説明

良性前立腺肥大の治療のためのビタミンD3アナログの使用

良性前立腺肥大(BPH)及び随伴症状の予防及び/又は治療を目的とする医薬品の製造のための、1-α-フルオロ-25-ヒドロキシ-16,23E-ジエン-26,27-ビスホモ-20-エピ-コレカルシフェロール、又はそれらの医薬として許容できる塩もしくはエステルの使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、良性前立腺肥大(BPH)及び随伴症状の予防及び/又は治療用の医薬品の製造のための、1-α-フルオロ-25-ヒドロキシ-16,23E-ジエン-26,27-ビスホモ-20-エピ-コレカルシフェロール(化合物A)の使用に関する。これは更に、1-α-フルオロ-25-ヒドロキシ-16,23E-ジエン-26,27-ビスホモ-20-エピ-コレカルシフェロールを、そのような疾患を予防及び/又は治療する有効量、単独で又は更なる活性物質と組合せて投与することによる、良性前立腺肥大及び随伴症状を予防及び/又は治療するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
BPHは、高齢男性において一般的な疾患であり、60歳男性の約50%、及び85歳男性の90%において発症する。BPHは、間質細胞及び上皮細胞の過形成を特徴とする、特異的組織病理学的実体である。
【0003】
BPHの病理発生に関するふたつの公知の疫学的要因は、1世紀にわたり、加齢及び機能性精巣の存在であり続けた。しかし前立腺生物学科学の進歩により、この概念はBPH病理発生の全ての局面を対象としていないので、これは不適切となってきている。追加の疫学的要因は、前立腺成長の調節において重要な役割を果たしている。特に、前立腺成長は、パラクリン機構において隣接細胞に、又はオートクリン機構において同じ細胞に、局所的に作用する、前立腺細胞により産生された特異的増殖因子の直接の制御下にあることの証拠が浮かび上がってきている。従って前立腺内の増殖因子を阻害することを目的とした治療戦略を確定するために、現在多くの努力が成されている。
【0004】
BPHは、排尿サイクルの蓄尿相(刺激性症状)及び排尿相(閉塞性症状)の両方に影響を及ぼし得る、慢性の後部尿道症状の一般的原因である。これらの症状は、患者の社会的、精神的、家庭的、職業的、身体的及び性的生活に影響を及ぼし、患者の生活の質(QOL)へ著しい負の作用をもたらす。これに加えBPHは、より急性の泌尿器合併症、特にBPHの最も重症の合併症と考えられることが多い急性尿閉(AUR)、及び頻度の低い再発性尿路感染症、上部尿道拡張症、膀胱結石及び再発性血尿を引き起こし得る。
BPH管理には、極めて高い社会的コストが伴い、これは米国だけで1993年には40億ドルと概算され、2003年には260億ドルと算出されている。
【0005】
現在のBPHの内科的治療は、5αレダクターゼインヒビター(最近FDAにより承認されたフィナステリド及びデュタステリド)並びにα1受容体アンタゴニスト(テラゾシン、ドキサゾシン、タムスロシンに加え、シロドシン、AIO-8507L、RBx-2258など)の経口投与からなる。これらの治療の選択肢は各々、それらの異なる作用機序に関する利点及び欠点の両方に関連している。α1受容体アンタゴニストは後部尿道症状(LUTS)に関連した症状を軽減する上で非常に効果があるが、これらは前立腺容量を低下する上で、従ってBPHに関連した手術を防止する上では、無効である。対照的に、フィナステリド及びデュタステリドのような5αレダクターゼインヒビターは、ジヒドロテストステロン(DHT)形成を減少することにより、前立腺サイズを低下し、及び手術の必要性を少なくする。加えて18,000名を超える健常な高齢男性が参加した7年間にわたる前立腺癌予防治験の最近の結果は、フィナステリドは、前立腺癌の出現を防止又は遅延することができることを明らかにした(Thompson, I. M.らの論文、New England Joumal of Medicine、349:215-224 (2003)参照)。しかし予想されたように(Kassabian, V. S.の論文、Lancet、361:60-62 (2003)参照)、フィナステリドは、癌予防薬としてのその魅力を実質的に減じることとなる、抗-アンドロゲンの性的機能に対する有害作用、例えば低下した性交能力、性欲及び女性化乳房などがないことはない。加えてフィナステリド治療は、高度の前立腺癌検出の増加に関連し、これは恐らくフィナステリドが誘導した低アンドロゲン状態が、最も攻撃的なアンドロゲン-不応の悪性成長細胞を選択したためであろう(Scardino, P. T.の論文、New England Journal of Medicine、349:297-299 (2003)参照)。
【0006】
従って、アンドロゲンが誘導した前立腺成長を減少することによるが、アンドロゲン受容体(AR)と直接干渉せずに、その結果、例えば性的副作用のような抗-アンドロゲン性の前立腺及び前立腺外の有害作用を伴わずに、それに関連した手術の必要性に加え、急性尿閉を予防することができるという、BPHの内科的治療のための薬物の新規クラスの満たされていない必要性が存在する。このような医薬品は、前立腺内の増殖因子のシグナル伝達を破壊することにより、BPHを治療するのみではなく、恐らくAR-不応の悪性クローンを選択することなく、前立腺癌の予防についても有用である。
【0007】
本願明細書に説明されたように、本発明者らは、高カルシウム血症性でない忍容性のよいビタミンD3アナログである1-α-フルオロ-25-ヒドロキシ-16,23E-ジエン-26,27-ビスホモ-20-エピ-コレカルシフェロール(化合物A)が、増殖因子が媒介した前立腺成長を含む、BPH細胞増殖を制御する複数の経路を標的化することにより、アンドロゲン-受容体とは無関係の様式でBPHに対し作用することができる医薬品の主な例であることを決定した。
【0008】
1,25-ジヒドロキシビタミンD3(1,25(OH)2D3)は、ビタミンD3の活性化された形であるが、これは骨及びカルシウム代謝において中心的役割を果たすのみでなく、免疫応答の調節並びに悪性細胞を含む多くの細胞型の分化及びアポトーシスにも関連したセコステロイドホルモンである。
しかしカルシトリオールの治療的用途の問題点は、高カルシウム血症及び高リン酸血症を誘導するその自然の能力である。こうして生物学的活性を保持するが高カルシウム血症の副作用は回避するカルシトリオールアナログが開発された。
【0009】
米国特許第5,939,408号及び欧州特許第808833号は、化合物1-α-フルオロ-25-ヒドロキシ-16,23E-ジエン-26,27-ビスホモ-20-エピ-コレカルシフェロール(化合物A)を含む、多くの1,25(OH)2D3アナログを開示している。米国特許第5,939,408号及び欧州特許第808833号は、これらの化合物が、様々な皮膚細胞株及び癌細胞株において分化及び増殖の阻害を誘導し、並びに乾癬などの過増殖性皮膚疾患、白血病、乳癌のような新生物形成疾患、並びに座瘡及び脂漏性皮膚炎などの皮脂腺疾患、並びに骨粗鬆症の治療において有用であることを開示している。
【発明の開示】
【0010】
ここで驚くべきことに、本発明者らにより実施されたいくつかの試験において、下記1,25(OH)2D3アナログ化合物Aは、ある種の他の1,25(OH)2D3アナログとは異なり、in vitroにおいて、それらのアポトーシス誘導により、ヒトBPH細胞の増殖を有意に低下すること、並びにin vivoにおいて、テストステロン及びジヒドロテストステロンのレベルに作用することなく、前立腺成長を低下させることが見いだされた。
【0011】
【化1】

【0012】
更にこの前立腺成長の阻害は、高カルシウム血症を生じない投与量で実現される。従って化合物Aは、良性前立腺肥大の治療において有効な薬理学的物質である。
本願明細書の実施例において説明されたように、化合物Aは、前立腺サイズを低下する。更にフィナステリドにより認められるように、化合物Aは、テストステロンのin vitro及びin vivo増殖活性に負に作用する。しかし重要なことに化合物Aは、フィナステリドとは異なり、1型又は2型5α-レダクターゼ活性を阻害せず、並びにテストステロンのみではなく、ジヒドロテストステロンが誘導したBPH細胞増殖についてさえも負に作用する。化合物Aは、ARに結合すること又はARアゴニストもしくはアンタゴニストとして作用することの両方を欠いていることが示されているので、これらの化合物Aの抗-アンドロゲン特性は、ARとの相互作用には関係ない。更に化合物Aは、性ホルモン分泌に影響しない。更に本発明者らの研究において、化合物Aは、前立腺特異抗原(PSA)レベルに対し重要な作用を有さず、その結果この可能性のある前立腺癌の重要なインジケーターを遮蔽することにより、化合物Aによる治療に危険があるとは見えない。
【0013】
化合物Aの更に重要な利点は、in vitro試験でこの薬物は、フィナステリドとは異なり、膀胱細胞の基本的な及びテストステロン-刺激した増殖の阻害を可能にすることを明らかにしており、これはヒトの膀胱機能不全の予防及び/又は治療において有用であると予想されることである。バリデーションされた膀胱機能不全のラット膀胱流出口閉塞モデルにおけるin vivo試験も同じく、化合物Aの有益な作用を明らかにした。膀胱機能不全は、一般的であり及びBPHの問題の多い続発症であるので、このことは重要である。従って化合物Aは、化合物Aの前立腺及び膀胱の両方への直接作用により、同時に、前立腺サイズを減少し膀胱機能不全を改善、すなわち膀胱機能及びBPHの膀胱関連した症状を改善することが可能である。この作用は、単なる前立腺サイズの減少の結果として期待される膀胱症状の改善に勝ることが予想される。膀胱症状は、過活動膀胱を含み、及び改善された膀胱機能のインジケーターは、非-排尿性収縮及び残尿の減少を含む。
【0014】
従って本発明は、良性前立腺肥大の予防及び/又は治療のための医薬品の製造における、1-α-フルオロ-25-ヒドロキシ-16,23E-ジエン-26,27-ビスホモ-20-エピ-コレカルシフェロールの使用を提供する。化合物Aの医薬として許容できるエステル及び塩も、本発明の範囲内と考えられる。
従って本発明は、良性前立腺肥大の予防及び/又は治療のための医薬品の製造における、1-α-フルオロ-25-ヒドロキシ-16,23E-ジエン-26,27-ビスホモ-20-エピ-コレカルシフェロール、又はそれらの医薬として許容できる塩もしくはエステルの使用を提供する。
【0015】
本発明は同じく、治療的有効量の1-α-フルオロ-25-ヒドロキシ-16,23E-ジエン-26,27-ビスホモ-20-エピ-コレカルシフェロール又はそれらの医薬として許容できる塩もしくはエステルを投与し、これにより良性前立腺肥大の予防及び/又は治療に作用することを含む、そのような予防又は治療の必要な患者において、良性前立腺肥大を予防及び/又は治療する方法も提供する。
本発明は同じく、1-α-フルオロ-25-ヒドロキシ-16,23E-ジエン-26,27-ビスホモ-20-エピ-コレカルシフェロール又はそれらの医薬として許容できる塩もしくはエステルを得るか又は合成する工程を更に含む方法も提供する。典型的にはこの化合物は、医薬として許容できる希釈剤又は担体と共に製剤される。
【0016】
本発明は、1-α-フルオロ-25-ヒドロキシ-16,23E-ジエン-26,27-ビスホモ-20-エピ-コレカルシフェロール、又はそれらの医薬として許容できる塩もしくはエステルを、良性前立腺肥大の予防及び/又は治療の必要がある患者へ該化合物を投与し、これにより該患者の良性前立腺肥大を予防及び/又は治療することを指示する使用説明書と共に備えるキットも提供する。
【0017】
本発明は同じく、良性前立腺肥大の予防及び/又は治療のための、1-α-フルオロ-25-ヒドロキシ-16,23E-ジエン-26,27-ビスホモ-20-エピ-コレカルシフェロール、又はそれらの医薬として許容できる塩もしくはエステルの使用も提供する。
本発明は、良性前立腺肥大の予防及び/又は治療における使用のための、1-α-フルオロ-25-ヒドロキシ-16,23E-ジエン-26,27-ビスホモ-20-エピ-コレカルシフェロール、又はそれらの医薬として許容できる塩もしくはエステルも提供する。
【0018】
本発明は同じく、抗-アンドロゲン性の前立腺及び前立腺外の有害作用を伴わない、良性前立腺肥大の予防及び/又は治療のための、1-α-フルオロ-25-ヒドロキシ-16,23E-ジエン-26,27-ビスホモ-20-エピ-コレカルシフェロール、又はそれらの医薬として許容できる塩もしくはエステルも提供する。治療的有効量の1-α-フルオロ-25-ヒドロキシ-16,23E-ジエン-26,27-ビスホモ-20-エピ-コレカルシフェロール又はそれらの医薬として許容できる塩もしくはエステルを投与することを含む、そのような予防又は治療を必要とする患者において、抗-アンドロゲン性の前立腺及び前立腺外の有害作用を伴わずに、良性前立腺肥大を予防及び/又は治療する方法も提供される。
【0019】
本発明は同じく、膀胱機能不全の予防及び/又は治療と同時の、良性前立腺肥大の予防及び/又は治療のための、1-α-フルオロ-25-ヒドロキシ-16,23E-ジエン-26,27-ビスホモ-20-エピ-コレカルシフェロール、又はそれらの医薬として許容できる塩もしくはエステルの使用も提供する。治療的有効量の1-α-フルオロ-25-ヒドロキシ-16,23E-ジエン-26,27-ビスホモ-20-エピ-コレカルシフェロール又はそれらの医薬として許容できる塩もしくはエステルを投与することを含む、そのような予防又は治療が必要な患者において、膀胱機能不全の予防及び/又は治療と同時に、良性前立腺肥大を予防及び/又は治療する方法も提供する。
【0020】
1-α-フルオロ-25-ヒドロキシ-16,23E-ジエン-26,27-ビスホモ-20-エピ-コレカルシフェロールは、公知の化合物であり、並びにその調製は、米国特許第5,939,408号に開示されており、その説明は本願明細書に参照として組入れられている。
エステルは、体内で加水分解され、化合物Aを放出する、医薬として許容できる不安定なエステルを含む。
化合物Aの塩は、アルカリ金属及びアルカリ土類金属のイオン、例えばナトリウム、カリウム及びカルシウムのイオンのような金属イオンと形成することができる付加物及び複合体、並びに塩化カルシウム、マロン酸カルシウムなどのそれらの塩を含む。
【0021】
化合物A、又はそれらの塩もしくはエステルは、単剤療法として使用することができるか、又は公知のBPH-活性物質、例えばα1受容体アンタゴニスト(例えば、テラゾシン、ドキサゾシンもしくはタムスロシン又は他のシロドシン、AIO-8507LもしくはRBx-2258)もしくは5α-レダクターゼインヒビター(例えばフィナステリド又はデュタステリド)などの、α-アドレナリン作用性受容体遮断薬と組合せて投与することができる。表現「BPH-活性物質」とは、前述の例証的物質などのBPHを治療又は予防する上で活性を有することが可能であるか又は公知である物質を含む。組合せのパートナーは、化合物A又はその塩もしくはエステルと、様々な比で混合することができ、並びに個別に、逐次又は同時に、個別の又は一緒の医薬製剤で投与することができる。公知の治療的物質の適量は、当業者により容易に理解されるであろう。化合物Aの2種又はそれよりも多い(例えば3種)BPH-活性化合物との組合せ、例えばα1受容体アンタゴニスト及び5α-レダクターゼインヒビターとの組合せを想定することができる。化合物Aの2種又はそれよりも多いBPH-活性化合物との組合せは、当該技術分野において知られておらず、本発明のある局面を表している。化合物A(又は塩もしくはエステル)と組合せて投与される場合、組合せパートナー(複数)を、組合せパートナーが単独で投与される場合に使用される投与量と比べ、より低い投与量で、恐らく単独で投与される場合には治療量を下回ることもある投与量で用いることができる。
【0022】
従って本発明は、先に定義されたようなこの医薬品が、第二のBPH-活性物質と個別の又は一緒の医薬製剤において、個別に、逐次又は同時に投与される使用も提供する。
従って本発明は、良性前立腺肥大の予防及び/又は治療のための医薬品の製造における、第二のBPH-活性物質と組合せた、1-α-フルオロ-25-ヒドロキシ-16,23E-ジエン-26,27-ビスホモ-20-エピ-コレカルシフェロール、又はそれらの医薬として許容できる塩もしくはエステルの使用も提供する。
【0023】
本発明は、治療的有効量の1-α-フルオロ-25-ヒドロキシ-16,23E-ジエン-26,27-ビスホモ-20-エピ-コレカルシフェロール又はそれらの医薬として許容できる塩もしくはエステルを、第二のBPH-活性物質と個別の又は一緒の医薬製剤において、個別に、逐次又は同時に投与することを含む、そのような予防又は治療が必要な患者において、良性前立腺肥大を予防及び/又は治療する方法も提供する。
先に説明された組合せは、医薬製剤の形での使用にとって都合良く提示される。こうして製造された医薬製剤は更に、本発明の更なる局面も示す。
【0024】
同じく本発明者らは、BPHの併用療法に関係している本発明の局面は、他のビタミンD化合物(すなわち他のビタミンD受容体アゴニスト、例えばビタミンD、特にビタミンD3及びそれらのアナログ)に拡大され得ることも考察している。従って本発明者らは、BPHの予防及び/又は治療において、ビタミンD化合物を、1種以上の他のBPH-活性化合物、例えばαアドレナリン作用性受容体遮断薬及び/又は5-αレダクターゼインヒビターと組合せて使用することを含む、併用療法を提供する。本発明者らは更に、1種以上の他のBPH-活性化合物、例えばαアドレナリン作用性受容体遮断薬及び/又は5-αレダクターゼインヒビターを、任意に医薬として許容できる希釈剤又は担体と組合せた、ビタミンD化合物を含有する医薬製剤も提供する。αアドレナリン作用性受容体遮断薬及び5-αレダクターゼインヒビターの例は先に言及されている。
【0025】
本発明の医薬製剤中の活性成分投与の用量レベル及び時間経過は、特定の患者、組成物、及び投与様式について望ましい治療反応を、患者にとって毒性がなく実現するのに有効である活性成分の量を得るように、変動することができる。化合物Aの投与量範囲の例は、0.1〜300μg/日、例えば50〜150μg/日、例えば75〜150μg/日である。単位剤形は好ましくは、50〜150μg、例えば75〜150μgを含み、並びに好ましくは1日1回投与される。
【0026】
特に好ましい化合物Aの投与量は、患者が忍容することができ、及び高カルシウム血症もしくは他の望ましくない副作用、例えば抗カルシウム尿症を発症しないような最大量である。好ましくは化合物Aは、濃度約0.001μg〜約100μg/kg体重、約0.001〜約10μg/kg又は約0.001μg〜約100μg/kg体重で投与される。前述の値の範囲内の中間値も本発明の一部であることが意図されている。
前述のように、化合物Aは、それらの医薬として許容できる塩もしくはエステルとして投与されるが、好ましくは化合物Aは、すなわちそれらのエステル又は塩として使用されないように利用される。
【0027】
この用量は、最も効果的な結果を実現するために必要であるように、例えば経口により、好ましくは1日1回又は2回(特に1日1回)の単回投与によるか、反復投与によるか、又は制御された放出により、通常の医薬製剤において送達される。ある状況において、1日おきの投与が、所望の治療的反応を実現するために適していることが証明されている。
正確な投与量及び製剤並びに最も適当な送達様式の選択は、特に製剤の薬理学的特性、治療される状態の性質及び重症度、並びにレシピエントの生理的状態及び知力の影響を受けるであろう。
代表的送達様式は、経口、非経口(皮下、筋肉内及び静脈内を含む)、経直腸、口腔内(舌下を含む)、経肺、経皮、及び鼻腔内を含み、最も好ましくは経口である。投与は、連続又は断続的(例えばボーラス注射)であることができる。
【0028】
本発明は同じく、良性前立腺肥大の予防及び/又は治療のための、1-α-フルオロ-25-ヒドロキシ-16,23E-ジエン-26,27-ビスホモ-20-エピ-コレカルシフェロール、又はそれらの医薬として許容できる塩もしくはエステル、並びに医薬として許容できる担体を含有する医薬組成物も提供する。
本発明は同じく、良性前立腺肥大の治療における使用に関する使用説明書と共に包装された、1-α-フルオロ-25-ヒドロキシ-16,23E-ジエン-26,27-ビスホモ-20-エピ-コレカルシフェロール、又はそれらの医薬として許容できる塩もしくはエステル、及び医薬として許容できる担体を含有する医薬組成物を含む包装された製剤も提供する。
【0029】
前述のように、そのような組成物は、非経口(皮下、筋肉内又は静脈内)投与のため、特に液体の液剤又は懸濁剤の形で;経口又は口腔内投与のために、特に錠剤又はカプセル剤の形で;経肺又は鼻腔内投与のために、特に散剤、点鼻剤又はエアゾールの形で、並びに経直腸又は経皮投与のために、調製することができる。
これらの組成物は、都合の良いことに単位剤形で投与することができ、及び例えば「レミントン薬科学」17版(Mack Publishing Company, Easton, PA. (1985))に記載されたような、医薬分野において周知の方法により調製することができる。非経口投与のための製剤は、賦形剤として、滅菌水又は生理食塩水、アルキレングリコール、例えばプロピレングリコール、ポリアルキレングリコール、例えばポリエチレングリコール、植物起源の油、水素化されたナフタレンなどを含有することができる。鼻腔内投与のための製剤は、固形であることができ、並びに賦形剤、例えば乳糖又はデキストランを含有するか、又は点鼻剤もしくは測量されたスプレーの形で使用するために水性もしくは油性溶液であることができる。口腔内投与のための典型的賦形剤は、砂糖、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、予めゼラチン化されたデンプンなどを含む。
【0030】
経口投与可能な組成物は、1種以上の生理的に適合性のある担体及び/又は賦形剤を含むことができ、固形又は液体の形であってよい。錠剤及びカプセル剤は、結合剤、例えばシロップ、アカシアゴム、ゼラチン、ソルビトール、トラガカントガム、又はポリビニルピロリドン;充填剤、例えば乳糖、ショ糖、コーンスターチ、リン酸カルシウム、ソルビトール又はグリシン;滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコール、又はシリカ;並びに、界面活性剤、例えばラウリル硫酸ナトリウムと共に調製することができる。液体組成物は、懸濁化剤、例えばソルビトールシロップ、メチルセルロース、砂糖シロップ、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、又は食用脂肪;乳化剤、例えばレシチン、又はアカシアゴム;植物油、例えばアーモンド油、ココナツ油、タラ肝油、又はピーナッツ油;保存剤、例えばブチルヒドロキシアニソール(BHA)及びブチルヒドロキシトルエン(BHT)のような、通常の添加剤を含むことができる。液体組成物は、単位剤形を提供するために、例えばゼラチン中に封入することができる。
【0031】
好ましい固形経口剤形は、錠剤、2ピース硬シェルカプセル剤及び軟弾性ゼラチン(SEG)カプセル剤を含む。SEGカプセル剤は、その他のふたつの形に勝る明らかな利点を提供するので、特に興味深い(Seager, H.の論文、「Soft gelatin capsules: a solution to many tableting problems」;Pharmaceutical Technology, 9 (1985)参照)。SEGカプセル剤を使用するいくつかの利点は、a)この薬物は、カプセル剤へ正確に投入することができる液体中に溶解又は分散されるので、SEGカプセル剤において、投与量-含量の均一性が最適化される点;b)SEGカプセル剤として製剤された薬物は、水-混和性又は油性の液体中に溶解、可溶化又は分散され、体内で放出された場合に、この溶液は、溶解又は乳化され、表面積の大きい薬物分散液を生成するので、この薬物は、良好なバイオアベイラビリティを示す点;並びに、c)軟ゼラチンの乾燥シェルは、酸素の拡散に対する障壁をもたらすので、長期貯蔵時に酸化に対し感受性がある薬物の分解が、妨害される点である。
【0032】
乾燥シェル製剤は典型的には、濃度約40%〜60%のゼラチン、濃度約20%〜30%の可塑剤(例えばグリセリン、ソルビトール又はプロピレングリコール)及び濃度約30〜40%の水で構成される。保存剤、色素、不透明化剤及び香味剤などの他の材料も、存在することができる。液体充填材は、鉱油、植物油、トリグリセリド、グリコール、ポリオール及び界面活性剤などの、ビヒクル又はビヒクル組合せ中に、溶解、可溶化又は分散された固形薬物(ビーズワックス、水素化されたひまし油又はポリエチレングリコール4000などの懸濁化剤と共に)又は液体薬物を含む。
【0033】
例証的製剤において、軟ゼラチンカプセル剤は、保存剤としてブチルヒドロキシトルエン(BHT)、及びブチルヒドロキシアニソール(BHA)を含む、Miglyol 812(分留されたC8-C12ココナツ油脂肪酸のトリグリセリド)中に溶解された、活性成分である化合物Aからなる液体充填材を含有する、サイズ2の白色不透明で楕円形のゼラチンカプセル剤である。この軟ゼラチンカプセル剤は、化合物Aを0.01〜25mg、例えば75〜150μg含むように製剤することができる。軟ゼラチンカプセル剤は、2〜8℃で、遮光された状態で貯蔵されるべきである。
【0034】
化合物A、又はそれらの医薬として許容できる塩もしくはエステルを含有する製剤は、任意に第二のBPH-活性物質と組合せて、これらの成分を混合することにより調製することができる。あるいはこれら2種の医薬製剤を、単独の剤形中に、例えば同じ二重のカプセル剤中に、又はふたつの異なる錠剤もしくはカプセル剤を単独のカプセル剤へ重ねて封入(overencapsulation)し組合せることができる。第三の又は更なるBPH-活性物質を含有する製剤を、同様の様式で調製することができる。
製剤は好ましくは、暗室において窒素下で調製される。
ここで本発明は、図面を参照し、下記の限定的でない実施例を参照し説明される。
【実施例】
【0035】
(実施例1):in vitroにおけるBPH細胞に対する化合物Aの作用
(材料及び方法)
(材料)
最小必須培地(MEM)、DMEM-F12 1:1混合物、Ham's F12培地、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、ウシ血清アルブミン(BSA)画分V、グルタミン、ゼネチシン、コラゲナーゼIV型、ビタミンD3、テストステロン(T)、ジヒドロテストステロン(DHT)、酢酸シプロテロン、還元型β-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド3'-リン酸(NADPH)、ジチオスレイトール(DTT)、フェニルメチルスルホニルフルオリド(PMSF)、及びカルシウム血症(calcemia)を測定するキットは、Sigma(セントルイス、MO)から購入した。タンパク質測定キットは、Bio-Rad Laboratories, Inc.(ハーキュレス、CA)から得た。ウシ胎仔血清(FBS)は、Unipath(ベッドフォード、英国)から購入した。β-鎖に特異的なモノクローナル抗-ラットクラステリン抗体(マウスモノクローナルIgG)は、UPSTATE Biotechnology(レークプラシッド、NY)から得た。In situ末端標識(ISEL)のためのApop Tagキットは、Oncor(MD、米国)から得た。CHO 1827及びCHO 1829は、Serono International(ジュネーブ、スイス)により提供された。Instagelプラスは、Packard(セントルイス、MO)から購入した。フィナステリド(純粋な物質)(17β-(N,t-ブチル)カルバモイル-4-アザ-5α-アンドロスト-1-エン-3-オン)は、Merck Sharp & Dohme Reaserch Laboratories(ローウェー、NJ)のご厚意により得た。ビクラスタミドは、AstraZeneca(AstraZeneca、ミラノ、イタリア)のご厚意により得た。アナログ1-α-フルオロ-25-ヒドロキシ-16,23E-ジエン-26,27-ビスホモ-20-エピ-コレカルシフェロール(化合物A)は、Bioxell(Bioxell、ミラノ、イタリア)により提供された。ケラチノサイト増殖因子(KGF)は、Pepro Tech EC(ロンドン、英国)より入手し、インスリン-様増殖因子-Iヒト[Des(1-3)IGF-I]は、GroPep Limited(アデレード、オーストラリア)から購入した。ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)媒介型dUTPニック末端標識(TUNEL)のための、In Situ細胞死検出キットPODは、Roche Diagnostics Corporation(インディアナポリス、IN)から得た。細胞培養のためのプラスチックは、Falcon(オックスナード、CA)から購入した。増殖培地調製のための使い捨て濾過ユニットは、PBI International(ミラノ、イタリア)から購入した。ルシフェラーゼトランスフェクションのためのLipofectamine 2000及びOpti-MEM I培地は、Invitrogen, Life Technologies (San Giuliano Milanese、ミラノ、イタリア)から得た。薄層クロマトグラフィー(TLC)シリカプレートを、Merck(ダルムシュタッド、独国)から得た。エナント酸テストステロン(エナント酸T)は、Geymonat(Anagni、イタリア)から得た。Coat-A-Count(登録商標)総テストステロン検出キットは、Medical System(Genova Struppa、イタリア)から購入した。ラット黄体形成ホルモン(rLH)[125I]アッセイシステムは、Amersham Pharmacia Biotech(ピスカタウェイ、NJ)から得た。
【0036】
(BPH細胞)
Crescioli, C.らの論文(Journal of Clinical and Endocrinology Metabolism 85: 2576-2583 (2000))に先に説明されたように調製し、維持し及び使用されるヒトBPH細胞は、BPHのために恥骨上腺腫切除術(adenomectomy)を受けた5名の患者から得た前立腺組織から、インフォームドコンセント及び地域の倫理委員会による承認後に入手した。患者は、術前3ヶ月間にいかなる薬理学的治療も受けなかった。
【0037】
(5αレダクターゼ-トランスフェクションしたCHO-1827及びCHO-1829細胞株)
CHO-1827及びCHO-1829細胞は、各々、5αレダクターゼ1型(5αR-1)又は2型(5αR-2)でトランスフェクションし(Steers W.の論文、Urology、58: 17-24 (2001)参照)、5%FCSを補充した、Ham's F12培地で維持した。
【0038】
(AR-トランスフェクションしたPC3細胞株)
先に説明されたように、ヒトアンドロゲン受容体(hAR)を含むプラスミドp5HbhAR-Aにより安定してトランスフェクションされたヒト前立腺腺癌PC3細胞(Bonaccorsi, L.ら、Endocrinology、141: 3172-3182 (2000)参照)を、75cm2培養フラスコにおいて、50μg/mlゲネチシン、10%FCS、ペニシリン(100U/ml)及びストレプトマイシン(100mg/ml)を含有するHam's F-12培地中で、増殖した。
【0039】
(BPH組織)
結合アッセイのための前立腺組織は、BPHの恥骨上腺腫切断術を受けた患者から得た。術前3ヶ月間に薬理学的治療は行わなかった。術後、これらの組織を、直ちに液体窒素中に配置し、処理時まで-80℃で貯蔵した。
【0040】
(ラット組織)
ラットの腹側前立腺を、迅速に摘出し、秤量し、直ぐにドライアイス中で凍結した。組織形態の直接比較、TUNELによるクラステリン発現及びアポトーシス局在化のために、免疫組織学化学的実験を、厚さ14μmの連続凍結切片において行った。総RNA抽出及びウェスタンブロット解析のために、ラット腹側前立腺を4〜6匹の動物からプールした。
【0041】
(BPH細胞増殖アッセイ)
全ての細胞増殖アッセイについて、4x104個BPH細胞を、それらの増殖培地において12-ウェルプレート上に播種し、0.1%BSAを含有するレッド(red)-及び血清-非含有培地において24時間飢餓状態とし、その後特異的刺激により48時間処理した。0.1%BSAを含有するフェノールレッド-及び血清-非含有培地中の細胞は、対照として使用した。先に報告されたように、その後細胞はトリプシン処理し、各実験点を血球計カウント数から導き、各ウェルについて少なくとも6個の異なる視野で平均化した(Crescioli, C.らの論文、Journal of Clinical and Endocrinology Metabolism、85: 2576-2583 (2000)参照)。実験は、漸増濃度(10-18〜10-7M)カルシトリオール又は化合物Aを、一定濃度のT(10nM)、KGF又はDes(1-3)IGF-I(10ng/ml)を伴う又は伴わずに用いて行った。同じく増殖アッセイを、一定濃度のアンドロゲン(10nM)を用い、化合物A(1nM、10nM)又は抗-アンドロゲン剤フィナステリド(F、1nM)及び酢酸シプロテロン(Cyp、100nM)を伴い又は伴わずに行った。増殖アッセイは、化合物A(10nM)を伴い又は伴わずに、一定濃度のT(10nM)又はGF(10ng/ml)を用いても行った。同じ実験において、各実験点は、3つ組又は4つ組で繰り返し、実験は3回行った。結果は、最大T又はGF-誘導した刺激についての変動率(%)(平均±SEM)として表した。
【0042】
(In situ末端標識(ISEL))
ISELはApop Tag in situアポトーシス検出キットのペルオキシダーゼを製造業者の使用説明書に従い用い、BPH細胞について行った。細胞は、T(10nM)、KGF(10ng/ml)又はDes(1-3)IGF-I(10ng/ml)と共に、化合物A(10nM)を伴い又は伴わずに、インキュベーションした。アポトーシス細胞の割合(%)(染色された細胞の数を細胞総数で除算した)は、5種の異なるスライドにおいて1スライドにつき少なくとも5種の個別の視野で計算した。結果は、3種の個別の実験からの平均±SEMとして表した。
【0043】
(5α-レダクターゼ阻害試験)
5α-ダクターゼ阻害アッセイは、説明されたように、5αR-1でトランスフェクションしたCHO1827細胞、又は5αR-2でトランスフェクションしたCHO1829細胞を用いて行った(Guarna, A.らの論文、Journal of Medicinal Chemistry、43: 3718-3735、(2000))。化合物Aは、各実験において濃度範囲10-9〜10-5Mで添加し、対照インヒビターとしてフィナステリドを用いた。
【0044】
(結合アッセイ)
BPH断片の細胞質画分に関する結合アッセイを、先に報告したように行った(Crescioli, C.らの論文、Endocrinology、144: 3046-3057 (2003))(最終タンパク質濃度:1.8mg/ml)。細胞質画分のインキュベーションは、[3H]-R1881(比活性:83.5Ci/mmol)の漸増濃度(0.125、0.25、0.5、1nM)と共に、漸増濃度の非放射性R1881(10-10〜10-6M)、DHT(10-10〜10-6M)、T(10-10〜10-6M)、ビカルタミド(10-10〜10-4M)、及び化合物A(10-10〜10-4M)の非存在下又は存在下([3H]-R1881:1nM)で行った。プロゲステロン受容体へのR1881結合を防止するために、1μMのトリアムノロンアセトニド(triamcinolone acetonide)を各チューブに添加した。先に説明されたように、結合した及び結合していないリガンドの分離を行った(Crescioli, C.らの論文、Endocrinology、144: 3046-3057 (2003))。標準としてBSAを用いる、公知のブラッドフォード法により、タンパク質含量を決定した。
【0045】
(ルシフェラーゼアッセイ)
ヒトARで安定してトランスフェクションされたPC3細胞は、Ham's F12+10%FCS中に密度2x104個となるよう、24-ウェルプレートに播種した。24時間後、細胞を、Lipofectamine 2000(1mg/ml)を製造業者の使用説明書に従い用い、ホタルルシフェラーゼ遺伝子に連結されたMMTV-LTRの野生型配列構造を含むpLSPPプラスミド750ng/ウェルでトランスフェクションした(Pazzagli, M.らの論文、Analytical Biochemistry、204: 315-323 (1992))。48時間後、これらの細胞を、DHT(10-12〜10-6M)又はビカルタミド(10-9〜10-5M)と共に3nM DHTの存在下で、等モル濃度の化合物Aと共に18時間インキュベーションした。ステロイド及び化合物Aアナログは、エタノールに溶解した。トランスフェクションされた細胞を、単に陽性対照として利用するために、エタノールと共にインキュベーションした。
ルシフェラーゼアッセイを、製造業者の使用説明書に従い、Bertholdルミノメーターで行った(Luciferase Assay System、Promega、ミラノ、イタリア)。これらの細胞を、溶解緩衝液200μlでプレート中ににおいて直接溶解した。ルシフェラーゼ活性は、ルシフェリン100μlの添加後10秒間、細胞溶解液20μlについて測定した。総タンパク質測定は、細胞溶解液20μlについて行った。少なくとも3回の独立したアッセイを、2つ組で行った。
【0046】
(結果)
BPH細胞の漸増濃度のカルシトリオール又は化合物Aとのインキュベーションは、細胞増殖を阻害する(図1パネルA)。両方の化合物は、供与量-依存型で細胞増殖を阻害した。ALLFIT解析(De Lean, A.らの論文、American Journal of Physiology、235: E97-E102 (1978)参照)は、カルシトリオール及び化合物A(図中"Cmpd A")の最大阻害は統計学的に有意差がないが(Imax=43±1%)、それらの相対効力は、化合物Aは対数表記で数単位、カルシトリオールよりも有効である(-IogIC50化合物A=15.8±0.3、対、-logIC50カルシトリオール=10.2±0.6、P<0.005)ことを示した。
【0047】
BPH細胞増殖は、テストステロン(T)(156±8%)、及び増殖因子(GF)Des(1-3)IGF-I(194±6%)又はKGF(183±5%)により、有意に増加した(P<0.01)。細胞増殖がT又はGFにより48時間刺激された場合(図1、パネルB)、化合物Aの阻害作用は、更により顕著であった(Imax=66.6±7.3%)。阻害曲線の数学モデリング(De Lean, A.ら、American Journal of Physiology、235: E97-E102 (1978)参照)は、化合物Aは、他の2種の増殖因子よりも(Des(1-3)IGF-I及びKGFについて、各々、-logIC50=12.7±0.6、及び-logIC50=14.2±0.6;P<0.0001)、Tで刺激された(logIC50=16.4±0.6)、BPH細胞において、より強力であることを示した。
化合物A(1nM)は、T-刺激されたのみではなく、DHT-刺激されたBPH細胞増殖も、ARアンタゴニスト酢酸シプロテロン(Cyp、100nM;図2パネルA及びB)と同程度拮抗した。対照的に、5α-レダクターゼインヒビターであるフィナステリド(F、1nM)は、T-誘導した細胞増殖のみを拮抗した(図2パネルA)。加えて化合物Aは、アンドロゲン-非刺激細胞においてさえ成長を低下した(図2、パネルA)。
【0048】
本発明者らは、化合物Aの可能性のある抗-アンドロゲン特性を評価するために、BPH細胞増殖阻害に加え、ARとのその相互作用を調べた。最初に本発明者らは、ヒトBPHホモジネートにおいて、標識されたリガンドとして合成アンドロゲン[3H]-R1881を用い競合試験を行うことにより、化合物AがARに結合する可能性を除外した。このデータのLIGAND解析(Munson, P. J.らの論文、Analytical Biochemistry、107: 220-239 (1980)参照)は、非標識のR1881、DHT、T、及びARアンタゴニストビカルタミドは、完全に[3H]-R1881結合と置き換わったことを示した(表I)。対照的に、化合物Aは、試験したあらゆる濃度において[3H]-R1881結合と競合しなかった(表I)。これらの結果は、ルシフェラーゼリポーター遺伝子アッセイを用いて確認し、拡大した。ルシフェラーゼリポーター遺伝子に連結された完全長ARを発現しているPC3細胞において、DHTは、ルシフェラーゼ活性の供与量-依存型の増加を刺激したが(EC50=2±1.3nM、パネルA)、ビカルタミドは、DHT-刺激した活性を阻害した(IC50=194±80nM、パネルB)。このシステムにおいて、化合物Aの濃度の増加は、AR-媒介型ルシフェラーゼ活性の増加を刺激も阻害もしなかった(図3)。最後に化合物AがTの活性代謝産物であるDHT形成と相互作用するかどうかを検証するために、本発明者らは、1型及び2型5αレダクターゼによりトランスフェクションされたCHO細胞において実験を行った。結果は、フィナステリド(F)について得られたものと比較した。Fは、予想されたIC50でDHTへのT転換を阻害したが(5α-レダクターゼ1型のIC50=659±100nM及び5α-レダクターゼ2型のIC50=53.7±11nM、n=3)、化合物Aは、いずれのイソ酵素ともマイクロモル範囲まで干渉しなかった(データは示さず)。
【0049】
【表1】

【0050】
表I [3H]R1881結合により検出されたヒトBPHホモジネート中のアンドロゲンアゴニスト(R1881、DHT、T)、アンタゴニスト(ビカルタミド)及び化合物Aの親和定数。
【0051】
BPH細胞中の化合物Aの作用は、少なくとも一部はISELにより検出される、プログラムされた細胞死の活性化に起因した(n=3、表II)。アポトーシス核の割合は、10nM化合物Aへの48時間の曝露後、劇的に増加した(270%)(P<0.01、対、対照)。対照的に、T(10nM)又はGF(10ng/ml)による処置は、アポトーシス性BPH細胞の数を、未処理の細胞と比べ、有意に低下した(Des(1-3)IGF-I=-42%;KGF=-54%;T=-27%)(P<0.01)。しかし例えGF又はTが存在したとしても、化合物Aは、ISEL-陽性BPH細胞の数の、持続され(250%を超える)及び有意な(P<0.01)増加を誘導した。
【0052】
【表2】

【0053】
表II BPH細胞におけるDNA断片化に対する化合物A(10nM)、GF(10ng/ml)又はT(10nM)の作用。アポトーシス指標(%)は、1スライドにつき少なくとも5個の個別の視野の各々におけるBPH細胞について、ISELにより検出された染色された核の数を表す。結果は、3回の個別の実験の平均±SEMとして表した。化合物Aは、未処置のBPH細胞に加え、GF又はTと同時にインキュベーションしたBPH細胞においてアポトーシスを誘導することが可能である(a:P<0.01、対、対照;b:P<0.01、対、化合物A-処置した細胞;c:P<0.01、対、GF-又はT-処置した細胞)。
【0054】
(実施例2):前立腺成長のin vivoモデルにおける化合物Aの抗-増殖特性
動物プロトコール
雄のスプラーグ・ドーリー系ラット(28日齢)は、Charles River Laboratories (Calco、レッコ、イタリア)から購入した。説明された全ての動物実験は、承認された標準の動物管理に従い行った。ケタミン/キシラジン麻酔下で陰嚢経路により去勢を行った。去勢の3日後、ラット(1群5〜8匹の動物)を、毎週2回の個別のsc注射により、エナント酸T(30mg/Kg)で処置したか又は処置しなかった。ラットは、ビヒクル(miglyol 812)、化合物A(10、30、100及び300μg/Kg)又はフィナステリド(10及び40mg/Kg)で、第一週に5日間、及び第二週に4日間、経口処置し、合計9回投与し、翌日屠殺した。
代わりに、無傷の成体雄のスプラーグ・ドーリー系ラット(体重250g)に、ビヒクル(miglyol 812)、化合物A(10、30、100及び300μg/Kg)又はフィナステリド(10及び40mg/Kg)を、5日/週で5連続週、及び第6週に更に2日、経口投与し、特に記さない限りは合計27回投与した。カルシウム及びホルモンの測定のための血液は、各実験プロトコールの最後に得た。
【0055】
(ノーザンハイブリダイゼーション分析)
総RNAを、Molecular System (サンディエゴ、CA)から入手したRNAFastを用い抽出した。ブロッティング、標識、ハイブリダイゼーションの条件及びプローブ(ラットクラステリン 1.5Kb完全長cDNA及びGAPDH 1.2Kb完全長cDNA)は、報告された手法に従い行った(Bettuzziらの論文、Biochemical Journal、257: 293-296 (1989)、及びMarinelliらの論文、Biochemistry and Cell Biology、72: 515-521 (1994)参照)。オートラジオグラムの定量は、LKB Ultrascan XLデンシトメーターを使用する、濃度計測スキャニングから得た。
【0056】
(免疫組織化学)
対照及び処置したラットから得た全ての凍結切片を、既報のように平行して処理した(Astancolleら、Journal of Endocrinology、167: 197-204 (2000))。各実験条件に関して、3種の異なるラット前立腺からの3個毎の切片を試験した。この反応から特異的抗体を除外することにより作製された陰性対照は、特異的染色を示さなかった。対比染色は、ヘマトキシリンで行い、カバースリップを、Eukitt(O. Kindler GmbH & Co、独国)によりかぶせた。デジタル高倍率のカラー画像を、顕微鏡を用いCCDカメラにより撮影した。
【0057】
(In situ DNA断片化分析(TUNEL))
前立腺凍結切片のDNA断片化を、ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)-媒介型dUTPニック末端標識(TUNEL)により評価し、これは製造業者の推奨に従いIn Situ細胞死検出キット(POD、Roche)を用い行った。TUNEL陽性アポトーシス核は、顕微鏡を用いCCDカメラにより撮影したデジタル高倍率のカラー画像により実証した。対比染色は、エオシンで行い、カバースリップをEukitt(O Kindler GmbH & Co、独国)でかぶせた。
【0058】
(カルシウム測定)
血清カルシウムレベルを、製造業者の使用説明書に従い、市販の比色アッセイ(Sigma)を用い行った。
【0059】
(テストステロン及びrLH測定)
T及びrLHホルモンの血清レベルを、市販のラジオイムノアッセイキットにより製造業者の使用説明書に従い決定した。ラットにおける血清Tを測定するために、試料を最初に、4容量のジエチルエーテルに添加し、次に15分間穏やかに倒置することにより混合し、その後2000rpmで5分間遠心した。水相をドライアイス中で凍結し、有機相を回収し、窒素流れ下で乾固するまで蒸発させた。乾燥した抽出物を、下記のアッセイ緩衝液中で再構成した:無傷のラットにおいて(容量比1:1)及び去勢されたラットにおいて(容量比4:1)。
【0060】
(統計解析)
統計解析は、一元配置ANOVA及び対応のあるもしくは対応のないスチューデントt検定により適宜行った。結合データは、コンピュータプログラムLIGANDを用いて解析した(Munsonらの論文、Analytical Biochemistry、107: 220-139 (1980))。
コンピュータプログラムALLFIT(DeLeanらの論文、American Journal of Physiology、235: E97-E102 (1978))を、S字状用量-反応曲線の解析に使用し、50%阻害量(IC50)及び50%有効量(EC50)の概算値に加え、最大阻害作用(Imax)及び有効作用(Emax)を得た。データは、(平均±SEM)として表した。
【0061】
(結果)
前立腺成長のin vivoモデルにおける化合物Aの抗-増殖特性を試験するために、去勢されたラット及び無傷のラットを、漸増濃度の化合物A(10〜300μg/Kg)又はフィナステリド(F)(10、40mg/Kg)で、経口処置した。図4パネルAに示されたように、去勢は、腹側前立腺重量を劇的に低下した一方で、エナント酸テストステロン(T)(30mg/Kg)による2週間の処置は、完全に回復したのみではなく、その成長を更に刺激した。試験したいずれかの投与量の化合物Aは、完全にT-刺激した前立腺の過成長を鈍らせ、腹側前立腺重量を未処置のラットのそれよりも減少した。同様の結果を、フィナステリド(10、40mg/Kg)で得た。無傷の成体ラットの化合物Aによる1ヶ月の処置は、腹側前立腺重量を有意に減少し、試験した最高投与量(300μg/Kg)で最大低下(30%)を生じた。この投与量で、化合物Aの前立腺成長に対する阻害作用は、10又は40mg/Kgフィナステリドにより誘導されたものに匹敵した(図4、パネルB)。全ての実験プロトコールにおいて、異なる投与量の化合物Aの経口投与は、試験した最高投与量(300μg/Kg)でのみ、非常に軽度の高カルシウム血症を引き起こした(表III)。他の認識できる副作用は認められなかった。
【0062】
【表3】

【0063】
表III 化合物Aの異なる投与量(10、30、100、300μg/Kg)のT-置換された去勢されたラットにおけるカルシウム血症(mg/dl)。化合物Aは、対照と比較し、エナント酸T(30mg/Kg/週)で置換された去勢されたラットにおけるカルシウム血清レベルを変化しなかった。同様の結果が、無傷のラットにおいて得られた(示さず)。結果は、ラット/群の平均±SEMで表した。
【0064】
化合物A-誘導した前立腺重量の低下の基礎となる分子機序をより良く理解するために、クラステリン遺伝子及びタンパク質の発現並びにアポトーシスの形態学的に顕著な特徴を、ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)媒介型dUTPニック末端標識(TUNEL)により評価した。クラステリンは、偏在性の生成遺伝子であり、細胞周期停止及び萎縮に密に関連しており、その発現はアンドロゲンによりダウンレギュレーションされる。図5パネルAは、T補充した又は補充していない精巣摘除術を受けたラットにおいて、ノーザン分析により検出されたクラステリンmRNAの前立腺における発現を示している。去勢は、クラステリンmRNAの豊富さを劇的にアップレギュレーションし、他方でこの作用は、Tの2週間投与により完全に逆転した。異なる濃度の化合物A(300及び100μg/Kg)又はF(40mg/Kg)による同時処置は、クラステリン遺伝子発現のT-誘導したダウンレギュレーションを部分的に鈍らせた。無傷のラット(図5パネルB)において、異なる濃度の化合物A(30及び100μg/Kg)の1ヶ月投与は、40mg/Kg Fにより誘導されたものと同等か又は遙かに高い、前立腺におけるクラステリン遺伝子発現の持続性の増加を誘導した。
【0065】
精巣摘除術を施したラットの前立腺中のクラステリンの局所的発現を、図6に示した。去勢は、前立腺における顕著かつ広範な萎縮を誘導し、腺内腔に面している立方体様上皮細胞のほぼ全ては、クラステリン陽性(パネルA)であった。T-置換(パネルB)は、萎縮の形態学的に顕著な特徴を元に戻し、一貫してクラステリン染色を低下した。このような作用は、化合物Aの同時投与により防止された(パネルC及びE)。パネルD及びFは、パネルC及びEに示されたものに隣接する切片におけるTUNELの結果を示している。化合物A処置(100μg/Kg、パネルD及び300μg/Kg、パネルF)は、上皮細胞及び間質細胞における明らかな核断片化を誘導し、並びにアポトーシスは、クラステリン陽性及び陰性の両細胞において検出可能であった。図7の最初のふたつのパネルは、一次抗体の省略(omission)を伴う(パネルA)又は伴わない(パネルB)、クラステリン検出のために処理された無傷のラットの前立腺の形態を示している。クラステリン標識は、核断片化と同じように(TUNEL、パネルC)、未処置の成体ラットの前立腺にはほとんど存在しないこと(パネルB)に注意。対照的に、異なる投与量の化合物Aによる処置は、クラステリン発現(パネルD-F)及びアポトーシス(C、G及びI)を誘導した。パネルFは、比較のために、前立腺におけるクラステリン陽性に対するフィナステリド(40mg/Kg)の作用を示している。
【0066】
化合物Aが、下垂体又は精巣の機能との干渉により、in vivoにおける前立腺成長を低下する可能性を排除するために、ラット黄体形成ホルモン(rLH)及びT血清レベルを、去勢されたラット及び無傷のラットにおいて測定した。予想されたように(表IV、パネルA)、去勢は、Tを有意に低下する一方、rLH血清レベルを上昇した。エナント酸T(30mg/Kg)投与(2週間)は、精巣摘除術の作用を完全に戻した。T-置換された去勢されたラットの化合物A(100及び300μg/Kg)による経口処置は、rLH又はT血清レベルに有意に影響を及ぼさなかった。同様の結果が、無傷のラットで得られた(表IV、パネルB)。実際、無傷のラットへの化合物A(10、30、100μg/Kg)又はF(40mg/Kg)の長期投与(1ヶ月)は、rLH及びT血清レベルを変更しなかった。
【0067】
【表4】

【0068】
表IV 異なる投与量の化合物Aによる処置後のT-置換された去勢されたラット(パネルA)又は無傷のラット(パネルB)におけるrLH(ng/ml)及びT(nM)血清レベル。パネルA。去勢は、血清Tを有意に低下した(*P<0.01、対、対照)のに対し、これは血清rLHを上昇した(*P<0.05、対、対照)。エナント酸T(30mg/Kg/週)による処置後、rLH及びT血清レベルは回復した。試験した全ての投与量で、化合物Aは、rLH又はTのいずれの血清レベルにも有意に影響を及ぼさなかった。パネルB。F(40mg/Kg)又は化合物A(10、30及び100μg/Kg)の長期投与(1ヶ月)は、無傷のラットにおいてrLHもTの血清レベルも変化しかなった。
【0069】
本試験は、化合物Aは、無傷のラットにおいて、前立腺サイズを、フィナステリドと同程度まで縮小することを明らかにしている。加えてフィナステリドのように、化合物Aは、テストステロンのin vitro及びin vivo増殖活性を無効にする。しかしフィナステリドとは異なり、化合物Aは、1型又は2型5α-レダクターゼ活性を阻害せず、TのみではなくDHTによってさえも誘導されたBPH細胞増殖に逆に作用することができる。化合物AのARへの結合の喪失、及びAR-トランスフェクションされたPC3細胞におけるARアゴニスト又はアンタゴニストとしての作用の欠如により示されるように、これらの化合物Aの抗-アンドロゲン特性は、ARとの相互作用とは無関係である。更に化合物Aは、性ホルモン分泌に影響を及ぼさず、その理由はラットにおいて、ゴナドトロピン及びTの血漿レベルは、最大1ヶ月に及ぶ化合物Aの毎日の投与により変化しないからである。従って化合物Aは、AR受容体-リガンド相互作用の下流に作用する。理論による裏付けを意図するものではないが、この作用は、テストステロン-増殖因子のクロストークの破壊により生じる最も可能性がある。
【0070】
非常に低濃度の化合物Aは、T-刺激されたBPH細胞増殖のみではなく、2種の最も重要な前立腺内増殖因子であるIGF-I及びKGFにより誘導された増殖も、完全に拮抗することができる。加えてT又はGFの存在下であっても、化合物Aは、BPH細胞においてアポトーシスを誘導した。化合物A-誘導した死のプログラムは、無傷のラット及びT-補充した精巣摘除術を施したラットの両方の前立腺においても明らかであり、クラステリン遺伝子及びタンパク質発現の同時増加を伴う、DNA断片化の広範な出現により特徴付けられた。クラステリンは、アンドロゲンにより前立腺において厳密に調節されたタンパク質である(Bettuzziらの論文、Biochemical Journal、257: 293-296 (1989))。クラステリン機能は依然よく理解されていないが、これは腺萎縮(Bettuzziらの論文、Oncogene、21: 4328-4334 (2002)、及びBettuzziらの論文、Journal of Endocrinology、132: 361-367 (1992))及びアポトーシス(Leskovらの論文、Journal of Biological Chemistry、278: 11590-11600 (2003))の状態において著しくアップレギュレーションされる。従って化合物A処置によるクラステリン誘導は、この化合物の前立腺細胞における増殖を阻害し、及びアポトーシスを誘導する能力と一致する。
結論として、本試験は、様々な実験モデルにおいて、化合物Aは、前立腺細胞増殖の低下において効果があることを示している。
【0071】
(実施例3):化合物Aにより処置された健常イヌにおける前立腺重量の低下
9ヶ月間の毒性試験を、化合物A(ビヒクルMiglyol 812中)の0.5μg、1.5μg及び5μg/kg体重/日又はビヒクル単独を毎日経口強制投与した4群の雄のビーグル犬で行った。最高投与量5μgを受け取る群については、この処置に、2ヶ月の回復期間が続き、その後前立腺重量を秤量した。全体の好ましい毒性データに加え、化合物Aによる処置終了時(図8参照)及び快復後(図9参照)に、より低い前立腺重量が認められた。回復後のこれらの結果は、片側スチューデントt検定により統計学的に解析し、化合物Aとビヒクル間で有意差が認められた(P<0.05)。これらの結果は更に、化合物Aのin vivoにおいて前立腺サイズを縮小する能力を明らかにしている。
【0072】
(実施例4):経口投与剤形軟ゼラチンカプセル剤
経口投与用のカプセル剤を、分留されたココナツ油(例えば、Miglyol 812)150mg中の化合物A 0.01〜25.0mgから、ブチルヒドロキシトルエン(BHT) 0.015mg及びブチルヒドロキシアニソール(BHA) 0.015mgと共に、暗室において窒素下で軟ゼラチンカプセルに充填し、製剤した。
このカプセル剤は、以下のプロセスで調製した:
1. BHT及びBHAを、分留されたココナツ油(例えば、Miglyol 812)中に懸濁し、溶解するまで、攪拌しながら約50℃に温める。
2. 化合物Aを、50℃で、工程1の溶液に溶解する。
3. 工程2の溶液を室温に冷却する。
4. 工程3の溶液を、軟ゼラチンカプセルに充填する。
全ての製造工程は、窒素大気下で行い、自然光から遮蔽する。
【0073】
(実施例4A):経口投与剤形軟ゼラチンカプセル剤
経口投与用のカプセル剤は、暗室において窒素下で製剤する:分留されたココナツ油(Miglyol 812)150mg中の、化合物A 150μg、ブチルヒドロキシトルエン(BHT) 0.015mg及びブチルヒドロキシアニソール(BHA) 0.015mgを、軟ゼラチンカプセルに充填。
【0074】
(実施例4B):経口投与剤形軟ゼラチンカプセル剤
経口投与用のカプセル剤は、暗室において窒素下で製剤する:分留されたココナツ油(Miglyol 812)150mg中の、化合物A 75μg、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)0.015mg及びブチルヒドロキシアニソール(BHA) 0.015mgを、軟ゼラチンカプセルに充填。
【0075】
(実施例5):ヒト臨床試験における前立腺重量の低下
無作為化された二重盲検プラセボ対照平行群間試験を行い、BPH患者における化合物A(1-α-フルオロ-25-ヒドロキシ-16,23E-ジエン-26,27-ビスホモ-20-エピ-コレカルシフェロール)の作用を決定した。
原則的組入れ基準は、BPHと診断され、及び経直腸超音波検査(TRUS)により測定された前立腺容積>40mlを有する、男性患者であった。
【0076】
(統計法):主要な有効性解析は、プロトコールを遵守した(PP)集団で計画し、裏付けとして、同じ解析を、意図した治療に基づく(ITT)集団において行った。プロトコールを遵守した(PPB)解析について評価可能な患者は、大きいプロトコール違反を伴わずに全ての試験過程を完了し及び前立腺容積の有効な評価を有する、プロトコール判定基準を遵守した全ての無作為化された患者で行った。意図した治療に基づく(ITT)集団について有効な患者は、治験薬の少なくとも1回の投与量を受け取り並びにベースライン時及び12週来院時の前立腺容積が入手可能であった、全て無作為化された患者であった。
治験薬の少なくとも1回の投与量を摂取した無作為化された全ての患者は、安全性の解析について評価した。
【0077】
治療群の比較可能性は、記述的意味(descriptive meaning)で、全ての患者についてベースライン時に評価した。このデータは、カテゴリー変数についてχ2試験により、及び連続変数についてANOVAモデルにより処理した。
記述統計は、通常の方法により計算した:平均、標準偏差、連続変数の最小値及び最大値、並びにカテゴリー変数の絶対頻度及び相対頻度。記述統計は、治療毎に及び来院/週毎に行った。
【0078】
施設は4名未満の患者をプールした。有効性の主要な評価項目は、中心に集めたMRI軸面走査により測定した、前立腺容積の変化の割合であった。解析には、固定された作用として治療及び施設を用いる、ANOVAモデルを使用した。
試験参加者は、150μgカプセル剤(プラセボの場合は薬物を除いた実施例4A)を、午前中に1日1回毎日受け取った。治療期間は12週間であった。関与した患者数は以下であった:
【0079】
【表5】

【0080】
(軸面走査により測定された前立腺容積の変化の割合)
PP集団における前立腺容積の変化の割合は、化合物A群の-1.89+5.2、対、プラセボ群の4.99+5.99であり、化合物Aにより有意なp値<0.0001を伴った。治療間の差(化合物A―プラセボ)の推定は、95%信頼限界-9.54から-4.94で、-7.24であった。中心化作用(centre effect)も有意であった(p=0.0176)。ITT集団について行った同じ解析は、これらの結果を確認し(p=0001)、すなわち化合物Aは、前立腺容積を低下することに関してプラセボよりもより効果的であった。
【0081】
ベースライン前立腺容積≧80mlの患者における治療群間の差(p≦0.0001)は、ベースライン前立腺容積<60mlの患者(p=0.0320)との比較においてより明らかであり、特にPP集団において明らかであった。
年齢61〜70歳の患者において、化合物Aとって常に好ましい治療間の差異は、より高齢の患者(年齢>70歳)に関してより明白であった。実際、ITT集団において、年齢>70歳の患者の治療間の差異は、患者の他のクラスに対し、p=0.0540、対、p≦0.0001の有意性を有した。
【0082】
(応答者)
化合物Aにより観察された応答者の割合は、PP集団において27.5%であり、未変化の割合は65%及び患者の非応答者はわずかに7.5%であった。プラセボ群において、応答者のクラスはゼロであり、実際患者は、未変化及び非応答者で均等に分離されていた(各クラス50%)。割合を比較するχ2検定は、有効性の主要評価項目において認められたこれらの結果p≦0.0001を確認し、すなわち化合物Aは、前立腺容積の低下においてプラセボよりもより有効であった。
【0083】
ITT集団において、これらの結果は確認され、化合物A群の応答者の割合は28.8%であり、χ2検定のp-値は、治療間で<0.0001であった。
PP集団において応答患者における前立腺容積の平均低下、対、ベースラインは、-6.88±2.5であるのに対し、未変化の患者における平均差は、化合物A群の-0.35±2.3、対、プラセボ群の0.40±2.0であった。非応答患者について、平均差は、化合物A群の3.93±0.8、対、プラセボ群の7.48±4.9であり、前立腺容積を制御及び低下する化合物Aのより大きい効力を確認した。
【0084】
(中心に集めた沿軸及び一過性走査により測定された前立腺容積の変化の割合)
沿軸及び一過性の捕捉に関する支持的解析は、軸面走査により得られた結果を確認した。特にPP集団における、沿軸の捕捉についての変化の割合は、化合物A群の-1.30±6.9、対、プラセボ群の2.57±6.8であり、p=0.0172であったのに対し;暫定スキャニングに関して、変化の割合は、化合物A群について-0.22±9.6、対、プラセボ群について6.18±0.9であり、p=0.0028であった。同じくITT集団においても、前立腺容積の低下に関して、化合物Aにとって好ましい治療間有意差が存在した。
【0085】
(血清総PSA及びホルモンレベル)
PSA平均変化は、PP集団について、化合物A群の0.23±1.3、対、プラセボ群の0.43±1.7であった。治療間で、有意差は認められなかった(p=0.2722)。
同じくテストステロンに関して、PP集団において、群間に有意差は存在せず(p=0.2150)、平均変化は、化合物A群の0.07±1.5、対、プラセボ群の0.22±1.4であった。
ジヒドロテストステロン(p=0.7257-PP集団)について治療群間で差異は存在せず、PP集団において認められた平均変化は、化合物A群の-30.77±227.71、対、プラセボ群の-166.76±490.26であった。LHホルモンに有意差は存在せず(p=0.9320-PP集団)、PP集団についての平均変化は、化合物Aの-0.02±1.7、対、プラセボ群の-0.00±1.8であった。PSAレベル及びホルモンレベルにおいて観察された平均変化は、DHTを除き、ゼロ近傍であり、化合物Aは、これらのホルモンレベルを変更しなかった。同じ結果が、ITT集団において確認された。
【0086】
(安全性)
少なくとも1種の有害事象を有する患者の数は、31名であり(化合物A群17名、プラセボ群14名);有害事象のために脱落した患者はなく、ただ1名のプラセボ群の患者が、重篤な有害事象、急性膀胱頸部炎(colecystitis)を経験したが、これは入院により寛解した。
【0087】
化合物A治療に関連した有害事象を伴う患者の数は、3名(5.26%)であったが、治療に関連した有害事象を伴う患者の数は、プラセボ群において6名(9.68%)であった。化合物Aに関連した事象は、めまい、頭痛、リビドー低下、及びのぼせであったが、プラセボに関連した有害事象は、リン酸尿増加、頭痛、失神、リビドー低下(患者3名)、高カルシウム尿症、勃起機能不全及びのぼせであった。
カルシウム尿値は、化合物A群の試験期間にわたりモニタリングし、プラセボ群と有意差はなかった。
【0088】
(結論)
BPH患者における化合物Aの前立腺サイズに対する作用についての概念的試験の短い証明において、本薬物は有効であることが証明された。本試験の主要な評価項目の解析、すなわち前立腺サイズの評価は、化合物Aとプラセボの間で有意差を示し、従って試験した薬物は、本疾患の進行を停止し得ることを確認した。その安全性プロファイルは良好であり、化合物Aとプラセボの間の有害事象の発生率に差異はなく、化合物A群において重篤な有害事象は報告されなかった。被験薬は、抗アンドロゲン作用を欠いており、PSAレベルに対する作用を有さず、及びカルシウムホメオシタシスに対する有意な作用を有さなかった。
【0089】
(実施例6):化合物Aの膀胱細胞の増殖及び機能に対する活性
化合物Aは、膀胱細胞の基本的増殖及びテストステロン-刺激した増殖の阻害において、有効であることが示された。この活性はこれまで報告されておらず、1-α-フルオロ-25-ヒドロキシ-16,23e-ジエン-26,27-ビスホモ-20-エピ-コレカルシフェロール(図において"化合物A"/"Cmpd A")について、1.6±7x10-15で用量-依存型である(刺激された細胞について)(図10及び図11参照)。
この作用は、尿-生殖器疾患において広範に使用される、抗-アンドロゲン剤であるフィナステリドの作用よりも、有意に大きかった(図11)。
【0090】
(実施例7):膀胱流出口閉塞モデルにおける膀胱機能不全に対する化合物Aの作用
(実験)
1.材料
1.1.動物:
雌のスプラーグ-ドーリー系ラット、体重200〜250g
1.2.群別:
A群:BOOラット、化合物Aで2週間処置、閉塞作製後1日目に開始(n=12)
B群:BOOラット、ビヒクルで2週間処置、閉塞作製後1日目に開始(n=12)
C群:偽手術したラット、化合物Aで2週間処置、術後1日目に開始(n=12)
【0091】
1.3.試験:
a)意識下でのシストメトリー(薬物/ビヒクルの最終投与後〜18時間、閉塞結紮の除去後12時間)
b)膀胱重量の測定
c)In vitro検査
【0092】
2.方法
2.1.膀胱流出口閉塞(BOO):
膀胱及び尿道膀胱接合部を、低位腹部正中切開を通じて露出した。0.9mmの金属棒を、近位尿道に沿って配置し、並びに3-0シルク結紮糸を、尿道及び棒の回りできつく縛り、これをその後取り除いた。偽手術を、結紮を配置することなく、同様に行った。13日後、結紮を除去し、及びカテーテルを、膀胱頂へ挿入し、及び皮下にトンネル形成した。
【0093】
2.2.シストメトリー:
カテーテル挿入の翌朝、代謝ケージ内で麻酔をかけないか又は拘束することなく、シストメトリー検査を行った。排尿量は、力変位変換器(force displacement transducer)に連結された、液体収集器により測定した。膀胱は、室温で生理食塩水により連続して満たした。カテーテルは、圧力変換器にも連結した。30〜60分間の安定化後、再現性のある排尿パターンが実現された場合、下記のパラメータを30分間にわたり記録した:基礎膀胱圧、排尿圧、閾値圧、排尿間隔及び排尿量、並びに非排尿収縮。残留尿の量を、シストメトリーの終了時に、手作業で3回測定した。膀胱容量は、測定した値を基に計算した。
【0094】
2.3. In vitro測定:
2.3.1 調製
シストメトリーの完了後、ラットを、一酸化炭素窒息により屠殺し、放血した。恥骨結合部を切開した後、低位正中切開により腹部へアクセスした。膀胱を慎重に剥離し、直ぐに冷却したKrebs溶液に入れ、ストリップ調製物を切断した。
【0095】
2.3.2 力学的活性の記録
膀胱及び尿道を、膀胱首レベルで分離し、半円状のストリップを、中央の第3排尿筋から調製した(1x2x5mm)。全ての調製物は、除去後直ぐに使用した。これらのストリップを、Krebs溶液を含有する 5 ml組織浴に移した。Krebs溶液は、37℃で維持し、95%O2及び5%CO2の混合物を連続通気し、pH7.4とした。ストリップを、ふたつのL-型フック間に、シルク結紮糸により懸架した。一方のフックは、可動性ユニットに連結し、静止張力の調節を可能にし、他方はGrass FT03C (Grass Instruments Co、MA、米国)力変換器に連結した。アイソメトリック張力を、Grassポリグラフ(7D)を用いて記録した。これらのストリップを装着後、静止張力4mNまで伸長し(全ての調製物について同じ張力)、更なる実験を行う前に、45〜60分間平衡化させた。
【0096】
2.3.3. 電界刺激
調製物のいずれかの側に配置された2本の白金電極により、電界刺激(EFS)を行い、これはGrass S48又はS88刺激装置を用い、及び選択された周波数の単一矩形波長パルスを送り行った。トレイン期間は5秒であり、パルス期間は0.8ミリ秒であり、刺激は2分間隔であった。電極の極性は、極性変化装置により各パルス後にシフトした。
【0097】
2.3.4 手法
各実験は、ふたつの再現可能な収縮を得るまでの、調製物の高K+(124mM)Krebs溶液への曝露により開始した。その後下記の実験を実行した:
a)アトロピンの存在及び非存在下で、神経の電気刺激を行い、周波数-反応の関係を得た。
b)カルバコール及びATPに関して、濃度-反応曲線を作製した。
【0098】
(結果)
先に説明されたバリデーションされた膀胱流出口閉塞ラットモデルを用い、化合物Aの膀胱機能不全を制御及び治療する能力を試験した。この目的は、ビタミンD3アナログ(1-α-フルオロ-25-ヒドロキシ-16,23e-ジエン-26,27-ビスホモ-20-エピ-コレカルシフェロール-化合物"A")は投与量150μg/Kg/日で、膀胱肥大及び膀胱過活動のような膀胱機能不全を防止することができるかどうかを評価することであった。
【0099】
このモデルにおいて、カテーテル挿入した膀胱の流出口の周囲に、結紮を外科的に配置し、その結果カテーテルを除去した際に、膀胱は尿道抵抗の増加を経験した。これらのラットには、膀胱機能を評価するために、連続シストメトリーを施した。加えてin vitroにおける神経刺激及び外部刺激に対し反応した分離された膀胱調製物の収縮特性を、電界刺激(EFS)下で調べた。
下記のシストメトリーパラメーターを調べた(図12-16参照):
−排尿圧(排尿時の最大膀胱圧)、
−膀胱容量(排尿後の残留容量+排尿を誘導するために注入された生理食塩水容量)
−排尿容量(放出された尿容量)
−残留尿(膀胱容量−排尿容量)、及び
−膀胱内圧の自然発生的に生じる変化の頻度及び振幅(非-排尿性収縮)。
【0100】
このモデルにおいて、評価しているアナログは、膀胱機能に対する有益な作用を有した。この作用は、正常膀胱において明らかであり、膀胱流出口閉塞において維持される。特にビヒクルに対する有意差は、以下において観察された:
−自発的非-排尿性収縮の頻度及び振幅(図13及び14);
−残留尿(化合物Aを伴わない、図16);
−排尿圧(図15);
加えて膀胱機能に対する有益な作用が、in vitro試験において確認された:
−K反応;
−EFSに対する反応(図17);
−カルバコールに対する反応。
【0101】
最後に、化合物Aにより、膀胱重量のわずかな減少が認められた(図12)。
これらのデータは、例えばBPH患者において明らかにされたような、膀胱機能不全、例えば過活動膀胱などの予防及び治療における、化合物Aの使用を明らかにしている(ヒトボディマスの約0.725〜5μg/kgと同等の50μg〜300μg投与量範囲)。
【0102】
(実施例8):非刺激BPH細胞増殖に対するフィナステリドと併用した化合物Aの作用
非刺激BPH細胞の増殖に対する5-αレダクターゼインヒビターフィナステリド(濃度10nM)を伴う及び伴わない化合物A(濃度10-13M〜10-17M)の作用を試験した。この実験プロトコールは、図2Aに示されたデータに関して、実施例1において本質的に説明された。これらの結果は、図18に示した。個々の成分に対し本薬物併用に好ましい傾向が認められ、これは、この併用療法はBPH治療において有用であることを示唆している。
【0103】
(略号)
T テストステロン
DHT ジヒドロテストステロン
GF 増殖因子
BPH 良性前立腺肥大
PP プロトコールを遵守
ITT 意図した治療に基づく
ANOVA 分散分析
TRUS 経直腸的超音波検査
BOO 膀胱流出口閉塞
AR アンドロゲン受容体
PSA 前立腺特異抗原
μg マイクログラム
μl マイクロリットル
【0104】
本願明細書において言及された特許及び特許出願を含む全ての参考文献は、可能な限り完全な程度で本願明細書に参照として組入れられている。
本願明細書及び先の「特許請求の範囲」を通じ、説明を特に必要としない限りは、用語「含む(comprise)」、並びに「(ひとつを)含む(comprises)」及び「含んでいる(comprising)」などのその変形は、記された整数又は工程又は整数群の包含を暗示するが、他の整数又は工程又は整数もしくは工程の群を排除するものではないことが理解される。
本説明及び「特許請求の範囲」が形成する部分の本願明細書は、後願に関する優先権の基礎として使用することができる。このような後願の「特許請求」は、本願明細書に説明されたいずれかの特徴又は特徴の組合せを示すことができる。これらは、製品、組成物、プロセス、又は使用の「特許請求」の形をとることができ、並びに前記「特許請求の範囲」を例として含むが、これを限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】図1は、カルシトリオール及び化合物A("Cmpd A")によるBPH細胞増殖の阻害を示す。パネルA カルシトリオール(丸)又は化合物A(四角)の漸増濃度(10-18〜10-7M)と一緒の48時間のインキュベーションは、BPH細胞増殖の有意かつ供与量-依存型の阻害を生じた(*P<0.01、対、対照)。ALLFIT解析は、これら2種のセコステロイドは、同じ最大阻害を共有するが(Imax=43±1%)、効力の順位(rank of potency)に顕著な差を示す(-logIC50 化合物A=15.80±0.3;-log IC50 カルシトリオール=10.2±0.6、P<0.005)ことを示している。結果は、3つ組で行った3回の異なる実験におけるそれらの相対対照に対する阻害率(%)(平均±SEM)として表した。パネルB T(10nM、四角)、KGF(10ng/ml、丸)又はDes(1-3)IGF-I(10ng/ml、三角)により刺激された、漸増濃度(10-18〜10-7M)の化合物AのBPH細胞増殖に対する作用。化合物Aは、同じく試験した全ての刺激の存在下で、BPH細胞増殖の有意な阻害を誘導し(*P<0.01、対、T-又はGF-処理した細胞)、同様のImax=66.6±7.3%を伴った。しかし化合物Aは、Tの作用を阻害する(-logIC50 =16.4±0.6)点で、他のふたつのGFよりもより強力であった(-log IC50 Des(1-3)IGF-I=12.7±0.6、及び-log IC50 KGF=14.2±0.6、P<0.0001)。結果は、3つ組で行った3回の異なる実験における最大刺激に対する変動率(%)(平均±SEM)として表した。
【図2】図2は、化合物A、酢酸シプロテロン及びフィナステリドの、アンドロゲン-刺激したBPH細胞増殖に対する作用を示す。BPH細胞は、化合物A(1nM)又は抗-アンドロゲン(フィナステリド、F、1nM;酢酸シプロテロン、Cyp、100nM)と共に、T(10nM、パネルA)又はDHT(10nM、パネルB)の存在下で、48時間インキュベーションした。未刺激のBPH細胞において得られた結果も、示した(パネルA)。結果は、3つ組で行った3回の異なる実験における相対対照に対する変動率(%)(平均±SEM)として表した。化合物A及び酢酸シプロテロンは、T-及びDHT-誘導した両方の増殖を有意に妨害したのに対し、フィナステリドはTに対してのみ作用を有した。*P<0.01、対、対照;°P<0.01、対、アンドロゲン-処理した細胞。
【図3】図3は、化合物AのヒトARに対するアゴニスト又はアンタゴニストの特性の欠如を示す。ヒトARで安定してトランスフェクションされたAR欠損PC3細胞株を、24ウェルプレートへ、密度2x104個細胞/ウェルで播種した。24時間後、これらの細胞をAR-反応性プラスミドpLSPPでトランスフェクションし、並びに48時間後、細胞を、漸増濃度のDHT(四角)又は化合物A(丸)と共にインキュベーションしたか(パネルA)、又は一定濃度のDHT(3nM)と共にビカルタミド(四角)又は化合物A(丸)の存在下で18時間インキュベーションした(パネルB)。結果(3回のトランスフェクション実験の平均)は、総タンパク質1μg当たりのバイオルミネセンスの割合(%)として表した。アゴニスト活性を評価するために、100%ルシフェラーゼ活性を、DHT 100nMの存在下で設定したのに対し(パネルA)、アンタゴニスト活性を試験するために、100%ルシフェラーゼ活性を、DHT 3nMで設定した(パネルB)。
【0106】
【図4】図4は、化合物A又はフィナステリドによる、ラット腹側前立腺成長の阻害を示している。パネルA:エナント酸T(30mg/Kg/週)を注射した去勢されたラットを、ビヒクル又は漸増投与量の化合物A(10、30、100及び300μg/Kg)又はフィナステリド(F、10及び40mg/Kg)で、連続2週間5日/週で経口処置した。腹側前立腺重量を、無傷のビヒクル-処置したラットの重量への変動率(%)(平均±SEM)として表した(∧P<0.05、*P<0.01、対、対照ラット、°P<0.01、対、T-補充されたラット)。パネルB:無傷の成体ラットは、ビヒクル(対照)又は漸増濃度の化合物A(10、30、100及び300μg/Kg)もしくはフィナステリド(F、10及び40mg/Kg)により、1ヶ月にわたり経口処置した(5回/週、合計27回投与)。腹側前立腺重量は、対照のビヒクル-処置したラットの重量への変動率(%)(平均±SEM)として表した(*P<0.01、対、対照ラット)。
【図5】図5は、化合物A及びフィナステリドのラット腹側前立腺におけるクラステリン遺伝子発現に対する作用を示している。パネルA:ビヒクル-処理した無傷のラット(レーン1)又は精巣摘除術を受けたラット(レーン2)の腹側前立腺におけるクラステリンmRNA発現のノーザン解析。レーン3-6は、エナント酸T(30mg/Kg)を2週間補充され、及びビヒクル(レーン3)、化合物A(300μg/Kg、レーン4及び100μg/Kg、レーン5)又はフィナステリド(40mg/Kg、レーン6)で経口処置された精巣摘除されたラットにおける、クラステリン遺伝子発現を示す。各レーンには、総RNAを10μg装加した。ゲルの対応するGAPDH発現及び臭化エチジウム染色を、ブロットの下側に示した。このブロットは、2種の個別の実験の代表である。パネルB:ビヒクル(レーン1)、漸増濃度の化合物A(10、30μg/Kg、レーン2及び3)又はフィナステリド(40mg/Kg、レーン4)により、1ヶ月にわたり(5回/週、27回投与)経口処置された成体無傷のラットの腹側前立腺におけるクラステリンmRNA発現のノーザン解析。各レーンには、総RNAを10μg装加した。ゲルの対応するGAPDH発現及び臭化エチジウム染色を、ブロットの下側に示した。このブロットは、2種の個別の実験の代表である。
【図6】図6は、去勢され及びT-補充されたラットの腹側前立腺に対する化合物Aの形態学的作用を示している。パネルA、B、C及びE:ラットクラステリンに対するモノクローナル抗体により免疫染色し及びヘマトキシリンにより対比染色した、前立腺全体の断面から得た代表的視野。去勢の4-日前のビヒクル-処置したラットにおいて、クラステリン標識が、萎縮性立方体様上皮細胞の細胞質において検出可能である(パネルA、10x)。2週間のT補充(パネルB、10x)後、ほぼ全てのクラステリン標識は消失した。対照的に、クラステリン陽性細胞は以前、T及び様々な投与量の化合物A(100μg/Kg、パネルC;300μg/Kg、パネルE、黒矢印)により処置したラットにおいて存在した。パネルD及びFは、ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)-媒介型dUTPニック末端標識(TUNEL)により評価されるDNA断片化を強調するために、パネルC及びEのものの連続切片を示している。化合物A(100μg/Kg、パネルD;300μg/Kg、パネルF)による2週間の処置された(9回投与)は、上皮細胞及び間質細胞の多くにおいて、大規模なアポトーシスを誘導した。クラステリン-陽性細胞はアポトーシスを受けるのに対し、クラステリン未標識の細胞の一貫した部分は、核断片化を示す(黒矢印)ことに注意。
【0107】
【図7】図7は、化合物A及びフィナステリドの、無傷の成体ラットの前立腺に対する形態学的作用を示している。パネルA、B、D、E、F及びH:ラットクラステリンに対するモノクローナル抗体により免疫染色し及びヘマトキシリンにより対比染色した、前立腺全体の断面から得た代表的視野。パネルA(10x)において一次抗体は省略した。パネルB(10x)は、わずかな未処置の成体ラットにおける、ごくわずかな上皮細胞が、一部の腺において標識されたことを示している(黒矢印)。対照的に、漸増濃度の化合物Aで処置したラットからの前立腺において、萎縮の顕著な特徴を示す立方体様上皮細胞は、クラステリンについて用量-依存式に染色された(黒矢印、10μg/Kg、パネルD;30μg/Kg、パネルE、100μg/Kg、パネルF、10x参照)。同様の結果が、フィナステリド(40mg/Kg、パネルH、10x)により得られた。パネルC、G及びIは、各々、パネルB、D及びFに示されたものに対する、一連の連続切片を示し、ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)-媒介型dUTPニック末端-標識(TUNEL)により評価されるように、DNA断片化を強調している。クラステリン-陽性細胞は全てアポトーシスを受けるのに対し、クラステリン未標識の細胞の一貫した部分は、核断片化を示す(黒矢印)ことに注意。
【図8】図8は、イヌにおける慢性毒性試験の結果を示している。前立腺重量の明確な低下は、プラセボと比べ化合物Aによる9ヶ月の治療後に示された。
【図9】図9は、イヌにおける慢性毒性試験の結果を示している。プラセボに対する化合物Aによる処置からの回収後の前立腺重量の低下が示された。
【図10】図10は、化合物Aのテストステロン-刺激した膀胱細胞増殖に対する作用を示している。"hB"=ヒト膀胱。
【0108】
【図11】図11は、化合物A及び他の比較化合物の、刺激された及び基本の膀胱細胞増殖に対する作用を示す。"T 10nM"=テストステロン;F 1nM"=フィナステリド。
【図12】図12は、化合物Aの膀胱重量に対する作用を示す。
【図13】図13は、化合物Aの自発的非-排尿性収縮頻度に対する作用を示す。
【図14】図14は、化合物Aの自発的的非-排尿性収縮増幅に対する作用を示す。
【図15】図15は、排尿圧に対する化合物Aの作用を示す。
【図16】図16は、残留尿に対する化合物Aの作用を有す。
【図17】図17は、EFS(電界刺激)に対する膀胱ストリップの収縮反応に対する化合物Aの作用を示す。
【図18】図18は、未刺激のBPH細胞増殖に対するフィナステリドと併用した場合の、化合物Aの作用を示す。
【図1A】

【図1B】

【図2A】

【図2B】

【図3A】

【図3B】

【図4A】

【図4B】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
良性前立腺肥大の予防及び/又は治療のための医薬品の製造における、1-α-フルオロ-25-ヒドロキシ-16,23E-ジエン-26,27-ビスホモ-20-エピ-コレカルシフェロール又はそれらの医薬として許容できる塩もしくはエステルの使用。
【請求項2】
医薬品が、第二のBPH-活性物質と個別の又は一緒の医薬製剤で、個別に、逐次又は同時に投与される、請求項1記載の使用。
【請求項3】
良性前立腺肥大の予防及び/又は治療のための医薬品の製造における、第二のBPH-活性物質と組合せた、1-α-フルオロ-25-ヒドロキシ-16,23E-ジエン-26,27-ビスホモ-20-エピ-コレカルシフェロール、又はそれらの医薬として許容できる塩もしくはエステルの使用。
【請求項4】
第二のBPH-活性物質が、α-アドレナリン作用性受容体遮断薬である、請求項2又は3記載の使用。
【請求項5】
α-アドレナリン作用性受容体遮断薬が、テラゾシン、ドキサゾシン、タムスロシン、シロドシン、AIO-8507L及びRBx-2258から選択される、請求項4記載の使用。
【請求項6】
第二のBPH-活性物質が、5α-レダクターゼインヒビターである、請求項2又は3記載の使用。
【請求項7】
5α-レダクターゼインヒビターが、フィナステリド及びデュタステリドから選択される、請求項6記載の使用。
【請求項8】
良性前立腺肥大の予防及び/又は治療のために、1-α-フルオロ-25-ヒドロキシ-16,23E-ジエン-26,27-ビスホモ-20-エピ-コレカルシフェロール、又はそれらの医薬として許容できる塩もしくはエステル、及び医薬として許容できる担体を含有する、医薬製剤。
【請求項9】
良性前立腺肥大の予防及び/又は治療における使用のための使用説明書と共に包装された、1-α-フルオロ-25-ヒドロキシ-16,23E-ジエン-26,27-ビスホモ-20-エピ-コレカルシフェロール、又はそれらの医薬として許容できる塩もしくはエステル、及び医薬として許容できる担体を含有する医薬組成物を含む、包装された製剤。
【請求項10】
1-α-フルオロ-25-ヒドロキシ-16,23E-ジエン-26,27-ビスホモ-20-エピ-コレカルシフェロール、又はそれらの医薬として許容できる塩もしくはエステルが、単位剤形で提供される、請求項1〜7のいずれか1項記載の使用。
【請求項11】
1-α-フルオロ-25-ヒドロキシ-16,23E-ジエン-26,27-ビスホモ-20-エピ-コレカルシフェロール、又はそれらの医薬として許容できる塩もしくはエステルが、単位剤形で提供される、請求項8又は9記載の製剤。
【請求項12】
第二のBPH-活性物質を更に含有する、請求項8、9及び11記載の製剤。
【請求項13】
1-α-フルオロ-25-ヒドロキシ-16,23E-ジエン-26,27-ビスホモ-20-エピ-コレカルシフェロールの単位用量が、50〜150μgである、請求項10記載の使用。
【請求項14】
抗-アンドロゲン性の前立腺及び前立腺外の有害作用を伴わない、良性前立腺肥大の予防及び/又は治療のための、請求項1から7又は10又は13のいずれか1項記載の使用。
【請求項15】
膀胱機能不全の予防及び/又は治療と同時の、良性前立腺肥大の予防及び/又は治療のための、請求項1から7又は10、13又は14のいずれか1項記載の使用。
【請求項16】
1種以上の保存剤と一緒に、分留されたココナツ油中に溶解された1-α-フルオロ-25-ヒドロキシ-16,23E-ジエン-26,27-ビスホモ-20-エピ-コレカルシフェロールを含有する、医薬製剤。
【請求項17】
分留されたココナツ油が、Miglyol 812である、請求項16記載の製剤。
【請求項18】
保存剤が、ブチル化ヒドロキシトルエン、ブチル化ヒドロキシアニソール及びそれらの混合物から選択される、請求項16又は17記載の製剤。
【請求項19】
第二の又は更なるBPH-活性物質と組合せた、1-α-フルオロ-25-ヒドロキシ-16,23E-ジエン-26,27-ビスホモ-20-エピ-コレカルシフェロール又はそれらの医薬として許容できる塩もしくはエステルを含有する、医薬製剤。
【請求項20】
1-α-フルオロ-25-ヒドロキシ-16,23E-ジエン-26,27-ビスホモ-20-エピ-コレカルシフェロール、又は医薬として許容できる塩もしくはエステルが、α-アドレナリン作用性受容体遮断薬と組合せられる、請求項19記載の製剤。
【請求項21】
1-α-フルオロ-25-ヒドロキシ-16,23E-ジエン-26,27-ビスホモ-20-エピ-コレカルシフェロール又は医薬として許容できる塩もしくはエステルが、5-αレダクターゼインヒビターと組合せられる、請求項19記載の製剤。
【請求項22】
5-αレダクターゼインヒビターが、フィナステリド又はデュタステリドである、請求項21記載の製剤。
【請求項23】
良性前立腺肥大の予防及び/又は治療における使用のための、請求項16〜22のいずれか記載の製剤。
【請求項24】
カプセル剤として提供される、請求項8、11、12又は15〜23記載の製剤。
【請求項25】
良性前立腺肥大の予防及び/又は治療における使用のための、1-α-フルオロ-25-ヒドロキシ-16,23E-ジエン-26,27-ビスホモ-20-エピ-コレカルシフェロール又はそれらの医薬として許容できる塩もしくはエステル。
【請求項26】
抗-アンドロゲン性の前立腺及び前立腺外の有害作用を伴わない、良性前立腺肥大の予防及び/又は治療における使用のための、1-α-フルオロ-25-ヒドロキシ-16,23E-ジエン-26,27-ビスホモ-20-エピ-コレカルシフェロール又はそれらの医薬として許容できる塩もしくはエステル。
【請求項27】
膀胱機能不全の予防及び/又は治療と同時の、良性前立腺肥大の予防及び/又は治療における使用のための、1-α-フルオロ-25-ヒドロキシ-16,23E-ジエン-26,27-ビスホモ-20-エピ-コレカルシフェロール又はそれらの医薬として許容できる塩もしくはエステル。
【請求項28】
1-α-フルオロ-25-ヒドロキシ-16,23E-ジエン-26,27-ビスホモ-20-エピ-コレカルシフェロールの単位用量、50〜150μgである、請求項11記載の製剤。
【請求項29】
良性前立腺肥大の予防及び/又は治療に作用するために、1-α-フルオロ-25-ヒドロキシ-16,23E-ジエン-26,27-ビスホモ-20-エピ-コレカルシフェロール又はそれらの医薬として許容できる塩もしくはエステルの治療的有効量を投与することを含む、そのような予防又は治療の必要な患者における、良性前立腺肥大の予防及び/又は治療の方法。
【請求項30】
1-α-フルオロ-25-ヒドロキシ-16,23E-ジエン-26,27-ビスホモ-20-エピ-コレカルシフェロール又はそれらの医薬として許容できる塩もしくはエステルの治療的有効量を、第二のBPH-活性物質と個別の又は一緒の医薬製剤で、個別に、逐次又は同時に投与し、これにより良性前立腺肥大の予防及び/又は治療に作用することを含む、そのような予防又は治療を必要とする患者における、良性前立腺肥大の予防及び/又は治療の方法。
【請求項31】
第二のBPH-活性物質が、α-アドレナリン作用性受容体遮断薬である、請求項30記載の方法。
【請求項32】
α-アドレナリン作用性受容体遮断薬が、テラゾシン、ドキサゾシン、タムスロシン、シロドシン、AIO-8507L及びRBx-2258から選択される、請求項31記載の方法。
【請求項33】
第二のBPH-活性物質が、5α-レダクターゼインヒビターである、請求項30記載の方法。
【請求項34】
5α-レダクターゼインヒビターが、フィナステリド及びデュタステリドから選択される、請求項33記載の方法。
【請求項35】
1-α-フルオロ-25-ヒドロキシ-16,23E-ジエン-26,27-ビスホモ-20-エピ-コレカルシフェロール、又はそれらの医薬として許容できる塩もしくはエステルが、単位剤形で提供される、請求項29〜34のいずれか1項記載の方法。
【請求項36】
1-α-フルオロ-25-ヒドロキシ-16,23E-ジエン-26,27-ビスホモ-20-エピ-コレカルシフェロールの単位用量が、50〜150μgである、請求項35記載の方法。
【請求項37】
抗-アンドロゲン性の前立腺及び前立腺外の有害作用を伴わない、良性前立腺肥大の予防及び/又は治療のための、請求項29〜36のいずれか1項記載の方法。
【請求項38】
膀胱機能不全の予防及び/又は治療と同時の、良性前立腺肥大の予防及び/又は治療のための、請求項29〜37記載の方法。
【請求項39】
1-α-フルオロ-25-ヒドロキシ-16,23E-ジエン-26,27-ビスホモ-20-エピ-コレカルシフェロール、又はそれらの医薬として許容できる塩もしくはエステルを得る又は合成する工程を更に含む、請求項29〜38のいずれか1項記載の方法。
【請求項40】
1-α-フルオロ-25-ヒドロキシ-16,23E-ジエン-26,27-ビスホモ-20-エピ-コレカルシフェロール、又はそれらの医薬として許容できる塩もしくはエステルが、医薬として許容できる希釈剤又は担体と共に、医薬組成物中に製剤される、請求項39記載の方法。
【請求項41】
1-α-フルオロ-25-ヒドロキシ-16,23E-ジエン-26,27-ビスホモ-20-エピ-コレカルシフェロール、又はそれらの医薬として許容できる塩もしくはエステルを、該化合物を良性前立腺肥大の予防及び/又は治療が必要な患者へ投与し、これにより該患者の良性前立腺肥大を予防及び/又は治療することを指示する使用説明書と共に備える、キット。
【請求項42】
1-α-フルオロ-25-ヒドロキシ-16,23E-ジエン-26,27-ビスホモ-20-エピ-コレカルシフェロール、又はそれらの医薬として許容できる塩もしくはエステルが、医薬として許容できる希釈剤又は担体と共に、医薬組成物中に製剤されている、請求項41記載のキット。

【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公表番号】特表2007−506699(P2007−506699A)
【公表日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−527365(P2006−527365)
【出願日】平成16年9月24日(2004.9.24)
【国際出願番号】PCT/EP2004/010760
【国際公開番号】WO2005/027923
【国際公開日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(505184768)
【氏名又は名称原語表記】BioXell SpA
【Fターム(参考)】