説明

自動車内装用操作パネルの組立検査

【課題】 自動車内装用操作パネルのスイッチの配列検査を自動的に安定して行うことができるようにする。
【解決手段】 自動車内装用操作パネルの製造に伴う検査工程において、ワークに取り付けられたスイッチ52を撮影し、その画像と予め登録された基準データファイル23のパターンを比較し、スイッチ52が所定の配列で取り付けられているかどうかを判定する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、自動車内装用の操作パネルの製造に伴う検査工程において、操作パネルにスイッチが所定の配列で取り付けられているかどうか検査する方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】自動車の室内には、例えば、図4に示すように、空調やオーディオ、カーナビゲーション等の機器を操作する操作パネル51が装着される。
【0003】この操作パネル51には、同一又は類似の形状でマークが異なる多数のスイッチ52が取り付けられており、これらのスイッチ52を誤った配列で取り付けると、機器が誤作動することになる。
【0004】このため、操作パネル51の製造過程では、スイッチ52が所定の配列で取り付けられているかどうかを検査する工程が設けられており、この検査は、作業員の目視で行われている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような検査を人手で行うと、検査のばらつきや漏れが生じやすいという問題がある。
【0006】そこで、この発明は、スイッチの配列検査を自動的に安定して行うことができる方法及び装置を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため、この発明は、自動車内装用操作パネルの製造に伴う検査工程において、ワークに取り付けられたスイッチを撮影し、その画像と予め登録された基準データのパターンを比較し、スイッチが所定の配列で取り付けられているかどうかを判定する方法を採用することにより、スイッチの配列検査を自動的に行えるようにしたのである。
【0008】この場合、前記撮影画面内に複数のウインドウを設け、各ウインドウ中の画像と、これに対応する基準データとを順次比較することにより、効率よく検査を行うことができる。
【0009】また、前記基準データを品番ごとに登録し、入力した品番に対応する基準データを読み出して撮影画像と比較する方法を採用すると、多品番少量生産に対応することができる。
【0010】この場合、前記ワークに品番を表すバーコードを記しておき、このバーコードをバーコードリーダで読み取って品番を入力することにより、品番入力の手間を省き、入力ミスを防止することができる。
【0011】そして、これらの検査方法を実施するに際し、X,Y,Z軸方向の3軸移動機構により、ワークとこれを撮影するカメラの相対位置を適宜制御する検査装置を用いると、画像の撮影範囲を適切な位置に設定できる。
【0012】また、前記ワークを保持するワークベッドをX,Y軸方向に対してα,β軸を中心に揺動させ、ワークを常に鉛直方向から撮影する機構を設けると、判定精度が向上する。
【0013】この場合、前記α,β軸をワークの表面に近づけると、ワークベッドの揺動に伴う撮影範囲のずれが抑制されるため、カメラ又はワークベッドをあまり移動させる必要がない。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0015】図1に示すように、この組立検査で使用する検査装置は、装置本体1及びプログラムコントローラ(以下PCと略す)2から構成され、PC2には操作盤3、ディスプレイ4及び記憶装置21が接続されている。
【0016】装置本体1において、ベース11には移動台12が前後方向(Y軸方向)に移動自在に設けられ、移動台12上部のワークベッド13にはワークとして操作パネル51が固定される。
【0017】ベース11の両側には柱材14が立設され、両柱材14の上部間に架設された横架材15にはカメラユニット16が左右方向(X軸方向)に移動自在に設けられている。
【0018】カメラユニット16には、上下方向(Z軸方向)に昇降するブラケット17が設けられ、このブラケット17にカメラ18及びその光軸を四方から取り囲む照明灯19が取り付けられている。
【0019】ワークベッド13は、サーボモータ20に駆動されて、図2及び図3に示すように、X,Y軸方向に対してα,β軸を中心に揺動し、α,β軸は曲面となった操作パネル51の表面の近くを通るようになっている。
【0020】このような構成の検査装置では、操作パネル51に取り付けられたスイッチ52の配列を検査するに際し、カメラ18により操作パネル51を撮影し、図4R>4に示すように、その画面内のウインドウ22に捉えたスイッチ52のマークのパターンを、図5に示すように、記憶装置21のデータファイル23に予め登録された基準データのパターンと比較する。
【0021】その結果、両パターンの同一性が認められれば、所定のスイッチ52が取り付けられていると判断し、ウインドウ22を切り換えつつ、他のスイッチ52についても同一性の判断を行い、これらにも同一性が認められれば、スイッチ52の配列が正しい良品であると判断する。
【0022】また、いずれかのスイッチ52の判定において、両パターンの同一性が認められなければ、スイッチ52の取付ミスがある不良品と判断する。
【0023】ところで、上記のようにスイッチ52を撮影するに際し、スイッチ52をウインドウ22の内側に確実に捉えるためには、スイッチ52の位置をカメラ18の光軸に合わせなければならず、また、画像を鮮明にするためには、カメラ18の焦点を合わせなければならない。
【0024】また、判定の精度を向上させるためには、スイッチ52を鉛直方向から撮影するのが望ましく、操作パネル51の表面の反射や形状を考慮して、照度や照明の角度を調整する必要もある。
【0025】そして、これらの各条件は、操作パネル51の品番ごとに異なるものであり、多品種少量生産に対応するには、それぞれの品番に合わせてワークベッド13とカメラ18の相対位置や角度、照明灯19の照度や角度を迅速に変更しなければならない。
【0026】このため、記憶装置21には、図6に示すように、品番ファイル24に記録された品番に関連して、データファイル23に上記のように基準データが記録されているほか、データファイル25乃至27にそれぞれα,β軸データ、X,Y,Z軸データ及び照度・照明パターンデータが記録されている。
【0027】そして、図7に示すように、品番を入力すると、データファイル25,26からα,β軸データ及びX,Y,Z軸データがそれぞれ読み込まれて、スイッチ52が鉛直にカメラ18に対向するようにワークベッド13が揺動し、また、スイッチ52の位置がカメラ18の光軸に合うように移動台12、カメラユニット16及びブラケット17が移動して、適正な位置決めが行われる。
【0028】このとき、α,β軸が操作パネル51の表面に接近していることから、ワークベッド13の揺動に伴う撮影範囲のずれが抑制されるので、カメラ18又はワークベッド13をX,Y軸方向にあまり移動させる必要がない。
【0029】その後、データファイル27から照度・照明パターンデータが読み込まれて、照明灯19の光量及び角度が撮影に適した状態に調整され、カメラ18により撮影した画像と基準データとの比較判定が上記のように行われる。
【0030】このように、上記検査装置では、品番を入力するだけで、その品番に最適な条件で精度よく検査が行われる。この処理は、全ての製品の検査が終了するまで繰り返して行う。
【0031】なお、上記検査において、品番の入力はキーボードから行ってもよいが、図1に示すように、操作パネル51にその品番を示すバーコード28を貼り付け、PC2にバーコードリーダ29を接続し、バーコード28をバーコードリーダ29で読み取って品番を入力するようにしてもよい。これにより、品番入力の手間を省き、入力ミスを防止することができる。
【0032】また、この検査装置では、装置本体1として卓上型のものを用いたが、多関節ロボットに上記のような測定ユニットを装備し、車両に内装したパネルを直接検査できるようにしてもよい。
【0033】
【発明の効果】以上のように、この発明では、撮影した画像と予め登録された基準データのパターンを比較し、スイッチが所定の配列で取り付けられているかどうかを判定することとしたので、スイッチの配列検査を自動的に安定して行うことができる。
【0034】また、画像中のウインドウごとに効率よく検査でき、品番ごとに基準データを登録して、多品番少量生産に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る組立検査装置を示す斜視図
【図2】同上の装置本体の正面図
【図3】同上の装置本体の側面図
【図4】操作パネルの表面を示す図
【図5】画像判定処理を示す概念図
【図6】登録データの構造図
【図7】組立検査処理の流れを示す図
【符号の説明】
1 装置本体
2 プログラムコントローラ(PC)
3 操作盤
4 ディスプレイ
11 ベース
12 移動台
13 ワークベッド
14 柱材
15 横架材
16 カメラユニット
17 ブラケット
18 カメラ
19 照明灯
20 サーボモータ
21 記憶装置
22 ウインドウ
23 基準データファイル
24 品番ファイル
25 α,β軸データファイル
26 X,Y,Z軸データファイル
27 照度・照明パターンデータファイル
28 バーコード
29 バーコードリーダ
51 操作パネル
52 スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 自動車内装用操作パネルの製造に伴う検査工程において、ワークに取り付けられたスイッチを撮影し、その画像と予め登録された基準データのパターンを比較し、スイッチが所定の配列で取り付けられているかどうかを判定する自動車内装用操作パネルの組立検査方法。
【請求項2】 前記撮影画面内に複数のウインドウを設け、各ウインドウ中の画像と、これに対応する基準データとを順次比較する請求項1に記載の自動車内装用操作パネルの組立検査方法。
【請求項3】 前記基準データを品番ごとに登録し、入力した品番に対応する基準データを読み出して撮影画像と比較する請求項1又は2に記載の自動車内装用操作パネルの組立検査方法。
【請求項4】 前記ワークに品番を表すバーコードを記しておき、このバーコードをバーコードリーダで読み取って品番を入力する請求項3に記載の自動車内装用操作パネルの組立検査方法。
【請求項5】 請求項1乃至4のいずれかに記載の自動車内装用操作パネルの組立検査方法を実施する装置であって、X,Y,Z軸方向の3軸移動機構により、ワークとこれを撮影するカメラの相対位置を適宜制御するようにした自動車内装用操作パネルの組立検査装置。
【請求項6】 前記ワークを保持するワークベッドをX,Y軸方向に対してα,β軸を中心に揺動させ、ワークを常に鉛直方向から撮影するようにした請求項5に記載の自動車内装用操作パネルの組立検査装置。
【請求項7】 前記α,β軸をワークの表面に近づけた請求項6に記載の自動車内装用操作パネルの組立検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2002−216110(P2002−216110A)
【公開日】平成14年8月2日(2002.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−14601(P2001−14601)
【出願日】平成13年1月23日(2001.1.23)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】