説明

自動搬送システム

【課題】各自動搬送車の残り稼動時間を正確に把握することにより、荷役作業を効率的に行うことができる自動搬送システムを提供する。
【解決手段】本発明に係る自動搬送システム100は、管理機10からの指令に基づいて複数の自動搬送車AGV1〜3が所定の搬送経路に沿って走行しながら荷役作業を行うものであって、自動搬送車AGV1〜3はそれぞれ充電可能な電源としてのキャパシタを備え、自動搬送車AGV1〜3のそれぞれから管理機10に対して、キャパシタの出力電圧または当該出力電圧から算出されるキャパシタの残容量に関する情報と、当該自動搬送車の位置に関する情報とが送信され、管理機10が受信した情報に基づいて荷役作業を行うのに適当な一の自動搬送車(例えば、AGV2)が決定され、管理機からその自動搬送車AGV2に対して荷役作業を行う旨の指令が送信される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管理機からの指令に基づいて荷役作業を行う複数の自動搬送車を備えた自動搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、24時間稼動の工場等では、ある工程から別の工程への荷物の運搬(荷役作業)を自動搬送車によって行っている。自動搬送車は、電源と、当該電源によって電力供給される電動機と、当該電動機によって駆動される駆動輪とを有し、工程間を結ぶ搬送経路に沿って走行しつつ荷役作業を行う。また、荷役作業は、各自動搬送車と無線で情報を送受することができる管理機によって管理されている。管理機は、新たな荷役作業が発生した場合に、適当な自動搬送車にその荷役作業を割り当てる。
【0003】
自動搬送車は、荷役作業を継続するのに必要な電力が不足していると判断すると、搬送経路の近傍に備えられた充電器に向かって走行し、自らの充電を行う。管理機側で各自動搬送車の充電状況を集中的に管理し、管理機からの指令により各自動搬送車が充電を行う場合もある。充電を行った後の自動搬送車は、自動的に、または管理機からの指令にしたがい、荷役作業に復帰する。
【0004】
以上のような、自動搬送車を中心とした荷役作業のためのシステムを、以下「自動搬送システム」と称することとする。公知の自動搬送システムとしては、例えば、特許文献1、2に記載のものがある。
【特許文献1】特開平6−292303号公報
【特許文献2】特開平11−313402号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来の自動搬送システムで使用される自動搬送車には、電源として、充電可能な二次電池が備えられている。この中でも、Liイオン電池は比較的大容量かつ高出力という特徴を有している。
【0006】
しかしながら、二次電池を電源とした自動搬送車では、以下に示す事情により、二次電池の残容量(自動搬送車の「残り稼動時間」に相当する)を正確に把握するのが困難であった。
すなわち、二次電池の残容量を把握する方法としては、(1)二次電池の出力電圧を測定する方法や、(2)二次電池からの出力電流を測定し、その時間積分を行う方法が知られているが、このうち(1)の方法では、電動機の運転状況に応じて二次電池の出力電圧が上下に振れることにより、残容量を実際よりも多く/少なく見積もってしまうことがあった。また、(2)の方法を利用するためには、電流脈動に対応した高性能電流検出器や、得られた電流データを非常に短い周期でサンプリング等する演算処理システムが必要となり、高コスト化を招いていた。
【0007】
また、図8に示すように、一般に二次電池の出力電圧は、ある程度残容量が減少するまではほとんど低下しないという特性を有している。例えば、残容量が80%から40%に半減しても、出力電圧はΔVしか変動しない。一方、二次電池の出力電圧は、残容量が20%程度(一例)を下回ると急激に低下し、電動機を正常に動作させるのに必要な電圧VTHを下回る。したがって、Liイオン電池等の二次電池で上記(1)の方法を用いる場合は、使用可能範囲の残容量を把握するために微小な電圧変化(ΔV)を測定することが必要となり、残容量の把握に誤差が生じやすかった。
【0008】
以上のように、従来の自動搬送システムでは、二次電池の残容量を正確に把握するのが困難だったので、荷役作業が非効率なものとなっていた。例えば、管理機によって把握されている残容量(例えば、20%)が実際(50%)よりも少ない場合は、実際には残容量が十分であるにもかかわらず繰り返し不必要な充電が行われていた。
反対に、管理機によって把握されている残容量(例えば、50%)が実際(20%)よりも多い場合は、必要な充電が行われないまま荷役作業が続けられ、作業中に自動搬送車が停止してしまうことがあった。この場合は、自走できなくなった自動搬送車を別の場所に退避させて充電を行う必要があり、手間がかかるとともに、他の自動搬送車による荷役作業も一時的に中断せざるを得なかった。
また、従来の自動搬送システムでは、上記自動搬送車の停止を予防するために、二次電池を図8に示す使用可能範囲よりもかなり狭い範囲(例えば、100%〜60%)で使用しており、大容量であることが活かせていなかった。
【0009】
そこで、本発明は、各自動搬送車の残り稼動時間を正確に把握し、この時間に基づいて各自動搬送車に的確な指令を与えることにより、荷役作業を効率的に行うことができる自動搬送システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、自動搬送車の電源として電気二重層キャパシタ(以下、単に「キャパシタ」という)を使用すれば、各自動搬送車の残り稼動時間を正確に把握し、各自動搬送車に的確な指令が与えられることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明に係る自動搬送システムは、管理機からの指令に基づいて、複数の自動搬送車が所定の搬送経路に沿って走行しながら荷役作業を行う自動搬送システムであって、前記複数の自動搬送車はそれぞれ充電可能な電源としてのキャパシタを備え、前記複数の自動搬送車のそれぞれから前記管理機に対して、前記キャパシタの出力電圧または当該出力電圧から算出される前記キャパシタの残容量に関する情報と、当該自動搬送車の位置に関する情報とが送信され、前記管理機が受信した前記情報に基づいて荷役作業を行うのに適当な一の自動搬送車が決定され、前記管理機から当該一の自動搬送車に対して荷役作業を行う旨の指令が送信されることを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、管理機において、各自動搬送車の残り稼動時間(キャパシタの出力電圧、及び残容量に依存する)と、位置とを正確に把握することができるので、荷役作業を、当該作業を最も効率良く行うことができる自動搬送車に割り当てることができる。
【0013】
また、上記自動搬送システムは、前記一の自動搬送車による荷役作業を行わせつつ、前記出力電圧または残容量が低下している他の自動搬送車に充電を行う旨の指令を送信するよう構成するのが好ましい。
これにより、当該荷役作業だけでなく、次に荷役作業も効率的に行うことができる。
【0014】
また、上記自動搬送システムにおいて、管理機が常に最新の情報を参照できるようにするためには、前記複数の自動搬送車から前記管理機への前記情報の送信を一定時間毎に行われるよう構成するか、または、前記キャパシタの出力電圧が所定量変化した際、及び/または前記位置が所定量変化した際に行われるよう構成することが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、各自動搬送車の残り稼動時間を正確に把握し、この時間に基づいて各自動搬送車に的確な指令を与えることにより、荷役作業を効率的に行うことができる自動搬送システムを提供することができる。
なお、本発明で自動搬送車の電源として使用するキャパシタは、従来使用されていたLiイオン電池等の二次電池に比べて容量が少ない。しかしながら、キャパシタは急速充電が可能で、かつ充電回数は事実上無制限なので、充電の頻度を上げることによって容量の少なさをカバーすることができる。また、工場等の限られた領域内に設けられた所定の搬送経路上を周回・往復する自動搬送車には、1回の充電で大量のエネルギーを貯蔵する必要もない。
【0016】
また、一般にキャパシタは、従来から使用されている二次電池よりも安全で、長寿命で、かつ環境負荷が低いといった特徴を有している。したがって、本発明に係る自動搬送システムによれば、ランニングコストを低減することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る自動搬送システムの好ましい実施形態について説明する。
【0018】
図1に、本発明に係る自動搬送システムで使用される自動搬送車のブロック図を示す。
この自動搬送車AGVにおいて、通信部1は後述する管理機との間で各種情報の送受を行う。位置検出部2は、主にIDタグリーダーからなり、搬送経路の床面に適当な間隔をおいて配置されたIDタグの識別情報を読み取る。そして、読み取った識別情報に基づいて、当該自動搬送車AGVの位置を特定する。位置検出部2としては、光学センサ、磁気センサ等を用いて位置を特定するものも適用可能である。制御部3は、通信部1を介して受信した管理機からの指令情報等に基づいて各部を制御するとともに、通信部1を介して自動搬送車AGVに関する情報を管理機に送信する。
【0019】
自動搬送車AGVは、電源としてのキャパシタ5を備えている。キャパシタ5の出力電圧は電圧検出部6によって検出され、制御部3に伝達される。そして、出力電圧は、後述する図3の関係に基づいて残容量に変換される。また、キャパシタ5は受電部7を介して充電可能となっている。具体的には、受電部7は(+)極と(−)極の2つの端子を有しており、各端子と充電器の対応する端子とを接触させることにより、キャパシタ5の充電が行われる。
【0020】
インバータ4は、キャパシタ5から出力される直流の出力電圧を制御部3の制御下でスイッチングして交流電圧(駆動信号)に変換し、電動機8に向かって出力する。そして、電動機8は、当該駆動信号に応じた速度・トルクで駆動輪9を駆動する。図1に示すように、電動機8には、2以上の駆動輪9が接続される場合もある。また、インバータ4と電動機8の組は、2以上備えられていてもよい。
【0021】
図3は、キャパシタ5の出力電圧と残容量の関係を示すグラフである。
この図に示すように、キャパシタ5では、二次電池(図8参照)とは異なり、残容量の低下に伴って出力電圧が直線的に低下するので、残容量が低下した際の出力電圧の変動が大きい。また、キャパシタ5では、電動機8の運転状況に応じて出力電圧が上下に振れることもない。したがって、電源をキャパシタ5としてその出力電圧を測定すれば、自動搬送車AGVの残り稼動時間を正確に把握することができる。
【0022】
なお、前記の通り、キャパシタ5は二次電池に比べて容量が少ないので、キャパシタ5を備えた自動搬送車と従来の二次電池を備えた自動搬送車とが同じ荷役作業を行うと、キャパシタ5の方が、残容量が大きく低下する。また、図3と図8から明らかなように、キャパシタ5は従来の二次電池に比べて使用可能範囲が狭い。しかしながら、キャパシタ5は急速充電が可能で、かつ充電回数は事実上無制限なので、充電の頻度を上げることによってこれらの弱点をカバーすることができる。また、工場等の限られた領域内に設けられた所定の搬送経路上を周回・往復する自動搬送車には、1回の充電で大量のエネルギーを貯蔵する必要もない。それでも、なお大量のエネルギーを貯蔵したい場合には、複数のキャパシタを並列に接続することにより、容易に所望の容量を実現することができる。
【0023】
図2は、上記キャパシタ5を備えたm台の自動搬送車AGV1〜m、管理機10、入庫台20、及び出庫台21の関係を示すブロック図である。自動搬送車AGV1〜mは、管理機10の指令に基づいて、入庫台20の荷物を出庫台21まで搬送する。本発明では、入庫台20及び出庫台21の種類は特に限定されず、棚状のものでも、ベルトコンベアーのようなものであってもよい。
【0024】
管理機10は、アンテナを備えた通信部11と、運行管理部12と、記憶部13とから構成される。通信部11は、運行管理部12の制御下で、特定の自動搬送車(例えば、AGV1)に運行指令情報を無線で送信するとともに、各自動搬送車AGV1〜mから無線で送信されてくる搬送車情報を受信し、運行管理部12に伝達する。また、通信部11は、入庫台20からの入庫台情報、及び出庫台21からの出庫台情報も受信する。図2に示すように、管理機10と入庫台20及び出庫台21との間の情報の送受は有線で行われるが、適宜無線に変更してもよい。
【0025】
記憶部13は、主に半導体メモリや磁気ディスク装置から構成され、通信部11が受信した各種情報等を保持する。そして、運行管理部12は、記憶部13に保持されている情報等に基づいて運行指令情報を生成し、通信部11に伝達する。
【0026】
各自動搬送車AGV1〜mから送信される搬送車情報には、キャパシタ5の残容量(または、出力電圧)、位置、及びエラー情報が含まれる。エラー情報としては、例えば、“電動機に異常発生”がある。運行指令情報には、荷役作業指令、充電指令、走行指令、及び待機指令が含まれる。待機指令以外の各指令には、当該指令の動作を行う際に通る経路に関する情報が付加されることもある。
【0027】
入庫台20からの入庫台情報には、荷役作業対象となるべき荷物の有無(数量)が含まれる。また、出庫台21からの出庫台情報には、搬送されてきた荷物の有無(数量)が含まれる。
【0028】
図4は、本発明に係る自動搬送システムの具体的構成の一例を示す模式図である。
自動搬送システム100は、第1〜第3の自動搬送車AGV1〜3と、管理機10と、入庫台20と、出庫台21とを備える。入庫台20と出庫台21の間には、矩形状の外周部分Aと、その長辺の中央同士を繋ぐバイパス部分Bとからなる搬送経路が形成されている。また、外周部分Aの近傍には、充電器22が備えられている。
【0029】
搬送経路の床面には、適当な間隔をおいてIDタグID1〜32が配置されている。各自動搬送車AGV1〜3は、これらのIDタグID1〜32との相対的な位置関係を検出することにより、搬送経路を逸脱することなく走行することができる。また、各自動搬送車AGV1〜3は、IDタグID1〜32に格納された識別情報を読み取ることにより、搬送経路上のどの位置にいるのかを特定することができる。特定された位置情報は、搬送車情報として管理機10に送信される。
【0030】
図4に示す一例では、第1の自動搬送車AGV1がIDタグID6(位置6)付近で停止している。また、第2の自動搬送車AGV2、第3の自動搬送車AGV3は、それぞれIDタグID31(位置31)、IDタグID19(位置19)付近で停止している。このとき、管理機10の記憶部13には、図5に示すような運行管理テーブルが保持される。すなわち、記憶部13には、各自動搬送車AGV1〜3の位置、残容量(または、出力電圧)、及び状態が関連付けられて保持されている。ここで、「状態」には、待機の他に走行中、搬送中、充電中等がある。
【0031】
運行管理テーブルは、各自動搬送車AGV1〜3から管理機10に送信される搬送車情報と、管理機10から各自動搬送車AGV1〜3に送信される運行指令情報とに基づいて生成される。例えば、位置19で停止している第3の自動搬送車AGV3に対して、“位置25に移動せよ”との指令がなされると、搬送車No.3の「状態」が待機から走行中に変更される。位置25に向かって走行している第3の自動搬送車AGV3からは、所定時間毎に搬送車情報が送信され、運行管理テーブル中の「位置」及び「残容量」は最新のものに逐次変更される。搬送車情報の送信は、キャパシタの残容量(出力電圧)及び/または位置が所定量変化する度に行われるようにしてもよい。
【0032】
以上のように、本発明に係る自動搬送システムでは、自動搬送車の電源としてキャパシタを使用することにより、各自動搬送車の残容量を正確に把握することができる。また、各自動搬送車の残容量(または、出力電圧)、位置、及び状態は、関連付けられて記憶部に保持され、逐次最新のものに更新される。これにより、管理機の運行管理部は、各自動搬送車の最新の残り稼動時間、及び入庫台や出庫台との最新の位置関係に基づいて、各自動搬送車に的確な指令を与えることができる。
【0033】
続いて、図6を参照して、本発明に係る自動搬送システムで行われる荷役作業の具体例について説明する。この図において、(A)〜(G)はそれぞれ荷役作業開始から荷役作業終了までの各状態を時系列順に並べたものである。本具体例では、搬送経路の形状、入庫台20の配置等を図4に示す自動搬送システム100と同様とした。本具体例において、各自動搬送車は基本的に搬送経路上を反時計回りに走行するが、必要に応じて時計回りに走行することも可能である。
【0034】
図6において、各自動搬送車の脇に記載されたカッコ内の数値は、当該自動搬送車から管理機10に送信されたキャパシタの残容量である。なお、説明の便宜のため、図6では、キャパシタの使用可能範囲(出力電圧VMAX〜VTH)を100%〜0%とした残容量を記載している(図7参照)。すなわち、図6の“残容量=0%”は、“実際の残容量=約70%(出力電圧=VTH)”に相当する。また、図6の“残容量=100%”は、“実際の残容量=100%(出力電圧=VMAX)”に相当する。
【0035】
まず、図6(A)において、入庫台20に搬送すべき荷物が置かれると、入庫台20から管理機10にその旨の入庫台情報が送信される。これに伴い、管理機10の運行管理部12は、どの自動搬送車に当該荷役作業を行わせるかを決定する。
【0036】
具体的には、入庫台20に最も近い位置にいるのは第1の自動搬送車AGV1であるが、第1の自動搬送車AGV1はキャパシタの残容量が少ないので、荷物を受け取った後に充電台22まで走行することができない。そこで運行管理部12は、入庫台20から同程度離れた位置にいる第2の自動搬送車AGV2と第3の自動搬送車AGV3のうち、残容量が大きい第2の自動搬送車AGV2に当該荷役作業を割り当てる。そして、第2の自動搬送車AGV2にその旨の運行指令情報を送信するとともに、次の荷役作業に備えて、第1の自動搬送車AGV1に充電を行う旨の運行指令情報を送信する。
【0037】
運行指令情報にしたがい、第2の自動搬送車AGV2は入庫台20に向かって走行を開始する。また、第1の自動搬送車AGV1のキャパシタは充電器22によって充電され、残容量が100%となる(図6(B)参照)。各動作に伴って変化する第1及び第2の自動搬送車AGV1、AGV2の最新の位置及び残容量は、各自動搬送車から管理機10に逐次送信される。
【0038】
図6(C)では、入庫台20に到着した第2の自動搬送車AGV2が搬送すべき荷物を受け取る。また、次の荷役作業に備えて、第3の自動搬送車AGV3に充電を行う旨の運行指令情報が送信される。充電が完了した第1の自動搬送車AGV1は、充電器22前から退避する。
【0039】
図6(D)は、荷物を受け取った第2の自動搬送車AGV2が出庫台21に向かって走行するとともに、第3の自動搬送車AGV3のキャパシタが充電器22によって充電されている状態を示す。その後、第2の自動搬送車AGV2は出庫台21に到着し、荷物を出庫台21に受け渡す(図6(F)参照)。なお、第2の自動搬送車AGV2は、図6(E)において充電器22前を通過する際に充電を行わない。先に出庫台21に荷物を受け渡し、その後充電器22前まで戻ってきて充電を行える程度に、キャパシタの容量が残っていると判断されたからである。また、その方が、当該荷役作業を早期に終了することができるからである。
【0040】
荷物が出庫台21に受け渡され、当該荷役作業を終了すると、次の荷役作業に備えて、第2の自動搬送車AGV2に充電を行う旨の運行指令情報が送信される。第2の自動搬送車AGV2は、この運行指令情報にしたがって充電器22前に戻る(図6(G)参照)。そして、第2の自動搬送車AGV2に備えられたキャパシタの充電が行われ、残容量が100%となる。
【0041】
以上のように、本発明に係る自動搬送システムでは、各自動搬送車の最新の残容量(または、出力電圧)と位置を正確に把握することができるので、荷役作業を効率的に行うことができる。具体的には、本発明に係る自動搬送システムによれば、荷役作業を行うのに最適な一の自動搬送車(上記実施例では、第2の自動搬送車AGV2)を決定することができる。そして、その自動搬送車による荷役作業を妨げることなく他の自動搬送車(第1及び第3の自動搬送車AGV1、AGV3)の充電を行うことにより、当該荷役作業だけでなく、次の荷役作業もスムーズに行うことができる。
【0042】
なお、本発明に係る自動搬送システムは上記構成に限定されず、種々の変形例が考えられる。例えば、本発明は、入庫台の荷物を出庫台に搬送するだけの単純な自動搬送システムだけでなく、他のあらゆる自動搬送システムに適用することができる。具体的には、搬送経路の形状、入庫台等の配置及び数量、自動搬送車の台数、及びIDタグの配置等は任意に変更することができる。なお、自動搬送車の位置検出部の種類に応じて、IDタグが適宜他の部材に変更されることは言うまでもない。
【0043】
また、実施例では、各自動搬送車から管理機にキャパシタの残容量に関する情報が送信されることとしたが、残容量の替わりにキャパシタの出力電圧に関する情報が送信されるようにしてもよい。この場合は、運行管理部において出力電圧が残容量に変換される。そして、変換によって得られた残容量に基づいて、各自動搬送車の運行制御が行われる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明に係る自動搬送システムで使用される自動搬送車のブロック図である。
【図2】管理機、自動搬送車、入庫台、出庫台の関係を示すブロック図である。
【図3】キャパシタの出力電圧と残容量の関係を示すグラフである。
【図4】本発明に係る自動搬送システムの具体的構成の一例を示す模式図である。
【図5】管理機に格納されている運行管理テーブルの一例を示す図である。
【図6】本発明に係る自動搬送システムで行われる荷役作業の一例を示す模式図であって、(A)〜(G)はそれぞれ作業開始から作業終了までの各状態を時系列順に並べた模式図である。
【図7】キャパシタの出力電圧と残容量の関係を示すグラフである。
【図8】二次電池の出力電圧と残容量の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0045】
AGV 自動搬送車
1 (自動搬送車の)通信部
2 位置検出部
3 制御部
4 インバータ
5 キャパシタ
6 電圧検出部
7 受電部
8 電動機
9 駆動輪
10 管理機
11 (管理機の)通信部
12 運行管理部
13 記憶部
20 入庫台
21 出庫台
22 充電器
100 自動搬送システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理機からの指令に基づいて、複数の自動搬送車が所定の搬送経路に沿って走行しながら荷役作業を行う自動搬送システムであって、
前記複数の自動搬送車はそれぞれ充電可能な電源としてのキャパシタを備え、
前記複数の自動搬送車のそれぞれから前記管理機に対して、前記キャパシタの出力電圧または当該出力電圧から算出される前記キャパシタの残容量に関する情報と、当該自動搬送車の位置に関する情報とが送信され、
前記管理機が受信した前記情報に基づいて荷役作業を行うのに適当な一の自動搬送車が決定され、前記管理機から当該一の自動搬送車に対して荷役作業を行う旨の指令が送信される、
ことを特徴とする自動搬送システム。
【請求項2】
前記一の自動搬送車に荷役作業を行わせつつ、前記出力電圧または残容量が低下している他の自動搬送車に対して、充電を行う旨の指令を送信することを特徴とする請求項1に記載の自動搬送システム。
【請求項3】
前記複数の自動搬送車から前記管理機への前記情報の送信が、一定時間毎に行われることを特徴とする請求項1または2に記載の自動搬送システム。
【請求項4】
前記複数の自動搬送車から前記管理機への前記情報の送信が、前記キャパシタの出力電圧が所定量変化した際、及び/または前記位置が所定量変化した際に行われることを特徴とする請求項1または2に記載の自動搬送システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−55183(P2010−55183A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−216806(P2008−216806)
【出願日】平成20年8月26日(2008.8.26)
【出願人】(000232807)日本輸送機株式会社 (320)
【Fターム(参考)】