説明

荷電粒子線装置

【課題】簡易な構成で静電チャックの吸着面に対するウェハの載置状態を判定する。
【解決手段】試料に対して一次荷電粒子線を照射する機能を備えた荷電粒子線装置において、試料を吸着させる静電チャックに、斜孔或いは切り欠きを設ける。また、当該斜孔或いは切り欠きを斜光した光軸が通過するように一対の投光器および受光器を配置する。さらに、受光器の出力信号を用いて静電チャックに対する試料の載置状態を判定する制御部を設ける。制御部は、試料が昇降部により下降し、光軸を試料が遮光した時の受光器の出力信号を用いて、試料の載置状態を判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電チャックを用いた荷電粒子線装置等の半導体製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造工程では種々の装置が用いられており、これらの装置は各種の半導体ウェハ搬送機構により結ばれている。半導体ウェハ(以下、試料、または、単にウェハともいう)に対する各種の処理を正しく実行するには、半導体ウェハが装置内の定位置に配置されることが必要であり、従って、搬送途上あるいは装置内でのウェハの位置ずれ防止のため、様々な対策が講じられている。
【0003】
例えば、特許文献1には、ウェハがロードロック室からメインチャンバへ搬入された際にウェハ中心部に光を照射し、反射光を検出することによりウェハが正常な位置にセットされたかどうかを検知する機構を備えた半導体製造装置に関する発明が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、ウェハのアライメント装置に関する発明が開示されており、ウェハの端部に光を照射して反射光を検出し、ウェハのエッジ位置が検知できるようになっている。
【0005】
一方、半導体製造装置あるいは検査装置において、半導体ウェハを保持するために静電チャックが用いられている。このとき、試料の搬送は搬送ロボットとリフト機構により行われるのが一般的である。ここで搬送ロボットによるリフト機構への試料搭載位置がずれた場合、静電チャックへの搭載位置もずれることになり、結果として、最終的な試料アラインメントのエラーや、最悪の場合試料の破損につながる可能性がある。
【0006】
従来、試料の位置ずれの検出方法としては、リフト下降時即ち試料が静電チャックに搭載された時に、センサにより識別する方法が用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平6−29224号公報
【特許文献2】特開2010−147122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の試料の位置ずれの検出方法として、外周部に電界補正部品や位置決めピンなどがある場合、試料がそれらに乗り上げる状態を検出する方法が挙げられる。この場合、試料の高さの違いを検出するため、センサ光を水平に配置する、或いは試料裏面に配置した板バネの変形量をセンサにより検知する等の方法が取られる。しかしこれらの方法では、大きく反った形状の試料に対して、位置ずれ(乗り上げ)と誤検出してしまう可能性がある。また、検出対象が試料の厚み程度しかないため、検出感度が悪いという問題がある。また外周部に乗り上げる対象物が無い場合、試料外周部上下方向に、360°どの方向に位置ずれが起きても検出できるために十分な個数のセンサを配置する方法が挙げられる。この場合、センサの個数が多くなってしまう問題がある。センサの個数が増えると、例えば、これらのセンサを透過型にした場合、センサヘッドを試料ホルダ及びステージ上に多く配置しなければならずスペース上の制約が生じることになる。これらのセンサを反射型にした場合、センサ光が試料表面の膜種等による影響を受けるため、検出感度が悪くなる可能性がある。
【0009】
上記のことから、試料位置ずれの検出方法を、従来のものより確実で且つ簡便な手段で実現することが課題となる。
【0010】
本発明は上記の課題を解決するために考案されたものであり、従来の機構を効率的に用い、単純な制御及びセンサ配置で、より確実に試料の位置ずれを検出できる荷電粒子線装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様によれば、試料に対して一次荷電粒子線を照射する機能を備えた荷電粒子線装置において、前記試料を格納する試料室と、前記試料を吸着させる静電チャックと、当該静電チャックの試料吸着面に対して前記試料を昇降させる昇降部と、前記静電チャックに設けられた斜孔或いは切り欠きと、前記斜孔或いは切り欠きを斜光した光軸が通過するように配置された一対の投光器および受光器と、当該受光器の出力信号を用いて前記静電チャックに対する前記試料の載置状態を判定する制御部と、を有し、前記制御部は、前記試料が前記昇降部により下降し、前記光軸を前記試料が遮光した時の前記受光器の出力信号を用いて、前記試料の載置状態を判定することを特徴とする荷電粒子線装置が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、より確実に試料の位置ずれを検出できる荷電粒子線装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第一の実施形態における荷電粒子線装置としての走査電子顕微鏡の全体構成図である。
【図2A】本発明の第一の実施形態におけるウェハが正常に載置した場合の静電チャックの吸着面および投光器と受光器の配置関係を示す上面図である。
【図2B】図2AのA−A断面図であり、ウェハが正常位置のとき上昇時に遮光、下降時に透光となるように調整された投光器、受光センサ11Bの配置関係を示す図である。
【図3A】本発明の第一の実施形態におけるウェハの載置位置が光軸に対し離れる方向に位置ずれした場合の静電チャック吸着面の上面図および投光器と受光器の配置関係を示す断面図である。
【図3B】本発明の第一の実施形態におけるウェハの載置位置が光軸に対し近づく方向に位置ずれした場合の静電チャック吸着面の上面図および投光器と受光器の配置関係を示す断面図である。
【図4】本発明の第二の実施形態における荷電粒子線装置の全体構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<本発明の第一の実施形態>
以下、本発明の第一の実施形態を図面に即して説明する。なお、この実施の形態は例示として挙げるものであり、これにより本発明を限定的に解釈するものではない。本発明を適用した静電チャック使用装置として、試料に対して一次荷電粒子線を照射する機能を備えた荷電粒子線装置、ここでは走査電子顕微鏡を例に、図1〜図3を参照しつつ説明する。
【0015】
始めに図1に示す装置構成から説明する。図1は、本発明の第一の実施形態における荷電粒子線装置としての走査電子顕微鏡の全体構成図である。
【0016】
走査電子顕微鏡100には、試料を格納する試料室3が設けられている。
【0017】
試料室3には、電子線を生成、制御するカラム1と、試料6を搬送する搬送ロボット12が格納されるロードロック室2が取付けられている。試料室3は図示しない真空ポンプにより常時真空排気されており、カラム1内も図示しない真空ポンプにより高真空度に保たれている。一方、ロードロック室2には大気との隔離を行う大気側ゲートバルブ14と、試料室3との隔離を行う真空側ゲートバルブ13が取付けられている。
【0018】
試料室3には、試料6を搭載するステージ4と、試料6を載置、吸着させる静電チャック7と、静電チャック7の試料吸着面に対して前記試料を上下動(昇降)させる昇降部としてのリフトピン8と、試料6の外周部の少なくとも1箇所で上下斜め方向に光軸が通り且つ、試料6が正常位置のとき上昇時に遮光、下降時に透光となるように調整された投光器11A、受光器としての受光センサ11Bと、が設けられている。
【0019】
静電チャック7は、静電チャック電源16に電気的に接続されている。
【0020】
試料室3の下部には、リフトピン8を昇降するアクチュエータ5が配置されている。
【0021】
静電チャック電源16、アクチュエータ5、投光器11A、受光センサ11B、搬送ロボット12等、走査電子顕微鏡100内の電気的構成は、制御部15に電気的に接続されており、夫々が制御部15により制御されるように構成されている。なお、制御部15は、受光センサ11Bの出力信号を用いて静電チャック7に対する試料6の載置状態を判定するように構成されている。また、制御部15は、試料6がリフトピン8により下降し、光軸を試料6が遮光した時の受光センサ11Bの出力信号を用いて、試料6の載置状態を判定するように構成されている。
【0022】
また、制御部15は、試料6の搬送において、搬送ロボット12により試料6がリフトピン8に搭載された後及びリフトピン8下降により試料6が静電チャック7に載置された後の2度、各受光センサ11Bの検知状態を確認し、試料6の載置状態を判定するように構成されている。また、さらに、制御部15は、試料6の載置状態が、正常時と異なる場合に搬送シーケンスを停止するよう制御するように構成されている。前記制御部は、前記静電チャックに対する前記試料の載置状態が異常である場合に前記ロードロック室への試料の搬入を停止する。ここで、試料6の搬送経路および走査電子顕微鏡100の動作を簡単に説明する。なお、これらの動作は制御部15により制御される。
【0023】
大気側ゲートバルブ14をオープンし、ロードロック室2に設けられた搬送ロボット12によって大気側から試料6をロードロック室2内に搬入する。
【0024】
大気側ゲートバルブ14をクローズし、ロードロック室2内を図示しない真空ポンプにより真空排気して、真空度が試料室3内と同程度になったら、真空側ゲートバルブ13をオープンし、試料室3に格納されたステージ4上に試料6を搬送ロボット12により搬送する。このとき、試料6は、まず、試料室3の下部に配置されたアクチュエータ5によって上昇するリフトピン8に搭載され、逆の動作でリフトピン8が下降することでステージ4上に載置される。試料6はステージ4に取付けられている静電チャック7により静電吸着され、ステージ4上に強力に保持される。静電チャック7には静電チャック電源16により電圧印加がなされる。位置ずれ検出は、試料6外周部2箇所で上下斜め方向に光軸が通り且つ、試料6が正常位置のとき上昇時に遮光、下降時に透光となるように調整された投光器11A、受光センサ11Bにより、リフトピン8の上昇時及び下降時にそれぞれ判定することにより行う(好適には、投光器11A、受光センサ11Bを二対配置する)。
【0025】
位置ずれ判定終了後、位置ずれがなく正常状態であると制御部15より判定された場合には、ステージ4により試料6はカラム1の下に運ばれ、像観察が行われる。試料6が処理された後は、逆の流れで試料6はロードロック室2を通り、大気へと戻される。また、ここで、遮光状態とは投光器11Aからの光が遮られて受光センサ11Bまで届かない状態を指し、透光状態とは投光器11Aからの光が遮られないで受光センサ11Bで検出される状態を指す。
【0026】
次に本発明の第一の実施形態における試料室内の試料位置ずれ検出センサの配置を図2A、図2Bに示す。図2Aは、ウェハが正常に載置した場合の静電チャックの吸着面および投光器と受光器の配置関係を示す上面図であり、図2Bは、図2AのA−A断面図であり、ウェハが正常位置のとき上昇時に遮光、下降時に透光となるように調整された投光器、受光センサ11Bの配置関係を示す図である。尚、図2Bは図2AのA−A断面図にリフトピン8上昇、下降時の2フェーズを同時に示している。
【0027】
試料6外周部の1箇所の位置に光軸が通るようにしても良いが、静電チャック7の試料6吸着面の外周部の2箇所の位置に光軸が通るように、投光器11A、受光センサ11Bをそれぞれ設けるようにすると良い。さらに、図2Aに示すように、好適には、試料6外周部の4回回転対称な2箇所の位置に光軸が通るように投光器11A、受光センサ11Bをそれぞれ設けるようにする。
【0028】
さらに、図2Bに示すように投光器11A、受光センサ11Bを配置して光軸を斜めにすることで、リフトピン8上昇時、下降時で受光センサの透光、遮光の状態が異なるようにする(試料正常搭載時)。すなわち、リフトピン8による試料6としてのウェハの上昇時に、遮光し、ウェハの下降時に、透光するようにし、それぞれの状態を受光センサ11Bが制御部15へ出力信号を出力する。なお、リフトピン8上昇時、下降時で透光、遮光状態は逆でもよい。
【0029】
このとき、それぞれの光軸に対応する位置に、静電チャック7には光軸が通るための切り欠き或いは斜孔を設けておく。この切り欠き、斜孔を設けることで、投光器11A、受光センサ11Bを、光軸を斜めにするよう配置することができ、この光軸を利用し、試料6の位置ずれを検出することができる。好ましくは、切り欠きよりも斜孔として構成したほうが光軸合わせがしやすいため良い。切り欠きの場合、センサ位置合わせ(光軸合わせ)のときに光量とセンサ位置の関係がわかりづらいという問題がある。また、光量最大の点に合わせても外側にずれるケースがある。これに対し、斜孔の場合、光量最大に合わせれば、光軸が斜孔中心を通すことができる。切り欠きでも試料を使うと光軸合わせができる可能性はあるが、この場合には、相当程度の面倒な作業が必要となる。次に試料6の位置ずれが起きた場合の検出原理(判定原理)について、図3A、図3Bを用いて説明する。図3Aは、本発明の第一の実施形態におけるウェハの載置位置が光軸に対し離れる方向に位置ずれした場合の静電チャック吸着面の上面図および投光器と受光器の配置関係を示す断面図であり、図3Bは、本発明の第一の実施形態におけるウェハの載置位置が光軸に対し近づく方向に位置ずれした場合の静電チャック吸着面の上面図および投光器と受光器の配置関係を示す断面図である。図3A,図3Bは共に図2Bと同様、図2AのA−A断面図にリフトピン8上昇、下降時の2フェーズを同時に示している。但し、試料6の位置ずれが起きた場合となっている。単純化のため1方向に限定して考えると、図3Aに示すように光軸から離れる方向に試料が位置ずれした場合、リフトピン8上昇、下降時共に透光状態となり、正常搭載時のセンサ状態(上昇、下降)=(遮光、透光)と異なるため、位置ずれと検出(判定)される。図3Bに示すように光軸に近づく方向に試料6がずれた場合、リフトピン8上昇、下降時共に遮光状態となり、同様に位置ずれと検出(判定)される。以上をさらに一般化すると、図2Aにおいて、θ=45°〜135°,225°〜315°の向きに試料がずれた場合、光軸Yにより上記原理で検出でき、θがそれ以外の向きでは光軸Xにより、検出が可能となる。
【0030】
次に、試料の搬送の詳細及び位置ずれ検出時のシーケンスについて、図1を用いて説明する。試料6の搬入時、ロードロック室2に設けられた搬送ロボット12により試料6が試料室3にあるリフトピン8に乗せられた直後(リフトピン上昇)、及びリフトピン8下降直後(リフトピン下降)の2度、二対の投光器11A、受光センサ11Bによりセンサ状態を確認する。二対の各センサどちらかの状態が、(上昇、下降)=(遮光、投光)と異なる場合、制御部15により試料位置ずれと判定し、シーケンスをストップさせ、ステージ4による試料6のカラム1の下への搬送を止め、カラム1による像観察を停止する。
【0031】
上述した実施の形態によれば、以下に記す効果のうち、少なくとも1つ以上の効果を奏する。
1)光軸が斜めになるように投光器と受光器とを配置することで、垂直に配置した場合に比べて光軸(投光器と受光器)の数を減らすことができる。1方向だけに簡略化して考えると、垂直配置の場合、試料が正、負どちらの方向にずれても検出できるためには、光軸を試料端2箇所に配置しなければならない。これに対し、斜め配置の場合、正常搭載時にリフトピン上昇時に透光、下降時に遮光(逆でも可)となるように試料端1箇所に配置することで、試料が正負どちらにずれても検出することが可能となる(ずれた場合、上昇下降どちらも透光あるいはどちらも遮光となる)。
2)試料外周部の4回回転対称な2箇所の位置に光軸が通るようにし、かつ、上述した検出方法を採用することで試料の全水平方向の位置ずれを漏れなく検出することが可能となる。
3)静電チャック使用時の試料の位置ずれ検出を簡便且つ確実に行える。
4)試料が位置ずれした状態で、試料を搬送したり、像観察したりするのを防止することができ、試料アラインメントのエラーや、試料の破損の発生を抑制することができる。
【0032】
<本発明の第二の実施形態>
次にホルダ搬送の場合の装置構成について図4を用いて説明する。図4は、本発明の第一の実施形態における荷電粒子線装置の全体構成図であり、図1と異なる点は、主にウェハを直接搬送する形態からウェハをホルダに載せた状態で搬送する形態にした点と、静電チャック、投光器、受光器、リフトピン、アクチュエータ等をロードロック室に設けた点である。
【0033】
本実施形態における走査電子顕微鏡110について説明する。
【0034】
試料室3には電子線を生成、制御するカラム1と、試料6を搬送する搬送ロボット120が格納されるロードロック室2が取付けられている。試料室3は図示しない真空ポンプにより常時真空排気されており、カラム1内も図示しない真空ポンプにより高真空度に保たれている。一方、ロードロック室2には大気との隔離を行う大気側ゲートバルブ14と、試料室3との隔離を行う真空側ゲートバルブ13が取付けられている。また、ホルダ17は、ガイドホイールとレール及びクランクアーム等の搬送部20によりロードロック室2と試料室3の間を行き来する。ホルダ17には静電チャック7が組み込まれている。
【0035】
なお、搬送ロボット120は、ロードロック室2内に設けずに、大気側であって大気側ゲートバルブ14よりも外側に設けるように構成しても良い。
【0036】
ここで、試料の搬送経路および走査電子顕微鏡110の動作を簡単に説明する。
【0037】
大気側ゲートバルブ14をオープンし、搬送ロボット120によって大気側から試料6をロードロック室2内に搬入する。このとき試料6は、まず、ロードロック室2の下部に配置されたアクチュエータ5によって上昇するリフトピン8に搭載され、逆の動作でリフトピン8が下降することで静電チャック7上に搭載される。位置ずれ検出は、試料外周部2箇所で上下斜め方向に光軸が通り且つ、試料が正常位置のとき上昇時に遮光、下降時に透光となるように調整された投光器11A、受光センサ11Bにより、リフトピン8の上昇時及び下降時にそれぞれ判定することにより行う(好適には、投光器11A、受光センサ11Bを二対配置する)。位置ずれ判定終了後、位置ずれがなく正常状態であると制御部15より判定された場合には、大気側ゲートバルブ14をクローズし、ロードロック室2内を図示しない真空ポンプにより真空排気して、真空度が試料室3内と同程度になったら、真空側ゲートバルブ13をオープンし、試料室3に格納されるステージ4上にホルダ17を搬送部20により搬送する。試料6はホルダ17に組み込まれている静電チャック7により静電吸着され、ステージ4上に強力に保持される。静電チャック7には静電チャック電源16により電圧印加がなされる。ステージ4により試料6はカラム1の下に運ばれ、像観察が行われる。試料6が処理された後は、逆の流れで試料6はロードロック室2を通り、大気へと戻される。
【0038】
試料6の位置ずれが起きた場合のシーケンスについては、第一の実施形態で説明した搬送シーケンスと同様に、二対の各センサどちらかの状態が、(上昇、下降)=(遮光、投光)と異なる場合、制御部15により試料位置ずれと判断し、シーケンスをストップさせる。
【0039】
具体的には、搬送部20による試料室3へのホルダ17及び試料6の搬送を止める。当然にしてそれ以降のシーケンス、ステージ4による試料6のカラム1の下への搬送を止め、カラム1による像観察を停止する。
【0040】
上述した実施の形態によれば、第一の実施形態で説明した効果に加え、以下に記す効果を奏する。
1)試料が位置ずれした状態で、ホルダ及び試料を搬送したり、像観察したりするのを防止することができ、試料アラインメントのエラーや、試料の破損の発生を抑制することができる。
【符号の説明】
【0041】
1 カラム
2 ロードロック室
3 試料室
4 ステージ
5 アクチュエータ
6 試料
7 静電チャック
8 リフトピン
11A 投光器
11B 受光センサ
12 搬送ロボット
13 真空側ゲートバルブ
14 大気側ゲートバルブ
15 制御部
16 静電チャック電源
17 ホルダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料に対して一次荷電粒子線を照射する機能を備えた荷電粒子線装置において、
前記試料を格納する試料室と、
前記試料を吸着させる静電チャックと、
当該静電チャックの試料吸着面に対して前記試料を昇降させる昇降部と、
前記静電チャックに設けられた斜孔或いは切り欠きと、
前記斜孔或いは切り欠きを斜光した光軸が通過するように配置された一対の投光器および受光器と、
当該受光器の出力信号を用いて前記静電チャックに対する前記試料の載置状態を判定する制御部と、を有し、
前記制御部は、前記試料が前記昇降部により下降し、前記光軸を前記試料が遮光した時の前記受光器の出力信号を用いて、前記試料の載置状態を判定することを特徴とする荷電粒子線装置。
【請求項2】
請求項1に記載の荷電粒子線装置において、
前記斜孔或いは切り欠きが、前記静電チャックの試料吸着面の外周部の2箇所に形成されたことを特徴とする荷電粒子線装置。
【請求項3】
請求項2に記載の荷電粒子線装置において、
前記斜孔或いは切り欠きが、前記試料の4回回転対称な位置に配置されることを特徴とする荷電粒子線装置。
【請求項4】
請求項1に記載の荷電粒子線装置において、
前記試料室へ搬送される試料を格納するロードロック室と、
前記ロードロック室へ前記試料を搬入出する搬送ロボットと、を備え、
前記制御部は、前記静電チャックに対する前記試料の載置状態が異常である場合に前記試料の搬送を停止することを特徴とする荷電粒子線装置。
【請求項5】
請求項1に記載の荷電粒子線装置において、
前記試料室内で前記光軸が前記試料の外周部2箇所の4回回転対称な位置を通ることで、前記受光器は、前記昇降部の上昇時と下降時で異なる信号を前記制御部へ出力することを特徴とする荷電粒子線装置。
【請求項6】
請求項1に記載の荷電粒子線装置において、
前記試料室へ搬送される試料ホルダ及び試料を格納するロードロック室と、
前記ロードロック室へ前記試料を搬入出する搬送ロボットと、を備え、
前記制御部は、前記静電チャックに対する前記試料の載置状態が異常である場合に前記試料ホルダ及び試料の搬入を停止することを特徴とする荷電粒子線装置。
【請求項7】
請求項1において、
前記試料室へ搬送される試料を格納するロードロック室と、
前記ロードロック室内で前記光軸が試料外周部2箇所の4回回転対称な位置を通ることで、前記受光器は、前記昇降部の上昇時と下降時で異なる信号を前記制御部へ出力することを特徴とする荷電粒子線装置。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−62331(P2013−62331A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−198959(P2011−198959)
【出願日】平成23年9月13日(2011.9.13)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】