説明

自動変速機の制御装置、及び自動変速機の制御方法

【課題】車両停止時における燃費の向上を図ると共に、停止している車両の迅速な再発進に貢献できる自動変速機の制御装置、及び自動変速機の制御方法を提供する。
【解決手段】ECUは、車両が停止している場合(ステップS14が肯定判定)において、カメラによる撮像結果に基づき信号機の赤信号が点灯していること及び前側車両の制動灯が点灯していることのうち少なくとも一方を検出(ステップS17又はステップS19が肯定判定)したことにより車両の前方状況が該車両を停止させるべき状況にあると判定したときには、変速機構の入力クラッチを半係合状態にする(ステップS20)。一方、ECUは、カメラによる撮像結果に基づき信号機の赤信号が消灯していること及び前側車両の制動灯が消灯していることのうち少なくとも一方を検出したことにより車両の前方状況が該車両を再発進させるべき状況にあると判定したときには、入力クラッチを係合状態にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動変速機の制御装置、及び自動変速機の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、車両には、エンジンにて発生した動力が伝達される自動変速機が搭載されている。このような自動変速機には、トルクコンバータと変速機構とが設けられており、該変速機構には、エンジンからトルクコンバータを介して伝達された動力を断続制御するための入力クラッチが設けられている。この入力クラッチは、自動変速機のレンジが前進走行レンジ(以下「Dレンジ」という。)である場合には係合状態とされる一方、ニュートラルレンジ(以下、「Nレンジ」という。)である場合には解放状態とされるようになっている。
【0003】
そのため、車両の停止時に自動変速機のレンジがDレンジである場合には、自動変速機のレンジがNレンジである場合に比して入力クラッチが係合状態であるためにトルクコンバータで生じる負荷が大きくなり、結果として、車両の燃費の悪化を招いていた。そこで、近時では、車両の燃費の向上を図ることができる装置として、例えば特許文献1に記載されるような自動変速機の制御装置(以下、「従来制御装置」という。)が提案されている。
【0004】
すなわち、従来制御装置は、車両が停止していると共に自動変速機のレンジがDレンジである場合には、車両のブレーキペダルの踏込み操作が開始されてからの経過時間(以下、「ブレーキ経過時間」という。)を計測する。そして、従来制御装置は、計測したブレーキ経過時間が予め設定された経過時間閾値以上になった場合に、車両の停止時間が長くなると判断し、入力クラッチを半係合状態又は解放状態にするニュートラル制御を実行するようになっている。そのため、車両停止時においてトルクコンバータで生じる負荷が低減される結果、車両の燃費が向上していた。
【0005】
また、このような従来制御装置は、入力クラッチが解放状態である場合においてブレーキペダルの踏込み操作が解消されたときには、半係合状態又は解放状態にある入力クラッチを係合状態にするためのアプライ制御を実行し、車両の再発進に備えていた。
【特許文献1】特開2006−336797号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、従来制御装置では、車両が停止状態であると共に上記ブレーキ経過時間が経過時間閾値以上になった場合にニュートラル制御が実行される。換言すると、車両が停止してもブレーキ経過時間が経過時間閾値以上になるまでは、ニュートラル制御は実行されない。そのため、従来制御装置では、車両が停止してからニュートラル制御を実行させることを決定するまでに時間がかかるため、車両停止時における燃費を向上させる点で未だ改善の余地があった。
【0007】
また、従来制御装置では、ニュートラル制御の実行により入力クラッチが半係合状態又は係合状態である場合においてブレーキペダルの踏込み操作が解消されたときに、アプライ制御が実行される。そのため、運転手がブレーキペダルの踏込み操作を解消してから直ぐにアクセルペダルの踏込み操作を実行した場合には、半係合状態又は解放状態にあった入力クラッチを係合状態にすることが間に合わず、車両の迅速な再発進に支障をきたしてしまうおそれがあった。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、車両停止時における燃費の向上を図ると共に、停止している車両の迅速な再発進に貢献できる自動変速機の制御装置、及び自動変速機の制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、自動変速機の制御装置にかかる請求項1に記載の発明は、車両に搭載されたエンジンからの動力を変速機構に伝達するために係合する入力クラッチを有する自動変速機の制御装置であって、前記車両の前方に位置する前側車両の制動灯及び前記車両の前方に位置する信号機のうち少なくとも一方を撮像する撮像手段と、前記車両の停止状態において、前記撮像手段にて撮像された撮像結果に基づき前記車両の前方状況が該車両を停止させるべき状況にあると判定したときには前記入力クラッチを半係合状態又は解放状態にする一方、前記撮像手段にて撮像された撮像結果に基づき前記車両の前方状況が該車両を再発進させるべき状況にあると判定したときには前記入力クラッチを係合状態にする制御手段とを備えたことを要旨とする。
【0010】
上記構成では、車両の停止状態において撮像手段による撮像結果に基づき車両の前方状況が該車両を停止させるべき状況にある場合には、入力クラッチが半係合状態又は解放状態になる。そのため、車両停止中にトルクコンバータなどで生じる負荷が、入力クラッチが係合状態である場合に比して軽減され、車両停止時における燃費の向上に貢献できる。また、車両の停止状態において撮像手段による撮像結果に基づき車両の前方状況が該車両を再発進させるべき状況にある場合には、入力クラッチが係合状態になるため、運転手によるアクセルペダルの操作に応じた車両の迅速な再発進に貢献できる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の自動変速機の制御装置において、前記制御手段は、前記車両が停止状態であると共に前記入力クラッチが係合状態である場合において、前記撮像手段にて撮像された撮像結果に基づき前記車両の前方状況が該車両を停止させるべき状況にあると判定したときには、前記入力クラッチを半係合状態又は解放状態にするためのニュートラル制御を実行することを要旨とする。
【0012】
上記構成では、車両の停止状態において撮像手段による撮像結果に基づき車両の前方状況が該車両を停止させるべき状況になったと判定した場合には、ニュートラル制御が実行される。そのため、車両が停止してから車両のブレーキペダルが操作されてからの経過時間に応じてニュートラル制御を実行する従来の場合に比して、ニュートラル制御が速やかに実行されるため、車両停止時における燃費が向上することになる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の自動変速機の制御装置において、前記制御手段は、前記車両が停止状態であると共に前記入力クラッチが半係合状態又は解放状態である場合において、前記撮像手段にて撮像された撮像結果に基づき前記車両の前方状況が該車両を再発進させるべき状況にあると判定したときには、前記入力クラッチを係合状態にするアプライ制御を実行することを要旨とする。
【0014】
上記構成では、車両の停止状態において撮像手段による撮像結果に基づき車両の前方状況が該車両を再発進させるべき状況になったと判定した場合には、アプライ制御が実行される。そのため、運転手がブレーキペダルの操作を解放したことを契機にアプライ制御を実行する場合とは異なり、運転手がブレーキペダルの操作を解消してから直ぐにアクセルペダルの操作を実行したとしても、その時点で入力クラッチが未だ係合状態になっていないことを回避できる。したがって、アクセルペダルの操作に応じて車両を速やかに再発進させることが可能になる。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のうち何れか一項に記載の自動変速機の制御装置において、前記車両の車輪に制動力を付与するために運転手がブレーキ操作していることを検出するためのブレーキ操作検出手段をさらに備え、前記制御手段は、前記車両が停止状態であると共に前記入力クラッチが係合状態である場合において、前記撮像手段にて撮像された撮像結果に基づき前記車両の前方状況が該車両を停止させるべき状況にあると判定したときには、前記ブレーキ操作検出手段によりブレーキ操作されていないことを検出しても、前記入力クラッチを半係合状態又は解放状態にするためのニュートラル制御を実行することを要旨とする。
【0016】
上記構成では、車両の停止状態であると共に入力クラッチが係合状態である場合において、撮像手段による撮像結果に基づき車両の前方状況が該車両を停止させるべき状況になったときには、運転手によるブレーキペダルの操作に関係なく、ニュートラル制御が実行される。そのため、ブレーキペダルの操作状態に応じてニュートラル制御を実行する従来の場合に比して、車両停止時における燃費が向上することになる。
【0017】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のうち何れか一項に記載の自動変速機の制御装置において、前記車両の車輪に制動力を付与するために運転手がブレーキ操作していることを検出するためのブレーキ操作検出手段をさらに備え、前記制御手段は、前記車両が停止状態であると共に前記入力クラッチが半係合状態又は解放状態である場合において、前記撮像手段にて撮像された撮像結果に基づき前記車両の前方状況が該車両を再発進させるべき状況にあると判定したときには、前記ブレーキ操作検出手段によりブレーキ操作されていることを検出しても、前記入力クラッチを係合状態にするアプライ制御を実行することを要旨とする。
【0018】
上記構成では、車両の停止状態であると共に入力クラッチが半係合状態又は解放状態である場合において、撮像手段にて撮像された撮像結果に基づき車両の前方状況が該車両を再発進させるべき状況になったときには、運転手によるブレーキペダルの操作に関係なく、アプライ制御が実行される。そのため、運転手がブレーキペダルの操作を解消した場合には既に入力クラッチが係合状態になっているため、車両の再発進に貢献できる。
【0019】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜請求項5のうち何れか一項に記載の自動変速機の制御装置において、前記制御手段は、前記撮像手段にて撮像された撮像結果に基づき前記前側車両の制動灯が点灯していること及び前記信号機が車両の停止を促す状態であることのうち少なくとも一方を検出した場合に、前記車両の前方状況が該車両を停止させるべき状況にあると判定することを要旨とする。
【0020】
上記構成では、撮像手段によって撮像された信号機が車両の停止を促す状態であること及び前側車両の制動灯が点灯していることのうち少なくとも一方が検出された場合に、車両の前方状況が該車両を停止させるべき状況にあると判定される。
【0021】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜請求項6のうち何れか一項に記載の自動変速機の制御装置において、前記制御手段は、前記撮像手段にて撮像された撮像結果に基づき前記前側車両の制動灯が消灯していること及び前記信号機が車両の停止を促す状態とは異なる他の状態であることのうち少なくとも一方を検出した場合に、前記車両の前方状況が該車両を再発進させるべき状況にあると判定することを要旨とする。
【0022】
上記構成では、撮像手段によって撮像された信号機が車両の停止を促す状態とは異なる他の状態であること及び前側車両の制動灯が消灯していることのうち少なくとも一方が検出された場合に、車両の前方状況が該車両を再発進させるべき状況にあると判定される。
【0023】
一方、自動変速機の制御方法にかかる請求項8に記載の発明は、車両に搭載されたエンジンからの動力を変速機構に伝達するために係合する入力クラッチを有する自動変速機の制御方法であって、前記車両の停止状態において、該車両の前方に位置する前側車両の制動灯及び前記車両の前方に位置する信号機のうち少なくとも一方を撮像する撮像ステップと、前記車両の停止状態において、前記撮像ステップにて撮像された撮像結果に基づき前記車両の前方状況が該車両を停止させるべき状況にあると判定した場合に、前記入力クラッチを半係合状態又は解放状態にする解放ステップと、前記車両の停止状態において、前記撮像ステップにて撮像された撮像結果に基づき前記車両の前方状況が該車両を再発進させるべき状況にあると判定した場合に、前記入力クラッチを係合状態にする係合ステップとを有することを要旨とする。
【0024】
上記構成では、請求項1と同等の作用効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、車両停止時における燃費の向上を図ると共に、停止している車両の迅速な再発進に貢献できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明の自動変速機の制御装置、及び自動変速機の制御方法を具体化した一実施形態を図1〜図5に従って説明する。
図1に示すように、本実施形態の車両には、該車両のエンジン11からの動力を図示しない駆動輪に伝達するための自動変速機12が搭載されている。この自動変速機12には、エンジン11からの動力により回転駆動されるトルクコンバータ13と、該トルクコンバータ13の出力回転(動力)を変速する変速機構14と、該変速機構14内の油圧を制御するための油圧制御機構15とが設けられている。また、車両には、油圧制御機構15を介して変速機構14を制御する制御装置としての電子制御装置(以下、「ECU」という。)16が設けられている。
【0027】
変速機構14には、エンジン11からトルクコンバータ13を介して伝達された動力を断続制御するための入力クラッチC1が設けられている。この入力クラッチC1は、自動変速機12のシフトレンジが前進走行レンジ(以下、「Dレンジ」という。)である場合には、油圧制御機構15による油圧制御により係合状態になる。その結果、自動変速機12の出力軸17は、エンジン11からの動力が伝達されることにより回転(正回転)するようになっている。一方、入力クラッチC1は、自動変速機12のシフトレンジがニュートラルレンジ(以下、「Nレンジ」という。)やパーキングレンジ(以下、「Pレンジ」という。)である場合には、油圧制御機構15による油圧制御により解放状態になる。その結果、自動変速機12の出力軸17は、エンジン11からの動力が伝達されなくなることにより、回転(正回転)しないようになっている。
【0028】
次に、本実施形態のECU16について以下説明する。
ECU16は、入力側インターフェース(図示略)と、出力側インターフェース(図示略)と、CPU20、ROM21及びRAM22などを備えたデジタルコンピュータと、変速機構14を駆動させるための駆動回路とを主体として構成されている。ECU16の入力側インターフェースには、出力軸17の回転速度を検出するための回転速度センサSE1と、自動変速機12のシフトレンジを検出するためのシフトポジションセンサSE2と、車両の図示しないブレーキペダルが踏込み操作されているか否かを検出するためのブレーキスイッチSWとが電気的に接続されている。また、入力側インターフェースには、車両の前方に信号機がある場合には該信号機を撮像すると共に、車両と同一車線において該車両の直前に車両(以下、「前側車両」という。)が存在する場合には該前側車両の後側を撮像する撮像手段としてのカメラ23が電気的に接続されている。
【0029】
ECU16の出力側インターフェースには、油圧制御機構15及びカメラ23が電気的に接続されている。そして、ECU16は、各種センサSE1,SE2及びブレーキスイッチSWからの各入力信号、及びカメラ23からの入力情報(即ち、撮像結果)に基づき、油圧制御機構15を介して変速機構14を制御したり、カメラ23を制御したりするようになっている。
【0030】
デジタルコンピュータにおいて、ROM21には、変速機構14(即ち、油圧制御機構15)及びカメラ23を制御するための各種の制御プログラム(後述するニュートラル制御実行処理、ニュートラル解除処理など)、及び各種閾値(後述する車体速度閾値など)が記憶されている。また、RAM22には、車両の駆動中に適宜書き換えられる各種の情報(後述する車体速度、カメラ23による撮像情報など)がそれぞれ記憶されるようになっている。
【0031】
次に、車両に搭載されたカメラ23について図2及び図3に基づき以下説明する。
カメラ23は、該カメラ23の配置位置の前斜め上方と、前方とを撮像可能な二眼タイプのカメラであって、図2(a)(b)(c)に示すように、車両30の図示しないグリルを介して該車両30の前斜め上方及び前方を撮像するようになっている。すなわち、図2(a)及び図3(a)に示すように、車両30の前斜め上方に信号機31が存在する場合には該信号機31を撮像し、その撮像結果を出力情報(画像情報)としてECU16に出力するようになっている。そして、ECU16は、カメラ23からの入力情報(画像情報)に基づき、青信号31aが点灯しているか否か、黄信号31bが点灯しているか否か、及び赤信号31cが点灯しているか否かを認識するようになっている。
【0032】
また、図2(b)(c)及び図3(b)に示すように、車両30の前方に前側車両32が存在する場合には該前側車両32を撮像し、その撮像結果を出力情報(画像情報)としてECU16に出力するようになっている。そして、ECU16は、カメラ23からの入力情報(画像情報)に基づき、前側車両32の後側に配設された制動灯32aが点灯しているか否かを認識するようになっている。なお、赤信号31cが点灯しているか否か、制動灯32aが点灯しているか否かをカメラ23による撮像結果に基づき認識する画像認識技術は、既に公知であるため、その詳細な説明を省略する。
【0033】
次に、本実施形態のECU16が実行する各制御処理ルーチンのうち、ニュートラル制御実行処理ルーチン及びニュートラル解除処理ルーチンについて図4及び図5に示すフローチャートに基づき以下説明する。
【0034】
最初に、ニュートラル制御実行処理ルーチンについて図4に示すフローチャートに基づき説明する。
さて、ECU16は、所定周期毎(例えば0.01秒毎)にニュートラル制御実行処理ルーチンを実行する。そして、ニュートラル制御実行処理ルーチンにおいて、ECU16は、シフトポジションセンサSE2からの入力信号に基づき、自動変速機12のシフトレンジがDレンジであるか否かを判定する(ステップS10)。この判定結果が否定判定である場合、ECU16は、自動変速機12のシフトレンジがDレンジ以外のレンジ(例えば、NレンジやPレンジ等)であるため、ニュートラル制御実行処理ルーチンを一旦終了する。一方、ステップS10の判定結果が肯定判定である場合、ECU16は、ニュートラル制御フラグFLGnが「0(零)」にセットされているか否かを判定する(ステップS11)。このニュートラル制御フラグFLGnは、後述するニュートラル制御が既に実行された状態である場合には「1」にセットされる一方、ニュートラル制御が未実行である場合には「0(零)」にセットされるフラグである。
【0035】
ステップS11の判定結果が否定判定(FLGn=「1」)である場合、ECU16は、ニュートラル制御実行処理ルーチンを一旦終了する。一方、ステップS11の判定結果が肯定判定(FLGn=「0」)である場合、ECU16は、回転速度センサSE1からの入力信号に基づき変速機構14の出力軸17の回転速度を演算し、該演算結果に基づき車両30の車体速度VSを検出する(ステップS13)。したがって、本実施形態では、回転速度センサSE1及びECU16により、車体速度検出手段が構成される。続いて、ECU16は、ステップS13にて検出した車体速度VSが予め設定された車体速度閾値KVS(例えば「3km/h(時速3キロメータ)」)以下であるか否かを判定する(ステップS14)。この車体速度閾値KVSは、車両30が停止中であるか否かを判断するための値であって、実験やシミュレーションなどによって予め設定される。
【0036】
ステップS14の判定結果が否定判定(VS>KVS)である場合、ECU16は、車両30が走行中であると判断し、ニュートラル制御実行処理ルーチンを一旦終了する。一方、ステップS14の判定結果が肯定判定(VS≦KVS)である場合、ECU16は、車両30が停止中であると判断し、カメラ23に車両30の前斜め上方及び前方を撮像させる(ステップS15)。この点で、本実施形態では、ステップS15が、撮像ステップに相当する。続いて、ECU16は、ステップS15でのカメラ23による撮像結果(即ち、画像情報)に基づき車両30の前斜め上方に信号機31が存在するか否かを判定する(ステップS16)。この判定結果が否定判定である場合、ECU16は、その処理を後述するステップS18に移行する。
【0037】
一方、ステップS16の判定結果が肯定判定である場合、ECU16は、信号機31の赤信号31cが点灯しているか否かを判定する(ステップS17)。この判定結果が肯定判定である(即ち、赤信号31cが点灯している(図3(a)参照))場合、ECU16は、信号機31が車両30の停止を促す第1の状態であると判断し、その処理を後述するステップS20に移行する。一方、ステップS17の判定結果が否定判定である場合、ECU16は、信号機31が第1の状態とは異なる他の状態としての第2の状態(即ち、青信号31a又は黄信号31bが点灯している状態)であると判断し、その処理を後述するステップS18に移行する。
【0038】
ステップS18において、ECU16は、ステップS15でのカメラ23による撮像結果(即ち、画像情報)に基づき車両30の前方に前側車両32が存在するか否かを判定する。この判定結果が否定判定である場合、ECU16は、その処理を後述するステップS19−1に移行する。一方、ステップS18の判定結果が肯定判定である場合、ECU16は、前側車両32の制動灯32aが点灯しているか否かを判定する(ステップS19)。この判定結果が肯定判定である場合(即ち、制動灯32aが点灯(図3(b)参照))、ECU16は、その処理を後述するステップS20に移行する。一方、ステップS19の判定結果が否定判定である場合、ECU16は、その処理を後述するステップS19−1に移行する。
【0039】
ステップS19−1において、ECU16は、ブレーキスイッチSWが「オン」であるか否かを判定する。この判定結果が否定判定(SW=「オフ」)である場合、ECU16は、運転手がブレーキ操作していないと判断し、ニュートラル制御実行処理ルーチンを一旦終了する。一方、ステップS19−1の判定結果が肯定判定(SW=「オン」)である場合、ECU16は、運転手がブレーキ操作していると判断し、その処理を後述するステップS20に移行する。したがって、本実施形態では、ブレーキスイッチSW及びECU16により、ブレーキ操作検出手段が構成される。
【0040】
ステップS20において、ECU16は、ニュートラル制御を実行する。具体的には、ECU16は、油圧制御機構15を制御して変速機構14内の入力クラッチC1に対する油圧を低下させ、該入力クラッチC1を半係合状態にする。この点で、本実施形態では、ECU16が、ステップS17,S19の各判定処理のうち少なくとも一方が肯定判定である場合に、車両30の前方状況が該車両30を停止させるべき状況にあると判定して入力クラッチC1を半係合状態にする制御手段としても機能する。また、ステップS20が、解放ステップに相当する。そして、ECU16は、ニュートラル制御フラグFLGnを「1」にセットし(ステップS21)、その後、ニュートラル制御実行処理ルーチンを一旦終了する。
【0041】
次に、ニュートラル解除処理ルーチンについて図5に示すフローチャートに基づき説明する。
さて、ECU16は、所定周期毎(例えば0.01秒毎)にニュートラル解除処理ルーチンを実行する。そして、ニュートラル解除処理ルーチンにおいて、ECU16は、ニュートラル制御フラグFLGnが「1」にセットされているか否かを判定する(ステップS30)。この判定結果が否定判定(FLGn=「0(零)」)である場合、ECU16は、ニュートラル解除処理ルーチンを一旦終了する。一方、ステップS30の判定結果が肯定判定(FLGn=「1」)である場合、ECU16は、カメラ23に車両30の前斜め上方及び前方を撮像させる(ステップS32)。この点で、本実施形態では、ステップS32が、撮像ステップに相当する。続いて、ECU16は、ステップS32でのカメラ23による撮像結果(即ち、画像情報)に基づき車両30の前斜め上方に信号機31が存在するか否かを判定する(ステップS33)。この判定結果が否定判定である場合、ECU16は、その処理を後述するステップS35に移行する。一方、ステップS33の判定結果が肯定判定である場合、ECU16は、信号機31の赤信号31cが点灯しているか否かを判定する(ステップS34)。この判定結果が否定判定である場合、ECU16は、信号機31が第1の状態から第2の状態に切り替ったと判断し、その処理を後述するステップS38に移行する。一方、ステップS34の判定結果が肯定判定である場合、ECU16は、その処理を後述するステップS35に移行する。
【0042】
ステップS35において、ECU16は、ステップS32でのカメラ23による撮像結果(即ち、画像情報)に基づき車両30の前方に前側車両32が存在するか否かを判定する。この判定結果が否定判定である場合、ECU16は、ブレーキスイッチSWが「オン」であるか否かを判定する(ステップS35−1)。この判定結果が肯定判定(SW=「オン」)である場合、ECU16は、その処理を後述するステップS37に移行する。一方、ステップS35−1の判定結果が否定判定(SW=「オフ」)である場合、ECU16は、その処理を後述するステップS38に移行する。
【0043】
一方、ステップS35の判定結果が肯定判定である場合、ECU16は、前側車両32の制動灯32aが点灯しているか否かを判定する(ステップS36)。この判定結果が否定判定である場合、ECU16は、前側車両32の制動灯32aが点灯した状態から消灯した状態に切り替ったと判断し、その処理を後述するステップS38に移行する。一方、ステップS36の判定結果が肯定判定である(即ち、車両30の前方状況が該車両30を停止させるべき状況にあると判定した)場合、ECU16は、その処理を後述するステップS37に移行する。
【0044】
ステップS37において、ECU16は、変速機構14の入力クラッチC1の半係合状態を維持させるためのインニュートラル制御を実行する(ステップS37)。具体的には、ECU16は、変速機構14内の入力クラッチC1に対する油圧を保持させるべく油圧制御機構15を制御する。その後、ECU16は、ニュートラル解除処理ルーチンを一旦終了する。
【0045】
ステップS38において、ECU16は、半係合状態にある変速機構14の入力クラッチC1を係合させるためのアプライ制御を実行する。具体的には、ECU16は、油圧制御機構15を制御して変速機構14内の入力クラッチC1に対する油圧を上昇させ、該入力クラッチC1を係合状態にする。この点で、本実施形態では、ECU16が、ステップS34,S35−1,S36の各判定処理のうち少なくとも1つの判定結果が否定判定である場合に、車両30の前方状況が該車両30を再発進させるべき状況にあると判定して入力クラッチC1を係合状態にする制御手段としても機能する。また、ステップS38が、係合ステップに相当する。そして、ECU16は、ニュートラル制御フラグFLGnを「0(零)」にセットし(ステップS39)、その後、ニュートラル解除処理ルーチンを一旦終了する。
【0046】
次に、本実施形態の自動変速機12の制御方法について以下説明する。なお、車両30の前方に位置する信号機31の赤信号31cが点灯したために車両30が停止したものとする。また、車両30の同一車線において該車両30の直前には前側車両32が存在しているものとする。
【0047】
さて、車両30の運転手が該車両30の前方で視認可能な信号機31において青信号31a及び黄信号31bが消灯して赤信号31cが点灯すると、運転手は、図示しないブレーキペダルの踏込み操作をして車両30を停止させる。すると、車両30のカメラ23は、車両30の直前にて停止している前側車両32、及び車両30の前斜め上方に位置する信号機31をそれぞれ撮像する。そして、前側車両32の制動灯32aが点灯していること及び信号機31の赤信号31cが点灯していることのうち少なくとも一方を検出すると、車両30の前方状況が該車両30を停止させるべき状況になったと判定し、ニュートラル制御が実行される。
【0048】
すなわち、自動変速機12のシフトレンジがDレンジであっても、自動変速機12の変速機構14の入力クラッチC1が半係合状態になり、車両停止時におけるトルクコンバータ13で生じる負荷が低減される。そのため、本実施形態の車両30では、ニュートラル制御が実行されない場合、及び、車両30が停止してからニュートラル制御の実行開始するまでに時間がかかる場合に比して、車両停止時における車両30の燃費が向上する。
【0049】
このように入力クラッチC1が半係合状態である場合において信号機31の赤信号31cが消灯して青信号31aが点灯すると、カメラ23による撮像結果に基づき信号機31が第1の状態から第2の状態になったことが確認される。すると、車両30の前方状況が該車両30を再発進させるべき状況になったと判定してアプライ制御が実行されることにより、半係合状態にあった入力クラッチC1が係合状態になる。その後、車両30の運転手がブレーキペダルの踏込み操作を解消したときには、入力クラッチC1は既に係合状態になっているため、運転手が図示しないアクセルペダルを踏込み操作した場合には、その操作に基づき車両30が速やかに再発進する。
【0050】
一方、信号機31の赤信号31cが消灯して青信号31aが点灯したことを確認する前に、カメラ23による撮像結果に基づき前側車両32の制動灯32aの消灯が確認された場合には、該前側車両32の制動灯32aの消灯によって車両30の前方状況が該車両30を再発進させるべき状況になったと判定し、アプライ制御が実行される。そのため、車両30の運転手によるブレーキペダルの踏込み操作が解消されてアクセルペダルが踏込み操作されると、変速機構14の入力クラッチC1は既に係合状態であるため、車両30は、前側車両32に続いて速やかに再発進することになる。
【0051】
従って、本実施形態では、以下に示す効果を得ることができる。
(1)車両30の停止状態において、信号機31が第1の状態であること及び前側車両32の制動灯32aが点灯していることのうち少なくとも一方が検出されることにより車両30の前方状況が該車両30を停止させるべき状況にあると判定された場合には、入力クラッチC1が半係合状態になる。そのため、車両停止中にトルクコンバータ13で生じる負荷が、入力クラッチC1が係合状態である場合に比して軽減され、車両停止時における燃費の向上に貢献できる。また、車両30の停止状態において、信号機31が第2の状態であること及び前側車両32の制動灯32aが消灯していることのうち少なくとも一方が検出されることにより車両30の前方状況が該車両30を再発進させるべき状況にあると判定された場合には、運転手によるブレーキペダルの操作状況に関係なく、入力クラッチC1が係合状態になる。そのため、運転手がブレーキペダルの操作を解消した場合には既に入力クラッチC1が係合状態になっているため、車両30の迅速な再発進に貢献できる。
【0052】
(2)車両30が停止した場合において信号機31が第1の状態であること及び前側車両32の制動灯32aが点灯していることのうち少なくとも一方を検出したことにより車両30の前方状況が該車両30を停止させるべき状況になったと判定された場合には、ニュートラル制御が実行される。そのため、車両30が停止してから該車両30のブレーキペダルが操作されてからの経過時間に応じてニュートラル制御を実行する従来の場合に比して、ニュートラル制御が速やかに実行されるため、車両停止時における燃費の向上に貢献できる。
【0053】
(3)車両30が停止状態であると共にインニュートラル制御の実行中において、前側車両32の制動灯32aが点灯した状態から消灯した状態に切り替ったこと及び信号機31が第1の状態から第2の状態に切り替ったことのうち少なくとも一方を検出したことにより車両30の前方状況が該車両30を再発進させるべき状況になったと判定された場合には、アプライ制御が実行される。そのため、運転手がブレーキペダルの踏込み操作を解消したことを契機にアプライ制御を実行する従来の場合とは異なり、運転手がブレーキペダルの踏込み操作を解消してから直ぐにアクセルペダルの踏込み操作を実行したとしても、そのアクセルペダルの踏込み操作に応じて車両を速やかに再発進させることができる。
【0054】
(4)本実施形態では、カメラ23による撮像結果に基づき信号機31や前側車両32の存在を確認できなかった場合には、ブレーキペダルの踏込み操作の有無によってニュートラル制御を実行するか否かが判定される。そのため、信号機31や前側車両32の存在を確認できない場合でも、ブレーキペダルの踏込み操作が実行された場合には、ニュートラル制御を実行できる。
【0055】
(5)また、入力クラッチC1が半係合状態であると共にカメラ23による撮像結果に基づき信号機31や前側車両32の存在を確認できなかった場合において、ブレーキペダルの踏込み操作が解消されているときには、アプライ制御が実行される。そのため、ニュートラル制御の実行後に信号機31や前側車両32の存在を確認できなくなった場合であっても、ブレーキペダルの操作状況に基づきアプライ制御を実行することができる。
【0056】
なお、本実施形態は以下のような別の実施形態に変更してもよい。
・上記実施形態において、車両30の車体速度VSは、該車両30の各車輪の車輪速度に基づき検出してもよい。この場合、車輪毎に設けられた車輪速度センサとECU16とにより、車体速度検出手段が構成されることになる。
【0057】
・上記実施形態において、ニュートラル制御実行処理ルーチンにおいて信号機31及び前側車両32を認識できなかった場合には、ブレーキペダルの踏込み操作に関係なく、ニュートラル制御を実行しないようにしてもよい。すなわち、ニュートラル制御実行処理ルーチンにおいて、ステップS19−1の判定処理を実行しなくてもよい。このように構成した場合、信号機31が設置されていない交差点を車両30が通過する際に、安全確認のために該車両30が一時停止した場合に、ニュートラル制御が不用意に実行されてしまうことを回避できる。したがって、安全確認などのために一時停止した車両30の迅速な再発進を妨げてしまうことを回避できる。
【0058】
・上記実施形態において、ニュートラル解除処理ルーチンにおいて信号機31及び前側車両32を認識できなかった場合には、アプライ制御が実行されるようにしてもよい。
・上記実施形態において、入力クラッチC1が解放された状態で、車両30の駆動輪に対して付与していた制動力を解消させるべくパーキングブレーキが操作された場合には、車両30が再発進状態になったと判定し、カメラ23による撮像結果に関係なく、アプライ制御を実行するようにしてもよい。
【0059】
・上記実施形態において、ニュートラル制御は、係合状態にあった入力クラッチC1を解放状態にするような制御であってもよい。
・上記実施形態において、カメラ23は、信号機31を撮像しなくてもよい。この場合、車両30の停止中において、前側車両32の制動灯32aが点灯しているときには入力クラッチC1が半係合状態とされる一方、前側車両32の制動灯32aが消灯しているときには入力クラッチC1が係合状態とされる。
【0060】
・上記実施形態において、カメラ23は、前側車両32を撮像しなくてもよい。この場合、車両30の停止中において、信号機31が第1の状態であるときには入力クラッチC1が半係合状態とされる一方、信号機31が第2の状態であるときには入力クラッチC1が係合状態とされる。
【0061】
・上記実施形態において、車両30には、信号機31を撮像するためのカメラと前側車両32を撮像するためのカメラとを別々に設けてもよい。
・上記実施形態において、撮像手段は、信号機31や前側車両32を撮像可能であれば任意の撮像手段(例えばビデオカメラ)であってもよい。
【0062】
・上記実施形態において、自動変速機12を、変速機構14にベルトが設けられてなる無断式変速機に具体化してもよい。
次に、上記実施形態及び別の実施形態から把握できる技術的思想を以下に追記する。
【0063】
(イ)車両の車体速度を検出するための車体速度検出手段をさらに備え、前記制御手段は、前記車体速度検出手段にて検出された車体速度に基づき車両が停止しているか否かを判定する請求項1〜請求項6のうち何れか一項に記載の自動変速機の制御装置。
【0064】
(ロ)前記制御手段は、車両が停止状態であると共に前記自動変速機のレンジが前進走行レンジである場合において、前記撮像手段にて撮像された撮像結果に基づき前記車両の前方状況が該車両を停止させるべき状況にあると判定したときには前記入力クラッチを半係合状態又は解放状態にする一方、車両が停止状態であると共に前記自動変速機のレンジが前進走行レンジである場合において、前記撮像手段にて撮像された撮像結果に基づき前記車両の前方状況が該車両を再発進させるべき状況にあると判定したときには前記入力クラッチを係合状態にする請求項1〜請求項6のうち何れか一項に記載の自動変速機の制御装置。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本実施形態の自動変速機及び該自動変速機の制御構成を示すブロック図。
【図2】(a)は車両に搭載されたカメラが信号機を撮像している様子を側方から見た場合の模式図、(b)は車両に搭載されたカメラが前側車両を撮像している様子を側方から見た場合の模式図、(c)は車両に搭載されたカメラが前側車両を撮像している様子を上方から見た場合の模式図。
【図3】(a)はカメラが信号機を撮像した場合の撮像結果を示す模式図、(b)はカメラが前側車両を撮像した場合の撮像結果を示す模式図。
【図4】ニュートラル制御実行処理ルーチンを示すフローチャート。
【図5】ニュートラル解除処理ルーチンを示すフローチャート。
【符号の説明】
【0066】
11…エンジン、12…自動変速機、14…変速機構、16…制御装置、制御手段、ブレーキ操作手段、車体速度検出手段としてのECU、23…撮像手段としてのカメラ、30…車両、31…信号機、32…前側車両、32a…制動灯、C1…入力クラッチ、SE1…車体速度検出手段としての回転速度センサ、SW…ブレーキ操作手段としてのブレーキスイッチ、VS…車体速度。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されたエンジンからの動力を変速機構に伝達するために係合する入力クラッチを有する自動変速機の制御装置であって、
前記車両の前方に位置する前側車両の制動灯及び前記車両の前方に位置する信号機のうち少なくとも一方を撮像する撮像手段と、
前記車両の停止状態において、前記撮像手段にて撮像された撮像結果に基づき前記車両の前方状況が該車両を停止させるべき状況にあると判定したときには前記入力クラッチを半係合状態又は解放状態にする一方、前記撮像手段にて撮像された撮像結果に基づき前記車両の前方状況が該車両を再発進させるべき状況にあると判定したときには前記入力クラッチを係合状態にする制御手段と
を備えた自動変速機の制御装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記車両が停止状態であると共に前記入力クラッチが係合状態である場合において、前記撮像手段にて撮像された撮像結果に基づき前記車両の前方状況が該車両を停止させるべき状況にあると判定したときには、前記入力クラッチを半係合状態又は解放状態にするためのニュートラル制御を実行する請求項1に記載の自動変速機の制御装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記車両が停止状態であると共に前記入力クラッチが半係合状態又は解放状態である場合において、前記撮像手段にて撮像された撮像結果に基づき前記車両の前方状況が該車両を再発進させるべき状況にあると判定したときには、前記入力クラッチを係合状態にするアプライ制御を実行する請求項1又は請求項2に記載の自動変速機の制御装置。
【請求項4】
前記車両の車輪に制動力を付与するために運転手がブレーキ操作していることを検出するためのブレーキ操作検出手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記車両が停止状態であると共に前記入力クラッチが係合状態である場合において、前記撮像手段にて撮像された撮像結果に基づき前記車両の前方状況が該車両を停止させるべき状況にあると判定したときには、前記ブレーキ操作検出手段によりブレーキ操作されていないことを検出しても、前記入力クラッチを半係合状態又は解放状態にするためのニュートラル制御を実行する請求項1〜請求項3のうち何れか一項に記載の自動変速機の制御装置。
【請求項5】
前記車両の車輪に制動力を付与するために運転手がブレーキ操作していることを検出するためのブレーキ操作検出手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記車両が停止状態であると共に前記入力クラッチが半係合状態又は解放状態である場合において、前記撮像手段にて撮像された撮像結果に基づき前記車両の前方状況が該車両を再発進させるべき状況にあると判定したときには、前記ブレーキ操作検出手段によりブレーキ操作されていることを検出しても、前記入力クラッチを係合状態にするアプライ制御を実行する請求項1〜請求項4のうち何れか一項に記載の自動変速機の制御装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記撮像手段にて撮像された撮像結果に基づき前記前側車両の制動灯が点灯していること及び前記信号機が車両の停止を促す状態であることのうち少なくとも一方を検出した場合に、前記車両の前方状況が該車両を停止させるべき状況にあると判定する請求項1〜請求項5のうち何れか一項に記載の自動変速機の制御装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記撮像手段にて撮像された撮像結果に基づき前記前側車両の制動灯が消灯していること及び前記信号機が車両の停止を促す状態とは異なる他の状態であることのうち少なくとも一方を検出した場合に、前記車両の前方状況が該車両を再発進させるべき状況にあると判定する請求項1〜請求項6のうち何れか一項に記載の自動変速機の制御装置。
【請求項8】
車両に搭載されたエンジンからの動力を変速機構に伝達するために係合する入力クラッチを有する自動変速機の制御方法であって、
前記車両の停止状態において、該車両の前方に位置する前側車両の制動灯及び前記車両の前方に位置する信号機のうち少なくとも一方を撮像する撮像ステップと、
前記車両の停止状態において、前記撮像ステップにて撮像された撮像結果に基づき前記車両の前方状況が該車両を停止させるべき状況にあると判定した場合に、前記入力クラッチを半係合状態又は解放状態にする解放ステップと、
前記車両の停止状態において、前記撮像ステップにて撮像された撮像結果に基づき前記車両の前方状況が該車両を再発進させるべき状況にあると判定した場合に、前記入力クラッチを係合状態にする係合ステップと
を有する自動変速機の制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2009−8242(P2009−8242A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−172783(P2007−172783)
【出願日】平成19年6月29日(2007.6.29)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】