説明

自動販売機

【課題】不正アクセスを有効に防止する。不正アクセスによるトラフィックの増大を防ぐ。
【解決手段】 利用者のアクションに応じて該利用者がインターネット接続サービスに使用する端末機の機器IDを取得する一方で、アクセスしてきた端末機から該端末機に固有の機器ID(例えばMACアドレス)を読み取り、少なくとも両IDが一致したことを条件に、該端末機を所定の通信網を介して外部の管理サーバに接続することを許可し、該管理サーバ経由で該端末機をインターネットに接続させる。利用者が正当な機器IDを提示した後に、該利用者の携帯する端末機が通信手段を介して外部の管理サーバに接続できることになるので、不正利用者が通信手段と外部の管理サーバとの間の通信網に入り込むことができず、該通信手段と外部の管理サーバとの間の通信網におけるトラフィックの増大を防ぐことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インターネット接続サービスを提供する機能を備えた自動販売機に関する。
【背景技術】
【0002】
公衆インターネット接続サービスとして、都市内の任意の地域に構築された無線式ローカルエリアネットワーク(以下、「無線LAN」と略称する)を利用するシステムがあることは公知である。しかし、従来公知の公衆無線LAN利用インターネット接続サービスにおいては、各利用者が個別にインターネットプロバイダと無線LANによるインターネット利用契約を結んでおく必要があったので、誰でもが簡便に利用できるものではなかった。
【0003】
下記特許文献1においては、自動販売機に無線LANアクセスポイントの機能を備えさせ、利用者が自動販売機に料金を投入することにより該無線LANアクセスポイントを使用する権利を所定時間分だけ購入し、該購入した時間分だけ利用者のパーソナルコンピュータ(以下、「パソコン」と略称する)又はPDA等の端末機を該無線LANアクセスポイントを介してインターネットに接続させるようにした発明が示されている。しかし、この特許文献1に示された発明は、利用者が特定場所に設置された自動販売機における無線LANアクセスポイントの使用権を時間購入できるだけのものにすぎないので、利用者が予め特定のインターネットプロバイダと無線LAN利用契約を結んでいなければ、インターネット接続ができないという不都合がある。
【0004】
一方、下記特許文献2においては、自動販売機においてローカルエリアネットワークを構築する手段(アクセスポイント)を具備すると共にインターネット接続を行うための通信インターフェースを具備し、利用者のパソコン等の端末機を該ローカルエリアネットワーク経由で通信インターフェースを介して当該自動販売機の管理者が契約している所定のプロバイダに接続し、該所定のプロバイダを介して該利用者のパソコン等の端末機をインターネットに接続させるようにした発明が示されている。これによれば各利用者が個別に特定のインターネットプロバイダと無線LANによるインターネット利用契約を結んでおく必要がないので、任意の利用者であっても、簡便にインターネット接続サービスを受けることができる。
【0005】
ところで、特許文献2に示された発明における利用者のアクセス方式は、利用者が購入したいインターネット接続サービスの対価を現金又は電子マネーで支払うと、自動販売機から利用IDが発行され、利用者のパソコンからこの利用IDを入力することでローカルエリアネットワーク(無線LAN)のアクセスポイントに接続できるようになっている。その際、自動販売機のアクセスポイントでは、常に電源ONとなっていて、任意の利用者からの利用IDがエントリされることを待ち受けており、何らかのIDエントリがなされると、その情報を自動販売機内部の制御装置に伝達し、該制御装置において該エントリされたIDが正規に発行された利用IDであるか否かの照合を随時行えるような態勢となっている。そのため、不正利用を意図する利用者が、当該自動販売機のローカルエリアネットワーク(無線LAN)の有効エリア内に入り、自己のパソコンから任意のIDをエントリした場合、自動販売機のアクセスポイントではエントリされたIDを無条件に受け付けて自動販売機内部の制御装置に伝達し、該制御装置において該エントリされたIDが正規に発行された利用IDであるか否かの照合を行わねばならず、該アクセスポイントにおける処理が絶えず活性化され、該アクセスポイントに余計なトラフィック(負荷データ)が加えられることになる。このようなトラフィック(負荷データ)の増大は、自動販売機のローカルエリアネットワークの限りある資源を無駄に費やすことになるので、正規利用者の接続状態を不安定にするという不都合をもたらし、また、その間アクセスポイントにおける処理が活性化され続けるために消費電力等の浪費ももたらす。そして、ついには不正利用者がエントリした利用IDがたまたま正規のIDに一致したとすると、不正なインターネット接続が許されてしまうことになる、という不都合もある。更に、不正利用者が自動販売機から正規に発行された利用IDを不正に知得してエントリするケースも起こり得るが、従来技術ではそのような不正利用を防ぐことができなかった。
【0006】
更に、特許文献2に示された発明においては、個別の自動販売機それ自体がインターネット用の通信インターフェースを介して直接インターネットに接続される構成となっているので、個別の自動販売機それ自体がインターネット接続を制御する管理機能(インターネットサーバー機能)を持たねばならない。従って、複数の自動販売機でインターネット接続サービスシステムを組む場合、無駄が多いシステムとなってしまう。
【0007】
一方、図6に示すように、自動販売機1を外部の管理サーバ2とを所定の通信回線網3(例えばFOMA:Freedom Of Mobile Multimedia Access:マルチメディアの移動体のアクセスの自由)に接続し、自動販売機1にアクセスしてきた利用者端末機のインターネット接続の許可/不許可の制御を該管理サーバ2の側で行うシステムも考えられている。この場合、個別の自動販売機1それ自体がインターネット接続を制御する管理機能(インターネットサーバー機能)を持つ必要がないので、複数の自動販売機でインターネット接続サービスシステムを組むのに適している。この場合、個別の自動販売機1は、インターネット接続サービスに関しては、無線LANのアクセスポイント(AP)装置、通信回線網3を介してサーバ2に接続するためのモデム装置、及びこれらを制御する制御装置を具備していればよい。しかし、このようなシステムにおいても、利用者のアクセス方式は、特許文献2と同様のものであったため、上述と同様の問題が生じる。
【0008】
すなわち、自動販売機1のアクセスポイントAPでは、常に電源ONとなっていて、任意の利用者からの利用IDがエントリされることを待ち受けており、何らかのIDエントリがなされると、その情報を通信回線網3を介してサーバ2に伝達し、該サーバ2において該エントリされたIDが正規に発行された利用IDであるか否かの照合を行い、接続可であれば、当該利用者の端末機を自動販売機1のアクセスポイントAP、通信回線網3、及び該サーバ2を介してインターネットに接続させる。この場合、自動販売機のアクセスポイントAPの有効エリア内に入った端末機は、無条件で通信回線網3を経由しサーバ2までアクセスし得る。そのため、不正利用を意図する利用者が、当該自動販売機のアクセスポイントAPの有効エリア内に入り、自己のパソコンから任意のIDをエントリした場合、自動販売機1のアクセスポイントAPではエントリされたIDを無条件に受け付けて通信回線網3を介してサーバ2に伝達し、該サーバ2において該エントリされたIDが正規に発行された利用IDであるか否かの照合を行わねばならず、該アクセスポイントAP及び通信回線網3が絶えず活性化され、該アクセスポイントAP及び通信回線網3に余計なトラフィック(負荷データ)が加えられることになる。このようなトラフィック(負荷データ)の増大は、自動販売機1のローカルエリアネットワークの限りある資源を無駄に費やすことは勿論のこと、自動販売機1とサーバ2とを接続する通信回線網3の限りある資源を無駄に費やすことにもなるので、正規利用者のインターネット接続状態を不安定にするという不都合をもたらす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005−1656579号
【特許文献2】特開2009−157658号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上述の点に鑑みてなされたもので、不正アクセスを有効に防止し、インターネット接続サービスの提供を適正に運用できるように工夫した自動販売機を提供しようとするものである。更には、不正アクセスによるトラフィックの増大を防ぎ、インターネット接続サービスの提供を適正に運用できるように工夫した自動販売機を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る自動販売機は、利用者が購入品目を選択するために該利用者によって操作される品目選択手段と、ここで、該品目選択手段によって選択される品目には、利用者が携帯する端末機をインターネットに接続させるサービスを提供することが含まれており、現金を利用者に投入させる又は現金に代替しうる電子マネー媒体を利用者に提示させることで、対価支払いのための金銭的価値情報を入力させる入力手段と、利用者のアクションに応じて該利用者がインターネット接続サービスに使用する端末機の機器IDを取得する取得手段と、インターネットへの接続を制御する機能を持つ外部の管理サーバと通信するための第1の通信手段と、利用者が携帯する端末機と通信するための第2の通信手段と、前記第2の通信手段にアクセスしてきた端末機から該端末機に固有の機器IDを読み取る読み取り手段と、前記入力手段を介して入力された金銭的価値を基礎にして、前記品目選択手段によって選択された購入品目の対価の決済を行う決済処理手段と、前記取得手段を介して取得した前記機器IDが、前記読み取り手段を介して読み取った前記アクセスしてきた端末機の機器IDに一致しているかどうかを照合する照合手段と、前記品目選択手段によって選択された購入品目に前記利用者が携帯する端末機をインターネットに接続させるサービスが含まれているならば、少なくとも前記照合手段によって機器IDが一致していると判定されたことを条件に、該利用者が携帯する端末機をインターネットに接続することを許可する接続制御手段とを具備し、前記接続制御手段によって前記利用者が携帯する端末機をインターネットに接続することが許可されたとき、前記第2の通信手段を介して接続されている該端末機を更に前記第1の通信手段を介して前記管理サーバに接続し、該管理サーバ経由で該端末機をインターネットに接続させることを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、利用者のアクションに応じて該利用者がインターネット接続サービスに使用する端末機の機器IDを取得する一方で、第2の通信手段を介してアクセスしてきた端末機から該端末機に固有の機器IDを読み取り、少なくとも両IDが一致したことを条件に、該第2の通信手段を介して接続されている該端末機を更に第1の通信手段を介して外部の管理サーバに接続することを許可し、該管理サーバ経由で該端末機をインターネットに接続させるようにしているので、利用者が正当な機器IDを提示した後に、該利用者の携帯する端末機が第1の通信手段を介して外部の管理サーバに接続できることになるので、不正利用者が第1の通信手段と外部の管理サーバとの間の通信網に入り込むことができず、該第1の通信手段と外部の管理サーバとの間の通信網におけるトラフィックの増大を防ぐことができる。すなわち、利用者が携帯する端末機は、従来のように自動販売機のアクセスポイントの有効エリア内に入っただけでは、外部の管理サーバまでつながる通信網に入り込むことができない。また、不正アクセスを有効に防止し、インターネット接続サービスの提供を適正に運用することができるようになる。
【0013】
好ましい実施態様においては、前記第2の通信手段は、前記取得手段を介して前記機器IDが取得された後に、前記利用者が携帯する端末機との通信を開始する。これにより、利用者が携帯する端末機は、従来のように自動販売機のアクセスポイントの有効エリア内に入っただけでは、該アクセスポイントにアクセスできないこととなり、端末機から第2の通信手段につながる通信網においても、不正利用によるトラフィックの増大を有効に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施例に係る自動販売機の内部構成の概略ブロック図及び該自動販売機を含むインターネット接続サービスシステムのブロック図。
【図2】同実施例に係る自動販売機及びそれに関連したインターネット接続サービスシステムを用いたインターネット接続サービスの処理手順の第一例を示すシーケンス図。
【図3】同実施例に係る自動販売機及びそれに関連したインターネット接続サービスシステムを用いたインターネット接続サービスの処理手順の第二例を示すシーケンス図。
【図4】同実施例に係る自動販売機及びそれに関連したインターネット接続サービスシステムを用いたインターネット接続サービスの処理手順の第三例を示すシーケンス図。
【図5】同実施例に係る自動販売機及びそれに関連したインターネット接続サービスシステムを用いたインターネット接続サービスの処理手順の第四例を示すシーケンス図。
【図6】自動販売機を用いたインターネット接続サービスシステムの従来例を示すブロック図。
【0015】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明しよう。
図1は、本発明の一実施例に係る自動販売機10の内部構成の概略ブロック図及び該自動販売機10を含むインターネット接続サービスシステムのブロック図である。自動販売機10は、公知の自動販売機が持つ装置及び機構に加えて、本発明に関連する電子マネー端末装置20を具備している。
【0016】
まず、本発明に係る自動販売機10を含むインターネット接続サービスシステムの前提的事項について説明する。このインターネット接続サービスシステムにおいては、各利用者が当該インターネット接続サービスシステムで使用する端末機(パソコン、PDA、電子ゲーム機等)を特定する固有の機器ID(例えばMACアドレス:メディア・アクセス・コントロール・アドレス)を用いてインターネット接続の可否を制御するようになっている。そして、インターネット接続の可否を判定する際に、利用者が携帯している端末機30からその機器IDを自動的に読み取る一方で、該自動的読み取り以外の該利用者の何らかのアクションに応じて、該利用者がインターネット接続サービスに使用する端末機の機器IDを取得するようにしている。例えば、利用者が所持する電子マネー媒体に機器IDを記憶させておき、該電子マネー媒体の記憶情報を読み込むことで該機器IDを取得するようにしてもよいし、あるいは、テンキー等の文字・数値入力器を介して利用者に機器IDを入力させることにより該機器IDを取得するようにしてもよい。少なくとも、取得した機器IDと実際にアクセスしている端末機30から読み取った機器IDとが一致していることを条件として、該端末機30がインターネットに接続することを許可する。
【0017】
図1において、自動販売機10は、自動販売機主制御部11、品目選択部12、硬貨処理装置(コインメックC/M)13、紙幣識別装置(ビルバリデータB/V)14、物品排出機構15などの公知の装置・機構を具備する。硬貨処理装置13及び紙幣識別装置14は、インターネット接続サービスの対価を現金で支払う場合に、利用者が投入した貨幣を受理し、投入金額を計算するもので、これにより、対価支払いのための金銭的価値情報が入力される。
【0018】
品目選択部12は、利用者が購入品目(商品)を選択するために該利用者によって操作されるスイッチ等からなる。この品目選択部12によって選択可能な品目には、利用者が携帯する端末機30をインターネットに接続させるサービスを提供することが含まれている。例えば、所定の1つの品目選択スイッチに対して「インターネット接続サービス」が割り当てられており、「インターネット接続サービス」の利用(時間借り)を希望する利用者は、該「インターネット接続サービス」に対応する当該品目選択スイッチをオンする。この場合、該品目選択スイッチで選択可能な「インターネット接続サービス」の利用時間(借り時間)が例えば1時間のように所定時間に固定されていてもよいし、あるいは、図示しないテンキーボードなどの入力手段を自動販売機10に設け、該入力手段で所望の「インターネット接続サービス」利用時間を入力できるようにしてもよい。若しくは、複数の品目選択スイッチに対してそれぞれ異なる利用時間(借り時間)の「インターネット接続サービス」を割り当てておき、利用者が所望の時間に対応するいずれかの品目選択スイッチを選択操作するように構成してもよい。なお、通常は利用時間(借り時間)の長さに応じて利用料金が異なるようにする。なお、自動販売機10が通常知られているように物品販売機能を持っている場合は、インターネット接続サービスが購入されたとき、おまけとしてジュース等何らかの物品が併せて排出されるようになっていてもよい。その逆に、ジュース等何らかの物品が購入されたとき、おまけとしてインターネット接続サービスを受けることができるようになっていてもよい。なお、「インターネット接続サービス」専用の品目選択スイッチを電子マネー端末装置20の側に具備していてもよい。
【0019】
電子マネー端末装置20は、制御部21、電子マネー入力部22、対応機器ID入力部23、機器ID読取部24、AP電力モード切替制御部25、通信モジュール26等を含んでいる。
【0020】
通信モジュール26及びアンテナ41は、所定の通信回路網(例えばFOMA)40を介して自動販売機10が外部の管理サーバ50と通信を行うことを可能にする通信インターフェース(第1の通信手段)である。電子マネー端末装置20に関連して無線LANのアクセスポイント(AP)装置16が設けられている。このアクセスポイント(AP)装置16は、当該自動販売機10が設置された場所の周辺のエリアに無線LANを構築し、該エリア内に入った利用者が携帯する端末機30と該自動販売機10(すなわち該自動販売機10内の電子マネー端末装置20)が通信できるようにする手段(第2の通信手段)である。
【0021】
電子マネー入力部22は、現金に代替しうる電子マネー媒体を利用者に提示させる(入力させる)ためのものであり、プリペイドカード、デビットカード、クレジットカード、金券、ポイントカードなど、現金に代替しうる金銭的価値情報を保持する電子マネー媒体であればどのような形態からなっていてもよい。例えば、電子マネー媒体が該利用者が所持するICカードあるいは磁気カード等の記録媒体であるとすると、電子マネー入力部22は、外部から近接した若しくは挿入された記録媒体(電子マネー媒体)に記録された情報の少なくとも読み取りを行う媒体読取器からなっていてよく、該記録媒体に記録された電子マネー情報を媒体読取器で読み取ることにより該電子マネー情報を入力することができる。この場合、勿論、媒体読取器は、書込み機能をも具えた読み書き器であってもよく、例えば、決済処理の結果生じた残金などが書き込まれるようになっていてよい。なお、記録媒体に記録された電子マネー情報は、バーコードあるいは2次元バーコードなどの光学的情報であってもよく、その場合、携帯電話のディスプレイに電子マネー情報を表示させ、これを媒体読取器にて光学的に読み取る構成であってもよい。
【0022】
機器ID取得部23は、利用者のアクションに応じて、該利用者がインターネット接続サービスに使用する端末機の機器IDを取得するものである。例えば、電子マネー情報を記録した前記記録媒体(電子マネー媒体)において特定の機器IDをも記録している場合は、前記媒体読取器が該機器ID取得部23の機能を担い、該媒体読取器において前記電子マネー情報と共に機器IDをも同時に読み取ることで、機器IDを取得するようにする構成であってよい。別の例としては、機器ID取得部23として、文字入力スイッチ及び/又はテンキースイッチ等の文字及び/又は数字入力装置を使用し、利用者のキー操作によって機器IDを入力させる構成からなっていてもよい。
【0023】
機器ID読取部24は、アクセスポイント(AP)装置16にアクセスしてきた端末機30から該端末機に固有の機器IDを読み取る。
【0024】
AP電力モード切替制御部25は、アクセスポイント(AP)装置16の電源のON/OFFを適切に切替えることで、省エネを図ると共に、不正アクセスをも防ぐ働きをする。
【0025】
制御部21は、電子マネー端末装置20の全体を制御するためのマイクロコンピュータ等で構成されており、例えば、決済処理部27、ID照合部28、接続制御部29などの機能を実現する。
【0026】
決済処理部27は、硬貨処理装置13及び紙幣識別装置14あるいは電子マネー入力部22を介して入力された金銭的価値を基礎にして、品目選択部12によって選択された購入品目の対価の決済を行う。
【0027】
ID照合部28は、機器ID取得部23を介して取得した機器IDが、機器ID読取部24を介して読み取った前記アクセスしてきた端末機30の機器IDに一致しているかどうかを照合する。
【0028】
接続制御部29は、品目選択部12によって選択された購入品目に、利用者が携帯する端末機30をインターネットに接続させるサービスが含まれているならば、少なくともID照合部28によって機器IDが一致していると判定されたことを条件に、該利用者が携帯する端末機30をインターネットに接続することを許可する。具体的には、該接続制御部29によって前記利用者が携帯する端末機30をインターネットに接続することが許可されたとき、前記アクセスポイント(AP)装置16(第2の通信手段)を介して接続されている該端末機30を更に通信モジュール26及びアンテナ41(第1の通信手段)並びに通信回路網40を介して管理サーバ50に接続し、該管理サーバ50経由で該端末機30をインターネットに接続させる。
【0029】
管理サーバ50は、通信回路網40を介して該管理サーバ50に接続してきた端末機30のインターネットへの接続を制御するインターネット接続サーバ機能を実行する。
【0030】
管理サーバ50において、通信インターフェース51は、前記通信回路網40(例えばFOMA)と通信を行うためのインターフェースである。管理サーバ50は、該通信インターフェース51を介して前記通信回路網40を経由してシステム内の各自動販売機10と通信する。
【0031】
管理サーバ50において、制御部52は、管理サーバ全体を制御するためのコンピュータからなる。インターネット接続部53は、通信回路網40を介して管理サーバ50に接続してきた端末機30をインターネットに接続させる処理を、制御部52の制御の下で、行う。
【0032】
次に、本発明の一実施例に係る自動販売機10及びそれに関連したインターネット接続サービスシステムを用いたインターネット接続サービスの処理手順のいくつかの例について図2〜図5を参照して説明する。図2〜図5に示すシーケンス図において、横方向に並んだ要素(縦ライン)は、図1の実施例における各要素を示し、左から順に、管理サーバ50、アクセスポイント(AP)装置16、ID照合部28、AP電力モード切替制御部25、電子マネー端末装置20の制御部21、自動販売機主制御部11、利用者の操作、利用者の端末機30である。概ね、処理手順の時系列は図で上から下に流れる。適宜の時系列位置で、或る要素(縦ライン)から横に向かう線(横ライン)は、そのタイミングで当該要素で何らかの動作が行われ、その次に横ラインの到達点の要素に処理が移行することを示す。また、各要素(縦ライン)の時系列位置においてブロック中に記載された事項は、当該要素が当該時系列位置で行う処理の内容を代表的に示している。それぞれの具体的処理に関しては、自動販売機主制御部11が行う処理については自動販売機主制御部11が具備するコンピュータが所要のプログラムを実行することにより行い、電子マネー端末装置20が行う処理については電子マネー端末装置20の制御部21が具備するコンピュータが所要のプログラムを実行することにより行い、管理サーバ50が行う処理については管理サーバ50が具備するコンピュータが所要のプログラムを実行することにより行う。
【0033】
図2に示す第一例では、自動販売機10に備わる品目選択部12を用いてインターネット接続サービスの選択を利用者に行わせ、また、インターネット接続サービス利用の対価の決済は、利用者が携帯する端末機30の機器IDの照合・確認の前に行うようにしている。
【0034】
図2において、まず、利用者は、自動販売機10に備わる品目選択部12に対して所望のインターネット接続サービスを選択する操作を行う(S1)。これに応じて、自動販売機主制御部11では、電子マネー端末装置20に対してインターネット接続サービスが選択されたことを通知し、媒体読み書き器(R/W)(電子マネー入力部22)を起動させる(S2)。そして、利用者が媒体R/W(電子マネー入力部22)に自己が所持する電子マネー媒体を投入(磁気カードを挿入又はICカード等を近接)すると(S3)、媒体R/W(電子マネー入力部22)で該媒体に記録された情報を読み込み、該媒体に記録された電子マネー情報及び機器IDを取得する(S4)。それから、取得した(入力された)電子マネー情報と選択されたインターネット接続サービスの販売価格情報に基づき、販売対価の決済処理を電子マネー端末装置20にて行う(S5)。すなわち、取得した(入力された)電子マネー情報が示す金銭的価値から販売価格を減算し、該電子マネー媒体が保持する金銭的価値が選択されたインターネット接続サービスの対価を支払えるのであれば、販売許可すると判定される。販売許可すると判定されたならば、減算結果たる残高データを媒体R/Wを介して電子マネー媒体に書き込み、電子マネー媒体の記録を更新する(S5)。
【0035】
決済処理の後、取得した機器IDを一時記憶し(S6)、AP電力モード切替制御部25に対して接続指示を与える(S7)。AP電力モード切替制御部25は、当該電子マネー端末装置20の無線LANの有効エリア内においてインターネットへの接続を正当に要求又は実行している端末機30が存在していない場合は、アクセスポイント(AP)装置16を電源OFF(省エネモード)としている。AP電力モード切替制御部25は、接続指示が与えられると、アクセスポイント(AP)装置16の電源がまだONとされていなければ、その電源をONとし、無線LANを起動する(S8)。
【0036】
アクセスポイント(AP)装置16の電源がONされると、利用者の端末機30は、該アクセスポイント(AP)装置16に接続可能となる(S9)。無線LANを介してアクセスポイント(AP)装置16に接続してきた端末機30の固有の機器ID(例えばMACアドレス)が電子マネー端末装置20(機器ID読取部24)によって読み取られる(S10)。
【0037】
ID照合部26では、管理サーバ50から取得した電子マネーID情報に対応付けられた機器IDが、機器ID読取部24によって読み取られた端末機の機器IDに一致しているかどうかを照合する(S11)。両機器IDが一致していなければ、不正なアクセスと判定して処理を終了する。なお、この場合、アクセスポイント(AP)装置16に接続中の他の端末機30が存在していなければ、アクセスポイント(AP)装置16の電源をすぐにOFFしてよい。
【0038】
一方、両機器IDが一致している場合は、アクセスポイント(AP)装置16に接続している端末機30がインターネット接続サービスを受けることを許可し、端末機30が通信回線網40を経由して管理サーバ50に接続できるようにする(S12)。これに応じて、管理サーバ50は、アクセスポイント(AP)装置16及び通信回線網40を経由して該管理サーバ50にアクセスしてきた端末機30を、インターネットに接続させる処理を行う(S13)。
【0039】
それから、管理サーバ50は、端末機30のインターネット接続が開始されたことを電子マネー端末装置20に通知する(S14)。この通知を受けて、電子マネー端末装置20の制御部21ではタイマカウント動作を開始する(S15)。このタイマは、端末機30のインターネット接続時間を計測するものである。利用者が購入したインターネット接続サービスの利用可能時間が経過すると、タイマ終了通知を管理サーバ50に与える(S16)。これに応じて、管理サーバ50は、当該端末機30のインターネット接続を切断する(S17)。それから、管理サーバ50は、接続終了通知を電子マネー端末装置20に送信する(S18)。これに応じて、電子マネー端末装置20の制御部21は、アクセスポイント(AP)装置16に対して、当該端末機30の接続を切断するよう指示する(S19)。また、一時記憶していた対応機器IDの記憶をクリアする(S20)。それから、他に接続している端末機がなければ、AP電力モード切替制御部25に対して省エネモードに移行するよう指示を与える(S21)。これに応じて、AP電力モード切替制御部25は、アクセスポイント装置16(無線LAN)の電源をOFFとするよう指示する(S22)。
【0040】
このように、利用者が携帯する端末機30の機器IDが決済に使用しようとする機器IDに一致した場合にインターネット接続サービスを許可し(S11)、その段階で初めて、端末機30を通信回線網40に接続させ、該通信回線網40を経由して管理サーバ50を介して該端末機30をインターネットに接続させるようにしているので、アクセスポイント(AP)装置16に接続してきた端末機30の機器IDが決済に使用しようとする機器IDと一致していない場合、当該端末機30は自動販売機10と管理サーバ50とをつなぐ通信回線網40(例えばFOMA)そのものに接続することができない、従って、自動販売機10と管理サーバ50とをつなぐ通信回線網40(例えばFOMA)のトラフィックが無駄に増大することを防ぐことができ、正規の利用者が無駄なトラフィックの増大による不利益を被ることがない。また、機器IDが一致しない場合は、インターネット接続を許可しないものとするので、不正アクセスを有効に防止し、インターネット接続サービスの提供を適正に運用することができるようになる。更に、アクセスポイント(AP)装置16は、その有効エリア内にアクセスしようとする端末機30が存在していない場合は電源OFFとされており、アクセスしようとする端末機30が出現した場合に電源ONとされる(S8)ので、利用者が携帯する端末機30は、従来のように自動販売機10のアクセスポイント(AP)の有効エリア内に入っただけでは、該アクセスポイント(AP)にアクセスできないこととなり、この点でも、不正利用によるトラフィックの増大を有効に防止することができる。
【0041】
次に、図3に示す第二例では、自動販売機10に従前から備わる品目選択部12ではなく、電子マネー端末装置20に設けたインターネット接続サービス選択用の品目選択手段を用いて利用者に行わせるようにした点が、図2に示す第一例と相違しており、その他は第一例と同様である。
【0042】
次に、図4に示す第三例では、自動販売機10に備わる品目選択部12を用いてインターネット接続サービスの選択を利用者に行わせ、また、インターネット接続サービス利用の対価の決済は、利用者が携帯する端末機30の機器IDの照合・確認の後に行うようにしている。
【0043】
図4において、図2と異なる点は、決済処理(S5)が機器ID照合処理(S11)で機器ID一致が確認された後に行われる点である。すなわち、図4においては、電子マネー媒体から機器IDを取得すると(S4)、これを一時記憶し(S6)した後、接続指示(S7)を行ってアクセスポイント(AP)装置16の無線LANを起動し(S8)、アクセスしてきた端末機30から機器IDを読み取る(S10)。そして、読み取った機器IDと取得した(S6で一時記憶した)機器IDとを照合し(S11)、機器IDが一致している場合、電子マネー端末装置20の制御部で決済処理を行う(S5)。なお、このとき、媒体R/Wを再度起動し、利用者に電子マネー媒体を媒体R/Wに挿入又は近接させ(S3’)、電子マネー媒体に対して決済残高の書き込み・更新を行うようにする。そして、決済処理が終了すると、アクセスポイント(AP)装置16に接続している端末機30がインターネット接続サービスを受けることを許可し、端末機30が通信回線網40を経由して管理サーバ50に接続できるようにする(S12)。その他の処理手順は、図2と同じである。
【0044】
次に、図5に示す第四例では、自動販売機10に従前から備わる品目選択部12ではなく、電子マネー端末装置20に設けたインターネット接続サービス選択用の品目選択手段を用いて利用者に行わせるようにした点が、図4に示す第三例と相違しており、その他は第三例と同様である。
【符号の説明】
【0045】
10 自動販売
11 自動販売機主制御
12 品目選択部
20 電子マネー端末装置
21 制御部
22 電子マネー入力部
23 機器ID入力部
24 機器ID読取部
25 AP電力モード切替制御部
26 通信モジュール
40 通信回路網
50 管理サーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者が購入品目を選択するために該利用者によって操作される品目選択手段と、ここで、該品目選択手段によって選択される品目には、利用者が携帯する端末機をインターネットに接続させるサービスを提供することが含まれており、
現金を利用者に投入させる又は現金に代替しうる電子マネー媒体を利用者に提示させることで、対価支払いのための金銭的価値情報を入力させる入力手段と、
利用者のアクションに応じて該利用者がインターネット接続サービスに使用する端末機の機器IDを取得する取得手段と、
インターネットへの接続を制御する機能を持つ外部の管理サーバと通信するための第1の通信手段と、
利用者が携帯する端末機と通信するための第2の通信手段と、
前記第2の通信手段にアクセスしてきた端末機から該端末機に固有の機器IDを読み取る読み取り手段と、
前記入力手段を介して入力された金銭的価値を基礎にして、前記品目選択手段によって選択された購入品目の対価の決済を行う決済処理手段と、
前記取得手段を介して取得した前記機器IDが、前記読み取り手段を介して読み取った前記アクセスしてきた端末機の機器IDに一致しているかどうかを照合する照合手段と、
前記品目選択手段によって選択された購入品目に前記利用者が携帯する端末機をインターネットに接続させるサービスが含まれているならば、少なくとも前記照合手段によって機器IDが一致していると判定されたことを条件に、該利用者が携帯する端末機をインターネットに接続することを許可する接続制御手段と
を具備し、前記接続制御手段によって前記利用者が携帯する端末機をインターネットに接続することが許可されたとき、前記第2の通信手段を介して接続されている該端末機を更に前記第1の通信手段を介して前記管理サーバに接続し、該管理サーバ経由で該端末機をインターネットに接続させることを特徴とする自動販売機。
【請求項2】
前記第2の通信手段は、前記取得手段を介して前記機器IDが取得された後に、前記利用者が携帯する端末機との通信を開始することを特徴とする請求項1に記載の自動販売機。
【請求項3】
前記入力手段は、前記電子マネー媒体に記録された情報の少なくとも読み取りを行う媒体読取手段からなり、該電子マネー媒体が保持する電子マネー情報を読み取ることにより該電子マネー媒体が保持する金銭的価値情報を入力することを特徴とする請求項1又は2に記載の自動販売機。
【請求項4】
前記電子マネー媒体には前記利用者がインターネット接続サービスに使用する機器IDが記録されており、前記媒体読取手段は前記電子マネー媒体に記録された前記機器IDを読み取り、前記取得手段は前記媒体読取手段が読み取った前記機器IDを取得することを特徴とする請求項3に記載の自動販売機。
【請求項5】
前記取得手段は、前記利用者がインターネット接続サービスに使用する端末機の機器IDを該利用者に入力させるID入力手段を含み、該ID入力手段を介して入力された機器IDを取得することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の自動販売機。
【請求項6】
前記照合手段による照合処理を前記決済処理手段による決済処理の後に行うことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の自動販売機。
【請求項7】
前記照合手段による照合処理を前記決済処理手段による決済処理の前に行うことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の自動販売機。
【請求項8】
前記第2の通信手段は、通常は電源オフとされており、遅くとも前記読み取り手段が前記端末機から該端末機に固有の機器IDを読み取る前までには電源オンとされ、その後、前記端末機のインターネット接続中は電源オンが持続されることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の自動販売機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−141827(P2011−141827A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−3096(P2010−3096)
【出願日】平成22年1月8日(2010.1.8)
【出願人】(307003777)株式会社日本コンラックス (140)
【Fターム(参考)】