料は、黒っぽく表面反射率の低い薄膜と、反対面には明るい金属光沢で表面反射率の高い薄膜が積層して形成されており、明るさおよび色調を調整する必要がある新しいニーズにも対応できる意匠性に優れ、優れた耐食性および耐薬品性を有する塗膜を得ることができる。
【0047】
また、本発明の耐食光輝性顔料は、環境に優しく、安全なため、リサイクル性に優れ、簡単な塗装法により表面処理ができるので、施工性にも優れている。
【0048】
本発明の耐食光輝性顔料の製造方法は、剥離可能な基材表面に、乾式成膜法を用いて、表面反射率が10%〜49%である第1の金属膜を形成し、該第1の金属膜の上に、表面反射率が50%〜95%である第2の金属膜を積層するか、あるいは、表面反射率が50%〜95%の第2の金属膜を形成し、該第2の金属膜の上に、表面反射率が10%〜49%である第1の金属膜を積層し、得られた積層膜を基材から剥離し、フレーク状に粉砕する。
【0049】
乾式成膜法として、蒸着法、スパッタリング法およびイオンプレーティング法が挙げられる。蒸着法は、真空中でターゲットを坩堝もしくはタングステンのボードに設置し、電流を流すことで坩堝、ボードを加熱し、あるいは、電子銃を用いターゲットに電子を打ち込み、その熱でターゲットを蒸発させる方法である。
【0050】
また、成膜には、スパッタリング法を採用できる。スパッタリング法は、真空中でアルゴンイオンをターゲットに衝突させエネルギーを与え、該ターゲットを構成する原子を飛び出させ、対象物(基板)に付着させる方法である。熱で蒸気化して飛ばす方法ではないので、蒸気圧による成分の狂いがなく、そのため、1つの組成のターゲットのみを用いれば、そのターゲット組成とほぼ同じ組成の膜が得られる。
【0051】
スパッタリング法は、DCマグネトロン方式とRFマグネトロン方式のどちらでも良い。ターゲットには、溶解法や焼結法で作製したものが使用できる。
【0052】
本発明の耐食光輝性顔料は、表面反射率の異なる金属膜が積層したものであり、前記乾式成膜方法では、製造装置に、それぞれの金属膜を得るためのターゲットを配置し、一方の金属膜を形成後、真空を破ることなく、連続して他方の金属膜を形成する。
【0053】
基板は、基材をアクリルラッカー塗料等の溶液に浸漬し取り出して、表面に約0.1μm厚さの薄膜を形成して得る。該基板の表面に前述のように形成した積層膜は、溶剤で前記塗料を溶出させて、基材から剥離させるか、物理的に基材から掻き落としたり、剥ぎ取ったりして、回収する。
【0054】
その後、ボールミルなどの従来の手法や、溶液中に入れた後に超音波を適用したりして粉砕する。あるいは、基板に形成した積層膜は、基板ごと溶液中に入れた後に化学的に剥離しながら粉砕することもできる。
【0055】
得られたフレーク状金属片は、大きさが10μm〜100μmであることが好ましい。
【0056】
ここで、フレーク状金属片の大きさとは、フレーク状金属片の定方向径(金属片に外接する長方形の縦、横辺長)をいう。フレーク状金属片の大きさが10μm未満では、反射面が小さくなり、光輝感が損なわれる。一方、フレーク状金属片の大きさが100μmを超えると、反射面が広がり、表面反射率は上がるが、隣接するフレーク状金属片との隙間が大きくなって、下地が見える可能性がある。
【0057】
また、該フレーク状金属片は、厚さが0.01μm〜0.1μmであることが好ましい。
【0058】
フレーク状金属片の厚さが0.01μmより薄いと、下地が透けて見え、白っぽい外観になり、表面反射率が下がりすぎる。一方、フレーク状金属片の厚さが0.1μmを超えると、フレーク状金属片の応力が大きくなり、フレーク状金属片に割れが入る可能性が高くなる。また、フレーク状金属片の厚さが0.1μmを超えても、フレーク状金属片の原料となる積層膜の成膜に長時間かかり、表面反射率に変化はなく、かえってコストが上昇する。
【0059】
以上のように、本発明の耐食光輝性顔料は、フレーク状金属片で構成される。耐食光輝性顔料は、表面反射が重要な性能の一つであり、フレーク状金属片は、表面のうちに平面が占める割合が高いから好ましい。
【0060】
電気クロムメッキに近い表面反射率や電気クロムメッキのような外観を有する塗膜を得るためには、フレーク状金属片の表面反射率を、550nmの波長の光で25〜65%とすることが望ましい。そのためには、使用するフレーク状金属片の厚みおよび大きさなどに合わせて、フレーク状金属片の両側面の表面反射率および色調を適宜、調整すればよい。
【0061】
本発明の耐食光輝性顔料は、黒っぽく表面反射率の低い薄膜と、反対面には明るい金属光沢で表面反射率の高い薄膜が積層して形成されており、各表面反射率を選択することにより、新しい色調の顔料を得る。
【0062】
本発明の耐食光輝性塗膜用塗料組成物は、前記耐食光輝性顔料と、ビヒクルとを含有することにより、得ることができる。
【0063】
本発明により得る耐食光輝性塗膜の乾燥膜厚は、20μm〜100μmが好ましく、この範囲を外れると、塗膜外観が低下するおそれがある。より好ましくは、30μm〜50μmである。
【0064】
耐食光輝性塗膜用塗料組成物における耐食光輝性顔料の好ましい含有量は、塗膜中のビヒクル100固形分質量部に対して、5質量部〜25質量部である。5質量部よりも少ないと、耐食光輝性顔料の隠蔽性が低下し、鮮明な白さを発現する塗膜を得られないおそれがあり、25質量部を超えると塗膜外観が低下するおそれがある。より好ましくは、5質量部〜15質量部である。
【0065】
本発明において、耐食光輝性塗膜を形成するために用い、耐食光輝性塗膜用塗料組成物に含まれるビヒクルは、前記耐食光輝性顔料を分散するものであって、塗膜形成用樹脂と、必要に応じて架橋剤とから構成される。
【0066】
この塗膜形成用樹脂としては、例えば、(a)アクリル樹脂、(b)ポリエステル樹脂、(c)アルキド樹脂、(d)フッ素樹脂、(e)エポキシ樹脂、(f)ポリウレタン樹脂、(g)ポリエーテル樹脂等が挙げられ、これらは、単独または2種以上を組み合わせて使用することができる。特に、(a)アクリル樹脂、および(b)ポリエステル樹脂が好ましい。
【0067】
(a)アクリル樹脂
アクリル樹脂としては、アクリル系モノマーと、他のエチレン性不飽和モノマーとの共重合体が挙げられる。アクリル系モノマーとしては、アクリル酸またはメタクリル酸のメチル、エチル、プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、2−エチルヘキシル、ラウリル、フェニル、ベンジル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル等のエステル化物類、アクリル酸またはメタクリル酸2−ヒドロキシエチルのカプロラクトンの開環付加物類、アクリル酸またはメタクリル酸グリシジル、アクリルアミド、メタクリルアミドおよびN−メチロールアクリルアミド、多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。エチレン性不飽和モノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、イタコン酸、マレイン酸、酢酸ビニル等が挙げられる。
【0068】
(b)ポリエステル樹脂
ポリエステル樹脂としては、飽和ポリエステル樹脂や不飽和ポリエステル樹脂が挙げられ、例えば、多塩基酸と多価アルコールを加熱縮合して得られた縮合物が挙げられる。多塩基酸としては、飽和多塩基酸、不飽和多塩基酸が挙げられ、飽和多塩基酸としては、例えば、無水フタル酸、テレフタル酸、コハク酸等が挙げられ、不飽和多塩基酸としては、例えば、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸等が挙げられる。多価アルコールとしては、例えば、二価アルコール、三価アルコール等が挙げられ、二価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール等が挙げられ、三価アルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン等が挙げられる。
【0069】
(c)アルキド樹脂
アルキド樹脂としては、前記多塩基酸と多価アルコールに、さらに油脂・油脂脂肪酸(大豆油、アマニ油、ヤシ油、ステアリン酸等)、天然樹脂(ロジン、コハク等)等の変性剤を反応させて得られたアルキド樹脂を用いることができる。
【0070】
(d)フッ素樹脂
フッ素樹脂としては、フッ化ビニリデン樹脂、四フッ化エチレン樹脂のいずれかまたはこれらの混合体、フルオロオレフィンとヒドロキシ基含有の重合性化合物およびその他の共重合可能なビニル系化合物からなるモノマーを共重合させて得られる各種フッ素系共重合体からなる樹脂を挙げることができる。
【0071】
(e)エポキシ樹脂
エポキシ樹脂としては、ビスフェノールとエピクロルヒドリンの反応によって得られる樹脂等を挙げることができる。ビスフェノールとしては、例えば、ビスフェノールA、Fが挙げられる。上記ビスフェノール型エポキシ樹脂としては、例えば、エピコート828、エピコート1001、エピコート1004、エピコート1007、エピコート1009が挙げられる。
【0072】
(f)ポリウレタン樹脂
ポリウレタン樹脂としては、アクリル、ポリエステル、ポリエーテル、ポリカーボネート等の各種ポリオール成分とポリイソシアネート化合物とによって得られるウレタン結合を有する樹脂を挙げることができる。上記ポリイソシアネート化合物としては、2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)、2,6−トリレンジイソシアネート(2,6−TDI)、およびその混合物(TDI)、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート(4,4’−MDI)、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート(2,4’−MDI)、およびその混合物(MDI)、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート(NDI)、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ジシクロへキシルメタン・ジイソシアネート(水素化HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、水素化キシリレンジイソシアネート(HXDI)等を挙げることができる。
【0073】
(g)ポリエーテル樹脂
ポリエーテル樹脂としては、エーテル結合を有する重合体または共重合体であり、ポリオキシエチレン系ポリエーテル、ポリオキシプロピレン系ポリエーテル、もしくはポリオキシブチレン系ポリエーテル、またはビスフェノールAもしくはビスフェノールFなどの芳香族ポリヒドロキシ化合物から誘導されるポリエーテル等の1分子当たりに少なくとも2個の水酸基を有するポリエーテル樹脂を挙げることができる。また、前記ポリエーテル樹脂とコハク酸、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸等の多価カルボン酸類、あるいは、これらの酸無水物等の反応性誘導体とを反応させて得られるカルボキシル基含有ポリエーテル樹脂を挙げることができる。
【0074】
また、上記塗膜形成用樹脂には、硬化性を有するタイプとラッカータイプがあるが、通常硬化性を有するタイプのものが使用される。硬化性を有するタイプの場合には、アミノ樹脂、(ブロック)ポリイソシアネート化合物、アミン系、ポリアミド系、多価カルボン酸等の架橋剤と混合して用いられ、加熱または常温で硬化反応を進行させることができる。また、硬化性を有しないラッカータイプの塗膜形成用樹脂と、硬化性を有するタイプの塗膜形成用樹脂とを併用することも可能である。
【0075】
前記ビヒクルが架橋剤を含む場合、塗膜形成用樹脂と架橋剤との割合としては、固形分換算で、塗膜形成用樹脂が90〜50質量%、架橋剤が10〜50質量%であり、好ましくは塗膜形成用樹脂が85〜60質量%であり、架橋剤が15〜40質量%である。架橋剤が10質量%未満では(塗膜形成用樹脂が90質量%を超えると)、塗膜中の架橋が十分でない。一方、架橋剤が50質量%を超えると(塗膜形成用樹脂が50質量%未満では)、塗料組成物の貯蔵安定性が低下するとともに硬化速度が大きくなるため、塗膜外観が悪くなる。
【0076】
架橋剤としては、具体的には、イソシアネート系、アミン系架橋剤等が挙げられる。
【実施例】
【0077】
(実施例1)
10cm角、厚さ1mmのポリプロピレン板の基板を用い、アクリルラッカー塗料(日本ペイント製)溶液に浸漬し取り出して、基板表面に約0.1μm厚さのアクリル塗膜を形成した。
【0078】
その後、電子銃を備え、金属を蒸着させる坩堝が3個あるイオンプレーティング装置(神港製作所社製)を用い、蒸発源となるNi−40%Cr合金、20%Ti−Al合金を、前記坩堝にそれぞれ配置した。
【0079】
まず、第1の金属膜として、蒸着により、Ni−40%Cr合金を厚さ0.02μm、成膜し、次に、坩堝を換えて、第2の金属膜として、20%Ti−Al合金を、厚さ0.02μm、成膜して、積層膜を形成した。
【0080】
その後、積層膜を形成した基板を、アセトン溶液に浸漬し、アクリル塗膜を溶出させ、積層膜を基板から剥離した。その後、溶剤中で、超音波(90W、43kW)で5分間、粉砕し、乾燥して、フレーク状金属片を得た。
【0081】
得られたフレーク状金属片は、Ni−40%Cr合金膜側の表面反射率が40%であり、20%Ti−Al合金膜側の表面反射率が65%であった。また、得られたフレーク状金属片の大きさは、約50μmであった。さらに、得られたフレーク状金属片の表面反射率を、分光光度計(日立製作所社製)を用い、550nmの波長の光で測定したところ、表面反射率は50%であった。
【0082】
得られたフレーク状金属片10gを、溶剤(酢酸エチル)20gに調合し、超音波で均等に配合し、耐食光輝性塗膜用塗料を得た。
【0083】
実際に塗膜を形成して評価を行った。以下に、結果を示す。
【0084】
アルミニウム合金鋳物AC4C(Al−Si−Mg系)製の板材(厚さ3mm)に、クロメート処理で化成被膜をクロム量で80g/m2〜150g/m2に形成した。次に、表面を平滑にするため、アクリル粉体塗料を100μm塗布し、150℃で1時間、乾燥した。さらに、アンダーコートとしてクリアーのポリエステル・メラミン樹脂を、エアースプレーガンで30μm形成し、140℃で30分、乾燥して、基材とした。
【0085】
その後、前述の耐食光輝性塗膜用塗料を、前記基材上にエアースプレーで1μm〜2μm、塗布した。その上に、アクリル・メラミン樹脂のトップコートを、エアースプレーガンで、5μm、10μmおよび25μmの3種、形成し、140℃で30分、乾燥した。
【0086】
以上のようにして得られた3種の色調の異なる表面処理材の外観は、クラックや割れがなく、従来のメタリック塗装材に比べて高い光輝感と、クロムメッキに近い色調を持っていた。
【0087】
また、表1に示し、電気メッキ規格を主にした試験項目について、これらの表面処理材を評価した。その結果、全ての試験項目に合格した。試験項目、試験方法および得られた試験結果を、表1に示す。
【0088】
【表1】

【0089】
(実施例2)
10cm角、厚さ1mmのポリプロピレン板の基板を用い、アクリルラッカー塗料(日本ペイント製)溶液に浸漬し取り出して、基板表面に約0.1μm厚さのアクリル塗膜を形成した。
【0090】
その後、電子銃を備え、金属を蒸着させる坩堝が3個あるイオンプレーティング装置(神港製作所社製)を用い、蒸発源となるAl−20%Ti合金、Al−80%Ti合金を、前記坩堝にそれぞれ配置した。
【0091】
まず、第2の金属膜として、蒸着により、Al−20%Ti合金を厚さ0.02μm、成膜し、次に、坩堝を換えて、第1の金属膜として、Al−80%Ti合金を、厚さ0.02μm、成膜して、積層膜を形成した。
【0092】
その後、積層膜を形成した基板を、アセトン溶液に浸漬し、アクリル塗膜を溶出させ、積層膜を基板から剥離した。その後、溶剤中で、超音波(90W、43kW)で5分間、粉砕し、乾燥して、フレーク状金属片を得た。
【0093】
得られたフレーク状金属片は、Al−20%Ti合金膜側の表面反射率が65%であり、Al−80%Ti合金膜側の表面反射率が30%であった。また、得られたフレーク状金属片の大きさは、約48μmであった。さらに、得られたフレーク状金属片の表面反射率を、分光光度計(日立製作所社製)を用い、550nmの波長の光で測定したところ、表面反射率は55%であった。
【0094】
得られたフレーク状金属片10gを、溶剤(酢酸エチル)90gに調合し、超音波で均等に配合し、耐食光輝性塗膜用塗料を得た。
【0095】
実際に塗膜を形成して評価を行った。以下に、結果を示す。
【0096】
アルミニウム合金鋳物AC4C(Al−Si−Mg系)製の板材(厚さ3mm)に、クロメート処理で化成被膜をクロム量で80g/m2〜150g/m2に形成した。次に、表面を平滑にするため、アクリル粉体塗料を100μm塗布し、150℃で1時間、乾燥した。さらに、アンダーコートとしてクリアーのポリエステル・メラミン樹脂を、エアースプレーガンで30μm形成し、140℃で30分、乾燥して、基材とした。
【0097】
その後、前述の耐食光輝性塗膜用塗料を、前記基材上にエアースプレーで1μm〜2μm、塗布した。その上に、アクリル・メラミン樹脂のトップコートを、エアースプレーガンで、5μm、10μmおよび25μmの3種、形成し、140℃で30分、乾燥した。
【0098】
以上のようにして得られた3種の色調の異なる表面処理材の外観は、クラックや割れがなく、従来のメタリック塗装材に比べて高い光輝感と、クロムメッキに近い色調を持っていた。
【0099】
また、表1に示し、電気メッキ規格を主にした試験項目について、これらの表面処理材を評価した。その結果、全ての試験項目に合格した。試験項目、試験方法および得られた試験結果を、表1に示す。
【0100】
(実施例3)
第2の金属膜用に、Alを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、フレーク状金属片を得た。
【0101】
得られたフレーク状金属片は、Ni−40%Cr合金膜側の表面反射率が40%であり、Al膜側の表面反射率が85%であった。また、得られたフレーク状金属片の大きさは、約46μmであった。さらに、得られたフレーク状金属片の表面反射率を、分光光度計(日立製作所社製)を用い、550nmの波長の光で測定したところ、表面反射率は55%であった。
【0102】
その後、溶剤を酢酸エチル90gとしたこと以外は、実施例1と同様にして耐食光輝性塗膜用塗料を得て、実際に塗膜を形成して評価を行った。得られた表面処理材の外観は、クラックや割れがなく、従来のメタリック塗装材に比べて高い光輝感とクロムメッキに近い色調を持っていた。
【0103】
また、電気メッキ規格を主にした試験項目について、これらの表面処理材を評価した。その結果、全ての試験項目に合格した。試験項目、試験方法および得られた試験結果を表1に示す。
【0104】
(実施例4)
第1の金属膜用に、Tiを用いたこと以外は、実施例2と同様にして、フレーク状金属片を得た。
【0105】
得られたフレーク状金属片は、Al−20%Ti合金膜側の表面反射率が65%であり、Ti膜側の表面反射率が30%であった。また、得られたフレーク状金属片の大きさは、約51μmであった。さらに、得られたフレーク状金属片の表面反射率を、分光光度計(日立製作所社製)を用い、550nmの波長の光で測定したところ、表面反射率は55%であった。
【0106】
その後、溶剤を酢酸エチル90gとしたこと以外は、実施例2と同様にして耐食光輝性塗膜用塗料を得て、実際に塗膜を形成して評価を行った。得られた表面処理材の外観は、クラックや割れがなく、従来のメタリック塗装材に比べて高い光輝感とクロムメッキに近い色調を持っていた。
【0107】
また、電気メッキ規格を主にした試験項目について、これらの表面処理材を評価した。その結果、全ての試験項目に合格した。試験項目、試験方法および得られた試験結果を表1に示す。
【0108】
(比較例1)
10cm角、厚さ1mmのポリプロピレン板の基板を用い、アクリルラッカー塗料(日本ペイント製)溶液に浸漬し取り出して、基板表面に約0.1μm厚さのアクリル塗膜を形成した。
【0109】
その後、電子銃を備え、金属を蒸着させる坩堝が3個あるイオンプレーティング装置(神港製作所社製)を用い、蒸発源となるAlを、前記坩堝に配置した。
【0110】
蒸着により、Alを厚さ0.02μm、成膜した。
【0111】
その後、Al膜を形成した基板を、アセトン溶液に浸漬し、アクリル塗膜を溶出させ、Al膜を基板から剥離した。その後、溶剤中で、超音波(90W、43kW)で5分間、粉砕し、乾燥して、フレーク状金属片を得た。
【0112】
得られたフレーク状金属片の表面反射率は、75%であった。また、得られたフレーク状金属片の大きさは、約44μmであった。さらに、得られたフレーク状金属片の表面反射率を、分光光度計(日立製作所社製)を用い、550nmの波長の光で測定したところ、表面反射率は70%であった。
【0113】
得られたフレーク状金属片1gを、溶剤(MEK)99gに調合し、耐食光輝性塗膜用塗料を得た。
【0114】
実際に塗膜を形成して評価を行った。以下に、結果を示す。
【0115】
アルミニウム合金鋳物AC4C(Al−Si−Mg系)製の板材(厚さ3mm)に、クロメート処理で化成被膜をクロム量で80g/m2〜150g/m2に形成した。次に、表面を平滑にするため、アクリル粉体塗料を100μm塗布し、150℃で1時間、乾燥した。さらに、アンダーコートとしてクリアーのポリエステル・メラミン樹脂を、エアースプレーガンで30μm形成し、140℃で30分、乾燥して、基材とした。
【0116】
その後、前述の耐食光輝性塗膜用塗料を、前記基材上にエアースプレーで1μm〜2μm、塗布した。その上に、アクリル・メラミン樹脂のトップコートを、エアースプレーガンで、5μmおよび10μmの2種、形成し、140℃で30分、乾燥した。
【0117】
得られた2種の表面処理材に、5質量%硫酸を1cm3垂らし、4時間、放置したところ、トップコートの膜厚が5μmの表面処理材では、滴定した部分のアルミニウムフレーク材が100%、溶解した。また、トップコートの膜厚が10μmの表面処理材では、滴定した部分のフレーク状金属片が50%、溶解した。
【0118】
さらに、前述と同様に、2種の表面処理材を作製した後、クロスカットを入れてキャス試験を実施した。その結果、12時間後にクロスカット部から幅5mmでフレーク状金属片の溶解が起こった。
【0119】
また、前述と同様に2種の表面処理材を作製した後、クロスカットを入れて60℃温水試験を実施した。その結果、36時間後にクロスカット部からフレーク状金属片の溶解が起こった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面反射率が10%〜49%である第1の金属膜と、表面反射率が50%〜95%である第2の金属膜とが積層されているフレーク状金属片を含有していることを特徴とする耐食光輝性顔料。
【請求項2】
前記第1の金属膜が、Cr合金、Ti合金およびNi合金から選ばれた少なくとも1種類の金属膜であり、前記第2の金属膜が、Al、Al合金およびNi合金から選ばれた1種類の金属膜であることを特徴とする請求項1に記載の耐食光輝性顔料。
【請求項3】
前記フレーク状金属片は、大きさが10μm〜100μmであることを特徴とする請求項1または2に記載の耐食光輝性顔料。
【請求項4】
前記フレーク状金属片は、厚さが0.01μm〜0.1μmであることを特徴とする請求項1または2に記載の耐食光輝性顔料。
【請求項5】
前記フレーク状金属片は、乾式成膜法により前記第1の金属膜と第2の金属膜を積層した薄膜を粉砕してフレーク状として得られたことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の耐食光輝性顔料。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の耐食光輝性顔料と、ビヒクルとを含有することを特徴とする耐食光輝性塗膜用塗料組成物。
【請求項7】
剥離可能な基材表面に、乾式成膜法を用いて、表面反射率が10%〜49%である第1の金属膜を形成し、該第1の金属膜の上に、表面反射率が50%〜95%である第2の金属膜を積層するか、あるいは、表面反射率が50%〜95%の第2の金属膜を形成し、該第2の金属膜の上に、表面反射率が10%〜49%である第1の金属膜を積層し、得られた積層膜を基材から剥離し、フレーク状に粉砕することを特徴とする耐食光輝性顔料の製造方法。
【請求項8】
前記乾式成膜法が、蒸着法である請求項7に記載の耐食光輝性顔料の製造方法。

【公開番号】特開2006−28618(P2006−28618A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−212210(P2004−212210)
【出願日】平成16年7月20日(2004.7.20)
【出願人】(000183303)住友金属鉱山株式会社 (2,015)
【Fターム(参考)】