説明

自動充填包装機

【課題】 帯状の合成樹脂フィルムから筒状フィルムを形成し、該フィルム内に流動可能な内容物を充填し、合成樹脂線材を超音波融着して封止して筒状包装体を得る自動充填包装機において、封止切断工程を効率よく行う構成を提供する。
【解決手段】 封止切断工程を行う手段を備えた封止切断ユニット50a、50bをイコーライズアーム40の端部にそれぞれ連結し、該イコーライズアーム40を揺動アーム22を備えたオシレーティングドライブ20によって揺動運動させることにより、2個の封止切断ユニット50a、50bを互い違いに上下動させ、封止切断工程を交互に行わせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯状の合成樹脂フィルムから成形した筒状フィルム内に、液状或いは練り状食品といった流動可能で不定形な食品等を充填し、所定長さの筒状包装体を形成する自動充填包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
漬け物やチーズ、ソーセージといった液状或いは練り状食品など、流動性を有する食品の包装形態として、帯状の合成樹脂フィルムの側端部同士を重ねて融着した筒状フィルム内に上記食品或いはその原料や中間体を充填し、該フィルムの両端部を封止してなる帯状包装体が広く知られている。
【0003】
このような包装体の包装作業は、一般に自動化されている。当該自動充填包装機においては、帯状の合成樹脂フィルムを繰り出しながら側端部同士を融着させて筒状フィルムを形成し、該筒状フィルム内に内容物を充填して筒状体を形成し、所定の間隔で該筒状体の内容物をしごいて押しのけ、押しのけた部分で筒状体を封止材により封止し、フィルムを切断する。
【0004】
図9に、一般的な自動充填包装機の構成を模式的に示す。
【0005】
この自動充填包装機101は、食品等の内容物を充填した筒状包装体102を形成(製造)するものであり、搬送装置103、筒状フィルム成形装置105、充填装置106、しごき装置107、封止切断装置108、制御装置109等を、その本体111及び基台112に備えている。
【0006】
この自動充填包装機101は、原反ロール118から繰り出した帯状の合成樹脂フィルム110をローラ群を介してフォルダ120まで送り、フォルダ120の所では帯状フィルム110の両縁を供給パイプ122の外周で折り重ねて筒状にすると共に、重ね部位を高周波シール装置121により融着させて筒状フィルム113とし、供給パイプ122の外周に垂れ下がる状態とした内部に、供給ポンプ123により例えばソーセージ原料等の内容物を供給して筒状体114を形成し、そして、しごき装置107により内容物をしごき寄せて、筒状フィルム113に封止領域を形成し、該封止領域を封止切断装置108により封止してその近辺を切断し、所定形状の筒状包装体102を得る構成となっている。
【0007】
充填装置106は、本体111の上部に設けられた供給ポンプ123と、その駆動モータ125を有し、ポンプ起動により、供給ポンプ123の吸い込み側に接続された供給管124を介して供給される内容物を、供給ポンプ123の排出側に接続した供給パイプ122から排出するものとなっている。供給パイプ122から排出される内容物は、供給パイプ122の外周を包む状態の筒状フィルム113内に充填されることになる。
【0008】
筒状フィルム成形装置105は、供給パイプ122の上部に設けられたフォルダ120と、供給パイプ122と対向して設けられた高周波シール装置121とを有している。
【0009】
搬送装置103は、供給パイプ122の下方に設けられた一対のフィードロール115と、これを回転駆動する駆動モータ116とを有し、上記筒状フィルム113をフィードロール115で挟んで搬送するものとなっている。この搬送装置103により、原反ロール118に巻き取り収納したフィルム110はローラ群を介して所定経路に連続して引き出されることになる。
【0010】
しごき装置107は、フィードロール115の下方に設けられた一対のピンチローラ130と、このピンチローラ130を筒状体114に対して進退させるピンチ装置131を有するもので、ピンチ装置131の駆動により、筒状体114をピンチローラ130で挟み付ける動作を所定周期で繰り返すことにより、筒状体114の所定部位をしごき、内容物を押しのけた封止領域を形成するものとなっている。また、このピンチローラ130は、駆動モータ116と連結させてあり、筒状体114の走行に同調して回転するものとなっている。
【0011】
封止切断装置108は、しごき装置107の下方に配置した密封箱132に内蔵されている。この封止切断装置108は、基台112内に設けられた駆動モータ136の駆動により、回転軸135を介して駆動され、筒状体114の内容物をしごき装置107で押しのけた封止領域の上下2箇所を間隔をあけて封止し、且つ、当該封止部位の中間部を切断する構成である。封止切断装置108は、駆動モータ136によって回転軸135が回転すると、この回転軸135の上端部に設けられたクランク機構によって筒状体114に対して往復動作されるものとなっている。切り離された包装体102は本装置から落下排出されることになる。
【0012】
密封箱132は、本体111下側の基台112から突き出るロッド133で支持されており、基台112内の昇降機構134によりロッド133が進退されることで、昇降動作されるものとなっている。昇降機構134の入力側には、駆動モータ136が連結されており、この駆動モータ136により昇降機構134の駆動を行う構成となっている。
【0013】
制御装置109は、本体111の側部に配置し、搬送装置103、筒状フィルム成形装置105、充填装置106、しごき装置107、封止切断装置108等の各部を連続的に順次動作させる同調制御を行うものである。
【0014】
従来、筒状包装体の封止には、封止材としてアルミニウム線材が用いられていた。しかしながら、アルミニウム線材を用いて封止した筒状包装体は、包装後に金属探知器による金属夾雑物の検査を実施することができない。そこで、本出願人は、合成樹脂線材を用いた自動充填包装機を提示した(例えば、特許文献1参照)。
【0015】
【特許文献1】特開2002−2630号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、合成樹脂線材を超音波印加等によって融着させて封止する場合、合成樹脂線材を十分に融着させた上、冷却して固定する工程は、アルミニウム線材を用いて封止する工程に比較して工程時間が長い。そのため、当該工程が包装効率を上げる上で妨げとなっていた。
【0017】
本発明の課題は、上記問題を解決することにあり、合成樹脂線材を超音波印加によって融着させて封止する自動充填包装機において、効率よく封止切断工程を行いうる構成を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の自動充填包装機は、帯状の合成樹脂フィルムを所定経路に連続して繰り出す搬送装置と、
前記搬送装置によって引き出された合成樹脂フィルムの側端部同士を重ねて融着して筒状に成形する筒状フィルム成形装置と、
該筒状フィルムの内部に内容物を充填して筒状体を形成する充填装置と、
前記筒状体を所定の間隔でしごいて内容物を押しのけ、封止領域を形成するしごき装置と、
前記封止領域の2箇所において合成樹脂線材により封止し、該2箇所の封止部間でフィルムを切断する封止切断装置とを備えた自動充填包装機において、
前記封止切断装置が、
封止領域のフィルムを集束する2組の集束手段と、ホーン及びアンビルからなる2組の超音波印加手段と、フィルムを切断するフィルム切断手段とを備え、上下動可能な2個の封止切断ユニットと、
長さ方向中央部を中心に所定の角度で揺動運動し、長さ方向の両端部にそれぞれ上記封止切断ユニットが連結されたイコーライズアームと、
一端が上記イコーライズアームの中心部から所定の距離をおいた位置に摺動可能に連結され、他端を中心に揺動運動する揺動アームを備えたオシレーティングドライブと、
を有し、
前記オシレーティングドライブの揺動アームを所定の角度で揺動することにより、前記イコーライズアームを介して前記2個の封止切断ユニットを互い違いに上下させ、上記筒状フィルムの封止切断工程を各ユニットが交互に行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明においては、イコーライズアームに取り付けた2個の封止切断ユニットが交互に封止切断工程を行い、且つ、フィルムの移動に沿って当該ユニットが移動するため、従来に比べて包装速度を大幅に向上させることができる。しかも、2個の封止切断ユニットはイコーライズアームで一体化されているため、各ユニットの工程のタイミングの制御が容易である。よって、本発明によれば包装効率の高い自動充填包装機が提供され、封止材として合成樹脂線材を用いた筒状包装体をより効率よく包装することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1に、本発明の自動充填包装機の基本構成を示す。図中、1はフィードポンプ、2は充填ノズル、3は製筒装置、4は原反ロール、5は合成樹脂フィルム、6は電極、7は被包装物、8はフィードロール、9はピンチローラ、10は封止切断ユニット、11a、11b、12a、12bは集束板、13はホーン、15はアンビル、14a、14b、16a、16bは合成樹脂線材、17は溶断用突起、18は超音波装置である。
【0021】
図1の装置において、原反ロール4から帯状の合成樹脂フィルム5を繰り出し、ピンチローラ9で内部の被包装物7を押しのけて封止領域を形成するまでの操作は、先に示した図9の自動充填包装機と同様である。本発明では、図9の封止切断装置以降の構成が異なり、当該構成に特徴を有する。
【0022】
本発明においては、図1に示すように、封止切断装置が超音波装置18を備え、合成樹脂線材に超音波を印加して封止を行う。図2に、図1の封止切断ユニット10の拡大斜視図を示す。尚、図2において、ホーン13が付設されている超音波装置18を便宜上省略する。
【0023】
図2において、集束板11a、11b、12a、12bは、被包装物7を押しのけた領域のフィルムを集束する手段であって、本例では図2に示すように、入り口が最も広く、奥になるほど狭い開口部を有し、11aと11b、12aと12bとがそれぞれ開口部を対向させて、上下方向でずれて平行に配置している。従って、フィルムを両側から挟むように互いにフィルムに向かって前進させることにより、図3に示すように、フィルムを絞ってフィルム集束部19を形成することができる。尚、集束手段は図2に示す形態に限定されるものではなく、同様の作用を有するものであれば、どのような手段であっても構わない。
【0024】
このように集束したフィルム集束部19に超音波を印加し、溶断すると同時に溶断部のフィルムを融着一体化し、同時に、該溶断部の前後においてフィルム集束部19を合成樹脂線材で挟み込み、融着させる。
【0025】
図1に示すように、本例の包装機は、超音波印加手段として、ホーン13が付設された超音波装置18と、該ホーン13に対向するアンビル15を備えている。また、アンビル15のホーン13との対向面には、フィルム集束部19の進行方向中央部において、フィルム集束部19の進行方向に直交する直線状の溶断用突起17を備えている。また、アンビル15内には、突起17による溶断時の衝撃を吸収するための吸収装置及び溶断力を調整するための調節装置が設けられている(いずれも不図示)。溶断時には、ホーン13とアンビル15間に超音波を印加しつつ、突起17をホーン13の対向面に接触させることにより、フィルム集束部19を溶断し、同時に、溶断部のフィルムを融着一体化する。
【0026】
また、上記溶断と同時に、突起17の前後において、ホーン13により合成樹脂線材14aと16aを、アンビル15により合成樹脂線材14bと16bとを供給し、合成樹脂線材14aと14b、16aと16bとでそれぞれフィルム集束部19を挟み込み、超音波印加により接触する端部同士を融着させて封止する。
【0027】
尚、図1,図2にはフィルムの切断手段として超音波溶断を用いた構成を示したが、本発明においては、加熱溶断や切断刃を用いた物理的な切断手段も用いることができる。
【0028】
さらに、図1,図2には、合成樹脂線材を2本用い、該2本の間にフィルムを挟持して封止する形態を示したが、本発明においては合成樹脂線材1本をU字形に成形し、該U字内にフィルム集束部19を収納した後、該U字の両端を互いに接触させて超音波を印加し、接触する端部同士を融着させて封止しても良い。
【0029】
図6に本発明による筒状包装体の全体図を、図7に合成樹脂線材2本を用いて封止した封止部の部分拡大図を、図8に合成樹脂線材1本を用いて封止した封止部の部分拡大図を示す。図7,図8において(a)は斜視図、(b)はフィルムの長さ方向に直交する封止部の断面模式図である。図中、61は合成樹脂フィルム、62は融着部、63は封止材、71、71a、71bは合成樹脂線材、72は融着部、74は合成樹脂フィルムである。
【0030】
本発明の如く、合成樹脂線材に超音波を印加して融着させる場合、該線材の端部同士の接触部が十分に融着して一体化するまでに所定の時間が必要であり、当該時間を稼ぐために、封止切断ユニット10をフィルムの移動に沿って下方に移動させながら当該工程を実施する。そのため、下方に移動した封止切断ユニット10を次の部位の封止切断工程のために上方に移動する時間が実質的に無駄な時間となってしまう。本発明では、封止切断ユニットを2個用い交互に封止切断工程を行うことにより、当該無駄な時間を排除し、2倍の速度で当該工程を実施したものである。
【0031】
図4に本発明の自動充填包装機の封止切断装置の好ましい実施形態の斜視図を、図5に図4の構成の分解斜視図を示す。図中、20はオシレーティングドライブ、21は架台、22は揺動アーム、23は揺動軸、24は連結部材、30はクランクアーム、31はスリット、32は固定部材、40はイコーライズアーム、41a、41bは連結部材、42a、42bはレール、43は揺動軸、50a、50bは封止切断ユニット、51a、51bは連結部材、52a、52bはレールである。
【0032】
本発明にかかる封止切断装置は、上下動可能な2個の封止切断ユニット50a、50bと、揺動アーム22を備えたオシレーティングドライブ20と、イコーライズアーム40とを少なくとも備えている。
【0033】
図4、図5において、便宜上、直方体で示した封止切断ユニット50a、50bは図1,図2に示したように、それぞれ、2組の集束手段と、ホーン及びアンビルからなる2組の超音波印加手段と、切断手段とを備え、フィルム集束部の中央部を切断すると同時に、その前後2箇所において合成樹脂線材を超音波融着させて封止しうる構成を備えている。図1,図2の構成では、2組のホーン及びアンビルを切断手段も含めて一体化した構成を示しているが、本発明では特にこれに限定されるものではない。
【0034】
オシレーティングドライブ20は、揺動アーム22を備え、該揺動アーム22は一端が揺動軸23に取り付けられ、該揺動軸23を中心に所定の角度で揺動運動し、その結果、他端の連結部材24が矢印Bのように所定の円弧上を往復運動する。
【0035】
揺動アーム22の他端の連結部材24は、本例においてはクランクアーム30に設けたスリット31に摺動可能に連結され、該クランクアーム30の固定部材32がイコーライズアーム40の長さ方向の中央部の揺動軸43に固定されている。従って、揺動アーム22の連結部材24の動きは、イコーライズアーム40の中央部から所定の距離をおいた部位に伝達され、イコーライズアーム40はこれにより揺動軸43を中心に所定の角度で揺動運動する。
【0036】
イコーライズアーム40の長さ方向の両端にはそれぞれ封止切断ユニット50a、50bが連結されている。本例においては、イコーライズアーム40の両端にそれぞれ、該イコーライズアーム40の長さ方向にレール42a、42bが固定されており、該レール42a、42bに摺動可能に連結部材41a、41bが嵌合され、さらに該連結部材41a、41bが封止切断ユニット50a、50bに連結されている。一方、封止切断ユニット50a、50bにはそれぞれ連結部材51a、51bが取り付けられており、自動充填包装機本体に鉛直方向に取り付けられたレール52a、52bに該連結部材51a,51bが摺動可能に嵌合されている。よって、イコーライズアーム40の揺動運動により、該イコーライズアーム40の両端がそれぞれ所定の円弧上を往復運動すると、該両端の往復運動は連結部材41a、41bを介して封止切断ユニット50a、50bに伝わる。ここで、封止切断ユニット50a、50bはそれぞれ連結部材51a、51bを介してレール52a、52bに連結され、水平方向の位置が固定されているため、イコーライズアーム40の両端に固定されたレール42a、42bに沿って連結部材41a、41bが該イコーライズアーム40の長さ方向(矢印C方向)に直線運動することによって、上記円弧の水平方向の移動分を吸収し、鉛直方向の移動分のみが封止切断ユニット50a、50bに伝わって、該ユニット50a、50bは矢印D方向に上下運動する。
【0037】
本発明においては、2個の封止切断ユニット50a、50bはそれぞれイコーライズアーム40の端部に連結されているため、互い違いに上下すると同時に、全く同じタイミングで且つ逆方向に上下動する。よって、本発明において封止切断ユニット50aと50bの上下動のタイミングや速度はイコーライズアーム40の揺動運動を制御するだけで良い。
【0038】
図5の構成においては、オシレーティングドライブ20が、架台21上でイコーライズアーム40の長さ方向に平行な方向(矢印A方向)に移動可能であり、同時に、揺動アーム22の連結部材24がクランクアーム30のスリット31内を移動して、イコーライズアーム40上の、揺動アーム22の揺動運動の伝達位置を変更することが可能である。よって、オシレーティングドライブ20を矢印A方向に移動させて、スリット31内の連結部材24の位置を変更することにより、オシレーティングドライブ22における揺動アーム22の揺動角度を変更することなく、イコーライズアーム40の揺動角度を変更し、封止切断ユニット50a、50bの上下動の移動距離を容易に変更することができる。
【0039】
尚、図5の構成では、封止切断ユニット50a、50bは水平方向の位置が固定されているため、各ユニットにおいてホーンやアンビル、切断手段がフィルム集束部に向かって進退する構成を付しておくことによって、各手段を所望の位置に移動させることができる。また、イコーライズアーム40の両端の円弧上の往復運動をそのまま封止切断ユニット50a、50bに伝達して、該封止切断ユニット50a、50bを円弧状に上下運動させる場合にも、水平方向の位置制御は、各ユニットに適宜進退手段を付して行えばよい。
【0040】
また、図5の構成では、クランクアーム30を用いて揺動アーム22の揺動運動をイコーライズアーム40に伝達しているが、本発明ではこれに限定されるものではなく、揺動アーム22の連結部材24をイコーライズアーム40に直接連結させても構わない。例えば、図5のクランクアーム30のスリット31をイコーライズアーム40に形成しておけば、直接揺動アーム22でイコーライズアーム40を揺動させることができる。
【0041】
また、封止切断するフィルム集束部は等速度で下方に移動するため、封止切断ユニット50a、50bも封止切断工程で下方に移動する際には、これに対応して等速度で移動するように揺動アーム22の揺動運動を制御することが重要である。
【0042】
本発明の自動充填包装機に用いられる合成樹脂線材としては、超音波融着が可能な素材であれば用いることができるが、好ましくは、超音波適性の高い熱可塑性樹脂と、それよりも軟化温度の低い熱可塑性樹脂との混合物、或いは共重合物が挙げられる。具体的には、塩化ビニリデン(VDC)と塩化ビニル(VC)との共重合体(VDC・VC共重合体)やVDCとメチルアクリレートとの共重合体(VDC・MA共重合体)、ブタジエンを加えたハイインパクトポリスチレン(HIPS)が挙げられ、VDC・VC共重合体における好ましい質量組成比はVDC/VC=70/30〜98/2であり、VDC・MA共重合体における好ましい質量組成比は、VDC/MA=85/15〜98/2である。
【0043】
上記超音波適性として、結晶性よりも非晶性である(溶けやすい)、純度が高い、ヤング率が高い、軟化温度が低い、といった要因が挙げられる。ポリ塩化ビニリデン(PVDC)はヤング率が高いなど超音波適性に優れているものの、結晶性であるため、やや溶けにくい。一方、ポリ塩化ビニル(PVC)は非晶性で溶けやすく、軟化温度も低い。そのため、VDC・VC共重合体では、VDCが発熱してVCが溶けるという望ましい状態が形成されることになる。また、HIPSについては、ポリスチレン(PS)単独でも上記超音波適性に優れるが、軟化温度の低いブタジエンを加えることでさらに融着効果が高まる。
【0044】
本発明において用いられる合成樹脂フィルムは、側端部同士を融着させることができ、包装後に良好な密封性を有するものであれば特に素材は限定されないが、具体的には、上記合成樹脂線材と同様のVDC・VC共重合体やVDC・MA共重合体やHIPS、また、PVDC、PVC、ナイロン(Ny)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等が用いられ、単層フィルムでも復層フィルムであっても良い。
【0045】
本発明においては、リサイクル及び超音波適性において、合成樹脂フィルムと合成樹脂線材は同じ素材を用いる事が望ましい。また、本発明の自動充填包装機は内容物が食品以外の場合にも好ましく適用されるが、内容物が食品の場合には、包装後に加熱処理を施すものが多いため、耐熱性を備えた素材を選択することが望ましい。
【0046】
本発明の自動充填包装機に用いられる合成樹脂線材の断面形状は特に限定されるものはないが、常に同じ封止強度を得る上では円形が好ましい。また、通常の食品の包装において、直径は1〜5mm程度が好ましく、切断時の長さは6〜24mm程度が好ましい。また、合成樹脂線材に印加される超音波の周波数は、15〜40kHz程度であり、印加時間や振幅、印加時に線材同士を接触させる圧力等については、用いる線材の素材や直径、必要とされる封止強度に応じて適宜選択すれば良い。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の自動充填包装機の基本構成を示す概略図である。
【図2】図1の封止切断ユニットの拡大斜視図である。
【図3】図1の自動充填包装機においてフィルムを集束した状態を示す図である。
【図4】本発明にかかる封止切断装置の実施形態の斜視図である。
【図5】図4の封止切断装置の分解斜視図である。
【図6】本発明による包装体を示す図である。
【図7】本発明による包装体の封止部の拡大図である。
【図8】本発明による包装体の封止部の拡大図である。
【図9】従来の自動充填包装機の構成を示す模式図である。
【符号の説明】
【0048】
1 フィードポンプ
2 充填ノズル
3 製筒装置
4 原反ロール
5 合成樹脂フィルム
6 電極
7 被包装物
8 フィードロール
9 ピンチローラ
10 封止切断ユニット
11a、11b、12a、12b 集束板
13 ホーン
15 アンビル
14a、14b、16a、16b 合成樹脂線材
17 溶断用突起
18 超音波装置
19 フィルム集束部
20 オシレーティングドライブ
21 架台
22 揺動アーム
23 揺動軸
24 連結部材
30 クランクアーム
31 スリット
32 固定部材
40 イコーライズアーム
41a、41b 連結部材
42a、42b レール
43 揺動軸
50a、50b 封止切断ユニット
51a、51b 連結部材
52a、52b レール
61 合成樹脂フィルム
62 融着部
63 封止材
71、71a、71b 合成樹脂線材
72 融着部
74 合成樹脂フィルム
101 自動充填包装機
102 筒状包装体
103 搬送装置
105 筒状フィルム成形装置
106 充填装置
107 しごき装置
108 封止切断装置
109 制御装置
110 合成樹脂フィルム
111 本体
112 基台
113 筒状フィルム
114 筒状体
115 フィードロール
116 駆動モータ
118 原反ロール
120 フォルダ
121 高周波シール装置
122 供給パイプ
123 供給ポンプ
124 供給管
125 駆動モータ
130 ピンチローラ
131 ピンチ装置
132 密封箱
133 ロッド
134 昇降機構
135 回転軸
136 駆動モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状の合成樹脂フィルムを所定経路に連続して繰り出す搬送装置と、
前記搬送装置によって引き出された合成樹脂フィルムの側端部同士を重ねて融着して筒状に成形する筒状フィルム成形装置と、
該筒状フィルムの内部に内容物を充填して筒状体を形成する充填装置と、
前記筒状体を所定の間隔でしごいて内容物を押しのけ、封止領域を形成するしごき装置と、
前記封止領域の2箇所において合成樹脂線材により封止し、該2箇所の封止部間でフィルムを切断する封止切断装置とを備えた自動充填包装機において、
前記封止切断装置が、
封止領域のフィルムを集束する2組の集束手段と、ホーン及びアンビルからなる2組の超音波印加手段と、フィルムを切断するフィルム切断手段とを備え、上下動可能な2個の封止切断ユニットと、
長さ方向中央部を中心に所定の角度で揺動運動し、長さ方向の両端部にそれぞれ上記封止切断ユニットが連結されたイコーライズアームと、
一端が上記イコーライズアームの中心部から所定の距離をおいた位置に摺動可能に連結され、他端を中心に揺動運動する揺動アームを備えたオシレーティングドライブと、
を有し、
前記オシレーティングドライブの揺動アームを所定の角度で揺動することにより、前記イコーライズアームを介して前記2個の封止切断ユニットを互い違いに上下させ、上記筒状フィルムの封止切断工程を各ユニットが交互に行うことを特徴とする自動充填包装機。
【請求項2】
前記オシレーティングドライブが前記イコーライズアームの長さ方向に平行に移動可能であり、前記揺動アームの一端のイコーライズアーム連結位置が、該イコーライズアームの長さ方向に可変とすることで封止切断ユニットの上下動の移動距離を変える請求項1に記載の自動充填包装機。
【請求項3】
前記イコーライズアームの両端において、封止切断ユニットに連結された連結部材が該イコーライズアームの長さ方向に固定されたレールに摺動可能に嵌合され、各封止切断ユニットが、当該包装機に鉛直方向に固定されたレールに摺動可能に連結され、上記イコーライズアームの揺動に連動して、各封止切断ユニットが上下動する請求項1または2に記載の自動充填包装機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−199323(P2006−199323A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−11249(P2005−11249)
【出願日】平成17年1月19日(2005.1.19)
【出願人】(000116736)旭化成エンジニアリング株式会社 (49)
【出願人】(303046266)旭化成ライフ&リビング株式会社 (64)
【Fターム(参考)】