自発光装置及び電子機器
【課題】 自発光装置の小型化を実現して信頼性を向上させる。
【解決手段】 画素毎に形成された複数の第1電極に対向すると共に、該第1電極との間に発光層を挟持する第2電極と、周辺領域のうち隣接領域以外の領域から隣接領域に延在すると共に、隣接領域において該隣接領域に延在して形成された第2電極の一部分と接続されるコンタクト部を有する第2電極用配線とを備える。
【解決手段】 画素毎に形成された複数の第1電極に対向すると共に、該第1電極との間に発光層を挟持する第2電極と、周辺領域のうち隣接領域以外の領域から隣接領域に延在すると共に、隣接領域において該隣接領域に延在して形成された第2電極の一部分と接続されるコンタクト部を有する第2電極用配線とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば有機EL(Electro-Luminescence)装置等の自発光装置及びそのような自発光装置を備えた各種電子機器の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の自発光装置では、特許文献1に開示されているように、例えば有機EL装置の場合、基板上の画像表示領域に形成された各画素部には発光素子として有機EL素子が含まれる。有機EL素子は、例えば画素毎に形成された陽極と、複数の陽極と対向する陰極との間に有機EL層を挟持してなる。画像表示領域の周辺に位置する周辺領域には、各画素部を駆動するための駆動信号の供給経路となる複数の信号線が配線されると共に、有機EL素子の陰極と接続された陰極配線が形成されている。特許文献1によれば、画像表示領域の一辺に沿った接続部において、陰極は、基板上で陰極より下層に設けられた陰極配線と、補助電極を介して電気的に接続されている(特許文献1中、図1(C)及び図2参照)。
【0003】
尚、画像表示領域の少なくとも一辺に沿う端部には、有機EL層や陰極の成膜を保障するため、又は静電気による画素部の回路破壊を防止するためのダミー画素部が設けられることがある。このようなダミー画素部は、自発光装置の製造工程における不良発生又は歩留まり低下を目的として設けられているため、自発光装置の駆動時には、概ね駆動されない。
【0004】
【特許文献1】特開2003−288994号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、周辺領域において、基板上で複数の信号線が陰極配線に対して下層に形成されている場合、上述したような特許文献1の接続部では、陰極配線における陰極とのコンタクト部分の表面に、該コンタクト部分の直下に信号線が配置されていることに起因して、段差が生じる恐れがある。このように陰極配線の表面に段差が生じると、自発光装置の製造時、陰極配線のコンタクト部分の表面を保護膜で覆ってエッチング処理を行う際に、段差が生じている個所において保護膜の被覆性が悪くなり、エッチング不要な個所が削れてしまう可能性がある。この場合、自発光装置の製造プロセスにおける歩留まりが低下し、更には陰極配線と陰極との電気的接続が不良となることに起因して、自発光装置が誤動作する恐れがある。加えて、前述したような段差が生じると、陰極配線において、膜厚が不均一となることにより抵抗値も不均一となり、自発光装置の駆動時、低抵抗の個所に電流が集中して発熱し、自発光装置が劣化する、という問題点が生じる。以上の結果、自発光装置の信頼性が低下することとなる。
【0006】
また、陰極配線のコンタクト部分において十分な電流容量を確保するために、コンタクト領域を増加させると周辺領域も増加することとなり、基板のサイズが増えるため自発光装置を小型化することが困難になる。
【0007】
本発明は、例えば上記問題点に鑑みなされたものであり、陰極配線と陰極との電気的接続を良好に行い、小型化を実現して信頼性を向上させることが可能な自発光装置及びこのような自発光装置を備える電子機器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の自発光装置は上記課題を解決するために、基板上の画像表示領域の周辺に位置する周辺領域のうち前記画像表示領域に隣接すると共に画像表示が行われない隣接領域及び前記画像表示領域に配線された複数の画素駆動用信号線と、前記画素駆動用信号線に電気的に接続され、前記画像表示領域における画素毎に開口領域に形成された複数の第1電極と、前記複数の第1電極に対向する第2電極と、前記第1電極及び前記第2電極間に画素毎に挟持される発光層と、前記基板上において、前記周辺領域に形成されると共に、前記第2電極と電気的に接続される第2電極用配線とを備え、前記第2電極は、前記画像表示領域から前記隣接領域に延在し、前記第2電極用配線は、前記周辺領域のうち前記隣接領域以外の領域から前記隣接領域に延在すると共に、前記隣接領域において前記第2電極と接続されるコンタクト部を有する。
【0009】
本発明の自発光装置によれば、基板上の画像表示領域には、画素毎に、第1電極及び第2電極に挟持された有機EL層等の発光層を含む発光素子が設けられている。各発光素子の第1電極は、画素駆動用信号線に電気的に接続されている。画素駆動用信号線は、例えば、データ線や走査線、又は電源供給線として画像表示領域に配線されている。画素駆動用信号線は、画像表示領域から隣接領域に伸びて配線されている。尚、画素毎に発光素子をアクティブ駆動するための駆動素子として薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor;以下適宜、“TFT”と称する)等が設けられてもよい。この場合、各発光素子の第1電極は、駆動素子を介して、画素駆動用信号線に電気的に接続される。
【0010】
また、第2電極は、基板上に複数の発光素子に共通に形成される。第2電極は、基板上において、隣接領域に形成された第2電極用配線のコンタクト部と重なるように、画像表示領域から隣接領域に延在されて形成される。尚、画像表示領域から周辺領域に延在して、ベタに第2電極を形成すると、第2電極の電気容量が大きくなることに起因して、周辺領域に画素駆動用信号線を駆動するための駆動回路が設けられている場合、駆動回路が誤動作する恐れがある。よって、このような場合は、第2電極は、基板上において、第2電極用配線のコンタクト部と重なるように、且つ駆動回路とは重ならないように、画像表示領域から隣接領域に延在されて形成されているのが好ましい。
【0011】
自発光装置の駆動時、当該自発光装置に例えば外部回路より複数の画素駆動用信号線に対して駆動信号が供給される。そして、複数の画素駆動用信号線は夫々駆動信号に基づいて駆動される。尚、上述したように駆動回路が基板上に設けられている場合には、外部回路より駆動回路を駆動するための各種信号が供給される。そして、駆動回路によって複数の画素駆動用信号線が駆動される。駆動された画素駆動信号線に対応する発光素子は次のように発光する。即ち例えば、駆動されたデータ線及び走査線に対応する発光素子が駆動素子によってアクティブ駆動される。この際、発光素子の第1電極に電源供給線より印加される電流に応じて発光層が発光する。この発光は表示光として、開口領域から出射される。そして、発光層を介して第2電極に印加された電流は、第2電極と後述するように接続される第2電極用配線を介して当該自発光装置外へと流れる。
【0012】
また、基板上の周辺領域のうち隣接領域以外の領域から隣接領域に延在して第2電極用配線が形成されている。そして、第2電極用配線において隣接領域に配置された一部分にコンタクト領域が設けられる。第2電極用配線のコンタクト部は、例えば、コンタクト領域にその表面が露出するように形成される。そして、第2電極は、第2電極用配線のコンタクト部に重畳するように形成されることで、第2電極用配線と接続される。或いは、コンタクト領域にその表面が露出するように接続電極を形成しておいて、接続電極の露出した一部分と重畳するように第2電極を形成して、接続電極と第2電極を接続する。そして、コンタクト領域に配置された第2電極用配線のコンタクト部と、接続電極とが更に接続されることによって、間接的に第2電極と第2電極用配線が接続されるようにしてもよい。
【0013】
よって、本発明の自発光装置では、第2電極と第2電極用配線との電気的接続を行うためのコンタクト領域を、隣接領域において確保するため、周辺領域に新たに設ける必要が無い。従って、既に説明したような従来技術と比較して周辺領域を省スペース化させることが可能となる。また、隣接領域において複数のコンタクト領域を確保することにより、第2電極用配線と第2電極との接続を十分な電流容量を確保して行うことが可能となる。よって、本発明の自発光装置では、第2電極用配線と第2電極との電気的接続を良好に行うことが可能となると共に、小型化を実現しつつ信頼性を向上させることができる。
【0014】
本発明の自発光装置の一態様では、前記隣接領域に配線された前記画素駆動用信号線のうち、前記開口領域を挟んで相隣接する2本の前記画素駆動用信号線の間には、コンタクト領域が設けられており、前記コンタクト部は、前記コンタクト領域に配置される。
【0015】
この態様によれば、隣接領域において、相隣接する2本の画素駆動用信号線間に、画素毎に形成された開口領域をコンタクト領域とする。このように構成すれば、コンタクト領域において、第2電極用配線の下地である層間絶縁膜の表面には、画素駆動用信号線に加え、駆動素子の少なくとも一部を構成する導電層や半導体層の存否に応じた凹凸が存在しない、平坦な表面が形成される。よって、第2電極用配線のコンタクト部の表面を平坦とすることができる。尚、ここでいう「平坦」とは、第2電極用配線のコンタクト部の表面の凹凸が、第2電極用配線或いは接続電極の成膜時の膜厚ばらつき及び表面粗さの範囲内程度であることを意味する。
【0016】
ここで、コンタクト部の表面に段差が生じると、コンタクト部における抵抗値が不均一となる。よって、自発光装置の駆動時、低抵抗の個所に電流が集中して発熱するのを防止するため、コンタクト部を平面的に見た面積を大きく確保する必要がある。これに対して、この態様では、第2電極用配線のコンタクト部の膜厚が不均一となるのを防止することができるため、コンタクト部を平面的に見た面積を相対的に大きく確保しなくても、コンタクト領域では第2電極用配線と第2電極との電気的接続を良好に行うことができる。
【0017】
更に、隣接領域において、相隣接する2本の画素駆動用信号線の間の開口領域とは別の領域であって、第2電極用配線の下地である層間絶縁膜の表面が平坦な領域に、コンタクト領域を設けるようにしてもよい。この場合、開口領域の平面的な形状やサイズに限定されないものとして、コンタクト領域を複数設けることが可能となる。
【0018】
本発明の自発光装置の他の態様では、前記第2電極用配線は、前記隣接領域に配線された前記画素駆動用信号線のうち少なくとも一の前記画素駆動用信号線と前記コンタクト部から外れた個所で交差するように形成されている。
【0019】
この態様によれば、第2電極用配線において、画素駆動用信号線との交差部分はコンタクト部とは別の個所に形成される。また、第2電極用配線における画素駆動用信号線との交差部分は、画素駆動用信号線と異なる層に形成される。従って、コンタクト部の表面を平坦としたまま、隣接領域において、複数の画素駆動用信号線に交差して第2電極用配線が形成されることにより、第2電極用配線を平面的に見た面積を比較的大きくすることが可能となる。よって、第2電極用配線における抵抗を小さくすると共に、自発光装置の駆動時に、第2電極用配線において電圧値が不均一となることにより電圧勾配が生じても、その影響を各発光素子の発光機能に及ばない程度のものとして抑制することが可能となる。
【0020】
本発明の自発光装置の他の態様では、前記隣接領域は、少なくとも前記画素駆動用信号線が配線されると共に前記画像表示が行なわれないダミー領域を含み、前記コンタクト部は、前記基板上で平面的に見て、前記ダミー領域に配線された前記画素駆動用信号線のうち相隣接する画素駆動用信号線の間に位置すると共に前記第1電極が形成されていない、前記ダミー領域における各画素の開口領域内に配置されている。
【0021】
この態様によれば、ダミー領域において「画像表示が行なわれない」とは、ダミー領域内における各画素で何らの発光が行なわれない場合を含む他、何らかの発光を伴うものの正規の画像表示が行なわれない場合や、例えば発光又は非発光により意味ある画像表示が行なわれるものの額縁或いは周辺見切り等で隠される場合も含む趣旨である。
【0022】
この態様では、ダミー領域内の全ての画素、又はこれら全ての画素のうち少なくとも一部の開口領域には第1電極が形成されていない。このように、第1電極が形成されていない画素の開口領域では、自発光装置の駆動時に何らの発光が行われない。そして、第2電極用配線のコンタクト部は、第1電極が形成されていない画素のうち少なくとも一部の開口領域に配置されている。即ち、第1電極が形成されていないため、自発光装置の駆動時に何らの発光が行われない画素の開口領域をコンタクト領域として確保する。よって、第2電極用配線のコンタクト部の表面を平坦とすると共に、周辺領域を省スペース化させることが可能となる。
【0023】
尚、ダミー領域において、第1電極が形成されない画素の開口領域には、発光層は形成されてもよいし、形成されなくてもよい。また、第1電極が形成された画素の開口領域にも、発光層は、形成されてもよいし、形成されなくてもよい。更に、ダミー領域において、各画素の開口領域に第1電極や発光層が形成されているか、いないかに関らず、画像表示領域の画像表示が行われる有効画素と同様に駆動素子が形成されてもよいし、形成されなくてもよい。ここで、ダミー領域において、画素の開口領域に、第1電極及び発光層を形成する場合は、当該画素を発光させることが可能である。また、この場合、第1電極に電気的に接続される駆動素子が設けられると共に、有効画素と同様に、当該画素においてアクティブ駆動が行われてもよい。
【0024】
この隣接領域がダミー領域を含む態様では、前記発光層は、前記ダミー領域の少なくとも一部に形成されておらず、前記コンタクト部は、前記発光層が形成されていない一部に配置されているように構成してもよい。
【0025】
この態様によれば、ダミー領域内の全ての画素の開口領域に発光層が形成されないようにしてもよいし、ダミー領域内の全ての画素のうち少なくとも一部の開口領域に、発光層が形成されないようにしてもよい。このように、発光層が形成されていない画素の開口領域では、自発光装置の駆動時に何らの発光が行われない。そして、発光層が形成されていない画素のうち少なくとも一部の開口領域に、第2電極用配線のコンタクト部が配置されている。即ち、発光層が形成されていないため、自発光装置の駆動時に何らの発光が行われない画素の開口領域をコンタクト領域として確保する。よって、第2電極用配線のコンタクト部の表面を平坦とすると共に、周辺領域を省スペース化させることが可能となる。
【0026】
この隣接領域がダミー領域を含む態様では、前記発光層は、前記ダミー領域の少なくとも一部に形成されており、前記コンタクト部は、前記ダミー領域のうち前記発光層が形成されていない他部に配置されているように構成してもよい。
【0027】
この態様によれば、発光層が形成されていないため、自発光装置の駆動時に何らの発光が行われない画素の開口領域をコンタクト領域として確保する。よって、第2電極用配線のコンタクト部の表面を平坦とすると共に、周辺領域を省スペース化させることが可能となる。
【0028】
ここで、自発光装置の製造時、発光層は、例えばインクジェット法により発光材料が画素毎に塗布されて乾燥されることにより形成される。この際、本願発明者らの研究によれば、画像表示領域において、中央付近から端部に向かって、発光材料の乾燥に要する時間が短くなる傾向があることが見出されている。このことに起因して、画像表示領域の端部に配置された画素の開口領域では、夫々該開口領域に形成された発光層の膜厚が不均一となることがある。この場合、自発光装置の駆動時に、発光素子において発光層の膜厚が薄い部分が短絡する恐れがある。よって、画像表示領域に加えて、例えばダミー領域において、有効画素に隣接する画素の開口領域にまで発光層を形成することにより、有効画素において前述したように不良となる発光素子が形成されるのを防止することができる。従って、有効画素の信頼性を高めることにより、自発光装置の信頼性を向上させることが可能となる。
【0029】
この、発光層がダミー領域の少なくとも一部に形成されている態様では、前記発光層は、前記基板上で平面的に見て、前記ダミー領域のうち、前記コンタクト部よりも前記画像表示領域に近い部分に形成されているように構成してもよい。
【0030】
このように構成すれば、画像表示領域に加えて、ダミー領域において、有効画素に隣接する画素を含む複数の画素の開口領域にまで発光層が形成されることにより、有効画素の信頼性を高めることが可能となる。
【0031】
この隣接領域がダミー領域を含む態様では、前記第2電極は、前記基板上で平面的に見て、前記ダミー領域のうち、前記コンタクト部よりも前記画像表示領域から遠い部分にまで形成されているように構成してもよい。
【0032】
この態様によれば、第2電極は、例えば導電性の金属材料をマスクを用いて基板上に蒸着することにより形成される。この際、マスクは主に画像表示領域に対して位置決めされるために、画像表示領域の端部においてマスクとの合わせずれが生じやすい。従って、画像表示領域の端部に配置された有効画素の開口領域に形成された発光素子は、第2電極が形成されないことにより、不良となる恐れがある。
【0033】
この態様では、第2電極は、画像表示領域から隣接領域に延在して、ダミー領域のうち、第2電極用配線のコンタクト部よりも画像表示領域から遠い部分にまで形成されている。これにより、画像表示領域及びダミー領域における第2電極用配線のコンタクト部は第2電極が確実に形成される領域に含まれる。よって、有効画素の信頼性を高めると共に第2電極用配線のコンタクト部と第2電極との電気的接続をより確実に行うことが可能となる。
【0034】
本発明の自発光装置の他の態様では、前記周辺領域に、前記画素駆動用信号線及び前記第2電極用配線の少なくとも一部に接続された駆動回路を更に備え、前記コンタクト部は、前記基板上で平面的に見て、前記隣接領域のうち前記駆動回路と前記画像表示領域との間に位置する部分に配置されている。
【0035】
この態様によれば、駆動回路によって、画像表示領域に配線された画素駆動用信号線の少なくとも一部が駆動される。よって、この態様では、画素駆動用信号線を駆動するための駆動回路が基板上に形成されることにより、このような駆動回路を外部回路として、基板上に実装して設ける必要がないため、自発光装置の製造コストを低く抑えると共に、当該自発光装置をより小型化することが可能となる。
【0036】
この態様では、第2電極用配線のコンタクト部は、隣接領域において、駆動回路と画像表示領域との間に配置されている。ここで、例えば、駆動回路は、画素駆動用信号線であるデータ線を駆動するためのデータ線駆動回路として設けられるか、これに代えて又は加えて走査線を駆動するための走査線駆動回路として設けられる。そして、データ線駆動回路と画像表示領域との間に、第2電極用配線のコンタクト部が設けられるようにしてもよいし、これに加えて又は代えて走査線駆動回路と画像表示領域との間に、第2電極用配線のコンタクト部を設けるようにしてもよい。よって、この態様では、第2電極用配線のコンタクト部を平面的に見た面積を相対的に大きく確保することにより、第2電極との接続を十分な電流容量を確保して行うことが可能となる。
【0037】
本発明の自発光装置の他の態様では、前記周辺領域に、外部回路接続端子を更に備え、前記コンタクト部は、前記基板上で平面的に見て、前記隣接領域のうち前記外部回路接続端子と前記画像表示領域との間に位置する部分に配置されている。
【0038】
この態様によれば、例えば、画像表示領域に配線された複数の画素駆動用信号線のうち少なくとも一部が、画像表示領域から周辺領域に延びて外部接続端子に直接接続される。この場合、外部接続端子に接続された画素駆動用信号線は、外部回路より外部接続端子を介して供給される駆動信号に基づいて駆動される。例えば、外部回路より駆動信号として供給される画像信号に基づいてデータ線が駆動される。又は、外部回路より駆動信号として供給される走査信号に基づいてデータ線が駆動される。
【0039】
この態様では、第2電極用配線のコンタクト部は、隣接領域において、外部接続端子と画像表示領域との間に配置されている。そして、各データ線が配線された隣接領域の一部分において、第2電極用配線のコンタクト部が設けられるようにしてもよいし、これに加えて又は代えて、隣接領域の他の部分において、コンタクト領域が設けられるようにしてもよい。従って、この態様では、第2電極用配線のコンタクト部を平面的に見た面積を相対的に大きく確保することにより、第2電極との接続を十分な電流容量を確保して行うことが可能となる。
【0040】
本発明の自発光装置の他の態様では、前記発光層は有機EL層を含む。
【0041】
この態様によれば、発光素子は有機EL素子として各画素部に設けられる。この場合、第1電極及び第2電極は有機EL素子の陰極及び陽極として形成される。また、この態様では、基板及び第1電極を透明材料を用いて構成し、第2電極を例えば金属材料等の不透明な導電性材料を用いて形成することにより、有機EL素子の発光を画素毎に基板側から表示光として出射させるボトムエミッション型として当該自発光装置を構成することが可能となる。或いは、基板及び第1電極を不透明な材料を用いて構成し、第2電極を例えば透明な導電性材料を用いて形成することにより、発光素子の発光を画素毎に第2電極側から表示光として出射させるトップエミッション型として当該自発光装置が構成されてもよい。
【0042】
本発明の電子機器は上記課題を解決するために、上述した本発明の自発光装置(但し、その各種態様も含む)を具備する。
【0043】
本発明の電子機器は、上述した本発明の自発光装置を具備してなるので、小型化を実現しつつ信頼性を向上させることが可能なテレビ、携帯電話、電子手帳、ワードプロセッサ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルなどの各種電子機器を実現できる。また、本発明の電子機器として、例えば電子放出装置(Field Emission Display及びConduction Electron-Emitter Display)、無機EL装置等を実現することも可能である。
【0044】
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施の形態から明らかにされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
以下では、本発明の実施の形態について図を参照しつつ説明する。以下の実施形態は、本発明の自発光装置を有機EL装置に適用したものである。
【0046】
<1:第1実施形態>
本発明の自発光装置に係る第1実施形態について、図1から図8を参照して説明する。
【0047】
<1−1;有機EL装置の全体構成>
先ず、図1を参照して有機EL装置の全体構成について説明する。図1は、素子基板を封止基板の側から見た有機EL装置の概略的な平面図である。ここでは、自発光装置の一例である駆動回路内蔵型のアクティブマトリクス駆動方式の有機EL装置を例にとる。
【0048】
図1において、素子基板10上の画像表示領域110aには、複数の画素駆動用信号線が配線されると共に、夫々画素駆動用信号線に電気的に接続される複数の画素部が所定パターンで配列されて形成されている。複数の画素部は夫々有機EL素子を含んでいる。尚、図1中、画像表示領域110aにおける画素駆動用信号線や画素部の具体的な構成については図示を省略し、その詳細については後述する。
【0049】
また、画像表示領域110aの周辺に位置する周辺領域において、画像表示領域110aを挟んで対向する素子基板10の2辺に沿って、Y側駆動回路部132が設けられると共に、この2辺に隣接する一辺に沿ってX側駆動回路部152が設けられている。本実施形態では、周辺領域のうち画像表示領域110aに隣接する隣接領域110bが設けられている。素子基板10の基板面上に平面的に見て、周辺領域において、Y側駆動回路部132及びX側駆動回路部152は、隣接領域110bより画像表示領域110aに対して外側に配置されている。複数の画素駆動用信号線は、画像表示領域110aから隣接領域110bに延びて配線され、Y側駆動回路部132及びX側駆動回路部152に電気的に接続される。
【0050】
更に、周辺領域において、X側駆動回路部152が設けられた素子基板10の一辺に沿って、夫々本発明に係る「外部回路接続端子」の一例である複数の実装端子102が設けられている。複数の実装端子102には、配線基材300が、例えばTAB(Tape Automated Bonding)方式やCOG(Chip On Grass)方式により実装される。配線基材300には、データ線駆動回路や走査線駆動回路を後述するように駆動させるための各種信号を供給する外部回路が実装されて設けられる。複数の実装端子102に配線基材300を実装する際は、図1に示すように、これら複数の実装端子102の所定数毎に、配線基材300を実装するようにしてもよいし、複数の実装端子102に対して配線基材300を実装するようにしてもよい。このように、複数の配線基材300を複数の実装端子102に実装することにより、実装側の外部回路や配線基材300等のサイズを小さくすることが可能となる。よって、有機EL装置をより小型化することができる。
【0051】
Y側駆動回路部132には、走査線駆動回路が設けられると共に、例えば画素駆動用信号線と走査線駆動回路内の回路素子等とを電気的に接続するための配線や、実装端子102に電気的に接続され、外部回路からの走査線駆動回路を駆動するための各種信号の供給経路となる配線等が設けられる。また、X側駆動回路部152には、データ線駆動回路が設けられると共に、例えば画素駆動用信号線とデータ線駆動回路内の回路素子等とを電気的に接続するための配線や、実装端子102に電気的に接続され、外部回路からのデータ線駆動回路を駆動するための各種信号の供給経路となる配線等が設けられる。更に、Y側駆動回路部132に設けられる配線がX側駆動回路部152内に延びて形成されると共に、X側駆動回路部152に設けられる配線がY側駆動回路部132内に延びて形成されることもある。
【0052】
加えて、本実施形態では、周辺領域のうち隣接領域110b以外の領域から隣接領域110bに延在して、本発明に係る「第2電極用配線」の一例である陰極配線が形成されている。図1には、陰極配線の詳細な構成については図示を省略するが、陰極配線は、本発明に係る「第2電極」の一例である有機EL素子の陰極と、隣接領域110bにおいて電気的に接続されると共に、X側駆動回路部152及びY側駆動回路部132を介して、実装端子102と電気的に接続される。尚、陰極は、図1には図示しない、素子基板10と対向するように配置された封止基板上に、画像表示領域110aに形成された複数の有機EL素子に共通に、且つ画像表示領域110aから隣接領域110bに延在されてベタに形成されている。
【0053】
本実施形態では、図1を参照して説明したように、走査線駆動回路やデータ線駆動回路が夫々、X側駆動回路部152若しくはY側駆動回路部132に含まれて素子基板10上に形成されているため、これらの駆動回路を外部回路として素子基板10上に実装して設ける必要がない。従って、自発光装置の製造コストを低く抑えると共に、当該自発光装置を小型化することが可能となる。
【0054】
<1−2;画像表示領域及び隣接領域の構成>
次に、図1に加え、図2から図6を参照して、有機EL装置の画像表示領域110aにおける画素部の構成に加えて隣接領域110bの構成について具体的に説明する。図2は、有機EL装置の全体構成を示すブロック図であり、図3は、データ線、走査線、陽極や発光層等が形成された、画像表示領域110aにおける任意の画素部の平面図であり、図4は図3に示す画素部のA−A'断面図である。また、図5は、図4の断面に対応する、隣接領域における一のダミー画素部の構成を示す断面図であり、図6は、図4の断面に対応する、隣接領域における他のダミー画素部の構成を示す断面図である。なお、図3から図6においては、各層・各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層・各部材ごとに縮尺を異ならしめてある。
【0055】
先ず、図2を参照して、有機EL装置の画像表示領域110aの電気的な構成について説明する。
【0056】
有機ELパネル100における画像表示領域110aには、画素駆動用信号線である、縦横に配線されたデータ線114及び走査線112が設けられており、それらの交点に対応する各画素部70はマトリクス状に配列される。更に、画像表示領域110aには各データ線114に対して配列された画素部70に対応する電源供給線117が設けられている。電源供給線117も画素駆動用信号線に相当する。
【0057】
尚、本実施形態では、カラー表示を行うために、画像表示領域110aには例えば、R用、G用、及びB用の3種の画素部70が設けられると共に、3種の画素部70に対応する3種のデータ線114及び3種の電源供給線117が設けられる。図2において、例えば隣接する3本のデータ線114毎に3種の画素部70が設けられる。3本のデータ線114のうち、いずれか1本のデータ線114には、3種のうちいずれか1種の画素部70が配列される。また、このように配列された画素部70には、対応する種類の電源供給線117が電気的に接続される。
【0058】
図1を参照して説明したように、周辺領域には、走査線駆動回路130及びデータ線駆動回路150が設けられている。図1に示す実装端子102を介して、外部回路より供給される各種信号に応じて、走査線駆動回路130は複数の走査線112に走査信号を順次供給し、データ線駆動回路150は、画像表示領域110aに配線された3種のデータ線114に、R用、G用、及びB用の3種の画像信号を供給する。尚、2種の走査線駆動回路130の動作と、データ線駆動回路150の動作とは、外部回路から供給される同期信号160によって相互に同期が図られる。また、画像表示領域110aに配線された3種の電源供給線117には夫々、外部回路から画素駆動用電源が供給される。
【0059】
ここで、図2中、一つの画素部70に着目すれば、画素部70には、有機EL素子72が設けられると共に、例えばTFTを用いて構成されるスイッチング用トランジスタ76及び駆動用トランジスタ74、並びに保持容量78が設けられている。
【0060】
スイッチング用トランジスタ76のゲート電極には走査線112が電気的に接続されており、スイッチング用トランジスタ76のソース電極にはデータ線114が電気的に接続され、スイッチング用トランジスタ76のドレイン電極には駆動用トランジスタ74のゲート電極が電気的に接続されている。また、駆動用トランジスタ74のソース電極には、電源供給線117が電気的に接続されており、駆動用トランジスタ74のドレイン電極には有機EL素子72の陽極が電気的に接続されている。
【0061】
尚、図2及び図3に例示した画素回路の構成の他にも、電流プログラム方式の画素回路、電圧プログラム型の画素回路、電圧比較方式の画素回路、サブフレーム方式の画素回路等の各種方式の画素回路を採用することが可能となる。
【0062】
図3には、データ線114及び電源供給線117が配線された画像表示領域110aの一辺側において、画像表示領域110aと隣接領域110bとの境界付近の画素部70、及び該画素部70に隣接する隣接領域110bの一部の構成を示してある。
【0063】
本実施形態において、隣接領域110bは、データ線114や走査線112、電源供給線117が配線されると共に、画像表示が行われないダミー領域となっている。尚、このように隣接領域110bがダミー領域として設けられる場合に限定されず、隣接領域110bに部分的にダミー領域が含まれるようにしてもよい。
【0064】
また、以下では、隣接領域であるダミー領域110bにおいて、陽極や有機EL層が形成されないため、有機EL素子72が形成されず、何らの発光が行われない場合について説明する。しかしながら、本実施形態では、ダミー領域110bの各画素において、画像表示領域110aにおける画素部70と同様に有機EL素子72や、有機EL素子72をアクティブ駆動するための各種トランジスタ76及び74等が形成されることにより、何らかの発光が行われるようにしてもよい。即ち、本実施形態で、ダミー領域110bで「画像表示が行われない」とは、何らの発光が行われないことに限定されない。
【0065】
ダミー領域110bは、第1部分領域110ba、第2部分領域110bb、及び第3部分領域110bcを含む。図3において、画像表示領域110aと隣接して第1部分領域110baが配置されており、画像表示領域110aに対して第1部分領域110baより外側に第2部分領域110bbが配置されると共に、画像表示領域110aに対して第2部分領域110bbより外側に第3部分領域110bcが配置されている。尚、第1部分領域110ba、第2部分領域110bb、及び第3部分領域110bcは夫々、画像表示領域110aを囲むように配置されてもよいし、例えばダミー領域110bにおいて画像表示領域110aの一辺に対応して配置されてもよい。
【0066】
先ず、図3及び図4を参照して、画像表示領域110aにおける画素部70の構成について説明する。
【0067】
例えば透明樹脂やガラス基板等の透明基板を用いて構成される素子基板10上には、スイッチング用トランジスタ76及び駆動用トランジスタ74の半導体層3が形成されている。半導体層3は例えば低温ポリシリコン膜を用いて形成されている。また、半導体層3上には、半導体層3を埋め込んで、スイッチング用トランジスタ76及び駆動用トランジスタ74のゲート絶縁層2が形成されている。更には、ゲート絶縁層2上に、駆動用トランジスタ74のゲート電極3a及び走査線112が形成されている。走査線112の一部は、スイッチング用トランジスタ76のゲート電極として形成されている。ゲート電極3a及び走査線112は、Al(アルミニウム)、W(タングステン)、Ta(タンタル)、Mo(モリブデン)、Ti(チタン)、銅(Cu)等のうち少なくとも一つを含む金属材料を用いて形成されている。
【0068】
また、走査線112や駆動用トランジスタ74のゲート電極3aを埋め込んで、ゲート絶縁膜2上には層間絶縁層41が形成されている。層間絶縁層41及びゲート絶縁層2は例えばシリコン酸化膜から構成されている。
【0069】
層間絶縁層41上には、例えばアルミニウム(Al)又はITO(Indium Tin Oxide)を含む導電材料から夫々構成される、データ線114及び電源供給線117、更には駆動用トランジスタ74のドレイン電極42が形成されている。層間絶縁層41には、層間絶縁層41の表面から層間絶縁層41及びゲート絶縁層2を貫通して、駆動用トランジスタ74の半導体層3に至るコンタクトホール501及び502が形成されている。図4に示すように、電源供給線117及びドレイン電極42を構成する導電膜は、コンタクトホール501及び502の各々の内壁に沿って半導体層3の表面に至るように連続的に形成されている。
【0070】
ここで、保持容量78の下部容量電極は、走査線112と同一の層に、例えば同様の材料を用いて形成され、電源供給線117の一部が保持容量78の上部容量電極として形成されている。層間絶縁層41は誘電体膜として形成されており、層間絶縁層41の一部分が下部容量電極及び上部容量電極の間に挟持される。
【0071】
層間絶縁層41上には、電源供給線117、ドレイン電極42、及びデータ線114を埋め込んで、保護層45として例えばシリコン窒化膜(SiN)が形成されている。保護層45上には、発光材料保持層47より親水性の高い層として、例えばシリコン酸化膜よりなる親水層46が形成され、更に親水層46上に発光材料保持層47が形成されている。親水層46及び発光材料保持層47によって、画素部70における開口領域9aが形成されている。開口領域9aには保護層45上に本発明に係る「第1電極」である陽極34が形成されている。陽極34は、透明性導電材料としてITOを用いて、開口領域9aから延びてドレイン電極42の一部と重畳するように形成されている。また、開口領域9aにおいて、陽極34上には有機EL層50が形成されている。有機EL素子72は、陽極34及び陰極49と、陽極34及び陰極49間に挟持される有機EL層50を含む。尚、図4には封止基板について図示を省略してある。陰極49は、例えばアルミニウム(Al)を含む金属材料を用いて形成されるか、又はカルシウム(Ca)、フッ化リチウム(LiF)、フッ化ストロンチウム(SrF2)、マグネシウム(Mg)、銀(Ag)等のうち少なくとも一つを含む金属材料を用いて形成された導電膜の積層膜として形成されている。
【0072】
有機EL装置の駆動時、走査線112を介して走査信号が供給されることにより、スイッチング用トランジスタ76がオン状態になる。スイッチング用トランジスタ76がオン状態となると、データ線114より画像信号が保持容量78に書き込まれる。この保持容量78に書き込まれた画像信号の電流に応じて、駆動用トランジスタ74の電気的な導通状態が決まる。そして、駆動用トランジスタ74のチャネルを介して電源供給線117より、保持容量78に書き込まれた画像信号に応じた電流が有機EL素子72の陽極34に供給されると、供給された電流に応じて有機EL層50が発光する。そして、有機EL層50を介して陰極49に印加された電流は、陰極49から陰極配線200及び実装端子102を介して当該有機EL装置外へと流れる。本実施形態では、図4中、矢印Xで示すように、有機EL素子72からの発光を素子基板10側から表示光として出射させるボトムエミッション型として、有機EL装置は構成されている。尚、本実施形態では、有機EL装置を封止基板側から表示光として有機EL素子72の発光を出射させるトップエミッション型として構成してもよい。
【0073】
次に、ダミー領域110bの構成について図3に加えて図5及び図6を参照して説明する。ここで、封止基板については、図4と同様、図5及び図6にも図示を省略してある。尚、本実施形態では、有機EL装置において、封止基板の代わりに、陰極49上に封止膜を形成することにより、各有機EL素子72が封止されてもよい。
【0074】
ダミー領域110bにおいて、第1部分領域110ba、第2部分領域110bb、及び第3部分領域110bcには夫々、画像表示領域110aと同様、画素毎に開口領域9aが形成される。そして、第1部分領域110ba、第2部分領域110bb、及び第3部分領域110bcにおいて、各画素は、開口領域9aに、以下に説明するように、陽極34や有機EL層50が形成されないため、何らの発光が行われないダミー画素となっている。尚、図3には、このようなダミー画素部に、画像表示領域110aにおける画素部70と同様に、各種トランジスタ74及び76や保持容量78が形成される構成を示してある。しかしながら、ダミー画素部では発光が行われないため、各種トランジスタ74及び76等は形成されなくてもよい。
【0075】
先ず、図5を参照して、第1部分領域110baにおける任意のダミー画素部70aの構成について説明する。図5において、ダミー画素部70aには、開口領域9aに少なくとも部分的に有機EL層50が形成される。
【0076】
ここで、有機EL層50は、例えばインクジェット法により発光材料を塗布して乾燥することにより形成される。この際、本願発明者らの研究によれば、画像表示領域110aにおいて、中央付近に位置する画素部70と比較して、端部に位置する画素部70で発光材料の乾燥に要する時間が短くなる傾向があることが見出されている。よって、画像表示領域110aにおいて、端部に配置された画素部70では、有機EL層70の膜厚が不均一となる恐れがある。
【0077】
本実施形態では、画像表示領域110aに加え、第1部分領域110baにおけるダミー画素部70aに、有機EL層50が形成される。そして、画像表示領域110aにおける各画素部70では、図4に示すように膜厚が均一な有機EL層50が形成されるようにすると共に、膜厚が不均一となる有機EL層50は、ダミー画素部70aに形成されるようにする。図3には、データ線114及び電源供給線117が配線された画像表示領域110aの一辺側において、第1部分領域110baに一行分のダミー画素部70aが設けられる構成が示してあるが、本実施形態は、この構成に限定されるものではない。即ち、前述したような目的が達成できるように所定数のダミー画素部70aが、有効画素となる画像表示領域110aにおける各画素部70に対して設けられるのが好ましい。尚、以下に説明するダミー画素部70b及び70cについても、図5に示すダミー画素部70aと同様、図3に示す構成に限定されない。
【0078】
ダミー画素部70aでは、有機EL層50の膜厚が不均一となることに起因して、有機EL装置の駆動時に短絡が発生するのを防止するために、陽極34を形成しないことによって、有機EL層50と、駆動用トランジスタ74のドレイン電極42とが電気的に接続されないようにしている。よって、当該ダミー画素部70aでは、有機EL装置の駆動時、何らの発光が行われない。
【0079】
従って、本実施形態では、画像表示領域110aにおける各画素部70において有機EL層50の膜厚が不均一となることにより、不良となる発光素子が形成されるのを防止することができる。
【0080】
次に、図6を参照して、第2部分領域110baにおける任意のダミー画素部70bの構成について説明する。図6において、ダミー画素部70bには、陽極34及び発光層50が形成されない。従って、有機EL装置の駆動時、ダミー画素部70bでは何らの発光が行われない。
【0081】
図6に示すように、陰極配線200は、第2部分領域110bbにおいて、走査線112や駆動用トランジスタ74のゲート電極3aと、好ましくは同様の材料を用いて同一層に形成されると共に、図3に示すように、1本以上のデータ線114及び電源供給線117と交差して、2以上の開口領域9aに跨って形成されている。尚、第2部分領域110bbにおいて、走査線112が配線された画像表示領域110aの一辺側では、陰極配線200は、1本以上の走査線112に交差して、2以上の開口領域9aに跨って形成されるのが好ましい。陰極配線200において、陰極49と電気的に接続されるコンタクト部200aは、ダミー画素部70bの開口領域9aに配置されている。このように、コンタクト部200aが配置された開口領域9aは、陰極49と陰極配線200とが電気的に接続されるコンタクト領域となる。
【0082】
図6に示すように、コンタクト領域となる開口領域9aには、データ線114、電源供給線117、及び駆動用トランジスタ74のドレイン電極42と、好ましくは同様の材料を用いて同一層に接続電極62が形成される。層間絶縁膜41には、層間絶縁膜41の表面から層間絶縁膜41を貫通して陰極配線200のコンタクト部200aの表面に至るコンタクトホール503が形成されている。接続電極62は層間絶縁膜41上からコンタクトホール503内に連続的に形成されて、陰極配線200のコンタクト部200aに接続されている。そして、開口領域9aに露出した接続電極62の表面に重畳的に陰極49が形成されている。よって、陰極配線200のコンタクト部200aは接続電極62を介して陰極49に電気的に接続される。
【0083】
よって、本実施形態では、このように、第2部分領域110bbに形成された開口領域9aをコンタクト領域として確保することにより、周辺領域を省スペース化させることが可能となる。また、第2部分領域110bbにおいて、陰極配線200を複数の開口領域9aに跨って形成することで、より多くのコンタクト領域を確保することにより、陰極配線200と陰極49との接続を十分な電流容量を確保して行うことが可能となる。従って、本実施形態では、陰極配線200と陰極49との電気的接続を良好に行うことが可能となる。また、陰極配線200を平面的に見た面積を比較的大きくすることができるため、陰極配線200における抵抗を小さくすると共に、有機EL装置の駆動時に、陰極配線200において電圧値が不均一となることにより電圧勾配が生じても、その影響を画像表示領域110aの各画素部70における有機EL素子72の発光機能に及ばない程度のものとして抑制することが可能となる。
【0084】
更に、コンタクト領域となる開口領域9aには、各種トランジスタ76及び74等の少なくとも一部を構成する導電層等が形成されないため、陰極配線200のコンタクト部200a及び接続電極62の表面を平坦とすることができる。よって、陰極配線200のコンタクト部200aの膜厚が不均一となるのを防止することが可能となるため、コンタクト部200aを平面的に見た面積を相対的に大きく確保しなくても、コンタクト部200aと陰極49との電気的接続を良好に行うことができる。
【0085】
次に、図3を参照して、第3部分領域110bcにおける任意のダミー画素部70cの構成について説明する。ダミー画素部70cは、陽極34又は発光層50が形成されないことにより、有機EL装置の駆動時、何らの発光が行われない。
【0086】
陰極49は、素子基板10上において、画像表示領域110aから第3部分領域110bcにまで延在して形成されている。ここで、陰極49は、例えば導電性材料をマスクを用いて封止基板上に蒸着することにより形成される。この際、マスクは、第3部分領域110bcに対して位置決めされるため、マスクの合わせずれが生じても、画像表示領域110a及びダミー領域110bにおける第2部分領域110bbまでが、陰極49が確実に形成される領域に含まれる。よって、本実施形態では、有効画素の信頼性を高めると共に陰極配線200のコンタクト部200aと陰極49との電気的接続をより確実に行うことが可能となる。
【0087】
よって、以上説明した本実施形態では、有機EL装置を小型化すると共に、画像表示領域110aにおける画素部70の信頼性を高めて、有機EL装置の信頼性を向上させることが可能となる。
【0088】
尚、本実施形態では、ダミー領域110bにおいて、第1部分領域110ba、第2部分領域110bb、及び第3部分領域110bcは、図3に示す構成に限定されない。例えば、第1部分領域110baを設けないで、第2部分領域110bb及び第3部分領域110bcを画像表示領域110aに隣接して設けるようにしてもよいし、第1及び第3部分領域110bcを設けないで第2部分領域110bbのみを設けるようにしてもよい。ここで、陰極49を、素子基板10上で平面的に見て、画像表示領域110aから、陰極配線200のコンタクト部200aよりも画像表示領域110aに対して遠い部分にまで延在して形成することにより、第3部分領域110bcを設けなくても、本実施形態と同様の利益を享受することができる。また、第2部分領域110bbに含まれるダミー画素部70bの数を多くすることにより、画像表示領域110aにおける各画素部70を静電気等からより確実に保護することが可能となる。
【0089】
加えて、素子基板10上における、データ線114や電源供給線117、陰極49及び陰極配線200等の積層順序は、図3から図6を参照して説明した構成に限定されない。また、図3及び図4を参照して説明した画素部70の構成について、各画素毎に陰極が本発明に係る「第1電極」として形成されると共に、これらの複数の陰極と対向して封止基板上に本発明に係る「第2電極」として陽極が形成されてもよい。
【0090】
<1−3;変形例>
図7及び図8を参照して本実施形態の変形例について説明する。図7(a)及び図7(b)は、本変形例における隣接領域110bの構成を示す、有機EL装置の概略的な平面図であり、図8は、本変形例における有機EL装置の構成を示す概略的な平面図である。
【0091】
図1に示すように、隣接領域110bが画像表示領域110aを囲むように形成されるほか、図7(a)に示すように、隣接領域110bは、画像表示領域110aのY側駆動回路部132が形成された2辺側、若しくは該2辺のうちいずれか一辺側に形成されてもよい。或いは、図7(b)に示すように、隣接領域110bは、画像表示領域110aのX側駆動回路部152が形成された1辺側に形成されてもよいし、これに加えて又は代えて、同図中、画像表示領域110aのX側駆動回路部152が形成された1辺側と画像表示領域110aを挟んで対向する1辺側に形成されてもよい。そして、図1、図7(a)及び図7(b)中、画像表示領域110aのX側駆動回路部152が形成された1辺側に加えて又は代えて、画像表示領域110aを挟んで対向する1辺側に、更にX側駆動回路部152が設けられるようにしてもよい。
【0092】
更に、図8に示すように、素子基板10上に、X側駆動回路部152及びY側駆動回路部132を設けないで、画素駆動用信号線が画像表示領域110aから隣接領域110bを介して実装端子102に接続されるようにしてもよい。この場合、外部回路として、図2に示すデータ線駆動回路150や走査線駆動回路130が形成されると共に、このような外部回路が実装された配線基材300が複数の実装端子102に実装される。
【0093】
図8において、素子基板10の基板面上に平面的に見て、周辺領域において、複数の実装端子102は、隣接領域110bより画像表示領域110aに対して外側に、素子基板10の一辺に沿って設けられている。尚、図8においても、図7(a)及び図7(b)と同様に隣接領域110bが画像表示領域110aに対して設けられるようにしてもよい。また、複数の実装端子102は、図1、図7(a)、図7(b)及び図8において、複数の実装端子102が設けられた素子基板10の一辺に加えて又は代えて、素子基板10の他辺のうちいずれか一辺又は二辺以上に設けられるようにしてもよい。
【0094】
<2;第2実施形態>
次に、本発明の自発光装置に係る第2実施形態について説明する。第2実施形態では、周辺領域における隣接領域110bの構成が第1実施形態と異なる。よって、第1実施形態と異なる点についてのみ、図9及び図10を参照して詳細に説明する。
【0095】
図9は、データ線及び電源供給線が配線された画像表示領域110aの一辺側において、画像表示領域110aと隣接領域110bとの境界付近の画素部、及び該画素部に隣接する隣接領域110bの一部分の構成を示す平面図であり、図10は図9のB−B'断面図である。尚、第1実施形態と同様の構成については同一の符号を付して示し、重複する説明は省略する。
【0096】
図9に示すように、画像表示領域110aに形成された開口領域9aを挟んで相隣接するデータ線114及び電源供給線117の間には、コンタクト領域202が設けられている。そして、隣接領域110bには、陰極配線200が1本以上のデータ線114及び電源供給線117と交差して、2以上のコンタクト領域202に跨って形成されている。尚、隣接領域110bにおいて、走査線112が配線された画像表示領域110aの一辺側では、開口領域9aを挟んで相隣接する2本の走査線112の間にコンタクト領域202が設けられると共に、陰極配線200は、1本以上の走査線112に交差して、2以上のコンタクト領域202に跨って形成されるのが好ましい。
【0097】
更に、図9において、隣接領域110bより画像表示領域110aに対して外側に、例えば、X側駆動回路部152に形成された保護回路154が設けられている。
【0098】
図10に示すように、陰極配線200は、層間絶縁膜41上に形成されており、データ線114及び電源供給線117において陰極配線200と交差する部分は、陰極配線200より下層側であってゲート絶縁膜2上に形成されている。そして、図9に示すように、データ線114及び電源供給線117において夫々、ゲート絶縁膜2上に形成された、陰極配線200との交差部分と、層間絶縁膜41上に形成された一部分とは、コンタクトホール510及び512を介して電気的に接続される。
【0099】
ここで、図10に示すように、コンタクト領域202は、陰極配線200の下地となる層間絶縁層41において、データ線114や電源供給線117等の少なくとも一部を構成する導電膜の存否に応じた凹凸が存在しない、表面が平坦な領域に設けられている。陰極配線200のコンタクト部200aはコンタクト領域202にその表面が露出するように形成されている。そして、陰極49は、陰極配線200のコンタクト部200aに重畳するように形成されることで、陰極配線200と電気的に接続される。
【0100】
従って、第2実施形態では、コンタクト領域200を開口領域9aの平面的な形状やサイズに限定されないものとして、設けることが可能となる。よって、陰極配線200のコンタクト部200aにおいて、陰極配線200との接続を十分な電流容量を確保して行うことが可能となる。
【0101】
<3:電子機器>
次に、上述した自発光装置が各種の電子機器に適用される場合について説明する。
【0102】
<3−1:モバイル型コンピュータ>
先ず、この自発光装置を、モバイル型のパーソナルコンピュータに適用した例について説明する。図11は、このパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。図において、コンピュータ1200は、キーボード1202を備えた本体部1204と、自発光装置を用いて構成された表示ユニット1206とを備えている。
【0103】
<3−2;携帯電話>
さらに、この自発光装置を、携帯電話に適用した例について説明する。図12は、この携帯電話の構成を示す斜視図である。図において、携帯電話1300は、複数の操作ボタン1302とともに自発光装置として例えば有機EL装置を備えるものである。
【0104】
この他にも、自発光装置は、ノート型のパーソナルコンピュータ、PDA、テレビ、ビューファインダ、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、POS端末、タッチパネルを備えた装置等に適用することができる。
【0105】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨、あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う自発光装置、及びそのような自発光装置を備えた各種電子機器もまた、本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】素子基板を封止基板の側から見た有機EL装置の概略的な平面図である。
【図2】有機EL装置の全体構成を示すブロック図である。
【図3】データ線、走査線、陽極や発光層等が形成された、画像表示領域110aにおける任意の画素部の平面図である。
【図4】図3に示す画素部のA−A'断面図である。
【図5】図4の断面に対応する、隣接領域における一のダミー画素部の構成を示す断面図である。
【図6】図4の断面に対応する、隣接領域における他のダミー画素部の構成を示す断面図である。
【図7】図7(a)及び図7(b)は、本変形例における隣接領域110bの構成を示す、有機EL装置の概略的な平面図である。
【図8】本変形例における有機EL装置の構成を示す概略的な平面図である。
【図9】第2実施形態における、画像表示領域と隣接領域との境界付近の画素部、及び該画素部に隣接する隣接領域の一部分の構成を示す平面図である。
【図10】図9のB−B'断面図である。
【図11】自発光装置を適用した電子機器の一例たるパーソナルコンピュータの構成を示す断面図である。
【図12】自発光装置を適用した電子機器の一例たる携帯電話の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【0107】
9a…開口領域、10…素子基板、34…陽極、49…陰極、50…有機EL層、102…実装端子、110a…画像表示領域、110b…隣接領域、112…走査線、114…データ線、117…電源供給線、200…陰極配線、202…コンタクト領域、300…配線基材
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば有機EL(Electro-Luminescence)装置等の自発光装置及びそのような自発光装置を備えた各種電子機器の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の自発光装置では、特許文献1に開示されているように、例えば有機EL装置の場合、基板上の画像表示領域に形成された各画素部には発光素子として有機EL素子が含まれる。有機EL素子は、例えば画素毎に形成された陽極と、複数の陽極と対向する陰極との間に有機EL層を挟持してなる。画像表示領域の周辺に位置する周辺領域には、各画素部を駆動するための駆動信号の供給経路となる複数の信号線が配線されると共に、有機EL素子の陰極と接続された陰極配線が形成されている。特許文献1によれば、画像表示領域の一辺に沿った接続部において、陰極は、基板上で陰極より下層に設けられた陰極配線と、補助電極を介して電気的に接続されている(特許文献1中、図1(C)及び図2参照)。
【0003】
尚、画像表示領域の少なくとも一辺に沿う端部には、有機EL層や陰極の成膜を保障するため、又は静電気による画素部の回路破壊を防止するためのダミー画素部が設けられることがある。このようなダミー画素部は、自発光装置の製造工程における不良発生又は歩留まり低下を目的として設けられているため、自発光装置の駆動時には、概ね駆動されない。
【0004】
【特許文献1】特開2003−288994号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、周辺領域において、基板上で複数の信号線が陰極配線に対して下層に形成されている場合、上述したような特許文献1の接続部では、陰極配線における陰極とのコンタクト部分の表面に、該コンタクト部分の直下に信号線が配置されていることに起因して、段差が生じる恐れがある。このように陰極配線の表面に段差が生じると、自発光装置の製造時、陰極配線のコンタクト部分の表面を保護膜で覆ってエッチング処理を行う際に、段差が生じている個所において保護膜の被覆性が悪くなり、エッチング不要な個所が削れてしまう可能性がある。この場合、自発光装置の製造プロセスにおける歩留まりが低下し、更には陰極配線と陰極との電気的接続が不良となることに起因して、自発光装置が誤動作する恐れがある。加えて、前述したような段差が生じると、陰極配線において、膜厚が不均一となることにより抵抗値も不均一となり、自発光装置の駆動時、低抵抗の個所に電流が集中して発熱し、自発光装置が劣化する、という問題点が生じる。以上の結果、自発光装置の信頼性が低下することとなる。
【0006】
また、陰極配線のコンタクト部分において十分な電流容量を確保するために、コンタクト領域を増加させると周辺領域も増加することとなり、基板のサイズが増えるため自発光装置を小型化することが困難になる。
【0007】
本発明は、例えば上記問題点に鑑みなされたものであり、陰極配線と陰極との電気的接続を良好に行い、小型化を実現して信頼性を向上させることが可能な自発光装置及びこのような自発光装置を備える電子機器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の自発光装置は上記課題を解決するために、基板上の画像表示領域の周辺に位置する周辺領域のうち前記画像表示領域に隣接すると共に画像表示が行われない隣接領域及び前記画像表示領域に配線された複数の画素駆動用信号線と、前記画素駆動用信号線に電気的に接続され、前記画像表示領域における画素毎に開口領域に形成された複数の第1電極と、前記複数の第1電極に対向する第2電極と、前記第1電極及び前記第2電極間に画素毎に挟持される発光層と、前記基板上において、前記周辺領域に形成されると共に、前記第2電極と電気的に接続される第2電極用配線とを備え、前記第2電極は、前記画像表示領域から前記隣接領域に延在し、前記第2電極用配線は、前記周辺領域のうち前記隣接領域以外の領域から前記隣接領域に延在すると共に、前記隣接領域において前記第2電極と接続されるコンタクト部を有する。
【0009】
本発明の自発光装置によれば、基板上の画像表示領域には、画素毎に、第1電極及び第2電極に挟持された有機EL層等の発光層を含む発光素子が設けられている。各発光素子の第1電極は、画素駆動用信号線に電気的に接続されている。画素駆動用信号線は、例えば、データ線や走査線、又は電源供給線として画像表示領域に配線されている。画素駆動用信号線は、画像表示領域から隣接領域に伸びて配線されている。尚、画素毎に発光素子をアクティブ駆動するための駆動素子として薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor;以下適宜、“TFT”と称する)等が設けられてもよい。この場合、各発光素子の第1電極は、駆動素子を介して、画素駆動用信号線に電気的に接続される。
【0010】
また、第2電極は、基板上に複数の発光素子に共通に形成される。第2電極は、基板上において、隣接領域に形成された第2電極用配線のコンタクト部と重なるように、画像表示領域から隣接領域に延在されて形成される。尚、画像表示領域から周辺領域に延在して、ベタに第2電極を形成すると、第2電極の電気容量が大きくなることに起因して、周辺領域に画素駆動用信号線を駆動するための駆動回路が設けられている場合、駆動回路が誤動作する恐れがある。よって、このような場合は、第2電極は、基板上において、第2電極用配線のコンタクト部と重なるように、且つ駆動回路とは重ならないように、画像表示領域から隣接領域に延在されて形成されているのが好ましい。
【0011】
自発光装置の駆動時、当該自発光装置に例えば外部回路より複数の画素駆動用信号線に対して駆動信号が供給される。そして、複数の画素駆動用信号線は夫々駆動信号に基づいて駆動される。尚、上述したように駆動回路が基板上に設けられている場合には、外部回路より駆動回路を駆動するための各種信号が供給される。そして、駆動回路によって複数の画素駆動用信号線が駆動される。駆動された画素駆動信号線に対応する発光素子は次のように発光する。即ち例えば、駆動されたデータ線及び走査線に対応する発光素子が駆動素子によってアクティブ駆動される。この際、発光素子の第1電極に電源供給線より印加される電流に応じて発光層が発光する。この発光は表示光として、開口領域から出射される。そして、発光層を介して第2電極に印加された電流は、第2電極と後述するように接続される第2電極用配線を介して当該自発光装置外へと流れる。
【0012】
また、基板上の周辺領域のうち隣接領域以外の領域から隣接領域に延在して第2電極用配線が形成されている。そして、第2電極用配線において隣接領域に配置された一部分にコンタクト領域が設けられる。第2電極用配線のコンタクト部は、例えば、コンタクト領域にその表面が露出するように形成される。そして、第2電極は、第2電極用配線のコンタクト部に重畳するように形成されることで、第2電極用配線と接続される。或いは、コンタクト領域にその表面が露出するように接続電極を形成しておいて、接続電極の露出した一部分と重畳するように第2電極を形成して、接続電極と第2電極を接続する。そして、コンタクト領域に配置された第2電極用配線のコンタクト部と、接続電極とが更に接続されることによって、間接的に第2電極と第2電極用配線が接続されるようにしてもよい。
【0013】
よって、本発明の自発光装置では、第2電極と第2電極用配線との電気的接続を行うためのコンタクト領域を、隣接領域において確保するため、周辺領域に新たに設ける必要が無い。従って、既に説明したような従来技術と比較して周辺領域を省スペース化させることが可能となる。また、隣接領域において複数のコンタクト領域を確保することにより、第2電極用配線と第2電極との接続を十分な電流容量を確保して行うことが可能となる。よって、本発明の自発光装置では、第2電極用配線と第2電極との電気的接続を良好に行うことが可能となると共に、小型化を実現しつつ信頼性を向上させることができる。
【0014】
本発明の自発光装置の一態様では、前記隣接領域に配線された前記画素駆動用信号線のうち、前記開口領域を挟んで相隣接する2本の前記画素駆動用信号線の間には、コンタクト領域が設けられており、前記コンタクト部は、前記コンタクト領域に配置される。
【0015】
この態様によれば、隣接領域において、相隣接する2本の画素駆動用信号線間に、画素毎に形成された開口領域をコンタクト領域とする。このように構成すれば、コンタクト領域において、第2電極用配線の下地である層間絶縁膜の表面には、画素駆動用信号線に加え、駆動素子の少なくとも一部を構成する導電層や半導体層の存否に応じた凹凸が存在しない、平坦な表面が形成される。よって、第2電極用配線のコンタクト部の表面を平坦とすることができる。尚、ここでいう「平坦」とは、第2電極用配線のコンタクト部の表面の凹凸が、第2電極用配線或いは接続電極の成膜時の膜厚ばらつき及び表面粗さの範囲内程度であることを意味する。
【0016】
ここで、コンタクト部の表面に段差が生じると、コンタクト部における抵抗値が不均一となる。よって、自発光装置の駆動時、低抵抗の個所に電流が集中して発熱するのを防止するため、コンタクト部を平面的に見た面積を大きく確保する必要がある。これに対して、この態様では、第2電極用配線のコンタクト部の膜厚が不均一となるのを防止することができるため、コンタクト部を平面的に見た面積を相対的に大きく確保しなくても、コンタクト領域では第2電極用配線と第2電極との電気的接続を良好に行うことができる。
【0017】
更に、隣接領域において、相隣接する2本の画素駆動用信号線の間の開口領域とは別の領域であって、第2電極用配線の下地である層間絶縁膜の表面が平坦な領域に、コンタクト領域を設けるようにしてもよい。この場合、開口領域の平面的な形状やサイズに限定されないものとして、コンタクト領域を複数設けることが可能となる。
【0018】
本発明の自発光装置の他の態様では、前記第2電極用配線は、前記隣接領域に配線された前記画素駆動用信号線のうち少なくとも一の前記画素駆動用信号線と前記コンタクト部から外れた個所で交差するように形成されている。
【0019】
この態様によれば、第2電極用配線において、画素駆動用信号線との交差部分はコンタクト部とは別の個所に形成される。また、第2電極用配線における画素駆動用信号線との交差部分は、画素駆動用信号線と異なる層に形成される。従って、コンタクト部の表面を平坦としたまま、隣接領域において、複数の画素駆動用信号線に交差して第2電極用配線が形成されることにより、第2電極用配線を平面的に見た面積を比較的大きくすることが可能となる。よって、第2電極用配線における抵抗を小さくすると共に、自発光装置の駆動時に、第2電極用配線において電圧値が不均一となることにより電圧勾配が生じても、その影響を各発光素子の発光機能に及ばない程度のものとして抑制することが可能となる。
【0020】
本発明の自発光装置の他の態様では、前記隣接領域は、少なくとも前記画素駆動用信号線が配線されると共に前記画像表示が行なわれないダミー領域を含み、前記コンタクト部は、前記基板上で平面的に見て、前記ダミー領域に配線された前記画素駆動用信号線のうち相隣接する画素駆動用信号線の間に位置すると共に前記第1電極が形成されていない、前記ダミー領域における各画素の開口領域内に配置されている。
【0021】
この態様によれば、ダミー領域において「画像表示が行なわれない」とは、ダミー領域内における各画素で何らの発光が行なわれない場合を含む他、何らかの発光を伴うものの正規の画像表示が行なわれない場合や、例えば発光又は非発光により意味ある画像表示が行なわれるものの額縁或いは周辺見切り等で隠される場合も含む趣旨である。
【0022】
この態様では、ダミー領域内の全ての画素、又はこれら全ての画素のうち少なくとも一部の開口領域には第1電極が形成されていない。このように、第1電極が形成されていない画素の開口領域では、自発光装置の駆動時に何らの発光が行われない。そして、第2電極用配線のコンタクト部は、第1電極が形成されていない画素のうち少なくとも一部の開口領域に配置されている。即ち、第1電極が形成されていないため、自発光装置の駆動時に何らの発光が行われない画素の開口領域をコンタクト領域として確保する。よって、第2電極用配線のコンタクト部の表面を平坦とすると共に、周辺領域を省スペース化させることが可能となる。
【0023】
尚、ダミー領域において、第1電極が形成されない画素の開口領域には、発光層は形成されてもよいし、形成されなくてもよい。また、第1電極が形成された画素の開口領域にも、発光層は、形成されてもよいし、形成されなくてもよい。更に、ダミー領域において、各画素の開口領域に第1電極や発光層が形成されているか、いないかに関らず、画像表示領域の画像表示が行われる有効画素と同様に駆動素子が形成されてもよいし、形成されなくてもよい。ここで、ダミー領域において、画素の開口領域に、第1電極及び発光層を形成する場合は、当該画素を発光させることが可能である。また、この場合、第1電極に電気的に接続される駆動素子が設けられると共に、有効画素と同様に、当該画素においてアクティブ駆動が行われてもよい。
【0024】
この隣接領域がダミー領域を含む態様では、前記発光層は、前記ダミー領域の少なくとも一部に形成されておらず、前記コンタクト部は、前記発光層が形成されていない一部に配置されているように構成してもよい。
【0025】
この態様によれば、ダミー領域内の全ての画素の開口領域に発光層が形成されないようにしてもよいし、ダミー領域内の全ての画素のうち少なくとも一部の開口領域に、発光層が形成されないようにしてもよい。このように、発光層が形成されていない画素の開口領域では、自発光装置の駆動時に何らの発光が行われない。そして、発光層が形成されていない画素のうち少なくとも一部の開口領域に、第2電極用配線のコンタクト部が配置されている。即ち、発光層が形成されていないため、自発光装置の駆動時に何らの発光が行われない画素の開口領域をコンタクト領域として確保する。よって、第2電極用配線のコンタクト部の表面を平坦とすると共に、周辺領域を省スペース化させることが可能となる。
【0026】
この隣接領域がダミー領域を含む態様では、前記発光層は、前記ダミー領域の少なくとも一部に形成されており、前記コンタクト部は、前記ダミー領域のうち前記発光層が形成されていない他部に配置されているように構成してもよい。
【0027】
この態様によれば、発光層が形成されていないため、自発光装置の駆動時に何らの発光が行われない画素の開口領域をコンタクト領域として確保する。よって、第2電極用配線のコンタクト部の表面を平坦とすると共に、周辺領域を省スペース化させることが可能となる。
【0028】
ここで、自発光装置の製造時、発光層は、例えばインクジェット法により発光材料が画素毎に塗布されて乾燥されることにより形成される。この際、本願発明者らの研究によれば、画像表示領域において、中央付近から端部に向かって、発光材料の乾燥に要する時間が短くなる傾向があることが見出されている。このことに起因して、画像表示領域の端部に配置された画素の開口領域では、夫々該開口領域に形成された発光層の膜厚が不均一となることがある。この場合、自発光装置の駆動時に、発光素子において発光層の膜厚が薄い部分が短絡する恐れがある。よって、画像表示領域に加えて、例えばダミー領域において、有効画素に隣接する画素の開口領域にまで発光層を形成することにより、有効画素において前述したように不良となる発光素子が形成されるのを防止することができる。従って、有効画素の信頼性を高めることにより、自発光装置の信頼性を向上させることが可能となる。
【0029】
この、発光層がダミー領域の少なくとも一部に形成されている態様では、前記発光層は、前記基板上で平面的に見て、前記ダミー領域のうち、前記コンタクト部よりも前記画像表示領域に近い部分に形成されているように構成してもよい。
【0030】
このように構成すれば、画像表示領域に加えて、ダミー領域において、有効画素に隣接する画素を含む複数の画素の開口領域にまで発光層が形成されることにより、有効画素の信頼性を高めることが可能となる。
【0031】
この隣接領域がダミー領域を含む態様では、前記第2電極は、前記基板上で平面的に見て、前記ダミー領域のうち、前記コンタクト部よりも前記画像表示領域から遠い部分にまで形成されているように構成してもよい。
【0032】
この態様によれば、第2電極は、例えば導電性の金属材料をマスクを用いて基板上に蒸着することにより形成される。この際、マスクは主に画像表示領域に対して位置決めされるために、画像表示領域の端部においてマスクとの合わせずれが生じやすい。従って、画像表示領域の端部に配置された有効画素の開口領域に形成された発光素子は、第2電極が形成されないことにより、不良となる恐れがある。
【0033】
この態様では、第2電極は、画像表示領域から隣接領域に延在して、ダミー領域のうち、第2電極用配線のコンタクト部よりも画像表示領域から遠い部分にまで形成されている。これにより、画像表示領域及びダミー領域における第2電極用配線のコンタクト部は第2電極が確実に形成される領域に含まれる。よって、有効画素の信頼性を高めると共に第2電極用配線のコンタクト部と第2電極との電気的接続をより確実に行うことが可能となる。
【0034】
本発明の自発光装置の他の態様では、前記周辺領域に、前記画素駆動用信号線及び前記第2電極用配線の少なくとも一部に接続された駆動回路を更に備え、前記コンタクト部は、前記基板上で平面的に見て、前記隣接領域のうち前記駆動回路と前記画像表示領域との間に位置する部分に配置されている。
【0035】
この態様によれば、駆動回路によって、画像表示領域に配線された画素駆動用信号線の少なくとも一部が駆動される。よって、この態様では、画素駆動用信号線を駆動するための駆動回路が基板上に形成されることにより、このような駆動回路を外部回路として、基板上に実装して設ける必要がないため、自発光装置の製造コストを低く抑えると共に、当該自発光装置をより小型化することが可能となる。
【0036】
この態様では、第2電極用配線のコンタクト部は、隣接領域において、駆動回路と画像表示領域との間に配置されている。ここで、例えば、駆動回路は、画素駆動用信号線であるデータ線を駆動するためのデータ線駆動回路として設けられるか、これに代えて又は加えて走査線を駆動するための走査線駆動回路として設けられる。そして、データ線駆動回路と画像表示領域との間に、第2電極用配線のコンタクト部が設けられるようにしてもよいし、これに加えて又は代えて走査線駆動回路と画像表示領域との間に、第2電極用配線のコンタクト部を設けるようにしてもよい。よって、この態様では、第2電極用配線のコンタクト部を平面的に見た面積を相対的に大きく確保することにより、第2電極との接続を十分な電流容量を確保して行うことが可能となる。
【0037】
本発明の自発光装置の他の態様では、前記周辺領域に、外部回路接続端子を更に備え、前記コンタクト部は、前記基板上で平面的に見て、前記隣接領域のうち前記外部回路接続端子と前記画像表示領域との間に位置する部分に配置されている。
【0038】
この態様によれば、例えば、画像表示領域に配線された複数の画素駆動用信号線のうち少なくとも一部が、画像表示領域から周辺領域に延びて外部接続端子に直接接続される。この場合、外部接続端子に接続された画素駆動用信号線は、外部回路より外部接続端子を介して供給される駆動信号に基づいて駆動される。例えば、外部回路より駆動信号として供給される画像信号に基づいてデータ線が駆動される。又は、外部回路より駆動信号として供給される走査信号に基づいてデータ線が駆動される。
【0039】
この態様では、第2電極用配線のコンタクト部は、隣接領域において、外部接続端子と画像表示領域との間に配置されている。そして、各データ線が配線された隣接領域の一部分において、第2電極用配線のコンタクト部が設けられるようにしてもよいし、これに加えて又は代えて、隣接領域の他の部分において、コンタクト領域が設けられるようにしてもよい。従って、この態様では、第2電極用配線のコンタクト部を平面的に見た面積を相対的に大きく確保することにより、第2電極との接続を十分な電流容量を確保して行うことが可能となる。
【0040】
本発明の自発光装置の他の態様では、前記発光層は有機EL層を含む。
【0041】
この態様によれば、発光素子は有機EL素子として各画素部に設けられる。この場合、第1電極及び第2電極は有機EL素子の陰極及び陽極として形成される。また、この態様では、基板及び第1電極を透明材料を用いて構成し、第2電極を例えば金属材料等の不透明な導電性材料を用いて形成することにより、有機EL素子の発光を画素毎に基板側から表示光として出射させるボトムエミッション型として当該自発光装置を構成することが可能となる。或いは、基板及び第1電極を不透明な材料を用いて構成し、第2電極を例えば透明な導電性材料を用いて形成することにより、発光素子の発光を画素毎に第2電極側から表示光として出射させるトップエミッション型として当該自発光装置が構成されてもよい。
【0042】
本発明の電子機器は上記課題を解決するために、上述した本発明の自発光装置(但し、その各種態様も含む)を具備する。
【0043】
本発明の電子機器は、上述した本発明の自発光装置を具備してなるので、小型化を実現しつつ信頼性を向上させることが可能なテレビ、携帯電話、電子手帳、ワードプロセッサ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルなどの各種電子機器を実現できる。また、本発明の電子機器として、例えば電子放出装置(Field Emission Display及びConduction Electron-Emitter Display)、無機EL装置等を実現することも可能である。
【0044】
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施の形態から明らかにされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
以下では、本発明の実施の形態について図を参照しつつ説明する。以下の実施形態は、本発明の自発光装置を有機EL装置に適用したものである。
【0046】
<1:第1実施形態>
本発明の自発光装置に係る第1実施形態について、図1から図8を参照して説明する。
【0047】
<1−1;有機EL装置の全体構成>
先ず、図1を参照して有機EL装置の全体構成について説明する。図1は、素子基板を封止基板の側から見た有機EL装置の概略的な平面図である。ここでは、自発光装置の一例である駆動回路内蔵型のアクティブマトリクス駆動方式の有機EL装置を例にとる。
【0048】
図1において、素子基板10上の画像表示領域110aには、複数の画素駆動用信号線が配線されると共に、夫々画素駆動用信号線に電気的に接続される複数の画素部が所定パターンで配列されて形成されている。複数の画素部は夫々有機EL素子を含んでいる。尚、図1中、画像表示領域110aにおける画素駆動用信号線や画素部の具体的な構成については図示を省略し、その詳細については後述する。
【0049】
また、画像表示領域110aの周辺に位置する周辺領域において、画像表示領域110aを挟んで対向する素子基板10の2辺に沿って、Y側駆動回路部132が設けられると共に、この2辺に隣接する一辺に沿ってX側駆動回路部152が設けられている。本実施形態では、周辺領域のうち画像表示領域110aに隣接する隣接領域110bが設けられている。素子基板10の基板面上に平面的に見て、周辺領域において、Y側駆動回路部132及びX側駆動回路部152は、隣接領域110bより画像表示領域110aに対して外側に配置されている。複数の画素駆動用信号線は、画像表示領域110aから隣接領域110bに延びて配線され、Y側駆動回路部132及びX側駆動回路部152に電気的に接続される。
【0050】
更に、周辺領域において、X側駆動回路部152が設けられた素子基板10の一辺に沿って、夫々本発明に係る「外部回路接続端子」の一例である複数の実装端子102が設けられている。複数の実装端子102には、配線基材300が、例えばTAB(Tape Automated Bonding)方式やCOG(Chip On Grass)方式により実装される。配線基材300には、データ線駆動回路や走査線駆動回路を後述するように駆動させるための各種信号を供給する外部回路が実装されて設けられる。複数の実装端子102に配線基材300を実装する際は、図1に示すように、これら複数の実装端子102の所定数毎に、配線基材300を実装するようにしてもよいし、複数の実装端子102に対して配線基材300を実装するようにしてもよい。このように、複数の配線基材300を複数の実装端子102に実装することにより、実装側の外部回路や配線基材300等のサイズを小さくすることが可能となる。よって、有機EL装置をより小型化することができる。
【0051】
Y側駆動回路部132には、走査線駆動回路が設けられると共に、例えば画素駆動用信号線と走査線駆動回路内の回路素子等とを電気的に接続するための配線や、実装端子102に電気的に接続され、外部回路からの走査線駆動回路を駆動するための各種信号の供給経路となる配線等が設けられる。また、X側駆動回路部152には、データ線駆動回路が設けられると共に、例えば画素駆動用信号線とデータ線駆動回路内の回路素子等とを電気的に接続するための配線や、実装端子102に電気的に接続され、外部回路からのデータ線駆動回路を駆動するための各種信号の供給経路となる配線等が設けられる。更に、Y側駆動回路部132に設けられる配線がX側駆動回路部152内に延びて形成されると共に、X側駆動回路部152に設けられる配線がY側駆動回路部132内に延びて形成されることもある。
【0052】
加えて、本実施形態では、周辺領域のうち隣接領域110b以外の領域から隣接領域110bに延在して、本発明に係る「第2電極用配線」の一例である陰極配線が形成されている。図1には、陰極配線の詳細な構成については図示を省略するが、陰極配線は、本発明に係る「第2電極」の一例である有機EL素子の陰極と、隣接領域110bにおいて電気的に接続されると共に、X側駆動回路部152及びY側駆動回路部132を介して、実装端子102と電気的に接続される。尚、陰極は、図1には図示しない、素子基板10と対向するように配置された封止基板上に、画像表示領域110aに形成された複数の有機EL素子に共通に、且つ画像表示領域110aから隣接領域110bに延在されてベタに形成されている。
【0053】
本実施形態では、図1を参照して説明したように、走査線駆動回路やデータ線駆動回路が夫々、X側駆動回路部152若しくはY側駆動回路部132に含まれて素子基板10上に形成されているため、これらの駆動回路を外部回路として素子基板10上に実装して設ける必要がない。従って、自発光装置の製造コストを低く抑えると共に、当該自発光装置を小型化することが可能となる。
【0054】
<1−2;画像表示領域及び隣接領域の構成>
次に、図1に加え、図2から図6を参照して、有機EL装置の画像表示領域110aにおける画素部の構成に加えて隣接領域110bの構成について具体的に説明する。図2は、有機EL装置の全体構成を示すブロック図であり、図3は、データ線、走査線、陽極や発光層等が形成された、画像表示領域110aにおける任意の画素部の平面図であり、図4は図3に示す画素部のA−A'断面図である。また、図5は、図4の断面に対応する、隣接領域における一のダミー画素部の構成を示す断面図であり、図6は、図4の断面に対応する、隣接領域における他のダミー画素部の構成を示す断面図である。なお、図3から図6においては、各層・各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層・各部材ごとに縮尺を異ならしめてある。
【0055】
先ず、図2を参照して、有機EL装置の画像表示領域110aの電気的な構成について説明する。
【0056】
有機ELパネル100における画像表示領域110aには、画素駆動用信号線である、縦横に配線されたデータ線114及び走査線112が設けられており、それらの交点に対応する各画素部70はマトリクス状に配列される。更に、画像表示領域110aには各データ線114に対して配列された画素部70に対応する電源供給線117が設けられている。電源供給線117も画素駆動用信号線に相当する。
【0057】
尚、本実施形態では、カラー表示を行うために、画像表示領域110aには例えば、R用、G用、及びB用の3種の画素部70が設けられると共に、3種の画素部70に対応する3種のデータ線114及び3種の電源供給線117が設けられる。図2において、例えば隣接する3本のデータ線114毎に3種の画素部70が設けられる。3本のデータ線114のうち、いずれか1本のデータ線114には、3種のうちいずれか1種の画素部70が配列される。また、このように配列された画素部70には、対応する種類の電源供給線117が電気的に接続される。
【0058】
図1を参照して説明したように、周辺領域には、走査線駆動回路130及びデータ線駆動回路150が設けられている。図1に示す実装端子102を介して、外部回路より供給される各種信号に応じて、走査線駆動回路130は複数の走査線112に走査信号を順次供給し、データ線駆動回路150は、画像表示領域110aに配線された3種のデータ線114に、R用、G用、及びB用の3種の画像信号を供給する。尚、2種の走査線駆動回路130の動作と、データ線駆動回路150の動作とは、外部回路から供給される同期信号160によって相互に同期が図られる。また、画像表示領域110aに配線された3種の電源供給線117には夫々、外部回路から画素駆動用電源が供給される。
【0059】
ここで、図2中、一つの画素部70に着目すれば、画素部70には、有機EL素子72が設けられると共に、例えばTFTを用いて構成されるスイッチング用トランジスタ76及び駆動用トランジスタ74、並びに保持容量78が設けられている。
【0060】
スイッチング用トランジスタ76のゲート電極には走査線112が電気的に接続されており、スイッチング用トランジスタ76のソース電極にはデータ線114が電気的に接続され、スイッチング用トランジスタ76のドレイン電極には駆動用トランジスタ74のゲート電極が電気的に接続されている。また、駆動用トランジスタ74のソース電極には、電源供給線117が電気的に接続されており、駆動用トランジスタ74のドレイン電極には有機EL素子72の陽極が電気的に接続されている。
【0061】
尚、図2及び図3に例示した画素回路の構成の他にも、電流プログラム方式の画素回路、電圧プログラム型の画素回路、電圧比較方式の画素回路、サブフレーム方式の画素回路等の各種方式の画素回路を採用することが可能となる。
【0062】
図3には、データ線114及び電源供給線117が配線された画像表示領域110aの一辺側において、画像表示領域110aと隣接領域110bとの境界付近の画素部70、及び該画素部70に隣接する隣接領域110bの一部の構成を示してある。
【0063】
本実施形態において、隣接領域110bは、データ線114や走査線112、電源供給線117が配線されると共に、画像表示が行われないダミー領域となっている。尚、このように隣接領域110bがダミー領域として設けられる場合に限定されず、隣接領域110bに部分的にダミー領域が含まれるようにしてもよい。
【0064】
また、以下では、隣接領域であるダミー領域110bにおいて、陽極や有機EL層が形成されないため、有機EL素子72が形成されず、何らの発光が行われない場合について説明する。しかしながら、本実施形態では、ダミー領域110bの各画素において、画像表示領域110aにおける画素部70と同様に有機EL素子72や、有機EL素子72をアクティブ駆動するための各種トランジスタ76及び74等が形成されることにより、何らかの発光が行われるようにしてもよい。即ち、本実施形態で、ダミー領域110bで「画像表示が行われない」とは、何らの発光が行われないことに限定されない。
【0065】
ダミー領域110bは、第1部分領域110ba、第2部分領域110bb、及び第3部分領域110bcを含む。図3において、画像表示領域110aと隣接して第1部分領域110baが配置されており、画像表示領域110aに対して第1部分領域110baより外側に第2部分領域110bbが配置されると共に、画像表示領域110aに対して第2部分領域110bbより外側に第3部分領域110bcが配置されている。尚、第1部分領域110ba、第2部分領域110bb、及び第3部分領域110bcは夫々、画像表示領域110aを囲むように配置されてもよいし、例えばダミー領域110bにおいて画像表示領域110aの一辺に対応して配置されてもよい。
【0066】
先ず、図3及び図4を参照して、画像表示領域110aにおける画素部70の構成について説明する。
【0067】
例えば透明樹脂やガラス基板等の透明基板を用いて構成される素子基板10上には、スイッチング用トランジスタ76及び駆動用トランジスタ74の半導体層3が形成されている。半導体層3は例えば低温ポリシリコン膜を用いて形成されている。また、半導体層3上には、半導体層3を埋め込んで、スイッチング用トランジスタ76及び駆動用トランジスタ74のゲート絶縁層2が形成されている。更には、ゲート絶縁層2上に、駆動用トランジスタ74のゲート電極3a及び走査線112が形成されている。走査線112の一部は、スイッチング用トランジスタ76のゲート電極として形成されている。ゲート電極3a及び走査線112は、Al(アルミニウム)、W(タングステン)、Ta(タンタル)、Mo(モリブデン)、Ti(チタン)、銅(Cu)等のうち少なくとも一つを含む金属材料を用いて形成されている。
【0068】
また、走査線112や駆動用トランジスタ74のゲート電極3aを埋め込んで、ゲート絶縁膜2上には層間絶縁層41が形成されている。層間絶縁層41及びゲート絶縁層2は例えばシリコン酸化膜から構成されている。
【0069】
層間絶縁層41上には、例えばアルミニウム(Al)又はITO(Indium Tin Oxide)を含む導電材料から夫々構成される、データ線114及び電源供給線117、更には駆動用トランジスタ74のドレイン電極42が形成されている。層間絶縁層41には、層間絶縁層41の表面から層間絶縁層41及びゲート絶縁層2を貫通して、駆動用トランジスタ74の半導体層3に至るコンタクトホール501及び502が形成されている。図4に示すように、電源供給線117及びドレイン電極42を構成する導電膜は、コンタクトホール501及び502の各々の内壁に沿って半導体層3の表面に至るように連続的に形成されている。
【0070】
ここで、保持容量78の下部容量電極は、走査線112と同一の層に、例えば同様の材料を用いて形成され、電源供給線117の一部が保持容量78の上部容量電極として形成されている。層間絶縁層41は誘電体膜として形成されており、層間絶縁層41の一部分が下部容量電極及び上部容量電極の間に挟持される。
【0071】
層間絶縁層41上には、電源供給線117、ドレイン電極42、及びデータ線114を埋め込んで、保護層45として例えばシリコン窒化膜(SiN)が形成されている。保護層45上には、発光材料保持層47より親水性の高い層として、例えばシリコン酸化膜よりなる親水層46が形成され、更に親水層46上に発光材料保持層47が形成されている。親水層46及び発光材料保持層47によって、画素部70における開口領域9aが形成されている。開口領域9aには保護層45上に本発明に係る「第1電極」である陽極34が形成されている。陽極34は、透明性導電材料としてITOを用いて、開口領域9aから延びてドレイン電極42の一部と重畳するように形成されている。また、開口領域9aにおいて、陽極34上には有機EL層50が形成されている。有機EL素子72は、陽極34及び陰極49と、陽極34及び陰極49間に挟持される有機EL層50を含む。尚、図4には封止基板について図示を省略してある。陰極49は、例えばアルミニウム(Al)を含む金属材料を用いて形成されるか、又はカルシウム(Ca)、フッ化リチウム(LiF)、フッ化ストロンチウム(SrF2)、マグネシウム(Mg)、銀(Ag)等のうち少なくとも一つを含む金属材料を用いて形成された導電膜の積層膜として形成されている。
【0072】
有機EL装置の駆動時、走査線112を介して走査信号が供給されることにより、スイッチング用トランジスタ76がオン状態になる。スイッチング用トランジスタ76がオン状態となると、データ線114より画像信号が保持容量78に書き込まれる。この保持容量78に書き込まれた画像信号の電流に応じて、駆動用トランジスタ74の電気的な導通状態が決まる。そして、駆動用トランジスタ74のチャネルを介して電源供給線117より、保持容量78に書き込まれた画像信号に応じた電流が有機EL素子72の陽極34に供給されると、供給された電流に応じて有機EL層50が発光する。そして、有機EL層50を介して陰極49に印加された電流は、陰極49から陰極配線200及び実装端子102を介して当該有機EL装置外へと流れる。本実施形態では、図4中、矢印Xで示すように、有機EL素子72からの発光を素子基板10側から表示光として出射させるボトムエミッション型として、有機EL装置は構成されている。尚、本実施形態では、有機EL装置を封止基板側から表示光として有機EL素子72の発光を出射させるトップエミッション型として構成してもよい。
【0073】
次に、ダミー領域110bの構成について図3に加えて図5及び図6を参照して説明する。ここで、封止基板については、図4と同様、図5及び図6にも図示を省略してある。尚、本実施形態では、有機EL装置において、封止基板の代わりに、陰極49上に封止膜を形成することにより、各有機EL素子72が封止されてもよい。
【0074】
ダミー領域110bにおいて、第1部分領域110ba、第2部分領域110bb、及び第3部分領域110bcには夫々、画像表示領域110aと同様、画素毎に開口領域9aが形成される。そして、第1部分領域110ba、第2部分領域110bb、及び第3部分領域110bcにおいて、各画素は、開口領域9aに、以下に説明するように、陽極34や有機EL層50が形成されないため、何らの発光が行われないダミー画素となっている。尚、図3には、このようなダミー画素部に、画像表示領域110aにおける画素部70と同様に、各種トランジスタ74及び76や保持容量78が形成される構成を示してある。しかしながら、ダミー画素部では発光が行われないため、各種トランジスタ74及び76等は形成されなくてもよい。
【0075】
先ず、図5を参照して、第1部分領域110baにおける任意のダミー画素部70aの構成について説明する。図5において、ダミー画素部70aには、開口領域9aに少なくとも部分的に有機EL層50が形成される。
【0076】
ここで、有機EL層50は、例えばインクジェット法により発光材料を塗布して乾燥することにより形成される。この際、本願発明者らの研究によれば、画像表示領域110aにおいて、中央付近に位置する画素部70と比較して、端部に位置する画素部70で発光材料の乾燥に要する時間が短くなる傾向があることが見出されている。よって、画像表示領域110aにおいて、端部に配置された画素部70では、有機EL層70の膜厚が不均一となる恐れがある。
【0077】
本実施形態では、画像表示領域110aに加え、第1部分領域110baにおけるダミー画素部70aに、有機EL層50が形成される。そして、画像表示領域110aにおける各画素部70では、図4に示すように膜厚が均一な有機EL層50が形成されるようにすると共に、膜厚が不均一となる有機EL層50は、ダミー画素部70aに形成されるようにする。図3には、データ線114及び電源供給線117が配線された画像表示領域110aの一辺側において、第1部分領域110baに一行分のダミー画素部70aが設けられる構成が示してあるが、本実施形態は、この構成に限定されるものではない。即ち、前述したような目的が達成できるように所定数のダミー画素部70aが、有効画素となる画像表示領域110aにおける各画素部70に対して設けられるのが好ましい。尚、以下に説明するダミー画素部70b及び70cについても、図5に示すダミー画素部70aと同様、図3に示す構成に限定されない。
【0078】
ダミー画素部70aでは、有機EL層50の膜厚が不均一となることに起因して、有機EL装置の駆動時に短絡が発生するのを防止するために、陽極34を形成しないことによって、有機EL層50と、駆動用トランジスタ74のドレイン電極42とが電気的に接続されないようにしている。よって、当該ダミー画素部70aでは、有機EL装置の駆動時、何らの発光が行われない。
【0079】
従って、本実施形態では、画像表示領域110aにおける各画素部70において有機EL層50の膜厚が不均一となることにより、不良となる発光素子が形成されるのを防止することができる。
【0080】
次に、図6を参照して、第2部分領域110baにおける任意のダミー画素部70bの構成について説明する。図6において、ダミー画素部70bには、陽極34及び発光層50が形成されない。従って、有機EL装置の駆動時、ダミー画素部70bでは何らの発光が行われない。
【0081】
図6に示すように、陰極配線200は、第2部分領域110bbにおいて、走査線112や駆動用トランジスタ74のゲート電極3aと、好ましくは同様の材料を用いて同一層に形成されると共に、図3に示すように、1本以上のデータ線114及び電源供給線117と交差して、2以上の開口領域9aに跨って形成されている。尚、第2部分領域110bbにおいて、走査線112が配線された画像表示領域110aの一辺側では、陰極配線200は、1本以上の走査線112に交差して、2以上の開口領域9aに跨って形成されるのが好ましい。陰極配線200において、陰極49と電気的に接続されるコンタクト部200aは、ダミー画素部70bの開口領域9aに配置されている。このように、コンタクト部200aが配置された開口領域9aは、陰極49と陰極配線200とが電気的に接続されるコンタクト領域となる。
【0082】
図6に示すように、コンタクト領域となる開口領域9aには、データ線114、電源供給線117、及び駆動用トランジスタ74のドレイン電極42と、好ましくは同様の材料を用いて同一層に接続電極62が形成される。層間絶縁膜41には、層間絶縁膜41の表面から層間絶縁膜41を貫通して陰極配線200のコンタクト部200aの表面に至るコンタクトホール503が形成されている。接続電極62は層間絶縁膜41上からコンタクトホール503内に連続的に形成されて、陰極配線200のコンタクト部200aに接続されている。そして、開口領域9aに露出した接続電極62の表面に重畳的に陰極49が形成されている。よって、陰極配線200のコンタクト部200aは接続電極62を介して陰極49に電気的に接続される。
【0083】
よって、本実施形態では、このように、第2部分領域110bbに形成された開口領域9aをコンタクト領域として確保することにより、周辺領域を省スペース化させることが可能となる。また、第2部分領域110bbにおいて、陰極配線200を複数の開口領域9aに跨って形成することで、より多くのコンタクト領域を確保することにより、陰極配線200と陰極49との接続を十分な電流容量を確保して行うことが可能となる。従って、本実施形態では、陰極配線200と陰極49との電気的接続を良好に行うことが可能となる。また、陰極配線200を平面的に見た面積を比較的大きくすることができるため、陰極配線200における抵抗を小さくすると共に、有機EL装置の駆動時に、陰極配線200において電圧値が不均一となることにより電圧勾配が生じても、その影響を画像表示領域110aの各画素部70における有機EL素子72の発光機能に及ばない程度のものとして抑制することが可能となる。
【0084】
更に、コンタクト領域となる開口領域9aには、各種トランジスタ76及び74等の少なくとも一部を構成する導電層等が形成されないため、陰極配線200のコンタクト部200a及び接続電極62の表面を平坦とすることができる。よって、陰極配線200のコンタクト部200aの膜厚が不均一となるのを防止することが可能となるため、コンタクト部200aを平面的に見た面積を相対的に大きく確保しなくても、コンタクト部200aと陰極49との電気的接続を良好に行うことができる。
【0085】
次に、図3を参照して、第3部分領域110bcにおける任意のダミー画素部70cの構成について説明する。ダミー画素部70cは、陽極34又は発光層50が形成されないことにより、有機EL装置の駆動時、何らの発光が行われない。
【0086】
陰極49は、素子基板10上において、画像表示領域110aから第3部分領域110bcにまで延在して形成されている。ここで、陰極49は、例えば導電性材料をマスクを用いて封止基板上に蒸着することにより形成される。この際、マスクは、第3部分領域110bcに対して位置決めされるため、マスクの合わせずれが生じても、画像表示領域110a及びダミー領域110bにおける第2部分領域110bbまでが、陰極49が確実に形成される領域に含まれる。よって、本実施形態では、有効画素の信頼性を高めると共に陰極配線200のコンタクト部200aと陰極49との電気的接続をより確実に行うことが可能となる。
【0087】
よって、以上説明した本実施形態では、有機EL装置を小型化すると共に、画像表示領域110aにおける画素部70の信頼性を高めて、有機EL装置の信頼性を向上させることが可能となる。
【0088】
尚、本実施形態では、ダミー領域110bにおいて、第1部分領域110ba、第2部分領域110bb、及び第3部分領域110bcは、図3に示す構成に限定されない。例えば、第1部分領域110baを設けないで、第2部分領域110bb及び第3部分領域110bcを画像表示領域110aに隣接して設けるようにしてもよいし、第1及び第3部分領域110bcを設けないで第2部分領域110bbのみを設けるようにしてもよい。ここで、陰極49を、素子基板10上で平面的に見て、画像表示領域110aから、陰極配線200のコンタクト部200aよりも画像表示領域110aに対して遠い部分にまで延在して形成することにより、第3部分領域110bcを設けなくても、本実施形態と同様の利益を享受することができる。また、第2部分領域110bbに含まれるダミー画素部70bの数を多くすることにより、画像表示領域110aにおける各画素部70を静電気等からより確実に保護することが可能となる。
【0089】
加えて、素子基板10上における、データ線114や電源供給線117、陰極49及び陰極配線200等の積層順序は、図3から図6を参照して説明した構成に限定されない。また、図3及び図4を参照して説明した画素部70の構成について、各画素毎に陰極が本発明に係る「第1電極」として形成されると共に、これらの複数の陰極と対向して封止基板上に本発明に係る「第2電極」として陽極が形成されてもよい。
【0090】
<1−3;変形例>
図7及び図8を参照して本実施形態の変形例について説明する。図7(a)及び図7(b)は、本変形例における隣接領域110bの構成を示す、有機EL装置の概略的な平面図であり、図8は、本変形例における有機EL装置の構成を示す概略的な平面図である。
【0091】
図1に示すように、隣接領域110bが画像表示領域110aを囲むように形成されるほか、図7(a)に示すように、隣接領域110bは、画像表示領域110aのY側駆動回路部132が形成された2辺側、若しくは該2辺のうちいずれか一辺側に形成されてもよい。或いは、図7(b)に示すように、隣接領域110bは、画像表示領域110aのX側駆動回路部152が形成された1辺側に形成されてもよいし、これに加えて又は代えて、同図中、画像表示領域110aのX側駆動回路部152が形成された1辺側と画像表示領域110aを挟んで対向する1辺側に形成されてもよい。そして、図1、図7(a)及び図7(b)中、画像表示領域110aのX側駆動回路部152が形成された1辺側に加えて又は代えて、画像表示領域110aを挟んで対向する1辺側に、更にX側駆動回路部152が設けられるようにしてもよい。
【0092】
更に、図8に示すように、素子基板10上に、X側駆動回路部152及びY側駆動回路部132を設けないで、画素駆動用信号線が画像表示領域110aから隣接領域110bを介して実装端子102に接続されるようにしてもよい。この場合、外部回路として、図2に示すデータ線駆動回路150や走査線駆動回路130が形成されると共に、このような外部回路が実装された配線基材300が複数の実装端子102に実装される。
【0093】
図8において、素子基板10の基板面上に平面的に見て、周辺領域において、複数の実装端子102は、隣接領域110bより画像表示領域110aに対して外側に、素子基板10の一辺に沿って設けられている。尚、図8においても、図7(a)及び図7(b)と同様に隣接領域110bが画像表示領域110aに対して設けられるようにしてもよい。また、複数の実装端子102は、図1、図7(a)、図7(b)及び図8において、複数の実装端子102が設けられた素子基板10の一辺に加えて又は代えて、素子基板10の他辺のうちいずれか一辺又は二辺以上に設けられるようにしてもよい。
【0094】
<2;第2実施形態>
次に、本発明の自発光装置に係る第2実施形態について説明する。第2実施形態では、周辺領域における隣接領域110bの構成が第1実施形態と異なる。よって、第1実施形態と異なる点についてのみ、図9及び図10を参照して詳細に説明する。
【0095】
図9は、データ線及び電源供給線が配線された画像表示領域110aの一辺側において、画像表示領域110aと隣接領域110bとの境界付近の画素部、及び該画素部に隣接する隣接領域110bの一部分の構成を示す平面図であり、図10は図9のB−B'断面図である。尚、第1実施形態と同様の構成については同一の符号を付して示し、重複する説明は省略する。
【0096】
図9に示すように、画像表示領域110aに形成された開口領域9aを挟んで相隣接するデータ線114及び電源供給線117の間には、コンタクト領域202が設けられている。そして、隣接領域110bには、陰極配線200が1本以上のデータ線114及び電源供給線117と交差して、2以上のコンタクト領域202に跨って形成されている。尚、隣接領域110bにおいて、走査線112が配線された画像表示領域110aの一辺側では、開口領域9aを挟んで相隣接する2本の走査線112の間にコンタクト領域202が設けられると共に、陰極配線200は、1本以上の走査線112に交差して、2以上のコンタクト領域202に跨って形成されるのが好ましい。
【0097】
更に、図9において、隣接領域110bより画像表示領域110aに対して外側に、例えば、X側駆動回路部152に形成された保護回路154が設けられている。
【0098】
図10に示すように、陰極配線200は、層間絶縁膜41上に形成されており、データ線114及び電源供給線117において陰極配線200と交差する部分は、陰極配線200より下層側であってゲート絶縁膜2上に形成されている。そして、図9に示すように、データ線114及び電源供給線117において夫々、ゲート絶縁膜2上に形成された、陰極配線200との交差部分と、層間絶縁膜41上に形成された一部分とは、コンタクトホール510及び512を介して電気的に接続される。
【0099】
ここで、図10に示すように、コンタクト領域202は、陰極配線200の下地となる層間絶縁層41において、データ線114や電源供給線117等の少なくとも一部を構成する導電膜の存否に応じた凹凸が存在しない、表面が平坦な領域に設けられている。陰極配線200のコンタクト部200aはコンタクト領域202にその表面が露出するように形成されている。そして、陰極49は、陰極配線200のコンタクト部200aに重畳するように形成されることで、陰極配線200と電気的に接続される。
【0100】
従って、第2実施形態では、コンタクト領域200を開口領域9aの平面的な形状やサイズに限定されないものとして、設けることが可能となる。よって、陰極配線200のコンタクト部200aにおいて、陰極配線200との接続を十分な電流容量を確保して行うことが可能となる。
【0101】
<3:電子機器>
次に、上述した自発光装置が各種の電子機器に適用される場合について説明する。
【0102】
<3−1:モバイル型コンピュータ>
先ず、この自発光装置を、モバイル型のパーソナルコンピュータに適用した例について説明する。図11は、このパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。図において、コンピュータ1200は、キーボード1202を備えた本体部1204と、自発光装置を用いて構成された表示ユニット1206とを備えている。
【0103】
<3−2;携帯電話>
さらに、この自発光装置を、携帯電話に適用した例について説明する。図12は、この携帯電話の構成を示す斜視図である。図において、携帯電話1300は、複数の操作ボタン1302とともに自発光装置として例えば有機EL装置を備えるものである。
【0104】
この他にも、自発光装置は、ノート型のパーソナルコンピュータ、PDA、テレビ、ビューファインダ、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、POS端末、タッチパネルを備えた装置等に適用することができる。
【0105】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨、あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う自発光装置、及びそのような自発光装置を備えた各種電子機器もまた、本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】素子基板を封止基板の側から見た有機EL装置の概略的な平面図である。
【図2】有機EL装置の全体構成を示すブロック図である。
【図3】データ線、走査線、陽極や発光層等が形成された、画像表示領域110aにおける任意の画素部の平面図である。
【図4】図3に示す画素部のA−A'断面図である。
【図5】図4の断面に対応する、隣接領域における一のダミー画素部の構成を示す断面図である。
【図6】図4の断面に対応する、隣接領域における他のダミー画素部の構成を示す断面図である。
【図7】図7(a)及び図7(b)は、本変形例における隣接領域110bの構成を示す、有機EL装置の概略的な平面図である。
【図8】本変形例における有機EL装置の構成を示す概略的な平面図である。
【図9】第2実施形態における、画像表示領域と隣接領域との境界付近の画素部、及び該画素部に隣接する隣接領域の一部分の構成を示す平面図である。
【図10】図9のB−B'断面図である。
【図11】自発光装置を適用した電子機器の一例たるパーソナルコンピュータの構成を示す断面図である。
【図12】自発光装置を適用した電子機器の一例たる携帯電話の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【0107】
9a…開口領域、10…素子基板、34…陽極、49…陰極、50…有機EL層、102…実装端子、110a…画像表示領域、110b…隣接領域、112…走査線、114…データ線、117…電源供給線、200…陰極配線、202…コンタクト領域、300…配線基材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上の画像表示領域の周辺に位置する周辺領域のうち前記画像表示領域に隣接すると共に画像表示が行われない隣接領域及び前記画像表示領域に配線された複数の画素駆動用信号線と、
前記画素駆動用信号線に電気的に接続され、前記画像表示領域における画素毎に開口領域に形成された複数の第1電極と、
前記複数の第1電極に対向する第2電極と、
前記第1電極及び前記第2電極間に画素毎に挟持される発光層と、
前記基板上において、前記周辺領域に形成されると共に、前記第2電極と電気的に接続される第2電極用配線と
を備え、
前記第2電極は、前記画像表示領域から前記隣接領域に延在し、
前記第2電極用配線は、前記周辺領域のうち前記隣接領域以外の領域から前記隣接領域に延在すると共に、前記隣接領域において前記第2電極と接続されるコンタクト部を有することを特徴とする自発光装置。
【請求項2】
前記隣接領域に配線された前記画素駆動用信号線のうち、前記開口領域を挟んで相隣接する2本の前記画素駆動用信号線の間には、コンタクト領域が設けられており、
前記コンタクト部は、前記コンタクト領域に配置されること
を特徴とする自発光装置。
【請求項3】
前記第2電極用配線は、前記隣接領域に配線された前記画素駆動用信号線のうち少なくとも一の前記画素駆動用信号線と前記コンタクト部から外れた個所で交差するように形成されていること
を特徴とする請求項1又は2に記載の自発光装置。
【請求項4】
前記隣接領域は、少なくとも前記画素駆動用信号線が配線されると共に前記画像表示が行なわれないダミー領域を含み、
前記コンタクト部は、前記基板上で平面的に見て、前記ダミー領域に配線された前記画素駆動用信号線のうち相隣接する画素駆動用信号線の間に位置すると共に前記第1電極が形成されていない、前記ダミー領域における各画素の開口領域内に配置されていること
を特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の自発光装置。
【請求項5】
前記発光層は、前記ダミー領域の少なくとも一部に形成されておらず、前記コンタクト部は、前記発光層が形成されていない一部に配置されていることを特徴とする請求項4に記載の自発光装置。
【請求項6】
前記発光層は、前記ダミー領域の少なくとも一部に形成されており、前記コンタクト部は、前記ダミー領域のうち前記発光層が形成されていない他部に配置されていることを特徴とする請求項4又は5に記載の自発光装置。
【請求項7】
前記発光層は、前記基板上で平面的に見て、前記ダミー領域のうち、前記コンタクト部よりも前記画像表示領域に近い部分に形成されていること
を特徴とする請求項6に記載の自発光装置。
【請求項8】
前記第2電極は、前記基板上で平面的に見て、前記ダミー領域のうち、前記コンタクト部よりも前記画像表示領域から遠い部分にまで形成されていること
を特徴とする請求項4から7のいずれか一項に記載の自発光装置。
【請求項9】
前記周辺領域に、前記画素駆動用信号線及び前記第2電極用配線の少なくとも一部に接続された駆動回路を更に備え、
前記コンタクト部は、前記基板上で平面的に見て、前記隣接領域のうち前記駆動回路と前記画像表示領域との間に位置する部分に配置されていることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の自発光装置。
【請求項10】
前記周辺領域に、外部回路接続端子を更に備え、
前記コンタクト部は、前記基板上で平面的に見て、前記隣接領域のうち前記外部回路接続端子と前記画像表示領域との間に位置する部分に配置されていることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の自発光装置。
【請求項11】
前記発光層は有機EL層を含むことを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の自発光装置。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の自発光装置を具備することを特徴とする電子機器。
【請求項1】
基板上の画像表示領域の周辺に位置する周辺領域のうち前記画像表示領域に隣接すると共に画像表示が行われない隣接領域及び前記画像表示領域に配線された複数の画素駆動用信号線と、
前記画素駆動用信号線に電気的に接続され、前記画像表示領域における画素毎に開口領域に形成された複数の第1電極と、
前記複数の第1電極に対向する第2電極と、
前記第1電極及び前記第2電極間に画素毎に挟持される発光層と、
前記基板上において、前記周辺領域に形成されると共に、前記第2電極と電気的に接続される第2電極用配線と
を備え、
前記第2電極は、前記画像表示領域から前記隣接領域に延在し、
前記第2電極用配線は、前記周辺領域のうち前記隣接領域以外の領域から前記隣接領域に延在すると共に、前記隣接領域において前記第2電極と接続されるコンタクト部を有することを特徴とする自発光装置。
【請求項2】
前記隣接領域に配線された前記画素駆動用信号線のうち、前記開口領域を挟んで相隣接する2本の前記画素駆動用信号線の間には、コンタクト領域が設けられており、
前記コンタクト部は、前記コンタクト領域に配置されること
を特徴とする自発光装置。
【請求項3】
前記第2電極用配線は、前記隣接領域に配線された前記画素駆動用信号線のうち少なくとも一の前記画素駆動用信号線と前記コンタクト部から外れた個所で交差するように形成されていること
を特徴とする請求項1又は2に記載の自発光装置。
【請求項4】
前記隣接領域は、少なくとも前記画素駆動用信号線が配線されると共に前記画像表示が行なわれないダミー領域を含み、
前記コンタクト部は、前記基板上で平面的に見て、前記ダミー領域に配線された前記画素駆動用信号線のうち相隣接する画素駆動用信号線の間に位置すると共に前記第1電極が形成されていない、前記ダミー領域における各画素の開口領域内に配置されていること
を特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の自発光装置。
【請求項5】
前記発光層は、前記ダミー領域の少なくとも一部に形成されておらず、前記コンタクト部は、前記発光層が形成されていない一部に配置されていることを特徴とする請求項4に記載の自発光装置。
【請求項6】
前記発光層は、前記ダミー領域の少なくとも一部に形成されており、前記コンタクト部は、前記ダミー領域のうち前記発光層が形成されていない他部に配置されていることを特徴とする請求項4又は5に記載の自発光装置。
【請求項7】
前記発光層は、前記基板上で平面的に見て、前記ダミー領域のうち、前記コンタクト部よりも前記画像表示領域に近い部分に形成されていること
を特徴とする請求項6に記載の自発光装置。
【請求項8】
前記第2電極は、前記基板上で平面的に見て、前記ダミー領域のうち、前記コンタクト部よりも前記画像表示領域から遠い部分にまで形成されていること
を特徴とする請求項4から7のいずれか一項に記載の自発光装置。
【請求項9】
前記周辺領域に、前記画素駆動用信号線及び前記第2電極用配線の少なくとも一部に接続された駆動回路を更に備え、
前記コンタクト部は、前記基板上で平面的に見て、前記隣接領域のうち前記駆動回路と前記画像表示領域との間に位置する部分に配置されていることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の自発光装置。
【請求項10】
前記周辺領域に、外部回路接続端子を更に備え、
前記コンタクト部は、前記基板上で平面的に見て、前記隣接領域のうち前記外部回路接続端子と前記画像表示領域との間に位置する部分に配置されていることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の自発光装置。
【請求項11】
前記発光層は有機EL層を含むことを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の自発光装置。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の自発光装置を具備することを特徴とする電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−18085(P2006−18085A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−196760(P2004−196760)
【出願日】平成16年7月2日(2004.7.2)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月2日(2004.7.2)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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