説明

自己組織化単層膜を形成するための化合物の合成方法、自己組織化単層膜を形成するための化合物、および、半導体部品用の層状構造

【課題】自己組織化単層膜、特に半導体部品用の単層膜、を形成するために使用される化合物およびその合成方法並びに半導体部品を提供する。
【解決手段】
【化1】


本発明の方法は、ω−ハロゲン−アルク−1−エン(I)の場合は、π−π相互作用を行う能力のある基、特に少なくとも1つの芳香族基(Ar)を有する基、によってハロゲンを末端求核置換する第1合成工程a)と、第1合成工程の生成物を第2合成工程においてヒドロシリル化する工程b)とを特徴とする。本発明の合成方法によれば、所望する化合物を効率的に生成して収率を向上でき、精製条件を簡素化できる。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、請求項1に記載の自己組織化単層膜を形成するための化合物の合成方法、請求項12に記載の自己組織化単層膜を形成するための化合物、および、請求項13に記載の半導体部品用の層状構造に関する。
【0002】
近年、半導体部品を有機材料を使用して製造することが増加してきている。例えば、有機半導体をベースとする電界効果トランジスタ(OFET)は、電気的な多くのアプリケーション分野にとって利点を有するものである。特に、上記のようなトランジスタによれば、低い製造コスト、柔軟なまたは壊れない基板、または、より大きな活性領域を備えたトランジスタおよび集積回路の製造が可能となる。例えば、有機電界効果トランジスタは、アクティブマトリックス画像スクリーンにおけるピクセル制御要素として、または、製品および品物を能動的にマーキングおよび識別するために使用されるような極めて低コストな集積回路を製造するのに適している。
【0003】
複雑な回路を、有機電界効果トランジスタを用いて構成できるので、有機電界効果トランジスタは、多くのアプリケーションへの適用可能性がある。したがって、例えば、この技術に基づくRF−ID(RF−ID:無線周波数識別)システムを導入すれば、妨害を受けやすい、走査のために直接光学的に接触することによってのみ使用できるバーコードの代替物となると考えられている。受動RF−IDシステムは、そのエネルギーを入射される交流電場から得る。この場合、読み込み装置と中継器との間にあり得る間隔は、射出電力と中継器の所要エネルギーとに依存している。それゆえ、シリコンベースの中継器では、3V程度の供給電圧で動作している。シリコンベースのチップを含む製品は、多くのアプリケーションのためには高価すぎる。たとえば、シリコンベースの識別タグは食品のマーキング(値段、賞味期限など)のためには適さない。
【0004】
有機電界効果トランジスタは、通常、互いに積み重ねて形成された少なくとも4つの異なる層、すなわち、ゲート電極と、誘電体と、ソースドレイン接触層と、有機半導体とからなる。層の順番は変化してもよい。機能性が生じるように、個々の層状構造をパターン化する必要があり、パターン化は比較的複雑である。
【0005】
ポリマーまたは有機半導体は、安い印刷技術をそのパターン化および応用に使用できる、という可能性を有している。ゲート誘電体(すなわち、誘電体層)をより薄く製造できれば、有機電界効果トランジスタを制御するためのゲート電位をより小さく選択できる。
【0006】
ポリマー電子工学では、一般的に、ゲート誘電体の厚みが最適化されて、ポリマーの溶液の射出または印刷が次第に薄くなってきている(トップダウン)。しかしながら、この方法は層厚が50nm未満になれば限界である。
【0007】
有機電界効果トランジスタ用の層を、分子単層膜を含む自己組織化単層膜(SAM:Self-Assembled Monolayers )を用いて形成することが知られている。
【0008】
このような層は、J. Collet, D. Vuillaumeの文献「ゲート絶縁として有機自己組織化単層膜を有するナノ電界効果トランジスタ」("Nano-field effect transistor with an organic self-assembled monolayer as gate insulator"), Applied Physics Letters 73 (1998) 2681 ;J. Collet, S. Lenfant, D. Vuillaume, O. Bouloussa, F. Rondelez, J. M. Gay, K. Kham, C. Chevrotの文献「有機絶縁体/半導体単層膜ヘテロ構造における高異方性伝導性」("High anisotropic conductivity in organic insulator/semiconductor monolayer heterostructure"), Applied Physic Letters 76 (2000) 1339; およびJ. Collet, O. Tharaud, A. Chapoton, D. Vuillaume の文献「ゲート絶縁フィルムとして自己組織化単層膜を有する、低電圧、30nmチャネル長の有機トランジスタ」("Low- voltage, 30 nm channel length, organic transistors with a self-assembled monolayer as gate insulating films"), Applied Physics Letters 76 (2000) 1941に記載されている。
【0009】
このような層については、Pradyt Ghosh, Richard M. Crooksの文献「パターン化されたハイパー分岐ポリマーのプラスチック基板へのマイクロ接触印刷を用いた共有グラフト結合」("Covalent Grafting of a Pattered, Hyperbranched Polymer onto Plastic Substrate Using Microcontact Printing"),J. Am. Chem. Soc. 121 (1999) 8395-8306;William M. Lackowski, Pradyut Ghosh, Richard M. Crooksの文献「マイクロ接触印刷によるハイパー分岐フィルムのミクロンスケールのパターニング」("Micron-Scale Patterning of Hyperbranched Polymer Films by Micro-Contact Printing"), J. Am. Chem. Soc. 121 (1999) 1419-1420;および米国特許第4,539,061号にも記載されている。
【0010】
Collet らの各文献は、SAM層を有するトランジスタを形成できる材料について記載している。この文献では、ヒドロキシル含有基板面上のアンカー基としてのビニル末端シランが、SAMを形成する。続いて、このSAMは、他の分子をSAMに化学的に結合するため、化学的に後処理される(米国特許第4,539,061号参照)、または、さらにプロセスの行われる表面が製造される(Collet, Tharaud らの文献を参照)。
【0011】
この場合、これらの層は後処理されなければ厚い誘電体層を形成しない、という欠点がある。使用される化学的な後処理は、48〜120時間の反応期間では、たった70〜90%の末端基しか変換しない。この化学的な後処理の時間は、大量生産のためには長すぎる。
【0012】
原則的に、ポリマーは、複数の配位場所を介して表面に結合できる(自己組織化ポリマー)。このことは、米国特許第5,728,431号、米国特許第5,783,648号(1998)および米国特許第5,686,549号に記載されている。
【0013】
本発明の目的は、同じ種類の他の化合物および/または他の種類の化合物とπ−π相互作用する能力を有する化合物の効率的な合成方法を提供することである。さらに、本発明の他の目的は、半導体部品の製造に効率的に使用できる適切な化合物および層状構造を提供することである。
【0014】
この目的は、請求項1の特徴を有する合成方法により本発明に基づいて達成される。
【0015】
この場合、第1合成工程で、ω−ハロゲン−アルク−1−エン(I)、すなわち
【0016】
【化1】

(I)
【0017】
(I)の場合は、ハロゲンの末端求核置換を、π−π相互作用の能力を有する基、特に少なくとも1つの芳香族グループ(Ar)を有する基、によって行う。続いて、第1合成工程の生成物を、第2合成工程においてヒドロシリル化する。
【0018】
この2工程の合成方法によれば、高収率性と精製容易性とにより、所望する化合物を低コストで製造できるようになる。
【0019】
請求項12に記載の本発明の化合物は、固定化させるヘッド基(頭部基)を有する誘電性層としての使用に好適である。上記各ヘッド基は、相互作用を行い、その結果、分子性単層膜の安定した表面が生成される。この表面は、さらにパターン化することを簡便にできる。
【0020】
したがって、このような単層膜は、半導体部品の本発明の層状構造、特に、有機電界効果トランジスタにおいて使用できる。
【0021】
好ましい改良点を従属請求項に記載する。
【0022】
以下では、複数の実施例の図面の図を参照して本発明を詳しく説明する。
【0023】
図1に本発明の合成方法の一実施形態を示す。
【0024】
原材料はω−ハロゲン−アルク−1−エン(I)である。二重結合の鎖とは反対側の末端部に、置換されるハロゲンXが存在している。このω−ハロゲン−アルク−1−エン(I)は、以下で説明するように、2つの比較的短い鎖(鎖の長さn,m)から製造されている(図2参照)。図1の例では、n=6であり、m=10であり、X=Cl、BrまたはIである。
【0025】
ハロゲンXを、第1合成工程において、一般式HY−Ar(ただしYはO,S,Se,または−NH)を有する芳香族基を含む基によって置換される。芳香族基として、図2に示す基の少なくとも1つを使用してもよい。ナフタリン、アントラセン、ナフタセン、ペンタセン、ビフェニル、テルフェニル、クアテルフェニルおよび/またはキンクフェニルも使用できる。この場合、芳香族基Ar、または、同じまたは異なる基からなる多環系を使用してもよい。
【0026】
第1合成工程の後、芳香族のヘッド基を含む生成物が得られる。この芳香族のヘッド基は、他の分子とπ−π相互作用する能力を有している。
【0027】
この生成物を、第2合成工程でヒドロシリル化する。このとき、チェーンのヘッド基とは反対側の一端部(基端部)で、分子がシリル化される。図1の例では、HSiZ3 (ただし、ZはCl)またはアルコキシル基が使用されている。上記反応を、酸触媒(本実施形態ではヘキサクロロ白金(IV)酸(H2 PtCl6 ))の存在下にて行うことが好ましい。
【0028】
第2合成工程での生成物は、芳香族のヘッド基の他に、シランアンカー基を含んでいる。このシランアンカー基は、基板または基板上の層と結合できる。このことを図21および図22を参照して詳しく説明する。
【0029】
図2に、π−π相互作用の能力を有する芳香族基Arを示す。他の芳香族化合物、特に、少なくとも1つのナフタリン、アントラセン、ナフタセン、ペンタセン、ビフェニル、テルフェニル、クアテルフェニルおよび/またはキンクフェニルを使用してもよい。
【0030】
上記チェーン類は、チェーン中にそれぞれ異なる芳香族環系を有していてもよい。縮合されたチェーンの長さに基づいて特性を好適に設定できる。この場合、一般に高縮合ではない、比較的小さい芳香族が特に適している。なお、これらの芳香族は、単層膜11のほぼ単結晶のまたはエピタキシャル2次元の構造(図22参照)を妨害しない。
【0031】
この相互作用を利用して、有機電界効果トランジスタの誘電体に好適な各層を形成できる(図23参照)。
【0032】
π−π相互作用は、単層膜11において自動的に発生するものであり、引き起こす必要はない。基本的に、π−π相互作用を生じるこのような基は、SAMの範囲内へも導入できるが、導入されたらヘッド基とは呼ばれなくなる。
【0033】
図3に、一実施形態として、ω−ハロゲン−アルク−1−エンを生成するための一般的な反応、すなわち、上記の2つの合成工程の前反応を示す。ω−ハロゲン−アルク−1−エンは、第1合成工程のための原材料である。ハロゲンXは、Cl、BrまたはIであることが好ましく、本実施形態ではBrである。n=2〜12であってもよく、本実施形態ではn=6である。第2反応物質の鎖の長さmは、5〜15であってもよく、本実施形態ではm=10である。
【0034】
以下に、本発明に基づく合成の実施形態の段階について説明する。
【0035】
実施例1.1:18−ブロムオクタデカ−1−エンの調製
アルキル鎖を有し、αおよびωの場所に異なる置換基を有する化合物は、12個の炭素原子の鎖の長さまでしか商業的には入手できない。より長い鎖の化合物のために、ω−ブロムアルケンが、多くの場合に使用される原料である。なぜなら、種々な簡素な各反応により、本発明に係る各官能基の1つに選択的に変換できるからである。これが、本発明の合成方法のための準備工程であり、ハロゲン化された1−アルケンを、さらに反応させる。
【0036】
ヘイド(Heid)は、グリニャール化合物である5−ブロムペンタ−1−エンと過剰な1,12−ジブロムドデカンとから、リチウム銅によって触媒された結合反応によって、ブロムヘプタデカ−1−エンを66%の収率で調製し、以前の方法(S. R. Wassermann, Y. -T. Tao, G. M. Whitesides, Langmuir 1989,5, 1074)では必要であった複雑な中圧クロマトグラフィーによる精製を省けることを示した。過剰な出発材料および2回の反応から生じる副生成物ドコサ−1,21−ジエンは、2回のクロマトグラフィーによって分離される。
【0037】
同じように18−ブロムオクタデカ−1−エンが6−ブロムヘキサ−1−エンから同様な方法により合成され、また、副反応により、収率は単に12%であった(F. Effenberger, S. Heid, Synthesis 1995,1126)。
【0038】
本実施例では、出発材料を巧みに選択することにより、10gを上回る量を調製する場合には非常に複雑で手間がかかるものであるクロマトグラフィーによる精製を完全に省くことができる。グリニャール化合物である8−ブロムオクタ−1−エンを、S.Heid(S. Heid, 学術論文,シュトゥットガルト,1994年,197ページ以下)によって実行された条件下で過剰な1,10−ジブロムデカンと反応させた。
【0039】
副生成物は、その沸点が所望の生成物とは著しく異なっているので、試薬グレードの純度の生成物を、20cmのビグルー(Vigreux )カラムを用いた簡単な蒸留操作で充分に得ることができた。上記生成物の収率は60%であった。
【0040】
8−ブロムオクタ−1−エンを、同じ条件下で、アリルブロミド(allyl bromide )と1,5−ジブロムペンタンとから調製し、60cmの分枝カラム(split tube column )によって精製した後、試薬グレードの純度のものを60%の収率にて得た。
【0041】
アリルマグネシウムブロミドに基づく合成によって、8−ブロムオクタ−1−エンを33%の収率で得ることは、Johnsonおよびその共同研究者によって、既に開示されている(D. K. Johnson, J. Donohoe, J. Kang, Synth. Commun. 1994,24, 1557)。
【0042】
アリルブロミドから18−ブロムオクタデ−1−センを合成する各工程について、図4に示し、以下で説明する。
【0043】
8−ブロムオクタ−1−エンの調製
バッチ:
アリルブロミド: 87ml 1.00mol
マグネシウム: 50.1g 2.06mol
1,5−ジブロムペンタン:296ml 2.17mol
Li2 CuCl4 溶液: 0.5ml 0.05mmol
ジエチルエーテル: 660ml
THF: 200ml
【0044】
グリニャール反応:Ar雰囲気下での加熱されたフラスコにおいて、マグネシウムをエーテルと共に予め加えておく。滴下漏斗を用いて(エーテルに溶けた)アリルブロミドが加えられると、溶媒は弱く沸騰する。続いて、上記溶液を、沸騰状態にてさらに90分間加熱する。
【0045】
銅リチウム触媒の製造:1mmol(134.5mg)のCuCl2 および2mmolの(84.8mg)のLiCl(双方は、P4 10の存在下のオイルポンプによる減圧下で予め乾燥されている)を、10mlの無水THF(テトラヒドロフラン)に溶かす。深紅の溶液を、上記溶液中の固体が完全に溶液中に溶けるまで攪拌し、冷蔵庫内にて保存する。
【0046】
クロスカップリング(cross-coupling):第2フラスコにおいて(加熱しながら、不活性ガス雰囲気下で)、1,5−ジブロムペンタンのTHF溶液を予め加えておき、0℃になるまで冷却する。テフロン(登録商標)製カニューレを用いるグリニャール化合物の投入の前に、触媒を添加する。グリニャール化合物を添加した直後に、赤から緑を経て無色になる変色が生じる。添加を完了した後、反応溶液を室温にして、一晩攪拌する。
【0047】
処理:水を加えた後、300mlの塩化アンモニウム飽和水溶液によって中和を行い、有機層および水層を分液漏斗によって分離する。分離後、有機層は、100mbar以下の減圧下、約40℃にて留去される。上記留去物を、300mlのジクロロメタンに溶解する。その溶解溶液を、200mlの水で2回洗浄する。こうして得られた有機層を、マグネシウムサルフェートによって乾燥させ、溶媒を減圧下にて留去する。
【0048】
その後、60cmの分枝カラム(還流比20:1)を介して分留して蒸留する。従って、純粋な生成物の他に、純粋な1,5−ジブロムペンタンも回収される。
【0049】
収率:60%の8−ブロムオクタ−1−エン(図5参照)が115g(602mmol);無色の液体
沸点:1,10−ウンデカジエン: 約80℃
8−ブロムオクタ−1−エン:94〜97℃
1,5−ジブロムペンタン: 110〜112℃
それぞれ15トル(Torr)の圧力下での沸点を示す。
分析値:C8 15Br(M:191.11g/mol)
Calc.:C:50.28 H:7.91 Br:41.81
Found:C:50.03 H:7.81 Br:41.97
1H−NMR:(500MHz.CDCl3
1.30〜1.47(m;6H;H4〜H6);1.86(m;2H;H7);2.05(m;2H;H3);3.41(t;38.7=6.9Hz;2H;H8);4.94(mc;1H;H1);5.00(mc;1H;Hl’);5.80(ddt;1H;H2;32.1'=17.0Hz;32.1=10.3Hz;32.3=6.9Hz)
13C−NMR:(126MHz.CDCl3
28.4;28.6;29.1(C4〜C6);33.2(C7);34.0(C3);34.4(C8);114.8(C1);139.3(C2)
18−ブロムオクタデカ−1−エンの調製
バッチ:
8−ブロムオクタ−1−エン: 9.60g 50.2mmol
マグネシウム: 2.00g 82.3mmol
Et2 O: 90ml
1,10−ジブロムデカン: 25.0g 111 mmol
Li2 CuCl4 溶液: 100μl
THF: 50ml
グリニャール反応:Ar雰囲気下にて加熱されたフラスコに、エーテルと共にマグネシウムを予め加えておく。滴下漏斗を用いて、(エーテルに溶けた)8−ブロムオクタ−1−エンが加えられると、溶媒は弱く沸騰する。続いて、上記溶液をさらに2時間沸騰状態にて加熱する。
【0050】
銅リチウム触媒の製造:1mmol(134.5mg)のCuCl2 および2mmolの(84.8mg)のLiCl(双方は、P4 10の存在下でオイルポンプによるの減圧下にて予め乾燥されている)を、10mlの無水THFに溶解する。深紅の溶液を、固体が完全に溶けるまで攪拌し、冷蔵庫内にて保存する。
【0051】
クロスカップリング:第2フラスコにおいて(加熱しながら、不活性ガス雰囲気下で)、1,10−ジブロムデカンをTHFに予め加えておき、0℃になるまで冷却する。テフロン(登録商標)製カニューレを用いるグリニャール化合物の投入の前に、触媒を添加する。グリニャール化合物を添加した直後に、赤から緑を経て無色になる変色が生じる。添加を完了した後、反応溶液を室温にして、一晩攪拌する。
【0052】
18−ブロムオクタデカ−1−エンとなる8−ブロムオクタ−1−エンと1,10−ジブロムデカンとの反応(図4)は、図3に示すω−ハロゲン−アルク−1−エンを製造するための一般的な反応の一例である。
【0053】
処理:MgBr2 が全て解けるまで水を加える。次に、有機層と水層とを分液漏斗によって分離する。有機層を、水で2回洗浄し、続いて、MgSO4 によって乾燥させ、溶媒を減圧下にて留去する。その生成物を、0.04トルの減圧下にてビグルーカラムを介して132〜137℃での分留した。
【0054】
収率:60%の8−ブロムオクタデカ−1−エン(図6参照)9.98g(30.1mmol);無色の液体
沸点:132〜137℃(0.04トルの圧力下)
分析値:C8 15Br(M:331.38g/mol)
Calc.:C:65.24 H:10.65 Br:24.11
Found:C:65.38 H:10.63 Br:24.04
1H−NMR:(500MHz,CDCl3
1.22〜1.43(m;22H;H4〜H14);1.85(m;2H;H17);2.04(m;2H;H3);3.40(t;2H;H18;318,17=6.8Hz);4.93(mc;1H;Hl);4.99(mc;1H;H1’);5.81(ddt;1H;H2;32,1'=17.1Hz;32,1=10.3Hz;32,3=6.8Hz)
13C−NMR:(126MHz,CDCl3
28.2;28.8;29.0;29.2;29.5;29.5;29.6;29.6;29.7(C4〜C16);32.9(C17);33.8(C3);34.0(C18);114.1(C1);139.2(C2)
【0055】
実施例1.2(18−フェノキシオクタデシル)トリクロロシランの調製
本実施例1.2では、実施例1.1で得られた18−ブロムオクタデカ−1−エンをさらに反応させる。
【0056】
以下の合成工程は、2つの合成工程を含む本発明の合成方法の実施例であり、双方の合成工程を含む実施例を図7に示し、以下で双方について説明する。
【0057】
オクタデカ−17−エニロキシベンゼンを合成するための第1合成工程では、フェノールとカリウムメタノレート(potassium methanolate)とから生成されたカリウムフェノレートをDMF(N,N−ジメチルホルムアミド)の存在下において18−ブロムオクタデセン(実施例1.1参照)と反応させる。前記処理およびカラムフィルトレーションの後、オクタデカ−17−エニロキシベンゼンが、後述する反応のために、試薬グレードの純度にて88%の収率で得られた。
【0058】
次に、第2合成工程では、白金を触媒としてヒドロシリル化することにより、アルケニルフェニルエーテルから、トリクロロシランが合成される。
【0059】
得られたトリクロロシランに関する後述の、1H−NMR、13C−NMR、および、質量分析が示すように、トリクロロシランは、バルブチューブ蒸留による最終精製後において純粋な純度にて得られ、上記得られたオクタデカ−17−エニロキシベンゼンを基にして、88%の収率で得られた。
【0060】
以下に、上記双方の第1および第2合成工程について詳しく説明する。
【0061】
第1合成工程:オクタデカ−17−エニロキシベンゼンの調製
バッチ:
フェノール: 4.26g 45.3mmol
KOMe: 3.08g 43.9mmol
CH2 Cl2 : 100ml
18−ブロムオクタデセン:10g 30.2mmol
DMF: 100ml
【0062】
カリウムフェノレートの調製:フラスコに、CH2 Cl2 に溶かしたフェノールを予め加えておき、KOMeを加える。反応混合物を、15分間室温で攪拌し、続いて、溶媒を減圧下にて完全に留去する。
【0063】
エーテル結合:カリウムフェノレートに、DMFおよび所望する生成物に対応するアルキルブロミドを加え、150℃に加熱する。2時間後、反応物を室温にし、上記反応物に水を加え、その水溶液を希釈されたHClによって中和する。
【0064】
処理:分液漏斗によって、水性DMF層を、エーテルによって数回抽出する。有機層を、DMFの除去のために水で洗浄し、MgSO4 によって乾燥させる。溶媒を留去した後、移動相としてPE/CH2 Cl2 (1:1)を用いたシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、無色の固体が得られた。上記PEは石油エーテルである。
【0065】
収率:9.18g(26.6mmol)88%のオクタデカ−17−エニロキシベンゼン(図8参照);無色の液体
融点:44〜45℃
TLC(PE/CH2C12=1:1):Rf=0.65
分析値:C2440O(M:344.58g/mol)
Calc.:C:83.56 H:11.70 O:4.64
Found:C:83.66 H:11.79 O:−
1H−NMR:(500MHz,CDCl3
1.22〜1.39(m;24H;H4〜H15);1.44(m;2H;H3);1,77(m;2H;H2);2.04(m;2H;H16);3.95(t;2H;H1;31,2=6.6Hz);4.93(mc;1H;H18);4.99(mc;1H;H18’);5.81(ddt;1H;H17;317,18'=17.0Hz;317,18=10.2Hz;317,16=6.6Hz);6.90(m;3H;H4”+H2”);7.27(m;2H;H3”)
13C−NMR:(126MHz,CDCl3
26.0;29.0;29.2;29.3;29.4;29.5;29.5;29.5;29.5;29.7(C2〜C15);33.8(C16);67.9(C1);114.1(C18);114.5(C2”);120.4(C4”);129.4(C3”);139.3(C17);159.1(C1”)
第2合成工程:(18−フェノキシオクタデシル)トリクロロシランの調製
バッチ:
オクタデカ−17−エニロキシベンゼン:3g 8.71mmol
トリクロロシラン: 8.8ml 87.1mmol
ヘキサクロロ白金酸溶液: 10滴
【0066】
バルブ/アルゴン気球およびゴムセプタムを有する還流冷却器/ガス放出管を備える加熱された2ネックフラスコに、オクタデカ−17−エニロキシベンゼンを予め入れておく。シリンジによってトリクロロシランと触媒溶液とを添加し、一晩室温で攪拌して反応させる。
【0067】
水流ジェットポンプによる減圧により余分なトリクロロシランを除去した後、上記残留物を、オイルポンプによる減圧下にてバルブチューブにて蒸留する。
【0068】
触媒溶液の生成:164mgのH2 PtCl6 の水和物を、10mlの無水イソプロパノールに溶解する。その溶液を、固体が完全に溶けるまで攪拌し、冷蔵庫に保存する。
【0069】
収率:88%、(18−フェノキシオクタデシル)トリクロロシラン(図9参照)が3.66g(7.63mmol);無色の固体
融点:34℃
沸点:185〜195℃(1×10-3トルの圧力下)
MS(EI 70eV):C2441Cl3OSi
Calc.:478.1992
Found:478.1991
1H−NMR:(250MHz,CDCl3
1.26〜1.42(m;30H;H3〜H17),1.57(m;2H;H18),1.78(m;2H;H2);3.95(t;2H;H1;31,2=6.6Hz);6.92(m;3H;H4”+H2”);7.27(m;2H;H3”)
13C−NMR:(63MHz,CDCl3
22.2(C18);24.3(C17);29.1;29.0;29.3;29.4;29.4;29.6;29.7(C2〜C15);31.8(C16);67.8(C1);114.4(C2”);120.4(C4”);129.4(C3”);159.1(C1”)
【0070】
上記生成物は、有機半導体素子を製造する際の単層膜を製造するために使用できる化合物である。このことを図22、図23に示す。
【0071】
実施例2:[18‐(1’,1”−ビフェニル−4’−イルオキシ)オクタデシル]トリクロロシランの調製
本発明の合成方法に係るこの実施形態は、18−ブロムオクタデカ−1−エンから始まる(18−フェノキシオクタデシル)トリクロロシラン(実施例1.2)の合成での2つの合成工程(図10参照)と同様に行われる。
【0072】
第1合成工程においては、DMF内にて、ビフェニル−4−オールとカリウムメチレートとから調製されたカリウムビフェニル−4−オレートと反応させる。
【0073】
中間生成物4−オクタデカ−17”−エニロキシ−1,1’−ビフェニルは、ジクロロメタンからの再結晶の後、79%の収率で試薬グレードの純度にて得られる。
【0074】
第2合成工程では、白金を触媒としてヒドロシリル化することにより、中間生成物として生じたアルケニルフェニルエーテルを、[18−(1’,1”−ビフェニル−4’−イルオキシ)オクタデシル]トリクロロシランに変換する。
【0075】
4−オクタデカ−17”−エニロキシ−1,1’−ビフェニルは、トリクロロシランに溶けにくいので、トルエンを共通溶媒(cosolvent)として添加した。最終的な蒸留の後、純粋なトリクロロシランが88%の収率で得られた。得られた生成物を、質量分析および1H−NMRおよび13C−NMR分光法によって証明できた。以下では、合成工程について詳しく説明する。
【0076】
第1合成工程:4−オクタデカ−17”−エニロキシ−1,1’−ビフェニルの合成
バッチ:
4−ヒドロキシビフェニル:10.3g 60.4mmol
KOMe: 4.43g 63.2mmol
CH2 Cl2 : 180ml
18−ブロムオクタデセン:15.8g 47.5mmol
DMF: 80ml
【0077】
カリウムフェノレートの調製:フラスコに、CH2 Cl2 内の4−ヒドロキシビフェニルを予め入れておき、KOMeを加える。反応混合物を、15分間室温で攪拌し、続いて減圧下にて溶媒を完全に留去する。
【0078】
エーテル結合:カリウムフェノレートに、DMFおよび18−ブロムオクタデカ−1−エンを加え、110℃に加熱する。2時間後、反応溶液を室温にし、水を加え、希釈されたHClによって中和する。
【0079】
処理:分液漏斗によって、水性DMF層を、ホットジクロロメタンによって3回抽出する。有機層を、DMFが除去されるように水で2回洗浄し、MgSO4 によって乾燥させる。溶媒を留去した後、得られた固形分を、ジクロロメタンから3回再結晶させる。
【0080】
収率:79%、4−オクタデカ−17”−エニロキシ−1,1’−ビフェニル(図11参照)が15.8g(37.5mmol);無色の固体
融点:86℃
分析値:C2440O(M:420.68g/mol)
Calc.:C:85.65 H:10.54 O:3.80
Found:C:85.78 H:10.66 O:−
1H−NMR:(500MHz,CDCl3
1.26〜1.39(m;24H;H4〜H15);1.47(m;2H;H3);1.80(m;2H;H2);2.04(m;2H;H16);3.99(t;2H;H1;31,2=6.6Hz);4.92(mc;1H;H18);4.99(mc;1H;H18’);5.81(ddt;1H;H17;317,18'=17.0Hz;317,18=10.3Hz;J17,16=6.7Hz);6.96(m;2H;H2”);7.29(m;1H;H8”);7.41(m;2H;H7”);7.51(m;2H;H3”);7.54(m;2H;H6”)
13C−NMR:(126MHz,CDCl3
26.1;29.0;29.2;29.3;29.4;29.5;29.6;29.6;29.6;29.7(C2〜C15);33.8(C16);68.1(C1);114.1(C18);114.8(C2”);126.6(C8”);126.7(C6”);128.1(C3”);128.7(C7”);133.5(C4”);139.3(C17);140.9(CS”);158.7(C1”)
第2合成工程:[18−(1’,1”−ビフェニル−4’−イルオキシ)オクタデシル]トリクロロシランの生成
バッチ:
4−オクタデカ−17”−エニロキシ−1,1’−ビフェニル:
6g 14.26mmol
トリクロロシラン: 8.3ml 82.23mmol
ヘキサクロロ白金酸溶液: 100μl
トルエン: 30ml
【0081】
パルブ/アルゴン気球およびゴムセプタムを有する還流冷却器/ガス放出管を備える加熱された2ネックフラスコに、オレフィンを予め入れておく。シリンジによってトリクロロシランと触媒溶液とを添加する。4−オクタデカ−17”−エニロキシ−1,1’−ビフェニルは、トリクロロシランに溶けにくいので、さらに30mlの無水トルエンを共通溶媒として添加した。これを、室温で一晩中攪拌する。
【0082】
水流ジェットポンプによる減圧により余分なトリクロロシランおよびトルエンを留去した後、ビグルーカラムを用いた、オイルポンプによる減圧下にて残留物を蒸留する。
【0083】
触媒溶液の生成:164mgのH2 PtCl6 水和物を10mlの無水イソプロパノールに溶解する。固体が完全に溶けるまで溶液を攪拌し、冷蔵庫内に保存する。
【0084】
収率:88%、[18−(1’,1”−ビフェニル−4’−イルオキシ)オクタデシル]トリクロロシラン(図12参照)が7.01g(12.6mmol);無色の固体
沸点:249〜263℃(3×10-5mbarの圧力下)
融点:115℃
MS:(EI 陽イオン)C3045Cl3OSi
Calc.:554.2305
Found:554.2296
1H−NMR:(500MHz,CDCl3
1.26〜1.43(m;28H;H4〜H17),1.47(m;2H;H3);1.58(m;2H;H18),1.80(m;2H;H2);3.99(t;2H;H1’;31,2=6.5Hz);6.97(m;2H;H2”);7.30(m;1H;H8”);7.41(m;2H;H7”);7.51(m;2H;H3”);7.55(m;2H;H6”)
13C−NMR:(126MHz,CDCl3
22.2(C18);24.3(C17);26.1;29.0;29.3;29.3;29.4;29.6;29.7(C2〜C15);31.8(C16);68.1(C1);114.7(C2”);126.6(C8”);126.7(C6”);128.1(C3”);128.7(C7”);133.5(C4”);140.9(C5”);158.7(C1”)
【0085】
実施例3:(17−チエン−2’−イルヘプタデシル)トリクロロシラン(a)および(18−チエン−2’−イルオクタデシル)トリクロロシラン(b)の調製
2−ヘプタデカ−16’−エニルチオフェンおよび2−オクタデカ−17’−エニルチオフェンの調製は、チオフェンおよびn−BuLiから予め生成された各ブロムアルケンまたは2チエニルリチウムを、第1合成工程において変換することにより行われる。複雑な精製を回避するため、マイルドな反応条件下にて反応時間が長く、極めて過剰な使用量となってもよい場合には、2−チエニルリチウムが使用される。
【0086】
カラムクロマトグラフィーの後、アルケニルチオフェンでは、それぞれ、2−ヘプタデカ−16’−エニルチオフェンに対しては84%の収率で、また、2−オクタデカ−17’−エニルチオフェンに対しては90%の収率で得られた。
【0087】
2つのアルケンチオフェンである2−ヘプタデカ−16’−エニルチオフェンおよび2−オクタデカ−17’−エニルチオフェンを出発原料として、第2合成工程では、それぞれ、トリクロロシランと触媒としてのヘキサクロロ白金酸とによるヒドロシリル化によって、対応するトリクロロシランである(17−チエン−2’−イルヘプタデシル)トリクロロシランまたは(18−チエン−2’−イルオクタデシル)トリクロロシランが調製された。
【0088】
蒸留の後、それぞれのオレフィンに基づいて、84%の収率の(17−チエン−2’−イルヘプタデシル)トリクロロシラン(a)および83%の収率の(18−チエン−2’−イルオクタデシル)トリクロロシラン(b)が、無色の液体として分離された。
【0089】
それらの質量分析、1H−NMRおよび13C−NMRスペクトルに基づいて、それらが所望の化合物であることが示された。
【0090】
図13に、上記2つの合成工程をまとめて示す。
【0091】
第1合成工程:2−ヘプタデカ−l6’−エニルチオフェン((a)の場合)の調製
バッチ:
チオフェン: 10.6ml 119mmol
n−BuLi: 40ml 65.6mmol
THF: 100ml
17−ブロムヘプタデセン:5g 15.8mmol
【0092】
ゴムセプタムを有する加熱された2ネックフラスコにおいて、不活性ガス雰囲気下で、40mlのn−BuLi溶液(ヘキサン中15%強度)を予め入れておき、−10℃に冷却する。続いて、100mlのTHFを添加する。冷却しながら、10分以内で10gのチオフェンをシリンジを用いて添加する。この場合、黄色化が生じる。全てのチオフェンを添加した後、室温に加温し、5gの17‐ブロムヘプタデセンを1回で加える。続いて、その温度で一晩攪拌する。
【0093】
完了処理のため、氷水によって加水分解し、有機層の分離後、水層をジエチルエーテルによって3回抽出する。合わせた有機層を、ナトリウムサルフェートを用いて乾燥させる。ロータリーエバポレーターによる溶媒の留去により黄色オイルが生じる。この黄色オイルを、シリカゲルクロマトグラフィーを用い、移動相としてのn−ヘキサンによって精製する。
【0094】
収率:84%、2−ヘプタデカ−16’−エニルチオフェン(図14参照)4.25g(13.3mmol);無色のオイル;
1H−NMR:(250MHz,CDCl3
1.26〜1.31(m;24H;H4〜H15);1.67(m;2H;H16);2.03(m;2H;H3);2.79(t;2H;H17;317,16=7.6);4.90〜5.03(m;2H;H1+H1’);5.81(ddt;1H;H2;32,1'=17.1;32,1=10.2;32,3=6.7);6.77(m;1H;H3”);6.90(dd;1H;H4”;34",5"=5.1;34",3"=3.4);7.09(dd;1H;H5”;35",4"=5.1;45",3"=1.1)
3C−MMR:(63MHz,CDCl3
29.0;29.2;29.4;29.6;29.7;29.9(C2〜C16);31.8(C17);33.9(C3);114.1(Cl);122.7(C5”);123.9(C3”);126.6(C4”);139.3(C2);145.8(C2”)
第2合成工程:(17−チエン−2’−イルヘプタデシル)トリクロロシラン((a)の場合)の調製
バッチ:
2−ヘプタデカ−16’−エニルチオフェン:2.55g 7.95mmol
トリクロロシラン: 8.0ml 79.5mmol
ヘキサクロロ白金酸溶液: 10滴
【0095】
バルブ/アルゴン気球およびゴムセプタムを有する還流冷却器/ガス放出管を備える加熱された2ネックフラスコに、2−ヘプタデカ−16’−エニルチオフェンを予め入れておく。シリンジによってトリクロロシランと触媒溶液とを添加し、これを、室温で一晩中攪拌する。
【0096】
水流ジェットポンプによる減圧により余分なトリクロロシランおよびトルエンを留去した後、ビグルーカラムを用い、オイルポンプによる減圧下において残留物を蒸留する。
【0097】
触媒溶液の生成:164mgのH2 PtCl6 水和物を10mlの無水イソプロパノールに溶解する。固体が完全に溶けるまで溶液を攪拌し、冷蔵庫に保存する。
【0098】
収率:84%、(17−チエン−2’−イルヘプタデシル)トリクロロシラン(図15参照)が3.03g(6.64mmol);無色のオイル
沸点:155〜177℃(1×10-3トルの圧力下)
MS:(EI 70eV)C2137Cl3SSi
Calc.:454.1450
Found:454.1450
1H−NMR:(500MHz,CDCl3
1.26〜1.43(m;28H;H2〜H15),1.57(m;2H;H1),1.67(m;2H;H16);2.81(t;2H;H17;317,16=7.7);6.77(dd,1HH3”;33",4"=3.1;43",5"=1.0);6.90(dd;1H;H4”;34",5"=5.1;35"3 “=3.3);7.09(dd;1H;H5”;35".4"=5.1;45",3"=1.0)
13C−NMR:(125MHz,CDCl3
22.3(C1);24.3(C2);29.0;29.1;29.4;29.6;29.6;29.6;29.7;29.9(C3〜C16);31.8(C17);122.7(C5”)123.9(C3”);126.6(C4”);145.9(C2”)
赤外分光法(CCl4):v(Si−Cl)=589;m;δs(CH2)=1465;w;(CH2=2854;s;νas(CH2)=2928;vs
第1合成工程:2−オクタデカ−17’−エニルチオフェン((b)の場合)の調製
バッチ:
チオフェン: 24.8ml 259 mmol
n−BuLi: 93.5ml 65.6mmol
THF: 240ml
17−ブロムオクタデカ−1−エン:12.1g 36.6mmol
【0099】
ゴムセプタムを有する加熱された2ネックフラスコに、不活性ガス雰囲気下で、93.5mlのn−BuLi溶液(ヘキサン中15%)を予め入れておき、−10℃に冷却する。続いて、240mlのTHFを添加する。冷却しながら、10分以内で24.8mlのチオフェンをシリンジを用いて注入する。この場合、黄色化が生じる。全てのチオフェンを添加した後、室温に加温し、12.1gの18−ブロムオクタデカ−1−エンを1回で加える。続いて、その温度で一晩攪拌する。
【0100】
完了処理のため、氷水によって加水分解し、有機層の分離後、水層をジエチルエーテルによって3回抽出する。合わされた有機層を、ナトリウムサルフェートを用いて乾燥させる。ロータリーエバポレーターによる溶媒の留去により黄色オイルが生じる。この黄色オイルを、シリカゲルにおけるクロマトグラフィーにより、移動相としてのn−ヘキサンを用いることによって精製する。
【0101】
収率:90%、2−オクタデカ−17’−エニルチオフェン(図16参照)が11.1g(33.1mmol);無色のオイル
分析値:C2440S(M:334.60g/mol)
Calc.:C:78.97 H:11.45 S:9.58
Found:C:79.26 H:11.58 S:9.39
1H‐NMR:(500MHz,CDCl3
1.21〜1.43(m;26H;H4〜H16),1.67(m;2H;H17),2.04(m;2H;H3),2.81(t;2H;H18;318,17=7.7),4.92(mc;1H;H1);4.99(mc;1H;Hl’);5.81(ddt;1H;H2;32,1'=17.1;32,1=10.2;32,36,7);6.77(dd;1H;H3”;33",4"=3,4;43",5"=0.8);6.90(dd,1H,H4;34",5"=5.1,34",3"=3.4);7.09(dd,1H,H5”;35",4"=5.1;45",3"=0.8)
13C−NMR:(126MHz,CDCl3
29.0;29.1;29.2;29.4;29.5;29.6;26.629.7;29.7;29.9(C2〜C17);31.8(C18);33.8(C3);114.1(C1);122.7(C5”);123.9(C3”);126.6(C4”);139.3(C2);145.9(C2”)
第2合成工程:(18−チエン−2’−イルオクタデシル)トリクロロシラン((b)の場合)の調製
バッチ:
2−オクタデカ−17’−エニルチオフェン: 7g 20.9mmol
トリクロロシラン: 21.1ml 209mmol
ヘキサクロロ白金酸溶液: 10滴
【0102】
バルブ/アルゴン気球およびゴムセプタムを有する還流冷却器/ガス放出管を備える加熱された2ネックフラスコに、2−オクタデカ−17’−エニルチオフェンを予め入れておく。シリンジによってトリクロロシランと触媒溶液とを添加し、これを、室温で一晩中攪拌する。
【0103】
水流ジェットポンプによる減圧により余分なトリクロロシランおよびトルエンを留去した後、ビグルーカラムを用いて、オイルポンプによる減圧下において残留物を蒸留する。
【0104】
触媒溶液の調製:164mgのH2 PtCl6 水和物を10mlの無水イソプロパノールに溶かす。固体が完全に溶けるまで溶液を攪拌し、冷蔵庫に保存する。
【0105】
収率:83%、(18−チエン−2’−イルオクタデシル)トリクロロシラン(図17参照)が8.13g(17.3mmol);無色のオイル
沸点:183〜211℃(5×10-4トルの圧力下)
MS:(EI70eV)C2239Cl3SSi
Calc.:468.1607
Found:468.1607
1H−NMR:(500MHz.CDC13)
1.26〜1.44(m;30H;H2〜H16),1.57(m;2H;H1),1.67(m;2H;H17);2.81(t;2H;H18;317,16=7.7);6.77(dd;1H;H3”;33",4"=3.3;43",5"=0.9);6.90(dd;1H;H4”;34",5"=5.1;34",3"=3.4);7.09(dd;1H;H5”;35",4"=5.1;45"3"=0.9)
13C−NMR:(125MHz,CDCl3
22.7(C1);24.7(C2);29.4;29.6;29.8;30.0;30.0;30.0;30.0;30.3(C3〜C17);32.2(C18);123.1(C5”);123.3(C3”);127.0(C4”);146.3(C2”)
【0106】
実施例4:4−(18’−トリクロロシリルオクタデシルオキシ)ベンゾニトリルの合成
単層膜11上に形成するアミンの特性に対する影響を可能なかぎり低減するために、出発材料として4−ヒドロキシベンゾニトリルを選択する。第1合成工程では、4−ヒドロキシベンゾニトリルを、ウィリアムソンエーテル合成法によって、18−ブロムオクタデカ−1−エンと反応させる。生じた4−オクタデカ−17’−エニルオキシベンゾニトリルが、クロマトグラフィーによる精製の後、80%の収率で試薬グレードの純度にて得られる。
【0107】
第2合成工程では、白金を触媒とする反応において、4−オクタデカ−171−エニロキシベンゾニトリルを、トリクロロシランを用いてヒドロシリル化する。蒸留の後、良好な収率(82%)で無色の固体が得られた。4−(18’−トリクロロシリルオクタデシルオキシ)ベンゾニトリルの物性は、1H−NMRおよび13C−NMRおよび質量分析によって確認された。図18に上記双方の合成工程がまとめて示されており、各合成工程の詳細について以下で説明する。
【0108】
第1合成工程:4−オクタデカ−17’−エニロキシベンゾニトリルの合成
バッチ:
4−ヒドロキシベンゾニトリル: 6.55g 55mmol
KOMe: 3.85g 54.9mmol
CH2 Cl2 : 75ml
18−ブロムオクタデカ−1−エン:13.3g 40mmol
DMF: 75ml
【0109】
カリウムフェノレートの調製:フラスコに、CH2 Cl2 に溶解した4−ヒドロキシベンゾニトリルを予め加えておき、KOMeを加える。反応混合物を、15分間室温で攪拌し、続いて、溶媒を減圧下にて完全に留去する。
【0110】
エーテル結合:カリウムフェノレートに、DMFおよび所望する生成物に対応したアルキルブロミドを加え、120℃に加熱する。2時間後、反応溶液を室温にし、水を加え、希釈されたHClによって中和する。
【0111】
完了処理:分液漏斗を用いて、水性DMF層を、エーテルによって数回抽出する。有機層を、DMFが除去されるように水で洗浄し、MgSO4 によって乾燥させる。上記有機層の溶媒を留去し、残存物を、移動相としてPE/CH2 Cl2 (1:1)を用いる、シリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、無色の固体が生成物として得られる。
【0112】
収率:80%、4−オクタデカ−17’−エニロキシベンゾニトリル(図19参照)が11.8g(31.8mmol);無色の固体
融点:60〜61℃
分析値:C2539NO(M:369.59g/mol)
Calc.:C:81.25 H:10.64 N:3.19 O:4.33
Found:C:81.13 H:10.10 N:3.56 O:−
1H−NMR:(500MHz,CDCl3
【0113】
1.22〜1.46(m;24H;H3−H15);1.76〜1.82(m;2H;H2);2.01〜2.06(m;2H;H16);3.99(t;2H;H1;31,2=6.6Hz);4.92(mc;1H;H18);4.99(mc;1H;H18’);5.81(ddt;1H;H17;317,18'=17.0Hz;317,18=10.2Hz;J17,16=6.9Hz);6.93(m;3H;H3”);7.56(m;2H;H2”)
13C−NMR:(126MHz,CDCl3
25.9;29.0;29.0;29.2;29.3;29.5;29.5;29.6;29.6;29.7;29.7(C2−C15);33.8(C16);68.4(C1);103.7(C1”);114.1(C18);115.2(C3”);119.3(CN);133.9(C2”);139.2(C17);162.5(C4”)
第2合成工程:4−(18’−トリクロロシリルオクタデシルオキシ)ベンゾニトリルの調製
バッチ:
4−オクタデカ−17’−エニロキシベンゾニトリル:5g 13.5mmol
トリクロロシラン: 24ml 234mmol
ヘキサクロロ白金酸溶液: 100μl
【0114】
バルブ/アルゴン気球およびゴムセプタムを有する還流冷却器/ガス放出管を備える加熱された2ネックフラスコに、4−オクタデカ−17’−エニロキシベンゾニトリルを予め入れておく。シリンジによってトリクロロシランと触媒溶液とを添加し、一晩室温で攪拌する。水流ジェットポンプによる減圧により余分なトリクロロシランを留去した後、ビグルーカラムを用いて、オイルポンプによる減圧下において残留物を蒸留する。
【0115】
触媒溶液の調製:164mgのH2 PtCl6 水和物を、10mlの無水イソプロパノールに溶解する。固体が完全に溶けるまで溶液を攪拌し、冷蔵庫に保存する。
【0116】
収率:82%、4−(18’−トリクロロシリルオクタデシルオキシ)ベンゾニトリル(図20参照)が5.61g(11.1mmol);無色の固体
融点:50℃
沸点:211〜237℃(5×10-5mbarの圧力下)
MS:(EI 70eV):C2540Cl3NOSi
Calc.:503.1945
Found:503.1946
1H−NMR:(500MHz,CDCl3
1.22〜1.48(m;30H;H3〜H17);1.55〜1.61(m;4H;H18);1.77〜1.82(m;2H;H2);3.99(t;2H;Hl;31,2=6.6Hz);6.93(m;3H;H3”);7.55(m;2H;H2”)
13C−NMR:(126MHz,CDCl3
22.2(C18);24.3(C17);25.9;29.0;29.3;29.3;29.5;29.6;29.6;29.7(C2−C15);31.8(C16);68.4(C1);103.6(C1”);115.2(C3”);119.3(CN);134.0(C2”);162.5(C4”)
【0117】
ω−ハロゲン−アルク−1−エン(I)を用いることにより、自己組織化型の単層膜11を形成できる。以下に、合成された化合物の使用方法について説明する。
【0118】
図21に、本発明の化合物の実施形態のための構造式を示す。上記化合物は、ほぼ直線状構造にて形成されている。上記化合物の一端部(基端部)に、アンカー基1が配置されている。このアンカー基1は、本実施形態では、トリクロロシランとして形成されている。このアンカー基1により、基板10(ここには図示せず)との結合が可能である(図22参照)。
【0119】
アンカー基1の上部に、誘電体基2が配置されている。この誘電体基2は、n−アルキルとして形成されている。n−アルキルのチェーンの長さは、n=2〜20である。アンカー基1の反対側の化合物5の端部(先端部)に、芳香族系を有するヘッド(頭部)基3が配置されている。このヘッド基3により、同じ種類の他の分子および/または他の種類の分子とのπ−π相互作用を、単層膜11を安定化させるために行うことが可能となる。
【0120】
このことを図22に示す。図22では、同じ種類の分子が単層膜11を形成しており、この単層膜11は、層状構造を有している。各分子の各アンカー基1は、本実施形態では、基板10のヒドロキシルを含有する層と結合する。各ヘッド基3の間にπ−π相互作用が生じ、その結果、非常に安定した層状構造が形成される。
【0121】
以下に、この単層膜11(T−SAM)の利点について詳しく説明する。
【0122】
化学的な安定性:T−SAM層は、基板表面への結合を破壊しない全ての試薬に対しては不活性である。攻撃的な試薬に対しては、T−SAMは、ある程度の時間だけ耐性がある。なぜなら、試薬は、まず単層膜11を通って拡散し、あるいは、単層膜11を側部から攻撃する必要があるからである。このような頑健性は、従来までの他のSAM群には見られなかった。
【0123】
プロセス安定性:T−SAMは、フォトレジストの形成、フォトパターン化、ウェット現像およびフォトレジストの剥離などのリソグラフィー工程に耐えるものである。従って、例えば有機電界効果トランジスタを形成するための他の層を、誘電体性の層上に形成することができる。
【0124】
時間的な安定性および保存安定性:堆積と更なる処理との間に数週間あいていても、T−SAMを劣化させずにできる。単層膜11は安定なものである。
【0125】
金属堆積:T−SAM上に、電気化学的にまたはガスフェーズにより、短絡を生じずに金属を広範囲に平面的に、ほぼ100%の収率で堆積できる。この高い誘電性の「品質」は、従来までの他のSAM群では観察できなかった。
【0126】
温度安定性:T−SAMは、200℃を上回る温度まで安定している。
【0127】
層厚均一性:得られる層厚は、分子形状および基板上への固定に関する本来的な機能によるので、層厚のばらつきは、実際上、ほとんど生じない。
【0128】
最後に、合成された化合物からなる層を有する有機電界効果トランジスタの構造について説明する。
【0129】
有機電界効果トランジスタは、個々の層の結合により集積回路を生成するため、全てパターン化された複数の層(積層)からなる電気的な部品である。この場合、図23に、このようなトランジスタの基本的な構造を、ボトムコンタクト構造で示す。
【0130】
ベースとなる基板20上に、ゲート電極21が配置されている。ゲート電極21は、ゲート誘電体層22によって覆われている。このようなゲート誘電体層22は、例えば上記の単層膜11からなるものにできる。このような誘電体の層厚は、5nm未満である(ボトムアップ)。
【0131】
ゲート誘電体層22上に、ソース層23aおよびドレイン層23bが配置されている。ソース層23aおよびドレイン層23bは、双方とも、その上に配置されている活性半導体層24と接続されている。活性半導体層24の上に、パッシベーション層25が配置されている。
【0132】
本発明は、その実施を上記の好ましい実施例に制限されない。むしろ、本発明の合成方法、本発明の化合物および本発明の層状構造を、本質的に別な種類の実施形態において使用する複数の変化形態が考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0133】
【図1】第1の2つの合成方法の工程の一般的な反応スキーマを示す反応式である。
【図2】π−π相互作用の能力を有する各芳香族基を示す各構造式である。
【図3】ω−ハロゲン−アルク−1−エンの合成のための一般的な反応スキーマを示す反応式である。
【図4】18−ブロムオクタデカ−1−エンの合成のための反応スキーマを示す反応式である。
【図5】8−ブロムオクタ−1−エンの構造式である。
【図6】18−ブロムオクタデカ−1−エンの構造式である。
【図7】(18−フェノキシオクタデシル)トリクロロシランの合成の反応スキーマを示す反応式である。
【図8】オクタデカ−17−エニロキシベンゼンの構造式である。
【図9】(18−フェノキシオクタデシル)トリクロロシランの構造式である。
【図10】[18−(1’,1”−ビフェニル−4’−イルオキシ)オクタデシル]]トリクロロシランの合成のための反応スキーマを示す反応式である。
【図11】4−オクタデカ−17”−エニロキシ−1,1’−ビフェニルの構造式である。
【図12】[18−(1’,1”−ビフェニル−4’−イルオキシ)オクタデシル]]トリクロロシランの構造式である。
【図13】(17−チエン−2’−イルヘプタデシル)トリクロロシラン(a)と(18−チエン−2’−イルオクタデシル)トリクロロシラン(b)との合成のための反応スキーマを示す反応式である。
【図14】2−ヘプタデカ−16’−エニルチオフェンの構造式である。
【図15】(17−チエン−2’−イルヘプタデシル)トリクロロシランの構造式である。
【図16】2−オクタデカ−17’−エニルチオフェンの構造式である。
【図17】(18−チエン−2’−イルオクタデシル)トリクロロシランの構造式である。
【図18】4−(18’−トリクロロシリルオクタデシルオキシ)ベンゾニトリルの合成のための反応スキーマを示す反応式である。
【図19】4−オクタデカ−17’−エニロキシベンゾニトリルの構造式である。
【図20】4−(18’−トリクロロシリルオクタデシルオキシ)ベンゾニトリルの構造式である。
【図21】本発明の化合物の一実施形態の構造式である。
【図22】基板上の本発明の化合物の一実施形態を有する層状構造を形成するための単層膜を示す模式図である。
【図23】有機電界効果トランジスタの概略的な構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【0134】
1 アンカー基
2 誘電体基
3 π−π作用を有する基(ヘッド基)
5 自己編成的な層を形成するための化合物
10 基板
11 分子からなる単層膜
20 OFET用のベースの基板
21 ゲート電極
22 ゲート誘電体層
23a ソース層
23b ドレイン層
24 活性半導体層
25 パッシベーション層
100 半導体部品(有機電界効果トランジスタ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自己組織化単層膜、特に半導体部品用の単層膜を形成するための化合物の合成方法であって、
ω−ハロゲン−アルク−1−エン(I)、すなわち
【化1】

(I)
では、π−π相互作用の能力を有する基、特に少なくとも1つの芳香族基(Ar)を有する基、によってハロゲンを末端部求核置換する第1工程a)と、
第1合成工程の生成物をヒドロシリル化する第2合成工程b)と、を含むことを特徴とする合成方法。
【請求項2】
π−π相互作用の能力を有する上記の基が、
(II)HY−Ar
の形態を有しており、Yは、O,S,SeまたはNHであることを特徴とする、請求項1に記載の合成方法。
【請求項3】
上記芳香族基(Ar)が、以下の各基:
【化2】

の少なくとも1つ、または、ナフタレン、アントラセン、ナフタセン、ペンタセン、ビフェニル、テルフェニル、クアテルフェニルおよび/またはキンクフェニルを備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の合成方法。
【請求項4】
π−π相互作用の能力を有する上記分子基は、5環系以下の縮合芳香族を含むことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の合成方法。
【請求項5】
上記第2合成工程のヒドロシリル化を、酸性触媒、特にヘキサクロロ白金(IV)酸および/または共通溶媒としてのトルエンを用いて行うことを特徴とする、請求項1〜4の何れか1項に記載の合成方法。
【請求項6】
上記第2合成工程のヒドロシリル化を、HSiZ3 (ただし、ZはClまたはアルコキシ基である)に基づくシランによって行うことを特徴とする、請求項1〜5の何れか1項に記載の合成方法。
【請求項7】
上記第1合成工程の上記ω−ハロゲン−アルク−1−エンを、反応スキーマ:
【化3】

(ただし、Xはハロゲン、特にCl,Br,Iであり、nは1〜12、特に6であり、mは5〜15、特に10である)に基づく反応によって製造することを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の方法。
【請求項8】
上記第1合成工程において、18−ブロムオクタデカ−1−エンを、カリウムフェノレートおよびDMFによって、オクタデカ−17−エニロキシベンゾールに変換することを特徴とする、請求項1〜7の何れか1項に記載の方法。
【請求項9】
上記第1合成工程において、18−ブロムオクタデカ−1−エンを、ビフェニル−4−オレートおよびDMFによって、4−オクタデカ−17”−エニロキシ−1,1’−ビフェニルに変換することを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の合成方法。
【請求項10】
上記第1合成工程において、18−ブロムオクタデカ−1−エンを、2−チエニルリチウムおよびTHFによって、2−ヘプタデカ−16’−エニルチオフェンおよび/または2−オクタデカ−17’−エニルチオフェンに変換することを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載の合成方法。
【請求項11】
ウィリアムソンのエーテル合成法を用いて、4−ヒドロキシベンゾニトリルを、18−ブロムオクタデカ−l−エンおよびDMFによって、4−オクタデカ−17’エニロキシベンゾニトリルに変換することを特徴とする、請求項1〜10の少なくとも1項に記載の合成方法。
【請求項12】
自己組織化単層膜、特に半導体用の単層膜を形成するための化合物であって、
(18−フェノキシオクタデシル)トリクロロシラン、
[18−(1’,1”−ビフェニル−4’−イルオキシ)オクタデシル]トリクロロシラン、
(17−チエン−2’−イルヘプタデシル)トリクロロシラン、
(18−チエン−2’−イルオクタデシル)トリクロロシラン、または、
4−(18’−トリクロロシリルオクタデシルオキシ)ベンゾニトリル
として形成されていることを特徴とする化合物。
【請求項13】
分子単層膜を有する半導体部品、特に有機電界効果トランジスタの層状構造であって、
請求項12に記載の少なくとも1つの化合物を含む少なくとも1つの単層膜(11)を特徴とする層状構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公表番号】特表2007−523854(P2007−523854A)
【公表日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−515688(P2006−515688)
【出願日】平成16年6月18日(2004.6.18)
【国際出願番号】PCT/DE2004/001319
【国際公開番号】WO2004/113419
【国際公開日】平成16年12月29日(2004.12.29)
【出願人】(501209070)インフィネオン テクノロジーズ アクチエンゲゼルシャフト (331)
【Fターム(参考)】