説明

自動ドア装置

【課題】ドアがアンロック状態で運転者等が荷物を持ったままでもドアを開閉操作できるようにする。
【解決手段】開閉駆動手段を介して設けられる開閉可能な一側ドア5、他側ドア10と、この一側ドア5、他側ドア10に設けられるドアロック手段と、携帯型の送信機16と、送信機16から送信された電波を受信するアンテナ17を有する受信機と、開閉駆動手段の開閉用一側手動スイッチ12、開閉用他側手動スイッチ13を設けた制御装置とを備える。制御装置は、受信機の電波によりドアロック手段をロック状態又はアンロック状態とするドアロック制御手段と、アンロック状態で開閉用一側手動スイッチ12、開閉用他側手動スイッチ13が開閉駆動手段11を作動可能となるドア開閉駆動制御手段を備える。ロック状態で開閉用一側手動スイッチ12、開閉用他側手動スイッチ13が開閉駆動手段を作動不能となるようにインターロックを作用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貨物自動車などの自動ドア装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ワイヤレスドアロック装置(謂所、キーレスエントリ装置)が用いられ、これによって車両のドアのロック(施錠)及びアンロック(解錠)が行なわれるようになってきた。このようなワイヤレスドアロック装置は車両に設けた制御手段と、運転手又は同乗者(以下運転者等という)が所持する携帯型の送信機とから構成され、運転者等が所持する発信機によって車両から離れた位置で車両のドアロック及びアンロックを可能としている(例えば特許文献1)。
【0003】
このようなワイヤレスドアロック装置を有する貨物自動車等の車両においては、ドアのロック、アンロックを自動で行うことができたとしても、ドアの開閉が手動である場合には、運転者等が荷物を両手で持っている場合には荷物を降ろさなければ手動でドアを直接開閉しなければならない。
【0004】
このような問題を解決する手段としては、運転者等が所持する発信機によって車両から離れた位置で車両のドアロック及びアンロックの他に、アンロックと同時にドアの自動開閉を行うことが考えられる。
【特許文献1】特開2003−41823号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のようなロック及びアンロックの他に、ドアの自動開閉を行うものでは、アンロック状態であっても不用意にドアが開いてしまう虞があり、荷物が盗難にあうなど保管性が劣ってしまう。
【0006】
解決しようとする問題点は、運転者等が所持する発信機によってドアから離れた位置でドアのロック及びアンロックをできるようにすると共に、アンロック状態で運転者等が荷物を持ったままでもドアを開閉操作できるようにする点である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、開閉駆動手段を介して設けられる開閉可能なドアと、このドアに設けられるドアロック手段と、携帯型の送信機と、前記送信機から送信された電波を受信するアンテナを有する受信機と、前記開閉駆動手段の手動開閉スイッチを備えた制御装置とを備え、前記制御装置は、前記受信機の電波により前記ドアロック手段をロック状態又はアンロック状態とするドアロック制御手段と、前記アンロック状態で前記手動開閉スイッチが前記開閉駆動手段を作動可能となるドア開閉駆動制御手段を備えることを特徴とする自動ドア装置である。
【0008】
請求項2の発明は、前記手動開閉スイッチが前記ドア又は該ドアの近傍箇所に設けられていることを特徴とする請求項1記載の自動ドア装置である。
【0009】
請求項3の発明は、前記ドアが貨物自動車の荷箱に設けられたことを特徴とする請求項1又は2記載の自動ドア装置である。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、送信機を携帯した運転者等がアンテナに近づいてドアのロックが解除され、そして運転者等が手動スイッチを操作することで、ドアを自動的に開成するようにしたことで、運転者等がアンテナより遠ければドアはロック状態にあり、一方運転者等がアンテナに近くともドアは勝手に開成することはなくなる。
【0011】
請求項2の発明によれば、ドアの近傍で手動スイッチを手動操作することで、ドアの近傍の状況を把握してドアを自動で開閉成することができる。
【0012】
請求項3の発明によれば、宅配の運転者D等の荷作業の軽減化を図れ、さらに荷箱内の荷物の盗難なども確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明における好適な実施の形態について、添付図面を参照して説明する。尚、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。
【実施例】
【0014】
以下、本発明の一実施例につき、図を参照して説明する。なお、本実施例では、ワイヤレスドアロック装置を貨物自動車1に搭載された貨物庫等と称せられる荷箱2の後部開口を開閉する後側ドア(扉)たるリアドア3に適用した場合を例として説明する。リアドア3は、後部開口に設けられた取り付け枠4の左右方向の中央部を中央境3Aとして左右に2分割された観音開き式であって、この左右両側のドアは、それぞれ二つ折りできるように中央部に分割境5Aが設けられている。このため左側である一側ドア5においては、中央境3A側に配置される内側分割ドア部6と、この内側分割ドア部6に分割境5Aを介して屈曲自在に連結されると共に外側分割ドア部7とからなり、この外側分割ドア部7の一側は取り付け枠4の一側部に一側ヒンジ8を介して水平回動自在に接続している。また、内側分割ドア部6と外側分割ドア部7とは中間ヒンジ9により水平回動自在に接続している。尚、内側分割ドア部6と外側分割ドア部7の折畳み状態にあっては中間ヒンジ9が外方に突設せず庫内に挿入するように谷折りするようになっている。右側である他側ドア10も取り付け枠4の他側部に同様に設けられている。
【0015】
そして、リアドア3にはドアを開閉するための開閉駆動手段11を設ける。この開閉駆動手段11は電動、空気圧或いは油圧等のアクチュエータを備えており、このアクチュエータに連動して一側ドア5と他側ドア10とが連動して開閉するようになっている。実施例では一側ドア5及び他側ドア10にそれぞれ同時に開閉作動する開閉駆動手段11が設けられている。
【0016】
さらに、取り付け枠4の一側部と他側部には開閉駆動手段11、ひいては一側ドア5及び他側ドア10を同時に作動するための開閉用一側手動スイッチ12、開閉用他側手動スイッチ13が設けられている。これら開閉用一側手動スイッチ12、開閉用他側手動スイッチ13は、後ろ向きに設けられた縦長な操作部14は押圧式であって、操作部14が手動で押圧されることで、オン、オフを繰り返すものである。尚、開閉用一側手動スイッチ12、開閉用他側手動スイッチ13は、荷Aを持った状態の運転者D等が手や腕が届く範囲、具体的には荷箱2の床の高さから荷箱2の天井高さまでの範囲内に開閉用一側手動スイッチ12、開閉用他側手動スイッチ13が設けられる。また開閉用一側手動スイッチ12、開閉用他側手動スイッチ13の手動操作は手や腕のみでなく足など体の一部であればどこでもよく、さらに直接接触するものではなく例えば手や体自体を近づけるだけで切り替わるようなや光式、電磁波式、静電容量式などの近接式を含むものである。
【0017】
また、一側ドア5及び他側ドア10の両方又は片側に、ドアを施錠するドアロック手段15が設けられている。尚、ドアロック手段15が一側ドア5か他側ドア10の片側にある場合には、ドアロック手段15が一方のドア側を開かないと他側のドアが開かない構造となっている。ドアロック手段15は例えば電動アクチュエータ(図示せず)を備え、この電動アクチュエータによってドアロック手段15のロック・アンロックを選択的に行うようにしている。このドアロック手段15は、運転者D等が携帯する送信機16によって作動する。この送信機16は、送信機16毎に異なる固有のIDコードを送信するようになっており、後述するように降車中において送信機16を携帯した運転者D等が荷箱2、ひいてはリアドア3の近傍の屋根や取り付け枠4などに設けられたアンテナ17に近づくとドアロック手段15はアンロック状態となり、一方離れるとロック状態に切り替わるようになっている。さらに送信機16には手動スイッチ手段たるロック(施錠)スイッチ18とアンロック(開錠)スイッチ19の他にLED式のランプ20が設けられている。したがって、アンテナ17から遠い位置からロックスイッチ18を操作することによって送信機16を作動させ送信機16から電波を送信して強制的にロック状態にでき、一方ロックスイッチ19を操作すると強制的にアンロック状態とすることができるようになっている。尚、このようなロックスイッチ18とロックスイッチ19の操作時にはランプ20が誤作動防止のために点灯するようになっている。
【0018】
次に貨物自動車1に搭載される制御装置21について説明する。制御装置21には、送信機16からの電波を受信するアンテナ7に接続した受信機22が設けられている。そして、受信機22にはエリア判定手段23を設けると共に、このエリア判定手段23にはエリア設定手段24が接続おり、エリア判定手段23に制御手段25が接続している。したがって、送信機16からアンテナ7までの距離と、エリア設定手段24によって設定された範囲(距離)とをエリア判定手段23が比較して送信機16からアンテナ7までの距離がエリア設定手段24によって設定された範囲の距離よりも大きいと制御手段25を介してドアロック手段15をロック状態とし、一方送信機16からアンテナ7までの距離がエリア設定手段24によって設定された範囲の距離よりも小さいとドアロック制御手段25を介してドアロック手段15をアンロック状態とするようになっている。さらに、開閉用一側手動スイッチ12、開閉用他側手動スイッチ13がそれぞれドア開閉駆動制御手段26に接続されている。そして、ドア開閉駆動制御手段26には開閉駆動手段11が接続している。
【0019】
前記ドアロック制御手段25においては、送信機16が上述のエリア内に入るとドアロック手段15がアンロック状態からロック状態へ切り替わる。尚、ロックスイッチ18、ロックスイッチ19を手動操作することでこれを受信機22に送信してドアロック手段15を強制的にロック状態、アンロック状態とすることができる。そして、アンロック状態において開閉スイッチを手動操作すると、このオン作動を制御手段25が検知してドア開閉手段を作動して、一側ドア5及び他側ドア10を開成する。尚、この開成は一側ドア5及び他側ドア10を内側に引き込むことで、内側分割ドア部6と外側分割ドア部7が谷折りして内側に収納できるようになっている。
【0020】
そして、再び開閉用一側手動スイッチ12又は開閉用他側手動スイッチ13を手動操作すると、このオフ作動をドア開閉駆動制御手段26が検知して開閉駆動手段11を作動して、一側ドア5及び他側ドア10を閉成する。さらに、送信機16がアンテナ17より前記エリアより離れるとこれをアンテナ17が受信すると共に、エリア判定手段23、エリア設定手段24によりドアロック制御手段25を介してドアロック手段15を作動せしめてロック状態とする。
【0021】
尚、図中27,28,29は取り付け枠4の両側下部に設けたリアブレーキランプ、リア方向指示用ランプ、バック用ランプであり、これらの上方に開閉用一側手動スイッチ12、開閉用他側手動スイッチ13が配置されている。
【0022】
次に前記構成について運転者D等が荷箱2に荷物を搬入する場合について説明する。一側ドア5及び他側ドア10はロック状態で閉成している状態で、送信機16を携帯した運転者D等が降車して荷物Aを受け取ってアンテナ17、ひいては荷箱2に近づくと、送信機16からの送信をアンテナ17が受信して運転者D等が近づいていることを認識すると共に、送信機16とアンテナ17との距離がエリア設定手段24によるエリアよりも近くなるとドアロック制御手段25を介してドアロック手段15がアンロック状態となる。次に運転者D等は開閉用一側手動スイッチ12又は開閉用他側手動スイッチ13を手動で押圧することで、ドア開閉駆動制御手段26がこれを検知し開閉駆動手段11を作動して一側ドア5及び他側ドア10を開成する。このような開成状態で荷物Aを荷箱2に収納する。
【0023】
尚、アンロック状態で開閉用一側手動スイッチ12、開閉用他側手動スイッチ13が開閉駆動手段11を作動可能となるようにする。すなわち、アンロック状態で開閉用一側手動スイッチ12、開閉用他側手動スイッチ13を操作すると開閉駆動手段11が作動して一側ドア5、他側ドア10が開閉成できるように制御され、一方ロック状態では開閉用一側手動スイッチ12、開閉用他側手動スイッチ13を操作しても開閉駆動手段11を作動しないようにインターロックがかかる制御がなされる。したがって、開閉用一側手動スイッチ12、開閉用他側手動スイッチ13の操作はアンロック状態のみで有効となる。
【0024】
荷物Aの収納後においては、運転者D等が再び開閉用一側手動スイッチ12又は開閉用他側手動スイッチ13を手動で押圧することで、ドア開閉駆動制御手段26がこれを検知し開閉駆動手段11を作動して一側ドア5及び他側ドア10を閉成する。そして運移転者等が荷箱2より離れて乗車しようとすると、送信機16からの送信をアンテナ17が受信して運転者D等が遠ざかることを認識すると共に、送信機16とアンテナ17との距離がエリア設定手段24によるエリアよりも遠くなるとドアロック制御手段25を介してドアロック手段15がロック状態となる。
【0025】
以上のように、前記実施例では開閉駆動手段11を介して設けられる開閉可能な一側ドア5、他側ドア10と、この一側ドア5、他側ドア10に設けられるドアロック手段15と、
携帯型の送信機16と、送信機16から送信された電波を受信するアンテナ17を有する受信機22と、開閉駆動手段11の開閉用一側手動スイッチ12、開閉用他側手動スイッチ13を備えた制御装置21とを備え、この制御装置21は、受信機22の電波によりドアロック手段15をロック状態又はアンロック状態とするドアロック制御手段25と、アンロック状態で開閉用一側手動スイッチ12、開閉用他側手動スイッチ13が開閉駆動手段11を作動可能となるドア開閉駆動制御手段26を備えるようにし、これによりロック状態で開閉用一側手動スイッチ12、開閉用他側手動スイッチ13の操作があっても開閉駆動手段11が作動しないようにインターロックされる。したがって、運転者D等が一側ドア5又は及び他側ドア10に近づくとドアロック制御手段25によりドアロック手段15がロック状態からアンロック状態となり、さらに運転者D等が開閉用一側手動スイッチ12、開閉用他側手動スイッチ13を操作することでドア開閉駆動制御手段26により開閉駆動手段11を介して一側ドア5及び他側ドア10を手動で一側ドア5又は及び他側ドア10を直接操作しなくても自動で開成することができる。同様に一側ドア5及び他側ドア10を閉成するときにも運転者D等が開閉用一側手動スイッチ12、開閉用他側手動スイッチ13を操作することでドア開閉駆動制御手段26により開閉駆動手段11を介して一側ドア5及び他側ドア10を自動で閉成することができる。
【0026】
また、開閉用一側手動スイッチ12、開閉用他側手動スイッチ13が一側ドア5又は他側ドア10の近傍箇所である取り付け枠4に設けられていることにより、一側ドア5又は及び他側ドア10の近傍に運転者D等が移動することで、ドアロック手段15がアンロック状態となると共に、直ちに開閉用一側手動スイッチ12、開閉用他側手動スイッチ13を操作できる状態となり、この結果運転者D等は開閉用一側手動スイッチ12、開閉用他側手動スイッチ13を操作し、これにより一側ドア5、他側ドア10が開成した直後に荷物Aを荷箱2内に搬入することができる。
【0027】
さらに、前記の一側ドア5及び他側ドア10が頻繁に荷物Aの出し入れが行われる宅配用の貨物自動車の荷箱2に設けられたことにより、宅配の運転者D等の荷作業の軽減化を図ると共に、荷箱2内に収納されている荷物Aの盗難なども確実に防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
以上のように本発明に係る自動ドア装置は、各種の用途に適用できる。開閉用一側手動スイッチ、開閉用他側手動スイッチを、一側ドア、他側ドアに装着したものでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施例1を示すドアの閉成状態の斜視図である。
【図2】同ドアの開成状態の斜視図である。
【図3】同送信機の斜視図である。
【図4】同ブロック図である。
【図5】同流れ図である。
【符号の説明】
【0030】
2 荷箱
4 取り付け枠
5 一側ドア
10 他側ドア
11 開閉駆動手段
12 開閉用一側手動スイッチ
13 開閉用他側手動スイッチ
15 ドアロック手段
16 送信機
17 アンテナ
21 制御装置
22 受信機
25 ドアロック制御手段
26 ドア開閉駆動制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉駆動手段を介して設けられる開閉可能なドアと、
このドアに設けられるドアロック手段と、
携帯型の送信機と、
前記送信機から送信された電波を受信するアンテナを有する受信機と、
前記開閉駆動手段の手動開閉スイッチを備えた制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記受信機の電波により前記ドアロック手段をロック状態又はアンロック状態とするドアロック制御手段と、前記アンロック状態で前記手動開閉スイッチが前記開閉駆動手段を作動可能となるドア開閉駆動制御手段を備えることを特徴とする自動ドア装置。
【請求項2】
前記手動開閉スイッチが前記ドア又は該ドアの近傍箇所に設けられていることを特徴とする請求項1記載の自動ドア装置。
【請求項3】
前記ドアが貨物自動車の荷箱に設けられたことを特徴とする請求項1又は2記載の自動ドア装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2009−228291(P2009−228291A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−74525(P2008−74525)
【出願日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【出願人】(000154912)株式会社北村製作所 (20)
【Fターム(参考)】