説明

臭気をマスキングする剤および香料を含む重合性組成物、光学レンズ、製造方法

本発明は1種類以上の重合性モノマー類を含む組成物に関し、環状エーテルから選ばれた少なくとも1種類のマスキング剤および天然のジャコウおよびその誘導体、合成ジャコウ、およびそれらの混合物から選ばれた少なくとも1種類の香料を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新規の重合性組成物、当該組成物を重合することにより得られる光学レンズ、さらにポリチオウレタンをベースとした基材に関する。
光学レンズ、とりわけ眼科レンズは鋳型および/または面仕上げ/研磨工程を連続しておこない前記レンズの凸および凹の両光学面の幾何形状を決定する結果として生じ、これに適切な表面処理が続く。
眼科レンズの最終仕上げ工程はトリミング作業で、レンズの端部または周縁を機械加工することから構成されこのレンズがこれが納まるめがねフレームの寸法に一致するようにする。
トリミング作業は通常研削またはフライス加工により行う。
【背景技術】
【0002】
このような面仕上げおよびトリミング工程は不快な臭気を発する場合がしばしばある。このことはとりわけレンズが形成される基材が硫黄化合物、例えばポリチオ(メタ)アクリレート類、ポリチオウレタン類またはポリエピスルフィド類を含む場合にそうである。
日本国特許明細書第04294301号には環状エーテル、例えば1,8−シネオールを香料として含むチオメタクリル酸樹脂が記載されている。
日本国特許明細書第5273401号にはユーカリ油を含むモノマー混合物を重合してできるポリチオウレタン光学レンズが記載されている。
日本国特許明細書第6049366号には樹脂の熱処理または切断工程で発生する不快な臭気を低減するためにユーカリ油を含むイオウ樹脂が記載されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の狙いは重合性組成物から得られたレンズを面仕上げおよび/またはトリミングする際に発する不快な臭気が臭うことをより効果的に抑圧することを可能とする重合性組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
当該出願者は重合性組成物内の環状エーテル類から選ばれたマスキング剤および多環式または大員環のジャコウ類から選ばれた香料を用いることによってレンズを面仕上げおよび/またはトリミングする際に発する不快な臭気を改善された方法で抑制し、またはこの様な工程中に好ましい香りを放出できることを見いだした。
【0005】
かくて本発明は、少なくとも1種類の重合性モノマーを含む組成物で、当該組成物がさらに環状エーテル類から選ばれた少なくとも1種類のマスキング剤および少なくとも1種類の天然ジャコウ類およびその抽出物、合成ジャコウ類、およびこれらの混合物から選ばれた香料を含む組成物を目的とする。
ここに用いられる合成ジャコウ類は単環式、多環式または大員環ジャコウ類であることが好ましい。
ここでいう天然ジャコウとは、ジャコウ産出マメジカMoschus Moschiferusの腹腔嚢から抽出された分泌物による化合物を意味する。
好ましい単環式ジャコウ類はC5またはC6環を含むジャコウ類で、少なくとも1つのケトンまたはエステル基を含むことが好ましい。
【0006】
好ましい多環式ジャコウ類は、少なくとも2つのC5またはC6炭化水素環を含むジャコウ類であり、随意的に1つ以上の酸素原子が割り込んでいる。
好ましい大員環のジャコウ類は、C7〜C18炭化水素環を含むジャコウ類であり、C12またはC18が好ましく、C15,、C16またはC17がさらに好ましく、随意的に1つ以上の酸素原子が割り込んでいる。
この様な種々のジャコウ分子はこの様な分子をジャコウと分類する数々の発売元、例えばIFF(International Flavors and Fragrances−フランスのボアコロンブ)、Interchim、Sigma Aldrich Chimie(Saint Quentin Fallavier)、Aroma and Fine Chemicals(Givaudan)から入手可能である。
【0007】
本発明による重合性組成物は組成物が1つ以上のイオウモノマー類を含んでいる場合にとりわけ効果的である。
かくて本発明の第1の実施形態によれば、組成物は少なくとも1つのイオウ原子を含むモノマー類の中から選ばれた1つ以上のモノマーを含む。
少なくとも1つのイオウ原子を含むモノマー類はポリチオ(メタ)アクリレート類、ポリチオウレタン類、ポリチオウレタン−尿素類およびポリエピスルフィド類の前駆体モノマー類から選ばれることが好ましい。
【0008】
本発明による組成物内に用いるポリチオ(メタ)アクリレート前駆体モノマー類は次の化学式の基を少なくとも1つ、好ましくは2つ含む:
【0009】
【化1】

ここにR1=HまたはCH3
これらは次のような化学式で表すことができる:
【0010】
【化2】

ここに:
R2は脂肪族の直鎖状または枝分かれした一価または多価の炭化水素の部分、もしくは芳香族系または復素環式の一価または多価の基で、チオ(メタ)アクリレート基のイオウ原子にコア部を通してまたは直鎖状アルキル鎖を通して直接結合するものを表し、R2部分はその鎖の中に-O-、-S-、-CO-から選ばれた1つ以上の基を持つ場合が多い;
R1は水素または -CH3を表し;そして
n1は1から6の整数で、1から3が好ましい。
【0011】
1価のR2部分として挙げられるものは直鎖状または枝分かれしたC1〜C5アルキル部分および次の化学式の部分である:
【0012】
【化3】

ここに:
R3および R4 は相互に独立し、Hもしくは直鎖状または枝分かれした C1〜 C5アルキル部分で、
R5は直鎖状または枝分かれしたC1〜 C5のアルキル部分、C7〜 C10のアラルキル部分またはC6〜 C12アリール部分で、随意的にとりわけアルキルおよび/またはハロゲン基で置換される;そして
n2は1から4の整数である。
【0013】
1価のR2部分の内で好ましいものとしては次のものが挙げられる:
【0014】
【化4】

【0015】
化学式(I)のモノマーにおいて n1 = 1 で上に規定した様なものはなかんずく米国特許第A−4606864号、日本国特許第6331766号およびヨーロッパ特許出願公開第A−0384725号に記載してある。
【0016】
化学式(I)のモノマーの範囲に属する2価のR2部分の中で挙げられるのは直鎖状または枝分かれしたC2〜 C10のアルキレン部分でその鎖の中に1つ以上の-O-、-S-、-CO- 基を含むように適合したもの;アルキリデン部分で化学式が:
【0017】
【化5】

で、ここにR6およびR7はC1〜 C5アルキル部分であるもの;化学式の部分が:
【0018】
【化6】

【0019】
で、ここにR8およびR9は直鎖状または枝分かれしたC1〜 C5のアルキレン基でその鎖の中に1つ以上の-O-、-S-または-CO-基を含み易く、X" は C1〜C5アルキル部分およびハロゲン類から選ばれ、n3は0から4の整数であるもの;および化学式の部分が:
【0020】
【化7】

【0021】
で、ここにR10およびR11は直鎖状または枝分かれしたC1〜C5アルキル部分で、随意的にその鎖の中に1つ以上の-O-、-S-または-CO-基を含み、tおよびsは0または1のものである。
【0022】
好ましい2価の R2部分の中で挙げることができるのは:
-(CH2)q’- 、ここにq’は1から8の整数であるもの;
-(CH2CH2X)u-CH2CH2- でここにXは-O-または-S-、およびuは1から4の整数であるもの;
-(CH2)u’-[S(CH2)v’]z’-(CH2)w’- 、ここに z’は0か1、およびu’ 、v’、w’ は2から6の整数であるもの:
【0023】
【化8】

でここに u’’および v’’は1から4の整数であるもの、
【0024】
【化9】

【0025】
2価のR2部分でとりわけ好ましいものは:
【0026】
【化10】

【0027】
化学式(I)による2価のモノマーは他のものと共に、ヨーロッパ特許出願公開第A−273661号、ヨーロッパ特許出願公開第A−273710号、ヨーロッパ特許出願公開第A−384725号に記載されている。
化学式(I)によるR2の3価のモノマー部分の中で挙げられるものは、C3〜C10のアルキルトリル部分でその鎖の中に1つ以上の-O-、-S-または-CO-基を含み易いもの、3価のアルキルアリール部分でそのアルキル鎖は1つ以上の-O-、-S-または-CO-基を含むことができるもの、および3価のアリール基である。
【0028】
3価またはより高次の R2の部分の中で挙げることができるものは次のものである:
【0029】
【化11】

【0030】
化学式(I)のモノマーの中で本発明において推奨できるものとして挙げられるものは:
【0031】
【化12】

【0032】
【化13】

【0033】
【化14】

【0034】
【化15】

【0035】
【化16】


ビス[(メタ)アクリロイルチオフェニル]スルフィド、
であり、ここにR12はHまたはCH3である。
【0036】
本発明による組成物に用いるチオ(メタ)アクリル酸系モノマーの別の部類は次の化学式を持つ:
【0037】
【化17】

【0038】
ここにR13はHまたはCH3を表し、Yは随意的に枝分かれしたC2〜C12のアルキレン基、C3〜C12のシクロアルキレン基、C6〜C14アリーレンまたはC7〜C26のアルカリーレン基を表し、Y基の炭素鎖には1つ以上のエーテルまたはチオエーテル基が割り込みやすく、そしてnは1から6の整数である。
【0039】
この様なモノマー類は米国特許第5384379号に開示されている。
推奨するポリチオメタクリレートモノマーはビス(2−メタクリロイルチオエチル)スルフィド(BMTES)である。
本発明による組成物に有用なポリチオ(メタ)アクリレート前駆体モノマー類は、より詳細に米国特許第5741831号に記載されている。
【0040】
本発明による最初の実施形態によると、重合性組成物は随意的にイオウをベースとしたポリ(チオ)ウレタン類、ポリオール類および/またはポリチオール類およびポリイソ(チオ)シアネート類の前駆体モノマーを含むことが好ましい。
とりわけ、本発明による組成物は少なくとも1種類のポリチオールモノマーおよび少なくとも1種類のポリイソシアネートモノマーを含むことが好ましい。
当該発明による組成物に用いるポリチオールモノマー類は当技術分野では周知のもので化学式 R’(SH)n’ で表され、ここにn’ は2以上の整数で好ましくは2から5、および R’ は脂肪族、芳香族または複素環式の部分である。
ポリチオール類はなかんずくヨーロッパ特許第394495号に記載されている。
【0041】
本発明による組成物に用いるポリチオール類で有用なものとして含まれるのは、9,10−アントラセンジメタンチオール、1,11−ウンデカンジチオール、4−エチル−ベンゼン−1,3−ジチオール、1,2−エタンジチオール、1,8−オクタンジチオール、1,18−オクタデカンジチオール、2,5−ジクロロベンゼン−1,3−ジチオール、1,3−(4−クロロフェニル)プロパン−2,2−ジチオール、1,1−シクロヘキサンジチオール、1,2−シクロヘキサンジチオール、1,4−シクロヘキサンジチオール、1,1−シクロヘプタンジチオール、1,1−シクロペンタンジチオール、4,8−ジチオウンデカン−1,11−ジチオール、ジチオペンタエリスリトール、ジチオスレイトール、1,3−ジフェニルプロパン−2,2−ジチオール、1,3−ジヒドロキキシ−2−プロピル−2’,3’−ジメルカプトプロピルエーテル、2,3−ジヒドロキキシプロピル−2’,3’−ヂメルカプトプロピルエーテル、2,6−ジメチルオクタン−2,6−ジチオール、2,6−ジメチルオクタン−3,7−ジチオール、2,4−ジメチルベンゼン−1,3−ジチオール、4,5−ジメチルベンゼン−1,3−ジチオール、3,3−ジメチルブタン−2,2−ジチオール、2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジチオール、1,3−ジ(4−メトキシフェニル)プロパン−2,2−ジチオール、3,4−ジメトキシブタン−1,2−ジチオール、10,11−ジメルカプト−ウンデカン酸、6,8−ジメルカプト−オクタン酸、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2,2’−ジメルカプト−ビフェニル、4,4’−ジメルカプトビフェニル、4,4’−ジメルカプトビベンジル、3,4−ジメルカプトブタノール、3,4−ジメルカプトブチルアセテート、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール、1,2−ジメルカプト−1、3−ブタンジオール、2,3−ジメルカプトプロピオン酸、1,2−ジメルカプトプロピル−メチルエーテル、2,3−ジメルカプトプロピル−2’3’−ジメトキシプロピエーテル、3,4−チオフェネジチオール、1,10−デカンジチオール、1,12−ドセカンジチオール、3,5,5−トリメチルヘキサン−1,1−ジチオール、2,5−トルエンジチオール、3,4−トルエンジチオール、1,4−ナフタレンジチオール、1,5−ナフタレンジチオール、2,6−ナフタレンジチオール、1,9−ノナンジチオール、ノルボルネン−2,3−ジチオール、ビス(2−メルカプトイソプロピル)エーテル、ビス(11−メルカプトウンデシル)スルフィド、ビス(2−メルカプトエチル)エーテル、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド、ビス(18−メルカプトオクタデシル)スルフィド、ビス(8−メルカプトオクチル)スルフィド、ビス(12−メルカプト−デシル)スルフィド、ビス(9−メルカプトノニル)スルフィド、ビス(4−メルカプトブチルスルフィド、ビス(3−メルカプトプロピル)エーテル、ビス(3−メルカプトプロピル)スルフィド、ビス(6−メルカプトヘキシル)スルフィド、ビス(7−メルカプトヘプチル)スルフィド、ビス(5−メルカプトペンチル)スルフィド、2,2’−ビス(メルカプトメチル)酢酸、1,1−ビス(メルカプトメチル)シクロヘキサン、ビス(メルカプトメチル)ジュレン、フェニルメタン−1,1−ジチオール、1,2−ブタンジチオール、1,4−ブタンジチオール、2,3−ブタンジチオール、2,2−ブタンジチオール、1,2−プロパンジチオール、1,3−プロパンジチオール、2,2−プロパンジチオール、1,2−ヘキサンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、2,5−ヘキサンジチオール、1,7−ヘプタンジチオール、2,6−ヘプタンジチオール、1,5−ペンタンジチオール、2,4−ペンタンジチオール、3,3−ペンタンジチオール、7,8−ヘプタデカンジチオール、1,2−ベンゼンジチオール、1,3−ベンゼンジチオール、1,4−ベンゼンジチオール、2−メチルシクロヘキサン−1,1−ジチオール、2−メチルブタン−2,3−ジチオール、エチレングリコールジチオグリコレート、エチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)である。トリチオール類として挙げられるものには、1,2,3−プロパントリチオール、1,2,4−ブタントリチオール、トリメチロールプロパントリチオールグリコレート、トリメチロプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールトリチオグリコレート、ペンタエリスリトールトリス(3−メルカプトプロピオネート)、1,3,5−ベンゼントリチオール、および2,4,6−メシチレントリチオール)がある。
【0042】
本発明による組成物に有用なポリチオールにはネオペンタンテトラチオール、2,2’−ビス(メルカプトメチル)−1,3−プロパンジチオール、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、1,3,5−ベンゼントリチオール、2,4,6−トルエントリチオール、2,4,6−メチレントリチオール、および次の化学式に対応したポリチオール類も含まれる:
【0043】
【化18】

【0044】
【化19】

【0045】
本発明による組成物に有用なポリイソシアネート化合物のすべては通常ポリウレタン類を作り上げるのに用いられるポリイソシアネート類である。
【0046】
脂肪族化合物として具体的に含まれるものは、エチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、ノナメチレンジイソシアネート、2,2’−ジメチルペンタンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ブテンジイソシアネート、1,3−ブタジエン1,4−ジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、1,8−ジイソシアナト−4−イソシアナトメチルオタン、2,5,7−トリメチル−1,8−ジイソシアナト−5−イソシアナトメチルオクタン、ビス(イソシアナトエチル)カーボネート、ビス(イソシアナトエチル)エーテル、1,4−ブチレングリコールジプロピルエーテル−ω,ω’−ジイソシアネート、リシンジイソシアナトメチルエステル、リシントリイソシアネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート、2−イソシアナトプロピル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート、キシリレンジイソシアネート、ビス(イソシアナトエチル)ベンゼン、ビス(イソシアナトプロピル)ベンゼン、a,a,a’,a’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ビス−(イソシアナトブチル)ベンゼン、ビス(イソシアナトメチル)ナフタレン、ビス(イソシアナトメチル)−ジフェニルエーテル、ビス(イソシアナトエチル)フタレート、メシチルイレン トリイソシアネートおよび2,6−ジ(イソシアナトメチル)フラン;脂環式ポリイソシアネート類では、イソフォロンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ジシクロヘキシル−ジメチルメタンジイソシアネート、2,2’−ジメチルジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ビス(4−イソシアナト−n−ブチリデン)−ペンタエリスリトール、ダイマー酸ジイソシアネート、2−イソシアナトメチル−3−(3−イソシアナトプロピル)−5−イソシアナトメチル−ビシクロ−(2,2,1)−ヘプタン、2−イソシアナトメチル−2−(3−イソシアナトプロピル)−6−イソシアナトメチル−ビシクロ−(2,2,1)−ヘプタン、2−イソシアナトメチル−2−(3−イソシアナトプロピル)−5−イソシアナトメチル−ビシクロ−(2,2,1)−ヘプタン、2−イソシアナトメチル−3−(3−イソシアナトプロピル)−6−イソシアナトメチル−ビシクロ−(2,2,1)−ヘプタン、2−イソシアナトメチル−3−(3−イソシアナトプロピル)−5−(2−イソシアナトメチル)−ビシクロ−(2,2,1)−ヘプタン、2−イソシアナトメチル−3−(3−イソシアナトプロピル)−6−(2−イソシアナトメチル)−ビシクロ−(2,2,1)−ヘプタン、2−イソシアナトメチル−2−(3−イソシアナトプロピル)−5−(2−イソシアナトエチル)−ビシクロ−(2,2,1)−ヘプタンおよび2−イソシアナトメチル−2−(3−イソシアナトプロピル)−6−(2−イソシアナトエチル)−ビシクロ−(2,2,1)−ヘプタン等;および
【0047】
芳香族化合物では、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、エチルフェニレンジイソシアネート、イソプロピルフェニレンジイソシアネート、ジメチルフェニレンジイソシアネート、ジエチルフェニレンジイソシアネート、ジイソプロピルフェニレンジイソシアネート、トリメチルベンゼントリイソシアネート、ベンゼントリイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、メチルナフタレンジイソシアネート、ビフェニルジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメトキシビフェニル− 4,4’−ジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、高分子MDI、ナフタレントリイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4,4’−トリイソシアネート、3−メチルジフェニルメタン−4,6,4’−トリイソシアネート、4−メチルジフェニルメタン−3,5,2’,4’,6’−ペンタイソシアネート、フェニルイソシアナトメチルイソシアネート、フェニルイソシアナトエチルイソシアネート、テトラヒドロナフチレンジイソシアネート、ヘキサヒドロベネンジイソシアネート、ヘキサヒドロジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルエーテルジイソシアネート、エチレングリコールジフェニルエーテルジイソシアネート、1,3−プロピレングリコールジフェニルエーテルジイソシアネート、ベンゾフェノンジイソシアネート、ジエチレングリコールジフェニルエーテルジイソシアネート、ジベンゾフランジイソシアネート、カルバゾールジイソシアネート、エチルカルバゾールジイソシアネートおよびジクロロカルバゾールジイソシアネート等;硫化物を含有する脂肪族ポリイソシアネート類では、チオジエチルジイソシアネート、チオジプロピルジイソシアネート、チオジヘキシルジイソシアネート、ジメチルスルホンジイソシアネート、ジチオジメチルジイソシアネート、ジチオジエチルジイソシアネート、およびジチオジプロピルジイソシアネート等;
【0048】
イオウ芳香族ポリイソシアネート類では、ジフェニルスルフィド−2,7’−ジイソシアネート、ジフェニルスルフィド−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4,−ジイソシアナト−ジベンジルチオエーテル、ビス(4−イソシアナトメチルフェニル)スルフィド、および4,4−メトキシフェニルチオエチレングリコール−3,3’−ジイソシアネート、ジフェニルジスルフィド−4,4’−ジイソシアネート、2,2−ジメチルジフェニルジスルフィド−5,5’−ジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニルスルフィド−6,6’ ジイソシアネート、4,4’−ジメチルフェニルジスルフィド−5,5’−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシジフェニルジスルフィド−4,4’−ジイソシアネート、および4,4’−ジメトキシ−ジフェニルジスルフィド−3,3’−ジイソシアネート等;
【0049】
ジフェニルスルホン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルスルホン−3,3’−ジイソシアネート、ベンジジンスルホン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタンスルホン−4,4’−ジイソシアネート、4−メチルジフェニルスルホン−2,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジメトキシジフェニルスルホン−3,3’−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジイソシアナトジベンジルスルホン、4,4’−ジメチルジフェニルスルホン−3,3’−ジイソシアネート、4,4’−ジテルト−ブチルジフェニルスルホン−3,3’−ジイソシアネート、4,4’−メトキシフェニルエチレンジスルホン−3,3’−ジイソシアネート;4−メチル−3−イソシアナト−フェニルスルホニル−4’−イソシアナトフェノールエステルおよび4−メトキシ−3−イソシアナトフェニルスルホニル−4’−イソシアナトフェニルエステル;スルホンアミド基を含有する芳香族ポリイソシアネート類では、4−メチル−3−イソシアナトフェニルスルフォニルアニリド−3’−メチル−4’−イソシアネート、ジフェニルスルフォニル−エチレンジアミン−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−メトキシフェニル−スルフォニルエチレン−ジアミン−3,3’−ジイソシアネート、および4−メチル−3−イソシアナトフェニルスルホニルアニリド−4−メチル−3’−イソシアネート等;および複素環式イオウ含有化合物ではチオフェン−2,5−ジイソシアネート等;および1,4−ジチアン−2,5−ジイソシアネート。
【0050】
好ましいポリイソシアネートは次の化学式、すなわち C6H4(CH2NCO)2 の化合物である。
本発明により有用とされるポリチオールおよびポリイソシアネートの重合性化合物は米国特許第5087758号、第5191055号および第4775733号に詳細に記載されている。
組成物に有用なモノマー類はポリチオウレタン−尿素前駆体モノマー類の中からも選ぶことができる。
ポリチオウレタン−尿素ベースの基材をもたらす重合性組成物については例えば国際特許出願公開WO第03/042270号に記載されている。
本発明による組成物に有用なモノマー類はポリエピスルフィド前駆体モノマー類の中からも選ぶことができる。
エピスルフィドの重合性組成物については他のものとともにヨーロッパ特許第874016号およびヨーロッパ特許第0942027号の書類の中に記載されている。
【0051】
少なくとも1つのエピスルフィド官能基性を持つ重合性組成物は分子中に次に表す化学式のエピスルフィド構造を1つ以上持つ化合物であることが好ましい:
【0052】
【化20】

【0053】
ここにR14は1から10コの炭素原子を持つ炭化水素基を表し、R15、R16および R17はそれぞれ水素原子または1から10コの炭素原子を持つ炭化水素基を表し、XはSまたはOを表すが、分子中のX で表されるS の平均数は3員環を構成する S および O の合計数の50%以上であることが好ましいという条件付である。
【0054】
好ましい種類の重合性エピスルフィドモノマー類は次の化学式の化合物で表される:
【0055】
【化21】

【0056】
ここにR18、R19、 R20、 R21、R22および R23のそれぞれは水素原子または炭素原子を1から10コ持つ炭化水素基を表し、XはSまたはOを表すが分子中のX で表されるSの平均数は3員環を構成するSおよびOの合計数の約50%以上であるという条件付で、mは0から6の整数を表しnは0から4の整数を表す。
【0057】
R14はメチレンまたはエチレン基を表すことが好ましく、R15、R16および R17ならびにR18、R19、R20、R21、R22および R23はそれぞれが水素原子またはメチル基を表すことが好ましい。さらに好ましくは、R14はメチレン基を、およびR15、R16、R17、R18、R19、R20、 R21、R22および R23のそれぞれは水素原子を表す。
Sの平均数は3員環を構成するSおよびOの合計数の50%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、理想的には100%である。
【0058】
この様な化合物が含む直鎖状有機化合物の例としては、ビス(β−エピチオプロピルチオ)メタン、1,2−ビス(β−エピチオプロピルチオ)エタン、1,3−ビス(β−エピチオプロピルチオ)プロパン、1,2−ビス(β−エピチオプロピルチオ)プロパン、1−(β−エピチオプロピルチオ)−2−(β−エピチオプロピルチオメチル)プロパン、1,4−ビス(β−エピチオプロピルチオ)ブタン、1,3−ビス(β−エピチオプロピルチオ)ブタン、1−(β−エピチオプロピルチオ)−3−(β−エピチオプロピルチオメチル)ブタン、1,5−ビス(β−エピチオプロピルチオ)ペンタン、1−(β−エピチオプロピルチオ)−4−(β−エピチオプロピルチオメチル)ペンタン、1,6−ビス(β−エピチオプロピルチオ)ヘキサン、1−(β−エピチオプロピルチオ)−5−(β−エピチオプロピルチオメチル)ヘキサン、1−(β−エピチオプロピルチオ)−2−[(2−β−エピチオプロピルチオエチル)チオ]エタンおよび1−(β−エピチオプロピルチオ)−2−[[2−(2−β−エピチオプロピルチオエチル)チオエチル]チオ]エタンが挙げられ;
【0059】
枝分かれした有機化合物としては、テトラキス(β−エピチオプロピルチオメチル)メタン、1,1,1−トリス(β−エピチオプロピルチオメチル)プロパン、1,5−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−2−(β−エピチオプロピルチオメチル)−3−チアペンタン、1,5−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−2,4−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3−チアペンタン、1−(β−エピチオプロピルチオ)−2,2−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−4−チアヘキサン、1,5,6−トリス(β−エピチオプロピルチオ)−4−(β−エピチオプロピルチオメチル)−3−チアヘキサン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−4−(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−4,5−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−4,4−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−2,4,5−トリス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−2,5−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,9−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−5−(β−エピチオプロピルチオメチル)−5−[(2−β−エピチオプロピルチオエチル)チオメチル]−3,7−ジチアノナン、1,10−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−5,6−ビス[(2−β−エピチオプロピルチオエチル)チオ]−3,6,9−トリチアデカン、1,11−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−4,8−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン、1,11−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−5,7−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン、1,11−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−5,7−[(2−β−エピチオプロピルチオ)チオメチル]−3,6,9−トリチアウンデカンおよび1,11−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−4,7−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6,9−トリチアウンデカンが挙げられ;
【0060】
エピスルフィド基の少なくとも1つの水素原子をメチル基、脂環式有機化合物に置きかえて得られる化合物では、1,3−および1,4−ビス(β−エピチオプロピルチオ)シクロヘキサン類、1,3−および1,4−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)シクロヘキサン類、ビス[4−(β−エピチオプロピルチオ)シクロヘキシル]メタン、2,2−ビス[4−(β−エピチオプロピルチオ)シクロヘキシル]プロパン、ビス[4−(β−エピチオプロピルチオ)シクロヘキシル]スルフィド、2,5−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−1,4−ジチアンが挙げられ;および2,5−ビス(β−エピチオプロピルチオエチルチオメチル)−1,4−ジチアン;およびエピスルフィド基の水素原子の少なくとも1つをメチル基に置きかえて得られる化合物が挙げられる。
【0061】
好ましいエピスルフィド化合物は次の化学式のビス(β−エピチオプロピル)スルフィドである:
【0062】
【化22】

【0063】
前に示したとおり、重合性組成物は組成物がイオウモノマー類を含む場合にとりわけ有効である。
しかしながら、モノマー中にイオウ原子が無いときには1つ以上のマスキング剤および1つ以上の香料の特別な混合物を本発明による組成物内に用いることもまた可能である。この様な場合、マスキング剤に比べると香料の芳香機能が主要な役割を果たす。
【0064】
この様な2番目の実施形態において、本発明による組成物において有用なモノマーはポリアリル化合物、ポリ(メタ)アクリレート類、スチレン/(メタ)アクリレート共重合体、ブタジエン/(メタ)アクリレート共重合体、ポリウレタン類、ポリウレタン−尿素類、ポリエポキシド類およびポリカーボネート類の前駆体モノマー類のなかから選ばれることが好ましい。
本発明による組成物において有用なポリ(メタ)アクリレート類の前駆体モノマー類はすべて、とりわけジ−、トリ−またはテトラ(メタ)アクリレートモノマーは現在めがねレンズの生産に用いられているポリ(メタ)アクリレート類の前駆体モノマー類となり得る。モノマーはジ(メタ)アクリレートであることが好ましい。好ましいジ(メタ)アクリレート類の例に含まれるものは、アルキレングリコール−ジ(メタ)アクリレート類で好ましくはエチレングリコール−ジ(メタ)アクリレートおよびプロピレングリコール−ジ(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコール−ジ(メタ)アクリレート類で好ましくはポリエチレングリコール−ジ(メタ)アクリレート類およびポリブチレングリコール−ジ(メタ)アクリレート類、ネオペンチルグリコール−ジ(メタ)アクリレート、およびビスフェノールAジ(メタ)アクリレート類の誘導体が挙げられる。
【0065】
ブタジエン/(メタ)アクリレート共重合体の前駆体モノマー類の例に含まれるものとして、ポリ(メチルメタクリレート−ブタジエン)、ポリ(エチルメタクリレート−ブタジエン)、ポリ(プロピルメタクリレート−ブタジエン)、ポリ(ブチルメタクリレート−ブタジエン)、ポリ(メチルアクリレート−ブタジエン)、ポリ(エチルアクリレート−ブタジエン)、ポリ(プロピルアクリレート−ブタジエン)、およびポリ(ブチルアクリレート−ブタジエン)が挙げられる。
前に示したように、組成物は環状エーテル類から選ばれた少なくとも1種類のマスキング剤を含む。
マスキング剤は多環式エーテル類から選ばれるのが好ましく、2環式エーテル類からがより好ましい。
【0066】
とりわけ好ましいマスキング剤は次の化学式の1,8−シネオール(Eucalyptol とも呼ばれる)である:
【0067】
【化23】

別のマスキング剤の例としては次の化学式の1,4−シネオールがある:

【0068】
マスキング剤は重合性モノマー類を重量で100部とした場合に重量で好ましくは0.1から3部、より好ましくは0.5から1.5部、そして最も好ましくは0.8から1部に相当することである。
マスキング剤に加えて、本発明による組成物は天然または合成のジャコウ、好ましくは合成ジャコウの例えば単環式、多環式または大員環ジャコウから選ばれた少なくとも1種類の香料を含む
単環式ジャコウの例は次の通りである:
【0069】
【化24】

( RosamuskTMの名称で市販されている)
【0070】
本発明のためには多環式ジャコウが好ましいが次の化学式の化合物から選択することができる:
【0071】
【化25】

(CAS番号:1222−05−5、GalaxolideTMの名称で市販)

(CAS番号:1506−02−1、TetralideTMの名称で市販)

(CAS番号:13171−00−1、CelestolideTMの名称で市販)

(CAS番号:15323−35−0)
【0072】
【化26】


(CAS番号:68140−48−7)

(CAS番号:88−29−9)

(CAS番号:33704−61−9、CashmeranTMの名称で市販)

(CAS番号:92836−10−7)
【0073】
【化27】

【0074】
大員環ジャコウは次の化学式の化合物から選択することができる:
【0075】
【化28】

(CAS番号:541−91−3)

(CAS番号:106−02−5、ExaltolideTMの名称で市販)

(CAS番号:105−95−3、Musk TTMの名称で市販)

(CAS番号:28645−51−4、AmbrettolideTMの名称で市販)
【0076】
【化29】

(CAS番号:542−46−1)



(CAS番号:144 020−22−4、TrimofixTMの名称で市販)

(CAS番号:502−72−7)

(CAS番号:3100−36−5)
【0077】
【化30】

(CAS番号:37609−25−9)

(CAS番号:34902−57−3)

(CAS番号:3391−83−1)

(CAS番号:3391−83−1)

(CAS番号:6707−60−4)
【0078】
香料は重合性モノマー類を重量で100部とした場合に重量で0.02から3部、好ましくは0.1から3部、より好ましくは0.2から1.5部そして最も好ましくは0.3から1部に相当することが好都合である。
本発明による別の実施形態によると、本発明による組成物はさらに少なくとも1種類のアルデヒド誘導体を含む。
アルデヒド誘導体は通常不飽和 C4〜C14アルデヒド誘導体から選ばれる。とりわけcis−4−デセナールおよびcis−4−ヘプテナールは掲げておくべきものである。
アルデヒド誘導体は重合性モノマー類を重量で100部とした場合に重量で5x10−3から1部、好ましくは0.02から0.5部、そしてより好ましくは0.02から0.1部に相当することが好都合である。
【0079】
本発明による別の実施形態においては、本発明による組成物はさらに追加の化合物Pを含み、当該化合物Pは香料またはその混合物で、先に規定した香料とは別のもので、テルペン類、脂肪族または芳香族のエステル、非芳香族2環式化合物で少なくとも1つの環内2重結合を含むもの、またはこれらの混合物から選ばれる。
追加化合物Pは重量で60から90%のテルペン、重量で2から15%の脂肪族または芳香族のエステル、および重量で2から10%の少なくとも1つの環内2重結合を含む非芳香族2環式化合物から構成されることが好ましい。
【0080】
テルペンはリモネン類が好ましく、リモネンR(+)がより好ましい。
脂肪族または芳香族エステルはエチルメチルフェニルグリシデート、エチルヘキサノエートおよびこれらの混合物から選ぶことができる。
少なくとも1つの環内2重結合を含む非芳香族2環式化合物とは例えばカリオフィレンである。
通常、追加化合物Pは重合性モノマー類を重量で100部とした場合に重量で0.05から1部、より好ましくは0.1から0.5部に相当する。
【0081】
好ましい追加化合物PはPlastodorTMで、次の化合物から構成される(重量で):
【0082】
【化31】

【0083】
本発明による組成物がアルデヒド誘導体も追加化合物Pも含まない場合、マスキング剤および香料の両方で重合性モノマー類を重量で100部とした場合に少なくとも重量で1.5部に相当することが好ましい。
本発明による組成物が1種類以上のアルデヒド誘導体および/または追加化合物Pを含む場合、マスキング剤および香料の両方で重合性モノマー類を重量で100部とした場合に少なくとも重量で1.1部に相当することが好ましい。
本発明による組成物はさらに光学物品とりわけめがねレンズを鋳型するための重合性組成物に慣例的に用いられる添加物、すなわち重合禁止剤、着色剤、UV吸収剤、酸化防止剤、および黄変防止剤を慣例的な比率で含むこともある。
【0084】
酸化防止剤の好ましい例としてはトリフェニルフォスフィン(TPP)およびIrganoxTM1010(ペンタエリスリトール−テトラキス[3(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロプリオネート](CG1010)がある。
本発明による組成物は1種類以上の重合開始剤を含むこともできる。重縮合系重合システムの場合はスズをベースとした触媒、例えばジブチルジラウリン酸スズが好んで用いられる。組成物がラジカル開始剤で重合する場合、好ましくは光開始剤または光開始剤と熱開始剤の混合物が組成物内の重合性モノマーの合計重量に対し重量で0.001から5%の割合で用いられる。
【0085】
本発明による重合性組成物に有用な光開始剤の例として含まれるものとして2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキシド(TPO)、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニル−ケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン 1−オン、アルキルベンゾイルエーテル類、CIBA-GEIGY社からCGI 1700の名称で市販されている次の化学式を持つ化合物の25/75混合物である光開始剤:
【0086】
【化32】

および次の化学式の化合物:

【0087】
およびCIBA GEIGY社から市販されている光開始剤CGI1850で化合物Aおよび次の化学式をもつIrgacureTM 184の(50/50)混合物(重量比)である:
【0088】
【化33】

が挙げられる
【0089】
前に示したように、本発明による好ましい重合性組成物は1種類以上の光開始剤を含む光重合性組成物である。
さらに好ましい本発明による重合性組成物は、光重合開始剤および熱重合開始剤の両方を含む光および熱重合性組成物である。
熱重合開始剤は当技術分野では周知の化合物でこれらの中で言及すべきものは過酸化物で例えば過酸化ベンゾイル、シクロヘキシルパーオキシジカーボネート、イソプロピルペルオキシ−ジカーボネートおよびt−ブチルペルオキシ(2−エチルヘキサノエート)等である。
本発明の別の目的は先に規定した化合物等の組成物の重合により得られる光学レンズである。
【0090】
とりわけ、光学レンズは眼科用レンズにも、より好ましくはめがねレンズにもなり得る。
最後に、本発明はポリチオウレタンをベースとした基材を調合する方法を目的とし、次の手順で構成される
− 少なくとも1種類のポリチオールモノマー、環状エーテルから選ばれた少なくとも1種類のマスキング剤および多環式または大員環ジャコウから選ばれた少なくとも1種類の香料を含む第1混合物を準備し、
− 少なくとも1種類のポリイソシアネートモノマーを前記第1混合物と好ましくは冷間混合して主混合物を形成し、次いで
− 前記主混合物を重合する。
冷間混合とは15℃未満、好ましくは10℃レベルの温度でなされる混合を意味し、これにより重合を防止する。
【0091】
ポリイソシアネートモノマーは事前に少なくとも1種類の触媒と混合されていることが好ましい。
あるいは、前記ポリチオールモノマーをポリイソシアネートモノマーと同様に混ぜておくこともでき、次いで環状エーテルから選ばれた少なくとも1種類のマスキング剤および多環式または大員環ジャコウから選ばれた少なくとも1種類の香料を加えることができる。
触媒はモノマーを重合するのに通常用いられる触媒から選ぶことができる。
とりわけ二塩化ジブチルスズ、二塩化ジメチルスズおよびジラウリン酸ジブチルスズを挙げることができる。
【0092】
<実施例>
当該実施例の狙いは異なるポリチオウレタンをベースとした香り付きめがねを製造しこれらのマスキング能力を計測するとともにマスキング臭を評価することにある。
【0093】
めがねは次の方法を用いて準備した:
1)化合物X(ポリイソシアネートモノマー)の製造
化合物Xは次の化学式C6H4(CH2NCO)2 の化合物である。
重量で52部の化合物Xおよび重量で0.01部の化学式 n(C4H9)2Sn(Cl)2 の二塩化ジブチルスズを混合する。混合物を10℃で30分間マグネチックバーを用いて冷間混合する。
2)化合物Y(ポリチオールモノマー)の製造
使用する化合物Yは次の化学式の化合物である:
【0094】
【化34】

それぞれの場合に応じて化合物Y(重量で48部の量に等しい)を次の化合物または混合物の1つと混合する。
− 環状エーテル(比較実施例)
− Plastodor(比較実施例)
− ジャコウ(比較実施例)
− 環状エーテルおよびジャコウ(本発明による)
− 環状エーテル、ジャコウおよびアルデヒド誘導体(本発明による)
− 環状エーテル、ジャコウおよびPlastodorTM(本発明による)
− 環状エーテル、ジャコウ、アルデヒド誘導体およびPlastodorTM(本発明による)
【0095】
全体をマグネチックバーを用いて約10℃の低温で約30分間混合する。
モノマーXおよびYを合わせてガス抜き用の1次真空ポンプを装備した容量5kgの2重外筒式調合管内で60分間混合する。混合は10℃の温度で行われる。
次いで調合物は混合無しで30分間ガス抜きを行う。
次いで真空を乾燥二窒素により破る。
かくして調合できた混合物を鋳型アセンブリ内の1.2μm多孔性フィルターを通して射出することにより透明な光学ガラスを得ることを意図する。
【0096】
それぞれのアセンブリは2つの無機ガラスの型で作られ合わせて鋳型キャビティーを形成し、粘着テープまたは接合具によりその周縁部で支持される。
<結果>
試験したそれぞれの調合物についてクリッピング作業中に放出される臭気を評価する。
クリッピング作業はKappa 上の標準的クリッピングで冷水を用い平均時間30秒間である。臭気の評価はKappa から1m未満に位置する2から5人により行われる。
【0097】
結果は次の基準に基づき評価される:
1)残留イオウ臭の臭気感知
【0098】
【表1】

【0099】
【表2】

【0100】
イオウ臭が殆ど無いか極めてわずかしか感知できず、かつ香料臭が満足で快適である場合に最終結果が満足(OK)となる。
他の場合には最終結果が不満足(NON OK)となる。
【0101】
表1において、単1種類の添加物(環状エーテル、ジャコウまたはPlastodorTM)を含む調合物(比較実施例)がテストされている。
【0102】
【表3】

【0103】
表2においては2種類の添加物を含む本発明に基づく調合物がテストされている。
【0104】
【表4】

【0105】
【表5】

【0106】
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
1種類以上の重合性モノマーを含む組成物で、環状エーテル類から選ばれた少なくとも1種類のマスキング剤ならびに、天然ジャコウ類とその誘導体、合成ジャコウ類、およびこれらの混合物から選ばれた少なくとも1種類の香料を含むことを特徴とする1種類以上の重合性モノマーを含む組成物。
【請求項2】
少なくとも1つのイオウ原子を含むモノマーから選ばれたモノマーを少なくとも1種類含むことを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
少なくとも1つのイオウ原子を含むモノマーが、ポリチオ(メタ)アクリレート類、ポリチオウレタン類、ポリチオウレタン−尿素類およびポリエピスルフィド類の、前駆体モノマーから選ばれることを特徴とする、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
組成物が少なくとも1種類のポリチオールモノマーおよび少なくとも1種類のポリイソシアネートモノマーを含むことを特徴とする、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
ポリチオールが次の化学式:
【化1】


を持ち、ポリイソシアネートが化学式C6H4(CH2NCO)2の化合物であることを特徴とする、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
モノマーがポリアリル化合物、ポリ(メタ)アクリレート類、スチレン/(メタ)アクリレート共重合体、ブタジエン/(メタ)アクリレート共重合体、ポリウレタン類、ポリエポキシド類およびポリカーボネート類の、前駆体モノマーから選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
マスキング剤が多環式エーテル類、好ましくは2環式エーテル類から選ばれることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
マスキング剤が1,8−シネオールおよび1,4−シネオールから選ばれることを特徴とする、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
合成ジャコウが単環式、多環式または大員環ジャコウ類であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の組成物。
【請求項10】
多環式ジャコウが次の化学式の化合物から選ばれることを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の組成物:
【化2】

【請求項11】
大員環ジャコウが次の化学式の化合物から選ばれることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の組成物:
【化3】




















【請求項12】
重合性モノマー類を重量で100部とした場合にマスキング剤が重量で0.1から3、好ましくは0.5から1.5、または、より好ましくは0.8から1部に相当することを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載の組成物。
【請求項13】
重合性モノマー類を重量で100部とした場合に香料が重量で0.02から3、好ましくは0.1から3、より好ましくは0.2から1.5、または、最も好ましくは0.3から1部に相当することを特徴とする、請求項1〜12のいずれかに記載の組成物。
【請求項14】
組成物がさらに少なくとも1種類のアルデヒド誘導体を含むことを特徴とする、請求項1〜13のいずれかに記載の組成物。
【請求項15】
アルデヒド誘導体が不飽和C4 〜 C14アルデヒド誘導体から選ばれることを特徴とする、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
アルデヒド誘導体がcis−4−デセナールおよびcis−4−ヘプテナールから選ばれることを特徴とする、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
重合性モノマー類を重量で100部とした場合にアルデヒド誘導体が重量で0.005から1、好ましくは0.02から0.5、または、より好ましくは0.02から0.1部に相当することを特徴とする、請求項14〜16のいずれかに記載の組成物。
【請求項18】
組成物が追加化合物Pを含み、当該追加化合物Pが香料または香料類の混合物であるが先の請求項で規定した香料類とは異なり、テルペン類、脂肪族または芳香族エステル、非芳香族2環式化合物で少なくとも1つの環内2重結合を含むもの、またはこれらの混合物から選ばれることを特徴とする、請求項1〜17のいずれかに記載の組成物。
【請求項19】
追加化合物Pが重量で60から90%のテルペン、重量で2から15%の脂肪族または芳香族のエステルおよび重量で2から10%の非芳香族2環式化合物で少なくとも1つの環内2重結合を含むものから構成されることを特徴とする、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
テルペンがリモネン類、好ましくはリモネンR(+)であることを特徴とする、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
脂肪族または芳香族エステルがエチルメチルフェニルグリシデート、エチルヘキサノエートおよびこれらの混合物から選ばれることを特徴とする、請求項18〜20のいずれかに記載の組成物。
【請求項22】
少なくとも1つの環内二重結合を含む非芳香族2環式化合物がカリオフィレンであることを特徴とする、請求項18から21のいずれかに記載の組成物。
【請求項23】
重合性モノマー類を重量で100部とした場合に追加化合物Pが重量で0.05から1、より好ましくは0.1から0.5部に相当することを特徴とする、請求項18〜22のいずれかに記載の組成物。
【請求項24】
重合性モノマー類を重量で100部とした場合にマスキング剤および香料を合わせて重量で少なくとも1.5部に相当することを特徴とする、請求項12または13に記載の組成物。
【請求項25】
重合性モノマー類を重量で100部とした場合にマスキング剤および香料を合わせて重量で少なくとも1.1部に相当することを特徴とする、請求項14から17のいずれかに記載の組成物。
【請求項26】
請求項1〜25のいずれかに記載した化合物を重合することにより得られる光学レンズ。
【請求項27】
レンズが眼科レンズであることを特徴とする、請求項26に記載した光学レンズ。
【請求項28】
レンズがめがねレンズであることを特徴とする、請求項27に記載した光学レンズ。
【請求項29】
ポリチオウレタンをベースとした基材を作成する方法で、
少なくとも1種類のポリチオールモノマー、少なくとも1種類のマスキング剤で環状エーテル類から選ばれたもの、および少なくとも1種類の香料で多環式または大員環ジャコウ類から選ばれたものから構成される第1混合物を作り、
前記第1混合物と少なくとも1種類のイソシアネートモノマーを好ましくは冷間混合して主混合物を形成し、
前記主混合物を重合する
工程を有する、ポリチオウレタンをベースとした基材を製造する方法。

【公表番号】特表2008−503635(P2008−503635A)
【公表日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−517382(P2007−517382)
【出願日】平成17年6月21日(2005.6.21)
【国際出願番号】PCT/FR2005/050476
【国際公開番号】WO2006/005874
【国際公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【出願人】(594116183)エシロール アテルナジオナール カンパニー ジェネラーレ デ オプティック (69)
【氏名又は名称原語表記】ESSILOR INTERNATIONAL COMPAGNIE GENERALE D’ OPTIQUE
【Fターム(参考)】