説明

蓄電素子

【課題】バスバーなどの取付に供されるボルトの空回りを防止する。
【解決手段】発電要素101と、筐体102と、電極端子105とを備える蓄電素子100であって、電極端子105は、接続部151と、筐体102と集電体104とに挿通状態で配置される軸部152と、集電体104と当接する当接部153と、他の機器と前記接続部とを電気的に接続するためのボルト108が挿通される貫通孔154とを備え、筐体102は、外向きに膨出する膨出部131を備え、電極端子105の軸部152は、膨出部131に挿通された状態で配置され、貫通孔154は、挿通されたボルト108の頭部182が回転しようとする際に膨出部131と頭部182とが干渉する位置に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は電力を蓄積し必要に応じて放電できる蓄電素子に関し、特に、電流の取り出し効率を高めることのできる蓄電素子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、非水電解質二次電池などの蓄電素子の一つとして、剛性のある筐体と、当該筐体内に収容される発電要素とを備え、筐体の内側に取り付けられる集電体により前記発電要素が垂下状に配置される蓄電素子が知られている。このような蓄電素子は、筐体を貫通した状態で配置されるリベットにより集電体が筐体に機械的に締結されると共に、前記リベットが集電体と電気的にも接続されており、当該リベットが、蓄電要素から筐体外部に電流を導出し、また、蓄電要素へ電流を筐体外部から導入する端子の役割も担っている。
【0003】
さらに、蓄電素子は、外部の機器や他の電池などと電気的に接続するための電極端子を備えており、前記リベットは、蓄電素子の筐体外部において前記電極端子を締結する場合がある。
【0004】
例えば特許文献1に記載されるように電極端子は、他の端子とボルトによって締結される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−23141号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
昨今の蓄電素子の大容量化、大電流化に伴い、蓄電素子と外部の機器や他の電池などと電気的に接続する部分の接触面積を広くし、接続部分におけるエネルギーの損失を可及的に抑制したいとの課題がある。
【0007】
ところが、電極端子と他の端子とを強く締結する場合には、ナットを強く締め付ける必要があるが、ナットを強く回すとボルトの頭部が空回りして所望の強さに締結できない場合がある。
【0008】
本願発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、別部材を設けることなくボルトの回り止めを可能とする蓄電素子の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本願発明にかかる蓄電素子は、発電要素と、前記発電要素を収容する筐体と、前記筐体の外部から前記発電要素への電気的接続を集電体を介して可能とする電極端子とを備える蓄電素子であって、前記電極端子は、板状の接続部と、前記平面と交差する方向に突出状態で前記接続部に一体に設けられ、前記筐体、および、前記集電体に挿通状態で配置される棒状の軸部と、前記軸部の先端部に設けられ、前記集電体と当接する当接部と、前記接続部を前記平面と交差する方向に貫通し、他の機器と前記接続部とを電気的に接続するためのボルトが挿通される貫通孔とを備え、前記筐体は、外向きに膨出する膨出部を備え、前記電極端子の軸部は、前記膨出部に挿通された状態で配置され、前記貫通孔は、前記膨出部の側方であって、当該貫通孔に挿通されたボルトの頭部が回転しようとする際に前記膨出部と前記頭部とが干渉する位置に配置されることを特徴とする。
【0010】
これによれば、膨出部により、ボルトの回転が止められるため、別部材を設けることなく接続部と他の端子とを所望の強さで締結することが可能となる。また、位置決めがしやすくなる。
【0011】
また、接続部の貫通孔に挿入状態で配置されるボルトの頭部を配置する空間を膨出部の側方に確保することができ、当該頭部を配置する空間を確保するための別部材などを廃止することが可能となる。
【0012】
また、前記空間や、集電体を筐体に取り付けるための空間を筐体から突出した位置に配置することで、発電要素を配置する空間を広くすることができ、蓄電素子全体の大きさの増加を抑制しつつ蓄電素子の容量を増加させることが可能となる。
【0013】
また、前記膨出部の膨出高さは、少なくとも前記頭部の厚みよりも高いほうがよい。
【0014】
これによれば、膨出部が電極端子とボルトの頭部との高さを調節するリベット台座などの代わりとして十分に機能することができる。
【0015】
また、前記当接部は、前記膨出部の内方に配置されるほうがよい。
【0016】
これによれば、発電要素を収容するスペースをより確実に確保することができる。
【0017】
また、前記膨出部は、前記貫通孔よりも外側に配置されるほうがよい。
【0018】
例えば、貫通孔を膨出部の外側にすると、集電体の位置が内側となる。従って、塗工部面積を小さくしなくてはならなくなる。つまり、膨出部は集電体の取り付け部となるため、膨出部の方が貫通孔より外側にあることによって、塗工部面積の大きい発電要素を採用することができる。なおかつ、集電体と接続する部分が発電要素のスペース外となるので、発電要素を収容するスペースが上下方向に確保できる。
【0019】
また、前記接続部は、前記筐体に取り付けられた際に外側に向く面の全体が一平面内に配置される平面部を一面に備えてもよい。
【0020】
これにより、外部の機器や他の電池などと電気的に接続する電極端子に、当該電極端子を筐体に取り付けるための突出部分がなく、接続部の一面に広がる平面部全体を電気的な接続に供することが可能となる。
【0021】
従って、電極端子がコンパクトな構造で重量の増加を抑制しつつ、電気的接続部における広い接触面積を確保することができる。
【0022】
なお、明細書、および、特許請求の範囲に記載される「蓄電素子」の語は、電気化学的に電気を蓄電し、また、必要に応じて電気を放電することのできる素子であり、より具体的には、蓄電池、キャパシタ、大容量キャパシタ、コンデンサ、電解コンデンサ、電気二重層コンデンサ等を含むものとして記載している。
【0023】
また、前記電極端子の前記当接部は、前記軸部の先端部を塑性変形させることにより設けられるものでもよい。
【0024】
これによれば、電極端子と筐体と集電体とを強い面圧で保持することができ、ナットなどを用いて締め付けるよりも耐振動性を向上させることが可能となる。
【0025】
また、前記電極端子の前記軸部は、前記接続部の他面に設けられる穴部に圧入されることにより前記接続部に一体に設けられるものでもよい。
【0026】
これによれば、電極端子を鍛造などで製造する必要がなくなり、また、機械的強度を確保し得る材質からなる接続部と、電気化学的な安定性から採用される材質からなる挿入部とを組み合わせた電極端子などを任意に採用することが可能となる。
【0027】
前記穴部は、前記軸部が挿入される挿入部と、前記軸部が挿入される方向と交差する方向に延在する係合部とを備えてもよい。
【0028】
これによれば、軸部の先端を回転しながら塑性変形させる場合においても、当該回転力に抗して接続部と軸部との一体性を維持することが可能となる。
【発明の効果】
【0029】
本願発明によれば、別部材を用いることなくボルトの空回りを防止し、電極端子と他の端子とを所望の強さで締結することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】図1は、本実施の形態の蓄電素子の外観を示す斜視図である。
【図2】図2は、筐体の一部を省略して蓄電素子の内部を模式的に示す斜視図である。
【図3】図3は、電極端子近傍を分解状態で模式的に示す分解斜視図である。
【図4】図4は、電極端子近傍を分解状態で模式的に図3とは逆の視線で示す分解斜視図である。
【図5】図5は、電極端子近傍を断面で示す側面図である。
【図6】図6は、電極端子の別例を示す斜視図である。
【図7】図7は、同電極端子を断面で示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
次に、本願発明に係る蓄電素子の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下の実施の形態は、本願発明に係る蓄電素子の一例を示したものに過ぎない。従って本願発明は、以下の実施の形態を参考に請求の範囲の文言によって範囲が画定されるものであり、以下の実施の形態のみに限定されるものではない。
【0032】
図1は、本実施の形態の蓄電素子の外観を示す斜視図である。
【0033】
図2は、筐体の一部を省略して蓄電素子の内部を模式的に示す斜視図である。
【0034】
図3は、電極端子近傍を分解状態で模式的に示す分解斜視図である。
【0035】
図4は、電極端子近傍を分解状態で模式的に図3とは逆の視線で示す分解斜視図である。
【0036】
図5は、電極端子近傍を断面で示す側面図である。
【0037】
これらの図に示すように、本実施の形態にかかる蓄電素子100は、電気を充電し、また、電気を放電することのできる非水電解質二次電池であり、発電要素101と、筐体102と、電極端子105と、集電体104とを備えている。本実施の形態の場合、蓄電素子100はさらに、第一絶縁部材109と、第二絶縁部材107と、ボルト108とを備えている。
【0038】
発電要素101は、本実施の形態の場合、詳細な図示は省略するが、セパレータと負極と正極とを備え、電気を蓄えることができる部材である。負極は、例えば、銅からなる長尺帯状の負極集電箔の表面に負極活物質層が形成されたものである。正極は、例えば、アルミニウムからなる長尺帯状の正極集電箔の表面に正極活物質層が形成されたものである。セパレータは、例えば、樹脂からなる微多孔性のシートである。
【0039】
そして、発電要素101は、負極と正極との間にセパレータが挟み込まれるように層状に配置されたものを長さ方向に全体が長円形状となるように巻き回されて形成されるいわゆる扁平巻回型の発電要素である。
【0040】
なお、発電要素101は扁平巻回型ばかりで無く、巻回型や折り畳み型など任意の積層態様を採用することができる。
【0041】
筐体102は、発電要素101を収容する部材である。本実施の形態の場合、筐体102は、容器120と蓋体103とで構成されている。
【0042】
容器120は、発電要素101を収容する矩形(直方体)の部材である。容器120は、軽量化のため、アルミニウムやその合金で形成されたり、肉厚の薄いステンレス鋼などにより形成される。容器120は、矩形の底部と、底部の各長辺部にそれぞれ立設される矩形の長壁部と、底部の各短辺部にそれぞれ立設される矩形の短壁部とを備えている。また、容器120は、容器120の開口端部と蓋体103とが溶接されることにより、蓋体103とともに筐体102を構成する。
【0043】
蓋体103は、容器120の開口部を閉塞する金属製の板状部材であり、本実施の形態の場合、膨出部131を備えている。膨出部131は、筐体102の外方に向かって膨出する部分であり、矩形(正方形)となっている。また、膨出部131は、板状の金属部材をプレス加工により形成される部分である。
【0044】
膨出部131の高さは、少なくともボルト108の頭部182(後述)の厚みよりも高くなるように形成されている。膨出部131が電極端子105とボルト108の頭部182との高さを調節するためである。
【0045】
集電体104は、電極端子105と発電要素101とに電気的に接続されるとともに、筐体102(蓋体103)に物理的(機械的)にも接続される部材である。本実施の形態の場合、集電体104は、端部が膨出部131に嵌合する状態で配置されている。
【0046】
また、集電体104は、蓋体103から筐体102の壁部に渡って壁部および蓋体103に沿って屈曲状態で配置される金属製の板状部材である。また、集電体104は、電極端子105とともに蓋体103に固定的に接続されており、発電要素101の負極、または、正極にそれぞれ溶接などによって固定され、かつ、電気的に接続されている。これにより、発電要素101は、筐体の内部において集電体104により保持される。
【0047】
なお、発電要素101の負極に取り付けられる集電体104は、銅で形成され、正極に取り付けられる集電体104はアルミニウムで形成されている。
【0048】
電極端子105は、外部の機器や他の電池などと蓄電素子100とを電気的に接続するための端子であり、接続部151と、軸部152と、当接部153と、貫通孔154とを備えている。
【0049】
本実施の形態の場合、電極端子105は、軸部152と接続部151とを鍛造により一体に形成することにより製造されている。また、正極側に配置される電極端子105はアルミニウムを主とする材質で形成され、負極側に配置される電極端子105は銅を主とする材質で形成されている。
【0050】
接続部151は、筐体102に取り付けられた際に外側に向く面の全体が一平面内に配置される平面部155を一面に有する板状の導電性を備えた部材である。接続部151は、外部の機器や他の電池などと蓄電素子100とを電気的に接続する際に、バスバーや他の電極端子などの通電部材200と直接接触する部分であり、板状の接続部151の最大面積の平面部155が通電部材200と直接接触することにより広い接触面積を実現している。
【0051】
軸部152は、平面部155の反対側である他面から平面部155と交差する方向(図中Z方向)に突出状態で接続部151に一体に設けられ、筐体102、および、集電体104に挿通状態で配置される棒状の導電性を備えた部材である。本実施の形態の場合、軸部152は、金属製のリベットに類似した部材であり、第一絶縁部材109に設けられた孔、蓋体103(膨出部131)に設けられた孔、第二絶縁部材107に設けられた孔、集電体104に設けられた孔に刺し通された状態で接続部151と当接部153との距離を維持して挟持力を発生させる部分である。なお、軸部152と蓋体103との間には、第一絶縁部材109が介在配置されており、軸部152は、集電体104接続部151に電気的に接続され、蓋体103とは絶縁状態が保たれるものとなっている。
【0052】
当接部153は、接続部151と協働し、軸部152を介して筐体102、および、集電体104を挟持する部材であり、軸部152の先端部に設けられる部分である。本実施の形態の場合、当接部153は、軸部152の先端部を塑性変形させることにより設けられる部分である。より具体的には、第一絶縁部材109、蓋体103、第二絶縁部材107、集電体104の順で重ね合わされた物に対し、軸部152が重ね合わせ方向に刺し通された状態で配置された後、軸部152の先端部を工具を用いて塑性変形させることにより当接部153が形成される。なお、前記重ね合わされたものを接続部151とで挟持するために、軸部152からフランジ状に広がり、かつ、軸部152が短くなるように塑性変形することにより当接部153が形成される。これらはいわゆるリベットのかしめによる締結に類似するものである。
【0053】
なお、当接部153は、軸部152の塑性変形によるものばかりで無く、軸部152に雄ねじを設け、ナット状の当接部153を軸部152に螺着することにより軸部152の先端に設けてもかまわない。
【0054】
貫通孔154は、接続部151を平面部155と交差する方向に貫通し、他の機器などと接続部151とを電気的に接続するためのボルト108が挿通される孔である。また、貫通孔154は、挿通されたボルト108の頭部182が回転しようとする際に膨出部131と頭部182とが干渉する位置に配置される。つまり、貫通孔154に挿通されたボルト108の回転軸と頭部182の最も突出した部分との距離は、貫通孔154の孔軸と膨出部131の貫通孔154に面している側壁との間の距離よりも短い。
【0055】
本実施の形態の場合、貫通孔154は、筐体102に設けられる膨出部131に軸部152が挿通された状態で膨出部131の側方に、軸部152の中心軸とほぼ平行に並ぶように配置される。より具体的には、貫通孔154の位置は、貫通孔154にボルト108が刺し通された状態で、ボルト108と膨出部131とが第一絶縁部材109によって絶縁が保てる程度に近接できる位置に設けられている。これにより、接続部151が大型化することを回避でき、蓄電素子100全体の重量増加を抑制することができる。
【0056】
また、貫通孔154は膨出部131よりも内側に配置されている。これは、貫通孔154を膨出部131の外側にすると、集電体104の位置が内側に配置されることとなり、発電要素101の塗工部面積を小さくしなくてはならなくなる。つまり、膨出部131が集電体104の取り付け部となるため、膨出部131の方が貫通孔154より外側にあることによって、塗工部面積の大きい発電要素101を採用することができる。なおかつ、集電体104と接続する部分が発電要素101のスペース外となるので、発電要素101を収容するスペースが上下方向に確保できる。
【0057】
ボルト108は、外部の機器や他の電池などと電気的に接続するための通電部材200(図3参照)、例えばバスバーなどの通電部材200を電極端子105と電気的かつ物理的に接続するための部材である。本実施の形態の場合、通電部材200を着脱可能に締結できるようボルト108は、ねじ部181と頭部182とを備えており、通電部材200に設けられる孔にねじ部181を刺し通した後、ナット201で締め付けることによって、電極端子105の接続部151と通電部材200とを挟持状態で接続するものとなっている。
【0058】
第一絶縁部材109は、筐体102とボルト108、および、筐体102(膨出部131)と電極端子105とを電気的に絶縁する部材である。本実施の形態の場合、第一絶縁部材109は、樹脂などの絶縁体で形成される板状の部材であって、膨出部131を覆うと共に、ボルト108の頭部182を収容する形状となっている。
【0059】
第二絶縁部材107は、筐体102と集電体104とを電気的に絶縁する部材である。本実施の形態の場合、第二絶縁部材107は、樹脂などの絶縁体で形成される薄い箱状の部材であって、膨出部131に筐体102の内側から嵌合状態で配置されている。
【0060】
以上の構成により、ボルト108に刺し通される通電部材200をナット201で締め付けて、電極端子105と通電部材200とを締結した場合、平面な接続部151と通電部材200とが広い接触面積で接続されるため、接続部分における電力の損失を低減することが可能となる。
【0061】
また、膨出部131により、ボルト108の回転が止められるため、別部材を設けることなく接続部151とバスバーなどの他の端子とを所望の強さで締結することが可能となる。また、位置決めがしやすくなる。
【0062】
また、接続部151の貫通孔154に挿入状態で配置されるボルト108の頭部182を配置する空間を膨出部131の側方に確保することができ、頭部182を配置する空間を確保するための別部材などを廃止することが可能となる。
【0063】
また、集電体104を筐体102に取り付けるための空間を筐体102から突出した位置に配置することで、発電要素101を配置する空間を広くすることができ、蓄電素子100全体の大きさの増加を抑制しつつ蓄電素子100の容量を増加させることが可能となる。
【0064】
次に、電極端子105の別例を説明する。
【0065】
図6は、電極端子の別例を示す斜視図である。
【0066】
図7は、同電極端子を断面で示す側面図である。
【0067】
同図に示すように、電極端子105は、軸部152を接続部151の他面156に設けられる穴部157に圧入することにより、当初別体であった軸部152と接続部151とが一体となって形成されている。
【0068】
穴部157は、軸部152が挿入される挿入部158と、軸部152が挿入される方向(図中Z軸方向)と交差する方向(図中XY平面内)に延在する係合部159とを備え、さらにフランジ形成部160を備えている。
【0069】
接続部151に設けられた穴部157に、係合部159が形成されることで、軸部152を圧入する際に軸部152が係合部159を充填するように塑性変形し、接続部151に対して軸部152が回動することを抑止することが可能となる。また、フランジ形成部160にも軸部152が充填されることにより、軸部152を介して接続部151と当接部153とで筐体102や集電体104を挟持する際に、強い挟持力を発生させることが可能となる。
【0070】
なお、本願発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、本明細書において記載した構成要素を任意に組み合わせて、また、構成要素のいくつかを除外して実現される別の実施の形態を本願発明の実施の形態としてもよい。また、上記実施の形態に対して本願発明の主旨、すなわち、請求の範囲に記載される文言が示す意味を逸脱しない範囲で当業者が思いつく各種変形を施して得られる変形例も本願発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本願発明は、二次電池などの蓄電素子に利用可能であり、特に、大電流を長時間必要とする自動車などに搭載される蓄電素子に利用可能である。
【符号の説明】
【0072】
100 蓄電素子
101 発電要素
102 筐体
103 蓋体
104 集電体
105 電極端子
107 第二絶縁部材
108 ボルト
109 第一絶縁部材
120 容器
131 膨出部
151 接続部
152 軸部
153 当接部
154 貫通孔
155 平面部
156 他面
157 穴部
158 挿入部
159 係合部
160 フランジ形成部
181 ねじ部
182 頭部
200 通電部材
201 ナット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電要素と、前記発電要素を収容する筐体と、前記筐体の外部から前記発電要素への電気的接続を集電体を介して可能とする電極端子とを備える蓄電素子であって、
前記電極端子は、
板状の接続部と、
前記平面と交差する方向に突出状態で前記接続部に一体に設けられ、前記筐体、および、前記集電体に挿通状態で配置される棒状の軸部と、
前記軸部の先端部に設けられ、前記集電体と当接する当接部と、
前記接続部を前記平面と交差する方向に貫通し、他の機器と前記接続部とを電気的に接続するためのボルトが挿通される貫通孔とを備え、
前記筐体は、外向きに膨出する膨出部を備え、
前記電極端子の軸部は、前記膨出部に挿通された状態で配置され、
前記貫通孔は、前記膨出部の側方であって、当該貫通孔に挿通されたボルトの頭部が回転しようとする際に前記膨出部と前記頭部とが干渉する位置に配置される
蓄電素子。
【請求項2】
前記膨出部の膨出高さは、少なくとも前記頭部の厚みよりも高い
請求項1に記載の蓄電素子。
【請求項3】
前記当接部は、前記膨出部の内方に配置される
請求項1または2に記載の蓄電素子。
【請求項4】
前記膨出部は、前記貫通孔よりも外側に配置される
請求項1〜3のいずれか1項に記載の蓄電素子。
【請求項5】
前記接続部は、前記筐体に取り付けられた際に外側に向く面の全体が一平面内に配置される平面部を一面に備える
請求項1〜4のいずれか1項に記載の蓄電素子。
【請求項6】
前記電極端子の前記当接部は、前記軸部の先端部を塑性変形させることにより設けられる
請求項1〜5のいずれか1項に記載の蓄電素子。
【請求項7】
前記電極端子の前記軸部は、前記接続部の他面に設けられる穴部に圧入されることにより前記接続部に一体に設けられる
請求項1〜6のいずれか1項に記載の蓄電素子。
【請求項8】
前記穴部は、
前記軸部が挿入される挿入部と、
前記軸部が挿入される方向と交差する方向に延在する係合部とを備える
請求項7に記載の蓄電素子。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2013−114924(P2013−114924A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−260526(P2011−260526)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(507151526)株式会社GSユアサ (375)
【Fターム(参考)】