説明

背板固定部材及びこれを用いた背板固定構造

【課題】背板を背板固定板に強固に固定し得る背板固定部材及びこれを用いた背板固定構造を提供する。
【解決手段】背板固定板13に形成された接合溝14に端部11が嵌め込まれる背板10を該背板固定板に固定する収納家具1の背板固定部材2であって、前記背板固定板の接合溝に隣接して形成された凹部15に嵌め込まれるようにして固定される固定部材本体20と、この固定部材本体に、一端部31が連結される一方、他端部36側が前記背板の端部近傍で該端部よりも背面側に突出するように形成された受部12の背面12aに沿うように配設され、かつ該他端部に前記背板の厚さ方向に貫通する止具挿通孔37が設けられた連結固定具30と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、背板固定板に形成された接合溝に端部が嵌め込まれる背板を該背板固定板に固定する収納家具の背板固定部材及びこれを用いた背板固定構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、収納家具の背板の固定構造としては、天板や底板(地板)、側板等の背板固定板に形成された接合溝に背板の端部を嵌め込んで固定する構造が知られている。このような固定構造では、接合溝内面と背板の端部との間に隙間が形成され易く、がたつき等が生じ易いため、背板の端部や接合溝に接着剤等を塗布して固定することも行われているが、接着剤が硬化するまでの養生時間が多く必要になるなどの問題があった。
例えば、下記特許文献1では、背板固定用板に形成した溝に背板の端部を挿入して固定するキャビネットの背板の固定具が提案されている。この固定具は、背板固定用板の溝よりも外方側の端面端部に板の厚さ方向で溝に臨ませて形成された有底の係止孔に挿入される固定具本体を備え、この固定具本体に、背板及び背板固定用板に打ち込まれる略U字状の背板固定手段を設けた構成とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−153116号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載された背板の固定具では、背板固定手段が背板固定用板の溝に挿入された背板の端部に打ち込まれる構造とされている。しかしながら、背板は、背板固定用板に比べて板厚が薄く、また、その背板の端部に背板固定手段を打ち込む構造とされているため、背板固定手段の打ち込みにより背板の端部に割れ等が生じることも考えられ、また、固定強度の観点等からも更なる改善が望まれていた。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、背板を背板固定板に強固に固定し得る背板固定部材及びこれを用いた背板固定構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る背板固定部材は、背板固定板に形成された接合溝に端部が嵌め込まれる背板を該背板固定板に固定する収納家具の背板固定部材であって、前記背板固定板の接合溝に隣接して形成された凹部に嵌め込まれるようにして固定される固定部材本体と、この固定部材本体に、一端部が連結される一方、他端部側が前記背板の端部近傍で該端部よりも背面側に突出するように形成された受部の背面に沿うように配設され、かつ該他端部に前記背板の厚さ方向に貫通する止具挿通孔が設けられた連結固定具と、を備えていることを特徴とする。
【0007】
本発明においては、前記固定部材本体に、前記背板固定板の厚さ方向に貫通する止具挿通孔を設け、前記固定部材本体の止具挿通孔に止具が挿通されることによって拡開して前記凹部の内周側面に圧接する拡開部を更に備えたものとしてもよい。
また、本発明においては、前記拡開部を、前記背板固定板の接合溝よりも深く形成された前記凹部の底面側の部位において拡開するように設けてもよい。
また、本発明においては、前記固定部材本体に、前記連結固定具の一端部が挿入されるとともに当該固定部材本体の止具挿通孔に連通する挿入凹所を設け、前記連結固定具の一端部に、前記挿入凹所に挿入された状態で前記固定部材本体の止具挿通孔に概ね一致する連結孔を設けてもよい。
また、本発明においては、前記拡開部を、前記連結固定具の連結孔に止具が挿通されることによって拡開して前記固定部材本体の外周側面から突出する前記連結固定具の一端部に設けられた突出片としてもよい。
【0008】
また、上記目的を達成するために、本発明に係る背板固定構造は、背板固定板に形成された接合溝に端部が嵌め込まれる背板を、本発明に係る背板固定部材を用いて前記背板固定板に固定する収納家具の背板固定構造であって、前記背板固定板の接合溝に隣接して形成された凹部に前記背板固定部材の固定部材本体を嵌め込むようにして固定し、この固定部材本体に一端部が連結された前記背板固定部材の連結固定具の他端部側を、前記背板の端部近傍で該端部よりも背面側に突出するように形成された受部の背面に沿うように配設し、かつ該連結固定具の他端部に設けられた止具挿通孔に止具を挿通させて該連結固定具の他端部を前記背板の受部に固定する構造とされていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る背板固定部材及びこれを用いた背板固定構造は、上述のような構成としたことで、背板を背板固定板に強固に固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】(a)〜(d)は、いずれも本発明の一実施形態に係る背板固定部材及びこれを用いた背板固定構造の一例を模式的に示し、(a)は、図3におけるX部に対応させた一部破断概略側面図、(b)〜(d)は、(a)におけるY1−Y1線矢視にそれぞれ対応させた一部破断概略横断面図である。
【図2】(a)〜(c)は、同背板固定部材をそれぞれ模式的に示す概略斜視図である。
【図3】同背板固定構造が適用される収納家具の一例を模式的に示す分解概略斜視図である。
【図4】(a)〜(d)は、いずれも本発明の他の実施形態に係る背板固定部材及びこれを用いた背板固定構造の一例を模式的に示し、(a)は、図3におけるX部に対応させた一部破断概略側面図、(b)〜(d)は、(a)におけるY2−Y2線矢視にそれぞれ対応させた一部破断概略横断面図である。
【図5】(a)、(b)は、同背板固定部材をそれぞれ模式的に示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
なお、以下の各実施形態では、背板固定部材が用いられる収納家具に対面した使用者を基準として、手前側を前方、その逆側を後方とし、また、その状態を基準として、上下方向及び左右方向等の方向を原則的に説明する。
【0012】
図1〜図3は、第1実施形態に係る背板固定部材及びこれを用いた背板固定構造の一例について説明するための概念的な説明図である。
本実施形態に係る背板固定部材2が用いられる収納家具1は、図3に示すように、背板10と、左右の側板13,13と、天板16と、底板(地板)18とを備え、これらによって前方に向けて開口する収納空間を形成した略箱形状とされている。
これら背板10、両側板13,13、天板16及び底板18は、木質系材料を板状に加工した基材に、適宜、合成樹脂シートや突板等の表面化粧シートを貼着した構成とされている。木質系材料としては、合板やLVL(単板積層材)等の木質積層板、パーティクルボード等の木質ボード、インシュレーションボードやMDF(中密度繊維板)等の木質繊維板などが挙げられる。また、木質系材料としては、合成樹脂系材料に、木粉や無機フィラー、相溶化剤、着色剤などを所定の含有割合で含有させた木粉・プラスチック複合材(WPC)としてもよい。
【0013】
両側板13,13、天板16及び底板18のそれぞれの後端部近傍の内側面には、背板10の四周端部11,11,11,11をそれぞれに受け入れる接合溝14,14,17,19が形成されている。これら両側板13,13、天板16及び底板18は、それぞれ前後寸法及び厚さ寸法が略同寸法とされており、それぞれの接合溝14,14,17,19は、前後方向において概ね一致する位置となるように形成されている。
背板10は、その四周端部11,11,11,11を、両側板13,13、天板16及び底板18の接合溝14,14,17,19に嵌め込んで固定される。
【0014】
両側板13,13、天板16及び底板18の厚さ寸法は、例えば、10mm〜30mm程度としてもよい。また、各接合溝14,14,17,19は、これらの背面側の溝縁が、両側板13,13、天板16及び底板18の各後端面から、5mm〜20mm程度、前方位置となるように形成するようにしてもよい。一方、背板10は、これら両側板13,13、天板16及び底板18よりも薄く形成されており、例えば、2mm〜10mm程度としてもよく、両側板13,13、天板16及び底板18の板厚の1/5〜1/2程度の厚さとしてもよい。図例では、背板10の厚さ寸法を、両側板13,13、天板16及び底板18の厚さ寸法の1/3程度とした例を示している。
【0015】
本実施形態では、両側板13,13を背板固定板とし、これら両側板13,13に、本実施形態に係る背板固定部材2を用いて背板10を固定する背板固定構造を例示している。
また、本実施形態では、両側板13,13の上下端部近傍にそれぞれ背板固定部材2を固定する例を示している。つまり、背板10の四隅近傍部位を、背板固定部材2を用いて背板固定板としての両側板13,13にそれぞれ固定する例を示している。
【0016】
背板10には、図1(b)に示すように、当該背板10の端部11近傍で端部11の背面よりも背面側に突出するように受部12が形成されている。受部12は、本実施形態では、角材状とされており、上記同様の木質系材料から形成するようにしてもよい。
この受部12は、本実施形態では、図1(d)に示すように、背板10の端部11が側板13の接合溝14に嵌め込まれた状態で、当該受部12の外側面(側板13の内側面に向く面)が側板13の内側面と概ね同一平面状となるように設けられている。また、受部12は、背板10の端部11が側板13の接合溝14に嵌め込まれた状態で、当該受部12の背面12aが側板13の後端面と概ね同一平面状となるように形成されている。図例では、後記する背板固定部材2の固定片部36の厚さ寸法を加味して、受部12の背面12aが側板13の後端面よりも僅かに前方に位置するように受部12を形成した例を示している。
【0017】
なお、背板10の受部12は、背板10の背面に粘着テープ等の粘着材や接着剤等によって固定するようにしてもよく、このような固定態様に代えて、または加えて、ねじ等の止具を用いて固定するようにしてもよい。また、この受部12は、適宜、施工現場や組立現場等において背板10に固定されるものとしてもよい。さらには、図例のように角材状の部材を背板10の背面に固定して受部12を構成する態様に限られず、背板10に一体的に受部12を設ける態様としてもよい。また、この受部12は、少なくとも背板固定部材2の配設位置に対応させて設けるようにしてもよい。つまり、本実施形態においては、受部12を、少なくとも背板10の四隅近傍部位背面側に設ける態様としてもよい。または、背板10の左右の端部11,11近傍の背面に、上下方向に沿って概ね全体に亘って受部12をそれぞれ設けたり、背板10の上下の端部11,11近傍の背面に、左右方向に沿って概ね全体に亘って受部12をそれぞれ設けたりするようにしてもよい。さらには、背板10の四周端部11,11,11,11近傍の背面に、概ね全周に亘って受部12を設ける態様としてもよい。
【0018】
両側板13,13には、図1に示すように、接合溝14,14に隣接して凹部15が設けられている。この凹部15は、側板13の内側面に開口するように側板13の厚さ方向に沿って形成されており、両側板13,13の上下端部近傍にそれぞれ設けられている。また、本実施形態では、図1(c)に示すように、凹部15を接合溝14の背面側(側板13の後端面側)に設けるとともに、接合溝14に連通するように設けた例を示している。つまり、接合溝14側にも開口するように凹部15を設けた例を示している。また、図例では、凹部15を側板13の後端面に開口するように形成した例を示している。また、図例では、側板13の厚さ方向に見た状態における凹部15の形状を、背面側部位が切り欠かれたような略円形状とし、この切欠部位を上記開口とした例を示している。
【0019】
また、本実施形態では、この凹部15を接合溝14よりも深く形成している。つまり、凹部15は、接合溝14の溝底面よりも当該凹部15の底面が側板13の外側面側に位置するように設けられており、側板13の厚さ方向に見た状態で略円形状とされた当該凹部15の底面側の前方側部位が、接合溝14の背面側部位に重なるように設けられている。
この凹部15の深さ寸法は、深くすれば、側板13の後端部に割れ等が生じることも考えられるため、接合溝14の深さ寸法や側板13の板厚等にもよるが、側板13の板厚の1/2〜3/4程度の深さ寸法としてもよい。なお、この凹部15は、側板13に予め形成されているものとしてもよく、または、施工現場や組立現場等において形成されるものとしてもよい。
【0020】
なお、図3では、一方(右側)の側板13の内側面側を図示していないが、両側板13,13は、概ね同様の構成である。また、両側板13,13の互いに対向する内側面には、棚板を受ける棚受ダボが挿入される複数のダボ穴が上下方向に沿って間隔を空けて設けられている。
また、両側板13,13と天板16との固定及び両側板13,13と底板18との固定は、ねじ等の止具や接着剤等を用いて固定するようにしてもよい。図例では、両側板13,13の上下端部近傍のそれぞれの内側面に、該内側面から突出する連結ピンを設け、天板16及び底板18の左右両側端部に、連結ピンが挿入される挿入穴及び連結ピンに係止するカム状の連結金具を設けてこれらを連結固定する態様を例示している。
【0021】
背板固定部材2は、図1に示すように、側板13の凹部15に嵌め込まれるようにして固定される固定部材本体20と、この固定部材本体20に一端部(連結片部)31が連結された連結固定具30と、を備えている。
固定部材本体20は、図1及び図2に示すように、側板13の凹部15に対応させた形状とされており、図1(a)に示すように、凹部15に嵌め込まれた状態において、側板13の厚さ方向に見た状態で、背面側部位が切り欠かれたような略円形状とされている。
【0022】
図例では、固定部材本体20は、側板13の外側面側の部位(外側部、凹部15の接合溝14よりも深い底面側に嵌め込まれる部位)24の形状を、背面側部位を切り欠いたような略円柱形状(略円筒形状)としている。また、この外側部24の切欠部位の背面が、図1(b)に示すように、側板13の凹部15に嵌め込まれた状態で、側板13の後端面と略同一平面状となるように形成されている。
また、この外側部24に連なる側板13の内側面側の部位(内側部、凹部15の接合溝14の深さに相当する部位に嵌め込まれる部位)23の形状を、外側部24と同心同径で、同様に背面側部位を切り欠いたような略円柱形状(略円筒形状)としている。また、この内側部23は、接合溝14側の部位(前方側部位)を、接合溝14に対応させて切り欠いたような形状とされている。このような構成により、内側部23と外側部24とが段差形状となり、凹部15に嵌め込まれた状態では、段底面となる外側部24の内側面24aと接合溝14の溝底面とが概ね同一平面状とされる。また、段壁面となる内側部23の接合溝側面23aが接合溝14の背面側の溝側面に沿う形状とされる。
【0023】
また、本実施形態では、この内側部23の接合溝14側の部位に、接合溝14の背面側の溝側面に当接して係止される廻止片23b,23bを設けている。図例では、内側部23の接合溝側面23aが接合溝14の背面側の溝側面よりも溝幅中心側に位置するように、内側部23の接合溝14側の部位を僅かに溝幅中心側に向けて突出させて突出部位を設けている。この突出部位の接合溝14の長手方向に沿う方向(図例では、上下方向)の両側部位を、上下両側に向けて突出させるようにして、廻止片23b,23bを設けた例を示している。
【0024】
また、固定部材本体20には、側板13の厚さ方向に貫通する止具挿通孔21が設けられている。この止具挿通孔21は、上記のように側板13の厚さ方向に見た状態で略円形状とされた固定部材本体20の略円心に設けられている。また、図例では、木ねじ、タッピンねじ等のねじや釘などの止具3の頭部を受け入れるざぐり(皿ざぐり)を設けた止具挿通孔21を例示している。
また、固定部材本体20には、連結固定具30の連結片部31が挿入されるとともに、止具挿通孔21に連通する挿入凹所22が設けられている。この挿入凹所22は、本実施形態では、当該固定部材本体20の外側部24に設けられている。また、挿入凹所22は、本実施形態では、側板13に嵌め込まれた状態における背面側から接合溝14側に向けて切り込み形成されたような形状とされ、背面側並びに上方側及び下方側に向けて開口する形状とされている。
【0025】
連結固定具30は、図1及び図2に示すように、固定部材本体20に連結される連結片部31と、この連結片部31に連なるように設けられ、背板10の受部12の背面12aに沿うように配設される固定片部36とを備えている。つまり、本実施形態では、連結固定具30の一端部が固定部材本体20に連結される連結片部31とされ、他端部側が受部12の背面12aに沿うように配設される固定片部36とされている。
また、本実施形態では、これら連結片部31と固定片部36とによって、上下方向に見た状態において略L字状とされた連結固定具30を例示している。また、これら連結片部31及び固定片部36は、一連に形成された薄平板状とされている。
また、連結固定具30は、固定部材本体20に連結され、この固定部材本体20が凹部15に嵌め込まれた状態で、固定片部36の背面が側板13の後端面と略同一平面状となるように形成されている。つまり、連結固定具30の固定片部36は、固定部材本体20が側板13の凹部15に嵌め込まれた状態では、側板13の内側面後端縁から、側板13の厚さ方向に沿って反側板13側に向けて突出するように配設される。
【0026】
連結片部31には、図1(b)及び図2(c)に示すように、固定部材本体20の挿入凹所22に挿入された状態で、固定部材本体20の止具挿通孔21に概ね一致する連結孔32が設けられている。
また、本実施形態に係る背板固定部材2は、固定部材本体20の止具挿通孔21に止具3が挿通されることによって拡開して側板13の凹部15の内周側面に圧接する拡開部を備えている。本実施形態では、この拡開部を、連結固定具30の連結片部31に設けた突出片33,33としている。この突出片33,33は、図2(b)に示すように、連結固定具30の連結孔32に止具3が挿通されることによって拡開して固定部材本体20の外周側面から突出する構成とされている。また、この突出片33,33は、図2(a)に示すように、止具3が連結孔32に挿通されていない状態または止具3の先端小径(テーパ)部等のみが挿通されている状態では、固定部材本体20の外周側面から突出しない構成とされている。
【0027】
本実施形態では、図2(c)に示すように、連結片部31の連結孔32が設けられた部位を、上方側及び下方側に向けて突出させて上下両側に突出片33,33を設けている。また、連結片部31を連結孔32が形成された部位において連結孔32の孔中心を通るように上下方向に分割し、固定片部36から二股状に連結片部31を連ならせた構成としている。また、止具3が挿通されていない状態における連結孔32の孔径を、止具3の径(呼び径)よりも小さくしている。このような構成により、連結孔32に止具3が挿通されることで、連結片部31の上下に分割された部位が互いに離間つまり拡開して、上下の突出片33,33が上方側及び下方側に向けて変位し、固定部材本体20の外周側面から突出する。固定部材本体20の挿入凹所22は、これら突出片33,33に対応させて設けられており、その上方側及び下方側の開口から、これら突出片33,33が突出する構成とされている。また、挿入凹所22は、固定部材本体20の外側部24に設けられているため、これら突出片33,33は、側板13の接合溝14よりも深く形成された凹部15の底面側の部位において拡開することとなる。
また、本実施形態では、これら上下の突出片33,33の突出方向先端部に、複数の爪部を設けており、これら爪部が側板13の凹部15の内周側面に食い込むようにして上下の突出片33,33が凹部15の内周側面に圧接される。
【0028】
固定片部36には、背板10の厚さ方向に貫通する止具挿通孔37が設けられている。この止具挿通孔37は、プレス等によって皿ざぐり状に形成するようにしてもよい。また、型抜き等によって、止具挿通孔37の孔周縁部に複数の切欠部を設けるようにしてもよい。図例では、止具挿通孔37を皿ざぐり状に形成するとともに、その孔周縁部に複数(図例では、4つ)の切欠部を設けた構成としている(図2参照)。このような構成とすることで、挿通された止具3の頭部によって止具挿通孔37が拡開されるようにして背板10の受部12に食い込み、止具3の頭部の固定片部36の背面からの突出量を低減させることができる(図1(d)参照)。
なお、固定部材本体20の背面側面には、図2に示すように、固定片部36を受け入れる凹所が設けられている。
また、固定部材本体20及び連結固定具30は、合成樹脂系材料や金属系材料等から形成されたものとしてもよい。本実施形態では、成型性等の観点から固定部材本体20を合成樹脂系材料からなるものとし、強度等の観点から連結固定具30を金属系材料からなるものとしている。
【0029】
次に、上記構成とされた背板固定部材2を用いて背板10を側板13に固定する背板固定構造の組み付け手順の一例について説明する。
まず、図1(b)、(c)に示すように、背板固定部材2の固定部材本体20を側板13の凹部15に嵌め込むようにして固定する。この際、図2(a)、(c)に示すように、固定部材本体20の挿入凹所22に、連結固定具30の連結片部31を挿入して固定部材本体20に予め連結固定具30を組み付けておくようにしてもよい。また、この場合には、図2(a)に示すように、固定部材本体20の止具挿通孔21に止具3を挿入するとともに、連結固定具30の連結片部31の連結孔32に、止具3の先端部のみを挿入して、仮止めした状態で、背板固定部材2の固定部材本体20を側板13の凹部15に嵌め込むようにしてもよい。
【0030】
次いで、図1(b)及び図2(b)に示すように、固定部材本体20の止具挿通孔21及び連結固定具30の連結孔32に、止具3を挿通する。図例では、止具3としてねじを例示しており、この止具3を捩じ込む際にも、上記のように固定部材本体20の内側部23に廻止片23b,23bを設けているので、略円柱形状(略円筒形状)とされた固定部材本体20の凹部15内における回動を防止することができる。また、この止具3の捩じ込みを伴って、上述のように連結固定具30の上下の突出片33,33が固定部材本体20(外側部24)の外周側面から突出し、凹部15の内周側面に食い込むようにして圧接する。
【0031】
次いで、図1(b)及び図1(d)に示すように、背板10の端部11を、側板13の接合溝14に嵌め込む。この状態では、背板固定部材2の連結固定具30の固定片部36が、背板10の受部12の背面12aに沿うように配設された状態となる。次いで、連結固定具30の固定片部36の止具挿通孔37を介して止具3を受部12に捩じ込み、連結固定具30の固定片部36を背板10の受部12に固定する。このようにして、背板10が背板固定部材2を用いて側板13に固定される構造とされている。
なお、上記組み付け手順は一例であり、各部材及び各部の機能を阻害しない限りにおいて別手順でなされるようにしてもよい。
【0032】
上記構成とされた本実施形態に係る背板固定部材2及びこれを用いた背板固定構造によれば、背板10を背板固定板としての側板13に強固に固定することができる。
つまり、背板固定部材2の固定部材本体20が側板13の凹部15に嵌め込まれるようにして固定される。また、この固定部材本体20に連結された連結固定具30が、背板10の受部12の背面12aに沿うように配設され、止具挿通孔37を設けた固定片部36を有している。従って、この固定片部36の止具挿通孔37を介して止具3を背板10の受部12に向けて捩じ込みまたは打ち込むことで連結固定具30の固定片部36を背板10に対して強固に固定することができる。これにより、当該背板固定部材2を用いて背板10を強固に側板13に固定することができる。
【0033】
また、連結固定具30の固定片部36は、背板10の受部12の背面12aに沿うように配設される。従って、連結固定具30の固定片部36が収納家具1の手前側には露出せず、例えば、収納家具の内側の入隅部等にL型金具等を固定して背板を固定する場合と比べて、見栄えを向上させることができる。
また、本実施形態では、側板13の凹部15を接合溝14の背面側に設け、この凹部15に固定部材本体20を嵌め込む構造としている。従って、固定部材本体20も収納家具1の手前側(収納空間内側)に露出しないため、見栄えをより向上させることができる。
【0034】
また、本実施形態では、固定部材本体20に、挿入凹所22を設け、連結固定具30の連結片部31に、挿入凹所22に挿入された状態で固定部材本体20の止具挿通孔21に概ね一致する連結孔32を設けている。従って、固定部材本体20及び連結固定具30の連結片部31にそれぞれ設けられた止具挿通孔21及び連結孔32に挿通された止具3によって連結固定具30を固定部材本体20に連結することができる。従って、別途に連結部材を用いて連結するものと比べて、構造を簡素化することができる。
【0035】
また、本実施形態では、固定部材本体20の止具挿通孔21に止具3が挿通されることによって拡開して凹部15の内周側面に圧接する拡開部(突出片)33,33を備えている。従って、背板固定部材2の固定部材本体20を、側板13により強固に固定することができ、これにより、背板10を側板13により強固に固定することができる。
さらに、本実施形態では、この拡開部(突出片)33,33を、側板13の接合溝14よりも深く形成された凹部15の底面側の部位において拡開するように設けている。従って、凹部15の接合溝14が設けられた部位において拡開するものと比べて、拡開による側板13の後端部の割れ等を抑制することができる。
さらにまた、本実施形態では、この拡開部を、連結固定具30の連結孔32に止具3が挿通されることによって拡開して固定部材本体20の外周側面から突出する連結片部31に設けられた突出片33,33としている。従って、固定部材本体20に拡開部を設けたものと比べて固定部材本体側の構造の簡素化を図ることができる。
【0036】
次に、本発明に係る他の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図4及図5は、第2実施形態に係る背板固定部材及びこれを用いた背板固定構造について説明するための説明図である。
なお、上記第1実施形態との相違点について主に説明し、同様の構成については、同一符号を付し、その説明を省略または簡略に説明する。
【0037】
本実施形態に係る背板固定部材2Aが用いられる収納家具1Aの各構成部材は、図3(括弧内の符号参照)に示すように、背板固定部材2Aを除いて上記第1実施形態と概ね同様であるが、背板固定板としての側板13Aの凹部15Aが上記第1実施形態とは異なる。
本実施形態では、図4に示すように、側板13Aの凹部15Aを、接合溝14の前方側に設けている。この凹部15Aは、上記第1実施形態と同様、接合溝14に連通するように設けられ、接合溝14よりも深く形成されている。また、側板13Aの厚さ方向に見た状態で略円形状とされた当該凹部15Aの底面側の背面側部位が、接合溝14の前方側部位に重なるように設けられている。
【0038】
背板固定部材2Aは、図4に示すように、側板13Aの凹部15Aに嵌め込まれるようにして固定される固定部材本体20Aと、この固定部材本体20Aに一端部(連結片部)31Aが連結された連結固定具30Aと、を備えている。
固定部材本体20Aは、図4及び図5に示すように、側板13Aの凹部15Aに対応させた形状とされており、図4(a)に示すように、凹部15Aに嵌め込まれた状態において、側板13Aの厚さ方向に見た状態で略円形状とされている。
【0039】
また、固定部材本体20Aは、外側部24Aが、凹部15Aの接合溝14よりも深い底面側部位に対応させて、略円柱形状(略円筒形状)とされている。
また、この外側部24Aに連なる内側部23Aが、外側部24Aと同心同径の略円柱形状(略円筒形状)とされ、接合溝14側の部位(背面側部位)を、接合溝14に対応させて切り欠いたような形状としている。このような構成により、上記第1実施形態と概ね同様、内側部23Aと外側部24Aとが段差形状となり、凹部15Aに嵌め込まれた状態では、段底面となる外側部24Aの内側面24Aaと接合溝14の溝底面とが概ね同一平面状とされる。また、段壁面となる内側部23Aの接合溝側面23Aaと接合溝14の前方側の溝側面とが概ね同一平面状とされる。
【0040】
また、固定部材本体20Aには、側板13Aの厚さ方向に貫通する止具挿通孔21Aが設けられている。この止具挿通孔21Aは、上記第1実施形態と同様、固定部材本体20Aの略円心に設けられ、止具3の頭部を受け入れるざぐり(皿ざぐり)が設けられている。
また、本実施形態では、上記第1実施形態とは異なり、固定部材本体20Aに拡開部25を設けている。この拡開部25は、図5に示すように、固定部材本体20Aの外側部24Aに止具挿通孔21Aを中心にして半径方向に複数の切り込みを形成し、外側部24Aを周方向に沿って複数(図例では、4つ)に分割して形成された分割片とされている(図4(c)等も参照)。この分割片の上下の片部を、図例では、拡開部としての拡開片部25,25としている(図4(c)等も参照)。これら拡開片部25,25が設けられた部位では、止具3が挿通されていない状態における止具挿通孔21Aの孔径が、止具3の径(呼び径)よりも小さく形成されている。
【0041】
上記のような構成により、固定部材本体20Aの止具挿通孔21Aに止具3が挿通されることで、拡開片部25,25が半径方向に拡開する構成とされている。これら拡開片部25,25は、固定部材本体20Aの外側部24Aに設けられているため、上記第1実施形態と同様、これら拡開片部25,25は、側板13Aの接合溝14よりも深く形成された凹部15Aの底面側の部位において拡開することとなる。
また、本実施形態では、これら上下の拡開片部25,25の外周面に、複数の爪状段部を設けており、これら爪状段部が、側板13Aの凹部15Aの内周側面に食い込むようにして上下の拡開片部25,25が凹部15Aの内周側面に圧接される。
【0042】
また、固定部材本体20Aには、連結固定具30Aの連結片部31Aが挿入されるとともに、止具挿通孔21Aに連通する挿入凹所22Aが設けられている。この挿入凹所22Aは、本実施形態では、固定部材本体20Aの内側部23Aと外側部24Aとの概ね境界部位に設けられており、背面側にのみ開口する形状とされている。
また、本実施形態では、固定部材本体20Aが嵌め込まれる凹部15Aを、接合溝14の前方側、つまり収納家具1Aの収納空間に露出するように設けている。そのため、意匠性等の観点から、図4(d)及び図5(a)に示すように、固定部材本体20Aを覆うキャップ部材27を更に備えている。このキャップ部材27は、固定部材本体20Aの内側部23Aの露出する内側面を覆う形状とされている。このキャップ部材27には、固定部材本体20Aの内側部23Aに設けられた挿入孔26,26に挿入される挿入ピン27a,27aが設けられている。このキャップ部材27は、これら挿入ピン27a,27aを、固定部材本体20Aの挿入孔26,26に圧入するようにして挿入することで、固定部材本体20Aに取り付けられる。なお、このような取付態様に代えて、粘着テープ等の粘着材や接着剤等によってキャップ部材27を固定部材本体20Aに取り付ける態様としてもよい。
【0043】
連結固定具30Aは、図4及び図5に示すように、固定部材本体20Aに連結される連結片部31Aと、この連結片部31Aに連なるように設けられ、背板10の受部12の背面12aに沿うように配設される上記同様の固定片部36とを備えている。
本実施形態では、固定部材本体20Aが嵌め込まれる凹部15Aを、接合溝14の前方側に設けている。そのため、連結片部31Aに連なるように設けられるとともに接合溝14の背面側の溝側面に沿うように配設される第1連結片34とこの第1連結片34に連なるように設けられるとともに側板13Aの内側面に沿うように配設され、固定片部36に連なる第2連結片35とを設けている。つまり、これら第1連結片34及び第2連結片35を介して連結片部31Aと固定片部36とを連結した構成とされ、これら連結片部31A、各連結片34,35及び固定片部36によって、上下方向に見た状態において略W字状とされた連結固定具30Aを例示している。
【0044】
第1連結片34は、当該連結固定具30Aを固定部材本体20Aに連結した状態で、固定部材本体20Aを側板13Aの凹部15Aに嵌め込んだ際に、接合溝14の背面側の溝側面に当接または近接して、固定部材本体20Aの廻り止めとしても機能する。
連結片部31Aには、図4(b)及び図5(b)に示すように、固定部材本体20Aの挿入凹所22Aに挿入された状態で、固定部材本体20Aの止具挿通孔21Aに概ね一致する連結孔32Aが設けられている。本実施形態では、連結片部31Aに拡開部を設けておらず、この連結孔32Aの孔径は、止具3の径に対応した寸法とされている。また、連結片部31Aは、固定部材本体20Aの挿入凹所22Aに挿入されて固定部材本体20Aが側板13Aの凹部15Aに嵌め込まれた状態では、接合溝14の溝底面に沿うようにして当接または近接して配設される。
固定片部36には、上記同様の止具挿通孔37が設けられている。
【0045】
次に、上記構成とされた背板固定部材2Aを用いて背板10を側板13Aに固定する背板固定構造の組み付け手順の一例について説明する。なお、上記第1実施形態との相違点について主に説明し、同様の手順については、その説明を省略または簡略に説明する。
まず、図4(b)、(c)に示すように、背板固定部材2Aの固定部材本体20Aを側板13Aの凹部15Aに嵌め込むようにして固定する。この際、上記同様、連結固定具30Aを固定部材本体20Aに予め組み付けておくようにしてもよい。
次いで、図4(b)に示すように、固定部材本体20Aの止具挿通孔21A及び連結固定具30Aの連結孔32Aに、止具3を挿通し、捩じ込む(図5(a)も参照)。この止具3の捩じ込みを伴って、上述のように固定部材本体20Aの上下の拡開片部25,25が拡開し、凹部15Aの内周側面に食い込むようにして圧接する。
【0046】
次いで、図4(b)及び図4(d)に示すように、背板10の端部11を、側板13Aの接合溝14に嵌め込む。この状態では、上記同様、背板固定部材2Aの連結固定具30Aの固定片部36が、背板10の受部12の背面12aに沿うように配設された状態となる。次いで、連結固定具30Aの固定片部36の止具挿通孔37を介して止具3を受部12に捩じ込み、連結固定具30Aの固定片部36を背板10の受部12に固定する。また、キャップ部材27を固定部材本体20Aに取り付ける。このようにして、背板10が背板固定部材2Aを用いて側板13Aに固定される構造とされている。
なお、上記組み付け手順は一例であり、各部材及び各部の機能を阻害しない限りにおいて別手順でなされるようにしてもよい。
【0047】
上記構成とされた本実施形態に係る背板固定部材2A及びこれを用いた背板固定構造においても、上記第1実施形態と概ね同様の効果を奏する。
また、本実施形態では、拡開部25を固定部材本体20Aに設けているので、連結固定具側の構造の簡素化を図ることができる。
また、本実施形態では、固定部材本体20Aが嵌め込まれる凹部15Aを、接合溝14の前方側に設けているので、上記第1実施形態と比べて、凹部15Aの形成時や固定部材本体20Aの嵌め込み時等における側板13Aの後端部の割れ等を抑制することができる。
【0048】
なお、上記各実施形態では、背板10の端部11を側板13(13A)の接合溝14に嵌め込み、背板固定部材2(2A)を用いて背板10を側板13(13A)に固定した例を示しているが、背板固定部材2(2A)に加えて接着剤等を用いるようにしてもよい。これによれば、背板固定部材2(2A)を用いて背板10を側板13(13A)に固定できるので、接着剤が硬化するまで押さえたりすること等を不要とすることもできる。
また、上記各実施形態では、背板10の四隅近傍部位を、背板固定部材2(2A)を用いて背板固定板としての両側板13(13A)にそれぞれ固定した例を示しているが、背板10の四隅近傍部位に限られず、他の部位としてもよい。また、両側板13(13A)を背板固定板とする態様に限られず、天板16や底板18を背板固定板としてもよい。さらには、棚板や縦仕切板等を背板固定板としてもよい。この場合は、これら背板固定板としての各板に、上記同様の凹部を設けるようにすればよい。
【0049】
また、上記各実施形態において説明した互いに異なる構成を組み替えたり、または組み合わせたりして、適用するようにしてもよく、また、この場合は、各構成を必要に応じて変形するようにしてもよい。例えば、上記第1実施形態に係る拡開部と上記第2実施形態に係る拡開部とを組み替えて適用したりするようにしてもよい。
また、上記各実施形態では、固定部材本体20(20A)の止具挿通孔21(21A)に止具3が挿通されることによって拡開して凹部15(15A)の内周側面に圧接する拡開部33(25)を設けた例を示しているが、このような拡開部を設けないようにしてもよい。この場合は、固定部材本体20(20A)を、凹部15(15A)に圧入するようにして嵌め込むのみで、またはこれに加えて接着剤等で背板固定板に固定するようにしてもよい。また、固定部材本体20(20A)の止具挿通孔21(21A)を介して止具3を背板固定板に捩じ込むことで、固定部材本体20(20A)を背板固定板に固定する態様としてもよい。
また、上記各実施形態では、止具3の挿通によって固定部材本体20(20A)と連結固定具30(30A)とを連結した例を示しているが、このような態様に限られない。例えば、固定部材本体20(20A)の背面側面等にねじ等の止具や接着剤、溶接等によって連結固定具30(30A)の一端部(連結片部)を連結固定する態様としてもよい。
【符号の説明】
【0050】
1,1A 収納家具
2,2A 背板固定部材
3 止具
10 背板
11 背板の端部
12 背板の受部
12a 受部の背面
13,13A 側板(背板固定板)
14,17,19 接合溝
15,15A 凹部
16 天板(背板固定板)
18 底板(背板固定板)
20,20A 固定部材本体
21,21A 止具挿通孔
22,22A 挿入凹所
24A 外側部(拡開部)
25 拡開片部(拡開部)
30,30A 連結固定具
31 連結片部(一端部、拡開部)
31A 連結片部(一端部)
32,32A 連結孔
33 突出片(拡開部)
36 固定片部(他端部)
37 止具挿通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
背板固定板に形成された接合溝に端部が嵌め込まれる背板を該背板固定板に固定する収納家具の背板固定部材であって、
前記背板固定板の接合溝に隣接して形成された凹部に嵌め込まれるようにして固定される固定部材本体と、
この固定部材本体に、一端部が連結される一方、他端部側が前記背板の端部近傍で該端部よりも背面側に突出するように形成された受部の背面に沿うように配設され、かつ該他端部に前記背板の厚さ方向に貫通する止具挿通孔が設けられた連結固定具と、
を備えていることを特徴とする背板固定部材。
【請求項2】
請求項1において、
前記固定部材本体には、前記背板固定板の厚さ方向に貫通する止具挿通孔が設けられており、
前記固定部材本体の止具挿通孔に止具が挿通されることによって拡開して前記凹部の内周側面に圧接する拡開部を更に備えていることを特徴とする背板固定部材。
【請求項3】
請求項2において、
前記拡開部は、前記背板固定板の接合溝よりも深く形成された前記凹部の底面側の部位において拡開するように設けられていることを特徴とする背板固定部材。
【請求項4】
請求項2または3において、
前記固定部材本体には、前記連結固定具の一端部が挿入されるとともに当該固定部材本体の止具挿通孔に連通する挿入凹所が設けられており、
前記連結固定具の一端部には、前記挿入凹所に挿入された状態で前記固定部材本体の止具挿通孔に概ね一致する連結孔が設けられていることを特徴とする背板固定部材。
【請求項5】
請求項4において、
前記拡開部は、前記連結固定具の連結孔に止具が挿通されることによって拡開して前記固定部材本体の外周側面から突出する前記連結固定具の一端部に設けられた突出片であることを特徴とする背板固定部材。
【請求項6】
背板固定板に形成された接合溝に端部が嵌め込まれる背板を、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の背板固定部材を用いて前記背板固定板に固定する収納家具の背板固定構造であって、
前記背板固定板の接合溝に隣接して形成された凹部に前記背板固定部材の固定部材本体を嵌め込むようにして固定し、この固定部材本体に一端部が連結された前記背板固定部材の連結固定具の他端部側を、前記背板の端部近傍で該端部よりも背面側に突出するように形成された受部の背面に沿うように配設し、かつ該連結固定具の他端部に設けられた止具挿通孔に止具を挿通させて該連結固定具の他端部を前記背板の受部に固定する構造とされていることを特徴とする背板固定構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−87941(P2013−87941A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−232498(P2011−232498)
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】