説明

肝保護剤アセトアミノフェンミューチュアルプロドラッグ

本発明は、アセトアミノフェン肝毒性に対して肝保護剤として作用する可能性がある第2の部分に共有結合したアセトアミノフェン部分を有する、肝保護剤アセトアミノフェンミューチュアルプロドラッグを提供する。さらに、アセトアミノフェンミューチュアルプロドラッグは、アセトアミノフェンの投与と比較して、非経口及び他の剤形へのより優れた適合性を与える可能性がある改善された水溶解度を有する可能性がある。また、肝保護剤アセトアミノフェンミューチュアルプロドラッグを用いてアセトアミノフェンに対して反応性である疾患又は状態(発熱、疼痛及び虚血性損傷など)を治療する方法、並びにキット及び単位用量を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
この出願は、2008年5月20日に出願された、表題「Hepatoprotectant Acetaminophen Mutual Prodrugs」の米国仮出願第61/054,777号(この内容は、それが以下にあたかも完全に示されているかのように、その全体が参考として本明細書に援用される)の優先権の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
アセトアミノフェン(パラセタモールとしても公知であり、N−(4−ヒドロキシフェニル)アセトアミドとして化学的に公知である)は、疼痛に関連する様々な状態の治療用に広く用いられている鎮痛薬である。例えば、アセトアミノフェンは、手術又は外傷による疼痛、並びに変形性関節症、関節リウマチ及び腰痛(lower back pain)などの慢性炎症性状態によってもたらされる疼痛を管理するために用いられている。場合によって、アセトアミノフェンは、癌又は線維筋痛症などの侵害受容性/神経障害性混合病因による疼痛を治療するのに用いられる。アセトアミノフェンはまた、心筋損傷(非特許文献1)及び神経損傷(非特許文献2)などの他の状態の管理における有用性を有する可能性がある。
【0003】
大量のアセトアミノフェン(単独又はオピオイドなどの他の治療薬と併用される)が世界中で製造され、処方され、流通している。従来のNSAID(イブプロフェン及びナプロキセンなど)並びに選択的シクロオキシゲナーゼ−2阻害薬(Vioxx(登録商標)など)の心血管及び消化管における安全性に関する懸念が増大しているために、患者及び医師は、安全性リスクが一見より低いことから、アセトアミノフェンに頼っている。
【0004】
しかし、特定の条件下ではアセトアミノフェンは、肝臓に対して有毒である可能性があることが周知である(肝毒性として公知である)。米国における殆どの肝移植はアセトアミノフェン毒性が原因となっていると推定されており、2004年における全ての急性肝不全症例の49%がアセトアミノフェンの過剰投与の結果であった。毎年、アセトアミノフェン(Tylenol(登録商標)及び他の商標として販売されている)の過剰投与が56000件を超える救急外来への来院及び急性肝不全による推定458例の死亡の原因となっている(Harvard Women’s Health Watch、2006年3月)。米国急性肝不全研究班(U.S. Acute Liver Failure Study Group)による最近の試験(非特許文献3)によれば、アセトアミノフェンに関連する肝不全が増加しつつあるように思われる。シアトルにおけるワシントン大学医療センター(University of Washington Medical Center)の研究者らは、1998年から2003年までにアセトアミノフェンに起因した急性肝不全症例の割合が28%から51%へとほぼ2倍に増加したことを見出した。アセトアミノフェン毒性は、肝臓の範囲を超える可能性があり、腎臓及び/又は心筋層に及ぶ可能性がある(非特許文献4)。
【0005】
4gというアセトアミノフェンの1日量限界は、4gが16時間で消費され得る(4時間ごとに1g)ことから、当日の残りの8時間は代替鎮痛薬を求めることに委ねられるので、アセトアミノフェンの治療上の有用性を減ずるものである。さらに、アセトアミノフェン代謝における人種及び対象間変動が60倍と高いことが報告され(非特許文献5)、これは、所与の患者の中毒量の高度の不確定性をもたらすので、アセトアミノフェンの安全性プロファイルを複雑にする。毒性を弱めることにより、改良された化合物は、4gより高い用量を許容することによるより大きい有用性をもたらし、且つ/又はあらゆる人種的背景の患者により大きい安全性限界を与える可能性がある。
【0006】
アセトアミノフェン誘発性肝毒性は、アセトアミノフェンの血中レベル濃度及び曝露の長さの両方に依存することが見出された。したがって、アセトアミノフェンの包装ラベルには、医師により指示されない限り、患者が最大量(1日当たり4000mg)を10日間を超えて使用しないこと、疼痛に対しては10日間を超えて、又は発熱に対しては3日間を超えて該製品を服用しないことと指示されている。1日当たり4000mgのアセトアミノフェンの14日間の投与を受けた健康な成人でさえも肝毒性を示唆する高レベルの酵素を示す(Journal Amer. Med. Assoc.、296巻、87〜93頁、2006年)。
【0007】
投与後、アセトアミノフェンの約90%がグルクロニド及び硫酸塩にq bされ、5%未満が代謝されないままであることが公知である。アセトアミノフェンの残りの約5%は、肝臓においてシトクロムP450混合機能オキシゲナーゼ系により(主としてCYP2E1により)代謝され、N−アセチル−p−ベンゾキノン(benzquinone)イミン(NAPQI)に変換される(非特許文献4)。NAPQIは、求核性残基(例えば、システイン残基)に共有結合することによってタンパク質に損傷を与えることができる。グルタチオン(GSH;L−グルタミン酸、L−システイン及びL−グリシンのトリペプチド)は、NAPQIとの結合体化により解毒を促進し、中毒量のアセトアミノフェンの投与後に90%ほども消耗する可能性がある。肝臓の小葉中心細胞における低濃度のGSHは、致命的であり得る小葉中心肝壊死をもたらすことがあり得る(Drug Metabolism and Disposition、31巻;1499〜1506頁、2003年)。NAPQIとのGSHの付加物は、胆汁中に排泄されるか、又はグルタミル及びグリシン基の除去並びにシステインのN−アセチルシステイン結合体への変換を伴う、メルカプツール酸経路を経てさらに代謝される(The Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics、294巻:735〜745頁、2000年)。
【0008】
アセチルシステイン(Acetadote(登録商標))とも呼ばれているN−アセチルシステイン(NAC)は、経口並びに静脈内剤形の両方として入手可能なアセトアミノフェン毒性に対するFDA承認済み解毒剤である(Acetadote(登録商標)添付文書、Cumberland Pharmaceuticals、Nashville、TN.、2004年3月発行)。NACは、アセトアミノフェンの無毒代謝物を産生させる、グルタチオン合成を刺激する(代謝経路を促進することにより)ことにより、且つ/又は有毒代謝物を解毒することにより、アセトアミノフェンの肝毒性を予防又は軽減することが公知である(In Goldfrank’s Toxicologic Emergencies、第7版、New York: McGraw−Hill、2002年、502〜506頁)。しかし、NACは、毒性血中レベルのアセトアミノフェンへの急性曝露の8〜10時間以内に投与した場合、肝毒性を最小限にするのに有効であることが示されたにすぎなかった。静脈内投与したNACに対するアナフィラキシー様反応も報告された(非特許文献6)。
【0009】
システイン及びメチオニン(メチオニンは肝シスタチオニン経路によりシステインに変換することができる)は、十分な量で供給する場合には、正常な肝GSHレベルの維持を保証することができる。GSHは、システインの輸送及び貯蔵形でもあり得る(Journal of Nutrition、127巻:2135〜2141頁、1997年)。細胞外メチオニンは、細胞内反応性酸素種に対するシステインと同様に強い抗酸化剤であることが見出された(Matabolic Bases of Inherited Disease、第5版、New York: McGraw−Hill、1982年、522〜559頁)。アセトアミノフェン摂取による肝損傷のリスクがある30例の患者に10gの総用量まで4時間ごとに2〜5gの経口メチオニンが投与され、初回用量は過剰投与の10時間以内に行われたように、アセトアミノフェンの過剰投与を治療するためにメチオニンの経口投与が用いられている。メチオニンの投与後に死亡例はなく、肝性脳症又は他の合併症の報告はなかった(非特許文献7)。肝臓における高いグルタチオンレベルの維持によりアセトアミノフェン中毒の発症を予防するために、アセトアミノフェン(500mg)とメチオニン(100mg)の組み合わせが英国において利用可能である(Paradote(登録商標))。この製剤中のメチオニンは、L−異性体(ヒトにおける必須アミノ酸)及びD−異性体(非天然)の両方を含む。アセトアミノフェンに結合させたシステイン及びアセチルメチオニンが特許文献1及び非特許文献8に記載された。
【0010】
5−オキソ−L−プロリナーゼによりL−システインに変換されるプロシステイン(L−2−オキソチアゾリジン−4−カルボキシレート)の投与は、細胞内システインレベルの増加をもたらす可能性があり、GSHの合成を増加させることが示された。この効果は、アセトアミノフェンの後に投与した場合よりアセトアミノフェンの前に投与した場合のほうが顕著であることが示された(例えば、アセトアミノフェンの投与30分後にL−2−オキソチアゾリジン−4−カルボキシレートを投与することによりGSHの組織濃度が6.1μmol/g組織に達したのに対して、アセトアミノフェンの投与120分後に投与した場合には5.3μmol/g組織に達した;Proceedings of The Natural Academy of Sciences、79巻:6246〜6249頁、1982年)。
【0011】
一部の患者(例えば、慢性疼痛を有する患者)は、NSAID、選択的COX−2阻害薬及びオピオイドなどの代替鎮痛薬の潜在的に有害な事象を避けるために長期間のアセトアミノフェン治療を求めることがある。さらに、肝毒性のより高いリスクを有する患者(例えば、既存の肝損傷及び/又はアルコール摂取などの肝臓に対する他のストレッサーを有する患者)は、疼痛及び発熱を抑制するためにアセトアミノフェンを入手できることによる恩恵を依然として受けることができる。
【0012】
したがって、その治療特性を維持すると同時に肝毒性の重要な問題に対応し、且つ/又は代替剤形の開発を可能にするためにアセトアミノフェンの物理化学的特性を変化させる可能性があるアセトアミノフェンの改善された製剤又はプロドラッグを提供することが望ましいと思われる。
【0013】
本明細書で引用した全ての刊行物、特許、特許出願及び他の参考文献の開示は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】独国特許出願公開第4327462号明細書
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】Spiler NM、Rork TH、Merrill GF、Curr Drug Targets Cardiovasc Haematol Disord.、2005年、5巻(5号):419〜29頁
【非特許文献2】Bisaglia M、Venezia V、Piccioli P、Stanzione S、Porcile C、Russo C、Mancini F、Milanese C、Schettini G、Neurochem Int.、2002年、41巻(1号):43〜54頁
【非特許文献3】Lee WM.、Hepatology、2004年、40巻(1号):6〜9頁
【非特許文献4】JT DiPiro、RL Talbert、GC Yee、GR Matzke、BG Wells、LM Posey(編)、Pharmacotherapy: A Physiological Approach、2005年、第6版、McGraw Hill(New York)133頁
【非特許文献5】S. Bridgerら、BMJ、1998年、316巻、1724〜1725頁
【非特許文献6】Lynch RM、Robertson R.、Accid Emerg Nurs.、2004年、12巻(1号):10〜5頁
【非特許文献7】Crome P、Vale JA、Volans GN、Widdop B、Goulding R.、Lancet、1976年、2巻(7990号):829〜30頁
【非特許文献8】Skoglund LA、Skjelbred P、Eur J Clin Pharmacol、1984年、26巻(5号):573〜7頁
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の一態様は、アセトアミノフェン部分及び肝保護剤部分を含む化合物、又は薬学的に許容されるその塩又は前記のものの溶媒和物を提供する。
【0017】
いくつかの実施形態において、本発明は、アセトアミノフェン部分及び肝保護剤部分を含む化合物を含み、肝保護剤部分は、N−アセチル−p−ベンゾキノンイミン(NAPQI)を不活性化することができる。
【0018】
いくつかの実施形態において、本発明は、アセトアミノフェン部分及び肝保護剤部分を含む化合物を含み、該化合物は、同じ条件下で投与したアセトアミノフェンのモル当量と比較して、個体におけるN−アセチル−p−ベンゾキノンイミン(NAPQI)を十分に不活性化することができる。
【0019】
いくつかの実施形態において、本発明は、アセトアミノフェン部分及び肝保護剤部分を含む化合物を含み、該化合物は、同じ条件下で投与したアセトアミノフェンのモル当量と比較して、個体における肝損傷を十分に低減することができる。
【0020】
いくつかの実施形態において、本発明は、アセトアミノフェン部分及び肝保護剤部分を含む化合物を含み、該化合物は、同じ条件下で投与したアセトアミノフェンのモル当量と比較して、個体における腎臓の損傷(例えば、腎毒性)を十分に低減することができる。
【0021】
いくつかの実施形態において、本発明は、アセトアミノフェン部分及び肝保護剤部分を含む化合物を含み、該肝保護剤部分は、グルタチオン合成を刺激することができる。
【0022】
他の態様において、本発明は、式(I)
【0023】
【化1】

の化合物[式中、Rは、肝保護剤部分である]又は薬学的に許容されるその塩又は前記のものの溶媒和物を提供する。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物は、4−アセトアミドフェニル2−アセトアミド−4−(メチルチオ)ブタノエート;4−アセトアミドフェニル2−アセトアミド−3−メルカプトプロパノエート;又は4−アセトアミドフェニル2−アミノ−3−メルカプトプロパノエート以外である。
【0024】
他の態様において、本発明は、式(II)
【0025】
【化2】

の化合物[式中、Aは、結合、又は置換又は非置換アミノ酸部分であり、Bは、−H、アセチル又は置換又は非置換アミノ酸部分であり、Rは、−H、−CH、アルキレンホスフェート部分、置換又は非置換アミノ酸部分又は置換又は非置換ヌクレオシド部分であるか、或いは、Bは、Rと一緒になって置換又は非置換ヘテロシクロアルキルを形成しており、xは、1又は2であり、mは、0又は1である]又は薬学的に許容されるその塩又は前記のものの溶媒和物を提供する。いくつかの実施形態において、Aが結合であり、Rがメチル又は−Hである場合、Bは置換又は非置換アミノ酸部分であり、又は薬学的に許容されるその塩又は前記のものの溶媒和物である。
【0026】
いくつかの実施形態において、式(II)の化合物は4−アセトアミドフェニル2−アミノ−4−(メチルチオ)ブタノエート;2−アセトアミド−3−((2−アセトアミド−3−(4−アセトアミドフェノキシ)−3−オキソプロピル)ジスルファニル)プロパン酸;3−((2−アセトアミド−3−(4−アセトアミドフェノキシ)−3−オキソプロピル)ジスルファニル)−2−アミノプロパン酸;2−アセトアミド−3−((3−(4−アセトアミドフェノキシ)−2−アミノ−3−オキソプロピル)ジスルファニル)プロパン酸;3−((3−(4−アセトアミドフェノキシ)−2−アミノ−3−オキソプロピル)ジスルファニル)−2−アミノプロパン酸;5−(1−(2−(4−アセトアミドフェノキシ)−2−オキソエチルアミノ)−3−メルカプト−1−オキソプロパン−2−イルアミノ)−2−アミノ−5−オキソペンタン酸;4−アセトアミドフェニル2−オキソチアゾリジン−4−カルボキシレート;4−アセトアミドフェニル2−アセトアミド−3−(ホスホノオキシメチルチオ)プロパノエート;(4−(4−アセトアミドフェノキシ)−3−アミノ−4−オキソブチル)((5−(6−アミノ−9H−プリン−9−イル)−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メチル)(メチル)スルホニウム;4−アセトアミドフェニル2−アセトアミド−4−(メチルチオ)ブタノエート;4−アセトアミドフェニル2−アセトアミド−3−メルカプトプロパノエート;4−アセトアミドフェニル2−アセトアミド−3−(メチルチオ)プロパノエート;又は薬学的に許容されるその塩又は前記のものの溶媒和物である。
【0027】
他の態様において、本発明は、式(III)の化合物
【0028】
【化3】

[式中、A及びDは、それぞれ独立に結合、又は置換又は非置換アミノ酸部分であり、B及びCは、それぞれ独立に−H、アセチル又は置換又は非置換アミノ酸部分であり、x及びyは、それぞれ独立に1又は2である]又は薬学的に許容されるその塩又は前記のものの溶媒和物を提供する。式(III)の化合物のいくつかの実施形態において、A及びDがそれぞれ結合であり、x及びyがそれぞれ1であり、Bがアセチルである場合、Cは−H又は置換又は非置換アミノ酸部分である。
【0029】
いくつかの実施形態において、式(III)の化合物は、ビス(4−アセトアミドフェニル)3,3’−ジスルファンジイルビス(2−アミノプロパノエート);4−アセトアミドフェニル2−アセトアミド−3−((3−(4−アセトアミドフェノキシ)−2−アミノ−3−オキソプロピル)ジスルファニル)プロパノエート;5,5’−(3,3’−ジスルファンジイルビス(1−(2−(4−アセトアミドフェノキシ)−2−オキソエチルアミノ)−1−オキソプロパン−3,2−ジイル))ビス(アザンジイル)ビス(2−アミノ−5−オキソペンタン酸);又は薬学的に許容されるその塩又は前記のものの溶媒和物である。いくつかの実施形態において、式(III)の化合物は、ビス(4−アセトアミドフェニル)3,3’−ジスルファンジイルビス(2−アセトアミドプロパノエート)以外である。
【0030】
いくつかの実施形態において、本発明は、式I、II若しくはIIIのいずれか1つの化合物、又は薬学的に許容されるその塩又は前記のものの溶媒和物、及び担体を含む製剤を含む。いくつかの実施形態において、該製剤は、有効量の式I、II若しくはIIIのいずれか1つの化合物、又は薬学的に許容されるその塩又は前記のものの溶媒和物、及び担体を含む。いくつかの実施形態において、該担体は、薬学的に許容される担体である。いくつかの実施形態において、本発明は、実質的に純粋な形態の式I、II若しくはIIIのいずれか1つの化合物、又は薬学的に許容されるその塩又は前記のものの溶媒和物を含む。
【0031】
いくつかの実施形態において、本発明は、式I、II若しくはIIIのいずれか1つの化合物、又は薬学的に許容されるその塩又は前記のものの溶媒和物、並びにオピオイド、非ステロイド抗炎症薬(NSAID)、ベンゾジアゼピン及び/又はバルビツレートを含む製剤を含む。いくつかの実施形態において、本発明は、式I、II若しくはIIIのいずれか1つの化合物、又は薬学的に許容されるその塩又は前記のものの溶媒和物、並びにコデイン、モルヒネ、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、レボルファノール、プロポキシフェン、アスピリン、ケトロラク、イブプロフェン、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、エトドラク、ジクロフェナク、ミソプロストール、メロキシカム、ピロキシカム、ナプロキセン、カフェイン、ドキシラミン、パマブロム(pamabrom)、トラマドール、デキストロプロポキシフェン、メチルヘキシタール(methylhexital)、カリソプロドール、ブタルビタール(butalbital)、ジアゼパム、ロラゼパム及び/又はミダゾラムを含む製剤を含む。
【0032】
他の態様において、本発明は、有効量の式I、II若しくはIIIのいずれか1つの化合物又は薬学的に許容されるその塩又は前記のものの溶媒和物を個体に投与することを含む、アセトアミノフェンに対して反応性である疾患又は状態(例えば、疼痛、発熱、炎症、虚血性損傷(心筋及び/又は脳などの)、神経損傷等)を治療する方法を提供する。いくつかの実施形態において、該化合物の投与後のアセトアミノフェンの潜在的肝毒性は、同じ条件下でのアセトアミノフェンの投与と比較して低い。これらの実施形態のいくつかにおいて、肝毒性は、個体の肝臓への損傷及び/又は腎臓への損傷を含む。いくつかの実施形態において、該化合物の投与後の個体における不活性化N−アセチル−p−ベンゾキノンイミン(NAPQI)の量は、同じ条件下でのアセトアミノフェンの投与と比較して増加している。いくつかの実施形態において、該化合物の肝保護剤部分は、グルタチオン合成を刺激する。
【0033】
該方法のいくつかの実施形態において、式I、II若しくはIIIのいずれか1つの化合物を経口投与する。いくつかの実施形態において、該化合物を非経口的に(例えば、静脈内又は筋肉内に)投与する。いくつかの実施形態において、該化合物を約300mg〜約3.6g、又は約750mg〜約3.6gの用量で投与する。いくつかの実施形態において、該化合物を約1μmol〜約10mmolの用量で投与する。いくつかの実施形態において、該化合物を約10μmol/kg〜約100μmol/kgの用量で投与する。
【0034】
他の態様において、本発明は、有効量の式I、II若しくはIIIのいずれか1つの化合物を個体に投与することを含み、該化合物がアセトアミノフェンと比較してアセトアミノフェン作用のより遅い発現をもたらす、個体におけるアセトアミノフェン作用の発現を遅延させる方法を提供する。他の態様において、本発明は、有効量の式I、II若しくはIIIのいずれか1つの化合物を個体に投与することを含み、該化合物が該化合物の肝保護剤と比較して肝保護剤作用のより遅い発現をもたらす、個体における肝保護剤作用の発現を遅延させる方法を提供する。
【0035】
他の態様において、本発明は、有効量の式I、II若しくはIIIのいずれか1つの化合物を個体に投与することを含み、該化合物がアセトアミノフェンと比較してアセトアミノフェン活性の持続をもたらす、個体におけるアセトアミノフェン活性を持続させる方法を提供する。他の態様において、本発明は、有効量の式I、II若しくはIIIのいずれか1つの化合物を個体に投与することを含み、該化合物が該化合物の肝保護剤と比較して肝保護剤活性の持続をもたらす、個体における肝保護剤活性を持続させる方法を提供する。
【0036】
他の態様において、製剤が式I、II若しくはIIIのいずれか1つの化合物を含み、該化合物がアセトアミノフェンの溶解度と比較して高い溶解度(例えば、水溶解度)を示す、低容積/高濃度製剤を投与する方法を提供する。式I、II若しくはIIIのいずれか1つの化合物及び薬学的に許容される担体を含む製剤などの、低容積/高濃度製剤も本明細書に提供される。「低容積/高濃度」製剤は、所与の容積の担体が入手できる又はアセトアミノフェンを用いて得ることができるよりも高いモル濃度のプロドラッグを含む、担体及びプロドラッグを含む製剤を意図する。式(II−A)の化合物を例として考えると、低容積/高濃度のそのようなプロドラッグは、担体及びプロドラッグを含み、入手できる又はアセトアミノフェンを用いて得ることができるよりも高い、所与の容積の担体中モル濃度のプロドラッグを含む製剤を意図する。本明細書で詳述するプロドラッグ(例えば、式I、II若しくはIIIのいずれか1つの化合物又は薬学的に許容されるその塩又は前記のものの溶媒和物のプロドラッグ)の低容積/高濃度製剤を個体に投与することを含む、低容積/高濃度のアセトアミノフェンを提供する方法も提供する。一態様において、該方法は、個体に投与するときにアセトアミノフェン及び肝保護剤の速やかな放出(例えば、酵素開裂又は加水分解による)をもたらすプロドラッグを投与することを必要とする。また、本明細書で詳述するプロドラッグを投与することにより、現在利用可能な用量を超える量でアセトアミノフェンの単回投与を提供する方法を提供する。
【0037】
他の態様において、アセトアミノフェンに対して反応性の状態の治療用の薬剤の製造のための式I、II若しくはIIIのいずれか1つの化合物又は薬学的に許容されるその塩又は前記のものの溶媒和物の使用を提供する。他の態様において、アセトアミノフェンに対して反応性の状態の治療のための式I、II若しくはIIIのいずれか1つの化合物又は薬学的に許容されるその塩又は前記のものの溶媒和物の使用を提供する。いくつかの変形形態において、状態は、疼痛、発熱、炎症、虚血性損傷又は神経損傷である。
【0038】
他の態様において、本発明は、式I、II若しくはIIIのいずれか1つの化合物又は薬学的に許容されるその塩又は前記のものの溶媒和物、及び使用説明書を含むキットを提供する。いくつかの実施形態において、該説明書は、アセトアミノフェンに対して反応性である疾患又は状態(例えば、疼痛、発熱、炎症、虚血性損傷(心筋及び/又は脳など)又は神経損傷)の治療又は予防のための式I、II若しくはIIIのいずれか1つの化合物の使用に関する。
【0039】
他の態様において、本発明は、式I、II若しくはIIIのいずれか1つの化合物の製剤及び使用説明書を含むキットを提供する。いくつかの実施形態において、該説明書は、アセトアミノフェンに対して反応性である疾患又は状態(例えば、疼痛、発熱、炎症、虚血性損傷(心筋及び/又は脳など)又は神経損傷)の治療又は予防のための式I、II若しくはIIIのいずれか1つの化合物の使用に関する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】図1は、ヒト血漿中での15μg/mLの化合物(II−A)からのアセトアミノフェンの生成を示す図である。
【図2】図2は、ヒト血漿中での0.3μg/mLの化合物(II−A)からのアセトアミノフェンの生成を示す図である。
【図3】図3は、親薬物アセトアミノフェンと比較した化合物(II−A)からのアセトアミノフェンの時間依存性血漿濃度を示す図である。
【図4】図4は、マウスに経口投与した場合の化合物(II−A)による急性肝毒性の相対的低減を示す図である。
【図5】図5は、マウスに化合物(II−A)及びアセトアミノフェンを経口投与した後のアセトアミノフェンの薬物動態学的プロファイルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本発明は、アセトアミノフェン毒性に対して肝保護剤として作用する可能性がある第2の部分に共有結合したアセトアミノフェン部分を有する肝保護剤アセトアミノフェンミューチュアルプロドラッグ(mutual prodrug)を提供する。これらの化合物は、2つの化合物を投与及び代謝後に放出させることができるように共に結合させた2つの生物学的に活性な化合物からなっていてよい(Otagiri M、Imai T、Fukuhara A.、J Control Release、1999年、62巻(1〜2号):223〜9頁)。したがって、これらの化合物は、in vivoでアセトアミノフェン及び肝保護剤を提供することができ、アセトアミノフェンのみの投与と比較して、安全性プロファイル及び/又は水溶解度の改善をもたらす可能性がある。そのような化合物は、アセトアミノフェンに対して反応性である状態(例えば、疼痛、発熱、炎症、虚血性損傷(心筋及び/又は脳など)又は神経損傷)の高用量及び/又は長期間治療に特に有用である可能性がある。
【0042】
したがって、本発明は、一態様においてアセトアミノフェン部分及び肝保護剤部分を含む化合物、又は薬学的に許容されるその塩又は前記のものの溶媒和物を提供する。
【0043】
他の態様において、本発明は、本明細書で述べる肝保護剤アセトアミノフェンミューチュアルプロドラッグを用いてアセトアミノフェンに対して反応性である疾患又は状態(例えば、疼痛、発熱、炎症、虚血性損傷(心筋及び/又は脳など)又は神経損傷等)を治療する方法を提供する。
【0044】
肝保護剤アセトアミノフェンミューチュアルプロドラッグのキット、製剤及び単位剤形も提供する。
【0045】
略語及び定義
本明細書に記載するいくつかの化合物の命名法は、CambridgeSoft(登録商標)から入手可能なChemDraw Ultra Version 10.0を用いて確認することができる。
【0046】
本明細書で用いているように、「アセトアミノフェン部分」という用語は、N−(4−ヒドロキシフェニル)アセトアミドの置換又は非置換基を意味する。アセトアミノフェン部分を含む化合物は、N−(4−プロポキシフェニル)アセトアミド、2−アセトアミド−3−((2−アセトアミド−3−(4−アセトアミドフェノキシ)−3−オキソプロピル)ジスルファニル)プロパン酸、N−(3−エチル−4−イソプロポキシフェニル)アセトアミド、2−フルオロ−N−(4−ヒドロキシフェニル)アセトアミド、(S)−4−アセトアミドフェニル2−アミノ−4−(メチルチオ)ブタノエート、及び6−アセトアミド−3−ヒドロキシ−2−メチルフェニルアセテートを含むが、これらに限定されない。
【0047】
本明細書で用いているように、「肝毒性」は、個体における1つ又は複数の臓器(例えば、肝臓及び/又は腎臓)に対するアセトアミノフェンの1つ又は複数の有害影響を意味する。肝毒性の評価は、当業者に公知のアセトアミノフェンの副作用に関連する徴候及び症状の評価を含むが、これらに限定されない。例えば、実験室検査は、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、血清ビリルビン、国際標準比(INR)、血清クレアチニン、血中尿素窒素、アセトアミノフェン血中レベル及びアセトアミノフェン結合体の血中レベルの決定及び/又は定量を含んでいてよい。場合によって、超音波を用いて、肝腫を評価することができる。肝毒性の影響の非限定的な例としては、急性肝不全、肝腎症候群(hepatorenal renal syndrome)及び/又は心筋損傷などがある。
【0048】
本明細書で用いているように、「肝保護剤」は、肝毒性に関連することが公知である、又は関連すると考えられる1つ又は複数の症状の発現及び/又は重症度を低減することを含み得る、個体における肝毒性を治療するのに有効である化合物を意味する。肝保護剤は、生理的条件下でグルタチオン合成を刺激し、且つ/又はN−アセチル−p−ベンゾキノンイミン(NAPQI)を不活性化することができる、化合物であってよく、或いはこのような化合物をin situで生成することができてもよい。肝保護剤の非限定的な例としては、グルタチオン及びN−アセチルシステインがある。「肝保護剤部分」は、肝保護剤化合物の一つの基である。
【0049】
「プロドラッグ」という用語は、in vivoでの化学的及び/又は生物学的過程により(例えば、加水分解及び/又は酵素変換により)、それが使用される個体への投与後に活性化合物を提供する化合物を意味する。プロドラッグ自体は、活性であってよく、或いは比較的に不活性であり、次により活性な化合物に変換されてもよい。本発明は、本明細書で述べるように、アセトアミノフェン及び肝保護剤のプロドラッグを含む。
【0050】
本明細書で用いているように、「発現を遅延させること」又は「発現の遅延」は、同じ投与経路による同じ期間内のアセトアミノフェン及び/又は肝保護剤のモル当量の投与と比較して、肝保護剤アセトアミノフェンミューチュアルプロドラッグによってもたらされる作用の発現までの時間の延長を意味する。例えば、プロドラッグ4−アセトアミドフェニル2−アミノ−4−(メチルチオ)ブタノエートからのアセトアミノフェン及び/又は肝保護剤の放出の遅延は、個体へのアセトアミノフェン及び/又は肝保護剤のモル当量の投与と比較して、アセトアミノフェン及び/又は肝保護剤への全身曝露の遅延をもたらす可能性がある。
【0051】
本明細書で用いているように、「活性を持続させること」又は「活性の持続」は、プロドラッグからアセトアミノフェン及び/又は肝保護剤を放出させ又は別の方法で発生させるのに要する時間によって肝保護剤アセトアミノフェンミューチュアルプロドラッグによってもたらされる持続的作用を意味する。例えば、プロドラッグ(4−アセトアミドフェニル2−アミノ−4−(メチルチオ)ブタノエートの投与は、同じ投与経路による同じ期間にわたるアセトアミノフェン及び/又は肝保護剤のモル当量の投与と比較して、アセトアミノフェン及び/又は肝保護剤の持続的放出をもたらす可能性がある。「持続的放出」は、個体におけるアセトアミノフェン及び/又は肝保護剤(又はその代謝物)の血中濃度が長い持続時間にわたり治療範囲(例えば、最小有効鎮痛濃度を上回るが、中毒レベルを下回る)又は範囲内に維持されるような速度でのアセトアミノフェン及び/又は肝保護剤の放出を意味する。この状況での長い持続時間は、同じ経路により投与したモル当量の対応するアセトアミノフェン及び/又は肝保護剤が治療範囲内のアセトアミノフェン及び/又は肝保護剤(又はその代謝物)の血中濃度をもたらす時間より長いいかなる時間も意味する。
【0052】
「アルキル」という用語は、単独で又は他の置換基の一部として、特に指定のない限り、指定される場合には、指定された炭素原子の数(すなわち、C〜C10は1〜10個の炭素を意味する)を有する、完全に飽和された直鎖(線状;非分枝)又は分枝鎖又はその組合せを意味する。例は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、例えば、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチルなどの同族体及び異性体などの基を含むが、これらに限定されない。サイズが指定されていない場合には、本明細書で言及するアルキル基は、1〜20個の炭素原子、一般的に1〜10個の炭素原子、又は1〜8個の炭素原子、又は1〜6個の炭素原子、又は1〜4個の炭素原子を含む。「アルキレン」という用語は、単独又は他の用語との組合せで、−CHCHCHCH−によって例示されるが、これに限定されない、アルキルに由来する二価基を表す。いくつかの実施形態において、アルキレン基は、メチレン又はエチレンである。
【0053】
「ヘテロシクロアルキル」という用語は、単独又は他の用語との組合せで、少なくとも1個の炭素原子並びにO、N、P、Si及びSからなる群から選択される少なくとも1個の環ヘテロ原子を含む飽和又は不飽和環状炭化水素基を表し、窒素及び硫黄原子が場合によって酸化されていてよく、窒素ヘテロ原子が場合によって四級化されていてよい。ヘテロ原子O、N、P、S及びSiは、ヘテロシクロアルキル基の任意の内部位置又はヘテロシクロアルキル基が分子の残りに結合している位置に配置されていてよい。ヘテロシクロアルキルの例は、チアゾリジノニル、1−(1,2,5,6−テトラヒドロピリジル)、1−ピペリジニル、2−ピペリジニル、3−ピペリジニル、4−モルホリニル、3−モルホリニル、テトラヒドロフラン−2−イル、テトラヒドロフラン−3−イル、テトラヒドロチエン−2−イル、テトラヒドロチエン−3−イル、1−ピペラジニル、2−ピペラジニルなどを含むが、これらに限定されない。
【0054】
「アミノ酸」という用語は、本明細書で用いているように、天然に存在するアミノ酸、並びに合成類似体(例えば、D−メチオニンなどの天然に存在するアミノ酸のD−立体異性体)及びその誘導体のいずれかを意味する。アミノ酸は、アミノ基、カルボキシル基、水素原子及び「側鎖」と呼ばれる特有の基が結合している炭素原子を含む。天然に存在するアミノ酸の側鎖は、当技術分野で周知であり、例えば、水素(例えば、グリシンにあるような)、アルキル(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリンにあるような)、置換アルキル(例えば、スレオニン、セリン、メチオニン、システイン、アスパラギン酸、アスパラギン、グルタミン酸、グルタミン、アルギニン及びリシンにあるような)、アリールアルキル(例えば、フェニルアラニン及びトリプトファンにあるような)、置換アリールアルキル(例えば、チロシンにあるような)並びにヘテロアリールアルキル(例えば、ヒスチジンにあるような)を含む。非天然アミノ酸も、例えば、Williams(編)、Synthesis of Optically Active a−Amino Acids、Pergamon Press(1989年);Evansら、J. Amer. Chem. Soc.、112巻:4011〜4030頁(1990年);Puら、J. Amer. Chem. Soc.、56巻:1280〜1283頁(1991年);Williamsら、J. Amer. Chem. Soc.、113巻:9276〜9286頁(1991年);及びそれらにおいて引用されている全ての参考文献に示されているように、当技術分野で公知である。本発明は、非天然アミノ酸の側鎖も含む。
【0055】
「ヌクレオシド」という用語は、本明細書で用いているように、リボース、デオキシリボース、ジデオキシリボース又は類似の部分に結合したプリン若しくはピリミジン塩基又はその誘導体を含む化合物を意味する。ヌクレオシドは、天然に存在するヌクレオシド(例えば、アデノシン、シチジン、ウリジン、グアノシン、チミジンなど)のいずれか、並びに合成類似体を含む。本発明は、D及びL鏡像異性体の両方を含む。
【0056】
「保護基」は、次の特性を示す化学基を意味する。1)保護が望まれる計画された反応に対して安定である;2)所望の機能を発生させるために保護された基質から除去できる;及び3)存在する、又はそのような計画された反応で生成する他の官能基(単数又は複数)と適合性のある試薬により除去できる。本明細書で述べる方法に用いるための適切な保護基の選択は、当技術分野の通常の能力水準の範囲内である。適切な保護基の例は、Greeneら(2006年)PROTECTIVE GROUPS IN ORGANIC SYNTHESIS、第4版(John Wiley & Sons, Inc.、New York)に見出すことができる。「ヒドロキシ保護基」は、本明細書で用いているように、保護を用いる反応の後に化合物の残りの部分を乱すことなく除去することができる、「保護されたヒドロキシル」を生成するために遊離ヒドロキシ基を保護することができる基を意味する。具体例としてのヒドロキシ保護基は、エーテル(例えば、アリル、トリフェニルメチル(トリチル又はTr)、ベンジル、p−メトキシベンジル(PMB)、p−メトキシフェニル(PMP))、アセタール(例えば、メトキシメチル(MOM)、3−メトキシエトキシメチル(MEM)、テトラヒドロピラニル(THP)、エトキシエチル(EE)、メチルチオメチル(MTM)、2−メトキシ−2−プロピル(MOP)、2−トリメチルシリルエトキシメチル(SEM))、エステル(例えば、ベンゾエート(Bz)、アリルカーボネート、2,2,2−トリクロロエチルカーボネート(Troc)、2−トリメチルシリルエチルカーボネート)、シリルエーテル(例えば、トリメチルシリル(TMS)、トリエチルシリル(TES)、トリイソプロピルシリル(TIPS)、トリフェニルシリル(TPS)、tert−ブチルジメチルシリル(TBDMS)、tert−ブチルジフェニルシリル(TBDPS)などを含むが、これらに限定されない。
【0057】
本明細書で用いているように、「治療」、「治療すること」又は「治療する」は、臨床結果を含む、有益な又は所望の結果を得るためのアプローチである。本発明の目的のために、有益な又は所望の結果は、次のものの1つ又は複数を含むが、それらに限定されない:肝毒性及び/又はアセトアミノフェンに対して反応性である疾患若しくは状態の1つ若しくは複数の症状を低減すること、肝毒性及び/又はアセトアミノフェンに対して反応性である疾患若しくは状態の程度を軽減すること、肝毒性及び/又はアセトアミノフェンに対して反応性である疾患若しくは状態を安定化すること(例えば、肝毒性及び/又は疾患若しくは状態の悪化を予防又は遅延させること)、肝毒性及び/又はアセトアミノフェンに対して反応性である疾患若しくは状態の進行を遅延させること又は遅くすること、肝毒性及び/又はアセトアミノフェンに対して反応性である疾患若しくは状態を改善すること、肝毒性及び/又はアセトアミノフェンに対して反応性である疾患若しくは状態を治療するのに必要な1つ又は複数の他の薬剤の用量を減少させること、並びに肝毒性及び/又はアセトアミノフェンに対して反応性である疾患若しくは状態を有している又は有すると疑われる個体の生活の質を向上させることを含むが、これらに限定されない。疾患若しくは状態は、アセトアミノフェンに対して反応性である又は反応性であると考えられるものである(例えば、発熱及び/又は疼痛を伴う疾患若しくは状態)。疾患若しくは状態は、炎症を伴っていてもよい。疾患若しくは状態は、虚血性損傷であってよい。疾患若しくは状態は、神経損傷であってよい。一変形形態において、状態は、手術後疼痛及び/又は発熱である。いくつかの実施形態において、肝保護剤アセトアミノフェンミューチュアルプロドラッグ及び/又は該プロドラッグを含む製剤は、肝毒性及び/又はアセトアミノフェンに対して反応性である疾患若しくは状態に関連する1つ又は複数の症状の重症度を、治療前の同じ対象における対応する症状と比較して、或いは肝保護剤アセトアミノフェンミューチュアルプロドラッグ及び/又は製剤の投与を受けない他の対象における対応する症状と比較して少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又は100%のいずれかまで低下させる。「アセトアミノフェンに対して反応性」は、本明細書で用いているように、アセトアミノフェンにより治療することができる、疾患若しくは状態及び/又は疾患若しくは状態の症状を意味する。肝毒性の一般的に評価される徴候としては、例えば、当業者により肝機能検査(LFTs)において決定される肝酵素アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)及びガンマグルタミルトランスフェラーゼ(GGT)の血中レベルの上昇などがある。他の徴候としては、肝壊死、肝臓炎症(肝炎)並びに肝脂肪症及び肝腫などがある。肝毒性の具体例としての症状としては、食欲不振、下痢、嗜眠、黄疸、腹痛、悪心及び嘔吐などがある。
【0058】
本明細書で用いているように、「遅延させること」は、肝毒性及び/又はアセトアミノフェンに対して反応性である疾患若しくは状態の発現、及び/又はその1つ若しくは複数の症状を遅らせ、妨げ、遅くし、阻止し、安定化し、且つ/又は延期することを意味する。この遅延は、治療する疾患及び/又は個体の病歴によって、変動する時間であり得る。当業者には明らかなように、十分な又は著しい遅延は、個体が肝毒性及び/又はアセトアミノフェンに対して反応性である疾患若しくは状態を発現しないという点で、実質的に予防を含む。肝毒性及び/又はアセトアミノフェンに対して反応性である疾患若しくは状態の発現を「遅延させる」方法は、方法を用いないことと比較したとき、所与の時間枠におけるアセトアミノフェンによる肝毒性の発現及び/又はアセトアミノフェンに対して反応性である疾患若しくは状態の発現の確率を低下させ、且つ/又は所与の時間枠における肝毒性及び/又はアセトアミノフェンに対して反応性である疾患若しくは状態の程度を低減させる方法である。そのような比較は一般的に、統計的に有意な数の対象を用いた臨床試験に基づくものである。
【0059】
本明細書で用いているように、「リスクがある」個体は、肝毒性及び/又はアセトアミノフェンに対して反応性である疾患若しくは状態(例えば、疼痛、発熱、炎症、虚血性損傷(心筋及び/又は脳など)又は神経損傷)を発現するリスクがある個体である。「リスクがある」個体は、本明細書に記載された治療方法以前に、検出可能な肝毒性及び/又はアセトアミノフェンに対して反応性である検出可能な疾患若しくは状態を有していてもよく又は有していなくてもよく、また、検出可能な肝毒性及び/又はアセトアミノフェンに対して反応性である検出可能な疾患若しくは状態に関連する症状を示してもよく又は示さなくてもよい。「リスクがある」は、個体が、肝毒性及び/又はアセトアミノフェンに対して反応性である疾患若しくは状態の発現と相関する測定可能なパラメータである1つ又は複数のいわゆるリスク因子を有することを意味する。これらのリスク因子の1つ又は複数を有する個体は、これらのリスク因子(単数又は複数)のない個体より肝毒性及び/又はアセトアミノフェンに対して反応性である疾患若しくは状態を発現する高い確率を有する。
【0060】
本明細書で用いているように、「薬学的に許容される」は、生物学的に又は他の点で望ましくないことはない物質を意味し、例えば、該物質は、顕著な望ましくない生物学的影響を何らもたらすことなく、或いはそれが含まれる組成物の他の成分のいずれかと有害な仕方で相互作用することなく、個体に投与される医薬組成物に混入させることができる(例えば、製造又は投与時に)。本明細書で用いているように、「薬学的に許容される担体」という用語は、例えば、個体(例えば、ヒト)への投与に適する当業者に公知の溶媒、安定化剤、pH調整剤、張度調整剤(tonicity modifier)、アジュバント、結合剤、希釈剤などを意味する。2つ以上の担体の組合せも本発明において考慮される。本明細書で述べるような、薬学的に許容される担体(単数又は複数)及び任意の追加の成分は、特定の剤形の意図する投与経路(例えば、経口、非経口)での使用に適合性があるべきである。そのような適合性は、特に本明細書に示す教示を考慮して、当業者により容易に認識されるであろう。薬学的に許容される担体又は賦形剤は、毒物学的及び製造試験の要求される基準を満たし、且つ/又は米国食品医薬品局により作成された不活性成分に関する指針(Inactive Ingredient Guide)に含まれていることが好ましい。
【0061】
「有効量」という用語は、本明細書で用いているように、疾患若しくは状態を有する、又は有する疑いがある(例えば、症状及び/又は個体の知覚/感覚に基づき)、或いはその症状の1つ又は複数を示す個体における所望の薬理学的及び/又は生理学的効果をもたらす量を意味する。有効量は、疾患若しくは状態若しくはその症状の発生若しくは再発を完全若しくは部分的に予防することができ、且つ/又は疾患若しくは状態及び/又は疾患若しくは状態(例えば、疼痛)に起因する有害影響の完全若しくは部分的治癒の点で治療的であり得る。本明細書で述べる疾患若しくは状態(例えば、疼痛)に関して、有効量は、とりわけ、アセトアミノフェンに対して反応性である疾患若しくは状態(例えば、疼痛、発熱、炎症、虚血性損傷(心筋及び/又は脳など)又は神経損傷)に関連する症状の1つ又は複数をある程度まで低減し、且つ/又は軽減するのに十分な量を含み得る。特定の実施形態において、個体に予防的に投与するなどの場合、有効量は状態を予防するのに十分である。有効量は、治療する根底にある状態の根絶若しくは改善、及び/又は個体が依然として根底にある疾患若しくは状態に罹患していることがあるにもかかわらず、個体が感覚若しくは状態の改善(例えば、疼痛強度及び/又は持続時間の低減)を報告するように根底にある状態に関連する症状の1つ又は複数の根絶若しくは改善を含む。有効量はまた、疾患若しくは状態の改善が実現されるかどうかにかかわりなく、疾患若しくは状態の進行を停止又は遅くすることを含む。
【0062】
「有効量」は、投与する組成物、治療/予防する状態(例えば、疼痛の種類)、治療若しくは予防する状態の重症度、個体の年齢、身体の大きさ、体重及び相対的健康、投与の経路及び形態、担当医師若しくは獣医師の決定(該当する場合)並びに本明細書に記載されている教示を考慮して、当業者により十分に理解される他の要因によって異なる可能性がある。有効量は、例えば、1つ又は複数の臨床的、生理学的、生化学的、組織学的、電気生理学的及び/又は行動評価からのデータを用いることによって評価することができる。
【0063】
当技術分野で理解されているように、「有効量」は、1回又は複数回の用量においてであってよい。すなわち、所望の治療エンドポイントを達成するために単回用量又は複数用量が必要である可能性がある。有効量は、1つ又は複数の追加の医薬品を投与する状況で考慮することができ、1つ又は複数の追加の医薬品と併用して、1つ又は複数の望ましい又は有益な結果が達成される可能性がある又は達成される場合に、肝保護剤アセトアミノフェンミューチュアルプロドラッグを有効量で投与することを考慮することができる。
【0064】
本明細書で述べる治療及び/又は予防の方法並びにその肝保護剤アセトアミノフェンミューチュアルプロドラッグの使用について用いる場合、「それを必要とする」個体は、治療すべき疾患若しくは状態と診断され、それについて以前に治療を受け、且つ/又はそれを有することが疑われた個体であってよい。予防に関しては、それを必要とする個体は、疾患若しくは状態のリスク(例えば、状態の家族歴、状態のリスクを示唆する生活要因など)がある個体であってもよい。アセトアミノフェン誘発性肝毒性の特により高いリスクがある個体は、例えば、不十分なグルタチオン貯蔵を有する個体(例えば、アルコール依存症、AIDS、神経性食欲不振及び栄養不良を有する患者)並びにP450酸化酵素系(特に、アセトアミノフェンの代謝に関与する同位酵素、すなわち、cyp2E1、cyp1A2及びcyp3A4)の活性が高いため、比較的により高いレベルのNAPQIを産生する個体などである。これらの前述の酵素は、イソニアジド、アスピリン、クロルゾキサゾン、クロフィブレート、シプロフィブレート、オメプラゾール、タバコ、モダフィニル(modafinil)、ナフシリン、フェニトイン、カルバマゼピン、フェノバルビタール、リファンピン、エリスロマイシン、ロバスタチン及び/又はプレドニゾンなどの薬物を服用している患者において誘導される可能性がある。
【0065】
いくつかの変形形態において、該個体は、本明細書で述べた1つ又は複数の疾患若しくは状態及び/又はその症状を有すると識別されている。熟練した医師による該疾患若しくは状態及び/又はその症状の識別は、当技術分野において日常的業務(例えば、アレルギー、感冒、咳、かぜ、疼痛などの検出)であり、例えば、疼痛、発熱などのため、個人又は他者によっても疑われる可能性がある。
【0066】
いくつかの実施形態において、該個体は、本明細書で述べたような疾患若しくは状態の1つ又は複数にかかりやすいと識別された。個体の感受性は、遺伝子プロファイリング、家族歴、病歴(例えば、関連状態の出現)、生活様式又は習慣を含むが、これらに限定されない、当業者により認識されている多くのリスク因子及び/又は診断アプローチのいずれか1つ又は複数に基づくものであってよい。
【0067】
いくつかの実施形態において、個体は、ウシ、ウマ、ネコ、ウサギ、イヌ、げっ歯類又は霊長類を含むが、これらに限定されない、哺乳動物である。いくつかの実施形態において、哺乳動物は霊長類である。いくつかの実施形態において、霊長類はヒトである。いくつかの実施形態において、個体は、成人、小児、乳児及び未熟児を含むヒトである。いくつかの実施形態において、個体は非哺乳動物である。いくつかの変形形態において、霊長類はチンパンジー及び他の類人猿並びにサル種などのヒト以外の霊長類である。いくつかの実施形態において、哺乳動物は、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ及びブタなどの家畜;ウサギ、イヌ及びネコなどのペット;ラット、マウス及びモルモットなどのげっ歯類を含む実験動物などである。いくつかの実施形態において、個体は、鳥などを含むが、これらに限定されない非哺乳動物である。「個体」という用語は、特定の年齢又は性別を意味しない。
【0068】
本明細書で用いているように、「併用療法」は、肝保護剤アセトアミノフェンミューチュアルプロドラッグを含む第1の療法と疾患若しくは状態を治療、安定化、予防及び/又は遅延させるのに有用な第2の療法(例えば、手術及び/又は追加の医薬品)との併用を意味する。他の化合物「との併用」投与は、同じ又は異なる経路による、逐次的、同時又は連続的な、同じ又は異なる組成物での投与を含む。一変形形態において、併用療法は、肝保護剤アセトアミノフェンミューチュアルプロドラッグ及びアセトアミノフェンを含んでいてよい。他の一変形形態において、併用療法は、肝保護剤アセトアミノフェンミューチュアルプロドラッグ及び肝保護剤を含んでいてよい。いくつかの実施形態において、併用療法は、1つ又は複数の薬学的に許容される担体若しくは賦形剤、薬学的に活性ではない化合物及び/又は不活性物質を場合によって含む。
【0069】
本明細書で用いているように、「追加の医薬品」という用語は、肝保護剤アセトアミノフェンミューチュアルプロドラッグ以外の活性薬、例えば、治療効果を発現させるために投与される薬物をいう。追加の医薬品(単数又は複数)は、肝保護剤アセトアミノフェンミューチュアルプロドラッグが治療若しくは予防することを意図されている疾患若しくは状態(例えば、疼痛)に関連した治療効果を目的とするものであってよく、且つ/又は医薬品は、根底にある状態の症状を治療若しくは予防すること、又は肝保護剤アセトアミノフェンミューチュアルプロドラッグの投与の副作用の出現若しくは重症度を低減することを意図されていてよい。
【0070】
本明細書で用いているように、「追加の医薬品」という用語は、治療効果を発現させるために投与される肝保護剤アセトアミノフェンミューチュアルプロドラッグ以外の活性薬(例えば、他の薬物、アセトアミノフェン自体及び/又は肝保護剤自体)をいう。追加の医薬品(単数又は複数)は、(1)肝保護剤アセトアミノフェンミューチュアルプロドラッグが治療若しくは予防することを意図されている疾患若しくは状態(例えば、疼痛)に関連した治療効果、(2)根底にある状態の症状を治療若しくは予防すること、(3)肝保護剤アセトアミノフェンミューチュアルプロドラッグの投与の副作用の出現若しくは重症度を低減すること、及び/又は(4)肝保護剤アセトアミノフェンミューチュアルプロドラッグに対して反応性ではない、又は該プロドラッグに対する反応性が比較的より低い疾患若しくは状態(例えば、不眠、不安、うつ、炎症、悪心及び/又は嘔吐)に関連した治療効果を目的とするものであってよい。
【0071】
本明細書における値又はパラメータの「約」への言及は、当値又はパラメータそれ自体を対象とする変形形態を含む(且つ記載する)。例えば、「約X」に言及する記載は、「X」の記載を含む。
【0072】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で用いているように、単数形「a」、「or」及び「the」は、文脈上他の状態に明確に示されていない限り、複数の言及を含む。本明細書で述べる本発明の態様及び変形形態は、態様及び変形形態「からなる」及び/又は「本質的にからなる」ことが理解される。
【0073】
他の状態に定義又は文脈上明確に示されていない限り、本明細書で用いている全ての技術及び科学用語並びに略語は、本発明が属する分野の技術者により一般的に理解されているのと同じ意味を有する。
【0074】
肝保護剤アセトアミノフェンミューチュアルプロドラッグ
本発明は、アセトアミノフェンに対して反応性である疾患又は状態の治療に有用であり得る肝保護剤アセトアミノフェンミューチュアルプロドラッグを含む。該プロドラッグは、アセトアミノフェンに起因する肝毒性作用(例えば、肝臓、腎臓及び/又は心臓などの臓器におけるアセトアミノフェン誘発性毒性)を低減することができる肝保護剤部分を含む。
【0075】
いくつかの実施形態において、肝保護剤アセトアミノフェンミューチュアルプロドラッグは、アセトアミノフェン部分及び肝保護剤部分を含む。アセトアミノフェン部分は、結合体化に適するあらゆる位置で肝保護剤部分に共有結合していてよい。該プロドラッグは、単一肝保護剤部分に結合体化した単一アセトアミノフェン部分、複数の肝保護剤部分に結合体化した単一アセトアミノフェン部分、単一肝保護剤部分に結合体化した複数のアセトアミノフェン部分、又は複数の肝保護剤部分に結合体化した複数のアセトアミノフェン部分を含んでいてよい。いくつかの実施形態において、アセトアミノフェン部分及び肝保護剤部分は、1:1の比率で結合体化している。いくつかの実施形態において、結合体化したアセトアミノフェン部分 対 肝保護剤部分の比率は、1:1より大きい。いくつかの実施形態において、結合体化した肝保護剤部分 対 アセトアミノフェン部分の比率は、1:1より大きい。
【0076】
いくつかの実施形態において、肝保護剤アセトアミノフェンミューチュアルプロドラッグは、式(I):
【0077】
【化4】

であり、式中、Rは肝保護剤部分である。いくつかの実施形態において、肝保護剤アセトアミノフェンミューチュアルプロドラッグは、4−アセトアミドフェニル2−アセトアミド−4−(メチルチオ)ブタノエート;4−アセトアミドフェニル2−アセトアミド−3−メルカプトプロパノエート;および4−アセトアミドフェニル2−アミノ−3−メルカプトプロパノエートのうちのいずれか1つ、2つ又は全て以外である。
【0078】
いくつかの実施形態において、個体への肝保護剤アセトアミノフェンミューチュアルプロドラッグの投与後、アセトアミノフェン部分が肝保護剤部分から分離されて、アセトアミノフェン及び肝保護剤化合物が得られる。
【0079】
肝保護剤化合物の例は、アミノ酸システイン又はメチオニンの部分を含む化合物(例えば、システイン及び/又はメチオニン基を有する化合物)などのチオール基又はチオエーテル基を含む化合物、或いはその適切な誘導体を含むが、これらに限定されない。そのような化合物の例としては、システイン及び少なくとも1つのシステインを含むペプチド、例えば、GlyCysなどのジペプチド又はグルタチオンなどのトリペプチドなどを含む。いくつかの実施形態において、適切な肝保護剤化合物は、システインの誘導体(例えば、S−アセチルシステイン、N−アセチルシステイン、プロシステイン又はシステインの他の適切なチオール由来プロドラッグ)、或いはシステインの誘導体を含むペプチドを含む。いくつかの実施形態において、適切な肝保護剤化合物は、メチオニンの誘導体(例えば、ホモシステイン、シスタチオニン又はメチオニンの他の適切なプロドラッグ)、或いはメチオニンの誘導体を含むペプチドを含む。システイン及びメチオニンの適切な誘導体は、それぞれシステイニル又はメチオニル部分、或いはそれぞれN−置換システイニル又はN−置換メチオニル部分を含む、又はin situで形成することができるものを含む。
【0080】
いくつかの実施形態において、肝保護剤アセトアミノフェンミューチュアルプロドラッグにおける各アミノ酸(存在する場合)は、L形である。いくつかの実施形態において、各アミノ酸(存在する場合)は、D形である。いくつかの実施形態において、アミノ酸は、D又はL形であるが、ラセミ形ではない。いくつかの実施形態において、アミノ酸は、ラセミ形である。
【0081】
本発明のいくつかの実施形態において、肝保護剤アセトアミノフェンミューチュアルプロドラッグは、式(II):
【0082】
【化5】

であるか、又は薬学的に許容されるその塩又は前記のものの溶媒和物であり、式中、Aは、結合、又は置換又は非置換アミノ酸部分であり、Bは、−H、アセチル又は置換又は非置換アミノ酸部分であり、Rは、−H、−CH、アルキレンホスフェート部分、置換又は非置換アミノ酸部分又は置換又は非置換ヌクレオシド部分であるか、或いは、Bは、Rと一緒になって置換又は非置換ヘテロシクロアルキルを形成しており、xは、1又は2であり、mは、0又は1である(mが1である場合、硫黄原子はスルホニウムイオンの形である)。これらの実施形態のいくつかにおいて、各アミノ酸部分は、D形である。いくつかの実施形態において、各アミノ酸は、L形である。
【0083】
いくつかの実施形態において、置換又は非置換アミノ酸部分は、
【0084】
【化6】

から選択される。これらの実施形態のいくつかにおいて、アミノ酸部分は、D形である。いくつかの実施形態において、各アミノ酸は、L形である。
【0085】
式(II)の化合物のいくつかの実施形態において、Aが結合であり、xが1であり、Rが−Hである場合、Bは−H又は置換又は非置換アミノ酸部分である。いくつかの実施形態において、Aが結合でありxが1であり、Rが−Hである場合、Bは置換又は非置換アミノ酸部分である。いくつかの実施形態において、Aが結合であり、xが2であり、Rがメチルである場合、Bは−H又は置換又は非置換アミノ酸部分である。いくつかの実施形態において、Aが結合であり、xが2であり、Rがメチルである場合、Bは置換又は非置換アミノ酸部分である。いくつかの実施形態において、Aが結合であり、Rが、メチル又は−Hである場合、Bは−H又は置換又は非置換アミノ酸部分である。いくつかの実施形態において、Aが結合であり、Rがメチル又は−Hである場合、Bは置換又は非置換アミノ酸部分である。いくつかの実施形態において、該化合物は、4−アセトアミドフェニル2−アセトアミド−4−(メチルチオ)ブタノエート、4−アセトアミドフェニル2−アセトアミド−3−メルカプトプロパノエート又は4−アセトアミドフェニル2−アミノ−3−メルカプトプロパノエートではない。いくつかの実施形態において、該化合物は、4−アセトアミドフェニル2−アセトアミド−4−(メチルチオ)ブタノエートではない。いくつかの実施形態において、該化合物は、4−アセトアミドフェニル2−アセトアミド−3−メルカプトプロパノエートではない。いくつかの実施形態において、該化合物は、4−アセトアミドフェニル2−アミノ−3−メルカプトプロパノエートではない。
【0086】
式(II)の化合物のいくつかの実施形態において、Aは結合である。いくつかの実施形態において、Aは置換又は非置換アミノ酸部分である。いくつかの実施形態において、Aは非置換アミノ酸部分である。いくつかの実施形態において、Aは、非置換グリシン部分である。
【0087】
式(II)の化合物のいくつかの実施形態において、Bは−H又はアセチルである。いくつかの実施形態において、Bはアセチルである。いくつかの実施形態において、Bは−Hである。いくつかの実施形態において、Bは置換又は非置換アミノ酸部分である。いくつかの実施形態において、Bは置換又は非置換グルタミン酸部分である。いくつかの実施形態において、Bは非置換グルタミン酸部分である。
【0088】
式(II)の化合物のいくつかの実施形態において、xは1である。いくつかの実施形態において、xは2である。いくつかの実施形態において、xは3である。いくつかの実施形態において、xは4である。
【0089】
式(II)の化合物のいくつかの実施形態において、mは0である。いくつかの実施形態において、mは1である。
【0090】
式(II)の化合物のいくつかの実施形態において、Rは、−H、−CH又は置換又は非置換アミノ酸部分である。いくつかの実施形態において、Rは−H又は−CHである。いくつかの実施形態において、Rは−Hである。いくつかの実施形態において、Rは−CHである。いくつかの実施形態において、Rは置換又は非置換アミノ酸部分(例えば、置換又は非置換システイン部分)である。いくつかの実施形態において、Rはジスルフィド結合により連結されている置換又は非置換システイン部分である。いくつかの実施形態において、RはN−アセチルシステイン部分(例えば、ジスルフィド結合により連結されているN−アセチルシステイン部分)である。いくつかの実施形態において、Rはアルキレンホスフェート部分(例えば、−CH−OPO)である。いくつかの実施形態において、Rは、置換又は非置換ヌクレオシド部分(例えば、アデノシン、グアノシン、5−メチルウリジン、ウリジン又はシチジン)である。いくつかの実施形態において、Rは置換又は非置換アデノシンである。いくつかの実施形態において、R
【0091】
【化7】

である。
【0092】
式(II)の化合物のいくつかの実施形態において、BはRと一緒になって置換又は非置換ヘテロシクロアルキルを形成している。いくつかの実施形態において、ヘテロシクロアルキルは、芳香族ではない。いくつかの実施形態において、ヘテロシクロアルキルは硫黄を含む(例えば、チアゾリジノニル)。いくつかの実施形態において、BはRと一緒になって非置換5−チアゾリジノニルを形成している。
【0093】
式(II)の化合物のいくつかの実施形態において、A及びBは、それぞれ独立に置換又は非置換アミノ酸部分である。実施形態のいくつかにおいて、Rは、−H、−CH又は置換又は非置換アミノ酸部分である。これらの実施形態のいくつかにおいて、xは1であり、mは0である。
【0094】
式(II)の化合物のいくつかの実施形態において、A及びBの1つのみが置換又は非置換アミノ酸部分である。いくつかの実施形態において、Rは、−H、−CH又は置換又は非置換アミノ酸部分である。これらの実施形態のいくつかにおいて、xは1であり、mは0である。
【0095】
式(II)の化合物のいくつかの実施形態において、Aは結合であり、Bは−H又はアセチルである。いくつかの実施形態において、Rは、−H、−CH又は置換又は非置換アミノ酸部分である。これらの実施形態のいくつかにおいて、xは1であり、mは0である。
【0096】
いくつかの実施形態において、式(II)の化合物は、以下の式:
【0097】
【化8】

(II−A):4−アセトアミドフェニル2−アミノ−4−(メチルチオ)ブタノエート;
【0098】
【化9】

(II−B):2−アセトアミド−3−((2−アセトアミド−3−(4−アセトアミドフェノキシ)−3−オキソプロピル)ジスルファニル)プロパン酸;
【0099】
【化10】

(II−C):3−((2−アセトアミド−3−(4−アセトアミドフェノキシ)−3−オキソプロピル)ジスルファニル)−2−アミノプロパン酸;
【0100】
【化11】

(II−D):2−アセトアミド−3−((3−(4−アセトアミドフェノキシ)−2−アミノ−3−オキソプロピル)ジスルファニル)プロパン酸;
【0101】
【化12】

(II−E):3−((3−(4−アセトアミドフェノキシ)−2−アミノ−3−オキソプロピル)ジスルファニル)−2−アミノプロパン酸;
【0102】
【化13】

(II−F):5−(1−(2−(4−アセトアミドフェノキシ)−2−オキソエチルアミノ)−3−メルカプト−1−オキソプロパン−2−イルアミノ)−2−アミノ−5−オキソペンタン酸;
【0103】
【化14】

(II−G):4−アセトアミドフェニル2−オキソチアゾリジン−4−カルボキシレート;
【0104】
【化15】

(II−H):4−アセトアミドフェニル2−アセトアミド−3−(ホスホノオキシメチルチオ)プロパノエート;
【0105】
【化16】

(II−I):(4−(4−アセトアミドフェノキシ)−3−アミノ−4−オキソブチル)((5−(6−アミノ−9H−プリン−9−イル)−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メチル)(メチル)スルホニウム;
【0106】
【化17】

(II−J):4−アセトアミドフェニル2−アセトアミド−4−(メチルチオ)ブタノエート;
【0107】
【化18】

(II−K):4−アセトアミドフェニル2−アセトアミド−3−メルカプトプロパノエート;
【0108】
【化19】

(II−L):4−アセトアミドフェニル2−アミノ−3−メルカプトプロパノエート;
【0109】
【化20】

(II−M):4−アセトアミドフェニル2−アセトアミド−3−(メチルチオ)プロパノエート;
であるか、又は薬学的に許容されるその塩又は前記のものの溶媒和物である。
【0110】
いくつかの実施形態において、肝保護剤アセトアミノフェンミューチュアルプロドラッグは、以下の式:
【0111】
【化21】

(II−N):2−(2−(5−(4−アセトアミドフェノキシ)−4−アミノ−5−オキソペンタンアミド)−3−メルカプトプロパンアミド)酢酸;
であるか、又は薬学的に許容されるその塩又は前記のものの溶媒和物である。
【0112】
本発明のいくつかの実施形態において、肝保護剤アセトアミノフェンミューチュアルプロドラッグは、以下の式:
【0113】
【化22】

であるか、又は薬学的に許容されるその塩又は前記のものの溶媒和物であり、式中、A及びDは、それぞれ独立に結合、又は置換又は非置換アミノ酸部分であり、B及びCは、それぞれ独立に−H、アセチル又は置換又は非置換アミノ酸部分であり、x及びyは、それぞれ独立に1又は2である。
【0114】
式(III)の化合物のいくつかの実施形態において、A及びDがそれぞれ結合であり、x及びyがそれぞれ1であり、Bがアセチルである場合、Cは−H又は置換又は非置換アミノ酸部分である。いくつかの実施形態において、A及びDがそれぞれ結合であり、x及びyがそれぞれ1であり、BがHである場合、Cはアセチル又は置換又は非置換アミノ酸部分である。いくつかの実施形態において、該化合物は、ビス(4−アセトアミドフェニル)3,3’−ジスルファンジイルビス(2−アセトアミドプロパノエート)又はビス(4−アセトアミドフェニル)3,3’−ジスルファンジイルビス(2−アミノプロパノエート)ではない。いくつかの実施形態において、該化合物は、ビス(4−アセトアミドフェニル)3,3’−ジスルファンジイルビス(2−アセトアミドプロパノエート)ではない。いくつかの実施形態において、該化合物は、ビス(4−アセトアミドフェニル)3,3’−ジスルファンジイルビス(2−アミノプロパノエート)ではない。
【0115】
式(III)の化合物のいくつかの実施形態において、A及びDの少なくとも1つは結合である。いくつかの実施形態において、A及びDのそれぞれは結合である。いくつかの実施形態において、A及びDの一方は結合であり、A及びDの他方は置換又は非置換アミノ酸部分である。いくつかの実施形態において、A及びDの少なくとも1つは置換又は非置換アミノ酸部分である。いくつかの実施形態において、A及びDのそれぞれは置換又は非置換アミノ酸部分である。いくつかの実施形態において、A及びDは、それぞれ独立に結合、又はグリシン、システイン及びメチオニンからなる群から選択される置換又は非置換部分である。いくつかの実施形態において、A及びDは、それぞれ独立にグリシン、システイン及びメチオニンからなる群から選択される置換又は非置換部分である。いくつかの実施形態において、A及びDは、それぞれ独立に置換又は非置換グリシンである。
【0116】
式(III)の化合物のいくつかの実施形態において、B及びCの少なくとも1つはHである。いくつかの実施形態において、B及びCのそれぞれがHである。いくつかの実施形態において、B及びCの少なくとも1つはアセチルである。いくつかの実施形態において、B及びCのそれぞれはアセチルである。いくつかの実施形態において、B及びCの一方はHであり、B及びCの他方はアセチルである。いくつかの実施形態において、B及びCは、それぞれ独立にH、アセチル又はグルタミン酸、システイン及びメチオニンからなる群から選択される置換又は非置換アミノ酸部分である。いくつかの実施形態において、B及びCは、それぞれ独立にグルタミン酸、システイン及びメチオニンからなる群から選択される置換又は非置換アミノ酸部分である。いくつかの実施形態において、B及びCは、それぞれ独立に置換又は非置換グルタミン酸である。
【0117】
式(III)の化合物のいくつかの実施形態において、x及びyは、それぞれ1である。いくつかの実施形態において、x及びyは、それぞれ2である。いくつかの実施形態において、x及びyの一方は1であり、x及びyの他方は2である。
【0118】
式(III)の化合物のいくつかの実施形態において、各アミノ酸部分はD形である。いくつかの実施形態において、各アミノ酸はL形である。式(III)の化合物のいくつかの実施形態において、少なくとも1つのアミノ酸部分はD形であり、少なくとも1つのアミノ酸はL形である。
【0119】
式(III)の化合物のいくつかの実施形態において、A、B、C及びDは、それぞれ独立に置換又は非置換アミノ酸部分である。これらの実施形態のいくつかにおいて、A及びDは、それぞれ独立にグリシン、システイン及びメチオニンからなる群から選択される置換又は非置換部分であり、B及びCは、それぞれ独立にグルタミン酸、システイン及びメチオニンからなる群から選択される置換又は非置換アミノ酸部分である。これらの実施形態のいくつかにおいて、x及びyは、それぞれ1である。
【0120】
式(III)の化合物のいくつかの実施形態において、A及びDは、それぞれ結合であり、B及びCは、それぞれ独立に置換又は非置換アミノ酸部分である。いくつかの実施形態において、A及びDは、それぞれ独立に置換又は非置換アミノ酸部分であり、B及びCは、それぞれ独立に−H又はアセチルである。いくつかの実施形態において、Aは結合であり、Dは置換又は非置換アミノ酸部分であり、Bは置換又は非置換アミノ酸部分であり、Cは−H又はアセチルである。これらの実施形態のいくつかにおいて、x及びyは、それぞれ1である。
【0121】
式(III)の化合物のいくつかの実施形態において、A及びDは、それぞれ結合であり、B及びCは、それぞれ独立に−H又はアセチルである。これらの実施形態のいくつかにおいて、x及びyは、それぞれ1である。
【0122】
いくつかの実施形態において、式(III)の化合物は、以下の式:
【0123】
【化23】

(III−A):ビス(4−アセトアミドフェニル)3,3’−ジスルファンジイルビス(2−アミノプロパノエート);
【0124】
【化24】

(III−B):ビス(4−アセトアミドフェニル)3,3’−ジスルファンジイルビス(2−アセトアミドプロパノエート);
【0125】
【化25】

(III−C):4−アセトアミドフェニル2−アセトアミド−3−((3−(4−アセトアミドフェノキシ)−2−アミノ−3−オキソプロピル)ジスルファニル)プロパノエート;
【0126】
【化26】

(III−D):5,5’−(3,3’−ジスルファンジイルビス(1−(2−(4−アセトアミドフェノキシ)−2−オキソエチルアミノ)−1−オキソプロパン−3,2−ジイル))ビス(アザンジイル)ビス(2−アミノ−5−オキソペンタン酸);
であるか、又は薬学的に許容されるその塩又は前記のものの溶媒和物である。
【0127】
いくつかの実施形態において、肝保護剤アセトアミノフェンミューチュアルプロドラッグは、以下の式:
【0128】
【化27】

であるか、又は薬学的に許容されるその塩又は前記のものの溶媒和物である。
【0129】
いくつかの実施形態において、肝保護剤アセトアミノフェンミューチュアルプロドラッグ(例えば、式I、II及び/又はIIIのいずれかの化合物)は、実質的に純粋な形態である。特に指定しない限り、「実質的に純粋」は、15%以下の不純物を含むプロドラッグの調製物を意味し、不純物は、アセトアミノフェンプロドラッグ以外の化合物を意味するが、プロドラッグの他の形態(例えば、プロドラッグの異なる塩又は塩ではない形)、アセトアミノフェン及び/又は肝保護剤を含まない。一変形形態において、実質的に純粋なプロドラッグの調製物を提供し、該調製物は、25%以下の不純物、又は20%以下の不純物、又は10%以下の不純物、又は5%以下の不純物、又は3%以下の不純物、又は1%以下の不純物、又は0.5%以下の不純物を含む。
【0130】
本発明はまた、本明細書で述べる肝保護剤アセトアミノフェンミューチュアルプロドラッグの全ての溶媒和物、水和物及び/又は塩(例えば、薬学的に許容される塩)の形の全て並びに前述のものを用いる方法を含む。いくつかの実施形態において、本発明の肝保護剤アセトアミノフェンミューチュアルプロドラッグは、溶媒和されていない形並びに溶媒和された形(すなわち、溶媒和物)で存在することができる。該プロドラッグは、水和された形(すなわち、水和物)も含み得る。
【0131】
本発明は、本明細書で述べる肝保護剤アセトアミノフェンミューチュアルプロドラッグ(例えば、式I、II及び/又はIIIのいずれかの化合物)の全ての塩、並びに該プロドラッグのそのような塩を用いる方法を含む。本発明はまた、本明細書で述べるプロドラッグのいずれかの塩の全ての非塩形、並びに本明細書で名称を挙げるプロドラッグのいずれかの塩の他の塩を含む。いくつかの実施形態において、該プロドラッグの塩は、薬学的に許容される塩である。「薬学的に許容される塩」は、遊離プロドラッグの生物学的活性を保持しており、個体(例えば、ヒト)に薬物又は薬剤として投与することができる塩である。いくつかの実施形態において、肝保護剤アセトアミノフェンミューチュアルプロドラッグは、アルカリ金属又はアルカリ土類金属により一置換又は二置換されている。いくつかの実施形態において、肝保護剤アセトアミノフェンミューチュアルプロドラッグは、リン酸一アルカリ塩(例えば、リン酸一ナトリウム塩)である。いくつかの実施形態において、肝保護剤アセトアミノフェンミューチュアルプロドラッグは、リン酸二アルカリ塩(例えば、リン酸二ナトリウム塩)である。化合物の塩基性官能基の所望の塩は、化合物を酸で処理することによる当業者に公知の方法により調製することができる。化合物の酸性官能基の所望の塩は、化合物を塩基で処理することによる当業者に公知の方法により調製することができる。酸性化合物の無機塩の例は、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、ビスマス塩及びカルシウム塩などのアルカリ金属及びアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩並びにアルミニウム塩を含むが、これらに限定されない。酸性化合物の有機塩の例は、プロカイン、ジベンジルアミン、N−エチルピペリジン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、トリメチルアミン及びトリエチルアミン塩を含むが、これらに限定されない。塩基性化合物の無機塩の例は、塩酸塩及び臭化水素塩を含むが、これらに限定されない。塩基性化合物の有機塩の例は、酒石酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩及びコハク酸塩を含むが、これらに限定されない。
【0132】
いくつかの実施形態において、肝保護剤アセトアミノフェンミューチュアルプロドラッグ(例えば、式I、II及び/又はIIIのいずれかの化合物)及び/又は肝保護剤は、生理的条件下でグルタチオン(酸化型及び/又は還元型)の合成を刺激することができる。いくつかの実施形態において、個体におけるグルタチオンレベル(酸化型及び/又は還元型)は、肝保護剤アセトアミノフェンミューチュアルプロドラッグの治療を受けていない個体における血中グルタチオンレベルと比較して、或いは同じ条件下でのモル当量のアセトアミノフェンの投与後のグルタチオンレベルと比較して、約2%、又は約5%、又は約10%、又は約15%、又は約20%、又は約25%、又は約30%、又は約35%、又は約40%、又は約45%、又は約50%、又は約60%、又は約70%、又は約80%、又は約90%より大きい量に増加する。グルタチオンレベルは、個体における総グルタチオンレベル又はグルタチオン血中レベルであってよい。
【0133】
いくつかの実施形態において、肝保護剤アセトアミノフェンミューチュアルプロドラッグ(例えば、式I、II及び/又はIIIのいずれかの化合物)及び/又は肝保護剤は、同じ条件下で投与されるアセトアミノフェンのモル当量の投与後のNAPQIによる肝毒性と比較して、個体における代謝物N−アセチル−p−ベンゾキノンイミン(NAPQI)による肝毒性を十分に低減する。
【0134】
いくつかの実施形態において、肝保護剤アセトアミノフェンミューチュアルプロドラッグ(例えば、式I、II及び/又はIIIのいずれかの化合物)及び/又は肝保護剤は、N−アセチル−p−ベンゾキノンイミン(NAPQI)を不活性化することができる。いくつかの実施形態において、肝保護剤アセトアミノフェンミューチュアルプロドラッグ及び/又は肝保護剤は、同じ条件下で投与されるアセトアミノフェンのモル当量と比較して、個体におけるN−アセチル−p−ベンゾキノンイミン(NAPQI)を十分に不活性化する。いくつかの実施形態において、肝保護剤アセトアミノフェンミューチュアルプロドラッグ及び/又は肝保護剤は、同じ条件下で投与されるアセトアミノフェンのモル当量と比較して、NAPQIを少なくとも約10%、又は約15%、又は約20%、又は約25%、又は約30%、又は約35%、又は約40%、又は約45%、又は約50%、又は約55%、又は約60%、又は約70%、又は約80%、又は約90%を不活性する。いくつかの実施形態において、該条件は、中毒量のアセトアミノフェンを含む。いくつかの実施形態において、NAPQIは、NAPQIに共有結合する(例えば、アセトアミノフェン−メチオニン及び/又はアセトアミノフェン−システイン結合体を生成するために)肝保護剤により不活性化される。いくつかの実施形態において、NAPQIは、NAPQIに共有結合する肝保護剤なしで不活性化される(例えば、グルタチオンレベル及び/又はアセトアミノフェン−グルタチオン結合体のレベルを増大させることにより)。
【0135】
いくつかの実施形態において、本発明の肝保護剤アセトアミノフェンミューチュアルプロドラッグ(例えば、式I、II及び/又はIIIのいずれかの化合物)は、アセトアミノフェンと比較して高い水溶解度を有する。例えば、(S)−4−アセトアミドフェニル2−アミノ−4−(メチルチオ)ブタノエートのHCl塩(化合物(II−A)のS鏡像異性体及びHCl塩)は、アセトアミノフェンの水溶解度の30倍を超える室温での水溶解度を有する(それぞれ約500mg/mL及び約14.3mg/mL)。同様に、化合物II−D(2−アセトアミド−3−((3−(4−アセトアミドフェノキシ)−2−アミノ−3−オキソプロピル)ジスルファニル)プロパン酸)及びそのナトリウム塩は、それぞれ47mg/mL及び52mg/mLの室温での水溶解度を有することが見出された。水溶解度の増加によって、プロドラッグが非経口投与により適したものとなる可能性があり、所望の場合、より高い血中レベル濃度が得られ、且つ/又はアセトアミノフェンと比較したときに同様な血中レベル濃度を得るためにより低い用量(及び/又は非経口製剤の場合により低い投与容量)を用いることが可能にもなる。いくつかの実施形態において、プロドラッグは、荷電部分(例えば、ホスフェート及び/又はアミン)を含む。いくつかの実施形態において、プロドラッグは、同じ条件下でアセトアミノフェンより2、3、5、10、15、25、50、100、200、500又は100倍を超えて水に溶けやすい。
【0136】
いくつかの態様において、本明細書で述べる肝保護剤アセトアミノフェンミューチュアルプロドラッグ(例えば、式I、II及び/又はIIIのいずれかの化合物)は、個体への投与後にアセトアミノフェン及び肝保護剤を放出する。特定の実施形態において、アセトアミノフェン及び肝保護剤の放出は、例えば、術後の状況で起る。特定の態様において、高濃度製剤(例えば、低容積中高い量のプロドラッグの製剤)を提供する。
【0137】
投与後、いくつかの実施形態(特に高濃度製剤を伴うもの)においてアセトアミノフェンの速やかな放出は、短時間で高いアセトアミノフェンの用量(及び同等な肝保護剤の用量)が得られる。高アセトアミノフェン用量のみへの曝露では、望ましくない肝毒性がもたらされる可能性がある。したがって、肝保護剤部分は、肝毒性からの保護を与えることによって、この態様において特に有益である。術後患者又は器官の障害を有する他の個体は、本明細書で述べる肝保護剤アセトアミノフェンミューチュアルプロドラッグからの恩恵を特に受ける可能性がある。
【0138】
本明細書で述べる肝保護剤アセトアミノフェンミューチュアルプロドラッグ(例えば、式I、II及び/又はIIIのいずれかの化合物)は、ある種の条件下(例えば、生理食塩溶液中での貯蔵及び/又は調製時)では比較的安定である可能性があるが、他の条件下(例えば、個体への投与などのin vitro及びin vivo系への導入後)ではアセトアミノフェンに変換される。いくつかの実施形態において、肝保護剤アセトアミノフェンミューチュアルプロドラッグ(例えば、血漿中約0.3ng/mL若しくは約15ng/mL、又は血漿中約0.3ng/mL〜約15ng/mLの例えば、式I、II及び/又はIIIのプロドラッグ)は、37℃で約1分、5分、10分、15分、20分、又は30分、又は45分、又は1時間後のいずれかでアセトアミノフェンへの10%、又は15%、又は20%、又は25%、又は30%、又は35%、又は40%、又は45%、又は50%、又は60%、又は75%超の変換ができる。いくつかの実施形態において、肝保護剤アセトアミノフェンミューチュアルプロドラッグ(例えば、ヒト血漿中約0.3ng/mL若しくは約15ng/mL、又はヒト血漿中約0.3ng/mL〜約15ng/mLの例えば、式II−Aのプロドラッグ)は、37℃で約10分後にアセトアミノフェンへの約30%又は約45%超の変換ができる。これらの実施形態のいくつかにおいて、アセトアミノフェンプロドラッグは、室温の水、プロピレングリコール及び/又は生理食塩水中でアセトアミノフェンへの前記変換ができない。例えば、これらの実施形態のいくつかにおいて、該プロドラッグは、室温の水又はプロピレングリコール中で30分又は60分で親薬物への約5%、又は10%、又は20%、又は25%、又は30%、又は40%、又は60%、又は70%のいずれかを超える変換ができない。一実施形態において、37℃のヒト血漿中約15ng/mL(又は約0.3ng/mL、又は約0.3ng/mL〜約15ng/mL)の濃度の式I、II及び/又はIIIのアセトアミノフェンプロドラッグは、10分で親薬物に30%超変換することができ、室温の水中で同じ濃度で10分で30%超の変換ができない。いくつかの実施形態において、肝保護剤アセトアミノフェンミューチュアルプロドラッグ(例えば、式I、II及び/又はIIIのプロドラッグ)は、同じ曝露時間後に室温の水と比較して37℃のヒト血漿中でアセトアミノフェンへの少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%又は90%増大した変換ができる。
【0139】
合成方法
本発明の化合物は、当業者が精通している多くの方法を用いて調製することができる。下の論議は、本発明の化合物を組み立てるのに使用できる特定の方法を例示するために提示するものであり、本発明の化合物を調製するのに有用な反応若しくは反応シーケンス及び/又は条件の範囲を限定するものではない。
【0140】
本発明のいくつかの標的化合物は、下に示すように容易に入手できるアセトアミノフェンから始めることによって合成することができる。スキームIに適切な保護基による第一級アミンの保護(例えば、Boc保護、塩基性条件下ではBocOを用いる)による部分(メチオニンなど)の調製を例示する。或いは、アミンを当技術分野で公知の条件下でアセチル化して、本発明のアセチル改変体を生成することができる。次にメチオニンのカルボキシレートを、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TBTU)と温和な塩基(例えば、N,N’−ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA))などの当技術分野で容易に知られる条件及びカップリング剤を用いて、アセトアミノフェンに結合体化させ、その後、HCl又はTFAなどの酸性条件下で脱保護することができる。
【0141】
【化28】

下のスキームIIに示すように酸化剤(例えば、N−クロロスクシンイミド(NCS))を用いて、チオール(例えば、システイン部分からの)をカップリングさせてジスルフィド結合を形成することができる。示すように、システイン残基のアセトアミノフェンへのカップリングの後に、又はアセトアミノフェン部分のカップリングの前に、酸化が起り得る(スキームIIIに示すように)。
【0142】
【化29】

スキームIIIに示すように、本発明のいくつかの標的化合物は、最初にシステイン又はシステイン誘導体を酸化して、所望の二量体を生成させ、次にO−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TBTU)と温和な塩基(例えば、N,N’−ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA))などの当技術分野で公知の条件及びカップリング剤を用いて、アセトアミノフェンに結合体化させることによって合成することができる。カップリングの量は、当業者により容易に決定されるような利用できる遊離のカルボキシレート部分の数又は使用されるアセトアミノフェンの化学量論比によって異なっていてよい。生成物混合物は、容易に分離することができ、次に酸性条件下(例えば、HCl又はTFA)で処理して、所望の塩を得る。
【0143】
【化30】

製剤
本明細書で述べる肝保護剤アセトアミノフェンミューチュアルプロドラッグ(例えば、式I、II及び/又はIIIのいずれかの化合物)は、単独又は1つ若しくは複数の追加の医薬品と一緒に、賦形剤(例えば、1つ又は複数の賦形剤)、抗酸化剤(例えば、1つ又は複数の抗酸化剤)、安定化剤(例えば、1つ又は複数の安定化剤)、保存料(例えば、1つ又は複数の保存料)、pH調整及び緩衝剤(例えば、1つ若しくは複数のpH調整及び/又は緩衝剤)、張度調整剤(tonicity adjusting agent)(例えば、1つ又は複数の張度調整剤)、粘稠化剤(thickening agent)(例えば、1つ又は複数の粘稠化剤)、懸濁化剤(例えば、1つ又は複数の懸濁化剤)、結合剤(例えば、1つ又は複数の結合剤)、増粘剤(例えば、1つ又は複数の増粘剤)等などの添加剤を含む製剤(薬学的組成物を含む)中に存在することができる。ただし、追加の成分は、治療する特定の疾患若しくは状態について薬学的に許容される。いくつかの実施形態において、製剤は、本明細書で述べるような追加の成分の2つ以上(例えば、2、3、4、5、6、7、8又はそれ以上の追加成分)の組合せを含んでいてよい。いくつかの実施形態において、添加剤は、例えば、カルシウム、リン酸塩、ステアリン酸マグネシウム、タルク、単糖類、二糖類、デンプン、ゼラチン、セルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デキストロース、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、ポリビニルピロリジノン、低融点ワックス、イオン交換樹脂等並びにそれらの任意の2つ以上の組合せなどの処理剤並びに薬物送達調整剤及び促進剤を含む。他の適切な薬学的に許容される賦形剤は、REMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCES、Marck Pub. Co.、New Jersey、第18版(1996年)並びにREMINGTON: THE SCIENCE AND PRACTICE OF PHARMACY、Lippincott Williams & Wilkins、Philadelphia、第20版(2003年)及び第21版(2005年)に記載されている。
【0144】
製剤は、治療する状態、投与する化合物の量、個体の状態及び本明細書に示す教示を考慮して当業者により容易に明らかになるであろう他の変数によって異なることがあり、或いは調整することができる。
【0145】
いくつかの実施形態において、製剤(例えば、非経口投与に適用できる製剤)は、約3.5〜約9.5、又は約4.5〜約8.5、又は約5.0〜約9.0、又は約5.5〜約8.5、又は約6.0〜約8.0、又は約6.5〜約8.0、又は約7.0〜約8.0、又は約7.4のpHを有する水性製剤である。
【0146】
本明細書で述べる肝保護剤アセトアミノフェンミューチュアルプロドラッグ(例えば、式I、II及び/又はIIIのいずれかの化合物)並びに生理食塩水を含む製剤を提供する。一態様において、そのような製剤は、生理的pH(約7.4)にある。そのような製剤は、貯蔵及び後の使用に適し、プロドラッグは、長期間(例えば、貯蔵中)完全な状態のままで、個体(例えば、成人、小児又は乳児)への投与後にアセトアミノフェンへ変換され得る。いくつかの実施形態において、プロドラッグを乾燥粉末として貯蔵し、投与前に乾燥粉末を生理食塩水に溶解することによって製剤を調製する。一態様において、例えば、アセトアミノフェンの約50mg/mL、75mg/mL、100mg/mL、125mg/mL、150mg/mL、175mg/mL又は200mg/mLのいずれかのモル当量を含むプロドラッグ製剤を提供する。ここで、モル当量は、完全な変換によって、示された量のアセトアミノフェンを生じさせるプロドラッグの量である。本明細書で述べる肝保護剤アセトアミノフェンミューチュアルプロドラッグのいずれかの量(例えば、用量)に関して、アセトアミノフェンの当該量についてモルプロドラッグ当量(molar prodrug equivalent)も考慮する。例えば、約5mL、10mL又は15mLのいずれかまで(例えば、約1450mg〜約1600mgのアセトアミノフェンのモルプロドラッグ当量)の単一ボーラス製剤も提供する。
【0147】
キット
本発明はまた、アセトアミノフェンに対して反応性である状態(例えば、疼痛)の治療又は予防に有用な物質を含むキットを提供する。キットは、本明細書で述べる肝保護剤アセトアミノフェンミューチュアルプロドラッグ(例えば、式I、II及び/又はIIIのいずれかの化合物)並びに使用説明書を含んでいてよい。キットは、ラベル付きの容器を含んでいてよい。適切な容器は、例えば、ビン、バイアル及び試験管などである。容器は、ガラス又はプラスチックなどの様々な材料により構成されていてよい。容器は、プロドラッグ又はプロドラッグの製剤(例えば、1つ又は複数の追加の医薬品をさらに含む製剤)を保持し得る。容器上のラベルは、肝保護剤アセトアミノフェンミューチュアルプロドラッグ又は製剤がアセトアミノフェンに対して反応性である状態(例えば、疼痛)を治療又は抑制するために用いられることを示してよく、本明細書で述べるようなin vivo又はin vitroでの使用に関する指示も示してよい。ラベルには、プロドラッグは、アセトアミノフェンについて許容されているより大きい用量(例えば、1日当たり4gのアセトアミノフェンを超えるプロドラッグのモル当量)で投与することができることをさらに示してもよい。ラベルは、プロドラッグがアセトアミノフェン誘発性肝毒性に対する肝保護剤でもあることをさらに注記してもよい。
【0148】
本発明はまた、本発明の本明細書で述べる肝保護剤アセトアミノフェンミューチュアルプロドラッグの1つ又は複数(例えば、式I、II及び/又はIIIのいずれかの化合物)を含むキットを提供する。いくつかの実施形態において、本発明のキットは、上述の容器を含む。他の実施形態において、本発明のキットは、上述の容器及び緩衝剤を含む第2の容器を含む。キットは、他の緩衝剤、希釈剤、フィルター、針、注射器などの商業的及び使用者の観点から望ましい他の物質、及び本明細書で述べるいずれかの方法を実施することに関する指示を含む添付文書をさらに含んでいてよい。
【0149】
他の態様において、キットは、例えば、アセトアミノフェンに対して反応性である1つ又は複数の状態(例えば、疼痛及び/又は発熱)を有する個体を治療すること、或いは1つ又は複数のそのような状態を抑制することを含む、本明細書で述べる方法のいずれかに用いることができる。
【0150】
特定の実施形態において、キットは、本明細書で開示する、投与量の少なくとも1つの製剤を含んでいてよい。一態様において、剤形は、4g/日のアセトアミノフェンのモル当量を超える用量に対応する。キットは、その製剤の送達の手段も含んでいてよい。
【0151】
キットは、本明細書で述べる製剤と併用するための追加の医薬品を含んでいてよい。いくつかの変形形態において、追加の医薬品(単数又は複数)は、1つ又は複数の鎮痛薬であってよい。これらの薬剤は、別個の形で、或いは本発明の化合物と混合して提供することができ、ただし、そのような混合が該医薬品又は本明細書で述べる製剤の有効性を低下させず、投与経路と適合性があるものとする。同様に、キットは、補助療法用の追加の薬剤又は本明細書で述べる状態の治療若しくは予防に有効であると当業者に公知の他の薬剤を含んでいてよい。
【0152】
キットは、本発明の肝保護剤アセトアミノフェンミューチュアルプロドラッグを含む製剤の調製及び/又は投与に関する適切な説明を場合によって含んでいてよい。製剤の起こり得る副作用を詳述する情報及び任意の他の関連情報も同封することができる。説明は、印刷物、ビデオテープ、コンピュータ可読ディスク、光ディスク又はインターネットに基づく説明への指示を含むが、これらに限定されない任意の適切な形式のものであってよい。
【0153】
本発明の他の態様において、本明細書で開示するような、投与量の組成物を含む第1の容器、及び使用説明書を含む、本明細書で述べる疾患若しくは状態に罹患している、又は罹患しやすい個体を治療するためのキットを提供する。容器は、当技術分野で公知であり、静脈内製剤の貯蔵及び送達に適するもののいずれかであってよい。特定の実施形態において、キットは、個体に投与する製剤の調製のための薬学的に許容される担体、希釈剤、アジュバント等を含む第2の容器をさらに含む。
【0154】
1〜3日、1〜5日、1週間、2週間、3週間、4週間、6週間、8週間、3カ月、4カ月、5カ月、6カ月、7カ月、8カ月、9カ月又はそれ以上などの長期間にわたり個体に対して有効な治療を提供するのに十分な投与量の本明細書で述べる化合物(その製剤を含む)を含むキットも提供することができる。
【0155】
キットは、単位剤形又は反復使用剤形(multi−use form)で包装されている本明細書で述べるような組成物を含んでいてよい。キットは、単位剤形の複数単位を含んでいてもよい。
【0156】
治療の方法
本発明の肝保護剤アセトアミノフェンミューチュアルプロドラッグ(例えば、式I、II及び/又はIIIのいずれかの化合物)は、アセトアミノフェンに対して反応性である疾患又は状態(例えば、疼痛及び/又は発熱)を治療するために用いることができる。一実施形態において、本発明は、有効量の肝保護剤アセトアミノフェンミューチュアルプロドラッグを個体に投与することを含む、アセトアミノフェンに対して反応性である疾患又は状態を治療する方法を提供する。いくつかの実施形態において、個体は、アセトアミノフェンに対して反応性である疾患又は状態を発現するリスクがある。いくつかの実施形態において、有効量の肝保護剤アセトアミノフェンミューチュアルプロドラッグを個体に投与することを含む、個体における疼痛、発熱、炎症、虚血性損傷(心筋及び/又は脳など)又は神経損傷を治療する方法を提供する。一変形形態において、個体は、術後であり、術後疼痛を有するか、又は有すると考えられるか、又は発現した。一変形形態において、術後疼痛に対してプロドラッグを予防的に投与する。一変形形態において、個体は、アセトアミノフェンの経口投与に適していない。
【0157】
本発明は、急性及び慢性疼痛を含むあらゆる病因の疼痛、並びにアセトアミノフェン鎮痛薬が処方されるあらゆる疼痛を治療する方法を含む。疼痛の例としては、手術後疼痛、術後疼痛(歯痛(dental pain)を含む)、片頭痛、頭痛及び三叉神経痛、熱傷、創傷又は腎結石に伴う疼痛、外傷(外傷性頭部損傷を含む)に伴う疼痛、神経障害性疼痛(例えば、末梢神経障害及び帯状疱疹後神経痛)、筋骨格障害、挫傷、捻挫、打撲傷、骨折、筋痛症など、関節リウマチ、変形性関節症、膀胱炎、膵炎、炎症性腸疾患、強直性脊椎炎、血清陰性(非リウマチ様)関節症、関節外リウマチ及び関節周囲障害に伴う疼痛、並びに癌に伴う疼痛(「突出痛」及び末期癌に伴う疼痛を含む)などがある。炎症性成分(上述のものの一部に加えた)に伴う疼痛の例は、リウマチ性疼痛、粘膜炎及び月経困難に伴う疼痛などである。いくつかの変形形態において、本発明の方法及び製剤は、手術後疼痛及び癌疼痛の治療又は予防に用いる。いくつかの変形形態において、本発明の方法及び組成物は、手術、外傷、変形性関節症、関節リウマチ、腰痛、線維筋痛、帯状疱疹後神経痛、糖尿病性神経障害、HIV関連神経障害及び複合性局所疼痛症候群に伴う疼痛からなる群から選択される疼痛の治療又は予防に用いる。
【0158】
いくつかの変形形態において、本発明の方法及び組成物(例えば、式I、II及び/又はIIIのいずれかの化合物)は、疼痛及び/又は発熱(例えば、成人、小児及び/又は乳児における)の治療又は予防に用いる。いくつかの実施形態において、本発明の方法及び組成物(例えば、式I、II及び/又はIIIのいずれかの化合物)は、急性疼痛(例えば、成人、小児及び/又は乳児の整形外科手術などの手術後の急性疼痛)などの疼痛の治療に用いる。いくつかの実施形態において、本発明の方法及び組成物(例えば、式I、II及び/又はIIIのいずれかの化合物)は、発熱、例えばエンドトキシン誘発性発熱(例えば、成人、小児及び/又は乳児におけるエンドトキシン誘発性発熱)の治療又は予防に用いる。いくつかの実施形態において、本発明の方法及び組成物(例えば、式I、II及び/又はIIIのいずれかの化合物)は、小児及び/又は乳児における発熱の治療又は予防に用いる。いくつかの実施形態において、発熱は、軽度発熱、中等度発熱、高度発熱及び超高熱から選択される。いくつかの実施形態において、発熱は、ペル−エプスタイン熱、稽留熱、間欠熱及び弛張熱から選択される。
【0159】
方法のいくつかの変形形態において、肝保護剤アセトアミノフェンミューチュアルプロドラッグ(例えば、式I、II及び/又はIIIのいずれかの化合物)の投与後の個体における肝毒性、潜在的肝毒性及び/又は肝臓毒素の量は、同じ条件下でのアセトアミノフェンの投与と比較して低い。いくつかの変形形態において、肝保護剤アセトアミノフェンミューチュアルプロドラッグ(例えば、式I、II及び/又はIIIのいずれかの化合物)の投与後の個体の肝臓に対する毒性作用又は潜在的毒性作用は、同じ条件下でのアセトアミノフェンの投与と比較して低い。
【0160】
方法のいくつかの変形形態において、肝保護剤アセトアミノフェンミューチュアルプロドラッグ(例えば、式I、II及び/又はIIIのいずれかの化合物)の投与後の個体における代謝物N−アセチル−p−ベンゾキノンイミン(NAPQI)による肝毒性は、同じ条件下でのアセトアミノフェンの投与と比較して低い。
【0161】
方法のいくつかの変形形態において、肝保護剤アセトアミノフェンミューチュアルプロドラッグ(例えば、式I、II及び/又はIIIのいずれかの化合物)は、N−アセチル−p−ベンゾキノンイミン(NAPQI)を不活性化する。いくつかの実施形態において、肝保護剤アセトアミノフェンミューチュアルプロドラッグ(例えば、式I、II及び/又はIIIのいずれかの化合物)の投与後の個体における不活性化NAPQIの量は、同じ条件下でのアセトアミノフェンの投与と比較して増加する(且つNAPQIのレベルは減少する)。いくつかの実施形態において、不活性化NAPQIの量は、同じ条件下でのアセトアミノフェンの投与と比較して少なくとも約10%、又は約15%、又は約20%、又は約25%、又は約30%、又は約35%、又は約40%、又は約45%、又は約50%、又は約55%、又は約60%、又は約70%、又は約80%、又は約90%増加する。いくつかの実施形態において、条件は、中毒量のアセトアミノファンを含む。いくつかの実施形態において、NAPQIは、NAPQIに共有結合する(例えば、アセトアミノフェン−メチオニン及び/又はアセトアミノフェン−システイン結合体を生成するために)肝保護剤により不活性化される。いくつかの実施形態において、NAPQIは、NAPQIに共有結合する肝保護剤なしに不活性化される(例えば、グルタチオンレベル及び/又はアセトアミノフェン−グルタチオン結合体のレベルを増大させることにより)。
【0162】
方法のいくつかの変形形態において、該化合物の肝保護剤部分は、生理的条件下でグルタチオン(酸化型及び/又は還元型)の合成を刺激する。いくつかの実施形態において、個体における血中グルタチオンレベル(酸化型及び/又は還元型)は、肝保護剤アセトアミノフェンミューチュアルプロドラッグの治療を受けていない個体における血中グルタチオンレベルと比較して、約2%、又は約5%、又は約10%、又は約15%、又は約20%、又は約25%、又は約30%、又は約35%、又は約40%、又は約45%、又は約50%、又は約60%、又は約70%、又は約80%、又は約90%より大きい量に増加する。
【0163】
本発明は、肝保護剤アセトアミノフェンミューチュアルプロドラッグ(例えば、式I、II及び/又はIIIのいずれかの化合物)を個体に投与することを含む、個体におけるアセトアミノフェンの肝毒性のレベルを低減させる方法を含む。本発明はまた、肝保護剤アセトアミノフェンミューチュアルプロドラッグ(例えば、式I、II及び/又はIIIのいずれかの化合物)を個体に投与することを含む、個体におけるアセトアミノフェンの肝臓毒性のレベルを低減させる方法を含む。これらの方法のいくつかにおいて、肝毒性を低減させると同時にアセトアミノフェンに対して反応性である疾患若しくは状態(例えば、疼痛及び/又は発熱)について個体を治療する。
【0164】
いくつかの実施形態において、本発明は、有効量の肝保護剤アセトアミノフェンミューチュアルプロドラッグ(例えば、式I、II及び/又はIIIのいずれかの化合物)を個体に投与することを含み、該プロドラッグがアセトアミノフェン及び/又は肝保護剤と比較してアセトアミノフェン及び/又は肝保護剤の作用の遅い発現をもたらす、アセトアミノフェン及び/又は肝保護剤療法を必要とする個体におけるアセトアミノフェン及び/又は肝保護剤の作用の発現を遅延させる方法を含む。一変形形態において、肝保護剤アセトアミノフェンミューチュアルプロドラッグ(例えば、式I、II及び/又はIIIのいずれかの化合物)の投与は、アセトアミノフェンの投与と比較して、アセトアミノフェン及び/又は肝保護剤の作用の発現を約5分、又は10分、又は15分、又は30分、又は1時間、又は2時間、又は3時間、又は4時間、又は6時間、又は8時間、又は10時間、又は12時間、又は18時間、又は24時間を超えて遅延させる。いくつかの実施形態において、本発明は、アセトアミノフェン及び/又は肝保護剤と比較してアセトアミノフェン及び/又は肝保護剤の作用の発現の殆ど又は全く遅延がないことを含む。
【0165】
いくつかの実施形態において、本発明は、有効量の肝保護剤アセトアミノフェンミューチュアルプロドラッグ(例えば、式I、II及び/又はIIIのいずれかの化合物)を個体に投与することを含み、該プロドラッグがアセトアミノフェン及び/又は肝保護剤と比較してアセトアミノフェン及び/又は肝保護剤の活性の持続をもたらす、アセトアミノフェン及び/又は肝保護剤療法を必要とする個体におけるアセトアミノフェン及び/又は肝保護剤の活性を持続させる方法を含む。一変形形態において、肝保護剤アセトアミノフェンミューチュアルプロドラッグ(例えば、式I、II及び/又はIIIのいずれかの化合物)の投与は、アセトアミノフェン及び/又は肝保護剤の投与と比較して、アセトアミノフェン及び/又は肝保護剤の活性を約5分、又は10分、又は15分、又は30分、又は1時間、又は2時間、又は3時間、又は4時間、又は6時間、又は8時間、又は10時間、又は12時間、又は18時間、又は24時間を超えて持続させる。いくつかの実施形態において、本発明は、アセトアミノフェン及び/又は肝保護剤の投与と比較してアセトアミノフェン及び/又は肝保護剤の活性の持続が殆ど又は全くないことを含む。
【0166】
いくつかの実施形態において、本発明は、肝保護剤アセトアミノフェンミューチュアルプロドラッグ(例えば、式I、II及び/又はIIIのいずれかの化合物)を投与することを含み、該プロドラッグがアセトアミノフェン及び肝保護剤に変換する、アセトアミノフェン及び肝保護剤を個体に供給する方法を含む。また、プロドラッグがin vivoでアセトアミノフェン及び肝保護剤に変換する、肝保護剤アセトアミノフェンミューチュアルプロドラッグ(例えば、式I、II及び/又はIIIのいずれかの化合物)を投与することにより個体にアセトアミノフェン及び肝保護剤を個体に供給する方法を提供する。一態様において、プロドラッグ(例えば、式I、II及び/又はIIIのいずれかの化合物)は、投与後約1、5、10、15又は30分以内のアセトアミノフェンへの変換をもたらす。該変換は、本明細書の実験の項に詳述したものを含む、当技術分野で公知の技術により測定することができる。いくつかの実施形態において、本発明は、有効量の肝保護剤アセトアミノフェンミューチュアルプロドラッグ(例えば、式I、II及び/又はIIIのいずれかの化合物)を個体に投与することを含み、該プロドラッグの約10%、又は15%、又は20%、又は25%、又は30%、又は35%、又は40%、又は45%、又は50%、又は60%、又は75%、又は85%、又は90%、又は95%超のいずれかが投与から約1分、3分、5分、10分、20分、又は30分、又は45分、又は1時間未満のいずれかの後にアセトアミノフェン及び肝保護剤に変換する、アセトアミノフェン及び肝保護剤を個体(例えば、アセトアミノフェン及び/又は肝保護剤療法を必要とする個体)に供給する方法を含む。いくつかの実施形態において、該方法は、有効量の肝保護剤アセトアミノフェンミューチュアルプロドラッグ(例えば、式I、II及び/又はIIIのいずれかの化合物)を個体に投与することを含み、該プロドラッグの約10%又は約20%超が投与から約1分又は約3分未満の後にアセトアミノフェン及び肝保護剤に変換する。
【0167】
いくつかの実施形態において、本発明は、有効量の肝保護剤アセトアミノフェンミューチュアルプロドラッグ(例えば、式I、II及び/又はIIIのいずれかの化合物)を個体に投与(例えば、静脈内)することを含み、アセトアミノフェンの得られる濃度(例えば、投与後約10分、又は20分、又は30分、又は45分、又は1時間、又は2時間、又は3時間のいずれかで)が同じ条件下でのアセトアミノフェンのみの投与と比較したとき約50%、又は40%、又は30%、又は25%、又は20%、又は15%、又は10%、又は5%未満のいずれか以内である、アセトアミノフェン及び肝保護剤を個体(例えば、アセトアミノフェン及び/又は肝保護剤療法を必要とする個体)に供給する方法を含む。例えば、いくつかの実施形態において、有効量の肝保護剤アセトアミノフェンミューチュアルプロドラッグ(例えば、式I、II及び/又はIIIのいずれかの化合物)を個体に静脈内投与することを含み、アセトアミノフェン又はその代謝物の得られる濃度(例えば、投与後約30分、又は1時間で)が同じ条件下でのアセトアミノフェンのみの投与と比較したとき約15%、又は約5%未満以内である、アセトアミノフェン及び肝保護剤をアセトアミノフェン及び/又は肝保護剤療法を必要とする個体に供給する方法を提供する。
【0168】
アセトアミノフェンのみの投与によって安全に供給され得るものより高い用量のアセトアミノフェンを供給する方法も提供する。一態様において、同じ条件下でアセトアミノフェン(及び/又はアセトアミノフェンの製剤)について安全ではない用量で、且つ時間にわたって肝保護剤アセトアミノフェンミューチュアルプロドラッグ(例えば、式I、II及び/又はIIIのいずれかの化合物)を投与することによってアセトアミノフェンを供給する。例えば、肝保護剤アセトアミノフェンミューチュアルプロドラッグ(例えば、式I、II及び/又はIIIのいずれかの化合物)を投与することによる4g/日より多いアセトアミノフェンを供給する方法を提供する。一態様において、方法は、液体製剤(例えば、生理食塩水)を用いる。方法は、異なる製剤(例えば、IV投与後に経口投与)を用いてもよい。
【0169】
併用療法
本発明の肝保護剤アセトアミノフェンミューチュアルプロドラッグ(例えば、式I、II及び/又はIIIのいずれかの化合物)を、症状の発生及び/又は重症度及び/又はその臨床発現をさらに低減するための1つ若しくは複数の追加の医薬品、並びに根底にある状態を治療又は予防するための追加の医薬品を含む、本明細書で述べ、当技術分野で公知である1つ若しくは複数の追加の医薬品とともに、或いは追加の治療様式とともに(例えば、その前に、それと同時に、又はその後に)処方し、且つ/又は投与することができる。本明細書で述べるような肝保護剤アセトアミノフェンミューチュアルプロドラッグは、追加の医薬品の1つ若しくは複数の投与の前、それと同時に、又はその後に投与することができる。本明細書で述べるプロドラッグは、状態又は治療計画に関連する症状を軽減するための薬剤とともに(例えば、その前に、それと同時に、又はその後に)投与することもできる。
【0170】
本発明の製剤及び方法のいくつかの実施形態において、プロドラッグを1つ又は複数の追加の医薬品と併用する。代表的な追加の医薬品としては、オピオイド(天然、半合成又は合成)、非ステロイド抗炎症薬(NSAID)、ベンゾジアゼピン、バルビツレート及びカフェインなどの他の化合物などがある。本発明のプロドラッグとの併用が考慮される化合物の例は、コデイン、モルヒネ、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、レボルファノール、アスピリン、ケトロラク、イブプロフェン、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、エトドラク、ジクロフェナク、ミソプロストール、メロキシカム、ピロキシカム、ナプロキセン、カフェイン、ドキシラミン、パマブロン、トラマドール、デクストロプロポキシフェン、メチルヘキシタール、カリソプロドール、ブタルビタール、ジアゼパム、ロラゼパム及びミダゾラムを含むが、これらに限定されない。組み合わせ製剤の1つの可能な利点は、製剤が、アセトアミノフェンの中毒又はほぼ中毒量レベルに接近させる必要なくアセトアミノフェンの天井効果を超える鎮痛を誘導する可能性があるという点である。アセトアミノフェンプロドラッグとジアゼパム、ロラゼパム、ミダゾラムなどのベンゾジアゼピン又は他のあらゆるベンゾジアゼピンとの組合せは、例えば、痛覚脱失の治療に加えて、術前又は術後不安の治療に用いることができる。そのような組合せは、歯科手術(例えば、臼歯の抜歯)に特に有用である。
【0171】
本発明の肝保護剤アセトアミノフェンミューチュアルプロドラッグと併用される上の追加の医薬品は、PHYSICIANS’ DESK REFERENCE (PDR)、第53版(1999年)に示されているような治療量で、又は当業者に公知であるような治療上有用な量で用いることができる。
【0172】
本発明の肝保護剤アセトアミノフェンミューチュアルプロドラッグ(例えば、式I、II及び/又はIIIのいずれかの化合物)の1つ又は複数とともに投与される追加の医薬品(例えば、鎮痛薬)は、推奨最大臨床用量又はより低い用量で投与することができる。本発明の製剤中の追加の医薬品の用量レベルは、所望の治療応答を得るように、投与経路、疾患の重症度並びに患者の特性及び応答によって変化させることができる。組合せは、別個の製剤として、又は両薬剤を含む単一剤形として投与することができる。組合せとして投与する場合、プロドラッグは、同時又は異なる時点に投与される別個の製剤として処方することができ、或いは、プロドラッグは、単一製剤として投与することができる。
【0173】
当業者により十分に理解されているように、特定の状態について、異なる追加の医薬品(単数又は複数)及び/又は追加の治療様式(単数又は複数)を用いることができる。
【0174】
いくつかの実施形態において、本発明の肝保護剤アセトアミノフェンミューチュアルプロドラッグは、アセトアミノフェン及び/又は肝保護剤自体とともに処方し、且つ/又は投与することができる。そのような併用療法は、初期の治療量のアセトアミノフェン及び/又は肝保護剤を供給した後、プロドラッグからの親薬物活性及び/又は肝保護剤活性の遅延及び/又は持続をもたらす。そのような製剤は、投与頻度の低下を可能にする可能性がある。或いは、肝保護剤アセトアミノフェンミューチュアルプロドラッグの初期用量(例えば、術後疼痛及び/又は発熱を治療するための低容積、高濃度での用量)の後に、疼痛及び/又は発熱を治療するためにアセトアミノフェンを投与し、且つ/又はその後に肝保護剤を投与することができる(例えば、退院後又は手術の状況)。
【0175】
本明細書で述べる製剤及び方法は、単独で、或いは、治療/予防する状態を治療又は予防するために用いる他の治療様式(例えば、請求の化合物の医薬製剤に関連して本明細書で述べた、又は当業者に公知の追加の医薬品による補助療法)及び/又は追加の治療様式の適用、又は前述のものの組合せとともに(例えば、その前に、それと同時に、又はその後に)用いることができる。例えば、本明細書で述べ、当業者に公知の1つ若しくは複数の医薬品及び/又は例えば、手術若しくは放射線療法を含む現在利用可能な治療様式と組合せて用いることができる。本明細書で用いているように、「追加の治療様式」という用語は、医薬品の使用を伴わない本明細書で述べる状態の治療/予防(例えば、手術、放射線療法等)を意味する。医薬品(単数又は複数)及び/又は追加の治療様式(単数又は複数)の組合せを用いる場合、それらは、本明細書で述べるような肝保護剤アセトアミノフェンミューチュアルプロドラッグの1つ又は複数(若しくはその製剤(単数又は複数))の投与前に、それと同時に、又はその後に独立に適用することができる。
【0176】
1つ若しくは複数の追加の治療様式及び/又は追加の医薬品と本明細書で述べる製剤の投与との最適な組合せは、個体に基づき、本明細書で述べるものを含む、特定個体に影響を及ぼす様々な因子を考慮に入れて、担当医師又は獣医が決定することができる。
【0177】
投与及び投与方法
本発明の肝保護剤アセトアミノフェンミューチュアルプロドラッグ(例えば、式I、II及び/又はIIIのいずれかの化合物)並びに本明細書で述べる製剤は、意図した結果を達成するために有効な量で、例えば、治療又は予防する特定の状態(例えば、疼痛及び/又は発熱)を治療又は予防するために有効な量で一般的に用いる。有効量を投与するために投与されるプロドラッグ又は製剤の量は、例えば、治療する特定の状態、投与頻度、投与する特定の製剤、治療する状態の重症度並びに個体の年齢、体重及び一般健康状態、治療を受ける個体が経験する有害影響等を含む様々な要因に依存する。有効用量の決定は、特に本明細書に示す教示を考慮した当業者の能力の範囲内である。用量は、in vivo動物モデルを用いて推定することもできる。一態様において、用量は、アセトアミノフェンのモル当量について推奨されたものより大きい(例えば、4g/日アセトアミノフェンのモル当量より大きいプロドラッグの用量)。例えば、一態様において、用量は、4、5、6、7、8又は10g/日アセトアミノフェンのモル当量より大きい。
【0178】
単一剤形を製造するために担体物質と組み合わせることができる本発明の肝保護剤アセトアミノフェンミューチュアルプロドラッグの量は、上で述べた種々の要因の1つ又は複数に加えて、プロドラッグを投与する宿主及び特定の投与様式によって異なる可能性がある。選択される薬剤の単位用量は、血液、組織、臓器又は身体の他の標的領域における薬物の規定の最終濃度を得るように作製し、投与することができる。所与の状況における有効量は、常用の実験により容易に決定することができ、通常の臨床医の技術及び判断の範囲内にある。
【0179】
いくつかの実施形態において、肝保護剤アセトアミノフェンミューチュアルプロドラッグ(例えば、式I、II及び/又はIIIのいずれかの化合物)の中毒量(例えば、LD50又はNOAEL(無毒性量(No Observed Adverse Effect Level)))は、アセトアミノフェンのモル当量中毒量より高くてよい。いくつかの実施形態において、該プロドラッグの中毒量は、アセトアミノフェンのモル中毒量の1.2、2、5、7.5、10、15、20、50、100、250、500又は100倍である。
【0180】
いくつかの実施形態において、アセトアミノフェンと同じ血中レベル濃度を得るために必要な肝保護剤アセトアミノフェンミューチュアルプロドラッグ(例えば、式I、II及び/又はIIIのいずれかの化合物)の用量は、プロドラッグの溶解度が高いため、より低い。いくつかの実施形態において、アセトアミノフェンと同じ血中レベル濃度を得るためのプロドラッグの必要な用量は、アセトアミノフェンの1.2分の1、2分の1、5分の1、7.5分の1、10分の1、15分の1、20分の1、50分の1又は100分の1である。
【0181】
用いることができる肝保護剤アセトアミノフェンミューチュアルプロドラッグ(例えば、式I、II及び/又はIIIのいずれかの化合物、単独又は追加の医薬品と組み合わせて)の用量の例は、約0.1μg/kg〜約300mg/kgの用量範囲内、又は約1.0μg/kg〜約40mg/kg体重の範囲内、又は約1.0μg/kg〜約20mg/kg体重の範囲内、又は約1.0μg/kg〜約10mg/kg体重の範囲内、又は約10.0μg/kg〜約10mg/kg体重の範囲内、又は約100μg/kg〜約10mg/kg体重の範囲内、又は約1.0mg/kg〜約10mg/kg体重の範囲内、又は約10mg/kg〜約100mg/kg体重の範囲内、又は約50mg/kg〜約150mg/kg体重の範囲内、又は約100mg/kg〜約200mg/kg体重の範囲内、又は約150mg/kg〜約250mg/kg体重の範囲内、又は約200mg/kg〜約300mg/kg体重の範囲内、又は約250mg/kg〜約300mg/kg体重の範囲内の有効量である。用いることができる他の用量は、約0.01mg/kg体重、約0.1mg/kg体重、約1mg/kg体重、約10mg/kg体重、約20mg/kg体重、約30mg/kg体重、約40mg/kg体重、約50mg/kg体重、約75mg/kg体重、約100mg/kg体重、約125mg/kg体重、約150mg/kg体重、約175mg/kg体重、約200mg/kg体重、約225mg/kg体重、約250mg/kg体重、約275mg/kg体重又は約300mg/kg体重である。本発明の化合物は、単独又は併用で、単一の1日用量で投与することができ、或いは、総1日用量を1日2、3、4、5又は6回の分割量で投与することができる。
【0182】
肝保護剤アセトアミノフェンミューチュアルプロドラッグの投与の頻度及び持続期間は、治療する状態、個体の状態などに依存する。製剤は、個体に1回又は複数回、例えば、2、3、4、5、10、15、20回又はそれ以上の回数投与することができる。製剤は、個体に例えば、1日1回より多い回数、それに等しい回数又はそれより少ない回数、1日2回、1日3回、又は1日3回より多い回数;或いは1日1〜6回、1日2〜6回、又は1日4〜6回投与することができる。製剤はまた、個体に例えば、1日1回未満、例えば、1日おき、2日おき、毎週又はそれより低い頻度で投与することができる。製剤は、数日、数週間又は数カ月の期間にわたって投与することができる。
【0183】
本発明の肝保護剤アセトアミノフェンミューチュアルプロドラッグは、経腸的に(例えば、経口若しくは直腸)、非経口的に(例えば、注射により(静脈内若しくは筋肉内)、又は吸入により(例えば、ミストとして若しくは噴霧))、或いは局所的に従来の非毒性の薬学的に許容できる、所望どおりの担体、アジュバント及びビヒクルを含む用量単位製剤で投与することができる。例えば、適切な投与様式は、経口、皮下、経皮、経粘膜、イオン導入、静脈内、動脈内、筋肉内、腹腔内、鼻内(例えば、経鼻粘膜)、硬膜下、直腸、胃腸管等、及び特定又は罹患臓器又は組織への直接的投与を含む。中枢神経系への送達のために、脊髄及び硬膜外投与、又は脳室への投与を用いることができる。局所投与は、経皮パッチ又はイオン導入装置などの経皮投与の使用も含み得る。非経口という用語は、本明細書で用いているように、皮下注射、静脈内、筋肉内、胸骨内注射又は注入技術などである。プロドラッグは、所望の投与経路に適する、薬学的に許容される担体、アジュバント及びビヒクルと混合することができる。投与経路は、治療する状態によって異なっていてよい。さらなる投与方法は、当技術分野で公知である。
【0184】
該方法のいくつかにおいて、肝保護剤アセトアミノフェンミューチュアルプロドラッグ(例えば、式I、II及び/又はIIIのいずれかの化合物)の投与経路は、経口である。いくつかの実施形態において、製剤は、経口投与に適している。本明細書で使用するために述べたプロドラッグは、固体形態、液体形態、エアゾール剤の形態、又は錠剤、丸剤、散剤混合物、カプセル剤、顆粒剤、注射剤、クリーム剤、液剤、坐剤、浣腸剤、腸内洗浄剤、乳剤、分散物、食品プレミックスの形態、及び他の適切な形態で投与することができる。
【0185】
経口投与用の固体剤形は、カプセル剤、錠剤、丸剤、散剤及び顆粒剤などである。そのような固体剤形において、活性化合物をショ糖、乳糖又はデンプンなどの少なくとも1つの不活性希釈剤と混合することができる。そのような剤形は、不活性希釈剤以外の追加の物質、例えば、ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤も含んでいてよい。カプセル剤、錠剤及び丸剤の場合、剤形は、緩衝剤も含んでいてよい。錠剤及び丸剤は、腸溶コーティングを用いてさらに調製することができる。
【0186】
経口投与用の液体剤形は、水などの当技術分野で一般的に用いられている不活性希釈剤を含む薬学的に許容される乳剤、液剤、懸濁剤、シロップ剤及びエリキシル剤などであってよい。そのような製剤は、湿潤剤、乳化剤及び懸濁化剤、シクロデキストリン並びに甘味料、矯味矯臭剤及び香料などのアジュバントも含んでいてよい。
【0187】
いくつかの実施形態において、本発明の肝保護剤アセトアミノフェンミューチュアルプロドラッグ(例えば、式I、II及び/又はIIIのいずれかの化合物)を非経口的(例えば、静脈内又は筋肉内に)に投与する。注射剤、例えば、滅菌水性又は油性注射用懸濁剤は、適切な分散又は湿潤剤及び懸濁化剤を用いて公知の技術により処方することができる。滅菌注射剤は、非経口で許容される非毒性希釈剤又は溶媒中の滅菌注射用液剤又は懸濁剤、例えば、プロピレングリコール中の液剤としてであってよい。滅菌注射剤は、投与前に許容されるビヒクルを用いて再構成すべき滅菌散剤であってもよい。用いることができる許容されるビヒクル及び溶媒のうち、水、リンゲル液及び等張性塩化ナトリウム溶液である。さらに、滅菌固定油を溶媒又は懸濁化媒体として従来的に用いることができる。この目的のために、合成モノ又はジグリセリドを含む、あらゆる無刺激性固定油を用いることができる。さらに、オレイン酸などの脂肪酸を注射剤の調製に用いることができる。
【0188】
いくつかの実施形態において、低容積中(例えば、低容積の生理食塩水中)高用量の肝保護剤アセトアミノフェンミューチュアルプロドラッグを提供する。有効量(例えば、静脈内又は筋肉内などの非経口投与における)の非限定的な例としては、1日当たり約20mg〜1日当たり約22g、又は1日当たり約60mg〜1日当たり約15g、又は1日当たり約200mg〜1日当たり約11g、又は1日当たり約300mg〜1日当たり約3.6g、又は1日当たり約500mg〜1日当たり約3.6g、又は1日当たり約750mg〜1日当たり約3.6gの用量範囲のプロドラッグなどが挙げられる。いくつかの実施形態において、非経口(例えば、静脈内又は筋肉内)投与における有効量は、約0.01μmol〜約100mmol、又は約0.1μmol〜約75mmol、又は約0.5μmol〜約50mmol、又は約1μmol〜約50mmol、又は約1μmol〜約10mmol、又は約5μmol〜約50mmol、又は約10μmol〜約25mmol、又は約100μmol〜約10mmol、又は約500μmol〜約5mmol、又は約0.01mg〜約20g、又は約0.1mg〜約20g、又は約0.5mg〜約15g、又は約1mg〜約15g、又は約2mg〜約10g、又は約5mg〜約10g、又は約10mg〜約10g、又は約50mg〜約7.5g、又は約100mg〜約7.5g、又は約200mg〜約5g、又は約500mg〜約4g、又は約750mg〜約3g、又は約1g〜約2.5g、又は約1.3g〜約1.9gの用量範囲であり、約1mL〜約1000mL、又は約1mL〜約500mL、又は約1mL〜約100mL、又は約1mL〜約50mL、約1mL〜約30mL、又は約1mL〜約25mL、又は約5mL〜約20mL、又は約5mL〜約15mL、又は約10mL〜約15mL、又は約5mL〜約10mLで投与することができる。いくつかの実施形態において、非経口(例えば、静脈内又は筋肉内)投与における有効量は、約0.1μmol/kg〜約1000μmol/kg、又は約5μmol/kg〜約750μmol/kg、又は約7.5μmol/kg〜約500μmol/kg、又は約10μmol/kg〜約100μmol/kg、又は約25μmol/kg〜約75μmol/kgの用量範囲である。これらの実施形態のいくつかにおいて、プロドラッグ(例えば、式I、II及び/又はIIIのいずれかの化合物)を約10mg/mL〜約1000mg/mL、又は約25mg/mL〜約750mg/mL、又は約50mg/mL〜約500mg/mL、又は約75mg/mL〜約400mg/mL、又は約100mg/mL〜約300mg/mL、又は約150mg/mL〜約250mg/mLの濃度の液剤で投与する。
【0189】
本発明はまた、直腸投与用の坐剤の形で投与される肝保護剤アセトアミノフェンミューチュアルプロドラッグの製剤を含む。これらは、室温で固体であるが、直腸の温度では液体であり、したがって、直腸内で融解して、薬物を放出する適切な非刺激性賦形剤と薬剤を混合することによって調製することができる。そのような物質は、ココアバター、蜜ろう及びポリエチレングリコールなどである。
【0190】
本発明の肝保護剤アセトアミノフェンミューチュアルプロドラッグ(例えば、式I、II及び/又はIIIのいずれかの化合物)は、リポソームの形で投与することもできる。当技術分野で公知であるように、リポソームは、一般的にリン脂質又は他の脂質物質由来である。リポソームは、水性媒体中に分散している単層又は多重膜水和液晶により形成される。リポソームを形成することができる、任意の非毒性の生理的に許容され、且つ/又は代謝性の脂質を用いることができる。リポソーム形態の本発明の製剤は、プロドラッグに加えて、安定化剤、保存料、賦形剤などを含み得る。いくつかの実施形態において、脂質は、天然及び/又は合成のリン脂質及び/又はホスファチジルコリン(レシチン)である。リポソームを形成させる方法は、当技術分野で公知である。例えば、Prescott編、Methods in Cell Biology、XIV巻、Academic Press、New York、N.W.、33頁及び次の頁参照(1976年)を参照のこと。
【0191】
治療計画は、2つ以上の形態、例えば臨床状況でIV投与として、その後、続いて非臨床状況で経口投与で、本明細書で述べる肝保護剤アセトアミノフェンミューチュアルプロドラッグを投与することを含んでよい。
【実施例】
【0192】
本発明は、例として提供され且つ本発明を限定しようとするものではない以下の実施例を参照することによって、より容易に理解されよう。
【0193】
(実施例1)
(S)−4−アセトアミドフェニル2−アミノ−4−(メチルチオ)ブタノエートの合成
【0194】
【化31】

(II−AのS−鏡像異性体)
L−メチオニン(3g、20mmol)をTHF(30mL)及び10%NaOH溶液(10mL)に懸濁した白色の乳状懸濁液を、30分間撹拌し、その後、この懸濁液は無色透明な溶液に変化した。この溶液に、Boc無水物(6.58g、30.1mmol)を、RTで約15分間にわたりゆっくりと添加した。無色透明な溶液を、RTでさらに12時間撹拌した。反応を、TLCによってモニタした(DCM:MeOH(95:5mL);TLCシリカゲル60F254(Merck)、ニンヒドリン溶液(メタノール中5%)で検出;R値、生成物:0.7、L−メチオニン:0)。12時間後、無色透明な溶液は淡褐色の溶液に変化した。この淡褐色溶液を真空蒸発させ;淡褐色のガム状材料(濃厚な油)が得られ、これを酢酸エチル及び水(60mL:10mL)に吸収させ;溶液のpHを、20%クエン酸溶液(15mL)を使用することにより6に調節した。酢酸エチルの淡褐色層を分離し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、完全に蒸発させることによって、淡褐色のガム状材料が得られ、これをエーテル(2×25mL)、ヘキサン(3×15mL)、及びペンタン(1×25mL)で洗浄することにより、Boc−保護L−メチオニンの白色結晶質固体((S)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−4−(メチルチオ)ブタン酸;3.5g;収率70%)が得られた。
【0195】
DCM(60mL)中の(S)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−4−(メチルチオ)ブタン酸(3.5g、14.0mmol)の撹拌(15分間)無色溶液に、アセトアミノフェン(N−(4−ヒドロキシフェニル)アセトアミド;2.33g、15.4mmol)及びTBTU(9.0g、28.11mol)を添加した。無色溶液が、20分後に淡黄色に変化し、その時点で溶液をDIPEA(3.63g、28.11mol)でゆっくりと処理した。反応混合物を、RTでさらに2時間撹拌し、TLCによりモニタした(MeOH:DCM(1:9);TLCシリカゲル60F254(Merck)、λ254nmUV及びニンヒドリン溶液(メタノール中5%)で検出;R値、Boc−保護L−メチオニン:0.7、アセトアミノフェン:0.5、生成物:0.6)。水(80mL)を反応塊に添加し、ジクロロメタンの淡黄色層を分離し、20%クエン酸溶液で洗浄した(2×20mL)。ジクロロメタン層を10%NaHCO溶液で洗浄し(1×30mL)、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。淡黄色のガム状材料が、蒸発後に得られた。ガム状材料を、溶離剤としてジクロロメタン中5%のメタノールを使用して、カラムクロマトグラム(シリカゲル)で精製し、(S)−4−アセトアミドフェニル2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−4−(メチルチオ)ブタノエート(3g;収率56%)として白色結晶質固体を生成した。
【0196】
ジオキサン(10mL)中の(S)−4−アセトアミドフェニル2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−4−(メチルチオ)ブタノエート(0.5g、1.3mmol)の撹拌無色溶液に、ジオキサン(4M)中の40mLのHClを添加した。反応混合物は乳状溶液に変化し、これをRTで3時間撹拌した。反応塊を、Whatman濾紙に通して濾過し、白色結晶質固体をエーテルで洗浄することにより(2×15mL)、脱保護生成物((S)−4−アセトアミドフェニル2−アミノ−4−(メチルチオ)ブタノエート;300mg;収率81%)を生成した。H NMR (400 MHz, DMSO−d6): δ 10.08 (s, 1H), 8.63 (bs, 1H), 7.64 (d, 2H, J = 8.8Hz), 7.14 (d, 2H, J = 8.8Hz), 4.4 (m, 1H), 2.69 (m, 2H), 2.22 (m, 2H), 2.1(s, 3H), 2.04(2, 3H);13C NMR (100 MHz, DMSO−d6): δ 168.34, 168.15, 144.76, 137.60, 121.488, 119.89, 51.01, 29.30, 28.41, 23.87, 14.28.;MS m/z(APCI):283(M+H);融点:225〜228℃;室温での水中への溶解度:500mg/mL 。
【0197】
(実施例2)
2−アセトアミド−3−((2−アセトアミド−3−(4−アセトアミドフェノキシ)−3−オキソプロピル)ジスルファニル)プロパン酸の合成
【0198】
【化32】

DCM(5mL)中のN−アセチルシステイン(0.2g;1.23mmol)の撹拌乳状懸濁液に、0℃で懸濁した触媒量の酢酸を添加し、その後N−クロロスクシンイミド(0.18g;1.35mmol)を添加した。乳状懸濁液を、0℃で30分間撹拌した。別の丸底フラスコでは、DCM(5.0mL)及びTEA(0.28mL 2.45mmol)中の4−アセトアミドフェニル2−アセトアミド−3−メルカプトプロパノエート(0.25g;1.23mmol)の乳状懸濁液を調製し、0℃に冷却した。この乳状懸濁液を、上記N−アセチルシステイン懸濁液に添加した。得られた反応混合物は、0℃での撹拌の2.5時間のうち15分以内で、乳状懸濁液から透明な淡橙色の溶液に変化した。次いで反応混合物を、40℃で真空蒸発させることにより、淡橙色のシロップが得られ、これをジエチルエーテルで洗浄し(2×20mL)、最後に分取HPLCにより精製して、2−アセトアミド−3−((2−アセトアミド−3−(4−アセトアミドフェノキシ)−3−オキソプロピル)ジスルファニル)プロパン酸(20mg;収率10%)の白色結晶質固体を生成した。H NMR (400 MHz, DMSO−d6): δ 12.89 (bs, 1H), 9.99 (s, 1H), 8.60 (d, 1H, J = 7.2Hz), 8.29 (d, 1H, J = 8Hz), 7.59 (d, 2H, J = 9.2Hz), 7.05 (dd, 2H, J = 1.2 Hz, 1,2Hz), 4.69 (m, 1H), 4.48 (m, 1H), 3.09(m, 4H), 2.50 (s, 3H), 2.500 (s, 3H), 2.49 (s, 3H).MS m/z(APCI):458(M+H);融解範囲:95〜99℃;R値、生成物:0、N−アセチルシステイン:0、4−アセトアミドフェニル2−アセトアミド−3−メルカプトプロパノエート:0.5(メタノール:ジクロロメタン;(10:90);TLCシリカゲル60F254(Merck);λ254nmUVで検出)。
【0199】
(実施例3)
3−((3−(4−アセトアミドフェノキシ)−2−アミノ−3−オキソプロピル)ジスルファニル)−2−アミノプロパン酸ジヒドロクロライドの合成
【0200】
【化33】

(II−Eの塩酸塩)
THF(50mL)中のジスルフィド結合システイン(3,3’−ジスルファンジイルビス(2−アミノプロパン酸)、5g;20.80mmol)の撹拌無色懸濁液に、10%NaOH溶液(25mL)を添加し、RTで15分間撹拌した。15分後、無色の懸濁液が無色透明な溶液に変化し、この溶液を0℃に冷却し、Boc無水物(13.6g;62.42mmol)を添加した。反応塊をRTに温め、撹拌を12時間継続した。反応を、TLCによってモニタした(メタノール:ジクロロメタン(20:80);TLCシリカゲル60F254(Merck);λ254nmUVで検出;R値、出発材料:0、boc−保護出発材料:0.2)。反応が終了した後、反応混合物を蒸発乾固した。粗製化合物をDI水(20mL)に吸収させ、酢酸エチル(50mL)で洗浄した。酢酸エチル層を除去し、水層を、20%クエン酸溶液(30mL)でpH6に酸性化し、酢酸エチルで抽出した(2×75mL)。合わせた酢酸エチル抽出物を硫酸ナトリウム上で乾燥し、真空濃縮することにより、淡橙色の粘性塊が得られ、これをヘキサン(3×50mL)及びジエチルエーテル(100mL)で洗浄することによって精製することにより、3,3’−ジスルファンジイルビス(2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)プロパン酸)が白色固体として得られた(9g:収率98.3%)。
【0201】
乾燥DCM(120mL)中の3,3’−ジスルファンジイルビス(2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)プロパン酸)(5g;11.36mmol)の無色の懸濁液を、アセトアミノフェン(3.4g;22.72mmol)及びTBTU(7.29g;22.72mmol)で処理し、その1時間後、DIPEA(2.9g;22.72mmol)を添加した。無色の懸濁液は、淡黄色の透明溶液に変化し、この溶液を、RTでさらに3時間撹拌した。反応を、TLCによってモニタした(メタノール:ジクロロメタン(10:90);TLCシリカゲル60F254(Merck);λ254nmUVで検出;R値:3,3’−ジスルファンジイルビス(2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)プロパン酸):0.2、アセトアミノフェン:0.4;二結合生成物:0.5、単結合生成物:0)。反応完了後、DI水を反応混合物に添加し、有機層を分離し、20%クエン酸溶液(70mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。溶媒を蒸発させることにより、褐色の粘性塊が得られ、この塊を、溶離剤としてジクロロメタン中10%のメタノールを使用するカラムクロマトグラフィ(シリカゲル)で精製することにより、ビス(4−アセトアミドフェニル)3,3’−ジスルファンジイルビス(2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)プロパノエート)及び3−((3−(4−アセトアミドフェノキシ)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−オキソプロピル)ジスルファニル)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)プロパン酸の混合物が得られた。混合物を、分取HPLCでさらに精製することにより、オフホワイトの固体として所望の3−((3−(4−アセトアミドフェノキシ)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−オキソプロピル)ジスルファニル)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)プロパン酸が0.5g(収率7%)得られた。
【0202】
ジエチルエーテル(10mL)中の3−((3−(4−アセトアミドフェノキシ)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−オキソプロピル)ジスルファニル)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)プロパン酸(20mg;0.03mmol)の撹拌オフホワイト懸濁液に、エーテル−HCl溶液(3mL)を添加した。反応塊をRTで6時間撹拌し、反応の進行をTLCによってモニタした(メタノール:ジクロロメタン(10:90)TLCシリカゲル60F254(Merck);λ254nmUVで検出;R値:出発材料:0及び生成物:9)。TLCにより反応完了後、反応混合物を蒸発させ、オフホワイトの固体が得られた。この固体をジエチルエーテル(2×15mL)、メタノール(5mL)、及びジエチルエーテル(15mL)で洗浄することにより、3−((3−(4−アセトアミドフェノキシ)−2−アミノ−3−オキソプロピル)ジスルファニル)−2−アミノプロパン酸ジヒドロクロライド(5mg、収率33%)がオフホワイトの固体として得られた。H NMR (400 MHz, DMSO−d): δ 10.13(s, 1H), 8.75 (bs, 4H), 7.6 (d, 2H, J = 8.8 Hz), 7.15 (d, 2H, J = 8.8 Hz), 4.63 (t, 3H), 4.22 (t, 1H),3.40 − 3.16 (m, 4H), 2.05 (s, 3H).MS m/z(APCI):373(M+H);融解範囲:230から237℃。
【0203】
(実施例4)
ビス(4−アセトアミドフェニル)3,3’−ジスルファンジイルビス(2−アミノプロパノエート)ジ(トリフルオロアセテート)の合成
【0204】
【化34】

(III−AのTFA塩)
DCM(10mL)中のビス(4−アセトアミドフェニル)3,3’−ジスルファンジイルビス(2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)プロパノエート)(0.1g;0.14mmol;実施例3で記述した調製から得られる)の撹拌オフホワイト懸濁液に、0.2mLのTFA(0.32g、2.84mmol)を添加した。反応混合物をRTで12時間撹拌し、反応の進行をTLCによりモニタした(メタノール:ジクロロメタン(10:90)TLCシリカゲル60F254(Merck);λ254nmUVで検出;R値、出発材料:0.5、生成物:0)。TLCによる完了後、反応塊を蒸発させることにより、オフホワイトの固体が得られ、この固体をジエチルエーテル(2×15mL)、メタノール(5mL)、及びジエチルエーテル(15mL)で洗浄することにより、50mgのビス(4−アセトアミドフェニル)3,3’−ジスルファンジイルビス(2−アミノプロパノエート)ジ(トリフルオロアセテート)(収率50%)がオフホワイトの固体として得られた。H NMR (400 MHz, DMSO−d): δ 10.05(s, 1H), 7.63(d, 2H, J = 8.4 Hz), 7.11(d, 2H, J = 8.4 Hz), 4.5 (m, 2H), 3.41(m, 4H), 2.04(s, 6H);MS m/z(APCI):506.59(M+H);融点:>300℃。
【0205】
(実施例5)
(S)−4−アセトアミドフェニル2−オキソチアゾリジン−4−カルボキシレートの合成
【0206】
【化35】

(II−GのS−鏡像異性体)
10%NaOH(脱イオン水150mL中に15g)中のL−システイン(10g;82.5mmol)の撹拌無色溶液に、0℃でジオキサン(170mL)中のトリホスゲン(24g;80.9mmol)の無色溶液を、約1時間にわたりゆっくりと添加した。添加によって、反応混合物は乳状懸濁液に変化し、この懸濁液をさらに3時間、RTで撹拌した。2時間後、この懸濁液は透明な淡褐色溶液に変化した。淡褐色反応塊を、ロータリーエバポレータで濃縮することにより、橙色の粘性液体が得られ、この液体を、高温のアセトニトリルで処理した(3×40mL)。アセトニトリル層を分離し、48℃で真空濃縮することにより、白色固体が得られ、この固体をアセトン:エーテル混合物で洗浄した(1:4;3×100mL)。合わせた有機層を分離し、濃縮することにより、(S)−2−オキソチアゾリジン−4−カルボン酸が淡い黄色の固体として、収率83%(10g)で得られた。
【0207】
乾燥ジクロロメタン(50mL)中の(S)−2−オキソチアゾリジン−4−カルボン酸(2g;13.6mmol)の撹拌した淡い黄色懸濁液に、0℃でアセトアミノフェン(2g;13.2mmol)及びTBTU(7g;21.8mmol)を添加し、その後、DIPEA(2.5mL)を添加した。懸濁液は、15分後に透明な淡褐色溶液に変化し、この溶液をRTで約3時間撹拌した。反応を、TLCによりモニタした(ジクロロメタン:メタノール(90:10);TLCシリカゲル60F254(Merck);λ254nmUVで検出;R値、アセトアミノフェン:0.4、生成物:0.5)。反応を、水(25mL)でクエンチ処理し、淡褐色有機層を水層から分離した。この水層を酢酸エチルで抽出し(2×50mL)、合わせた有機層を水及び10%クエン酸(25mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮することにより、粘性の褐色液体が得られた。得られた液体を、ジエチルエーテル(3×25mL)及びアセトニトリル(2×10mL)で洗浄することにより、淡い黄色の固体として(S)−4−アセトアミドフェニル2−オキソチアゾリジン−4−カルボキシレートが250mg(収率6.6%)得られた。H NMR (400 MHz, DMSO−d): δ 10.02 (s, 1H), 8.75 (s, 1H), 7.6 (d, 2H, J = 8.2Hz), 7.03 (d, 2H, J = 8.2Hz), 4.8 (m, 1H), 3.84 (m, 1H), 3.75 (m, 1H), 2.02 (s, 3H). 13C NMR (100 MHz, DMSO−d): δ 173.13, 170.02, 168.26, 167.43, 153.06, 145.21, 137.31, 121.54, 120.75, 119.88, 114.93, 55.48, 31.47, 23.87, 23.68.MS m/z(APCI):281(M+H)
【0208】
(実施例6)
アセトアミノフェンプロドラッグ化合物(II−A)からアセトアミノフェンへのin vitro変換
既知量の化合物(II−A)を、生理学的な温度で維持されたヒト血漿サンプルと共にインキュベートした。少量のアリコートを、所定の時点(0、5、10、15、20、25、30、40、60、及び120分)で引き出し、アセトアミノフェン含量に関して分析した。実験は、37℃のプールされたヒト血漿中2つの異なる濃度のプロドラッグ(15μg/mL及び0.3μg/mL)で行うことにより、代謝反応の動態と、プロドラッグからアセトアミノフェンドラッグへの変換に関わる酵素系の飽和が生じたか否かを決定した。アセトアミノフェンは、図1及び2に示されるように、名目上0分での最初のサンプル収集の時までに、迅速に現れたことがわかった。
【0209】
(実施例7)
アセトアミノフェンプロドラッグ化合物(II−A)からアセトアミノフェンへのin vivo変換
体内での代謝を通したアセトアミノフェンプロドラッグからアセトアミノフェンへの変換を、ラットで研究した。in vitro研究に関する上述の実験設計と同様に、式(II−A)の化合物を、試験動物に静脈内投与し、血液を、所定の時点で引き出した。血液を、アセトアミノフェン含量に関して分析し、プロドラッグの半減期を決定した。
【0210】
アセトアミノフェンと式(II−A)の化合物のHCl塩との薬物動態を、静脈内(IV)投与後に評価して、得られた血漿アセトアミノフェン濃度を決定した。アセトアミノフェン及び化合物(II−A)のHCl塩を等モル量ベースで投与することにより、アセトアミノフェンに対する同レベルの曝露(25mg/kg)がもたらされ、且つアセトアミノフェンへのin vivoでの化合物(II−A)変換のプロファイルが得られた。試験動物は、7から8週齢の、体重220から270グラムのオス及びメスのSprague Dawley(CD(登録商標)IGS)ラット(Charles River Laboratories)であった。これらのラットを、投与後5、15、30分と1、4、8、及び24時間の7つの時点で順次出血させた。全血サンプル(300μl)を、リチウムヘパリンマイクロコンテナ内に尾静脈から収集し、遠心分離によって血漿へと処理し、血漿を、分析まで−70℃で凍結保存した。アセトアミノフェン含量に関する血漿分析の結果を、図3及び表1に示す。
【0211】
【表1】

(実施例8)
アセトアミノフェンプロドラッグの肝保護
マウスに経口投与されたときの、化合物(II−A)により放出されたl−メチオニンによりもたらされた潜在的な肝保護を評価するために、研究に取り掛かった。適切なマウス系統を選択し、急性アセトアミノフェン誘発性肝毒性の時間的経過を決定した。肝毒性は、肝損傷の標準的な血漿酵素マーカー(アラニントランスアミナーゼ(ALT)及びアスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST))を測定することによって評価した。
【0212】
第1のステップは、アセトアミノフェンを経口投与した後に、急性肝毒性の一貫した徴候を示すマウス系統を同定することであった。Swiss Albino及びC57BL6の両方のマウスについて研究し、C57BL6系統を選択した。次に、急性アセトアミノフェン誘発性肝毒性の時間的経過を、アセトアミノフェンを250mg/kgで投与し且つ血漿サンプルを8、12、及び24時間で収集することによって、決定した。12時間の時点で、全てのマウスにおいて、ALT及びASTレベルの明らかな上昇が観察された。その結果、この時点を全ての後続の研究で使用した。次に、最小限有効なアセトアミノフェン用量レベルを決定した。C57BL6オスマウスを一晩絶食させ、アセトアミノフェンを170及び365mg/kgの用量レベルで経口投与し、投与後12時間で血液を収集した。両方の用量レベルがALT及びASTレベルの明らかな上昇をもたらしたので、170mg/kgのアセトアミノフェンを、後続の研究で選択した。
【0213】
等モル用量のl−メチオニン(167mg/kg)がアセトアミノフェン誘発性肝毒性を予防するという証拠を得るために、等モル用量のl−メチオニン及びアセトアミノフェンの同時投与を行った。経口l−メチオニンは、血清AST及びALTレベルに影響を及ぼさないが、等モル用量のl−メチオニンの同時投与では、ASTを著しく低下させ、ALTは、アセトアミノフェンで処置した動物で増大したことが観察された。
【0214】
最後に、アセトアミノフェン及び化合物(II−A)の等モル用量レベルの肝毒性作用を比較した。この研究では、ASTレベルが全ての処置マウスで上昇し、且つALTレベルは83%で上昇したので、170mg/kgのアセトアミノフェンが肝毒性であることがわかった。対照的に、化合物(II−A)(357.07mg/kg)の等モル用量レベルの経口投与は、アセトアミノフェンで処置したAST及びALTレベルよりも有意に低い平均AST及びALTレベルを示した。これらのデータを、図4にグラフによって示す。
【0215】
化合物(II−A)投与後のアセトアミノフェンへの全身曝露がアセトアミノフェン単独によってもたらされた場合と同等であることを確認するために、オスC57BL6マウス(8から12週齢)に経口等モル用量の化合物(II−A)(357mg/kg)又はアセトアミノフェン(170mg/kg)を与えた。これらのデータを図5にグラフとしてプロットし、計算された薬物動態パラメータを表2に示す。
【0216】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(II)
【化36】

の化合物又は又は薬学的に許容されるその塩又は前記のものの溶媒和物であって、式中、
Aは、結合、又は置換又は非置換アミノ酸部分であり、
Bは、−H、アセチル又は置換又は非置換アミノ酸部分であり、
は、−H、−CH、アルキレンホスフェート部分、置換又は非置換アミノ酸部分又は置換又は非置換ヌクレオシド部分であるか、
或いは、Bは、Rと一緒になって置換又は非置換ヘテロシクロアルキルを形成しており、
xは、1又は2であり、
mは、0又は1であり、
Aが結合であり、xが1であり、Rが−Hである場合、Bは置換又は非置換アミノ酸部分であり、
Aが結合であり、xが2であり、Rがメチルである場合、Bは−H又は置換又は非置換アミノ酸部分である、
化合物又は又は薬学的に許容されるその塩又は前記のものの溶媒和物。
【請求項2】
Aが結合であり、Rがメチル又は−Hである場合、Bが置換又は非置換アミノ酸部分であることを条件とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Aが結合である、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
Aが置換又は非置換アミノ酸部分である、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項5】
Aが非置換アミノ酸部分である、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
Aが非置換グリシン部分である、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
Bが−H又はアセチルである、請求項1から6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
Bがアセチルである、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
Bが−Hである、請求項7に記載の化合物。
【請求項10】
Bが置換又は非置換アミノ酸部分である、請求項1から6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
Bが置換又は非置換グルタミン酸部分である、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
Bが非置換グルタミン酸部分である、請求項10に記載の化合物。
【請求項13】
xが1である、請求項1から12のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項14】
xが2である、請求項1から12のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項15】
mが0である、請求項1から14のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項16】
mが1である、請求項1から14のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項17】
が、−H、−CH又は置換又は非置換アミノ酸部分である、請求項1から16のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項18】
が−H又は−CHである、請求項17に記載の化合物。
【請求項19】
が−Hである、請求項18に記載の化合物。
【請求項20】
が−CHである、請求項18に記載の化合物。
【請求項21】
が置換又は非置換アミノ酸部分である、請求項17に記載の化合物。
【請求項22】
が置換又は非置換システイン部分である、請求項21に記載の化合物。
【請求項23】
が非置換システイン部分である、請求項22に記載の化合物。
【請求項24】
が置換システイン部分である、請求項22に記載の化合物。
【請求項25】
がN−アセチルシステイン部分である、請求項24に記載の化合物。
【請求項26】
がアルキレンホスフェート部分である、請求項1から16のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項27】
が−CH−OPOである、請求項26に記載の化合物。
【請求項28】
が置換又は非置換ヌクレオシド部分である、請求項1から16のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項29】
が、
【化37】

である、請求項28に記載の化合物。
【請求項30】
BがRと一緒になって置換又は非置換ヘテロシクロアルキルを形成している、請求項1から6又は13から16のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項31】
BがRと一緒になって非置換5−チアゾリジノニルを形成している、請求項31に記載の化合物。
【請求項32】
前記化合物が、
【化38】

又は薬学的に許容されるその塩又は前記のものの溶媒和物である、請求項1に記載の化合物。
【請求項33】
前記化合物が、
【化39】

又は薬学的に許容されるその塩又は前記のものの溶媒和物である、請求項1に記載の化合物。
【請求項34】
前記化合物が、
【化40】

又は薬学的に許容されるその塩又は前記のものの溶媒和物である、請求項1に記載の化合物。
【請求項35】
前記化合物が、
【化41】

又は薬学的に許容されるその塩又は前記のものの溶媒和物である、請求項1に記載の化合物。
【請求項36】
前記化合物が、
【化42】

又は薬学的に許容されるその塩又は前記のものの溶媒和物である、請求項1に記載の化合物。
【請求項37】
前記化合物が、
【化43】

又は薬学的に許容されるその塩又は前記のものの溶媒和物である、請求項1に記載の化合物。
【請求項38】
前記化合物が、
【化44】

又は薬学的に許容されるその塩又は前記のものの溶媒和物である、請求項1に記載の化合物。
【請求項39】
前記化合物が、
【化45】

又は薬学的に許容されるその塩又は前記のものの溶媒和物である、請求項1に記載の化合物。
【請求項40】
前記化合物が、
【化46】

又は薬学的に許容されるその塩又は前記のものの溶媒和物である、請求項1に記載の化合物。
【請求項41】
式(III)
【化47】

の化合物又は薬学的に許容されるその塩又は前記のものの溶媒和物であって、式中、
A及びDは、それぞれ独立に結合、又は置換又は非置換アミノ酸部分であり、
B及びCは、それぞれ独立に−H、アセチル又は置換又は非置換アミノ酸部分であり、
x及びyは、それぞれ独立に1又は2であり、
A及びDがそれぞれ結合であり、x及びyがそれぞれ1であり、Bがアセチルである場合、Cは−H又は置換又は非置換アミノ酸部分である、
化合物又は薬学的に許容されるその塩又は前記のものの溶媒和物。
【請求項42】
A及びDの少なくとも1つが結合である、請求項41に記載の化合物。
【請求項43】
A及びDのそれぞれが結合である、請求項42に記載の化合物。
【請求項44】
A及びDの一方が結合であり、A及びDの他方が置換又は非置換アミノ酸部分である、請求項42に記載の化合物。
【請求項45】
A及びDの少なくとも1つが置換又は非置換アミノ酸部分である、請求項41に記載の化合物。
【請求項46】
A及びDのそれぞれが置換又は非置換アミノ酸部分である、請求項45に記載の化合物。
【請求項47】
A及びDが、それぞれ独立に結合、又はグリシン、システイン及びメチオニンからなる群から選択される置換又は非置換部分である、請求項41に記載の化合物。
【請求項48】
A及びDが、それぞれ独立にグリシン、システイン及びメチオニンからなる群から選択される置換又は非置換部分である、請求項47に記載の化合物。
【請求項49】
A及びDが、それぞれ独立に置換又は非置換グリシンである、請求項48に記載の化合物。
【請求項50】
B及びCの少なくとも1つがHである、請求項41から49のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項51】
B及びCのそれぞれがHである、請求項50に記載の化合物。
【請求項52】
B及びCの少なくとも1つがアセチルである、請求項41から49のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項53】
B及びCのそれぞれがアセチルである、請求項52に記載の化合物。
【請求項54】
B及びCの一方がHであり、B及びCの他方がアセチルである、請求項50又は52に記載の化合物。
【請求項55】
B及びCが、それぞれ独立にH、アセチル、又はグルタミン酸、システイン及びメチオニンからなる群から選択される置換又は非置換アミノ酸部分である、請求項41から49のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項56】
B及びCが、それぞれ独立にグルタミン酸、システイン及びメチオニンからなる群から選択される置換又は非置換アミノ酸部分である、請求項55に記載の化合物。
【請求項57】
B及びCが、それぞれ独立に置換又は非置換グルタミン酸である、請求項56に記載の化合物。
【請求項58】
x及びyがそれぞれ1である、請求項41から57のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項59】
x及びyがそれぞれ2である、請求項41から57のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項60】
x及びyの一方が1であり、x及びyの他方が2である、請求項41から57のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項61】
前記化合物が
【化48】

又は薬学的に許容されるその塩又は前記のものの溶媒和物である、請求項41に記載の化合物。
【請求項62】
前記化合物が
【化49】

又は薬学的に許容されるその塩又は前記のものの溶媒和物である、請求項41に記載の化合物。
【請求項63】
同じ条件下で投与されるアセトアミノフェンのモル当量と比較して、個体におけるN−アセチル−p−ベンゾキノンイミン(NAPQI)を十分に不活性化することができる、前記請求項のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項64】
同じ条件下で投与されるアセトアミノフェンのモル当量と比較して、個体におけるNAPQIを少なくとも10%不活性化することができる、請求項63に記載の化合物。
【請求項65】
同じ条件下で投与されるアセトアミノフェンのモル当量と比較して、個体におけるNAPQIを少なくとも25%不活性化することができる、請求項63に記載の化合物。
【請求項66】
前記アセトアミノフェンを中毒量で投与する、請求項63から65のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項67】
肝保護剤部分がN−アセチル−p−ベンゾキノンイミン(NAPQI)に共有結合することができる、前記請求項のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項68】
肝保護剤部分がグルタチオン合成を刺激することができる、前記請求項のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項69】
請求項1から68のいずれか一項に記載の化合物及び担体を含む製剤。
【請求項70】
有効量の請求項1から68のいずれか一項に記載の化合物及び担体を含む製剤。
【請求項71】
前記担体が薬学的に許容される担体である、請求項69又は70に記載の製剤。
【請求項72】
請求項1から68のいずれか一項に記載の化合物、並びにオピオイド、非ステロイド抗炎症薬(NSAID)、ベンゾジアゼピン及びバルビツレートからなる群から選択される化合物を含む製剤。
【請求項73】
請求項1から68のいずれか一項に記載の化合物、並びにコデイン、モルヒネ、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、レボルファノール、プロポキシフェン、アスピリン、ケトロラク、イブプロフェン、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、エトドラク、ジクロフェナク、ミソプロストール、メロキシカム、ピロキシカム、ナプロキセン、カフェイン、ドキシラミン、パマブロム、トラマドール、デキストロプロポキシフェン、メチルヘキシタール、カリソプロドール、ブタルビタール、ジアゼパム、ロラゼパム又はミダゾラムからなる群から選択される化合物を含む製剤。
【請求項74】
実質的に純粋な形態の請求項1から68のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項75】
個体に有効量の請求項1から68のいずれか一項に記載の化合物を投与することを含む、アセトアミノフェンに対して反応性である疾患又は状態を治療する方法。
【請求項76】
疾患又は状態が、疼痛、発熱、炎症、虚血性損傷及び神経損傷からなる群から選択される、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
前記化合物の投与後のアセトアミノフェンの肝毒性が、同じ条件下でのアセトアミノフェンの投与と比較して低い、請求項75又は76に記載の方法。
【請求項78】
前記化合物の投与後の個体における不活性化N−アセチル−p−ベンゾキノンイミン(NAPQI)の量が同じ条件下でのアセトアミノフェンの投与と比較して増加する、請求項75から77のいずれか一項に記載の方法。
【請求項79】
不活性化NAPQIの前記量が少なくとも10%増加する、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
不活性化NAPQIの前記量が少なくとも25%増加する、請求項78に記載の方法。
【請求項81】
不活性化NAPQIの前記量が少なくとも50%増加する、請求項78に記載の方法。
【請求項82】
前記アセトアミノフェンを中毒量で投与する、請求項78から81のいずれか一項に記載の方法。
【請求項83】
前記化合物の前記肝保護剤部分がグルタチオン合成を刺激する、請求項75から82のいずれか一項に記載の方法。
【請求項84】
前記化合物を経口投与する、請求項75から83のいずれか一項に記載の方法。
【請求項85】
前記化合物を非経口的に投与する、請求項75から83のいずれか一項に記載の方法。
【請求項86】
前記化合物の用量が約300mg〜約3.6gである、請求項75から85のいずれか一項に記載の方法。
【請求項87】
前記化合物の用量が約750mg〜約3.6gである、請求項86に記載の方法。
【請求項88】
前記化合物の用量が約1μmol〜約10mmolである、請求項75から85のいずれか一項に記載の方法。
【請求項89】
前記化合物の用量が約0.1μmol/kg〜約100μmol/kgである、請求項75から75のいずれか一項に記載の方法。
【請求項90】
薬剤として使用するための請求項1から68のいずれか一項に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩又は前記のものの溶媒和物。
【請求項91】
疼痛、発熱、炎症、虚血性損傷又は神経損傷の治療用の薬剤の製造のための請求項1から68のいずれか一項に記載の1つ若しくは複数の化合物又は薬学的に許容されるその塩又は前記のものの溶媒和物の使用。
【請求項92】
疼痛、発熱、炎症、虚血性損傷又は神経損傷の治療のための請求項1から68のいずれか一項に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩又は前記のものの溶媒和物の使用。
【請求項93】
請求項1から68のいずれか一項に記載の化合物、並びに疼痛、発熱、炎症、虚血性損傷又は神経損傷の治療又は予防における使用説明書を含む、疼痛、発熱、炎症、虚血性損傷又は神経損傷の治療又は予防用のキット。
【請求項94】
請求項69から72のいずれか一項に記載の製剤、並びに疼痛、発熱、炎症、虚血性損傷又は神経損傷の治療又は予防における使用説明書を含む、疼痛、発熱、炎症、虚血性損傷又は神経損傷の治療又は予防用のキット。
【請求項95】
同じ条件下で投与したアセトアミノフェンのモル当量と比較して、個体における肝損傷を十分に低減することができる、請求項1から68のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項96】
同じ条件下で投与したアセトアミノフェンのモル当量と比較して、個体における腎臓の損傷を十分に低減することができる、請求項1から68のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項97】
前記肝毒性が前記個体の肝臓への損傷を含む、請求項77に記載の方法。
【請求項98】
前記肝毒性が前記個体の腎臓への損傷を含む、請求項77に記載の方法。
【請求項99】
請求項1から68のいずれか一項に記載の化合物及び薬学的に許容される担体を含む低容積/高濃度製剤。
【請求項100】
請求項32に記載の化合物及び薬学的に許容される担体を含む、請求項99に記載の低容積/高濃度製剤。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2011−523645(P2011−523645A)
【公表日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−510694(P2011−510694)
【出願日】平成21年5月20日(2009.5.20)
【国際出願番号】PCT/US2009/044749
【国際公開番号】WO2009/143299
【国際公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(505080910)ニューロジェシックス, インコーポレイテッド (12)
【Fターム(参考)】