自動車のドア構造
【課題】 低音域の音質を向上させることを可能にするダクトを別部材として用いることなく上記ダクトを形成する自動車のドア構造を提供する。
【解決手段】 アウタパネル2と、インナパネル20と、該インナパネル20の車室内側を覆うドアトリム10とで構成され、前記インナパネル20の車室内側にスピーカ5が組み付けられた自動車のドア構造は、前記ドアトリム10に第1の開口部15が形成され、前記インナパネル20に第2の開口部28が形成され、前記インナパネル20と前記ドアトリム10とで形成されるトリム空間S内に、前記インナパネル20と前記ドアトリム10とを組み合わせることにより、前記トリム空間Sを部分的に仕切る第1のダクト部25が形成され、前記第1の開口部15と、前記第1のダクト部25と、前記第2の開口部28とが連通している。
【解決手段】 アウタパネル2と、インナパネル20と、該インナパネル20の車室内側を覆うドアトリム10とで構成され、前記インナパネル20の車室内側にスピーカ5が組み付けられた自動車のドア構造は、前記ドアトリム10に第1の開口部15が形成され、前記インナパネル20に第2の開口部28が形成され、前記インナパネル20と前記ドアトリム10とで形成されるトリム空間S内に、前記インナパネル20と前記ドアトリム10とを組み合わせることにより、前記トリム空間Sを部分的に仕切る第1のダクト部25が形成され、前記第1の開口部15と、前記第1のダクト部25と、前記第2の開口部28とが連通している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のドア構造、特に、スピーカがドア内部に設けられた自動車のドア構造に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、例えば自動車のフロントドアなどにおいては、その内部にスピーカが配設された構造が使用されているものもある。このようにスピーカが配設されたドアにおいては、スピーカから出る音、特に、その低音の音質を向上させるために、スピーカ背面から出る音の位相を反転させ、スピーカ前面から出る音と同位相にして車室内に導入するドアの構造が知られている。
【0003】
スピーカの音質を向上させるために、例えば特許文献1には、低音域の再生を改善することを企図した車載用スピーカ取付けスペーサが開示されており、例えば特許文献2には、スピーカ取り付け面から内方に向けて突出する筒状のダクトを溶接又は接着によって一体に形成したブラケットをインナボディに取り付けた構造が開示されている。
【0004】
また、例えば特許文献3には、車両の外周を構成する外板および内板間に形成される空間と内板及び内装材間に形成される空間とを分離させた構造が開示され、例えば特許文献4には、ドア内部に吸音材を有する構造を設置し、ドア内部から漏れて出る音波を減らし、低音再生に適したスピーカ装置を得ることを企図した構造が開示されている。
【特許文献1】実開昭61―078492号公報
【特許文献2】実開平05―553号公報
【特許文献3】特開平06―1184号公報
【特許文献4】特開平09―37371号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、例えば自動車のフロントドアなどにおいては、該フロントドアの車室内側には、一般にアームレスト、ドアハンドル及び小物入れなどが設けられ、上記フロントドアの内部には、ドアガラスの昇降機構などが組み込まれており、上記フロントドアの裏面側には種々の凹凸部が形成され、非常に複雑な形状を呈している。
【0006】
このため、スピーカがその内部に配設されたドアにおいて、スピーカから出る音、特に、その低音の音質を向上させるために、スピーカ背面から出る音を車室内に導入するダクトを別体として用意し、上記ドアに取り付ける場合、ダクトの配設スペースが非常に限定されるだけでなく、製造工程においても、例えば、ダクトの取り付け工程が必要であるなど不便な構造となっている。
【0007】
この発明は、上記技術的課題に鑑みてなされたものであり、低音域の音質を向上させることを可能にするダクトを別部材として用いることなく上記ダクトを形成する自動車のドア構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このため、本願の請求項1に係る発明は、アウタパネルと、インナパネルと、該インナパネルの車室内側を覆うドアトリムとで構成され、前記インナパネルの車室内側にスピーカが組み付けられた自動車のドア構造であって、前記ドアトリムに第1の開口部が形成され、前記インナパネルに第2の開口部が形成され、前記インナパネルと前記ドアトリムとで形成されるトリム空間内に、前記インナパネルと前記ドアトリムとを組み合わせることにより前記トリム空間を部分的に仕切る第1のダクト部が形成され、前記第1の開口部と、前記第1のダクト部と、前記第2の開口部とが連通していることを特徴としたものである。
【0009】
また、本願の請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記インナパネルと前記アウタパネルとで形成されるドア空間内に第2のダクト部が設けられ、前記第1の開口部と、前記第1のダクト部と、前記第2の開口部と、前記第2のダクト部とが連通していることを特徴としたものである。
【0010】
更に、本願の請求項3に係る発明は、請求項2に係る発明において、前記第1のダクト部が、前記インナパネル及び前記ドアトリムの少なくとも何れか一方から延びる壁部を備え、前記第2のダクト部が、前記インナパネル及び前記アウタパネルの少なくとも何れか一方から延びる壁部を備えていることを特徴としたものである。
【0011】
また更に、本願の請求項4に係る発明は、請求項1〜3の何れか一に係る発明において、前記インナパネルが樹脂製であり、前記インナパネルに、前記第1のダクト部を形成する壁部が設けられ、前記インナパネルと前記壁部とのコーナ部が、アール形状に形成されていることを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0012】
本願の請求項1の発明に係る自動車のドア構造によれば、ドアトリムに形成された第1の開口部と、インナパネルとドアトリムとで形成されるトリム空間内に、上記インナパネルと上記ドアトリムとを組み合わせることにより形成された第1のダクト部と、インナパネルに形成された第2の開口部とが連通していることにより、上記第1のダクト部を介してスピーカ背面から出る音を車室内に導入することができ、低音域の音質を向上させることができる。
また、インナパネルとドアトリムとを組み合わせることにより上記第1のダクト部を比較的容易に形成することができるので、別部材のダクトを設ける場合に比して、ダクトの取り付け工程が不要であり、製造工程において有利である。
【0013】
また、本願の請求項2の発明によれば、基本的には上記請求項1の発明と同様の効果を奏することができる。特に、インナパネルとアウタパネルとで形成されるドア空間内に第2のダクト部が設けられ、上記第1の開口部と、上記第1のダクト部と、上記第2の開口部と、上記第2のダクト部とが連通していることにより、インナパネルとアウタパネルとで形成されたドア空間において増幅された音を、上記第2のダクト部を通じて、より効果的に車室内に導入することができ、上記効果をより有効に奏することができる。
【0014】
更に、本願の請求項3の発明によれば、基本的には上記請求項2の発明と同様の効果を奏することができる。特に、第1のダクト部が、インナパネル及びドアトリムの少なくとも何れか一方から延びる壁部を備え、第2のダクト部が、インナパネル及びアウタパネルの少なくとも何れか一方から延びる壁部を備えていることにより、第1のダクト部の壁部がインナパネル及びドアトリムの少なくとも何れか一方と一体的に形成することができ、第2のダクト部の壁部がインナパネル及びアウタパネルの少なくとも何れか一方と一体的に形成することができるので、上記第1のダクト部及び第2のダクト部の壁部を比較的容易に形成することが可能である。
また、第1のダクト部の壁部が設けられたインナパネル及びドアトリムの少なくとも何れか一方、及び、第2のダクト部の壁部が設けられたインナパネル及びアウタパネルの少なくとも何れか一方は、壁部が設けられたことによって、強度及び剛性が向上するという効果も得られる。
【0015】
また更に、本願の請求項4の発明によれば、基本的には上記請求項1〜3の何れか一の発明と同様の効果を奏することができる。特に、インナパネルが樹脂製であり、上記インナパネルに、第1のダクト部を形成する壁部が設けられ、上記インナパネルと上記壁部とのコーナ部が、アール形状に形成されることにより、第1のダクト部の断面形状を略円形状とすることができるので、スピーカ背面から出る音をより効果的に増幅させて、車室内に導入することができ、上記効果をより有効に奏することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を、添付図面に基づいて説明する。
【0017】
(1)第1の実施形態
図1は、本発明の第1の実施形態に係る自動車のフロントドアを車室内側から見た正面説明図である。図2は、上記フロントドアのインナパネルを車室内側から見た正面説明図である。また、図3は、上記インナパネルの全体斜視図であり、図4、図5、図6及び図7は、それぞれ図2におけるY4―Y4線、Y5―Y5線、Y6―Y6線及びY7―Y7線に沿ったフロントドアの断面説明図である。
【0018】
上記フロントドア1は、アウタパネル2と、インナパネル20と、該インナパネル20の車室内側を覆うドアトリム10とで構成されている。上記フロントドア1の内装材を構成するドアトリム10には、図1に示されるように、車室内側にアームレスト11、ドアポケット12などが配設され、その主要部は、樹脂材料を用いて一体成形されている。
【0019】
また、上記ドアトリム10には、スピーカ5の正面内方に位置し、スピーカ5から出る音を車室内に導入する開口部13が形成されており、上記開口部13にはスピーカグリル14が配設されている。上記スピーカグリル14の上方には、スピーカ5背面から出る音、特に、その低音を車室内に導入する開口部15が形成されており、上記開口部15にはスピーカグリル16が配設されている。
【0020】
上記インナパネル20は、その正面視における略中央部に、ドアガラス3の昇降機構を駆動する電動モータ(不図示)を取り付けるモータ取付部21が設けられるとともに、上記モータ取付部21を内側に含む略平行四辺形の4隅に対応する位置に、上記ドアガラス3の昇降機構のスライダ(不図示)を固定するアンカ部22がそれぞれ設けられている。
【0021】
図4に示されるように、上記インナパネル20の車室内側には、スピーカ5が取り付けられている。上記スピーカ5は、その周縁部5aが、上記インナパネル20から車室内側に向かって膨出して形成されたスピーカ取付部23上に配設され、インナパネル20とドアトリム10との間に挟み込まれて、取り付けられている。
【0022】
上記スピーカ5裏面には、スピーカ5の上方を略覆うように、スピーカ取付部23からアウタパネル2の方に向かって延びるカバー部24が形成されている。上記カバー部24は、図2及び4に示されるように、テーパ状に形成された側部24aと、該側部24aの端部に位置する底部24bとを備えている。上記カバー部24により、上記フロントドア1に配設されるドアガラス3とアウタパネル2又はインナパネル20との間の隙間を通じて侵入する雨水等から上記スピーカ5を保護することができる。
【0023】
上記のように、フロントドア1は、アウタパネル2と、インナパネル20と、ドアトリム10とで構成され、上記インナパネル20の周縁部には、アウタパネル2の内側の周縁部分に対応する略平板枠状のアウタパネルフレーム4を有している。また、上記フロントドア1は、インナパネル20とアウタパネル2とで形成されるドア空間Hと、インナパネル20とドアトリム10とで形成されるトリム空間Sとを有している。
【0024】
本実施形態では、インナパネル20とドアトリム10とを組み合わせることにより上記トリム空間Sを部分的に仕切る第1のダクト部25が形成されており、該第1のダクト部25は、インナパネル20から延びる壁部26を備えている。該壁部26は、上記インナパネル20から略垂直方向に延び、略平行に配置される一対の壁部26a、26bにより構成され、上記インナパネル20と一体的に形成されている。
【0025】
上記第1のダクト部25は、図4に示されるように、上記壁部26がインナパネル20からドアトリム10の方へのみ延びて形成されている部分と、上記壁部26がインナパネル20からドアトリム10及びアウタパネル2の両方に向かって延びて形成されている部分とを備えており、上記インナパナル20は、第1のダクト部25を構成する部分では、断面凹状に形成されている。
【0026】
上記ドアトリム10には、上記壁部26に対応した部分に、上記壁部26の先端部27を受け合う受承部17がそれぞれ設けられている。上記受承部17は、例えば図5に拡大して示されるように、ドアトリム10と一体的に形成されたボス部17aに、上記壁部26の先端側を嵌合させる嵌合溝17bを設けて構成されている。かかる受承部17の嵌合溝17bに壁部26の先端側を嵌合させることにより、当該壁部26の先端側をドアトリム10により確実に支持させることができる。
上記壁部26の先端側は、より好ましくは、上記嵌合溝17bに対して気密に嵌合させるように、上記壁部26の先端部分と嵌合溝17bの各部寸法が設定されており、第1のダクト部25の密閉性を確保することができる。
【0027】
このように、インナパネル20とドアトリム10とを組み合わせることにより形成された第1のダクト部25は、図2に示されるように、該スピーカ取付部23の周縁部に略沿って設けられている。上記第1のダクト部25を構成する壁部26a、26bは、スピーカ取付部23の周縁部をその上側からその後側まで略4分の3円周上にわたって設けられており、上記壁部26a、26bは、スピーカ取付部23の上側に位置する端部25a,及びスピーカ取付部23の後側に位置する端部25bにおいて一体的に結合されている。
上記第1のダクト部25としては、その他の種々の形状が用いることができ、インナパネル20に設けられた種々の装備部(モータ取付部21、アンカ部22,スピーカ取付部23等)と干渉することがないように、好適な所定経路で形成され得る。
【0028】
上記のように、スピーカ取付部23の上側に位置する第1のダクト部25の端部25aでは、図4に示されるように、上記端部25aに対応した位置において、ドアトリム10に第1の開口部15が形成されている。
また、スピーカ取付部23の後側に位置する第1のダクト部25の他方の端部25bでは、図5に示されるように、上記端部25bに対応した位置において、インナパネル20に第2の開口部28が形成されている。
【0029】
上記のように、第1のダクト部の端部25a及び25bはそれぞれ、第1の開口部15及び第2の開口部28を備えており、上記第1の開口部15と、上記第1のダクト部25と、上記第2の開口部28とが連通している。
【0030】
また、本実施形態では、図5に示されるように、上記第2の開口部28には、インナパネル20とアウタパネル2とで形成されるドア空間H内に第2のダクト部29が設けられている。上記第2のダクト部29は、上記第2の開口部28に対応した位置に形成され、インナパネル20から延びる壁部30を備え、その断面形状が略円形状に形成されている。該壁部30は、上記インナパネル20からアウタパネル2の方に向かって略垂直方向に延び、上記インナパネル20と一体的に形成されている。
【0031】
上記第2のダクト部29は、その端部が上記第2の開口部28に沿って形成されており、上記第1の開口部15と、上記第1のダクト部25と、上記第2の開口部28と、上記第2のダクト部29とが連通している。
【0032】
このように、本発明に係る自動車のドア構造によれば、ドアトリム10に形成された第1の開口部15と、インナパネル20とドアトリム10とで形成されるトリム空間S内に上記インナパネル20と上記ドアトリム10とを組み合わせることにより形成された第1のダクト部25と、インナパネル20に形成された第2の開口部28とが連通しているので、上記第1のダクト部を介してスピーカ背面から出る音を車室内に導入することができ、低音域の音質を向上させることができる。
また、インナパネル20とドアトリム10とを組み合わせることにより上記第1のダクト部を比較的容易に形成することができるので、別部材のダクトを設ける場合に比して、ダクトの取り付け工程が不要であり、製造工程において有利である。
【0033】
また、インナパネル20とアウタパネル2とで形成されるドア空間H内に第2のダクト部29が設けられ、上記第1の開口部15と、上記第1のダクト部25と、上記第2の開口部28と、上記第2のダクト部29とが連通しているので、インナパネルとアウタパネルとで形成されたドア空間において増幅された音を、上記第2のダクト部を通じて、より効果的に車室内に導入することができ、上記効果をより有効に奏することができる。
【0034】
本実施形態では、上記第1のダクト部25が、インナパネル20から延びる壁部26を備えているが、ドアトリム10から延びる壁部を備えていてもよく、あるいは、インナパネル20及びドアトリム10の両方から延びる壁部を備えていてもよい。
また、上記第2のダクト部29が、インナパネル20から延びる壁部30を備えているが、アウタパネル2から延びる壁部を備えていてもよく、あるいは、インナパネル20及びアウタパネル2の両方から延びる壁部を備えていてもよい。
【0035】
このように、第1のダクト部25が、インナパネル20及びドアトリム10の少なくとも何れか一方から延びる壁部を備え、第2のダクト部29が、前記インナパネル20及び前記アウタパネル2の少なくとも何れか一方から延びる壁部を備えているので、第1のダクト部の壁部がインナパネル及びドアトリムの少なくとも何れか一方と一体的に形成することができ、第2のダクト部の壁部がインナパネル及びアウタパネルの少なくとも何れか一方と一体的に形成することができるので、上記第1のダクト部及び第2のダクト部の壁部を比較的容易に形成することが可能である。
また、第1のダクト部の壁部が設けられたインナパネル及びドアトリムの少なくとも何れか一方、及び、第2のダクト部の壁部が設けられたインナパネル及びアウタパネルの少なくとも何れか一方は、壁部が設けられたことによって、強度及び剛性が向上するという効果も得られる。
【0036】
本実施形態では、インナパネル20が樹脂材料により成形され、上記インナパネル20には上記第1のダクト部25を形成する壁部26が一体的に形成されている。図6に示されるように、上記インナパネル20と上記壁部26とのコーナ部25c及び25dが、アール形状に形成され、上記第1のダクト部25の断面形状が略円形状に形成されている。
【0037】
上記のように、インナパネル20が樹脂製であり、上記インナパネル20に、上記第1のダクト部25を形成する壁部26が設けられ、上記インナパネル20と上記壁部26とのコーナ部25c、25dが、アール形状に形成されることにより、第1のダクト部の断面形状を略円形状とすることができるので、スピーカ背面から出る音をより効果的に増幅させて、車室内に導入することができ、上記効果をより有効に奏することができる。
【0038】
また、上記第1のダクト部の端部25aでは、図6に示されるように、上記インナパネル20と上記壁部26とのコーナ部25eがアール形状に形成され、他方の端部25bでは、図7に示されるように、上記インナパネル20と上記壁部26とのコーナ部25fが、上記インナパネル20からドアトリムの方に向かってアール形状に形成されている。このようにして、スピーカ背面から出る音をより効果的に車室内に導入することができる。
本実施形態では、第1及び第2のダクト部の断面形状がともに略円形状に形成されているが、例えば略四角形状など、その他の好適に設計された形状を使用することが可能である。また、第1のダクト部25は、コーナ部に形成されたアール形状により略円形状に形成されているが、上記第1のダクト部を形成するインナパネル20が、上記コーナ部に小さいアール形状を備え、断面凹状に形成されていてもよい。
なお、以下の実施形態では、第1のダクト部の断面形状が略四角形状に形成されたものについて記述する。
【0039】
以下に、本発明に係る自動車のドア構造の別の実施形態について説明する。
(2)第2の実施形態
図8は、本発明の第2の実施形態に係る自動車のフロントドアのインナパネルを車室内側から見た正面説明図である。図9は、図8におけるY9−Y9線に沿ったフロントドアの断面説明図であり、図10は上記フロントドアのインナパネルを部分的に示す斜視図、図11は図10におけるA方向から見た上記インナパネルの斜視図である。なお、以下の説明において、上記実施形態と同様の構成を備え、同様の作用をなすものについては、同一符号を付し、それ以上の説明は省略する。
【0040】
上記第1の実施形態と同様に、フロントドアは、アウタパネル2と、インナパネル40と、ドアトリム10とで構成され、上記インナパネル40の車室内側には、スピーカ5が取り付けられる。第1のダクト部45が、インナパネル40とドアトリム10とを組み合わせて形成され、上記ドアトリム10には第1の開口部が形成されている。
【0041】
第2の実施形態では、インナパネル40に形成される第2の開口部48が、図9及び10に示されるように、スピーカ取付部43を形成するためにドアトリム10の方へ延びる側壁部44に設けられている。上記第2の開口部48は、図10に示されるように、略四角形状に形成されている。上記第1のダクト部45の端部45bにおいて、第2の開口部48と第1のダクト部45とが連通している。
【0042】
上記第1のダクト部45は、第1の実施形態と同様に、スピーカ取付部43の後側に位置する端部45bからスピーカ取付部43の上側に位置する端部45aまで、上記スピーカ取付部43の周縁部に略沿って形成されており、上記端部45aに対応する位置に、上記第1の開口部が設けられている。
【0043】
このようにして、上記第1のダクト部45を介してスピーカ背面から出る音を車室内に導入することができ、上記第1の実施形態と同様の効果を奏することができる。
また、上記第1の実施形態と同様に、インナパネルとドアトリムとを組み合わせることにより上記第1のダクト部を比較的容易に形成することができる。
【0044】
図12は、本発明の第2の実施形態に係るインナパネルの変形例を示した斜視図である。インナパネル50に形成される第2の開口部58が、スピーカ取付部53を形成するためにドアトリム10の方へ延びる側壁部54に形成され、スピーカ取付部53の一部が切欠かれ該スピーカ取付部53から凹状に形成されている。上記第2の開口部58は、図12に示されるように、略長方形状に設けられ、第1のダクト部55を形成する壁部56a、56bと一体的に形成されており、上記第1のダクト部55と連通している。このような変形例のインナパネル50を用いても、同様の効果を得ることができる。
【0045】
(3)第3の実施形態
次に、本発明の第3の実施形態に係る自動車のフロントドアのインナパネルを車室内側から見た正面説明図が図13に示されている。図14は、図13におけるY14−Y14線に沿ったフロントドアの断面説明図である。なお、以下の説明において、上記第2の実施形態と同様の構成を備え、同様の作用をなすものについては、同一符号を付し、それ以上の説明は省略する。
【0046】
上記第2の実施形態と同様に、フロントドアは、アウタパネル2と、インナパネル60と、ドアトリム10とで構成され、上記インナパネル60の車室内側には、スピーカ5が取り付けられる。第1のダクト部65が、インナパネル60とドアトリム10とを組み合わせて形成され、上記ドアトリム10に第1の開口部が形成されている。
【0047】
第3の実施形態では、上記インナパネル60には、スピーカ5背面を密閉するように覆うカバー部64が形成されている。該カバー部64は、図14に示されるように、スピーカ5背面の外周を略覆うようにテーパ状に形成された側部64aと、スピーカ5背面に対向して位置付けられている底部64bとで構成されている。
【0048】
また、上記インナパネル60には、スピーカ取付部63を形成するためにドアトリム10の方へ延びる側壁部62が設けられている。インナパネル60に形成される第2の開口部68が、図14に示されるように、上記カバー部64の側部64aから上記側壁部62にわたって形成されており、上記第2の開口部68と第1のダクト部65とが連通している。
【0049】
このようにして、スピーカ5背面から出る音を、上記第1のダクト部65を介して車室内に導入することができ、低音域の音質を向上させることができる。
また、スピーカ5裏面がインナパネル60によって覆われているので、スピーカ背面から出る音をより安定して車室内に導入することができ、上記効果をより有効に奏することができる。
【0050】
図15は、本発明の第3の実施形態に係るインナパネルの変形例を示したフロントドアの断面説明図である。インナパネル70には、スピーカ5背面を密閉するように覆うカバー部74が形成され、該カバー部74は、側部74aと底部74bとで構成されている。
インナパネル70に形成される第2の開口部78が、上記側部74aから、スピーカ取付部73を形成するためにドアトリム10の方へ延びる側壁部72にわたって、スピーカ取付部73の一部が切欠かれ該スピーカ取付部73から凹状に形成されており、上記第2の開口部78と第1のダクト部75とが連通している。このような変形例のインナパネル70を用いても、同様の効果を得ることができる。
【0051】
本実施形態では、第1のダクト部を形成する壁部の先端側をドアトリムの嵌合溝に嵌合させることによりインナパネルとドアトリムとを組み合わせているが、第1のダクト部を形成する壁部の受承部として、他の種々の構造が考えられる。上記壁部の先端側と受承部の嵌合溝との間にシール部材を介装するようにしてもよい。あるいは、上記壁部の少なくとも一部について、その先端部27をドアトリム10の裏面に対し、接着剤層を介して接着し、この接着剤層のシール作用より、密閉性を確保するようにしてもよい。
【0052】
また、本実施形態では、自動車のフロントドアについて記述しているが、例えばリアドアあるいはバックドアなど、自動車用のその他のドアについても有効に適用することが可能である。
【0053】
以上のように、本発明は、例示された実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計上の変更が可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、スピーカ背面から出る音を車室内に導入するダクトがドア内部に設けられた自動車のドア構造に関し、別部材のダクトを用いることなく上記ダクト部をドア内部に形成したものであり、例えば乗用車等の自動車のフロントドア構造などに好適に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る自動車のフロントドアの正面説明図である。
【図2】上記フロントドアのインナパネルの正面説明図である。
【図3】上記インナパネルの全体斜視図である
【図4】図2におけるY4―Y4線に沿ったフロントドアの断面説明図である。
【図5】図2におけるY5―Y5線に沿ったフロントドアの断面説明図である。
【図6】図2におけるY6―Y6線に沿ったフロントドアの断面説明図である。
【図7】図2におけるY7―Y7線に沿ったフロントドアの断面説明図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る自動車のフロントドアのインナパネルの正面説明図である。
【図9】図8におけるY9−Y9線に沿ったフロントドアの断面説明図である。
【図10】上記インナパネルを部分的に示す斜視図である。
【図11】図10におけるA方向から見た上記インナパネルの斜視図である。
【図12】本発明の第2の実施形態に係るインナパネルの変形例を示した斜視図である。
【図13】本発明の第3の実施形態に係る自動車のフロントドアのインナパネルの正面説明図である。
【図14】図13におけるY14−Y14線に沿ったフロントドアの断面説明図である。
【図15】本発明の第3の実施形態に係るインナパネルの変形例を示したフロントドアの断面説明図である。
【符号の説明】
【0056】
2 アウタパネル
5 スピーカ
10 ドアトリム
15 第1の開口部
20、40、50、60、70 インナパネル
25、45、55、65、75 第1のダクト部
25c、25d、25e、25f コーナ部
26 (第1のダクト部の)壁部
28、48、58、68、78 第2の開口部
29 第2のダクト部
30 (第2のダクト部の)壁部
S トリム空間
H ドア空間
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のドア構造、特に、スピーカがドア内部に設けられた自動車のドア構造に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、例えば自動車のフロントドアなどにおいては、その内部にスピーカが配設された構造が使用されているものもある。このようにスピーカが配設されたドアにおいては、スピーカから出る音、特に、その低音の音質を向上させるために、スピーカ背面から出る音の位相を反転させ、スピーカ前面から出る音と同位相にして車室内に導入するドアの構造が知られている。
【0003】
スピーカの音質を向上させるために、例えば特許文献1には、低音域の再生を改善することを企図した車載用スピーカ取付けスペーサが開示されており、例えば特許文献2には、スピーカ取り付け面から内方に向けて突出する筒状のダクトを溶接又は接着によって一体に形成したブラケットをインナボディに取り付けた構造が開示されている。
【0004】
また、例えば特許文献3には、車両の外周を構成する外板および内板間に形成される空間と内板及び内装材間に形成される空間とを分離させた構造が開示され、例えば特許文献4には、ドア内部に吸音材を有する構造を設置し、ドア内部から漏れて出る音波を減らし、低音再生に適したスピーカ装置を得ることを企図した構造が開示されている。
【特許文献1】実開昭61―078492号公報
【特許文献2】実開平05―553号公報
【特許文献3】特開平06―1184号公報
【特許文献4】特開平09―37371号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、例えば自動車のフロントドアなどにおいては、該フロントドアの車室内側には、一般にアームレスト、ドアハンドル及び小物入れなどが設けられ、上記フロントドアの内部には、ドアガラスの昇降機構などが組み込まれており、上記フロントドアの裏面側には種々の凹凸部が形成され、非常に複雑な形状を呈している。
【0006】
このため、スピーカがその内部に配設されたドアにおいて、スピーカから出る音、特に、その低音の音質を向上させるために、スピーカ背面から出る音を車室内に導入するダクトを別体として用意し、上記ドアに取り付ける場合、ダクトの配設スペースが非常に限定されるだけでなく、製造工程においても、例えば、ダクトの取り付け工程が必要であるなど不便な構造となっている。
【0007】
この発明は、上記技術的課題に鑑みてなされたものであり、低音域の音質を向上させることを可能にするダクトを別部材として用いることなく上記ダクトを形成する自動車のドア構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このため、本願の請求項1に係る発明は、アウタパネルと、インナパネルと、該インナパネルの車室内側を覆うドアトリムとで構成され、前記インナパネルの車室内側にスピーカが組み付けられた自動車のドア構造であって、前記ドアトリムに第1の開口部が形成され、前記インナパネルに第2の開口部が形成され、前記インナパネルと前記ドアトリムとで形成されるトリム空間内に、前記インナパネルと前記ドアトリムとを組み合わせることにより前記トリム空間を部分的に仕切る第1のダクト部が形成され、前記第1の開口部と、前記第1のダクト部と、前記第2の開口部とが連通していることを特徴としたものである。
【0009】
また、本願の請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記インナパネルと前記アウタパネルとで形成されるドア空間内に第2のダクト部が設けられ、前記第1の開口部と、前記第1のダクト部と、前記第2の開口部と、前記第2のダクト部とが連通していることを特徴としたものである。
【0010】
更に、本願の請求項3に係る発明は、請求項2に係る発明において、前記第1のダクト部が、前記インナパネル及び前記ドアトリムの少なくとも何れか一方から延びる壁部を備え、前記第2のダクト部が、前記インナパネル及び前記アウタパネルの少なくとも何れか一方から延びる壁部を備えていることを特徴としたものである。
【0011】
また更に、本願の請求項4に係る発明は、請求項1〜3の何れか一に係る発明において、前記インナパネルが樹脂製であり、前記インナパネルに、前記第1のダクト部を形成する壁部が設けられ、前記インナパネルと前記壁部とのコーナ部が、アール形状に形成されていることを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0012】
本願の請求項1の発明に係る自動車のドア構造によれば、ドアトリムに形成された第1の開口部と、インナパネルとドアトリムとで形成されるトリム空間内に、上記インナパネルと上記ドアトリムとを組み合わせることにより形成された第1のダクト部と、インナパネルに形成された第2の開口部とが連通していることにより、上記第1のダクト部を介してスピーカ背面から出る音を車室内に導入することができ、低音域の音質を向上させることができる。
また、インナパネルとドアトリムとを組み合わせることにより上記第1のダクト部を比較的容易に形成することができるので、別部材のダクトを設ける場合に比して、ダクトの取り付け工程が不要であり、製造工程において有利である。
【0013】
また、本願の請求項2の発明によれば、基本的には上記請求項1の発明と同様の効果を奏することができる。特に、インナパネルとアウタパネルとで形成されるドア空間内に第2のダクト部が設けられ、上記第1の開口部と、上記第1のダクト部と、上記第2の開口部と、上記第2のダクト部とが連通していることにより、インナパネルとアウタパネルとで形成されたドア空間において増幅された音を、上記第2のダクト部を通じて、より効果的に車室内に導入することができ、上記効果をより有効に奏することができる。
【0014】
更に、本願の請求項3の発明によれば、基本的には上記請求項2の発明と同様の効果を奏することができる。特に、第1のダクト部が、インナパネル及びドアトリムの少なくとも何れか一方から延びる壁部を備え、第2のダクト部が、インナパネル及びアウタパネルの少なくとも何れか一方から延びる壁部を備えていることにより、第1のダクト部の壁部がインナパネル及びドアトリムの少なくとも何れか一方と一体的に形成することができ、第2のダクト部の壁部がインナパネル及びアウタパネルの少なくとも何れか一方と一体的に形成することができるので、上記第1のダクト部及び第2のダクト部の壁部を比較的容易に形成することが可能である。
また、第1のダクト部の壁部が設けられたインナパネル及びドアトリムの少なくとも何れか一方、及び、第2のダクト部の壁部が設けられたインナパネル及びアウタパネルの少なくとも何れか一方は、壁部が設けられたことによって、強度及び剛性が向上するという効果も得られる。
【0015】
また更に、本願の請求項4の発明によれば、基本的には上記請求項1〜3の何れか一の発明と同様の効果を奏することができる。特に、インナパネルが樹脂製であり、上記インナパネルに、第1のダクト部を形成する壁部が設けられ、上記インナパネルと上記壁部とのコーナ部が、アール形状に形成されることにより、第1のダクト部の断面形状を略円形状とすることができるので、スピーカ背面から出る音をより効果的に増幅させて、車室内に導入することができ、上記効果をより有効に奏することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を、添付図面に基づいて説明する。
【0017】
(1)第1の実施形態
図1は、本発明の第1の実施形態に係る自動車のフロントドアを車室内側から見た正面説明図である。図2は、上記フロントドアのインナパネルを車室内側から見た正面説明図である。また、図3は、上記インナパネルの全体斜視図であり、図4、図5、図6及び図7は、それぞれ図2におけるY4―Y4線、Y5―Y5線、Y6―Y6線及びY7―Y7線に沿ったフロントドアの断面説明図である。
【0018】
上記フロントドア1は、アウタパネル2と、インナパネル20と、該インナパネル20の車室内側を覆うドアトリム10とで構成されている。上記フロントドア1の内装材を構成するドアトリム10には、図1に示されるように、車室内側にアームレスト11、ドアポケット12などが配設され、その主要部は、樹脂材料を用いて一体成形されている。
【0019】
また、上記ドアトリム10には、スピーカ5の正面内方に位置し、スピーカ5から出る音を車室内に導入する開口部13が形成されており、上記開口部13にはスピーカグリル14が配設されている。上記スピーカグリル14の上方には、スピーカ5背面から出る音、特に、その低音を車室内に導入する開口部15が形成されており、上記開口部15にはスピーカグリル16が配設されている。
【0020】
上記インナパネル20は、その正面視における略中央部に、ドアガラス3の昇降機構を駆動する電動モータ(不図示)を取り付けるモータ取付部21が設けられるとともに、上記モータ取付部21を内側に含む略平行四辺形の4隅に対応する位置に、上記ドアガラス3の昇降機構のスライダ(不図示)を固定するアンカ部22がそれぞれ設けられている。
【0021】
図4に示されるように、上記インナパネル20の車室内側には、スピーカ5が取り付けられている。上記スピーカ5は、その周縁部5aが、上記インナパネル20から車室内側に向かって膨出して形成されたスピーカ取付部23上に配設され、インナパネル20とドアトリム10との間に挟み込まれて、取り付けられている。
【0022】
上記スピーカ5裏面には、スピーカ5の上方を略覆うように、スピーカ取付部23からアウタパネル2の方に向かって延びるカバー部24が形成されている。上記カバー部24は、図2及び4に示されるように、テーパ状に形成された側部24aと、該側部24aの端部に位置する底部24bとを備えている。上記カバー部24により、上記フロントドア1に配設されるドアガラス3とアウタパネル2又はインナパネル20との間の隙間を通じて侵入する雨水等から上記スピーカ5を保護することができる。
【0023】
上記のように、フロントドア1は、アウタパネル2と、インナパネル20と、ドアトリム10とで構成され、上記インナパネル20の周縁部には、アウタパネル2の内側の周縁部分に対応する略平板枠状のアウタパネルフレーム4を有している。また、上記フロントドア1は、インナパネル20とアウタパネル2とで形成されるドア空間Hと、インナパネル20とドアトリム10とで形成されるトリム空間Sとを有している。
【0024】
本実施形態では、インナパネル20とドアトリム10とを組み合わせることにより上記トリム空間Sを部分的に仕切る第1のダクト部25が形成されており、該第1のダクト部25は、インナパネル20から延びる壁部26を備えている。該壁部26は、上記インナパネル20から略垂直方向に延び、略平行に配置される一対の壁部26a、26bにより構成され、上記インナパネル20と一体的に形成されている。
【0025】
上記第1のダクト部25は、図4に示されるように、上記壁部26がインナパネル20からドアトリム10の方へのみ延びて形成されている部分と、上記壁部26がインナパネル20からドアトリム10及びアウタパネル2の両方に向かって延びて形成されている部分とを備えており、上記インナパナル20は、第1のダクト部25を構成する部分では、断面凹状に形成されている。
【0026】
上記ドアトリム10には、上記壁部26に対応した部分に、上記壁部26の先端部27を受け合う受承部17がそれぞれ設けられている。上記受承部17は、例えば図5に拡大して示されるように、ドアトリム10と一体的に形成されたボス部17aに、上記壁部26の先端側を嵌合させる嵌合溝17bを設けて構成されている。かかる受承部17の嵌合溝17bに壁部26の先端側を嵌合させることにより、当該壁部26の先端側をドアトリム10により確実に支持させることができる。
上記壁部26の先端側は、より好ましくは、上記嵌合溝17bに対して気密に嵌合させるように、上記壁部26の先端部分と嵌合溝17bの各部寸法が設定されており、第1のダクト部25の密閉性を確保することができる。
【0027】
このように、インナパネル20とドアトリム10とを組み合わせることにより形成された第1のダクト部25は、図2に示されるように、該スピーカ取付部23の周縁部に略沿って設けられている。上記第1のダクト部25を構成する壁部26a、26bは、スピーカ取付部23の周縁部をその上側からその後側まで略4分の3円周上にわたって設けられており、上記壁部26a、26bは、スピーカ取付部23の上側に位置する端部25a,及びスピーカ取付部23の後側に位置する端部25bにおいて一体的に結合されている。
上記第1のダクト部25としては、その他の種々の形状が用いることができ、インナパネル20に設けられた種々の装備部(モータ取付部21、アンカ部22,スピーカ取付部23等)と干渉することがないように、好適な所定経路で形成され得る。
【0028】
上記のように、スピーカ取付部23の上側に位置する第1のダクト部25の端部25aでは、図4に示されるように、上記端部25aに対応した位置において、ドアトリム10に第1の開口部15が形成されている。
また、スピーカ取付部23の後側に位置する第1のダクト部25の他方の端部25bでは、図5に示されるように、上記端部25bに対応した位置において、インナパネル20に第2の開口部28が形成されている。
【0029】
上記のように、第1のダクト部の端部25a及び25bはそれぞれ、第1の開口部15及び第2の開口部28を備えており、上記第1の開口部15と、上記第1のダクト部25と、上記第2の開口部28とが連通している。
【0030】
また、本実施形態では、図5に示されるように、上記第2の開口部28には、インナパネル20とアウタパネル2とで形成されるドア空間H内に第2のダクト部29が設けられている。上記第2のダクト部29は、上記第2の開口部28に対応した位置に形成され、インナパネル20から延びる壁部30を備え、その断面形状が略円形状に形成されている。該壁部30は、上記インナパネル20からアウタパネル2の方に向かって略垂直方向に延び、上記インナパネル20と一体的に形成されている。
【0031】
上記第2のダクト部29は、その端部が上記第2の開口部28に沿って形成されており、上記第1の開口部15と、上記第1のダクト部25と、上記第2の開口部28と、上記第2のダクト部29とが連通している。
【0032】
このように、本発明に係る自動車のドア構造によれば、ドアトリム10に形成された第1の開口部15と、インナパネル20とドアトリム10とで形成されるトリム空間S内に上記インナパネル20と上記ドアトリム10とを組み合わせることにより形成された第1のダクト部25と、インナパネル20に形成された第2の開口部28とが連通しているので、上記第1のダクト部を介してスピーカ背面から出る音を車室内に導入することができ、低音域の音質を向上させることができる。
また、インナパネル20とドアトリム10とを組み合わせることにより上記第1のダクト部を比較的容易に形成することができるので、別部材のダクトを設ける場合に比して、ダクトの取り付け工程が不要であり、製造工程において有利である。
【0033】
また、インナパネル20とアウタパネル2とで形成されるドア空間H内に第2のダクト部29が設けられ、上記第1の開口部15と、上記第1のダクト部25と、上記第2の開口部28と、上記第2のダクト部29とが連通しているので、インナパネルとアウタパネルとで形成されたドア空間において増幅された音を、上記第2のダクト部を通じて、より効果的に車室内に導入することができ、上記効果をより有効に奏することができる。
【0034】
本実施形態では、上記第1のダクト部25が、インナパネル20から延びる壁部26を備えているが、ドアトリム10から延びる壁部を備えていてもよく、あるいは、インナパネル20及びドアトリム10の両方から延びる壁部を備えていてもよい。
また、上記第2のダクト部29が、インナパネル20から延びる壁部30を備えているが、アウタパネル2から延びる壁部を備えていてもよく、あるいは、インナパネル20及びアウタパネル2の両方から延びる壁部を備えていてもよい。
【0035】
このように、第1のダクト部25が、インナパネル20及びドアトリム10の少なくとも何れか一方から延びる壁部を備え、第2のダクト部29が、前記インナパネル20及び前記アウタパネル2の少なくとも何れか一方から延びる壁部を備えているので、第1のダクト部の壁部がインナパネル及びドアトリムの少なくとも何れか一方と一体的に形成することができ、第2のダクト部の壁部がインナパネル及びアウタパネルの少なくとも何れか一方と一体的に形成することができるので、上記第1のダクト部及び第2のダクト部の壁部を比較的容易に形成することが可能である。
また、第1のダクト部の壁部が設けられたインナパネル及びドアトリムの少なくとも何れか一方、及び、第2のダクト部の壁部が設けられたインナパネル及びアウタパネルの少なくとも何れか一方は、壁部が設けられたことによって、強度及び剛性が向上するという効果も得られる。
【0036】
本実施形態では、インナパネル20が樹脂材料により成形され、上記インナパネル20には上記第1のダクト部25を形成する壁部26が一体的に形成されている。図6に示されるように、上記インナパネル20と上記壁部26とのコーナ部25c及び25dが、アール形状に形成され、上記第1のダクト部25の断面形状が略円形状に形成されている。
【0037】
上記のように、インナパネル20が樹脂製であり、上記インナパネル20に、上記第1のダクト部25を形成する壁部26が設けられ、上記インナパネル20と上記壁部26とのコーナ部25c、25dが、アール形状に形成されることにより、第1のダクト部の断面形状を略円形状とすることができるので、スピーカ背面から出る音をより効果的に増幅させて、車室内に導入することができ、上記効果をより有効に奏することができる。
【0038】
また、上記第1のダクト部の端部25aでは、図6に示されるように、上記インナパネル20と上記壁部26とのコーナ部25eがアール形状に形成され、他方の端部25bでは、図7に示されるように、上記インナパネル20と上記壁部26とのコーナ部25fが、上記インナパネル20からドアトリムの方に向かってアール形状に形成されている。このようにして、スピーカ背面から出る音をより効果的に車室内に導入することができる。
本実施形態では、第1及び第2のダクト部の断面形状がともに略円形状に形成されているが、例えば略四角形状など、その他の好適に設計された形状を使用することが可能である。また、第1のダクト部25は、コーナ部に形成されたアール形状により略円形状に形成されているが、上記第1のダクト部を形成するインナパネル20が、上記コーナ部に小さいアール形状を備え、断面凹状に形成されていてもよい。
なお、以下の実施形態では、第1のダクト部の断面形状が略四角形状に形成されたものについて記述する。
【0039】
以下に、本発明に係る自動車のドア構造の別の実施形態について説明する。
(2)第2の実施形態
図8は、本発明の第2の実施形態に係る自動車のフロントドアのインナパネルを車室内側から見た正面説明図である。図9は、図8におけるY9−Y9線に沿ったフロントドアの断面説明図であり、図10は上記フロントドアのインナパネルを部分的に示す斜視図、図11は図10におけるA方向から見た上記インナパネルの斜視図である。なお、以下の説明において、上記実施形態と同様の構成を備え、同様の作用をなすものについては、同一符号を付し、それ以上の説明は省略する。
【0040】
上記第1の実施形態と同様に、フロントドアは、アウタパネル2と、インナパネル40と、ドアトリム10とで構成され、上記インナパネル40の車室内側には、スピーカ5が取り付けられる。第1のダクト部45が、インナパネル40とドアトリム10とを組み合わせて形成され、上記ドアトリム10には第1の開口部が形成されている。
【0041】
第2の実施形態では、インナパネル40に形成される第2の開口部48が、図9及び10に示されるように、スピーカ取付部43を形成するためにドアトリム10の方へ延びる側壁部44に設けられている。上記第2の開口部48は、図10に示されるように、略四角形状に形成されている。上記第1のダクト部45の端部45bにおいて、第2の開口部48と第1のダクト部45とが連通している。
【0042】
上記第1のダクト部45は、第1の実施形態と同様に、スピーカ取付部43の後側に位置する端部45bからスピーカ取付部43の上側に位置する端部45aまで、上記スピーカ取付部43の周縁部に略沿って形成されており、上記端部45aに対応する位置に、上記第1の開口部が設けられている。
【0043】
このようにして、上記第1のダクト部45を介してスピーカ背面から出る音を車室内に導入することができ、上記第1の実施形態と同様の効果を奏することができる。
また、上記第1の実施形態と同様に、インナパネルとドアトリムとを組み合わせることにより上記第1のダクト部を比較的容易に形成することができる。
【0044】
図12は、本発明の第2の実施形態に係るインナパネルの変形例を示した斜視図である。インナパネル50に形成される第2の開口部58が、スピーカ取付部53を形成するためにドアトリム10の方へ延びる側壁部54に形成され、スピーカ取付部53の一部が切欠かれ該スピーカ取付部53から凹状に形成されている。上記第2の開口部58は、図12に示されるように、略長方形状に設けられ、第1のダクト部55を形成する壁部56a、56bと一体的に形成されており、上記第1のダクト部55と連通している。このような変形例のインナパネル50を用いても、同様の効果を得ることができる。
【0045】
(3)第3の実施形態
次に、本発明の第3の実施形態に係る自動車のフロントドアのインナパネルを車室内側から見た正面説明図が図13に示されている。図14は、図13におけるY14−Y14線に沿ったフロントドアの断面説明図である。なお、以下の説明において、上記第2の実施形態と同様の構成を備え、同様の作用をなすものについては、同一符号を付し、それ以上の説明は省略する。
【0046】
上記第2の実施形態と同様に、フロントドアは、アウタパネル2と、インナパネル60と、ドアトリム10とで構成され、上記インナパネル60の車室内側には、スピーカ5が取り付けられる。第1のダクト部65が、インナパネル60とドアトリム10とを組み合わせて形成され、上記ドアトリム10に第1の開口部が形成されている。
【0047】
第3の実施形態では、上記インナパネル60には、スピーカ5背面を密閉するように覆うカバー部64が形成されている。該カバー部64は、図14に示されるように、スピーカ5背面の外周を略覆うようにテーパ状に形成された側部64aと、スピーカ5背面に対向して位置付けられている底部64bとで構成されている。
【0048】
また、上記インナパネル60には、スピーカ取付部63を形成するためにドアトリム10の方へ延びる側壁部62が設けられている。インナパネル60に形成される第2の開口部68が、図14に示されるように、上記カバー部64の側部64aから上記側壁部62にわたって形成されており、上記第2の開口部68と第1のダクト部65とが連通している。
【0049】
このようにして、スピーカ5背面から出る音を、上記第1のダクト部65を介して車室内に導入することができ、低音域の音質を向上させることができる。
また、スピーカ5裏面がインナパネル60によって覆われているので、スピーカ背面から出る音をより安定して車室内に導入することができ、上記効果をより有効に奏することができる。
【0050】
図15は、本発明の第3の実施形態に係るインナパネルの変形例を示したフロントドアの断面説明図である。インナパネル70には、スピーカ5背面を密閉するように覆うカバー部74が形成され、該カバー部74は、側部74aと底部74bとで構成されている。
インナパネル70に形成される第2の開口部78が、上記側部74aから、スピーカ取付部73を形成するためにドアトリム10の方へ延びる側壁部72にわたって、スピーカ取付部73の一部が切欠かれ該スピーカ取付部73から凹状に形成されており、上記第2の開口部78と第1のダクト部75とが連通している。このような変形例のインナパネル70を用いても、同様の効果を得ることができる。
【0051】
本実施形態では、第1のダクト部を形成する壁部の先端側をドアトリムの嵌合溝に嵌合させることによりインナパネルとドアトリムとを組み合わせているが、第1のダクト部を形成する壁部の受承部として、他の種々の構造が考えられる。上記壁部の先端側と受承部の嵌合溝との間にシール部材を介装するようにしてもよい。あるいは、上記壁部の少なくとも一部について、その先端部27をドアトリム10の裏面に対し、接着剤層を介して接着し、この接着剤層のシール作用より、密閉性を確保するようにしてもよい。
【0052】
また、本実施形態では、自動車のフロントドアについて記述しているが、例えばリアドアあるいはバックドアなど、自動車用のその他のドアについても有効に適用することが可能である。
【0053】
以上のように、本発明は、例示された実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計上の変更が可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、スピーカ背面から出る音を車室内に導入するダクトがドア内部に設けられた自動車のドア構造に関し、別部材のダクトを用いることなく上記ダクト部をドア内部に形成したものであり、例えば乗用車等の自動車のフロントドア構造などに好適に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る自動車のフロントドアの正面説明図である。
【図2】上記フロントドアのインナパネルの正面説明図である。
【図3】上記インナパネルの全体斜視図である
【図4】図2におけるY4―Y4線に沿ったフロントドアの断面説明図である。
【図5】図2におけるY5―Y5線に沿ったフロントドアの断面説明図である。
【図6】図2におけるY6―Y6線に沿ったフロントドアの断面説明図である。
【図7】図2におけるY7―Y7線に沿ったフロントドアの断面説明図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る自動車のフロントドアのインナパネルの正面説明図である。
【図9】図8におけるY9−Y9線に沿ったフロントドアの断面説明図である。
【図10】上記インナパネルを部分的に示す斜視図である。
【図11】図10におけるA方向から見た上記インナパネルの斜視図である。
【図12】本発明の第2の実施形態に係るインナパネルの変形例を示した斜視図である。
【図13】本発明の第3の実施形態に係る自動車のフロントドアのインナパネルの正面説明図である。
【図14】図13におけるY14−Y14線に沿ったフロントドアの断面説明図である。
【図15】本発明の第3の実施形態に係るインナパネルの変形例を示したフロントドアの断面説明図である。
【符号の説明】
【0056】
2 アウタパネル
5 スピーカ
10 ドアトリム
15 第1の開口部
20、40、50、60、70 インナパネル
25、45、55、65、75 第1のダクト部
25c、25d、25e、25f コーナ部
26 (第1のダクト部の)壁部
28、48、58、68、78 第2の開口部
29 第2のダクト部
30 (第2のダクト部の)壁部
S トリム空間
H ドア空間
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アウタパネルと、インナパネルと、該インナパネルの車室内側を覆うドアトリムとで構成され、前記インナパネルの車室内側にスピーカが組み付けられた自動車のドア構造であって、
前記ドアトリムに第1の開口部が形成され、
前記インナパネルに第2の開口部が形成され、
前記インナパネルと前記ドアトリムとで形成されるトリム空間内に、前記インナパネルと前記ドアトリムとを組み合わせることにより前記トリム空間を部分的に仕切る第1のダクト部が形成され、
前記第1の開口部と、前記第1のダクト部と、前記第2の開口部とが連通している、
ことを特徴とする自動車のドア構造。
【請求項2】
前記インナパネルと前記アウタパネルとで形成されるドア空間内に第2のダクト部が設けられ、
前記第1の開口部と、前記第1のダクト部と、前記第2の開口部と、前記第2のダクト部とが連通している、
ことを特徴とする請求項1記載の自動車のドア構造。
【請求項3】
前記第1のダクト部が、前記インナパネル及び前記ドアトリムの少なくとも何れか一方から延びる壁部を備え、
前記第2のダクト部が、前記インナパネル及び前記アウタパネルの少なくとも何れか一方から延びる壁部を備えている、
ことを特徴とする請求項2記載の自動車のドア構造。
【請求項4】
前記インナパネルが樹脂製であり、
前記インナパネルに、前記第1のダクト部を形成する壁部が設けられ、
前記インナパネルと前記壁部とのコーナ部が、アール形状に形成されている、
ことを特徴とする請求項1〜3の何れか一に記載の自動車のドア構造。
【請求項1】
アウタパネルと、インナパネルと、該インナパネルの車室内側を覆うドアトリムとで構成され、前記インナパネルの車室内側にスピーカが組み付けられた自動車のドア構造であって、
前記ドアトリムに第1の開口部が形成され、
前記インナパネルに第2の開口部が形成され、
前記インナパネルと前記ドアトリムとで形成されるトリム空間内に、前記インナパネルと前記ドアトリムとを組み合わせることにより前記トリム空間を部分的に仕切る第1のダクト部が形成され、
前記第1の開口部と、前記第1のダクト部と、前記第2の開口部とが連通している、
ことを特徴とする自動車のドア構造。
【請求項2】
前記インナパネルと前記アウタパネルとで形成されるドア空間内に第2のダクト部が設けられ、
前記第1の開口部と、前記第1のダクト部と、前記第2の開口部と、前記第2のダクト部とが連通している、
ことを特徴とする請求項1記載の自動車のドア構造。
【請求項3】
前記第1のダクト部が、前記インナパネル及び前記ドアトリムの少なくとも何れか一方から延びる壁部を備え、
前記第2のダクト部が、前記インナパネル及び前記アウタパネルの少なくとも何れか一方から延びる壁部を備えている、
ことを特徴とする請求項2記載の自動車のドア構造。
【請求項4】
前記インナパネルが樹脂製であり、
前記インナパネルに、前記第1のダクト部を形成する壁部が設けられ、
前記インナパネルと前記壁部とのコーナ部が、アール形状に形成されている、
ことを特徴とする請求項1〜3の何れか一に記載の自動車のドア構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2006−281932(P2006−281932A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−103122(P2005−103122)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(300084421)ジー・ピー・ダイキョー株式会社 (50)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(300084421)ジー・ピー・ダイキョー株式会社 (50)
【Fターム(参考)】
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